説明

2次元コードの読み取り装置、読み取り方法および読み取りプログラム

【課題】2次元コードに埋め込まれた情報を容易に復号し読み取ることができる2次元コードの読み取り装置を提供する。
【解決手段】所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを携帯情報端末1により読み取る装置であって、前記携帯情報端末1に設けられた、撮影手段10と、前記撮影手段10で撮影された画像中から2次元コードを検出し、コード情報を読み取るコード読み取り手段31と、前記撮影手段10で撮影された画像に基づき、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段32と、前記位置姿勢検出手段32から情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を取得し、復号キーを生成する復号キー生成手段33と、前記生成された復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号し、読み取り情報を生成する復号手段34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号化され、2次元コードに埋め込まれた情報を撮影し、人のジェスチャや動きによって復号し、読み取る技術に係り、2次元コードの読み取り装置、読み取り方法および読み取りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器向けの情報取得手段として、2次元コードが普及している。2次元コードは、携帯情報端末のデジタルカメラで読み込むだけで、情報を取得できる。この手法は、入力デバイスが限られているため、文字入力が困難な貧弱な携帯情報端末にとって、手軽に情報を入力できるという利点がある。例えば、個人のアドレスデータを埋め込んだ2次元コードを名刺に添付する、ネットワーク上の商品販売サイトへのアドレスデータを埋め込んだ2次元コードを雑誌広告に添付する応用がある。
【0003】
しかしながら、2次元コードには、誰でも簡単にコードから情報を読み取り可能である問題点がある。例えば、2次元コードに含まれている情報が特定の人のみに伝えたい情報である場合が考えられる。2次元コードの中身の情報を隠すには、2次元コードに含まれる情報を暗号化する必要がある。情報を暗号化する場合、ユーザは、2次元コードの読み取り後、何かしらの復号のための復号キーを入力し、コードに埋め込まれたコード情報を復号し、所望の情報を取得する。この暗号化には、いくつかの手法を応用することができる。
【0004】
デスクトップPCと同様の手法で、携帯情報端末のボタンやキーデバイスで特定のパスフレーズを打ち込む手法が一般的である。従来のパスワード方式を応用でき、安価に実用化可能であるという特徴がある。
【0005】
従来のデータを読み込む基本部分と、カメラの画角の中で指で隠したりするための拡張部分からなるActive CyberCodeがある。この手法は、下記非特許文献1に記載のように、特定の拡張部分を撮影時に指で隠すことで、2次元コードから読み取った情報に変化を加えることができる、この手法によれば、拡張部分を隠すパターンを復号キーとした2次元コードを作成することができる。
【0006】
尚本発明で利用する、位置姿勢検出技術としては、例えば下記特許文献1に記載のものが提案され、またジェスチャ情報生成技術としては、例えば下記特許文献2に記載のものが提案されている。
【非特許文献1】綾塚 祐二,暦本 純一“Active CyberCode:直接操作できる二次元コード”in WISS2005,Dec.2005,日本ソフトウェア科学会,pp.3−8
【特許文献1】特開2006−114943号公報
【特許文献2】特開2004−70688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
携帯情報端末に対する2次元コードによる情報提供の利点は、ボタンやキーデバイスによって情報を打ち込むタスクを低減させ、情報に容易に取得できることにある。このため、2次元コードを暗号化する手法も、容易に情報を取得でき、かつ復号も容易にできることが望ましい。また、セキュリティを考慮し、多様な復号キーを実現可能であることが望ましい。
【0008】
しかしながら、従来のデスクトップPCと同様のパスフレーズを利用する手法は、ボタンの少ない携帯情報端末では、数字、文字、記号を切り替えながら入力する必要があるため、使い勝手が悪くなる。前述したActive CyberCodeのような手法では、2次元コードの拡張部分を指で隠すパターンが限られるため、多様な復号キーを実現することが難しいという問題点がある。
【0009】
一方で、携帯情報端末を手で持てることを活かし、その動きや位置を復号キーとして利用することが可能である。例えば、加速度センサを利用し、ユーザが携帯情報端末を左右に振った回数が復号キーとなるといった応用が考えられる。この手法は、直感的な操作が可能であり、理論上多様な動きを復号キーとして利用できるため、有効であると考えられる。しかしながら、加速度センサを用いた手法は、端末の3次元上での位置を容易に算出できない。また、一般の携帯情報端末は、加速度センサを備えていないため、安価に実用化できないという問題点がある。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものでその目的は、2次元コードに埋め込まれた情報を容易に復号し読み取ることができる2次元コードの読み取り装置、読み取り方法および読み取りプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための請求項1に記載の2次元コードの読み取り装置は、所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取る装置であって、前記情報端末に設けられた、撮影手段と、前記撮影手段で撮影された画像中から2次元コードを検出し、コード情報を読み取るコード読み取り手段と、前記撮影手段で撮影された画像に基づき、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、前記位置姿勢検出手段から情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を取得し、復号キーを生成する復号キー生成手段と、前記生成された復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号し、読み取り情報を生成する復号手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
また請求項2に記載の2次元コードの読み取り装置葉、請求項1において、前記位置姿勢は、前記情報端末の2次元コードに対する傾きを示す角度パラメータおよび情報端末の2次元コードに対する位置を示す位置パラメータの中から一つ以上を組み合わせたものであることを特徴としている。
【0013】
また請求項8に記載の2次元コードの読み取り方法は、所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取る方法であって、コード読み取り手段が、情報端末に設けられた撮影手段で撮影された画像中から2次元コードを検出し、コード情報を読み取るコード読み取りステップと、位置姿勢検出手段が、前記撮影手段で撮影された画像に基づき、前記情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を検出する位置姿勢検出ステップと、復号キー生成手段が、前記位置姿勢検出手段から情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を取得し、復号キーを生成する復号キー生成ステップと、復号手段が、前記生成された復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号し、読み取り情報を生成する復号ステップとを備えることを特徴としている。
【0014】
また請求項9に記載の2次元コードの読み取り方法は、請求項8において、前記位置姿勢は、前記情報端末の2次元コードに対する傾きを示す角度パラメータおよび情報端末の2次元コードに対する位置を示す位置パラメータの中から一つ以上を組み合わせたものであることを特徴としている。
【0015】
上記構成においては、2次元コードに埋め込まれた情報を容易に復号し読み取ることができる。
【0016】
また請求項3に記載の2次元コードの読み取り装置は、請求項1又は2において、前記位置姿勢検出手段は、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を複数回検出し、当該複数回の位置姿勢を時系列に並べた位置姿勢を検出出力とすることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、位置姿勢を複数回検出しているので、多様な復号キーを生成することができる。
【0018】
また請求項4に記載の2次元コードの読み取り装置は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記位置姿勢検出手段は、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を複数回検出し、前記復号キー生成手段は、前記位置姿勢検出手段から位置姿勢を複数回取得する毎に復号キーを生成し、前記復号手段は、前記復号キー生成手段により生成された複数の復号キーを用いて復号を行うことを特徴としている。
【0019】
また請求項6に記載の2次元コードの読み取り装置は、請求項5において、前記ジェスチャ情報生成手段は、前記ジェスチャ情報を複数回生成し、前記復号キー生成手段は、前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を複数回取得する毎に復号キーを生成し、前記復号手段は、前記復号キー生成手段により生成された複数の復号キーを用いて復号を行うことを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、複数の復号キーを用いて復号するので、多様な復号結果を実現することができる。
【0021】
また請求項5に記載の2次元コードの読み取り装置は、請求項3において、前記位置姿勢検出手段により検出された、複数回の位置姿勢を時系列に並べた位置姿勢に基づいて、情報端末の2次元コードに対する動きを表すジェスチャのジェスチャ情報を生成するジェスチャ情報生成手段を備え、前記復号キー生成手段は、前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を取得し、復号キーを生成することを特徴としている。
【0022】
また請求項7に記載の2次元コードの読み取り装置は、請求項5において、前記ジェスチャ情報生成手段は、前記ジェスチャ情報を複数回生成し、前記復号キー生成手段は前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を複数回取得する毎に復号キーを生成し、当該複数の復号キーを時系列に並べて結合した連結復号キーを生成して出力することを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、ユーザにわかりやすいジェスチャ情報に基づいて復号キーを生成することができる。
【0024】
また請求項10に記載の2次元コードの読み取りプログラムは、所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取るために、コンピュータを請求項1ないし7のいずれか1項に記載された2次元コードの読み取り装置として機能させるプログラムとしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
(1)請求項1〜10に記載の発明によれば、一般的な例えば携帯情報端末が備えるデジタルカメラで位置姿勢を検出することによって、携帯情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を復号キーとし、該2次元コードが含む暗号化情報を復号できる。これによって、2次元コードに埋め込まれた情報を容易に復号し読み取ることができる。
(2)請求項2,9に記載の発明によれば、携帯情報端末の2次元コードに対する相対的な位置および姿勢を示す、三次元の角度パラメータと三次元の位置パラメータの中から一つ以上を組み合わせた位置姿勢に基づいて、復号キーを生成し、該2次元コードが含む暗号化情報を復号することができる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、複数の位置姿勢を組み合わせ、多様な復号キーを実現することができる。これによりセキュリティ効果が向上する。
(4)請求項4,6に記載の発明によれば、複数の復号キーを組み合わせ、より多様な復号を実現することができる。これによりセキュリティ効果が向上する。
(5)請求項5,7に記載の発明によれば、ユーザにわかりやすいジェスチャを用いて復号キーを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、暗号化されたメールアドレスが埋め込まれた2次元コードを、携帯情報端末1のデジタルカメラで読み取り、該メールアドレスを取得するシステムである。本実施例では、2次元コードとして図4に示すQRコードを利用する。
【0027】
メールアドレスは、128ビットの値を秘密鍵としたDES方式で暗号化され、QRコードに埋め込まれている。これ以外にも公開鍵暗号手法RSA等を用いて構成することも可能である。
【0028】
図1は本実施例における2次元コードの読み取り装置の構成を示しており、携帯情報端末1は、撮影手段10であるデジタルカメラと、ボタンなどの入力手段20と、CPUなどの汎用計算手段30とを備えている。
【0029】
この汎用計算手段30は、撮影手段10から得られる撮影画像からQRコードを検出しコード情報を抽出するコード読み取り手段31と、該撮影画像から2次元コードの4隅を検出し、4隅の画像中の座標値を利用し、2次元コードに対する携帯情報端末1の相対的な位置および姿勢を算出する位置姿勢検出手段32と、該位置姿勢に基づき、復号キーを生成する復号キー生成手段33と、該復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号する復号手段34とを備える。尚図1において、処理途中の各種情報を保存するメモリは図示省略している。
【0030】
本実施例では、ユーザは、QRコードを読み取り、復号のための位置姿勢に携帯情報端末1を移動させ、入力手段20のボタンを押して復号を決定し、メールアドレスを読み取る。以下に、その処理の流れを図2とともに説明する。
【0031】
(2次元コード読み取りステップ)
ユーザは、まず対象となるQRコードを撮影手段10で撮影する。撮影手段10で撮影された撮影画像は、コード読み取り手段31に送られ、2次元コードが検出されるかがチェックされる(ステップS11,S12)。検出されない場合、処理は、最初のステップS11に戻る。検出される場合、コードの読み取り結果として、コード情報から暗号化情報が抽出され、図示省略のメモリに保存される。次に撮影画像は、位置姿勢検出手段32に送信される。
【0032】
(位置姿勢検出ステップ)
位置姿勢検出手段32は、ステップS13,S14において、前記撮影画像から2次元コードの4隅を検出し、4隅の画像中の座標値を利用し、2次元コードに対する携帯情報端末1の相対的な位置姿勢を算出する。該ステップS13で算出された位置姿勢は、図3に示す、X,Y,Z軸方向の位置パラメータ(x,y,z)の3つと、X,Y,Z軸周りの角度パラメータ(φ,ψ,θ)の3つの合計6つのパラメータからなる。
【0033】
尚この位置姿勢検出の処理は、携帯情報端末1を移動させながら同時に実行してもよく、また移動を終了させた後に行ってもよい。またこの位置姿勢検出技術は従来技術の例えば特許文献1に記載の技術を用いる。
【0034】
(復号キー生成ステップ)
次にユーザが入力手段20によって、位置姿勢入力決定を行う(例えばボタンを押す)と、復号キー生成手段33は、位置姿勢検出手段32から位置姿勢を取得し、復号キーを生成する(ステップS15)。
【0035】
この位置姿勢は、それぞれ、−32767〜32768(16bit)の値域に量子化される。前記位置姿勢の6つのパラメータは、合計16×6bit96bitとなり、復号キー生成手段33は、96bit相当の復号キーを生成することができる。さらに、復号キー生成手段33は、図4に示すように、96bitのパラメータを文字列とし生成し、この文字列をMD5(メッセージダイジェストアルゴリズム5)で128bitのハッシュ値を算出する。そして、該ハッシュ値を復号キーとする。
【0036】
(復号ステップ)
次に復号手段34は、ステップS16において、前記復号キーを利用し、前記QRコードから読み取ったコード情報を復号する。
(実施例2)
本実施例は、暗号化されたメールアドレスが埋め込まれた2次元コードを、携帯情報端末1のデジタルカメラで読み取り、該メールアドレスを取得するシステムであり、図1の2次元コードの読み取り装置を用いる。
【0037】
メールアドレスは、128ビットの値を秘密鍵としたDES方式で暗号化され、QRコードに埋め込まれている。これ以外にも公開鍵暗号手法RSA等を用いて構成することも可能である。
【0038】
本実施例2では、図1の復号キー生成手段33は、位置姿勢を複数回取得し、時系列に並べ、その時系列に並べられた位置姿勢に基づき、復号キーを生成する。
【0039】
本実施例では、ユーザは、QRコードを読み取り、復号のために携帯情報端末1を連続で移動させ、入力手段20のボタンを押して復号を決定し、メールアドレスを読み取る。以下に、その処理の流れを図5とともに説明する。
【0040】
(2次元コード読み取りステップ)
ユーザは、まず対象となるQRコードを撮影手段10で撮影する。撮影手段10で撮影された撮影画像は、コード読み取り手段31に送られ、2次元コードが検出されるかがチェックされる(ステップS21,S22)。検出されない場合、処理は、最初のステップS21に戻る。検出される場合、コードの読み取り結果として、コード情報から暗号化情報が抽出され図示省略のメモリに保存される。次に撮影画像は、位置姿勢検出手段32に送信される。
【0041】
(位置姿勢検出ステップ)
位置姿勢検出手段32は、ステップS23,S24において、前記撮影画像から2次元コードの4隅を検出し、4隅の画像中の座標値を利用し、2次元コードに対する携帯情報端末1の相対的な位置姿勢を算出する。該ステップS23で算出された位置姿勢は、図3のX,Y,Z軸方向の位置パラメータ(x,y,z)の3つと、X,Y,Z軸周りの角度パラメータ(φ,ψ,θ)の3つの合計6つのパラメータからなる。
【0042】
尚この位置姿勢検出の処理は、携帯情報端末1を移動させながら同時に実行してもよく、また移動を終了させた後に行ってもよい。
【0043】
(復号キー生成ステップ)
前記位置姿勢は、それぞれ、−32767〜32768(16bit)の値域に量子化される。前記位置姿勢の6つのパラメータは、合計16×6bit96bitとなる。図6に示すように500msec毎の位置姿勢をサンプリングし、0〜65536の値を持つ時刻情報(16bit)を付け足し、図示省略のメモリに保存する。
【0044】
入力手段20によってユーザからの入力停止命令が入力されると、復号キー生成手段33は、図6に示すように、時刻情報順に位置姿勢を並べ、文字列として連結する。そしてMD5で該文字列の128bitのハッシュ値を算出し、該ハッシュ値を復号キーとする(ステップS25)。
【0045】
(復号ステップ)
次に復号手段34は、ステップS26において、前記復号キーを利用し、前記QRコードから読み取ったコード情報を復号する。
(実施例3)
本実施例は、暗号化されたメールアドレスが埋め込まれた2次元コードを、携帯情報端末1のデジタルカメラで読み取り、該メールアドレスを取得するシステムであり、図7の2次元コードの読み取り装置を用いる。
【0046】
図7において図1と同一部分は同一符号をもって示している。図7において図1と異なる点は、汎用計算手段30にジェスチャ情報生成手段35を備えたことにある。
【0047】
メールアドレスは、128ビットの値を秘密鍵としたDES方式で暗号化され、QRコードに埋め込まれている。これ以外にも公開鍵暗号手法RSA等を用いて構成することも可能である。
【0048】
本実施例3では、図7のコード読み取り手段31は、QRコードに含まれ、復号に必要となるジェスチャを識別するジェスチャ識別情報を読み取る。さらに、ジェスチャ情報生成手段35は、位置姿勢を複数回取得し、時系列に並べ、その時系列に並べられた位置姿勢に基づき、該ジェスチャ識別情報を識別するジェスチャの動きの量を算出する。さらに、該ジェスチャパラメータ(ジェスチャとして識別された位置姿勢の値)および該ジェスチャ識別情報からなるジェスチャ情報を生成する。以下に、その処理の流れを図8とともに説明する。
【0049】
(2次元コード読み取りステップ)
ユーザは、まず対象となるQRコードを撮影手段10で撮影する。撮影手段10で撮影された撮影画像は、コード読み取り手段31に送られ、2次元コードが検出されるかがチェックされる(ステップS31,S32)。検出されない場合、処理は、最初のステップS31に戻る。検出される場合、コードの読み取り結果として、コード情報から暗号化情報が抽出され図示省略のメモリに保存される。次に撮影画像は、位置姿勢検出手段32に送信される。
【0050】
(位置姿勢検出ステップ)
位置姿勢検出手段32は、ステップS33,S34において前記撮影画像から2次元コードの4隅を検出し、4隅の画像中の座標値を利用し、2次元コードに対する携帯情報端末1の相対的な位置姿勢を算出する。該ステップS33で算出された位置姿勢は、図3のX,Y,Z軸方向の位置パラメータ(x,y,z)の3つと、X,Y,Z軸周りの角度パラメータ(φ,ψ,θ)の3つの合計6つのパラメータからなる。
【0051】
尚この位置姿勢検出処理は、携帯情報端末1を移動させながら同時に実行するものとする。
【0052】
(ジェスチャ情報生成ステップ)
前記位置姿勢は、それぞれ、−32767〜32768(16bit)の値域に量子化される。前記位置姿勢の6つのパラメータは、合計16×6bit96bitとなる。500msec毎の位置姿勢をサンプリングし、図6のように、0〜65536の値を持つ時刻情報(16bit)を付け足し、図示省略のメモリに保存する。保存された位置姿勢の中で、値域がもっとも大きい位置姿勢がジェスチャであるとする。携帯情報端末1を2次元コードに対して、回す、横に傾ける、縦に傾ける、近づける/遠ざける、横に動かす、縦に動かすの6つのジェスチャが識別され、推定結果は、8bitのジェスチャ識別情報として図示省略のメモリに保存される。また、このジェスチャとして識別された位置姿勢の値は、ジェスチャパラメータとして16bitの値で保存される。ジェスチャ情報生成手段35は、これらジェスチャ識別情報とジェスチャパラメータを合わせ、24bitのジェスチャ情報を生成する(ステップS35)。尚このジェスチャ情報生成技術は、従来技術の例えば特許文献2に記載の技術を用いる。
【0053】
(復号キー生成ステップ)
次に復号キー生成手段33は、前記と同様に、MD5で前記ジェスチャ情報のハッシュ値を生成し、復号キーとする(ステップS36)。
【0054】
(復号ステップ)
次に復号手段34は、ステップS37において、前記復号キーを利用し、前記QRコードから読み取ったコード情報を復号する。
(実施例4)
本実施例は、暗号化されたメールアドレスが埋め込まれた2次元コードを、携帯情報端末1のデジタルカメラで読み取り、該メールアドレスを取得するシステムであり、図7の2次元コードの読み取り装置を用いる。
【0055】
メールアドレスは、128ビットの値を秘密鍵としたDES方式で暗号化され、QRコードに埋め込まれている。これ以外にも公開鍵暗号手法RSA等を用いて構成することも可能である。
【0056】
本実施例4では、ユーザは、複数回、ジェスチャを入力し、QRコードに埋め込まれた情報を復号し、読み取る。以下に、その処理の流れを図9とともに説明する。
【0057】
(2次元コード読み取りステップ)
ユーザは、まず対象となるQRコードを撮影手段10で撮影する。撮影手段10で撮影された撮影画像は、コード読み取り手段31に送られ、2次元コードが検出されるかがチェックされる(ステップS41,S42)。検出されない場合、処理は、最初のステップS41に戻る。検出される場合、コードの読み取り結果として、コード情報から暗号化情報が抽出され図示省略のメモリに保存される。次に撮影画像は、位置姿勢検出手段32に送信される。
【0058】
(位置姿勢検出ステップ)
位置姿勢検出手段32は、ステップS43,S44において、前記撮影画像から2次元コードの4隅を検出し、4隅の画像中の座標値を利用し、2次元コードに対する携帯情報端末1の相対的な位置姿勢を算出する。該ステップS43で算出された位置姿勢は、図3のX,Y,Z軸方向の位置パラメータ(x,y,z)の3つと、X,Y,Z軸周りの角度パラメータ(φ,ψ,θ)の3つの合計6つのパラメータからなる。
【0059】
尚この位置姿勢検出処理は、携帯情報端末1を移動させながら同時に実行するものとする。
【0060】
(ジェスチャ情報生成ステップ)
前記位置姿勢は、それぞれ、−32767〜32768(16bit)の値域に量子化される。前記位置姿勢の6つのパラメータは、合計16×6bit96bitとなる。500msec毎の位置姿勢をサンプリングし、図6のように、0〜65536の値を持つ時刻情報(16bit)を付け足し、図示省略のメモリに保存する。保存された位置姿勢の中で、値域がもっとも大きい位置姿勢がジェスチャであるとする。携帯情報端末1を2次元コードに対して、回す、横に傾ける、縦に傾ける、近づける/遠ざける、横に動かす、縦に動かすの6つのジェスチャが識別され、推定結果は、8bitのジェスチャ識別情報として図示省略のメモリに保存される。また、このジェスチャとして識別された位置姿勢の値は、ジェスチャパラメータとして16bitの値で保存される。ジェスチャ情報生成手段35は、これらジェスチャ識別情報とジェスチャパラメータを合わせ、24bitのジェスチャ情報を生成する(ステップS45)。
【0061】
(復号キー保存ステップ)
次に復号キー生成手段33は、前記と同様にMD5で前記ジェスチャ情報のハッシュ値を生成し、復号キーとし、図示省略のメモリに保存する(ステップS46)。
【0062】
本ステップで、ユーザが入力手段20によって、復号キー入力終了命令を入力し、それがステップS47により確認されると、復号キーの入力は終了し、復号キー生成ステップS48に移行する。また前記終了命令の入力がない場合は、位置姿勢検出ステップS43に戻る。
【0063】
(復号キー生成ステップ)
次に、復号キー生成手段33は、保存された復号キーを時系列に並べ、結合する。そして該結合された復号キーのハッシュ値を前記と同様にMD5によって、算出し、連結復号キーとする(ステップS48)。
【0064】
(復号ステップ)
次に復号手段34は、ステップS39において、前記連結復号キーを利用し、前記QRコードから読み取ったコード情報を復号する。
【0065】
尚本発明は、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を複数回検出し、該位置姿勢を複数回取得する毎に復号キーを生成し、該複数の復号キーを用いて復号を行ってもよい。
【0066】
また本発明は、ジェスチャ情報を複数回生成し、該ジェスチャ情報を複数回取得する毎に復号キーを生成し、該複数の復号キーを用いて復号を行ってもよい。
【0067】
また本発明は、上記実施例の他に次のような実施形態をとることができる。
【0068】
(変形例1)
実施例4では、ジェスチャを入力するものであったが、位置姿勢のみにより復号したものを保存し、それを結合し、連結復号キーとしてもよい。
【0069】
(変形例2)
実施例4では、ジェスチャを入力するものであったが、位置姿勢およびジェスチャが混在した復号キーを生成するように構成してもよい。
【0070】
(変形例3)
実施例4では、対象となる2次元コードは一つであったが、これを一つ以上にしてもかまわない。複数の2次元コードに対する復号キーをひとつにまとめ、複数の2次元コードから読み取った暗号化情報を結合し、該復号キーで復号するように実装することも可能である。
【0071】
(変形例4)
実施例では、位置姿勢検出手段32は、2次元コードを利用して位置姿勢を算出しているが、これに限らずオプティカルフローなどの動画像を取り込んで、その動画像の特徴量によって、算出するように構成してもよい。
【0072】
(変形例5)
実施例では、MD5のハッシュ値で復号キーを生成しているが、位置姿勢パラメータを量子化し、それ自体で128ビットの復号キーを生成するように構成してもよい。
【0073】
(変形例6)
実施例では、QRコードを利用しているが、他の2次元コードを利用しても実現可能である。
【0074】
また、所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取るために、コンピュータを、前記2次元コードの読み取り装置として機能させるプログラムを構築するものである。
【0075】
また前記プログラムを記録した記録媒体を、システム、又は装置に供給し、そのシステム又は装置のCPU(MPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することも可能である。この場合記録媒体から読み出されたプログラム自体が上記実施形態の機能を実現することになり、このプログラムを記録した記録媒体としては、例えば、CD−ROM,DVD−ROM,CD−R,CD−RW,MO及びHDD等がある。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り装置の一例を示す構成図。
【図2】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り方法の実施例1のフローチャート。
【図3】本発明における位置姿勢の概念図。
【図4】暗号化された情報を含むQRコードの説明図。
【図5】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り方法の実施例2のフローチャート。
【図6】本発明の実施形態例における複数の位置姿勢を用いた復号キーの生成を表す説明図。
【図7】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り装置の他の例を示す構成図。
【図8】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り方法の実施例3のフローチャート。
【図9】本発明の実施形態例の2次元コードの読み取り方法の実施例4のフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
1…携帯情報端末、10…撮影手段、20…入力手段、30…汎用計算手段、31…コード読み取り手段、32…位置姿勢検出手段、33…復号キー生成手段、34…復号手段、35…ジェスチャ情報生成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取る装置であって、
前記情報端末に設けられた、
撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された画像中から2次元コードを検出し、コード情報を読み取るコード読み取り手段と、
前記撮影手段で撮影された画像に基づき、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段から情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を取得し、復号キーを生成する復号キー生成手段と、
前記生成された復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号し、読み取り情報を生成する復号手段と
を備えることを特徴とする2次元コードの読み取り装置。
【請求項2】
前記位置姿勢は、
前記情報端末の2次元コードに対する傾きを示す角度パラメータおよび情報端末の2次元コードに対する位置を示す位置パラメータの中から一つ以上を組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項3】
前記位置姿勢検出手段は、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を複数回検出し、当該複数回の位置姿勢を時系列に並べた位置姿勢を検出出力とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項4】
前記位置姿勢検出手段は、情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を複数回検出し、
前記復号キー生成手段は、前記位置姿勢検出手段から位置姿勢を複数回取得する毎に復号キーを生成し、
前記復号手段は、前記復号キー生成手段により生成された複数の復号キーを用いて復号を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項5】
前記位置姿勢検出手段により検出された、複数回の位置姿勢を時系列に並べた位置姿勢に基づいて、情報端末の2次元コードに対する動きを表すジェスチャのジェスチャ情報を生成するジェスチャ情報生成手段を備え、
前記復号キー生成手段は、前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を取得し、復号キーを生成することを特徴とする請求項3に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項6】
前記ジェスチャ情報生成手段は、前記ジェスチャ情報を複数回生成し、
前記復号キー生成手段は、前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を複数回取得する毎に復号キーを生成し、
前記復号手段は、前記復号キー生成手段により生成された複数の復号キーを用いて復号を行うことを特徴とする請求項5に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項7】
前記ジェスチャ情報生成手段は、前記ジェスチャ情報を複数回生成し、
前記復号キー生成手段は、前記ジェスチャ情報生成手段からジェスチャ情報を複数回取得する毎に復号キーを生成し、当該複数の復号キーを時系列に並べて結合した連結復号キーを生成して出力することを特徴とする請求項5に記載の2次元コードの読み取り装置。
【請求項8】
所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取る方法であって、
コード読み取り手段が、情報端末に設けられた撮影手段で撮影された画像中から2次元コードを検出し、コード情報を読み取るコード読み取りステップと、
位置姿勢検出手段が、前記撮影手段で撮影された画像に基づき、前記情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を検出する位置姿勢検出ステップと、
復号キー生成手段が、前記位置姿勢検出手段から情報端末の2次元コードに対する位置姿勢を取得し、復号キーを生成する復号キー生成ステップと、
復号手段が、前記生成された復号キーを用いて、コード情報に含まれる暗号化情報を復号し、読み取り情報を生成する復号ステップと
を備えることを特徴とする2次元コードの読み取り方法。
【請求項9】
前記位置姿勢は、
前記情報端末の2次元コードに対する傾きを示す角度パラメータおよび情報端末の2次元コードに対する位置を示す位置パラメータの中から一つ以上を組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項8に記載の2次元コードの読み取り方法。
【請求項10】
所定の方法で読み取り情報が暗号化された暗号化情報を含む2次元コードを情報端末により読み取るために、コンピュータを請求項1ないし7のいずれか1項に記載された2次元コードの読み取り装置として機能させることを特徴とする2次元コードの読み取りプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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