説明

2世帯用インターホン装置

【課題】 来訪者により呼び出された世帯ではない他方の世帯が応答しても、来訪者に対してメッセージの録音を促すことなく、確実にメッセージを呼び出された世帯の居住者に伝えることができる2世帯用インターホン用装置を提供する。
【解決手段】 転送モードに設定された第1居室親機が呼び出しを受けた(S1)ら、第1居室親機の制御部は、第2居室親機へ呼び出しを転送(S2)すると共に、第1玄関子機から受信した映像信号(S3)も転送する(S4)。同時に、呼出操作を受けて撮像された来訪者映像を自身の録音・録画部に録画し、第1玄関子機と第2居室親機との間で通話が成されたら(S7)、それを検出して映像を録画している録音・録画部に録音も併せて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2世帯型住戸に設置する2世帯用インターホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2世帯型住戸専用に構成された2世帯用インターホン装置がある。これは、居住者を呼び出すための玄関子機と、この玄関子機からの呼び出しに応答するための居室親機の組を2組備え、双方の親機間で通信が可能に構成され、留守である一方の居室親機が呼び出されたときに他方の居室親機を呼び出すことができるよう構成されている。
例えば、特許文献1に記載された2世帯用インターホン装置では、呼び出しのための呼出信号及び通話を成立させるための音声信号の伝送路の切り替えを、制御機を介して行い、2世帯用住宅を構成する各住戸のうち何れか一方の住戸に居住者が在宅であれば、呼び出しに応答することができるよう構成されている。これにより、住戸内に居住者が在宅しているにも拘らず応答が無く留守であると判断されてしまうのを防止できた。
【0003】
一方で、通常のインターホン装置の中に留守時に訪問者があった場合にメッセージを残すことができるよう構成されたものがある。たとえば特許文献2では、留守時に親機が呼び出されたときに、メッセージを受け付ける旨の音声が流れ、この通知を受けて来訪者により入力されたメッセージが録音されるよう構成されている。
【0004】
【特許文献1】特願平11−103354号公報
【特許文献2】特開2002−271781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2世帯用インターホン装置では、上述したように転送することで、不在であっても来訪者に対して応答することができた。しかし、折角他世帯側の居住者が代理応答しても、応答した居住者が来訪者が誰であったか、更にはメッセージ内容を忘れてしまう場合があり、転送操作しても意味がない場合があった。
そこで、上記特許文献2に記載されているようなメッセージ録音機能を設ければ、応答した居住者がメッセージを忘れても、録音を再生することで帰ってきた居住者はメッセージを正確に知ることができることが考えられる。ところが、転送機能を生かしつつ特許文献2に開示されている技術を適用してメッセージを録音する機能を設けても、応答した居住者が伝言があるか否かを来訪者に促して録音することになり、来訪者にとっては、通話している他方の住戸の居住者に伝えておけば足り得るメッセージを、改めて録音する際に喋らなければならず、来訪者に不快感を与える虞があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、来訪者により呼び出された世帯ではない他方の世帯が応答しても、来訪者に対してメッセージの録音を促すことなく、確実にメッセージを呼び出された世帯の居住者に伝えることができる2世帯用インターホン用装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、2世帯型住戸に設置されて第1世帯を呼び出すための第1玄関子機と、第2世帯を呼び出すための第2玄関子機と、第1世帯の居住者が呼び出しに応答するための第1居室親機と、第2世帯の居住者が呼び出しに応答するための第2居室親機とを備えた2世帯用インターホン装置であって、第1及び第2玄関子機は、来訪者を撮像するための映像撮像部を夫々有する一方、第1及び第2居室親機は、撮像映像を出画する表示部、音声と共に映像を記録する録音・録画部、自世帯の玄関子機からの呼び出しを他世帯の居室親機へ転送させる転送モード設定部、呼び出し及び映像を制御する制御部を備えて、転送モードに設定された一方の居室親機が呼び出しを受けたら、一方の居室親機の制御部は他方の居室親機へ呼び出し及び映像撮像部の撮像映像を転送すると共に、転送された他方の居室親機の制御部は、呼び出しを報知すると共に転送された映像を表示部に出画制御し、更に一方の居室親機の制御部、他方の居室親機の制御部の何れか一方は、撮像映像を自身の録音・録画部に録画制御すると共に、一方の住戸の玄関子機と他方の住戸の居室親機との間で通話が成されたら、それを映像録画している録音・録画部に録音も併せて行うことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、玄関子機からの呼び出しが他世帯の居室親機に転送され、他世帯の居室親機で応答が成された場合に、その通話の内容が自世帯或いは他世帯の何れかの居室親機に来訪者映像と共に記憶される。そのため、帰宅した自世帯の居住者は、その記録内容を再生することで、他世帯の居住者へ問い合わせすることなく来訪者の映像に加えて会話内容を認識することができる。よって、来訪者の訪問目的等を確実に把握することができ、来訪者にメッセージの録音を促す必要が無くなり、来訪者に不快感を与えることがないし、応答した他世帯の居住者も、通話内容を記憶或いは記録しておく必要がなく気軽に応答できる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、第1及び第2居室親機の制御部は、自世帯の玄関子機との間で成された通話に対しても録音・録画部に録音・録画が可能であって、録音・録画部に新たな録音・録画が成された場合にそれを報知する録音・録画報知手段を有し、制御部は、転送モードで成された録音・録画と、自世帯の玄関子機との間で成された通話の録音・録画とで録音・録画報知手段の報知形態が異なるよう制御することを特徴とする。
この構成によれば、転送モードでの録音・録画がある場合はそれを容易に認識でき、留守にしていた時に来訪者があったことを把握し易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、玄関子機からの呼び出しが他世帯の居室親機に転送され、他世帯の居室親機で応答が成された場合に、その通話の内容が自世帯或いは他世帯の何れかの居室親機に来訪者映像と共に記憶される。そのため、帰宅した自世帯の居住者は、その記録内容を再生することで、他世帯の居住者へ問い合わせすることなく来訪者の映像に加えて会話内容を認識することができる。よって、来訪者の訪問目的等を確実に把握することができ、来訪者にメッセージの録音を促す必要が無くなり、来訪者に不快感を与えることがないし、応答した他世帯の居住者も、通話内容を記憶或いは記録しておく必要がなく気軽に応答できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る2世帯用インターホン装置の構成図であり、世帯A(第1世帯)と世帯B(第2世帯)の各々の住戸玄関に設置され、来訪者が居住者を呼び出すための第1玄関子機1a及び第2玄関子機1bと、世帯A及び世帯Bの各々の住戸内に設置され、個別の伝送路(以下、子機/親機ラインという。)L1a、L1bを介して接続されて、呼び出しに応答するための第1居室親機2a及び第2居室親機2bとを有している。第1居室親機2aと第2居室親機2bとは伝送路(以下、世帯間ラインという。)L2を介して互いに接続されている。
【0012】
第1玄関子機1a及び第2玄関子機1bは同一の構成の玄関子機1であり、説明の都合上a,bの符号で分けている。玄関子機1は、居住者を呼び出して通話するための呼出操作部11、来訪者を撮像するための映像撮像部12、マイク13及びスピーカ14から成る通話部が備えられている。映像撮像部12は、呼出操作を行った来訪者の映像や住戸玄関の周囲近傍の映像(監視映像を含む。)を撮像し、例えばCCD、CMOS等の各種のカメラ媒体にて構成されている。
【0013】
第1居室親機2a及び第2居室親機2bは同一の構成の居室親機2であり、説明の都合上a,bの符号で分けている。居室親機2は、設定・操作部21、発報部22、音声入力部23、表示部24、親機通話部25等を備えている。設定・操作部21は、各種設定操作を行うための部位であり、押圧ボタンや表示部24の前面に配置されるタッチパネルで構成されている。玄関子機1からの呼び出しを他世帯の居室親機に呼出転送させる転送モード設定を行ったり、玄関子機1からの呼び出し、又は呼出転送による他世帯の玄関子機1からの呼び出しに応答するための操作を行う所謂通話ボタンもこの中に含まれている。
【0014】
発報部22は、スピーカ(図2に示す)28で構成され、玄関子機1からの居室親機呼び出しが成された場合に、呼出音や音声メッセージ等を音響出力すると共に、呼出転送による他世帯の玄関子機1からの居室親機呼び出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を音響出力する。更には他世帯の居住者による伝言メッセージを音響出力する。
また音声入力部23は、マイク27(図2に示す)で構成され、玄関子機1と通話するためのものである。
【0015】
表示部24は、LCDで構成され、自世帯又は他世帯の玄関子機1の映像撮像部12にて撮像された映像を出画するためのものである。また、玄関子機1からの呼び出しを表示したり、呼出転送先である他世帯の居住者が応答して通話を終了させた後、録音・録画がなされたことを表示する。
尚、この表示部24は、LCD以外に、LCD、TFT、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の出画・表示媒体にて構成できるし、出画表示機能のみならず、玄関子機1からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ、更には呼出転送による他世帯の玄関子機1からの呼び出しがある旨の呼出メッセージや絵データ等を表示する機能も備えている。
【0016】
親機通話部25は、マイク27及びスピーカ28(図2に示す)で構成され、自世帯の玄関子機1からの呼び出しに応答した居住者が、来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力すると共に、呼出転送による他世帯の玄関子機1からの呼び出しに応答した居住者が来訪者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力する。尚、親機通話部25としては、マイク27及びスピーカ28に限定されるものではなく、例えば、居住者による応答操作として取り上げられ、音声(送話音声、受話音声)を入出力することができるハンドセット(図示せず。)も好適とされる。
【0017】
図2は居室親機2の回路ブロック図であり、内部構成は以下のようである。上述した設定・操作部21、表示部24、親機通話部25を構成するマイク27及びスピーカ28に加えて、録音・録画部29、分配変換部30、居室親機全体を制御する制御部31、玄関子機1と通信するためのインターフェース(以下、子機接続用IFという。)32、他世帯の居室親機2と通信するためのインターフェース(以下、他親機接続用IFという。)33が備えられている。尚、マイク27は音声入力部23を兼ねているし、スピーカ28は発報部22を兼ねている。
【0018】
録音・録画部29は、玄関子機1、他世帯の居室親機2のマイク27にて入力された通話内容を自世帯又は他世帯の居室親機2で録音し、自世帯の居室親機2のスピーカ28から再生(音響出力)するためのものであり、例えば、RAM、EEPROM等の各種の記憶媒体にて構成されている。
【0019】
分配変換部30は、玄関子機1の映像撮像部12にて撮像された映像信号を自身の表示部24へ伝送する信号伝送路と、他世帯の居室親機2の表示部24へ伝送する信号伝送路との切り替えを行い、自身に接続されている玄関子機1のマイク13及びスピーカ14と親機通話部25との間の信号伝送路と、玄関子機1のマイク13及びスピーカ14と他世帯の居室親機2の親機通話部25との間の信号伝送路とを切り替えて音声信号の送受信を行うためのものある。
【0020】
制御部31は、具体的に設定・操作部21の使用による設定・操作を検出すると共に、表示部24、録音・録画部29及び分配変換部30をそれぞれ制御するし、玄関子機1からの呼び出しがある旨の報知(呼出報知)制御等も行い、呼び出しはスピーカ28で報音され、表示部24に表示される。
【0021】
子機接続用IF32は、分配変換部及30と子機/親機ラインL1の間で送受信される各種信号の信号伝送路、制御部31と子機/親機ラインL1の間で送受信される各種信号の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。また、他親機接続用IF33は、自親機2と他親機2の間(第1居室親機2aと第2居室親機2bの間)で送受信される各種信号の信号伝送路、双方の制御部31、31間で送受信される各種信号の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0022】
次に、上記構成の2世帯用インターホン装置の具体的な動作を説明する。ただし、玄関子機からの呼び出しに対して子機/親機ラインL1で接続された自世帯親機である居室親機2により応答し通話する動作、更には、呼出時或いは通話時に録音・録画できる機能は従来と同様であるため説明を省略し、以下転送モードにおける動作について詳しく説明する。
ここでは、世帯Aを自世帯、世帯Bを他世帯とし、世帯Aの居住者が外出等で留守にする等の理由で、来訪者が第1玄関子機1aを使用して自世帯(世帯A)の呼び出しが成された場合に、他世帯(世帯B)の第2居室親機2bに呼出転送させる転送モードに設定された場合の動作を説明する。図3はこの転送モード状態での信号の流れを示すシーケンス図であり、以下この図を基に説明する。
まず、転送動作するにあたり、その前提として第1居室親機2aの設定・操作部21にて所定の操作で転送モード設定が成される。この設定は制御部31にて検出され、第1居室親機2aは転送モード状態となる。
【0023】
こうして転送モード設定が行われた後、世帯Aの玄関へ訪れた訪問者が第1玄関子機1aの呼出操作部11を操作すると、子機/親機ラインL1aを介して第1居室親機2aの制御部31に呼出信号が伝送される(S1)。制御部31は、この呼出信号を受信して、来訪者による自世帯に呼び出しがあることを検出し、この呼び出しを世帯Bの第2居室親機2bへ呼出転送させるための呼出転送信号を生成すると共に、分配変換部30を制御して、子機接続用IF32及び他親機接続用IF33の間の信号伝送路を形成する。同時に、第1玄関子機1aの映像撮像部12を能動として呼出操作を行った来訪者の映像や、世帯Aの住戸玄関の周囲の映像の撮像を開始させ、第1玄関子機1aのマイク13から子機/親機ラインL1aへの信号伝送路を形成する。
【0024】
第1居室親機2aの制御部31は、引き続き生成した呼出転送信号を、第2居室親機2bに伝送(S2)する。呼出転送信号を受信した第2居室親機2bの制御部31は、第1玄関子機1aにて呼出操作を行った来訪者からの呼び出しが成されたことを検出し、その旨の呼出音や音声メッセージ等を、発報部22を構成するスピーカ28から音響出力させると共に、同様な旨の呼出メッセージや絵データ等を表示部24に表示させて呼出転送が成されたことを示す所定の報知(呼出報知)を行う。
尚、このとき第2居室親機2bの制御部31は、分配変換部30を制御して、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由して表示部24への信号伝送路と、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由して親機通話部25を構成するスピーカ28への信号伝送路とをそれぞれ形成する。
【0025】
この一連の制御により、呼出操作を受けて撮像を開始した第1玄関子機1aの映像撮像部12の映像信号は、第1居室親機2aに伝送され(S3)、更に第1居室親機2aの制御部31により世帯間ラインL2を介して第2居室親機2bの制御部31に伝送され(S4)る。こうして第1玄関子機1aにて呼出操作を行った来訪者の映像や世帯Aの住戸玄関の周囲近傍の映像が第2居室親機2bの表示部24に出画される。
【0026】
次に、このような報知(呼出報知)、映像の出画及び受話音声の音響出力を受けて、世帯Aの住戸玄関に居る来訪者を認識した世帯Bの居住者による応答は以下のようである。第2居室親機2bの設定・操作部21にて所定の応答操作が行われると、操作を検出した制御部31は、応答信号を生成して呼出転送信号と逆の信号伝送路を経由して第1居室親機2aの制御部31に伝送する(S5)。また、第2居室親機2bの制御部31は、分配変換部30を制御して、マイク27から分配変換部30を経由して他親機接続用IF33への信号伝送路を形成すると共に、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由してスピーカ28への信号伝送路の形成を保持する。
【0027】
一方、第1居室親機2aの制御部31は、第2居室親機2bの制御部31からの応答信号を受信すると、第2居室親機2bの分配変換部30を制御して、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由して子機接続用IF32への信号伝送路を形成すると共に、第1居室親機2aの子機接続用IF32から分配変換部30を経由して他親機接続用IF33への信号伝送路の形成を保持する。また、第1玄関子機1aへ応答信号を送信(S6)して玄関子機1aのマイク13及びスピーカ14を能動にし、通話路を形成すると共に信号伝送路を保持する。
【0028】
この後、第2居室親機2bのマイク27にて入力された音声(受話音声)信号は、自身の分配変換部30、他親機接続用IF33、世帯間ラインL2、第1居室親機2aの他親機接続用IF33、分配変換部30、子機接続用IF32、子機/親機ラインL1aを経由して第1玄関子機1aのスピーカ14に伝送され、スピーカ14から音響出力される(S7)。
一方、呼出検出時より保持して形成されている信号伝送路を基に、第1玄関子機1aのマイク13から第1居室親機2a及び他世帯間ラインL2を適宜経由して第2居室親機2bのスピーカ28に伝送される来訪者の音声(送話音声)信号は、スピーカ28から音響出力される(S7)。こうして、世帯Aの住戸玄関に居る来訪者と世帯Bの住戸内に在室中の居住者との間の通話が成され、世帯Bの居住者は来訪者の映像を確認しながら通話ができる。
【0029】
そして、第1玄関子機1aから呼び出しが成されて撮像を開始した第1玄関子機1aの映像撮像部12の映像信号は、第1居室親機2aにより伝送された時から第1居室親機2aの制御部31により自身の録音・録画部29に録画を開始する。その後、第2居室親機2bで応答操作が行われると、上述したように他世帯の居室親機(第2居室親機2b)と自世帯の玄関子機(第1玄関子機1a)とで通話がなされるが、応答信号を受けてさらに録音を開始し、これらの会話が映像と併せて同様に録音・録画部29に記憶される。
【0030】
次に、応答した世帯Bの居住者が通話を終了させるために、第2居室親機2bの設定・操作部21にて所定の終話操作を行うと、制御部31は終話信号を生成して第1居室親機2aの制御部31に送出する(S8)。これを検出した第1居室親機2aの制御部31は、録音・録画部29での録音・録画動作を終了させる。
また、このとき第2居室親機2bの制御部31は、分配変換部30を制御して、マイク27から分配変換部30を経由して他親機接続用IF33への信号伝送路を遮断すると共に、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由してスピーカ28への信号伝送路の形成を遮断する。
【0031】
第2居室親機2bから終話信号を受信した第1居室親機2aの制御部31は、分配変換部30を制御して、他親機接続用IF33から分配変換部30を経由して子機接続用IF32への信号伝送路を遮断すると共に、子機接続用IF32から分配変換部30を経由して他親機接続用IF33への信号伝送路を遮断する。また、第1玄関子機1aへ終話信号を送信(S9)して玄関子機1aとの間の信号伝送路を遮断する。
更に第1居室親機2aの制御部31は、表示部24に第2居室親機2bと第1玄関子機1aとで通話がなされて、録音・録画されたことを報知する表示を行う。この表示は、自世帯の玄関子機(第1玄関子機1a)と居室親機(第1居室親機2a)の間の通話の録音・録画と異なる表示でなされ、区別可能となっている。
【0032】
その後、外出等から帰宅した世帯Aの居住者が、第1居室親機2aの表示部24に表示されている他世帯の居室親機(第2居室親機2b)と自世帯の玄関子機(第1玄関子機1a)との間で通話があったことを知らせる表示を確認して、第1居室親機2aの設定・操作部21にて所定の録音・録画再生操作を行うと、制御部31により録音・録画部29に録音・録画されていた第2居室親機2bと第1玄関子機1aとの通話内容・映像が読み出され、スピーカ28から音響出力されると共に、表示部24に来訪者の映像が表示される。
【0033】
このように、玄関子機からの呼び出しが他世帯の居室親機に転送され、他世帯の居室親機で応答が成された場合に、その通話の内容が自世帯の居室親機に来訪者映像と共に記憶される。そのため、帰宅した自世帯の居住者は、その記録内容を再生することで、他世帯の居住者へ問い合わせすることなく来訪者の映像に加えて会話内容を認識することができる。よって、来訪者の訪問目的等を確実に把握することができ、来訪者にメッセージの録音を促す必要が無くなり、来訪者に不快感を与えることがないし、応答した他世帯の居住者も、通話内容を記憶したり記録しておく必要がなく気軽に応答できる。
また、転送モードでの録音・録画がある場合はそれを容易に認識でき、留守にしていた時に来訪者があったことを把握し易い。
【0034】
尚、上記実施形態では、世帯Aの第1居室親機2aが転送モードに設定され、世帯Aに来訪者があった場合を説明したが、逆の場合(世帯Aと世帯Bが逆の状態になった場合)も全く同様であり、第2居室親機2bが転送モードに設定され、世帯Bにあった来訪者が第2玄関子機1b、第1居室親機2aを介して世帯Aの居住者と通話した場合は、第2居室親機2bにその通話時の録音・録画が成される。
【0035】
また、転送モード状態での録音・録画を、転送モードに設定された居室親機で行っているが、転送されて代理応答した他世帯の居室親機側で行っても良い。
図4はこの場合、すなわち応答した親機に録音/録画される場合のシーケンス図を示し、以下この図に基づいて簡単に説明する。但し、上記実施形態と同様に、世帯Aを自世帯、世帯Bを他世帯として、世帯Aの第1居室親機2aが転送モードに設定された場合の動作を説明する。
【0036】
来訪者が第1玄関子機1aを操作して呼出信号が第1居室親機に伝送(S11)されたら、第1居室親機2aが呼出転送信号を生成して第2居室親機2bに伝送する(S12)流れは上記実施形態と同様であり、第2居室親機2bで呼出報知が行われる。また、呼出操作により撮像を開始した第1玄関子機1aの映像撮像部12の映像信号も同様に第1居室親機2aに伝送(S13)され、更に第2居室親機2bに伝送(S14)される。このとき、第2居室親機2bの制御部31は、呼出転送信号を受けて第1玄関子機1aから伝送された映像を自身の録音・録画部29に録画する。
【0037】
その後、呼出報知を受けて世帯Bの居住者が応答操作すると、第2居室親機2bから応答信号が第1居室親機2aに伝送(S15)され、更に第1居室親機2aから第1玄関子機1aに伝送(S16)される。こうして、上記実施形態と同様に第1玄関子機1aと第2居室親機2bの間で通話路が形成され、音声信号が送受される(S17)。
そして、このとき第2居室親機2bの制御部31は、応答操作を受けて録音を開始し、このときの会話が映像と併せて第2居室親機2bの録音・録画部29に記憶される。
【0038】
その後、終話操作が成されて第2居室親機2bから終話信号が第1居室親機1aに伝送(S18)されたら、第1居室親機2aから第1玄関子機1aに更に伝送(S19)される流れは上記実施形態と同様であり、終話信号を受けて形成されていた信号伝送路は遮断される。そして、第1居室親機2aの制御部31は、表示部24に第2居室親機2bと第1玄関子機1aとの間で通話が成されて、第2居室親機2bの録音・録画部29に録音・録画されたことを報知する表示を行う。この表示は、自世帯の玄関子機(第1玄関子機1a)と親機(第1居室親機2a)の間の通話の録音・録画と異なる表示でなされ、区別可能となっている。
【0039】
こうして、帰宅した世帯Aの居住者が、第1居室親機2aの表示部24に表示されている他世帯の居室親機(第2居室親機2b)と自世帯の玄関子機(第1玄関子機1a)との間で通話があったことを知らせる表示を確認し、第1居室親機2aの設定・操作部21にて所定の再生操作を行うと、制御部31は第2居室親機2bに対して来客確認信号を生成して伝送(S20)する。
この信号を受信した第2居室親機2bの制御部31は、自身の録音・録画部29に録音・録画した第2居室親機2bと第1玄関子機1aとの通話内容・映像を読み出し、再生した録音・録画信号を第1居室親機2aに伝送する。伝送された録音・録画信号は第1居室親機2aの制御部31が、第1居室親機2aのスピーカ28から音響出力すると共に、表示部24に来訪者の映像を表示する。
このように、代理応答した他世帯の居室親機で録音・録画しても良く、録音・録画部29は第1居室親機、及び第2居室親機のうちの一方だけに設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る2世帯用インターホン装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1の居室親機を回路ブロック図で示した図ある。
【図3】本発明の第1の実施形態を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0041】
1・・玄関子機、1a・・第1玄関子機、1b・・第2玄関子機、2・・居室親機、2a・・第1居室親機、2b・・第2居室親機、12・・映像撮像部、21・・設定・操作部(転送モード設定部)、24・・表示部(録音・録画報知手段)、27・・マイク、28・・スピーカ(録音・録画報知手段)、29・・録音・録画部、31・・制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2世帯型住戸に設置されて第1世帯を呼び出すための第1玄関子機と、第2世帯を呼び出すための第2玄関子機と、前記第1世帯の居住者が呼び出しに応答するめの第1居室親機と、第2世帯の居住者が呼び出しに応答するための第2居室親機とを備えた2世帯用インターホン装置であって、
前記第1及び第2玄関子機は、来訪者を撮像するための映像撮像部を夫々有する一方、前記第1及び第2居室親機は、撮像映像を出画する表示部、音声と共に映像を記録する録音・録画部、自世帯の玄関子機からの呼び出しを他世帯の居室親機へ転送させる転送モード設定部、呼び出し及び映像を制御する制御部を備えて、
転送モードに設定された一方の居室親機が呼び出しを受けたら、一方の居室親機の制御部は他方の居室親機へ呼び出し及び前記映像撮像部の撮像映像を転送すると共に、転送された他方の居室親機の制御部は、呼び出しを報知すると共に転送された映像を前記表示部に出画制御し、
更に一方の居室親機の制御部、他方の居室親機の制御部の何れか一方は、前記撮像映像を自身の前記録音・録画部に録画制御すると共に、一方の住戸の玄関子機と他方の住戸の居室親機との間で通話が成されたら、それを映像録画している前記録音・録画部に録音も併せて行うことを特徴とする2世帯用インターホン装置。
【請求項2】
前記第1及び第2居室親機の制御部は、自世帯の玄関子機との間で成された通話に対しても前記録音・録画部に録音・録画が可能であって、前記録音・録画部に新たな録音・録画が成された場合にそれを報知する録音・録画報知手段を有し、
前記制御部は、前記転送モードで成された録音・録画と、自世帯の玄関子機との間で成された通話の録音・録画とで前記録音・録画報知手段の報知形態が異なるよう制御することを特徴とする請求項1記載の2世帯用インターホン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−200832(P2009−200832A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40511(P2008−40511)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】