説明

2液吐出装置

【課題】2つの内容物を安定的に長期間保管する二重エアゾールタイプの2液吐出装置を提供する。
【解決手段】耐圧性を有し噴射剤を充填する外容器11と、その外容器11に挿入され、可撓性を有し第1内容物を充填する第1内容器12と、その外容器11に挿入され、可撓性を有し第2内容物を充填する第2内容器13と、第1内容器11、第2内容器12および外容器13を閉じ、操作することにより第1内容器および第2内容器を大気と連通させるバルブアッセンブリ14とからなる2液吐出装置10。第1内容器12は、合成樹脂からなる内層16cと、その内層の外部に設けられ、金属箔からなる第1ガスバリア層16bとを有しており、第2内容器は、合成樹脂からなる内層18cと、その内層18cの外部に設けられ、非金属からなる第2ガスバリア層18bを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液吐出装置に関する。詳しくは、2種類の内容物を独立して保管でき、かつ、同時に吐出することができる2液吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用直前に混合して用いる2液混合用の第1内容物および第2内容物を、独立して保管し、同時に吐出する2液吐出装置が知られている。例えば、特許文献1のように耐圧性の外容器と、その内部に収容され内容物を充填する2つの内容器と、その内容器および外容器を閉じるエアゾールバルブと、外容器と内容器の間に充填される噴射剤とからなる2液式の二重エアゾール容器や、特許文献2のように可撓性の外容器と、その内部に収容され内容物を充填する2つの内容器とからなる2液式の染毛剤容器が知られている。また、この2液混合用の内容物としては、混合することで反応し効果を発揮する有効成分を第1内容物および第2内容物とに区分けしたものがあり、例えば、2液式の染毛剤、2液式のパーマ剤等が挙げられる。
【0003】
このように混合することで反応する2つの内容物はそれぞれ別個の内容器に充填しても、2つの内容器を1つの外容器内に収容する場合は、一方の内容器から内容物中の揮発成分や分解などにより発生したガスが透過し、他方の内容器に侵入して、他方の内容器内で反応を起こすことがある。特に、長期間の保管ではこのような問題が顕著となる。
このような問題に対して、特許文献2では、2つの内容器をアルミニウムフィルムを含む複層構造としたものとすることによってそれぞれの透過を防止している。さらに、特許文献2では、内容物中の成分(過酸化水素)が自己分解することによって内容器の内圧が上昇することを防止するべく、その過酸化水素が充填される一方の内容器に酸素の透過が可能となる酸素透過部を設けている。
さらに、特許文献3、4、5には、染毛剤やパーマ剤を安定的に保管するための収容容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−28684号公報
【特許文献2】特許4364351号
【特許文献3】特開2001−299440号公報
【特許文献4】特開2002−219017号公報
【特許文献5】特開2001−299439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、2液式の二重エアゾール容器では、2つの内容器が噴射剤によって常時押圧され、その圧力により内容物中の成分が分解されやすい条件になっており、そのような2つの内容器にそれぞれ充填される2つの内容物が反応しないように長期間保管することが求められている。また、特許文献2は、アルミニウムフィルムの一部を取り除くことにより酸素透過部を形成しているが、これをエアゾール容器に用いると酸素透過部における金属箔の端面が内容物と接触し、その端面からアルミニウムフィルムが腐食されて溶解し、アルミニウムフィルムの役割が得られないおそれがある。また、特許文献2のように、内容器に弱い部位(酸素透過部)を形成すると、エアゾール容器に用いた場合は常時圧力を受けることによってその部位が裂かれたりするおそれがある。さらに、特許文献2は酸素透過部を一部にしか設けていないため、酸素の透過が少なく、ガスだまりができやすい。
本発明は、2つの内容物を安定的に長期間保管する二重エアゾールタイプの2液吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の2液吐出装置は、耐圧性を有し噴射剤を充填する外容器と、前記外容器に挿入され、可撓性を有し第1内容物を充填する第1内容器と、前記外容器に挿入され、可撓性を有し第2内容物を充填する第2内容器と、前記第1内容器、第2内容器および外容器を閉じ、操作することにより第1内容器および第2内容器を大気と連通させるバルブアッセンブリとからなり、前記第1内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、金属箔からなる第1ガスバリア層とを有しており、前記第2内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、非金属からなる第2ガスバリア層を有していることを特徴としている。
このような2液吐出装置であって、外容器および第2内容器が透光性を有するものが好ましい。さらに、前記第1内容器が、積層シートを貼り合わせたパウチ型の容器であり、前記第2内容器が、積層体のパリソンをブロー成形した円筒状の容器であるものが好ましい。
この2液吐出装置のバルブアッセンブリとして、第1内容器と大気とを独立して開閉する第1バルブ機構と、第2内容器と大気とを独立して開閉する第2バルブ機構とを備えているものが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の2液吐出装置は、耐圧性を有し噴射剤を充填する外容器と、前記外容器に挿入され、可撓性を有し第1内容物を充填する第1内容器と、前記外容器に挿入され、可撓性を有し第2内容物を充填する第2内容器と、前記第1内容器、第2内容器および外容器を閉じ、操作することにより第1内容器および第2内容器を大気と連通させるバルブアッセンブリとからなり、前記第1内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、金属箔からなる第1ガスバリア層とを有しており、前記第2内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、非金属からなる第2ガスバリア層を有しているため、第1内容器の方が第2内容器よりガス透過のバリア性が高い。これにより、反応性の有効成分を含有した内容物を充填した2液吐出装置を長期間保管しても、第2内容器を透過した成分が第1内容器に進入することがない。特に、第2内容器内に、過酸化水素のような分解してガスを発生する成分を含有する内容物を充填しても、第2内容器のガスバリア性と噴射剤による外からの圧縮力により、第2内容器内で発生したガスが徐々に透過し、外部に排出される。そのため、第2内容器内でガスだまりができるのを防止し、吐出時における内容物の飛び散り、内容物保管時における第2内容器の膨張、内圧上昇、さらには破裂を防止することができる。そして、内容物を吐出することに伴い第2内容器の容積が確実に減少する。
【0008】
本発明の2液吐出装置であって、外容器および第2内容器が透光性を有する場合、それぞれの内容器の状態および内容物の量を確認することができる。
また、第1内容器が積層シートを貼り合わせたパウチ型の容器であり、第2内容器が積層体のパリソンをブロー成形した円筒状の容器である場合、それぞれ内容物を充填したとき、パウチ型の第1内容器は扁平に膨らみ、円筒状の第2内容器は円筒状に膨らむ。そのため、第1内容器は安定した形状になる第2内容器に支えられて安定した形状に膨らみ、内容物を吐出しても安定した形状で収縮し、中央で折れ曲がって吐出できなくなるなどの問題がなく、最後まで吐出することができる。また、第1内容器が第2内容器を覆えるように配置することにより、外容器内の空間を有効に利用することができ、内容物の充填量を大きくすることができる。
本発明の2液吐出装置のバルブアッセンブリが、第1内容器と大気とを独立して開閉する第1バルブ機構と、第2内容器と大気とを独立して開閉する第2バルブ機構とを備えて
いる場合、それぞれの内容器に充填された内容物を独立して外部に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の2液吐出装置の一実施形態を示す正面断面図である。
【図2】図2a、bは、それぞれ本発明の2液吐出装置の他の実施形態を示す正面断面図、平面断面図である。
【図3】図3a、bは、それぞれ本発明の2液吐出装置の他の実施形態を示す正面断面図、平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1の2液吐出装置10は、耐圧性の外容器11と、その外容器11に挿入され、可撓性を有する第1内容器12と、その外容器11に挿入され、可撓性を有する第2内容器13と、外容器11、第1内容器12および第2内容器13を閉じるバルブアッセンブリ14とを備えている。
【0011】
外容器11は、筒状の胴部11a、ドーム状の肩部11b、円筒状の首部11cおよび上端に開口した肉厚のフランジ部11dを備えた耐圧性のものである。首部11cの内面とフランジ部11dの内面とは、連続しており円筒状となっている。この外容器11は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレートなどの合成樹脂を用いることができる。特に、透光性を有する合成樹脂材料とすることが好ましい。このような外容器11は、押出成形により成形した有底筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形される。しかし、筒状のパリソンを膨らまし、下部をカットし接着して底部を形成するダイレクトブロー成形で成形されてもよい。なお、外容器11は、炭素、酸化アルミ、シリカなどをガス状にして内面および/または外面に蒸着膜を設けても良い。
【0012】
第1内容器12は、合成樹脂からなる外層16aと、金属箔からなる中間層16bと、合成樹脂からなる内層16cとを備えた第1袋体16と、その第1袋体16の開口部に取り付けられた筒状の第1連結体17とからなる。第1袋体16としては、外層16a、中間層16b、内層16cからなる可撓性の積層シートを2枚重ね、縁部を熱溶着や超音波溶着などで貼り合わせたパウチが挙げられる。しかし、その製法は特に限定されるものではない。
第1連結体17は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂から構成されるものである。この第1連結体17は、後述するバルブアッセンブリ14に連結するためのものである。しかし、連結体17は、袋体16の開口部を直接バルブアッセンブリ14に連結することで省略してもよい。
【0013】
外層16aおよび内層16cの合成樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ナイロン(NY)などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどが挙げられる。
中間層16bの金属箔としては、アルミニウム箔(Al箔)などの軽金属が挙げられる。中間層16bのガスバリア性としては、酸素透過度が0.5(cm/m・24h・atm)以下であるものが好ましい。
第1内容器12の外層16a、中間層16b、内層16cの組み合わせとしては、内容物に応じて適宜選択することができるが、例えば、酸化染料を含むアルカリ性の2液式染毛剤の第1剤原液を内容物とする場合、外層16a/中間層16b/内層16cの順番に、PE/Al箔/PE、PP/Al箔/PE、PET/Al箔/PE、PE/Al箔/N
Y、PET/Al箔/NYなどが挙げられる。また、第1内容器12の袋体16は、外層
16aを省略した2層構造であってもよく、さらにPE/PET/Al箔/PE、PET
/PE/Al箔/PEなどのように任意に合成樹脂層または金属箔層を設けた4層以上の構造であってもよい。
このように第1内容器12は、少なくとも金属箔からなる中間層16bを備えているため、ガスバリア性が非常に高く、内容物を長期間保存しても内部からのガスの漏れおよび外部からのガスの進入を最小限に抑えることができる。
【0014】
第2内容器13は、合成樹脂からなる外層18aと、非金属製のガスバリア材料からなる中間層18bと、合成樹脂からなる内層18cとを備えた第2袋体18と、その第2袋体18の開口部に取り付けられた筒状の第2連結体19とからなる。第2袋体18としては、第1袋体16と同様に外層18a、中間層18b、内層18cからなる積層シートを貼り合せたパウチが挙げられる。しかし、その製法は特に限定されるものではない。また、第2連結体19も、後述するバルブアッセンブリ14に連結するためのものであり、第1連結体17と実質的に同じものである。この場合も、第2袋体18の開口部を直接バルブアッセンブリ14に連結することで省略してもよい。
【0015】
外層18aおよび内層18cの合成樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルなどが挙げられる。
中間層18bとしては、エバール(EVOH)、ナイロン(NY)等のポリアミドなどのガスバリア性および耐薬品性を有する合成樹脂層や、外層18aまたは内層18cにシリカ(SiOX)などを蒸着させた蒸着層などの非金属層があげられる。中間層18bのガスバリア性は、0.2〜1.0MPaの加圧条件下で、少なくとも水蒸気や湿気等の水成分の透過を防止し、酸素やアンモニアなどのガスを緩やかな透過を許すものが挙げられる。ここで緩やかな透過とは、酸素透過度が0.7〜100(cm/m・24h・atm)であるものを言う。
【0016】
第2内容器13の外層18a、中間層18b、内層18cの組み合わせとしては、内容物に応じて適宜選択することができるが、例えば、第2組成物A2として、過酸化水素などの酸化剤を含む酸性の2液式染毛剤の第2剤原液を内容物とする場合、外層18a/中間層18b/内層18cの順番に、PE/EVOH/PE、PP/EVOH/PE、PET/EVOH/PE、PE/EVOH/PET、PE/NY/PE、PP/NY/PE、PET/NY/PE、PE/SiOX/PE、PP/SiOX/PE、PET/SiOX/PE、PE/Al/PEなどが挙げられる。特に、中間層に合成樹脂層を用いることが好ましい。また、第2内容器13の袋体18は、外層18aを省略した2層構造であってもよく、さらに任意に合成樹脂層または非金属ガスバリア層を設けた4層以上の構造であってもよい。また、外容器11を透光性とした場合、第2内容器13を透光性にすることが好ましい。
【0017】
バルブアッセンブリ14は、2つの独立したエアゾールバルブ20と、それらのエアゾールバルブ20を受け入れるバルブホルダー21と、エアゾールバルブ20およびバルブホルダー21を覆うようにしてエアゾールバルブ20をバルブホルダー21に固定し、そのバルブホルダー21を外容器11に固定するマウンティングカバー22とからなる。
【0018】
エアゾールバルブ20は、上下移動自在に設けられ、常時上方に付勢されたステム20aを下方に操作することによって、そのステム20aを収容するハウジング20bと大気とを連通する公知のものである。また、2つのエアゾールバルブ20は、それぞれ第1内容器12または第2内容器13と連結される。つまり、一方のエアゾールバルブ20のハウジング20bの筒状の下端20cに第1内容器12の第1連結体17を連結し、他方のエアゾールバルブ20のハウジング20bの筒状の下端20cに第2内容器13の第2連結体19を連結し、それぞれのハウジング(エアゾールバルブ)内とそれぞれの内容器内
とを連通するものである。
【0019】
バルブホルダー21は、円柱状の本体26と、その下端から半径方向外側に突出した円板状のフランジ部27と、その本体の下面から下方に延びる筒状の外容器係合部28と、本体26を上下に貫通するように形成され、それぞれでエアゾールバルブ20を保持する2つの筒状のバルブ保持部29とからなる。外容器係合部28の外面には、環状の溝部28aが形成されている。この溝部28aには、外容器11とバルブホルダー21との間をシールする環状のガスケット28bが挿入される。本体26と外容器係合部28とは同軸上に設けられている。筒状のバルブ保持部29は、内面にエアゾールバルブ20を保持するための段部29aが形成されている。2つのバルブ保持部29は、本体26の中心軸を軸に軸対称に設けられている。
【0020】
マウンティングカバー22は、エアゾールバルブ20、バルブホルダー21および外容器11の上部(この実施形態ではフランジ部11dおよび首部11cの上端)を覆う上面22aを有するカップ状のものである。また、上面22aには、エアゾールバルブ20のステム20aを通す貫通孔22bが形成されている。そして、下端を外容器11方向にカシメてバルブアッセンブリ14と外容器11とを固定する。
【0021】
このように構成された2液吐出装置10には、第1内容器12内に第1内容物Aを充填し、第2内容器13内に第2内容物Bを充填し、外容器11と第1内容器12および第2内容器13との間の隙間Sに噴射剤を充填する。これにより、バルブアッセンブリ14の2つのエアゾールバルブ20のステム20aに装着される吐出部材を下方に操作することにより、第1内容器12と大気、および、第2内容器13と大気とがそれぞれ連通し、噴射剤の圧力によってそれぞれ第1内容器12および第2内容器13が押圧され、第1内容物Aおよび第2内容物Bがそれぞれのステム20aを通って吐出部材から吐出される。
なお、前記第1内容物と第2内容物としては、2液式染毛剤や2液式パーマ剤などが挙げられる。特に、2液式染毛剤は、酸化染料を含むアルカリ性の第1剤原液と過酸化水素などの酸化剤を含む酸性の第2剤原液とからなる。
前記2液式染毛剤の第1剤原液としては、パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、パラトルイレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−パラフェニレンジアミン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、2−クロロパラフェニレンジアミン、N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノールなどの酸化染料を有効成分として用い、これにアンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアミノ基有するもの、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ剤、安定化剤、他の有効成分、界面活性剤、アルコール類、油成分などを適宜選択して水などの溶媒に配合したものがあげられる。前記原液のpHは8〜12、好ましくは9〜11に調整される。
前記2液式染毛剤の第2剤原液としては、過酸化水素などの酸化剤、安定化剤、他の有効成分、界面活性剤、アルコール類、油成分などを適宜選択して水などの溶媒に配合したものがあげられる。前記原液のpHは2〜6、好ましくは3〜5に調整される。
前記2液式染毛剤の第1剤原液と第2剤原液は第1内容器と第2内容器のいずれにも充填することができるが、アンモニアの透過を防止して染毛効果を維持し、かつ、発生した酸素によりガスだまりができるのを防止するために、第1剤原液を第1内容器に、第2剤原液を第2内容器に充填することが好ましい。
前記噴射剤としては、窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガス、液化石油ガス、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスなどがあげられる。前記噴射剤により外容器内の圧力を0.2〜0.8MPaにし、第1内容物および第2内容物を常時加圧する。
【0022】
この2液吐出装置10は、第1内容器12が少なくとも金属箔からなる中間層16bを備えているため、ガスバリア性が高く、少なくとも第1内容器12内に充填される内容物を長期間安定に収容することができる。一方、第2内容器13が、少なくとも水蒸気や湿気等の水成分の透過を防止し、酸素の緩やかな透過を許す非金属のガスバリア層(中間層18b)を備えているため、第2内容器内に例えば過酸化水素など自己分解することによって酸素を発生する内容物を充填しても、発生した酸素を徐々に外部に放出し、第2内容器内でガスだまりができるのを防止する。そのため、吐出時における内容物の飛び散りを防止し、吐出に伴って容積が確実に小さくなる。そして、この第1内容器12および第2内容器13を外容器11内に挿入しているため、第2内容器13から隙間Sに透過してくる酸素が第1内容器12内に進入することを防止することができる。また、外容器11および第2内容器13を透光性とすることにより、2液吐出装置10の外部から内容物の残量を目視で確認することができる。
【0023】
図2の2液吐出装置30は、第2内容器31が胴部31aと、肩部31bと、首部31cとからなる有底円筒状の一体成形品とした点が図1の2液吐出装置10と異なる。他の構成は、図1の2液吐出装置10と実質的に同じであり、外容器11、第1内容器12、バルブアッセンブリ14を備えている。また、バルブアッセンブリ14には、それぞれエアゾールバルブ20のステム20aから吐出される内容物を並列にして吐出する吐出部材15が連結されている。図2aの第1内容器12および第2内容器31の点線は、第1内容器12および第2内容器31にそれぞれ第1内容物、第2内容物を充填する前の状態を示しており、第2内容器31は内部の空気を排出して収縮させている。
【0024】
第2内容器31は、合成樹脂からなる外層32aと、非金属製のガスバリア材料からなる中間層32bと、合成樹脂からなる内層32cとを備えている。このような第2内容器31は、押出成形により3層構造の筒状のパリソンを成形し、その後、空気を吹き込んで膨らませ、下部をカットし接着して底部を形成するダイレクトブロー成形によって成形される。第2内容器31は可撓性を有し、噴射剤の圧力で収縮する。
【0025】
このように第2内容器31をブロー成型により成型した可撓性を有する円筒状の容器とすることにより、第2内容物を充填する前に内部の空気を排出して収縮させて第2内容物を充填しても決まった円筒状になる。一方、折り畳んで収容するパウチ型の第1内容器12は第1内容物を充填すると扁平に膨らむが、外容器内の規制された空間内ではその形状は安定しない。この実施の形態のように、ブロー成型した第2内容器31を用いることにより、図2bに示すように、第1内容器12は第2内容器31と当接して、内容物充填後の形状が安定する。また、第1内容器12は第2内容器31を覆うようにして配置させることができる。これにより、外容器11内の空間を2つの内容器で有効に利用することができ、それぞれの内容物の充填量も増量させることができる。本実施形態では、第2内容器31を外容器11内に挿入した後、第2内容器31内をバキュームして収縮させるが、その場合でも第2内容器は内容物を充填することにより決まった円筒状となるため、それぞれに内容物を充填した後の第1内容器12および第2内容器31の形状は安定する。さらに一層外容器の空間を利用するべく、第2内容器31の首部31cと胴部31aの中心をずらすようにしてもよい。つまり、胴部31aの中心が、首部31cの中心より外容器11の中心に近づくようにしてもよい。
また、この2液吐出装置30も、第1内容器12および第2内容器31を外容器11内に挿入しているため、第2内容器31から隙間Sに透過してくる酸素が第1内容器12内に進入することを防止することができると共に、第2内容器31内にガスだまりができることを防止する。そのため、吐出時における内容物の飛び散りを防止でき、また吐出に伴い容積が確実に小さくなり、外容器11を透光性とする場合、内容物の残量を確認できる。
【0026】
図3の2液吐出装置40は、第2内容器41の胴部41aがプリーツ形状となっているものであり、他の形状は、図2の2液吐出装置と実質的に同じである。つまり、外容器11、第1内容器12、バルブアッセンブリ14を備えており、バルブアッセンブリ14には吐出部材15が連結されている。図3a、bの第1内容器12の点線は、第2内容器12が収縮した状態を示す。
このように第2内容器41をプリーツ形状とすることにより、内容物量による容積変化を大きくでき、また膨張時あるいは収縮時の形状が安定している。これにより一層外容器11内の空間を2つの内容器で有効に利用することができる。
この場合も、第1内容器12および第2内容器41を外容器11内に挿入しているため、第2内容器41から隙間Sに透過してくる酸素が第1内容器12内に進入することを防止することができると共に、第2内容器41内にガスだまりができることを防止する。
【符号の説明】
【0027】
10 2液吐出装置
11 外容器
11a 胴部
11b 肩部
11c 首部
11d フランジ部
12 第1内容器
13 第2内容器
14 バルブアッセンブリ
15 吐出部材
16 第1袋体
16a 外層
16b 中間層
16c 内層
17 第1連結体
18 第2袋体
18a 外層
18b 中間層
18c 内層
19 第2連結体
20 エアゾールバルブ
20a ステム
20b ハウジング
20c 下端
21 バルブホルダー
22 マウンティングカバー
22a 上面
22b 貫通孔
26 本体
27 フランジ部
28 外容器係合部
28a 溝部
28b ガスケット
29 バルブ保持部
29a 段部
30 2液吐出装置
31 第2内容器
31a 胴部
31b 肩部
31c 首部
32a 外層
32b 中間層
32c 内層
40 2液吐出装置
41 第2内容器
41a 胴部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧性を有し噴射剤を充填する外容器と、
前記外容器に挿入され、可撓性を有し、第1内容物を充填する第1内容器と、
前記外容器に挿入され、可撓性を有し、第2内容物を充填する第2内容器と、
前記第1内容器、第2内容器および外容器を閉じ、操作することにより第1内容器および第2内容器を大気と連通させるバルブアッセンブリとからなり、
前記第1内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、金属箔からなる第1ガスバリア層とを有しており、
前記第2内容器が、合成樹脂からなる内層と、その内層の外部に設けられ、非金属からなる第2ガスバリア層を有している、
2液吐出装置。
【請求項2】
前記外容器および第2内容器が透光性を有する、
請求項1記載の2液吐出装置。
【請求項3】
前記第1内容器が、積層シートを貼り合わせたパウチ型の容器であり、
前記第2内容器が、積層体のパリソンをブロー成形した円筒状の容器である、
請求項1記載の2液吐出装置。
【請求項4】
前記バルブアッセンブリが、第1内容器と大気とを独立して開閉する第1バルブ機構と、第2内容器と大気とを独立して開閉する第2バルブ機構とを備えている、
請求項1記載の2液吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−43659(P2013−43659A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181021(P2011−181021)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】