20(R)−人参サポニン(ジンセノサイド)Rg3薬用組成物水溶液及びその調製方法
ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液は、その原料の含有量が0.5〜10mg/mlで、その調製の方法は、0.15%のジンセノサイド溶液を温度40〜100℃の0.1〜30%の副原料A、B<1><2><5>水溶液に加え、両者の重量比は1:1〜300で、減圧して溶剤を回収した後に水を加える。もう1種のジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液は、その原料を0.1〜2mg/1ml含むジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液であり、その調製の方法は、0.1〜5%のジンセノサイ溶液を温度60〜100℃の20〜65%の副原料B<3><4>の水溶液に加え、両者の重量比は1:100〜400で、減圧して溶剤を回収した後に水をくわえる。上述の20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液および乾燥した後に得る水溶性粉末で調製した注射、内服、外用の薬物製剤は、生物利用度が高く、腫瘍の抑制、放射化学療法の効果の増大と毒性の減少、免疫機能の向上、疲労抵抗、記憶改善、腫れ直し、痛み止め、傷口の癒合などの作用がある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高麗人参のジンセノサイド薬用組成物水溶液及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジンセノサイドRg3は高麗人参の中に存在する1種の四環のトリテルペノイド類サポニン化合物で、分子量は784.13である。また20(R)-ジンセノサイドRg3と20(s)-ジンセノサイドRg3の2種類の光学異性体の形式で存在しており、その内20(R)-ジンセノサイドRg3は化学的性質が安定していて、水に溶けない。20(s)-ジンセノサイドRg3は化学性質が不安定で、水に溶け易い。
【0003】
これら二つの構造式:
【化1】
【0004】
【化2】
【0005】
発見によると、20(R)-ジンセノサイドRg3は強い腫瘍の抑制作用と移転の抑制作用をもっている、しかし水に溶けない物質であるため、内服製剤としての生物利用度は低く、その臨床の薬効果の発揮は大きく制限され、同時に非腸管薬に用いることも制限されていた。
【0006】
20(R)-ジンセノサイドRg3を水に溶かすため、人々はこれに対し研究を行った。2003年1月29日に、「発明專利(特許)公報」(中華人民共和国特許局編集)に公開された1種の<ジンセノサイドRg3とヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの包接化合物及び調製剤と調製方法>(申請番号01119929.6)などの発明がある。この主要な内容は次のとおりである。
【0007】
高麗人参のジンセノサイドRg3のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン包接化合物で、これは以下の原料から以下述べる重量比率で構成された。つまり、ジンセノサイドは:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン包接化合物=1:1〜200の比で造られるものである。
【0008】
その調製方法は、以下のとおりである。
(1)ジンセノサイドRg3を有機溶剤に溶かす。
(2)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを水に溶かす。
(3)強烈に攪拌しなからジンセノサイドRg3溶液をゆっくりとヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む水溶液に垂らして加え、すべてを加え終わった後、2〜24時間引き続き攪拌し続け、0.45μmの細孔膜を使って濾過し、濾液を濃縮して、有機的溶剤を取り除き、注射水に加え再び溶解させて、0.22μmの細孔膜に通し、濾液を冷凍乾燥すると、柔らかい白色の粉末ができる、これが人参サポニン(ジンセノサイド)包接化合物である。
【0009】
この先行技術の問題点は以下のとおりである。
(1)包接化合物の調製の過程で、その反応液体を原体積の1/3まで回収し、測定をすると、まだ多くの有機溶剤が残留していることが分かり、乾燥冷凍させても残留溶剤を取り除くことができないため、この包接化合物粉末を用いて調製する注射剤は有機溶剤残留基準に合わせることは難しい。
(2)包接化合物の調製の過程で有機溶剤が残留しているため、ジンセノサイドRg3とヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは1:1〜200の割合で水に溶けやすい包接化合物ができる。もしも残留している有機溶剤を完全に取り除けば、上述の割合の範囲内では、安定した水に溶けやすい包接化合物を作ることはできない。ジンセノサイドRg3はすぐにその包接化合物水溶液の中から分かれて沈殿し、この包接化合物は注射剤に用いることができなくなる。
(3)ジンセノサイドRg3は、その全てを包接化合物にできるわけではなく、利用率は86%だけであり、これを注射剤にする生産コストは大幅に高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、製品コストが低く、人体に吸収し易い20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物と調製剤及びこれらの調製方法と医薬用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主な原料(略称、原料)は、20(R)-ジンセノサイドRg3である。
本発明の副原料(略称、副原料)はA、Bの二種類で、A類はデオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムとアルギニンである。
B類はシクロデキストリンで、以下のものが含まれる。
<1>シクロデキストリン及びその誘導体、例えばシクロデキストリンポリマーのナノ微粒子、シクロデキストリンポリマー、分岐鎖シクロデキストリン。
<2>β-シクロデキストリン及びその誘導体、例えばβ-シクロデキストリン(β-CD)、2,6-ジメチル-β-シクロデキストリン(DM-β-CD)、グルコシル-β-シクロデキストリン(G1-β-CD)、β-シクロデキストリンに基づくナノ組織体(nano based β-cyclodextrin)、スルフォブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、メチル-β-シクロデキストリン(M-β-CD)、ランダムメチル-β-シクロデキストリン(RM-β-CD)。
<3>ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン誘導体、2,3-ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン。
<4>ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン。
<5>シクロデキストリン及びその誘導体混合副原料、上述したシクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルとヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン及びこれらの誘導体間で、いろいろな組み合わせ方によって混合された混合物。
【0012】
本発明の原料と副原料の重量比率
20(R)-ジンセノサイドRg3:副原料A或いはB<1><2><5>=1:1〜300である。20(R)-ジンセノサイドRg3:副原料B<3><4>=1:100〜400である。
【0013】
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物の調製方法
(1)原料液を作る。
原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る。使われる混合有機溶剤とその比率は以下の通りである。
1)クロロホルム:酢酸エチル:エタノール(メタノール):水=10〜25:30〜45:18〜30:5〜15、(下層)。2)クロロホルム:エタノール(メタノール):水=70〜60:40〜30:10、(下層部)。3)エタノール:水=90〜95:10〜5。4)メタノール:水=85〜90:15〜10。5)アセトニトリル:水=40〜60:60〜40。6)ジクロロメタン:アルコール(メタノール):水=60〜65:40〜35:10。7)アセトニトリル:エタノール(メタノール)=70〜80:30〜20。8)ジメチルスルホキシド:水=90〜80:10〜20。9)プロピレングリコール:エタノール(メタノール):トゥイーン80:水=40〜50:10〜20:1〜49:29。
【0014】
(2)副原料液を作る。
1)上述のA、Bの2種類の副原料をそれぞれ水の中で溶かして、0.1〜30%の水溶液(a)をつくる。
2)上述のB類の<3><4>組をそれぞれ水に溶かして、20〜65%の水溶液(b)をつくる。
【0015】
(3)原料液を副原料液に加えて、澄んだ液体を作る。
1)上述したジンセノサイド溶液を一度に温度40〜100℃の上述の副原料水溶液(a)に加えて0.1〜3時間攪拌すると、澄んだ液体を得ることができる。
2)或いは、上述したジンセノサイド溶液を一定の速度で温度60〜100℃の上述の副原料水溶液(b)に垂らし加えて、ジンセノサイド溶液を垂らし加え終えるまでずっと攪拌する。すると、澄んだ液体を得ることができる。
【0016】
(4)溶剤を回収して、薬用組成物を作る。
上述のステップ(3)で得た澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPaと温度80〜100℃の条件で減圧し、原体積の2/3からほぼ乾燥するまで、溶剤を回収する。そして、水を原体積になるまで加えて溶解し、溶剤が乾ききりそうになるまで減圧回収する。更に上述のステップを2回繰り返し、最後に注射用水或いは純水を加え、振って均等に溶解させる。この水溶液が20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物溶液であり、その内、20(R)-ジンセノサイドRg3とそれぞれA、B<1><2><5>2種類の副原料によって作られた組成物溶液は、原料を0.5〜10mg/ml含む。20(R)-ジンセノサイドRg3とB類<3><4>組の副原料とそれぞれ作られた組成物溶液は、原料を0.1〜2mg/ml含む。真空、噴霧、冷凍などで乾燥させると20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬用組成物粉末を得ることができる。乾燥方法は以下のとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】
上の方法で得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬用組成物原料を使って、以下の各種の製剤を調製することができる。
【0019】
1.内服及び外用薬製剤
A、Bの副原料と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液は、乾燥させると水に溶けやすいジンセノサイドRg3固体粉末になる。更にそれを薬学上で受け入れられるキャリアと合わせ、製剤調製技術により各種の製剤が製造できる。例えば:粒剤、錠剤、柔(硬)カプセル剤、内服液、外用剤(貼付剤、軟膏、液剤、エアゾール剤)。
【0020】
2.注射剤
1)副原料A或いは副原料B<3><4>と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬物組成物溶液を使って、この溶液を超濾過器に通すか、又はその重量の0.1%の注射用活性炭と均等に混合させ、80℃の温度で30分間保温させる。その後0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、0.22μmの細孔濾過膜に通して菌を除けば注射液ができる。また、更に冷凍乾燥させると凍結乾燥注射剤或いは注射用無菌粉末ができる。
【0021】
2)副原料A或いは副原料B<3><4>と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬物組成物溶液を減圧して溶剤の回収と乾燥(真空、噴霧、冷凍乾燥)をし、安定した水に溶けやすいジンセノサイドRg3固体粉末をつくる。これを更にもう1度水に溶かした後に凍結乾燥注射剤或いは注射用無菌粉末を作ることができる。
【0022】
上述した20(R)-ジンセノサイドRg3薬用固体と液体組成物及び薬物製剤は腫瘍の拡大と移転の抑制作用があり、放射線化学療法と併用すればその効果を増大して毒性を減少させ、体の免疫機能を高め、疲労を抵抗し、記憶力を改善する。外用としては、腫れを直し、痛みを止め、傷口を癒合させる作用がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は現有の技術と比べ以下の長所がある。
1.本発明の調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液を乾燥させれば、完全に水に溶解できる残留有機溶剤を含まない粉末を得ることができるので、《中華人民共和国薬典》の注射剤品質要求に合った凍結乾燥注射剤を作ることができ、多種の内服及び外用薬物製剤を作ることもできる。
【0024】
2.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物注射剤も内服製剤も、現有の内服製剤(商品名:参一カプセル)より生物利用度が著しくて高まっている。前者は注射により100%動物と人体の血液中に入り、その絶対的生物利用度は100%であり、現有の内服製剤より20〜50倍高まる。後者も現有の内服製剤より生物利用度は10倍以上も高まる。
【0025】
3.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3は100%副原料と組成物溶液を形成し、乾燥させると凍結乾燥注射剤を作ることができ、原料の20(R)-ジンセノサイドRg3の利用率を100%に到達させ、そのコストはこの成分の包接化合物凍結乾燥注射剤よりはるかに低い。
【0026】
4.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物内服薬物製剤は、その生物利用度が高まったため、半分少ない量で現有のカプセル剤と同じ治療効果が出るので、腫瘍患者の医薬費を大幅に下げることができる。
【0027】
5.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物注射剤はラット及び犬の肝臓、胃腸壁での分布濃度が高い、そのため消化管の腫瘍及び転移に良い治療効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施例1
1gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:酢酸エチル:エタノール:水(10:30:18:5、下層液)で溶解し、0.1%の溶液に調製する。また別に、100gのデオキシコール酸ナトリウムを取り、注射用水溶液で溶解させ、40℃まで加熱し、30%の溶液に調製する。調製したジンセノサイド溶液を上述のデオキシコール酸ナトリウム溶液に加え、3時間攪拌し、澄んだ溶液を得る。濾過し、真空度0.01MPa、温度100℃の回転蒸発器で減圧して乾きそうになるまで溶剤を回収し、蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、乾きそうになるまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返し、有機溶剤を除ききる。注射水を100mgになるまで加えると、20(R)-ジンセノサイドRg3とデオキシコール酸ナトリウムの組成物溶液100mlを得ることができる。高速液体クロマトグラフ質量分析法で、この溶液を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は10mg/mlだとわかる。その結果は、図1と図2に示すとおりである。
【0029】
実施例2
0.5gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:酢酸エチル:エタノール:水(25:45:30:15、下層液)で溶解し、5%の溶液に調製する。それとは別に、100gのドデシル硫酸ナトリウムを取り、注射水で溶解し、100℃まで加熱して、0.1%の溶液に調製する。調製したジンセノサイド溶液を上述のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、0.1時間攪拌して、澄んだ溶液の組成物調製液を得る。濾過して、真空度0.08MPa、温度80℃の回転蒸発器で減圧し、原体積の1/4となるまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返し、有機溶剤を除ききる。純水を1000mlになるまで加えると、20(R)-ジンセノサイドRg3とドデシル硫酸ナトリウムからなる組成物溶液1000mlを得ることができる。高速液体クロマトグラフでこの組成物溶液を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は0.5mg/mlである。その結果は、図3と図4に示すとおりである。
【0030】
実施例3
0.5gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:アルコール:水(70:30:10、下層液)で溶解し、0.1%の溶液に調製する。それとは別に、500gの2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを取って、蒸留水を加えて溶解させ60℃まで加熱して、20%の溶液に調製する。攪拌しながら、調製したジンセノサイド溶液を10ml/分の均等速度で上述の2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液に垂らして加え、垂らし終えたら攪拌するのを止める。真空度0.05MPa、温度100℃の回転蒸発器で減圧し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返す。2.5lの注射用水で濃縮物を溶解し、得られた水溶液は20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性中間体である。高速液体クロマトグラフでこの水溶性中間体を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は2mg/mlである。その結果は、図5と図6に示すとおりである。
【0031】
実施例4
2gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:エタノール:水(70:30:10、下層液)で溶解し、5%の溶液に調製する。それとは別に、600gのβ-シクロデキストリンを取って、蒸留水を加えて溶解させ、40℃まで加熱して、30%の溶液に調製する。攪拌しながら、調製したジンセノサイド溶液を5ml/minの均等速度で上述のβ-シクロデキストリン溶液に垂らして加え、垂らし終えたら攪拌するのを止める。真空度0.04MPaの回転蒸発器で減圧し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返す。20lの注射用水で濃縮物を溶解し、得られた水溶液は20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性中間体である。高速液体クロマトグラフでこの水溶性中間体を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は0.1mg/mlある。その結果は、図7と図8に示すとおりである。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
実施例44
実施例1で調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液100mlに、注射用水を1000mlになるまで加え、更に0.1gの注射用活性炭を加え均等に混合させて、80℃の温度に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜に通して菌を濾過し、無菌の条件で10mlの無菌のシリンダーに注入し、一本ごとに約4.5〜4.9ml:5mgの量を入れる。そして注入したシリンダーに半分栓を詰め、凍結乾燥機(LYO-5、上海生産)の盤の上に置き、扉をきちんと閉め、凍結乾燥機を始動させる。まず-40℃以下まで冷凍し、4時間保った後、真空乾燥を始動させ、そして-45℃〜-30℃/4時間、-30℃〜-20℃/4時間、-20℃〜-15℃/2時間に合わせ昇華させる。更に4時間で15℃〜30℃まで昇温乾燥させて、冷凍乾燥し終えた後、栓を詰め込み、アルミニウムの蓋をつけて、サンプリング検測し、合格の後包装すると、1000本の注射用冷凍乾燥注射剤(それぞれRg3を1mgづつ含む)ができる。実施例2〜40は皆、上述のステップ順序によって、水溶液粉末をつくる。
【0036】
実施例45
実施例20で得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物溶液50lを取り、双錐回転真空乾燥箱(型番SZG-4500、常州生産)のステンレス乾燥盤の上に置き、80℃と真空度1.3Paの条件下で12時間真空乾燥して、水溶性粉末を得る。或いは上述の組成物溶液を組立式噴霧乾燥機(ZPG-105、常州生産)の流動層乾燥器の中で入れ、20℃で、二つノズルで0.8kg/hの速度で20%の固体物を含む組成物溶液を連続して流動層の中に噴き込み、流動気体入温度150℃、吹き込む量は流動層の温度を75℃まで達成させる量であり、100〜250ミクロンの水溶液粉末55kgを得る事ができる。或いは上述の乾燥後の水溶性粉末をもう再び溶解させ、更に実施例35の冷凍乾燥方法の操作で、凍結乾燥注射剤10000本(それぞれ5mgづつ含む)を得る。
【0037】
実施例46
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤が体内での生物利用度を高める試験
私達は、Beagle犬に20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤と原料のカプセルを内服させた後の血薬濃度(瀋陽薬科大学薬物代謝と薬物動力学実験室に委託し、この試験を完成した。)を測定し、Beagle犬が20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤を内服した時の血薬濃度が、原料の20(R)-ジンセノサイドRg3のカプセル剤を内服した時よりも12〜20倍高いことを証明した。これによりRg3組成物粒剤の動物体内での生物利用度が、Rg3原料で作ったカプセル剤よりもはるかに高いことが証明された。
【0038】
Beagle犬に実施例37で得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物粒剤を内服させて、その生物利用度を測定した。生物サンプルの測定は、API 4000型質量分析計を利用し、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析を採用した。7匹の犬に5.6gのジンセノサイドRg3とβ-シクロデキストリン(1:200)薬用組成物(Rg3を30mg含む)を内服させた後の血漿薬物濃度の時間曲線は図9に示すとおりである。7匹の犬に3粒の参一カプセル(Rg3を30mg含む、Rg3の含有量は10mg/粒)を内服させた後の血漿薬物濃度の時間曲線は図10に示すとおりである。二組の試験の平均血漿薬物濃度の時間曲線は図11に示すとおりである。薬用組成物を内服させた後、血漿薬物濃度は2.3±0.9hでピーク濃度6.8±1.8ng/mlに達し、半減期は6.0±0.9hで、薬の時間曲線の下の面積(AUC0-t)は40.0±15.7ng・h/mlである。
【0039】
実施例47
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物凍結乾燥注射剤の抗腫瘍の薬効学試験
1 試験薬物及び調製方法
試験薬物:ジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤。ロット番号:20030519、規格:5mg/本。
調製方法:精密に一定量のジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤或いは相当する副原料を量り取り、生理食塩水を必要な濃度になるまで加える。投与薬の体積は0.5ml/マウスである。
【0040】
2 実験材料
2.1 溶剤 生理食塩水。
2.2 陽性対照サンプル 注射用シクロホスファミド(CTX),上海華聯製薬グループ生産;毎日一回、連続7日間;5Fu注射液,上海旭東海普薬業有限公司生産;注射用マイトマイシン(MMC),日本協和発酵工業株式会社生産。
【0041】
2.3 腫瘍源 人体の胃癌MGCモデル、腸癌モデルLOVO及び肝臓癌QGYは皆第2世代以上の腫瘍を腫瘍源とする。小さいマウスB16黒色素腫瘍細胞モデルなどは皆上海医薬工業研究院薬理室から引継ぎ維持している。
【0042】
3 実験動物
3.1 出所 ヌード小マウスは、上海市中科院動物センターの提供で、合格証号:SCXK 2003-0003のものを使用した。C57BL/6及び昆明種小マウスは、本学院の実験動物組の提供で、実験動物許可証号:SYXK(上海)2004-0015のものを使用した。
3.2 体重 ヌード小マウスは6週目で、昆明種小マウス及びC57BL/6小マウスは18〜22gである。
3.3 性別 雌雄ともに可、毎都度の実験に同一の性別を使う。
3.4 動物数 試験組及び陽性対照組のヌード小マウスは一組ごと6匹ずつの小マウス、その他の小マウスは一組ごとに8〜10匹、陰性対照は各2組使用した。
【0043】
4 試験設計
4.1 剤量設置 与えるジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤の量の設置は、1.5mg/kg/d、0.75mg/kg/d,0.375mg/kg/dである。
【0044】
4.2 薬投与方案 静脈に薬を与え、毎日2回、人体腫瘍モデル及び細胞接種の小マウスモデルiv×14bid、小マウス腫瘍接種モデルにiv×10bidの治療方案である。
【0045】
4.3 試験対照 陰性対照:試験組と同じ副原料を与え、薬投与方案は試験組と同一である。陽性対照:シクロホスファミド CTX 30mg/kg、MMC 2mg/kgと5Fu30mg/kgを腹腔で内服、或いは静脈で毎日一回、連続7日間薬を投与する。
【0046】
5 試験方法
5.1 抗腫瘍の試験
5.1.1 胃原位置接種モデル(Stomach in situ inoculation model)
無菌条件の下で2世代体内増殖した生長旺盛なMGC胃癌を取り、ホモジネート法で約2×107/mlの細胞サスペンションに調製し、手術でヌード小マウスの胃の大弯の筋層(the muscular layer of greater curvature of stomach)内に細胞サスペンション0.05mlを注射し、翌日、実験設計案どおりに薬を投与して、下記の公式で腫瘍宿主の生命延長率を計算する。
生命延長率%=薬投与組の平均生存日数/対照組の平均生存日数×100%
【0047】
5.1.2 肝原位置接種モデル(Liver in situ inoculation model)
無菌条件で2世代体内増殖した生長旺盛なQGY腫瘍源を取り、ホモジネート法で約1〜2×107/mlの細胞サスペンションに調製(細胞サスペンションとPBSの比率は1:6である。)し、ホモジネートを100目のステンレス網で濾過し、後で使用するために備えた。ヌード小マウスを通常の方法で消毒し、腹腔の中央剣状突起を麻酔させ皮膚と腹腔を切り、肝臓を暴露させ、肝臓の本体部を入り口としての28ga 1/2ml注射器で0.05mlの細胞サスペンションを注射し、腹腔を閉じ、腹腔と皮膚を毎層縫い付ける。ヌード小マウスを層流ラックの中で育て、使われる飼料、マット、かご及び接触機器などは全て高圧消毒後のものを使用する。翌日、実験設計案どおりに薬を投与、各組の動物の45日間内の生存時間を観察し、陰性対照組と比較し、生命延長率を統計する。
【0048】
5.2 効果増大の試験
5.2.1 腋皮下接種モデル
無菌条件で生長旺盛な腫瘍源を取り、ホモジネート法で約1〜2×107/mlの細胞サスペンションに調製して、対応宿主の腋皮下に0.2ml/各マウスに接種し、翌日、実験設計案どおりに薬を給与して、三週間前後で各組の動物を殺し、腫瘍を切り取って重量を測り、下記の公式腫瘍抑制率を計算する。
腫瘍抑制率%=[(対照組平均腫瘍重量−薬供与組平均腫瘍重量)/対照組平均腫瘍重量]×100%
【0049】
5.2.2 尾静脈接種モデル
無菌の条件でログ生長期の小マウスB16黒色素腫瘍細胞を、約2.5×105/mlの細胞サスペンションに調製して、C57BL/6小マウスの尾静脈に0.2ml/マウスとなるように接種し、翌日、実験設計案どおりに薬を給与する。三週間前後で各組の動物を殺し、小マウスの肺臓を切り取り、各マウスの肺臓に転移されたコロニー数を計測し、下記の公式で腫瘍抑制率を計算する。
腫瘍抑制率%=[対照組平均コロニー数−薬供与組平均コロニー数)/対照組平均腫コロニー数]×100%
【0050】
5.3 毒性減少の試験
ジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤による化学療法により、子マウスの白血球細胞の変化の影響を観察する。C57BL/6子マウスを80匹取り、各マウスの目の静脈群から血を取り、通常の白血球細胞スライドガラス計法で、各マウスの白血球数計測し、7500±300個の白血球/mm3の小マウスを選び、ランダムに組分けをし、一組ごとに10匹ずつ小マウスを入れる。第0、2日は空白対照組以外、各組皆に化学療法薬CTX 100mg/kg ip×2を与える。上述の方案により薬を給与して、第0日目から各組の白血球細胞数を測り始め、後実験期間では3日ごとに、各組の子マウスの白血球細胞数を検測し、各組の子マウスの白血球細胞数平均値と標準差を計算し、これを陽性対照組の白血球細胞が正常に回復するまで行う。
【0051】
5.4 免疫の試験
5.4.1 ルイス肺癌C57BL/6マウスのNK細胞活性試験
C57BL/6小マウスを取り、足指の皮下に無菌調製したルイス肺癌混サスペンションを0.05ml/マウス(約1×106の腫瘍細胞)に接種する。翌日ランダムに組を分け、実験設計どおりに薬を投与し、最後の薬投与後の翌日に無菌の条件で小マウスの脾臓を取り、100目の網で単個の細胞サスペンションをつくり、低滲で赤血球を除き、細胞サスペンション液を育成瓶の中に移し、37℃、5%CO2の条件で1時間育成した後に壁付着性の細胞を除き、活細胞を計数し細胞濃度を3×106個の細胞/mlに調製して効果細胞とする。標的細胞はL929体外育成細胞を取り、通常の方法で24時間育成して、育成液で細胞濃度を1.5×105/mlに調製し、効果細胞と標的細胞の比が20:1になるようにする。96孔育成板を取りそれぞれ効果細胞と標的細胞に加え、それとは別に効果細胞対照と標的細胞対照を設けて、37℃、5%CO2の条件で4時間育成した後、MTT染色液を加え、更に2時間育成した後に消化液体を加え、翌日に各孔のOD値を測り、公式でNK細胞毒活性を計算する。
NK細胞毒活性%=[[標的細胞対照組ODの平均値-(実験組ODの平均値-効果細胞ODの平均値)]/標的細胞対照組ODの平均値]×100%
【0052】
5.4.2 正常な昆明種小マウスの腹腔におけるマクロファージ細胞の貪食機能試験
雄の昆明種小マウスを取りランダムに組分けして、実験設計案どおりに薬を給与し、最後の薬給与後、各組の小マウスの腹腔に0.5%の加水分解蛋白を1.5ml/匹注射し、24時間後に腹腔に1mlごと1×106のニワトリ赤血球サスペンションを0.2ml/匹注射する。40分後に生理塩水で洗脱し、小マウスの腹腔液を収集する。遠心して、細胞沈殿液を取り塗抹標本を製作し、メタノ−ルで固定し、ギムザ染色でマウントし、レンズで100個のマクロファージ細胞中、ニワトリ赤血球を貪食したマクロファージの数と貪食されたニワトリ赤血球の総数を計数して、下記の公式で貪食率と貪食指数を計算する。
【0053】
5.4.3 ルイス肺癌C57BL/6に対する小マウスのIL-2活性試験
双抗体サンドイッチELISA法を採用して、抗体小マウスのIL-2単一抗体物を酵素サンプルの上に付いて、標本と標準サンプル中のIL-2は単抗と結合し、遊離の成分は洗い流され、同時にビオチン化小マウスIL-2抗体とセイヨウワサビの過酸化化物酵素標記のアビジンを加える、ビオチンはとアビジンは特異性結合する。小マウスIL-2抗体と単抗に結合したIL-2が結合して免疫複合物を形成し、遊離成分を洗流す。顕色剤を加えると、青色を表示し、試験液を加え、黄色になる。450nmの所でOD値を測り、IL-2濃度とOD450値間は正比例を呈し、制作した標準曲線を通してサンプル中のIL-2濃度を求めることができる。
貪食率%=(100個のマクロファージ細胞中、ニワトリ赤血球を貪食したマクロファージの細胞数/100個のマクロファージ細胞)×100%
貪食指数=100個のマクロファージ細胞が貪食したニワトリ赤血球の総数/100個のマクロファージ細胞
【0054】
6試験結果
6.1 Rg3凍結乾燥注射剤及びカプセル剤が肺癌治療に与える効果及び黒色素B16に与える効果の比較試験の結果は、表5〜表6のとおり。
6.2 Rg3凍結乾燥注射剤が腸癌、胃癌治療に与える効果の試験結果は、表7〜表8に示す。
6.3 Rg3凍結乾燥注射剤が化学薬物治療の効果を増加する試験の結果は、表9に示す。
6.4 Rg3凍結乾燥注射剤が化学薬物治療の毒性を減少する試験の結果は、表10に示す。
6.5 Rg3凍結乾燥注射剤が免疫機能を高める試験の結果は表11〜表13に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
【表13】
【0064】
実施例48 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセルの疲労抵抗能試験
1. 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセルが小マウスの疲労に抵抗する作用の試験である。
1.1 材料と方法
1.1.1 サンプル:20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の内容物は白色粉末を呈していて、大連富生天然薬物開発有限公司の提供である。蒸留水で必要濃度に調製する。
【0065】
1.1.2 試験動物:1級の昆明種小マウス240匹、四川大学実験動物センターの提供(動物合格証号:川実管質第67号)である。
【0066】
1.1.3 剤量の選択:人体の推薦の剤量に基づき(10mg/60kg/d)の10倍、20倍、30倍(動物の1.67、3.34、5.01mg/kg/dに相当する)低、中、高の3つの剤量組を設ける。
【0067】
1.1.4 実験方法:体重の大きさに基づきランダムに陰性対照組と3つの試験組に分け、灌胃方式でサンプル(2%)を与え、毎日一回、陰性対照組には蒸留水を与えて、連続30日続ける。30日後それぞれ各指標を測定する。
【0068】
1.1.4.1 重荷を背負って泳ぐ実験:最後の灌胃から30分後、小マウスに負荷5%体重の鉛皮をつけ、水泳箱(水深30cm、水温25±0.5℃)に入れ泳がせ、小マウスの水泳開始から死亡までの時間、つまり小マウス水泳時間を記録する。
【0069】
1.4.1.2 竿登り実験:最後の灌胃から30分後、小マウスを竿登り棚の有機ガラス棒の上に載せ、筋肉を静力緊迫状態にさせ、小マウスが筋肉疲労により棒の上から落ちる時間を記録し、3回繰り返して、連続3回の時間を累計した時間を竿登り時間(秒)とした。
【0070】
1.4.1.3 尿素窒、肝グリコーゲンの測定:それぞれ最後の灌胃から30分後、小マウスを水泳箱(水深30cm、水温30±0.5℃)に入れ90分泳がせ、眼球血を取り血中尿素窒素の含有量(ジアセチル-オキシム法)を測定し、肝臓を取の肝グリコーゲンの含有量を測定する(アンスロン法)。
【0071】
1.4.1.4 乳酸の測定:最後の灌胃から30分後、眼球血を取り乳酸の含有量(SBA-バイオ感知装置)を測定し、小マウスを水泳箱(水深30cm、水温30±0.5℃)に入れ10分泳がせ、小マウスの尾の根部に負荷の4%体重の鉛皮をつけ、それぞれ泳がせた後、即刻と水泳後30分にまた眼球血を取り乳酸の含有量を測定する。
【0072】
1.4.1.5 統計分析:実験データをSPSS9.0統計ソフトで分散分析、q検定或いは順位和検定を行なう。
【0073】
1.2結果
2.1 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の小マウスの体重に対する影響
表14から分かるように、試験中期と試験終了時の各剤量組の子マウスの体重は対照組と比べて著しい差異は無い(P>0.05)。
【0074】
【表14】
【0075】
2.2 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤のマウスの重荷水泳時間に対する影響
表15から分かるように、低剤量組、高剤量組の小マウス重荷水泳時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。中剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0076】
【表15】
【0077】
2.3 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の小マウス竿登り時間に対する影響
表16から分かるように、低剤量組、中剤量組の小マウス竿登り時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。高剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0078】
【表16】
【0079】
2.4 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の血中尿素窒素に対する影響
表17から分かるように、中剤量組、高剤量組の小マウス運動後の血中尿素窒素含有量は陰性対照組より著しくて低下している(P<0.05)。低剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0080】
【表17】
【0081】
2.5 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量に対する影響
表18から分かるように,高剤量組の小マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量は陰性対照組より著しくて高まっている(P<0.05)。その他の剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0082】
【表18】
【0083】
2.6 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の血中乳酸レベルに対する影響
表19、20の表示どおり、低、中、高剤量組の小マウスの運動後血中乳酸の上昇幅と下降幅は陰性対照組と比べてどれも著しい差異はない(P>0.05)。
【0084】
【表19】
【0085】
【表20】
【0086】
1.3中間のまとめ
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の疲労に対抗する試験結果が示すように、低剤量組、高剤量組の小マウス重荷水泳時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。中剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。高剤量組の小マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量は陰性対照組より著しくて高まっている(P<0.05)。中剤量組、高剤量組の小マウス運動後の血中尿素窒素含有量は陰性対照組より著しく低下している(P<0.05)。運動後血中乳酸の上昇幅と下降幅は陰性対照組と比べてどれも著しい差異はない(P>0.05)。評価基準により、本検査品(20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル)は抗疲労の作用があると見なされる。
【0087】
実施例49 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤が記憶力を改善させる試験
1.材料と方法
1.1 材料
薬品:サンプルの20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤(10mg/袋)は、富力博士の提供である。スコポラミンは中国薬品生物製品検定所から購入した。憶恒粒剤(10g/袋)は、陝西開元製薬有限公司の生産である。上述の薬品は使用時に皆生理食塩水で必要な濃度に調製する。
動物:昆明種小マウス、雄18〜22g、吉林大学薬学院の提供である。
器具:小マウス飛び台機、水迷宮装置は吉林大学薬学院の自作で、接触電圧レギュレータは、中川グループ会社の上海振華穏圧器工場製造から入手した。
【0088】
1.2 方法
1.2.1 跳び台法
実験を始める前にまず動物を実験室に1時間置いて環境に適応させる。実験を始める時、動物を跳び台装置の安全台に置き、3分間環境に適応させて、それから36Vの電流を流し、動物が銅柵まで跳んだ時、つまり電撃を受けた時がミス反応で、正しい反応は安全台に跳び戻ることである。このように5分間訓練させて、24時間後にテストを行う。テストする時も跳び台装置に36Vの電流を流して、動物を安全台の上で置き、3分以内のミス回数を記録する。
【0089】
実験ステップ:健康の合格の小マウス72匹を選んで、重さを量り、1組ごとに12匹となるようにランダムに6組に分けた。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の量組は2.16、6.48、12.96mg/kgに分け、陽性対照組には憶恒粒剤を121.65mg/kg、空白対照組とモデル組には0.1ml/10gの生理塩水を与えてる。毎日1回、連続で7日薬を給与し、最後の薬給与の1時間後に、空白対照組は腹腔に同容量の生理食塩水を注射して、モデル組、Rg3組成物粒剤実験組、憶恒粒剤陽性組にはそれぞれ腹腔にスコポラミン4mg/kgを注射し、10分後に跳び台を行って、24時間後に測定する。
【0090】
1.2.2 小マウス迷路法
小マウス迷路装置内にはスタート区、多くの行き止まりのある曲折回路と安全区(1つの台)が設置されている。毎日薬給与の1時間後に小マウスをスタート区に戻し、安全区に向かうように導き、各マウスに毎日10回訓練させ、毎回の間隔は25秒、30秒以内に安全区に辿り着くことを正しい反応として、連続4日間訓練させる。各組の動物の正しい反応回数を記録し、正しい反応の百分率及び安全区に辿り着く平均時間を計算する。
【0091】
実験ステップ:健康の合格の小マウス72匹を選んで、重さを量り、1組ごとに12匹となるようにランダム6組に分けた。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の量組は2.16、6.48、12.96mg/kgに分け、陽性対照組には憶恒粒剤を121.65mg/kg、空白対照組とモデル組には0.1ml/10gの生理塩水を与えてる。毎日1回、連続で7日間薬を給与し、最後の薬給与の1時間後に、空白対照組は腹腔に同容量の生理食塩水を注射して、モデル組、Rg3組成物粒剤実験組、憶恒粒剤陽性組にはそれぞれ腹腔にスコポラミン4mg/kgを注射し、10分後に水迷路の訓練を行って、24時間後に測定する。毎回の間隔は25秒、30秒以内に安全区に辿り着くことを正確反応として、各組の正確反応回数を記録し、正確反応百分率を計算する。
【0092】
2.結果
2.1スコポラミンによる記憶の障害に対する改善作用(跳び台法)
結果は表21に示すとおり、モデル組は空白対照組と比べ、ミス反応の回数が著しく増えていて、4mg/kgのスコポラミンは記憶に障害を与えることを示しており、モデルは成立している。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤実験組はモデル組と比較して、明らかに小マウスのテスト期間のミス回数が下がっており、その効果作用は明らかに憶恒粒剤陽性対照組より優れている。実験の結果により、20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤は小マウスの記憶の障害に対して明らかに改善する作用があり、小マウスの学習記憶を増加させることが、証明される。
【0093】
【表21】
【0094】
2.2スコポラミンによる空間判断の障害に対する改善(水迷路法)
結果は表22に示すとおり、モデル組の子マウスの正解反応率は正常対照組と比べ著しく低く、訓練の二日目から20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤はその投与量に依存して子マウスの正確反応百分率を高め、スコポラミンによる小マウスの空間判断の障害に著しい改善作用がある。
【0095】
【表22】
【0096】
実施例50 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の腫れ直し、痛み止め、傷口癒合の試験
1. 材料と方法
1.1 実験動物:30匹の大きいマウス(吉林大学薬学院実験動物センターの提供)、体重250〜300g、雌雄半々、ランダムに3組に分ける。
【0097】
1.2 方法
1.2.1 動物傷制膜の生物学評価:8%硫酸バリウムで大きいマウスの後肢の毛を落としたが、皮膚の破損はなし。24時間後に3%のペントバルビタールナトリウム30mg/kgで腹腔内麻酔させ、うつぶせで造膜装置板の上に固定し、それから質量1kgの打撃金槌を10センチメートル高さまではなし、突然垂直に金槌を落とし、大きいマウス後肢部の筋肉の最もふくよかな所に打撃を与え、急性軟部組織損傷モデルをつくる。傷を負わせた30分後に、メスで皮膚の1.5〜3.0センチメートル深さの筋肉層まで切り、0.5gの筋肉組織を取り出す。傷口は組分けによりそれぞれ相応の処理を行う。実験組には20(R)-ジンセノサイドRg3組成物(1gが1mlの生理食塩水中に溶けている。)を貼り、陽性対照組には雲南白薬(1gの雲南白薬が1mlの生理塩水中に溶けている。)を塗り、陰性対照組には生理塩水を塗り、それぞれ1回/日の頻度で塗った。
【0098】
1.2.2 監測の指標:試験ずみの大きいマウスを組分けして籠を分けて育て、傷を負わせた後、0.5時間目を醒まさせ、10分ごとに一回きり使い捨てのプラスチック棒で軽く大きいマウスの双後肢傷表面を当て、2時間(12回刺激)内の大きいマウスが傷表面を舐める行為、肢縮反応、立つ時の後肢筋肉の震え等の痛み行為反応を観察し、3日、7日の傷口癒合の大体状況を撮影し、傷表面の感染率を記録する。7日後に動物を殺し、各組の動物の体重変化を評価する。
【0099】
1.2.3 統計学分析:SPSS10.0統計ソフトを採用して統計分析を行って、資料の計数はX2を採用して検定、資料計量は分散分析を採用し、p<0.05は差異が著しい。
【0100】
2 結果
2.1 実験後、各組の大きいマウスが目を醒ました後の2時間の痛い行為反応の情況
表23に示すとおりである。表面を舐める行為、足の縮めの反応、立つ時後肢の筋肉の震えなどの痛い行為反応は、3組の結果の分散分析は全体的に比較して著しい差異がある(p<0.01)。皆2つずつの比較を経ることを数えて、ジンセノサイドRg3組成物組は雲南白薬組、生理塩水組とそれぞれ比べ、表面を舐める行為でも著しい差異(p<0.05)がある。縮肢反応、筋肉の震えの方面に明らかな差異(p>0.05)はない。上述の結果に示されるのは、ジンセノサイドRg3組成物組は鎮痛作用を持っており、しかも雲南白薬組より優れていることである。
【0101】
2.2 大きいマウスの双後肢の傷後で異なる組の傷口感染情況
表24に示すとおりである。3組の感染率はX2検定を通し比較して著しい差異(p<0.01)があり、ジンセノサイドRg3組成物組は抵感染の作用があることが説明され、大きいマウスの傷口感染率は明らかに雲南白薬と生理食塩水より低い。
【0102】
2.3 異なる組の大きいネマウスの傷口修復状況
傷口を肉眼で観察した結果、傷の3日後、ジンセノサイドRg3組成物組の傷口は乾燥していて、浸出液が無く、傷口の縁の皮膚は収縮が著しい。雲雲南白薬組の傷口は少量の分泌物があり、縁は軽度の収縮がある。生理塩水組の傷口は大量の分泌物があり、傷の表面の面積は増大して、縁にはうみのかさぶたがある。傷の後、7日間毎日ジンセノサイドRg3組成物組は傷口が乾燥していて、感染がなく、傷口は基本に肉芽に詰められて、明らかに新しく生まれる上皮が増大している。雲南白薬組の傷口の面積は縮小して、少量の浸出があり、薄層の肉芽しか見られず、明らかな新しく生まれる上皮の増加は見られない。生理食塩水組の傷口はうみの浸出が多く、傷口の面は明らかな縮小がなく、しかも潰瘍の面を形成している。上述した結果は、ジンセノサイドRg3組成物組は、腫れ止め収縮作用、抑菌と傷口の短縮作用の点で明らかに雲南白薬と生理塩水組より優れていることを表明している。
【0103】
【表23】
【0104】
【表24】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図2】20(R)-ジンセノサイドRg3とデオキシコール酸ナトリウムの組成物を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図3】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図4】20(R)-ジンセノサイドRg3とドデシル硫酸ナトリウムの組成物を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図5】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図6】20(R)-ジンセノサイドRg3と2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの組成物を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図7】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図8】20(R)-ジンセノサイドRg3とβ-シクロデキストリンの組成物を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図9】7匹の犬に5.6gのRg3粒剤を内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【図10】7匹の犬に3gのRg3参一カプセルを内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【図11】7匹の犬にRg3粒剤と参一カプセルを内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【技術分野】
【0001】
本発明は高麗人参のジンセノサイド薬用組成物水溶液及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジンセノサイドRg3は高麗人参の中に存在する1種の四環のトリテルペノイド類サポニン化合物で、分子量は784.13である。また20(R)-ジンセノサイドRg3と20(s)-ジンセノサイドRg3の2種類の光学異性体の形式で存在しており、その内20(R)-ジンセノサイドRg3は化学的性質が安定していて、水に溶けない。20(s)-ジンセノサイドRg3は化学性質が不安定で、水に溶け易い。
【0003】
これら二つの構造式:
【化1】
【0004】
【化2】
【0005】
発見によると、20(R)-ジンセノサイドRg3は強い腫瘍の抑制作用と移転の抑制作用をもっている、しかし水に溶けない物質であるため、内服製剤としての生物利用度は低く、その臨床の薬効果の発揮は大きく制限され、同時に非腸管薬に用いることも制限されていた。
【0006】
20(R)-ジンセノサイドRg3を水に溶かすため、人々はこれに対し研究を行った。2003年1月29日に、「発明專利(特許)公報」(中華人民共和国特許局編集)に公開された1種の<ジンセノサイドRg3とヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの包接化合物及び調製剤と調製方法>(申請番号01119929.6)などの発明がある。この主要な内容は次のとおりである。
【0007】
高麗人参のジンセノサイドRg3のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン包接化合物で、これは以下の原料から以下述べる重量比率で構成された。つまり、ジンセノサイドは:ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン包接化合物=1:1〜200の比で造られるものである。
【0008】
その調製方法は、以下のとおりである。
(1)ジンセノサイドRg3を有機溶剤に溶かす。
(2)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを水に溶かす。
(3)強烈に攪拌しなからジンセノサイドRg3溶液をゆっくりとヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含む水溶液に垂らして加え、すべてを加え終わった後、2〜24時間引き続き攪拌し続け、0.45μmの細孔膜を使って濾過し、濾液を濃縮して、有機的溶剤を取り除き、注射水に加え再び溶解させて、0.22μmの細孔膜に通し、濾液を冷凍乾燥すると、柔らかい白色の粉末ができる、これが人参サポニン(ジンセノサイド)包接化合物である。
【0009】
この先行技術の問題点は以下のとおりである。
(1)包接化合物の調製の過程で、その反応液体を原体積の1/3まで回収し、測定をすると、まだ多くの有機溶剤が残留していることが分かり、乾燥冷凍させても残留溶剤を取り除くことができないため、この包接化合物粉末を用いて調製する注射剤は有機溶剤残留基準に合わせることは難しい。
(2)包接化合物の調製の過程で有機溶剤が残留しているため、ジンセノサイドRg3とヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは1:1〜200の割合で水に溶けやすい包接化合物ができる。もしも残留している有機溶剤を完全に取り除けば、上述の割合の範囲内では、安定した水に溶けやすい包接化合物を作ることはできない。ジンセノサイドRg3はすぐにその包接化合物水溶液の中から分かれて沈殿し、この包接化合物は注射剤に用いることができなくなる。
(3)ジンセノサイドRg3は、その全てを包接化合物にできるわけではなく、利用率は86%だけであり、これを注射剤にする生産コストは大幅に高くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、製品コストが低く、人体に吸収し易い20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物と調製剤及びこれらの調製方法と医薬用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主な原料(略称、原料)は、20(R)-ジンセノサイドRg3である。
本発明の副原料(略称、副原料)はA、Bの二種類で、A類はデオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムとアルギニンである。
B類はシクロデキストリンで、以下のものが含まれる。
<1>シクロデキストリン及びその誘導体、例えばシクロデキストリンポリマーのナノ微粒子、シクロデキストリンポリマー、分岐鎖シクロデキストリン。
<2>β-シクロデキストリン及びその誘導体、例えばβ-シクロデキストリン(β-CD)、2,6-ジメチル-β-シクロデキストリン(DM-β-CD)、グルコシル-β-シクロデキストリン(G1-β-CD)、β-シクロデキストリンに基づくナノ組織体(nano based β-cyclodextrin)、スルフォブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、メチル-β-シクロデキストリン(M-β-CD)、ランダムメチル-β-シクロデキストリン(RM-β-CD)。
<3>ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン及びその誘導体、例えば2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン誘導体、2,3-ジヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン。
<4>ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン。
<5>シクロデキストリン及びその誘導体混合副原料、上述したシクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルとヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン及びこれらの誘導体間で、いろいろな組み合わせ方によって混合された混合物。
【0012】
本発明の原料と副原料の重量比率
20(R)-ジンセノサイドRg3:副原料A或いはB<1><2><5>=1:1〜300である。20(R)-ジンセノサイドRg3:副原料B<3><4>=1:100〜400である。
【0013】
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物の調製方法
(1)原料液を作る。
原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る。使われる混合有機溶剤とその比率は以下の通りである。
1)クロロホルム:酢酸エチル:エタノール(メタノール):水=10〜25:30〜45:18〜30:5〜15、(下層)。2)クロロホルム:エタノール(メタノール):水=70〜60:40〜30:10、(下層部)。3)エタノール:水=90〜95:10〜5。4)メタノール:水=85〜90:15〜10。5)アセトニトリル:水=40〜60:60〜40。6)ジクロロメタン:アルコール(メタノール):水=60〜65:40〜35:10。7)アセトニトリル:エタノール(メタノール)=70〜80:30〜20。8)ジメチルスルホキシド:水=90〜80:10〜20。9)プロピレングリコール:エタノール(メタノール):トゥイーン80:水=40〜50:10〜20:1〜49:29。
【0014】
(2)副原料液を作る。
1)上述のA、Bの2種類の副原料をそれぞれ水の中で溶かして、0.1〜30%の水溶液(a)をつくる。
2)上述のB類の<3><4>組をそれぞれ水に溶かして、20〜65%の水溶液(b)をつくる。
【0015】
(3)原料液を副原料液に加えて、澄んだ液体を作る。
1)上述したジンセノサイド溶液を一度に温度40〜100℃の上述の副原料水溶液(a)に加えて0.1〜3時間攪拌すると、澄んだ液体を得ることができる。
2)或いは、上述したジンセノサイド溶液を一定の速度で温度60〜100℃の上述の副原料水溶液(b)に垂らし加えて、ジンセノサイド溶液を垂らし加え終えるまでずっと攪拌する。すると、澄んだ液体を得ることができる。
【0016】
(4)溶剤を回収して、薬用組成物を作る。
上述のステップ(3)で得た澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPaと温度80〜100℃の条件で減圧し、原体積の2/3からほぼ乾燥するまで、溶剤を回収する。そして、水を原体積になるまで加えて溶解し、溶剤が乾ききりそうになるまで減圧回収する。更に上述のステップを2回繰り返し、最後に注射用水或いは純水を加え、振って均等に溶解させる。この水溶液が20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物溶液であり、その内、20(R)-ジンセノサイドRg3とそれぞれA、B<1><2><5>2種類の副原料によって作られた組成物溶液は、原料を0.5〜10mg/ml含む。20(R)-ジンセノサイドRg3とB類<3><4>組の副原料とそれぞれ作られた組成物溶液は、原料を0.1〜2mg/ml含む。真空、噴霧、冷凍などで乾燥させると20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬用組成物粉末を得ることができる。乾燥方法は以下のとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】
上の方法で得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬用組成物原料を使って、以下の各種の製剤を調製することができる。
【0019】
1.内服及び外用薬製剤
A、Bの副原料と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液は、乾燥させると水に溶けやすいジンセノサイドRg3固体粉末になる。更にそれを薬学上で受け入れられるキャリアと合わせ、製剤調製技術により各種の製剤が製造できる。例えば:粒剤、錠剤、柔(硬)カプセル剤、内服液、外用剤(貼付剤、軟膏、液剤、エアゾール剤)。
【0020】
2.注射剤
1)副原料A或いは副原料B<3><4>と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬物組成物溶液を使って、この溶液を超濾過器に通すか、又はその重量の0.1%の注射用活性炭と均等に混合させ、80℃の温度で30分間保温させる。その後0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、0.22μmの細孔濾過膜に通して菌を除けば注射液ができる。また、更に冷凍乾燥させると凍結乾燥注射剤或いは注射用無菌粉末ができる。
【0021】
2)副原料A或いは副原料B<3><4>と原料を反応させて得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性薬物組成物溶液を減圧して溶剤の回収と乾燥(真空、噴霧、冷凍乾燥)をし、安定した水に溶けやすいジンセノサイドRg3固体粉末をつくる。これを更にもう1度水に溶かした後に凍結乾燥注射剤或いは注射用無菌粉末を作ることができる。
【0022】
上述した20(R)-ジンセノサイドRg3薬用固体と液体組成物及び薬物製剤は腫瘍の拡大と移転の抑制作用があり、放射線化学療法と併用すればその効果を増大して毒性を減少させ、体の免疫機能を高め、疲労を抵抗し、記憶力を改善する。外用としては、腫れを直し、痛みを止め、傷口を癒合させる作用がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明は現有の技術と比べ以下の長所がある。
1.本発明の調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液を乾燥させれば、完全に水に溶解できる残留有機溶剤を含まない粉末を得ることができるので、《中華人民共和国薬典》の注射剤品質要求に合った凍結乾燥注射剤を作ることができ、多種の内服及び外用薬物製剤を作ることもできる。
【0024】
2.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物注射剤も内服製剤も、現有の内服製剤(商品名:参一カプセル)より生物利用度が著しくて高まっている。前者は注射により100%動物と人体の血液中に入り、その絶対的生物利用度は100%であり、現有の内服製剤より20〜50倍高まる。後者も現有の内服製剤より生物利用度は10倍以上も高まる。
【0025】
3.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3は100%副原料と組成物溶液を形成し、乾燥させると凍結乾燥注射剤を作ることができ、原料の20(R)-ジンセノサイドRg3の利用率を100%に到達させ、そのコストはこの成分の包接化合物凍結乾燥注射剤よりはるかに低い。
【0026】
4.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物内服薬物製剤は、その生物利用度が高まったため、半分少ない量で現有のカプセル剤と同じ治療効果が出るので、腫瘍患者の医薬費を大幅に下げることができる。
【0027】
5.本発明で調製した20(R)-ジンセノサイドRg3組成物注射剤はラット及び犬の肝臓、胃腸壁での分布濃度が高い、そのため消化管の腫瘍及び転移に良い治療効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
実施例1
1gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:酢酸エチル:エタノール:水(10:30:18:5、下層液)で溶解し、0.1%の溶液に調製する。また別に、100gのデオキシコール酸ナトリウムを取り、注射用水溶液で溶解させ、40℃まで加熱し、30%の溶液に調製する。調製したジンセノサイド溶液を上述のデオキシコール酸ナトリウム溶液に加え、3時間攪拌し、澄んだ溶液を得る。濾過し、真空度0.01MPa、温度100℃の回転蒸発器で減圧して乾きそうになるまで溶剤を回収し、蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、乾きそうになるまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返し、有機溶剤を除ききる。注射水を100mgになるまで加えると、20(R)-ジンセノサイドRg3とデオキシコール酸ナトリウムの組成物溶液100mlを得ることができる。高速液体クロマトグラフ質量分析法で、この溶液を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は10mg/mlだとわかる。その結果は、図1と図2に示すとおりである。
【0029】
実施例2
0.5gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:酢酸エチル:エタノール:水(25:45:30:15、下層液)で溶解し、5%の溶液に調製する。それとは別に、100gのドデシル硫酸ナトリウムを取り、注射水で溶解し、100℃まで加熱して、0.1%の溶液に調製する。調製したジンセノサイド溶液を上述のドデシル硫酸ナトリウム水溶液に加え、0.1時間攪拌して、澄んだ溶液の組成物調製液を得る。濾過して、真空度0.08MPa、温度80℃の回転蒸発器で減圧し、原体積の1/4となるまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返し、有機溶剤を除ききる。純水を1000mlになるまで加えると、20(R)-ジンセノサイドRg3とドデシル硫酸ナトリウムからなる組成物溶液1000mlを得ることができる。高速液体クロマトグラフでこの組成物溶液を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は0.5mg/mlである。その結果は、図3と図4に示すとおりである。
【0030】
実施例3
0.5gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:アルコール:水(70:30:10、下層液)で溶解し、0.1%の溶液に調製する。それとは別に、500gの2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを取って、蒸留水を加えて溶解させ60℃まで加熱して、20%の溶液に調製する。攪拌しながら、調製したジンセノサイド溶液を10ml/分の均等速度で上述の2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン溶液に垂らして加え、垂らし終えたら攪拌するのを止める。真空度0.05MPa、温度100℃の回転蒸発器で減圧し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返す。2.5lの注射用水で濃縮物を溶解し、得られた水溶液は20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性中間体である。高速液体クロマトグラフでこの水溶性中間体を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は2mg/mlである。その結果は、図5と図6に示すとおりである。
【0031】
実施例4
2gの20(R)-ジンセノサイドRg3をクロロホルム:エタノール:水(70:30:10、下層液)で溶解し、5%の溶液に調製する。それとは別に、600gのβ-シクロデキストリンを取って、蒸留水を加えて溶解させ、40℃まで加熱して、30%の溶液に調製する。攪拌しながら、調製したジンセノサイド溶液を5ml/minの均等速度で上述のβ-シクロデキストリン溶液に垂らして加え、垂らし終えたら攪拌するのを止める。真空度0.04MPaの回転蒸発器で減圧し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収する。蒸留水を原体積になるまで加えて溶解し、ほぼ乾燥するまで溶剤を回収し、更にもう一回上述の操作を繰り返す。20lの注射用水で濃縮物を溶解し、得られた水溶液は20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性中間体である。高速液体クロマトグラフでこの水溶性中間体を測定すると、ジンセノサイドRg3の含有量は0.1mg/mlある。その結果は、図7と図8に示すとおりである。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
実施例44
実施例1で調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3組成物溶液100mlに、注射用水を1000mlになるまで加え、更に0.1gの注射用活性炭を加え均等に混合させて、80℃の温度に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜に通して菌を濾過し、無菌の条件で10mlの無菌のシリンダーに注入し、一本ごとに約4.5〜4.9ml:5mgの量を入れる。そして注入したシリンダーに半分栓を詰め、凍結乾燥機(LYO-5、上海生産)の盤の上に置き、扉をきちんと閉め、凍結乾燥機を始動させる。まず-40℃以下まで冷凍し、4時間保った後、真空乾燥を始動させ、そして-45℃〜-30℃/4時間、-30℃〜-20℃/4時間、-20℃〜-15℃/2時間に合わせ昇華させる。更に4時間で15℃〜30℃まで昇温乾燥させて、冷凍乾燥し終えた後、栓を詰め込み、アルミニウムの蓋をつけて、サンプリング検測し、合格の後包装すると、1000本の注射用冷凍乾燥注射剤(それぞれRg3を1mgづつ含む)ができる。実施例2〜40は皆、上述のステップ順序によって、水溶液粉末をつくる。
【0036】
実施例45
実施例20で得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物溶液50lを取り、双錐回転真空乾燥箱(型番SZG-4500、常州生産)のステンレス乾燥盤の上に置き、80℃と真空度1.3Paの条件下で12時間真空乾燥して、水溶性粉末を得る。或いは上述の組成物溶液を組立式噴霧乾燥機(ZPG-105、常州生産)の流動層乾燥器の中で入れ、20℃で、二つノズルで0.8kg/hの速度で20%の固体物を含む組成物溶液を連続して流動層の中に噴き込み、流動気体入温度150℃、吹き込む量は流動層の温度を75℃まで達成させる量であり、100〜250ミクロンの水溶液粉末55kgを得る事ができる。或いは上述の乾燥後の水溶性粉末をもう再び溶解させ、更に実施例35の冷凍乾燥方法の操作で、凍結乾燥注射剤10000本(それぞれ5mgづつ含む)を得る。
【0037】
実施例46
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤が体内での生物利用度を高める試験
私達は、Beagle犬に20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤と原料のカプセルを内服させた後の血薬濃度(瀋陽薬科大学薬物代謝と薬物動力学実験室に委託し、この試験を完成した。)を測定し、Beagle犬が20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤を内服した時の血薬濃度が、原料の20(R)-ジンセノサイドRg3のカプセル剤を内服した時よりも12〜20倍高いことを証明した。これによりRg3組成物粒剤の動物体内での生物利用度が、Rg3原料で作ったカプセル剤よりもはるかに高いことが証明された。
【0038】
Beagle犬に実施例37で得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物粒剤を内服させて、その生物利用度を測定した。生物サンプルの測定は、API 4000型質量分析計を利用し、液体クロマトグラフ-タンデム質量分析を採用した。7匹の犬に5.6gのジンセノサイドRg3とβ-シクロデキストリン(1:200)薬用組成物(Rg3を30mg含む)を内服させた後の血漿薬物濃度の時間曲線は図9に示すとおりである。7匹の犬に3粒の参一カプセル(Rg3を30mg含む、Rg3の含有量は10mg/粒)を内服させた後の血漿薬物濃度の時間曲線は図10に示すとおりである。二組の試験の平均血漿薬物濃度の時間曲線は図11に示すとおりである。薬用組成物を内服させた後、血漿薬物濃度は2.3±0.9hでピーク濃度6.8±1.8ng/mlに達し、半減期は6.0±0.9hで、薬の時間曲線の下の面積(AUC0-t)は40.0±15.7ng・h/mlである。
【0039】
実施例47
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物凍結乾燥注射剤の抗腫瘍の薬効学試験
1 試験薬物及び調製方法
試験薬物:ジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤。ロット番号:20030519、規格:5mg/本。
調製方法:精密に一定量のジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤或いは相当する副原料を量り取り、生理食塩水を必要な濃度になるまで加える。投与薬の体積は0.5ml/マウスである。
【0040】
2 実験材料
2.1 溶剤 生理食塩水。
2.2 陽性対照サンプル 注射用シクロホスファミド(CTX),上海華聯製薬グループ生産;毎日一回、連続7日間;5Fu注射液,上海旭東海普薬業有限公司生産;注射用マイトマイシン(MMC),日本協和発酵工業株式会社生産。
【0041】
2.3 腫瘍源 人体の胃癌MGCモデル、腸癌モデルLOVO及び肝臓癌QGYは皆第2世代以上の腫瘍を腫瘍源とする。小さいマウスB16黒色素腫瘍細胞モデルなどは皆上海医薬工業研究院薬理室から引継ぎ維持している。
【0042】
3 実験動物
3.1 出所 ヌード小マウスは、上海市中科院動物センターの提供で、合格証号:SCXK 2003-0003のものを使用した。C57BL/6及び昆明種小マウスは、本学院の実験動物組の提供で、実験動物許可証号:SYXK(上海)2004-0015のものを使用した。
3.2 体重 ヌード小マウスは6週目で、昆明種小マウス及びC57BL/6小マウスは18〜22gである。
3.3 性別 雌雄ともに可、毎都度の実験に同一の性別を使う。
3.4 動物数 試験組及び陽性対照組のヌード小マウスは一組ごと6匹ずつの小マウス、その他の小マウスは一組ごとに8〜10匹、陰性対照は各2組使用した。
【0043】
4 試験設計
4.1 剤量設置 与えるジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤の量の設置は、1.5mg/kg/d、0.75mg/kg/d,0.375mg/kg/dである。
【0044】
4.2 薬投与方案 静脈に薬を与え、毎日2回、人体腫瘍モデル及び細胞接種の小マウスモデルiv×14bid、小マウス腫瘍接種モデルにiv×10bidの治療方案である。
【0045】
4.3 試験対照 陰性対照:試験組と同じ副原料を与え、薬投与方案は試験組と同一である。陽性対照:シクロホスファミド CTX 30mg/kg、MMC 2mg/kgと5Fu30mg/kgを腹腔で内服、或いは静脈で毎日一回、連続7日間薬を投与する。
【0046】
5 試験方法
5.1 抗腫瘍の試験
5.1.1 胃原位置接種モデル(Stomach in situ inoculation model)
無菌条件の下で2世代体内増殖した生長旺盛なMGC胃癌を取り、ホモジネート法で約2×107/mlの細胞サスペンションに調製し、手術でヌード小マウスの胃の大弯の筋層(the muscular layer of greater curvature of stomach)内に細胞サスペンション0.05mlを注射し、翌日、実験設計案どおりに薬を投与して、下記の公式で腫瘍宿主の生命延長率を計算する。
生命延長率%=薬投与組の平均生存日数/対照組の平均生存日数×100%
【0047】
5.1.2 肝原位置接種モデル(Liver in situ inoculation model)
無菌条件で2世代体内増殖した生長旺盛なQGY腫瘍源を取り、ホモジネート法で約1〜2×107/mlの細胞サスペンションに調製(細胞サスペンションとPBSの比率は1:6である。)し、ホモジネートを100目のステンレス網で濾過し、後で使用するために備えた。ヌード小マウスを通常の方法で消毒し、腹腔の中央剣状突起を麻酔させ皮膚と腹腔を切り、肝臓を暴露させ、肝臓の本体部を入り口としての28ga 1/2ml注射器で0.05mlの細胞サスペンションを注射し、腹腔を閉じ、腹腔と皮膚を毎層縫い付ける。ヌード小マウスを層流ラックの中で育て、使われる飼料、マット、かご及び接触機器などは全て高圧消毒後のものを使用する。翌日、実験設計案どおりに薬を投与、各組の動物の45日間内の生存時間を観察し、陰性対照組と比較し、生命延長率を統計する。
【0048】
5.2 効果増大の試験
5.2.1 腋皮下接種モデル
無菌条件で生長旺盛な腫瘍源を取り、ホモジネート法で約1〜2×107/mlの細胞サスペンションに調製して、対応宿主の腋皮下に0.2ml/各マウスに接種し、翌日、実験設計案どおりに薬を給与して、三週間前後で各組の動物を殺し、腫瘍を切り取って重量を測り、下記の公式腫瘍抑制率を計算する。
腫瘍抑制率%=[(対照組平均腫瘍重量−薬供与組平均腫瘍重量)/対照組平均腫瘍重量]×100%
【0049】
5.2.2 尾静脈接種モデル
無菌の条件でログ生長期の小マウスB16黒色素腫瘍細胞を、約2.5×105/mlの細胞サスペンションに調製して、C57BL/6小マウスの尾静脈に0.2ml/マウスとなるように接種し、翌日、実験設計案どおりに薬を給与する。三週間前後で各組の動物を殺し、小マウスの肺臓を切り取り、各マウスの肺臓に転移されたコロニー数を計測し、下記の公式で腫瘍抑制率を計算する。
腫瘍抑制率%=[対照組平均コロニー数−薬供与組平均コロニー数)/対照組平均腫コロニー数]×100%
【0050】
5.3 毒性減少の試験
ジンセノサイドRg3凍結乾燥注射剤による化学療法により、子マウスの白血球細胞の変化の影響を観察する。C57BL/6子マウスを80匹取り、各マウスの目の静脈群から血を取り、通常の白血球細胞スライドガラス計法で、各マウスの白血球数計測し、7500±300個の白血球/mm3の小マウスを選び、ランダムに組分けをし、一組ごとに10匹ずつ小マウスを入れる。第0、2日は空白対照組以外、各組皆に化学療法薬CTX 100mg/kg ip×2を与える。上述の方案により薬を給与して、第0日目から各組の白血球細胞数を測り始め、後実験期間では3日ごとに、各組の子マウスの白血球細胞数を検測し、各組の子マウスの白血球細胞数平均値と標準差を計算し、これを陽性対照組の白血球細胞が正常に回復するまで行う。
【0051】
5.4 免疫の試験
5.4.1 ルイス肺癌C57BL/6マウスのNK細胞活性試験
C57BL/6小マウスを取り、足指の皮下に無菌調製したルイス肺癌混サスペンションを0.05ml/マウス(約1×106の腫瘍細胞)に接種する。翌日ランダムに組を分け、実験設計どおりに薬を投与し、最後の薬投与後の翌日に無菌の条件で小マウスの脾臓を取り、100目の網で単個の細胞サスペンションをつくり、低滲で赤血球を除き、細胞サスペンション液を育成瓶の中に移し、37℃、5%CO2の条件で1時間育成した後に壁付着性の細胞を除き、活細胞を計数し細胞濃度を3×106個の細胞/mlに調製して効果細胞とする。標的細胞はL929体外育成細胞を取り、通常の方法で24時間育成して、育成液で細胞濃度を1.5×105/mlに調製し、効果細胞と標的細胞の比が20:1になるようにする。96孔育成板を取りそれぞれ効果細胞と標的細胞に加え、それとは別に効果細胞対照と標的細胞対照を設けて、37℃、5%CO2の条件で4時間育成した後、MTT染色液を加え、更に2時間育成した後に消化液体を加え、翌日に各孔のOD値を測り、公式でNK細胞毒活性を計算する。
NK細胞毒活性%=[[標的細胞対照組ODの平均値-(実験組ODの平均値-効果細胞ODの平均値)]/標的細胞対照組ODの平均値]×100%
【0052】
5.4.2 正常な昆明種小マウスの腹腔におけるマクロファージ細胞の貪食機能試験
雄の昆明種小マウスを取りランダムに組分けして、実験設計案どおりに薬を給与し、最後の薬給与後、各組の小マウスの腹腔に0.5%の加水分解蛋白を1.5ml/匹注射し、24時間後に腹腔に1mlごと1×106のニワトリ赤血球サスペンションを0.2ml/匹注射する。40分後に生理塩水で洗脱し、小マウスの腹腔液を収集する。遠心して、細胞沈殿液を取り塗抹標本を製作し、メタノ−ルで固定し、ギムザ染色でマウントし、レンズで100個のマクロファージ細胞中、ニワトリ赤血球を貪食したマクロファージの数と貪食されたニワトリ赤血球の総数を計数して、下記の公式で貪食率と貪食指数を計算する。
【0053】
5.4.3 ルイス肺癌C57BL/6に対する小マウスのIL-2活性試験
双抗体サンドイッチELISA法を採用して、抗体小マウスのIL-2単一抗体物を酵素サンプルの上に付いて、標本と標準サンプル中のIL-2は単抗と結合し、遊離の成分は洗い流され、同時にビオチン化小マウスIL-2抗体とセイヨウワサビの過酸化化物酵素標記のアビジンを加える、ビオチンはとアビジンは特異性結合する。小マウスIL-2抗体と単抗に結合したIL-2が結合して免疫複合物を形成し、遊離成分を洗流す。顕色剤を加えると、青色を表示し、試験液を加え、黄色になる。450nmの所でOD値を測り、IL-2濃度とOD450値間は正比例を呈し、制作した標準曲線を通してサンプル中のIL-2濃度を求めることができる。
貪食率%=(100個のマクロファージ細胞中、ニワトリ赤血球を貪食したマクロファージの細胞数/100個のマクロファージ細胞)×100%
貪食指数=100個のマクロファージ細胞が貪食したニワトリ赤血球の総数/100個のマクロファージ細胞
【0054】
6試験結果
6.1 Rg3凍結乾燥注射剤及びカプセル剤が肺癌治療に与える効果及び黒色素B16に与える効果の比較試験の結果は、表5〜表6のとおり。
6.2 Rg3凍結乾燥注射剤が腸癌、胃癌治療に与える効果の試験結果は、表7〜表8に示す。
6.3 Rg3凍結乾燥注射剤が化学薬物治療の効果を増加する試験の結果は、表9に示す。
6.4 Rg3凍結乾燥注射剤が化学薬物治療の毒性を減少する試験の結果は、表10に示す。
6.5 Rg3凍結乾燥注射剤が免疫機能を高める試験の結果は表11〜表13に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
【0062】
【表12】
【0063】
【表13】
【0064】
実施例48 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセルの疲労抵抗能試験
1. 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセルが小マウスの疲労に抵抗する作用の試験である。
1.1 材料と方法
1.1.1 サンプル:20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の内容物は白色粉末を呈していて、大連富生天然薬物開発有限公司の提供である。蒸留水で必要濃度に調製する。
【0065】
1.1.2 試験動物:1級の昆明種小マウス240匹、四川大学実験動物センターの提供(動物合格証号:川実管質第67号)である。
【0066】
1.1.3 剤量の選択:人体の推薦の剤量に基づき(10mg/60kg/d)の10倍、20倍、30倍(動物の1.67、3.34、5.01mg/kg/dに相当する)低、中、高の3つの剤量組を設ける。
【0067】
1.1.4 実験方法:体重の大きさに基づきランダムに陰性対照組と3つの試験組に分け、灌胃方式でサンプル(2%)を与え、毎日一回、陰性対照組には蒸留水を与えて、連続30日続ける。30日後それぞれ各指標を測定する。
【0068】
1.1.4.1 重荷を背負って泳ぐ実験:最後の灌胃から30分後、小マウスに負荷5%体重の鉛皮をつけ、水泳箱(水深30cm、水温25±0.5℃)に入れ泳がせ、小マウスの水泳開始から死亡までの時間、つまり小マウス水泳時間を記録する。
【0069】
1.4.1.2 竿登り実験:最後の灌胃から30分後、小マウスを竿登り棚の有機ガラス棒の上に載せ、筋肉を静力緊迫状態にさせ、小マウスが筋肉疲労により棒の上から落ちる時間を記録し、3回繰り返して、連続3回の時間を累計した時間を竿登り時間(秒)とした。
【0070】
1.4.1.3 尿素窒、肝グリコーゲンの測定:それぞれ最後の灌胃から30分後、小マウスを水泳箱(水深30cm、水温30±0.5℃)に入れ90分泳がせ、眼球血を取り血中尿素窒素の含有量(ジアセチル-オキシム法)を測定し、肝臓を取の肝グリコーゲンの含有量を測定する(アンスロン法)。
【0071】
1.4.1.4 乳酸の測定:最後の灌胃から30分後、眼球血を取り乳酸の含有量(SBA-バイオ感知装置)を測定し、小マウスを水泳箱(水深30cm、水温30±0.5℃)に入れ10分泳がせ、小マウスの尾の根部に負荷の4%体重の鉛皮をつけ、それぞれ泳がせた後、即刻と水泳後30分にまた眼球血を取り乳酸の含有量を測定する。
【0072】
1.4.1.5 統計分析:実験データをSPSS9.0統計ソフトで分散分析、q検定或いは順位和検定を行なう。
【0073】
1.2結果
2.1 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の小マウスの体重に対する影響
表14から分かるように、試験中期と試験終了時の各剤量組の子マウスの体重は対照組と比べて著しい差異は無い(P>0.05)。
【0074】
【表14】
【0075】
2.2 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤のマウスの重荷水泳時間に対する影響
表15から分かるように、低剤量組、高剤量組の小マウス重荷水泳時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。中剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0076】
【表15】
【0077】
2.3 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の小マウス竿登り時間に対する影響
表16から分かるように、低剤量組、中剤量組の小マウス竿登り時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。高剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0078】
【表16】
【0079】
2.4 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の血中尿素窒素に対する影響
表17から分かるように、中剤量組、高剤量組の小マウス運動後の血中尿素窒素含有量は陰性対照組より著しくて低下している(P<0.05)。低剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0080】
【表17】
【0081】
2.5 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量に対する影響
表18から分かるように,高剤量組の小マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量は陰性対照組より著しくて高まっている(P<0.05)。その他の剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。
【0082】
【表18】
【0083】
2.6 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の子マウスの運動後の血中乳酸レベルに対する影響
表19、20の表示どおり、低、中、高剤量組の小マウスの運動後血中乳酸の上昇幅と下降幅は陰性対照組と比べてどれも著しい差異はない(P>0.05)。
【0084】
【表19】
【0085】
【表20】
【0086】
1.3中間のまとめ
20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤の疲労に対抗する試験結果が示すように、低剤量組、高剤量組の小マウス重荷水泳時間は陰性対照組と比べて著しくて延長している(P<0.05)。中剤量組は陰性対照組と比べて著しい差異はない(P>0.05)。高剤量組の小マウスの運動後の肝グリコーゲン含有量は陰性対照組より著しくて高まっている(P<0.05)。中剤量組、高剤量組の小マウス運動後の血中尿素窒素含有量は陰性対照組より著しく低下している(P<0.05)。運動後血中乳酸の上昇幅と下降幅は陰性対照組と比べてどれも著しい差異はない(P>0.05)。評価基準により、本検査品(20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル)は抗疲労の作用があると見なされる。
【0087】
実施例49 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物カプセル剤が記憶力を改善させる試験
1.材料と方法
1.1 材料
薬品:サンプルの20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤(10mg/袋)は、富力博士の提供である。スコポラミンは中国薬品生物製品検定所から購入した。憶恒粒剤(10g/袋)は、陝西開元製薬有限公司の生産である。上述の薬品は使用時に皆生理食塩水で必要な濃度に調製する。
動物:昆明種小マウス、雄18〜22g、吉林大学薬学院の提供である。
器具:小マウス飛び台機、水迷宮装置は吉林大学薬学院の自作で、接触電圧レギュレータは、中川グループ会社の上海振華穏圧器工場製造から入手した。
【0088】
1.2 方法
1.2.1 跳び台法
実験を始める前にまず動物を実験室に1時間置いて環境に適応させる。実験を始める時、動物を跳び台装置の安全台に置き、3分間環境に適応させて、それから36Vの電流を流し、動物が銅柵まで跳んだ時、つまり電撃を受けた時がミス反応で、正しい反応は安全台に跳び戻ることである。このように5分間訓練させて、24時間後にテストを行う。テストする時も跳び台装置に36Vの電流を流して、動物を安全台の上で置き、3分以内のミス回数を記録する。
【0089】
実験ステップ:健康の合格の小マウス72匹を選んで、重さを量り、1組ごとに12匹となるようにランダムに6組に分けた。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の量組は2.16、6.48、12.96mg/kgに分け、陽性対照組には憶恒粒剤を121.65mg/kg、空白対照組とモデル組には0.1ml/10gの生理塩水を与えてる。毎日1回、連続で7日薬を給与し、最後の薬給与の1時間後に、空白対照組は腹腔に同容量の生理食塩水を注射して、モデル組、Rg3組成物粒剤実験組、憶恒粒剤陽性組にはそれぞれ腹腔にスコポラミン4mg/kgを注射し、10分後に跳び台を行って、24時間後に測定する。
【0090】
1.2.2 小マウス迷路法
小マウス迷路装置内にはスタート区、多くの行き止まりのある曲折回路と安全区(1つの台)が設置されている。毎日薬給与の1時間後に小マウスをスタート区に戻し、安全区に向かうように導き、各マウスに毎日10回訓練させ、毎回の間隔は25秒、30秒以内に安全区に辿り着くことを正しい反応として、連続4日間訓練させる。各組の動物の正しい反応回数を記録し、正しい反応の百分率及び安全区に辿り着く平均時間を計算する。
【0091】
実験ステップ:健康の合格の小マウス72匹を選んで、重さを量り、1組ごとに12匹となるようにランダム6組に分けた。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の量組は2.16、6.48、12.96mg/kgに分け、陽性対照組には憶恒粒剤を121.65mg/kg、空白対照組とモデル組には0.1ml/10gの生理塩水を与えてる。毎日1回、連続で7日間薬を給与し、最後の薬給与の1時間後に、空白対照組は腹腔に同容量の生理食塩水を注射して、モデル組、Rg3組成物粒剤実験組、憶恒粒剤陽性組にはそれぞれ腹腔にスコポラミン4mg/kgを注射し、10分後に水迷路の訓練を行って、24時間後に測定する。毎回の間隔は25秒、30秒以内に安全区に辿り着くことを正確反応として、各組の正確反応回数を記録し、正確反応百分率を計算する。
【0092】
2.結果
2.1スコポラミンによる記憶の障害に対する改善作用(跳び台法)
結果は表21に示すとおり、モデル組は空白対照組と比べ、ミス反応の回数が著しく増えていて、4mg/kgのスコポラミンは記憶に障害を与えることを示しており、モデルは成立している。20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤実験組はモデル組と比較して、明らかに小マウスのテスト期間のミス回数が下がっており、その効果作用は明らかに憶恒粒剤陽性対照組より優れている。実験の結果により、20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤は小マウスの記憶の障害に対して明らかに改善する作用があり、小マウスの学習記憶を増加させることが、証明される。
【0093】
【表21】
【0094】
2.2スコポラミンによる空間判断の障害に対する改善(水迷路法)
結果は表22に示すとおり、モデル組の子マウスの正解反応率は正常対照組と比べ著しく低く、訓練の二日目から20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤はその投与量に依存して子マウスの正確反応百分率を高め、スコポラミンによる小マウスの空間判断の障害に著しい改善作用がある。
【0095】
【表22】
【0096】
実施例50 20(R)-ジンセノサイドRg3組成物粒剤の腫れ直し、痛み止め、傷口癒合の試験
1. 材料と方法
1.1 実験動物:30匹の大きいマウス(吉林大学薬学院実験動物センターの提供)、体重250〜300g、雌雄半々、ランダムに3組に分ける。
【0097】
1.2 方法
1.2.1 動物傷制膜の生物学評価:8%硫酸バリウムで大きいマウスの後肢の毛を落としたが、皮膚の破損はなし。24時間後に3%のペントバルビタールナトリウム30mg/kgで腹腔内麻酔させ、うつぶせで造膜装置板の上に固定し、それから質量1kgの打撃金槌を10センチメートル高さまではなし、突然垂直に金槌を落とし、大きいマウス後肢部の筋肉の最もふくよかな所に打撃を与え、急性軟部組織損傷モデルをつくる。傷を負わせた30分後に、メスで皮膚の1.5〜3.0センチメートル深さの筋肉層まで切り、0.5gの筋肉組織を取り出す。傷口は組分けによりそれぞれ相応の処理を行う。実験組には20(R)-ジンセノサイドRg3組成物(1gが1mlの生理食塩水中に溶けている。)を貼り、陽性対照組には雲南白薬(1gの雲南白薬が1mlの生理塩水中に溶けている。)を塗り、陰性対照組には生理塩水を塗り、それぞれ1回/日の頻度で塗った。
【0098】
1.2.2 監測の指標:試験ずみの大きいマウスを組分けして籠を分けて育て、傷を負わせた後、0.5時間目を醒まさせ、10分ごとに一回きり使い捨てのプラスチック棒で軽く大きいマウスの双後肢傷表面を当て、2時間(12回刺激)内の大きいマウスが傷表面を舐める行為、肢縮反応、立つ時の後肢筋肉の震え等の痛み行為反応を観察し、3日、7日の傷口癒合の大体状況を撮影し、傷表面の感染率を記録する。7日後に動物を殺し、各組の動物の体重変化を評価する。
【0099】
1.2.3 統計学分析:SPSS10.0統計ソフトを採用して統計分析を行って、資料の計数はX2を採用して検定、資料計量は分散分析を採用し、p<0.05は差異が著しい。
【0100】
2 結果
2.1 実験後、各組の大きいマウスが目を醒ました後の2時間の痛い行為反応の情況
表23に示すとおりである。表面を舐める行為、足の縮めの反応、立つ時後肢の筋肉の震えなどの痛い行為反応は、3組の結果の分散分析は全体的に比較して著しい差異がある(p<0.01)。皆2つずつの比較を経ることを数えて、ジンセノサイドRg3組成物組は雲南白薬組、生理塩水組とそれぞれ比べ、表面を舐める行為でも著しい差異(p<0.05)がある。縮肢反応、筋肉の震えの方面に明らかな差異(p>0.05)はない。上述の結果に示されるのは、ジンセノサイドRg3組成物組は鎮痛作用を持っており、しかも雲南白薬組より優れていることである。
【0101】
2.2 大きいマウスの双後肢の傷後で異なる組の傷口感染情況
表24に示すとおりである。3組の感染率はX2検定を通し比較して著しい差異(p<0.01)があり、ジンセノサイドRg3組成物組は抵感染の作用があることが説明され、大きいマウスの傷口感染率は明らかに雲南白薬と生理食塩水より低い。
【0102】
2.3 異なる組の大きいネマウスの傷口修復状況
傷口を肉眼で観察した結果、傷の3日後、ジンセノサイドRg3組成物組の傷口は乾燥していて、浸出液が無く、傷口の縁の皮膚は収縮が著しい。雲雲南白薬組の傷口は少量の分泌物があり、縁は軽度の収縮がある。生理塩水組の傷口は大量の分泌物があり、傷の表面の面積は増大して、縁にはうみのかさぶたがある。傷の後、7日間毎日ジンセノサイドRg3組成物組は傷口が乾燥していて、感染がなく、傷口は基本に肉芽に詰められて、明らかに新しく生まれる上皮が増大している。雲南白薬組の傷口の面積は縮小して、少量の浸出があり、薄層の肉芽しか見られず、明らかな新しく生まれる上皮の増加は見られない。生理食塩水組の傷口はうみの浸出が多く、傷口の面は明らかな縮小がなく、しかも潰瘍の面を形成している。上述した結果は、ジンセノサイドRg3組成物組は、腫れ止め収縮作用、抑菌と傷口の短縮作用の点で明らかに雲南白薬と生理塩水組より優れていることを表明している。
【0103】
【表23】
【0104】
【表24】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図2】20(R)-ジンセノサイドRg3とデオキシコール酸ナトリウムの組成物を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図3】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図4】20(R)-ジンセノサイドRg3とドデシル硫酸ナトリウムの組成物を高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図5】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図6】20(R)-ジンセノサイドRg3と2,3,6-トリヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンの組成物を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図7】20(R)-ジンセノサイドRg3標準品を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図8】20(R)-ジンセノサイドRg3とβ-シクロデキストリンの組成物を、高速液体クロマトグラフで測定した結果を示す図である。
【図9】7匹の犬に5.6gのRg3粒剤を内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【図10】7匹の犬に3gのRg3参一カプセルを内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【図11】7匹の犬にRg3粒剤と参一カプセルを内服させた後の血漿の薬物濃度を時間に対してプロットした曲線である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中の20(R)-ジンセノサイドRg3の含有量が0.5〜10mg/mlであることを特徴とする、20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液。
【請求項2】
(1)原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし込み、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る、
(2)副原料A、B<1><2><5>をそれぞれ水に溶かし込み、0.1〜30%の副原料水溶液に調製する、
(3)上述のジンセノサイド溶液を1度に40〜100℃の上述の副原料水溶液に加える、その内、原料:副原料A=1:1〜300、原料:副原料B=1:100〜400で、0.1〜3時間攪拌して澄んだ液体を得る、
(4)澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPa、温度80〜100℃で減圧し、原体積の2/3から乾ききりそうになるまで溶剤の回収をして、原体積になるまで水を加えて溶解し、減圧して乾ききりそうになるまで溶剤の回収をする、更に上述のステップを一回繰り返し、最後に注射水または純水を加え、均等に溶解するように振ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液の調製方法。
【請求項3】
水溶液中の20(R)-ジンセノサイドRg3の含有量が0.1〜2mg/mlであることを特徴とする、20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物水溶液。
【請求項4】
(1)原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし込み、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る、
(2)副原料B類<3><4>組をそれぞれ水に溶かし込み、20〜65%の副原料水溶液を調製する、
(3)上述のジンセノサイド溶液を均等速度で60〜100℃の上述の副原料水溶液に垂らして加え、その内、原料:副原料B=1:100〜400で、垂らし終えるまで攪拌し、澄んだ液体を得る、
(4)澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPa、温度80〜100℃で減圧し、溶剤の回収を原体積の2/3から乾ききりそうになるまでして、原体積になるまで水を加えて溶解し、減圧して乾ききりそうになるまで溶剤の回収をする、更に上述のステップを1回繰り返し、最後に注射水または純水を加え、均等に溶解するように振ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物水溶液の調製方法。
【請求項5】
調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液を乾燥させた後、20(R)-ジンセノサイドRg3水溶液粉末を得ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3水溶液粉末の調製方法。
【請求項6】
原料と副原料A又はB<3><4>を使って調製して得た1種の20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液を超濾過器を通して重量の0.1%の注射用活性炭を加え、均等に混ぜ合わせ、温度80℃に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜で濾過して菌を除き分けて詰め込み、冷凍乾燥させることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物凍結乾燥注射剤の調製方法。
【請求項7】
原料と副原料A又は副原料B<3><4>を使って調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性粉末を再び注射用水を加え溶解させ、重量の0.1%の注射用活性炭を加え、均等に混ぜ合わせ、温度80℃に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜で濾過して菌を除き分けて詰め込み、冷凍乾燥させることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物凍結乾燥注射剤の調製方法。
【請求項8】
その溶液、水溶性粉末及びその薬物製剤が、腫瘍の抑制、放射化学療法との併用による効果の増大と毒性の減少、免疫機能の向上、疲労抵抗、記憶改善、腫れ直し、痛み止め、傷口の癒合などの為の薬物の調製に応用できることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物。
【請求項1】
水溶液中の20(R)-ジンセノサイドRg3の含有量が0.5〜10mg/mlであることを特徴とする、20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液。
【請求項2】
(1)原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし込み、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る、
(2)副原料A、B<1><2><5>をそれぞれ水に溶かし込み、0.1〜30%の副原料水溶液に調製する、
(3)上述のジンセノサイド溶液を1度に40〜100℃の上述の副原料水溶液に加える、その内、原料:副原料A=1:1〜300、原料:副原料B=1:100〜400で、0.1〜3時間攪拌して澄んだ液体を得る、
(4)澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPa、温度80〜100℃で減圧し、原体積の2/3から乾ききりそうになるまで溶剤の回収をして、原体積になるまで水を加えて溶解し、減圧して乾ききりそうになるまで溶剤の回収をする、更に上述のステップを一回繰り返し、最後に注射水または純水を加え、均等に溶解するように振ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液の調製方法。
【請求項3】
水溶液中の20(R)-ジンセノサイドRg3の含有量が0.1〜2mg/mlであることを特徴とする、20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物水溶液。
【請求項4】
(1)原料の20(R)-ジンセノサイドRg3を混合有機溶剤に溶かし込み、0.1〜5%のジンセノサイド溶液を作る、
(2)副原料B類<3><4>組をそれぞれ水に溶かし込み、20〜65%の副原料水溶液を調製する、
(3)上述のジンセノサイド溶液を均等速度で60〜100℃の上述の副原料水溶液に垂らして加え、その内、原料:副原料B=1:100〜400で、垂らし終えるまで攪拌し、澄んだ液体を得る、
(4)澄んだ液体を真空度0.01〜0.08MPa、温度80〜100℃で減圧し、溶剤の回収を原体積の2/3から乾ききりそうになるまでして、原体積になるまで水を加えて溶解し、減圧して乾ききりそうになるまで溶剤の回収をする、更に上述のステップを1回繰り返し、最後に注射水または純水を加え、均等に溶解するように振ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物水溶液の調製方法。
【請求項5】
調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液を乾燥させた後、20(R)-ジンセノサイドRg3水溶液粉末を得ることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3水溶液粉末の調製方法。
【請求項6】
原料と副原料A又はB<3><4>を使って調製して得た1種の20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物水溶液を超濾過器を通して重量の0.1%の注射用活性炭を加え、均等に混ぜ合わせ、温度80℃に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜で濾過して菌を除き分けて詰め込み、冷凍乾燥させることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物凍結乾燥注射剤の調製方法。
【請求項7】
原料と副原料A又は副原料B<3><4>を使って調製して得た20(R)-ジンセノサイドRg3水溶性粉末を再び注射用水を加え溶解させ、重量の0.1%の注射用活性炭を加え、均等に混ぜ合わせ、温度80℃に30分間保温した後、0.45μmの濾過膜で濾過して熱源を除き、無菌条件で0.22μmの細孔濾過膜で濾過して菌を除き分けて詰め込み、冷凍乾燥させることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬用組成物凍結乾燥注射剤の調製方法。
【請求項8】
その溶液、水溶性粉末及びその薬物製剤が、腫瘍の抑制、放射化学療法との併用による効果の増大と毒性の減少、免疫機能の向上、疲労抵抗、記憶改善、腫れ直し、痛み止め、傷口の癒合などの為の薬物の調製に応用できることを特徴とする、
20(R)-ジンセノサイドRg3薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−537572(P2009−537572A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511321(P2009−511321)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001635
【国際公開番号】WO2007/134534
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508344523)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001635
【国際公開番号】WO2007/134534
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508344523)
【Fターム(参考)】
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