説明

(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの固体形態及びその使用方法

無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの固体形態、さらには様々な疾患及び障害の治療におけるその使用方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの固体形態及びその使用方法に関する。
【0002】
本願は、2008年7月17日に出願された米国特許仮出願第61/081,423号(その全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
同じ化合物の異なる固体形態は、実質的に異なる性質を有し得る。例えば、或る薬物の非晶形態は、その結晶形態(複数可)とは異なる溶解特性及び異なるバイオアベイラビリティパターン、すなわち、最適な効果を達成するための薬物の投与方法に影響を及ぼす可能性のある性質を有する場合がある。薬物の非晶形態及び結晶形態はまた、異なる取扱性(例えば、流動性、圧縮性)、溶解速度、溶解度及び安定性を有する場合があり、これら全てが剤形の製造に影響を及ぼす可能性がある。結果的に、様々な理由から、薬物の複数の形態を利用することができることが望ましい。さらに、規制当局(例えば、米国食品医薬品局)が、新規の薬物物質を含有する製品の前に、新規の薬物物質の全ての固体(例えば、多形)形態の同定を要求する場合がある(非特許文献1)。
【0004】
化合物は1つ又は複数の結晶形態で存在し得るが、それらの形態の存在及び特性を確実に予測することはできない。さらに、化合物の考えられる全ての多形形態の調製に関する標準的な手順は存在しない。また、一多形が同定された後であっても、他の形態の存在及び特性はさらなる実験作業によって求めることしかできない(同上)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Goho, Science News 166(8):122-123 (2004)
【発明の概要】
【0006】
3. 発明の概要
本発明は、一部には、ナトリウム・グルコース共輸送体2の阻害剤である、無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの非晶及び結晶固体形態に関する。
【0007】
本発明の一実施の形態は、本明細書中に記載の固体形態を含む医薬組成物を包含する。
【0008】
別の実施の形態は、本明細書中に記載の固体形態を用いる、SGLT2活性を阻害する方法並びに様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する方法を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
4. 図面の簡単な説明
【図1】結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す図である。VANTEC−1検出器を備えたBruker製のD8 Advance System(Cu Kα放射)を用いて回折グラフ(diffractogram)を得た。
【図2】結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1のFT−ラマンスペクトルを示す図である。Bruker製のRFS100を用いて励起波長1064nmでスペクトルを得た。
【図3】結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2のXRPDパターンを示す図である。VANTEC−1検出器を備えたBruker製のD8 Advance System(Cu Kα放射)を用いて回折グラフを得た。
【図4】結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2のFT−ラマンスペクトルを示す図である。Bruker製のRFS100を用いて励起波長1064nmでスペクトルを得た。
【発明を実施するための形態】
【0010】
5. 発明の詳細な説明
本発明は、一部には、無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール:
【0011】
【化1】

【0012】
の固体(例えば、結晶)形態に関する。この化合物はナトリウム・グルコース共輸送体2の阻害剤であり、糖尿病並びに他の様々な疾患及び病態の治療において有用であり得る。2007年9月28日に出願された米国特許出願第11/862,690号を参照されたい。
【0013】
本発明は、無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの固体形態を含む剤形及びその使用方法にも関する。
【0014】
5.1. 定義
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、特定の疾患若しくは障害に既に罹患している患者において疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害に罹患している患者が寛解期にある時間を延長させることを包含する。これらの用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/若しくは継続期間を調節すること、又は患者の疾患若しくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。
【0015】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に行う処置を意図するものであり、これによって疾患又は障害の重症度が抑制又は低減される。換言すると、これらの用語は予防法を包含する。
【0016】
特に明示のない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは病態、若しくは疾患若しくは病態に関連する1つ若しくは複数の症状を予防するのに、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独で又は他の薬剤と組み合わせて、疾患又は病態の予防において予防的利点をもたらす治療剤の量を意味する。「予防的有効量」という用語は、予防法を全体的に改善するか、又は別の予防剤の予防的効力を高める量を包含し得る。
【0017】
特に明示のない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患若しくは病態の治療若しくは管理において治療的利点をもたらすのに、又は疾患若しくは病態に関連した1つ若しくは複数の症状を遅延若しくは最小化するのに十分な量である。化合物の「治療的有効量」は、単独で又は他の治療法と組み合わせて、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点をもたらす治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、治療法全体を改善するか、疾患若しくは病態の症状若しくは原因を低減若しくは回避するか、又は別の治療剤の治療的効力を高める量を包含し得る。
【0018】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患している間に行う処置を意図するものであり、これによって疾患若しくは障害の重症度又はその症状の1つ若しくは複数が低減するか、又は疾患若しくは障害の進行が遅延若しくは減速する。
【0019】
特に明示のない限り、「挙げられる(include)」という用語は、「限定するものではないが、〜が挙げられる」と同じ意味を有し、「挙げられる(includes)」という用語は、「限定するものではないが、〜が挙げられる」と同じ意味を有する。同様に、「等(such as)」という用語は、「例えば、限定するものではないが、〜等」という用語と同じ意味を有する。
【0020】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞を修飾するものとして解釈される。例えば、「任意に置換されたアルキル(alky)、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0021】
満たされていない原子価を有する図中に示された任意の原子は、この原子価を満たすのに十分な水素原子と結合していると推測されることにも留意すべきである。さらに、一本の破線に平行な一本の実線で示された化学結合は、原子価が許容する場合、単結合及び二重(例えば、芳香族)結合の両方を包含する。1つ又は複数のキラル中心を有する化合物を表すが、(例えば、太線又は破線で)立体化学を示さない構造は、純粋な立体異性体及びそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する。同様に、1つ又は複数のキラル中心を有するが、これらの中心の立体化学を特定しない化合物の名称は、純粋な立体異性体及びそれらの混合物を包含する。
【0022】
5.2. 固体形態
本発明は、無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール:
【0023】
【化2】

【0024】
の固体形態に関する。一実施形態は固体非晶形態に関する。別の実施形態は固体結晶形態に関する。
【0025】
本明細書中で形態1と称される特定の結晶形態は、示差走査熱分析(DSC)吸熱が約124℃にある。この文脈で、「約(about)」という用語は±5.0℃を意味する。一実施形態において、この形態は、約4.0°、8.1°、9.8°、14.0°及び/又は19.3°の2θのうちの1つ又は複数のピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを与える。この文脈で、「約」という用語は±0.3°を意味する。当業者が十分に認識しているように、XRPDパターンにおけるピークの相対的強度は、サンプルの調製方法、データの収集方法に応じて異なる可能性がある。このことを考慮して、この形態のXRPDパターンの例を図1に示す。
【0026】
一実施形態において、この形態は、約3068cm−1、2929cm−1、2888cm−1、2881cm−1、1615cm−1、1603cm−1、1244cm−1、1037cm−1、692cm−1及び/又は372cm−1のうちの1つ又は複数のピークを有するラマンスペクトルを与える。この文脈で、「約」という用語は±2cm−1を意味する。当業者が十分に認識しているように、ラマンスペクトルにおけるピークの相対的強度はサンプルの調製方法、データの収集方法に応じて異なる可能性がある。このことを考慮して、この形態のFT−ラマンスペクトルの例を図2に示す。
【0027】
本明細書中で形態2と称される特定の結晶形態は、示差走査熱分析(DSC)吸熱が約134℃にある。この文脈で、「約」という用語は±5.0℃を意味する。一実施形態において、この形態は、約4.4°、4.8°、14.5°、14.7°、15.5°、21.2°、22.1°及び/又は23.8°の2θのうちの1つ又は複数のピークを有するXRPDパターンを与える。この文脈で、「約」という用語は±0.3°を意味する。この形態のXRPDパターンの例を図3に示す。
【0028】
一実施形態において、この形態は、約3061cm−1、2927cm−1、2877cm−1、2864cm−1、1605cm−1、1038cm−1、842cm−1及び/又は719cm−1のうちの1つ又は複数のピークを有するラマンスペクトルを与える。この文脈で、「約」という用語は±2cm−1を意味する。この形態のFT−ラマンスペクトルの例を図4に示す。
【0029】
本発明は、無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの異なる結晶形態を含む組成物を包含する。本発明は、化合物の非晶形態及び結晶形態の両方の混合物である固体も包含する。或る特定のかかる固体は、結晶(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールを少なくとも約50重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は99重量%の量で含む。
【0030】
5.3. 使用方法
本発明は、SGLT2活性を阻害する方法であって、SGLT2と有効量の本発明の化合物(すなわち、本明細書中で開示した化合物)とを接触させることを含む、方法を包含する。一実施形態において、タンパク質はin vivoにある。別の実施形態において、タンパク質はex vivoにある。
【0031】
本発明は、患者(例えば、ヒト、イヌ又はネコ等の哺乳動物)における血中グルコースを減少させる方法であって、該患者に対し有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法も包含する。
【0032】
本発明は、患者の尿中グルコース排泄を増加させる方法であって、該患者に対し有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法も包含する。
【0033】
本発明は、患者におけるインスリン感受性を回復又は増加させる方法であって、該患者に対し有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法も包含する。
【0034】
本発明は、患者における疾患又は障害を治療、管理又は予防する方法であって、該患者に対し治療的有効量又は予防的有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法も包含する。疾患及び障害の例としては、アテローム性動脈硬化症、循環器疾患、糖尿病(1型及び2型)、高血糖、高血圧、脂質障害、肥満及びX症候群が挙げられる。特定の疾患は2型糖尿病である。
【0035】
化合物の量、投与経路及び投薬スケジュールは、治療、予防又は管理対象の特定の適用症、並びに患者の年齢、性別及び病態等の因子に応じて決定することができる。かかる因子が果たす役割は当該技術分野において既知であり、日常実験によって適合させることができる。
【0036】
5.4. 医薬製剤
本発明は、1つ又は複数の本発明の化合物を含む医薬組成物を包含する。或る特定の医薬組成物は、患者への経口投与、粘膜投与(例えば、鼻、舌下、腟、頬側又は直腸)、非経口投与(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内又は動脈内)又は経皮投与に好適な単一の単位剤形である。剤形の例としては、限定するものではないが、錠剤;カプレット;軟弾性ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻腔スプレー又は吸入器);ゲル;懸濁液(例えば、水性若しくは非水性の液体懸濁液、水中油型エマルジョン又は油中水型液体エマルジョン)、溶液及びエリキシルを含む、患者への経口投与又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供することができる無菌固体(例えば、結晶固体又は非晶固体)が挙げられる。
【0037】
製剤は投与方式に合わせる必要がある。例えば、経口投与は、本発明の化合物を消化管内での分解から保護するために腸溶性コーティングを必要とする。同様に、製剤は作用部位への活性成分(複数可)の送達を容易にする成分を含有し得る。例えば、化合物は、分解酵素から保護し、循環系における輸送を容易にし、細胞膜を通って細胞内部位へ至る送達を行うために、リポソーム製剤で投与され得る。
【0038】
剤形の組成、形状及び種類はその用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性期治療で用いる剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同じ疾患の慢性期治療で用いる剤形よりも多量に含有していてもよい。同様に、非経口剤形は、1つ又は複数の活性成分を、同じ疾患を治療するために用いる経口剤形よりも少量含有していてもよい。これらの方法及び他の方法において本発明により包含される特定の剤形が互いに異なるものは当業者には容易に明らかとなる。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
【0039】
5.4.1. 経口剤形
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、個別の剤形、例えば、限定するものではないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル及び液体(例えば、香味付与したシロップ)等として提供することができる。かかる剤形は所定量の活性成分を含有し、当業者に既知の製薬法によって調製することができる。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
【0040】
典型的な経口剤形は、従来の医薬配合技法に従い、密接な混和物中で活性成分(複数可)を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって調製する。賦形剤は、投与に望ましい調製物の形態に応じて広範な種類の形態をとることができる。
【0041】
投与のしやすさのため、錠剤及びカプセルが最も有益な経口単位剤形である。所望により、錠剤は、標準的な水性技法又は非水性技法によってコーティングすることができる。かかる剤形は、従来の製薬法により調製することができる。概して、医薬組成物及び医薬剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体、又は両方と均一かつ密接に混和した後、生成物を必要に応じて所望の形状(presentation)に成形することによって調製する。崩壊剤を固体剤形に組み込み、迅速な溶解を容易にする(facility)こともできる。また、滑沢剤を組み込んで、剤形(例えば、錠剤)の製造を容易にすることもできる。
【0042】
5.4.2. 非経口剤形
非経口剤形は、様々な経路、例えば、限定するものではないが、皮下経路、静脈内経路(ボーラス注射を含む)、筋肉内経路及び動脈内経路等によって患者に投与することができる。典型的には汚染物質に対する患者の自然の防御を介さずに投与するため、非経口剤形は具体的には無菌であるか、又は患者に投与する前に滅菌され得る。非経口剤形の例としては、限定するものではないが、すぐに注射することができる溶液、薬学的に許容される注射用ビヒクルにすぐに溶解又は懸濁することができる乾燥品、すぐに注射することができる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられる。
【0043】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる好適なビヒクルは当業者に既知である。例としては、限定するものではないが、注射用水(USP);水性ビヒクル、例えば、限定するものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル注射液等;水混和性ビヒクル、例えば、限定するものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定するものではないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル及び安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0044】
5.4.3. 経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形
経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形としては、限定するものではないが、点眼溶液、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液又は当業者に既知の他の形態が挙げられる。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第16版及び第18版、Mack Publishing、Easton PA(1980 & 1990)及び「医薬剤形序論(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」第4版、Lea & Febiger、Philadelphia(1985)を参照されたい。経皮剤形としては、皮膚に貼付し特定の期間装用することにより、所望量の活性成分を透過させることができる、「リザーバ型」パッチ又は「マトリクス型」パッチが挙げられる。
【0045】
経皮剤形、局所剤形及び粘膜剤形を提供するために用いることができる好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野の当業者に既知であり、所与の医薬組成物又は医薬剤形が適用される特定の組織によって決定される。
【0046】
治療対象の特定の組織に応じて、本発明の活性成分による治療の前に、治療と同時に、又は治療後に、さらなる構成成分を用いることができる。例えば、組織への活性成分の送達を補助するために透過亢進剤を用いることができる。
【0047】
医薬組成物若しくは医薬剤形のpH、又は医薬組成物若しくは医薬剤形が適用される組織のpHを調整して、1つ又は複数の活性成分の送達を改善することもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は張性を調整して、送達を改善することができる。また、送達が改善するように、ステアリン酸塩等の化合物を医薬組成物又は医薬剤形に添加して、1つ又は複数の活性成分の親水性又は親油性を有利に改変することができる。この点に関して、ステアリン酸塩は、製剤用の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達亢進剤又は透過亢進剤として機能し得る。活性成分の種々の塩、水和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【実施例】
【0048】
6. 実施例
本発明の態様は以下の実施例から理解することができる。
【0049】
6.1. ((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノンの合成
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えた12L容の三つ口丸底フラスコに、L−(−)−キシロース(504.40g、3.360mol)、アセトン(5L、試薬グレード)及び無水MgSO粉末(811.23g、6.740mol/2.0当量)を投入した。周囲温度で懸濁液を撹拌状態にした後、濃HSO(50mL、0.938mol/0.28当量)を添加した。ゆるやかで穏やかな発熱を認め(約1時間かけて温度は24℃に上昇した)、反応液を周囲温度で一晩撹拌した。16.25時間後、TLCから全てのL−キシロースがなくなっており、主生成物はビスアセトニドであり、幾らかの(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールと共に存在したことが示唆された。反応混合物を濾過し、回収した固体をアセトンで2回洗浄した(1回の洗浄につき500mL)。撹拌中の黄色の濾液を濃NHOH溶液(39mL)で中和してpH=8.7にした。10分間の撹拌後、懸濁した固体を濾過により除去した。濾液を濃縮することにより、未精製ビスアセトニド中間体を黄色の油(725.23g)として得た。この黄色の油を、メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えた5L容の三つ口丸底フラスコ内を撹拌しながら水2.5Lに懸濁させた。pHを1N HCl水溶液(142mL)で9から2に調整し、GCがビスアセトニド中間体から(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールへの十分な変換を示すまで室温で6時間撹拌した。反応液を50%(w/w)KHPO水溶液を添加してpH=7まで中和した。次いで溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(1.25L)を添加することにより、白色の懸濁液が得られ、これを濾過した。濾液を真空下で濃縮すると橙色の油が得られ、これをメチルtert−ブチルエーテル1Lに溶解させた。この溶液はKFが水分0.23重量%であり、これを濃縮することにより、(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールを橙色の油(551.23g、収率86%、GCによる純度96.7面積%)として得た。H NMR(400MHz、DMSO−d)δ1.22(s、3H)、1.37(s、3H)、3.51(dd、J=11.12Hz、5.81Hz、1H)、3.61(dd、J=11.12Hz、5.05Hz、1H)、3.93〜4.00(m、1H)、3.96(s、1H)、4.36(d、J=3.79Hz、1H)、4.86(br s、2H)、5.79(d、J=3.54Hz、1H)。13C NMR(101MHz、DMSO−d)δ26.48、27.02、59.30、73.88、81.71、85.48、104.69、110.73。
【0050】
(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オール(25.0g、131mmol)のアセトン(375mL、15×)及びHO(125mL、5×)溶液に、NaHCO(33.0g、3.0当量)、NaBr(2.8g、20mol%)及びTEMPO(0.40g、2mol%)を20℃で添加した。混合物を0℃〜5℃に冷却した後、固体トリクロロイソシアヌル酸(TCCA、30.5g、1.0当量)を数回に分けて添加した。懸濁液を20℃で24時間撹拌した。メタノール(20mL)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌した。この時点で白色の懸濁液が形成された。混合物を濾過し、アセトン(50mL、2×)で洗浄した。有機溶媒を真空下で除去し、水層をEtOAc(300mL、12× 3回)で抽出し、合わせた有機層を濃縮することにより、固体残渣を幾らか含む油状混合物を得た。アセトン(125mL、5×)を添加し、混合物を濾過した。次いでアセトン溶液を濃縮することにより、所望の酸((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸)を黄色の固体(21.0g、79%)として得た。H NMR(メタノール−d)、δ6.00(d、J=3.2Hz、1H)、4.72(d、J=3.2Hz、1H)、4.53(d、J=3.2Hz、1H)、4.38(d、J=3.2Hz、1H)、1.44(s、3H)、1.32(s、3H)。
【0051】
(3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸(5.0g、24.5mmol)のTHF(100mL、20×)溶液に、TBTU(11.8g、1.5当量)、N−メチルモルホリン(NMM、4.1mL、1.5当量)を添加し、混合物を20℃で30分間撹拌した。次いでモルホリン(3.2mL、1.5当量)を添加し、反応混合物を20℃でさらに6時間撹拌した。固体を濾過し、ケーキをTHF(10mL、2× 2回)で洗浄した。有機溶液を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン:EtOAc、1:4から4:1)で精製することにより、所望のモルホリンアミド4.3g(64%)を白色固体として得た。H NMR(CDCl)、δ6.02(d、J=3.2Hz、1H)、5.11(br s、1H)、4.62(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、3.9〜3.5(m、8H)、1.51(s、3H)、1.35(s、3H)。
【0052】
6.2. ((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノンの代替的な合成
ジオールである(3aS,5S,6R,6aS)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−6−オールのアセトニトリル溶液(5.38kg、65%(w/w)、3.50kg活性、18.40mol)、アセトニトリル(10.5L)及びTEMPO(28.4g、1mol%)を、KHPO(0.32kg、1.84mol)及びKHPO(1.25kg、9.20mol)の水(10.5L)溶液に添加した。NaClO(3.12kg、80%(w/w)、27.6mol、1.50当量)の水(7.0L)溶液及びKHPO(2.89kg、0.90当量)の水(3.0L)溶液を冷却しながら調製した。漂白剤(3.0L、6%程度の家庭用グレード)をKHPO溶液と混合した。NaClO溶液(1.6L)及び漂白剤/KHPO溶液(400mL、約1mol%)の20%程度を添加した。2つの溶液の残りを同時に添加した。反応混合物が暗赤褐色に変わり、ゆるやかな発熱が観察された。バッチを15℃〜25℃に維持しながら、NaClO溶液は約40mL/分の速度で添加し(3時間〜4時間添加)であり、漂白剤/KHPO溶液は約10mL/分〜12mL/分の速度で添加した(10時間添加)。反応が完結に至るまで、TEMPO(14.3g、0.5mol%)を5時間〜6時間毎にさらに投入した(通常2回の投入で十分である)。黄緑色がかったガスが容器内に蓄積しないように、水(aqueous)を用いたスクラバへのヘッドスペースの窒素掃引を実施した。反応混合物を10℃未満に冷却し、3回に分けたNaSO(1.4kg、0.6当量)で1時間かけてクエンチした。次いで反応混合物を5℃〜15℃でpHが2.0〜2.1に達するまでHPOで酸性化した(2.5L〜2.7L)。層を分離し、水層をアセトニトリル(10.5L 3回)で抽出した。合わせた有機層を、35℃未満(蒸気28℃〜32℃、浴45℃〜50℃)の真空下(約100torr〜120torr)で濃縮して、低体積にした(約6L〜7L)後、アセトニトリルで体積を約12L〜15Lに希釈した場合に溶液のKFが1%未満に達するまでアセトニトリル(40L)でフラッシュした。モルホリン(1.61L、18.4mol、1.0当量)を4時間〜6時間かけて添加し、スラリーを窒素下で一晩寝かせた。混合物を0℃〜5℃に冷却し、3時間寝かせた後、濾過した。濾過ケーキをアセトニトリル(10L)で洗浄した。窒素を流して乾燥させることにより、((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸のモルホリン塩4.13kgを白色固体(内部標準として1,4−ジメトキシベンゼンを用いたH NMRに基づく純度92%〜94%)、純度に関して補正した収率72%〜75%として得た。H NMR(DO)δ5.96(d、J=3.6Hz、1H)、4.58(d、J=3.6Hz、1H)、4.53(d、J=3.2Hz、1H)、4.30(d、J=3.2Hz、1H)、3.84(m、2H)、3.18(m、2H)、1.40(s、1H)、1.25(s、1H)。13H NMR(DO)δ174.5、112.5、104.6、84.2、81.7、75.0、63.6、43.1、25.6、25.1。
【0053】
((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−カルボン酸のモルホリン塩(7.85kg、26.9mol)、モルホリン(2.40L、27.5mol)及びホウ酸(340g、5.49mol、0.2当量)をトルエン(31L)に添加した。得られたスラリーを脱気し、窒素下でディーン・スタークトラップを用いて12時間加熱還流した後、室温に冷却した。混合物を濾過して不溶物を除去し、濾過ケーキをトルエン(5L)で洗浄した。濾液を約14Lに濃縮し、トルエン(約80L)で洗い流して過剰のモルホリンを除去した。最終体積が約12Lになると、ヘプタン(14L)を60℃〜70℃でゆっくりと添加した。得られたスラリーを室温に徐々に冷却し、3時間寝かせた。次いで濾過し、ヘプタン(12L)で洗浄し、窒素下で乾燥させることにより、僅かにピンク色の固体(6.26kg、純度97%、収率98%)を得た。融点:136℃(DSC)。H NMR(CDCl)、δ6.02(d、J=3.2Hz、1H)、5.11(br s、1H)、4.62(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、3.9〜3.5(m、8H)、1.51(s、3H)、1.35(s、3H)。13C NMR(メタノール−d)δ26.84、27.61、44.24、47.45、68.16、77.14、81.14、86.80、106.87、113.68、169.05。
【0054】
6.3. 1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼンの合成
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラー付き等圧滴下ロートを備えた2L容の三つ口丸底フラスコに、2−クロロ−5−ヨード安息香酸(199.41g、0.706mol)、ジクロロメタン(1.2L、KF=水分0.003重量%)を投入し、周囲温度で懸濁液を撹拌状態にした。次いでN,N−ジメチルホルムアミド(0.6mL、1.1mol%)を添加した後、塩化オキサリル(63mL、0.722mol、1.02当量)を11分かけて添加した。反応液を周囲温度で一晩撹拌し、溶液にした。18.75時間後、未反応の出発原料がなくなるように、さらなる塩化オキサリル(6mL、0.069mol、0.10当量)を添加した。2時間後、反応混合物を真空下で濃縮することにより、次工程に持ち越す、未精製の2−クロロ−5−ヨードベンゾイルクロリドを淡黄色の発泡体として得た。
【0055】
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラー付き等圧滴下ロートを備えたジャケット付き2L容の三つ口丸底フラスコに、塩化アルミニウム(97.68g、0.733mol、1.04当量)、ジクロロメタン(0.65L、KF=水分0.003重量%)を投入し、窒素下で懸濁液を撹拌状態にして、約6℃に冷却した。次いで9℃未満に内温を保ちながらエトキシベンゼン(90mL、0.712mol、1.01当量)を7分かけて添加した。得られた橙色の溶液をジクロロメタン(75mL)で希釈し、−7℃に冷却した。次いで2−クロロ−5−ヨードベンゾイルクロリド(0.706mol以下)のジクロロメタン(350mL)溶液を、内温を+3℃未満に保ちながら13分間かけて添加した。反応混合物を僅かに加温し、+5℃で2時間保持した。HPLC分析から反応の完結が示唆され、ジャケット付き丸底フラスコ内を攪拌しながら、予め冷却した(約5℃)2N HCl水溶液450mL中に反応液をクエンチした。このクエンチは内温を28℃未満に保ちながら10分かけて数回に分けて行った。クエンチした二相性混合物を20℃で45分間撹拌し、下部の有機相を1N HCl水溶液(200mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回(1回の洗浄につき200mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で洗浄した。洗浄した抽出液をロータリーエバポレーターで濃縮することにより、未精製の(2−クロロ−5−ヨードフェニル)(4−エトキシフェニル)メタノンをオフホワイト色の固体(268.93g、220nmでのHPLCにより99.0面積%、200nmでの位置異性体1.0面積%、「そのままの()“as-is”」収率98.5%)として得た。
【0056】
メカニカルスターラー、温度プローブ付きラバーセプタム及びガスバブラーを備えたジャケット付き1L容の三つ口丸底フラスコに、未精製の(2−クロロ−5−ヨードフェニル)(4−エトキシフェニル)メタノン(30.13g、77.93mmol)、アセトニトリル(300mL、KF=水分0.004重量%)を投入し、窒素下で懸濁液を撹拌状態にして、約5℃に冷却した。次いでトリエチルシラン(28mL、175.30mmol、2.25当量)を添加した後、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテラート(24mL、194.46mmol、2.50当量)を約30秒かけて添加した。反応液を30分かけて周囲温度に加温し、17時間撹拌した。反応液をメチルtert−ブチルエーテル(150mL)で希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)を約1分かけて添加した。穏やかなガス発生を認め、二相性溶液を周囲温度で45分間撹拌した。上部の有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)及び飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄した。洗浄した抽出液をロータリーエバポレーターで元の体積の約半分に濃縮し、水(70mL)で希釈した。白色の小粒が形成されるまで45℃の真空下でさらに濃縮し、これを撹拌しながら周囲温度に冷却した。周囲温度で約30分後、懸濁した固体を濾過により単離し、水(30mL)で洗浄し、45℃の真空下で乾燥させた。約2.5時間後、これにより、1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼンを僅かに蝋様である白色の顆粒粉末(28.28g、220nmでのHPLCにより98.2面積%、「そのままの」収率97.4%)として得た。
【0057】
6.4. (4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノンの合成
1−クロロ−2−(4−エトキシベンジル)−4−ヨードベンゼン(500mg、1.34mmol)のTHF(5.0mL)溶液に、i−PrMgCl(2.0M THF溶液、1.0mL、2.00mmol)を0℃〜5℃で添加し、混合物を0℃〜5℃で1.5時間撹拌した。(3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)(モルホリノ)メタノン(146.5mg、0.536mmol)のTHF(1.0mL)溶液を0℃〜5℃で滴下により添加し、混合物を1時間続けて撹拌し、20℃に加温し、20℃で2時間撹拌した。反応液を飽和NHCl水溶液でクエンチし、MTBEで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することにより、所望のケトン(178mg、76%)を白色固体として得た。H NMR(CDCl)δ7.88(dd、J=8.4Hz、2.0Hz、1H)、7.82(d、J=2.0Hz、1H)、7.50(d、J=8.4Hz、1H)、7.12(d、J=8.4Hz、2H)、6.86(d、J=8.4Hz、2H)、6.07(d、J=3.2Hz、1H)、5.21(d、J=3.2Hz、1H)、4.58(d、J=3.2Hz、1H)、4.56(d、J=3.2Hz、1H)、4.16(d、J=7.2Hz、2H)、4.03(q、J=7.2Hz、2H)、1.54(s、3H)、1.42(t、J=7.2Hz、3H)、1.37(s、3H)。
【0058】
6.5. (4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノンの代替的な合成
メカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた20L容の反応器に、ヨウ化物(3.00kg、8.05mol)及びTHF(8L、モルホリノアミドに対して4×)を室温で投入し、−5℃に冷却した。上記溶液に、i−PrMgClのTHF溶液(Aldrich 2M、4.39L、8.82mol)を−5℃で3時間かけて滴下により添加した。このグリニャール溶液は以下のケトン形成で用いた。
【0059】
メカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた50L容の反応器に、モルホリノアミド(HPLC純度=97重量%、2.01kg、7.34mol)及びTHF(11L、5.5×)を室温で投入し、室温で45分間、30℃で15分間撹拌した。次いで均質溶液を−25℃に冷却した。この溶液に、t−BuMgClのTHF溶液(Aldrich 1M、7.32L、7.91mol)を−25℃で3時間かけて添加した。次いでこの溶液に上記グリニャール溶液を−20で41分かけて添加した。得られた溶液をさらに−20℃で撹拌した後、クエンチした。反応混合物を激しく撹拌しながら10重量% NHCl水溶液(10L、5×)に0℃で添加し、0℃で30分間撹拌した。この混合物に、6N HCl(4L、2×)を0℃でゆっくりと添加して清澄な溶液を得て、10℃で30分間撹拌した。相分離後、有機層を25重量% NaCl水溶液(5L、2.5×)で洗浄した。次いで有機層を200mbar、浴温50℃の条件下、3×溶液に濃縮した。EtOAc(24L、12×)を添加し、150mbar、浴温50℃の条件下、3×溶液に蒸発させた。清澄(polish)濾過によって固体を除去した後、EtOAc(4L、2×)を添加し、濃縮乾固した(150mbar、浴温50℃)。次いで湿ケーキをメカニカルスターラー、温度制御器及び窒素導入口を備えた50L容の反応器に移した。EtOAcを添加した後、懸濁液を70℃で加熱して2.5×均質溶液を得た。得られた均質溶液に、同じ温度でヘプタン(5L、2.5×)をゆっくりと添加した。均質溶液に種結晶を添加し、ヘプタン(15L、7.5×)を70℃で僅かに濁った溶液にゆっくりと添加した。70℃で0.5時間撹拌した後、懸濁液を60℃にゆっくりと冷却し、60℃で1時間撹拌した。次いで懸濁液を室温にゆっくりと冷却し、同じ温度で14時間撹拌した。結晶を回収し、ヘプタン(8L、4×)で洗浄し、45℃の真空下で乾燥させることにより、所望のケトンをふわふわした固体(2.57kg、HPLCにより100重量%、純度調整収率:81%)として得た。
【0060】
6.6. (2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテートの合成
ケトンである(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−((3aS,5R,6S,6aS)−6−ヒドロキシ−2,2−ジメチルテトラヒドロフロ[2,3−d][1,3]ジオキソール−5−イル)メタノン(114.7g、0.265mol)のMeOH(2L、17×)溶液に、CeCl・7HO(118.5g、1.2当量)を添加し、混合物を全ての固体が溶解するまで20℃で撹拌した。次いで混合物を−78℃に冷却し、NaBH(12.03g、1.2当量)を反応の温度が−70℃を超えないように数回に分けて添加した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、0℃にゆっくりと加温し、飽和NHCl水溶液(550mL、5×)でクエンチした。混合物を真空下で濃縮してMeOHを除去した後、EtOAc(1.1L、10× 2回)で抽出し、ブライン(550mL、5×)で洗浄した。合わせた有機物を真空下で濃縮することにより、所望のアルコールを無色の油(未精製、115g)として得た。この無色の油にAcOH(650mL)及びHO(450mL)を添加し、混合物を100℃に加熱し、15時間撹拌した。次いで混合物を室温(20℃)に冷却し、真空下で濃縮することにより、黄色の油(未精製、約118g)を得た。この未精製の油にピリジン(500mL)を添加し、混合物を0℃に冷却した。次いでAcO(195mL、約8.0当量)を添加し、混合物を20℃に加温し、20℃で2時間撹拌した。反応液をHO(500mL)でクエンチし、EtOAc(1000mL)で希釈した。有機層を分離し、真空下で濃縮してEtOAc及びピリジンを除去した。残渣をEtOAc(1000mL)で希釈し、NaHSO水溶液(1N、500mL、2回)及びブライン(300mL)で洗浄した。有機層を濃縮することにより、所望のテトラアセテート中間体を黄色の発泡体(約133g)として得た。
【0061】
テトラアセテート(133g、0.237mol、純粋と仮定)及びチオ尿素(36.1g、2.0当量)のジオキサン(530mL、4×)溶液にトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(TMSOTf)(64.5mL、1.5当量)を添加し、反応混合物を80℃に3.5時間加熱した。混合物を20℃に冷却し、MeI(37mL、2.5当量)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DiPEA)(207mL、5.0当量)を添加し、混合物を20℃で3時間撹拌した。次いで混合物をでメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1.3L、10×)で希釈し、HO(650mL、5× 2回)で洗浄した。有機層を分離し、真空下で濃縮することにより、黄色の固体を得た。この黄色の固体にMeOH(650mL、5×)を添加し、混合物を60℃で2時間再度スラリー化した後、0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、ケーキをMeOH(0℃、70mL、3回)で洗浄した。ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のトリアセテートである(2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(88g、4工程を通じて60%)を淡黄色の固体として得た。H NMR(CDCl)δ7.37(d、J=8.0Hz、1H)、7.20(dd、J=8.0Hz、2.0Hz、1H)、7.07(m、2H)、6.85(m、2H)、5.32(t、J=9.6Hz、1H)、5.20(t、J=9.6Hz、1H)、5.05(t、J=9.6Hz、1H)、4.51(d、J=9.6Hz、1H)、4.38(d、J=9.6Hz、1h)、4.04(m、2H)、2.17(s、3H)、2.11(s、3H)、2.02(s、3H)、1.73(s、3H)、1.42(t、J=7.2Hz、3H)。
【0062】
6.7. (2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテートの代替的な合成
窒素雰囲気下の50L容の反応器に、MeOH 40L、その後ケトン(2.50kg、5.78mol)及びCeCl・7HO(2.16kg、1.0当量)を投入した。メタノール(7.5L)をリンスとして添加した(合計で47.5L、19×)。新たに調製したNaBH(87.5g、0.4当量)の1N NaOH水溶液(250mL)を15℃〜25℃でゆっくりと(35分)添加した。次いで混合物を15分間撹拌した。反応混合物のHPLC分析から90:10程度のジアステレオマー比であることが示された。反応液を10重量% NHCl水溶液(2.5L、1×)でクエンチし、混合物を真空下で5×に濃縮し、水(10L、4×)及びMTBE(12.5L、5×)で希釈した。混合物を10℃に冷却し、混合物のpHが2.0に達するまで6N HCl水溶液を添加した。撹拌を10分間継続し、層を分離させた。有機層をHO(5L、2×)で洗浄した。合わせた水層をMTBE(12.5L、5×)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2.5L、1×)で洗浄し、真空下で3×に濃縮した。MeCN(15L、6×)を添加した。混合物を再度10L(4×)に濃縮し、清澄濾過によっていかなる固体残渣も除去した。ケーキを最少量のMeCNで洗浄した。
【0063】
有機濾液を50L容の反応器に移し、予め調製した20mol% HSO水溶液(98%濃HSO 61.8mL及びHO 5L)を添加した。混合物を80℃に2時間加熱した後、20℃に冷却した。反応液を飽和KCO水溶液(5L、2×)でクエンチし、MTBE(15L、6×)で希釈した。有機層を分離し、ブライン(5L、2×)で洗浄し、真空下で5L(2×)に濃縮した。MeCN(12.5L、5×)を添加し、混合物を7.5L(3×)に濃縮した。
【0064】
上記の(3S,4R,5R,6S)−6−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−2,3,4,5−テトラオールのMeCN溶液を10℃に冷却し、ジメチルアミノピリジン(17.53g、2.5mol%)を添加した後、無水酢酸(3.23L、6.0当量)及びトリエチルアミン(5L、2×、6.0当量)を混合物の温度が20℃未満に保たれるようにゆっくりと添加した。次いで反応液を20℃に加温し、1時間撹拌し、MTBE(15L、6×)で希釈した。混合物を水(7.5L、3×)でゆっくりとクエンチした。有機層を分離し、飽和KHCO水溶液(5L、2×)、1N NaHSO(5L、2×)及びブライン(5L、2×)で順に洗浄した。
【0065】
次いで有機層を真空下で5L(2×)に濃縮した。MeCN(12.5L、5×)を添加し、溶液を7.5L(3×)(KF=0.08%)に濃縮した。ジオキサン(12.5L、5×)を添加し、溶液を7.50L(3×)に濃縮した(KF=0.02%)。清澄濾過によっていかなる固体残渣も除去し、ケーキを最少量のジオキサン(500mL)で洗浄した。
【0066】
上記濾液にチオ尿素(880g、2.0当量)及びTMSOTf(1.57L、1.5当量)を添加した。反応混合物を80℃に3時間加熱した(97%超の変換)。混合物を20℃に冷却し、ヨウ化メチル(541mL、1.5当量)及びジエチルイソプロピルアミン(3.02L、3.0当量)を添加し、混合物を20℃で18時間撹拌した。追加のヨウ化メチル投入分(90mL、0.25当量)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌した。次いで混合物をMTBE(25L、10×)で希釈し、水(12.5L、5× 2回)で洗浄した。有機層を分離し、真空下で約5L(2×)に濃縮した。MeOH(12.5L、5×)を添加し、混合物を5×に濃縮することにより、スラリーを得た。次いで混合物を60℃で1時間加熱し、0℃に冷却し、0℃で1時間撹拌した。混合物を濾過し、ケーキをでMeOH(0℃、2.5L、1× 2回、1.0L、0.4×)で洗浄した。ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のトリアセテート(1.49kg、4工程通じて47%)を淡黄色/オフホワイト色の固体として得た。
【0067】
6.8. (2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの合成
(2S,3S,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリイルトリアセテート(90.0g、0.164mol)のMeOH(900mL、10×)スラリーに、NaOMeのMeOH溶液(25重量%、18mL、0.2×)を20℃で添加し、混合物を全ての固体が消失するまで20℃で2時間撹拌した。次いで混合物を300mLに濃縮し、HO(1L)に添加し、1時間撹拌した。固体を濾過し、HO(100mL、3回)で洗浄し、ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、所望のメチルチオレート(67.0g、95%)を得た。H NMR(CDCl)δ7.38(d、J=8.4Hz、1H)、7.22(m、2H)、7.11(d、J=8.8Hz、2H)、6.83(d、J=8.8Hz、2H)、4.35(d、J=9.6Hz、1H)、4.15(d、J=9.6Hz、1H)、4.10〜3.95(m、3H)、3.64(t、J=8.8Hz、1H)、3.50(m、2H)、3.42(br s、1H)、2.95(br s、1H)、2.57(br s、1H)、2.17(s、3H)、1.40(t、J=7.2Hz、3H)。
【0068】
6.9. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1の調製
僅かに陽圧にした窒素下、50L容の反応器に、MeOH(12L)及びトリアセテート(1.70Kg、3.09mol)を投入した。メタノール(5L)をリンスとして添加した。次いでスラリーをNaOMeのMeOH溶液(25重量%、340mL、0.2×)に20℃で15分かけて添加し、混合物を全ての固体が消失するまで20℃で2時間撹拌した。混合物に水(25.5L、15×)を45分かけてゆっくりと添加し、5gの種結晶(DSC 123℃)を添加した。固体が析出し(crashed out)、混合物を20℃で1時間撹拌し、0℃に冷却し、30分間撹拌した。固体を濾過し、水(1.7L、1×、2回)で洗浄して、ケーキを45℃の真空下で一晩乾燥させることにより、標題の化合物(DSCピークによる融点約123℃;1.28Kg、収率97.7%)を得た。
【0069】
6.10. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2の調製
僅かに陽圧にした窒素下、50L容の反応器に、MEK(2−ブタノン、4L)及び(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態1(1.49Kg)を投入した。MEK(3.45L)をリンスとして添加した。混合物を80℃に加熱し、ヘプタン(14.9L、10×)を1.5時間かけてゆっくりと添加した。固体が析出し始め、混合物にヘプタン(14.9L、10×)を6時間かけて投入した。混合物を80℃で15時間撹拌した。混合物を3時間かけて20℃に冷却し、20℃で1時間撹拌した。固体を濾過し、ケーキをMEK/ヘプタン(2.5:7.5(v/v)、1.49L、1× 2回)で洗浄し、窒素下で12時間及び50℃の真空下で24時間乾燥させることにより、標題の化合物を白色の固体(DSCピークによる融点約134℃;1.48Kg、回収率98%)として得た。
【0070】
6.11. 結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール形態2の代替的な調製
250L容の反応器に、トリアセテート(10kg)及びメタノール(75kg)を投入した。ナトリウムメトキシド(1.6kg、30%溶液)を5kgのメタノールでリンスしながら添加した。混合物を室温で少なくとも2時間又は反応が完結するまで撹拌した。炭(Darco G−60、1kg)を5kgのメタノールでリンスしながら添加した。この混合物を40℃で1時間加熱し、室温に冷却し、セライト濾過した。ケーキをメタノール(10kg)で洗浄した。水(100kg)を添加し、混合物を真空下で濃縮した。MTBE(200kg)及び水(50kg)を添加し、相を分離させた。有機層を水(100kg)で洗浄し、真空下で濃縮した。MEK(100kg)を添加し、同量の溶媒を真空下で蒸留した。このMEKの添加及び蒸留を繰り返して溶液を乾燥させた。十分なMEKを添加して、(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールのMEK(50L)溶液を生成した。この溶液を清澄濾過し、ヘプタン(100L)を約80℃で添加した。形態2の種結晶(0.1kg)を添加した後、約80℃でヘプタン(100L)をゆっくりと添加した。80℃で8時間以上加熱を継続し、少なくとも3時間かけて20℃に冷却し、この温度で少なくとも2時間保持し、濾過し、MEK/ヘプタンで洗浄した。ケーキを50℃の真空下で乾燥させることにより、標題の化合物を白色の固体(6.6kg、収率86%)として得た。
【0071】
上記で引用した全ての参考文献(例えば、特許及び特許出願)はその全体が参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオール。
【請求項2】
無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールである、結晶化合物。
【請求項3】
DSC吸熱が約124℃にある、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項4】
X線粉末回折パターンが約4.0°、8.1°、9.8°、14.0°及び/又は19.3°の2θのうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項5】
X線粉末回折パターンが約14.0°の2θのピークを有する、請求項4に記載の結晶化合物。
【請求項6】
X線粉末回折パターンが図1に示すものと実質的に同じである、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項7】
ラマンスペクトルが約3068cm−1、2929cm−1、2888cm−1、2881cm−1、1615cm−1、1603cm−1、1244cm−1、1037cm−1、692cm−1及び/又は372cm−1のうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項8】
ラマンスペクトルが図2に示すものと実質的に同じである、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項9】
DSC吸熱が約134℃にある、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項10】
X線粉末回折パターンが約4.4°、4.8°、14.5°、14.7°、15.5°、21.2°、22.1°及び/又は23.8°の2θのうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項11】
X線粉末回折パターンが約4.4°の2θのピークを有する、請求項10に記載の結晶化合物。
【請求項12】
X線粉末回折パターンが図3に示すものと実質的に同じである、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項13】
ラマンスペクトルが約3061cm−1、2927cm−1、2877cm−1、2864cm−1、1605cm−1、1038cm−1、842cm−1及び/又は719cm−1のうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項14】
ラマンスペクトルが図4に示すものと実質的に同じである、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項15】
活性医薬成分と薬学的に許容される賦形剤又は希釈剤とを含む、医薬剤形であって、該活性医薬成分が結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールである、医薬剤形。
【請求項16】
前記活性医薬成分のX線粉末回折パターンが約4.0°、8.1°、9.8°、14.0°及び/又は19.3°の2θのうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項15に記載の医薬剤形。
【請求項17】
前記活性医薬成分のX線粉末回折パターンが約4.4°、4.8°、14.5°、14.7°、15.5°、21.2°、22.1°及び/又は23.8°の2θのうちの1つ又は複数のピークを有する、請求項15に記載の医薬剤形。
【請求項18】
患者における血中グルコースを減少させる方法であって、該患者に対し有効量の結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールを投与することを含む、方法。
【請求項19】
患者の尿中グルコース排泄を増加させる方法であって、該患者に対し有効量の結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールを投与することを含む、方法。
【請求項20】
患者におけるインスリン感受性を回復させる方法であって、それを必要とする患者に対し有効量の結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールの化合物を投与することを含む、方法。
【請求項21】
患者における疾患又は障害を治療、管理又は予防する方法であって、それを必要とする患者に対し治療的有効量又は予防的有効量の結晶無水(2S,3R,4R,5S,6R)−2−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6−(メチルチオ)テトラヒドロ−2H−ピラン−3,4,5−トリオールを投与することを含み、前記疾患又は前記障害がアテローム性動脈硬化症、循環器疾患、糖尿病(1型又は2型)、高血糖、高血圧、脂質障害、肥満又はX症候群である、方法。
【請求項22】
前記疾患又は前記障害が2型糖尿病である、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−528366(P2011−528366A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518868(P2011−518868)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/050636
【国際公開番号】WO2010/009197
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】