説明

(1R,6S)−2−アザビシクロ[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸、及び骨疾患、例えば骨粗鬆症又はパジェット病の治療又は予防におけるその使用

実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸の新規組成物、この新規組成物を調製する方法、この新規組成物を含む医薬組成物、並びに骨粗鬆症、溶骨性骨転移、関節リウマチ、及び変形性関節症などの骨疾患の治療法における組成物の投与が、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質の新規組成物、物質の新規組成物の製造法、新規組成物を含む医薬組成物、並びに骨粗鬆症、パジェット病(変形性骨炎)、副甲状腺機能亢進症、悪性高カルシウム血症、溶骨性骨転移、進行性骨化性筋炎、汎発性石灰沈着症、関節炎、神経炎、滑液包炎、及び腱炎などの骨疾患を治療する方法における組成物の投与を目的とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は新規化合物に関し、更に、本発明の新規化合物を含有する医薬組成物に関する。本発明はまた、本発明の新規化合物の調製方法にも関する。最後に、本発明は、本発明の化合物又は医薬組成物を用いて、異常なカルシウム及びホスフェートの代謝を特徴とする状態を治療又は予防するための方法に関する。
【0003】
ヒト及び下等動物を苦しめる多くの病理学的状態は、異常なカルシウム及びホスフェートの代謝を伴う。このような状態は、以下の2つに大きく分けられる。
(1)カルシウム及びホスフェートの動員異常を特徴とし、全身又は特定部位の骨量の減少、又は体液中の過度に高いカルシウム及びホスフェートレベルに至る状態(例えば骨粗鬆症、溶骨性骨転移、及びパジェット病など)。このような状態は、本明細書において病理学的硬組織脱塩と呼ばれることがある。
(2)カルシウム及びホスフェートの異常な体内沈着をもたらす、又はそれに起因する状態(例えば関節炎など)。これらの状態は、本明細書において病理学的石灰化と呼ばれることがある。
【0004】
異常なカルシウム及びホスフェートの代謝に関与する状態の治療及び予防に対して、様々なポリホスホン酸誘導体の使用が提唱されてきた。例えば、米国特許第3,683,080号では、ポリホスホネート、特にジホスホネートを含有する組成物、並びに、動物組織におけるリン酸カルシウムの異常(anomolous)沈着及び動員の抑制に対するそれらの使用が開示され、米国特許第4,230,700号では、動物組織におけるリン酸カルシウムの動員抑制に有用な、特定のホスホネート化合物(例えばシクロアルキル置換ヒドロキシエタンジホスホネート)をビタミンD様化合物と組み合わせて含有する組成物が開示され、米国特許第3,988,443号では、金属イオン封鎖剤として、及び動物の体において難溶性カルシウム塩の異常沈着又は溶解に関連する状態の治療剤として有用とされる、アザシクロアルカン−2,2−ジホスホネート化合物が開示され、欧州特許公開第189,662号では、金属イオン封鎖剤として、又は異常なカルシウム及びホスフェートの代謝を特徴とする状態の治療剤として有用とされる種々特定の環式ジホスホネート化合物が開示される。これら全ての特許及び出願の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
骨代謝状態治療のためのジホスホネートの使用に対する、これらの、及びその他多くの研究にも関わらず、新しい骨活性剤の必要性が引き続き存在する。したがって、本発明の目的は、比較的高い骨吸収阻害性を有する新規骨活性ジホスホネート化合物を提供することである。更に、本発明の目的は、低毒性かつ良好な治療係数を有する新規骨活性ジホスホネート化合物を提供することである。本発明の更なる目的は、異常なカルシウム及びホスフェートの代謝の治療及び予防に有効な医薬組成物を提供することである。加えて、本発明の目的は、ヒト又は下等動物において、異常なカルシウム及びホスフェートの代謝を特徴とする状態を治療又は予防する方法を提供することである。
【0006】
米国特許第4,868,164号では、ホスホネート基でジェミナルに置換される、窒素含有飽和二環式シクロペンタン縮合環を有する化合物が開示される。置換又は非置換オクタヒドロピリンジンジホスホネート化合物、特に置換又は非置換オクタヒドロ1−ピリンジン−6,6−ジホスホン酸化合物、及び薬剤として許容されるその塩及びエステルが好ましい。米国特許第4,868,164号では、安全かつ有効な量の前記化合物、及び製薬上許容できるキャリアを含有する医薬組成物が更に開示される。
【0007】
1R,6S異性体及び1S,6R異性体のラセミ混合物は、米国特許第4,868,164号の対象である。米国特許第4,868,164号には、ラセミ混合物、及び特に、別のエナンチオマーである(1S,6R)のシス環結合について記載される。ラセミ混合物及び1S,6Rエナンチオマーは、1990年に発表された論文でも述べられていた。(エベチノ(Ebetino)ら、「強力な新規抗吸収性ビスホスホネートクラス:シス−オクタヒドロ−1−ピリンジン−6,6−ビスホスホン酸(Ne−58025)及びその類縁体に関する研究(Studies on a Potent New Antiresorptive Bisphosphonate Class: Cis- Octahydro-1-pyrindine-6,6-Bisphosphonic Acid, Ne-58025 and its Analogues)」(骨粗鬆症(Osteoporosis)、1990年、3、第3回国際骨粗鬆症シンポジウム(3rd International Symposium on Osteoporosis)、デンマーク、コペンハーゲン、10月14〜20日、1990年、C.クリスチャンセン(C. Christiansen)及びK.オーバーガード(K. Overgaard)編、ハンデルストリッケリエ・オルボア社(Handelstrykkeriet Aalborg Aps)、デンマーク、オルボア(Aalborg)、1990年、1344〜1346ページ)。
【0008】
ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)は、メバロン酸経路における主要な調節酵素である。哺乳類細胞中に遍在するこの経路は、コレステロール及びイソプレノイドなどの必須脂質分子を供給し、イソプレノイドは低分子量GTPアーゼの翻訳後プレニル化に必要である。この経路の遮断は、ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼを阻害し、コレステロール生合成を低下させる薬剤である、スタチン、及びFPPSを標的とし、タンパク質プレニル化を阻害する骨粗鬆症治療薬である、窒素含有ビスホスホネート(N−BP)を用いる、広く普及している臨床用途の概念である。N−BPの場合、これらの化合物による骨を標的とする独自の薬物動態学的特性が、FPPSの選択的阻害と、破骨細胞中のプレニル化タンパク質の損失の原因となり、それによりこれらの細胞の骨破壊作用を阻害する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,683,080号
【特許文献2】米国特許第4,230,700号
【特許文献3】米国特許第3,988,443号
【特許文献4】欧州特許公開第189,662号
【特許文献5】米国特許第4,868,164号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】(エベチノ(Ebetino)ら、「強力な新規抗吸収性ビスホスホネートクラス:シス−オクタヒドロ−1−ピリンジン−6,6−ビスホスホン酸(Ne−58025)及びその類縁体に関する研究(Studies on a Potent New Antiresorptive Bisphosphonate Class: Cis- Octahydro-1-pyrindine-6,6-Bisphosphonic Acid, Ne-58025 and its Analogues)」(骨粗鬆症(Osteoporosis)、1990年、3、第3回国際骨粗鬆症シンポジウム(3rd International Symposium on Osteoporosis)、デンマーク、コペンハーゲン、10月14〜20日、1990年、C.クリスチャンセン(C. Christiansen)及びK.オーバーガード(K. Overgaard)編、ハンデルストリッケリエ・オルボア社(Handelstrykkeriet Aalborg Aps)、デンマーク、オルボア(Aalborg)、1990年、1344〜1346ページ)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書の発明者らは、ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)阻害試験において、特定の異性体である(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸が、その1S,6Rエナンチオマー(例えば、IC50=359nM)よりも、少なくとも1桁高い活性(例えば、IC50=15nM)を示すことを見出している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸の新規組成物、この新規組成物を含む医薬組成物、並びにパジェット病及び骨粗鬆症などの骨疾患の治療法における組成物の投与を目的とする。
【0013】
本発明の1つの態様では、実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸からなる組成物がある。
【0014】
本発明の別の態様では、実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸を含む医薬組成物がある。いくつかの実施形態では、医薬組成物は固形経口剤形を含む。同じ又は更なる実施形態では、固形経口剤形は錠剤である。
【0015】
本発明の別の態様では、骨代謝状態を治療又は予防する方法があり、該方法は、該骨代謝状態にかかっている、又はそのリスクがある患者に、実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸を含む医薬組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物の投与工程は、該医薬組成物を含む固形経口剤形を投与する工程を含む。好ましい実施形態では、固形経口剤形は錠剤である。いくつかの実施形態では、骨代謝状態は骨粗鬆症である。いくつかの実施形態では、骨代謝状態はパジェット病である。
【0016】
上記は以下の発明の詳細な説明の理解を助けるために本発明の特徴及び技術的利点を幾分広く概説したものである。特許請求の範囲の主題をなす本発明の更なる特徴及び利点を以下に述べる。開示される概念及び特定の実施形態は、本発明と同じ目的を実施するうえで改変又は他の構成を設計するための基礎として直ちに利用することが可能である点が当業者には認識されるはずである。こうした同等の構成は付属の特許請求の範囲に記載される発明の趣旨及び範囲から逸脱しないものであることも当業者によれば認識されるはずである。発明に特有であると考えられる、発明の構成及び実施方法の双方における新規な特徴は、添付図面と併せて考えることで更なる目的及び利点と共に以下の説明文からより深く理解されるであろう。ただし、各図面はあくまで例示及び説明を目的としたものであって、本発明の範囲を規定することを目的としたものではない点は明確に理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用するとき、「a」又は「an」は、1つ又はそれ以上を意味する。特に断らない限り、単数形は複数を含み、複数形は単数を含むものとする。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸」は、化合物の遊離ホスホン酸の形態、又は片方若しくは両方のホスホネート基の任意の塩(又は任意の混合塩)を意味する。更に、これは、化合物のアミノ基の任意又は全ての塩を含む。
【0019】
本明細書で使用するとき、「実質的に鏡像異性的に純粋」とは、基準とするエナンチオマーの純度が少なくとも95%であり、その他のエナンチオマーの純度が多くとも5%であることを意味する。別の態様では、「実質的に鏡像異性的に純粋」とは、基準とするエナンチオマーの純度が少なくとも98%であり、その他のエナンチオマーの純度が多くとも2%であることを意味する。
【0020】
ファルネシルピロリン酸シンターゼ(FPPS)阻害試験において、2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸の(1R,6S)異性体は、そのエナンチオマー(1S,6R)(例えば、IC50=359nM)よりも、少なくとも1桁高い活性(例えば、IC50=15nM)を示す。ラセミ混合物の活性は約42nMである。該当する構造は以下のとおりである。
【0021】
【化1】

【0022】
以下に示す1つの結果により例示されるように、各化合物及びラセミ混合物の最小有効量を比較することにより、(1R,6S)異性体の活性増加が確認できる。
【0023】
【表1】

1.3種の化合物全ての直接比較によるデータ
2.試験に用いた最高濃度
【0024】
シェンク(Schenk)モデルとして骨代謝の分野で知られる動物モデル系において、ポリホスホネートのインビボ骨吸収阻害及び骨石灰化阻害が評価される。更に、データは、シェンク(Schenk)試験において(1R,6S)異性体の活性が、そのエナンチオマー(1S,6R)又は対応するラセミ混合物よりも高いことを示す。シェンク(Schenk)試験は、骨代謝研究の分野で知られる動物モデル系における、インビボ骨吸収阻害及び骨石灰化阻害の評価である。このモデル系の一般的原理は、シノダ(Shinoda)らによる「国際石灰化組織(Calicif. Tissue Int.)」(35巻、87〜99ページ(1983年))に、及びシェンク(Schenk)らによる「石灰化組織研究(Calcif. Tissue Res.)」(11巻、196〜214ページ(1973年))に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。シェンク(Schenk)モデルはこの分野で周知であり、米国特許第5,583,122号及び同第4,761,406号などの様々な文献に記載されている。
【0025】
実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸は、例えば米国特許第4,868,164号に記載される方法で調製された1R,6S及び1S,6R異性体のラセミ混合物を、キラル分離することにより調製できる。例えば、キラルカラム上のクロマトグラフィーによる分離、又はキラル塩の結晶化による分解が、文献に記載される。実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸を調製する別の方法として、2つのエナンチオマーの立体選択的合成をここに記載する。1R,6S異性体の合成を以下に記載する。
【0026】
1R,6S異性体の合成
本発明は更に、実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸化合物を調製する方法であって、
a.化合物6を変換して化合物7を形成する工程と、
b.化合物7を変換して化合物8を形成する工程と、
c.化合物8を変換して化合物9を形成する工程と、
d.化合物9を変換して化合物10を形成する工程と、
e.化合物10を変換して前記化合物を形成する工程と、を含む方法を目的とする。
【0027】
添付される請求項を含み本明細書で参照される化合物6、化合物7、化合物8、及び化合物9は、それぞれ、以下の「化合物1、2及び3の合成スキーム」に構造が示される。
【0028】
以下は、化合物6から化合物7、化合物7から化合物8、化合物8から化合物9、化合物9から化合物10、及び化合物10から本明細書における本発明の化合物へ変換する非限定的方法である。当事者は、例えば、様々な試薬などを使用することにより化合物6、7、8、9及び10の構造が修飾されることができ、当事者に既知の予測可能な全ての構造を含むことを意図すると理解するであろう。更に、化合物6、7、8、9及び10はそれぞれ独立して形成され、所望の純度まで単離することができ、あるいは、化合物6、7、8、9、及び10はそれぞれ独立して、単離又は精製することなくその場で形成されることができる。当事者は、本明細書の効果を鑑みて、容易にそのような選択をするであろう。
【0029】
例えば、第1工程は化合物6の還元であるが、例えば還元剤を用いて化合物6から化合物7を形成する。還元剤は水素化物を含んでよく、有機合成において、エステル、カルボン酸、ケトン、及びアルデヒドなどの官能基を、対応するアルコールに還元するのに広く用いられる。水素化物還元剤の非限定例として、リチウムアルミニウム水素化物、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。リチウムアルミニウム水素化物は、以下に説明する合成例で示される。
【0030】
次に、化合物7が脱保護されて化合物8を形成する。脱保護は、複合有機分子の合成中に、保護基を取り除くプロセスである。多くの脱保護法が周知であるが、水素添加を以下に例示する。
【0031】
次いで化合物8を化合物9に転換、すなわちアルコールを「保護化」する。保護基は、両方の官能基で反応する試薬により、1分子中の一方の官能基が変換されている間に、もう一方の官能基における反応を抑制するために、有機合成において広く用いられる。アルコールに対する一般的な保護基として、カルボン酸又はスルホン酸のアルキル(例えばC1〜C4)エステル又はアリールエステルなどのエステルが挙げられる。例えば、トルエンスルホン酸エステルの形成によるアルコールの活性化は、形成される酸と反応する塩基の存在下における、アルコールとトルエンスルホニルクロリドとの反応により行われる一般的な工程である。このような活性化は、アニオン部分又は求核基によるこれら活性化アルコール(脱離基)の置換によるアルキル化を可能にする。あるいは、これらのアルコール官能基をハロゲンに置換して、いくつかの求核基(nucloephile)によるアルキル化に対してより適合することを示すことができる別の脱離基を得ることができる。アミンは、ベンジルアミンの形成により、又はアミド若しくはスルホンアミドとして保護できる。
【0032】
次いで化合物9を化合物10に転換する。生じたベンジル保護化アミンは、触媒的水素添加により除去又は脱保護化できる。アミド及びスルホンアミド保護基は、酸性水溶液中での加水分解により除去できる。カルボキシル又はホスホリックなどの酸性基は、アルキルアルコール又はアリールアルコールとの反応により生成されるアルキルエステル又はアリールエステルの形成により保護できる。
【0033】
次いで化合物10を転換して、本発明の異性体化合物を形成する。例えば、生じた化合物10のエステル保護基は、酸性水溶液との加水分解により除去できる。
【0034】
以下は、本発明の実質的に鏡像異性的に純粋な化合物の調製における非限定的合成スキームである。
【0035】
【化2】

【0036】
(R)−3−メトキシカルボニルメチレン−5−フェニル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−1,4−オキサジン−2−オン(4)は、M.タムラ(Tamura, M.)、K.ハラダ(Harada, K.)らによる「日本化学会紀要(Bull. Chem. Soc. Jpn.)」(1980年、53巻、561〜562ページ)の方法に従って作製できる。
【0037】
(4R)−1,6−ジオキソ−4−フェニル−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロピリド[2,1−c][1,4]オキサジン−9−カルボン酸メチルエステル(5)及び[4R−4α,9α,9aα]−1,6−ジオキソ−4−フェニルオクタヒドロピリド[2,1−c][1,4]オキサジン−9−カルボン酸メチルエステル(6)は、C.アガミ(Agami, C.)、L.ハモン(Hamon, L.)、C.カドゥリ−プショ(Kadouri-Puchot, C.)、V.ルグエン(Le Guen, V.)による「有機化学誌(J. Org. Chem.)」(1996年、61巻、5736〜42ページ)のent−5及びent−6の合成法に従って作製できる。
【0038】
N−(1R−フェニル−2−ヒドロキシエチル)−2S,3R−ビス(ヒドロキシメチル)ピペリジン(7)
【0039】
【化3】

【0040】
LiAlH4(1.86g、49mmol)を、0℃において、6(2.12g、7.0mmol)のTHF(80mL)溶液に部分に分けて加える。次いでこの混合物を22時間加熱還流し、0℃まで冷却する。反応混合物を、H2O(2mL)、15%NaOH(2mL)及びH2O(6mL)で連続的に処理し、室温で1時間攪拌し、セライトでろ過し、減圧下で濃縮して、白色固体として7(1.81g、98%)を準備する。CH2Cl2−CH3OHからの再結晶により、分析試料を得る。
【0041】
1H NMR(400MHz,CD3OD) δ7.40−7.38(m,2H)、7.34−7.30(m,2H)、7.28−7.25(m,1H)、4.07−4.06(m,1H)、3.93−3.83(m,2H)、3.76−3.72(dd,J1=6Hz,J2=5Hz,1H)、3.65−3.61(dd,J1=6Hz,J2=5Hz,1H)、3.49−3.42(m,2H)、3.23−3.21(m,1H)、2.70−2.68(m,2H)、2.07−2.04(m,1H)、1.55−1.53(m,1H)、1.37−1.34(m,3H)
13C NMR(125MHz,CD3OD) δ128.0、127.9、126.9、66.8、63.6、63.4、59.5、56.6、41.6、38.3、23.5、22.4
IR(フィルム) 3331、2928、2360、2340、1452、1028、860、765cm-1
HRMS C1524NO3(M++H)の計算値:266.1751、実測値:266.1745(EI)
[α]D20 −36.9°(c1,CH3OH)
2S,3R−ビス(ヒドロキシメチル)ピペリジン(8)
【0042】
【化4】

【0043】
CH3OH(25ml)中の7(0.53g、2.0mmol)及び10%Pd/C(0.106g、5mol%)の懸濁液を、101kPa(1気圧)のH2下(風船)、室温で、15時間攪拌し、次いでセライトでろ過し、減圧下で濃縮して、8(収率約96%)と2−フェニルエタノールの1:1混合物を準備し、これを精製せずに直接次の工程で用いる。粗残留物のシリカゲル(100%CH3OH)上でのクロマトグラフィーにより、8の分析試料を得る。
【0044】
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ4.08(bs,3H)、3.79−3.65(m,4H)、3.05−3.01(m,1H)、2.99−2.95(m,1H)、2.73−2.67(m.1H)、1.84−1.81(m,1H)、1.73−1.64(m,2H)、1.63−1.58(m,1H)、1.50−1.47(m,1H)
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ63.4、62.5、59.1、45.1、37.4、28.2、23.2
IR(フィルム) 3302、2930、2360、2340、1633、1443、1037、732cm-1
HRMS C715NNaO2(M++Na)の計算値:168.0995、実測値:168.0993(EI)
N−(p−トルエンスルホニル)−(2S,3R)−ピペリジン−2,3−ジメチルビス−p−トルエンスルホネート(9)
【0045】
【化5】

【0046】
p−TsCl(2.99g、15.7mmol)を、0℃において、8(2.62mmol)と2−フェニルエタノールの1:1混合物のピリジン(2.6mL)溶液中に、30分かけて部分に分けて加える。混合物を室温で13時間攪拌し、次に氷水(10mL)中に注ぐ。水層をCH2Cl2で抽出し(3×20mL)、組み合わされた有機溶液をMgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、褐色の油を得、これにシリカゲル上でクロマトグラフィーを行って(100%CH2Cl2で溶出)、無色油の9(1.24g、78%)を準備する。
【0047】
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ7.77−7.75(m,2H)、7.71−7.66(m,4H)、7.39−7.34(m,4H)、7.28−7.26(m,2H)、4.36−4.32(m,1H)、4.12−4.08(m,1H)、4.01−3.97(m,1H)、3.86−3.83(m,2H)、3.70−3.66(d,J=17Hz,1H)、2.87−2.80(t,J=12Hz,1H)、2.47(s,3H)、2.46(s,3H)、2.42(s,3H)、2.04−2.01(m,1H)、1.58−1.53(m,2H)、1.31−1.27(m,2H)
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ145.3、143.5、137.6、132.3、132.0、130.1、130.0、129.8、128.0、127.9、127.0、70.3、66.6、51.6、41.2、37.7、29.7、23.8、22.2、21.7、21.5
IR(フィルム) 2927、2360、1597、1494、1452、1361、1176、962、815、665cm-1
HRMS C2833NNaO83(M++Na)の計算値:630.1260、実測値:630.1264(EI)
テトラエチル2−p−トルエンスルホニル−(1R,6S)−2−アザビシクロ[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホネート(10)
【0048】
【化6】

【0049】
CH2(PO3Et22試料10.53g(36.5mmol)を、スルホラン(15mL)中のNaH(0.838g、95%分析、34.9mmol)懸濁液に滴下し、生じた混合物を室温で50分間攪拌する。スルホラン(17mL)中の9(9.65g、15.9mmol)溶液を室温にて1時間かけて添加し、この混合物を120℃で19時間攪拌し、次いで室温まで冷却する。反応をH2O(150mL)により急冷し、水層をCH2Cl2で抽出する(3×150mL)。組み合わされた有機溶液をMgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、褐色の油を得、これを真空下(250℃/133Pa(1mmHg))で加熱して過剰のCH2(PO3Et22及びスルホランを除く。残留物をEt2O(150mL)に溶解し、H2Oで洗浄し(4×6mL)、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、オレンジ色の油を得、これにシリカゲル上でクロマトグラフィーを行って(CH2Cl2中0〜5%エタノール)、淡黄色油の10(6.90g、79%)を準備する。
【0050】
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ7.66−7.64(m,2H)、7.26−7.24(m,2H)、4.62−4.59(m,1H)、4.20−4.05(m,8H)、3.74−3.70(d,J=12Hz,1H)、2.81−2.80(t,J=12Hz,1H)、2.41(s,3H)、2.40−2.38(m,1H)、2.23−2.00(m,2H)、1.98−1.91(m,3H)、1.68−1.64(m,1H)、1.53−1.50(m,1H)、1.46−1.45(m,1H)、1.36−1.22(m,12H)
13C NMR(125MHz,CDCl3) δ143.0、137.7、129.6、127.0、62.9(d,JC-P=9Hz)、62.8(d,JC-P=9Hz)、62.4(d,JC-P=8Hz)、62.3(d,JC-P=8Hz)、55.3(d,JC-P=14Hz)、42.3(t,JC-P=171Hz)、40.4、35.6、33.1、29.0、25.6、24.1、21.4、16.5(d,JC-P=3Hz)
IR(フィルム) 3476、2982、2934、1647、1598、1445、1336、1246、1158、1042、972cm-1
HRMS C2339NNaO82S(M++Na)の計算値:574.1764、実測値:574.1762(EI)
(1R,6S)−2−アザビシクロ[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸塩酸塩(1)
【0051】
【化7】

【0052】
濃HCl(100mL)中の10(6.50g、11.8mmol)溶液を18時間加熱還流する。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(2×20mL)で洗浄し、水溶液が褐色の残留物(10mL)となるまで減圧下で濃縮する。粗物質をアンバーライト(Amberlite)IRA−400(Cl)樹脂カラム(150mL)に装填し、ここでカラムは6M HCl(600mL)で予備溶出し、H2O(1L)でpH6〜7まですすぐ。カラムを水(3L)で溶出し、減圧下で濃縮して、褐色の固体を得、これを6M HCl(40mL)に溶解し、活性炭(1.5g)を添加し、5分間加熱還流し、50℃まで冷却し、セライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して、淡黄色固体の1(2.68g、71%)を得る。
【0053】
1H NMR(400MHz、D2O) δ3.55(br s,1H)、3.24(br s,1H)、2.75(br s,1H)、2.46(br s,2H)、2.21(br s,3H)、1.71(br s,3H)、1.63(br s,1H)
13C NMR(125MHz,D2O) δ58.7、43.0、37.0、35.5、31.6、30.1、21.2、16.3
LRMS C816NO62(M-−HCl−H)の計算値:284.0、実測値:284.1(Lcq、Neg)
分析 C818ClNO62の計算値:C,29.87、H,5.64、N,4.35。実測値:C,30.79、H,5.98、N,4.31
m.p. >250℃
【0054】
医薬組成物
本発明は更に、本明細書の実質的に鏡像異性的に純粋な異性体を含む医薬組成物に関する。
【0055】
本組成物は、製薬上許容できる賦形剤を更に含む。本明細書で使用するとき、用語「製薬上許容できる賦形剤」とは、生理学的に不活性で、薬理学的にも不活性な、当業者に既知の物質であって、本明細書の異性体の物理的及び化学的性質と適合できる物質を意味する。製薬上許容できる賦形剤としては、これらに限定されないが、ポリマー、樹脂類、可塑剤、充填剤、潤滑油、希釈剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、共溶媒、界面活性剤、防腐剤、甘味料、着香料、医薬品級の染料又は色素、及び粘性剤(viscosity agent)が挙げられる。
【0056】
本明細書の組成物は、経口剤形、又はその使用目的に適した任意のその他の剤形であってよい。典型的な経口剤形には、錠剤又はカプセルを挙げることができる。一実施形態では、組成物は錠剤である。
【0057】
一実施形態では、本明細書の組成物は、約0.001mg〜約1グラム、又は約0.01mg〜約0.5グラム、又は約0.1mg〜約0.3グラム、又は約1mg〜約0.1グラムの、本明細書の実質的に鏡像異性的に純粋な異性体を含む。
【0058】
本明細書で有用なもののうち、着香料並びに染料及び色素には、医薬賦形剤便覧(Handbook of Pharmaceutical Excipients)(第4版、ファーマシューティカル・プレス(Pharmaceutical Press)2003年)に記載されているものが挙げられる
好適な共溶媒としては、これらに限定されないが、エタノール、イソプロパノール及びアセトンが挙げられる。
【0059】
好適な界面活性剤としては、これらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、トゥイーン(Tween)80(登録商標)、並びにラノリンエステル及びエーテルが挙げられる。
【0060】
好適な防腐剤としては、これらに限定されないが、フェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸及びその塩、ホウ酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、クロルブタノール、ベンジルアルコール、チメロサール、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀、ニトロメルゾール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、並びにプロピルパラベンが挙げられる。
【0061】
好適な充填剤としては、これらに限定されないが、デンプン、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン及び微結晶セルロースが挙げられる。
【0062】
好適な可塑剤としては、これらに限定されないが、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、及びトリアセチンが挙げられる。
【0063】
好適なポリマーとしては、これらに限定されないが、エチルセルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、並びにオイドラギット(Eudragit)(登録商標)L 30−D、オイドラギット(登録商標)L 100−55、及びオイドラギット(登録商標)S 100(ローム・ファルマ社(Rohm Pharma GmbH and Co. KG)、ドイツ、ダルムシュタット(Darmstadt))、並びにアクリル−EZE(Acryl-EZE)(登録商標)及びシュアテリック(Sureteric)(登録商標)(カラコン社(Colorcon, Inc.)、ペンシルバニア州ウェストポイント(West Point))が挙げられる。
【0064】
好適な潤滑剤としては、これらに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクが挙げられる。
【0065】
本発明の医薬組成物は任意にキレート剤を含むことができる。本明細書で使用するとき、「キレート剤」という用語は、単一金属イオンに配位結合を形成できる2つ以上の電子供与原子を含有する分子を意味する。用語「キレート剤」は、キレート剤のみならず、その塩も含むと理解される。例えば、用語「キレート剤」には、クエン酸並びにその塩の形態が含まれる。
【0066】
最も一般的で広く使用されるキレート剤は、酸素若しくは窒素供与原子又はこれら両方を介して金属原子と配位結合する。その他のあまり一般的ではないキレート剤は、−SH(チオール又はメルカプト)基の形態のイオウを介して配位結合する。最初の配位結合を形成した後、次に続く各供与原子が結合して金属原子を含有する環を構成する。キレート剤は、金属原子と結合できる2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の供与原子を含有するか否かに応じて、二座、三座、四座などであってよい。カーク−オスマーの工業化学百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)(第4版、2001年)を参照のこと。
【0067】
本発明で使用するのに好適なキレート剤には、製薬上許容できるいかなるキレート剤も挙げられる。本発明で使用するのに好適なキレート剤の非限定的な例としては、EDTA、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の一実施形態では、キレート剤は、EDTA、クエン酸、又はヘキサメタリン酸ナトリウムである。
【0068】
本発明の別の実施形態では、多座キレート剤の代わりに単座の錯化剤を使用してもよい。好適な単座の錯化剤としては、これらに限定されないが、リン酸塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、過リン酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二ナトリウム、一塩基性のもの)及びカルボン酸(例えば、フマル酸、酢酸)が挙げられる。好ましい単座の錯化剤は酢酸である。
【0069】
本発明の経口剤形中に存在するキレート剤の量は、選択される特定のキレート剤、及び経口剤形中に存在するビスホスホネート活性成分の量に依存する。一般に、本発明の経口剤形は、所望のキレート化効果を達成するのに好適な、安全で有効な量のキレート剤を含有する。一実施形態では、経口剤形は、単位用量当たり約10mg〜約1000mgのキレート剤を含有する。別の実施形態では、経口剤形は、単位用量当たり約10mg〜約500mgのキレート剤を含有する。キレート剤がEDTAである場合、好ましい範囲は、単位用量当たり約10mg〜約500mg、好ましくは約25mg〜約250mgである。キレート剤がクエン酸又はそれ以外の他のキレート剤である場合、好ましい範囲は、単位用量当たり約25mg〜約1000mg、好ましくは約50mg〜約500mgである。
【0070】
本発明の医薬組成物は、任意に、フィルムコーティング又は腸溶性コーティングを含んでよい。フィルムコーティングに使用するのに好適な賦形剤としては、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ラクトース、ポリエチレングリコール、タルク、微結晶セルロース、及びポリビニルアルコールが挙げられる。腸溶性コーティングに使用するのに好適な賦形剤としては、これらに限定されないが、トリメリト酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、オイドラギット(Eudragit)(登録商標)L 30−D、オイドラギット(登録商標)L 100−55、オイドラギット(登録商標)S 100(ローム・ファルマ社(Rohm Pharma GmbH and Co. KG)、ドイツ、ダルムシュタット(Darmstadt))、アクリル−EZE(Acryl-EZE)(登録商標)及びシュアテリック(Sureteric)(登録商標)(カラコン社(Colorcon, Inc.)、ペンシルバニア州ウェストポイント(West Point))、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、並びにタルクが挙げられる。
【0071】
使用方法
本発明は更に、骨代謝状態を治療又は予防する方法であって、その必要のあるヒト又は他の哺乳動物に、前記ヒト又は他の哺乳動物に送達される、安全かつ有効な量の医薬組成物を投与することを含む方法に関し、その組成物は本明細書の実質的に鏡像異性的に(enatiomerically)純粋な化合物を含む。
【0072】
異常なカルシウム及びホスフェートの代謝により特徴付けられる状態には、骨粗鬆症、パジェット病(変形性骨炎)、副甲状腺機能亢進症、悪性高カルシウム血症、溶骨性骨転移、進行性骨化性筋炎、汎発性石灰沈着症、関節炎、神経炎、滑液包炎、腱炎、及び、関わる組織がリン酸カルシウムの沈着を受けやすくなるようにする他の炎症性の状態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明の経口剤形は、1日1回、週1回、月3回、月2回、及び月1回の連続投与間隔に従った患者への投与に適している。
【0074】
以上、本発明及びその利点を詳細に述べたが、付属の特許請求の範囲によって規定される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、代用及び改変を行うことが可能であることが理解されなければならない。更に、本願の範囲は明細書に述べられるプロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、及び工程の特定の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば本発明の開示から直ちに認識されるように、既存の、又は将来開発されるであろう、本明細書中に述べた対応する実施形態と実質上同等の機能を行うか、又は実質上同等の結果を実現する、プロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本発明に基づいて利用することが可能である。したがって、付属の特許請求の範囲は、その範囲内にこうしたプロセス、機器、製造法、組成物、手段、方法、又は工程を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸である化合物。
【請求項2】
実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸及び製薬上許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
経口剤形である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記経口剤形が錠剤である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
骨粗鬆症、パジェット病(変形性骨炎)、副甲状腺機能亢進症、悪性高カルシウム血症、溶骨性骨転移、進行性骨化性筋炎、汎発性石灰沈着症、関節炎、神経炎、滑液包炎、及び腱炎からなる群から選択される骨代謝状態を治療又は予防する方法であって、前記骨代謝状態にかかっている、又はそのリスクがある患者に、鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸である化合物を投与する工程を含む、方法。
【請求項6】
前記化合物の投与工程が、前記化合物を含む経口剤形を投与する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記経口剤形が錠剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記骨代謝状態が骨粗鬆症である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記骨代謝状態がパジェット病である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
実質的に鏡像異性的に純粋な(1R,6S)−2−アザビシクロ−[4.3.0]ノナン−8,8−ジホスホン酸化合物を調製する方法であって、
a.化合物6を変換して化合物7を形成する工程と、
b.化合物7を変換して化合物8を形成する工程と、
c.化合物8を変換して化合物9を形成する工程と、
d.化合物9を変換して化合物10を形成する工程と、
e.化合物10を変換して前記化合物を形成する工程と、
を含む方法。

【公表番号】特表2010−513290(P2010−513290A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541422(P2009−541422)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/025753
【国際公開番号】WO2008/076417
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【出願人】(500549847)ユニバーシティー オブ ロチェスター (3)
【Fターム(参考)】