説明

(R),(R)−2,2’−ビス−メチルナルトレキソンの製造及び用途

本発明は、式(I)


に示される(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX及び関連する方法及び生成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(R),(R)-2,2’-ビス-メチルナルトレキソンの合成及び関連する方法及び生成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メチルナルトレキソン(MNTX)は、オピオイドアンタゴニストであるナルトレキソンの4級誘導体である。MNTXは、塩、例えば臭化物塩の形態で存在する。またMNTXの臭化物塩は、文献中:メチルナルトレキソン臭化物(Methylnaltrexone bromide);N-メチルナルトレキソン臭化物(N-Methylnaltrexone bromide);ナルトレキソンメトブロミド(Naltrexone methobromide);ナルトレキソンメチルブロミド(Naltrexone methyl bromide);MRZ 2663BRとしても知られる。MNTXは70年代半ばにGoldbergらによって米国特許第4,176,186号において初めて報告された。ナルトレキソンの環窒素へのメチル基の導入により、ナルトレキソンよりも極性が高く、脂溶性の減少した荷電化合物を形成し、ヒトにおいてMNTXが血液脳関門を通過することを妨げる。結果として、MNTXは、中枢神経系に作用するオピオイド系鎮痛剤の効果を弱めないという利点を有し、中枢神経系よりもむしろ末梢において効果を発揮する。
【0003】
MNTXはキラル化合物であり、ここでこれは、4級窒素が(R)又は(S)立体配置のいずれかをとることができる化合物である。例えば、(R)-MNTXとは、MNTXが4級窒素において(R)の立体化学を有するのに対し、(S)-MNTXとは、4級窒素において(S)の立体化学を有するMNTX分子を言う。文献において記載された、全ての報告されている機能は、これは末梢オピオイドアンタゴニストであることを示している。これらのアンタゴニスト作用のいくつかは、米国特許第4,176,186、4,719,215、4,861,781、5,102,887、5,972,954、6,274,591、6,559,158、及び6,608,075号、及び米国特許出願2003/0022909A1、20040266806、20040259899及び20050004155号公報に記載されている。これらの用途には、オピオイドの鎮痛作用を軽減することなく、オピオイドの副作用を軽減することが含まれる。そのような副作用には、吐き気、嘔吐、不快感、掻痒、尿閉、腸の運動性低下、便秘、胃の運動性低下、胃排出遅延及び免疫低下が含まれる。文献においては、MNTXは、オピオイド系鎮痛薬から派生した副作用を軽減するだけでなく、内因性オピオイド単独を介して(又は外因性オピオイド系治療薬と併用して)起こる、胃内容排出の阻害、便秘を含む、例えば胃腸機能障害、例えば手術、炎症又は過剰な迷走神経刺激を含む、胃腸の運動性の阻害、及び、上述したものに限られない、他のそのような状態を介して起こるような副作用をも軽減する。しかし、これらの研究において使用されたMNTXが(R)及び(S)立体異性体の混合物又は単独の立体異性体であるかは、はっきりしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献には、いかなる特定の環境においても予測できないにもかかわらず、化合物の単離された立体異性体は、対照的な物理的、機能的性質を有しうることを示唆している。4級麻薬拮抗薬は、対照的な物理的、機能的性質を示し、純粋な(R)-MNTX又は(S)-MNTXとしてMNTXを単離及び同定する方法を発展させるのに重要である。Goldbergらの米国特許第4,176,186号及び、より最近のCantrellらの国際公開第2004/043964A2号パンフレットにおいては、3級N置換モルフィナン・アルカロイドのメチル化試薬による4級化が関わるMNTXを合成するプロトコールが述べられている。しかし、GoldbergらもCantrellらも、生成した立体異性体については沈黙している。それぞれの合成方法に基づくと、そのように合成されたMNTXは、(R)又は(S)又はそれらの混合物のいずれであるかは不明である。さらに、(S)-N-メチルナルトレキソン((S)-MNTX)の純物質及び純粋な(S)-MNTXの合成方法は、文献において述べられていない。それゆえ、研究者は、純粋な(S)-MNTXの標準物質が存在しないので、Goldbergら又はCantrellらの合成によって得られた化合物の立体異性体をはっきりと特定し、区別することができなかったと考えられる。
【0005】
4級麻薬拮抗薬のそれぞれの立体異性体の単離及び特定に加えて、医薬組成物の製造には、いかなる付加的な不純物からもアンタゴニストを単離することが望ましい。一般的に、医薬組成物も薬物の品質及び純度の規制値に適合するには高レベルの純度を要する。例えば、上述したMNTXの合成においては、製造における分解物又は副生成物を含み、しばしば不純物が生成し、それらはMNTXの治療効果を妨げ、及び/又は大量に存在すれば毒性を有する。そのため、MNTXの立体化学及び純度の両方を決定できるものであることが望ましい。それには、不純物を同定、単離及び化学的に特徴づけることが重要であり、ここで該不純物は、MNTXの純度を確認するための標準物質としてクロマトグラフィーの手法によって用いうるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(R)-MNTXの不純物同定、精製及び合成に関する。この化合物は、(R)-MNTXの製造過程において、又は特定の条件下、特定の溶液中で(R)-MNTXを貯蔵した場合における分解物として不純物を形成することがわかっている。この化合物は、(R),(R)-2,2’-ビス-メチルナルトレキソンである。この化合物は、塩であり、それゆえカウンターイオンを有する。この化合物はまた両性イオンとして存在する。本発明の1つの側面としては、式(I)
【化1】

(ここでX又はYはカウンターイオンである)の化合物を提供する。ある態様としては、Xはそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり得、又は、Xはそれぞれ他のXに共有結合しうる。特定の態様としては、Yは独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり得る。特定の態様としては、X及びYの混合物が存在しうる。ある態様としては、X又はYはハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種であり得る。特定の態様としては、Xは臭化物であり得る。ある態様としては、該化合物は、少なくとも0.5%の純度、又は少なくとも1%の純度、又は少なくとも5%の純度、又は少なくとも10%の純度、又は少なくとも15%の純度、又は少なくとも25%の純度、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%の純度、又は少なくとも95%の純度、又はより好ましくは少なくとも97%の純度で単離されることである。ある態様としては、該化合物は固体である。他の態様としては、該化合物は密封ボトルに充填されている。1つの態様としては、該化合物は隔壁を有する密封ボトル中に溶液として、充填されている。
【0007】
本発明の他の側面としては、式(I)の化合物を含むキット、及びキット中又はキット上に、化合物が存在することを表示する印が含まれているキットを提供する。ある態様としては、該印は化合物の純度を表示する。ある態様としては、該印は化学式又は構造式により化合物の化学構造を示す。ある態様としては、キットは(R)-メチルナルトレキソン、(S)-メチルナルトレキソン、又はその他の化合物である第2の化合物を含む。
【0008】
本発明の他の側面としては、式(I)の化合物を生成するのに十分な量の触媒及び酸化剤の存在下、(R)-メチルナルトレキソンの第1分子を、(R)-メチルナルトレキソンの第2分子と反応させることを含む、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの合成方法を提供する。ある態様としては、(R)-メチルナルトレキソンの第1分子の量に対し、触媒は25モル%以下又は、より好ましくは、10モル%以下である。ある態様としては、酸化剤は、(R)-メチルナルトレキソンの第1分子の化学量論量存在することである。1つの態様としては、触媒は、臭化第二鉄である。1つの態様としては、酸化剤は、過酸化水素である。ある態様としては、方法は、さらに化合物を固体として単離することを含む。ある態様としては、化合物は、少なくとも0.5%の純度、又は少なくとも1%の純度、又は少なくとも5%の純度、又は少なくとも10%の純度、又は少なくとも15%の純度、又は少なくとも25%の純度、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%の純度、又は少なくとも95%の純度、又はより好ましくは、少なくとも97%の純度である。ある態様としては、化合物は固体である。
【0009】
また、本発明は、第1のHPLCクロマトグラムを得るため、一連の条件下、式(I)の化合物を含む対照溶液(ここで対照溶液中に存在する量及び/又は化学的特定名は既知である)を、HPLCカラムに注入する;第2のHPLCクロマトグラムを得るため、一連の条件下、メチルナルトレキソンを含む試料溶液をHPLCに注入する;及び試料溶液中に含まれる化合物の存在及び/又はその量を決定することを含む不純物の決定方法を提供する。ある態様としては、対照溶液は、複数回注入される。ある態様としては、決定には、試料溶液中に化合物が存在することを確認するため、第1及び第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間を比較することを含む。他の態様としては、決定には試料溶液及び対照溶液におけるピーク面積をHPLCで定量すること、及びこれらから試料溶液中に含まれる化合物の量を見積もることを含む。試料溶液は、(R)-メチルナルトレキソン及び/又は(S)-メチルナルトレキソン、又は(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含みうる。ある態様としては、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出される。
【0010】
また本発明は、単回又は一連の、該物質、及び式(I)に示す既知の化学構造を有する対照化合物を混ぜた試料溶液のHPLCカラムへの注入を含み;HPLCクロマトグラムを得;及び、物質中における該化合物及び/又はその量を決定することを含む、本質的にメチルナルトレキソンからなる物質の不純物を決定する方法を提供する。試料溶液は、(R)-メチルナルトレキソン、又は(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含みうる。ある態様としては、HPLCカラムは逆相カラムであり、水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出される。該方法はさらに、不純物としての化合物の化学的特定名及び量を文書に記載することが含まれる。
【0011】
また本発明は、本質的にメチルナルトレキソンからなる物質における不純物の決定方法を提供し、それには、単回又は一連の、該物質を溶解させた溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得る;式(I)の構造を有すると知られている化合物の試料中の量を決定する;及び物質中の不純物としての化合物の化学的特定名及び量を文書に記載することが含まれる。ある場合には、物質中の該化合物の量は、(i)コントロール・クロマトグラムにおける式(I)の構造を有すると知られている化合物に対応するピークを、クロマトグラムにおいて同定する、(ii)式(I)の構造を有すると知られている化合物のクロマトグラムに対応する、該化合物の相対保持時間に対応するクロマトグラムのピークを同定する、及び/又は(iii)式(I)の構造を有すると知られている目的化合物の既知量に対応するピークをクロマトグラムにおいて同定することが含まれる。試料溶液は、(R)-メチルナルトレキソン及び/又は(S)-メチルナルトレキソン、又は(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含みうる。ある態様としては、HPLCカラムは逆相カラムであり、水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の1つの態様として、(R),(R)-2,2’-ビス-メチルナルトレキソン((R),(R)-2,2’-ビス-MNTX)の合成スキームを示す。
【図2】図2は、本発明の1つの態様として、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの異なる合成スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、(R),(R)-2,2’-ビス-メチルナルトレキソン((R),(R)-2,2’-ビス-MNTX)の合成経路、及び関連する生成物及び方法を提供する。
(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは、式(I):
【化2】

(ここでX又はYはカウンターイオンである)の構造式を有する。ある場合には、Xはそれぞれ独立して同一又は異なるカウンターイオンであり得る。Xは、それぞれ他のXに共有結合しうる。カウンターイオンは、例えば、ハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、臭化物、塩化物又はフッ化物)、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、陰イオン荷電の有機種(例えば、スルホン酸塩、例えばメシル酸塩、ベシル酸塩、トシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等、カルボン酸塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩等)がある。1つの態様としては、カウンターイオンはハロゲン化物、例えば臭化物である。
【0014】
本発明は、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの合成方法を提供する。図1は、本発明の1つの態様として(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの合成方法を示す。(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを生成するのに十分な量の触媒及び酸化剤存在下、(R)-MNTXの第1分子のフェノール環は、(R)-MNTXの第2分子の別のフェノール環とカップリングしうる。あるいは、ナルトレキソン分子のフェノール環は、ナルトレキソンの第2分子のフェノール環と同様のカップリング条件下でカップリングされ得、生成したナルトレキソン・ダイマーはN-置換3級アミンにおいてメチル化試薬を用いてアルキル化され、図2に示す(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを生成する。
【0015】
2,2’-ビス-MNTXは2つのキラルな4級アミンを含むため、カップリングにより2,2’-ビス-MNTXダイマーを形成する個々のMNTX分子の立体化学に基づく、多くの異なる立体配置(例えば、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX、(S),(S)-2,2’-ビス-MNTX、又は(R),(S)-2,2’-ビス-MNTX)を有する。本明細書中において用いる方法は、出発物質において少なくとも99.5%が(R)立体配置のMNTXであり、従って(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX異性体が生成する主要な異性体である。一方、2,2’-ビス-MNTXの他の異性体も生成しうるが、それはごく少量であるか無視できる量である。純粋な(R)-MNTXの合成は、米国特許出願番号第11/441,395(2006年5月25日出願、米国特許出願公開第2007-0099946 A1号公報)に記載されている。(R)-MNTXの立体配置は純粋な(S)-MNTXを対照標品として用いて決定しうる。(S)-MNTXの合成は、米国特許出願番号第11/441,452(2006年5月25日出願、米国特許出願公開第2007-0265293 A1号公報)に記載されている。(R)-MNTXは、オピオイドアンタゴニストであるのに対し、(S)-MNTXオピオイドの部分アゴニストであることがわかった。
【0016】
ある場合には、発明の方法は、例えば、アリール基(例えば、フェノール)の酸化的カップリングのようなカップリング反応を含む。カップリング反応は、例えば2つのアリール分子のような2つの分子間の共有結合を形成するような酸化的触媒反応を可能とする触媒(例えば、臭化第二鉄)を使用する。触媒は、鉄のような金属を含む。触媒の例は、以下に限られないが、フェロシアン化カリウムを含む鉄塩、臭化鉄、又は当該分野の通常の熟練者にとって既知の他のカップリング剤がある。ある態様としては、触媒が好ましい。基質(例えば、MNTX、ナルトレキソン)に対して、準化学量論量(例えば、触媒量)が反応中に存在することが好ましい。例えば、MNTX又はナルトレキソンの量に対し25モル%以下、より好ましくは10モル%以下存在することである。1つの態様としては、触媒は臭化第二鉄であり、反応系中に10モル%存在することである。触媒は、当該分野の熟練を有する者によく知られており、広く特許文献及び化学の教科書中に記載されている。適切な触媒は、当該分野の通常の熟練を有する者にとって日常の熟練によって選択されうる。
【0017】
また酸化剤は、カップリング反応に含まれる。1つの態様としては、酸化剤は過酸化水素である。理論に拘束されることなく、カップリング反応は1つのメカニズムとして、ダイマー分子の形成にあたり酸化剤の触媒種の再生を含みうる(例えば(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX)。例えば、触媒はダイマー分子の形成にあたり、触媒的に不活性な分子に還元される。酸化剤は、続いて、例えば触媒の触媒的不活性分子を活性体に再生するために用いられる。ある態様としては、酸化剤は過酸化水素である。酸化剤は、基質(例えば、MNTX、ナルトレキソン)に対し反応系内に化学量論量(例えば、1モル当量)存在することが好ましい。任意に、酸素はカップリング反応を促進するために反応混合物に通気することができる。
【0018】
カップリング反応は、いかなる有機溶媒、混合有機溶媒、又は有機溶媒及び水の混合溶媒中においても行われうる。ある態様としては、反応は酸性条件下で行われうる。ある態様としては、反応は塩基性条件下で行われうる。1つの態様としては、カップリング反応は、水、メタノール、及びトリフルオロ酢酸の混合物中において行われる。また、カップリング反応は、0℃ないし室温のいかなる温度でも行いうる。ある場合には、第2の試薬は0℃において時間をかけて、混合し、生じた混合物を室温まで昇温しうる。カップリング反応は、1時間ないし10時間行いうるが、好ましくは1ないし5時間、より好ましくは約1ないし2.5時間、最も好ましくは1.5時間である。反応は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてモニターしうる。
【0019】
ある場合には、本発明の方法は、さらに、例えばナルトレキソン・ダイマー(図2)のN-置換3級アミンのメチル化反応のようなメチル化反応を含みうる。メチル化反応は、メチル化試薬、例えば臭化メチルを用いうる。本明細書中、用語「メチル化試薬」は、そこにおいて共有結合を形成できるようにナルトレキソンの窒素原子にメチル基を導入することのできる、親電子的性質を有する反応種のことを言う。実例となるメチル化試薬はCH3Zで表され、ここで「Z」は脱離基であり、脱離の際にメチル基とナルトレキソンの窒素原子を共有結合させ、MNTXを形成することができるものである。メチル化試薬及び脱離基は当該分野の通常の熟練者に知られており、特許文献にも化学の教科書にも広く記載されている。適切なZ基は、以下に限られないが、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、-OSO2CF3、-CH3OSO2O-、-OSO2CH3、-OSO2C6H4-p-CH3、-OSO2C6H4-p-Brがある。
【0020】
方法はさらに、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの精製にも関わり、少なくとも1つの精製技術、例えばクロマトグラフィー又は結晶化を用いる。クロマトグラフィーは逆相クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、及び/又はイオン交換クロマトグラフィーであり得る。ある態様としては、順相クロマトグラフィーは、アルミナ又はシリカゲルカラムの使用があり得る。ある場合には、本発明の方法は逆相HPLCカラムに続きイオン交換クロマトグラフィーを用いうる。逆相クロマトグラフィーにおいては、HPLCカラムは、水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相により溶出されうる。結晶化溶媒は、有機溶媒、混合有機溶媒、又は混合有機溶媒と水の混合溶媒であり得る。好ましい溶媒は、アルコール、例えばメタノールである。クロマトグラフィー及び結晶化の方法はいずれも通常の熟練を有する者に知られている。
【0021】
ある場合には、HPLCカラムは逆相カラムであり、カラムは、水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相により溶出されうる。
【0022】
例示的な態様としては、カップリング反応は、触媒量の臭化第二鉄及び化学両論量の過酸化水素によって行われる。反応プロセスは、8.5gの(R)-MNTXについて行われ、逆相クロマトグラフィーにおいて分離され、続いてイオン交換樹脂クロマトグラフィーを行い、及び下記により詳細に記載するが、メタノールから結晶化され、660mg>97%の純度の生成物を7.8%収率で得られる。当該分野における通常に知識を有する者は、より高純度及び/又は高収率の(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX、ここで結晶化生成物は99%、又はさらに99.9%以上の純度であるものを得るために、本明細書中に記載した方法を最適化しうることを理解すべきである。(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX、(R)-MNTX及び(S)-MNTXの相対保持時間は、本明細書中に記載されているHPLC法Bにより行われ、それぞれ1.55、1.00、及び0.89である。
【0023】
固体の純度に関しては、純度は、固体中の他の化合物に対する(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの重量%で示す。溶液の純度に関しては、純度は、溶液中の他の化合物に対する(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの重量%で示す。純度は、HPLCによって決定され得、ここで、化合物の純度の百分率は、溶液中の化合物の重量%を言う。
【0024】
本発明は、以下により詳述するとおり、有利に(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを、様々な分析方法において(例えば、HPLC)参照又は標準として用いることを可能とするのに十分な純度で提供する。ある態様としては、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは又は少なくとも0.5%の純度、又は少なくとも1%の純度、又は少なくとも5%の純度、又は少なくとも10%の純度、又は少なくとも15%の純度、又は少なくとも25%の純度、又は少なくとも50%の純度、又は少なくとも75%の純度、又は少なくとも95%の純度、より好ましくは少なくとも97%の純度で単離されうる。ある態様としては、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは、固体として単離及び/又は充填されうる。ある態様としては、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは、例えば密封ボトル又はバイアル又は、隔壁を含む密封ボトルのようなコンテナの溶液中に充填されうる。
【0025】
他の側面としては、本発明は試料中における(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの存在及び/又はその量を決定する方法を提供する(例えば、(R)-MNTXを含む溶液)。例えば、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは、(R)-MNTXの合成において不純物として生成する。本明細書中、用語「不純物」は、(R)-MNTXの保存中において生成した分解物及び/又は(R)-MNTXの製造における化学反応において生成した副生成物を言う。1つの態様としては、該方法は、不純物及び/又はその量を決定するために、第1のHPLCクロマトグラムを得るため、一連の条件下、標準溶液における(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの量及び/又は化学的特定名が既知である(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを含む標準溶液をHPLCカラムに注入する、第2のHPLCクロマトグラムを得るため、同一の一連の条件下、MNTXを含む試料溶液をHPLCに注入する、及び第1及び第2のHPLCを比較することを含む。標準溶液は、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの試料(例えば、固体試料)を第1溶媒に溶解することにより調製され、試料溶液は、固体試料を第2溶媒に溶解することにより調製される。ある態様としては、標準溶液は追加の化合物を含んでいてもよく、追加の化合物の量及び/又は化学的特定名は既知である。1つの態様としては、試料(例えば、試料溶液)は(R)-MNTXを含んでいてもよい。本発明は、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXと疑われる他の試料を含んでいてもよいことは理解されるであろう。
【0026】
1つの態様としては、試料溶液における(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの存在は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間と第2のHPLCクロマトグラムにおける保持時間を比較することにより決定される。例えば、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを含む標準溶液は、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXに対応するピークを有するクロマトグラムを示し、特定の保持時間を有しうる。続いて、試料溶液を標準溶液と同一の条件下、HPLCカラムに注入し、作成されたクロマトグラムにおいて標準溶液のHPLCクロマトグラム中の(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXに対応するピークと同一の保持時間にピークが存在するかを調べる。そのようなピークの存在は、試料中に(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXが存在することを示唆する。別の態様としては、試料溶液中の(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの量は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピーク面積と第2のHPLCクロマトグラムと比較し、これらから試料溶液中における(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの量から計算することにより決定される。
【0027】
ある態様としては、本発明は本質的にメチルナルトレキソンからなる物質における不純物を決定する方法を提供し、ここで、これは該物質及び本明細書中に記載されている式(I)の化学構造を有することが知られる対照化合物を混ぜた試料溶液をHPLCカラムに注入し、物質中における化合物の存在及び/又はその量を決定するためHPLCクロマトグラムを得ることによる。
【0028】
本発明の方法は、さらに物質中の不純物の化合物の化学的特定名及び量を文書に記載することを含む。
【0029】
他の態様としては、本発明は本質的にメチルナルトレキソンからなる物質を決定する方法を提供し、ここで、これは、本明細書中における式(I)の構造を有することが知られる化合物の物質の量を決定するために、物質を溶解した溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得るものである。物質中における不純物としての化合物の化学的特定名及び量が続いて文書に記載される。物質の量は、(i)コントロール・クロマトグラムおいて対応するピークをクロマトグラムにおいて同定する、(ii)式(I)の構造式を有することが知られている化合物の相対保持時間に対応するクロマトグラムのピークを同定する、及び/又は(iii)式(I)の構造を有すると知られている目的化合物の既知量に対応するピークをクロマトグラムにおいて同定することによって決定される。
【0030】
本発明のある態様は、(R)-MNTXを含む試料における(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの量及び/又は存在を決定するのに役立ちうる。試料は、新しく製造された試料又は明確な期間保存した試料であってもよい。1つの態様としては、(R)-MNTXの試料は、保存され、定期的に本明細書中に記載された方法を用いて試料中の、例えば、(R)-MNTXの分解によって生成した(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの存在及び/又はその量を決定する。ある場合には、試料は意図的に(R)-MNTXの分解を促進する条件下に置かれ、ここで試料は定期的に本明細書中に記載された方法を用いて試料中の、例えば、(R)-MNTXの分解によって生成した(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの存在及び/又はその量を決定するために分析される。試料溶液は(R)-MNTX、(S)-MNTX、又はそれらの混合物を含みうる。1つの態様としては、試料溶液は(R)-MNTXの存在及び/又は(S)-MNTXを含む。別の態様としては、試料溶液は(R)-MNTX及び(S)-MNTXの混合物を含む。
【0031】
本発明の別の側面としては、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを含有するキットを提供する。例えば、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXは、例えばHPLCのような分析方法のための標品を作成することを目的として提供される。1つの態様としては、キットは(R),(R)-2,2’-ビス-MNTX、及び(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXがキット中又はキット上に、存在することを示す印を含む。ある場合には、該印は(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの純度を示す。またある場合には、該印は化学式又は構造式により化合物の化学構造を示しうる。ある態様としては、キットは(R)-MNTX、(S)-MNTX又は他の化合物である第2の化合物を含みうる。該印は、キット中に含まれる第2の化合物を示し得、又は第2の化合物の純度又は化学式又は構造式により化合物の化学構造を示しうる。また該印により同様に同定される追加の化合物を含みうることは理解されるであろう。
【0032】
ある場合には、キットは(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの溶液を含む。ある場合には、キットは、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの固体試料を含む。本明細書中「キット」は、典型的には、本発明の1つ以上の組成物を含むパッケージ又はアセンブリー、及び/又は例えば溶媒のような発明に関連する他の物質を指す。キットの各組成物は、液体(例えば、溶液中)で又は固体で提供されうる。ある場合には、組成物のいくつかは、構成物又はそうでなければ加工しうるものであり、例えば、適切な溶媒又は他の化学種を添加することであり、ここでそれはキットとともに又は別に提供されうる。発明に関連する他の組成物又は成分の例は、以下に限られないが、溶媒、界面活性剤、希釈剤、塩、緩衝液、乳化剤、キレート化剤、抗酸化剤、乾燥剤、針、シリンジ、パッケージ用素材、チューブ、ボトル、フラスコ、ビーカー、皿、ガラス原料、フィルター、リング、クランプ、ラップ、パッチ、コンテナ等であり、例えば、試料における特定の使用のための内容物、組成物の使用、修飾、アセンブリー、貯蔵、パッケージ、調製、混合、希釈、及び/又は保存を含む。
【0033】
本発明のキットは、ある場合には、本発明の組成物に関連して提供され、当該分野における通常の熟練者が本発明の組成物に関連する指示であると認識することのできる方法によるあらゆる形態の説明書を含む。例えば、説明書は、組成物及び/又はキットに関連する他の組成物の、使用、修飾、混合、希釈、保存、アセンブリー、貯蔵、パッケージ、及び/又は調製を含む。ある場合には、説明書は組成物の薬物送達のための説明書を含み、例えば試料の特定の使用がある。説明書は、当該分や通常の熟練者により認識できる、例えば、記載又は刊行された、口頭の、可聴性の(例えば、電話)、デジタルの、光学の、可視性の(例えば、ビデオテープ、DVD等)又は電子的通信(インターネット又はウェブ上の通信を含む)による適切な担体として、あらゆる形態で、あらゆる方法で提供されうる。
【0034】
本明細書中、「説明書」は、実用的な説明の構成(例えば、説明書、ガイド、警告、ラベル、メモ、FAQ又は「よくある質問」等)を明確にし、及び典型的には、発明又は発明に関する、及び/又は発明の化合物の充填についての記述された説明に関する。また説明書は、使用者が発明の化合物に関する説明であると明確に認識することのできる、あらゆる形態(例えば、口頭の、電子的な、可聴性の、デジタルの、光学の、可視性の、等)の指示的な情報を、いかなる方法で提供するものをも含んでいてもよい。
【実施例1】
【0035】
(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの合成
(R)-MNTX(8.5 g, 0.0195 mol)の水:メタノール:トリフルオロ酢酸(94.9:5:0.1) 40mL及び臭化第二鉄(0.57 g, 1.95 mmol)の溶液を氷浴で冷却した。過酸化水素水(0.66 g, 0.0195 mol)10mLを当該溶液に、30分以上かけて滴下した。氷浴中で30分間攪拌後、溶液はHPLC分析で、(R)-MNTXを74%及び(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを16%含有した。溶液から氷浴を取り外し、室温まで昇温した。30分後HPLC分析により、溶液は(R)-MNTXを44%、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを27%、及びより長い保持時間のところに不純物を2%含有した。さらに1時間後、HPLC分析では、溶液は、(R)-MNTXを27%、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを35%、及び不純物を6.2%含み、さらなる不純物が含まれていることが示唆された。
【実施例2】
【0036】
(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの精製
反応混合物を、プレパラティブ逆相カラム(Biotage 40M C18)に直接アプライし、一定両のTFAを含む、水:メタノール2.4Lの直線的溶媒勾配(12mL、水:メタノール=95:5ないし82.5:17.5の割合)で溶出した。フラクションはHPLCで分析し、同様の組成のフラクションは純度により2つのロットに分けて集めた。34℃以下に浴槽を保ち、溶媒をアスピレーター圧力下、続いて高真空下、回転蒸発器で除去した。
【0037】
続いて、両ロットを別々に、95:5:0.1ないし70:30:0.1の直線的勾配による水:メタノール:TFA溶媒2.4Lで、Biotage 40M C18カラムを用いて逆相クロマトグラフィーにより精製した。フラクションは純度により2つのロットに分けて集めた。不純物を含むフラクションは、34℃以下に浴槽を保ち、溶媒をアスピレーター圧力下、続いて高真空下、回転蒸発器で除去し、上述と同様に再びクロマトグラフィーにかけ、合計で4回のクロマトグラフィーを行った。
【0038】
純粋なフラクションを集め、上述と同様に溶媒を除去し、1.0gの(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXを黄色のガラス状の結晶として得た。Bio-Rad AG-1-X8イオン交換カラム(60g)を、500mLの1M HBr、続いて4Lの蒸留水で、溶出液のpHが約6になるまで溶出して調製した。生成物を水:メタノール(95:5)15mLに溶解し、新しく調製したイオン交換カラムにアプライした。生成物は、蒸留水を溶出液として精製した。生成物は、最初の蒸留水100mLで溶出した。フラクションを集め、34℃以下に浴槽を保ち、溶媒をアスピレーター圧力下、回転蒸発器で除去した。生じた残渣を高真空ラインで乾燥し、10mLのメタノールで結晶化し、高真空下で乾燥して、7.8%収率(660mg,>97%純度)で黄色結晶を得た。
【0039】
生成物は中性の水溶液中では不安定であると見られた。d4-メタノール/D20に溶解すると、生成物は、わずかに短い保持時間の化合物に変化した。もっとも、水:メタノール:TFA (94.9:5:0.1)中で終夜、貯蔵しても安定していた。
【0040】
HPLC分析は、ヒューレットパッカード1100シリーズで本明細書中に記載するHPLC法Aを用いて行った。
【0041】
HPLC法A:
カラム: フェノメネックス・インターシル(Phenomonex Intersil) ODS-3カラム(C18, 5μ, 150×4.6 mm)
流速: 1.5mL/分
カラム温度: 50℃
検出器: ダイオードアレイ検出器で280nmにおけるモニタリング
溶出: 直線的勾配

A = メタノール
B = 水
C = 水:メタノール:TFA (49.5:49.5:1)
【0042】
HPLC法B:
HPLC法Bは「HPLC法II」として、米国特許出願公開第2007-0099946 A1公報(米国特許出願番号11/441,395)に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(ここでX又はYは、カウンターイオンである)の化合物。
【請求項2】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンである、又はXがそれぞれ、他のXと共有結合することができるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが臭化物である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
該化合物は少なくとも0.5%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
該化合物が少なくとも1%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
該化合物が少なくとも5%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
該化合物が少なくとも10%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
該化合物が少なくとも15%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
該化合物が少なくとも25%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
該化合物が少なくとも50%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
該化合物が少なくとも75%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
該化合物が少なくとも95%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
該化合物が少なくとも97%の純度で単離されるものである請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
該化合物は固体である、請求項1ないし14記載の化合物。
【請求項16】
密封ボトルに溶液として充填されている請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
セプタムを含む密封ボトルに溶液として充填されている請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
式(I)
【化2】

の化合物(ここで、X又はYはカウンターイオンである)及びそのキット中またはキット上に、該化合物が存在することを示す印を含むキット。
【請求項19】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり得、又はそれぞれXが他のXと共有結合することができる請求項18に記載のキット。
【請求項20】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項18に記載のキット。
【請求項21】
Xが臭化物である請求項18に記載のキット。
【請求項22】
該印が化合物の純度を示す請求項18に記載のキット。
【請求項23】
該印が化学式又は構造式を提示することにより化合物の化学構造を示す請求項18に記載のキット。
【請求項24】
式(I)
【化3】

(ここでX又はYはカウンターイオンである)の化合物を生成するのに十分な量の触媒及び酸化剤の存在下、(R)-メチルナルトレキソンの第1分子を、(R)-メチルナルトレキソンの第2分子と反応させることを含む、(R),(R)-2,2’-ビス-MNTXの合成方法。
【請求項25】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり、又は、それぞれのXが他の共有結合することができる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
Xが臭化物である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
(R)-メチルナルトレキソンの第1分子の量と対比して、触媒が25モル%以下である請求項24に記載の方法。
【請求項29】
(R)-メチルナルトレキソンの第1分子の量と対比して、触媒が10モル%以下である請求項24に記載の方法。
【請求項30】
(R)-メチルナルトレキソンの第1分子の量と対比して、触媒が化学量論量である請求項24に記載の方法。
【請求項31】
触媒が臭化第二鉄である請求項24に記載の方法。
【請求項32】
酸化剤が過酸化水素である請求項24に記載の方法。
【請求項33】
さらに化合物を固体で単離することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項34】
該化合物が少なくとも0.5%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項35】
該化合物が少なくとも1%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項36】
該化合物が少なくとも5%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項37】
該化合物が少なくとも10%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項38】
該化合物が少なくとも15%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項39】
該化合物が少なくとも25%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項40】
該化合物が少なくとも50%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項41】
該化合物が少なくとも75%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項42】
該化合物が少なくとも95%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項43】
該化合物が少なくとも97%の純度で単離されるものである請求項33記載の方法。
【請求項44】
第1のHPLCクロマトグラム(ここで、標準溶液中の化合物の量及び/又は化学的特定名が既知である)を得るため、一連の条件下、式(I)
【化4】

(ここでX又はYはカウンターイオンである)の化合物を含む標準溶液をHPLCカラムに注入する;
第2のHPLCカラムHPLCクロマトグラムを得るため、一連の条件下、メチルナルトレキソンを含む試料溶液を注入する;及び
試料溶液中における化合物の存在及び/又はその量を決定すること
を含む不純物の決定方法。
【請求項45】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり、又はXがそれぞれ他のXと共有結合している請求項44記載の方法。
【請求項46】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項44記載の方法。
【請求項47】
Xが臭化物である請求項44記載の方法。
【請求項48】
該決定が、第1と第2のHPLCクロマトグラムのピークの保持時間を比べることを含む、試料溶液中における化合物の存在を決定するための請求項44記載の方法。
【請求項49】
該決定が、HPLCクロマトグラムにおいて試料溶液におけるピーク面積及び試料溶液中のピーク面積を定量し、及びこれらから試料溶液中の化合物の量を計算すること含む請求項44記載の方法。
【請求項50】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソン及び/又は(S)-メチルナルトレキソンを含む請求項44記載の方法。
【請求項51】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含む請求項44記載の方法。
【請求項52】
HPLCカラムが、逆相カラムであり、該カラムが水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出される請求項44記載の方法。
【請求項53】
さらに、不純物としての化合物の化学的特定名及び量を文書に記載することを含む請求項44記載の方法。
【請求項54】
該物質及び式(I)
【化5】

(ここでX又はカウンターイオンである)として知られている化学構造を有する標準物質を混ぜた試料溶液をHPLCカラムに注入する、
HPLCクロマトグラムを得、及び
該物質中における該化合物の存在及び/又はその量を決定する
ことを含む本質的にメチルナルトレキソンからなる物質中に含まれる不純物の決定方法。
【請求項55】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり得、又は、Xがそれぞれ独立して他のXに共有結合することができる請求項54記載の方法。
【請求項56】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項54記載の方法。
【請求項57】
Xが臭化物である請求項54記載の方法。
【請求項58】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソンを含む請求項54記載の方法。
【請求項59】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含む請求項54記載の方法。
【請求項60】
HPLCカラムは逆相カラムであり、該カラムが水、メタノール、トリフルオロ酢酸又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出されるカラムである請求項54記載の方法。
【請求項61】
さらに、不純物としての化合物の化学的特定名及び量を文書に記載することを含む請求項54記載の方法。
【請求項62】
該物質が溶解している溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得る;
式(I)
【化6】

(ここでX又はYはカウンターイオンである)の構造を有すると知られている化合物の物質の量を決定する;及び
物質中の不純物としての化合物の化学的特定名及び化合物の量を文書に記載する
ことを含む本質的にメチルナルトレキソンからなる物質中に含まれる不純物を決定する方法。
【請求項63】
化合物中の該物質の量が、(i)コントロール・クロマトグラムにおいて対応するピークをクロマトグラムにおいて同定する、(ii)式(I)の構造式を有すると知られている化合物の、相対保持時間に対応するクロマトグラムのピークを同定する、及び/又は(iii)式(I)の構造を有すると知られている目的化合物の既知量に対応するピークをクロマトグラムにおいて同定することにより決定される請求項62記載の方法。
【請求項64】
Xがそれぞれ独立して、同一又は異なるカウンターイオンであり得、又はXがそれぞれ他のXと共有結合することができる請求項62記載の方法。
【請求項65】
X又はYが、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、又は有機種である請求項62記載の方法。
【請求項66】
Xが臭化物である請求項62記載の方法。
【請求項67】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソンを含む請求項62記載の方法。
【請求項68】
試料溶液が、(R)-メチルナルトレキソン及び(S)-メチルナルトレキソンの混合物を含む請求項62記載の方法。
【請求項69】
HPLCカラムが逆相カラムであり、該カラムが水、メタノール、トリフルオロ酢酸、又はそれらの混合物を含む移動相を用いて溶出される請求項62記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−511064(P2011−511064A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545835(P2010−545835)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/001660
【国際公開番号】WO2009/099411
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(510215422)プロジェニックス・ファーマシューティカルス・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PROGENICS PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】