説明

2値化データ生成方法

【課題】メモリの省略と画像を2値化するまでの処理時間の短縮である。
【解決手段】デュアルポートメモリを使用して、画像信号読み出し制御回路と画像信号書き込み制御回路をデュアルポートメモリのポートにそれぞれ割り振り、そのデュアルポートメモリを略同時進行的にワーキングさせて映像をより早く、より効率的に2値化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのポートを有するデュアルポートメモリを使い、そのメモリに書き込み制御信号を一のポートに、読み出し制御信号を他のポートに入力して、そのメモリを略同時進行的にワーキングさせて、映像をより早く、より効率的に2値化するための2値化データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、図1に示す説明図が知られている。書き込み命令と読み込み命令を与えられると図中処理1と処理2が順次実行されて、最終的に画像の2値化が行われる。
【0003】
しかし、図1の図中に示すように、メモリ1乃至4という4つのメモリが必要であった。
【0004】
メモリが4つも必要なのは無駄であるし、奇数・偶数に係る処理をいちいち行うので、無駄といえる処理時間が必要であった。
【0005】
この改善策として、2重の処理を略同時進行的にワーキングできるデュアルポートメモリに着目した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、メモリの省略と画像を2値化するまでの処理時間の短縮である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、デュアルポートメモリを使用することを最も主要な特徴とする。本発明を従来技術(図1)と対比して示すと図2となる。
【発明の効果】
【0008】
デュアルポートメモリを使用することにより、例えるなら、排水升に流入してくる水を略同時進行的にドレンから排水するようなこととなり、処理時間が短縮されることとなる。又、従来より3つもメモリが省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
デュアルポートメモリの二つのポートを書き込み用と読み出し用に割り振りワーキングさせる(図2参照)。
【実施例1】
【0010】
図5は、本発明を示すブロック図である。各ブロックに係る信号の経路を以下に詳述する。信号は画像信号、マーキング信号、制御系信号及び2値化データに分類される。
画像信号:カメラからビデオデコーダ(A/D変換)を経由して、デュアルポートメモリに入力される。ビデオデコーダ(A/D変換)からピークポイント検出部に送られる。デュアルポートメモリからマーキング付加された画像信号が、ピークポイント読み出し検索部、閾値演算部及び2値化変換部に送られる。
マーキング信号:ビデオデコーダー(A/D変換)からデュアルポートメモリへ送られる画像信号に対して、ピークポイント検出部からマーキング信号が付加される。
制御系信号:ビデオデコーダー(A/D変換)から同期信号が、ピークポイント検出部及び画像信号の書き込み制御部へ送られる。;画像信号の書き込み制御部からデュアルポートメモリへ書き込み制御信号(メモリアドレスほか)が送られる。;ピークポイント読み出し検索部からデュアルポートメモリへ読み出し制御信号(メモリアドレスほか)が送られる。;ピークポイント読み出し検索部から閾値演算部へピーク検出信号が送られる。;閾値演算部からピークポイント読み出し検索部へ再検索要求が送られる。;閾値演算部から2値化変換部へ閾値データが送られる。;画像信号の読み出し制御部から、2値化変換部、閾値演算部及びピークポイント読み出し検索部に制御信号が送られる。
2値化データ:2値化変換部から2値化データが出力される。
【0011】
図4はブロック図であり、図中書き込みサイクル処理部とは、画像信号書き込み制御回路を動作クロック周波数faで所定のサイクルだけ動作させて、その間サイクル毎に書き込み制御信号(メモリアドレスほか)をデュアルポートメモリに入力する処理部のことである。図中読み出しサイクル処理部とは、画像信号読み出し制御回路を動作クロック周波数fbで所定のサイクルだけ動作させて、その間サイクル毎に読み出し制御信号(メモリアドレスほか)をデュアルポートメモリに入力する処理部のことである。尚、動作クロック周波数はfa<fbである。
【0012】
図3は多値化輝度レベルデータの2値化変換を示す関係図である。
1はメモリの一部であり、デジタル変換した多値化輝度レベルデータを取り込んでメモリに書き込んでいる。取り込みは、ラインの先頭から順次行われる。2はメモリの一部であり、最大値の検出をマーキングとして書き込んでいる。3はメモリの一部であり、最小値の検出をマーキングとして書き込んでいる。
【0013】
図3の様にデュアルポートメモリを、1ライン分のワークメモリとして構成する。
【作用】
画像信号書き込み制御回路:CCDカメラの映像信号を、ビデオデコーダICにてデジタル変換すると同時に、ピークポイント検出部にて逐次、隣接画素間の差分を取りその増減傾向の変移点(極大、極小点)を抽出し図3の様にそれぞれをサンプリングレート(動作クロック周波数fa)で、Aポートより記録する。
画像信号読み出し制御回路:一方、デュアルポートメモリの読み出しポートBから、読み出しクロック(動作クロックfb)でメモリを読み出す。このとき動作クロック周波数をfa<fbとなるように構成し、前記書き込み制御回路で記録されたデータを追いかけ追いつくような読み出し動作を行う。ピークポイント読み出し検索部により、読み出しデータ内の増減傾向の変移点(極大、極小点)を検出するまで、閾値演算部で多値化輝度レベルデータを順次積算して行く。それを積算回数で割って変移点間の多値化輝度レベルデータの平均値をもとめ、変移点間の閾値とする。画像信号の読み出し制御部の管理のもとで、その変移点間の多値化輝度レベルデータを再度読み出し、2値化変換部でその間の2値化データを得る。次に、閾値演算部より再検索要求をピークポイント読み出し検索部に出し、前記の一連の動作と同様それ以降の変移点間の2値化データを得る動作を繰り返す。
以上の様に一連の動作を、画像信号の読み出し制御部の管理化にあるデュアルポートメモリを用い、動作クロック周波数fa<fbとする事により、1水平走査期間内に2値化処理を完結することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0014】
画像処理に負荷がかかり過ぎる欠点を除去できるので、多方面の画像処理に適用でき、交通情報をはじめ多岐にわたる画像情報の処理に応用でき、2値化データを効率的に生成できるので、素早い応答性(コンピュータの自動判断に係る)を必要とするプロジェクトにも応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】説明図である。
【図2】ブロック図である。
【図3】関係図である。
【図4】ブロック図である。
【図5】ブロック図である。
【符号の説明】
【0016】
1 メモリの一部
2 メモリの一部
3 メモリの一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号読み出し制御回路(ピークポイント読み出し検索部、閾値演算部、2値化変換部及び画像信号の読み出し制御部で構成)、画像信号書き込み制御回路(ピークポイント検出部及び画像信号の書き込み制御部で構成)、カメラ、ビデオデコーダ(A/D変換)及びデュアルポートメモリを設け、当該デュアルポートメモリへ、カメラ、ビデオデコーダ経由の信号;画像信号書き込み制御回路からのマーキング信号(前記信号に付加);画像信号読み出し制御回路からの読み出し制御信号;のそれぞれの信号を入力し、而して、そのデュアルポートメモリから、マーキング付加の画像信号を前記画像信号読み出し制御回路へ出力し、而して、その画像信号読み出し制御回路の中の2値化変換部から2値化データを生成させることを特徴とする2値化データ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−65828(P2006−65828A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285427(P2004−285427)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(592208091)シグマー電機工業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】