説明

(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールを含有する乱用防止経口投与形態物

【課題】1日1回の投与のために(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの徐放性を有する乱用防止経口投与形態物の提供。
【解決手段】活性成分および/または1つ以上の薬学的に許容されるその化合物(A)、少なくとも1つの合成および/または天然ポリマー(C)、遅延放出補助物質、任意に、追加の生理的に許容される補助物質(B)、および任意に蝋(D)を含み、各場合に、少なくとも500N、好ましくは少なくとも750Nの破壊強度を示す。少なくとも1つの下記の乱用防止成分(a)〜(f)を含有。(a)鼻管および/または咽頭を刺激する少なくとも1つの物質、(b)少なくとも1つの粘度増加剤、(c)乱用の可能性を有する活性成分の少なくとも1つの拮抗薬、(d)少なくとも1つの催吐剤、(e)嫌悪剤としての少なくとも1つの色素、(f)少なくとも1つの苦味物質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1日1回の投与のために、活性成分(1R,2R)−3−(3−ジメチルア
ミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの徐放性を有する乱用防止経口投
与形態物に関し、該投与形態物は、活性成分および/または1つ以上の薬学的に許容され
るその塩および/またはその誘導体(A)、少なくとも1つの合成または天然ポリマー(
C)、任意に、遅延放出マトリックス材料、任意に、生理的に許容される補助物質(B)
、および任意に、蝋(D)を含んでもよく、成分(C)または(D)はそれぞれ少なくと
も500Nの破壊強度を示す。
【背景技術】
【0002】
この活性成分は、優れた鎮痛作用の他に乱用可能性も示し、即ち、該活性成分は、乱用
者によって使用されて、その意図する目的に一致しない作用をもたらす場合がある。従っ
て、この活性成分は、例えば、昏睡状態または陶酔感を誘発するために乱用者によって使
用される。
【0003】
活性成分を含有するこれらの投与形態物は、長期治療、例えば、慢性疼痛または腫瘍に
よる痛みに使用されることが多い。長期治療において、特に、患者が高い生活の質を享受
できることが重要である。患者の生活の質を向上させる方法は、1日1回の投与を可能に
する投与形態物を含む。しかし、比較的多量の活性成分により、活性成分の遅延放出を与
えるそのような投与形態物は、所望の昏睡状態または陶酔感をできるだけ速く誘発させる
ために乱用者にとって特に魅力的である。
【0004】
しかし、前記活性成分を含有する遅延放出投与形態は、乱用的多量に経口摂取した場合
でも乱用者に所望されるキック(kick)を一般に生じないので、乱用者は、乱用目的
で、これらの投与形態物、例えば錠剤またはカプセル剤の形態も微粉砕し、例えばすりつ
ぶして、鼻から吸うか、または、好ましくは水性液を使用して、このようにして得た粉末
から活性成分を抽出し、得られた溶液を、脱脂綿またはセルロース製の詰め物で任意に濾
過した後に、非経口的に、特に静脈内に投与する。この種の投与は、経口または経鼻乱用
よりかなり加速された活性成分レベルの増加を生じて、乱用者に所望される結果、即ち、
「キック」を生じる。
【0005】
US−A−4,070,494は、乱用を防止するために、膨潤剤を投与形態物に添加
することを提案している。使用される活性成分を抽出するために水を添加した場合、この
膨潤剤が膨潤し、ゲルから分離した濾液が少量の活性成分しか含有しないようにしている

【0006】
WO95/20947に開示されている多層錠剤は、非経口乱用を防止する同様の方法
に基づき、該錠剤は、乱用の可能性を有する活性成分、および少なくとも1つのゲル形成
剤をそれぞれ異なる層に含有する。
【0007】
WO03/015531 A2は、非経口乱用を防止する別の方法を開示している。鎮
痛性オピオイドおよび嫌悪剤としての色素を含有する投与形態物がそれに記載されている
。投与形態物を不正に変更することによって放出される色は、乱用者が不正に変更された
投与形態物を使用する気をなくすことを意図している。
【0008】
乱用を複雑化する他の既知の選択肢は、活性成分に対する拮抗薬、例えばナロキソンま
たはナルトレキソン、または生理的防御反応を生じる化合物、例えばトコン(イペカック
)の根、または苦味物質を、投与形態物に添加することを含む。
【発明の開示】
【0009】
しかし、従来のように、乱用目的のために、活性成分の徐放性を有する投与形態物を微
粉砕することがほとんどの場合に必要なので、本発明の目的は、(1R,2R)−3−(
3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの徐放性を有する
投与形態物の乱用前の、潜在的な乱用者にとって一般に入手可能な手段を用いた微粉砕を
、複雑化するかまたは防止し、これによって、正しく投与した場合に、1日1回の投与で
の所望の治療作用を保証するが、単に粉砕するだけでは活性成分を乱用に適した形態に変
換できない、活性成分の投与形態物(dosage form)を与えることである。
【0010】
この目的は、1日1回の投与のために(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1
−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの徐放性を有する本発明による乱用防止経
口投与形態物の提供によって達成でき、該投与形態物は、活性成分および/または1つ以
上の薬学的に許容されるその化合物、好ましくは塩または誘導体、好ましくは、エステル
、エーテルまたはアミド、および対応する立体異性化合物および/または対応する薬学的
に許容されるそれらの化合物またはその誘導体(A)に加えて、少なくとも1つの合成お
よび/または天然ポリマー(C)、少なくとも1つの遅延放出補助物質(E)、任意に、
少なくとも1つの追加の生理的に許容される補助物質(B)、および、任意に蝋(D)を
含み、成分(C)または(D)はそれぞれ、少なくとも500N、好ましくは少なくとも
750Nの破壊強度を示す。
【0011】
上述の最小破壊強度(本願に開示のように測定された)を有する成分(C)および任意
に(D)を、好ましくは、投与形態物も、少なくとも500N、好ましくは少なくとも7
50Nの最小破壊強度を示す量で使用することによって、一般的手段での投与形態物の粉
砕、およびその後の乱用、好ましくは経鼻または非経口乱用を、かなり複雑化し得るかま
たは防止し得る。
【0012】
投与形態物を充分に粉砕しなければ、危険でない非経口、特に静脈内または経鼻投与が
不可能であるか、または乱用者が活性成分をこの投与形態物から抽出するのに時間がかか
りすぎるか、または、自発的放出が起きないので、乱用的経口投与の際にキックが得られ
ないかまたは充分なキックが得られない。
【0013】
本発明によれば、粉砕は、乱用者に一般に入手可能な通常手段、例えば、乳棒および乳
鉢、ハンマー、マレット、または力の適用によって粉砕する他の通常手段を用いて、投与
形態物を微粉化することを意味する。
【0014】
従って、本発明による投与形態物は、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1
−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの非経口、経鼻および/または経口乱用を
防止するのに好適である。該活性成分は、EP−A−0693475から、鎮痛活性薬剤
として既知である。
【0015】
活性成分(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロ
ピル)フェノールは、それ自体で、即ち遊離塩基としてだけでなく、薬学的に許容される
その塩、溶媒化合物、薬学的に許容される誘導体、特に、アミド、エステルまたはエーテ
ル、および/または対応する立体異性体および/または対応する薬学的に許容されるそれ
らの化合物の1つの形態でも使用し得る。該活性成分の製造も、EP−A−069347
5 A1から既知である。
【0016】
本発明の投与形態物において、活性成分の含有量は、好ましくは0.5〜80重量%、
特に好ましくは10〜40重量%、極めて好ましくは5〜50重量%である。
【0017】
本発明の投与形態物は、(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2
−メチル−プロピル)フェノールを、それ自体で、および/または薬学的に許容される化
合物として、一般に2.5〜1,000mg、特に5〜800mg、極めて好ましくは5
〜600mgの量で含有する(1投与形態物または1投与単位当たりの(1R,2R)−
3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールとして計算
)。
【0018】
本発明によれば、活性成分の薬学的に許容される塩は、薬学的に使用した場合に、特に
、哺乳動物またはヒト、特にヒトに、正しく投与した場合に、生理的に許容される塩であ
る。そのような薬学的な塩は、例えば無機または有機酸との塩、例えば、好ましくは、塩
酸塩、臭化水素酸塩、サッカリン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、
コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸および/また
はアスパラギン酸との塩であってよく、極めて好ましくは、塩酸塩が塩として使用される

【0019】
本発明による投与形態物に必要とされる破壊強度を得るために、本願に開示されている
方法を使用して測定される破壊強度、少なくとも500N、好ましくは750Nを有する
少なくとも1つの合成、半合成および/または天然ポリマー(C)を使用する。好ましく
は、この目的のために、少なくとも1つのポリマーを下記の群の中から選択する。ポリア
ルキレンオキシド、好ましくは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプ
ロピレンオキシド、ポリオレフィン、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、それら
のコポリマー、および上述のポリマー種またはポリマーの少なくとも2つの混合物。特に
好ましくは、水溶性または水膨潤性ポリマーを使用する。高分子量熱可塑性ポリアルキレ
ンオキシドが好ましい。流動学的測定によって測定して、少なくとも50万、好ましくは
少なくとも100万、特に好ましくは100万〜1500万の分子量を有するポリエチレ
ンオキシドが特に好ましい。これらのポリエチレンオキシドは、25℃において、モデル
RVF Brookfield粘度計(スピンドル番号2/回転速度2rpm)を使用し
、ポリマーの5重量%水溶液において測定され4500〜17600cPの粘度を有し、
前記粘度計(但し、スピンドル番号1または3/回転速度10rpm)を使用し、ポリマ
ーの2重量%水溶液において測定され400〜4000cPの粘度を有し、または前記粘
度計(但し、スピンドル番号2/回転速度2rpm)を使用し、ポリマーの1重量%水溶
液において測定され1650〜10000cPの粘度を有する(Handbook of
Pharmaceutical Excipients by Raymond C.
Rowe他,4th edition,2003,page 460参照)。
【0020】
本発明による投与形態物を製造するために、ポリマーは、好ましくは粉末として使用さ
れる。該ポリマーは、水溶性または水膨潤性にすることができる。
【0021】
成分(C)は、投与形態物の全重量に対して、好ましくは20〜99.9重量%、特に
好ましくは少なくとも35重量%、極めて好ましくは少なくとも50重量%の量で使用さ
れる。
【0022】
補助物質(B)としては、固体投与形態物の配合に関して一般に既知の補助物質を使用
し得る。これらは、好ましくは、可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール、活性成分の
放出に影響を与える下記の補助物質、好ましくは疎水性または親水性、好ましくは親水性
ポリマー、極めて好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロ
ピルセルロース、および/または酸化防止剤である。酸化防止剤としては、アスコルビン
酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アスコルビン酸の塩
、モノチオグリセロール、亜燐酸、ビタミンC、ビタミンEおよびそれらの誘導体、二亜
硫酸ナトリウム、特に好ましくはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)またはブチル化
ヒドロキシアニソール(BHA)およびα−トコフェロールが好適である。
【0023】
酸化防止剤は、投与形態物の全重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.
03〜5重量%の量で使用するのが好ましい。
【0024】
さらに、上述のポリマーに加えて、本願に開示する方法を使用して測定される破壊強度
の少なくとも500N、好ましくは750Nを有する少なくとも1つの天然、半合成また
は合成蝋(D)を付加的に使用して、本発明による投与形態物に必要な破壊強度が得られ
る。少なくとも60℃の軟化点を有する蝋が好ましい。カルナウバ蝋および蜜蝋が特に好
ましい。カルナウバ蝋が極めて好ましい。カルナウバ蝋は、ブラジルロウヤシの葉から得
られる天然蝋であり、高くて90℃の軟化点を有する。蝋成分を付加的に使用する場合、
該蝋成分は、少なくとも1つのポリマー(C)、好ましくはポリエチレンオキシドと共に
、投与形態物が本願に記載する方法を使用して測定される破壊強度の少なくとも500N
、好ましくは少なくとも750Nを示す量で使用される。
【0025】
本発明による投与形態物は、その硬度のため、一般的な粉砕器具、例えば乳棒および乳
鉢を使用して、粉砕できないことを特徴づける。それによって、経口、非経口、特に静脈
内または経鼻乱用は、実際に全く不可能にされる。しかし、好ましい実施形態において、
本発明による投与形態物のあらゆる可能な乱用を防止するために、本発明による投与形態
物は、乱用を複雑化するかまたは防止する物質を補助物質(B)としてさらに含有し得る

【0026】
従って、本発明による乱用防止投与形態物は、本発明によって使用される活性成分に加
えて、少なくとも1つのポリマー(C)、および任意に少なくとも1つの蝋(D)、補助
物質(B)として少なくとも1つの下記成分(a)〜(e)
(a) 鼻管(nasal passages)および/または咽頭を刺激する少なく
とも1つの物質
(b) 必要な最少量の水性液の補助により、好ましくは投与形態物から得られる水性
抽出物としてゲルを形成し、該ゲルは、追加量の水性液への導入時に、好ましくは、視覚
的に識別可能に維持される少なくとも1つの粘度増加剤
(c) 使用される活性成分の少なくとも1つの拮抗薬
(d) 少なくとも1つの催吐剤
(e) 嫌悪剤としての少なくとも1つの色素
(f) 少なくとも1つの苦味物質
を含んでよい。
【0027】
成分(a)〜(f)はそれぞれ、付加的に、本発明による投与形態物を乱用から付加的
に保護するものとしてそれ自体で好適である。従って、成分(a)は、好ましくは、経鼻
、経口および/または非経口、好ましくは静脈内の乱用に対して投与形態物を保護するの
に好適であり;成分(b)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは静脈内および/また
は経鼻の乱用に対する保護に好適であり;成分(c)は、好ましくは、経鼻および/また
は非経口、特に好ましくは静脈内の乱用に対する保護に好適であり;成分(d)は、好ま
しくは、非経口、特に好ましくは静脈内、および/または経口および/または経鼻の乱用
に対する保護に好適であり;成分(e)は、経口または非経口の乱用に対して視覚的抑止
物質として好適であり;成分(f)は、経口または経鼻の乱用に対する保護に好適である
。少なくとも1つの上述の成分の同時使用によって、本発明による投与形態物に関して、
より有効に乱用を複雑化し得る。
【0028】
1つの実施形態において、本発明による投与形態物は、2つ以上の成分(a)〜(f)
の組合せ、好ましくは、(a)、(b)および任意に(c)および/または(f)および
/または(e)の組合せ、または(a)、(b)および任意に(d)および/または(f
)および/または(e)の組合せを含んでもよい。
【0029】
他の実施形態において、本発明による投与形態物は、成分(a)〜(f)の全てを含ん
でよい。
【0030】
本発明による投与形態物が、成分(a)を乱用に対する付加的保護として含む場合、本
発明によって考え得る鼻管および/または咽頭刺激物質は、鼻管および/または咽頭を経
て投与した場合に、乱用者が投与の継続を望まないかまたは継続できないほど不快である
か(例えば焼灼感)、または、例えば増加した鼻分泌またはくしゃみによって、活性成分
の摂取を生理的に阻止する身体反応を生じる任意の物質である。鼻管および/または咽頭
を一般に刺激するこれらの物質は、非経口的、特に静脈内に投与した場合に、極めて不快
な感覚、または耐えられない痛みも生じる場合があり、それによって、乱用者は投与の継
続を望まないかまたは継続することができない。
【0031】
鼻管および/または咽頭を刺激する特に好適な物質は、焼灼感、かゆみ、くしゃみ衝動
、分泌物形成の増加、またはこれらの刺激の少なくとも2つの組合せを生じる物質である
。一般に使用される適切な物質およびその量は、それ自体で当業者に既知であるか、また
は簡単な予試験によって同定し得る。
【0032】
成分(a)の鼻管および/または咽頭刺激物質は、好ましくは、少なくとも1つの熱物
質薬の1つ以上の成分または1つ以上の植物部分に基づく。
【0033】
対応する熱物質薬は、それ自体で当業者に既知であり、例えば「Pharmazeut
ische Biologie − Drogen und Ihre Inhalts
stoffe」 by Prof.Dr.Hildebert Wagner,2nd
revised edition,Gustav Fischer Verlag,St
uttgart−New York,1982,pages 82以下に記載されている
。対応する記載は、引用する本明細書に組み入れられ、開示の一部であるものとみなす。
【0034】
投与単位は、分離したまたは分離可能な投与単位、例えば錠剤またはカプセル剤を意味
する。
【0035】
Allii sativi bulbus(ニンニク)、Asari rhizoma
cum herba(アサルム根および葉)、Calami rhizoma(ショウ
ブ根)、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici fruct
us acer(カイエンヌペッパー)、Curcumae longae rhizo
ma(ウコン根)、Curcumae xanthorrhizae rhizoma(
ジャワウコン根)、Galangae rhizoma(ガランガ根)、Myristi
cae semen(ニクズク)、Piperis nigri fructus(コシ
ョウ)、Sinapis albae semen(白ガラシ種子)、Sinapis
nigri semen(クロガラシ種子)、Zedoariae rhizoma(ツ
ェドリア根)およびZingiberis rhizoma(ショウガ根)からなる群、
特に好ましくは、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsici f
ructus acer(カイエンヌペッパー)およびPiperis nigri f
ructus(コショウ)からなる群から選択される少なくとも1つの熱物質薬の1つ以
上の成分を、成分(a)として本発明による投与形態物に添加するのが好ましい。
【0036】
熱物質薬の成分は、好ましくは、o−メトキシ(メチル)フェノール化合物、酸アミド
化合物、カラシ油またはスルフィド化合物またはそれらから誘導される化合物を含む。
【0037】
特に好ましくは、熱物質薬の少なくとも1つの成分は、ミリスチシン、エレミシン、イ
ソオイゲノール、α−アサロン、サフロール、ジンゲロール、キサントルヒゾール、カプ
サイシノイド、好ましくは、カプサイシン、カプサイシン誘導体、例えば、N−バニリル
−9E−オクタデセンアミド、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモ
カプサイシン、ノルカプサイシンおよびノモルカプサイシン、ピペリン、好ましくはトラ
ンス−ピペリン、グルコシノレート(好ましくは、不揮発性カラシ油に基づき、特に好ま
しくは、p−ヒドロキシベンジルカラシ油、メチルメルカプトカラシ油またはメチルスル
ホニルカラシ油に基づく)、およびこれらの成分から誘導される化合物からなる群から選
択される。
【0038】
本発明による投与形態物は、対応する熱物質薬の植物部分を、投与単位の全重量に対し
て、好ましくは0.01〜30重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%の量で含有
してもよい。
【0039】
対応する熱物質薬の1つ以上の成分を使用する場合、本発明による投与単位におけるそ
の量は、投与単位の全重量に対して好ましくは0.001〜0.005重量%である。
【0040】
本発明による投与形態物の乱用を付加的に防止する他の選択肢は、少なくとも1つの粘
度増加剤を追加の乱用防止成分(b)として投与形態物に添加することであり、該粘度増
加剤は、必要な最少量の水性液の補助により、好ましくは投与形態物から得られる水性抽
出物としてゲルを形成し、該ゲルは、追加量の水性液に導入した際に、安全に投与するこ
とが実質的に不可能であり、かつ、好ましくは、視覚的に識別可能に維持される。
【0041】
本願の目的のために、視覚的に識別可能とは、必要な最少量の水性液の補助によって形
成される活性成分含有ゲルが、好ましくは皮下注射針の補助によって、追加量の水性液に
37℃で導入された際に、実質的に不溶性かつ粘着性に維持され、非経口的、特に静脈内
に安全に投与し得るように簡単に分散させることができないことを意味する。該物質は、
少なくとも1分間、好ましくは少なくとも10分間、視覚的に識別可能に維持されるのが
好ましい。
【0042】
粘度を増加させてゲルにすることは、それを針に通すかまたは注射することをより困難
にするか、または不可能にさえする。ゲルが視覚的に識別可能に維持される場合、これは
以下のことを意味する。例えば血液中への注射によって、追加量の水性液に導入する際に
得られるゲルが、初めに、極めて粘着性の糸の形態に維持され、これは、実際には、機械
的により小さい断片に分解し得るが、非経口的、特に静脈内に安全に投与し得るように分
散することができないか、または溶解させることさえできない。少なくとも1つの追加の
存在成分(a)、(d)〜(f)との組合せにおいて、これは、付加的に、不快な焼灼感
、嘔吐、悪臭(bad flavour)および/または視覚的抑止を生じる。
【0043】
そのようなゲルの静脈内投与は、乱用者の健康への重大な損傷に関係した血管の閉塞を
生じる可能性が高い。
【0044】
粘度増加剤が、本発明による投与形態物に使用するための成分(b)として好適である
かを確認するために、活性成分を粘度増加剤と混合し、25℃の温度で水10mLに懸濁
させる。これによって、上述した条件を満たすゲルが形成された場合、対応する粘度増加
剤は、本発明による投与形態物の乱用を付加的に防止するかまたは阻止するのに好適であ
る。
【0045】
本発明による方法によって得られる投与形態物に成分(b)を添加する場合、好ましく
は、下記からなる群から選択される1つ以上の粘度増加剤を使用する。11重量%カルボ
キシメチルセルロースナトリウムを含有する微結晶性セルロース(Avicel(登録商
標)RC 591)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Blanose(登録商
標)、CMC−Na C300P(登録商標)、Frimulsion BLC−5(登
録商標)、Tylose C300 P(登録商標))、ポリアクリル酸(Carbop
ol(登録商標)980NF、Carbopol(登録商標)981)、イナゴマメ粉(
Cesagum(登録商標)LA−200、Cesagum(登録商標)LID/150
、Cesagum(登録商標)LN−1)、ペクチン(好ましくは柑橘類果実またはリン
ゴから)(Cesapectin(登録商標)HM Medium Rapid Set
)、蝋様トウモロコシデンプン(C*Gel 04201(登録商標))、アルギン酸ナ
トリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録商標))、グアール粉(F
rimulsion BM(登録商標)、Polygum 26/1−75(登録商標)
)、イオタ−カラゲナン(Frimulsion D021(登録商標))、カラヤゴム
、ゲランゴム(Kelcogel F(登録商標)、Kelcogel LT100(登
録商標))、ガラクトマンナン(Meyprogat 150(登録商標))、タラスト
ーン粉(tara stone flour)(Polygum 43/1(登録商標)
)、アルギン酸プロピレングリコール(Protanal−Ester SD−LB(登
録商標))、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガカントゴム、タラゴム(Vidogum
SP 200(登録商標))、発酵多糖ウェランゴム(fermented polys
accharide welan gum)(K1A96)、キサンタンガムのようなキ
サンタン(Xantural 180(登録商標))。キサンタンが特に好ましい。括弧
内に記載した名称は、前記物質が商業的に既知の商品名である。一般に、投与形態物の全
量に対して、好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.1〜15重量%の量の
前記粘度増加剤が、上述の条件を満たすのに充分である。
【0046】
成分(b)の粘度増加剤は、適用される場合に、1用量単位につき、即ち1投与単位に
つき、少なくとも5mgの量で本発明による投与形態物に存在するのが好ましい。
【0047】
特に好ましい本発明の実施形態において、成分(b)として使用される粘度増加剤は、
好ましくは必要な最少量の水性液での投与形態物からの抽出によって、気泡を閉じ込めた
ゲルを形成する粘度増加剤である。得られるゲルは混濁した外観を特徴づけ、該外観は、
潜在的な乱用者に付加的な視覚的警告を与え、乱用者がゲルを非経口投与するのを思いと
どまらせる。
【0048】
成分(C)も、場合により、必要な最少量の水性液の補助によってゲルを形成する付加
的な粘度増加剤として作用し得る。
【0049】
粘度増加成分、および本発明による投与形態物の他の成分を、相互に空間的に分離して
配置することもできる。
【0050】
さらに、乱用を思いとどまらせ、防止するために、本発明による投与形態物は、成分(
c)、即ち、使用される活性成分の1つ以上の拮抗薬をさらに含んでよく、その場合、該
拮抗薬は、好ましくは、本発明による投与形態物の残りの成分から空間的に分離している
のが好ましく、正しく使用された場合に、どのような作用も示さないようにすべきである

【0051】
使用される活性成分の乱用を防止するのに好適な拮抗薬は、それ自体で当業者に既知で
あり、それ自体、または対応する誘導体の形態、特にエステルまたはエーテルの形態、ま
たは各場合に対応する生理的に許容される化合物の形態、特にその塩または溶媒化合物の
形態で、本発明による投与形態物に存在し得る。
【0052】
使用される拮抗薬は、好ましくは、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナリ
ドおよびナルメキソンからなる群から選択され、各場合に、対応する生理的に許容される
化合物の形態、特に、塩基、塩または溶媒化合物の形態であってよい。成分(c)が使用
される場合、対応する拮抗薬成分は、1投与形態につき、即ち1投与単位につき、好まし
くは少なくとも1mg、特に好ましくは3〜100mg、極めて好ましくは5〜50mg
の量で使用される。
【0053】
本発明による投与形態物は、拮抗薬成分を、好ましくは、当業者に既知の一般的な治療
用量で含み、特に好ましくは、従来用量と比較して、1投与単位につき、この用量の2〜
3倍の量で含む。
【0054】
本発明による投与形態物の乱用を付加的に思いとどまらせ、防止するための組合せが、
成分(d)を含む場合、それは少なくとも1つの催吐剤を含んでよく、該催吐剤は、本発
明による投与形態物の他の成分から空間的に離れた配置で存在するのが好ましく、正しく
使用された場合は、体内でその作用を示さないようになっている。
【0055】
本発明による投与形態物の乱用を付加的に防止するための好適な催吐剤は、それ自体で
当業者に既知であり、それ自体、または対応する誘導体、特にエステルまたはエーテルの
形態、または各場合に、対応する生理的に許容される化合物の形態、特にその塩または溶
媒化合物の形態で、本発明による投与形態物に存在し得る。
【0056】
例えば「Pharmazeutische Biologie − Drogen u
nd Ihre Inhaltsstoffe」by Prof.Dr.Hildebe
rt Wagner,2nd revised edition,Gustav Fis
cher Verlag,Stuttgart,New York 1982に記載され
ているように、トコン(イペカック)根の1つ以上の成分に基づく、好ましくは成分エメ
チンに基づく催吐剤を、本発明による投与形態物に関して考えるのが好ましい。対応する
文献の記載は、引用する本明細書に組み入れられ、開示の一部であるものとみなす。
【0057】
本発明による投与形態物は、成分(d)として、催吐性エメチンを、1投与形態につき
、即ち1投与単位につき、好ましくは少なくとも3mg、特に好ましくは少なくとも10
mg、極めて好ましくは少なくとも20mgの量で含むのが好ましい。
【0058】
アポモルヒネも、付加的な乱用防止用の催吐剤として、1投与単位につき、好ましくは
少なくとも3mg、特に好ましくは少なくとも5mg、極めて好ましくは少なくとも7m
gの量で使用するのが好ましい。
【0059】
本発明による投与形態物が、成分(e)を付加的な乱用防止補助物質として含有する場
合、そのような色素の使用は、特に、非経口、好ましくは静脈内投与のために、活性成分
を抽出しようとする際に、対応する水溶液の濃い着色を生じ、該着色は潜在的な乱用者に
抑止として作用し得る。活性成分の水抽出によって一般に開始される経口乱用も、この着
色によって防止し得る。好適な染料、および必要とされる抑止に必要なその量は、WO0
3/015531に見出され、対応する開示は、引用する本明細書に組み入れられ、本発
明の開示の一部であるものとみなす。
【0060】
本発明による投与形態物が、成分(f)を追加の乱用防止補助物質として含有する場合
、少なくとも1つの苦味物質の添加、およびその後の投与形態物の香りの悪化が、経口お
よび/または経鼻乱用を付加的に防止する。
【0061】
好適な苦味物質および使用に有効なその量は、US−2003/0064099に見出
され、対応するその開示は、引用する本明細書に組み入れられ、本発明の開示の一部であ
るとみなす。好適な苦味物質は、好ましくは芳香油、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油
、苦扁桃油、メントール、果実芳香物質、好ましくは、レモン、オレンジ、ライム、グレ
ープフルーツまたはそれらの混合物からの芳香物質、および/または安息香酸デナトニウ
ム(Bitrex(登録商標)?)である。安息香酸デナトニウムを使用するのが特に好
ましい。
【0062】
1日1回の投与を確実にするために、本発明による投与形態物は、活性成分を、少なく
とも部分的に遅延放出形態で含み、その場合、活性成分の遅延放出は、当業者に既知の一
般的な物質および方法の補助によって、例えば、遅延放出マトリックスに活性成分を埋め
込むことによるか、または1つ以上の遅延放出コーティングを適用することによって達成
し得る。しかし、活性成分放出は、各場合に、上述の条件が満たされるように、例えば、
投与形態物を正しく投与した場合に、任意に存在する成分(c)および/または(d)が
損傷作用を示し得る前に、活性成分が実質的に完全に放出されるように、調節されなけれ
ばならない。特に、活性成分の放出は、少なくとも24時間にわたる鎮痛作用を確実にす
べきである。
【0063】
本発明による投与形態物からの活性成分の放出が、少なくとも1つの遅延放出コーティ
ングの補助によって調節される場合、該遅延放出コーティングは、当業者に既知の一般的
物質からなってよい。
【0064】
本発明による投与形態物の好ましい実施形態において、遅延放出コーティングは、水不
溶性の任意に改質された天然および/または合成ポリマーに基づくか、または天然、半合
成または合成蝋に基づくか、または脂肪または脂肪アルコールに基づくか、または上述の
成分の少なくとも2つの混合物に基づくのが好ましい。
【0065】
遅延放出コーティングを製造するために、水不溶性ポリマーは、好ましくは、下記物質
を含む。ポリ(メタ)アクリレート、特に好ましくは、ポリ(C1-4)−アルキル(メタ
)アクリレート、ポリ(C1-4)−ジアルキルアミノ−(C1-4)−アルキル(メタ)アク
リレートおよび/またはそれらのコポリマー、極めて好ましくは、モノマーのモル比2:
1のエチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートのコポリマー(Eudragit
NE30D(登録商標))、モノマーのモル比1:2:0.1のエチルアクリレート、
メチルメタクリレートおよびトリメチルアンモニウムメチルメタクリレートクロリドのコ
ポリマー(Eudragit RS(登録商標))、モノマーのモル比1:2:0.2の
エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびトリメチルアンモニウムメチルメタク
リレートクロリドのコポリマー(Eudragit RL(登録商標))、または上述の
コポリマーの少なくとも2つの混合物。これらのコーティング材料は、30重量%水性ラ
テックス分散物、即ち、Eudragit RS30D(登録商標)、Eudragit
NE30D(登録商標)またはEudragit RL30D(登録商標)として商業
的に入手可能であり、好ましくは、それ自体でコーティング材料として使用される。
【0066】
追加の補助物質と任意に組み合わせたポリビニルアセテートを、本発明による投与形態
物の遅延放出コーティングの製造用の水不溶性ポリマーとして使用することも好ましい。
これらは、27重量%のポリビニルアセテート、2.5重量%のポビドンおよび0.3重
量%のラウリル硫酸ナトリウムを含有する水性分散物(Kollicoat SR30D
(登録商標))として商業的に入手可能である。
【0067】
他の好ましい実施形態において、本発明による投与形態物の遅延放出コーティングは、
水不溶性セルロース誘導体、好ましくはアルキルセルロース、例えばエチルセルロース、
またはセルロースエステル、例えばセルロースアセテートに基づく。エチルセルロースま
たはセルロースアセテートのコーティングは、好ましくは、水性疑似ラテックス分散物か
ら適用される。水性エチルセルロース疑似ラテックス分散物は、30重量%分散物(Aq
uacoat(登録商標))または25重量%分散物(Surelease(登録商標)
)として商業的に入手可能である。
【0068】
遅延放出コーティングが水不溶性の任意に改質された天然および/または合成ポリマー
に基づく場合、必要な最低フィルム温度を低下させるために、コーティング分散液または
溶液は、対応するポリマーに加えて、当業者に既知の一般的な生理的に許容される可塑剤
を含んでよい。
【0069】
好適な可塑剤は、例えば、C6−C40の脂肪族または芳香族ジカルボン酸およびC1−C
8の脂肪族アルコールからの親油性ジエステル、例えば、ジブチルフタレート、ジエチル
フタレート、ジブチルセバケートまたはジエチルセバケート、クエン酸の親水性または親
油性エステル、例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブ
チルシトレートまたはアセチルトリエチルシトレート、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、グリセロールのエステル、例えば、トリアセチン、Myvacet(登
録商標)(アセチル化モノ−およびジグリセリド、C23445〜C25477)、中鎖ト
リグリセリド(Miglyol(登録商標))、オレイン酸または上述の可塑剤の少なく
とも2つの混合物である。Eudragit RS(登録商標)および任意にEudra
git RL(登録商標)の水性分散物は、好ましくはトリエチルシトレートを含有する

【0070】
本発明による投与形態物の遅延放出コーティングは、可塑剤を、使用されるポリマーの
量に対して、好ましくは5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%、極めて好ま
しくは10〜30重量%の量で含有する。各場合に、例えば、酢酸セルロースに関して、
より多い量の可塑剤を使用することもできる。
【0071】
さらに、遅延放出コーティングは、当業者に既知の追加の一般的補助物質、例えば、ス
リップ剤、好ましくはタルカムまたはグリセロールモノステアレート、着色顔料、好まし
くは酸化鉄または二酸化チタン、または界面活性剤、例えばTween 80(登録商標
)を含んでよい。
【0072】
活性成分の放出プロフィールは、当業者に既知の一般的方法、例えば、コーティングの
厚さ、または追加の補助物質をコーティングの成分として使用することによって、さらに
調節し得る。好適な補助物質は、例えば、親水性またはpH依存性増孔剤、例えば、ナト
リウムカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ラクトース、ポリエチレングリコールま
たはマンニトールまたは水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンまたは水溶性セ
ルロース、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセ
ルロースである。
【0073】
使用される活性成分の放出のための本発明による投与形態物は、胃液に耐性の、pH依
存的に溶解するコーティングをさらに含んでもよい。このコーティングは、本発明による
投与形態物が、溶解せずに胃を通過し、腸に到達するまで活性成分を放出しないようにし
得る。
【0074】
胃液に耐性のコーティングは、メタクリル酸/アルキルメタクリレートコポリマー、好
ましくはメチルメタクリレート、例えば、特定モノマーのモル比1:1〜1:2のメタク
リル酸またはエチルメタクリレートコポリマー、例えば、Eudragit L(登録商
標)、Eudragit S(登録商標)、Eudragit L30D−55(登録商
標)に基づくのが好ましい。
【0075】
遅延放出コーティングは、当業者に既知の一般法によって、例えば、溶液、分散液また
は懸濁液の吹き付け、溶融法、または粉末適用法によって適用し得る。溶液、分散液また
は懸濁液は、水性または有機溶液または分散液の形態で使用し得る。水性分散液を使用す
るのが好ましい。使用し得る有機溶媒は、アルコール、例えば、エタノールまたはイソプ
ロパノール、ケトン、例えば、アセトン、エステル、例えば酢酸エチルであり、好ましく
は、アルコールおよびケトンが使用される。被覆方法は、先行技術、例えば、H.Suc
ker,Georg Thieme Verlag,1991,pages 347以下
から既知である。それらは、引用される本明細書に組み入れられ、開示の一部であるもの
とみなす。
【0076】
本発明による投与形態物が多粒子形態物である場合、遅延放出コーティングは、好まし
くは、以下のように適用される。活性成分を含有する多粒子形態物を、その製造後に、特
定ポリマーおよび任意に追加の補助物質で、水性および/または有機媒質から、好ましく
は水性媒質から、流動床法の補助によってコーティングし、該コーティングを、好ましく
は、流動床において通常温度で同時に乾燥させる。
【0077】
ポリ(メタ)アクリレートに基づくコーティングは、好ましくは30〜50℃、特に好
ましくは35〜45℃の温度で乾燥させる。セルロースに基づくコーティング、例えばエ
チルセルロースについては、乾燥を好ましくは50〜80℃、特に好ましくは55〜65
℃の温度で行う。必要であれば、安定な放出プロフィールを得るために、乾燥後、付加的
に温度調節処理を行ってよい。
【0078】
本発明による投与形態物からの活性成分の遅延放出は、遅延放出マトリックスに活性成
分を埋め込むことによって行ってもよい。
【0079】
遅延放出マトリックスに使用し得る材料は、好ましくは生理的に許容される親水性ポリ
マー、好ましくは、セルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはアクリル樹
脂である。エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル
酸および/またはそれらの誘導体、例えば、それらの塩、アミドまたはエステルを使用す
るのが特に好ましい。
【0080】
疎水性化合物を遅延放出マトリックスとして使用する場合、疎水性ポリマー、蝋、脂肪
、長鎖脂肪酸、脂肪アルコールまたは対応するそれらのエステルまたはエーテルまたは混
合物を使用し得る。C12−C30の脂肪酸のモノ−またはジグリセリドおよび/または
C12−C30の脂肪アルコールおよび/または蝋またはそれらの混合物を、疎水性化合
物として使用するのが特に好ましい。
【0081】
上述の親水性および疎水性マトリックス材料の混合物を使用することもできる。
【0082】
本発明による投与形態物の構造が許せば、粘度増加剤としての成分(b)が、好ましく
は、遅延放出マトリックス用の材料としても機能し得る。
【0083】
本発明に必要な少なくとも500N、好ましくは少なくとも750Nの破壊強度を与え
る作用をする成分(C)および任意の存在成分(D)も、付加的な遅延放出マトリックス
材料として機能してよい。
【0084】
本発明による投与形態物の遅延放出のための、および、味を遮断しかつ/または胃液に
耐性のコーティングの適用のための、対応する遅延放出化合物および方法は、例えば、下
記文献から当業者に既知である。「Coated Pharmaceutical Do
sage Forms − Fundamentals,Manufacturing
Techniques,Biopharmaceutical Aspects,Tes
t Methods and Raw Materials」 by Kurt H.B
auer,K.Lehmann,Hermann P.Osterwald,Rothg
ang,Gerhart,1st edition,1998,Medpharm Sc
ientific Publishers。対応する文献の記載は、引用される本明細書
に組み入れられ、開示の一部であるものとみなす。
【0085】
本発明による投与形態物は、ヒトおよび動物への、1日1回の経口、膣または直腸投与
、好ましくは経口投与に好適である。
【0086】
本発明による投与形態物は、多粒子形態物、好ましくは、任意にカプセルに充填されて
いるかまたは錠剤にプレス成形されていてよいマイクロタブレット、マイクロペレット、
グラニュール、スフェロイド、ビーズまたはペレットの形態であってよい。多粒子形態物
は、好ましくは0.1〜3mm、特に好ましくは0.5〜2mmの粒度または粒度分布を
有する。所望される投与形態物に依存して、一般的な補助物質(B)も、投与形態物の配
合に任意に使用される。
【0087】
他の好ましい実施形態において、好ましくは、少なくとも1つの追加の乱用防止成分(
a)〜(f)も存在する場合に、本発明による投与形態物は錠剤、カプセル剤の形態であ
るかまたは経口浸透圧治療システム(oral osmotic therapeuti
c system)(OROS)の形態である。
【0088】
本発明の乱用防止固体投与形態物は、成分(A)、(C)、任意に(D)、任意に少な
くとも1つの付加的な乱用防止成分(a)〜(f)、および任意に追加の補助物質(B)
、特に、好ましくは遅延放出マトリックス化合物を混合することによって製造するのが好
ましく、その場合、必要であれば、成分(a)〜(f)を成分(C)および任意に(D)
と別に混合し、得られた混合物を、任意にペレット化した後に、直前にまたは同時に熱に
暴露して力を適用することによって投与形態物に成形する。
【0089】
ペレット化は、溶融法または湿式ペレット化によって行ってよい。
【0090】
本発明による投与形態物の成分のこの混合物またはこれらの混合物は、当業者に既知の
ミキサーで行ってよい。ミキサーは、例えば、ロールミキサー、振とうミキサー、剪断ミ
キサーまたはコンパルソリーミキサー(compulsory mixer)であってよ
い。
【0091】
直前にまたは同時に熱に暴露して力を適用することによって、得られた混合物を、直接
的に本発明による投与形態物に成形するのが好ましい。混合物を、例えば、直接タブレッ
ト成形によって錠剤に成形してよい。熱への同時暴露を行う直接タブレット成形において
、錠剤成形器具、即ち、ボトムパンチ、トップパンチおよびダイを、少なくともポリマー
(C)が軟化するまで短時間加熱し、この間に加圧する。熱への直前暴露を行う直接タブ
レット成形において、プレス成形される材料を、タブレット成形の直前に、成分(C)の
少なくとも軟化温度に加熱し、次に、加圧する。
【0092】
成分(A)、(C)、任意に(D)、任意の存在成分(a)〜(f)、および任意の追
加の補助物質(B)、特に遅延放出マトリックス化合物の、得られた混合物を、先ずペレ
ット化し、次に、直前にまたは同時に熱に暴露して力を適用することによって、本発明に
よる投与形態物に成形してもよい。
【0093】
活性成分および/または1つ以上の薬学的に許容されるその塩(A)、および任意に、
生理的に許容される補助物質(B)、例えば成分(a)〜(f)、および任意に、遅延放
出マトリックス化合物および少なくとも1つの合成または天然ポリマー(C)、および任
意に蝋(D)を含有する得られた混合物を、力の適用によって投与形態物に成形し、成形
品を任意に個別化し(singulate)、任意に、各場合に、それらを大きさによっ
て等級付けし、成分(C)の少なくとも軟化点に加熱後または加熱中に、成形品が少なく
とも500N、好ましくは少なくとも750Nの破壊硬度を示すまでそれらを力に暴露し
、任意に、遅延放出コーティングを任意に有するカバーをそれらに適用し、任意に、全て
の成形品を再び混合することもできる。そのような手順は、国際特許出願PCT/EP2
004/014679の目的でもあり、その対応する開示は引用する本明細書に組み入れ
られ、本願の開示の一部であるものとみなす。それを行う際に、酸化防止剤を使用するこ
とによって、製造工程中に不活性ガス雰囲気を維持しなくて済むことは当業者に既知であ
る(?)。
【0094】
さらに、少なくとも500N、好ましくは750Nの本発明による破壊硬度または硬度
を得るために必要とされる力の適用前または適用中に、混合物および/または成形品の必
要とされる加熱を、超音波の補助によって行ってもよい。対応する手順は、国際特許出願
PCT/EP2005/004225に開示され、引用する本明細書に組み入れられ、そ
れにより本願の開示の一部であるものとみなす。
【0095】
成分(c)および/または(d)および/または(f)が本発明による投与形態物に存
在する場合、正しく投与された際に、投与形態物が患者または活性成分の効力を害する作
用を実質的に生じることができないように、それらの成分が配合されるかまたはそのよう
な低い用量で存在するよう注意すべきである。
【0096】
本発明による投与形態物が成分(d)および/または(f)を含有する場合、正しく経
口投与された際に負の作用を生じないように、投与量を選択すべきである。しかし、特に
子供によるか、または乱用の場合に、投与形態物の意図する投与量を不注意に超えた場合
は、吐き気または嘔吐傾向または悪臭が生じる。正しい経口投与の場合に、患者によって
許容される成分(d)および/または(f)の特定量は、簡単な予試験により当業者によ
って決定し得る。
【0097】
しかし、本発明による投与形態物が実質的に微粉砕できないにもかかわらず、成分(c
)および/または(d)および/または(f)を含有する投与形態物に保護を与える場合
、これらの成分は、好ましくは、乱用的に投与された際に乱用者に強い負の作用を生じる
のに充分に高い用量で使用すべきである。これは、好ましくは、成分(c)および/また
は(d)および/または(f)からの少なくとも使用される活性成分の空間的分離によっ
て達成でき、その場合、活性成分は少なくとも1つのサブユニット(X)に存在し、成分
(c)および/または(d)および/または(f)は少なくとも1つのサブユニット(Y
)に存在し、かつ、投与形態物が正しく投与された際に、成分(c)、(d)および(f
)は、摂取時および/または体内において、それらの作用を示さず、配合物の残りの成分
、特に成分(C)および任意に(D)は同じである。
【0098】
本発明による投与形態物が、成分(c)および(d)または(f)の少なくとも2つを
含む場合、これらは、それぞれ、同じかまたは異なるサブユニット(Y)に存在し得る。
好ましくは、存在する場合に、全ての成分(c)および(d)および(f)が1つの同じ
サブユニット(Y)に存在する。
【0099】
サブユニット(X)およびサブユニット(Y)に空間的に分離した場合、かつ投与形態
物におけるこれらのサブユニットの配置に関係なく、サブユニット(X)は、遅延放出形
態の活性成分を含有し、それによって、該活性成分は1日1回投与のための徐放を確実に
する。
【0100】
本発明の目的のために、サブユニットは固体配合物であり、該配合物は、各場合に、当
業者に既知の一般的な補助物質に加えて、活性成分、少なくとも1つのポリマー(C)、
任意に蝋(D)、および任意に、少なくとも1つの任意の存在成分(a)および/または
(b)および/または(e)を含有するか、または、各場合に、少なくとも1つのポリマ
ー(C)および拮抗薬および/または催吐薬および/または成分(e)および/または成
分(f)および任意に、少なくとも1つの任意の存在成分(a)および/または(b)お
よび任意に、遅延放出マトリックス化合物を含有する。この場合、各サブユニットが、上
述の方法に従って配合されるよう注意すべきである。
【0101】
本発明による投与形態物のサブユニット(X)および(Y)における、成分(c)また
は(d)または(f)からの、使用される活性成分の分離配合物の1つの重要な利点は、
正しく投与された際に、成分(c)および/または(d)および/または(f)が、摂取
時および/または体内においてほとんど放出されないか、または、患者または治療効果を
害する作用を示さない少ない量でのみ放出されるか、または、患者の体を通る際に、有効
になるほど充分に吸収されない場所でのみ遊離されることである。投与形態物が正しく投
与された場合、好ましくは、成分(c)および/または(d)および/または(f)のい
ずれも患者の体内にほとんど放出されないかまたは患者に認識されない。
【0102】
上述の条件は、使用される特定成分(c)、(d)および/または(f)およびサブユ
ニットまたは投与形態物の配合との関係において変化し得ることを当業者は理解する。特
定の投与形態物の最適配合は、簡単な予試験によって決定し得る。重要なことは、特定の
サブユニットがポリマー(C)および任意に(D)を含有し、上述の方法で配合されてい
ることである。
【0103】
予想に反して、乱用者が、活性成分の乱用を目的として、成分(c)および/または(
e)および/または(d)および/または(f)をサブユニット(Y)に含む本発明によ
るそのような投与形態物を粉砕することに成功し、好適な抽出剤で抽出される粉末を得た
場合、活性成分だけでなく特定成分(c)および/または(e)および/または(f)お
よび/または(d)も活性成分から容易に分離できない形態で得られ、それによって、不
法に改変された投与形態物を、特に経口および/または非経口投与によって投与した際に
、該投与形態物は、摂取時直ぐおよび/または体内において、成分(c)および/または
(d)および/または(f)に対応する乱用者への付加的な負の作用と共にその作用を示
すか、または活性成分を抽出しようとした際に、着色が抑止として作用し、それによって
投与形態物の乱用を防止する。
【0104】
好ましくは異なるサブユニットにおける配合によって、活性成分が成分(c)、(d)
および/または(e)から空間的に分離している本発明による投与形態物は、種々の方法
で配合でき、その場合、対応するサブユニットはそれぞれ、互いに任意の所望空間配置で
本発明による投与形態物に存在してよく、但し、一方で、成分(c)および/または(d
)の放出について、他方で、活性成分の放出、即ち、1日1回投与のための徐放について
、上述の条件が満たされるものとする。
【0105】
任意に存在する成分(a)および/または(b)が、本発明による投与形態物において
、特定のサブユニット(X)および(Y)の両方において、かつサブユニット(X)およ
び(Y)に対応する独立サブユニット(Y’)の形態において、配合されるのが好ましい
ことを当業者は理解し、但し、正しい投与の場合に、投与形態物の乱用防止および24時
間にわたる活性成分放出が、配合物の種類によって損なわれず、ポリマー(C)が配合物
に含まれ、配合が上述の方法に従って行われるものとする。
【0106】
本発明による投与形態物の好ましい実施形態において、サブユニット(X)および(Y
)が多粒子形態物に存在し、その場合、マイクロタブレット、マイクロカプセル、マイク
ロペレット、グラニュール、スフェロイド、ビーズまたはペレットが好ましく、同じ形態
、即ち形が、サブユニット(X)およびサブユニット(Y)の両方に選択され、それによ
って、機械的選別によって、サブユニット(X)を(Y)から分離することができない。
多粒子形態物は、0.1〜3mm、好ましくは0.5〜2mmの大きさであるのが好まし
い。
【0107】
多粒子形態物におけるサブユニット(X)および(Y)を、好ましくは、カプセルに充
填するかまたは錠剤にプレス成形してもよく、各場合の最終配合は、サブユニット(X)
および(Y)が、得られた投与形態物に保持されるように行われる。
【0108】
同じ形の各多粒子サブユニット(X)および(Y)は、相互に視覚的に識別できないよ
うにもすべきであり、それによって、乱用者は、単に選別することによってそれらを相互
に分離することができない。これは、例えば、同じコーティングの適用によって達成でき
、該コーティングは、この偽装機能に加えて、追加の機能、例えば、特定サブユニットに
おける活性成分の遅延放出、または胃液への仕上げ耐性(finish resista
nt)の付与、または味の遮断も組み込み得る。
【0109】
本発明の他の好ましい実施形態において、サブユニット(X)および(Y)は、それぞ
れ互いに層状に配置される。
【0110】
層状サブユニット(X)および(Y)は、この目的のために、本発明による投与形態物
において、互いに垂直または水平に配置するのが好ましく、各場合に、1つ以上の層状サ
ブユニット(X)および1つ以上の層状サブユニット(Y)が投与形態物に存在してもよ
く、それによって、好ましい層配列(X)−(Y)または(X)−(Y)−(X)に加え
て、成分(a)および/または(b)を含有する層と任意に組み合わせた、他の任意の所
望の層配列も考えられる。
【0111】
本発明の他の好ましい投与形態物は、サブユニット(Y)がコアを形成し、該コアが遅
延放出サブユニット(X)によって完全に囲まれている投与形態物であり、その場合、分
離層(Z)がそれらの層の間に存在してよい。そのような構造は、好ましくは、上述の多
粒子形態物にも好適であり、その場合、サブユニット(X)および(Y)の両方、ならび
に任意に存在する分離層(Z)(本発明の硬度条件を満たす必要がある)を、1つの同じ
多粒子形態物に配合する。
【0112】
本発明による投与形態物の他の好ましい実施形態において、サブユニット(X)がコア
を形成し、該コアがサブユニット(Y)によって囲まれ、該サブユニット(Y)は、コア
から投与形態物の表面に通じる少なくとも1つのチャネルを含む。
【0113】
本発明による投与形態物は、サブユニット(X)の1つの層とサブユニット(Y)の1
つの層の間に、各場合に1つ以上の、好ましくは1つの、任意に膨潤性の分離層(Z)を
含んでよく、該分離層は、サブユニット(X)を(Y)から空間的に分離する作用をする

【0114】
本発明による投与形態物が、層状サブユニット(X)および(Y)ならびに任意に存在
する分離層(Z)を、少なくとも部分的に垂直または水平配置で含む場合、投与形態物は
、タブレット、共押出物またはラミネートの形態をとるのが好ましい。
【0115】
1つの特に好ましい実施形態において、サブユニット(Y)の自由面全体、および任意
に、サブユニット(X)の自由面の少なくとも一部、および任意に、任意の存在分離層(
Z)の自由面の少なくとも一部を、少なくとも1つのバリヤー層(Z’)で被覆してよく
、該バリヤー層は、成分(c)および/または(e)および/または(d)および/また
は(f)の放出を防止する。バリヤー層(Z’)は、本発明の硬度条件も満たす必要があ
る。
【0116】
本発明による投与形態物の他の特に好ましい実施形態は、サブユニット(X)および(
Y)の層、およびそれらの間に配置された少なくとも1つのプッシュ(push)層(p
)、および任意に分離層(Z)の、垂直または水平配置を含み、該投与形態物において、
サブユニット(X)および(Y)からなる層構造物、プッシュ層および任意の存在分離層
(Z)の全ての自由面に、半透過性コーティング(E)を与え、該コーティングは放出媒
質、即ち、一般に生理的液体に透過性であるが、活性成分および成分(c)および/また
は(d)および/または(f)に実質的に不透過性であり、このコーティング(E)は、
サブユニット(X)の領域における活性成分の放出用の少なくとも1つの開口を含む。
【0117】
対応する投与形態物は、例えば経口浸透圧治療システム(OROS)の名称で、その製
造に好適な材料および方法と共に、特にUS4,612,008、US4,765,98
9およびUS4,783,337から、当業者に既知である。対応する記載は、引用する
本明細書に組み入れられ、開示の一部であるものとみなす。
【0118】
鎮痛性オピオイドおよび嫌悪剤としての色素を含有する浸透圧性投与形態物も、先行技
術(WO03/015531)から当業者に既知である。錠剤コアは、好ましくは、2つ
の層、オピオイド含有層およびプッシュ層からなり、該プッシュ層が、色素を嫌悪剤とし
て含有する。対応する記載は、引用する本明細書に組み入れられ、開示の一部であるもの
とみなす。
【0119】
他の好ましい実施形態において、本発明による投与形態物のサブユニット(X)が錠剤
の形態であり、その縁面および、任意に、2つの主要面の1つが、成分(c)および/ま
たは(d)および/または(f)を含有するバリヤー層(Z’)で被覆されている。
【0120】
本発明による投与形態物の配合において、各場合に使用されるサブユニット(X)また
は(Y)および任意の存在分離層(Z)および/またはバリヤー層(Z’)の補助物質は
、本発明による投与形態物におけるそれらの配置、投与方法、ならびに、存在する活性成
分、または任意の存在成分(a)および/または(b)および/または(e)、および成
分(c)および/または(d)および/または(f)との関係において変化するが、活性
成分の放出は24時間維持されることを当業者は理解する。必要な特性を有する材料は、
各場合に、それ自体で当業者に既知である。
【0121】
本発明による投与形態物のサブユニット(Y)からの成分(c)および/または(d)
および/または(f)の放出が、カバー、好ましくはバリヤー層の補助によって防止され
る場合、該サブユニットは、本発明による投与形態物の硬度条件を満たす少なくとも1つ
のポリマー(C)および任意に成分(D)を含有することを条件として、当業者に既知の
一般的な材料からなってよい。
【0122】
対応するバリヤー層(Z’)が、成分(c)および/または(d)および/または(f
)の放出を防止するために与えられない場合は、サブユニットの材料を、サブユニット(
Y)からの特定成分(c)および/または(d)の放出が実質的に不可能であるように選
択すべきである。
【0123】
バリヤー層の製造にも好適である以下に記載する材料を、この目的に使用するのが好ま
しい。
【0124】
好ましい材料は、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、グルカン、ス
クレログルカン、マンナン、キサンタン、モル比20:80であるのが好ましいポリ[ビ
ス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンおよびセバシン酸のコポリマー(Polife
prosan 20(登録商標)の名称で市販)、カルボキシメチルセルロース、セルロ
ースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、(メタ)アクリル酸およびその
エステルに基づくポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアル
キレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ハロゲン化ポリビニル、ポリ
グリコリド、ポリシロキサンおよびポリウレタンならびにそれらのコポリマーまたは混合
物を含む群から選択される材料である。
【0125】
特に好適な材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セル
ロースアセテート、セルロースプロピオネート(低、中または高分子量)、セルロースア
セテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタ
レート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、ナトリウムセルロー
ススルフェート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメ
タクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリイソ
デシルメタクリレート、ポリラウリルメタクリレート、ポリフェニルメタクリレート、ポ
リメチルアクリレート、ポリイソプロピルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート、
ポリオクタトデシル(polyoctatdecyl)アクリレート、ポリエチレン、低
密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポ
リエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニル
イソブチルエーテル、ポリビニルアセテートおよびポリビニルクロリドを含む群から選択
し得る。
【0126】
特に好適なコポリマーは、ブチルメタクリレートとイソブチルメタクリレートとのコポ
リマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸との高分子量コポリマー、メチルビニルエー
テルとマレイン酸モノエチルエステルとのコポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレ
イン酸とのコポリマー、およびビニルアルコールとビニルアセテートとのコポリマーを含
む群から選択し得る。
【0127】
バリヤー層の配合に好適な他の材料は、デンプン充填ポリカプロラクトン(WO98/
20073)、脂肪族ポリエステルアミド(DE19753534A1、DE19800
698A1、EP0820698A1)、脂肪族および芳香族ポリエステルウレタン(D
E19822979)、ポリヒドロキシアルカノエート、特に、ポリヒドロキシブチレー
ト、ポリヒドロキシバレレート、カゼイン(DE4309528)、ポリラクチドおよび
コポリラクチド(EP0980894A1)である。対応する記載は、引用される本明細
書に組み入れられ、開示の一部であるものとみなす。
【0128】
上述の材料は、当業者に既知の、好ましくは、グリセリルモノステアレート、半合成ト
リグリセリド誘導体、半合成グリセリド、水素化ヒマシ油、グリセリルパルミトステアレ
ート、グリセリルベヘネート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ステアリン酸マグネシ
ウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルカム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸
およびコロイドシリカ、脂肪酸、置換トリグリセリド、グリセリド、ポリオキシアルキレ
ングリコール、およびそれらの誘導体からなる群から選択される追加の一般的な補助物質
と任意に調合し得る。
【0129】
本発明による投与形態物が分離層(Z’)を含む場合、該層は、非被覆サブユニット(
Y)と同様に、バリヤー層に関して上述した材料からなるのが好ましい。特定のサブユニ
ットからの、活性成分または成分(c)および/または(d)の放出を、分離層の厚さに
よって調節し得ることを当業者は理解する。
【0130】
本発明による投与形態物は、少なくとも24時間にわたる活性成分の徐放を示し、従っ
て、1日1回の投与に好適である。
【0131】
破壊強度の測定法
ある材料が、それぞれ成分(C)または(D)として使用し得るかを確認するために、
その材料を、ポリマーの軟化点に少なくとも対応する温度で、150Nの力を使用して、
直径10mmおよび高さ5mmの錠剤を形成するためにプレス成形し、その材料のDSC
ダイヤグラムの補助によって測定する。この方法で製造した錠剤を使用して、Europ
ean Pharmacopoeia 1997,page 143,144、方法番号
2.9.8に公開されている錠剤の破壊強度測定法に従って、下記の装置で破壊強度を測
定する。測定に使用される装置は、「Zwick Z 2.5」Zwick材料試験器で
あり、材料試験器Fmax=2.5kN、最大牽引(draw of max.)115
0mmであり、カラムおよびスピンドル、クリアランスビハインド(clearance
behind)100mm、0.1〜800mm/分に調節し得る試験速度およびテス
トコントロールソフトウエアの機構によって調節される。測定は、ねじ込みインサート付
き圧力ピストンおよびシリンダー(口径10mm)、力変換機、Fmax.=1kN、直
径=8mm、ISO 7500−1により10Nからクラス0.5、2Nからクラス1、
DIN 55350−18により製造会社試験証明M(Zwick総力Fmax=1.4
5kN)(全ての装置は、Zwick GmbH & Co.KG,Ulm,Germa
nyより)、テスターの注文番号BTC−FR 2.5TH.D09、力変換機の注文番
号BTC−LC 0050N.P01、センタリング装置の注文番号BO 70000
S06を使用して行なった。
【0132】
特定の力の作用下において破壊に耐性であると考えられる錠剤は、破壊しなかった錠剤
だけでなく、力の作用下に塑性変形を受けた錠剤も包含する。
【0133】
本発明によって得られる投与形態物の破壊強度は、同じ測定法を使用して測定され、錠
剤以外の投与形態物も試験される。
【0134】
本発明は実施例に関して下記に説明される。これらの説明は、例示するものにすぎず、
本発明の一般概念を限定するものではない。
【実施例1】
【0135】
(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フ
ェノールを含有する乱用防止錠剤の製造
表1に列挙した量の、活性成分ヒドロクロリド、ポリエチレンオキシド粉末、および遅
延放出マトリックス材料としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース(Metholo
se 90 SH 100 000)を、自由落下ミキサーで混合した。ダイ、直径13
mmのトップパンチおよびボトムパンチからなるタブレット成形器を、加熱室で90℃に
加熱した。粉末混合物の600mg部分を、加熱した成形器によってプレス成形し、圧力
を少なくとも15秒間維持した。
【0136】
【表1】

【0137】
錠剤の破壊強度を上述の方法によって測定した。500Nの力を適用した際に、破壊が
生じなかった。錠剤は、ハンマーを使用して粉砕できず、乳棒および乳鉢の補助によって
も粉砕できなかった。
【0138】
製造した錠剤からのインビトロ放出
製造した錠剤からの活性成分ヒドロクロリドのインビトロ放出を、European
Pharmacopoeiaに記載されている方法によって、シンカー付き櫂形攪拌機で
測定した。放出媒質の温度は37℃であり、攪拌機の回転速度は75分-1であった。使用
した放出媒質はpH6.8の腸液600mLであった。ある時間において溶解媒質に放出
された活性成分ヒドロクロリドの量を、それぞれ分光測光法によって測定した。各時点に
おける、活性成分ヒドロクロリドの全量に対する放出量パーセントを、表2に示す。
【0139】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】錠剤の破壊強度の測定、特に、測定前および測定中に、この目的に使用される錠剤(4)の調整装置(6)を示す。この目的のために、2部分からなる2つの固定装置の補助によって力を適用する装置(図示せず)の上圧力板(1)と下圧力板(3)の間に、錠剤(4)を配置し、該固定装置は、測定される錠剤を受け入れセンタリングするのに必要な間隔(5)を設定した後に、それぞれ上圧力板または下圧力板に固定される(図示せず)。間隔(5)を設定するために、2部分からなる固定装置は、それらが取り付けられている圧力板上でそれぞれ水平に外向きまたは内向きに移動し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1日1回の投与のために、少なくとも500Nの破壊強度を有し、(1R,2R)−3
−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチル−プロピル)フェノールの徐放性を有
する乱用防止経口投与形態物であって、該投与形態物が、
活性成分および/または少なくとも1つの薬学的に許容されるその塩または誘導体(A
)と、少なくとも1つの合成および/または天然ポリマー(C)と、任意に、少なくとも
1つの遅延放出マトリックス材料および/または、任意に、少なくとも1つの遅延放出コ
ーティングと、少なくとも1つの追加の生理的に許容される補助物質(B)と、任意に、
少なくとも1つの蝋(D)とを含み、
該成分(C)または(D)が、各場合に、少なくとも500Nの破壊強度を示すことを
特徴とする投与形態物。
【請求項2】
塩酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、サッカリン酸塩、メタンスルホン酸塩、蟻酸塩、酢酸
塩、蓚酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、マンデル酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、
グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩、および前記活性成分が塩として存在することを
特徴とする請求項1に記載の投与形態物。
【請求項3】
前記活性成分の塩酸塩が、塩として存在することを特徴とする請求項1または2に記載
の投与形態物。
【請求項4】
前記活性成分の誘導体として、対応するエステル、エーテルおよび/または対応するア
ミドが存在することを特徴とする請求項1に記載の投与形態物。
【請求項5】
前記活性成分の対応する立体異性体が存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれ
か一項に記載の投与形態物。
【請求項6】
錠剤の形態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項7】
前記投与形態物が、好ましくは錠剤にプレス成形されているかまたはカプセルに充填さ
れていてもよいマイクロタブレット、マイクロペレット、グラニュール、スフェロイド、
ビーズまたはペレットの多粒子形態物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
項に記載の投与形態物。
【請求項8】
前記ポリマー(C)が、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、それ
らのコポリマー、および該ポリマー種またはポリマーの少なくとも2つの混合物を含む群
から選択される少なくとも1つのポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
か一項に記載の投与形態物。
【請求項9】
前記ポリアルキレンオキシドが、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよび
/またはポリプロピレンオキシドであることを特徴とする請求項8に記載の投与形態物。
【請求項10】
高分子量ポリエチレンオキシドが、前記ポリマー(C)として存在することを特徴とす
る請求項1〜9のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項11】
前記ポリマー(C)が、水溶性または水膨潤性ポリマーであることを特徴とする請求項
1〜10のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項12】
ポリエチレンオキシド(C)が、少なくとも50万の分子量を有することを特徴とする
請求項1〜11のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項13】
前記ポリエチレンオキシド(C)の分子量が、少なくとも100万であることを特徴と
する請求項12に記載の投与形態物。
【請求項14】
前記ポリエチレンオキシド(C)の分子量が、100万〜1500万であることを特徴
とする請求項12に記載の投与形態物。
【請求項15】
前記ポリマー成分(C)を、投与形態物の全重量に対して、少なくとも20重量%、好
ましくは35〜99.9重量%、特に好ましくは少なくとも50重量%、極めて好ましく
は少なくとも60重量%の量で使用することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項
に記載の投与形態物。
【請求項16】
前記蝋(D)が、少なくとも60℃の軟化点を有する少なくとも1つの天然、半合成お
よび/または合成蝋であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の投与
形態物。
【請求項17】
前記蝋(D)が、カルナウバ蝋または蜜蝋であることを特徴とする請求項16に記載の
投与形態物。
【請求項18】
前記投与形態物が少なくとも500Nの破壊強度を示す量で、前記成分(C)および任
意に(D)が存在することを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の投与形態
物。
【請求項19】
前記活性成分が、遅延放出マトリックスに存在することを特徴とする請求項1〜18の
いずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項20】
前記成分(C)および/または成分(D)が、前記遅延放出マトリックスの成分として
も機能することを特徴とする請求項19に記載の投与形態物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの補助物質(B)が、前記遅延放出マトリックスのための材料とし
て機能することを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項22】
コーティング、好ましくは遅延放出または味覚遮断コーティングを含むことを特徴とす
る請求項1〜21のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項23】
少なくとも1つの乱用防止成分(a)〜(f):
(a)鼻管および/または咽頭を刺激する少なくとも1つの物質
(b)必要な最少量の水性液の補助により、好ましくは投与形態物から得られる水性抽
出物としてゲルを形成し、該ゲルは、追加量の水性液への導入時に、好ましくは、視覚的
に識別可能に維持される少なくとも1つの粘度増加剤
(c)乱用の可能性を有する前記活性成分の少なくとも1つの拮抗薬
(d)少なくとも1つの催吐剤
(e)嫌悪剤としての少なくとも1つの色素
(f)少なくとも1つの苦味物質
を、前記補助物質(B)として含むことを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項に記
載の投与形態物。
【請求項24】
前記成分(a)の刺激剤が、焼灼感、かゆみ、くしゃみ衝動、分泌物形成の増加、また
はこれらの刺激の少なくとも2つの組合せを生じることを特徴とする請求項23に記載の
投与形態物。
【請求項25】
前記成分(a)の刺激剤が、少なくとも1つの熱物質薬の1つ以上の成分に基づくこと
を特徴とする請求項23または24に記載の投与形態物。
【請求項26】
前記熱物質薬が、Allii sativi bulbus(ニンニク)、Asari
rhizoma cum herba(アサルム根および葉)、Calami rhi
zoma(ショウブ根)、Capsici fructus(トウガラシ)、Capsi
ci fructus acer(カイエンヌペッパー)、Curcumae long
ae rhizoma(ウコン根)、Curcumae xanthorrhizae
rhizoma(ジャワウコン根)、Galangae rhizoma(ガランガ根)
、Myristicae semen(ニクズク)、Piperis nigri fr
uctus(コショウ)、Sinapis albae semen(白ガラシ種子)、
Sinapis nigri semen(クロガラシ種子)、Zedoariae r
hizoma(ツェドリア根)およびZingiberis rhizoma(ショウガ
根)からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤、特に好ましくは、Capsici
fructus(トウガラシ)、Capsici fructus acer(カイエ
ンヌペッパー)およびPiperis nigri fructus(コショウ)からな
る群から選択される少なくとも1つの薬剤であることを特徴とする請求項25に記載の投
与形態物。
【請求項27】
前記熱物質薬の成分が、o−メトキシ(メチル)フェノール化合物、酸アミド化合物、
カラシ油またはスルフィド化合物として存在するか、またはそのような化合物から誘導さ
れるものであることを特徴とする請求項25または26に記載の投与形態物。
【請求項28】
前記熱物質薬の成分が、ミリスチシン、エレミシン、イソオイゲノール、β−アサロン
、サフロール、ジンゲロール、キサントルヒゾール、カプサイシノイド、好ましくはカプ
サイシン、ピペリン、好ましくはトランス−ピペリン、好ましくは不揮発性カラシ油に基
づき、特に好ましくはp−ヒドロキシベンジルカラシ油、メチルメルカプトカラシ油また
はメチルスルホニルカラシ油に基づくグルコシノレート、およびこれらの成分から誘導さ
れる化合物を含む群から選択される少なくとも1つの成分であることを特徴とする請求項
25〜27のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項29】
前記成分(b)が、11重量%カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有する微結
晶性セルロース(Avicel(登録商標)RC 591)、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム(Blanose(登録商標)、CMC−Na C300P(登録商標)、
Frimulsion BLC−5(登録商標)、Tylose C300 P(登録商
標))、ポリアクリル酸(Carbopol(登録商標)980NF、Carbopol
(登録商標)981)、イナゴマメ粉(Cesagum(登録商標)LA−200、Ce
sagum(登録商標)LID/150、Cesagum(登録商標)LN−1)、柑橘
類果実またはリンゴからのペクチン(Cesapectin(登録商標)HM Medi
um Rapid Set)、蝋様トウモロコシデンプン(C*Gel 04201(登
録商標))、アルギン酸ナトリウム(Frimulsion ALG(E401)(登録
商標))、グアール粉(Frimulsion BM(登録商標)、Polygum 2
6/1−75(登録商標))、イオタ−カラゲナン(Frimulsion D021(
登録商標))、カラヤゴム、ゲランゴム(Kelcogel F(登録商標)、Kelc
ogel LT100(登録商標))、ガラクトマンナン(Meyprogat 150
(登録商標))、タラストーン粉(tara stone flour)(Polygu
m 43/1(登録商標))、アルギン酸プロピレングリコール(Protanal−E
ster SD−LB(登録商標))、リンゴペクチン、ヒアルロン酸ナトリウム、トラ
ガカント、タラゴム(Vidogum SP 200(登録商標))、発酵多糖ウェラン
ゴム(K1A96)、およびキサンタンガム(Xantural 180(登録商標))
を含む群から選択される少なくとも1つの粘度増加剤であることを特徴とする請求項23
〜28のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項30】
前記成分(c)が、少なくとも1つのオピオイド拮抗薬であることを特徴とする請求項
23〜29のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項31】
前記成分(d)の催吐剤が、トコン(イペカック)根の1つ以上の成分に基づき、好ま
しくは、成分エメチンに基づくものであり、かつ/またはアポモルヒネであることを特徴
とする請求項23〜30のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項32】
前記成分(e)が、少なくとも1つの生理的に許容される色素であることを特徴とする
請求項23〜31のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項33】
前記成分(f)が、芳香油、好ましくは、ハッカ油、ユーカリ油、苦扁桃油、メントー
ルおよびそれらの混合物、果実芳香物質、好ましくは、レモン、オレンジ、ライム、グレ
ープフルーツおよびそれらの混合物、少なくとも2つの成分を含有するそれらの混合物、
安息香酸デナトニウム、および少なくとも2つの成分を含有するそれらの混合物を含む群
から選択される少なくとも1つの苦味物質であることを特徴とする請求項23〜32のい
ずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項34】
前記活性成分(A)が、好ましくは直接接触せずに、成分(c)および/または(d)
および/または(f)から空間的に分離し、その場合、前記活性成分または該活性成分(
A)は好ましくは、少なくとも1つのサブユニット(X)に存在し、該成分(c)および
/または(d)および/または(f)は少なくとも1つのサブユニット(Y)に存在し、
投与形態物が正しく投与された際に、該サブユニット(Y)からの該成分(c)および/
または(d)および/または(f)は、体内で、または摂取時に、それらの作用を示さな
いことを特徴とする請求項23〜33のいずれか一項に記載の投与形態物。
【請求項35】
前記投与形態物を製造する方法であって、該方法が、
(1)前記成分(A)、(C)、任意に(B)および任意に(D)および任意に遅延放
出マトリックス化合物を混合し、必要であれば、任意に存在する前記成分(a)〜(f)
を、成分(C)および任意に(D)の添加によって別々に混合する工程と
(2)得られた混合物を、任意にペレット化した後に、力の適用によって、かつ直前に
または同時に熱に暴露して、投与形態物に成形し、任意に、遅延放出コーティングを与え
る工程と
であることを特徴とする請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記ペレット化を溶融法によって行うことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ペレット化を湿式ペレット化によって行うことを特徴とする請求項35に記載の方
法。
【請求項38】
前記投与形態物の製造方法であって、該方法が、
(1)前記成分(A)、(C)、任意に(B)および任意に(D)および任意に遅延放
出マトリックス化合物、および分離混合物としての任意に存在する前記成分(a)〜(f
)を含有する混合物を、力の適用によって、成形品に成形する工程と
(2)得られた前記成形品を、任意に個別化し、任意に、それぞれ大きさによって等級
付けする工程と
(3)前記成分(C)が少なくとも軟化するまで加熱した後か、または加熱している間
に、前記成形品が少なくとも500Nの破壊硬度を示すまで成形品を力の作用に暴露する
工程と
(4)前記コーティング、場合により前記遅延放出または味覚遮断コーティングを任意
に与え、前記成形品を任意に全て再混合する工程と
であることを特徴とする請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項35〜38の1つ以上に記載の方法によって得られる投与形態物。

【図1】
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【公開番号】特開2013−91650(P2013−91650A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−281591(P2012−281591)
【出願日】平成24年12月25日(2012.12.25)
【分割の表示】特願2007−518529(P2007−518529)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(506003624)グリューネンタール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (13)
【Fターム(参考)】