説明

(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形体

【課題】良好な物理的および薬理学的特性を有する化合物の結晶性多形体、および該結晶性多形体を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの新規多形体および非晶体、ならびにそれらを調製するためのプロセス。さらに、そのような多形体および非晶体の、癌またはタンパク質キナーゼ活性によって仲介される哺乳類の疾患状態を治療するための医薬組成物の成分としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの新規多形体およびそれらの調製方法に関する。また、本発明は、少なくとも1つの多形体を含有する医薬組成物ならびにそのような多形体および組成物の治療目的の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
化合物(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド(「化合物1」とも呼ぶ)、
【0003】
【化1】

ならびに薬学的に許容できるその塩については、2005年11月22日に発行された米国特許第6,967,198号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0004】
多くの抗癌剤、ならびに放射線療法は、細胞、特に癌細胞にDNA損傷を引き起こす。CHK1阻害は、それらのDNA損傷細胞のSおよびG停止を抑止し、これらの細胞の細胞分裂異常および細胞死をもたらすことによりこれらの抗癌剤または放射線療法の抗癌効果を増強する。(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドは、強力なCHK1タンパク質キナーゼ阻害剤である。抗癌剤または放射線療法と組み合わせた(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物の使用は、抗癌剤または放射線療法の抗癌効果を大きく増強するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体の化合物は、非晶体または結晶体で存在してよい。同一化合物の異なる結晶体の各々は、化合物の多形体と見なされる。結晶性多形体は、同一化合物の異なる結晶体である。同一の医薬品有効成分(API)の異なる多形体は、経口バイオアベイラビリティなどの薬理学的特性のみならず、熱力学的安定性、溶解度、吸湿性などの物理的特性が極めて異なることがある。これらの特性は、保存期間、生産費、一貫した用量、さらには薬物の有効性などの領域において薬物の特性に大きく影響を与える。したがって、良好な物理的および薬理学的特性を有する化合物の多形体を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明は、式1によって表される(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの結晶体を提供する。
【0007】
【化2】

【0008】
別の実施形態において、本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの結晶体を提供する。結晶体は、実質的に純粋なI形の多形体であることが好ましい。実施形態の一態様において、結晶体は、23.6±0.1および8.5±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、23.6±0.1、8.5±0.1および20.7±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、23.6±0.1、8.5±0.1、20.7±0.1および16.4±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、23.6±0.1、8.5±0.1、20.7±0.1、16.4±0.1および17.0±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、図1に示されているものと本質的に同じ回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.1、137.6±0.1、134.9±0.1、110.3±0.1、106.3±0.1、41.1±0.1および32.6±0.1ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、以下の化学シフト175.0±0.1、137.6±0.1、134.9±0.1、110.3±0.1、106.3±0.1、41.1±0.1および32.6±0.1ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも3本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、以下の化学シフト175.0±0.1、137.6±0.1、134.9±0.1、110.3±0.1、106.3±0.1、41.1±0.1および32.6±0.1ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、以下の化学シフト175.0±0.1、137.6±0.1、134.9±0.1、110.3±0.1、106.3±0.1、41.1±0.1および32.6±0.1ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも5本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、以下の化学シフト175.0±0.1、137.6±0.1、134.9±0.1、110.3±0.1、106.3±0.1、41.1±0.1および32.6±0.1ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも6本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも3本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも5本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも6本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。この実施形態の別の態様において、結晶体は、図4bに示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの結晶体を提供する。結晶体は、実質的に純粋なII形の多形体であることが好ましい。この実施形態の一態様において、結晶体は、25.3±0.1および16.0±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、25.3±0.1、16.0±0.1、13.9±0.1および29.2±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、25.3±0.1、16.0±0.1、13.9±0.1、29.2±0.1および12.2±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、25.3±0.1、16.0±0.1、13.9±0.1、29.2±0.1、12.2±0.1および16.8±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、25.3±0.1、16.0±0.1、13.9±0.1、29.2±0.1、12.2±0.1、16.8±0.1、6.9±0.1および13.6±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、図2に示されているものと本質的に同じ回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.1、133.2±0.1、127.8±0.1、103.8±0.1、および22.7±0.1ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.1、133.2±0.1、127.8±0.1、103.8±0.1、および22.7±0.1ppmにおける5本のピークうちの少なくとも3本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.1、133.2±0.1、127.8±0.1、103.8±0.1、および22.7±0.1ppmにおける5本のピークうちの少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.2、133.2±0.2、127.8±0.2、103.8±0.2、および22.7±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.2、133.2±0.2、127.8±0.2、103.8±0.2、および22.7±0.2ppmにおける5本のピークうちの少なくとも3本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、化学シフト177.7±0.2、133.2±0.2、127.8±0.2、103.8±0.2、および22.7±0.2ppmにおける5本のピークうちの少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、結晶体は、図5bに示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体を提供する。非晶体は、実質的に純粋であることが好ましい。実施形態の一態様において、非晶体は、化学シフト163.6±0.2、138.9±0.2、131.4±0.2、129.9±0.2、および30.8±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、非晶体は、化学シフト163.6±0.2、138.9±0.2、131.4±0.2、129.9±0.2、および30.8±0.2ppmにおける5本のピークのうちの少なくとも3本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、非晶体は、化学シフト163.6±0.2、138.9±0.2、131.4±0.2、129.9±0.2、および30.8±0.2ppmにおける以下のピークのうちの少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する。実施形態の別の態様において、非晶体は、図6に示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド(化合物1)の固形体を提供し、固形体は、化合物1の多形性I形、多形性II形および非晶体から選択される少なくとも2つの形態を含む。この実施形態の一態様において、固形体は、少なくとも10%の多形体I形を含む。固形体は、少なくとも20%の多形体I形を含むことがより好ましい。固形体は、少なくとも30%の多形体I形を含むことがより好ましい。さらに、固形体は、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の多形体I形を含むことがより好ましい。さらに、固形体は、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%の多形体I形を含むことがより好ましい。さらに、固形体は、少なくとも90%の多形体I形を含むことがより好ましい。さらに、固形体は、少なくとも95%の多形体I形を含むことがより好ましい。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、本発明の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形、多形性II形、非晶体または固形体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、本発明の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの固形体を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、哺乳類において癌を治療する方法であって、それを必要としている哺乳類に、本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、哺乳類において癌を治療する方法であって、それを必要としている哺乳類に、抗癌剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗癌治療と組み合わせて治療有効量の本発明の医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。この実施形態の一態様において、抗癌治療は、抗癌剤である。抗癌剤は、Ara−c、VP−16、シスプラチン、アドリアマイシン、2−クロロ−2−デオキシアデノシン、9−β−D−アラビノシル−2−フルオロアデニン、カルボプラチン、ゲムシタビン、カンプトテシン、パクリタキセル、BCNU、5−フルオロウラシル、イリノテカン、およびドキソルビシンからなる群から選択されることが好ましい。この実施形態の別の態様において、抗癌治療は、放射線療法である。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、CHK1タンパク質キナーゼ活性によって仲介される哺乳類の疾患状態を治療する方法であって、それを必要としている哺乳類に、抗癌剤、放射線療法およびそれらの組合せから選択される抗癌治療と組み合わせて本発明の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形、多形性II形、非晶体または固形体を投与することを含む方法を提供する。この実施形態の一態様において、抗癌治療は、抗癌剤である。抗癌剤は、Ara−c、VP−16、シスプラチン、アドリアマイシン、2−クロロ−2−デオキシアデノシン、9−β−D−アラビノシル−2−フルオロアデニン、カルボプラチン、ゲムシタビン、カンプトテシン、パクリタキセル、BCNU、5−フルオロウラシル、イリノテカン、およびドキソルビシンからなる群から選択されることが好ましい。この実施形態の別の態様において、抗癌治療は、放射線療法である。
【0017】
化合物1の多形性I、II形または非晶体の13C固体NMRの化学シフトは、使用される外部参照に応じて多少の差異を有し得ることは、当業者が認識するところである。本発明の特許請求の範囲において、13C固体NMRの化学シフトは、29.5ppmにおけるアダマンタンの高磁場シグナルが外部参照として用いられる場合に得られる化学シフトを指す。
【0018】
用語「と組み合わせて」は、必要としている哺乳類への(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド、薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物などの第1の治療的処置の投与の、抗癌剤または放射線療法などの第2の治療的処置の投与に対する相対的タイミングを指し、相対的タイミングは、併用療法のための医薬の分野で通常使用される相対的タイミングである。特に、相対的タイミングは、順次または同時であってよい。
【0019】
用語「過増殖性障害」は、正常な調節機構に無関係な異常細胞成長(例えば、接触阻止の喪失)を指し、正常細胞の異常成長および異常細胞の成長が含まれる。これには、良性と悪性双方の腫瘍細胞(腫瘍)の異常成長が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような良性の増殖性疾患の例は、乾癬、良性前立腺肥大、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、および再狭窄である。
【0020】
用語「癌」には、肺癌、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭部もしくは頸部の癌、皮膚もしくは眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、大腸癌、乳癌、子宮癌、ファロピウス管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸部の癌、膣の癌、外陰の癌、ホジキン病、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎腺の癌、軟組織の癌、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、慢性もしくは急性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、腎臓もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂の癌、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、または前述の癌のうちの1つまたは複数の組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。前記方法の別の実施形態において、前記異常細胞成長は、良性の増殖性疾患であり、乾癬、良性前立腺肥大または再狭窄が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
用語「CHK1タンパク質キナーゼ活性によって仲介される」は、CHK1タンパク質キナーゼ活性によって調節、調整、または阻害される生物学的または分子プロセスを指す。
【0022】
用語「多形体」は、同一化合物の異なる結晶体を指す。「多形体」には、同一化合物の水和物(例えば、結晶構造中に存在する結合水)および溶媒和物(例えば、水以外の結合溶媒)が含まれる他の固体分子形態が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
用語「薬学的に許容できる担体、希釈剤、またはビヒクル」は、医薬組成物を形成するために特定の薬剤と共に含まれていてもよい材料(または1つまたは複数の材料)を指し、固体または液体であってよい。固体担体の例は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、水などである。同様に、担体または希釈剤には、単独またはワックスと一緒のモノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリル、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどの当技術分野において知られている遅延放出または制御放出材料を含むことができる。
【0024】
用語「医薬組成物」は、本明細書に記載されている化合物もしくは多形体、または生理学的/薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物のうちの1つまたは複数の、生理学的/薬学的に許容できる担体および賦形剤との混合物を指す。医薬組成物の目的は、生物体への化合物の投与を容易にすることである。
【0025】
用語「放射線療法」は、悪性細胞を制御するための放射線の医学的使用を指す。
【0026】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの特定の多形体または非晶体に関する用語「実質的に純粋な」は、その多形体または非晶体が、(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの他の多形体を含む不純物を10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは1重量%未満含むことを意味する。そのような純度は、例えば、X線粉末回折によって決定することができる。
【0027】
一般的に、用語「治療有効量」は、治療されている障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減する、投与されている化合物、薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、またはそれらの混合物の量を指す。特に、この用語が併用療法を記載するのに使用される場合、「治療有効量」は、1)抗癌剤または放射線療法などの別の治療法の治療効果を高めるか、あるいは2)他の治療法との組合せで、治療されている障害の症状のうちの1つまたは複数をある程度軽減するはずの特定の治療法の量を指す。癌の治療に関して、治療されている疾患の症状には、a)腫瘍のサイズを縮小すること、b)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度遅くする、好ましくは停止する)こと、c)腫瘍成長をある程度阻害する(すなわち、ある程度遅くする、好ましくは停止する)こと、およびd)癌に伴う1つまたは複数の症状をある程度軽減する(または、好ましくは取り除く)ことが含まれる。
【0028】
用語「2シータ値」すなわち「2θ」は、使用される放射線源および放射線源の波長が含まれるがこれらに限定されない本発明に記載されているX線回折実験の実験セットアップに基づくピーク位置を指し、回折パターンにおける共通の横軸単位である。実験セットアップには、反射光が回折され、入射ビームが特定の格子面と角シータ(θ)を形成する場合、反射ビームは、角2シータ(2θ)で記録されることが必要である。
【0029】
用語「治療する」、「治療すること」および「治療」は、癌および/またはその随伴する症状を軽減または抑止する方法を指す。特に、癌に関して、これらの用語は、単に、癌に罹患している個人の平均余命が増加すること、または疾患の症状のうちの1つまたは複数が軽減することを意味する。
【0030】
X線回折ピーク位置に関して本明細書で使用する用語「本質的に同じ」は、典型的なピーク位置および強度変動を考慮に入れることを意味する。例えば、ピーク位置(2θ)は、典型的には0.1°程度の多少の装置間変動を示すことは、当業者が認識するところである。さらに、当業者が認識するところであるが、相対ピーク強度は、装置間変動ならびに結晶化度、優先配向、調製された試料表面、および当業者に知られている他の要因に起因する変動を示すことがあり、定性的測度としてのみ受け取るべきである。同様に、固体NMRスペクトルおよびラマンスペクトルに関して本明細書で使用する「本質的に同じ」も、当業者に知られているこれらの分析技法に伴う変動を包含することを意図している。例えば、固体NMRにおいて測定される13C化学シフトは、通常、0.1ppmの変動を有し、一方、ラマンシフトは、通常、1cm−1の変動を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この項において、「BOC」、「Boc」または「boc」は、N−tert−ブトキシカルボニルを指し、「CBZ」は、カルボベンジルオキシを指し、「DCE」は、ジクロロエタンを指し、「DCM」は、ジクロロメタンを指し、「DCC」は、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを指し、「DIC」は、ジイソプロピルカルボジイミドを指し、「DIPEA」または「DIEA」は、ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMA」は、N,N−ジメチルアセトアミドを指し、「DMAP」は、4−ジメチルアミノピリジンを指し、「DME」は、1,2−ジメトキシエタンを指し、「DMF」は、ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DPPP」は、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを指し、「EDC」は、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩を指し、「HATU」は、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを指し、「HBTU」は、ヘキサフルオロリン酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを指し、「HOAc」は、酢酸を指し、「HOBt」は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を指し、「IPA」は、イソプロピルアルコールを指し、「LAH」は、水素化リチウムアルミニウムを指し、「LiHMDS」は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドを指し、「MSA」は、メタンスルホン酸を意味し、「MTBE」は、メチルt−ブチルエーテルを指し、「NMP」は、1−メチル2−ピロリジノンを指し、「TEA」は、トリエチルアミンを指し、「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指し、「TIPS」は、トリイソプロピルシリル−を指し、TMSClは、塩化トリメチルシリルを指し、「Trt」は、トリフェニルメチル−を指す。
【0032】
化合物1は、2つ以上の多形性結晶体ならびに非晶体で存在することが判明している。本明細書において、高純度でこれらの多形体を製造するための、そして、これらの異なる多形体を特徴付けるための方法が記載される。化合物1を含む医薬製剤も提供される。
【0033】
I.化合物1の合成:
化合物12、すなわち(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのHCl塩を製造するための合成経路については、2005年11月22日に発行された米国特許第6,967,198号に記載された。本発明では、前記合成経路を修正した。特に、反応条件を改善し、反応のスケールに適合させた。スキーム1に示すように、化合物1は、化合物11、すなわち化合物12のN−Boc前駆体から直接製造することができる。化合物1は、HCl塩を中和することにより、化合物12からも製造することができる。どちらのアプローチでも、処理および精製条件に応じて、化合物1の異なる多形体を得ることができる。
【0034】
【化3−1】

【0035】
【化3−2】

【0036】
スキーム1で説明するように、2−メチル−3,5−ジニトロ安息香酸は、加熱下でN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応し、化合物2を与える。この反応に適している溶媒は、DMF、DMA、MTBE、トルエンおよびTHFである。THFを使用することが好ましい。反応は、約50℃で行われることが好ましい。反応混合物を減圧下で濃縮し、続いてメタノールを加える。その場合、化合物2は、生成物として析出する。
【0037】
次いで、化合物2を、加熱下でメタノール中、酸で処理すると、化合物3が得られる。ここで使用することができる典型的な酸は、TMSCl、HCl、MSA、HSOおよびTFAである。TMSClを使用することが好ましい。反応の経過中に、化合物3は、反応溶液から晶出するため、単離プロセスを著しく単純化する。
【0038】
米国特許第6,967,198号では、化合物3を、Pd/CおよびH下の従来型水素化反応により化合物4に変換した。しかしながら、この従来型水素化反応条件は、2つのニトロ基の還元が極めて発熱性であるという事実によって、大スケールで制御することが困難である。本発明では、化合物3を、転移水素化反応と、続く酸促進の環化反応によって化合物4に変換する。化合物3の転移水素化反応は、ドーズ制御手順を提供するため、熱的危険性を軽減する。Pd/CとHCONH、Pd(OH)とBH.NMe、FeCl/CとヒドラジンおよびPd/Cとギ酸アンモニウムなどの様々な転移水素化試薬を使用することができる。Pd/Cとギ酸アンモニウムを使用することが好ましい。化合物3は、THF中でPd/Cとギ酸アンモニウムを使用して還元することができる。次いで、粗生成物を強酸下で環化させると、化合物4が得られる。この酸触媒環化の典型的な条件は、MeOH中の濃HClを用いることである。
【0039】
次いで、化合物4の一級アミノ基をBOC保護すると、化合物5が得られる。米国特許第6,967,198号では、この反応を、塩基としてトリエチルアミンを用いて行い、反応を、アセトニトリル中で行った。本発明では、この反応を、NaOHなどの無機塩基、およびTHFなどの溶媒といったより穏やかな条件を用いて行う。
【0040】
化合物5を、フィルスマイヤーホルミル化反応により化合物6に変換する。米国特許第6,967,198号では、この反応を、フィルスマイヤー試薬3当量を用い、塩化メチレン中で行った。化合物5と反応中間体のどちらも、塩化メチレンにあまり溶けやすくないため、塩化メチレン中のこの変換は、固体−固体反応であり、大規模では問題となることがかなり多かった。さらに、化合物5をフィルスマイヤー試薬3当量で処理した場合、ジホルミル化が起こり、ジホルミル化インドールを化合物6に変換するための追加の加水分解ステップが必要とされた。本発明では、化合物5の溶解性が良好な溶媒中で反応を行う。この場合、典型的な溶媒は、THFである。化合物5がTHFに溶けやすいため、溶液−固体反応が実現する。モノCホルミル化は、フィルスマイヤー試薬の量を1.1当量まで減らした場合にN−ホルミル化に優先して起こり、化合物6を直接生成するため、反応手順を著しく単純化した。
【0041】
化合物6を、酸性条件下で化合物6をヒドラジンで処理することにより化合物7に変換する。この反応には、ヒドラジン一水和物ならびに30%ヒドラジン水溶液を使用することができる。反応は、過剰の、好ましくは5当量を超えるヒドラジンで希薄なMeOH溶液中で行われることがより好ましい。
【0042】
次いで、化合物7をブロム化すると、化合物8が得られる。米国特許第6,967,198号では、ブロム化試薬としてNBSを使用した。本発明では、より安価な代替物としてピリジニウムトリブロミドを使用する。
【0043】
次いで、化合物8を、鈴木カップリングにより化合物9に変換する。米国特許第6,967,198号では、Pd(dppf)Clを使用した。本発明では、より安価な代替物Pd(PPhを使用する。化合物8を、DMA中で3mol%Pd(PPhおよびKPOで処理する。通常、粗生成物中の残留パラジウム含有量は極めて高い(6000〜8000ppm)。通常の有機溶媒における化合物9の乏しい溶解性のため、Pd除去のためのFlorisol処理は、有効でなく、大量の溶媒を必要とすることが判明した。本発明では、簡単かつ有効な水析出Pd除去手順を開発し、1)DMF、DMA、THF、DMSO DMA、などの水非混和性溶媒、好ましくはDMAに粗生成物を溶かし、次いで、得られる溶液にN−アセチルシステインを加えて1時間攪拌し、2)水を加え、N−アセチルシステイン−パラジウム錯体を水溶液中に残しながら生成物を析出させる。N−アセチルシステイン処理後、残留Pdレベルは、400ppm以下に低下し、残留Pdが20ppm未満のAPI化合物1をもたらす。
【0044】
次いで、化合物9を、ジオキサン中の4M HClおよび塩化メチレンで処理すると、塩化水素塩として化合物10が得られる。イオンクロマトグラフ分析により、塩化水素含有量は、対応する遊離塩基に対する塩化水素の比2.1から2.8までバッチによって異なることが判明した。この反応には、例えば、硫酸、スルホン酸およびTFAなどの他の酸も使用することができる。
【0045】
次いで、化合物10を、boc保護ヘキシルアミノ酸とカップリングさせると、化合物11が得られる。カップリング剤としてEDCを選択する。EDC、HATUおよびDCCなどの多くのカップリング条件を用いることができる。本発明では、触媒としてのDMAPと一緒に、カップリング剤としてEDCを使用する。DMAPの所要量は、出発アミン塩中に存在する塩化水素と同じモル量であることが好ましい。反応混合物中の大過剰のDMAPは、著しいラセミ化を引き起こす可能性がある。反応混合物に水を加えることにより化合物11を単離する。キラルHPLC分析は、最終ステップで結晶化により除去されるラセミ化副生物が1%以下で存在することを示した。
【0046】
次いで、化合物11を強酸で処理し、boc基を除去する。HCl/MeOH、HCl/EtOH、TFA/CHClまたはMSA/THFなどの条件すべてを使用することができる。化合物11をHCl/MeOH、またはHCl/EtOHで処理する場合には、反応混合物を減圧下で蒸発させ、化合物12、すなわち(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドのHCl塩を得ることができる。
【0047】
化合物1は、脱boc反応の塩基性水処理により、化合物11から直接得ることができる。例えば、化合物11をMSAと混ぜ、THF中で還流してBoc基を除去する。反応が完了し反応混合物を冷却したら、NaCO、KCOまたはNaHCOの水溶液を反応混合物に加えることができる。それに続く標準的処理により、良好な純度および収率で化合物1が得られる。
【0048】
また、化合物1は、化合物12を塩基性水溶液、例えば、水性NaHCOと混ぜ、混合物を激しく攪拌し、続いて混合物を有機溶媒で抽出することにより化合物12から得ることができる。
【0049】
II.化合物1の多形体I、IIおよび非晶体の調製
A.多形性I形
化合物1の多形性I形は、強酸性条件下でboc基を除去することと、続く塩基性水処理により化合物11から直接調製することができる。ここで使用される典型的な強酸性条件は、HCl/MeOH、HCl/EtOH、MSA/THFまたはTFAである。化合物11をTHF中のメタンスルホン酸で処理し、boc基を除去することが好ましい。反応が完了した後、混合物を、NaOH、NaCO、NaHCO、KCOまたはKHCOの水溶液などの水性無機塩基溶液で塩基性化する。2M水性水酸化ナトリウムまたは飽和NaHCO溶液を使用することが好ましい。有機相を水相から分離し、硫酸マグネシウムで乾燥する。次いで、有機溶液を、より小体積まで減らし、エタノールを加える。得られる溶液を、より小体積まで減らし、エタノールをさらに加える。化合物1が多形性I形として析出するまで、この体積減少およびエタノール添加プロセスを繰り返す。
【0050】
化合物1の多形性I形は、化合物12からも調製することができる。化合物12を、激しく攪拌しながら、水性無機塩基溶液に少量ずつ溶かす。ここで使用される典型的な水性無機塩基溶液は、NaOH、NaCO、NaHCO、KCOまたはKHCOの水溶液である。ここでは、NaHCO水溶液を使用することが好ましい。混合物を、大量のEtOAcなどの有機溶媒で抽出する。得られる有機溶液を、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過する。濾液を真空で濃縮すると、化合物1の非晶体である黄色の固体が得られる。次いで、この黄色の固体を、激しく攪拌しながら加熱下、好ましくは約75〜80℃でEtOHに溶かす。溶液を、好ましくは約22℃の室温まで冷却し、22℃にて12時間放置する。多形性I形が析出する。
【0051】
B.多形性II形
多形性II形の化合物1は、最終処理手順中に、多形性II形が約4℃にてメタノール中で生成することを除いては、前の段落に記載されているような類似手順に従い、化合物12または化合物11から得ることができる。
【0052】
C.非晶体
化合物1の非晶体は、多形性I形を調製する類似手順に従い、化合物12から直接調製することができる。化合物12を、激しく攪拌しながら水性塩基溶液に少量ずつ溶かした後、混合物を大量のEtOAcで抽出する。得られるEtOAc溶液を食塩水で洗浄し、乾燥して濾過する。濾液を真空で濃縮すると、化合物1の非晶体である黄色の固体が得られる。
【0053】
化合物1の非晶体は、多形性I形を調製する類似手順に従い、化合物11からも調製することができる。処理中は、有機相としてEtOAcを使用する。有機相を乾燥した後、約40〜70℃にて溶媒を蒸発させると、非晶体の化合物1が得られる。
【0054】
化合物1の非晶体は、飽和まで多形性I形をTHFに溶かし、続いて50℃にて溶媒を除去することにより化合物1の多形性I形からも製造することができる。
【0055】
III.化合物1の異なる多形体の特徴付けおよび特性:
化合物1の各固形体は、以下のX線粉末回折パターン(すなわち、様々な回折角(2θ)におけるX線回折ピーク)、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムの吸熱によって示されるような融点開始(および水和体については脱水の開始)、ラマンスペクトルのダイアグラムパターン、水溶解度、ハーモナイゼーション国際会議(ICH)高強度光条件下の光安定性、ならびに物理的および化学的保存安定性のうちの1つまたは複数によって特徴付けることができる。例えば、化合物1の多形体I、IIおよび非晶体の試料を、各々、それらのX線粉末回折パターンにおけるピークの位置および相対強度によって特徴付けた。
【0056】
A.多形体のX線粉末回折パターン
化合物1の多形性I形、II形および非晶体の第1バッチ(図3a)についてのX線粉末回折パターンは、40kVおよび40mAにて動作する波長1.5418ÅのCu Kα平均放射線源付きのBruker AXS D8−Discover回折計で測定した。試料は、一般領域回折検出器を用い、角度4〜40゜(2θ)から分析した。検出器は、試料から30cmに設置した。当業者が認識するところであるが、ピーク位置(2θ)は、典型的には0.1°程度の多少の装置間変動を示す。したがって、ピーク位置(2θ)を報告する場合、そのような数値は、そのような装置間変動を包含することを意図している。さらに、本発明の結晶体が、ある図に示されているものと本質的に同じ粉末X線回折パターンを有すると記載されている場合、用語「本質的に同じ」は、回折ピーク位置におけるそのような装置間変動を包含することを意図している。表1は、多形性I形およびII形の2θ値を示している。非晶体は、連続するX線粉末回折スペクトルを示し、2θ値は収集できない。
【0057】
化合物1の非晶体の第2バッチのX線粉末回折パターンを図3bに示す。非晶体の第2バッチの調製は、実施例4bに記載されている。ここで、粉末X線回折パターンは、CuKα放射線(波長=1.5406Å)を用いるBruker D5000回折計で作成した。機器には、直線集束X線管を装備した。管の電圧および電流は、それぞれ38kVおよび38mAに設定した。発散および散乱スリットは、1mmに設定し、受光スリットは、0.6mmに設定した。回折された放射線は、Sol−Xエネルギー分散型X線検出器により検出した。3.0〜40゜2θの2.4゜2θ/分(1秒/0.04゜2θステップ)におけるθ2θ連続スキャンを用いた。実験は、周囲温度で行った。アルミナ標準品(NIST標準基準材料1976)を分析し、機器アラインメントをチェックした。データを集め、BRUKER AXS DIFFRAC PLUSソフトウェアバージョン2.0を用いて分析した。PXRDピークは、ピークの最大ピーク高さを用いて選択した。
【0058】
【表1】

【0059】
当業者が認識するところであるが、相対ピーク強度は、装置間変動ならびに結晶化度、優先配向、調製された試料表面、および当業者に知られている他の要因に起因する変動を示すはずであり、定性的測度としてのみ受け取るべきである。
【0060】
固形体が、本発明の2つ以上の多形体を含む場合、X線回折パターンは、本発明の個別多形体の各々に特徴的なピークを有する。例えば、2つの多形体を含む固形体は、実質的に純粋な多形体に対応する2つのX線回折パターンの合積である粉末X線回折パターンを有する。
【0061】
B.多形体の固体NMR(SSNMR)
固体NMRは、固体を分析するための強力なツールである。異なる多形体は、固体13C交差分極およびマジック角回転(CP/MAS)NMRにおいて有意な化学シフト差を示すことが多い。固体13C CP/MAS NMRを、多形性I形およびII形、ならびに非晶体について行った。
【0062】
多形性I形については、第1の13C SSNMRスペクトルを、600MHz Bruker分光計で集め、化学シフトは、17.36ppmにおけるヘキサメチルベンゼンのメチル共鳴を外部参照した。化合物1の多形性I形の第2の13C SSNMRスペクトル、多形性II形の第1および第2のスペクトルならびに非晶体の第2バッチのスペクトルについては500MHz Bruker分光計を用い、化学シフトは、29.5ppmにおけるアダマンタンの高磁場シグナルを外部参照した。表2aは、多形性I形の第1の13C SSNMRスペクトルおよび多形性II形の第1の13C SSNMRスペクトルの化学シフトを示している。表2bは、化合物1の多形性I形の第2スペクトル、多形性II形の第2スペクトルおよび非晶体の第2バッチのスペクトルの化学シフトを示している。表2bにおいて、ピーク強度は、ピーク高さとして定義され、CPMAS実験パラメータの実際の設定によって変わることがある。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
C.多形体の示差走査熱量測定試験
化合物1の異なる多形体は、示差走査熱量測定(DSC)を用いても区別された。DSCは、試料および基準品の温度を上げるのに必要な熱量の差を、温度の関数として測定する熱分析的技法である。DSC試験は、固体の融点を試験するために使用されることも多い。
【0066】
本発明では、TA Instruments Q−1000 DSCを用いてDSCを行った。多形性I形についての走査速度は、25℃から300℃までの10℃/分とし、そのような条件下で、多形性I形は、272℃の開始融点を有する。多形性II形についての走査速度は、25℃から300℃までの40℃/分とし、そのような条件下で、多形性II形は、242℃にて融解を始め、新たな結晶体を急速に生成した。我々は、生成された新たな結晶は、多形性I形であったと考えている。このことは、以下の試験、すなわち多形性II形を260℃まで加熱し、得られた固体をPXRDによって調べることにより立証された。PXRD結果は、多形性I形のPXRD結果と同一であった。多形性II形についての走査速度を、25℃から300℃までの10℃/分に設定した場合、多形性II形は、243℃にて融解を始め、新たな結晶体を急速に生成し、次いで、274℃にて融解し、我々は、新たな結晶体も多形性I形であると考えた。
【0067】
D.多形体の熱重量分析
熱重量分析(TGA)は、標本を、空気中または窒素などの制御雰囲気中で加熱しながら標本の重量変化を記録する試験手順である。熱重量曲線(サーモグラムまたはTGAスキャングラフ)は、材料の溶媒および水含有量ならびに熱安定性に関する情報を提供する。
【0068】
本発明では、TA Instruments TGA Q500を用い、化合物1の多形性I形およびII形に対してTGAを行った。温度は、多形性I形およびII形についてそれぞれ、25℃から310℃および350℃まで、10℃/分で増加させた。多形性I形のTGA分析は、温度が265℃に達するまでに、結晶性I形は、全重量の約0.26%を失うことを示した。多形体I形の分解は、融解直後に急速に起きた。多形性II形のTGA分析は、温度が275℃に達するまでに、全重量の約0.85%の減少を示した。多形体II形の分解は、275℃後に急速に起きた。これらのTGA結果は、多形性I形と多形性II形が共に、無水/非溶媒和形態であるという結論と一致している。
【0069】
E.異なる多形体の溶解度
平衡溶解度を、多形性I形と多形性II形の双方について試験した。試料は、各々の対応する多形体を またはエタノールに溶かすことにより調製した。試料を室温にて一夜攪拌して遠心分離し、溶けなかった固体を除去した。次いで、溶液をHPLCにより分析した。結果を表3に列挙する。
【0070】
【表4】

【0071】
F.異なる多形体の吸湿性
ある化合物の異なる多形体は、異なる吸湿特性を有することがある。化合物1の多形性I形とII形双方の等温水吸着および脱離実験を、Surface Measurements Systems Dynamic Vapor Sorption−1000(DVS)で行った。各多形性I形およびII形を、0%RHの25℃から開始するDVS機器にロードした。湿度を、10%RH増分でステップさせることにより0%RHから90%RHまで段階的に増加させた。試料重量が90%RHにて安定した後、湿度を、90%RHから0%RHまで段階的に減少させ、全サイクルを完了させた。温度は、全手順の間25℃の一定に維持した。この実験中の重量増加を用い、吸湿性を決定した。0〜90%RHで重量増加が2.0%未満である試料を非吸湿性と見なす。
【0072】
多形性I形およびII形は、0〜90%RHでそれぞれ約1.7%および1.3%の水分増加を示した。
【0073】
F.異なる多形体の安定性
化合物1の多形性I形の固体安定性を、開放バイアルと密封バイアルの双方で75%の相対湿度(RH)で40℃にて6週間調査した。試料をX線粉末回折により分析して物理的安定性を調べ、化学的安定性についてはHPLCを行った。結果を表4に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
多形体は、一方の形態が、ある温度において熱力学的により安定であり、もう一方の形態が、別の温度においてより安定である場合にエナンチオトロピックであると見なされる。両方の多形体が同じように安定である温度は、転移温度(T)として知られている。化合物1の多形性I形およびII形についてエナンチオトロピー研究を行った。I形およびII形の1:1混合物10〜20mgを、エタノール1〜2mLに加え、スラリーを形成させた。そのようなスラリーの試料を調製し、それぞれ70℃、60℃、50℃、40℃、30℃、室温(約23℃)および3.5℃にて攪拌した。次いで、試料を遠心分離した。上清をデカントし、残った材料を室温にて真空下で乾燥させた。得られた材料をPXRDにより分析した。結果を表5に要約する。
【0076】
【表6】

【0077】
IV.本発明の多形体を用いる方法
本発明の化合物1の多形体は、化合物1が有用であるすべての態様において有用である。化合物1を用いる方法は、化合物1を含む化合物属を使用する方法として米国特許第6,967,198号に記載した。米国特許第6,967,198号には、その中の発明化合物を、治療有効量の抗新生物剤または放射線療法と併用し、哺乳類における新生物を治療することができることを記載した。本発明の化合物1の多形体および医薬組成物を、その中の発明化合物と併用することができると米国特許第6,967,198号に記載されているような治療有効量の抗新生物剤または放射線療法と併用することができることは、本発明で企図されている。
【実施例】
【0078】
(実施例1)
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドHCl塩(化合物1のHCl塩)の調製
2−(2−ジメチルアミノ−ビニル)−3,5−ジニトロ−安息香酸メチルエステル、化合物2の調製:2−メチル−3,5−ジニトロ−安息香酸(102.62g、0.45mol)を無水THF(1200mL)に溶かした。N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(Aldrich、純度94%、3.0当量、172.4g、1.35mol)を、攪拌しながら、室温にて10分かけて窒素雰囲気下で加えた。温度は、22℃から29℃まで上昇した。溶液を直ちに50℃まで加熱し、遮蔽物の後ろでこの温度にて8時間攪拌した。次いで、反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮し、フラスコ中に粗製材料約250gが残るまで、大部分のTHFおよび未反応のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールを除去した(水浴温度は、30℃を超えさせなかった)。メタノール(400ml)を加え、スラリーを室温にて1時間攪拌した。固体を濾過によって集め、冷メタノール(60ml)で洗浄し、空気流中で乾燥すると、紫色の固体109.08gが得られた(収率84%)。H NMR(300MHz,CDCl)δ3.01(s,6H)、3.93(s,3H)、5.99(d,1H,J=13.5Hz)、6.75(d,1H,J=13.2Hz)、8.49(d,1H,J=2.4Hz)、8.57(d,1H,J=2.4Hz)。
【0079】
2−(2,2−ジメトキシ−エチル)−3,5−ジニトロ−安息香酸メチルエステル化合物3の調製:紫色の固体2(92.25g、0.313mol)を無水MeOH(1000mL)に懸濁した。TMSCl(70.25g、0.65mol、2.1当量)を10分かけて加えた。透明な溶液が生成した。溶液を60℃にて(緩慢な還流)20時間加熱した。HPLC分析は、出発材料の消失を示した。反応混合物を室温まで冷却すると、白色の固体が析出した(多くの場合、反応がほぼ完了した場合、生成物は、反応混合物から晶出した)。反応混合物を室温にて1時間攪拌した。析出した固体を濾過によって集め、冷MeOH(50mL)で洗浄し、空気流中で乾燥すると、白色の固体82.71gが得られた。母液を濃縮し、溶媒約800mlを除去した。追加の生成物が析出した。混合物を0℃まで冷却し、1時間攪拌した。次いで、オレンジ色の固体を集め、冷メタノール(25mL)で洗浄し、空気流中で乾燥すると、生成物がさらに5.58g得られた。化合物3の合わせた収量は88.29g(90%)であった。H NMR(300MHz,CDCl)δ3.30(s,6H)、3.73(d,2H,J=5.1Hz)、4.00(s,3H)、4.51(t,1H,J=5.1Hz)、8.65(d,1H,J=2.4Hz)、8.76(d,1H,J=2.4Hz)。
【0080】
6−アミノ−1H−インドール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩化合物4の調製:2Lのエルレンマイヤーフラスコに10%Pd/Cの湿った触媒(8.6g)、メタノール(800ml)およびTHF(160ml)を充填した。次いで、攪拌しながらギ酸アンモニウム(139.1g、2.21mol)を加え、混合物を35℃まで加熱した。水(100ml)を加えた。次いで、化合物3を、10分かけて少量ずつ加えた。反応温度は、添加速度3に制御し、適当に冷却することにより40℃〜45℃に維持した。添加が完了した後、反応混合物を30分間攪拌した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温まで冷却した。触媒を、セライトパッドに通して濾過し、セライトパッドをMeOH(50ml)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、揮発性成分を除去した。次いで、EtOAc(500ml)および水(75ml)を加え、混合物を5分間攪拌した。有機相を分離し、水相をEtOAc(200ml)で抽出した。合わせた有機溶液を濃縮乾固すると、淡黄色の油(79.17g)が得られた。油状中間体にMeOH(100ml)を加えた。次いで、得られた溶液を、温度を32℃に維持しながら、濃塩酸(37wt%、82.8g)のMeOH(600ml)溶液に加えた。反応混合物を35℃にて3時間攪拌した。この間に固体生成物が析出した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温まで冷却した。EtOAc(500ml)を加え、得られた混合物を30分間攪拌した。固体を濾過により集めると、生成物45.07gが得られた。濾液を濃縮すると、ペースト(331g)が得られた。EtOAc(400ml)をペーストに加え、混合物を30分間攪拌した。次いで、固体を濾過により集めると、生成物4の第2クロップ(16.28g)が得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ3.93(s,3H)、6.97(d,1H,J=1.8Hz)、7.65(m,1H)、7.72(d,1H,J=1.8Hz)、7.80(s,1H)、11.81(s,br,1H)。
【0081】
2−(2−ジメチルアミノ−ビニル)−3,5−ジニトロ−安息香酸メチルエステル化合物2の直接水素化を介する6−アミノ−1H−インドール−4−カルボン酸メチルエステル塩酸塩4の調製:メタノール(27kg)および2−(2,2−ジメトキシ−ビニル)−3,5−ジニトロ−安息香酸メチルエステル2(10kg、33.87mol)を、チャージポートを通して反応器中に充填した。次いで、10%パラジウム炭素触媒(0.4kg)を、水中スラリー(2.5±0.5kg)として反応器に充填した。酢酸エチル(123±3kg)を加え、続いて水素を少量ずつ加えた。内温は、冷却して水素添加速度を制御することにより約0℃に維持した。30分を超える間に圧力が一定になった後、水素圧を50〜60psi(約345〜約414kPa)に保ち、温度を0℃に2時間維持した。触媒を、インラインフィルターに通して濾去した(注:触媒は、自然発火性である。触媒を乾燥させてはならない)。濾液を、35℃未満の内温にて真空蒸留により濃縮し、溶媒体積の約95%を除去した。酢酸エチル(130L)を攪拌しながら加えた。次いで、37%HCl(10kg)を10℃以下でゆっくりと加えた。得られた混合物を10℃にて1時間攪拌した。固体を、プレートフィルター上で濾過し、メチルt−ブチルエーテル(15L)で洗浄した。生成物(湿ったケーキ)を真空乾燥機に移し、23±3℃にて乾燥すると、4.6kgの生成物4が得られた(収率60%)。
【0082】
6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1H−インドール−4−カルボン酸メチルエステル5の調製:THF(600ml)および4M NaOH水溶液(138ml、0.55mol)を反応フラスコ中に充填した。次いで、インドールHCl塩4(61.0g、0.269mol)を加え、混合物を、固体が完全に溶けるまで攪拌した。(BOC)O(70.43g、0.32mol)を、添加中に温度を25℃〜32℃に維持しながら、THF(50ml)溶液としてゆっくりと加えた。得られた反応混合物を室温にて3時間攪拌した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。水相を分離した。有機相を飽和塩化アンモニウム水溶液(15ml)で洗浄した。次いで、有機溶液を濃縮すると、ペースト(176g)が得られた。THF(40ml)およびヘプタン(800ml)をペーストに加え、得られた混合物を30分間攪拌した。固体を濾過により集めると、69.86gの生成物5が得られた(収率90%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.50(s,9H)、3.89(s,3H)、6.83(s,1H)、7.41(m,1H)、7.89(s,1H)、7.91(s,1H)、9.38(s,1H)、11.24(s,br,1H)。
【0083】
6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ホルミル−1H−インドール−4−カルボン酸メチルエステル化合物6の調製:N,N−ジメチルホルムアミド(85ml)を250mlフラスコに充填し、次いで、氷−アセトン浴で−5℃まで冷却した。オキシ塩化リン(35.15g、0.23mol)を、4℃にて10分かけてフラスコ中に注入した。添加が完了した後、混合物を0℃にてさらに30分間攪拌した。オーバーヘッドスターラーおよび温度計を備えた別の2L三つ口フラスコ中で、インドール5(60.57g、0.21mol)および無水THF(600ml)を加えると、透明な溶液が生成した。溶液を、氷−アセトン浴で−7℃まで冷却した。温度を−3℃に維持しながら、攪拌したTHF溶液に、冷たい予め生成したフィルスマイヤー試薬を10分かけてカニューレ注入した。添加が完了した後、数分以内に重い沈殿物が生成した。反応混合物を0℃にて45分間さらに攪拌した。EtOAc(600ml)を反応混合物に加え、続いて、激しく攪拌しながら冷NaOAc水溶液(3M、310ml、0.93mol)を加えた。温度は、クエンチ後に10℃まで上昇した。冷却浴を取り外した。反応混合物を20分かけて21℃まで温め、この温度にて2.5時間攪拌した。固体は完全に溶けた。HPLC分析は、すべての中間体が生成物に変換されたことを示した。攪拌を停止し、水層を分離した。有機層を減圧下で濃縮し、揮発物を除去した。ペースト(226g)が得られた。水(30ml)およびEtOAc(70ml)をペーストに加えた。得られた混合物を30分間攪拌した。固体を濾過により集め、EtOAc(25ml)で洗浄し、乾燥すると、62.98gの生成物が得られた(収率95%、純度97%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.50(s,9H)、3.86(s,3H)、7.68(d,1H,J=1.8Hz)、7.97(s,1H)、8.23(s,1H)、9.56(s,1H)、10.10(s,1H)、12.25(s,br,1H)。
【0084】
1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルカルバミン酸tert−ブチル化合物7の調製:MeOH(1200ml)、酢酸(100ml)およびアルデヒド6(62.98g、0.20mol)を、2Lフラスコ中に充填した。次いで、攪拌しながら、水性ヒドラジン(35wt%、88.8g、0.97mol)を加えた。混合物を60℃まで加熱し、3時間攪拌した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。加熱を停止し、反応混合物を室温まで冷却した。混合物を、室温にて2時間ゆっくりと攪拌した。固体を濾過により集めると、生成物46.0gが得られた。濾液を濃縮すると、ペースト(223g)が得られた。攪拌しながら、水(250ml)をゆっくりと加えた。混合物をさらに50分間攪拌し、固体を顆粒化させた。固体を集め、乾燥すると、生成物の第2クロップが得られた(13.0g)。化合物7の合わせた収率は、99%であった。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.49(s,9H)、7.44(s,1H)、7.51(d,1H,J=2.1Hz)、7.62(s,1H)、7.76(s,1H)、9.45(s,1H)、10.19(s,1H)、11.63(s,br,1H)。
【0085】
5−ブロモ−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルカルバミン酸tert−ブチル8の調製:化合物7(45.0g、0.15mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(0.45L)を、オーバーヘッドスターラー、温度計および窒素ガス注入口を備えた5Lフラスコ中に充填した。混合物を攪拌すると、透明な溶液が生成した。次いで、溶液を、窒素の保護下で−14℃まで冷却した。ピリジニウムトリブロミド(57.6g、0.18mol)を、窒素の保護下で5分かけて少量ずつ加えた。添加中、反応温度を−5℃以下に制御した。添加が完了した後、反応混合物を0℃にて1.5時間攪拌した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。添加中に温度を20℃以下に維持しながら、水(0.225L)を反応混合物にゆっくりと加えた。15℃にてEtOAc(0.225L)を反応混合物に加え、続いて水性炭酸カリウム(調製:KCO20.73gを水60mlに溶かし、使用には10℃まで冷却する)を一度に加えた。混合物を15分間攪拌し、固体を溶かした。次いで、亜硫酸ナトリウム水溶液(調製:NaSO3.78gを水18mlに溶かす)を加え、10分間攪拌した。温度を25〜30℃に維持しながら、添加ロートを介して水(0.5L)を3分かけて加えた。固体が徐々に析出した。混合物を20分間攪拌し、固体を顆粒化させた。追加の水(0.625L)を加え、析出を完了させた。混合物を60分間攪拌した。固体を濾過により集め、水(0.3L)で洗浄し、空気流中で90分間乾燥した。固体を、真空オーブン中60℃にて窒素風で12時間乾燥した。粗生成物をアセトン(0.19L)に懸濁し、1時間攪拌した。ヘプタン(0.19L)を混合物中にゆっくりと加えた。得られた混合物を1.5時間攪拌した。固体を濾過により集め、アセトン(30ml)とヘプタン(30ml)の混合物で洗浄し、空気流中で2時間乾燥した。生成物を、真空オーブン中、50℃にて12時間さらに乾燥した。固体は、45.5gの重さがあった(収率80%、純度98.3%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.53(s,9H)、7.31(s,1H)、7.70(d,1H,J=1.7Hz)、7.77(s,1H)、9.57(s,1H)、10.47(s,1H)、12.54(s,br,1H)。
【0086】
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルカルバミン酸tert−ブチル9の調製:化合物8(308.24g、0.81mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2.5L)を、オーバーヘッドスターラー、温度計および窒素ガス注入口を備えた10Lフラスコに加えた。透明な溶液が生成した。温度を30℃に制御しながら、水(0.625L)を攪拌しながらDMA溶液に加えた。次いで、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール(186g、0.89mol)およびリン酸カリウム(431.3g、2.03mol)を、攪拌しながらフラスコに加えた。フラスコの真空吸引により混合物を脱気し、続いて窒素フラッシュをおこなった。脱気プロセスを20分かけて3回繰り返した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(28.2g、0.024mol)を窒素の保護下で加えた。反応混合物を、真空/窒素サイクルにより20分かけて3回脱気した。反応物を、窒素の保護下で90℃にて5時間加熱した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温まで冷却した。N−アセチルシステイン(30g、0.18mol)をフラスコ中に加え、混合物を2時間攪拌した。温度を30℃に制御しながら、水(5L)を攪拌しながら30分かけて加えた。固体が析出した。混合物をさらに2時間攪拌し、固体を顆粒化させた。固体を濾過により集め、DMA(0.1L)と水(0.3L)の混合物、水(0.7L)、およびアセトン(0.3L)と水(0.3L)の混合物で洗浄した。濾過ケーキを空気流中で一夜乾燥し、次いで、真空オーブン中、60℃にて16時間乾燥した。粗生成物をDMA(1.5L)に溶かした。N−アセチルシステイン(30g、0.18mol)をDMA溶液中に加え、溶液を2時間攪拌した。温度を30℃に制御しながら、水(0.8L)を攪拌しながら10分かけて加えた。固体が析出した。混合物を20分間攪拌し、固体を顆粒化させた。追加の水(2.2L)を5分かけて加え、析出を完了させた。混合物を1時間攪拌した。固体を濾過により集め、DMA(0.2L)と水(0.4L)の混合物、水(0.8L)、およびアセトン(0.4L)と水(0.4L)の混合物で順次洗浄した。水含有量が1.5wt%未満まで減少するまで化合物を真空オーブン中60℃にて乾燥した。生成物は、286gの重さがあった(収率93%、見掛けの純度98%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.49(s,9H)、3.92(s,3H)、7.57(s,1H)、7.65(d,1H,J=1.5Hz)、7.68(d,1H,J=1.5Hz)、7.90(s,1H)、8.27(s,1H)、9.40(s,1H)、10.14(s,1H)、11.75(s,br,1H)。
【0087】
8−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−1(6H)−オン塩酸塩10の調製:5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルカルバミン酸tert−ブチル9(236.06g、0.62mol)を、オーバーヘッドスターラー、温度計およびバブラーを備えた10Lフラスコ中に充填した。ジクロロメタン(3.5L)を加え、混合物を10分間攪拌した。次いで、懸濁液を10℃まで冷却し、続いてジオキサン中の4M HCl(2.4L)を10分かけて加えた。温度は、25℃を超えさせなかった。反応混合物を室温にて16時間攪拌した。HPLC分析は、約98%の出発材料が消費されたことを示した。固体を、窒素の保護下で遠心分離により集め、ジクロロメタン(2.2L)で洗浄した。次いで、生成物を、真空オーブン中40℃にて乾燥すると、生成物(239.77g)が得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ3.94(s,3H)、7.47(d,1H,J=1.8Hz)、7.58(d,1H,J=1.8Hz)、7.66(s,1H)、8.00(s,1H)、8.40(s,1H)、10.42(s,1H)、12.51(s,br,1H)。
【0088】
(R)−1−シクロヘキシル−2−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル11の調製:8−アミノ−5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−1(6H)−オン塩酸塩10(224.35g、0.64mol、イオンクロマトグラフィーにより決定される塩化物25.7%を含有する)を無水DMF(2.2L)に懸濁した。4−ジメチルアミノピリジン(197.08g、1.65mol)を加え、混合物を30分間攪拌した。次いで、Boc−D−シクロヘキシルグリシン(179.80g、0.7mol)を加え、混合物を35℃まで加熱した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(158.5g、0.83mol)を一度に加え、反応混合物を50℃にて1時間加熱した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。反応混合物を室温まで冷却した。温度を30℃に維持しながら、水(2.2L)を10分かけて加えた。混合物を20分間攪拌し、固体を顆粒化させた。追加の水(4.4L)を5分かけて加え、析出を完了させ、混合物をさらに30分間攪拌した。固体を濾過により集め、DMF(0.5L)と水(1.5L)の混合物、次いで水(1.0L)で洗浄した。生成物を真空オーブン中60℃にて少なくとも48時間乾燥すると、生成物293.91gが得られた(HPLC純度94.2%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.1(m,5H)、1.36(s,9H)、1.60(m,6H)、3.93(s,3H)、3.96(m,1H)、7.59(s,1H)、7.60(s,1H)、7.92(s,1H)、8.07(s,1H)、8.30(s,1H)、10.05(s,1H)、10.20(s,1H)、11.86(s,br,1H)。
【0089】
(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド1の調製:メタンスルホン酸(44.4g、0.46mol)を、2Lフラスコ中のTHF(690mL)に加えた。(R)−1−シクロヘキシル−2−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イルアミノ)−2−オキソエチルカルバミン酸tert−ブチル11(30.0g、57.74mol)を、粉末ロートを介して加えた。THF(60mL)を用い、ロートおよびフラスコの側面を洗い流した。フラスコに窒素をパージし、反応物を65℃まで加熱し、18〜24時間攪拌した。HPLC分析は、反応が完了したことを示した。反応物を、水浴を用いて室温まで冷却した。温度を20±5℃に維持しながら、2M NaOH(255mL)を30分かけて加えた。5分間攪拌した後、混合物を、洗い流すためのTHFを用い、2L分液ロートに移した。層を分離した。水相をTHF(60mL)で抽出した。有機分画を合わせ、飽和水性NaCl(2×60mL)で2回洗浄した。MeOH(80mL)およびMgSO(42g)を加えた。混合物を75分間攪拌し、次いで、セライトに通して濾過した。ケーキを、9:1THF/MeOH(3×50mL)で洗浄し、溶液を、2L蒸留フラスコに移した。1気圧での蒸留により、溶液を300mLの体積まで濃縮した。EtOH(450mL)をゆっくりと加え、溶液を50℃まで冷却し、生成物を晶出させた。生成物が晶出したら、混合物を再加熱し、450mLの体積まで蒸留した。反応溶媒比は、H NMRによりモニターした。THF含有量が5mol%まで減少したら、蒸留を停止した。得られた黄色の懸濁液を60分かけて25℃まで冷却し、紙上で真空濾過した。濾過ケーキをEtOH(2×75ml)で洗浄した。固体を結晶皿に移し、真空下で55℃にて16時間乾燥した。13.55gの化合物1(54%)が黄色の固体として得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ1.14(m,5H)、1.62(m,6H)、3.10(d,1H,J=5.7Hz)、3.93(s,3H)、7.58(s,1H)、7.59(s,1H)、7.91(s,1H)、8.11(s,1H)、8.29(s,1H)、10.19(s,1H)、11.83(s,br,1H)。
【0090】
(実施例2)
(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド多形性I形の調製:
化合物1のHCl塩から:重炭酸ナトリウムの水溶液(5%;5当量;約18mL)に、少量ずつ、激しく攪拌しながら、(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド塩酸塩(1g)を加えた。混合物に、酢酸エチル500mLおよび水80mLを加えた。懸濁液を10〜15分間激しく攪拌し、攪拌を停止した。有機相を別のエルレンマイヤー中に注意深くデカントし、プロセスをさらに3回、毎回酢酸エチル500mLで繰り返した。合わせた有機相(約2000mL)を食塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。揮発物を真空中で除去し、得られた黄色の固体を一夜乾燥すると、化合物1の多形性I形670mgが得られた(収率約84%)。
【0091】
化合物1の非晶体から:(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体(100mg)をエチルアルコール(1.5mL)と混ぜ、懸濁液を作成した。懸濁液を、激しく攪拌しながら75〜80℃にて5時間加熱し、22℃にて12時間放置した。固体を濾過し、エチルアルコール0.5mLで洗浄した。次いで、ハウス真空で24時間乾燥し、その後、真空ポンプで25〜30℃にてさらに12時間乾燥すると、結晶性物質66mgが得られた。
【0092】
(実施例3)
(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド多形性II形の調製:
化合物1、(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形(50mg)を、メタノール1mL中で4℃にて23日間スラリーにした。スラリーを14,000RPMで遠心分離し、固体を分離した。固体を低温真空オーブン中で乾燥すると、II形が得られた。
【0093】
(実施例4a)
(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド非晶体の非晶体の第1バッチの調製:
1.3gの化合物11(2HCl)を、22℃にて水(200mL)に溶かし、続いて、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)および酢酸エチル500mLを加えた。重炭酸ナトリウムをさらに2匙と、水をさらに50mL加えた。激しく攪拌した後、混合物を濾過し、相を分離した。水相を酢酸エチル(200mL2回)で再抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、続いて10mLまで揮発物を蒸発させると、黄色の固体が得られ、それを濾過して乾燥した。得られた非晶質物質の総量は、690mgであった。
【0094】
(実施例4b)
(2R)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミド非晶体の第2バッチの非晶体の調製:
化合物1の多形性I形749.2mgを、USP等級エタノール850mLに溶かした。溶液を、ブフナーロートおよびWhatman2型濾紙を用いて真空濾過した。濾過した溶液を、190mm×100mmの結晶皿に移し、周囲条件下で63時間蒸発させた。オレンジ色の固体589.1mgが、化合物1の非晶体の第2バッチとして回収された。
【0095】
(実施例5)
化合物1の多形性I形(第2スペクトル)、II形(第2スペクトル)および非晶体(第2バッチ)の13C固体NMR
試料は、ZrOローターに充填した。I形および非晶質試料は、4mmローターに充填し、II形の試料は、7mmローターに充填した。炭素スペクトルは、ワイドボアBruker−Biospin Advance DSX 500MHz NMR分光計内に配置されたBruker−Biospin 4および7mmCPMASプローブで周囲条件にて集めた。ローターは、マジック角に置き、15.0kHz(4mmローター)および7.0kHz(7mmローター)で回転させた。速い回転速度は、スピニングサイドバンドの強度を最小限に抑えた。スキャン数を調整し、十分なS/Nを得た。I形および非晶質試料の一次元13Cスペクトルは、H−13C交差双極マジック角回転(CPMAS)を用いて集め、II形試料の場合には、その後にスピニングサイドバンドの完全な抑制(TOSS)を行った。TOSSは、スピニングサイドバンドを抑制するために適用した。シグナル感度を最適化するため、交差分極接触時間を2.0msに調整し、デカップリング磁界を約75kHzに設定した。I形については30sのリサイクルディレイで512のスキャンを取得し、II形については30sのリサイクルディレイで256のスキャンを取得し、非晶質試料については3sのリサイクルディレイで2048のスキャンを取得した。すべてのスペクトルは、その高磁場シグナルが29.5ppmに設定されているアダマンタンの外部試料を用いて参照した。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図2】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性II形のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図3a】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体(第1バッチ)のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図3b】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体(第2バッチ)のX線粉末回折パターンを示す図である。
【図4a】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形の固体13C交差分極およびマジック角回転(CP/MAS)NMR(第1スペクトル)を示す図である。
【図4b】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性I形の固体13C交差分極およびマジック角回転(CP/MAS)NMR(第2スペクトル)を示す図である。
【図5a】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性II形の固体13C CP/MAS NMR(第1スペクトル)を示す図である。
【図5b】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの多形性II形の固体13C CP/MAS NMR(第2スペクトル)を示す図である。
【図6】(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体(第2バッチ)の固体13C CP/MAS NMRを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの結晶体。
【請求項2】
I形の多形体である請求項1に記載の結晶体。
【請求項3】
23.6±0.1および8.5±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項2に記載の結晶体。
【請求項4】
図1に示されているものと本質的に同じ回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項2に記載の結晶体。
【請求項5】
化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項2に記載の結晶体。
【請求項6】
化学シフト175.0±0.2、137.6±0.2、134.9±0.2、110.3±0.2、106.3±0.2、41.1±0.2および32.6±0.2ppmにおける7本のピークのうちの少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本または少なくとも6本を含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項2に記載の結晶体。
【請求項7】
図4bに示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項2に記載の結晶体。
【請求項8】
実質的に純粋なI形の多形体である請求項2から7のいずれかに記載の結晶体。
【請求項9】
II形の多形体である請求項1に記載の結晶体。
【請求項10】
25.3±0.1および16.0±0.1の回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項9に記載の結晶体。
【請求項11】
図2に示されているものと本質的に同じ回折角(2θ)におけるピークを含む粉末X線回折パターンを有する請求項9に記載の結晶体。
【請求項12】
化学シフト177.0±0.2、133.2±0.2、127.8±0.2、103.8±0.2および22.7±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項9に記載の結晶体。
【請求項13】
化学シフト177.7±0.2、133.2±0.2、127.8±0.2、103.8±0.2および22.7±0.2ppmにおける5本のピークのうちの少なくとも3本または少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項9に記載の結晶体。
【請求項14】
図5bに示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項9に記載の結晶体。
【請求項15】
実質的に純粋なII形の多形体である請求項9から14のいずれかに記載の結晶体。
【請求項16】
(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの非晶体。
【請求項17】
化学シフト163.6±0.2、138.9±0.2、131.4±0.2、129.9±0.2、および30.8±0.2ppmにおけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項16に記載の非晶体。
【請求項18】
化学シフト163.6±0.2、138.9±0.2、131.4±0.2、129.9±0.2、および30.8±0.2ppmにおける5本のピークのうちの少なくとも3本または少なくとも4本を含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項16に記載の非晶体。
【請求項19】
図6に示されているものと本質的に同じ化学シフト位置におけるピークを含む13C固体NMRピークパターンを有する請求項16に記載の非晶体。
【請求項20】
実質的に純粋である請求項16から19に記載の非晶体。
【請求項21】
多形体I形、多形体II形および非晶体から選択される少なくとも2つの形態を含む(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの固形体。
【請求項22】
少なくとも80%の多形体I形を含む請求項21に記載の固形体。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの形態を含む医薬組成物。
【請求項24】
哺乳類において癌を治療する方法であって、必要としている哺乳類に、抗癌剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗癌治療と組み合わせて、治療有効量の請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項25】
CHK1タンパク質キナーゼ活性によって仲介される哺乳類の疾患状態を治療する方法であって、それを必要としている哺乳類に、抗癌剤および放射線療法から選択される治療有効量の抗癌治療と組み合わせて、請求項1から23のいずれかに記載の(2R,Z)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−(5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−[1,2]ジアゼピノ[4,5,6−cd]インドール−8−イル)アセトアミドの形態を投与することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−277241(P2007−277241A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−98051(P2007−98051)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】