説明

3つ又はそれ以上の搬送波に対するGNSS信号のアンビギュイティ推定

少なくとも3個の搬送波を有する信号から派生した1組のGNSS信号データのファクトライズド処理のための方法及び装置が提供される。ジオメトリ搬送波位相結合を使用して該1組のGNSS信号データに対してジオメトリフィルタを適用して該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び関連する統計情報を得る。ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して該1組のGNSS信号データに対して電離層フィルタのバンクを適用して該電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び関連する統計情報を得る。ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用して該1組のGNSS信号データに対してクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクを適用して該ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び関連する統計情報を得る。複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該1組のGNSS信号データに対して少なくとも1つのコードフィルタを適用して該コード搬送波結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び関連する統計情報を得る。その結果得られるアレイを結合して全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ及び関連情報を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローバルナビゲーション衛星システムの分野に関するものである。更に詳細には、本発明は、3つ又はそれ以上の搬送波に対するGNSS信号のアンビギュイティ(ambiguity)即ち不明確性の推定に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)は、全地球測位システム(GPS)、Glonass、提案されているGalileoシステムを包含している。
【0003】
各GPS衛星は、1545.42MHz及び1227.60MHzの夫々の周波数においてL1及びL2と呼ばれるL帯域における2つの無線周波数を使用して継続的に送信している。2つの信号がL1上で送信され、1つは民生ユーザのためであり且つ他方は国防省(GoD)に承認されたユーザのためである。1つの信号がL2上に送信され、それはGoDに承認されたユーザに対してのみ意図されている。各GPS信号はL1又はL2周波数における搬送波、擬似ランダム雑音(PRN)コード、及び衛星航法データを有している。2つの異なるPRNコードが各衛星により送信され、即ち粗/採取(C/A)コード及び暗号化されている精密(P/Yコード)である。各C/Aコードは1023ビットの一意的シーケンスであり、それはミリ秒毎に繰り返される。
【0004】
図1は典型的な従来の2搬送波周波数構成を模式的に例示している。受信器100が夫々110,120,130において示されているSV1,SV2,SVm等の視界内の任意の数の衛星からGPS信号を受信する。該信号は模式的に140で示した地球大気圏(電離層及び対流圏)を介して通過する。各信号は2つの周波数L1及びL2を有している。受信器100は該信号から衛星の各々に対する夫々の擬似距離PR1、PR2、PRnを決定する。大気及びマルチパス効果が模式的に150で示したように信号経路において変動を発生し、それは擬似距離決定に歪みを発生させる。
【0005】
C/Aコードを約1メートルのエラーで測定することが可能である場合には、軍事専用T/Yコードを使用することのない民生受信器は数メートルの範囲内のエラーで位置を決定する。然しながら、L1及びL2搬送波の位相は0.01−0.05サイクル(2mm−1cm)の精度で測定することが可能であり、従って相対的な位置は数ミリメートル乃至数センチメートルの範囲内のエラーでより精密に推定することが可能である。精密な測位用の技術はL1及びL2搬送波位相及び整数アンビギュイティ決定を使用し、それは精密な衛星測位の広く研究されている分野である。
【0006】
衛星測位装置により観察される搬送波位相信号におけるサイクルアンビギュイティを信頼性を持って且つ迅速に決定するために多くの技術が開発されている。アンビギュイティ決定技術は、通常、単一の候補を受付けるための決定をなすことができるまで潜在的な搬送波位相アンビギュイティ即ち不明確性を減少させるために明確なコード観察及び複数の衛星に関する観察の使用が関与する。コヒーレントに発生される搬送波位相信号の観察は、更に、アンビギュイティ決定の速度及び信頼性を向上させる。
【0007】
アンビギュイティ決定の処理は3つのステップを包含しており、即ち、
1.各衛星及び搬送波位相帯域に関するアンビギュイティに対する近似的な値の推定、
2.最良候補の順番付けしたリストを見つけるために潜在的なアンビギュイティ候補にわたっての統計的サーチ、
3.トップのアンビギュイティ候補の検証。
【0008】
良好なアンビギュイティ推定を得ることは、統計的サーチ及び検証のために必要な努力を著しく減少させる。
【0009】
搬送波位相アンビギュイティの推定に対する古典的なアプローチは、以下のものに対する状態(未知のパラメータ)を包含するグローバルフィルタ(推定器)を構築することである。
【0010】
1.移動局座標(x,y,z)
2.各衛星及び各搬送波周波数帯域に対する搬送波位相アンビギュイティ項
3.電離層バイアスに対する局外母数(衛星あたり1つ)
4.クロック及び残留対流圏バイアスパラメータ(観察の二重差が使用される場合にはこれらの状態はしばしば無視されるが)。
【0011】
図2はこのような従来の解決法を示しており、その場合には、全ての観察される衛星及び両方の周波数に対する全てのアンビギュイティが単一の大きな状態ベクトルを使用して推定される。複数の衛星のL1及びL2観察に対する生のGPSデータ200が210において準備(即ち、調整)され且つ準備されたデータセット220としてグローバルカルマン(Kalman)フィルタ230へ供給される。フィルタ230はL1及びL2観察値に対するアンビギュイティ推定値を供給する。
【0012】
現在のところ全地球測位システム(GPS)の場合、ユーザの局所的な地平上方において一度に最大で12個の衛星を追跡することが可能である。各GPS衛星は2つの搬送波周波数に関して送信を行う。従って、該フィルタにおいてアップデートされねばならない状態の数は、例えば、41に等しく、即ち、
・3個の移動局座標状態(x,y,z)
・12×2アンビギュイティ状態(二重周波数位相観察に対し)
・12個の電離層バイアスパラメータ
・1個のクロック及び1個の対流圏バイアス状態。
【0013】
n状態カルマンフィルタをアップデートするための浮動小数点演算の数は約n3に等しい(M. GREWAL et al.、カルマンフィルタリング・MATLABを使用した理論及び実際(KALMAN FILTERING:THEORY AND PRACTICE USING MATLAB)、第2版、2001年、ジュン・ワイリー・アンド・サンズ、ニューヨーク、ISBN:0−471−39254−5)。
【0014】
従って、計算上の速度及び効率のために、単一のカルマンフィルタ内に包含される状態の数を最小とすることが望ましい。
【0015】
ヨーロッパのGalileo衛星システムが使用可能となると、最大で30個の衛星(nSat=30)が一度に使用可能となる。このGalileo衛星は3つの、又は多分4つの搬送波周波数を送信するものと予測されている。GPS近代化により、3つの搬送波周波数(nFreq=3)が使用可能となる。例えば、K. BEJONG、将来のGPS及びガリレオ信号(Future GPS and Galileo Signals)、GEOINFORMATICS、2002年9月(2頁);G. HEIN et al.、ガリレオ周波数及び信号設計(Galileo Frequency & Signal Design)、GPS WORLD、2003年6月、30−37頁:S. CLIATT、GPS近代化(GPS Modernization)、プロシーディングズ・オブ・ザ・GNSS2003、2003年4月22−25日、グラース、オーストリア、を参照すると良い。3つの搬送波周波数に対する2つの基準局(nRef=2)からのデータが一度に処理される場合には、単一フィルタにおいてアップデートされることを必要とする状態の数は、例えば、以下の通りである。
【0016】
【数0】

【0017】
内蔵されたコンピュータパワーに対する予測される向上があるとしても、単一フィルタの計算負荷が大き過ぎることは極めて可能である。実時間位置決定等の多くの適用例の場合に、データのエポックあたり一度等の与えられた時間インターバル内において信頼性のある推定値を得ることが重要である。更に、増加された処理は、通常、受信器装置における増加された電力消費を意味し、そのことはバッテリ駆動型のポータブルユニット等の幾つかのタイプの装置にとって重要な考慮事項である。
【0018】
大きなフィルタリング問題の計算負荷を減少させるための1つのアプローチは、分散化したフィルタを使用することである。然しながら、N. Carlson、分散化した並列処理のための連合平方根フィルタ(Federated Square Root Filter for Decentralized Parllel Processing)、IEEE・トランズアクションズ・オン・エアロスペース・アンド・エレクトロニック・システムズ、Vol.AES−26、NO.3、1990年5月によって提案されているような分散化したカルマンフィルタリングに対する数学的アプローチは、該技術を搬送波位相アンビギュイティ解決問題に対して適用することの複雑な問題に対処するものではない。
【0019】
分散化フィルタリングは制御システム及び推定問題において、且つ既存の2周波数GPS信号に対する搬送波位相アンビギュイティ解決において過去に使用されているが、Galileo及び近代化したGPS等の3つ又はそれ以上の周波数を有する将来のGNSSシステムに対処する技術に対する必要性が存在している。
【0020】
コード及び搬送波位相は衛星毎のフィルタにおいて使用されている。R. Hatchは、ワイドレーン二重周波数搬送波位相結合と組合わせてL1/L2ナロウレーンコードを使用することを提案している。R. Hatch、GPSコード及び搬送波位相アンビギュイティの相乗作用(The synergism of GPS code and carrier phase ambiguities)、プロシーディングズ・オブ・ザ・サード・インターナショナル・ジオディテック・シンポジウム・オン・サテライト・ドップラー・ポジショニング、ラスクルセス、ニューメキシコ、1982年2月、Vol.2、1213−1232頁、及びP. MISRA et al.、全地球測位システム:信号、測定、及び性能(GLOBAL POSITIONING SYSTEM:SIGNALS, MEASUREMENTS, AND PERFORMANCE)、GANJA−JAMUNAプレス、2001年、230−233頁を参照すると良い。
【0021】
最小エラー理想結合も既知であり、その場合には、測定雑音が最小エラーの意味で電離層バイアスに対してバランスされる。最小エラー理想結合を派生するための詳細な理論はL. SJOBERG、トランシット/ドップラー及びGPSの適用において観察可能なL1及びL2周波数の最善の直線結合(The best linear combinations of L1 and L2 frequency observables in the application of Transit/Doppler and GPS)、MANUSCRIPTA GEODETICA 15、1990年、17−22頁において見出される。
【0022】
図3はソフトウエアパッケージTTC2、7を有するトリンブルナビゲーションリミテッドの製品における2周波数データの後処理用に実現されているような現在の2搬送波GPS信号データの処理のための従来の解決を示している。受信器300は複数の衛星に対しL1及びL2の観察を有するGPS信号データセット305を供給する。プロセス310がGPS信号データセット305から係数315を計算する。GPS信号データセット305及び係数315は3つのフィルタプロセス、即ちジオメトリ(geometry)フィルタプロセス320、ジオメトリフリー(geometry−free)電離層フィルタプロセス330、ジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタプロセス340へ供給される。ジオメトリフィルタプロセス320はジオメトリ搬送波位相結合を使用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ325を得る。電離層フィルタプロセス330はジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ335を得る。コードフィルタプロセス340はジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該ジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ345を得る。アレイ325,335,345は結合プロセス350へ供給されて全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ355を得る。アレイ355は浮動解(float−solution)計算プロセス360へ供給されて位置365を計算する。コードフィルタ340は単一のワイドレーン(wide−lane)フィルタであり、それはマルチパスモデリングを包含しているが雑音モデリングを包含するものではない。この従来の解はGalileo等の3つ又はそれ以上の搬送波周波数を具備し得るGNSSにとって適したものではない。
【0023】
図4はGalileo及び近代化したGPSに対して提案されているような3搬送波周波数構成を模式的に例示している。受信器400は夫々410,420,430に示されているSV1,SV2,SVm等の視界中にある任意の数の衛星からGNSS信号を受信する。これらの信号は模式的に440で示した地球の大気を介して通過する。各信号は3つ又はそれ以上の周波数f1,f2,...,fkを有している。受信器400はこれらの信号から該衛星の各々への夫々の擬似距離PR1,PR2,PRmを決定する。大気及びマルチパス効果が450において模式的に表わしたように信号経路において変動を発生し、そのことは擬似距離決定に歪みを発生させる。
【0024】
図5は3搬送波周波数を具備する提案されているGalileoシステムに対して意図されている従来の解を示している。受信器500は複数の衛星に対し3つの搬送波の観察を有するGalileo信号データセット505を供給する。プロセス510はGalileo信号データセット505から係数515を計算する。Galileo信号データセット505及び係数515は2つのフィルタプロセス、即ちジオメトリフィルタプロセス520及びジオメトリフリーフィルタプロセス530の単一のバンクへ供給される。ジオメトリフィルタプロセス520はジオメトリ搬送波位相結合を使用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ525を得る。該ジオメトリフリーフィルタプロセス530の単一のバンクは衛星あたり1個のジオメトリフリーフィルタを使用し、該ジオメトリフリー結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の単一出力アレイ535を全てのジオメトリフリー情報に対し発生する。アレイ525及び535が結合プロセス540へ供給されて全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ545を得る。アレイ545が計算プロセス550へ供給されて、整数最小二乗、検証、位置計算を使用して固定位置555を計算する。ジオメトリフリーフィルタの詳細はGNSS−2用の搬送波位相測位技術に関する研究所実験(Laboratory Experiment On Carrier Phase Positioning Techniques for GNSS−2)(TCAR−TEST)、テクニカルノートWP2100:物理的空間情報の使用(Use of Physical Space Information)、ESA/ESTEC契約番号12.406/77/NL/DS Rider 1、スペクトラプレシジョンテレサットGmbHの秘密報告書、1999年12月において見出される。3搬送波アンビギュイティ決定(TCAR)に対するこの提案されているアプローチの欠点は、全てのエラーが雑音として取扱われており、所望なものよりも計算的により非効率的としており且つ所望のものよりも一層悪いアンビギュイティ推定値を発生することである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
3つ又はそれ以上の搬送波を有するGNSS信号のアンビギュイティ決定に対し改良された方法及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に基づく実施例は例えばGalileo及び向上させたGPS等の3つ又はそれ以上の周波数を具備する将来のGNSSシステムにおける搬送波位相アンビギュイティ決定に対する必要性に対処するものである。
【0027】
3つ又はそれ以上の周波数帯域に対する搬送波位相アンビギュイティの良好な近似を得るために計算的に効率的な技術を使用しており、統計的なサーチのために必要とされる努力を著しく減少させ且つ検証が著しく減少される。
【0028】
既存のマルチ搬送波アンビギュイティ決定技術と比較して本発明に基づく実施例の利点は、フィルタコンポーネント(フロート即ち浮動解)に対する高い計算効率及び個々の測定及び測定結合のエラー特性のより良い知識を得るための能力を包含している。この効率は1つ又はそれ以上の利点を提供している。より低い性能の処理コンポーネントが必要とされ、受信器の構成をより低いコストで及び/又は電力消費がより少ないものとすることを可能としている。処理用の電力が使用可能な場合であっても、殆どの最近のCPUはプロセッサクロックを減少させ及び/又は計算が継続中でない間に処理ユニットを一種のスリープモードとさせることにより電力を節約することが可能である。これは重要なコスト、重量及びランタイムファクタである。与えられた処理用電力に対し、本発明に基づく実施例は従来の技術の場合に可能であるよりもより良い計算モデルを使用することを可能とし、改良されたシステム性能とさせている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の文脈において、以下の用語はその文脈によりそうでないことが表示されない限り表示した意味を有するものであることが意図されている。
【0030】
GALILEOは、ヨーロッパ宇宙局による配備が計画されているGalileo衛星ナビゲーションシステムを有している。
【0031】
GLONASSは、ソビエト連邦により配備されたGlonass衛星ナビゲーションシステムを包含している。
【0032】
GNSS(全地球航法衛星システム)は、総称的に、GPS、GLONASS及びGALILEOシステム、時折動作状態となることが可能な同様の衛星をベースとした航法システム、及びスードライト(PSEUDOLITE)システムを包含している。
【0033】
GPSは、それが現在存在しており且つ将来の近代化と共に存在する場合のあるアメリカ合衆国国防省により配備されたNAVSTAR全地球測位システムを包含している。
【0034】
擬似衛星とも呼ばれるスードライトがGNSSのような信号の送信器である。スードライトは典型的に地球型である。
【0035】
基準受信器(即ち基準局)は固定位置にあるGNSS受信器である。
【0036】
移動局は移動可能なGNSS受信器である。
【0037】
衛星はGNSS信号の送信器であり、且つスードライトを包含することが意図されている。
【0038】
ユーザは移動又は基準受信器である。
【0039】
以下の表記は以下の説明において使用される。
【0040】
【表1】

【0041】
概観
図6は本発明の1実施例に基づく3つ又はそれ以上の搬送波に対するGNSS信号のファクトライズ(factorize)したアンビギュイティ決定を使用してGNSS位置を計算するためのアーキテクチャを例示したフローチャートである。GNSS信号データセット605は受信器において複数の衛星の信号を受信することにより得られた1組の観察値である。GNSS信号データセット605は要素610へ供給され、それは該データをフィルタリングのために用意(即ち、調整)し、且つその結果用意されたデータ615は要素620へ供給され、該要素は完全にファクトライズされた搬送波アンビギュイティ決定(CAR)フィルタを該用意されたデータに対して適用する。
【0042】
完全にファクトライズされた搬送波アンビギュイティ決定(CAR)フィルタ要素620の特徴及び変形例について以下に詳細に説明する。フィルタ要素620を用意したデータに対して適用することの結果は全ての送信器(例えば、全ての観察されたGNSS衛星及び/又はスードライト)に対する全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ625である。アレイ625は位置計算要素630へ供給され、該要素は観察時に対する受信器位置635を計算する。図6の例においては、要素630は浮動(float)解として位置635を計算する。
【0043】
図7は本発明の1実施例に基づいて3つ又はそれ以上の搬送波に対するGNSS信号のファクトライズしたアンビギュイティ決定を使用するGNSS測位用の更なるアーキテクチャを例示したフローチャートである。GNSS信号データセット705は受信器において複数の衛星の信号を受信することにより得られた1組の観察値である。データセット705は要素710へ供給され、該要素はフィルタリングのために該データを用意し、且つその結果用意されたデータ715は要素720へ供給され、該要素は完全にファクトライズされた搬送波アンビギュイティ決定(CAR)フィルタを該用意されたデータに適用する。
【0044】
要素720の完全にファクトライズされた搬送波アンビギュイティ決定(CAR)フィルタの特徴及び変形例について以下に詳細に説明する。フィルタ要素720を該用意されたデータに対して適用する結果は、全ての送信器(例えば、全ての観察したGNSS衛星及び/又はスードライト)に対する全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ725である。アレイ725は位置計算要素730へ供給され、該要素は観察時に対する受信器位置735を計算する。図7の例においては、要素730は、整数最小二乗プロセス740をアレイ725へ適用し、且つ検証プロセス750を適用することにより位置735を計算する。
【0045】
図8は、フィルタプロセス620及び720を実施するのに適した本発明の実施例に基づく完全にファクトライズした3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタ820の構造を示している。用意されたGNSS信号データセット615又は715等の用意されたGNSS信号データセット815がフィルタ820へ供給され、該フィルタはサブプロセスを実施するための多数の要素を包含している。要素825は用意されたデータセットから係数を計算し且つ該用意されたデータセットを計算した係数と共に複数個のサブフィルタへパスする。これらのサブフィルタは、単一ジオメトリフィルタ830と、観察した衛星当たり1個のフィルタを具備しているジオメトリフリー電離層フィルタバンク835と、各フィルタバンクが観察した衛星当たり1個のフィルタを具備している1つ又はそれ以上のクインテセンス(Quintessence)フィルタバンク840(1)乃至840(nf−2)と、各フィルタバンクが観察した衛星あたり1個のフィルタを具備している1つ又はそれ以上のコードフィルタバンク845(1)乃至845(nf)とを包含している。該サブフィルタにより発生されるアレイは結合器850へ供給され、該結合器は関連する統計情報と共に全ての搬送波位相観察値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ855を供給する。アレイ625及び725に対応するアレイ855はプロセス630及び730に対応する位置計算のために要素860へ供給される。
【0046】
クインテセンスフィルタバンクの数はGNSS信号データセット815の搬送波周波数の数nfより2少ないものであり、というのは、2つの結合はジオメトリフィルタ830と電離層フィルタバンク835により使用されるからである。例えば、クインテセンスフィルタの単一のバンクが3つの搬送波周波数を有するGNSSシステムに対して提供され、且つクインテセンスフィルタの2つのバンクが4つの搬送波周波数を具備するGNSSシステムに対して提供される。少なくとも1つの結合したコードフィルタバンクが提供され、所望により、最大でGNSS信号データセット815の搬送波周波数の数nfまで複数個のコードフィルタバンクを設けることが可能である。例えば、1乃至3の任意の数のコードフィルタバンクが3つの搬送波周波数を具備するGNSSシステムに対して設けられ、且つ1乃至4のうちの任意の数のコードフィルタバンクが4つの搬送波周波数を具備するGNSSシステムに対して設けられる。図9は本発明の実施例に基づく個々のフィルタ及びフィルタバンクの数の要約を示しており、各フィルタバンクは衛星あたり1個のフィルタを有している。
【0047】
図10は観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づくジオメトリフリー電離層フィルタバンク835の構造を示している。電離層フィルタバンク835は夫々のジオメトリフリー電離層フィルタ1010,1020,...,1030を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1040へ供給して電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1050を得る。アレイ1050はフィルタ820等の完全にファクトライズされたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0048】
図11Aは観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づくクインテセンスフィルタバンク1100の構造を示している。クインテセンスフィルタバンク1100は夫々のジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1105,1110,...,1115を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1120へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ1125を得る。アレイ1125はフィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0049】
図11Aに示した本発明の1実施例によれば、単一クインテセンスフィルタバンク1100は、GNSSシステムが3つの搬送波周波数を有している場合に供給される。図11Bに示した本発明の別の実施例によれば、数nf−2のクインテセンスフィルタバンクが設けられ、尚nfはGNSS搬送波周波数の数である。例えば、4つの搬送波周波数の場合には2個のクインテセンスフィルタバンクが設けられる。
【0050】
図11Bは一般化した構造を示しており、その場合に、観察される衛星の数nsに対し本発明の実施例に基づいて複数個のクインテセンスフィルタバンク1100,1130が設けられる。クインテセンスフィルタバンク1100は図11Aに示してあるようなものである。クインテセンスフィルタバンク1130はジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1135,1140,...,1145を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに適用され且つその結果を二重差要素1150へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合及び関連する統計情報に対してのアンビギュイティ推定値のアレイ1155を得る。アレイ1155は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0051】
図12Aは、観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づく単一ジオメトリフリーコードフィルタバンク1200の構造を示している。コードフィルタバンク1200はジオメトリフリーであるが完全には電離層フリーではないフィルタ1205,1210,...,1215を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1220へ供給してジオメトリフリー且つ電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイ1225を得る。アレイ1225は、フィルタ820等の完全にファクトライズされたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0052】
図12Bは、観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づく単一のジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンク1230の構造を示している。コードフィルタバンク1230はジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1235,1240,...,1245を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1250へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1255を得る。アレイ1225は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0053】
図13は、観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づく多数のジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンク1300,...,1330の構造を示している。コードフィルタバンク1300,...,1330の数は、最大でGNSS搬送波周波数の数nfまでの任意の数である。例えば、3つの搬送波周波数を有するGNSSシステムは、最大で、3つのコードフィルタバンクを有することが可能であり、且つ4つの搬送波周波数を有するGNSSシステムは最大で4つのコードフィルタバンクを有することが可能である。
【0054】
図13を参照すると、フィルタバンク1300はジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1305,1310,...,1315を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対するGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1320へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイ1325を得る。アレイ1325は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0055】
未だに図13を参照すると、フィルタバンク1330はジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1335,1340,...,1345を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対してのGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1350へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイ1355を得る。アレイ1355は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0056】
図14は、観察される衛星の数nsに対しての本発明の実施例に基づく相互に直交しているものとして特定される多数のジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンク1400,...,1430の構造を示している。相互に直交するコードフィルタバンク1400,...,1430の数は、最大でGNSS搬送波周波数の数nfまでの任意の数である。例えば、3つの搬送波周波数を有するGNSSシステムは最大で3つのコードフィルタバンクを有することが可能であり、且つ4つの搬送波周波数を有するGNSSシステムは最大で4つのコードフィルタバンクを有することが可能である。
【0057】
図14を参照すると、フィルタバンク1400は相互に直交するジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1405,1410,...,1415を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対してのGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1420へ供給してジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイ1425を得る。アレイ1425は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0058】
未だに図14を参照すると、フィルタバンク1430はジオメトリフリー及び電離層フリーフィルタ1435,1440,...,1445を包含しており、各フィルタは、夫々、観察される衛星Sat1,Sat2,...,Satnsのうちの1つに対応している。各フィルタは対応する衛星に対してのGNSS信号データに対して適用され且つその結果を二重差要素1450へ供給して該ジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイ1455を得る。アレイ1455は、フィルタ820等の完全にファクトライズしたCARフィルタのその他のサブフィルタからのアレイと結合するために結合器850等の結合器へ供給される。
【0059】
図15は本発明の実施例に基づくハイレベル処理方法を例示したフローチャートである。1505において開始し、予備処理されたGNSSデータが1510において受取られる。フィルタ820等の完全にファクトライズした3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタが第一エポックに対し1515において初期化され且つその第一エポックに対するデータを処理する。第一エポックに対する処理の結果が1520において出力として供給される。新たなエポックに対し予備処理されたデータセットが使用可能であるか否かのチェックが1525において行われる。否定である場合には、該プロセスは1530において終了する。肯定である場合には、新たなエポックに対するデータセットが1535において処理され且つ新たなエポックを処理した結果が1520において出力として供給される。本方法は表示した如く1525から繰り返される。
【0060】
図16は本発明の実施例に基づくシステム初期化の多数の可能な例のうちの1つを例示したフローチャートである。1605において開始し、生のGNSSデータセットが新たなエポックに対し使用可能であるか否かのチェックが1610において行われる。否定である場合には、初期化は失敗したものと考えられ且つ制御は1615を介してリターンして該プロセスを1605において再開始させる。肯定である場合には、生のGNSSデータセットが1620において用意され且つ1625においてフィルタされる。結合820等の完全にファクトライズした3+搬送波アンビギュイティ決定結合が該用意され且つフィルタされたデータセットに対し1630において適用される。アンビギュイティ推定値が充分に収束していない場合には、初期化は失敗したものと考えられ且つ制御は1615を介してリターンし1650において該プロセスを再開始させる。アンビギュイティ推定値が充分に収束している場合には、初期化は成功したものと考えられ且つ例えば1640における整数最小二乗計算により位置が計算される。初期化が成功したものと考えるためのアンビギュイティ推定値の充分な収束を構成するものは、設計選択事項であり、それは、例えば、搬送波のプラス又はマイナス5又は10サイクルである場合がある。アンビギュイティ推定値が収束しない場合には、整数最小二乗解を計算するための処理資源は再開始させ且つ新たなデータセットを待機することにより無しで済ますことが可能である。いずれの場合においても、アンビギュイティ推定値は2,3のエポックの後に収束する。解検証が1645において実施され且つその検証が成功したか否かのチェックが1650においてなされる。否定である場合には、初期化が失敗したものと考えられ且つ制御は1615を介してリターンして該プロセスを1605において再開始させる。肯定である場合には、初期化は1655において成功したものと考えられる。
【0061】
図17は本発明の実施例に基づく単一エポック内における瞬間的なシステム初期化の多数の可能な例のうちの1つを例示したフローチャートである。1705において開始して、生のGNSSデータセットが1710において用意され且つ1715においてフィルタされる。結合820等の完全にファクトライズした3+搬送波アンビギュイティ決定結合が該用意され且つフィルタされたデータセットに対して1720において適用される。使用可能なデータでもって初期化が可能であるか否かのチェックが1725において行われる。否定である場合には、初期化は失敗したものと考えられ且つ制御は1730を介してリターンして該プロセスを1705において再開始させる。肯定である場合には、例えば1735における整数最小二乗計算によって整数アンビギュイティが決定される。解検証が1740において実施され且つその検証が成功したか否かのチェックが1745において行われる。否定である場合には、初期化が失敗したものと考えられ且つ制御は1730を介してリターンして該プロセスを1705において再開始させる。肯定である場合には、初期化は1750において成功したものと考えられる。
【0062】
図18は3つ又はそれ以上の搬送波を具備するGNSS信号データセット1805を処理するための本発明の実施例に基づく方法を模式的に例示している。GNSS信号データセット1805は、オプションとして、1810において処理されてフィルタ820等の完全にファクトライズした3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタのサブフィルタにおいて使用するための係数1815を計算し、係数1815は、一方、幾分より大きな処理負荷のコストでもって該サブフィルタにおいて計算することが可能である。該係数は、それらが以下により詳細に説明するようにエラーを最小とするために計算されるので、相互に関連しており且つ直交している。サブフィルタプロセス1820がデータセット1805に対してジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタ830等のジオメトリフィルタを適用して、該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ1825を得る。サブフィルタプロセス1830はデータセット1805に対してジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタバンク835等の電離層フィルタのバンクを適用して、該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ1835を得る。
【0063】
サブフィルタプロセス1840は、データセット1805に対し、ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタバンク840(1),...,840(nf−2)等のクインテセンスフィルタの少なくとも1個のバンクを適用して、該ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ1845を得る。クインテセンスフィルタバンクの数は図9及び11Bを参照して上述したように搬送波周波数の数に依存する。サブフィルタプロセス1850は、データセット1805に対して、複数個のジオメトリフリーコード搬送波結合を使用して、コードフィルタバンク1200又は1230又はコードフィルタバンク1300,...,1330又は1400,...,1430等の少なくとも1つのコードフィルタバンクを適用して、該複数個の送信器に対し該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイ1855を得る。該コードフィルタバンクの数及び特性は図9,12A,12B,13,14を参照して上に説明してある。アレイ1825,1835,1845,1855は1860において結合されて全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイ1865を得る。サブフィルタプロセス1820,1830,1840,1850は、例えば、計算効率、プロセッサ電力消費及び/又はデータセット1805の使用可能性から位置fixに対する全体的な処理時間等の考慮事項を最適化するために所望により1個のプロセッサ内の別々のスレッドにおいて又は別々のプロセッサにおいて並列的に実施することが可能である。
【0064】
図19は3+搬送波周波数GNSS受信器1900に対して計算した位置を得るための図18の方法の適用例を示している。GNSS信号データセット1805は3+搬送波周波数GNSS信号のオブザーバブルから受信器1900によって用意される。アレイ1865がプロセス1910へ供給され、該プロセスはデータセット1805の採取時間に対応する受信器1900の浮動(float)解位置を計算し且つその計算した位置1920を出力として供給する。
【0065】
図20は3+搬送波周波数GNSS受信器2000に対し計算した位置を得るための図18の方法の更なる適用例を示している。GNSS信号データセット1805が3+搬送波周波数GNSS信号のオブザーバブルから受信器2000によって用意される。アレイ1865がプロセス2010へ供給され、該プロセスは整数最小二乗解を計算することにより整数アンビギュイティを決定する。検証プロセス2015がその解の有効性をチェックし、それは受信器2000の位置2025を計算するためにプロセス2020において使用される。
【0066】
図21は、3+搬送波周波数GNSS受信器2100に対し浮動(float)解計算位置1920及び浮動及び固定(float−and−fixed)結合計算位置2020の両方を得るための図18の方法の更なる適用例を示している。GNSS信号データセット1805が3+搬送波周波数GNSS信号のオブザーバブルから受信器2100により回収される。アレイ1865がプロセス1910へ供給され、該プロセスはデータセット1805の採取時間に対応する受信器1900の浮動解位置を計算し且つその計算した位置1920を出力として供給する。検証されておらず且つ検証された整数最小二乗解よりもより精密でない可能性があるが、この浮動解位置はより迅速に計算され且つ使用可能である場合には、検証された整数最小二乗解で補充することが可能である。アレイ1865は、又、プロセス2010へ供給され、該プロセスは整数最小二乗解を計算することにより整数アンビギュイティを決定する。検証プロセス2015がこの解の有効性をチェックする。プロセス2020が検証された解から位置を計算する。出力として供給されたその計算された位置2025が検証された結合浮動(float)及び固定(fixed)解である。
【0067】
本発明の実施例に基づく搬送波位相アンビギュイティの分散型推定は以下のフィルタを使用する。
【0068】
・フィルタ830等のジオメトリフィルタで、それは最小エラー搬送波位相結合を処理して各衛星に対する単一(結合)アンビギュイティ項、及び受信器に対する位置状態を推定する。
【0069】
・バンク835等の電離層フィルタのバンクで、それは最小エラー電離層搬送波位相結合を使用して衛星信号に関する電離層バイアスを推定する。
【0070】
・クインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクで、それはジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を処理して搬送波位相アンビギュイティを直接的に推定する。
【0071】
・最大で各コード帯域に対し1個のバンクであるコードフィルタの1つ又はそれ以上のバンクで、それはその電離層バイアスが該コードのものと等しいか又はそれに近いように形成された位相結合を処理する。
【0072】
複数の基準局が一度に処理される場合には、最も計算的に効率的なアプローチは、各基準局に対しフィルタの別個のブロックを実現することである。即ち、ジオメトリフィルタ830、電離層フィルタバンク835、1つ又はそれ以上のクインテセンスフィルタバンク840(1),...,840(nf−2)、及び1つ又はそれ以上のコードフィルタバンク845(1),845(2),...,845(nf)は、計算効率のために、所望により、複数の基準局の各々に対し複製することが可能である。
【0073】
フィルタのバンクからの出力は、搬送波位相アンビギュイティの推定値が要求される場合には、最小エラーの意味において結合される。通常、このことは測定アップデートエポック毎に行われ(例えば、毎秒1回)、しかし、処理プラットフォームが制限された処理能力を有している場合には、該フィルタを伝搬させ且つ該結合を実施するためにより遅いアップデートレンジを使用することが可能である。
【0074】
複数の基準局が関与する場合には、各基準局データストリームは計算負荷を減少させることに貢献するために推定器内に多重化させることが可能である。
【0075】
アプリオリエラーモデル
測定値のエラー特性のアプリオリ知識が使用される方法について説明する。無相関エラー成分(雑音)の分散が、相関エラー分散及びその相関時定数と共に使用される。U. VOLLATH et al.、ネットワークRTK対単一ベースRTK−エラー特性の理解(Network RTK Versus Single Base RTK − Understanding the Error Characteristics)、プロシーディングズ・オブ・ザ・GNSS2002・コンフェレンス、2002年5月、2774−2780頁を参照すると良い。
【0076】
これは代表的なデータセットの解析により行われる。該エラーは、典型的に、個々の衛星の仰角(elevation)及び/又は受信器追跡ループにより計算される搬送波対雑音比に依存する。多くの方法が文献において使用可能である。
【0077】
1つの方法は、仰角90゜における分散σ90゜2から仰角αにおける分散σα2を派生する仰角マッピング関数アプローチである。
【0078】
【数1】

【0079】
時間相関エラーに対しては、相関時間tcとの指数時間相関が仮定される。
【0080】
【数2】

【0081】
以下においては、σuk2はエポックkにおける無相関(ホワイトノイズ)エラーの分散を示す。σck2は関連する時定数tckでのエポックkにおける時間相関エラーの分散である。
【0082】
二重差対一重差
継続的な議論の1つの問題は、GNSSデータ処理における二重差又は一重差の使用である。両方のアプローチの均等性は、受信器クロックの精密なモデルは使用可能なものではないという現実的な仮定の下で証明されている。E. GRAFAREND et al.、局外母数除去による均等な線形モデルのクラスの発生−GPS観察への適用(Generating Classes of Equivalent Linear Models by Nuisance Parameter Elimination − Applications to GPS Observations)MANUSCRITPA GEODETACA 11(1986)、262−271頁を参照すると良い。一方のアプローチ又は他方のアプローチを選択するための主要な理由はアルゴリズムの構成(ソフトウエア設計)である。
【0083】
ここに提示する方法はジオメトリフリーフィルタに対し一重差を使用し、且つ該ジオメトリフィルタに対しては一重差又は二重差を使用することが可能である。アンビギュイティ決定ステップはオペレーションのために二重差を必要とする。
【0084】
基準衛星
アンビギュイティ決定プロセス自身は基準衛星の選択に依存するものではないが、基準衛星は二重差においてアンビギュイティを固定することが可能であるように選択されねばならない。データセットにおいて表現される任意の衛星を使用することが可能である。基準衛星選択の2つの方法が文献において一般的であり、
1.最も高い仰角衛生が使用され、
2.測定において最も低い予測エラーを有する衛星が選択され、例えば、最も高い信号対雑音比を有する衛星である。
【0085】
データ解析のために、これらの基準衛星選択はデータエラーについてより深い洞察を提供することが可能である。
【0086】
データ準備
データ準備は移動局位置に依存することのない全てを予め計算するオプションのプロセスである。以下のプロセスにおいて処理負荷が増加し且つ転送すべきデータがより多くなると言う犠牲においてデータ準備(即ち、調整)ステップなしでのオペレーションが可能である。
【0087】
周波数f及び基準局位置
【0088】
【数3a】

【0089】
の衛星sに対する予備処理した搬送波データを作成するために、以下の式が使用される。
【0090】
【数3】

【0091】
電離層に関するアプリオリ情報もモデルから使用可能である場合には、予備処理は次式を考慮に入れることが可能である。
【0092】
【数4】

【0093】
尚、
【0094】
【数4a】

【0095】
は該衛星と基準受信器位置
【0096】
【数3a】

【0097】
との間のジオメトリックレンジ(geometric range)即ち幾何学的距離であり且つ
【0098】
【数4b】

【0099】
は該衛星と何等かの対流圏モデルから派生した基準受信器位置
【0100】
【数3a】

【0101】
との間の対流圏遅延である。
【0102】
【数4c】

【0103】
は該衛星と同一の対流圏モデルから派生したユーザ位置
【0104】
【数4d】

【0105】
の良好な推定値(例えば、差分GNSS位置)との間の対流圏遅延である。
【0106】
同様に、その予備処理された擬似範囲測定値は、
【0107】
【数5】

【0108】
であり、又は、対流圏モデルを使用して、
【0109】
【数6】

【0110】
である。以下において、全ての式は予備処理した測定値を参照している。
【0111】
データ準備が実施されない場合には、以下の方法の説明は、上の式を使用する基準受信器とユーザ受信器とにおいてとられる測定値の間に暗示的な差を有している。
【0112】
ジオメトリフィルタ(Geometry Filer)
ジオメトリフィルタ830等のジオメトリフィルタは、最小エラー搬送波位相結合
【0113】
【数6a】

【0114】
を使用する古典的な浮動(float)解である(最小エラー幾何学的搬送波位相結合と題した以下の説明を参照)。その浮動解は対流圏残留エラーモデルに対する1つの状態を包含することが可能である。これはアンビギュイティ決定を使用する高精度衛星航法システム測位に対する良く知られたスタンダードな技術である。
【0115】
該浮動解は一重差又は二重差で構成することが可能である。前者の場合においては、結合オペレーション(結合と題した以下の説明参照)へ結果をパスする前に二重差オペレータ(二重差オペレータと題して以下の説明参照)が適用される。
【0116】
本発明の実施例においては、最小エラー搬送波位相結合における相関させたエラーのモデリングが状態増強技術によって、又、顕著な雑音が存在しない場合には、雑音の白色化技術によって行われる。
【0117】
ジオメトリフリーフィルタ
フィルタバンク835,840(1),...,840(nf−2)及び845(1),845(2),...,845(nf)等の対流圏、クインテセンス及びコードフィルタバンクのために使用されるジオメトリフリー(geometry−free)フィルタについて説明する。それらは、無相関雑音及び与えられた相関時間を有する相関雑音を考慮に入れる与えられたジオメトリフリーオブザーブル結合
【0118】
【数6b】

【0119】
のアンビギュイティの推定を実現する。
【0120】
カルマンフィルタ形成
本発明の実施例に基づくジオメトリフリーフィルタは、2つの状態を有するカルマンフィルタとして実現される。第一状態(Nf)は推定すべきアンビギュイティ状態である。第二状態(vck、尚kは現在のエポック)は指数時間相関(ガウス・マルコフ(Gauss−markov)(1)プロセス)を有する時間相関させたエラー成分(状態増強)をモデル化する。
【0121】
カルマンフィルタに対する定義式(A. GELB(ed.)、応用最適推定(Applied Optimal Estimation)、The M.I.T. Press、1992年、107−113頁に基づく)は以下の如くである。
【0122】
状態ベクトル:
【0123】
【数7】

【0124】
状態遷移行列:
【0125】
【数8】

【0126】
尚、左上の項1は、アンビギュイティがエポック毎に定数であることを表わし、kは現在のエポックのエポック番号であり、k−1は前のエポックのエポック番号であり、tckはエポックkにおける相関雑音の時定数であり、且つ指数項は仮定された指数時間相関(上の式0.2)である。
【0127】
システム駆動雑音行列:
【0128】
【数9】

【0129】
尚、左上の項0は、アンビギュイティ状態(状態1)が統計的に定数であることを表わし、右下の項はσck2はエポックkにおける相関雑音の分散(状態2の分散)である。
【0130】
設計行列:
【0131】
【数10】

【0132】
尚、値1及び1は、測定値がアンビギュイティ状態(状態1)及び相関雑音(状態2)の和を包含していることを表わす。
【0133】
測定雑音行列:
【0134】
【数11】

【0135】
はエポックkにおける無相関雑音(白色雑音)の分散である。
【0136】
観察値
【0137】
【数12】

【0138】
はフィルタすべき周波数fに対するエポックkの搬送波位相測定値である。
【0139】
フィルタ初期化:
【0140】
【数13】

【0141】
尚、サブスクリプト1はエポック番号1で開始することを表わす。
【0142】
スタンダードカルマンフィルタアルゴリズム(1<k≦neに対し):
【0143】
【数14】

【0144】
0.14の最初の2行は各新たなエポックに対し状態ベクトル及びエラー伝搬を時間アップデートすべく作用する。0.14の最後の3行は各新たなエポックに対し測定値をアップデートすべく作用する。
【0145】
0.14の最初の行は前のエポックに対する状態ベクトルを前のエポックk−1の状態遷移行列Φk-1でアップデートすることにより現在のエポックkに対する状態ベクトルを発生する(それは、時間相関雑音の時定数を考慮に入れる)。
【0146】
0.14の2番目の行は、前のエポックk−1の状態遷移行列Φk-1(それは時間相関雑音の時定数を考慮する)及び前のエポックk−1に対するシステム駆動雑音行列Qk-1(それは時間相関雑音の分散を考慮する)で前のエポックk−1に対するエラー伝播をアップデートすることにより現在のエポックkに対するエラー伝搬Pk-(状態の分散−共分散行列)を発生する。
【0147】
0.14の3番目の行は、現在のエポックkに対するカルマンゲインKkがどのようにしてエラー伝搬行列Pk-(それは上述した如く時間相関雑音及びその時定数の関数である)及び無相関雑音の分散を記述する測定雑音行列Rkに関係しているかを表わす。カルマンゲインKkは古い情報の時間アップデートと新たな測定観測値との間の「混合係数」とみなすことが可能である。
【0148】
0.14の4番目の行は、現在のエポックkに対するアップデートした状態推定値がどのようにして現在のエポックに対する時間アップデートした状態ベクトル、現在のエポックに対するカルマンゲインKk、現在のエポックkに対して観察された搬送波位相測定値に関連しているかを表わす。
【0149】
0.14の5番目の行は現在のエポックkに対するエラー伝搬行列Pk+(状態の分散−共分散行列)である。
【0150】
カルマンフィルタは、ビエルマン(Bierman)UDフィルタ(G. BIERMAN、離散逐次的推定に対する因数分解方法(Factorization Methods for Discrete Sequential Estimation)、Academic Press、1977年参照)又はカルマンフィルタアルゴリズムの何等かのその他の数値的に安定化した実現例を使用して実現することが可能である。
【0151】
別の方式
相関エラーと比較して非常に小さな無相関エラーの場合には、本発明の実施例に基づいてより簡単なフィルタを適用することが可能である。G. BIERMAN、離散逐次的推定に対する因数分解方法(Factorization Methods for Discrete Sequential Estimation)、Academic Press、1977年における「雑音の白色化(Whitening of noise)」、及びA. GELB、ed.)、応用最適推定(Applied Optimal Estimation)、The M.I.T. Press、1977年、133−136頁における「差分アプローチ(Differencing Approach)」を参照すると良い。これは対流圏及びクインテセンスフィルタバンクへ適用する。
【0152】
フィルタ初期化:
【0153】
【数15】

【0154】
フィルタアルゴリズム(1<k≦ne):
【0155】
【数16】

【0156】
尚、ckは修正した相関係数であり、lkは修正した分散(不確実性)であり、μkは測定における不確実性であり、akは累積した重み付け情報であり、qkは各新たなエポックでの確実性のインジケータであり(累積した重み、分散の逆数)、項ak/qkはアンビギュイティであり、且つqkの逆数はアンビギュイティの分散である。
【0157】
フィルタのバンク
ジオメトリフリーフィルタは、追跡される衛星あたり1個のフィルタとしてns個のフィルタのバンクとして実現される。ジオメトリフリーフィルタの結果は、通常最も高い仰角又は最も低いエラーである特定の基準衛星に対する差分により決定される。上の基準衛生の説明を参照すると良い。基準衛星の選択は影響に与えることはない。結果は選択した基準衛星に対する二重差として与えられる。以下の二重差オペレータの説明を参照すると良い。
【0158】
電離層フィルタ
電離層フィルタバンク835等の電離層フィルタは、最小エラー電離層搬送波位相結合
【0159】
【数16a】

【0160】
を使用するジオメトリフリーフィルタである。以下の最小エラー電離層搬送波位相結合の説明を参照。
【0161】
クインテセンスフィルタ
nf周波数に対して、クインテセンスフィルタバンク840(1),...,840(nf−2)等のnf−2個のジオメトリフリークインテセンスフィルタが、クインテセンス搬送波位相結合
【0162】
【数16b】

【0163】
を使用して実現される。以下のクインテセンス搬送波位相結合の説明を参照。
【0164】
コードフィルタ
nf周波数に対して、コードフィルタバンク845(1),845(2),...,845(nf)等のnfジオメトリフリーコードフィルタがコード搬送波結合
【0165】
【数16c】

【0166】
を使用して実現される。以下のコード/搬送波結合の説明を参照。
【0167】
二重差オペレータ
ジオメトリフリーフィルタの結果は、ユーザ(例えば、移動局)においてとられた測定値と基準受信器においてとられた測定値との間の一重差として与えられる。この一重差を二重差へ変換するために、そのフィルタ結果が結合される前に、例えばその結果が結合器850へ供給される前に、二重差オペレータが適用される。二重差オペレータMdifは例えば、
【0168】
【数17】

【0169】
であり、尚、列数は衛星の数でありかつ行数は衛星の数から1を差し引いたものである。この例において、第一衛星が基準衛星であること及びその他の衛星に対する測定値は基準衛星に対する測定値から減算されるものであることが仮定される。
【0170】
浮動値二重差アンビギュイティ状態推定値は二重差オペレータMdifと一重差との積である。
【0171】
【数18】

【0172】
結果Qdifの二重差分散−共分散行列は、一重差分散−共分散行列Qsdと、二重差オペレータと、二重差オペレータの転置との積である。
【0173】
【数19】

【0174】
以下に説明するように結果を検証するために使用される統計値は二重差及び一重差に対して同一である。
【0175】
【数20】

【0176】
別の統計値であるジオメトリフリーに対する自由度も、例えば、見つかった最良解が正しい解である確率を計算するために検証において使用することが可能である。
【0177】
【数21】

【0178】
同様に、ジオメトリフリーフィルタに対する自由度は次式で与えられ
【0179】
【数22】

【0180】
尚、neはエポック数である。
【0181】
係数決定
以下のセクションは、個別的なフィルタに対して異なるコード及び搬送波結合係数
【0182】
【数22a】

【0183】
をどのようにして派生するかについて説明する。
【0184】
結合の特性
以下に提示する測定結合は次の特性を有している。
【0185】
・最小エラージオメトリック、最小エラー電離層及びクインテセンス結合は対毎に無相関であり、
・コード結合の最小エラージオメトリック、最小エラー電離層及びクインテセンス結合に対する相関は、コードマルチパスが搬送波位相マルチパスよりも2桁乃至3桁大きさが大きいので、無視することが可能である。
【0186】
結合に対するエラーモデル
提示される全ての結合
【0187】
【数23a】

【0188】
に対して、無相関雑音
【0189】
【数23b】

【0190】
相関雑音
【0191】
【数23c】

【0192】
及び時定数
【0193】
【数23d】

【0194】
のエラー特性は次式を使用して計算することが可能である。
【0195】
【数23】

【0196】
尚、対角線行列は周波数あたり個別的な分散を担持しており、且つ
【0197】
【数24】

【0198】
である。コード搬送波結合の場合に、エラー特性は実際的に使用されるコード測定のエラー特性と同一である。
【0199】
最小エラージオメトリック搬送波位相結合
上のジオメトリフィルタの一般的な説明を参照。最小エラー搬送波位相結合は、ジオメトリック浮動解フィルタにおいて使用される。そこで使用される搬送波位相結合は以下の如くに提示される。
【0200】
【数25】

【0201】
尚、
【0202】
【数25a】

【0203】
は搬送波位相の線形結合であり、ageo,1,...,ageo,fは係数であり(以下に定義)、かつφ1,...,φnfは夫々の搬送波周波数1乃至nにおけるオリジナルの測定値である。
【0204】
以下の表記法を使用し、
【0205】
【数26】

【0206】
尚、λ1,...,λnfは夫々の搬送波周波数1乃至nの波長であり、
【0207】
【数27】

【0208】
尚、σφ2乃至σφnfは、サイクルにおいて、搬送波周波数2乃至nに対する測定値の標準偏差であり、且つ
【0209】
【数28】

【0210】
である。該係数は、搬送波周波数2乃至nに対して次式で定義され、
【0211】
【数29】

【0212】
且つ搬送波周波数1に対しては次式で定義される。
【0213】
【数30】

【0214】
最小エラー電離層搬送波位相結合
最小エラー電離層搬送波位相結合が電離層フィルタにおいて使用される。その結合は次式で定義され、
【0215】
【数31】

【0216】
尚、
【0217】
【数31a】

【0218】
は搬送波位相の線形結合であり、aiono,1,...,aiono,fは係数であり(以下に定義)、且つφ1,...,φnfは夫々の搬送波周波数1乃至nにおけるオリジナルの測定値である。
【0219】
以下の表記法を使用し、
【0220】
【数32】

【0221】
【数33】

【0222】
【数34】

【0223】
【数35】

【0224】
尚、該係数は次式で定義される。
【0225】
【数36】

【0226】
【数37】

【0227】
クインテセンス搬送波位相結合
クインテセンス搬送波位相結合はクインテセンスフィルタにおいて使用される。nf搬送波周波数、k=1,...,nf−2に対して、クインテセンス搬送波位相結合は次式で定義される。
【0228】
【数38】

【0229】
以下の表記法を使用して、
【0230】
【数39】

【0231】
尚、該係数は次式で定義される。
【0232】
【数40】

【0233】
【数41】

【0234】
コード搬送波結合
コード搬送波結合はコードフィルタにおいて使用される。全ての周波数kに対し、1つの結合が次式により定義される。
【0235】
【数42】

【0236】
以下の表記法を使用し、
【0237】
【数43】

【0238】
【数44】

【0239】
【数45】

【0240】
【数46】

【0241】
尚、係数は以下の如くに定義される。
【0242】
【数47】

【0243】
【数48】

【0244】
上の説明は、n搬送波周波数に対して測定が行われる一般的な場合に対して向けられている。3搬送波周波数及び4搬送波周波数のより簡単な場合に対する例を以下に与える。
【0245】
係数例:3周波数
以下の例は3搬送波の場合に対する係数を特定する。
【0246】
最小エラージオメトリック搬送波位相結合
最小エラー搬送波位相結合がジオメトリック浮動解フィルタにおいて使用される。そこで使用される搬送波位相結合は以下の如くに定義される。
【0247】
【数49】

【0248】
以下の表記法を使用し
【0249】
【数50】

【0250】
【数51】

【0251】
【数52】

【0252】
尚、係数は以下の如くに定義される。
【0253】
【数53】

【0254】
【数54】

【0255】
最小エラー電離層搬送波位相結合
最小エラー電離層搬送波位相結合は電離層フィルタにおいて使用される。該結合は以下の如くに定義される。
【0256】
【数55】

【0257】
以下の表記法を使用し、
【0258】
【数56】

【0259】
【数57】

【0260】
【数58】

【0261】
【数59】

【0262】
尚、係数は以下の如くに定義される。
【0263】
【数60】

【0264】
【数61】

【0265】
クインテセンス搬送波位相結合
【0266】
【数62】

【0267】
係数は次式により定義される。
【0268】
【数63】

【0269】
コード搬送波結合
コード搬送波結合はコードフィルタにおいて使用される。各周波数k=1,...,3に対して、次式により1つの結合が定義される。
【0270】
【数64】

【0271】
以下の表記法を使用し、
【0272】
【数65】

【0273】
【数66】

【0274】
【数67】

【0275】
【数68】

【0276】
尚、係数は次式により定義される。
【0277】
【数69】

【0278】
【数70】

【0279】
係数例:4周波数
以下の例は4搬送波の場合に対する係数を特定する。
【0280】
最小エラージオメトリック搬送波位相結合
最小エラー搬送波位相結合はジオメトリック浮動解フィルタにおいて使用される。そこで使用される搬送波位相結合は次式で定義される。
【0281】
【数71】

【0282】
以下の表記法を使用し、
【0283】
【数72】

【0284】
【数73】

【0285】
【数74】

【0286】
尚、係数は次式により定義される。
【0287】
【数75】

【0288】
【数76】

【0289】
最小エラー電離層搬送波位相結合
最小エラー電離層搬送波位相結合が電離層フィルタにおいて使用される。その結合は次式で定義される。
【0290】
【数77】

【0291】
以下の表記法を使用し、
【0292】
【数78】

【0293】
【数79】

【0294】
【数80】

【0295】
【数81】

【0296】
尚、係数は次式により定義される。
【0297】
【数82】

【0298】
【数83】

【0299】
クインテセンス搬送波位相結合
k=1の場合:
【0300】
【数84】

【0301】
係数は次式により定義される。
【0302】
【数85】

【0303】
【数86】

【0304】
k=2の場合:
【0305】
【数87】

【0306】
係数は次式により定義される。
【0307】
【数88】

【0308】
コード搬送波結合
コード搬送波結合はコードフィルタにおいて使用される。全ての周波数k=1,...,4に対して、1つの結合が次式により定義される。
【0309】
【数89】

【0310】
以下の表記法を使用し、
【0311】
【数90】

【0312】
【数91】

【0313】
【数92】

【0314】
【数93】

【0315】
係数は次式により定義される。
【0316】
【数94】

【0317】
【数95】

【0318】
フィルタ出力アレイの結合
結合器850等の結合オペレーションは全ての衛星及び全ての周波数に対し個々のフィルタ結果から完全な浮動解を計算する。この完全な浮動解は、分散/共分散行列、浮動解ベクトル、χ2統計及び過剰決定統計からなる。
【0319】
解ベクトル
解ベクトルは以下の形式においてnf周波数及びns衛星(ns−1衛星に二重差を与える)に対し浮動値整数アンビギュイティを包含している。
【0320】
【数96】

【0321】
拡張係数ベクトル
係数ベクトルが、各個々の衛星に対し、夫々の個々の二重差が与えられる。フルセットの衛星に対する係数ベクトルは以下の如くに定義される。
【0322】
【数97】

【0323】
例えば、3周波数及び4衛星/3二重差の場合には、以下の通りである。
【0324】
【数98】

【0325】
行列
【0326】
【数98a】

【0327】
はnf行ベクトルであり、且つ
【0328】
【数98b】

【0329】
はnf・(ns−1)×(ns−1)行列である。以下において、
【0330】
【数98a】

【0331】
は拡張係数ベクトル
【0332】
【数98b】

【0333】
を示す。
【0334】
分散/共分散行列
結合した分散/共分散行列は、
【0335】
【数99】

【0336】
であり、ジオメトリフィルタ、電離層フィルタ、クインテセンスフィルタ、コードフィルタからの推定値の和の逆数である。
【0337】
浮動解(Float Solution)ベクトル
浮動アンビギュイティの結合したベクトルは、
【0338】
【数100】

【0339】
である。
【0340】
χ2統計
結合した解のχ2統計は、
【0341】
【数101】

【0342】
である。このχ2統計は該推定値がどれ程良く当て嵌まるかの尺度を与える。過剰決定は推定値とモデルとの間の相違を発生する。χ2統計は、実際の測定値と最終モデルとの間の全ての相違の重み付けした和である。
【0343】
過剰決定統計
自由度としても知られる過剰決定統計は次式no如くに計算される。
【0344】
【数102】

【0345】
整数最小二乗
整数最小二乗は、候補整数解と浮動アンビギュイティ(上の0.99参照)の結合したベクトルとの間の差異に基づく以下の関数
【0346】
【数103】

【0347】
を最小とする整数アンビギュイティ
【0348】
【数103a】

【0349】
の組を派生するための一群の良く知られたアルゴリズムを示す。
【0350】
この整数アンビギュイティの最適な組は、アンビギュイティ決定結果として使用される。検証は次のパラグラフにおいて説明するように行われる。
【0351】
1実施例において、最善の計算速度及び効率のためにLAMBDAアルゴリズムが使用される。P. JOOSTEN et al.、LAMBDA方法を使用したGNSS3搬送波位相アンビギュイティ決定(GNSS Three Carrier Phase Ambiguity Resolution using the LAMBDA method)、プロシーディングズ・オブ・ザ・GNSS1999を参照すると良い。Hatch、FARA等のその他のアルゴリズムも適用可能であり且つ所望により使用することが可能である。アンビギュイティ決定技術の調査は、例えば、P. MISRA et al.、全地球測位システム:信号、測定及び性能(GLOBAL POSITIONING SYSTEM:SIGNALS,MEASUREMENTS,AND PERFORMANCE)、Ganja−Jamuna Press、2001年、第6章、209−254頁、及びB. HOFMANN−WELLENHOF et al.、GPS理論及び実際(GPS THEORY AND PRACTICE)、Springer−Verlag、第5版、2001年、213−248頁において見出される。
【0352】
検証
検証は、整数アンビギュイティ
【0353】
【数103a】

【0354】
の最適な組が充分な信頼性を有する正しい解であることを確保する。文献は、該解の正しさの確率を与える幾つかの統計的テストを与えている。アンビギュイティ検証技術の検討は、例えば、B. HOFMANN−WELLENHOF et al.、GPS理論及び実際(GPS THEORY AND PRACTICE)、Springer−Verlag、第5版、2001年、247−248頁において見出される。
【0355】
カーチン(Curtin)大学差別化テスト
このテストは分散/共分散行列のみならず整数最小二乗問題の最善及び二番目の最善解の間の差異を利用する。J. WANG et al.、オンザフライでのアンビギュイティ決定に対する差別化テスト手順(A DISCRIMINATION TEST PROCEDURE FOR AMBIGUITY RESOLUTION ON−THE−FLY)、ジャーナル・オブ・ジオデシー(1998)72、644−653頁参照。
【0356】
比テスト/フィッシャーテスト
このテストは最善解に対する二番目の最善の比を使用する。この比は予め定めた値(例えば、2又は5、又は何等かのその他の選択した値)を超えねばならないか、又は付加的な統計テスト(フィッシャーテスト)が適用される。J. WANG et al.、オンザフライでのアンビギュイティ決定に対する差別化テスト手順(A DISCRIMINATION TEST PROCEDURE FOR AMBIGUITY RESOLUTION ON−THE−FLY)、ジャーナル・オブ・ジオデシー(1998)72、644−653頁参照。
【0357】
ADOPテスト
このテストは専ら分散/共分散行列に基づいている。該解の正しさの確率は実際の解を検査することなしに計算される。P. G. TEUNISSEN et al.、精度のアンビギュイティ希釈:定義、特性及び応用(Ambiguity dilution of precision: Definition, Properties and Application)、プロシーディングズ・オブ・ジ・イオン・GPS−97、1997年9月16−19日、カンサス市、USA、891−899頁参照。
【0358】
計算的利点
本発明の実施例に対する処理上の利点は、状態増強(拡張)技術を使用する洗練化された推定器に対してのみならず非常に簡単な推定器(相関エラーをモデリングするものではない)に対しても与えられる。n個の状態を具備するカルマンフィルタはn3に比例する計算負荷を有している。これに対する表記法は、n状態カルマンフィルタはO(n3)の計算負荷を有している、というものである。
【0359】
簡単な場合
以下の比較は、時間相関効果がモデル化されていない本発明の実施例に基づいている。最適な動作モードは存在しないが、この比較は、本発明の実施例により提供される改良に対しての最悪な場合のシナリオを示すためにここで与えておく。全てのフィルタは二重差に対して設定されており、それは、又、実現化の柔軟性に関してより劣っている。
【0360】
従来技術の完全フィルタ
従来技術の完全フィルタアプローチは以下の状態を使用する。
【0361】
・3位置状態
・nf・(ns−1)アンビギュイティ状態
結果的に得られる計算負荷の程度は、
【0362】
【数104】

【0363】
本発明の実施例に基づくフィルタ
本発明の実施例に基づくフィルタ及びフィルタ方法は以下の計算負荷を有している。
【0364】
ジオメトリフィルタ
・3位置状態
・ns−1アンビギュイティ状態
【0365】
【数105】

【0366】
電離層フィルタ
差分技術フィルタが使用される場合には、電離層フィルタバンクはns−1個の別個の1状態カルマンフィルタから構成される。
【0367】
【数106】

【0368】
クインテセンスフィルタ
差分技術フィルタが使用される場合には、1つのクインテセンスフィルタバンクはns−1個の別個の1状態カルマンフィルタから構成され且つnf−2個のバンクのクインテセンスフィルタが使用される。
【0369】
【数107】

【0370】
コードフィルタ
簡単なコードフィルタはアンビギュイティ状態のみを使用する。
【0371】
【数108】

【0372】
全体的な計算負荷
全体として該簡単な場合(相関エラーをモデル化するものではない)に対するジオメトリフィルタと、電離層フィルタと、クインテセンスフィルタと、コードフィルタの全体的な計算負荷は以下の通りである。
【0373】
【数109】

【0374】
比較
以下の表は従来技術の完全フィルタ形式と比較して本発明の実施例に基づく簡単な場合の計算負荷及び改良ファクタの幾つかの例を与えている。
【0375】
【表2】

【0376】
完全なモデリングの場合
以下の比較は時間相関効果がモデル化されており且つ一重差を使用した本発明の実施例に基づいている。
【0377】
完全フィルタ
完全フィルタアプローチは以下の状態を使用する。
【0378】
・3位置状態
・1受信器クロックエラー状態
・nf・nsアンビギュイティ状態
・nf・nsコードマルチパス状態
・nf・ns搬送波マルチパス状態
・nf・ns電離層状態
結果的に得られる計算負荷の程度は、
【0379】
【数110】

【0380】
である。
【0381】
本発明の実施例に基づくフィルタ
本発明の実施例に基づくフィルタ及びフィルタ方法は以下の計算負荷を有している。
【0382】
ジオメトリフィルタ
・3位置状態
・1受信器クロックエラー状態
・nsアンビギュイティ状態
・nsマルチパス状態
【0383】
【数111】

【0384】
電離層フィルタ
差分技術フィルタが使用される場合には、電離層フィルタバンクはns個の別個の1状態カルマンフィルタから構成される。
【0385】
【数112】

【0386】
クインテセンスフィルタ
差分技術フィルタが使用される場合には、1個のクインテセンスフィルタバンクはns個の別個の1状態カルマンフィルタから構成され且つnf−2個のバンクのクインテセンスフィルタが使用される。
【0387】
【数113】

【0388】
コードフィルタ
最良な結果のために、コードフィルタはアンビギュイティ状態とマルチパス状態とを使用して雑音及び相関エラーを同時的にモデル化する。
【0389】
【数114】

【0390】
全体的な計算負荷
全体的に時間相関効果がモデル化され且つ一重差を使用する本発明の実施例に対してのジオメトリフィルタ、電離層フィルタ、クインテセンスフィルタ、コードフィルタの全体的な計算負荷は、
【0391】
【数115】

【0392】
である。
【0393】
比較
以下の表は、従来の完全フィルタ形式と比較して本発明の実施例に基づく完全モデリングの負荷及び改良ファクタの幾つかの例を与えている。
【0394】
【表3】

【0395】
混合比較
本発明の実施例に基づく処理は、本発明に基づく完全モデリング実施例を従来技術の完全フィルタに対する簡単モデリングの場合と比較する場合であっても、3又はそれ以上の搬送波周波数に対し利点を提供する。即ち、本発明に基づく実施例は、3又はそれ以上の搬送波周波数に対する従来技術の完全フィルタと比較して減少させた計算負荷を提示しながら改良した処理(完全モデリング対簡単モデリング)を提供することが可能である。
【0396】
【表4】

【0397】
2つの周波数に対し、完全モデリングへの遷移は、従来技術の簡単モデリング完全フィルタアプローチと比較した場合に、本発明の実施例に基づく技術を使用して実施される場合に小さなインパクトを有するに過ぎない。3及び4周波数に対しては、速度改善さえ存在している。
【0398】
マルチGNSS処理
提供される本方法はマルチGNSSからのデータへ適用することが可能である。例えば、GPSデータセット及びGALILEOデータセットは、本発明の実施例に基づいて処理することが可能である。周波数、従って、結合は、各衛星航法システムに対し別々に決定される。更に、基準衛星が各GNSSに対して選択され、各システムに対して二重差オペレータ適用を有している。結合した衛星航法システムの性能は個々のGNSSと比較して著しく改善される。このことは、計算される位置の使用可能性、信頼性及び正確性を提供する。
【0399】
図22は本発明の実施例に基づくフィルタアーキテクチャの1例を示している。第一GNSSからの3又はそれ以上の搬送波周波数に対するGNSS信号データセット2205(例えば、Galileoデータセット又は近代化したGPSデータセット)が適宜のGNSS受信器から得られる。第二GNSSからの2又はそれ以上の搬送波周波数に対するGNSS信号データセット2210(例えば、2周波数又は3周波数GPSデータセット、2周波数Glonassデータセット、又は3又は4周波数Galileoデータセット)が適宜のGNSS受信器から得られる。オプションとしての係数計算要素2215が第一GNSSのフィルタに対する係数を計算する。
【0400】
GNSSデータセット2205及び、提供される場合に、要素2215からの係数がジオメトリフリー電離層フィルタ2235に対して、第一GNSSの追跡される衛星あたり1個のフィルタを具備しているクインテセンスフィルタからなる2個又はそれ以上のバンク2240に対して、及びコードフィルタ2245からなる1乃至nf個のバンクに対して供給される。クインテセンスフィルタバンク2240の数は第一GNSSの搬送波周波数の数よりも2少ないものである。GNSSデータセット2210及び、提供される場合に、要素2220からの係数がジオメトリフリー電離層フィルタ2250に対し、第一GNSSの追跡される衛星あたり1個のフィルタを具備しているクインテセンスフィルタからなるバンク2255に対し、且つコードフィルタ2245からなる1乃至nf個のバンクに対して供給される。クインテセンスフィルタバンク2255の数は第二GNSSの搬送波周波数の数より2少ないものであり、第二GNSSが2個の搬送波周波数を有するに過ぎない場合には、クインテセンスフィルタバンク2255は提供されない。
【0401】
図22の実施例において、単一ジオメトリフィルタ2265は第一GNSS及び第二GNSSと共通であり、というのは、それらは同一のアンテナ位置を決定するからである。即ち、GNSSデータセット2205及び、供給される場合に、要素2215からの係数は、ジオメトリフィルタ2265へ供給され、且つGNSSデータセット2210及び、供給される場合に、要素2220からの係数はジオメトリフィルタ2265へ供給される。
【0402】
図23は図22のアーキテクチャに対応する方法を例示している。2305において、ジオメトリフィルタ2265が、ジオメトリ搬送波位相結合を使用して、第一GNSSのデータセット2205に対し且つ第二GNSSのデータセット2210に対して適用されて該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2308及び関連する統計情報を得る。2310において、電離層フィルタからなるバンク2240が、ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して第一GNSSのデータセット2205に対して適用されて電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2315及び関連する統計情報を得る。2320において、クインテセンスフィルタからなる1個又はそれ以上のバンク2240がジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用して第一GNSSのデータセット2205に対して適用されてジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2325及び関連する統計情報を得る。2330において、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して1個又はそれ以上のコードフィルタ2245が第一GNSSのデータセット2205に対して適用されて複数個の送信器に対しコード搬送波結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2335及び関連する統計情報を得る。
【0403】
2340において、電離層フィルタからなるバンク2250がジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して第二GNSSのデータセット2210に対して適用されて電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2345及び関連する統計情報を得る。2350において、提供される場合に、クインテセンスフィルタからなる1個又はそれ以上のバンク2255がジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用して第二GNSSのデータセット2210に対して適用されてジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2355及び関連する統計情報を得る。2360において、1個又はそれ以上のコードフィルタ2260が複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して第二GNSSのデータセット2210に対して適用されて複数の送信器に対しコード搬送波結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2365及び関連する統計情報を得る。
【0404】
該アレイの集まりは要素2270によって2370において結合されて第一GNSS及び第二GNSSの全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2375及び関連する統計情報を発生する。計算上の効率のために、係数2380がデータセット2205に対し2385において計算することが可能であり且つ係数2390はデータセット2210に対して2390において計算することが可能である。図示したように別々に計算される場合には、係数2380及び2390は表示した如くに該フィルタへ供給される。
【0405】
図22のアーキテクチャは第一GNSS及び第二GNSSに対して共通の単一のジオメトリフィルタ2265を使用しているが、所望により第一GNSS及び第二GNSSに対し別々のジオメトリフィルタを使用することが可能である。図24は、別々のジオメトリフィルタが使用される場合の方法を例示している。図22,23,24においての同様の参照番号を有する項目は同様のデータ及びプロセスを表わしている。図24に示したように、ジオメトリフィルタ2410はジオメトリ搬送波位相結合を使用して第一GNSSのデータセット2205へ適用されて該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2415と関連する統計情報とを得る。同様に、ジオメトリフィルタ2420はジオメトリ搬送波位相結合を使用して第二GNSSのデータセット2205に対して適用されて該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ2425と関連する統計情報とを得る。アレイ2315,2325,2335,2345,2355,2365,2415,2425が2430において結合されて第一GNSS及び第二GNSSの全ての搬送波位相観測値に対してのアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2440及び関連する統計情報を発生する。
【0406】
混合した周波数の数
本発明に基づく実施例は、異なる周波数の数を送信する衛星、例えば幾つかの衛星が2つの周波数を送信し残りが3つの周波数を送信する等の衛星からなるGNSSに対して適用することが可能である。これは、該衛星の能力に起因するか、又は現在の送信/受信状態からの制限に起因する場合がある。
【0407】
混合した数の周波数を処理するために、使用可能な最低数の周波数に対して係数が準備される。より多くの周波数を送信する衛星からの付加的な情報は、少なくとも3つの周波数に対して使用可能であり且つ周波数の総数に依存することのないクインテセンスフィルタ結合により考慮される。又、使用可能な最小数の周波数を具備する衛星から基準衛星が選択される。
【0408】
これに対する動機は、Galileoシステムは最初から3又は4個の周波数を供給し、一方究極的に3つの周波数(4つではない)に到達するGPS近代化が数年にわたって導入されるが、その期間中、幾つかの衛生は3つの周波数へアップグレードされるが他のものは使用可能な2つの周波数を有するに過ぎないものだからである。2つのGPS搬送波及び3つ又は4つのGalileo搬送波を使用することは近い将来一般的なものとなるが、3つのGPSと3つ又は4つのGalileo周波数を使用することは将来のオプションである。
【0409】
静的処理
本発明の実施例に基づく方法及び装置は静的測位のために適用可能である。静的測位のためには、ジオメトリック浮動解はエポックあたり1つの位置の代わりに1位置座標組をモデル化する。
【0410】
ネットワーク型GNSS測位
マルチ基準局を使用してデータを処理するために、全ての基準受信器に対するユーザ受信器からの全ての二重差をモデル化するためにアンビギュイティが拡張される。
【0411】
マルチ基準局処理
提供したアプローチの計算効率は別の重要な革新−マルチ基準局処理を開発している。今日市場にあるRTK製品は一度に単一基準局からのデータストリームを処理するに過ぎない。本発明の実施例に基づいて1個を超える基準局データストリームの同時的な処理を可能とすることは以下の如き1つ又はそれ以上の利点を提供している。
【0412】
1.正確性−複数の基準局が一度に処理される場合には単一の基準局に対して局所的なエラー供給源を平均化して消失させる傾向がある。
【0413】
2.完全性−単一の基準局から得られた結果は異なる基準局からの結果を介してクロスチェックすることが可能である。今日1つの基準局から別の基準局へのスイッチングは手動である。
【0414】
3.改善されたアンビギュイティ決定性能−搬送波位相アンビギュイティを決定することが可能な信頼性及び速度が、空間的エラー供給源が良好にモデル化される場合に改善される。移動局においてGPS観測値を処理するために複数の基準局が使用される場合には、単一基準の場合よりも大気エラー供給源をより良くモデル化することが可能である。
【0415】
マルチ移動局処理
複数の移動局に対する処理は、全てのアンビギュイティを全ての移動局へ付加して実現される。このことは、例えば、移動局がブレードの各端部に装着されているような土木機械のブレード配向の決定等のマルチ移動局適用例において本発明の実施例を使用することを可能とする。
【0416】
精密点測位
精密点測位は1個の受信器のみに対する衛星間の生データの夫々の差異を使用する。
【0417】
ネットワーク補正処理
ネットワーク補正処理は多数の基準局に対するアンビギュイティ決定を使用する。全ての局間のアンビギュイティが決定される。このことは、本発明の実施例を使用して効率的に行うことが可能である。全ての位置は予め決定されており且つモデル化することは必要ではなく、というのは、基準局の位置が全て既知であり、浮動解は位置状態を包含していないからである。
【0418】
後処理
提示した実施例は実時間操作に対して定義されているが、実時間でデータを回収し、ついで回収した全てのデータをバッチ処理(後処理)することにより本発明に基づく代替的実施例を適用することも可能である。このことは上述した全ての処理モードに適用する。
【0419】
瞬間的アンビギュイティ決定
上述した本発明の実施例はフィルタにおいて使用されるデータの複数のエポックに対して定義されている。然しながら、本発明の実施例はデータの1つのエポックのみに対して(瞬間的)動作する。検証が成功すると、精密な位置をデータの1つのエポックから直接的に計算することが可能である。このアプローチは衛星を追跡している場合のロックの喪失又はサイクルスリップに対して影響されないという利点を有している。瞬間的アンビギュイティ決定に対する修正したフローチャートを図17を参照して上に説明してある。
【0420】
受信器アーキテクチャ
図25は本発明の1実施例に基づくGNSS受信器2500のアーキテクチャを示している。アンテナ2505が、3つ又は4つの搬送波周波数を有するGalileo信号又は3つの搬送波周波数を有する近代化したGPS信号等の2つを超える搬送波周波数を有するGNSS信号を受信する。該受信した信号は低雑音増幅器2510を介して通過し且つその増幅された信号は信号分割器2515によって複数個の無線周波数帯域ダウンコンバータ2520,2525,...,2530へ通過される。該ダウンコンバータは基準オシレータ2535からの周波数基準が供給される。
【0421】
ダウンコンバータ2520はGNSS信号の第一帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2540によりデジタル化される。ダウンコンバータ2525は該GNSS信号の第二帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2545によりデジタル化される。ダウンコンバータ2530は該GNSS信号のn番目帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2550によりデジタル化される。
【0422】
該第一帯域のデジタル化されたGNSS信号は受信器2500により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有する検知及び追跡チャンネル2560のバンクにより処理される。その結果得られる第一帯域に対しての搬送波位相及び擬似距離測定値が1個又はそれ以上のプロセッサ2575へ供給される。第二帯域のデジタル化されたGNSS信号は受信器2500により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2565のバンクにより処理される。その結果得られる第二帯域に対しての搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2575へ供給される。n番目帯域のデジタル化されたGNSS信号は受信器2500により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2570のバンクにより処理される。その結果得られるn番目帯域に対しての搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2575へ供給される。夫々のダウンコンバータ、アナログ・デジタル変換器及び検知及び追跡チャンネルのバンクはGNSS信号の各搬送波周波数帯域に対して設けられており、説明の便宜上、各々の3つのみが図25において示されている。
【0423】
1個又はそれ以上のプロセッサ2575内にはファクトライズド(factorized)3+搬送波フィルタアーキテクチャ2580が設けられており、それは、動作において、プロセス2585を稼動する。プロセス2585は、受信器2500により追跡されている送信器の各々に対し3個又はそれ以上のGNSS信号帯域の各々に対する搬送波位相及び擬似距離測定値を有するGNSS信号データを処理する。フィルタアーキテクチャ2580は、例えば図8−14を参照して説明したように、本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズドフィルタアーキテクチャを有している。プロセス2585は、例えば図6−7及び15−21を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズド処理方法を有している。該1つ又はそれ以上のプロセッサ2575は、単一プロセッサ又はマルチプロセッサとして実現することが可能であり、且つプログラムされた汎用プロセッサ及び/又は特別目的プロセッサとすることが可能である。
【0424】
プロセス2585は、全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2590及び関連する統計情報、位置2595、及び/又はフォーマット化したマルチ帯域実時間キネマチック(RTK)データストリーム2598等の1つ又はそれ以上のタイプの出力データを発生させる。結合したアレイ2590は、例えば、上述したアレイ625,725,855,1865のうちの1つに対応している。位置2595は、例えば、上述した位置635,735,1920,2020のうちの1つに対応している。データストリーム2598はRTK測位装置において使用するのに適した任意のフォーマットとすることが可能である。
【0425】
図26は本発明の1実施例に基づくGNSS受信器2600のアーキテクチャを示している。アンテナ2605は、3つ又は4つの搬送波周波数を有するGalileo信号又は3つの搬送波周波数を有する近代化したGPS信号等の2つを超える搬送波周波数を有するGNSS信号を受信する。該受信した信号は低雑音増幅器2610を介して通過し且つその増幅された信号はモジュール2615へ通過され、それは無線周波数からのダウンコンバージョン及びマルチ帯域信号のデジタル化を実施する。
【0426】
デジタル化されたマルチ帯域信号は受信器2600により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2620のバンクにより処理される。その結果各帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2625へ供給される。基準オシレータ2622はダウンコンバージョン及び追跡のための周波数基準を提供する。
【0427】
該1個又はそれ以上のプロセッサ2625内においてファクトライズド3+搬送波フィルタアーキテクチャ2630が設けられており、それは、動作において、プロセス2635を稼動する。プロセス2635は、受信器2600により追跡される送信器の各々に対し3つ又はそれ以上のGNSS信号帯域の各々に対する搬送波位相及び擬似距離測定値を有するGNSS信号データを処理する。フィルタアーキテクチャ2630は、例えば、図8−14を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズドフィルタアーキテクチャを有している。プロセス2635は、例えば、図6−7及び15−21を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズド処理方法を有している。該1個又はそれ以上のプロセッサ2625は単一のプロセッサ又は複数のプロセッサとして実現することが可能であり、且つプログラムした汎用プロセッサ及び/又は特別目的プロセッサとすることが可能である。
【0428】
プロセス2635は、全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2640及び関連する統計情報、位置2645、及び/又はフォーマット化したマルチ帯域実時間キネマチック(RTK)データストリーム2650等の1つ又はそれ以上のタイプの出力データを発生する。結合したアレイ2640は、例えば、上述したアレイ625,725,855,1865のうちの1つに対応している。位置2645は、例えば、上述した位置635,735,1920,2020のうちの1つに対応している。データストリーム2650は、RTK測位装置において使用するのに適した任意のフォーマットとすることが可能である。
【0429】
図27は本発明の1実施例に基づくGNSS受信器2700のアーキテクチャを示している。アンテナ2705は、3つ又は4つの搬送波周波数を有しているGalileo信号又は3つの搬送波周波数を有している近代化したGPS信号等の2つ又はそれ以上の搬送波周波数を有するGNSS信号を受信する。該受信した信号は低雑音増幅器2710を介して通過し且つ該増幅された信号はモジュール2715へ通過され、それは該マルチ帯域信号を直接的にデジタル化させる。
【0430】
該デジタル化された信号は受信器2700により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2730のバンクにより処理される。その結果各帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2740へ供給される。基準オシレータ2720はダウンコンバージョン及び追跡のための周波数基準を提供する。
【0431】
該1個又はそれ以上のプロセッサ2740内にはファクトライズド3+搬送波フィルタアーキテクチャ2745が設けられており、それは、動作において、プロセス2750を稼動する。プロセス2750は、受信器2700により追跡される送信器の各々に対し3つ又はそれ以上のGNSS信号帯域の各々に対し搬送波位相及び擬似距離測定値を有するGNSS信号データを処理する。フィルタアーキテクチャ2745は、例えば、図8−14を参照して上述したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトラズドフィルタアーキテクチャを有している。プロセス2750は、例えば、図6−7及び15−21を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズド処理方法を有している。該1つ又はそれ以上のプロセッサ2740は単一のプロセッサ又は複数のプロセッサとして実現することが可能であり、且つプログラムした汎用プロセッサ及び/又は特別目的プロセッサとすることが可能である。
【0432】
プロセス2750は、全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2750及び関連する統計情報、位置2755、及び/又はフォーマット化したマルチ帯域実時間キネマチック(RTK)データストリーム2760等の1つ又はそれ以上のタイプの出力データを発生する。結合したアレイ2750は、例えば、上述したようなアレイ625,725,855,1865のうちの1つに対応している。位置2755は、例えば、上述したような位置635,735,1120,2020のうちの1つに対応している。データストリーム2760は、RKT測位装置において使用するのに適した任意のフォーマットとすることが可能である。
【0433】
図28は本発明の1実施例に基づくGNSS受信器2800のアーキテクチャを示している。受信器2800は図25のものと構成が類似しており、第二GNSSの信号を受信し且つ処理するための付加的なチャンネルを有している。アンテナ2805は3つ又は4つの搬送波周波数を有するGalileo信号又は3つの搬送波周波数を有する近代化したGPS信号等の2つを超える搬送波周波数を有する第一GNSSの信号、及びGPS、近代化したGPS又はGlonass信号等の少なくとも2つの搬送波周波数を有する第二GNSSの信号を受信する。該受信した信号は低雑音増幅器2510を介して通過し且つ該増幅された信号は信号分割器2815によって第一GNSSに対する複数個の無線周波数帯域ダウンコンバータ2520,2525,...,2530及び第二GNSSに対する複数個の無線周波数帯域ダウンコンバータ2820,2825,...,2830へ通過される。該ダウンコンバータは基準オシレータ2835からの周波数基準が供給される。
【0434】
ダウンコンバータ2520は第一GNSS信号の第一帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2540によりデジタル化される。ダウンコンバータ2525は第一GNSS信号の第一帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2545によりデジタル化される。ダウンコンバータ2530は第一GNSS信号のn番目の帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2550によりデジタル化される。ダウンコンバータ2820は第二GNSS信号の第一帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2840によりデジタル化される。ダウンコンバータ2825は第二GNSS信号の第二帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2845によりデジタル化される。ダウンコンバータ2830は、第二GNSS信号が2つを超える帯域を有している場合には、第二GNSS信号のn番目の帯域をより低い周波数信号へ減少させ、それはアナログ・デジタル変換器2850によりデジタル化される。
【0435】
第一GNSS信号の第一帯域の該デジタル化された信号は受信機2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2560のバンクにより処理される。その結果得られる第一GNSS信号の第一帯域に対しての搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。第一GNSS信号の第二帯域の該デジタル化された信号は、受信器2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2565のバンクにより処理される。その結果第一GNSS信号の第二帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。第一GNSSのn番目の帯域の該デジタル化された信号は、受信器2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2570のバンクにより処理される。その結果該n番目の帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。夫々のダウンコンバータ、アナログ・デジタル変換器及び検知及び追跡チャンネルのバンクは第一GNSSの信号の各搬送波周波数帯域に対して設けられており、説明の便宜上、図28においては各々の3つのみが示されている。
【0436】
第二GNSS信号の第一帯域の該デジタル化された信号は、受信器2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2860のバンクにより処理される。その結果第二GNSS信号の第一帯域に対し得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。第二GNSS信号の第二帯域の該デジタル化された信号は、受信器2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2865のバンクにより処理される。その結果第二GNSS信号の第二帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。第二GNSS信号のn番目の帯域の該デジタル化された信号は、受信器2800により追跡されるGNSS衛星又はスードライトあたり1個のチャンネルを有している検知及び追跡チャンネル2870のバンクにより処理される。その結果該n番面の帯域に対して得られる搬送波位相及び擬似距離測定値は1個又はそれ以上のプロセッサ2875へ供給される。夫々のダウンコンバータ、アナログ・デジタル変換器及び検知及び追跡チャンネルのバンクは第二GNSSの信号の各搬送波周波数帯域に対して設けられており、図28においては各々の3つが示されているが、第二GNSSが単に2つの搬送波帯域を有するに過ぎない場合には2つのみが設けられる。
【0437】
該1個又はそれ以上のプロセッサ2575内にはファクトライズド3+搬送波フィルタアーキテクチャ2880が設けられており、それは、動作において、プロセス2885を稼動する。プロセス2585は、受信器2500により追跡される送信器の各々に対し3つ又はそれ以上の第一GNSS信号帯域の各々に対し且つ2つ又はそれ以上の第二GNSS信号帯域の各々に対し搬送波位相及び擬似距離測定値を有している信号データを処理する。フィルタアーキテクチャ2880は、例えば、図22を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズドフィルタアーキテクチャを有している。プロセス2885は、例えば、図23及び24を参照して説明したような本発明の1つ又はそれ以上の実施例に基づくファクトライズド処理方法を有している。該1つ又はそれ以上のプロセッサ2875は単一のプロセッサとして又は複数のプロセッサとして実現することが可能であり、且つプログラムした汎用プロセッサ及び/又は特別目的プロセッサとすることが可能である。
【0438】
プロセス2885は、全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイ2890及び関連する統計情報、位置2895、及び/又はフォーマット化したマルチ帯域実時間キネマチック(RTK)データストリーム2898等の1つ又はそれ以上のタイプの出力データを発生する。結合したアレイ2890は、例えば、上述したようなアレイ2375又は2440のうちの1つに対応している。データストリーム2898はRTK測位装置において使用するのに適した任意のフォーマットとすることが可能である。
【0439】
RTK応用例
本発明に基づく方法及び装置の実施例はRTK応用例において有益的に使用することが可能である。
【0440】
図29は、例えば、図25−28において示したようなフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを準備するための基準受信器プロセッサ2905の1実施例を例示している。GNSS帯域1,2,...,nの各々に対する搬送波位相及び擬似距離測定値が、例えば、メモリブロック2910,2915,...,2920内に回収される。基準受信器クロックが時間信号をブロック2925へ供給し、それは例えば0.1秒の間隔で測定データの各エポックに対し時間タグを供給する。エポックあたりのデータセットがメモリブロック2910,2915,...,2920によってオプションのデータ圧縮要素2935へ供給される。
【0441】
基準受信器から移動局に対するベクトルを計算するためにRTK測位において使用される基準受信器の既知の又は計算された位置2930もデータ圧縮要素2935へ供給される。データ圧縮は送信オーバーヘッド(時間及び/又はコスト)を最小化することを可能とし、又はデータレートを最小帯域幅に対し最適化させることを可能とする。データ圧縮要素2935はフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを供給する。無線リンク、インターネット接続、FM副搬送波変調、携帯電話リンク又はその他の送信リンク等のオプションのデータリンク2940が基準受信器の生のオブザーバブルをフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームで移動局へ送信する。該基準受信器の生のオブザーブルは、例えば、上述したような本発明の実施例に基づくファクトライズド3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタを使用して移動局において処理される。
【0442】
図30は、図28に示したようなフォーマット化したマルチ帯域マルチGNSSRTKデータストリームを準備する即ち調整するための基準受信器プロセッサ3005の1実施例を例示している。第一GNSSの帯域1,2,...,nの各々に対する搬送波位相及び擬似距離測定値が、例えば、メモリブロック3010,3015,...,3020内に回収される。第二GNSSの帯域1,2,...,nの各々に対する搬送波位相及び擬似距離測定値が、例えば、メモリブロック3025,3030,...,3035内に回収される。該基準受信器クロックが時間信号をブロック3040へ供給し、それは、例えば、0.1秒の間隔で測定データの各エポックに対し時間タグを供給する。エポックあたりのデータセットは、第一GNSSに対するメモリブロック3010,3015,...,3020により及び第二GNSSに対するメモリブロック3025,3030,...,3035によりオプションのデータ圧縮要素3050へ供給される。
【0443】
基準受信器から移動局へのベクトルを計算するためにRTK測位において使用される基準受信器の既知又は計算された位置3045もデータ圧縮要素3050へ供給される。データ圧縮は送信オーバーヘッド(時間及び/又はコスト)を最小化させることを可能とし、又はデータレートを最小帯域幅に対し最適化させることを可能とする。データ圧縮要素3050は第一GNSS及び第二GNSSに対するフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを供給する。データ圧縮要素3050はフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを供給する。オプションの無線リンク、インターネット接続、FM副搬送波変調、携帯電話リンク又はその他の送信リンクが基準受信器の生のオブザーバブルをフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームで移動局へ送信する。該基準受信器の生のオブザーバブルは、例えば、上述したような本発明の実施例に基づくファクトライズド3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタを使用して移動局において処理される。
【0444】
図31は単一の基準局が使用される場合の本発明の実施例に基づく動作モードを示している。基準受信器3105は、例えば,図29におけるプロセッサ2905か又は図30におけるプロセッサ2035により供給されるようなフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームである基準局データ3110を供給する。基準局データは、例えば、適宜のデータリンクを介して供給される。移動局受信器3115は、データリンクアンテナ3120及びデータリンク信号受信及び復調エレクトロニクス3125等の基準局データ3110を受信し,且つ基準局データ3110を移動局プロセッサ3130へ供給するための適宜の要素を有している。基準局データ3105がデータリンクを介しての効率的な送信のために圧縮されている場合には、移動局受信器3115内のデータ復元要素3125がプロセッサ3130内の1個又はそれ以上の更なる処理要素により使用するために該基準局データを復元する。
【0445】
移動局受信器3115は、更に、3つ又はそれ以上の搬送波周波数を有するGNSS信号を受信するためのアンテナ3140,及び移動局プロセッサ3130において使用するための移動局受信器3+搬送波位相及び擬似距離データ3145を発生するための適宜の信号受信及び復調エレクトロニクス3145を包含している。移動局プロセッサ3130はマルチ帯域搬送波位相及び擬似距離同期要素3150を有しており、それは移動局受信器データ3145をマルチ帯域RTK位置計算要素3155において使用するために基準局データ3110と同期させる。計算要素3160は基準局データ3110を使用して基準局位置を計算し且つこれを基準局記述と共に位置計算要素3155へ供給する。オプションの計算要素3165は位置計算要素3155により使用するための大気及び衛星補正を計算する。計算要素3155は移動局受信器3115のRTK位置(fix)を計算し且つ出力データとしてRTK位置及びステータス情報3170を供給する。
【0446】
図32は、複数個の基準局がネットワークにおいて使用される場合の本発明の実施例に基づく動作モードを示している。基準受信器3205,3210,3215の各々は、例えば、図29におけるプロセッサ2905又は図30におけるプロセッサ2035によって供給されるようなフォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリーム等の基準局データをネットワークRTKサーバー3220へ供給する。ネットワークRTKサーバー3220は衛星及び大気補正を発生し且つこれらを基準局データと共に、例えば、移動局受信器3115等の1つ又はそれ以上の移動局受信器により使用するためにネットワークRTKマルチ及び補正3225のストリームとして供給する。ネットワークRTKマルチ帯域補正3225は、例えば、仮想基準局モードにおいて又はブロードキャストモードにおいて使用するために供給される。仮想基準局モードは図31のモードと同等である、というのは、該基準局データはネットワークRTKサーバー3220によって結合されて移動局受信器3115の位置等の宣言された位置に対し基準局をシミュレートする1組のデータ(例えば、基準局受信器3105から単一の基準局データ3110をシミュレートする)を発生するからである。ブロードキャストモードは移動局プロセッサ3130において処理するために基準局受信器3205,3210,3215の各々からの基準局データを供給する。いずれのモードにおいても、補正3225は、オプションとして、基準局データから計算される電離層及び対流圏モデル等のエラーモデルを包含している。
【0447】
図33は、複数個の個別的な基準ステーションが使用される場合の本発明の実施例に基づく動作モードを示している。基準受信器3305,3315,3325は夫々の基準局データ3310,3320,3330を移動局受信器3300へ供給する。該データは,例えば、適宜のデータリンクを介して供給される。移動局受信器3300は、データリンクアンテナ3335及びデータリンク信号受信及び復調エレクトロニクス3340等の基準局データを受信するため及び該基準局データを移動局プロセッサ3345へ供給するための適宜の要素を包含している。該基準局データがデータリンクを介しての効率的な送信のために圧縮される場合には、移動局受信器3345内のデータ復元要素3350がプロセッサ3345内の1つ又はそれ以上の更なる処理要素により使用するために該基準局データを復元させる。
【0448】
移動局受信器3300は、更に、3つ又はそれ以上の搬送波周波数を有するGNSS信号を受信するためのアンテナ3370、及び移動局プロセッサ3345において使用するための移動局受信器3+搬送波位相及び擬似距離データ3380を発生するための適宜の信号受信及び復調エレクトロニクス3375を包含している。移動局プロセッサ3345は、基準局の各々に対し夫々のマルチ帯域搬送波位相及び擬似距離同期及び基準情報要素3355,3360,3365を有している。要素3355,3360,3365は、マルチ帯域RTK位置計算要素3390において使用するために移動局受信器データ3380を基準局データと同期させる。計算要素3390は移動局受信器3300のRTK位置(fix)を計算し且つ出力データRTK位置及びステータス情報3395として供給する。
【0449】
代替的時定数決定
搬送波位相結合の時定数を決定する方法を式(0.24)を参照して上に説明した。
【0450】
本発明の実施例に基づく搬送波位相結合の時定数を計算する更なる方法についてここで説明する。この方法は,以下の如くにして、セクション「係数決定」に対する時定数tcfを計算することにより、電離層エラーの時間的相関に対してのみならず搬送波位相オブザーバブル(観測値)の可能な異なる分散をも考慮する。
【0451】
【数116】

【0452】
尚、tcioは電離層エラーの時定数である。
【0453】
3搬送波の場合には、
【0454】
【数117】

【0455】
4搬送波の場合には、
【0456】
【数118】

【0457】
ジオメトリフィルタに対する位相結合補正
上述したジオメトリフィルタ実施例においてオブザーバブル(observable)として使用される最小エラー搬送波位相結合の定義は、その結合を決定するエラー特性が該フィルタの完全なランタイムにわたり一定のまま止まることを暗示する。このことは常にそうでない場合がある。例えば、基準局に対して実質的に変化する距離で移動する受信器に対しては、該最小エラー結合は時間にわたって変化する場合がある。
【0458】
ジオメトリフィルタは次善最適搬送波位相結合を使用して動作するものであったが、最適推定を構築することが可能である。これは、又、L1位相(それはP2相互相関技術の場合においてL2よりも一層ロバストである)のみでジオメトリフィルタを駆動するために使用することが可能である。これを行うために、ジオメトリフィルタ、電離層フィルタ、クインテセンスフィルタの結果からフィルタした後に最小エラー結合のアンビギュイティを形成する。
【0459】
本発明の実施例に基づく最小エラー位相結合を計算する方法、例えば、基準局への距離が変化する場合に、フィルタランタイム期間中に使用される結合を変化させることを可能とする。更に、最良の追跡品質/使用可能性を有する信号をジオメトリフィルタにおいて使用することが可能であり、このことは、全ての周波数に関し全ての搬送波位相測定値を与える場合に使用可能であるよりもフィルタリングのためにより多くのデータを提供する。
【0460】
与えられた最小エラー結合の代わりにジオメトリフィルタにおける位相結合としてL1搬送波位相を使用する結果、L1搬送波位相アンビギュイティに対する推定値
【0461】
【数119a】

【0462】
が得られる。これは以前に与えた記述における
【0463】
【数6a】

【0464】
に対して結合
【0465】
【数119】

【0466】
を置換することを意味している。ジオメトリフィルタの結果は推定
【0467】
【数120】

【0468】
である。与えられた最小エラー搬送波位相結合
【0469】
【数6a】

【0470】
に対するアンビギュイティ推定値
【0471】
【数120a】

【0472】
を計算する場合に以下の式
【0473】
【数121】

【0474】
を使用する。決定される
【0475】
【数120a】

【0476】
が前と同じく結合器850において使用される。
【0477】
これは、又、L1の代わりに任意のその他のベース周波数、例えばL2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波を使用して適用することが可能である。このことは、該その他の信号をより良く追跡することが可能である場合、例えばGPS民生L2信号L2CをC/AL1信号と比較して、有益的なものである。
【0478】
3搬送波の場合:
【0479】
【数122】

【0480】
4周波数の場合:
【0481】
【数123】

【0482】
図34は本発明の実施例に基づいて更なる完全ファクトライズド3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタの要素を示した図8の修正したバージョンである。図8のジオメトリフィルタ830は単一周波数搬送波位相(例えばL1,L2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波)ジオメトリフィルタ3430及び結合器3432で置換されている。結合器3432は、入力として、ジオメトリフィルタ3430、電離層フィルタバンク835、クインテセンスフィルタバンク840(1),...,840(nf−2)の結果を取り且つアンビギュイティ推定値
【0483】
【数120a】

【0484】
を計算し、それは結合器850へ供給される。結合器850は以前に説明した実施例におけるように機能する。
【0485】
図35は図18の修正バージョンでありそれは、3つ又はそれ以上の搬送波でGNSS信号データセットを処理するための本発明の実施例に基づく更なる方法を模式的に例示している。図18の1820におけるように搬送波位相結合に対してジオメトリフィルタを適用する代わりに、図35の実施例は、3570において単一搬送波位相(例えば、L1,L2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波)ジオメトリフィルタを適用する。その結果は単一搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ3575である。3580において、ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値
【0486】
【数120a】

【0487】
1825がアレイ3575から及び1830におけるジオメトリフリー電離層フィルタを適用した結果から及び1840におけるジオメトリクインテセンスフィルタを適用した結果から計算される。アレイ1825,1835,1845,1955は以前の如く1860において結合されて全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1865及び関連する統計情報を発生する。
【0488】
図36は図19の修正バージョンであって、3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の適用例を示している。図36の実施例においては、単一搬送波位相(例えば、L1,L2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波)ジオメトリフィルタが3570において適用される。その結果は単一搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ3575である。3580において、該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値
【0489】
【数120a】

【0490】
1825が、アレイ3575から及び1830におけるジオメトリフリー電離層フィルタを適用した結果から及び1840におけるジオメトリクインテセンスフィルタを適用した結果から計算される。アレイ1825,1835,1845,1855は以前の如く1860において結合されて全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1865及び関連する統計情報を発生する。アレイ1865はプロセス1910へ供給され、それはデータセット1805の採取時間に対応する受信器1900の浮動解位置を計算し且つその計算した位置1920を出力として供給する。
【0491】
図37は図20の修正バージョンであって、3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の更なる適用例を示している。図37の実施例においては、単一搬送波位相(例えば、L1,L2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波)ジオメトリフィルタが3570において適用される。その結果は、単一搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ3575である。3580において、該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値
【0492】
【数120a】

【0493】
1825が、アレイ3575から及び1830におけるジオメトリフリー電離層フィルタを適用した結果から及び1840におけるジオメトリクインテセンスフィルタを適用した結果から計算される。アレイ1825,1835,1845,1855は以前の如く1860において結合されて全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1865及び関連する統計情報を発生する。アレイ1865はプロセス2010へ供給され、それは整数最小二乗解を計算することにより整数アンビギュイティを決定する。検証プロセス2015がその解の有効性をチェックし、それは受信器2000の位置2025を計算するためにプロセス2020において使用される。
【0494】
図38は、3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の更なる適用例を示している。図38の実施例においては、単一搬送波位相(例えば、L1,L2,L5,E5,E6又は任意のその他のGNSS搬送波)ジオメトリフィルタが3570において適用される。その結果は単一搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ3575である。3580において、該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値
【0495】
【数120a】

【0496】
1825は、アレイ3575から及び1830におけるジオメトリフリー電離層フィルタを適用する結果から及び1840におけるジオメトリクインテセンスフィルタを適用する結果から計算される。アレイ1825,1835,1845,1855は以前の如く1860において結合されて全ての搬送波位相観測値に対するアンビギュイティ推定値のアレイ1865及び関連する統計情報を発生する。アレイ1865はプロセス2010へ供給され、それは整数最小二乗解を計算することにより整数アンビギュイティを決定する。検証プロセス2015がその解の有効性をチェックする。プロセス2020はその検証された解から位置を計算する。出力として供給されるその計算された位置2025は検証された結合浮動(float)及び固定(fixed)解である。
【0497】
当業者が理解するように、本発明の実施例の詳細な説明は単に例示的なものであり且つ何等制限的であることを意図したものではない。本発明のその他の実施例はこの開示の恩恵を受ける当業者にとって自明なものである。例えば、該例においては最小エラー結合が使用されているが、当業者が理解するように、多くの結合が可能であり且つ最小エラー結合以外の結合も最適なものより劣るものであっても許容可能な結果を発生することが可能であり、従って特許請求の範囲は明示的に要求されている場合以外では最小エラー結合に制限されることを意図したものではない。添付図面に例示されているように本発明の実現例に対して詳細に参照がなされている。同一又は同様の部分を参照するために図面及び詳細な説明全体にわたり同一の参照表示が使用されている。
【0498】
明確性のために注記するが、本明細書に記載した実現例の日常的な特徴の全てが図示され且つ説明されているものではない。理解されるように、いずれかのこのような実際の実現例の展開においては、多数の実現例に特定的な決定が、適用例及びビジネス関連拘束条件の遵守などの開発者の特定の目的を達成するために為されねばならず、且つこれらの特定の目標は実現例毎に且つ開発者毎に異なるものである。更に、理解されるように、このような開発努力は複雑且つ時間がかかる場合があるが、それにも拘わらず、本開示の恩恵に浴する当業者にとってはエンジニアリングの日常的な作業である。
【0499】
本発明の実施例に基づいて、構成要素、処理ステップ及び/又はデータ構造は種々のタイプのオペレーティングシステム(OS)、コンピュータプラットフォーム、ファームウエア、コンピュータプログラム、コンピュータ言語及び/又は汎用マシンを使用して実現することが可能である。該方法は処理回路上で稼動するプログラムされたプロセスとして稼動させることが可能である。該処理回路はプロセッサ及びオペレーティングシステムの種々の結合又はスタンドアローン装置の形態をとることが可能である。該プロセスはこのようなハードウエアにより、ハードウエアのみにより、又は任意のその結合により実行される命令として実現することが可能である。該ソフトウエアはマシンにより読取可能なプログラム格納装置上に格納することが可能である。フィルタ及びフィルタのバンク等の計算要素は、各要求されるフィルタが必要に応じてインスタンス化されるようなオブジェクト指向型プログラミング言語を使用して容易に実現することが可能である。
【0500】
当業者が理解するように、ハードワイヤード装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)及びコンプレックスプログラマブル論理装置(CPLD)を包含するフィールドプログラマブル論理装置(FPLD)、応用特定集積回路(ASIC)等の汎用性がより劣る性質の装置を、本明細書に開示した本発明の概念の範囲及び精神から逸脱することなしに、使用することが可能である。
【0501】
本発明の1実施例によれば、本方法は、パソコン、ワークステーションコンピュータ、メインフレームコンピュータ、又はワシントン州レドモンドのマイクロソフトコーポレイションから入手可能なマイクロソフト(登録商標)ウインドウズ(登録商標)XP及びウインドウズ(登録商標)2000又はカリフォルニア州サンタクララのサンマイクロシステムズインコーポレイテッドから入手可能なソラリス(登録商標)又は多数のベンダーから入手可能なLinux等のUnixオペレーティングシステムの種々のバージョン等のOSを稼動する高性能サーバー等のデータ処理コンピュータ上で実現することが可能である。本方法は、又、マルチプロセッサシステム上で、又は入力装置、出力装置、ディスプレイ、ポインティング装置、メモリ、格納装置、データをプロセッサへ及びそれから転送するためのメディアインターフェース等の種々のペリフェラルを包含するコンピューティング環境において実現することが可能である。このようなコンピュータシステム又はコンピューティング環境は局所的に又はインターネットを介してネットワーク化することが可能である。
【0502】
本発明の実施例に基づく方法及び装置は以下のものに制限されるわけではないが以下のものを包含する。
【0503】
(1)
少なくとも3つの搬送波を有する信号から派生した1組のGNSS信号データを処理する方法において、
(a)ジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタを前記1組のGNSS信号データに対して適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(b)ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンクを該1組のGNSS信号データに適用して該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(c)ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクを該1組のGNSS信号データに適用して該ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(d)複数個のジオメトリフリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データに適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(e)該(a)、(b)、(c)、(d)のアレイを結合して全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを得る、
ことを包含している方法。
【0504】
(2)
(1)において、更に、該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【0505】
(3)
(1)又は(2)において、該1組のGNSS信号データが単一エポックのGNSS信号データを有している方法。
【0506】
(4)
(1)乃至(3)のうちのいずれか1項において、更に、整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティと固定アンビギュイティの結合を有する該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【0507】
(5)
(1)乃至(3)のうちのいずれか1項において、更に、浮動アンビギュイティで該結合したアレイからユーザ位置を計算し、且つ整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの結合で該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【0508】
(6)
(1)乃至(5)のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【0509】
(7)
(1)乃至(5)のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して各搬送波に対する1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【0510】
(8)
(7)において、該コードフィルタが相互に直交している方法。
【0511】
(9)
(1)乃至(8)のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データが第一ナビゲーションシステムの送信機から受信した信号から派生され、本方法が、更に、第二ナビゲーションシステムの送信機から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備している信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理することを包含しており、その際に、
(h)ジオメトリ搬送波位相結合を使用してジオメトリフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(i)ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して電離層フィルタのバンクを該第二組のGNSS信号データへ適用して該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(j)ジオメトリフリー搬送波位相結合を使用してクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクを該第二組のGNSS信号データへ適用して前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(k)複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、且つ
(d)が、更に、(f)、(g)、(h)、(i)のアレイを(a)、(b)、(c)、(d)のアレイと結合させて全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイを得る方法。
【0512】
(10)
(9)において、(a)及び(f)は、該最初に言及した組のGNSS信号データと該第二組のGNSS信号データとを単一ジオメトリフィルタへ適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の単一のアレイを得ることにより実施される方法。
【0513】
(11)
(9)又は(10)において、該第一ナビゲーションシステムが第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有しており且つ該第二ナビゲーションシステムが、第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルとは異なる第二数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有している方法。
【0514】
(12)
(9)乃至(11)のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【0515】
(13)
(9)乃至(11)のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データを適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して各搬送波に対する1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【0516】
(14)
(13)において、(h)の該コードフィルタが相互に直交している方法。
【0517】
(15)
(1)乃至(14)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の基準受信器において改修されたデータを有している方法。
【0518】
(16)
(1)乃至(15)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の移動受信器において改修したデータを有している方法。
【0519】
(17)
(1)乃至(16)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが基準局のネットワークから発生されるデータを有している方法。
【0520】
(18)
(17)において、基準局のネットワークから発生されたデータが少なくとも1つのエラーモデルを有している方法。
【0521】
(19)
(1)乃至(18)のうちのいずれか1項において、(a)が、(i)単一周波数搬送波位相を使用してジオメトリフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイを得、且つ(ii)単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値の該アレイ及び該電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイ及び該ジオメトリ及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイから該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイを計算する、ことを包含している方法。
【0522】
(20)
(1)乃至(19)のうちのいずれか1項において、該ジオメトリ搬送波位相結合が最小エラー結合である方法。
【0523】
(21)
(19)において、該単一周波数搬送波位相が以下の周波数、即ちGPS L1、GPS L2、GPS 5、Galileo E5、Galileo E6のうちの1つから選択される方法。
【0524】
(22)
(1)乃至(21)のうちのいずれか1項において、更に、搬送波位相結合の時定数を決定することを包含している方法。
【0525】
(23)
(22)において、時定数を決定する場合に、搬送波位相オブザーバブルの分散を考慮することを包含している方法。
【0526】
(24)
(22)又は(23)において、時定数を決定する場合に、電離層エラーの時間的相関を考慮することを包含している方法。
【0527】
(25)
(1)乃至(24)のうちのいずれか1項の方法を実施する装置。
【0528】
(26)
少なくとも3つの搬送波を具備する信号から派生された1組のGNSS信号データを処理する装置において、
(f)該1組のGNSS信号データからジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタ、
(g)該1組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(h)該1組のGNSS信号データからジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合および関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(i)該1組のGNSSデータからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
(j)(a),(b),(c),(d)により得られたアレイから全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生するための結合器、
を有している装置。
【0529】
(27)
(26)において、更に、結合したアレイからユーザ位置を計算するための位置計算要素を有している装置。
【0530】
(28)
(26)又は(27)において、該1組のGNSS信号データが単一エポックのGNSS信号データを有している装置。
【0531】
(29)
(26)乃至(28)のうちのいずれか1項において、更に、整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの組合わせで該結合したアレイからユーザ位置を計算するための位置計算要素を有している装置。
【0532】
(30)
(26)乃至(28)のうちのいずれか1項において、更に、浮動アンビギュイティで該結合したアレイからユーザ位置を計算し且つ整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの結合で該結合したアレイからユーザ位置を計算する位置計算要素を有している装置。
【0533】
(31)
(26)乃至(30)のうちのいずれか1項において、前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【0534】
(32)
(26)乃至(30)のうちのいずれか1項において、前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【0535】
(33)
(32)において、該コードフィルタが相互に直交している装置。
【0536】
(34)
(26)乃至(33)のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データが第一ナビゲーションシステムの送信機から受信した信号から派生され、本装置が、更に、第二ナビゲーションシステムの送信機から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備する信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理するための以下の要素、
(g)該第二組のGNSS信号データからジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタ、
(h)該第二組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(i)該第二組のGNSS信号データから前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(j)該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
を有しており、前記結合器が、(e)、(f)、(g)、(h)のフィルタにより得られたアレイ及び(a)、(b)、(c)のフィルタにより得られたアレイから、全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生する装置。
【0537】
(35)
(26)乃至(33)のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データは第一ナビゲーションシステムの送信器から受信した信号から派生され、本装置は、更に、第二ナビゲーションシステムの送信器から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備する信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理するための以下の要素、
(g)該第二組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(i)該第二組のGNSS信号データから前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(j)該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
を有しており、該ジオメトリフィルタは、該最初に言及した組のGNSS信号データから及び該第二組のGNSS信号データから該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値を得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用し、且つ前記結合器が、(f)、(g)、(h)のフィルタにより得られたアレイ及び(a)、(b)、(c)、(d)のフィルタにより得られたアレイから全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生する装置。
【0538】
(36)
(34)又は(35)において、該第一ナビゲーションシステムが第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有しており、且つ第二ナビゲーションシステムが、該第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルとは異なる第二数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有している装置。
【0539】
(37)
(34)乃至(36)のうちのいずれか1項において、(h)の前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該第二組のGNSS信号データから該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【0540】
(38)
(34)乃至(37)のうちのいずれか1項において、(h)の前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【0541】
(39)
(38)において、(h)のコードフィルタが相互に直交している装置。
【0542】
(40)
(26)乃至(39)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の基準受信器において改修されるデータを有している装置。
【0543】
(41)
(26)乃至(40)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の移動受信器において改修されるデータを有している装置。
【0544】
(42)
(26)乃至(41)のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが基準局のネットワークから発生されるデータを有している装置。
【0545】
(43)
(42)において、基準局のネットワークから発生されるデータが少なくとも1つのエラーモデルを有している装置。
【0546】
(44)
(26)乃至(43)のうちのいずれか1項において、(a)が、(i)単一周波数搬送波位相に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るための単一周波数搬送波位相を使用するジオメトリフィルタ、及び(ii)単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及びジオメトリ及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイからジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイを計算するための結合器を有している装置。
【0547】
(45)
(26)乃至(44)のうちのいずれか1項において、該ジオメトリ搬送波位相結合が最小エラー結合である装置。
【0548】
(46)
(44)において、該単一周波数搬送波位相が以下の周波数:GPS L1、GPS L2、GPS L5、Galileo E5、Galileo E6のうちの1つから選択される装置。
【0549】
(47)
(26)乃至(45)のうちのいずれか1項において、更に、搬送波位相結合の時定数を決定することを有している装置。
【0550】
(48)
(47)において、時定数を決定する場合に、搬送波位相オブザーバブルの分散を考慮することを包含している装置。
【0551】
(49)
(47)又は(48)において、時定数を決定する場合に、電離層エラーの時間的相関を考慮することを包含している装置。
【0552】
本発明の実施例及び適用例について示し且つ説明したが、本開示の恩恵に浴する当業者にとって上述したもの以外の多くの修正例が本明細書における発明概念から逸脱することなしに可能であることは明らかである。従って、本発明は特許請求の範囲の精神における以外制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0553】
【図1】典型的な従来の2搬送波周波数シナリオを例示した概略図。
【図2】2搬送波周波数GPS信号データを処理する従来のアプローチを示した概略図。
【図3】2搬送波周波数GPS信号データを処理する更なる従来のアプローチを示した概略図。
【図4】従来技術の提案された3搬送波周波数シナリオを例示した概略図。
【図5】3搬送波周波数を有する提案されているGalileoシステムに対して意図された従来技術のソリューションを示した概略図。
【図6】本発明の1実施例に基づくGNSS位置決定のためのアーキテクチャを示した概略図。
【図7】本発明の1実施例に基づくGNSS位置決定のための更なるアーキテクチャを示した概略図。
【図8】本発明の実施例に基づく完全ファクトライズド3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタの要素を示した概略図。
【図9】本発明の実施例に基づく個別的フィルタ及びフィルタバンクの数の要約を示した表。
【図10】本発明の実施例に基づくジオメトリフリー電離層フィルタバンクの構造を示した概略図。
【図11A】本発明の実施例に基づくクインテセンスフィルタバンクの構造を示した概略図。
【図11B】本発明の実施例に基づいて複数個のクインテセンスフィルタバンクが設けられている一般化した構造を示した概略図。
【図12A】本発明の実施例に基づく単一のジオメトリフリーコードフィルタバンクの構造を示した概略図。
【図12B】本発明の実施例に基づく単一のジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンクの構造を示した概略図。
【図13】本発明の実施例に基づく多数のジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンクの構造を示した概略図。
【図14】本発明の実施例に基づく多数の相互に直交するジオメトリフリー及び電離層フリーコードフィルタバンクの構造を示した概略図。
【図15】本発明の実施例に基づくハイレベル処理方法を例示したフローチャート。
【図16】本発明の実施例に基づくシステム初期化の例を例示したフローチャート。
【図17】本発明の実施例に基づく単一エポック内のシステム初期化の例を例示したフローチャート。
【図18】3つ又はそれ以上の搬送波を有するGNSS信号データセットを処理するための本発明の実施例に基づく方法を例示した概略図。
【図19】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図18の方法の適用例を示した概略図。
【図20】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図18の方法の更なる適用例を示した概略図。
【図21】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図18の方法の更なる適用例を示した概略図。
【図22】本発明の実施例に基づくフィルタリングアーキテクチャの例を示した概略図。
【図23】図22のアーキテクチャに対応する方法を示した概略図。
【図24】本発明の実施例に基づく更なる方法を示した概略図。
【図25】本発明の実施例に基づくGNSS受信器のアーキテクチャを示した概略図。
【図26】本発明の実施例に基づくGNSS受信器のアーキテクチャを示した概略図。
【図27】本発明の実施例に基づくGNSS受信器のアーキテクチャを示した概略図。
【図28】本発明の実施例に基づくデュアルシステムGNSS受信器のアーキテクチャを示した概略図。
【図29】フォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを調整するための基準受信器プロセッサの1実施例を示した概略図。
【図30】フォーマット化したマルチ帯域RTKデータストリームを調整するためのマルチDNSS基準受信器プロセッサの1実施例を示した概略図。
【図31】単一の基準局が使用されている本発明の実施例に基づく動作モードを示した概略図。
【図32】複数の基準局がネットワーク内において使用されている本発明の実施例に基づく動作モードを示した概略図。
【図33】複数個の個別的な基準局が使用されている本発明の実施例に基づく動作モードを示した概略図。
【図34】本発明の実施例に基づく更なる完全ファクトライズド3+搬送波アンビギュイティ決定フィルタの要素を示した概略図。
【図35】3つ又はそれ以上の搬送波を有するDNSS信号データセットを処理するための本発明の実施例に基づく更なる方法を例示した概略図。
【図36】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の適用例を示した概略図。
【図37】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の更なる適用を示した概略図。
【図38】3+搬送波周波数GNSS受信器に対する計算した位置を得るための図35の方法の更なる適用例を示した概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つの搬送波を有する信号から派生した1組のGNSS信号データを処理する方法において、
(a)ジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタを前記1組のGNSS信号データに対して適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(b)ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンクを該1組のGNSS信号データに適用して該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(c)ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクを該1組のGNSS信号データに適用して該ジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(d)複数個のジオメトリフリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データに適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(e)該(a)、(b)、(c)、(d)のアレイを結合して全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを得る、
ことを包含している方法。
【請求項2】
請求項1において、更に、該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、該1組のGNSS信号データが単一エポックのGNSS信号データを有している方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちのいずれか1項において、更に、整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティと固定アンビギュイティの結合を有する該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちのいずれか1項において、更に、浮動アンビギュイティで該結合したアレイからユーザ位置を計算し、且つ整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの結合で該結合したアレイからユーザ位置を計算することを包含している方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して各搬送波に対する1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【請求項8】
請求項7において、該コードフィルタが相互に直交している方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データが第一ナビゲーションシステムの送信機から受信した信号から派生され、本方法が、更に、第二ナビゲーションシステムの送信機から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備している信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理することを包含しており、その際に、
(h)ジオメトリ搬送波位相結合を使用してジオメトリフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対してアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(i)ジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用して電離層フィルタのバンクを該第二組のGNSS信号データへ適用して該電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(j)ジオメトリフリー搬送波位相結合を使用してクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンクを該第二組のGNSS信号データへ適用して前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、
(k)複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得、且つ
(d)が、更に、(f)、(g)、(h)、(i)のアレイを(a)、(b)、(c)、(d)のアレイと結合させて全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対するアンビギュイティ推定値の結合したアレイを得る方法。
【請求項10】
請求項9において、(a)及び(f)は、該最初に言及した組のGNSS信号データと該第二組のGNSS信号データとを単一ジオメトリフィルタへ適用して該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の単一のアレイを得ることにより実施される方法。
【請求項11】
請求項9又は10において、該第一ナビゲーションシステムが第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有しており且つ該第二ナビゲーションシステムが、第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルとは異なる第二数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有している方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタを該第二組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【請求項13】
請求項9乃至11のうちのいずれか1項において、少なくとも1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データを適用する場合に、複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して各搬送波に対する1つのコードフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得ることを包含している方法。
【請求項14】
請求項13において、(h)の該コードフィルタが相互に直交している方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の基準受信器において改修されたデータを有している方法。
【請求項16】
請求項1乃至15のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の移動受信器において改修したデータを有している方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが基準局のネットワークから発生されるデータを有している方法。
【請求項18】
請求項17において、基準局のネットワークから発生されたデータが少なくとも1つのエラーモデルを有している方法。
【請求項19】
請求項1乃至18のうちのいずれか1項において、(a)が、(i)単一周波数搬送波位相を使用してジオメトリフィルタを該1組のGNSS信号データへ適用して単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイを得、且つ(ii)単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値の該アレイ及び該電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイ及び該ジオメトリ及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイから該ジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値の該アレイを計算する、ことを包含している方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のうちのいずれか1項において、該ジオメトリ搬送波位相結合が最小エラー結合である方法。
【請求項21】
請求項19において、該単一周波数搬送波位相が以下の周波数、即ちGPS L1、GPS L2、GPS 5、Galileo E5、Galileo E6のうちの1つから選択される方法。
【請求項22】
請求項1乃至21のうちのいずれか1項において、更に、搬送波位相結合の時定数を決定することを包含している方法。
【請求項23】
請求項22において、時定数を決定する場合に、搬送波位相オブザーバブルの分散を考慮することを包含している方法。
【請求項24】
請求項22又は23において、時定数を決定する場合に、電離層エラーの時間的相関を考慮することを包含している方法。
【請求項25】
請求項1乃至24のうちのいずれか1項の方法を実施する装置。
【請求項26】
少なくとも3つの搬送波を具備する信号から派生された1組のGNSS信号データを処理する装置において、
(f)該1組のGNSS信号データからジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタ、
(g)該1組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(h)該1組のGNSS信号データからジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合および関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー及び電離層フリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(i)該1組のGNSSデータからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
(j)(a),(b),(c),(d)により得られたアレイから全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生するための結合器、
を有している装置。
【請求項27】
請求項26において、更に、結合したアレイからユーザ位置を計算するための位置計算要素を有している装置。
【請求項28】
請求項26又は27において、該1組のGNSS信号データが単一エポックのGNSS信号データを有している装置。
【請求項29】
請求項26乃至28のうちのいずれか1項において、更に、整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの組合わせで該結合したアレイからユーザ位置を計算するための位置計算要素を有している装置。
【請求項30】
請求項26乃至28のうちのいずれか1項において、更に、浮動アンビギュイティで該結合したアレイからユーザ位置を計算し且つ整数最小二乗手順及び検証手順を適用することにより浮動アンビギュイティ及び固定アンビギュイティの結合で該結合したアレイからユーザ位置を計算する位置計算要素を有している装置。
【請求項31】
請求項26乃至30のうちのいずれか1項において、前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【請求項32】
請求項26乃至30のうちのいずれか1項において、前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【請求項33】
請求項32において、該コードフィルタが相互に直交している装置。
【請求項34】
請求項26乃至33のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データが第一ナビゲーションシステムの送信機から受信した信号から派生され、本装置が、更に、第二ナビゲーションシステムの送信機から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備する信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理するための以下の要素、
(g)該第二組のGNSS信号データからジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用するジオメトリフィルタ、
(h)該第二組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(i)該第二組のGNSS信号データから前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(j)該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
を有しており、前記結合器が、(e)、(f)、(g)、(h)のフィルタにより得られたアレイ及び(a)、(b)、(c)のフィルタにより得られたアレイから、全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生する装置。
【請求項35】
請求項26乃至33のうちのいずれか1項において、該1組のGNSS信号データは第一ナビゲーションシステムの送信器から受信した信号から派生され、本装置は、更に、第二ナビゲーションシステムの送信器から受信され且つ少なくとも2つの搬送波を具備する信号から派生された第二組のGNSS信号データを処理するための以下の要素、
(g)該第二組のGNSS信号データから電離層搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー電離層搬送波位相結合を使用する電離層フィルタのバンク、
(i)該第二組のGNSS信号データから前記搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るためにジオメトリフリー搬送波位相結合を使用するクインテセンスフィルタの少なくとも1つのバンク、
(j)該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るために複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用する少なくとも1つのコードフィルタ、
を有しており、該ジオメトリフィルタは、該最初に言及した組のGNSS信号データから及び該第二組のGNSS信号データから該ジオメトリ搬送波位相結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値を得るためにジオメトリ搬送波位相結合を使用し、且つ前記結合器が、(f)、(g)、(h)のフィルタにより得られたアレイ及び(a)、(b)、(c)、(d)のフィルタにより得られたアレイから全ての搬送波位相観察値及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値の結合したアレイを発生する装置。
【請求項36】
請求項34又は35において、該第一ナビゲーションシステムが第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有しており、且つ第二ナビゲーションシステムが、該第一数の搬送波周波数及びオブザーバブルとは異なる第二数の搬送波周波数及びオブザーバブルを有している装置。
【請求項37】
請求項34乃至36のうちのいずれか1項において、(h)の前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該第二組のGNSS信号データから該コード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【請求項38】
請求項34乃至37のうちのいずれか1項において、(h)の前記少なくとも1つのコードフィルタが複数個のジオメトリフリー及び電離層フリーコード搬送波結合を使用して該第二組のGNSS信号データからコード搬送波結合及び関連する統計情報に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得る装置。
【請求項39】
請求項38において、(h)のコードフィルタが相互に直交している装置。
【請求項40】
請求項26乃至39のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の基準受信器において改修されるデータを有している装置。
【請求項41】
請求項26乃至40のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが複数個の移動受信器において改修されるデータを有している装置。
【請求項42】
請求項26乃至41のうちのいずれか1項において、該GNSS信号データが基準局のネットワークから発生されるデータを有している装置。
【請求項43】
請求項42において、基準局のネットワークから発生されるデータが少なくとも1つのエラーモデルを有している装置。
【請求項44】
請求項26に乃至43のうちのいずれか1項において、(a)が、(i)単一周波数搬送波位相に対しアンビギュイティ推定値のアレイを得るための単一周波数搬送波位相を使用するジオメトリフィルタ、及び(ii)単一周波数搬送波位相に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及び電離層搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイ及びジオメトリ及び電離層フリー搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイからジオメトリ搬送波位相結合に対するアンビギュイティ推定値のアレイを計算するための結合器を有している装置。
【請求項45】
請求項26乃至44のうちのいずれか1項において、該ジオメトリ搬送波位相結合が最小エラー結合である装置。
【請求項46】
請求項44において、該単一周波数搬送波位相が以下の周波数:GPS L1、GPS L2、GPS L5、Galileo E5、Galileo E6のうちの1つから選択される装置。
【請求項47】
請求項26乃至45のうちのいずれか1項において、更に、搬送波位相結合の時定数を決定することを有している装置。
【請求項48】
請求項47において、時定数を決定する場合に、搬送波位相オブザーバブルの分散を考慮することを包含している装置。
【請求項49】
請求項47又は48において、時定数を決定する場合に、電離層エラーの時間的相関を考慮することを包含している装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2007−510158(P2007−510158A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538144(P2006−538144)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/035263
【国際公開番号】WO2005/045463
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.UNIX
【出願人】(506144905)トリンブル ナビゲーション リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】Trimble Navigation Limited
【Fターム(参考)】