説明

2つの骨又は2つの骨片の間の吸収性髄内インプラント

本発明は2つの骨又は2つの骨片の間の吸収性髄内インプラントに関する。インプラントは、実質的に長い形状で、各端部に問題とされる骨部に対して固定する領域を有する単体のボディ(1)を含み、一方の前記領域(A1)が円柱状の横断面を有し、他方の前記領域(A2)が平坦な横断面を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、整形外科インプラントであって、特に関節固定及び骨接合の技術分野に関する。より詳細には、この発明は、2つの骨の部分の間を関節固定し又は2つの骨片の間の骨接合をするための髄内インプラントであって、特に手又は足の症例に関する。
【背景技術】
【0002】
これら機能を実現するために様々な解決手段が提案されている。
【0003】
例えば、1つの解決手段は、本出願人がその保有者でもあるフランス国特許出願2.884.406に記載されて開示されている。この特許は、長い形状のボディを備えてなり、その両端部が骨の部分に係合して固定する固定領域を構成する髄内骨接合具を記載している。固定領域は、骨の部分に導入され、いかなる回転方向の動きをも制止し、引張りに耐え、圧縮力を維持して前記骨の部分を固定し得るように形成され、選択される材料で作られる。
【0004】
もう1つの解決手段は、同じく本出願人に所属するフランス国特許出願07.02003に開示されている。この文献は、中央領域で接続される2つの固定領域の形式のインプラントであって、全体にわたる形状が非常に長い四角形で実質的に囲まれるとともに、固定領域では、弾性作用又は形状記憶作用により圧縮して離間し得る2つの舌部を構成するように実質的にX字状を有するものを記載している。
【0005】
この設計を基礎として、インプラントの装着を容易にし、そして骨接合又は関節固定部の一次及び二次の安定性を得るために効果的な様々な基準が確立されている。
【0006】
しかしながら、これらの解決手段は、吸収性材料からなるインプラントの場合には適していない。
【0007】
この先行技術を基礎として、本発明の1つの目的は、前記インプラントが吸収性材料で作られる場合において、インプラントの固定性及び安定性、そしてインプラント部位の形態上の適合性を改善することである。
【発明の概要】
【0008】
このような目的を果たすために、2つの骨又は2つの骨片の間の吸収性髄内インプラントであって、既知の態様で全体にわたり長い形状の単体のボディを備え、その各端部に、問題とされる骨の部分を固定するための領域を有するインプラントが設計及び開発された。この発明によれば、一方の前記領域が円柱状の横断面を有し、他方の領域が平坦な横断面を有している。
【0009】
有利なことには、インプラントは、要求される骨緻密化時間を保持するためにその機械的特性が決定された吸収性材料で作られ、それによりインプラントが6箇月を超えて吸収性を有する。例えば、インプラントは、乳酸の重合体又は共重合体(PLA、PGAなど)からなる。
【0010】
吸収性材料の特有の機械的特性を考慮し、そして固定性及び安定性を改善するという関連する目的を果たすために、円柱状の横断面を有する前記領域がねじ部とされ、その自由端に向けて横断面が小さくなる円錐形を有している。
【0011】
弾性的な変形を許容し、それにより部位の幾何学系及び材料の特性に適合した伸長を生じさせるという関連する目的を果たすために、平坦な横断面を有する前記他方の領域が、実質的に中央の部分において、弾性的に当該領域を変形させることを可能にする開口部を有している。
【0012】
それゆえに、円柱状及びねじ部とされる固定領域と平坦な横断面を有する固定用の領域との組み合わせが、当該目的を果たすことに鑑みて特に有利であることは明らかである。
【0013】
骨体に生じ易いせん断及び曲げ応力に対し耐え得るという関連する目的を果たすために、2つの固定用の領域の間において前記ボディは、骨体に生じるせん断及び曲げ応力に対する耐性があり、そしてストッパとして機能することができる中央遷移領域を有する。
【0014】
インプラントのこの基本的な設計を基礎として、固定用の領域が同軸上の配列において構成されるか、又は固定用の領域が約1°から30°程度、好適には10°で角度的に変位している。固定用の領域の間の折れ線が、問題とされる骨の関節固定線に対し実質的に一致するように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】インプラントの斜視図である。
【図2】問題とされる骨の部分が導入される前のインプラントの前面図である。
【図3】図2に対応する側面図である。
【図4】導入された後において平坦部の固定用の舌部の位置を示す、図2に類似する図である。
【図5】インプラントのもう1つの有利な実施の形態の斜視図である。
【図6】2つの骨の部分におけるインプラントの配置を示す図である。
【図7】2つの骨の部分におけるインプラントの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、添付された図面の図の助けと共に下記においてより詳細に説明される。
本発明によるインプラントは、いわゆる近位の第1の領域(A1)と、いわゆる遠位の第2の領域(A2)を有する長い形状の単体のボディ(1)を備えている。インプラントのボディ全体は吸収性材料から作られ、6箇月以上のタイムフレームにわたってインプラントが吸収されるように、その機械的特性が決定される。1つの代表的な実施の形態において、インプラントは、乳酸の重合体又は共重合体(PLA、PGAなど)から構成される。
【0017】
残りの説明で示されるように、領域(A1)と(A2)とは、対応する骨の部分を固定するための構成を有している。吸収性材料の特有の性質を考慮し、そして固定性及び安定性の関連する目的を果たすために、領域(A1)が円柱状の横断面を有し、他方の領域(A2)が平坦な横断面を有している。
【0018】
領域(A1)は、自由端の方向において縮小する円錐形を有している円柱状のスパン(1a)を備えてなる。スパン(1a)は、ねじ部(1a1)として機能する螺旋リブを有している。
【0019】
平坦な横断面を有する領域(A2)は、実質的に中央の部分において、前記領域(A2)の弾性による変形を許容し得る開口部(1b)を有している。とりわけ、開口部(1b)は、それぞれが少なくとも1つの切り欠き(1c1)、(1d1)を有する少なくとも2つの固定用の舌部(1c)と(1d)との境界を画している。
【0020】
有利なことには、2つの固定用の領域(A1)と(A2)との間において、ボディは、骨体に生じ易いせん断及び曲げ応力に対し耐え得る中央遷移領域(C)を有している。全く限定されない説明によれば、インプラントの長さが15及び25mm程度、領域(A1)における直径が2又は3mm程度に対して、この中央領域(C)では、厚さが約2mmで幅が約3.5mmとすることができる。
【0021】
図1に示される実施形態においては、固定用の領域(A1)と(A2)が同軸上の配列において構成されている。
【0022】
インプラント部位の形態上の適合性の目的を果たすために、骨の部位の幾何学系に適合する角度αで、固定用の領域(A1)と(A2)とが角度的に変位してもよい。この角度αは1°及び30°程度の間であり、そして好適には、インプラントが足の関節固定の場合において10°のオーダーである(図5)。
【0023】
この実施形態においては、2つの固定用の領域が角度的に変位しており、その折れ線が問題とされる骨の関節固定線に対し実質的に一致するように配置されている。
【0024】
ここで、2つの骨の部分(01)と(02)との間の本発明によるインプラントの位置を略して示す図6と図7が参照される。研磨式の器具を用いて骨に適当な凹部を作り出した後、オペレータは、問題とされる骨へのインプラントの過度の挿入を防ぐストッパとして機能する実質的に中央領域(C)まで、問題とされる骨の部分(01)にねじ部(1a)をねじ込む(図6)。そして、オペレータは、弾性的にクランプされる領域(A2)の固定用の舌部(1d)及び(1c)に、第2の骨の部分(A2)を嵌め込む(図7)。
【0025】
よって作業処置は、以下の通りとすることができる:
‐ 適当な従来のドリルを用いて2つの孔をあける穿孔、
‐ 平坦側のための研磨による凹部の準備と、円柱側の内ねじ部を供するためのタップの準備、
‐ 把持用の先頭部を有するねじ回しの使用、
‐ 概ねP1において足のIPP関節固定のための円柱状側のねじ込み、
‐ インプラントの平坦側への骨の嵌め込み。
【0026】
有利性はこの説明から容易に理解できるが、特に強調されそして思い起こすべきことは、2つの固定用の領域(A1)と(A2)との組み合わせであって、各々円柱状の横断面と平坦な横断面とを有し、骨体の幾何学系及び材料、換言すると吸収性材料の特性に適合する固定性と安定性を顕著に改善することである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの骨又は2つの骨片の間の吸収性髄内インプラントであって、
各端部に問題とされる骨の部分に対して固定する領域を有する全体にわたり長い形状の単体のボディ(1)を備え、
一方の前記領域(A1)が円柱状の横断面を有し、他方の前記領域(A2)が平坦な横断面を有していることを特徴とするインプラント。
【請求項2】
円柱状の横断面を有する前記領域(A1)にねじ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記領域(A1)は、その自由端の方向において断面が縮小する円錐形を有していることを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記領域(A2)は、実質的に中央の部分において、弾性的に当該領域を変形させることを可能にする開口部(1b)を有していることを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記開口部(1b)は、少なくとも2つの固定用の舌部(1c)と(1d)との境界を画していることを特徴とする請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記ボディは、前記2つの固定用の領域(A1)と(A2)の間において、前記骨に生じるせん断及び曲げ応力に対する耐性があり、そしてストッパとして機能することができる中央遷移領域(C)を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載のインプラント。
【請求項7】
前記固定用の領域(A1)と(A2)が同軸上の配列において構成されることを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載のインプラント。
【請求項8】
前記固定用の領域(A1)と(A2)が角度的に変位していることを特徴とする請求項1から6の何れか1つに記載のインプラント。
【請求項9】
前記固定用の領域(A1)と(A2)が1°及び30°程度、好適には10°の角度で変位していることを特徴とする請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記固定領域間の折れ線が、問題とされる骨の関節固定線に対し実質的に一致するように配置されていることを特徴とする請求項8又は9に記載のインプラント。
【請求項11】
吸収性があり、かつ、弾性的な曲げ変形が可能な材料で作られることを特徴とする請求項1から10の何れか1つに記載のインプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501773(P2012−501773A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526540(P2011−526540)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051658
【国際公開番号】WO2010/029246
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(507340083)メモメタル・テクノロジーズ (6)
【Fターム(参考)】