2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの塩および結晶形態
本発明は、2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物および溶媒和物の特定の結晶形態、これらの製造法、これらの結晶形態を含む医薬組成物、および、温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のためのこれらの使用、および、中間体としてのまたは温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のための使用のための医薬品の製造のためのそれらの使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル(化合物I、下記参照)、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物および溶媒和物の特定の固体、好ましくは結晶または非結晶、とりわけ結晶形態、これらの製造法、これらの固体形態を含む医薬組成物、および、温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のためのこれらの使用、および、中間体としてのまたは温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のための使用のための医薬品の製造のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、その脂質キナーゼ、例えば、PI3−キナーゼおよび/またはPI3−キナーゼ−関連タンパク質キナーゼファミリーメンバー(PIKKとも称され、DNA−PK、ATM、ATR、hSMG−1およびmTORを含む)、例えば、DNAタンパク質−キナーゼの活性の阻害;その製造;および、とりわけ抗腫瘍剤としてのその使用は、WO2006/122806に記載されている。該化合物は、その中で遊離形(例えば、実施例7参照)でおよび化学量論比1:1の4−トルエンスルホン酸塩として例示されている。2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの合成も、実施例の部において実施例1として記載されている。
【発明の概要】
【0003】
今回、驚くべきことに、ある条件下で2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物もしくは溶媒和物の特定の新規結晶形態を見ることができることが見出され、それは以下に記載し、そして有利な有用性および特性を有する。それらは、ある医薬特性において相当に異なり、そして薬物および薬剤開発に利用できる、例えば、薬物の溶解および/または製造/精製の容易な経路のための新規物理特性を示す。
【0004】
発明の詳細な説明
本発明を、図面およびその他を援用しながら、より詳細に記載する。
【0005】
本発明は、とりわけ、式I(化合物I)
【化1】
で示される2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルまたは式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の実質的に純粋な結晶形態に関する。
【0006】
図面の説明
下記X線図において、回折角2θが横軸(x軸)、強度(カウント)が縦軸(y軸)でプロットされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態A
【図2】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態B
【図3】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの模擬X線粉末パターン
【図4】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態D
【図5】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HA
【0008】
【図6】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態A
【図7】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態B
【図8】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図9】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図10】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【0009】
【図11】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態A
【図12】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図13】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態
【図14】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のラマンスペクトル
【図15】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のFT−IRスペクトル
【0010】
【図16】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図17】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【0011】
図1 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態A
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する8.4°の回折角2θで観察される。7.9°および10.5°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、7.9°、8.4°、10.5°、10.9°、13.3°、17.9°、22.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ 0.020°、範囲 2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0012】
図2 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態B
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.9°の回折角2θで観察される。14.2°および17.7°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.9°、8.7°、10.1°、14.2°、17.7°、20.5°、21.1°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ 0.020°、範囲 2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0013】
図3 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの模擬X線粉末パターン
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する14.7°の回折角2θで観察される。11.4°および18.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.6°、11.4°、14.7°、15.6°、18.3°、18.6°、19.8°、22.7°、24.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0014】
図4 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態D
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する23.9°の回折角2θで観察される。20.6°および22.1°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、8.5°、19.9°、20.2°、20.6°、22.1°、23.9°、26.1°、27.2°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でSTOE Stadi P Combi装置で測定した;スリット4mm/2mm;カプトンホイル間の伝達;Monochrom:Curved Germanium(111)、放射1.54060Å、発電機:50kV、30mA、検出器:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;範囲1:2θ(最初、最後、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.00s/ステップ(全ての2θ値+/−0.3)。
【0015】
図5 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HA
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する17.6°の回折角2θで観察される。18.8°および22.5°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、6.9°、8.5°、9.2°、13.8°、17.6°、18.8°、22.5°、24.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、反射配置でBruker D8 Discover GADDSで測定した(全ての2θ値+/−0.3)。
【0016】
図6 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態A
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.7°の回折角2θで観察される。5.4°および17.2°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.4°、5.7°、16.4°、17.2°、18.3°、19.0°、22.0°、23.1°、23.4°、27.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ0.020°、範囲2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0017】
図7 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態B
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.8°の回折角2θで観察される。17.8°および18.7°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.8°、16.4°、17.2°、17.8°、18.4°、18.7°、22.1°、22.7°、23.7°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でSTOE Stadi P Combi装置で測定した;スリット4mm/2mm;カプトンホイル間の伝達;Monochrom:Curved Germanium(111)、放射1.54060Å、発電機:50kV、30mA、検出器:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;範囲1:2θ(最初、最後、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.00s/ステップ(全ての2θ値+/−0.3)。
【0018】
図8 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩一水和物の結晶学的データ:
【表1】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.5°の回折角2θで観察される。7.8°、19.6°、23.1°および26.2°で50%以上の相対強度を有するさらなる4つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.5°、7.8°、9.0°、11.4°、14.9°、19.3°、19.6°、23.1°、26.2°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0019】
図9 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩二水和物の結晶学的データ:
【表2】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.9°の回折角2θで観察される。19.5°および26.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.9°、10.2°、13.4°、13.8°、16.4°、16.9°、19.5°、21.1°、26.6°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0020】
図10 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩ギ酸溶媒和物の結晶学的データ:
【表3】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.8°の回折角2θで観察される。7.6°および20.9°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.8°、7.9°、11.7°、13.1°、13.6°、14.5°、17.3°、20.9°、22.6°、24.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0021】
図11 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態A
化合物Iの二トシル酸塩の結晶学的データ:
【表4】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する22.4°の回折角2θで観察される。21.5°および25.0°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、7.7°、15.8°、16.8°、18.6°、19.1°、21.5°、22.4°、25.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でBruker D8 Advance装置で測定した;ステップ0.017°、計測時間(Cnt. time)0.3s、範囲2.00−40.00(Deg.)、可変発散スリット12mm、VANTEC PSD検出器(全ての2θ値+/−0.3)。
【0022】
図12 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの二トシル酸塩三水和物の結晶学的データ:
【表5】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する4.7°の回折角2θで観察される。9.4°および12.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、4.7°、7.4°、8.4°、9.4°、12.6°、13.7°、14.7°、18.3°、20.8°、24.1°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0023】
図13 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態
X線粉末データは、Cu Kα放射線源でBruker D8 Advance装置で測定した;ステップ0.017°、計測時間0.3s、範囲2.00−40.00(Deg.)、可変発散スリット12mm、VANTEC PSD検出器。
【0024】
図14 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のラマンスペクトル
サンプルのラマンスペクトルは、1064nmのレーザー励振源(Bruker RFS 100)で分散ラマン分光計により測定した。スペクトルにおいて有意なバンドが波数(cm−1)で表れた。
【0025】
図15 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のFT−IRスペクトル
サンプルの赤外線吸収スペクトルをFourier Transform Infrared Microscope(Bruker Vertex 70)を使用して得た。スペクトルにおいて有意なバンドが波数(cm−1)で表れた。
【0026】
図16 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩ギ酸溶媒和物一水和物の結晶学的データ:
【表6】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.6°の回折角2θで観察される。20.7°および22.2°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、7.6°、12.9°、13.3°、14.3°、20.7°、22.2°、24.5°、25.2°、26.2°、29.3°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0027】
図17 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩酢酸溶媒和物の結晶学的データ:
【表7】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.7°の回折角2θで観察される。7.7°および22.3°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.7°、7.7°、12.7°、13.4°、14.3°、14.6°、20.1°、20.5°、20.7°、22.3°、23.7°、24.0°、24.2°、24.9°、26.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0028】
“実質的に純粋”なる用語は、本発明の内容において、少なくとも90、好ましくは少なくとも95、そしてさらに好ましくは少なくとも99重量%の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶が本発明の特定の結晶形態で存在することを意味すると理解する。
【0029】
本発明による“固体形態”なる用語は、結晶形態および非結晶形態を含む。好ましい固体形態は結晶形態である。
【0030】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態が、実質的に1つの図に記載されているX線回折図を示すことを述べている文脈において、“実質的に”なる用語は、少なくとも該図に記載されている回折図中の主要な線、すなわち該図中の最も強い線と比較して相対線強度20%以上、とりわけ30%以上を有する線が存在しなければならないことを意味する。
【0031】
1つの好ましい態様において、式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態は、実質的に図の1つに記載されているX線回折図を示す。
【0032】
特に好ましいものは、実施例に記載されているとおりに得られる式Iの化合物、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態である。
【0033】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の異なる結晶形態を利用する有利な点の1つは、別個の結晶形態が結晶化において別個の不純物を包含しやすいこと、すなわち、結晶形態AAに包含される不純物が必ずしも、また、結晶形態BBまたは結晶形態CCに包含されないという事実である。言い換えると、同じ物質の別個の結晶形態を連続して製造することは、最後に得られる物質の純度を増加させる。さらに、別個の結晶形態は、別個の物理特性、例えば、融点、吸湿性、溶解性、流動特性または熱力学的安定性を示し、そして、したがって、別個の結晶形態は、ある使用または局面、例えば、薬物製造の工程におけるまたは錠剤、カプセル、軟膏または溶液のような異なる投与形態における中間体としての使用に対して最も適当な形態の選択を可能にする。
【0034】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態は、価値ある薬理学的特性を有し、そして、例えば、一般的に移植と関連して発症する、PI3キナーゼ酵素の活性が介在する状態、例えば、増殖性、炎症性またはアレルギー性状態または障害の処置において使用し得る。
【0035】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、非結晶または結晶、好ましくは結晶形態は、好ましくは、良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される増殖性疾患の処置において使用され得る。他の疾患は、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病およびバナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患を含む。
【0036】
本発明は、とりわけ、本明細書に記載されている該疾患の1つの処置におけるまたはその処置のための薬物の製造における2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Aに関する。
【0037】
本発明は、また、該疾患に罹患している温血動物の処置方法であって、関連疾患に対して有効である式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態の量、とりわけ抗増殖性効果を有する量をこのような処置を必要としている温血動物に投与する方法に関する。本発明は、さらに、ヒトまたは動物身体の処置、とりわけ増殖性疾患、例えば、良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病の処置のための医薬組成物の製造のための式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶の使用に関する。
【0038】
本明細書に記載されている式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態は、安定な医薬投与量剤形を製造するために利用できる。したがって、本発明は、また、一定量の、とりわけ本明細書に記載されている疾患の1つの予防または処置のための治療有効量の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態を、局所、経腸、例えば、経口または経直腸、または非経腸投与に対して適当であり、無機または有機の固体または液体であってよい薬学的に許容される担体と含む医薬品に関する。
【0039】
所望のとき、さらなる薬理学的に活性物質を含み得る本医薬品は、それ自体既知の方法、例えば、慣用の混合、造粒、被覆、溶解または凍結乾燥法の手段により製造され、そして約1%から100%、とりわけ約1%から約20%の活性物質を含む。
【0040】
本発明は、また、本発明の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することを含む、医薬組成物の製剤法に関する。
【0041】
“医薬組成物”なる用語は、活性成分、担体を構成する薬学的に許容される賦形剤を含む製品、ならびに、何らかの2種以上の該成分の組合せ、複合体または集合体、または、1種以上の該成分の解離、または、1種以上の該成分の他のタイプの反応または相互作用により、直接的にまたは間接的に生じる全ての製品を含むことを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、活性成分、所望により、さらなる活性成分および薬学的に許容される賦形剤と混合することにより製造される全ての組成物を含む。
【0042】
“賦形剤”なる用語は、活性成分ではない医薬の成分、例えば、増量剤、希釈剤および担体を意味する。医薬組成物を製造するために有用な賦形剤は、好ましくは、一般的に、安全で、非毒性であり、そして生物学的にだけではなく他の点でも望ましくない点がなく、そして、動物使用、ならびにヒト医学的使用に対して許容される。本明細書および特許請求の範囲で使用される“薬学的に許容される賦形剤”は、1種以上のこのような賦形剤を含む。
【0043】
“治療有効量”は、疾患を処置または予防するために投与するとき、疾患のこのような処置または予防をもたらすために十分な化合物の量を意味する。“治療有効量”は、化合物、疾患およびその重症度ならびに処置される患者の年齢、体重などに依存して変化する。
【0044】
本発明は、また、式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態の製造法に関する。結晶を形成する正確な条件は、現在、経験的に決定されており、実施例3から17に記載されている結晶化条件を含む、多くの方法が実際に適当である。
【0045】
結晶化誘導条件は、通常、適当な結晶化誘導溶媒、例えば、結晶化誘導溶媒、例えば、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたは水またはそれらの混合物の使用を含む。好都合には、非結晶化合物を、通常、少なくとも10℃の温度で溶媒に溶解する。該溶液は、溶媒に化合物の何らかの1種以上の非結晶形態およびその溶媒和物、例えば、水和物、メタノレート、エタノレート、イソプロパノレートまたはホルメートを溶解することにより製造できる。次に結晶は、溶液からの変換により形成でき、結晶化は約0℃から溶媒の沸点で実施する。溶解および結晶化を種々の慣用の方法によって実施できる。例えば、非結晶化合物を、高温で高溶解性であるが低温で非常に難溶性である溶媒または溶媒の混合物に溶解させることができる。高温で遊離塩基を溶解し、次に冷却することでも、所望の結晶を溶液から結晶化できる。冷却および再加熱工程は数回、例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも5回実施できる。冷却および再加熱温度は、例えば、少なくとも5℃、少なくとも10℃または少なくとも15℃である。冷却/加熱サイクルの低温は、例えば、15℃未満、10℃未満、5℃未満または0℃未満であってよく、一方、高温は、例えば、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃または少なくとも30℃であってよい。
【0046】
該化合物が、好ましくは、少なくとも1重量%の量で30℃で高溶解性である良溶媒、および、好ましくは多くて約0.01重量%の量で30℃で非常に難溶性である貧溶媒を含む混合溶媒もまた使用できるが、混合物からの結晶化は、通常、少なくとも約0℃の低温で、選択された溶媒混合物を使用して可能である。
【0047】
あるいは、異なる溶媒における結晶の溶解性の差を使用できる。例えば、非結晶化合物を、少なくとも1重量%の量で約30℃で溶解する高溶解性である良溶媒に溶解し、次に該溶液を、非常に難溶性である貧溶媒、例えば、多くて約0.01重量%の量で約30℃で溶解するものと混合できる。したがって、良溶媒中の化合物の溶液を、貧溶媒に、通常、約0℃以上の温度を維持しながら加えるか、または、貧溶媒を良溶媒中の化合物の溶液に、再び、通常、約0℃以上の温度を維持しながら加えることができる。良溶媒の例は、低級アルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール、ギ酸、酢酸またはアセトンを含んでもよい。貧溶媒の例は、例えば、水である。好ましくは、結晶化は約0℃から約40℃の範囲の温度で実施される。
【0048】
本発明方法の別の態様において、固体非結晶化合物を通常、少なくとも約0℃の温度で、この温度で不完全な溶解性、好ましくは非常に難溶性である溶媒に懸濁する。固体粒子が分散され、溶媒中で不完全な溶解を維持している懸濁液となる。好ましくは、固体を振動、例えば、振盪または撹拌により、懸濁液の状態に維持する。出発固体から結晶への変換を行なうため、懸濁液を通常、約0℃以上の温度に維持する。適当な溶媒に懸濁した非結晶固体化合物は溶媒和物、例えば、水和物、メタノレート、エタノレート、アセテートまたはホルメートであり得る。非結晶粉末は、溶媒和物を乾燥することにより生じ得る。
【0049】
便宜的には、結晶物質の“種晶”を、結晶化を誘導するため溶液に加えることができる。
【0050】
本発明の好ましい態様において、式I、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態は、高結晶化度を有する。結晶形態は、本明細書において、他の形態を多くても約0.5%(w/w)、例えば多くても約0.1%(w/w)で含むとき、“高結晶化度”を有する、または“結晶学的に純粋”であると定義する。したがって、例えば“結晶学的に純粋な形態AA”は、約0.5%(w/w)以下、例えば約0.1%(w/w)以下の形態BBおよび/または他の結晶形態を含む。非結晶形態の含有量において、“結晶学的に純粋な”形態は5%未満の非結晶形態または検出の限界未満の量(すなわち検出できない量)の非結晶形態を含む。
【0051】
下記実施例は、本発明の範囲を限定せずに説明する。温度は摂氏(℃)である。
【実施例】
【0052】
実施例
実施例1
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル
【化2】
適当な実験ガラス反応器に45.0gの出発2[4−(8−ブロモ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]2−メチル−プロピオニトリルを445mlのN,N−ジメチルホルムアミド中の2.25gのビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドと共に入れる。この混合物を95℃に加熱し、次に225mlのDMF、300mlのH2Oおよび60gのKHCO3の混合物中の22.2gの3−キノリンボロン酸の溶液を加える。この混合物を2時間95℃で加熱する。次に1080mlのH2Oを加える。生成物2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルが沈殿する。混合物を1.5時間以内で0−5℃に冷却する。この温度で2時間撹拌後、粗生成物を濾過し、300mlのH2Oで洗浄する。この生成物を60℃で18時間真空乾燥させ、粗生成物を得る。
【0053】
40gのこの粗生成物を200mlのギ酸に60℃で溶解する。8gの活性炭およびSmopex234を加える。混合物を60℃で1時間撹拌し、炭で濾過し、残渣を80mlのギ酸、次に175mlのギ酸で洗浄し、真空留去する。次に320mlのメタノールを加え、混合物を還流温度で3時間加熱する。精製された生成物が反応混合物から沈殿する。混合物を1時間以内に0−5℃に冷却し、次に2時間この温度で撹拌し、最後に濾過し、80mlの冷メタノールで洗浄する。この再結晶処理を再び繰り返す。最後に2回再結晶した物質を60℃で真空乾燥させ、精製した2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルを得る。
【0054】
実施例1a
5−ブロモ−2−(2−ニトロ−ビニルアミノ)−安息香酸
【化3】
H2O−HCl(37%)(10:1)中の25g(16mmol)の2−アミノ−5−ブロモ−安息香酸(Fluka, Buchs, Switzerland)の懸濁液を8時間撹拌し、次に濾過する(溶液A)。8.17g(255mmol)のニトロメタン(Fluka, Buchs, Switzerland)を35gの氷および15.3g(382mmol)のNaOHの氷浴で冷却した混合物に10分にわたって加える。1時間0℃および1時間室温で撹拌後、溶液を0℃で28gの氷および42mlのHCl(37%)(溶液B)に加える。溶液AおよびBを合わせ、反応混合物を18時間室温で撹拌する。黄色沈殿を濾取し、H2Oで洗浄し、40℃で真空乾燥させ、表題化合物を得る。ES−MS:287、289(M+H)+、Brパターン; 1H NMR (DMSO-d6): δ 13.7-14.6/br s (1H), 12.94/d (1H), 8.07/d (1H), 8.03/dd (1H), 7.83/dd (1H), 7.71/d (1H), 6.76/d (1H).
【0055】
実施例1b
6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−オール
【化4】
129ml(152mmol)の無水酢酸中の29g(101mmol)の5−ブロモ−2−(2−ニトロ−ビニルアミノ)−安息香酸(実施例1a)および11.9g(121mmol)の酢酸カリウムを1.5時間120℃で撹拌する。沈殿を濾取し、濾液が無色となるまで酢酸で洗浄し、次にH2Oで洗浄し、真空乾燥し、表題化合物を得る。ES−MS:269、271(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=2.70分(Grad1)。
【0056】
実施例1c
6−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−キノリン
【化5】
150ml(1.63mol)のPOCl3中の20g(74.3mmol)の6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−オール(実施例1b)を45分120℃で撹拌する。混合物を室温に冷却し、氷水にゆっくり注ぐ。沈殿を濾取し、氷水で洗浄し、CH2Cl2に溶解する。有機相を冷塩水で洗浄し、水相を廃棄する。MgSO4で乾燥後、有機溶媒を蒸発乾燥させ、表題化合物を得る。1H NMR (CDCl3): δ 9.20/s (1H), 8.54/d (1H), 8.04/d (1H), 7.96/dd (1H);分析HPLC:tret=4.32分(Grad1)。
【0057】
実施例1d
2−メチル−2−(4−ニトロ−フェニル)−プロピオニトリル
【化6】
125mLのCH2Cl2中の15g(92.5mmol)の(4−ニトロ−フェニル)−アセトニトリル(Fluka, Buchs, Switzerland)、1.64mg(5.09mmol)のテトラブチルアンモニウムブロマイド(Fluka, Buchs, Switzerland)および43.3g(305mmol)のヨードメタンに125mlの水中の10g(250mmol)のNaOHを加える。反応混合物を20時間室温で撹拌する。この後、有機層を分離し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させる。残渣をジエチルエーテルに溶解し、黒炭で30分処理し、セライトで濾過し、真空蒸発させ、表題化合物を薄い黄色固体として得る。分析HPLC:tret=3.60分(Grad1)。
【0058】
実施例1e
(2−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル
【化7】
16g(84.1mmol)の2−メチル−2−(4−ニトロ−フェニル)−プロピオニトリル(実施例1d)および4.16gのラネーニッケルを160mlのTHF−MeOH(1:1)中で1.1barのH2下で12時間室温で撹拌する。反応完了後、触媒を濾取し、濾液を蒸発乾燥させる。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 3:1から1:2)により精製し、表題化合物を油状物として得る。ES−MS:161(M+H)+;分析HPLC:tret=2.13分(Grad1)。
【0059】
実施例1f
2−[4−(6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化8】
18g(62.6mmol)の6−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−キノリン(実施例1c)および11g(68.9mmol)の(2−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1e)を350mlの酢酸に溶解し、2時間撹拌する。この後、水を加え、黄色沈殿を濾取し、H2Oで洗浄する。固体をEtOAc−THF(1:1)に溶解し、飽和水性NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。有機相を蒸発乾燥させ、表題化合物を黄色固体として得る。ES−MS:411、413(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.69分(Grad1)。
【0060】
実施例1g
2−[4−(3−アミノ−6−ブロモ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化9】
24g(58.4mmol)の2−[4−(6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1e)を300mlのMeOH−THF(1:1)中で1.1barのH2下で8.35gのラネーニッケルの存在下で1時間撹拌する。反応完了後、触媒を濾取し、濾液を蒸発乾燥させ、表題化合物を黄色泡状物として得る。ES−MS:381、383(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.21分(Grad1)。
【0061】
実施例1h
2−[4−(8−ブロモ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化10】
120mlのCH2Cl2中の5g(13.1mmol)の2−[4−(3−アミノ−6−ブロモ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1g)および1.59g(15.7mmol)のトリエチルアミンの溶液を40分にわたって80mlのCH2Cl2中の2.85g(14.4mmol)のクロロギ酸トリクロロメチル(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液に0℃で氷浴で加える。反応混合物を20分この温度で撹拌し、次に飽和水性NaHCO3でクエンチし、5分撹拌し、CH2Cl2で抽出する。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させ、粗表題化合物を褐色がかった固体として得る。ES−MS:407、409(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.05分(Grad1)。
【0062】
実施例1i
2−[4−(8−ブロモ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化11】
170mlのCH2Cl2中の3.45g(8.47mmol)の2−[4−(8−ブロモ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1h)、1.8g(12.7mmol)のヨードメタン(Fluka, Buchs, Switzerland)および273mg(0.847mmol)のテトラブチルアンモニウムブロマイド(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液に85mlのH2O中の508mg(12.7mmol)のNaOH(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液を加える。反応混合物を2日間撹拌し、5mlのH2O中の900mg(6.35mmol)のヨードメタンおよび254mg(6.35mmol)のNaOHを加える。反応混合物を1日室温で撹拌する。この後、反応をH2Oでクエンチし、CH2Cl2(2×)で抽出する。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させ、表題化合物をベージュ色固体として得る。ES−MS:421、423(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.15分(Grad1)。
【0063】
実施例2
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルp−トルエンスルホン酸塩
26.5gの2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルを55mlのギ酸と共にガラス反応器に入れる。この混合物を60℃に加熱し、透明な溶液とする。この溶液を浄化濾過し(clearfiltered)、36mlのギ酸で洗浄する。次に残りの溶液の容量が55mlになるまでギ酸を留去する。次に228mlのアセトン中の11.3gのp−トルエンスルホン酸の溶液を50℃で加え、次にさらに822mlのアセトンを30分以内に加える。塩が反応混合物から沈殿する。混合物を0℃に2時間以内に冷却し、この温度で3時間撹拌し、次に濾過し、84mlのアセトンで洗浄する。生成物を60℃で18時間真空乾燥させ、29.8g(82.4%)の2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルp−トルエンスルホン酸塩(結晶形態A)を得る。
本発明の結晶形態は、本発明の範囲を限定することなく説明する下記実施例にしたがって製造される。
【0064】
実施例3:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Aの製造
化合物Iの形態Aは下記方法で製造できる:241gの遊離塩基を2.4lの酢酸に50℃で溶解する。溶液を浄化濾過し、250mlの酢酸で洗浄し、次に50℃で7.2lの水を加える。遊離塩基の沈殿が始まる。混合物を1時間以内に25℃に冷却し、次に濾過し、10lのH2Oで洗浄する。次に遊離塩基を50℃で一晩真空乾燥し、204gの遊離塩基を得る。
【0065】
実施例4:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Bの製造
0.47gの遊離塩基(化合物I)を2mlのギ酸と共に反応器に入れる。混合物を60℃に加熱し、透明な溶液を得る。次に5.2mlのメタノールを加える。混合物を65℃で2時間加熱する。化合物Iの沈殿が始まる(ギ酸が対応するメチルエステルへこれらの条件下でエステル化される)。混合物を室温に冷却し、室温でさらに2時間撹拌する。次に沈殿を濾過し、2mlのメタノールで洗浄し、60℃で17時間真空乾燥し、化合物Iの形態Bを得る。
【0066】
実施例5:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの製造
化合物Iは、異なる溶媒で平衡後(約20mgのサンプルおよび0.5mlの溶媒を25℃で24時間の平衡時間でスラリー試験(撹拌しながら))、その多形形態を変化させる。メタノール、メタノール/水、DMF、エタノール、酢酸エチルおよびTHF中で、新規形態Cを観察することができる。
化合物I(0.94g)を14mlのエタノールに加え、62℃に加熱する。次に3mlのギ酸を加え、透明な溶液を得る。混合物を2時間62℃で撹拌し、遊離塩基の沈殿が始まる。混合物を室温に冷却し、室温で2.5時間撹拌し、次に濾取する。次に濾過ケーキを5mlの氷冷エタノールで洗浄し、次に60℃で一晩真空乾燥させ、化合物Iの形態Cを得る。
あるいは、化合物Iをギ酸に60℃で溶解し、完全に濾過し、次にメタノールを加える。2時間65℃で撹拌後、混合物を室温に冷却し、塩を濾過し、氷冷メタノールで洗浄し、化合物Iの形態Cを得る。
【0067】
実施例6:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Dの製造
化合物Iは、異なる溶媒で平衡後(約20mgのサンプルおよび0.5mlの溶媒を25℃で24時間の平衡時間でスラリー試験(撹拌しながら))、その多形形態を変化させる。溶媒としてイソプロパノール中で、新規形態Dを観察することができる。
【0068】
実施例7:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HAの製造
この化合物は、DMF溶液から室温でゆっくりした溶媒蒸発による結晶化後に得られる。
【0069】
実施例8:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Aの製造
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル(式Iの化合物)をギ酸に56℃で溶解し、得られた溶液を完全に濾過する。次に濾液を濃縮し、アセトン中のp−トルエンスルホン酸(1.05当量)の溶液を30分以内に加える。25%および50%の容量を加えた後、混合物に種晶を入れ、結晶化を開始させる。さらなる量のアセトンを加え、懸濁液を0℃に冷却する。結晶化した生成物(化合物Iの一トシル酸塩の形態A)を遠心により回収し、60℃で真空下で乾燥させる。
【0070】
実施例9:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Bの製造
実施例8にしたがって製造される形態Aの形態Bと呼ばれる他の結晶形態への相変換は、70℃以上の温度で観察することができる(これは、また、対応するDSCで検出することができる)。該変換はDSC試験により見出されるとおり可逆性である。形態Aおよび形態Bは互変的関係を有する。
【0071】
実施例10:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの製造
エタノール/アセトン(1:1)中の化合物Iの二トシル酸塩の飽和溶液は、25℃でゆっくりした溶媒蒸発試験に使用することができる。化合物1の一トシル酸塩一水和物(形態HA)の単結晶の構造を観察し、単結晶構造を計算することができた。
【0072】
実施例11:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの製造
25℃での水中の化合物Iの二トシル酸塩の平衡試験により(3日後)、単結晶の構造が観察された。結晶構造を決定でき、化合物Iの一トシル酸塩二水和物(形態HB)と計算された。
【0073】
実施例12:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの製造
化合物Iの一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SA)。適当な単結晶を50℃でアセトン/ギ酸(1:1(v/v))溶媒混合物中の化合物Iの一トシル酸塩の平衡にし、室温に冷却後に得る。この塩の化学量論は、1:1.7(化合物Iのp−トルエンスルホン酸塩/ギ酸)であると決定することができた。化学量論は1:1.7であると決定したが、溶媒和物分子が無秩序であるとき、それは1:2の化学量論が可能であると思われる。ギ酸が脱離する可能性のため、1:2未満の構造化学量論比率で観察される。
【0074】
実施例13:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態Aの製造
ギ酸中の化合物Iの溶液をp−トルエンスルホン酸(1.25当量)のアセトン溶液で処理したとき、化合物Iの二トシル酸塩が、一トシル酸塩を濾取した後、母液の結晶化から第2の生成物として単離できる。
該化合物Iの二トシル酸塩は0.4%(140℃まで)の最初の乾燥減量を有する。DSCデータは、約93J/gの融解エンタルピーで約262℃で融解することを示した。
【0075】
実施例14:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの製造
ジクロロメタン/メタノール(1:1(v/v))混合物中の化合物Iの二トシル酸塩の飽和溶液から、化合物Iの二トシル酸塩三水和物形態(変態HA)を観察することができ、そして単結晶が見出された。
【0076】
実施例15:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶の製造
非結晶物質を化合物Iの一トシル酸塩の噴霧乾燥により製造した。ガラス転移Tgは、DSCにより約128℃で観察した。約175℃で再結晶後、本物質は約65J/gの融解エンタルピーで約279℃で融解した。
【0077】
実施例16:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの製造
化合物Iの一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SC)。適当な単結晶を、化合物Iの一トシル酸塩を50℃でメチルイソブチルケトン/ギ酸(1:1(v/v))溶媒混合物中で平衡化し、室温に冷却後に得る。
【0078】
実施例17:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの製造
化合物Iの一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SC)。適当な単結晶を、化合物Iの一トシル酸塩を50℃でメチルイソブチルケトン/酢酸(1:1(v/v))溶媒混合物中で平衡化し、室温に冷却後に得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル(化合物I、下記参照)、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物および溶媒和物の特定の固体、好ましくは結晶または非結晶、とりわけ結晶形態、これらの製造法、これらの固体形態を含む医薬組成物、および、温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のためのこれらの使用、および、中間体としてのまたは温血動物、とりわけヒトの診断方法または、好ましくは、治療処置のための使用のための医薬品の製造のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、その脂質キナーゼ、例えば、PI3−キナーゼおよび/またはPI3−キナーゼ−関連タンパク質キナーゼファミリーメンバー(PIKKとも称され、DNA−PK、ATM、ATR、hSMG−1およびmTORを含む)、例えば、DNAタンパク質−キナーゼの活性の阻害;その製造;および、とりわけ抗腫瘍剤としてのその使用は、WO2006/122806に記載されている。該化合物は、その中で遊離形(例えば、実施例7参照)でおよび化学量論比1:1の4−トルエンスルホン酸塩として例示されている。2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの合成も、実施例の部において実施例1として記載されている。
【発明の概要】
【0003】
今回、驚くべきことに、ある条件下で2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物もしくは溶媒和物の特定の新規結晶形態を見ることができることが見出され、それは以下に記載し、そして有利な有用性および特性を有する。それらは、ある医薬特性において相当に異なり、そして薬物および薬剤開発に利用できる、例えば、薬物の溶解および/または製造/精製の容易な経路のための新規物理特性を示す。
【0004】
発明の詳細な説明
本発明を、図面およびその他を援用しながら、より詳細に記載する。
【0005】
本発明は、とりわけ、式I(化合物I)
【化1】
で示される2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルまたは式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の実質的に純粋な結晶形態に関する。
【0006】
図面の説明
下記X線図において、回折角2θが横軸(x軸)、強度(カウント)が縦軸(y軸)でプロットされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態A
【図2】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態B
【図3】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの模擬X線粉末パターン
【図4】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態D
【図5】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HA
【0008】
【図6】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態A
【図7】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態B
【図8】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図9】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図10】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【0009】
【図11】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態A
【図12】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図13】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態
【図14】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のラマンスペクトル
【図15】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のFT−IRスペクトル
【0010】
【図16】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【図17】2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
【0011】
図1 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態A
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する8.4°の回折角2θで観察される。7.9°および10.5°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、7.9°、8.4°、10.5°、10.9°、13.3°、17.9°、22.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ 0.020°、範囲 2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0012】
図2 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態B
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.9°の回折角2θで観察される。14.2°および17.7°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.9°、8.7°、10.1°、14.2°、17.7°、20.5°、21.1°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ 0.020°、範囲 2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0013】
図3 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの模擬X線粉末パターン
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する14.7°の回折角2θで観察される。11.4°および18.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.6°、11.4°、14.7°、15.6°、18.3°、18.6°、19.8°、22.7°、24.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0014】
図4 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態D
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する23.9°の回折角2θで観察される。20.6°および22.1°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、8.5°、19.9°、20.2°、20.6°、22.1°、23.9°、26.1°、27.2°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でSTOE Stadi P Combi装置で測定した;スリット4mm/2mm;カプトンホイル間の伝達;Monochrom:Curved Germanium(111)、放射1.54060Å、発電機:50kV、30mA、検出器:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;範囲1:2θ(最初、最後、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.00s/ステップ(全ての2θ値+/−0.3)。
【0015】
図5 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HA
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する17.6°の回折角2θで観察される。18.8°および22.5°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、6.9°、8.5°、9.2°、13.8°、17.6°、18.8°、22.5°、24.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、反射配置でBruker D8 Discover GADDSで測定した(全ての2θ値+/−0.3)。
【0016】
図6 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態A
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.7°の回折角2θで観察される。5.4°および17.2°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.4°、5.7°、16.4°、17.2°、18.3°、19.0°、22.0°、23.1°、23.4°、27.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Kα放射線源でScintag装置で測定した;ステップ0.020°、範囲2.00−40.00(Deg.)、一定のスキャン速度 0.50Deg/分(全ての2θ値+/−0.3)。
【0017】
図7 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態B
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.8°の回折角2θで観察される。17.8°および18.7°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.8°、16.4°、17.2°、17.8°、18.4°、18.7°、22.1°、22.7°、23.7°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でSTOE Stadi P Combi装置で測定した;スリット4mm/2mm;カプトンホイル間の伝達;Monochrom:Curved Germanium(111)、放射1.54060Å、発電機:50kV、30mA、検出器:Linear PSD/Moving/Fixed Omega;範囲1:2θ(最初、最後、ステップ)=2.000、39.980、0.020;390.00s/ステップ(全ての2θ値+/−0.3)。
【0018】
図8 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩一水和物の結晶学的データ:
【表1】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.5°の回折角2θで観察される。7.8°、19.6°、23.1°および26.2°で50%以上の相対強度を有するさらなる4つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.5°、7.8°、9.0°、11.4°、14.9°、19.3°、19.6°、23.1°、26.2°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0019】
図9 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩二水和物の結晶学的データ:
【表2】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する6.9°の回折角2θで観察される。19.5°および26.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、6.9°、10.2°、13.4°、13.8°、16.4°、16.9°、19.5°、21.1°、26.6°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0020】
図10 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩ギ酸溶媒和物の結晶学的データ:
【表3】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.8°の回折角2θで観察される。7.6°および20.9°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.8°、7.9°、11.7°、13.1°、13.6°、14.5°、17.3°、20.9°、22.6°、24.5°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0021】
図11 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態A
化合物Iの二トシル酸塩の結晶学的データ:
【表4】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する22.4°の回折角2θで観察される。21.5°および25.0°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、7.7°、15.8°、16.8°、18.6°、19.1°、21.5°、22.4°、25.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる。X線粉末データは、Cu Kα放射線源でBruker D8 Advance装置で測定した;ステップ0.017°、計測時間(Cnt. time)0.3s、範囲2.00−40.00(Deg.)、可変発散スリット12mm、VANTEC PSD検出器(全ての2θ値+/−0.3)。
【0022】
図12 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの二トシル酸塩三水和物の結晶学的データ:
【表5】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する4.7°の回折角2θで観察される。9.4°および12.6°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、4.7°、7.4°、8.4°、9.4°、12.6°、13.7°、14.7°、18.3°、20.8°、24.1°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0023】
図13 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態
X線粉末データは、Cu Kα放射線源でBruker D8 Advance装置で測定した;ステップ0.017°、計測時間0.3s、範囲2.00−40.00(Deg.)、可変発散スリット12mm、VANTEC PSD検出器。
【0024】
図14 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のラマンスペクトル
サンプルのラマンスペクトルは、1064nmのレーザー励振源(Bruker RFS 100)で分散ラマン分光計により測定した。スペクトルにおいて有意なバンドが波数(cm−1)で表れた。
【0025】
図15 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶形態のFT−IRスペクトル
サンプルの赤外線吸収スペクトルをFourier Transform Infrared Microscope(Bruker Vertex 70)を使用して得た。スペクトルにおいて有意なバンドが波数(cm−1)で表れた。
【0026】
図16 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩ギ酸溶媒和物一水和物の結晶学的データ:
【表6】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.6°の回折角2θで観察される。20.7°および22.2°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.6°、7.6°、12.9°、13.3°、14.3°、20.7°、22.2°、24.5°、25.2°、26.2°、29.3°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0027】
図17 2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの模擬X線粉末パターン(対応する単結晶構造から計算した)
化合物Iの一トシル酸塩酢酸溶媒和物の結晶学的データ:
【表7】
X線回折図の最も強い線は、100%の相対強度を有する5.7°の回折角2θで観察される。7.7°および22.3°で10%以上の相対強度を有するさらなる2つの線を観察した。より広くは、この形態は、5.7°、7.7°、12.7°、13.4°、14.3°、14.6°、20.1°、20.5°、20.7°、22.3°、23.7°、24.0°、24.2°、24.9°、26.0°の回折角2θでの回折ピークにより特徴付けられる(全ての2θ値+/−0.3)。
【0028】
“実質的に純粋”なる用語は、本発明の内容において、少なくとも90、好ましくは少なくとも95、そしてさらに好ましくは少なくとも99重量%の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶が本発明の特定の結晶形態で存在することを意味すると理解する。
【0029】
本発明による“固体形態”なる用語は、結晶形態および非結晶形態を含む。好ましい固体形態は結晶形態である。
【0030】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態が、実質的に1つの図に記載されているX線回折図を示すことを述べている文脈において、“実質的に”なる用語は、少なくとも該図に記載されている回折図中の主要な線、すなわち該図中の最も強い線と比較して相対線強度20%以上、とりわけ30%以上を有する線が存在しなければならないことを意味する。
【0031】
1つの好ましい態様において、式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態は、実質的に図の1つに記載されているX線回折図を示す。
【0032】
特に好ましいものは、実施例に記載されているとおりに得られる式Iの化合物、その水和物および溶媒和物、その塩ならびにその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態である。
【0033】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の異なる結晶形態を利用する有利な点の1つは、別個の結晶形態が結晶化において別個の不純物を包含しやすいこと、すなわち、結晶形態AAに包含される不純物が必ずしも、また、結晶形態BBまたは結晶形態CCに包含されないという事実である。言い換えると、同じ物質の別個の結晶形態を連続して製造することは、最後に得られる物質の純度を増加させる。さらに、別個の結晶形態は、別個の物理特性、例えば、融点、吸湿性、溶解性、流動特性または熱力学的安定性を示し、そして、したがって、別個の結晶形態は、ある使用または局面、例えば、薬物製造の工程におけるまたは錠剤、カプセル、軟膏または溶液のような異なる投与形態における中間体としての使用に対して最も適当な形態の選択を可能にする。
【0034】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態は、価値ある薬理学的特性を有し、そして、例えば、一般的に移植と関連して発症する、PI3キナーゼ酵素の活性が介在する状態、例えば、増殖性、炎症性またはアレルギー性状態または障害の処置において使用し得る。
【0035】
式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、非結晶または結晶、好ましくは結晶形態は、好ましくは、良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される増殖性疾患の処置において使用され得る。他の疾患は、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病およびバナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患を含む。
【0036】
本発明は、とりわけ、本明細書に記載されている該疾患の1つの処置におけるまたはその処置のための薬物の製造における2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Aに関する。
【0037】
本発明は、また、該疾患に罹患している温血動物の処置方法であって、関連疾患に対して有効である式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態の量、とりわけ抗増殖性効果を有する量をこのような処置を必要としている温血動物に投与する方法に関する。本発明は、さらに、ヒトまたは動物身体の処置、とりわけ増殖性疾患、例えば、良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病の処置のための医薬組成物の製造のための式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶の使用に関する。
【0038】
本明細書に記載されている式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態は、安定な医薬投与量剤形を製造するために利用できる。したがって、本発明は、また、一定量の、とりわけ本明細書に記載されている疾患の1つの予防または処置のための治療有効量の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態を、局所、経腸、例えば、経口または経直腸、または非経腸投与に対して適当であり、無機または有機の固体または液体であってよい薬学的に許容される担体と含む医薬品に関する。
【0039】
所望のとき、さらなる薬理学的に活性物質を含み得る本医薬品は、それ自体既知の方法、例えば、慣用の混合、造粒、被覆、溶解または凍結乾燥法の手段により製造され、そして約1%から100%、とりわけ約1%から約20%の活性物質を含む。
【0040】
本発明は、また、本発明の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と混合することを含む、医薬組成物の製剤法に関する。
【0041】
“医薬組成物”なる用語は、活性成分、担体を構成する薬学的に許容される賦形剤を含む製品、ならびに、何らかの2種以上の該成分の組合せ、複合体または集合体、または、1種以上の該成分の解離、または、1種以上の該成分の他のタイプの反応または相互作用により、直接的にまたは間接的に生じる全ての製品を含むことを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、活性成分、所望により、さらなる活性成分および薬学的に許容される賦形剤と混合することにより製造される全ての組成物を含む。
【0042】
“賦形剤”なる用語は、活性成分ではない医薬の成分、例えば、増量剤、希釈剤および担体を意味する。医薬組成物を製造するために有用な賦形剤は、好ましくは、一般的に、安全で、非毒性であり、そして生物学的にだけではなく他の点でも望ましくない点がなく、そして、動物使用、ならびにヒト医学的使用に対して許容される。本明細書および特許請求の範囲で使用される“薬学的に許容される賦形剤”は、1種以上のこのような賦形剤を含む。
【0043】
“治療有効量”は、疾患を処置または予防するために投与するとき、疾患のこのような処置または予防をもたらすために十分な化合物の量を意味する。“治療有効量”は、化合物、疾患およびその重症度ならびに処置される患者の年齢、体重などに依存して変化する。
【0044】
本発明は、また、式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体、好ましくは結晶形態の製造法に関する。結晶を形成する正確な条件は、現在、経験的に決定されており、実施例3から17に記載されている結晶化条件を含む、多くの方法が実際に適当である。
【0045】
結晶化誘導条件は、通常、適当な結晶化誘導溶媒、例えば、結晶化誘導溶媒、例えば、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたは水またはそれらの混合物の使用を含む。好都合には、非結晶化合物を、通常、少なくとも10℃の温度で溶媒に溶解する。該溶液は、溶媒に化合物の何らかの1種以上の非結晶形態およびその溶媒和物、例えば、水和物、メタノレート、エタノレート、イソプロパノレートまたはホルメートを溶解することにより製造できる。次に結晶は、溶液からの変換により形成でき、結晶化は約0℃から溶媒の沸点で実施する。溶解および結晶化を種々の慣用の方法によって実施できる。例えば、非結晶化合物を、高温で高溶解性であるが低温で非常に難溶性である溶媒または溶媒の混合物に溶解させることができる。高温で遊離塩基を溶解し、次に冷却することでも、所望の結晶を溶液から結晶化できる。冷却および再加熱工程は数回、例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも5回実施できる。冷却および再加熱温度は、例えば、少なくとも5℃、少なくとも10℃または少なくとも15℃である。冷却/加熱サイクルの低温は、例えば、15℃未満、10℃未満、5℃未満または0℃未満であってよく、一方、高温は、例えば、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃または少なくとも30℃であってよい。
【0046】
該化合物が、好ましくは、少なくとも1重量%の量で30℃で高溶解性である良溶媒、および、好ましくは多くて約0.01重量%の量で30℃で非常に難溶性である貧溶媒を含む混合溶媒もまた使用できるが、混合物からの結晶化は、通常、少なくとも約0℃の低温で、選択された溶媒混合物を使用して可能である。
【0047】
あるいは、異なる溶媒における結晶の溶解性の差を使用できる。例えば、非結晶化合物を、少なくとも1重量%の量で約30℃で溶解する高溶解性である良溶媒に溶解し、次に該溶液を、非常に難溶性である貧溶媒、例えば、多くて約0.01重量%の量で約30℃で溶解するものと混合できる。したがって、良溶媒中の化合物の溶液を、貧溶媒に、通常、約0℃以上の温度を維持しながら加えるか、または、貧溶媒を良溶媒中の化合物の溶液に、再び、通常、約0℃以上の温度を維持しながら加えることができる。良溶媒の例は、低級アルコール、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール、ギ酸、酢酸またはアセトンを含んでもよい。貧溶媒の例は、例えば、水である。好ましくは、結晶化は約0℃から約40℃の範囲の温度で実施される。
【0048】
本発明方法の別の態様において、固体非結晶化合物を通常、少なくとも約0℃の温度で、この温度で不完全な溶解性、好ましくは非常に難溶性である溶媒に懸濁する。固体粒子が分散され、溶媒中で不完全な溶解を維持している懸濁液となる。好ましくは、固体を振動、例えば、振盪または撹拌により、懸濁液の状態に維持する。出発固体から結晶への変換を行なうため、懸濁液を通常、約0℃以上の温度に維持する。適当な溶媒に懸濁した非結晶固体化合物は溶媒和物、例えば、水和物、メタノレート、エタノレート、アセテートまたはホルメートであり得る。非結晶粉末は、溶媒和物を乾燥することにより生じ得る。
【0049】
便宜的には、結晶物質の“種晶”を、結晶化を誘導するため溶液に加えることができる。
【0050】
本発明の好ましい態様において、式I、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態は、高結晶化度を有する。結晶形態は、本明細書において、他の形態を多くても約0.5%(w/w)、例えば多くても約0.1%(w/w)で含むとき、“高結晶化度”を有する、または“結晶学的に純粋”であると定義する。したがって、例えば“結晶学的に純粋な形態AA”は、約0.5%(w/w)以下、例えば約0.1%(w/w)以下の形態BBおよび/または他の結晶形態を含む。非結晶形態の含有量において、“結晶学的に純粋な”形態は5%未満の非結晶形態または検出の限界未満の量(すなわち検出できない量)の非結晶形態を含む。
【0051】
下記実施例は、本発明の範囲を限定せずに説明する。温度は摂氏(℃)である。
【実施例】
【0052】
実施例
実施例1
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル
【化2】
適当な実験ガラス反応器に45.0gの出発2[4−(8−ブロモ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]2−メチル−プロピオニトリルを445mlのN,N−ジメチルホルムアミド中の2.25gのビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロライドと共に入れる。この混合物を95℃に加熱し、次に225mlのDMF、300mlのH2Oおよび60gのKHCO3の混合物中の22.2gの3−キノリンボロン酸の溶液を加える。この混合物を2時間95℃で加熱する。次に1080mlのH2Oを加える。生成物2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルが沈殿する。混合物を1.5時間以内で0−5℃に冷却する。この温度で2時間撹拌後、粗生成物を濾過し、300mlのH2Oで洗浄する。この生成物を60℃で18時間真空乾燥させ、粗生成物を得る。
【0053】
40gのこの粗生成物を200mlのギ酸に60℃で溶解する。8gの活性炭およびSmopex234を加える。混合物を60℃で1時間撹拌し、炭で濾過し、残渣を80mlのギ酸、次に175mlのギ酸で洗浄し、真空留去する。次に320mlのメタノールを加え、混合物を還流温度で3時間加熱する。精製された生成物が反応混合物から沈殿する。混合物を1時間以内に0−5℃に冷却し、次に2時間この温度で撹拌し、最後に濾過し、80mlの冷メタノールで洗浄する。この再結晶処理を再び繰り返す。最後に2回再結晶した物質を60℃で真空乾燥させ、精製した2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルを得る。
【0054】
実施例1a
5−ブロモ−2−(2−ニトロ−ビニルアミノ)−安息香酸
【化3】
H2O−HCl(37%)(10:1)中の25g(16mmol)の2−アミノ−5−ブロモ−安息香酸(Fluka, Buchs, Switzerland)の懸濁液を8時間撹拌し、次に濾過する(溶液A)。8.17g(255mmol)のニトロメタン(Fluka, Buchs, Switzerland)を35gの氷および15.3g(382mmol)のNaOHの氷浴で冷却した混合物に10分にわたって加える。1時間0℃および1時間室温で撹拌後、溶液を0℃で28gの氷および42mlのHCl(37%)(溶液B)に加える。溶液AおよびBを合わせ、反応混合物を18時間室温で撹拌する。黄色沈殿を濾取し、H2Oで洗浄し、40℃で真空乾燥させ、表題化合物を得る。ES−MS:287、289(M+H)+、Brパターン; 1H NMR (DMSO-d6): δ 13.7-14.6/br s (1H), 12.94/d (1H), 8.07/d (1H), 8.03/dd (1H), 7.83/dd (1H), 7.71/d (1H), 6.76/d (1H).
【0055】
実施例1b
6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−オール
【化4】
129ml(152mmol)の無水酢酸中の29g(101mmol)の5−ブロモ−2−(2−ニトロ−ビニルアミノ)−安息香酸(実施例1a)および11.9g(121mmol)の酢酸カリウムを1.5時間120℃で撹拌する。沈殿を濾取し、濾液が無色となるまで酢酸で洗浄し、次にH2Oで洗浄し、真空乾燥し、表題化合物を得る。ES−MS:269、271(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=2.70分(Grad1)。
【0056】
実施例1c
6−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−キノリン
【化5】
150ml(1.63mol)のPOCl3中の20g(74.3mmol)の6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−オール(実施例1b)を45分120℃で撹拌する。混合物を室温に冷却し、氷水にゆっくり注ぐ。沈殿を濾取し、氷水で洗浄し、CH2Cl2に溶解する。有機相を冷塩水で洗浄し、水相を廃棄する。MgSO4で乾燥後、有機溶媒を蒸発乾燥させ、表題化合物を得る。1H NMR (CDCl3): δ 9.20/s (1H), 8.54/d (1H), 8.04/d (1H), 7.96/dd (1H);分析HPLC:tret=4.32分(Grad1)。
【0057】
実施例1d
2−メチル−2−(4−ニトロ−フェニル)−プロピオニトリル
【化6】
125mLのCH2Cl2中の15g(92.5mmol)の(4−ニトロ−フェニル)−アセトニトリル(Fluka, Buchs, Switzerland)、1.64mg(5.09mmol)のテトラブチルアンモニウムブロマイド(Fluka, Buchs, Switzerland)および43.3g(305mmol)のヨードメタンに125mlの水中の10g(250mmol)のNaOHを加える。反応混合物を20時間室温で撹拌する。この後、有機層を分離し、MgSO4で乾燥させ、蒸発乾燥させる。残渣をジエチルエーテルに溶解し、黒炭で30分処理し、セライトで濾過し、真空蒸発させ、表題化合物を薄い黄色固体として得る。分析HPLC:tret=3.60分(Grad1)。
【0058】
実施例1e
(2−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル
【化7】
16g(84.1mmol)の2−メチル−2−(4−ニトロ−フェニル)−プロピオニトリル(実施例1d)および4.16gのラネーニッケルを160mlのTHF−MeOH(1:1)中で1.1barのH2下で12時間室温で撹拌する。反応完了後、触媒を濾取し、濾液を蒸発乾燥させる。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 3:1から1:2)により精製し、表題化合物を油状物として得る。ES−MS:161(M+H)+;分析HPLC:tret=2.13分(Grad1)。
【0059】
実施例1f
2−[4−(6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化8】
18g(62.6mmol)の6−ブロモ−4−クロロ−3−ニトロ−キノリン(実施例1c)および11g(68.9mmol)の(2−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1e)を350mlの酢酸に溶解し、2時間撹拌する。この後、水を加え、黄色沈殿を濾取し、H2Oで洗浄する。固体をEtOAc−THF(1:1)に溶解し、飽和水性NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥させる。有機相を蒸発乾燥させ、表題化合物を黄色固体として得る。ES−MS:411、413(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.69分(Grad1)。
【0060】
実施例1g
2−[4−(3−アミノ−6−ブロモ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化9】
24g(58.4mmol)の2−[4−(6−ブロモ−3−ニトロ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1e)を300mlのMeOH−THF(1:1)中で1.1barのH2下で8.35gのラネーニッケルの存在下で1時間撹拌する。反応完了後、触媒を濾取し、濾液を蒸発乾燥させ、表題化合物を黄色泡状物として得る。ES−MS:381、383(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.21分(Grad1)。
【0061】
実施例1h
2−[4−(8−ブロモ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化10】
120mlのCH2Cl2中の5g(13.1mmol)の2−[4−(3−アミノ−6−ブロモ−キノリン−4−イルアミノ)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1g)および1.59g(15.7mmol)のトリエチルアミンの溶液を40分にわたって80mlのCH2Cl2中の2.85g(14.4mmol)のクロロギ酸トリクロロメチル(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液に0℃で氷浴で加える。反応混合物を20分この温度で撹拌し、次に飽和水性NaHCO3でクエンチし、5分撹拌し、CH2Cl2で抽出する。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させ、粗表題化合物を褐色がかった固体として得る。ES−MS:407、409(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.05分(Grad1)。
【0062】
実施例1i
2−[4−(8−ブロモ−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル
【化11】
170mlのCH2Cl2中の3.45g(8.47mmol)の2−[4−(8−ブロモ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−2−メチル−プロピオニトリル(実施例1h)、1.8g(12.7mmol)のヨードメタン(Fluka, Buchs, Switzerland)および273mg(0.847mmol)のテトラブチルアンモニウムブロマイド(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液に85mlのH2O中の508mg(12.7mmol)のNaOH(Fluka, Buchs, Switzerland)の溶液を加える。反応混合物を2日間撹拌し、5mlのH2O中の900mg(6.35mmol)のヨードメタンおよび254mg(6.35mmol)のNaOHを加える。反応混合物を1日室温で撹拌する。この後、反応をH2Oでクエンチし、CH2Cl2(2×)で抽出する。有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空蒸発させ、表題化合物をベージュ色固体として得る。ES−MS:421、423(M+H)+、Brパターン;分析HPLC:tret=3.15分(Grad1)。
【0063】
実施例2
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルp−トルエンスルホン酸塩
26.5gの2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルを55mlのギ酸と共にガラス反応器に入れる。この混合物を60℃に加熱し、透明な溶液とする。この溶液を浄化濾過し(clearfiltered)、36mlのギ酸で洗浄する。次に残りの溶液の容量が55mlになるまでギ酸を留去する。次に228mlのアセトン中の11.3gのp−トルエンスルホン酸の溶液を50℃で加え、次にさらに822mlのアセトンを30分以内に加える。塩が反応混合物から沈殿する。混合物を0℃に2時間以内に冷却し、この温度で3時間撹拌し、次に濾過し、84mlのアセトンで洗浄する。生成物を60℃で18時間真空乾燥させ、29.8g(82.4%)の2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]プロピオニトリルp−トルエンスルホン酸塩(結晶形態A)を得る。
本発明の結晶形態は、本発明の範囲を限定することなく説明する下記実施例にしたがって製造される。
【0064】
実施例3:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Aの製造
化合物Iの形態Aは下記方法で製造できる:241gの遊離塩基を2.4lの酢酸に50℃で溶解する。溶液を浄化濾過し、250mlの酢酸で洗浄し、次に50℃で7.2lの水を加える。遊離塩基の沈殿が始まる。混合物を1時間以内に25℃に冷却し、次に濾過し、10lのH2Oで洗浄する。次に遊離塩基を50℃で一晩真空乾燥し、204gの遊離塩基を得る。
【0065】
実施例4:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Bの製造
0.47gの遊離塩基(化合物I)を2mlのギ酸と共に反応器に入れる。混合物を60℃に加熱し、透明な溶液を得る。次に5.2mlのメタノールを加える。混合物を65℃で2時間加熱する。化合物Iの沈殿が始まる(ギ酸が対応するメチルエステルへこれらの条件下でエステル化される)。混合物を室温に冷却し、室温でさらに2時間撹拌する。次に沈殿を濾過し、2mlのメタノールで洗浄し、60℃で17時間真空乾燥し、化合物Iの形態Bを得る。
【0066】
実施例5:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Cの製造
化合物Iは、異なる溶媒で平衡後(約20mgのサンプルおよび0.5mlの溶媒を25℃で24時間の平衡時間でスラリー試験(撹拌しながら))、その多形形態を変化させる。メタノール、メタノール/水、DMF、エタノール、酢酸エチルおよびTHF中で、新規形態Cを観察することができる。
化合物I(0.94g)を14mlのエタノールに加え、62℃に加熱する。次に3mlのギ酸を加え、透明な溶液を得る。混合物を2時間62℃で撹拌し、遊離塩基の沈殿が始まる。混合物を室温に冷却し、室温で2.5時間撹拌し、次に濾取する。次に濾過ケーキを5mlの氷冷エタノールで洗浄し、次に60℃で一晩真空乾燥させ、化合物Iの形態Cを得る。
あるいは、化合物Iをギ酸に60℃で溶解し、完全に濾過し、次にメタノールを加える。2時間65℃で撹拌後、混合物を室温に冷却し、塩を濾過し、氷冷メタノールで洗浄し、化合物Iの形態Cを得る。
【0067】
実施例6:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリルの形態Dの製造
化合物Iは、異なる溶媒で平衡後(約20mgのサンプルおよび0.5mlの溶媒を25℃で24時間の平衡時間でスラリー試験(撹拌しながら))、その多形形態を変化させる。溶媒としてイソプロパノール中で、新規形態Dを観察することができる。
【0068】
実施例7:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一水和物の形態HAの製造
この化合物は、DMF溶液から室温でゆっくりした溶媒蒸発による結晶化後に得られる。
【0069】
実施例8:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Aの製造
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル(式Iの化合物)をギ酸に56℃で溶解し、得られた溶液を完全に濾過する。次に濾液を濃縮し、アセトン中のp−トルエンスルホン酸(1.05当量)の溶液を30分以内に加える。25%および50%の容量を加えた後、混合物に種晶を入れ、結晶化を開始させる。さらなる量のアセトンを加え、懸濁液を0℃に冷却する。結晶化した生成物(化合物Iの一トシル酸塩の形態A)を遠心により回収し、60℃で真空下で乾燥させる。
【0070】
実施例9:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の形態Bの製造
実施例8にしたがって製造される形態Aの形態Bと呼ばれる他の結晶形態への相変換は、70℃以上の温度で観察することができる(これは、また、対応するDSCで検出することができる)。該変換はDSC試験により見出されるとおり可逆性である。形態Aおよび形態Bは互変的関係を有する。
【0071】
実施例10:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩一水和物の形態HAの製造
エタノール/アセトン(1:1)中の化合物Iの二トシル酸塩の飽和溶液は、25℃でゆっくりした溶媒蒸発試験に使用することができる。化合物1の一トシル酸塩一水和物(形態HA)の単結晶の構造を観察し、単結晶構造を計算することができた。
【0072】
実施例11:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二水和物の形態HBの製造
25℃での水中の化合物Iの二トシル酸塩の平衡試験により(3日後)、単結晶の構造が観察された。結晶構造を決定でき、化合物Iの一トシル酸塩二水和物(形態HB)と計算された。
【0073】
実施例12:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の形態SAの製造
化合物Iの一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SA)。適当な単結晶を50℃でアセトン/ギ酸(1:1(v/v))溶媒混合物中の化合物Iの一トシル酸塩の平衡にし、室温に冷却後に得る。この塩の化学量論は、1:1.7(化合物Iのp−トルエンスルホン酸塩/ギ酸)であると決定することができた。化学量論は1:1.7であると決定したが、溶媒和物分子が無秩序であるとき、それは1:2の化学量論が可能であると思われる。ギ酸が脱離する可能性のため、1:2未満の構造化学量論比率で観察される。
【0074】
実施例13:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩の形態Aの製造
ギ酸中の化合物Iの溶液をp−トルエンスルホン酸(1.25当量)のアセトン溶液で処理したとき、化合物Iの二トシル酸塩が、一トシル酸塩を濾取した後、母液の結晶化から第2の生成物として単離できる。
該化合物Iの二トシル酸塩は0.4%(140℃まで)の最初の乾燥減量を有する。DSCデータは、約93J/gの融解エンタルピーで約262℃で融解することを示した。
【0075】
実施例14:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル二トシル酸塩三水和物の形態HAの製造
ジクロロメタン/メタノール(1:1(v/v))混合物中の化合物Iの二トシル酸塩の飽和溶液から、化合物Iの二トシル酸塩三水和物形態(変態HA)を観察することができ、そして単結晶が見出された。
【0076】
実施例15:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩の非結晶の製造
非結晶物質を化合物Iの一トシル酸塩の噴霧乾燥により製造した。ガラス転移Tgは、DSCにより約128℃で観察した。約175℃で再結晶後、本物質は約65J/gの融解エンタルピーで約279℃で融解した。
【0077】
実施例16:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の形態SCの製造
化合物Iの一トシル酸塩二ギ酸溶媒和物一水和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SC)。適当な単結晶を、化合物Iの一トシル酸塩を50℃でメチルイソブチルケトン/ギ酸(1:1(v/v))溶媒混合物中で平衡化し、室温に冷却後に得る。
【0078】
実施例17:
2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イル−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)−フェニル]−プロピオニトリル一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の形態SBの製造
化合物Iの一トシル酸塩二酢酸溶媒和物の単結晶構造をX線回折により決定した(変態SC)。適当な単結晶を、化合物Iの一トシル酸塩を50℃でメチルイソブチルケトン/酢酸(1:1(v/v))溶媒混合物中で平衡化し、室温に冷却後に得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
で示される化合物または式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態。
【請求項2】
結晶形態Aの請求項1に記載の化合物I。
【請求項3】
8.4°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
結晶形態Bの請求項1に記載の化合物I。
【請求項5】
6.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
結晶形態Cの請求項1に記載の化合物I。
【請求項7】
14.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
結晶形態Dの請求項1に記載の化合物I。
【請求項9】
23.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの一水和物。
【請求項11】
17.6°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
結晶形態の請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項13】
結晶形態Aの請求項12に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項14】
5.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
5.4°+/−0.3°;5.7°+/−0.3°および17.2°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12、13または14に記載の化合物。
【請求項16】
実質的に図6に示されるX線回折図を示す、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項17】
結晶形態Bの請求項12に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項18】
5.8°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12または17に記載の化合物。
【請求項19】
5.8°+/−0.3°;17.8°+/−0.3°および18.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12、17または18に記載の化合物。
【請求項20】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の一水和物。
【請求項21】
6.5°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
結晶形態HBの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二水和物。
【請求項23】
6.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
結晶形態SAの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二ギ酸溶媒和物。
【請求項25】
5.8°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
結晶形態の請求項1に記載の化合物Iの二トシル酸塩。
【請求項27】
結晶形態Aの請求項26に記載の化合物Iの二トシル酸塩。
【請求項28】
22.4°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項26または27に記載の化合物。
【請求項29】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの二トシル酸塩の三水和物。
【請求項30】
4.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物Iの非結晶一トシル酸塩。
【請求項32】
結晶形態SCの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二ギ酸溶媒和物の一水和物。
【請求項33】
5.6°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
結晶形態SBの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二酢酸溶媒和物。
【請求項35】
5.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
実質的に純粋な形態で存在する、請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物または式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態。
【請求項37】
請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態、および、所望により、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項38】
良性または悪性腫瘍、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される増殖性疾患、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病またはバナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患の処置のための薬剤の製造のための請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態の使用。
【請求項39】
処置を必要としている温血動物の良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される疾患、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病またはバナヤン・ゾナナ症候群またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患の処置方法であって、それぞれの疾患に対する治療有効量の請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態を動物に投与することを含む方法。
【請求項1】
式I
【化1】
で示される化合物または式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態。
【請求項2】
結晶形態Aの請求項1に記載の化合物I。
【請求項3】
8.4°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
結晶形態Bの請求項1に記載の化合物I。
【請求項5】
6.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
結晶形態Cの請求項1に記載の化合物I。
【請求項7】
14.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
結晶形態Dの請求項1に記載の化合物I。
【請求項9】
23.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの一水和物。
【請求項11】
17.6°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
結晶形態の請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項13】
結晶形態Aの請求項12に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項14】
5.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項15】
5.4°+/−0.3°;5.7°+/−0.3°および17.2°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12、13または14に記載の化合物。
【請求項16】
実質的に図6に示されるX線回折図を示す、請求項12または13に記載の化合物。
【請求項17】
結晶形態Bの請求項12に記載の化合物Iの一トシル酸塩。
【請求項18】
5.8°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12または17に記載の化合物。
【請求項19】
5.8°+/−0.3°;17.8°+/−0.3°および18.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項12、17または18に記載の化合物。
【請求項20】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の一水和物。
【請求項21】
6.5°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
結晶形態HBの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二水和物。
【請求項23】
6.9°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
結晶形態SAの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二ギ酸溶媒和物。
【請求項25】
5.8°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
結晶形態の請求項1に記載の化合物Iの二トシル酸塩。
【請求項27】
結晶形態Aの請求項26に記載の化合物Iの二トシル酸塩。
【請求項28】
22.4°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項26または27に記載の化合物。
【請求項29】
結晶形態HAの請求項1に記載の化合物Iの二トシル酸塩の三水和物。
【請求項30】
4.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物Iの非結晶一トシル酸塩。
【請求項32】
結晶形態SCの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二ギ酸溶媒和物の一水和物。
【請求項33】
5.6°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
結晶形態SBの請求項1に記載の化合物Iの一トシル酸塩の二酢酸溶媒和物。
【請求項35】
5.7°+/−0.3°の回折角2θでX線回折ピークを示す、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
実質的に純粋な形態で存在する、請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物または式Iの化合物の水和物もしくは溶媒和物または式Iの化合物の塩または式Iの化合物の塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態。
【請求項37】
請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態、および、所望により、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項38】
良性または悪性腫瘍、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される増殖性疾患、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病またはバナヤン・ゾナナ症候群(Bannayan-Zonana syndrome)またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患の処置のための薬剤の製造のための請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩およびその塩の水和物もしくは溶媒和物の固体形態の使用。
【請求項39】
処置を必要としている温血動物の良性または悪性腫瘍、脳、腎臓、肝臓、副腎、膀胱、乳房、胃の癌腫、胃の腫瘍、卵巣、大腸、直腸、前立腺、膵臓、肺、膣または甲状腺の癌腫、肉腫、グリア芽腫、多発性骨髄腫または消化器癌、とりわけ大腸癌腫または結腸直腸線腫または頭頸部の腫瘍、表皮過形成、乾癬、前立腺過形成、腫瘍形成、上皮性腫瘍形成、リンパ腫、乳癌腫または白血病から選択される疾患、カウデン症候群、レルミット・デュクロ病またはバナヤン・ゾナナ症候群またはPI3K/PKB経路が異常に活性化された疾患の処置方法であって、それぞれの疾患に対する治療有効量の請求項1から35のいずれかに記載の式Iの化合物、その水和物もしくは溶媒和物、その塩またはその塩の水和物もしくは溶媒和物の結晶形態を動物に投与することを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2010−510240(P2010−510240A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537381(P2009−537381)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/084893
【国際公開番号】WO2008/064093
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/084893
【国際公開番号】WO2008/064093
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]