説明

2’−分枝ヌクレオシドの製造方法

【課題】β−Dおよびβ−L2’−C−メチルヌクレオシドおよび2’−C−メチル−3’−O−エステルヌクレオシドを調製する改良された方法の提供。
【解決手段】(a)リボフラノースを、ルイス酸の存在下に非保護ヌクレオシド塩基およびシリル化剤とカップリング、(b)脱保護剤と反応させて非保護ヌクレオシドとする、(c)ヌクレオシドがアミン基を有する場合、アミン基を保護、(d)場合によりシリル化剤と反応させて5’−O−シリル保護ヌクレオシドを形成、(e)カップリング剤を場合により用いて、保護3’−O−アミノ酸エステルを形成、(f)場合により、5’−Cからシリル保護基を除去しヌクレオシドアミンからホルムアミジン保護基を除去、(g)3’−O−アミノ酸エステルから保護基を除去する試薬と場合により反応させ、3’−O−アミノ酸エステルヌクレオシドを調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互関係)
本出願は、2002年12月12日に出願された米国仮特許出願第60/432,766号および2003年4月28日に出願された米国仮特許出願第60/466,194号の優先権を請求する。
【0002】
本発明は、保護された酸素置換基を有する糖類似化合物、特に、2,3,5−(独立して場合により保護されたヒドロキシ)−2−C−メチル−β−D−リボフラノースおよび2,3,5−(独立して場合により保護されたヒドロキシル)−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを調製する方法に関する。本発明は、さらに、ここに提示の方法を用いて調製された糖を場合により用いて、ヌクレオシド、特に、3’,5’−(独立して場合により保護されたヒドロキシル)−2’−C−メチル−β−D−シチジンを調製する方法、および特に、試薬化合物のプロドラッグの合成を含む。より詳しくは、抗ウイルスヌクレオシドおよびヌクレオシド類似誘導体化合物の送達のためのプロドラッグとして役立つ化合物、および特に、2’−C−メチル−β−D−シチジンの3’−O−バリニルエステルの合成が記載されている。
【背景技術】
【0003】
ヌクレオシドおよびビタミンの合成において用いられる糖類似体の調製における重要な中間体は2−C−メチル−D−リボノラクトンである。早くも1880年には、Scheiblerは、ラクトンを調製する方法を記載している(John Sowden著、「The Saccharinic Acids」,Adv.Carbohydrate Chem.第12巻:43〜46頁(1957年)、C.Scheibler、Berichte 第13巻:2212頁(1880年)を引用)。不運なことに、生成物収率は僅かに約10%であった(同書)。略同時に、H.Kilianiは、D−フルクトースを水酸化カルシウムで処理することにより2−メチル−D−リボノラクトンを合成した(H.Kiliani著、Berichte、第15巻:2953頁(1882年)、これは、F.J.Lopez−Herreraら著、J.Carbohydrate Chemistry、第13(5)巻:767〜775頁(1994年)に引用されている)。しかしながら、この方法は完了までに数ヶ月行う必要があり、生成物収率は僅かに10%であった(同書、768頁)。しかしながら、Kilianiの方法によれば、化合物上の重要な官能基の位置を達成することができた(John Sowden著、「The Saccharinic Acids」,Adv.Carbohydrate Chem.第12巻:43〜46頁(1957年)、H.Kiliani著,Ann.第213巻:361頁(1883年)を引用)。
【0004】
1960年代初期に、WhistlerおよびBeMillerは、Kilianiの合成の改良を試行した(Roy L.WhistlerおよびJ.N.BeMiller、「α−D−Glucosaccharino−1,4−lactone」,Methods in Carbohydrate Chemistry、第2巻:484〜485頁(1963年))。WhistlerおよびBeMillerは、沸騰水および水酸化カルシウムをD−フルクトースに添加し、系を窒素ガスでフラッシングし、同じプロセスを繰り返した。2週間後、混合物を6から8週間維持し、次いで、COおよび蓚酸二水和物で処理し、加圧下に濾過した。残渣をシロップ様粘稠度になるまで繰り返して洗い、濾液を合わせ、溶媒を減圧下で蒸発させ、得られた生成物を冷凍下に結晶化させた(同書)。最終的生成物収率は、依然として僅かに約10%であった(同書、485頁)。
【0005】
生成物の収率を向上させる試行において、Lopez−Aparicioらは、Kiliani合成への代替手段として2,3−O−イソプロピリデン−D−グリセルアルデヒドから2−C−メチル−D−リボノ−1,4−ラクトンを合成することを報告している(Lopez−Aparicioら著、Carbohydrate Res、第129巻:99頁(1984年)、これは、F.J.Lopez−Herreraら著、J.Carbohydrate Chemistry、第13(5)巻:767〜775頁(1994年)の768〜769頁に引用されている)。Lopez−Aparicioの方法は、2,3−O−イソプロプリデン−D−グリセルアルデヒドを(1−メトキシ−カルボニル−エチリデン)トリフェニルホスホランと縮合させて、E−(S)−4,5−ジヒドロキシ−4,5−O−イソプロプリデン−2−メチル−2−ペンテン酸メチルを生成し;このペンテン酸エステルを加水分解(HCl中)し光化学的に異性化し;ペンテン酸エステル生成物をラクトン化してブテノリドを生成し;塩化トリチルおよびピリジンと反応させることによりブテノリドをC−5においてトリチル化し、続いてクラウンエーテルの存在下に過マンガン酸カリウムおよび塩化メチレンを用いてシス−ヒドロキシル化することを含んでいた。トリチル(トリフェニルメチル)基の最終的除去は、TFA(トリフルオロ酢酸)との反応により達成した(同書、768頁)。Lopez−Aparicioらはリボノラクトンの生成物収率が約80%であると報告したが、他のものは、この出版物の実験セクションに提供された材料のグラム質量に基づいてこの数値を再現することはできなかった。その代わりに、計算によりリボノラクトンの収率が約36%であると示された。さらに、Lopez−Aparicioらの方法は、Kiliani合成よりかなり複雑であり、光化学的異性化を達成するために過マンガン酸カリウムのような毒性試薬および照射用の特殊な装置の使用を必要とし、最短反応時間が60時間であった(同書、768、770〜772頁)。
【0006】
Waltonらは、2−C−メチル−D−リボノ−ラクトンからの2’−C−メチルアデノシンの合成を記載している(Waltonら著、J.Am.Chem.Soc、第88(19)巻:4524〜5頁(1966年))。この場合、ラクトンが2,3,5−トリ−O−ベンゾイル誘導体に転化され、次に、ビス(3−メチル−2−ブチル)ボランで還元されて、2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボフラノースのアノマー混合物が提供された(同書)。酸洗浄アルミナおよびシリカゲルの両者の上でアノマー混合物を分離しようとすると、転位が起こり1,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−α−D−リボフラノースとなった(同書)。転位を避けるためには、混合アノマーをピリジン中で塩化ベンゾイルで処理して1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−(α)/(β)−D−リボフラノースを得る工程と最終生成物をクロマトグラフィーにより単離する工程との更なる工程が必要であった。後に、Waltonらは、Hilbert−Johnson反応を介する2’−C−メチル−5−フルオロシチジン、2’−C−メチル−5−フルオロウリジンおよび2’−および3’−C−メチルシチジンの合成を記載した(Waltonら著、Antiviral Nucleosides 第12巻:306〜309頁(1969年))。しかしながら、N−アセチルシトシン−水銀から2’−C−メチルシチジンが合成されたときに予想外に多量のO−グリコシドが形成され、水銀それ自体は、回避が望まれる毒性試薬である(同書)。Waltonらにより記載された両合成手順において、最終生成物の収率は僅かに約11%であった。
【0007】
1997年に、Harry−O’Kuruらは、2’−C−分枝リボヌクレオシドを調製するための合成経路を記載した(Harry−O’Kuruら著、J.Org.Chem.、第62巻:1754〜9頁(1997年))。D−リボースまたはD−アラビノース(D−アラビノピラノース)から調製された市販の1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノースを出発材料として用いた。1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノースを、Dess−Martinペルイオジナン(periodinane)試薬を用いて遊離2−OHにおいて酸化して、1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−ケト−リボフラノース並びに対応する水和物を生成した。所望の生成物および水和物を過剰のMgSOと共に攪拌し、一晩放置した。次に、混合物を濾過し濃縮して、実質的に純粋なケト生成物を得た。得られた2−ケト糖を、MeMgBr/TiCl(また、MeTiCl、CH=CHMgBr/CeClまたはTMSC≡CLi/CeCl)で処理し、これにより、所望の1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−置換アルキル、アルケニルもしくはアルキニル−リボフラノシド、およびこのエステル交換異性体、α−およびβ−2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−置換アルキル、アルケニルもしくはアルキニル−リボフラノシドのアノマー混合物が、所望の生成物と異性体型との比約5:3で得られた(同書、1755頁)。次に、2−アルキル化リボフラノシドを、塩化ベンゾイル、DMAPおよびトリエチルアミンで処理することにより転化して、収率約70%、β/α比約4:1で、単一の所望の生成物1,2,3,5−テトラベンゾイル−2−アルキルリボフラノシドを得た(同書)。
【0008】
Beigelmanらは、D−グルコースおよびD−リボースからの2’−C−メチル−ヌクレオシドの合成を記載した(Beigelmanら著、Carbohydrate Research、第166巻:219〜232頁(1987年))。出発材料としてD−グルコースを用いて、5,6−O−ジブチルスタニリデン誘導体を介してp−メチルベンゾイル基を選択的に組み込むことにより、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−3−C−メチル−α−D−アロフラノースを調製し転化した(同書)。次いで、水性90%トリフルオロ酢酸で処理し、過ヨウ素酸塩で酸化し、化合物上のホルミル基を除去し、アセチル化した(同書)。最終的生成物の収率は約77%であった(同書)。出発材料としてD−リボースを用いて、保護された5−位を有する2,3−ジメチル−イソプロピリデン誘導体を、ホルムアルデヒドとのアルドール縮合に付して、次に、ピリジン中の過剰のトルエン−p−スルホニルクロライドで処理した(同書)。続いて、例えば、Kuhnメチル化、THF中でのLiAlHを用いる還元、酸で触媒された加水分解、およびピリジン中での過剰のAcO中での沸騰によるアセチル化を含む当業者に公知の条件を用いて、この化合物を用いて種々の生成物を形成した(同書)。平均生成物の収率は、約75から80%だが、高価な材料および試薬を必要とする(同書)。
【0009】
NovakおよびSormは、ホウ水素化ナトリウム還元を介する2−C−メチル−D−リボノラクトンからの結晶性2−C−メチル−D−リボースおよび誘導体化合物の調製を詳細に記載した(J.J.K.Novak & F.Sorm、Collection Czechoslov.Chem.Commun.、第34巻:857〜866頁(1969年))。彼らは、2−C−メチル−リボフラノシドの2−位におけるヒドロキシル基の性質を、特に、対応するラクトン上の同様の位置のヒドロキシ基と比較して、特徴付けた(同書)。ラクトン上のヒドロキシ基は当業者に知られた条件下に容易にアセチル化して2,3,5−トリ−O−アセチルおよび2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノラクトンを提供したが、類似の条件により、2−C−メチル−リボフラノシドから3,5−ジ−O−アセチルおよび3,5−ジ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボフラノシドしか得られなかった(同書)。
【0010】
後に、Novakは、ハイポイオダイト酸化を介してD−リクソースおよびD−キシロースから調製され、ラクトン上のC3およびC5にp−トルオイル保護基を有する2−C−メチル−1,4−ラクトンのカイロ(chiro)−光学特性を記載した(J.J.K.Novak、Collection Czechoslov.Chem.Commun.,第39巻:869〜882頁(1974年))。特に、3,5−p−トルオイル−2−Br、2−CH−リボノ−1,4−ラクトンから加水分解により2−CH−リボノ−1,4−ラクトンを合成した(同書)。しかしながら、Novakは、保護されたラクトン生成物を互いに分離する際の困難を記載し、アルカリ性アルコール分解によりラクトンを脱ブロックして得られたシロップ様生成物を試した(同書、871頁)。
【0011】
田辺製薬株式会社(JP61−212592)およびBASF Aktiendgesellschaft(EP 0 288 847)の両者が、リボース生成のために一般的出発材料であるD−アラビノースから非保護D−リボースを調製するためのエピマー化プロセスを報告した。
【0012】
田辺製薬株式会社は、好ましくはモリブデン(VI)酸およびホウ酸化合物の存在下における有機溶媒中での水性D−アラビノースのエピマー化、2−または3−価金属型カチオン交換材料(Ca−型に転化されたポリスチレンスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂が好ましい)を通す反応液の通過および収集、水での溶離による非保護リボースの分離、およびリボース化合物の収集(JP61−212592、要約)を教示している。
【0013】
BSAFは、D−アラビノースの水性/アルコール性溶液を、モリブデン(VI)化合物を負荷した塩基性アニオン交換材料の存在下に溶媒中で加熱する連続的プロセスを教示している。溶離物を集め乾燥し、メタノールおよびエタノールを乾燥溶離物に添加し、混合物を約0℃に冷却して非転化D−アラビノースを結晶化し、これを、次に、分離し再利用する。残りの濾液を濃縮し、Ca2+型の強酸性イオン交換材料上で当業者に公知の方法により精製し、副産物を含まないアラビノース/リボースを結晶化工程においてアラビノースに循環する(EP0288847)。
【0014】
田辺製薬株式会社およびBASFの両手順が、複雑な高価な装置および試薬を必要とし、生成化合物は、付加された保護基を有さなくてはならない。
【0015】
日本たばこ産業は、酸塩化物または酸無水物を利用して第3アミンでγ−リボノラクトン上の5−OH基を保護することにより3−OHのβ−除去および炭素2と3との間の二重結合の形成を引き起こすと共に、同時に、2−OH基をアシル化し、最後に、C−2およびC−3との間の二重結合を接触水素化し、保護基を除去して、5−OHを再生することにより、3−DPA−ラクトンを調製した。EP O 526,655 A1、EP O 553,358 A1およびEP O 553,358 B1、並びに米国の対応した米国特許第5,322,955号および米国特許第5,391,769号を参照のこと。
【0016】
リボノラクトンおよび保護置換基を有する糖類似体の合成についての他の関連作業は以下のものを含む。
【0017】
Liら著、Organic Letters、第3(7)巻:1025〜28頁(2001年)は、1,3,5−トリ−O−ベンゾイル−α−D−リボフラノースから2’−C−β−トリフルオロメチルピリミジンリボヌクレオシドを合成し、次に、これを3,5−ジ−O−ベンゾイル−2−C−β−トリフルオロメチル−α−D−1−リボフラノシルブロミドに転化した。後者のブロミド誘導体化合物は、ヌクレオシドの形成において効果的な反応中間体であると分かった。
【0018】
Beigelmanら著、Bioorg.Khim、第12(10)巻:1359〜65頁(1986年)は、1,2:5,6−ジ−イソプロピリデン−3−C−メチル−α−D−アロフラノースのベンジル化により2−C−メチル−D−リボース誘導体化合物を合成して第1の中間体を形成し;第1の中間体を加水分解および選択的にアシル化して3−O−ベンジル−1,2−O−イソプロピリデン−3−C−メチル−6−O−トルオイル−α−D−アロフラノースを形成し、順次、脱イソプロピリデン化し、(過ヨウ素酸で)酸化し、脱ホルミル化し、アセチル化し、脱ベンジル化し、再びアセチル化して1,2,3−トリ−O−アセチル−2−C−メチル−5−O−トルオイル−β−D−リボフラノースを最終生成物として得た。
【0019】
Feastら著、Acta Chemica Scandinavica 第19巻:1127〜34頁(1965年)は、1,4−ラクトン中間体を介するD−フルクトースまたは1−O−置換D−フルクトースのアルカリ処理による、2−C−メチル−D−リボ−ペントン酸と示されるα−D−グルコサッカリン酸の調製を報告した。
【0020】
Kohnら著、J.Am.Chem.Soc、第87(23)巻:5475〜80頁(1965年)は、還元剤としてジシアミルボランを用いてテトラアシクロヘキソノ−γ−ラクトンをこの対応するテトラアシルヘキソフラノースに還元することにより、アルドースのフラノース誘導体を得るための短い経路を記載している。この反応は、C−1’フラノシルヌクレオシドの合成において中間体を形成するために特に重要である。
【0021】
Kempeら著、Nucleic Acids Res、第10(21)巻:6695〜6714頁(1982年)は、保護されたリボヌクレオシドのシス2’,3’−ジオールにおける選択的2’−ベンゾイル化、および2’−ベンゾエートから3’−ベンゾエートへの異性化を報告した。これらの保護されたヌクレオシドを用いて、固体シリカゲル支持体上にオリゴリボヌクレオチドを合成し、続いて脱保護して、内部ヌクレオチド開裂が最低である利益を得た。
【0022】
Schmidtらの米国特許第4,294,766号は、リボノラクトンおよびアラボノラクトンの混合物からの純粋なリボノラクトンの合成を詳説している。リボノラクトンは、リボフラビン(ビタミンB)の形成における中間体である。アラボン酸カリウムおよびリボン酸カリウムの混合物を「ラクトン化」し、この約70%がリボノラクトンである、得られたラクトン混合物を、ジオキサンまたはエチレングリコールモノメチルエーテルを用いて分別結晶により分離した。例えば、イオン交換材料の使用、またはHSOまたはKSOの存在下におけるラクトンの縮合、および沈殿の濾去のような当分野で公知の方法によりラクトン化を行った。
【0023】
(ヌクレオシドカップリング)
Waltonは、2,3,5−トリ−O−アシル2(または3)−C−アルキルリボフラノシルハライドをクロロ第二水銀プリンまたはピリミジン化合物と反応させることにより調製される分枝鎖ヌクレオシドの合成を記載している(米国特許第3,480,613号)。1,2−O−イソプロピリデン−5−O−アシル−α−D−エリスロ−ペンタフラン−3−ウロースから出発してこの化合物をグリニャール試薬と反応させてC3において低級アルキル基を付加して、3−低級アルキル−D−リボフラノシルハライド中間体を調製した。次に、2つの経路のうちの一方を行った。第1の経路において、5−O−アシル−1,2−O−イソプロピリデン−3−低級アルキル−D−リボフラノースを酸性アルコール分解に付してアルキル5−O−アシル−3−低級アルキル−D−リボフラノシドを形成し;後者の化合物を、次に、アルキル2,3,5−トリ−O−アシル−3−低級アルキル−D−リボフラノシドにアシル化し;得られたリボフラノシドを、次に、塩基性加溶媒分解に付し、水性媒体中の強酸中でさらに加水分解することにより、遊離糖に転化することができる、または適切な溶媒中でのハロゲン置換反応によりハロゲノースに転化することができる。第2の経路において、不活性溶媒中で塩基性条件(ピリジン)下に5−O−アシル−1,2−O−イソプロピリデン−3−低級アルキル−D−リボフラノースをアシル化して3,5−ジ−O−アシル−1,2−O−イソプロピリデン−3−低級アルキル−D−リボフラノースを形成し、これを次に、強酸中で加水分解し、さらにアシル化して所望の中間体を得た。糖部分の2’−位または3’−位に分枝鎖を有する2−置換、6−置換または2,6−二置換のプリンヌクレオシドを、次に、2,3,5−トリ−O−アシル−D−リボフラノシルハライドを、トルエンまたはキシレンのような溶媒中にて100℃から140℃の温度でクロロ第2水銀2,6−二置換プリンと反応させることにより調製した。所望のピリミジノン塩基を有するヌクレオシドを、2,3,5−トリ−O−アシル−2(または3)−C−低級アルキル−D−リボフラノシルハライドから、2,4−ジアルコキシ−ピリミジンと反応させて1−(2,3,5−トリ−O−アシル2(または3)−C−低級アルキル−D−リボフラノシル)−4−アルコキシ−2(1H)−ピリミドンを形成することにより誘導し、これを、次に、アンモニアまたは第1もしくは第2アミンと反応させて、ピリミジノンのC−4にアミノ置換基を有する化合物を提供、または、酸性または塩基性条件下に加水分解して、C−4にヒドロキシ基を有するピリミジノン塩基を提供した。不運なことに、Walton合成は、複数の工程、特別の条件、および多数の毒性試薬を含む。
【0024】
図5に示すように、従来技術は、アセトニトリル中で、BSAを用いて、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(4)をN−ベンゾイルシトシンとカップリングすることを教示している。この反応混合物を約30分間加熱還流し、次に、ルイス酸SnClを添加し、溶液を、再び、約3.5時間加熱還流して4−NH−ベンゾイル−2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−2’−C−メチル−シチジン(5a)を得た。化合物(5a)は、酢酸エチルおよび水性飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、クロマトグラフィーにより入念に精製することにより得た。ベンゾイル保護基の除去は、(5a)をアンモニアで予め飽和したメタノールの溶液で一晩処理してβ−D−2’−C−メチル−シチジン(6)を提供することにより達成した。
【0025】
(プロドラッグ)
製薬活性化合物は、エステル化したプロドラッグ状態で投与されることができる。カルボン酸エステルが最も一般的に用いられ、ホスホン酸およびリン酸エステルは、生体内で加水分解できず、毒性副産物を生成することがあるので、使用頻度が低い(Erionらの米国特許第6,312,662号を参照)。環式ホスホン酸エステルおよびアリールエステル、特にフェニルおよびベンジルエステルと同様に、アシクロキシアルキルエステルをリン酸およびホスホン酸化合物用のプロドラッグとして用いる(Farquharら著、J.Pharm.Sci、(1983年)、第72(3)巻:324頁;Erionらの米国特許第6,312,662号)。ヌクレオシドと同様に、例えばホスホノ蟻酸およびPMEA(Adefovir;9−(2−ホスホニルメトキシ−エチル)アデニン)のようなホスホン酸類が、カルボン酸またはヌクレオシドのエーテル脂質プロドラッグが示すような抗ウイルス活性を示す(Gosselinらの米国特許第6,458,773号)。
【0026】
歴史的には、プロドラッグの合成および調製は、典型的に、ヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体の5’−位を含んでいた。Gosselinらの前記書は、5’−OH基のHが以下の部分のいずれかにより置換されたヌクレオシドを報告した。エステル基の非カルボニル部分が直鎖、分枝または環式C〜C20アルキル、フェニルまたはベンジルから選択されるものを含むアシル基;天然産または非天然産アミノ酸;5’−エーテル脂質または5’−ホスホエーテル脂質;メトキシメチルを含むアルコキシアルキル;ベンジルを含むアラルキル;例えば、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル;ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシで場合により置換されたフェニルを含むアリール;例えば、コハク酸のようなジカルボン酸;例えば、メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルのようなスルホン酸エステル;またはモノ、ジもしくはトリリン酸エステル。
【0027】
Matulic−Adamicら(米国特許第6,248,878号)は、酸素原子を介して3’−位に付着したリン含有基を有するリボフラノース環および置換ピリミジン塩基を含むヌクレオシド類似体の合成を報告した。リン含有基は、ジチオエートまたはホスホルアミダイトを含む、または、オリゴヌクレオチドの一部であり得る。これらの化合物は、さらに反応して最終的な所望のヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体を提供するので、プロドラッグである。これらの化合物は、出発材料としてのC−1にヒドロキシまたはアセトキシ基を有しC−2、C−3およびC−5にベンゾイル保護基を有するリボフラノースと4−OSiMeピリミジンをカップリングさせて1−(2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−リボ−フラノシル)−ピリミジン−4−オンを生成し;次に、メタノール中のアンモニアを、第1の反応の生成物に添加して、ベンゾイル保護基を除去し;次に、非保護生成化合物と反応したDMT−Cl/Pyrを反応させ、リボフラノースの5’−O位にDMTを付加させ;次に、TBDMS−Cl、AgNOおよびPyr/THFを5’−O−DMT置換リボフラノースと反応させ;最後に、標準的ホスフィチル化して、3’−Oに位置するリン含有基を生成する多段プロセスで合成される。示された合成の各々が、少なくとも4から7つの工程を含む。
【0028】
Chuらは、ヌクレオシドおよびリン酸化ヌクレオシド類似体を含むアジド誘導体化合物および組成物であるプロドラッグを記載した(米国特許第6,271,212号)。このようなアジドプロドラッグは、利点として、血液脳関門を通過する性能、より長い半減期を提供する性能、以前に観察されていたよりも優れた生物学的利用性および増加した安定性を試薬の活性型に付与する性能を有する。しかしながら、Chuらは、このアジドプロドラッグを調製するのに必要な長い多段合成を報告した。
【0029】
Borretzenらは、ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体である抗ウイルス性プロドラッグを記載した。彼らは、モノ飽和C18またはC20脂肪酸中の脂肪酸がアシル化プロセスによりヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体の5’−位に結合した抗ウイルス性ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体の特定の脂肪酸エステルを報告した(米国特許第6,153,594号)。このプロセスは、触媒の存在下に行われ、24から60時間進められた。生成物の単離は、有機溶媒での抽出、およびクロマトグラフィーによる精製および/または適切な溶媒からの再結晶により行った。生成物の収率は、15から82%で広範囲に変化した。しかしながら、Borretzenらは、「プロドラッグ」という用語を使用していなかった。
【0030】
1999年に、McCormickらは、出発材料として非保護リボースを用いるグアノシンの3’−OHにおける炭酸塩の形成を記載した(McCormickら著、J.Am.Chem.Soc.1999年、121(24)巻:5661〜5頁)。McCormickは、順次、O−およびN−グリコシド結合の段階的導入、特定の保護基の適用、スルホン化および最終的脱保護によりこの化合物を合成することができた。これらのプロセスにおける一つの工程として、McCormickらは、非保護グアノシンを、室温でBOC−無水物、DMAP、EtNおよびDMSOと4時間反応させて、直接、グアノシンの3’−OHにおいて炭酸塩を得た。
【0031】
また1999年において、Tangらは、2’−C−β−メチル−シチジンリボヌクレオシドのホスホルアミダイトプロドラッグを調製する方法を開示した(Tangら著、J.Org.Chem、1999年、第64巻:747〜754頁)。多くの他の同業者と同様に、Tangらは、合成の第1段階として、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−Dリボフラノースを、ルイス酸SnClの存在下に過シリル化4−N−ベンゾイルシトシンと反応させた(前記書、748頁、スキーム1)。
【0032】
2000年において、Novirio Pharmaceuticals(現在ではIdenix)は、抗ウイルス性ヌクレオシド類似体の安定性および生物学的利用性が、抗ウイルス性ヌクレオシドのアミノ酸エステル型の投与により高められることを開示した(米国出願第09/864,078号、継続中;米国出願第10/261,327号、継続中;WO 01/90121;および米国仮出願第60/377,983号および第60/392,351号)。ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体のこれらのアミノ酸エステルを調製するために用いられたプロセスは、当業者に公知の方法により、例えばシリル基のような適切な保護基で場合により保護し、続いて脱保護することができる適切に分枝したβ−Dまたはβ−Lヌクレオシドを用いて始まる(Zhangら著、Tetrahedron Letters、1992年、第33巻:1177〜80頁;Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版(1991年);Kerrら著、J.Pharmaceutical Sciences、1994年、第83巻:582〜6頁;Tangら著、J.Org.Chem.,1999年、第64(3)巻:747〜754頁;およびCavelierら著、Tetrahedron Letters、1996年、第37巻:5131〜4頁)。場合により保護された分枝ヌクレオシドを、次に、適切なプロトン性または非プロトン性溶媒中、適切な反応温度で、場合により適切なカップリング剤の存在下に、アシル塩化物および/またはアシル無水物のような適切なアシルドナーまたは活性化酸とカップリングさせて、1’,2’,3’または4’分枝β−D又はβ−Lヌクレオシドの2’または3’プロドラッグを提供した(Synthetic Communications、1978年、第8(5)巻:327〜33頁;J.Am.Chem.Soc、1999年、第121(24)巻:5661〜5頁;Bryantら著、Antimicrob.Agents Chemother、2001年、第45巻、229〜235頁;Standringら著、Antiviral Chem. & Chemother、2001年、第12巻(前掲書1)、119〜129頁;Benzariaら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A79頁;Pierraら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A79頁;およびCretton−Scottら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A44頁を参照)。可能なカップリング剤は、化合物またはその部分を互いに結合できるようにする任意の試薬であり、限定はされないが、種々のカルボジイミド、CDI、BOPおよびカルボニルジイミダゾールを含む。例えば、2’−分枝ヌクレオシドの3’−プロドラッグについては、ヌクレオシドは好ましくは保護されないが、カルボジイミドカップリング剤を介してアルカンまたはアミノ酸残基に直接カップリングされた。
【0033】
図5に示す従来技術の方法は、シチジンの3’−バリニルエステルヌクレオシドプロドラッグを調製するための以下の反応手順を含んでいた。1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(4)を、アセトニトリル中のBSAとN−ベンゾイルシトシンの混合物に添加し、約30分間加熱還流し、次に、ルイス酸SnClを添加し、溶液を再び約3.5時間加熱還流して4−NH−ベンゾイル−2’,3’,5’−トリ−O−ベンゾイル−β−D−2’−C−メチル−シチジン(5a)を提供した。化合物(5a)は、酢酸エチルおよび水性飽和重炭酸ナトリウムで希釈し、入念にクロマトグラフィー精製することにより得た。ベンゾイル保護基の除去は、(5a)をアンモニアで予め飽和したメタノールの溶液で一晩処理してβ−D−2’−C−メチル−シチジン(6)を提供することにより達成した。DMF中の化合物(6)を、室温で約1.5時間N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールで処理して、C4に保護されたアミノ基を有するシチジンであるN−[(ジメチルアミノ)メチレン]−β−D−2’−C−メチル−シチジン(7)を提供し;無水ピリジン中のアミノ保護シチジン(7)の溶液を、次に、室温で約6時間、イミダゾールおよびTBDPSClで処理して、この5’−Oがシリル保護されたシチジン(8)を得;DEC、DMAPおよびTHF/DMFの存在下にN−Boc−L−Valineを、室温で約2日間、4−および5’−保護β−D−2’−C−メチル−シチジン(8)に添加して、β−D−2’−C−メチル−シチジンの4−および5’−保護3’−O−L−N−BOC−バリニルエステルを提供し;β−D−2’−C−メチル−シチジンの4−および5’−保護3’−O−L−N−BOC−バリニルエステルを無水メタノール中に取り込み、ここに、フッ化アンモニウムを添加し、混合物を還流して5’−シリルおよび4−アミノ保護基を除去し、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−L−N−(tert−ブトキシカルボニル)バリニルエステル(10)を生成し、これを、カラムクロマトグラフィーにより生成し;最後に、無水酢酸エチル中のβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−L−N−(tert−ブトキシカルボニル)バリニルエステル(10)の溶液を、HCl/酢酸エチルの20%溶液に添加し、混合物を約2時間攪拌してBOC−保護基を除去し、これにより、最終生成物としてβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステルの塩酸塩(11)を提供した。図6に示す従来技術の合成は、ベンゾイルシトシンの代わりにウラシルを用いて、化合物(11)β−D−2’−C−メチル−シチジンを調製した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開昭61−212592号公報
【特許文献2】欧州特許第0288847号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0526,655号
【特許文献4】欧州特許第0553,358号
【特許文献5】米国特許第5,322,955号
【特許文献6】米国特許第5,391,769号
【特許文献7】米国特許第4,294,766号
【特許文献8】米国特許第3,480,613号
【特許文献9】米国特許第6,312,662号
【特許文献10】米国特許第6,458,773号
【特許文献11】米国特許第6,248,878号
【特許文献12】米国特許第6,271,212号
【特許文献13】米国特許第6,153,594号
【特許文献14】米国出願第09/864,078号
【特許文献15】米国出願第10/261,327号
【特許文献16】国際公開第01/90121号
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】John Sowden著、「The Saccharinic Acids」,Adv.Carbohydrate Chem.第12巻:43〜46頁(1957年)
【非特許文献2】C.Scheibler、Berichte 第13巻:2212頁(1880年)
【非特許文献3】H.Kiliani著、Berichte、第15巻:2953頁(1882年)
【非特許文献4】F.J.Lopez−Herreraら著、J.Carbohydrate Chemistry、第13(5)巻:767〜775頁(1994年)
【非特許文献5】H.Kiliani著,Ann.第213巻:361頁(1883年)
【非特許文献6】Roy L.WhistlerおよびJ.N.BeMiller、「α−D−Glucosaccharino−1,4−lactone」,Methods in Carbohydrate Chemistry、第2巻:484〜485頁(1963年)
【非特許文献7】Lopez−Aparicioら著、Carbohydrate Res、第129巻:99頁(1984年)
【非特許文献8】Waltonら著、J.Am.Chem.Soc、第88(19)巻:4524〜5頁(1966年)
【非特許文献9】Waltonら著、Antiviral Nucleosides 第12巻:306〜309頁(1969年)
【非特許文献10】Harry−O’Kuruら著、J.Org.Chem.、第62巻:1754〜9頁(1997年)
【非特許文献11】Beigelmanら著、Carbohydrate Research、第166巻:219〜232頁(1987年)
【非特許文献12】J.J.K.Novak & F.Sorm、Collection Czechoslov.Chem.Commun.、第34巻:857〜866頁(1969年)
【非特許文献13】J.J.K.Novak、Collection Czechoslov.Chem.Commun.,第39巻:869〜882頁(1974年)
【非特許文献14】Liら著、Organic Letters、第3(7)巻:1025〜28頁(2001年)
【非特許文献15】Beigelmanら著、Bioorg.Khim、第12(10)巻:1359〜65頁(1986年)
【非特許文献16】Feastら著、Acta Chemica Scandinavica 第19巻:1127〜34頁(1965年)
【非特許文献17】Kohnら著、J.Am.Chem.Soc、第87(23)巻:5475〜80頁(1965年)
【非特許文献18】Kempeら著、Nucleic Acids Res、第10(21)巻:6695〜6714頁(1982年)
【非特許文献19】Farquharら著、J.Pharm.Sci、(1983年)、第72(3)巻:324頁
【非特許文献20】McCormickら著、J.Am.Chem.Soc.1999年、121(24)巻:5661〜5頁)
【非特許文献21】Tangら著、J.Org.Chem.,1999年、第64(3)巻:747〜754頁
【非特許文献22】Zhangら著、Tetrahedron Letters、1992年、第33巻:1177〜80頁
【非特許文献23】Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版(1991年)
【非特許文献24】Kerrら著、J.Pharmaceutical Sciences、1994年、第83巻:582〜6頁
【非特許文献25】Cavelierら著、Tetrahedron Letters、1996年、第37巻:5131〜4頁
【非特許文献26】Synthetic Communications、1978年、第8(5)巻:327〜33頁
【非特許文献27】J.Am.Chem.Soc、1999年、第121(24)巻:5661〜5頁
【非特許文献28】Bryantら著、Antimicrob.Agents Chemother、2001年、第45巻、229〜235頁
【非特許文献29】Standringら著、Antiviral Chem. & Chemother、2001年、第12巻(前掲書1)、119〜129頁
【非特許文献30】Benzariaら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A79頁
【非特許文献31】Pierraら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A79頁
【非特許文献32】Cretton−Scottら著、Antiviral Res、2001年、第50巻、A44頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
前記記載を考慮すると、2’−メチルヌクレオシドまたは2’−メチル−3’−O−ビリニルヌクレオシドのようなヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体、2−C−メチル−リボノラクトンおよび2−C−メチル−D−リボノラクトン並びにそれらの塩および/またはプロドラッグを含む中間体を調製する効率的な方法を有することが有利である。
【0037】
本発明のもう一つの目的は、誘導体化合物をプロドラッグにするヌクレオシドの3’−OHにおいて基を選択的に添加するための方法を提供することである。
【0038】
本発明のさらにもう一つの目的は、最低数の工程を含み安価な出発材料を利用する、保護された糖類似体化合物を調製するための効率的方法を提供することである。
【0039】
本発明のさらにもう一つの目的は、同様の生成物を合成するための他のプロセスと比べて、保護された糖中間体を調製するのに必要な時間を著しく短縮することである。
【0040】
さらに、本発明のもう一つの目的は、数時間で完了するプロセスを提供し、収率および純度の両方が高い最終的生成物を提供することである。
【0041】
本発明のさらにもう一つの目的は、使用が容易で非毒性の試薬を用い、最終生成物が当該分野で一般的に公知の技術により容易に単離されると共に容易に調整される方法を提供することである。
【0042】
本発明のさらにもう一つの目的は、少なくとも90または95%を超える純度および高収率で最終生成化合物を得ることである。
【0043】
本発明のさらなる目的は、非毒性の容易に取り扱いできる試薬を用いることである。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明は、従来技術で見られるよりも、少ない量の一または二以上の試薬を利用し、より短い時間で、より簡単な精製工程を用い、より高い生成物収率で、β−Dおよびβ−L 2’−C−メチルヌクレオシドおよび2’−C−メチル−3’−O−エステルヌクレオシド並びにそれらの塩および/またはプロドラッグのような、ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体を調製するための新規な改良された方法を開示する。
【0045】
本発明の実施態様は、具体的に、(a)D−フルクトースをCaOと反応させて2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを得る工程、および/または(b)場合により保護された2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを、場合によりエタノールのような溶媒中で、Red−Alのような適切な還元剤と反応させて、場合により保護された2−C−メチル−D−リボフラノースを得る工程、および/または(c)場合により保護された2−C−メチル−D−リボフラノースを、場合によりSnClのようなルイス酸の存在下に、シリル化剤(例えば、BSA)のような活性化剤の存在下に、シトシンのような非保護塩基とカップリングさせて、場合により保護された2’−C−メチル−ヌクレオシド、例えば、2’−C−メチル−シチジンを得る工程、および/または(d)最適化された試薬、反応条件(溶媒、反応時間など)および抽出/精製技術を用いて、2’−C−メチル−シチジンのような2’−C−メチル−ヌクレオシドの3’−エステルを提供する工程、を含む方法を含む。本発明の特定の実施態様において、これらの方法を図1および4に例示する。
【0046】
ヌクレオシドの3’−位に開裂可能な部分を有するヌクレオシドプロドラッグを高収率で調製するための効率的で調整可能な合成方法も提供される。ヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、その塩またはプロドラッグを調製するための非毒性試薬を用いる経費効率的な方法が、さらに提供される。本発明の方法である図4と従来技術の方法である図5との比較により、改良された方法における工程の高められた経済性が示される。
【0047】
従来技術で見られるよりも費用のかからない一または二以上の試薬を利用し、より短い時間で、より簡単な精製工程を用いて、より高い生成物収率で、2−C−メチル糖中間体、例えば、独立して2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2−C−メチルリボノラクトンとも呼ばれる)および独立して1,2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボフラノースを調製するための効率的で調整可能な合成方法も提供される。
【0048】
本発明の新規側面は、合成の中間工程における分離、単離および/または精製の必要性を除去する特定の組み合わせの試薬を使用することにある。主要量の出発材料を生成物に転化し、ラセミ化を低減し、最終生成物から容易に除去することができる特定の試薬を選択することにより、今まで知られていたよりも効率的な合成方法が提供される。全体としての結果は、最終的プロドラッグ生成物形成のための時間の減少、および所望の生成物の増加した収率である。さらに、より短い時間およびより少ない試薬しか必要とされないので、全体的費用効率が大きくなり、望まれる場合、産業的に調整可能で安全な方法が提供される。
【0049】
一つの実施態様において、本発明の方法は、2’−メチル−ヌクレオシドまたは2’−メチル−3’−O−バリニル−ヌクレオシドのような2’−Cで二置換されたヌクレオシド、この中間体、例えば、2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2−C−メチルリボノラクトンとも呼ばれる)および1,2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボフラノース、並びに、その塩および/またはプロドラッグの調製に関する。一つの好ましい実施態様において、本発明を、2,3,5−(独立して場合により保護された)または非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを調製するために用いる。もう一つの好ましい実施態様において、本発明を、1,2,3,5−(独立して場合により保護された)または非保護2−C−メチル−D−リボフラノースを調製するために用いる。
【0050】
さらにもう一つの好ましい実施態様において、本発明を、β−D−2’−C−メチル−シチジン(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−C−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン)を調製するために用いる。もう一つの好ましい実施態様において、本発明を、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−アミノ酸(限定はされないがバリルエステルを含む)(2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)またはこの好ましい塩酸塩型を調製するために実施する。本発明により調製されたヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、塩またはエステルプロドラッグを、種々の他のヌクレオシド類似体の調製において中間体として用いることができ、または、直接、抗ウイルスおよび/または抗腫瘍剤として用いることができる。
【0051】
一つの実施態様において、本発明の改良された方法は、シトシンおよび、BSAのような活性化剤を、場合により例えばSnClのようなルイス酸の存在下に、1,2,3,5−(独立して場合により保護された)または非保護2−C−メチル−β−D−リボフラノースと反応させて、(4−アミノ−1−(3,4−(独立して場合により保護されたヒドロキシ)−5−O−保護ヒドロキシメチレン−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを形成し(図4);
【0052】
【化1】

(式中、各P、P、P、およびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えば、アシル、好ましくはベンゾイルである)
次に、
要すれば、先の工程の(4−アミノ−1−(3,4−(独立して場合により保護されたヒドロキシ)−5−(場合によりO−保護されたヒドロキシメチレン)−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを場合により脱保護して(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(6)を得ることを含む。
【0053】
【化2】

【0054】
例えば、中間体(V)のP、PおよびPがベンゾイルである場合、化合物をNaOMe/MeOHと反応させて、β−D−2’−C−メチル−シチジンとしても公知の(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(VI)を提供することができ、これを場合により、例えばエタノールから再結晶してβ−D−2’−C−メチル−シチジンを純粋な状態で得ることができる。この化合物を、要すれば、そのまま抗ウイルス薬として利用することができる、または、さらに、送達のためのプロドラッグに誘導することができる。
【0055】
次に、中間体(VI)を、場合により選択的に保護し、例えば3’−位においてエステル化し、当分野で公知の任意の手段を用いて場合により脱保護して、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−エステルプロドラッグ、例えばβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)またはこの好ましい塩酸塩型を得ることができる。
【0056】
本発明の一つの非限定的例として、3’−バリニルエステルが好ましい場合、このエステル化プロセスは図4に示す工程を含む、すなわち:β−D−2’−C−メチル−シチジンをDMF中でMeNCH(OMe)と反応させて、(VI)のアミノ保護型であるN−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(7)を形成し;(7)を、DCM中でTBDPSClおよびイミダゾールと反応させて、(7)の5’−シリル保護型であるN’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロオキシ−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチル−ホルムアミド(8)を提供し;(8)をDCM中のN−Boc−L−バリン、EDCおよびDMAPと反応させて2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン3−イルエステル(9)を形成し;酢酸エチルを(遊離アンモニアによる3’−O−バリニルエステルの開裂を防止するために)添加して、(9)をMeOH中でNHFと反応させることによりシリルおよびアミノ保護基を除去し、混合物を還流して2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン3−イルエステル(10)を提供し、これを、単純結晶化により精製し;最後に、(10)をEtOH中でHClと反応させて2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン3−イルエステルの二塩酸塩(11)が最終生成物として提供される。
【0057】
従来技術で見られるようなベンゾイルシトシンまたは他の保護シトシンではなくシトシンを使用することにより、原子の経済性が向上し、精製手順が簡素化する。
【0058】
本発明の方法は、従来技術で見られる同様の方法よりも約50%まで少ない試薬を利用する点において有利である。試薬使用量がより少ない場合、最も近い従来技術の方法との比較により、生成物の全収率が一例において12%から38%に増加することが示される。さらなる利点が、プロドラッグ合成の完了に必要とされるサイクル時間の短縮に見られる。示された従来技術の合成と比較すると、本発明の改良された方法は、サイクル時間を約80%短縮する。これは、主に、4つの因子による:i)仕入量の増加およびそれによる必要なバッチの数の減少;ii)収率%の増加;iii)取り扱い容易な溶媒および試薬の使用;およびiv)労力のかかるクロマトグラフィー精製工程の除去。
【0059】
本発明の新規側面は、合成の中間工程における分離、単離および/または精製の必要性を除去する特定の組み合わせの試薬を使用することにある。主要量の出発材料を生成物に転化し、ラセミ化を低減し、最終生成物から容易に除去することができる特定の試薬を選択することにより、今まで公知のものよりもより効率的な合成方法が提供される。全体としての結果は、最終的プロドラッグ生成物形成のための時間の減少、および所望の生成物の増加した収率である。さらに、より短い時間およびより少ない試薬しか必要とされないので、全体的費用効率が大きくなり、望まれる場合、産業的に調整可能で安全な方法が提供される。
【0060】
本発明のさらなる実施態様において、1,2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンから、場合によりエタノールのような溶媒中で、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−A1)のような還元剤を用いて還元し、
【0061】
【化3】

(式中、P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
次に、
要すれば、先の工程からのリボフラノース誘導体化合物を場合により保護(例えばベンゾイル化)して1,2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを形成することにより、
【0062】
【化4】

(式中、Pは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンから1,2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−β−D−リボフラノースが得られる。
【0063】
本発明の還元剤としてRed−A1を用いることにより、予想外に、効率的分離を可能にする特定の立体化学を有する生成物が得られる。これにより、所望の最終生成物の単離が簡単になる。
【0064】
本発明のさらなる実施態様において、
D−フルクトースをCaOと反応させ;
【0065】
【化5】

【0066】
次に、
要すれば、ラクトンを例えば塩化ベンゾイル(または、別の適切なアシル塩化物)で場合により保護して2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンを形成することにより
【0067】
【化6】

(式中、P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンが得られる。
【0068】
さらに、純粋な単一のアノマー生成物(すなわち、少なくとも95%である実質的に純粋な状態)を単離するために、必要により精製工程を添加することができる。
【0069】
本発明の方法は、安価なD−フルクトースを出発材料として利用し、これにより、製造者に重大な費用削減を提供する。これは、産業的用途のための規模拡大が要求または予想される場合、特に重要である。
【0070】
出発材料としてD−フルクトースを用いる重大な経済的利点に加えて、本発明は、方法の第1工程における試薬として酸化カルシウム(CaO)を用いる新規の側面を利用する。水中のD−フルクトースにCaOを添加して、2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを調製する。この工程単独で、従来技術の同様のプロセスよりも、迅速に完了に到達し、収率が30から40%増加する。さらに、CaOは非毒性で、使用が容易で、フルクトースおよび水とよく混合する。
【0071】
溶液からカルシウムを除去するために沈殿剤が用いられる。一つの実施態様において、CO、およびリボン酸より強力な酸、および好ましい実施態様においては、有機酸を反応混合物に添加して炭酸カルシウムを形成する。適切な有機酸には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸またはヘキサン酸があるが、これらに限定されない。
【0072】
さらに、図1と4を組み合わせることにより提供される全プロセスは、従来技術で見られる同様の方法よりも50%まで少ない試薬を利用する点において有利である。試薬使用量がより少なくとも、最も近い従来技術の方法との比較により、生成物の全収率が例えば12%から38%に増加することが示される。さらなる利点が、プロドラッグ合成の完了に必要とされるサイクル時間の短縮に見られる。示された従来技術の合成と比較すると、本発明の改良された方法は、サイクル時間を約80%短縮する。これは、主に、4つの因子による:i)仕込量の増加および、それによる必要なバッチの数の減少;ii)収率%の増加;iii)取り扱い容易な溶媒および試薬の使用;およびiv)労力のかかるクロマトグラフィー精製工程の除去。
【0073】
従って、本発明の一つの実施態様において、
(a)D−フルクトースをCaOと反応させて2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを得る工程、
【0074】
【化7】

【0075】
(b)要すれば、ラクトンを、例えば塩化ベンゾイル(または、他の適切なアシル塩化物)で場合により保護して2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンを形成する工程、
【0076】
【化8】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
(c)2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−D−リボニックラクトンを、場合によりエタノールのような溶媒中で、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−A1)のような還元剤と反応させる工程
【0077】
【化9】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
(d)先の工程のリボフラノース誘導体化合物を場合により保護(例えばベンゾイル化)して1,2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを形成する工程
【0078】
【化10】

(式中、Pは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
(e)1,2,3,5−(独立して場合により保護された)−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、場合によりSnClのようなルイス酸の存在下に、シトシンおよびBSAのような活性化剤と反応させて4−アミノ−1−(3,4−(独立して場合により保護されたヒドロキシ)−5−O−保護ヒドロキシメチレン−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを形成する工程
【0079】
【化11】

(式中、各P、P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基、例えばアシル、好ましくはベンゾイルである)
次に
(f)要すれば、4−アミノ−1−(3,4−(独立して場合により保護されたヒドロキシ)−5−O−保護ヒドロキシメチレン−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを場合により脱保護して4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(VI)を形成する工程
【0080】
【化12】

【0081】
(g)要すれば、4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(VI)の3’−位を、例えばL−バリンを用いて、場合により保護/脱保護し次にエステル化して、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−エステルプロドラッグ、例えば、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)を場合により塩として得る工程、
を含む、D−フルクトースから2’−C−メチル−D−シチジンを調製する方法が提供される。
【0082】
(発明の詳細な説明)
従来技術で見られるよりも少ない試薬を利用して、より短い時間で、より高い収率で、2’−C−メチル−ヌクレオシドおよび2’−C−メチル−3’−O−バリニルヌクレオシドのようなヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体、並びにその塩および/またはプロドラッグを、全てその立体化学的および互変異性体状態で調製するための方法が提供される。さらに、これにより、時間を消費し労力を要するクロマトグラフィー精製工程の必要性が除かれ、所望のラセミ化が許容できる水準に維持される。この改良された方法は、プロドラッグの合成における中間体として所望のヌクレオシドを形成することを含み、産業的生成の要望を満たすように有利に調整することができる。
【0083】
従来技術で見られるよりも短い時間で、より簡単な精製工程を用いて、より高い収率で、D−フルクトースのような安価な試薬を利用することにより、2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2−C−メチル−リボノラクトンとも呼ばれる)および1,2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボフラノースのような2−C−メチル糖中間体を調製するための効率的で調整可能な合成方法も提供される。
【0084】
一つの実施態様において、本発明の方法は、2’−メチル−ヌクレオシドまたは2’−メチル−3’−O−バリニルヌクレオシドのような2’−C位において二置換されているヌクレオシド、この誘導体、例えば、2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2−C−メチル−リボノラクトンとも呼ばれる)および1,2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボフラノース、並びにその塩および/またはプロドラッグの調製に関する。一つの好ましい実施態様において、2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを調製するために本発明が用いられる。もう一つの好ましい実施態様において、1,2,3,5−(独立して場合により保護された)および非保護2−C−メチル−D−リボフラノースを調製するために本発明が用いられる。さらにもう一つの好ましい実施態様において、β−D−2’−C−メチル−シチジン(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−C−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン)を調製するために本発明が用いられる。もう一つの実施態様において、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル)またはこの好ましい塩酸塩型を調製するために本発明が実施される。本発明により調製されるヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、塩またはエステルプロドラッグを、種々の他のヌクレオシド類似体の調製における中間体として用いることができる、または抗ウイルスおよび/または抗腫瘍剤として直接用いることができる。
【0085】
第1の実施態様において、本発明の方法は、短時間合成における出発材料としてD−フルクトースを利用して、1,2,3,5−(独立して場合により保護された)2−C−メチル−β−D−リボフラノースを調製する。
【0086】
第2の実施態様において、本発明の方法は、2’−C位において二置換されているヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、またはその塩もしくはプロドラッグの調製に関する。
【0087】
第3の実施態様において、β−D−2’−C−メチル−シチジン(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン)の調製のために本発明が用いられる。
【0088】
第4の実施態様において、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)、またはこの好ましい塩酸塩型を調製するために本発明が実施される。
【0089】
本発明により調製されるヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、塩またはエステルプロドラッグを、種々の他のヌクレオシド類似体の調製における中間体として用いることができる、または抗ウイルスおよび/または抗腫瘍剤として直接用いることができる。
【0090】
本発明の方法は、最も近い従来技術において見られる同様の方法よりも50%より少ない量の試薬を利用するという利点を有する。そうであっても、従来技術との比較により、生成物全収率が12%から38%に増加することが示される。本発明のさらなる利点は、プロドラッグ合成のサイクル時間が約80%短縮することである。さらなるもう一つの利点は、産業的水準での製造の要求を満たすためのこの新規方法の安全性および取り扱い容易性にある。
【0091】
本発明の一つの新規側面は、合成において中間体を分離、単離および/または精製する必要を除去する試薬の特定の組み合わせの使用にある。出発材料の主要量を最終的生成物に転化し、アミノ酸プロドラッグ部分のラセミ化を減少させ、最終的生成物から容易に分離除去される特定の試薬の選択により、今まで公知のものよりもプロセス効率がより大きくなる。全体としての結果は、最終的生成物の調製時間の減少および収率%の増加である。さらに、より短い時間とより少ない試薬しか必要とされないので、経費削減としての全体的利益がある。
【0092】
本発明の改良された方法において見られる利点は、図1において、安価な出発材料としてD−フルクトースおよびCaOを使用し、これにより、反応時間が短縮されラクトン生成の収率が増加すること;Red−A1/エタノールで還元し、これにより生成アノマー化合物の位置選択的混合物が提供され、ここから、最終的1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを当業者に知られた方法により容易に分離することができること;図4において、従来技術において見られるベンゾイルシトシン(図5)またはウラシル(図6)ではなくシトシンを出発材料として使用し、これにより、分子量がより低く複雑性が低く費用のかからない化合物を用いることによりこの方法の「原子経済」が向上すること;従来技術のプロセスにおける同様の工程と比べて、本発明においてより少ない当量のシトシン、SnClおよびBSAしか必要とされないこと;反応体と試薬の組み合わせが、今まで用いられていたよりも少ない当量であり、これにより、3から4時間で反応が完了することと、さらなるクロマトグラフィー単離および精製工程が不要とされるような純度での図4における中間体(2)の生成との二重の利益が得られることを含む。
【0093】
図1は、本発明の一つの実施態様を示す。この改良された方法において、D−フルクトースからリボノラクトン(化合物1)を形成するのに必要な時間は約40時間または2日未満であり、生成物収率が約13.6%になり、これは最も近い従来技術において見られるよりも30から40%優れている。比較として、KilianiおよびScheiblerのリボノラクトン合成は、各々、完了まで2ケ月以上かかり、生成物収率が約10%になった(Lopez−Herreraら著、J.Carbohydrate Chemistry、1994年、第13(5)巻:767〜775頁の768頁)。
【0094】
予想外にも、酸化カルシウム(CaO)および水を安価な出発材料であるD−フルクトースと反応させて1,2,3,5−テトラ−O−保護2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、従来得られるよりも30から40%大きな収率で調製することができることが発見された。このプロセスにより、生物学的活性ヌクレオシドおよび特定のビタミン化合物の合成における重要な中間体である、保護されたヒドロキシ基を有する2−C−メチル−β−D−リボフラノースを大量に調製することができる。この発見の重要な付随事項は、大規模産業的合成が期待される場合に特に重要に考慮される、生成物の製造における著しい経費削減である。例えば、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースは、出発材料としてD−アラビノースを用いることにより、D−リボースから一般的に調製される。D−アラビノースからの合成は少なくとも5つの工程およびクロマトグラフィー精製を必要とする。さらに、D−アラビノースの1kg当たりの費用は、D−フルクトースの費用の約250倍である。本発明の改良された方法を用いることにより、1、2、3および5位に保護基を有する2−C−メチルリボースを調製するために4つの工程と安価な試薬しか必要としない。すなわち、所望の生成物が、クロマトグラフィー精製を必要とすることなく、効率的かつ費用効果的に生成される。
【0095】
また、驚くべきことに、CaOが、この方法における初期試薬として用いられた場合、2−C−メチル−β−D−リボノラクトンの形成に必要な時間を著しく短縮することが分かった。このことは、Ca(OH)を試薬として用いたKilianiおよびScheiblerの初期の研究と比較して、合成に必要な合計時間を著しく短くした。
【0096】
場合によりエタノール中に含まれる、還元剤としてのRed−A1が、2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−1−ヒドロキシ−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを生成し、アシル化されたときに、実質的に単一のアノマー生成物を与え、分離がより効率的になることも発見された。このことは、所望の最終生成物の単離を単純化した。
【0097】
本発明の利点の側面は以下のことを含む:安価な出発材料としてのD−フルクトースの選択は、最終的な保護された糖類似体を調製するのに経済的に好ましい。CaOの使用により、生成物の収率が増加し、ラクトン生成のための反応時間が短縮する。Red−A1を用いて還元することにより、アノマー生成物化合物の位置選択的混合物が提供され、これから、最終的生成物が一般的方法および装置により容易に単離される。他の利点は、経済的出発試薬に加えて安価な試薬を用いること、全プロセスにおける中間体化合物を取り扱う工程数が最小限であること、および、複雑な工程および高価な装置ではなく、当業者に周知の一般的方法および装置しか必要としないことを含む。
【0098】
図4は、本発明のもう一つの実施態様を示している。この改良された方法で見られる利点には以下のものがある。従来技術において見られるベンゾイルシトシン(図5)またはウラシル(図6)ではなくシトシンを出発材料として使用することにより、分子量がより低く複雑性が低く費用のかからない化合物を用いることによりこの方法の「原子経済」が向上する。さらに、本発明は、従来技術の方法における同様の工程と比較して少ないシトシン、SnClおよびBSAの使用当量を要求する。今まで使用されてきたよりも少ない当量での反応体と試薬とのこの組み合わせにより、3から4時間で反応が完了することと、さらなるクロマトグラフィー単離および精製工程が不要とされるような純度での中間体(2)の生成との二重の利益が生じる。
【0099】
驚くべきことに、本発明の脱保護工程においてMeOH中でNaOMeを使用(図4、(5)→(6)、ベンゾイル保護基の除去)することにより、従来技術の方法(図5、(5a)→(6))におけるアンモニアの使用と比べて、産業的に規模拡大可能な合成の費用が低く、安全で、使用が容易であるという利点が提供されることが発見された。より早い反応時間からさらなる利益が得られる。すなわち、ナトリウムメトキシドを用いる反応が、アンモニアを用いる同じ反応についての1から2日と比較して、約1日で完了する。さらに、本発明において、単なるメタノールまたはエタノール、好ましくはエタノールでの処理により(6)が高収率で提供され、これにより、従来技術の方法(図5、(5a)→(6)を参照)に必須である労力がかかり時間を費やすクロマトグラフィー精製が除去される。
【0100】
用いられる反応体および試薬のより大きな簡易性、より少ない量および費用、および増加した安全性にも拘わらず、本発明の方法における最初の2つの工程は、図5に示される従来技術の方法において観察される24%の生成物収率と比較して、85%の合算した生成物収率を有する。生成物収率は約80+%に維持され、しかも反応仕込量は、(7)を提供する感受性の高いホルムアミジン保護工程(図4、(6)→(7))について従来技術の5%から本発明の約13%に増加した。
【0101】
従来技術に対する一つの改善が、例えば(8)および(9)を提供する次の2つのプロセス工程であるシリル化保護およびBOC−エステルカップリングに好ましい影響を与えた。まず、従来技術(図5、(7)→(8))において反応溶媒として用いられた費用が高く除去が困難なピリジンを、ジクロロメタンで置き換える(図4、(7)→(8))。ジクロロメタン中でのシリル化は、好ましくない3’、5’−ジシリル誘導体を少なく生産し、これにより、ジシリル副生成物形成に優れた制御を提供し、99%を超えて(7)を(8)に転化させる。ジクロロメタンも、BOC−Val−OHとのカップリング用の溶媒として用いることができるので、BOC−Val−OHとのカップリングのために、(9)を提供する前に、(8)を単離する必要がない。単一の抽出手順により、BOC−Val−OHとカップリングする前に、(8)を集めることができる(図4、(8)→(9)と、図5の従来技術の同じ工程と比較)。
【0102】
さらに、従来技術の方法は、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルをBOC−Val−OHカップリング反応溶媒として用いた(図5、(8)→(9a))。これらの両方の試薬は高価で、この反応において約3%の低い仕込比となり、N,N−ジメチルホルムアミドは、高い沸点の故に、特に、反応混合物から除去することが困難である。さらに、反応を完了させるのに、約2日間および過剰量のBOC−Val−OH、EDCおよびジメチルアミノピリジン(DMAP)が必要である。反応を完了させるのにこれらの過剰の試薬が必要であるが、これらの存在が、この方法の後期工程における生成物の精製を複雑にする。さらに、過剰のDMAPの使用が、L−バリン誘導体のアミノ酸部分のラセミ化を引き起こす。
【0103】
従来技術の方法に対して、本発明のカップリング反応(図4、(8)→(9))用の溶媒としてジクロロメタンを用いると、約11%の仕込比が可能となり、同時に、従来技術で用いられる約半分の量の試薬を使用し、約4から6時間で完了する反応が生成される。反応時間の短縮および本発明で用いられるDMAPの量の制御により、L−バリン誘導体のアミノ酸部分のラセミ化が、従来技術において見られる約6%のラセミ化と比べて、0.2%未満まで低下する。0.2%のような低いラセミ化水準は、この対応物と比較して一つのエナンチオマーに関わるより大きな活性に関与するので、薬剤としてより医薬適合性の範囲内である。
【0104】
エステル化β−D−2’−C−メチル−シチジンの続く脱保護は、メタノール中のフッ化アンモニウム(NHF)を利用することができる。メタノール中のフッ化アンモニウム(NHF)は、(9)から(10)を形成する反応(図4)における化合物の脱保護(すなわち、シリルおよびジメチルホルムアミジン基の除去)のために選択される試薬である。従来技術の方法(図5、(9a)→(10))は同じ試薬を用いるが、本発明で必要とされる4当量のフッ化アンモニウム、約10%の仕込比、およびクロマトグラフィー分離を用いないこととは対照的に、10当量のフッ化アンモニウム、約3%の仕込比を使用し、(10)を得るためにクロマトグラフィー分離を必要とする。改良された方法のこの工程において、フッ化アンモニウムの使用量が少なく、酢酸エチルが約10モル当量である利点は、(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(6)とも認識されるβ−D−2’−C−メチル−シチジンへのBOC−エステル(10)の加水分解が最小限に維持されることである。すなわち、本発明の方法は、試薬の効率的な使用および増加した仕込比において有利である。
【0105】
さらに、(10)は、単なるEtOAc/TBME/HO処理により精製され、再び、クロマトグラフィー分離および精製の必要性が除去され、これにより、さらなる労力を要し時間を消費するクロマトグラフィー分離工程が除去される。シリル化、カップリングおよび脱保護の3つの工程の後の純粋な(10)の収率は、約60%から99%である。
【0106】
改良された方法の最終工程(図4、(10)→(11))において、BOC−保護基の除去によるβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステル誘導体の脱保護用の溶媒としてエチルアルコールが用いられ、仕込比が、従来技術の2%から本方法の12%に増加する。改良された方法におけるエチルアルコールは、選択溶媒として従来技術(図5、(10)→(11))において用いられる酢酸エチルを置き換え、この変化により、仕込みの増加が観察されることになる。溶媒としてエチルアルコールを選択すると共に仕込比が増加することにより、反応収率が、従来技術の方法の約80%から本発明の約95%まで増加し、酢酸エチルから酢酸が発生することにより汚染が回避される。最終生成物(11)は、純度98%を超える状態に維持され、L−バリンラセミ化は0.2%未満に維持される。
【0107】
このように、代表的化合物であるβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)またはこの二塩酸塩を調製するための本発明の全体的に改良された合成により、全収率が約26%向上し、サイクル時間が約80%短縮する。サイクル時間の短縮は、労力を要し時間を消費し費用のかかるクロマトグラフィー分離および精製手順の除去が主な原因である。他の重要な因子には仕込みの増加があり、これにより、実行するバッチを少なくし、取り扱い容易な溶媒および試薬を使用できる。より安全でより費用のかからない溶媒および試薬の使用により、本発明の方法を用いるさらなる利益が得られる。しかしながら、生成物の収率が従来技術の方法により提供されるより少ない場合、これらの利益は見逃されたであろう。本発明の方法により収率が約26%増加することは、上記使用の最高の理由である。
【0108】
(定義および別の試薬)
ここで用いられる「エナンチオマーを実質的に含まない」または「実質的にエナンチオマーの不存在下に」という用語は、ヌクレオシドの所望のエナンチオマーを少なくとも95から98重量%、より好ましくは99から100重量%含むヌクレオシド組成物を意味する。本発明の好ましい実施態様、本発明の方法および化合物において、化合物を実質的にエナンチオマーを含まない。
【0109】
同様に、「単離された」という用語は、ヌクレオシドを少なくとも85から90重量%、好ましくは95から98重量%、より好ましくは99から100重量%含み、残りは、他の化学的種またはエナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を意味する。
【0110】
「リボニック−γ−ラクトン」および「リボノラクトン」という用語は、交換可能に用いられ、図1において化合物1と示される化合物またはその酸素保護誘導体を意味する。
【0111】
ここで用いられる「保護された」という用語は、特記しない限り、さらなる反応を防止するまたは他の目的のために酸素、窒素またはリン原子に付加された基を意味する。種々の酸素、窒素およびリン保護基は、有機合成の当業者に知られている。
【0112】
適切な保護基には、限定はされないが、例えば、以下のものがある:ベンゾイル;置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換シリル基;置換または非置換芳香族または脂肪族エステル、例えば、芳香族基様ベンゾイル、トルオイル(例えば、p−トルオイル)、ニトロベンゾイル、クロロベンゾイル;エーテル基、例えば、−C−O−アラルキル、−C−O−アルキルまたは−C−O−アリール;および脂肪族基様アシルまたはアセチル基、例えば、任意の置換または非置換芳香族または脂肪族アシル、−(C=O)−アラルキル、−(C=O)−アルキルまたは−(C=O)−アリール;アシル基の芳香族または脂肪族基は直鎖または分枝であり得;この全てがさらに、向上した合成を含む反応により影響されない基により場合により置換されてよい(Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版(1991年))。例えば、本発明の一つの実施態様において、保護基は、選択される還元剤、好ましくはRed−A1により影響されない基により置換される。エーテルを保護基として用いるために、本明細書中に参照により組込まれるSaischekらの米国特許第6,229,008号が注目され、試薬およびプロセス条件への安定性のために、特にペントフラノシドの5’位においてエーテルを保護基として用いることにより重大な利益が提供されることが報告されている。これにより、所望の生成物の分離、単離および精製についての、すなわち、生成物の収率についての究極的利益が提供される。
【0113】
糖ヒドロキシル保護基は、非限定的例として、シリル、ベンゾイル、p−トルオイル、p−ニトロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、アシル、アセチル、−(C=O)−アルキルおよび−(C=O)−アリールであり得、この全てが、選択された還元剤により影響されない一または二以上の基により置換されて良いまたは置換されなくて良い。一つの実施態様において、糖ヒドロキシル保護基はベンゾイルである。アミノ酸保護基は、好ましくは、BOC(ブトキシカルボニル)、−(C=O)−アラルキル、−(C=O)−アルキルまたは−(C=O)−アリールである。本発明の一つの実施態様において、アミノ酸保護基はBOC(ブトキシカルボニル)である。
【0114】
この出願全体において、「置換された」という用語は、一または二以上の列挙された置換基による単一または複数の置換を意味する。単一の置換基が開示または請求されている場合、化合物を、この置換基により1回または2回以上置換することができる。複数の置換基が開示または請求されている場合、置換された化合物は、開示されまたは請求された置換基の一または二以上により、1回または複数回置換することができる。
【0115】
ここで用いられる「アルキル」という用途は、特記されない限り、飽和、直鎖、分枝または環式の、典型的にはC〜C10の第1、第2または第3炭化水素を意味し、具体的には、メチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンテル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、メチルペンチルおよびジメチルブチルがある。この用語は、置換アルキル基と非置換アルキル基との両方を含む。一または二以上の位置においてアルキル基が置換し得る部分は、ハロ(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む)、ヒドロキシ(例えば、CHOH)、アミノ(例えば、CHNH、CHNHCHまたはCHN(CH)、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド(例えば、CH)、シアノ(CHCN)、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートからなる群より選択され、この一部または全てが、当業者に知られているようにおよび、例えば、(Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版(1991年))に教示されているように、非保護または要すればさらに保護されてよい。
【0116】
「アルキルアミノ」および「アリールアミノ」という用語は、アルキルまたはアリール置換基をそれぞれ一または二以上有するアミノ基を含む。
【0117】
「アルカリール」および「アルキルアリール」という用語は、アリール置換基を有するアルキル基を含む。「アラルキル」および「アリールアルキル」という用語は、アルキル置換基を有するアリール基を意味する。
【0118】
「ハロ」という用語は、クロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロを含む。
【0119】
ここで用いられる「アリール」という用語は、特記しない限り、フェニル、ビフェニルまたはナフチルを意味する。この用語は、置換された基と置換されていない基の両方を含む。アリール基は、限定はされないが、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルフェート、ホスホン酸、ホスフェートまたはホスホネートを含む一または二以上の基で置換されることができ、この一部または全てが、当業者に知られるようにおよび、例えば、(Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第2版(1991年))に教示されるように、非保護または要すればさらに保護されてよい。
【0120】
「アシル」という用語は、カルボニルでない基Rが、例えば、直鎖、分枝または環式のアルキルもしくは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル;ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシで場合により置換されるフェニルを含むアリール、メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルのようなスルホン酸エステル、モノ、ジまたはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、例えばジメチル−t−ブチルシリルのようなトリアルキルシリル、またはジフェニルメチルシリルである−C(=O)−Rを含む。エステル中のアリール基は、最適には、フェニル基を含む。「低級アシル」という用語は、カルボニルでない基が低級アルキルであるアシル基を意味する。
【0121】
「カルボン酸」および「カルボン酸エステル」という用語は、それぞれ、構造RC(=O)OHおよびRC(=O)O−R’を含む。ここで、カルボニルでない基RまたはR’は、例えば、直鎖、分枝または環式のアルキルもしくは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルのようなアリールオキシアルキル;ハロゲン、C〜CアルキルまたはC〜Cアルコキシで場合により置換されるフェニルを含むアリールである。ここで、メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルのようなスルホン酸エステル、モノ、ジまたはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、例えばジメチル−t−ブチルシリルのようなトリアルキルシリル、またはジフェニルメチルシリルも含まれるものとする。エステル中のアリール基は、最適には、フェニル基を含む。全ての場合において、RおよびR’は同じまたは異なる置換基であってよい。
【0122】
アミノ酸という用語は、天然産および合成のα、β、γまたはδアミノ酸を含み、限定はされないが、蛋白において見られるアミノ酸、すなわち、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、リジン、アルギニンおよびヒスチジンを含む。好ましい実施態様において、アミノ酸はL−構造である。もう一つの好ましい実施態様において、アミノ酸は、L−バリニルである。また、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リシニル、アルギニニル、ヒスチジニル、β−アラニル、β−バリニル、β−ロイシニル、β−イソロイシニル、β−プロリニル、β−フェニルアラニニル、β−トリプトファニル、β−メチオニニル、β−グリシニル、β−セリニル、β−スレオニニル、β−システイニル、β−チロシニル、β−アスパラギニル、β−グルタミニル、β−アスパルトイル、β−グルタロイル、β−リシニル、β−アルギニニルまたはβ−ヒスチジニルの誘導体であり得る。
【0123】
「非天然アミノ酸」という用語は、アミノ基末端を有するが、天然には見られないカルボン酸を意味する。この用語は、D−アミノ酸とL−アミノ酸の両方、およびその任意の互変異性体または立体異性体型を含むことを意図している。
【0124】
ヌクレオシド塩基という用語はプリンまたはピリミジン塩基を含む。プリンまたはピリミジン塩基の例には、アデニン、N−アルキルプリン、N−アシルプリン(ここで、アシルはC(O)アルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキル)、N−ベンジルプリン、N−ハロプリン、N−ビニルプリン、N−アセチレンプリン、N−アシルプリン、N−ヒドロキシアルキルプリン、N−チオアルキルプリン、N−アルキルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、チミン、シトシン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザシトシンを含む6−アザピリミジン、2−および/または4−メルカプトピリミジン、ウラシル、5−フルオロウラシルを含む5−ハロウラシル、C−アルキルピリミジン、C−ベンジルピリミジン、C−ハロピリミジン、C−ビニルピリミジン、C−アセチレンピリミジン、C−アシルピリミジン、C−ヒドロキシアルキルプリン、C−アミドピリミジン、C−シアノピリミジン、C−ニトロピリミジン、C−アミノピリミジン、N−アルキルプリン、N−アルキル−6−チオプリン、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、チアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニルおよびピラゾロ−ピリミジニルがあるが、これらに限定されない。プリン塩基には、グアニン、アデニン、ハイポキサンチン、2,6−ジアミノプリンおよび6−クロロプリンがあるが、これらに限定されない。塩基上の機能的酸素および窒素基は、必要によりまたは望まれる場合、保護することができる。適切な保護基は当業者に知られており、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、およびアセチルおよびプロピオニルのようなアシル基、メタンスルホニル、およびp−トルエンスルホニルがある。また、プリンまたはピリミジン塩基は、生体内で開裂することができる可能なプロドラッグを形成するように場合により置換することができる。適切な置換基には、例えば、アシル基、アミンまたはシクロプロピル(例えば、2−アミノ、2,6−ジアミノまたはシクロプロピルグアノシン)がある。
【0125】
本発明の方法または従来技術において用いられる他の試薬としては以下のものが定義される:BSA(ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)、TMSCl(クロロトリメチルシラン)、TFAA(トリフルオロ無水酢酸)、TBDPSCl(tert−ブチルジフェニルシリルクロライド)、TBDMSCl(tert−ブチルジメチルシリルクロライド)およびDCM(ジクロロメタン)。
【0126】
本発明の方法は、例示したヌクレオシド、保護アミノ酸エステルおよび試薬の使用に限定されない。本発明のための適切な別の試薬を、先に提示したものの代わりに用いてよい。例えばTEA(トリエチルアミン)は、限定はされないがジイソプロピルエチルアミン、N−エチルモルホリンまたは任意の第3脂肪族アミンを含む任意の他の適切なアミンにより置換されてよく;DME(1,2−ジメトキシエタン)は、THF(テトラヒドロフラン)または任意のエーテルような任意の適切な極性非プロトン性溶媒により置換されてよく;および、トルエン中のRed−A1/EtOH(ナトリウムビス[2−メトキシエトキシ]−アルミニウムハイドライド/エチルアルコール)は、NaHTe、SmI、H+Pd−ホスフィン触媒、またはLiAl(OBu)H(リチウムトリ−第3ブチオキシアルミニウムハイドライド)により置換することができ、この全てが、化学選択的および位置選択的還元を提供するが、LiAlHによっては提供されず、開鎖ジオールが得られる。MgSOの添加の直前または後のTHFによる生成物スラリーの洗浄を、アセトン中洗浄により置き換えることができる。実際、規模拡大した手順について、アセトンが好ましい溶媒である。
【0127】
さらに、DMF(ジメチルホルムアミド)を、例えばDMSO(ジメチルスルホキシド)のような極性溶媒により置換してよいが、取り扱いの容易性および反応混合物からの除去性によればDMFが好ましい。DECとも呼ばれるEDC(1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩を、限定はされないがCDI(カルボニルジイミダゾール)、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イロキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)を含むカップリングを可能にする任意の試薬、または当業者に公知のような同様のカップリング剤により置換してよく、SnClが好ましいが、任意のルイス酸をその代わりに用いてよい。ルイス酸としては、SnCl、BF、AlCl、TiCl、TiCl、FeCl、SnClおよびそれらの任意の混合物があるがこれらに限定されない。一つの実施態様において、ルイス酸はSnClである。例えばトルエンのような任意の有機溶媒で、アセトニトリルを置き換えてよい。ヌクレオシドをカップリングのために活性化するために、任意の活性化剤、例えば、シリル化剤を用いることができる。例えば、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)、TMSClまたはTBDPSClを、BSA(ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)の代わりに用いてよい。アンモニアが、メタノール中のナトリウムメトキシドの代わりに用いるための別の試薬であり、DMSOのような任意の極性溶媒によりDMFを置き換えてよい。任意の数の他のシリル化剤によりTBDPSClを置き換えてよく、任意のフッ化物塩でNHFを置換することができ、TFAのような他の酸を用いてHClを置き換えてよい。
【0128】
(プロセス工程の詳細な説明)
(リボノラクトンの調製)
【0129】
【化13】

【0130】
リボノラクトンを、標準的酸化および置換技術を含む公表されたまたは非公表の手段により調製することができる。リボノラクトンの合成のための方法の一つの実施態様は、以下のプロトコールによりD−フルクトースから合成することである。
【0131】
リボノラクトンは、D−フルクトースを酸化カルシウム(CaO)と反応させることにより調製することができる。D−フルクトースをCaOと、過剰の副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意の割合で、好ましくは、D−フルクトースに対して5:1モル比、より好ましくは3:1モル比、最も好ましくは2.3:1.3モル比で反応させることができる。CaOは、過剰の熱または過剰の副生成物を発生させることなく許容される速度で反応を進行させる任意の割合で添加することができる。一つの実施態様において、CaOは、室温で5分間、増加しつつ添加される。反応を、実質的量のD−フルクトースが消費されるまで、例えば、6から22時間、進行させることができ、反応の進行は、例えば、TLC分析用に周期的に少量採取することによりモニターすることができる。
【0132】
この反応を、分解または過剰な副産物を促進することなく許容される速度で反応を進行させる任意の温度で達成することができる。好ましい温度は、室温から約23〜40℃である。
【0133】
溶液からカルシウムを除去するために沈殿剤を用いることができる。一つの実施態様において、CO、およびリボン酸より強力な酸、および好ましい実施態様においては、有機酸が、反応混合物に添加されて炭酸カルシウムが形成される。適切な有機酸には、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸またはヘキサン酸があるが、これらに限定されない。
【0134】
従って、本発明の一つの実施態様において、pHを塩基性から中性水準に下げるのに適した時間、例えば約2から3時間の反応期間の終了時にCOを混合物に吹き込むことができる。中和工程の結果として形成されるCaCOを、例えば真空濾過により除去することができる。
【0135】
次に水性層を、リボン酸より強力な有機酸のような酸、例えば蓚酸を、過剰の副産物を生じることなく許容される速度で反応を進めさせる任意のモル比で用いて、処理することができる。一つの実施態様において、蓚酸のような酸は、D−フルクトースとのモル比1:2で添加される。
【0136】
反応は、分解または過剰な副産物の形成を促進することなく適切な速度でカルシウムを溶液から沈殿させる温度で実質量のカルシウムが沈殿するまで進めることができる。例えば溶液を、室温または25℃前後で、白色スラリーが生じるまで、例えば約30分間、攪拌することができる。次に、このスラリーを、例えば45から50℃で一晩攪拌することができる。
【0137】
完了時に、溶液を、例えば減圧下で蒸発させて、水性混合物を残しつつ大部分の水を除去することができる。生成物は、当分野で公知の任意の手段により水性混合物から単離することができる。例えばNaClおよび有機溶媒、例えばTHFを、室温でスラリーに添加し、例えば約30分間攪拌することができる。得られた層は分離することができ、水層をTHFのような新しい溶媒に添加し、例えばさらに10分間攪拌する。溶媒添加、攪拌および得られた水層の分離のプロセスは、必要な回数、例えば約3回繰り返すことができる。最後に、有機溶液を併せ、無水MgSOのような乾燥剤と共に、例えば30分間攪拌し、次に、濾過し、THFのようなさらなる溶媒と共に洗うことができる。濾液を、例えば減圧下で約40℃で蒸発させることができ、粗生成物を、例えば暗オレンジ色半固形物として集めることができる。
【0138】
場合により、生成物を精製するために、アセトンのような第2の溶媒を粗生成物に添加し、混合物を、例えば20℃で3時間攪拌する。白色結晶性リボノラクトン生成物を、例えば真空濾過により集めることができ、アセトンのような第2の溶媒で洗い、真空乾燥することができる(図1、化合物1を参照)。
【0139】
この反応からの生成物収率は約13.6%とすることができ、これは、従来技術で見られる生成物収率よりも略4%の増加である。
【0140】
次に、リボノラクトンの遊離ヒドロキシル基を、Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、第2版、1991年に教示されているような当業者によく知られた方法により、適切な保護基、好ましくはアシルまたはシリル基で選択的に保護することができる。例えば、クロロ−t−ブチルジフェニルシランを、無水ピリジン中、室温でリボノラクトンと反応させてよい。また、塩化ベンゾイルのようなアシル塩化物を、場合により、塩基の存在下、DME中での還流条件下にリボノラクトンと反応させてよい。
【0141】
例えばリボノラクトン生成物を、塩基、例えばDMAPと、過剰な副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意のモル比で混合することができる。一つの実施態様において、リボノラクトン:塩基(例えばDMAP)のモル比は約5:1である。反応を、過剰な副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意のモル比でTEAのようなさらなる塩基を用いて、場合により促進することができる。本発明の一つの実施態様において、さらなる塩基(例えばTEA)を過剰に用いる。充分な期間後、塩化ベンゾイルのようなアシル塩化物を、過剰な副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意のモル比、例えば、リボノラクトンとの約5:1のモル比で添加する。
【0142】
リボノラクトンは、試薬の温度および溶解性に適した溶媒中で調製することができる。溶媒は、限定はされないが、アルキル溶媒、例えば、ヘキサンおよびシクロヘキサン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、DME、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、またはこれらの任意の組み合わせ含む任意の非プロトン性溶媒からなることができるが、好ましくはDMEである。
【0143】
この反応は、過剰の副生成物または分解を促進することなく許容される速度で反応を進行させる任意の温度で行うことができる。好ましい温度は室温から約5℃である。
【0144】
次に、氷水を反応混合物に添加し、次いで、粗生成物を集め、tert−ブチルメチルエーテルのような適切な溶媒と共に攪拌し、濾過し、洗浄し、例えば真空を利用して乾燥することができる。
【0145】
比較のために、リボノラクトンを調製するためのKilianiの従来技術プロセスを図2に示す。SowdenによりAdv.In Carbohydrate Chem.1957年、第12巻43頁に示されるKilianiのプロセスの詳細な記載として、Ca(OH)を一度および再び14日後に添加し、次いで、混合物を放置し、1から2ケ月間時々振り混ぜる。次の混合物を濾過し、濾液をCOで飽和させる。次に、正確に同量の蓚酸の添加によりカルシウムイオンを沈殿させ、溶液を濾過し濃縮してシロップを得、このシロップを冷条件下に数日間かかって結晶化させる。最後に、この結晶から母液を分離し、結晶を溶解し水から再結晶させる。
【0146】
(保護リボノラクトンの還元)
【0147】
【化14】

【0148】
先の工程から得られた、場合により保護された2−C−メチル−D−リボノ−γラクトンを、過剰な副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意のモル比で任意の適切な還元剤を用いて還元することができる。適切な還元剤には、限定はされないが、Red−Al/EtOH(ナトリウムビス[2−メトキシエトキシ]アルミニウムハイドライド/エチルアルコール)、NaHTe、SmI、H+Pd−ホスフィン触媒、またはLiAl(OBu)H(リチウムトリ−第3ブチオキシアルミニウムハイドライド)があるが、この全てが、化学選択的および位置選択的還元を提供する。本発明の一つの実施態様において、還元剤はRed−A1/エタノールである。例えばRed−A1の溶液を、場合により保護された2−C−メチル−D−リボノ−γラクトンの溶液に、Red−A1と2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノ−γラクトンとのモル比約2:1において添加することができる。
【0149】
興味深いことに、ある種の試薬は、本発明の方法で用いたときに、あまり良好に作用しない、または、所望の生成物種と望ましくない生成物種の混合物が得られることが見い出されている。例えば、エタノール中のRed−A1をLiAl(OBu)Hで置き換えると、後者の還元剤は、反応時間を遅くし、複数の望ましくない生成物を形成させる。同様に、9−ボラビシクロ−[3.3.1]−ノナン、9−BBNおよびジイソブチルアルミニウムハイドライドDIBALHは、反応をおこさない、または僅かな痕跡量の所望の生成物しか発生させない。
【0150】
この反応は、過剰な副生成物または分解を促進することなく許容される速度で反応を進行させる任意の温度で達成することができる。好ましい温度は約0℃から−5℃である。
【0151】
リボノラクトンは、試薬の温度および溶解性に適した溶媒中で調製することができる。溶媒は任意の有機溶媒からなることができ、有機溶媒として、限定はされないが、アルキル溶媒、例えばヘキサンおよびシクロヘキサン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、DME、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびオクタノール、またはこれらの任意の組み合わせがあるが、好ましくは、無水トルエンと無水エタノールの溶液である。
【0152】
反応を、適切なプロトン供給源、例えば、アセトン水および1N HClで停止することができる。この混合物を、酢酸エチルのような有機溶媒で抽出し、ブラインで洗い、乾燥し、溶媒を、例えば、加圧下に約40℃で除去することができる。
【0153】
次に、リボフラノースの遊離ヒドロキシル基を、Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、第2版、1991年に教示されているような当業者によく知られた方法により、適切な保護基、好ましくはアシルまたはシリル基で選択的に保護することができる。例えば、クロロ−t−ブチルジフェニルシランを、無水ピリジン中、室温でリボフラノースと反応させてよい。また、塩化ベンゾイルのようなアシル塩化物を、場合により、塩基の存在下、DME中での還流条件下にリボフラノースと反応させてよい。
【0154】
図3は、Harry−O’kuruら著、J.Org.Chem、(1997年)、第62(6)巻:1754〜59頁による別の方法の一例である。この方法は、ラクトン中間体を欠くが、本発明の生成物と同じ生成物を得るために用いられる。Harry−O’kuruの方法は、ケトン形成の前に保護されたC2におけるものを除いて全てのヒドロキシ基を有するD−アラビノースまたはD−リボースを利用した(図3)。保護された糖を、CHClおよびMgSO中のDess−Martinペリオジナン試薬と反応させて2,4−ジ−O−ベンゾイル−5−メチル−O−ベンゾイル−ジヒドロフラン−3−オンを提供し、続いて、MeTiCl、MeMgBr/TiCl(またはRCeCl、ここでRはリボースC2上の所望の置換基である)で還元した。化合物(3)および(4a)をBzCl/DMAP/EtNと反応させると、最終生成物(4b)1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−R−リボフラノシドが得られる。第1の工程において、かなりの量の所望の生成物の水和物が形成され、過剰のMgSOと一晩反応させて実質的に無水のケトン生成物を調製することが必要であることが注目される。さらに、所望の1,3,5−ベンゾイル−保護−2−アルキルリボフラノシドと、2,3,5−ベンゾイル−保護リボフラノシドのエステル交換α−およびβ−異性体との混合物が、この方法において重要な中間体である2−ケトンを有機チタン試薬と反応させることにより得られることが分かる。3つの生成物のすべてが彼等の目的に有用であったので著者らには重要なことではなかったが、この合成法のこの側面は、単一の異性体のみに興味がある者にとってはさらなる分離工程を必要とする(J.Org.Chem、1997年、第62(6)巻:1754〜9頁の1755頁)。D−リボースまたはD−アラビノースを、この目的のための出発材料として用いてよいが、費用がD−フルクトースの約250倍であるのでD−アラビノースを用いる場合は経済的影響が大きい。
【0155】
図3の従来技術の方法は、ケトン形成前に、C2上のものを除いてD−アラビノースまたはD−リボース上の全てのヒドロキシ基が保護される点が本発明の方法と異なる。次に、Dess−Martinペリオジナン試薬との反応により出発化合物上のC2においてケトンが形成され(図3、化合物3)、続いて、MeTiClまたはRCeCl(Rは、リボースC2上の所望の第2置換基である)で還元される(図3、化合物3および4)。最終生成物である1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−アルキル−リボフラノシドが約70%の収率で生成される。
【0156】
これに対して、本発明のより効率的な方法により、リボフラノースにおいてラクトンが形成され、リボフラノースC2、C3およびC5において利用できるヒドロキシ基が保護され、場合によりエタノール中でRed−A1によりラクトンが還元され、これにより、位置選択的な分離容易なアノマー生成物が生成され、次いで、リボフラノースC1において単一の残りの遊離ヒドロキシ基が保護される。
【0157】
(リボフラノースと活性化シトシンとの縮合)
【0158】
【化15】

【0159】
先の工程からまたは当分野で公知の他の手段から得られる、場合により保護された2−C−メチル−D−リボノフラノースを、活性化塩基を用いる標準的カップリング技術を含む当分野で公知の任意の方法を用いて、ヌクレオシド塩基とカップリングさせることができる。
【0160】
本発明の一つの実施態様は、以下のプロトコールによりβ−D−2’−C−メチル−シチジンを合成する方法を含む。
【0161】
β−D−2’−C−メチル−シチジンは、2−C−メチル−D−リボノフラノースを、保護されていない(すなわち、ベンゾイル化されていない)活性化シトシンと、例えば、限定はされないがBSA((N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)、HMDS、TMSClまたはTBDPSClを含むシリル化剤のような活性化剤で活性化されたシトシンと反応させることにより調製することができる。一つの実施態様において、シリル化剤はBSAである。
【0162】
この反応は、場合により、SnClのようなルイス酸の存在下、過剰な副生成物を生じることなく許容される速度で反応を進行させる任意のモル比で行うことができる。適切なルイス酸として、SnCl、BF、AlCl、TiCl、TiCl、FeCl、SnClおよびそれらの混合物があるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、ルイス酸はSnClである。
【0163】
β−D−2’−C−メチル−シチジンを、試薬の温度および溶解性に適した溶媒中で調製することができる。溶媒は、限定はされないが、アルキル溶媒、例えばヘキサンおよびシクロヘキサン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、またはこれらの任意の組み合わせ含む任意の非プロトン性溶媒からなることができるが、好ましくはアセトニトリルである。
【0164】
この反応は、過剰な副生成物または分解を促進することなく許容される速度で反応を進行させる任意の温度で行うことができる。好ましい温度は、約20℃から約80℃である。
【0165】
続いて、Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、第2版、1991年に教示されているような当業者に周知の方法により、ヌクレオシドを脱保護することができる。例えば、ベンゾイル保護ヒドロキシ基を、室温前後でMeOH中のNaOMeを用いて脱保護することができる。
【0166】
図5に示す従来技術の方法は、ベンゾイルシトシン、BSAおよびSnCl/アセトニトリルを、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(4)と反応させて、4−ベンゾイルアミノ−1−(3,4−ジベンゾイロキシ−5−ベンゾイロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(5a)を形成させ;(5a)をメタノール中のNHと反応させ、β−D−2’−C−メチル−シチジンとしても公知の生成物4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジンン−2−オン(6)をクロマトグラフィーにより分離し;(6)を室温でDMF中のMeNCH(OMe)と1.5時間反応させてN−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(7)を形成させ;(7)を室温でTBDPSClおよびピリジンと6時間反応させてN’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロキシ−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(8)を提供し;(8)を室温でTHF/DMF中のN−Boc−L−バリン、EDCおよびDMAPと2日間反応させ、この反応から形成される生成物をHPLCに付して2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノメチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(9a)を提供し;(9a)をMeOH中でNHFと約3時間還流してシリルおよびアミノ保護基を除去し、生成物をクロマトグラフィー精製に付して2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸−5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(10)を提供し;最後に、(10)を室温でEtOAc中のHClと反応させて2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル二塩酸塩(11)を最終生成物として提供することを含む。
【0167】
図6は、ここで、β−D−2’−C−メチル−シチジン(6)を調製するための従来技術で公知の別の経路を示すものである。この従来技術の方法は、ウラシルを出発材料として用い、ウラシルおよびBSAをアセトニトリル中で、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(4)と約30分間反応させ、アセトニトリル中のルイス酸SnClを添加し、得られた溶液を約4時間還流し、生成物1−(3,4−ジベンゾイロキシ−5−ベンゾイロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(12)をクロマトグラフィーで分離し;(12)を、メタノール中のNaOMeと約4.5時間反応させてベンゾイル保護基を除去し、次に、β−D−2’−C−メチル−ウリジンとしても公知の生成物1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2,4−ジオン(13)を単離および結晶化し;最後に(13)を、CHCN中のTMSClおよびN−メチルピロロジンと順次、約3.5時間反応させ、冷却し、トリフルオロ無水酢酸(TFAA)を約30分間添加し、0℃で4−ニトロフェノールを加え、約3時間攪拌し、ジオキサン中のNHOHを50℃に加熱しつつ一晩加え、クロマトグラフィー手順および結晶化により最終生成物β−D−2’−C−メチル−シチジン(6)を分離する。
【0168】
(β−D−2’−C−メチル−シチジンのエステル化)
先の工程からまたは当分野で公知の任意の他の手段から得られた、場合により保護されたβ−D−2’−C−メチル−シチジンを、当分野で公知の手段によりエステル化することができる。
【0169】
本発明の一つの実施態様は、以下のプロトコールによりβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−エステル、特に、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルを合成する方法を含む。
【0170】
β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−エステルは、例えばGreeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、第2版、1991年に教示されているような当分野で公知の任意の手段によりβ−D−2’−C−メチル−シチジンのアミンを場合により保護することにより調製することができる。本発明の一つの実施態様において、β−D−2’−C−メチル−シチジンを、DMF中のMeNCH(OMe)と反応させてN−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチルホルムアミジンを形成することができる。
【0171】
特定の実施態様において、この化合物を、次に、試薬の温度および溶解性に適する溶媒中で、さらにTBDPSClおよびイミダゾールで保護して5’−シリル)−3,4−ジヒドロオキシ−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチルホルムアミジンを提供することができる。溶媒は、限定はされないが、アルキル溶媒、例えばヘキサンおよびシクロヘキサン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、またはこれらの任意の組み合わせ含む任意の非プロトン性溶媒からなることができるが、好ましくはDCMである。
【0172】
場合により保護されたβ−D−2’−C−メチル−シチジンを、次に、標準的縮合反応を含む当分野で公知の任意の手段を用いて、適切な基とカップリングさせて医薬適合性のβ−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−プロドラッグを得ることができる。この基は、ホスフェート(モノ、ジまたはトリホスフェート、および安定化ホスフェートを含む);直鎖、分枝または環式アルキル(低級アルキルを含む);アシル(低級アシルを含む);CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、スルホンエステル(メタンスルホニルを含むアルキルまたはアリールアルキルスルホニルを含む);ベンジル、ここで、フェニル基は、ここで提供されたアリールの定義に記載のような一または二以上の置換基で場合により置換されている;アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、脂質(リン脂質を含む);アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;または、生体内で投与されたときに遊離ヒドロキシル(またはホスフェート)を提供する医薬適合性の脱離基であり得る。
【0173】
本発明の一つの実施態様において、所望の3’−プロドラッグは、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルであり、以下のプロトコールに従って調製される。
【0174】
β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルは、場合によりEDCのようなカップリング剤の存在下、DMAPのような塩基の存在下に、場合により保護されたβ−D−2’−C−メチル−シチジン(例えば5’−およびN−保護β−D−2’−C−メチル−シチジン)をN−Boc−L−バリンと反応させて、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシ−メチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステルを形成することにより調製することができる。
【0175】
β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルは、試薬の温度および溶解性に適した任意の溶媒中で調製することができる。溶媒は、限定はされないが、アルキル溶媒、例えばヘキサンおよびシクロヘキサン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ジチアン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ピリジン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、またはこれらの任意の組み合わせ含む任意の非プロトン性溶媒からなることができるが、好ましくはDCMである。
【0176】
この反応は、過剰な副生成物または分解を促進することなく許容される速度で反応を進行させる任意の温度で行うことができる。好ましい温度は室温前後である。
【0177】
続いて、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルを、Greeneら著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons、第2版、1991年に教示されているような当業者に周知の手段により脱保護することができる。本発明の一つの特別の実施態様において、t−ブチルジフェニルシリル保護5’−OHおよびN−Boc保護L−バリンを、(遊離アンモニアによる3−O−バリニルエステルの分解を防止するために)酢酸エチル約10モル当量の存在下にMeOH中のNHFで脱保護することができ、混合物を還流して2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステルを提供する。
【0178】
3’−バリニルエステルを、当分野で公知の任意の手段により塩にすることができ、例えば、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−バリニルエステルをEtOH中のHClと反応させて、2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル二塩酸塩を最終生成物として提供する。
【0179】
(好ましい実施態様)
本発明の一つの好ましい実施態様が、図1に例示され、CaO/水の存在下に23から40℃で6から22時間D−フルクトースを反応させ、次に、COおよび蓚酸を反応混合物に添加し、反応を8から12時間進行させて2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(1)を形成し;2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(1)を、1,2−ジメトキシエタン(DME)中、約5℃から25℃の温度で、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびトリエチルアミン(TEA)と約30分間反応させ、次に、混合物を約5℃まで冷却し、塩化ベンゾイルを添加して2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2)を提供し;2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン(2)を、トルエン中、約−5℃から0℃で、Red−A1/エタノールと約40分間反応させて2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(3)を提供し;最後に、塩化ベンゾイル/TEAを、DMAPおよびDMEの存在下に2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(3)の冷溶液に添加し、反応を約5℃から約50℃の温度で約4時間から約12時間進行させ、これにより、最終生成物(4)2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを提供することを含む。
【0180】
具体的には、D−フルクトースの水溶液を室温で調製し、CaOをD−フルクトースに対して好ましくは5:1モル比、より好ましくは3:1モル比、最も好ましくは2.3:1.3モル比で、5分間かかって増加的に添加する。反応を、23から40℃で6から22時間進め、TLC分析のために周期的に少量を取り出す。
【0181】
反応期間の終了時に、pHを塩基性から中性に下げるためにCOを混合物に約2から3時間吹き込む。中和工程の結果として形成されるCaCOは、真空濾過により除去される。水性層を併せ、蓚酸(または他の有機酸)をD−フルクトースとのモル比1:2で用いて処理し、25℃で白色スラリーが現れるまで約30分間攪拌する。このスラリーを、次に、45から50℃で一晩攪拌し、減圧下で蒸発させることにより大部分の水を除去して水性混合物はなお残す。次に、NaClおよびTHFを室温でスラリー中に添加し、約30分間攪拌する。得られた層を分離し、水性層を新しいTHFに添加し、さらに10分間攪拌する。THFを添加し、攪拌し、得られた水性層を分離するプロセスを3回繰り返す。最後に、全てのTHF溶液をあわせ、無水MgSOと共に30分間攪拌し、混合物を濾過し、MgSOフィルターケーキをTHFで洗った。濾液を減圧下で約40℃で蒸発させ、粗生成物を暗オレンジ色半固形物として集める。
【0182】
次に、アセトンを粗生成物に添加し、混合物を20℃で3時間攪拌する。白色結晶性リボノラクトン生成物を、減圧濾過により集め、アセトンで洗い、真空乾燥する(図1、化合物1、スキーム1を参照)。この反応からの生成物収率は約13.6%であり、従来技術で見られる生成物収率より略4%の増加である。
【0183】
得られたリボノラクトン生成物を、次に、約5:1(リボノラクトン:DMAP)のモル比でDMAPと、および過剰のTEAおよびDMEと混合し、室温で約30分間攪拌する。得られた懸濁液を5℃に冷却し、塩化ベンゾイルを、リボノラクトンとの比約5:1で添加する。混合物を室温で約4時間攪拌し、完了時に出発材料の消費をTLCで確認する。次に、氷水を反応混合物に添加し、約30分間攪拌し、次いで、粗生成物を集め、tert−ブチルメチルエーテルと共に攪拌し、濾過し、洗浄し、真空乾燥する。集められた白色固体生成物は、収率83.4%の2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンであり、純度は略98%である(図1、化合物2)。
【0184】
先の工程から得られた2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを約−5℃まで冷却し、約0℃で予め混合された無水トルエンと無水エタノールにRed−A1を含む溶液を加える。Red−A1と2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンとのモル比は約2:1である。混合物を、約−5℃の一定温度に維持しつつ約40分間攪拌する。混合物の一部を取り出し、TLCおよび/またはHPLCで試験して出発材料の消費を確認し、次いで、反応液をアセトン、水および1N HClで反応を停止させ、室温まで暖めた。最後に、混合物を酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗い、乾燥し、溶媒を約40℃で加圧下に除去する。生じた生成物2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースは、この工程の開始時に用いられた2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノ−γ−ラクトンの量から定量的収率で得られる(図1、化合物3を参照)。
【0185】
リボノラクトンのC−1における保護基が直前の工程で作られる。塩化ベンゾイルを、2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースの5℃の溶液に、約2:1のモル比で、無水DME中のDMAPおよびTEAと共に、添加する。反応液を攪拌し一晩反応させ、次いで、氷水および炭酸ナトリウム水溶液で反応を停止させる。次に、THFを除去し、混合物を酢酸エチルで抽出する。洗浄、乾燥および溶媒除去により、濃厚な油状生成物が得られる。後者にtert−ブチルメチルエーテル、ヘプタンおよび水を添加し、約20℃で約2時間攪拌する。最終生成物1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースは、洗浄および真空乾燥後、収率52%で純度が98%を超えている(図1、化合物4、スキーム1を参照)。
【0186】
本発明のもう一つの好ましい実施態様は、図4に例示され、シトシン、BSAおよびSnCl/アセトニトリルを、本発明の第1の実施態様からの1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(4)と反応させて4−アミノ−1−(3,4−ジベンゾイロキシ−5−ベンゾイロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(5)を提供し;(5)をNaOMe/MeOHと反応させて、β−D−2’−C−メチル−シチジンとしても公知の(4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−C−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン)(6)を提供することを含む。ベンゾイル−シトシンではなくシトシンを出発材料として用いると、プロセスの「原子経済」が向上し、後の工程の精製が簡単になる。
【0187】
この合成は、(6)の形成と共に終了し、生成物は当業者に公知の工程により単離される。また、合成をさらに行って、β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステル(2−アミノ−3−メチル酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−4−C−メチル−2−ヒドロキシメチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステル)または、好ましい塩酸塩型を調製してよく、これは、本発明の第4の好ましい実施態様である。
【0188】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、化合物(6)を、DMF中のMeNCH(OMe)と反応させて、(6)のアミノ保護型である(7)N−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジンを形成させ;(7)を、DCM中のTBDPSClおよびイミダゾールと反応させて、(7)の5’−シリル保護型であるN’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロキシ−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチル−ホルムアミド(8)を提供し、DCMの使用により、ジシリル副生成物形成よりも優れた制御を有する利点が提供され;(8)を、室温でDCM中のN−Boc−L−バリン、EDCおよびDMAPと反応させて2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(9)を形成し;(9)を、遊離したアンモニアによる3’−O−バリニルエステルの開裂を防止するために酢酸エチル約10モル当量の存在下に、MeOH中のNHFと反応させることによりシリルおよびアミノ保護基を除去し、混合物を還流して2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(10)を提供し;最後に、(10)を、EtOH中のHClと反応させて、2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル二塩酸塩(11)を最終生成物として提供する。
【0189】
本発明を、以下の非限定的例によりさらに説明する。ここに含まれる実用的例は、本発明の理解の補助のために提供される。これらは、本発明の方法および生成物を説明するものであるが、添付の請求項に提示される本発明を制限することを意図しておらず制限すると解すべきでない。同等、類似または適切な溶媒、試薬または反応条件で、本発明の精神および範囲から離れることなく、ここに記載の特定の溶媒、試薬および/または反応条件を置き換えてよい。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースおよび2,3,5−トリ−O−保護−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを調製するための好ましい方法を示す図である。
【図2】2−C−メチル−β−D−リボフラノースを調製するための別の方法を示す図である。
【図3】1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを調製するための別の方法を示す図である。
【図4】ヌクレオシド、ヌクレオシド類似体またはその塩もしくはプロドラッグを調製するための本発明の好ましい方法を示す図である。
【図5】β−D−2’−C−メチル−シチジンの3’−O−バリニルエステルの医薬適合性の塩を調製するための別の方法を示す図である。
【図6】β−D−2’−C−メチル−シチジンを調製するための従来技術で公知の別の経路を示す図である。
【実施例1】
【0191】
2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン:
オーバーヘッド攪拌器、攪拌シャフト、デジタル温度読み取り器およびアルゴンラインを備える250mL三口丸底フラスコ内で、脱イオン水(100mL)を攪拌した。アルゴンを水中に30分間吹き込み、D−フルクトース(20.0g、0.111モル)を添加すると、溶液が数分以内に透明になった。酸化カルシウム(12.5g、0.223モル)を5分間かかって少しずつ添加し、混合物を激しく攪拌した。発熱が観察され、酸化カルシウムの添加の開始から10分後に反応温度が39.6℃になった。約15分後、反応混合物が黄色を呈し、時間と共に深い色になった。3時間後、この少量をTLC分析のために取り出した。少量を、蓚酸の飽和水溶液を用いてpH2に酸性化した。得られた白色懸濁液を減圧下で蒸発させて水を除去する。残渣にトルエン(2mL)を加え、混合物を減圧(45から50℃で)下に蒸発させて微量の水を除去する。残りの固形分を、1:1のテトラヒドロフラン:メタノール混合物2mL中で再構成した。充分に混合した後、懸濁液を沈降させ、上澄み透明溶液をTLCのために落とした(シリカプレートを酢酸エチル中2%メタノールに漬け、1%アルカリ性過マンガン酸カリウム浸液で染めた。次に、プレートを、ピンク背景上に黄色スポットが現れるまで、ヒートガンを用いて加熱した)。所望のラクトンが、前記条件下に、典型的には0.33のR値で現れる。より極性の副生成物および未反応材料が、0.0から0.2のR値範囲で検出される。
【0192】
3時間後に生成物の形成が観察されたが、反応を22時間続け、この間に、反応混合物を25℃で攪拌した。この期間の終了時に、混合物のpHは13.06であった。二酸化炭素を、反応混合物中に約2.5時間吹き込んだ(pHは7.25)。形成された炭酸カルシウム固形物を、真空濾過により除去し、フィルターケーキを脱イオン水50mLで洗った。水性層を併せ、蓚酸(5.0g、0.056モル)で処理し、混合物を25℃で30分間激しく攪拌した(初期の暗色がほぼ消失し、混合物が乳白色スラリーに変化した)。この段階での混合物のpHは典型的には2から3である。スラリー混合物を45から50℃で一晩攪拌した。次に、混合物を減圧下で45から50℃で蒸発させ、水75mLを除去した。水性スラリー(約75mL)に塩化ナトリウム(30g)およびテトラヒドロフラン(100mL)を添加し、混合物を25℃で30分間激しく攪拌した。層を分離し、水性層を、新しいテトラヒドロフラン75mLと共に10分間攪拌した。このプロセスを3回繰り返し、テトラヒドロフラン溶液を併せ、無水硫酸マグネシウム10gと共に30分間攪拌した。混合物を濾過し、硫酸マグネシウムフィルターケーキを、テトラヒドロフラン60mLで洗った。濾液を、減圧下で40℃で蒸発させて、粗生成物10.86gを暗オレンジ色半固形物として得た。(操作規模拡大のために、粗生成物の蒸発乾燥の代わりに、テトラヒドロフランをアセトンに置き換える)。粗生成物を、アセトン(20mL)と共に20℃で3時間攪拌した。生成物を真空濾過により集め、フィルターケーキをアセトン12mLで洗って、所望の生成物1を白色結晶性固形物として得た。生成物を真空乾燥して2.45g(13.6%)を得る。化合物1の融点:158〜162℃(文献融点:160〜161℃)。H NMR(DMSO−d)δ ppm 5.69(s,1H,DOと交換可能),5.41(d,1H,DOと交換可能),5.00(t,1H,DOと交換可能),4.15(m,1H),3.73(m,2H),3.52(m,1H),1.22(s,3H)。13C NMR(DMSO−d)δ ppm 176.44,82.95,72.17,72.02,59.63,20.95。(C10:計算値C,44.45;H,6.22。実測値:C,44.34;H,6.30)。
【実施例2】
【0193】
2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトン:
1,2−ジメトキシエタン(50mL)中にラクトン1(3.0g、18.50mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.45g,3.72mmol)およびトリエチルアミン(25.27g,249.72mmol)を含む混合物を、アルゴン雰囲気下に25℃で30分間攪拌した。この白色懸濁液を5℃に冷却し、塩化ベンゾイル(11.7g,83.23mmol)を50分間かかって添加した。この混合物を25℃で2時間攪拌した。TLC分析(シリカ、酢酸エチル中2%メタノール)は、出発材料の完全な消費を示した。反応混合物に氷冷水(100g)を添加し、30分間攪拌した。形成された白色固形物を、真空濾過により集め、フィルターケーキを冷水(50mL)で洗った。この粗生成物を、tert−ブチルメチルエーテル(60mL)と共に20℃で30分間攪拌し、次に、濾過し、フィルターケーキをtert−ブチルメチルエーテル(25mL)で洗い、真空で乾燥して化合物2の7.33g(収率83.4%)を純度97.74%(HPLC/AUC)の白色固形物として得た。化合物2の融点:137〜140℃(文献融点:141〜142℃)。H NMR(CDCl)δ ppm 8.04(d,2H),7.92(d,2H),7.73(d,2H),7.59(t,1H),7.45(m,4H),7.32(t,2H),7.17(t,2H),5.51(d,1H),5.17(m,1H),4.82−4.66(AB quartetのd,2H)1.95,(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ ppm 172.87,166.17,166.08,165.58,134.06,133.91,133.72,130.09,129.85,129.80,129.37,128.78,128.60,128.49,127.96,127.89,79.67,75.49,72.60,63.29,23.80.TOF MS ES+(M+1:475)。
【実施例3】
【0194】
2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−βD−リボフラノース:
無水トルエン(2.0mL)中にRed−Al(トルエン中65重量%、2.0mL、6.56mmol)を含む溶液をアルゴン雰囲気下に0℃で攪拌した。このトルエン溶液に、無水トルエン(1.6mL)中に無水エタノール(0.38mL、6.56mmol)を含む溶液を、5分間かかって添加した。得られた混合物を0℃で15分間攪拌し、このRed−A1/エタノール試薬2mL(2.18mmol)を、無水トルエン(10mL)中に2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノラクトン2(475mg,1.0mmol)を含む冷たい(−5℃)溶液に、10分間かかって添加した。反応混合物を−5℃で40分間攪拌した。TLC分析(シリカプレート、ヘプタン中35%酢酸エチル)は、出発材料の完全な消費を示した。HPCL分析は、残りの出発物質が僅かに0.1%であると示した。反応液を、アセトン(0.2mL)、水(15mL)および1N HCl(15mL)で0℃でクエンチし、室温まで暖めた。無機塩(pH:2から3)を溶解するために1N HCl(5mL)を添加した。混合物を酢酸エチル(3×25mL)で抽出し、有機溶液をブライン(25mL)で洗い、乾燥(無水硫酸ナトリウム、10g)し、溶媒を減圧下で40℃で除去して、所望の生成物3を定量的収率(480mg)で得た。この材料を、そのまま次の工程のために用いた。
【実施例4】
【0195】
1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース:
塩化ベンゾイル(283mg,2.0mmol)を、無水テトラヒドロフラン(5mL)中に化合物3(480mg,1.0mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(12.3mg,0.1mmol)およびトリエチルアミン(506mg,5.0mmol)を含む冷たい溶液(5℃)に5分間かかって添加した。反応混合物を室温でアルゴン雰囲気下に一晩攪拌した。HPLC分析は、未反応の出発材料が0.25%であることを示した。反応液を、氷冷水(10g)および重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を添加することによりクエンチした。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、混合物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機溶液を水(25mL)、ブライン(25mL)で洗い、乾燥(無水硫酸ナトリウム、12g)し、溶媒を減圧下で除去して濃厚な油性生成物650mgを得た。この粗生成物を、tert−ブチルメチルエーテルと共に5分間攪拌し、ヘプタン(5mL)および水(0.1mL)を添加し、20℃でさらに2時間攪拌を続けた。固形物を真空濾過により集め、フィルターケーキをヘプタン:tert−ブチルメチルエーテルの1:1溶液(6mL)およびtert−ブチルメチルエーテル(2mL)で洗った。固形物を真空乾燥して、所望の生成物4(HPLC/AUCによる純度98.43%)300mg(52%)を154〜156.3℃(文献融点:155〜156℃)で溶融する白色固形物として得た。H NMR(CDCl)δ ppm 8.13(m,4H),8.07(d,2H),7.89(d,2H),7.63(m,3H),7.48(m,6H),7.15(m,3H),7.06(s,1H),5.86(dd,1H),4.79(m,1H),4.70−4.52(AB quartetのd,2H),1.95,(s,3H)。13C NMR(CDCl)δ ppm 166.31,165.83,165.01,164.77,134.01,133.86,133.70,133.17,130.44,130.13,129.97,129.81,129.59,129.39,129.07,128.84,128.76,128.37,98.01,86.87,78.77,76.35,64.05,17.07.(C3428:計算値C,70.34;H,4.86。実測値:C,70.20;H,4.95)。
【実施例5】
【0196】
4−アミノ−1−(3,4−ジベンゾイロキシ−5−ベンジロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン:(化合物2、図4):
還流冷却器、オーバーヘッド攪拌器およびアルゴン入口アダプターを備える12L丸底フラスコ内で、シトシン(89g、0.80mmol)をアセトニトリル(900ml)中に懸濁した。懸濁液をアルゴン雰囲気下に20℃で攪拌し、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(537ml,2.2mol)を一度に加えた。得られた溶液を80℃に加熱し、同じ温度でさらに1時間攪拌した。1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(425.0g、0.73mol)をアセトニトリル(4000ml)中に懸濁し、反応混合物に添加した。数分後に反応混合物は透明になり、温度は約50℃まで低下した。塩化錫(IV)(154ml、1.31mol)を15分間かかって添加し、80℃で攪拌を続けた。1時間後、反応混合物の一部を重炭酸ナトリウム水溶液の添加によりクエンチし、水性層を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を、TLC(シリカゲル、ヘプタン中20%酢酸エチル、糖誘導体のR:0.40)により試験した。TLC分析は、糖誘導体の完全な消費を示した。所望の生成物を、ジクロロメタン中10%メタノールを用いてTLCにより検出した(R:0.37)。反応は、HPLC(方法#2)によってもモニターした。反応混合物を20℃まで冷却し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(3000mL)を30分間かかって添加することによりクエンチした(重炭酸ナトリウム溶液の最初の数mlを添加したときに発熱を観察した)。固形重炭酸ナトリウム(1350g)を少しずつ添加して起泡を避けた。混合物を調べて、このpHが7以上であることを確認した。攪拌を止め、層を20分間分離させた。水性層を排出し、酢酸エチル(1500ml)と共に攪拌し、混合物を分離させた(30分間)。有機層を単離し、アセトニトリル溶液と併せた。有機溶液をブライン(500ml)で洗い、次に、溶媒を抽出して体積を約750mlにした。生成物は、そのまま次の反応に用いることができる。さらに抽出して白色泡状固形物を定量的収率で得ることもできる。化合物(2)の構造を、H NMR分析により確認した。
【実施例6】
【0197】
4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン:(化合物3):
ナトリウムメトキシド(13.8g、0.26mol)を、メタノール(2000ml)中に化合物(2)(416g、0.73mol)を含む溶液に添加した。反応混合物を室温で攪拌し、TLC(シリカゲル、ジクロロメタン中10%メタノール、化合物1のR:0.53)および(シリカゲル、ジクロロメタン中30%メタノール、化合物3のR:0.21)によりモニターした。30分後に生成物が沈降を開始し、TLCは、2時間後の反応完了を示した。反応は、HPLC(方法#2)によってもモニターした。メタノールを減圧下で約500mlの体積になるまで除去し、続いて、エタノール(2×500ml)により体積を約500mlにした。残留濃厚スラリーをエタノール750mlで希釈し、混合物を20℃で1時間攪拌した。生成物を濾過により集め、フィルターケーキをエタノール(100ml)およびtert−ブチル−メチルエーテル(100ml)で洗い、乾燥して生成物(3)168g(2つの工程についての収率90%)を97%を超える純度(HPLC/AUC)で得た。生成物をHおよび13C NMRによっても分析した。
【実施例7】
【0198】
N−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチル−ホルムアミジン(化合物4):
無水N,N−ジメチルホルムアミド(150ml)中に化合物3(19g、0.0738mol)を含む懸濁液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(98ml、0.7385mol)を添加し、混合物を20から22℃で攪拌した。1時間後、TLC(シリカゲル、ジクロロメタン中30%メタノール、化合物3についてのR:0.21、生成物4についてのR:0.55)は、反応が完了したことを示した。溶媒および試薬を減圧下で除去した(温度は40℃未満に維持された)。得られた油性残渣にエタノール(50ml)を添加し、溶媒を減圧下で除去した。このプロセスを2回繰り返し、粗生成物を固化した。粗生成物をエタノール190mlと共に20℃で1時間攪拌し、5℃で12時間維持した。固形物を濾過により集め、フィルターケーキを冷たいエタノール30mlおよび冷たいtert−ブチルメチルエーテル30mlで洗った。真空下で固形物を乾燥して、化合物(4)14.7g(64%)を第1産物として得た。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン中30%メタノール、生成物(4)についてのR:0.55)および(シリカゲル、ジクロロメタン中10%メタノール、生成物(4)についてのR:0.1)は、化合物(4)の一つのスポットしか示さなかった。エタノール精製からの母液を蒸発乾燥し、残渣をエタノール(80ml)と共に20℃で1時間攪拌し、5℃に12時間維持した。固形物を濾過により集め、フィルターケーキを冷たいエタノール15mlおよび冷たいtert−ブチルメチルエーテル15mlで洗った。真空下で固形物を乾燥した後、3.5g(15%)を第2産物として得た。TLC(シリカゲル、ジクロロメタン中30%メタノール、生成物(4)についてのR:0.55)および(シリカゲル、ジクロロメタン中10%メタノール、生成物(4)についてのR:0.1)は、化合物(4)の一つのスポットしか示さなかった。融点:201〜209℃;H NMR(DMSO−d)δ ppm 8.62(s,1H,N=CH),8.17(d,1H,H−6,J5−6=7.3Hz),5.91(m,2H,H−1’,H−5),5.16(t,1H,OH−5’,DO 交換可能),5.06(s,1H,OH−2’,DO 交換可能),3.8−3.5(m,4H,H−3’,H−4’,H−5’およびH−5”),3.15および3.02(2s,6H,N(CH),0.92(s,3H,CH);FAB>0(GT)625(2M+H),313(M+H),167(B+2H);FAB<0,(GT)m/z419(M+T−H),403(M+G−H),311(M−H),165(B)
【実施例8】
【0199】
N’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロオキシ−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチルホルムアミド(化合物5):
化合物(4)(42.9g、0.137mol)を、オーバーヘッド攪拌器を用いて無水ジクロロメタン(200ml)中に30分間分散させた。次に、混合物をロータリーエヴァポレータを用いて蒸発乾燥(約30℃)した。この乾燥された化合物(4)、イミダゾール(37.4g、0.55mol)および無水ジクロロメタン(800ml)を、アルゴン雰囲気下に2L四つ口RBフラスコ内に仕込み、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(43.1g,0.156mol、全量は幾つかの部分に分けて添加)を、反応フラスコに取り付けられたさらなる漏斗に移した。反応混合物を10℃に冷却し、さらなる漏斗からtert−ブチルジフェニルクロロシラン(13.74g,0.05mol)を、反応温度を10から12℃に維持しつつ攪拌下に20分間かかって添加した。反応をHPLC(方法#2)によりモニターした。1.5時間後、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(14.76g,0.053mol)の第2の部分を、反応温度を10から12℃に維持しつつ20分間かかって添加した。さらに1時間後、残りのtert−ブチルジフェニルクロロシラン(14.8g,0.053mol)を、反応温度を10から12℃に維持しつつ20分間かかって添加した。次に、これを12から15℃でさらに1.5時間攪拌した。HPLCは、生成物95.40%、ビシリル誘導体3.00%、および未反応出発材料が無いことを示した。反応液を、攪拌下に重炭酸ナトリウム飽和水溶液(150ml)を約15℃で15分間加えることによりクエンチした(pH:約8)。水性層とジクロロメタン層とを分離した。ジクロロメタン層を水(2×150ml)およびブライン(1×200ml)で洗い、無水硫酸ナトリウム(60.0g、30分)で乾燥した。次に、これを濾過し、溶媒を減圧下で除去した。残りの泡状固形物を、そのまま次の反応に用いた。
【実施例9】
【0200】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(化合物6);
ジクロロメタン(500ml)中に化合物(5)(58g,0.1053mol)を含む溶液を、アルゴン雰囲気下に25℃で攪拌した。N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン(29.7g、0.1367mol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(26.2g、0.1367mol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.3g、0.0106mol)を添加し、反応混合物を25℃で攪拌し、HPLCでモニターした(方法#2)。4時間後、HPLCは出発材料が7.9%であることを示した。N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン(4.57g、0.0210mol)および1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(4.03g、0.0210mol)を添加し、攪拌を25℃でさらに2時間続け、次いで、HPLCは出発材料が0.7%であることを検出した。メタノール(60ml)を反応混合物に添加し、溶媒を減圧(温度を40℃未満に維持)下に蒸発させて化合物(6)を濃厚油状物として得た。この材料(HPLC/AUCによる純度93%)を、そのまま次の反応に用いた。
【実施例10】
【0201】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(化合物7):
化合物(6)(0.3mol)、MeOH(1650ml)およびEtOAc(265g,3.0mol)を、3L五つ口RBフラスコ内に充填し、混合物を攪拌して化合物(6)を溶解した。フッ化アンモニウム(45.0g、1.21mol)を添加し、混合物を64.5℃までの還流下に4時間攪拌した。反応は、HPLCにより示す(方法#2)ように、4時間後に完了した。次に、溶媒を減圧下で40から45℃で除去し、EtOAc(300ml)を加えた。残留泡状物をEtOAc(400ml)、水(600ml)およびtert−ブチルメチルエーテル(300ml)と併せ、混合物を周囲温度で2.5時間研和した。分離した白色固形物を濾過により集め、水(200ml)、1:1のEtOAc/tert−ブチルメチルエーテル(120ml)およびtert−ブチルメチルエーテル(120ml)で洗った。次に、固形物を真空下で20時間以上乾燥して化合物(7)を白色固形物として得た。3つの工程についての収率71.54g、52%。化合物(7)は純度99.08%(HPLC、方法#3)で得た。H NMR(DMSO−d)δ ppm 7.99(d,1H,H−6,J6−5=7.42Hz),7.3−7.1(m,3H,CHおよびNH,DO 交換可能),5.9(s,1H,H−1’),5.75(d,1H,H−5,J6−5=7.43Hz),5.43(s,1H,OH−2’,DO 交換可能),5.24(t,1H,OH−5’),5.04(d,1H,H−3’,J3’−4’=9.1Hz),4.1−4.0(m,2H,H−4’,CH),3.8−3.4(2m,2H,H−5’,H−5”),2.2−2.0(m,1H,CH),1.40(s,9H,(CHC),1.0(s,3H,CH),0.9−0.8(m,6H,(CHCH);FAB<0,(GT)m/e911(2M−H),455(M−H),256(M−BocVal),216(BocValOH),110(B);FAB>0(GT)913(2M+H),457(M+H),112(B+2H),57(CHC);FAB<0(GT)911(2M−H),455(M−H),256(M−BocVal),216(BocVal),110(B)
【実施例11】
【0202】
2−アミノ−3−メチル−酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(二塩酸塩):(化合物8)
エタノール(168ml)中に化合物(7)(21.0g,0.046mol)を含む溶液を、オーバーヘッド攪拌器、温度プローブ、アルゴンラインおよび塩化水素ガスバブラーを備えた丸底フラスコ内で攪拌した。塩化水素ガス(22g)を、透明溶液中に1時間吹き込んだ。反応温度を、氷水浴を用いて30℃未満に維持した。塩化水素ガスの導入の数分後に固形物の形成が始まった。4時間後、HPLC(方法#3)は、出発材料が僅かに0.8%であることを示した。固形物を濾過により集め、フィルターケーキをエタノール(20ml)およびジエチルエーテル(100ml)で洗った。生成物を真空下で16時間乾燥後、生成物(8)19.06g(96.5%)を、純度97.26%(HPLC、方法#3)で得た。融点:210℃(褐色)、248から250℃(溶融)。H NMR(DMSO−d)δ ppm 10.0(s,1H,1/2NH,DO 交換可能),8.9−8.6(2brs,4H,1/2NH,NH,DO交換可能),8.42(d,1H,H−6,J5−6=7.9Hz),6.24(d,1H,H−5,J5−6=7.9Hz),5.84(s,1H,H−1’),5.12(d,1H,H−3’,J3’−4’=8.8Hz),4.22(d,1H,H−4,J3’−4’=8.7Hz),4.0−3.9(m,1H,CH),3.8−3.5(m,2H,H−5’,H−5”),2.3−2.1(m,1H,CH),1.16(s,3H,CH),1.0(m,6H,(CHCH);FAB>0(GT)713(2M+H),449(M+G+H),357(M+H),246(S),112(B+2H);FAB<0(GT)747(2M+Cl),483(M+G+Cl),391(M+Cl),355(M−H),116(Val),110(B),35(Cl)。
【実施例12】
【0203】
HPLCテスト方法
全ての記載した方法は逆相カラムを用いた;Waters(登録商標)パーツ番号♯WAT086344;Nova−Pak(登録商標)C18、孔寸法60Å、粒径4μm、3.9×150mm。全てのクロマトグラムは、Waters(登録商標)2695HPLCおよび996PDA検出器を用いて作られた。移動相:HPLCグレードアセトニトリルおよび水はJT Bakerから購入し、酢酸トリエチルアンモニウムの1M溶液をFluka(登録商標)から購入した。
【0204】
(方法#1:化合物4の試験、図4)
流量:以下に記載するようなアセトニトリル/水リニアグラジエントの1.00ml/分。
【0205】
系を、操作間で5分間平衡させる。
【0206】
波長:254nm
化合物4の滞留時間=12.8分
【0207】
【表1】

【0208】
(方法#2:化合物2、4、5、6および7の試験、図4)
流量:以下に記載するようなアセトニトリル/20mM水性酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液グラジエントの1.00ml/分。
【0209】
系を、操作間で5分間平衡させる。
【0210】
波長:320および272nm
【0211】
【表2】

【0212】
【表3】

【0213】
(方法#3:化合物3、7および8の試験、図4)
流量:以下に記載するようなアセトニトリル/20mM水性酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液グラジエントの1.00ml/分。
【0214】
系を、操作間で5分間平衡させる。
【0215】
波長:272nm
【0216】
【表4】

【0217】
【表5】

【0218】
(従来技術の方法)
【実施例13】
【0219】
−[(ジメチルアミノ)メチレン]−β−D−2’−C−メチル−シチジン(4)の調製:
DMF(32ml)中にβ−D−2’−C−メチル−シチジン(3)(1.65g、6.43mmol)を含む溶液を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(8.2ml、61.73mmol)で処理し、室温で約1.5時間攪拌する。溶液を減圧下で蒸発させ、エタノールと共蒸発させる。エタノール/エーテルからの結晶化により、今まで公知でない化合物(4)(第1産物、1.21g、収率60%、第2産物、僅かに不純な産物、0.46g、収率23%)が結晶として得られた。第1の産物の結晶化により生じる結晶上で以下の物理化学的特性を決めた。F=201−209℃;H NMR(DMSO−d)δ ppm 8.62(s,1H,N=CH),8.17(d,1H,H−6,J5−6=7.3Hz),5.91(m,2H,H−1’,H−5),5.16(t,1H,OH−5’,DO 交換可能),5.06(s,1H,OH−2’,DO 交換可能),3.8−3.5(m,4H,H−3’,H−4’,H−5’およびH−5”),3.15および3.02(2s,6H,N(CH),0.92(s,3H,CH);FAB>0(GT)625(2M+H),313(M+H),167(B+2H);FAB<0,(GT)m/z419(M+T−H),403(M+G−H),311(M−H),165(B);HPLC、室温で5.96分間(20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液中のCHN、0から50%のグラジエント、流量1ml/分で30分間のプログラム)、λmax=316.1nm。
【実施例14】
【0220】
−[(ジメチルアミノ)メチレン]−5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−β−D2’−C−メチル−シチジン(5)の調製:
無水ピリジン(15mL)中に化合物(4)(1.167g、3.73mmol)を含む溶液に、イミダゾール(760mg、11.19mmol)およびtert−ブチルジフェニルクロロシラン(0.66ml、2.53mmol)を順次添加した。溶液を室温で攪拌した。4時間後、反応混合物に、tert−ブチルジフェニルクロロシラン(0.40ml、2.28mmol)を再び仕込み、室温で2時間攪拌した。重炭酸ナトリウムでの抽出に続き、有機層を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗混合物を、無水アセトニトリル(30ml)と無水ジメチルホルムアミド(15ml)との混合物中に取り込んだ。
【実施例15】
【0221】
−[(ジメチルアミノ)メチレン]−5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−β−D2’−C−メチル−シチジンの3’−O−L−N−(tert−ブトキシカルボニル)バリニルエステル(6)の調製:
先の工程からの化合物(5)溶液に、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン(Boc−Val−OH、400mg、1.87mmol)、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(DEC、715mg、3.73mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、68mg、0.56mmol)を順次添加し、溶液を室温で攪拌した。反応プロフィールをHPLCにより追跡した。反応混合物に、Boc−Val−OH(400mg×3)、DEC(715mg×3)およびDMAP(68mg×3)を再び3回仕込み、最後に、Boc−Val−OH(200mg)、DEC(357mg)およびDMAP(34mg)を再び1回仕込んだ。2日後、出発材料は全体的に消費され、DMFを減圧下で除去した。残渣である化合物(6)を無水メタノール(70mg)中に取り込んだ。
【実施例16】
【0222】
β−D2’−C−メチル−シチジンの3’−O−L−N−(tert−ブトキシカルボニル)バリニルエステル(7)の調製:
フッ化アンモニウム(1.38g、37.30mmol)を、無水メタノール中の化合物(6)の残渣に添加し、反応混合物を3時間還流した。混合物を濾過し、溶媒を減圧下で濾液から除去した。残渣を、酢酸エチル中に取り込み、水で数回抽出した。有機相を減圧下で蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーカラム上で精製した(溶離液:EtOAc(80%)中のMeOH(20%))。所望の化合物(7)を白色泡状物として単離した(3つの工程について1.37g、78%)。
【0223】
物理化学的データ:H NMR(DMSO−d)δ ppm 7.99(d,1H,H−6,J6−5=7.42Hz),7.3−7.1(m,3H,CHおよびNH,DO 交換可能),5.9(s,1H,H−1’),5.75(d,1H,H−5,J6−5=7.43Hz),5.43(s,1H,OH−2’,DO 交換可能),5.24(t,1H,OH−5’),5.04(d,1H,H−3’,J3’−4’=9.1Hz),4.1−4.0(m,2H,H−4’,CH),3.8−3.4(2m,2H,H−5’,H−5”),2.2−2.0(m,1H,CH),1.40(s,9H,(CHC),1.0(s,3H,CH),0.9−0.8(m,6H,(CHCH);FAB<0,(GT)m/e911(2M−H),455(M−H),256(M−BocVal),216(BocValOH),110(B);FAB>0(GT)913(2M+H),457(M+H),112(B+2H),57(CHC);FAB<0(GT)911(2M−H),455(M−H),256(M−BocVal),216(BocVal),110(B)
【実施例17】
【0224】
β−D2’−C−メチル−シチジン(ジヒドロクロライド塩)の3’−O−L−バリニルエステル(8)の調製:
無水酢酸エチル(75ml)中に化合物(7)を含む溶液を、20%HCl/酢酸エチル溶液(75ml)で処理した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。表記化合物(8)は、反応混合物中で沈降し、濾過し、EtOで洗った(1.01g、収率81%)。
【0225】
物理化学的特徴:F=210℃(褐色),234−241℃(溶融);H NMR(DMSO−d)δ ppm 10.0(s,1H,1/2NH,DO 交換可能),8.9−8.6(2brs,4H,1/2NH,NH,DO 交換可能),8.42(d,1H,H−6,J5−6=7.9Hz),6.24(d,1H,H−5,J5−6=7.9Hz),5.84(s,1H,H−1’),5.12(d,1H,H−3’,J3’−4’=8.8Hz),4.22(d,1H,H−4,J3’−4’=8.7Hz),4.0−3.9(m,1H,CH)3.8−3.5(m,2H,H−5’,H−5”),2.3−2.1(m,1H,CH),1.16(s,3H,CH),1.0(m,6H,(CHCH);FAB>0(GT)713(2M+H),449(M+G+H),357(M+H),246(S),112(B+2H);FAB<0(GT)747(2M+Cl),483(M+G+Gl),391(M+Cl),355(M−H),116(Val),110(B),35(Cl);HPLCrt=7.26分(20mM酢酸トリエチルアンモニウム緩衝液中のCHN、0から50%のグラジエント、流量1ml/分で30分間のプログラム)、λmax=273.5nm;UV(HO):λmax=271nm(ε7500)、λmin=249nm(ε5200)、λ=234nm(ε6200)
【実施例18】
【0226】
β−D−2’−C−メチル−シチジンの合成(図6):
β−D−2’−C−メチル−シチジンを調製するための別の合成経路を図3に示す。このプロセスにおいて、アセトニトリル(7mL/mmol)中にウラシル(2.1当量)およびBSA(1.1mL/mmol)を含む混合物を約30分間加熱還流した。得られた溶液を、アセトニトリル(7mL/mmol)中に1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノース(1)を含む溶液、およびSnCl(3.5当量)で処理した。この溶液を、約4時間加熱還流した。得られた暗色混合物を酢酸エチル(トルエンの2.5倍体積)で希釈し、酢酸エチルに等しい体積の冷たい水性飽和NaHCOで処理した。全混合物を、セライトを通して濾過し、固形材料を酢酸エチルで洗った。濾液から有機層を分離し、水で洗い、ブラインで洗い、NaSOを用いて乾燥し、減圧下で蒸発させた。ヘキサン中50%酢酸エチルを用いるシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、化合物(9)β−D−2’−,3’−,5’−ベンゾイル−2’−C−メチル−ウリジンを白色固形物として収率65%で得た。
【0227】
MeONa(3.3当量)で処理したメタノール(12.5ml/mmol)中に(9)を溶解し、得られた黄色溶液を室温で約4.5時間攪拌することにより、β−D−2’−,3’−,5’−ベンゾイル−2’−C−メチル−ウリジン(9)からベンゾイル保護基を除去した。溶液を、メタノールで予め洗浄したDowex H 50wX4を添加することにより中和した。混合物を濾過し、樹脂を熱いメタノールで数回抽出した。濾液を併せ、減圧下で蒸発させた。残渣を水中に取り込み、ジクロロメタンで3回洗った。水性層を減圧下で蒸発させた。水から結晶化させて(10)β−D−2’−C−メチル−ウリジンを収率87%で得た。
【0228】
次に、アセトニトリル(10ml/mmol)中にβ−D−2’−C−メチル−ウリジン(10)、1−メチルピロリジン(1ml/mmol)およびクロロトリメチルシラン(3当量)を含む溶液を室温で約3.5時間攪拌した。溶液を0℃に冷却し、トリフルオロ無水酢酸(3当量)で処理し、同じ温度で30分間攪拌した。4−ニトロフェニル(3当量)を添加し、溶液を約3時間攪拌した。反応液を、水を溶液に添加することによりクエンチし、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン中に取り込み、水性飽和NaHCOおよび水で洗った。有機層を減圧下で蒸発させた。粗残渣をジオキサン(25ml/mmol)に取り込み、NHOHの28%水溶液(5ml/mmol)で処理した。溶液を一晩50℃まで加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、ジクロロメタン中のメタノール(5から20%)のグラジエントを用いてクロマトグラフィー分離を行った。これにより、β−D−2’−C−メチル−シチジン(11)が所望の生成物として収率75%で得られた。生成物を、さらにEtOH中で結晶化した。
【0229】
実施例5および6の両方における試薬の供給源には以下のものがある:
Fluka(登録商標)製のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、参照番号40271;
Fluka(登録商標)製の分子篩によるN−ジメチルホルムアミド、参照番号40248;
Carlo Erba ACS製の分析用の無水エチルアルコール、参照番号414607;
Merck(登録商標)製のジエチルエーテル、参照番号1.00921.5000;
Avocado(登録商標)製のtert−ブチルジフェニルクロロシラン、参照番号12721;
Fluka(登録商標)製のイミダゾール、参照番号56750;
Fluka(登録商標)製の分子篩によるピリジン、参照番号82704;
Fluka(登録商標)製の炭酸水素ナトリウム、参照番号71628;
Fluka(登録商標)製の無水硫酸ナトリウム、参照番号71960;
Fluka(登録商標)製の分子篩によるアセトニトリル、参照番号00695;
Fluka(登録商標)製の分子篩によるN,N−ジメチルホルムアミド、参照番号40248;
Aldrich(登録商標)製のN−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン、参照番号35,972−6;
Aldrich(登録商標)製の4−ジメチルアミノピリジン、参照番号10,770−0;
Aldrich(登録商標)製のN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩、参照番号16,146−2;
Fluka(登録商標)製のフッ化アンモニウム、参照番号09742;
ナトリム上で蒸留したメタノール;
Praxair製の無水塩化水素、参照番号1741100;および
Merck(登録商標)製のジエチルエーテル、参照番号1.00921.5000。
【0230】
先の記載は単に本発明を説明するものであり、本発明を、開示された方法および反応条件に制限することを意味しない。当業者に明らかな変化は、添付の請求項に請求されている本発明の範囲および性質に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)場合により保護され場合により置換されたリボフラノースを、ルイス酸の存在下に非保護ヌクレオシド塩基およびシリル化剤とカップリングさせて、場合により保護されたヌクレオシドを形成する工程、
(b)要すれば、工程(a)からの保護ヌクレオシドを場合により脱保護剤と反応させて非保護ヌクレオシドを提供する工程、
(c)ヌクレオシドがアミン基を有する場合、保護または非保護ヌクレオシドのアミン基を場合によりアミン保護剤と反応させる工程、
(d)保護または非保護ヌクレオシドを場合によりシリル化剤と反応させて5’−O−シリル保護ヌクレオシドを提供する工程、
(e)保護または非保護ヌクレオシドを、一または二以上のカップリング剤を場合により用いて、保護アミノ酸誘導体と反応させて、保護3’−O−アミノ酸エステルを形成する工程、
(f)工程(e)からの生成物を場合により、要すれば5’−Cからシリル保護基を除去しヌクレオシドアミンからホルムアミジン保護基を除去する試薬と還流する工程、および
(g)工程(f)からの生成物を、3’−O−アミノ酸エステルから保護基を除去する試薬と場合により反応させ、これにより置換または非置換3’−O−エステル置換ヌクレオシドを製造する工程
を含む3’−O−アミノ酸エステルヌクレオシドを調製する方法。
【請求項2】
工程(a)において、場合により保護されたリボフラノースが2’−C位にメチル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において、ルイス酸がSnCl、BF、AlCl、TiCl、FeClおよびSnClからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ルイス酸がSnClである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、シリル化剤がBSA、HMDS、TMSClおよびTBDPSClからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
シリル化剤がBSAである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)において、カップリング反応が、アセトニトリルである溶媒中で達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)において、脱保護剤がNaOMeまたはNHである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)において、アミン保護剤がN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールおよびN−1,1−ジメチルチオメチレンアミンからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
アミン保護剤がN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(d)において、シリル化剤がTBDPSCl、TMSClおよびTBDMSClからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
シリル化剤がTBDPSClである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(e)において、アミノ酸誘導体がバリニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(e)において、アミン保護剤がBOC、−(C=O)−アラルキル、−(C=O)−アルキルまたは−(C=O)−アリールから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アミン保護剤がBOCである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(e)において、カップリング剤の一つがEDCである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程(f)において、シリル除去剤がNHFである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程(g)において、3’−O−アミノ酸エステル保護基除去剤がHClである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
(a)1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、BSAおよびSnClの存在下にシトシンとカップリングさせて、4−アミノ−1−(3,4−ジベンゾイロキシメチル−5−ベンジロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを形成する工程;
(b)工程(a)からの4−アミノ−1−(3,4−ジベンゾイロキシメチル−5−ベンジロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを、ナトリウムメトキシドと反応させてベンゾイル保護基を除去し、これにより、4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを提供する工程;
(c)工程(b)からの4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンを、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させてN−アミノ基を保護し、これにより、N−[1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−N,N−ジメチルホルムアミジンを生成する工程;
(d)工程(b)または(c)からのヌクレオシドを、シリル化剤TBDPSClと反応させてN’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロキシ−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチル−ホルムアミジンを提供する工程;
(e)N’−{1−[5−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−3,4−ジヒドロキシ−3−メチル−テトラヒドロフラン−2−イル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル}−N,N−ジメチル−ホルムアミジンを、ジクロロメタン中でN−BOC−L−バリンおよびEDCと反応させて、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステルを提供する工程;
(f)工程(e)の2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル酪酸2−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニロキシメチル)−5−[4−(ジメチルアミノ−メチレンアミノ)−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル]−4−ヒドロキシ−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステルをNHFと共に還流することにより、この化合物からシリル保護基およびホルムアミジン基を除去して、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロフラン−3−イルエステルを提供する工程;および
(g)工程(f)からの2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステルをHClと反応させることにより、3’−O−バリニルエステル置換基からBOC−保護基を除去して、2−アミノ−3−メチル酪酸5−(4−アミノ−2−オキソ−2H−ピリミジン−1−イル)−4−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−メチル−テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル(ジヒドロクロライド塩)を提供する工程
を含むヌクレオシドの調製方法。
【請求項20】
(a)水性CaOを、環酸素に隣接する炭素上にCHOHおよびヒドロキシルを含む環式エーテルと反応させ、これにより、フラニルラクトンを形成する工程、
(b)要すれば、このフラニルラクトンを場合により保護基で保護する工程、
(c)場合により保護されたフラニルラクトンを還元剤と反応させてラクトンをヒドロキシル基に還元することにより、生成フラノース化合物を作る工程;および
(d)生成フラノース化合物を場合により保護基と反応させる工程
を含むフラノースの調製方法。
【請求項21】
CaOと反応した環式エーテルがD−フルクトースである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
フラニルラクトースが2−C−メチル−D−リボノラクトンである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
保護されたフラニルラクトンが2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノラクトンである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
フラノースが2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
保護されたフラノースが1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースである、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
保護基が、工程(c)の還元剤により影響を受けない一または二以上の基で場合により置換された、シリル、ベンゾイル、p−トルオイル、p−ニトロベンゾイル、p−クロロベンゾイル、アシル、アセチル、−(C=O)−アルキルおよび−(C=O)−アリールからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
保護基がベンゾイルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
保護基が−(C=O)−アルキルである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
還元剤がRed−Al/エタノール、NaHTe、SmI、H+Pd−ホスフィン触媒およびLiAl(OBu)Hからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
還元剤がRed−Al/エタノールである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
反応を、TEA、DMAP、DME、トルエンおよびエタノールからなる群より選択される溶媒中で行う、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
反応温度が、第1の生成ラクトン化合物について約−5℃から約50℃で変化する、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
合成のための合計時間が約5日から約14日である、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
合成のための合計時間が約5日から約10日である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
合成のための合計時間が約60時間である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
(a)水性CaOを、約23℃から約40℃の温度でD−フルクトースと約5時間から約25時間反応させる工程、
(b)工程(a)からの生成物を、COおよび蓚酸と約8時間から約12時間反応させて2−C−メチル−D−リボノラクトンを形成する工程、
(c)2−C−メチル−D−リボノラクトンを、塩化ベンゾイルと約3時間から約6時間反応させて2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノラクトンを提供する工程、
(d)2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−D−リボノラクトンを、約−5℃から約0℃の温度でRed−Al/エタノールと約30から約60分間反応させて2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを提供する工程、
(e)2,3,5−トリ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、溶媒中、約0℃から約50℃の温度で約4時間から約14時間ベンゾイル化して、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを形成する工程、および
(f)場合により、1,2,3,5−テトラ−O−ベンゾイル−2−C−メチル−β−D−リボフラノースを単離する工程
を含む方法。
【請求項37】
工程(a)において、反応時間が約6から約22時間である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
工程(a)において、温度が約23から約40℃である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
工程(c)において、溶媒がDMEである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
工程(c)において、反応が約4時間続く、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
工程(d)において、還元が約40分間続く、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
工程(d)において、溶媒がトルエンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
工程(e)において、溶媒がDMEを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
工程(e)において、温度が約5から約50℃であり、反応が約4から約12時間進む、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
工程(f)において、単離を当業者に公知の方法により行う、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
ベンゾイル保護され場合により置換されたリボフラノースが請求項20に記載の方法により調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
ベンゾイル保護され場合により置換されたリボフラノースが請求項36に記載の方法により調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
(a)水性CaOを、環酸素に隣接する炭素上にCHOHおよびヒドロキシルを含む環式エーテルと反応させ、これにより、フラニルラクトンを形成する工程
を含むフラニルラクトンを調製する方法。
【請求項49】
(a)水性CaOを、約23℃から約40℃の温度でD−フルクトースと約5時間から約25時間反応させる工程、および
(b)工程(a)からの生成物を、COおよび蓚酸と約8時間から約12時間反応させて2−C−メチル−D−リボノラクトンを形成する工程
を含む2−C−メチル−D−リボノラクトンを調製する方法。
【請求項50】
(a)場合により保護された2−C−メチル−D−リボノラクトンを、Red−Al/エタノールで還元して場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを得る工程
を含む場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを調製する方法。
【請求項51】
(a)場合により保護され場合により置換されたリボフラノースを、ルイス酸の存在下に非保護ヌクレオシド塩基およびシリル化剤にカップリングさせて、場合により保護されたヌクレオシドを形成する工程
を含む場合により保護されたヌクレオシドを調製する方法。
【請求項52】
(a)場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、BSAおよびSnClの存在下にシトシンとカップリングさせて場合により保護されたβ−D−2’−C−メチルシチジンを形成する工程
を含む場合により保護されたβ−D−2’−C−メチルシチジンを調製する方法。
【請求項53】
(a)シトシンおよび活性化剤を、場合によりルイス酸の存在下に、場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースと反応させて場合により保護された2’−C−メチルシチジンを形成する工程、
【化1】

(式中、各P、P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
次に
(b)要すれば、先の工程の場合により保護された2’−C−メチルシチジンを場合により脱保護して2’−C−メチルシチジン(VI)を形成する工程
【化2】

を含む2’−C−メチルシチジンを調製する方法。
【請求項54】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはアシルである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはベンゾイルである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
活性化剤がシリル化剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
シリル化剤がBSA、HMDS、TMSClまたはTBDPSClである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
シリル化剤がBSAである、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
工程(a)の反応を、SnCl、BF、AlCl、TiCl、TiCl、FeClおよびSnCl並びにこれらの混合物からなる群より選択されるルイス酸を用いて行う、請求項53に記載の方法。
【請求項60】
ルイス酸がSnClである、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
2’−C−メチルシスチジンの3’−位をエステル部分でエステル化する工程をさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項62】
エステル部分がアミノ酸である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
アミノ酸がL−バリニルである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
(a)場合により保護された2−C−メチル−D−リボニックラクトンを還元剤で還元する工程、
【化3】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
次に
(b)先の工程のリボフラノース誘導体化合物を場合により保護して場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを形成する工程、
【化4】

(式中、Pは独立して水素または適切な酸素保護基である)
を含む場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを調製する方法。
【請求項65】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはアシルである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはベンゾイルである、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
還元剤が、場合により溶媒中に含まれる、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
溶媒がエタノールである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
(a)D−フルクトースをCaOと反応させる工程、
【化5】

次に
(b)ラクトンを場合により保護して、場合により保護された2−C−メチル−D−リボニックラクトンを形成する工程
【化6】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
を含む場合により保護された2−C−メチル−D−リボニックラクトンを調製する方法。
【請求項70】
各P、PおよびPが独立して水素またはアシルである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
各P、PおよびPが独立して水素またはベンゾイルである、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
工程(a)で生じたカルシウムを除去するために沈殿剤を用いる、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
沈殿剤がリボン酸より強力な有機酸である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
有機酸が、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸およびヘキサン酸からなる群より選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
有機酸が蓚酸である、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
(a)D−フルクトースをCaOと反応させて2−C−メチル−D−リボニック−γ−ラクトンを得る工程、
【化7】

(b)要すれば、ラクトンを場合により保護して場合により保護された2−C−メチル−D−リボニックラクトンを形成する工程、
【化8】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
(c)場合により保護された2−C−メチル−D−リボニックラクトンを還元剤と反応させる工程
【化9】

(式中、各P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
(d)先の工程のリボフラノース誘導体化合物を場合により保護して場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを形成する工程
【化10】

(式中、Pは独立して水素または適切な酸素保護基である)
(e)場合により保護された2−C−メチル−β−D−リボフラノースを、場合によりルイス酸の存在下に、シトシンおよび活性化剤と反応させて場合により保護された2’−C−メチルシチジンを形成する工程
【化11】

(式中、各P、P、PおよびPは独立して水素または適切な酸素保護基である)
次に
(f)要すれば、場合により保護された2’−C−メチルシチジンを場合により脱保護して場合により保護された2’−C−メチルシチジンを形成する工程
【化12】

を含む、D−フルクトースから場合により保護された2’−C−メチル−D−シチジンを調製する方法。
【請求項77】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはアシルである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
各P、P、PおよびPが独立して水素またはベンゾイルである、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
活性化剤がシリル化剤である、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
シリル化剤がBSA、HMDS、TMSClまたはTBDPSClである、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
シリル化剤がBSAである、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
工程(e)の反応を、SnCl、BF、AlCl、TiCl、TiCl、FeClおよびSnCl並びにこれらの混合物からなる群より選択されるルイス酸を用いて行う、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
ルイス酸がSnClである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
還元剤が、場合により溶媒中に含まれる、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)である、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
溶媒がエタノールである、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
2’−C−メチルシスチジンの3’−位をエステル部分でエステル化する工程をさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項87】
エステル部分がアミノ酸である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
アミノ酸がL−バリニルである、請求項87に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−111459(P2011−111459A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−268549(P2010−268549)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【分割の表示】特願2005−511773(P2005−511773)の分割
【原出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【出願人】(502423808)イデニクス(ケイマン)リミテツド (16)
【Fターム(参考)】