説明

1,2,4−オキサジアゾール安息香酸の製造方法

本明細書において、ナンセンス変異に関連する疾患の治療、予防又は管理に有用な化合物の製造方法を提供する。より具体的には、本明細書において、1,2,4-オキサジアゾールの合成方法を提供する。特に、本明細書において、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の製造に有用な方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2006年9月8日出願の米国仮特許出願第60/843,595号の利益を主張するものである。
【0002】
(1.分野)
本明細書において、ナンセンス変異に関連する疾患の治療、予防又は管理に有用な化合物の製造方法を提供する。より具体的には、本明細書において、1,2,4-オキサジアゾールの合成方法を提供する。特に、本明細書において、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸の製造に有用な方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
早期翻訳停止又はナンセンス変異依存mRNA分解機構を調整することにより改善される疾患の治療、予防又は管理に有用な1,2,4-オキサジアゾール化合物については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2006年1月31日発行の米国特許第6,992,096B2号に記載されている。このような化合物の1つが3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]-安息香酸である。
【0004】
1,2,4-オキサジアゾール安息香酸を合成する現行の溶液相法については、2006年1月31日発行の米国特許第6,992,096B2号に記載されている(カラム57、40行目、スキームB及び実施例2を参照)。詳細には、これらの方法は多数の反応工程を含んでおり、各工程の後には所望の中間体が単離される。
【0005】
これらの方法は1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の製造を可能にしておりまたその製造に有用な方法であるが、修正を加えれば合成がより効率的になる可能性がある。詳細には、単離工程が少なくしかも使用する溶媒の種類も少ない合成法であれば、より効率的であり費用も安くなろう。
【0006】
本出願のセクション2におけるいかなる参照文献の引用も、このような参照文献が本出願に先行する技術であると認めるものとは解釈されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(3.要旨)
本明細書において、効率的で、費用効果が高く、しかも市販の試薬を使って容易に評価できる、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の製造に有用な方法を提供する。
【0008】
一実施態様では、本明細書において、(1)シアノ安息香酸エステルをヒドロキシルアミンと反応させる;(2)ハロベンゾイルクロリドでアシル化する;(3)縮合する;及び(4)安息香酸エステルを加水分解する工程を含む、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の製造に有用な方法を提供する。
【0009】
特定の一実施態様では、工程(1)〜(3)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0010】
別の特定の実施態様では、工程(1)〜(3)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0011】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0012】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0013】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は同じ水溶媒中で実行される。
【0014】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は単一の水溶媒中で実行される。
【0015】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は同じ水溶媒中で実行される。
【0016】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は単一の水溶媒中で実行される。
【0017】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は中間体を単離することなく実行される。
【0018】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は中間体を単離することなく実行される。
【0019】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)の後に微粒子化工程が実行される。
【0020】
さらに別の実施態様では、本明細書において提供される方法は、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸、及びその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物又は多形体の製造に有用である。また別の実施態様では、本明細書において提供される方法は、ナンセンス変異に関連する疾患又は状態の治療、予防又は管理に有用な1,2,4-オキサジアゾール安息香酸、及びその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物又は多形体の製造に有用である。また別の実施態様では、本明細書において提供される方法は、遺伝疾患及び障害の治療、予防又は管理に有用な1,2,4-オキサジアゾール安息香酸、及びその医薬として許容し得る塩、水和物、溶媒和物又は多形体の製造に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(4.発明の詳細な説明)
(4.1用語)
本明細書では特に断りのない限り、「ハロ」、「ハロゲン」などの語は-F、-Cl、-Br又は-Iを意味する。
【0022】
特に断りのない限り、本明細書に記載される反応性官能基(カルボキシ、ヒドロキシ及びアミノ部分など、ただしこれに限定されない)を有する化合物には、これら化合物の製造に有用な中間体も含め、それらの保護された誘導体も含まれる。「保護された誘導体」とは、1つ又は複数の反応性部位が1つ以上の保護基(ブロック基としても知られる)でブロックされている化合物のことを言う。カルボキシ部分に好適な保護基としては、ベンジル、t-ブチルなどが挙げられる。アミノ基及びアミド基に好適な保護基としては、アセチル、t-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。ヒドロキシに好適な保護基としては、ベンジルなどが挙げられる。その他の好適な保護基は、当業者には良く知られている。保護基の選択及び使用、並びに保護基を導入及び外すための反応条件については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、T. W. Greenの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第3版, Wiley, New York, 1999)に記載されている。
【0023】
本明細書では特に断りのない限り、ある化合物が「実質的に無い」組成物とは、その組成物が前記化合物を重量で約20%未満、より好ましくは重量で約10%未満、さらに好ましくは重量で約5%未満、最も好ましくは重量で約3%未満しか含有していないことを意味する。
【0024】
本明細書では特に断りのない限り、「方法(process(es))」という語は、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸化合物を製造するのに有用な本明細書に開示されている方法(methods)のことを言う。
【0025】
本明細書では特に断りのない限り、「添加すること」、又は「添加」などの語は、1つの反応物、試薬、溶媒、触媒などをもう1つの反応物、試薬、溶媒、触媒などに接触させることを意味する。反応物、試薬、溶媒、触媒などは、個別的に、同時に、又は独立に添加することができ、また、任意の順序で添加することができる。それらは熱の存在下又は不存在下で添加することができ、また、場合によっては不活性雰囲気下で添加することができる。
【0026】
本明細書では特に断りのない限り、「実質的に完了している」又は「実質的な完了」に追いやられている反応とは、その反応による所望の生成物の収率が百分率で約80%を上回っている、百分率で約90%を上回っている、百分率で約95%を上回っている、又は百分率で約97%を上回っていることを意味する。
【0027】
本明細書では特に断りのない限り、「単離することなく」という語は、1つの工程で生じる反応混合物を所望の生成物を単離することなく次の工程に回すことを意味する。幾つかの実施態様では、多数の反応工程を「単離することなく」実行することは、1つの工程で生じる反応混合物を次の反応の開始前に新たな反応器に移すことを含む方法を含んでいる。
【0028】
本明細書では特に断りのない限り、「縮合」という語は、2個の化学部分が反応し、同時に小分子、例えば水を失って互いに共有結合するような化学反応を意味する。
【0029】
本明細書では特に断りのない限り、「医薬として許容し得る塩」という語は、患者用として安全且つ効果がある本発明の化合物の塩のことを言う。代表的な医薬として許容し得る塩は、金属、無機塩基又は有機塩基を使って調製される。好適な塩基塩としては、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩及び亜鉛塩が挙げられるが、これに限定されない。好適な有機塩基塩はトリエチルアミンである。
【0030】
本明細書では特に断りのない限り、「水和物」という語は、非共有結合分子間力によって結合している化学量論量又は非化学量論量の水をさらに含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0031】
本明細書では特に断りのない限り、「溶媒和物」という語は、1つ以上の溶媒分子が本発明の化合物と会合して形成される溶媒化合物を意味する。「溶媒和物」という語には、水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)が含まれる。
【0032】
本明細書では特に断りのない限り、「多形体」という語は、本発明の化合物又はその錯体の固体結晶形を意味する。同じ化合物の異なる多形体は、異なる物理、化学及び/又は分光特性を示すことがある。
【0033】
本明細書では特に断りのない限り、「ナンセンス変異に関連する疾患又は障害」という句は、ナンセンス変異が存在しなければ症状を生じることも、持続することも、又は引き起こすこともないであろう疾患又は障害を意味する。
【0034】
本明細書では特に断りのない限り、「治療する」、「治療」、「治療すること」などの語は、疾患若しくは障害の進行、重篤度及び/若しくは持続期間を減じる若しくは改善すること、又は1つ以上の治療(例えば、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸などの1つ以上の治療薬)を施すことによって疾患若しくは状態の1つ以上の症状(好ましくは、1つ以上の認識できる症状)を改善することを言う。
【0035】
本明細書では特に断りのない限り、「予防する」、「予防」、「予防すること」などの語は、所定の疾患若しくは障害をこうむるリスク若しくはそれらが悪化するリスクを減じること、又は所定の疾患若しくは障害の1つ以上の症状の再発、発症、若しくは悪化を減じる若しくは抑制することを言う。
【0036】
描かれている構造とその構造に対して与えられた名称の間に不一致がある場合、その描かれている構造のほうがより重要であると考えられたい。また、ある構造又はその一部の立体化学が、例えば、太線又は断続線で示されていない場合、その構造又はその一部は全ての立体異性体を包含するものと解釈されたい。
【0037】
本明細書に提供される実施態様は、以下の詳細な説明、及び非限定的な実施態様の例証を意図した以下の説明的な実施例を参照することにより、より良く理解できよう。
【0038】
(4.2方法)
本明細書において、1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の製造に有用な、費用効果的かつ効率的な方法が提供される。
【0039】
一実施態様では、前記方法は、m-シアノ安息香酸メチルエステルを使用することを含む。
【0040】
別の実施態様では、前記方法は、フルオロベンゾイルクロリドを使用することを含む。
【0041】
別の実施態様では、前記方法は、o-フルオロベンゾイルクロリドを使用することを含む。
【0042】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は、単一の有機溶媒又は同じ有機溶媒中で、各工程と工程との間に中間体の単離を行うことなく実行される。
【0043】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(3)の各工程の間に中間体の単離を行うことなく実行される。
【0044】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(4)の各工程の間に中間体の単離を行うことなく実行される。
【0045】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)又は工程(1)〜(4)は、単一の水溶媒又は同じ水溶媒中で、工程(1)〜(3)の各工程の間に又は別の実施態様では工程(1)〜(4)の各工程の間に中間体の単離を行うことなく実行される。
【0046】
一実施態様では、本明細書に記載の前記方法で使われる溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル及び酢酸エチルなどの極性溶媒である。
【0047】
別の実施態様では、本明細書に記載の前記方法で使われる溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロパノール、ブタノール及びtert-アミルアルコールなどのアルコール溶媒である。
【0048】
別の実施態様では、本明細書に記載の前記方法で使われる溶媒はtert-ブタノールである。
【0049】
一実施態様では、本明細書に記載の前記方法は、約500mg以上、約1kg以上、約5kg以上、約10kg以上、約25kg以上、約50kg以上、約75kg以上、約100kg以上、約125kg以上、約150kg以上、約175kg以上、約200kg以上、約225kg以上、約250kg以上、約275kg以上、約300kg以上、約325kg以上、約350kg以上、約375kg以上、約400kg以上、約425kg以上、約450kg以上、約475kg以上、又は約500kg、又は約600kg、又は約700kg、又は約800kg、又は約900kg、又は約1000kg以上のバッチサイズの1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の製造に有用である。
【0050】
一実施態様では、前記1,2,4-オキサジアゾール安息香酸は、前記バッチサイズの1つのサイズで、全収率約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上で生成される。
【0051】
一実施態様では、工程(1)〜(4)の後には微粒子化の工程が実行される。ある特定の実施態様では、微粒子化された1,2,4-オキサジアゾール安息香酸の粒度分布は、D(v, 0.1):約0.5μmから約1.0μm;D(v, 0.5):約1.5μmから約5.0μm;及びD(v, 0.9):約5.5μmから約10.0μmである。
【0052】
一実施態様では、本明細書において、式Iの化合物:
【化1】

【0053】
又はその医薬として許容し得る塩、水和物、クラスレート化合物、プロドラッグ、多形体、又は鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体を含めた立体異性体若しくは立体異性体の混合物の製造に有用な方法であって(式中、
【0054】
Zは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のヘテロ環、又は置換若しくは非置換のアリールアルキルであり;
【0055】
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2O)nR6、又は任意の生物加水分解性基であり;
【0056】
R2、R3、R4、R5及びR6は、独立に水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、CF3、OCF3、OCHF2、CN、COOH、COOR7、SO2R7、NO2、NH2、又はN(R7)2であり;
【0057】
R7は、出現するごとに独立に、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ハロゲン、又はCF3であり;また、
【0058】
nは1から7の整数である)、
【0059】
下記工程:
【0060】
(1)場合によって置換しているシアノ安息香酸エステルを、ヒドロキシルアミンと反応させる工程と、
【0061】
(2)酸クロリドでアシル化する工程と、
【0062】
(3)縮合する工程と、
【0063】
(4)前記安息香酸エステルを場合によって加水分解する工程と
を含む方法である。
【0064】
一実施態様では、工程(1)〜(3)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0065】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0066】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0067】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0068】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は中間体を単離することなく実行される。
【0069】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は中間体を単離することなく実行される。
【0070】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0071】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(3)の各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0072】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(4)の各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0073】
一実施態様では、本明細書に記載の方法で使用される溶媒はtert-ブタノールである。
【0074】
一実施態様では、本明細書において提供される方法は、式IIの構造:
【化2】

を有する式Iの化合物、
【0075】
又はその医薬として許容し得る塩、水和物、クラスレート化合物、プロドラッグ、多形体、又は鏡像異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体を含めた立体異性体若しくは立体異性体の混合物の製造に有用であり(式中、
【0076】
R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2O)nR6、又は任意の生物加水分解性基であり;
【0077】
Xは、出現するごとに独立に、F、CL、Br又はIであり;
【0078】
mは、1から5の整数である)、
【0079】
該方法は、下記工程:
【0080】
(1)シアノ安息香酸メチルエステルを、ヒドロキシルアミンと反応させる工程と、
【0081】
(2)ハロベンゾイルクロリドでアシル化する工程と、
【0082】
(3)縮合する工程と、
【0083】
(4)前記メチルエステルを加水分解する工程と
を含む。
【0084】
一実施態様では、XはFである。
【0085】
別の実施態様では、mは1である。
【0086】
別の実施態様では、XはFであり、且つmは1である。
【0087】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはオルト位のFである。
【0088】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはメタ位のFである。
【0089】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはパラ位のFである。別の実施態様では、R1はHである。
【0090】
一実施態様では、本明細書において、式II及びIIaの構造を有する化合物を含めた式Iの化合物を製造する方法であって、スキーム1で説明される工程:
【化3】

【0091】
を含む方法が提供される
【0092】
(式中、R1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2O)nR6、任意の生物加水分解性基、又は当業者に知られている任意の好適なブロック基であり、工程(4)は、R1がH以外の時、随意の加水分解工程であり;
【0093】
Xは、出現するごとに独立に、F、Cl、Br又はIであり;
【0094】
mは、1から5の整数である)。
【0095】
スキーム1の一実施態様では、XはFである。
【0096】
スキーム1の別の実施態様では、mは1である。
【0097】
スキーム1の別の実施態様では、XはFであり、且つmは1である。
【0098】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはオルト位のFである。
【0099】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはメタ位のFである。
【0100】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはパラ位のFである。
【0101】
スキーム1の別の実施態様では、R1はメチルである。
【0102】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(3)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0103】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(3)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0104】
スキーム1の一実施態様では、工程(1)〜(4)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0105】
スキーム1の一実施態様では、工程(1)〜(4)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0106】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(3)は中間体を単離することなく実行される。
【0107】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(4)は中間体を単離することなく実行される。
【0108】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(3)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0109】
スキーム1の別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(3)の各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0110】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、工程(1)〜(4)の各工程間に中間体を単離することなく実行される。
【0111】
スキーム1の一実施態様では、使われる溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロパノール、ブタノール又はtert-アミルアルコールである。
【0112】
スキーム1のある特定の実施態様では、使われる溶媒はtert-ブタノールである。
【0113】
スキーム1の一実施態様では、工程(1)は、tert-ブタノール中で3-シアノ安息香酸メチルエステルをヒドロキシルアミン水溶液と反応させることを含む。特定の一実施態様では、50%ヒドロキシルアミン水溶液が工程(1)において使われる。別の実施態様では、溶融tert-ブタノールが工程(1)において使われる。別の実施態様では、前記ヒドロキシルアミン水溶液は、約40〜45℃で、前記3-シアノ安息香酸メチルエステルとtert-ブタノールとに添加される。別の実施態様では、工程(1)の反応混合物は約2時間撹拌される。
【0114】
スキーム1の別の実施態様では、工程(2)は、トリエチルアミンとtert-ブタノール中で、工程(1)の生成物をハロベンゾイルクロリドと反応させることを含む。ある特定の実施態様では、前記ハロベンゾイルクロリドはフルオロベンゾイルクロリドであり、より詳しくは2-フルオロベンゾイルクロリドである。別の実施態様では、工程(2)の反応混合物は、さらに溶融tert-ブタノールで希釈される。別の実施態様では、工程(2)の反応は40℃未満の温度で実行され、ある特定の実施態様では約30〜35℃で実行される。別の実施態様では、工程(2)の反応混合物は、少なくとも約2時間撹拌される。ある実施態様では、工程(2)の反応混合物に追加のトリエチルアミン又はハロベンゾイルクロリドを添加して反応を完了させることができる。
【0115】
スキーム1の別の実施態様では、工程(3)は、工程(2)の生成物をtert-ブタノール中で還流することを含む。ある特定の実施態様では、工程(3)は、工程(2)の生成物を約82℃のtert-ブタノール中で還流することを含む。別の実施態様では、工程(3)は、閉環生成物を約60〜65℃で水を添加することによって結晶化することを含む。別の実施態様では、得られたスラリーを室温まで冷却し、濾過し、tert-ブタノール/水(50/50 v/v)で洗浄した後、真空中で乾燥する。
【0116】
スキーム1の別の実施態様では、工程(4)は、tert-ブタノール中で水酸化ナトリウム水溶液を添加することによって、工程(3)の生成物のメチルエステルを加水分解し、相当するナトリウム塩とすることを含む。一実施態様では、工程(3)の生成物のメチルエステルの加水分解は、約68〜72℃で水酸化ナトリウム水溶液とtert-ブタノール中で実行される。また別の実施態様では、工程(4)は、温ナトリウム塩溶液をインラインフィルター(例えば、5ミクロンインラインフィルター)で濾過し且つ硫酸でpH約1〜3にまで酸性にすることによって、前記ナトリウム塩を遊離酸に変換することを含む。また別の実施態様では、工程(4)は、温ナトリウム塩溶液をインラインフィルター(例えば、1ミクロンインラインフィルター)で濾過し、約10〜15%の塩酸でpH約1〜3にまで酸性にし、その後約1時間約70℃で撹拌することによって、前記ナトリウム塩を遊離酸に変換することを含む。また別の実施態様では、前記遊離酸を、ローゼンムント(Rosenmunt)フィルターを使って単離し、tert-ブタノール水溶液と水で洗浄した後、乾燥(例えば、パドルドライヤー又はダブルコーンドライヤー)又は遠心する。
【0117】
本明細書に記載の反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(thin-Layer chromatography)(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(high-performance Liquid chromatography)(HPLC)、又は分光法(例えば、1H-NMR、13C-NMR、IR、ラマン、MS)を含めた、ただしこれらに限定されない、当業者に知られている任意の方法でモニタすることができる。
【0118】
一実施態様では、本明細書において、スキーム2で説明される工程を含む3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸の製造方法を提供する。
【0119】
【化4】

【0120】
一実施態様では、本明細書において、式IIの化合物の製造に有用な方法であって、
【0121】
(1)シアノ安息香酸メチルエステル:
【化5】

【0122】
をヒドロキシルアミンと反応させて
【化6】

を得る工程と、続いて
【0123】
(2)ハロベンゾイルクロリドでアシル化して
【化7】

を得る工程と、続いて
【0124】
(3)縮合して
【化8】

を得る工程と
を実行することを含む方法が提供される。
【0125】
別の実施態様では、本明細書において提供される方法は、さらに(4)前記メチルエステルを加水分解して
【化9】

を得ることを含む。
【0126】
一実施態様では、XはFである。
【0127】
別の実施態様では、mは1である。
【0128】
別の実施態様では、XはFであり、且つmは1である。
【0129】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはオルト位のFである。
【0130】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはメタ位のFである。
【0131】
別の実施態様では、mは1であり、且つXはパラ位のFである。
【0132】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0133】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0134】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は単一の有機溶媒中で実行される。
【0135】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は同じ有機溶媒中で実行される。
【0136】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)又は工程(1)〜(4)はtert-ブタノール中で実行される。
【0137】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)は中間体を単離することなく実行される。
【0138】
別の実施態様では、工程(1)〜(4)は中間体を単離することなく実行される。
【0139】
別の実施態様では、工程(1)〜(3)又は工程(1)〜(4)は、単一の有機溶媒中又は同じ有機溶媒中で、中間体を単離することなく実行される。
【0140】
一実施態様では、使われる溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロパノール、ブタノール又はtert-アミルアルコールである。
【0141】
ある特定の実施態様では、使われる溶媒はtert-ブタノールである。
【0142】
一実施態様では、式IIの化合物は、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸である。
【0143】
別の実施態様では、前記合成は単一の反応器で実行される(すなわち、「ワンポット」合成)。
【0144】
一実施態様では、本明細書において、式IIの化合物の製造に有用な方法であって、
【0145】
シアノ安息香酸:
【化10】

【0146】
をヒドロキシルアミンと反応させて、
【化11】

を得る工程と、
【0147】
その後ハロベンゾイルクロリドでアシル化して
【化12】

を得る工程と、続いて
【0148】
還流して
【化13】

を得る工程と
を単一の反応器で実行することを含む方法が提供される。
【0149】
一実施態様では、前記化合物は、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸である。
【0150】
本明細書に記載の実施態様を以下に記載の実施例でさらに詳しく説明するが、それら実施例は本明細書に記載の実施態様の範囲を制限するものではないと解釈されたい。
【0151】
本明細書に記載の方法において有用な出発原料及び試薬は、商業的提供先から得ることもできるし、当業者に知られている方法を使って調製することもできる。
【実施例】
【0152】
(5.実施例)
(3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル)
【0153】
(バッチ1)
【0154】
3-シアノ安息香酸メチル(105kg)と溶融tert-ブタノールを、乾燥反応器に充填した。50%ヒドロキシルアミン水溶液(43L、47.4kg)を、不活性雰囲気下で約2時間48分掛けて、透明な3-シアノ安息香酸メチルの溶融tert-ブタノール溶液に添加した。50%ヒドロキシルアミン水溶液を添加している間の最高バッチ温度は、約43℃であった。50%ヒドロキシルアミン水溶液の添加速度は、添加開始時の1時間につき約9Lから1時間につき約30Lまで変化させた。バッチ温度は、反応器のジャケット設定温度を変えることによって維持した。詳細には、添加速度の上昇に伴って、設定温度を添加開始時の約40.5℃から約29.6℃まで変化させた。約40〜45℃で約4時間撹拌後、反応は完了している(すなわち、エステルが約0.5%未満)と判断した。
【0155】
前記バッチを乾燥反応器に移し、次いで溶融tert-ブタノール約10Lを通した。移し換えが完了した後、ジャケット設定温度を、乾燥反応器にバッチが入った時点の約33℃から約27℃まで下げた。バッチの部分的な結晶化が認められたが、撹拌に悪影響はなかった。バッチを約34.4℃まで冷却し、トリエチルアミン(72.6kg、100L)を前記反応器に充填した。ジャケット設定温度を約20.4℃から約31.0℃まで上げて、バッチ温度を約30〜35℃の範囲に維持した。溶融tert-ブタノール(10L)でライン洗浄した後、バッチに2-フルオロベンゾイルクロリド(113.7kg、86.0L)を充填した。充填の最初の3倍の添加速度は1時間につき約25Lとした。この間、ジャケット入口温度は約15℃まで下げ、バッチ温度は約34.6℃のままであった。約5.5時間後に添加を完了した。添加の間の最高バッチ温度は、約38.8℃であった。添加の終わりに向けて添加速度を落とし、2-フルオロベンゾイルの最後の27リットルは1時間につき約11Lの速度で添加した。約30〜35℃で2時間撹拌後、反応は完了している(すなわち、3-アミジノ安息香酸メチルが約0.5%未満)と判断した。
【0156】
次いで、前記バッチを約1時間42分掛けて還流温度(約82℃)まで加熱し、さらに約18時間撹拌した。撹拌の間に、一部の生成物が部分的に結晶化し、スラリーを形成した。このスラリーをサンプリングに備え約40℃まで冷却すると、この間に完全な結晶化が生じた。前記バッチを再度還流温度まで加熱し、約1時間50分撹拌した。このバッチを約2時間掛けて約69℃まで冷却し、バッチ温度を約66〜69℃の間に維持しながら純水630Lを約4時間15分掛けて徐々に添加した。このスラリーを約3時間14分掛けて約22.4℃まで冷却し、25〜30μメッシュのポリプロピレンフィルタークロスを取り付けた2X200Lセラミックフィルターに移した。約55分後、反応器からフィルターへの原料の移動が完了した。濾過ケーキを50%tert-ブタノール水溶液(210L)で洗浄した。この洗浄には約10分をみて各ケーキに浸みこむようにした。次いで、ケーキを真空中で約5〜10分掛けて乾燥した。この濾過ケーキに二次的な洗浄として純水を適用し(1ケーキにつき158L)、残留するtert-ブタノール及び塩化トリエチルアンモニウム塩を除去した。真空中で約5分間乾燥して溶液を除去した。各ケーキを真空中でさらに約2時間乾燥し、液体クロマトグラフィーを使ってサンプリングした。液体クロマトグラフィーにより、各ケーキの純度は約99.6%であった。
【0157】
各ケーキを真空中で約8時間25分の間乾燥した後、湿潤ケーキ(207.4kg)をエアオーブンに移した。エアオーブンでの乾燥は、約50〜55℃で約52時間実行した。単離した生成物の全収率は約89.9%(174.65kg)であったが、この値は、サンプリングで消費される原料を考えれば約90.7%に調整することができる。
【0158】
(バッチ2)
【0159】
3-シアノ安息香酸メチル(105kg)と溶融tert-ブタノールを、乾燥反応器に充填した。50%ヒドロキシルアミン水溶液(47.85kg)を、不活性雰囲気下で約3時間29分掛けて、前記反応器に充填した。添加の間、温度は約40〜45℃に維持した。約40〜45℃で約3時間16分撹拌後、反応は完了している(すなわち、エステルが約0.5%未満)と判断した。
【0160】
前記バッチを、バッチ1に関して説明したように乾燥反応器に移した。バッチを約34.4℃まで冷却し、トリエチルアミン(72.6kg、100L)を充填した。バッチ温度を約30〜35℃に維持した状態で、約45分間掛けて添加を行った。この添加の間、ジャケット入口温度は約31.4℃から約32.6℃まで上げた。溶融tert-ブタノールでライン洗浄した後、バッチに2-フルオロベンゾイルクロリド(113.7kg、86.0L)を充填した。この酸クロリドは約3時間27分掛けて添加した。35℃で8時間撹拌した後に、反応は完了していない(すなわち、約0.5%を上回る3-アミジノ安息香酸メチルが残留)と判断した。次いで、最初の充填量の重量で1.5%のトリエチルアミンと2-フルオロベンゾイルクロリドをバッチに添加した。追加充填するごとに、tert-ブタノール(10L)でライン洗浄した。前記酸クロリドを添加の間には、さらに冷却することはなかった。ジャケット入口温度を約30.3℃から約33.0℃の範囲とした状態で、バッチ温度を約30〜35℃に維持した。約30〜35℃で約2時間撹拌後、反応は完了している(すなわち、3-アミジノ安息香酸メチルが約0.5%未満)と判断した。
【0161】
次いで、前記バッチを約1時間44分掛けて還流温度(約83℃)まで加熱し、さらに約18時間撹拌した。バッチ1の場合のように、サンプリングのための冷却の間に、固体は完全に結晶化した。前記バッチを再度還流温度まで加熱し、約1時間2分の間撹拌した。このバッチを約2時間20分掛けて約69.2℃まで冷却し、バッチ温度を約65.6〜69.2℃の間に維持しながら純水630Lを約4時間30分掛けて徐々に添加した。このスラリーを約3時間30分掛けて約23.4℃まで冷却し、内容物を、バッチ1に関して説明したデュアルセラミックフィルターに移した。約5時間6分後に、原料の移動が完了した。濾過ケーキを約50%tert-ブタノール水溶液(1ケーキにつき2体積)で洗浄した。この洗浄には約10分をみて、真空中での乾燥の前に各ケーキに浸みこむようにした。濾過は約1時間40分後に完了した。このケーキに最終洗浄として純水を適用した。真空中で約10分間乾燥して溶液を除去した。各ケーキを真空中でさらに約2時間5分乾燥し、液体クロマトグラフィーを使ってサンプリングした。液体クロマトグラフィーにより、各ケーキの純度はそれぞれ約99.5%及び99.6%であった。
【0162】
各ケーキを真空中でさらに約2時間5分の間乾燥した後、湿潤ケーキ(191.5kg)をエアオーブンに移した。エアオーブンでの乾燥は、約50〜55℃で約48時間実行した。単離した生成物の全収率は約92.5%(179.7kg)であった。
【0163】
(バッチ3)
【0164】
反応器に、3-シアノ安息香酸メチルエステル(52.5kg)と溶融tert-ブタノール(228kg)を充填した。この反応器を密閉し、バッチ温度を約40〜45℃に設定して、撹拌機を始動させた。50%ヒドロキシルアミン水溶液(24kg)を、不活性雰囲気下で2時間40分掛けて、前記反応器に充填した。添加の間、温度は約40〜45℃に維持した。約42℃でさらに約5時間撹拌後、反応を完了した。
【0165】
前記バッチを30〜35℃まで冷却し、トリエチルアミン(36kg)を15分掛けて充填した。2-フルオロベンゾイルクロリド(57kg)を約2時間44分掛けて添加した。添加の間、バッチ温度は約30〜35℃に維持した。バッチを32℃でさらに2時間10分撹拌し、反応を完了した。
【0166】
次いで、前記バッチを約50分掛けて還流温度(約83〜86℃)まで加熱し、約81℃で約18時間撹拌した。次いで、このバッチを約2時間掛けて約65〜70℃まで冷却し、バッチ温度を約65〜70℃の間に維持しながら純水(315L)を約6時間25分掛けて徐々に添加した。このスラリーを約2時間15分掛けて約22℃まで冷却し、内容物を、遠心フィルターに移した(2バッチ)。約1時間40分後、濾過が完了した。濾過ケーキを、約20分掛けて約50%のtert-ブタノール水溶液(1ケーキにつき90kg)で洗浄した。この濾過ケーキに最終洗浄として純水(1ケーキにつき79kg)を適用した。このケーキを約900rpmで約1時間と5分間乾燥し、次いでドラム中に排出した。液体クロマトグラフィーにより、湿潤ケーキ(91.5kg、LOD = 5%w/w)の純度は約99.75%であった。
【0167】
(3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸)
【0168】
(バッチ1)
【0169】
反応器に、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(74.0kg)を充填し、密閉し、排気した後、パージした。ジャケット設定温度を約35℃に設定し、撹拌機を反応器中で始動させた。溶融tert-ブタノール(222L、3体積)と純水(355L、4.8体積)を前記反応器に充填した。これらを充填した後、25.1%w/w水酸化ナトリウム水溶液(43.5kg、1.1モル当量)を添加し、追加の純水(100L、1.35モル)でライン洗浄した。添加の間に、バッチ温度が約39.0℃から約38.8℃まで下がった。バッチ温度を約1時間54分掛けて約63〜67℃まで上げ、次いで約30分掛けて約68〜72℃に調整した。この混合物を約68〜72℃で約3時間撹拌した。次いでこの溶液を、約5時間11分掛けて約40〜45℃まで冷却した。次いでこの溶液を、約3時間33分掛けて前記手順に従って約68〜72℃まで再度加熱した。
【0170】
反応器上のジャケット温度を約60℃に設定し、撹拌機を始動させて、この温溶液を、窒素の圧力を僅かに正圧(1.5から5.6psig)にした条件下約70℃で1ミクロンのフィルターを通して移し換えた。この移し換えは約45分で完了したが、この間生成物の温度は約64.3℃まで下がった。反応器に純水(61L、0.82体積)を添加し、内容物を約68〜72℃まで加熱した。
【0171】
バッチ温度を約69.4℃に調整し、約4時間18分掛けて13.9%w/w硫酸(100.7kg、1.15モル当量)で処理した。添加の間、バッチ温度は約68.0〜70.8℃に維持した。酸添加後は純水(50L、0.68体積)でライン洗浄し、約68〜72℃での撹拌をさらに約31分間続けた。
【0172】
前記バッチを、約4時間10分掛けて約69.2℃から約41.2℃まで直線的に冷却した。ローゼンムント(Rosenmunt)フィルター/乾燥機上の撹拌機を最も高い位置まで上げ、ジャケット設定温度を約40℃に設定した。スラリーを2つの部分に分けた状態で前記フィルター/乾燥機に移した。第一の部分には一定の窒素圧を印加した(約15psig未満)。移し換えは約1時間5分で完了した。この移し換えの間、圧力は約23.9から約28.8psiの範囲であった。スラリーの第二の部分はフィルターケーキの上部に移し、この複合物を短時間撹拌してバッチを均質化した。この第二の部分を約26.1から約29.1psiの窒素圧を使って濾過し、ケーキを押して3時間後には溶液の無い状態にした。このケーキを、約38〜42℃の温tert-ブタノール溶液(352kg、5体積)と約65〜70℃の3X温純水(370L、5体積)で洗浄した。
【0173】
フィルター/乾燥機ジャケット温度を約43℃に設定し、生成物を、定期的に撹拌しながら約26時間掛けて真空中で乾燥した。純度は約99.7%であった。単離した生成物の全収率は約74.4%(52.45kg)であった。
【0174】
(バッチ2)
【0175】
反応器に、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(47kg、湿潤ケーキ)と溶融tert-ブタノール(111.4kg)を充填した。この反応器を密閉し、バッチ温度を約30〜40℃に設定し、撹拌機を始動させた。純水(51.6kg)を、前記反応器に充填した。この充填の後、3.47%w/w水酸化ナトリウム水溶液(202.4kg)を添加した。バッチ温度を約1時間掛けて約67〜73℃まで上げ、次いで約70℃で約3時間撹拌した。
【0176】
前記バッチを窒素の圧力が僅かに正圧の条件下で1ミクロンのポリプロピレンフィルターバッグを使って濾過し、次いで新たな反応器に移した。反応器に純水(146kg)を充填し、このバッチを約68〜72℃まで加熱した。
【0177】
前記バッチに、約4時間掛けて10.7%塩酸水溶液を充填した。この添加の間、バッチ温度は約68〜72℃に維持した。バッチのpHをpHメーターによって約2.2と判定し、約70℃での撹拌をさらに約1時間続けた。
【0178】
前記バッチを、約2時間掛けて70℃から約60℃まで直線的に冷却した。約60℃のこのバッチを、約2時間掛けて60℃から約40℃まで直線的に冷却した。このバッチを40℃でさらに2時間撹拌し、スラリーを遠心フィルターに移した。約30分後に濾過を完了した。濾過ケーキを、約30分掛けて約42%w/w tert-ブタノール水溶液(165kg)で洗浄した。このケーキに最終洗浄として純水(118kg、40℃)を適用した。このケーキを約900rpmで約1時間乾燥し、次いでドラム中に排出した。
【0179】
この湿潤ケーキをパドルドライヤー(ダブルコーンドライヤーもこの工程には好適である)に移し、ジャケット温度を約70℃に設定した。生成物を定期的に撹拌しながら約48時間掛けて真空中約70℃で乾燥した。純度は約99.8%と判定した。単離した生成物の全収率は約74%(68.5kg)であった。
【0180】
(バッチ3)
【0181】
反応器に、3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(10g)と溶融tert-ブタノール(128mL)を充填した。バッチ温度を30〜40℃に設定し、撹拌機を始動させた。4.48%w/w水酸化ナトリウム水溶液(32.5g)を、約30分掛けて反応器に充填した。バッチ温度は約40〜50℃に維持した。バッチ温度を約1時間掛けて約78〜82℃まで上げ、次いで約78〜82℃でさらに約1時間撹拌した。このバッチを、窒素の圧力が僅かに正圧の条件下で5μmのポリエチレンフィルターを使って濾過し、次いで新たな反応器に移した。バッチ温度は約78〜82℃に維持した。
【0182】
新たな反応器に、37%塩酸水溶液(4mL)と溶融tert-ブタノール(8mL)を充填した。温度は約30〜40℃に維持し、この混合物を約30分間撹拌した。
【0183】
前記バッチに、計量型ポンプを使い約4時間掛けて塩酸のtert-ブタノール溶液を充填した。充填量の最初の半分は約20〜30分掛けて添加した。撹拌機の速度は約200rpmに設定した。残りの充填量は約3.5時間掛けて添加した。撹拌機の速度は約100rpmに設定した。この添加の間、バッチ温度は約78〜82℃に維持した。最終バッチのpHをpHメーターによって約1.2に調整し、約78〜82℃での撹拌をさらに約1時間続けた。
【0184】
前記バッチを、約1時間掛けて約78〜82℃から約70℃まで直線的に冷却した。約70℃のこのバッチを、約4時間掛けて70℃から約50℃まで直線的に冷却し、撹拌機の速度を約80rpmに設定した。約50℃のこのバッチを、約4時間掛けて50℃から約40℃まで直線的に冷却し、撹拌機の速度を約60rpmに設定した。バッチを40℃でさらに4時間撹拌した。
【0185】
フィルター温度を約40〜45℃に設定した。スラリーをフィルターに移した。約1分後に濾過を完了した。濾過ケーキを、約2分掛けてtert-ブタノール(50mL、50℃)で洗浄した。このケーキに最終洗浄として純水(100mL×2、60℃)を適用した。このケーキを真空下約60〜70℃で約12時間乾燥し、次いで容器中に排出した。
【0186】
HPLC純度は面積で約99.9%と判定した。単離した生成物の収率は約94%(9.0g)であった。
【0187】
(3-[5-(2-フルオロフェニル)-[1,2,4]オキサジアゾール-3-イル]安息香酸:ワンポット法)
【化14】

【0188】
反応器に、3-シアノ安息香酸(7.35g)と溶融tert-ブタノール(100mL)を充填した。この反応器を密閉し、バッチ温度を60℃に設定して、撹拌機を始動させた。この懸濁液を1時間撹拌し、次いでバッチ温度を40℃に設定した。不活性雰囲気下3時間掛けて、50%ヒドロキシルアミン水溶液(3.63g)を反応器に充填した。この添加の間、バッチ温度は38〜41℃に維持した。40℃で18時間撹拌した後、反応は完了した。
【0189】
バッチを27℃まで冷却し、2分掛けてトリエチルアミン(5.56g)を充填した。2-フルオロベンゾイルクロリド(7.82g)を3時間掛けて添加した。この添加の間、バッチ温度は24〜27℃に維持した。バッチを40℃でさらに4時間撹拌した。
【0190】
バッチを30分掛けて79℃まで加熱し、約79℃で16時間撹拌した。バッチ温度を70℃に維持した状態で、この白色懸濁液に、3時間掛けて水(100mL)を添加した。このバッチに、20分掛けて37%塩酸水溶液を充填した。バッチのpHをpHメーターによって約2.2と判定し、約70℃での撹拌をさらに約1時間続けた。
【0191】
前記バッチを、3時間掛けて約70℃から30℃まで直線的に冷却し、スラリーをフィルターに移した。5分後に濾過を完了した。濾過ケーキを、5分掛けてtert-ブタノール(50mL、40℃)で洗浄した。このケーキに最終洗浄として純水(100mL、60℃)を適用した。このケーキを70℃の真空オーブン中で18時間乾燥し、次いで排出した。純度は約98.68%と判定された。単離した生成物の全収率は約76%(10.8g)であった。
【0192】
本明細書に記載の本発明の具体的な実施態様に多くの均等物があることを、当業者は理解するであろうし、或いはまた通常の実験法を使って確認することができよう。このような均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されるものである。本明細書で言及される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの刊行物、特許又は特許出願が、参照によって本明細書に組み込まれると具体的且つ個別的に述べられていると同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2,4-オキサジアゾール安息香酸又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって、
(1)シアノ安息香酸メチルエステルをヒドロキシルアミンと反応させる工程と、
(2)ハロベンゾイルクロリドでアシル化する工程と、
(3)縮合する工程と、
(4)前記メチルエステルを加水分解する工程と
を含む、各反応工程が同じ有機溶媒中で実行される、前記方法。
【請求項2】
前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロパノール、ブタノール又はtert-アミルアルコールである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記有機溶媒がtert-ブタノールである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(1)〜(3)が中間体を単離することなく実行される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
下式の化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって、:
【化1】

(式中、
R1は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2O)nR6、又は任意の生物加水分解性基であり;
Xは、出現するごとに独立に、F、Cl、Br又はIであり;
mは、1から5の整数である)
同じ溶媒中で、
(1)シアノ安息香酸エステル
【化2】

をヒドロキシルアミンと反応させて
【化3】

を得る工程と、その後
(2)ハロベンゾイルクロリドでアシル化して、
【化4】

を得る工程と、その後
(3)縮合する工程と
を実行することを含む、前記方法。
【請求項6】
XがFである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
mが1である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
XがFであり、且つmが1である、請求項5記載の方法。
【請求項9】
R1がメチルである、請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記工程(1)〜(3)が中間体を単離することなく実行される、請求項5記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒がtert-ブタノールである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記ハロベンゾイルクロリドが2-フルオロベンゾイルクロリドである、請求項5記載の方法。
【請求項13】
(4)下式:
【化5】

の化合物のエステルを加水分解して
【化6】

又は医薬として許容し得るその塩を得ることをさらに含む、請求項5記載の方法(式中、
R1は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、-(CH2CH2O)nR6、又は任意の生物加水分解性基であり;
Xは、出現するごとに独立に、F、Cl、Br又はIであり;
mは、1から5の整数である)。
【請求項14】
前記加水分解がtert-ブタノール中で実行される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
R1がメチルである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
下式の化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって、:
【化7】

中間体を単離することなく、
(1)シアノ安息香酸メチルエステル
【化8】

をヒドロキシルアミンと反応させて:
【化9】

を得る工程と、その後
(2)2-フルオロベンゾイルクロリドでアシル化して、
【化10】

を得る工程と、その後
(3)縮合する工程と
を実行することを含む、前記方法。
【請求項17】
前記工程(1)〜(3)が同じ有機溶媒中で実行される、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒がtert-ブタノールである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
(4)下式:
【化11】

の化合物のメチルエステルを加水分解して
【化12】

又はその医薬として許容し得る塩を得ることをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
下式の化合物又はその医薬として許容し得る塩の製造方法であって、:
【化13】

同じ有機溶媒中で、
(1)シアノ安息香酸メチルエステル
【化14】

をヒドロキシルアミンと反応させて
【化15】

を得る工程と、その後
(2)2-フルオロベンゾイルクロリドでアシル化して、
【化16】

を得る工程と、その後
(3)縮合する工程と
を実行することを含む、前記方法。
【請求項21】
前記溶媒がtert-ブタノールである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記工程(1)〜(3)が中間体を単離することなく実行される、請求項20記載の方法。
【請求項23】
(4)下式:
【化17】

のメチルエステルを加水分解して
【化18】

又はその医薬として許容し得る塩を得ることをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
前記加水分解がtert-ブタノール中で実行される、請求項23記載の方法。

【公表番号】特表2010−502715(P2010−502715A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527430(P2009−527430)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/019561
【国際公開番号】WO2008/030570
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】