説明

1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法

1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを水素源と反応させることを含む、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法に関する。1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは、とくに、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを有する組成物中のポリウレタンフォーム用発泡剤の成分として有用である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの効率的な製造を可能にする。
【0003】
本発明は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを水素源と反応させることを含む、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法に関する。一般的には、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造量を最大化する条件下で、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを水素源と反応させる。
【0004】
本発明に係る方法では、反応は、一般的には、水素化触媒の存在下で行われる。この触媒は、好ましくは、元素の周期表の第VIII族の金属から選択され、より特定的には、Pd、Pt、Rh、Ru、Ni、およびIrから選択される。Pdが好ましい。
【0005】
触媒は、好ましくは担持型である。担体は、活性炭、アルミナ、フッ素化アルミナ、LiAl、またはそれらのフッ素化誘導体でありうる。
【0006】
水素源は、好ましくは水素ガスである。水素(または水素等価物)と1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンとのモル比は、一般的には1〜5、多くの場合1.5〜3、好ましくは1.5〜2である。
【0007】
本発明に係る方法では、気相中で好適に反応を行うことが可能である。その場合、反応は、一般的には0〜500℃の温度で行われ、多くの場合、温度は50〜250℃、好ましくは80℃〜200℃である。その場合、反応は、一般的には1〜20barの圧力で行われ、多くの場合、圧力は2〜10bar、好ましくは1.5〜5barである。
【0008】
他の実施形態では、反応は液相中で行われる。その場合、反応は、一般的には50〜250℃の温度で行われ、多くの場合、温度は70〜200℃、好ましくは80℃〜150℃である。その場合、反応は、一般的には1〜60barの圧力で行われ、多くの場合、圧力は5〜50のbar、好ましくは10〜40barである。
【0009】
本発明に係る方法では、連続方式で好適に反応を行うることが可能である。バッチ方式で行うことも可能である。
【0010】
特定の実施形態では、本発明に係る方法は、
(a)1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパンをフッ化水素と反応させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンと場合により出発原料および中間体とを含む反応生成物を生成することと、
(b)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを反応生成物から分離し、場合により出発原料および中間体を工程(a)に再循環させることと、
(c)工程(b)で得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って水素源と反応させることと、
を含む。
【0011】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンの製造については、たとえば、本出願人名義のEP−A−522639(その開示は参照により本出願に援用されるものとする)に記載されている。EP−A−522639によれば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンは、触媒の存在下でHFとの液相反応により1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン(これは、順次、好ましくはビニリデンクロリドとテトラクロロメタンとから調製される)から調製可能である。触媒は、好ましくは、フッ素原子による塩素原子の置換を促進する。好適な触媒は、たとえば、周期表の第IIIa族、第IVa族および第IVb族、第Va族および第Vb族、ならびに第VIbの金属の化合物から選択される。チタン、タンタル、モリブデン、ホウ素、スズ、およびアンチモンの化合物、特定的にはスズおよびアンチモンの化合物が好ましい。とくに好ましいのは、金属の塩化物、フッ化物、およびクロロフッ化物である。一般的には、フッ素化反応は50〜150℃で行われる。圧力は多くの場合2〜50barであり、反応混合物を液相状態に保持しうる圧力である。触媒量はきわめてさまざまでありうる。一般的には、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン1モルあたり少なくとも0.005モルの触媒であり、多くの場合、1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン1モルあたり0.6モル以下である。HFと1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパンとの比は、一般的には少なくとも4であり、多くの場合、20を超えることはないであろう。
【0012】
以下の実施例は、本発明を限定するものではなく例示することを意図したものである。
[実施例]
【0013】
10%のPdを活性炭に担持して含む触媒をステンレス鋼製反応器に仕込む。2barの圧力および200℃の温度で水素ガスを連続方式で導入する。次に、H2/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのモル比が2対1になるように1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを連続方式で導入する。反応器流出物をコールドトラップ中で液化させる。コールドトラップの内容物の分析により1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの生成が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを水素源と反応させることを含む、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンの製造方法。
【請求項2】
前記反応が水素化触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒が、Pd、Pt、Rh、Ru、Ni、およびIrから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水素源が水素ガスである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記反応が気相中で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応が0〜500℃の温度で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が1〜20barの圧力で行われる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応が液相中で行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記反応が連続方式で行われる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(a)1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパンをフッ化水素と反応させて、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンと場合により出発原料および中間体とを含む反応生成物を生成することと、
(b)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを反応生成物から分離し、場合により出発原料および中間体を工程(a)に再循環させることと、
(c)工程(b)で得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンを請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に従って水素源と反応させることと、
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−530354(P2009−530354A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500874(P2009−500874)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052769
【国際公開番号】WO2007/110377
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】