3次元情報検出装置
【課題】操作性を向上させることができ、検出時間の短縮および検出精度の向上が可能な3次元情報検出装置を提供すること。
【解決手段】指示装置200の3次元空間における位置および方向をセンサ装置100によって検出する。指示装置は、3つの指示コイル201、202、203と、これらに所定周波数の信号を供給する発振回路211、212、213とを備える。センサ装置100は、複数のセンサコイルと、3つの指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる各センサコイルの出力レベルを検出する増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ134、検波回路136、サンプルホールド回路138、アナログ−デジタル変換器140と、検出された出力レベルに基づいて指示装置200の位置および方向を算出するCPU150とを備える。
【解決手段】指示装置200の3次元空間における位置および方向をセンサ装置100によって検出する。指示装置は、3つの指示コイル201、202、203と、これらに所定周波数の信号を供給する発振回路211、212、213とを備える。センサ装置100は、複数のセンサコイルと、3つの指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる各センサコイルの出力レベルを検出する増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ134、検波回路136、サンプルホールド回路138、アナログ−デジタル変換器140と、検出された出力レベルに基づいて指示装置200の位置および方向を算出するCPU150とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元空間における位置および方向に関する情報を検出する3次元情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タブレット上に置かれた位置指示器の位置を検出する座標検出装置(例えば、特許文献1参照。)や、3次元情報センサ装置内の複数のセンサコイルと離れて配置された指示装置の3次元位置を検出する3次元情報検出装置(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0003】
特許文献1の座標検出装置では、位置指示器内に指示コイルとコンデンサからなる同調回路が設けられており、タブレットに設けられた複数のセンサコイルと同調回路の指示コイルとの間で電磁結合によって信号の送受信を行い、センサコイル側で受信した信号を解析することにより位置指示器の位置検出が行われる。
【0004】
また、特許文献2の3次元情報検出装置では、指示装置内に設けられた3つの指示コイルに対して順番に周波数信号を供給し、3次元情報センサ装置において複数のセンサコイルの出力を検出することで指示装置の3次元位置および方向を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−302153号公報(第2−3頁、図3−4)
【特許文献2】特開2003−196015号公報(第5−16頁、図1−41)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された座標検出装置では、センサコイルから位置検出器内の指示コイルに向けて信号を送信した後にこの指示コイルからセンサコイルに信号を送信しているため、センサコイルと指示コイル間の信号の送受信に時間がかかるという問題がある。特に、位置検出器の3次元情報を得るため位置検出器内に設ける指示コイルの数を増やそうとすると、複数の指示コイルのそれぞれと複数のセンサコイルとの間で信号を送受信することになるためさらに時間がかかることになり、位置検出の周期が長くなって位置検出精度の低下につながるため好ましくない。また、センサコイルから指示コイルに対して信号を送信することにより指示コイルに接続されたコンデンサを充電することで、反対に指示コイルからセンサコイルに向けて送信する信号の電力を得ているため、位置検出器がセンサコイルから離れている場合にはセンサコイルの出力レベルが極端に小さくなって検出精度が低下するという問題がある。さらに、位置検出器内に複数の指示コイルを設ける場合を考えると、1つのセンサコイルから送信された信号を複数の指示コイルで同時に受信することになるため、指示コイルを順番に切り替えて1つの指示コイルからセンサコイルへ向けて信号を送信することができず、検出精度の低下につながることになる。
【0007】
一方、特許文献2に開示された3次元情報検出装置では、指示装置内の3つの指示コイルに信号ケーブルを介して直接信号を送信しているため、指示装置において送信動作に先立って受信動作を行う必要がなく、指示装置から3次元情報センサ装置に向けた信号の送信間隔を短くすることができるため、信号の送信に時間がかかることはない。また、3つの指示コイルにおける信号の出力レベルを一定に維持することができるため、センサコイル側の出力レベルの低下による検出精度の低下を防止することができる。
【0008】
しかし、特許文献2に開示された3次元情報検出装置では、3次元情報センサ装置内の送信回路から信号ケーブルを介して指示装置内の3つの指示コイルに向けて、3次元情報センサ装置内の受信回路と同期した信号を送信しており、信号ケーブルが必要になることから指示装置の操作を阻害し、操作性が悪いという問題があった。この特許文献2には、指示装置内に電源回路や信号発生回路を設けてもよい旨の記載が含まれるが、3次元情報センサ装置内の受信回路とこの信号発生回路との間で同期をとるために信号ケーブルを介して3次元情報センサ装置と指示装置との間を接続する必要があることに変わりはなく、操作性の改善にはつながらない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、操作性を向上させることができ、検出時間の短縮および検出精度の向上が可能な3次元情報検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の3次元情報検出装置は、指示装置の3次元空間における位置および方向をセンサ装置によって検出する。指示装置は、3以上の複数の指示コイルと、これら複数の指示コイルのそれぞれに所定周波数の信号を供給する駆動手段とを備えている。また、センサ装置は、複数のセンサコイルと、複数の指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる複数のセンサコイルの出力レベルを検出する出力レベル検出手段と、出力レベル検出手段によって検出された出力レベルに基づいて指示装置の位置および方向を3次元情報として算出する3次元情報算出手段とを備えている。
【0011】
指示装置内に、複数の指示コイルに信号を供給する駆動手段を設けており、指示コイルからの信号送信に先立ってセンサコイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。
【0012】
また、出力レベル検出手段を周波数変換器、フィルタ、検波回路を備えるヘテロダイン構成により実現することにより、高い検出精度を確保することができる。特に、周波数変換器で低い周波数に変換することにより、Qが低いフィルタを用いてノイズの影響を除去することが容易となる。
【0013】
また、複数の指示コイルのそれぞれを平面状に巻回するとともに、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように複数の指示コイルを配置することにより、指示装置の位置および方向を確実に検出することができる。また、複数の指示コイルの少なくとも2つを、指示装置の筐体内の最も離れた位置に離間して配置することにより、高い検出精度で指示装置の位置および方向を検出することができる。
【0014】
また、指示装置とセンサ装置との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【0015】
また、複数の指示コイルに供給される信号の周波数を指示コイル毎に異ならせる場合には、センサコイルの出力と指示コイルとの対応付けが容易になる。このため、複数の指示コイルのそれぞれに並行して信号を供給した場合であっても、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。
【0016】
また、複数の指示コイルのそれぞれに順番に異なる周波数の信号を供給する場合には、センサ装置側に、複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段を備えることにより、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。また、指示コイルを順番に選択的に駆動することにより、指示装置側における電力消費を抑制することができる。
【0017】
また、複数の指示コイルに供給される信号の周波数を複数の指示コイルについて同じにするとともに、複数の指示コイルのそれぞれに順番に信号を供給する場合には、センサ装置側に、複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段を備えることにより、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。また、この場合も指示装置側における電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の3次元情報検出装置の概略的な全体構成を示す図である。
【図2】指示装置の構成を示す図である。
【図3】センサ装置の構成を示す図である。
【図4】指示装置の位置および方向を検出する全体動作の手順を示す流れ図である。
【図5】一連の動作によって取り込まれる検波出力データの説明図である。
【図6】指示コイルの配置の一例を示す図である。
【図7】指示コイルの配置の他の例を示す図である。
【図8】4つの指示コイルを用いる場合の配置の一例を示す図である。
【図9】センサコイルの変形例を示す図である。
【図10】センサコイルの変形例を示す図である。
【図11】周波数シンセサイザの構成を示す図である。
【図12】3つの指示コイルから順番に信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。
【図13】受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。
【図14】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。
【図15】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する指示装置に対応する処理部の変形例を示す図である。
【図16】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する指示装置を用いる場合に受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態の3次元情報検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の3次元情報検出装置の概略的な全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の3次元情報検出装置は、センサ装置100と指示装置200を含んで構成されている。
【0021】
センサ装置100は、指示装置200の3次元空間内での位置および方向(図1に示すX軸、Y軸、Z軸上の位置と、傾きθと方位φによって特定される方向)を検出する処理を行っており、机上、床上、壁面などに配置されたタブレット110と、このタブレット110と信号線を介して接続された処理部120を備えている。また、指示装置200は、利用者が携帯可能であって、所定形状の筐体を有している。この指示装置200は、タブレット110や処理部120とは物理的に分離しており、これらの間は信号ケーブルを介して接続されていない。
【0022】
図2は、指示装置200の構成を示す図である。指示装置200は、3つの指示コイル201、202、203と、3つの発振回路211、212、213を備えている。3つの指示コイル201、202、203は、指示装置200の筐体内に配置されている。配置の具体例については後述する。発振回路211は、周波数f1で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル201に入力される。同様に、発振回路212は、周波数f2で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル202に入力される。発振回路213は、周波数f3で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル203に入力される。これら3つの発振器211、212、213は、常時発振動作を行っており、3つの指示コイル201、202、203からは同時に3種類の周波数f1、f2、f3の信号が送信されている。
【0023】
図3は、センサ装置100の構成を示す図である。図3に示すように、タブレット110は、水平方向(X軸方向)に整列配置された12個のセンサコイルX1〜X12と、垂直方向(Y軸方向)に整列配置された12個のセンサコイルY1〜Y12と、選択回路112とを備えている。
【0024】
センサコイルX1は、導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がY軸に平行になるように配置されている。同様に、水平方向に整列配置された他のセンサコイルX2〜X12のそれぞれも導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がY軸に平行になるように配置されている。これら12個のセンサコイルX1〜X12は、部分的に重複するように水平方向にずらして配置されている。
【0025】
一方、センサコイルY1は、導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がX軸に平行になるように配置されている。同様に、垂直方向に整列配置された他のセンサコイルY2〜Y12のそれぞれも導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がX軸に平行になるように配置されている。これら12個のセンサコイルY1〜Y12は、部分的に重複するように垂直方向にずらして配置されている。
【0026】
選択回路112は、24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12の1つを順番に選択し、選択したセンサコイルの始端および終端(図3において、符号Aが付されたX1A、Y1A等が始端を、符号Bが付されたX1B、Y1B等が終端をそれぞれ示している)の間に現れる電圧を出力する。例えばセンサコイルX1、X2、・・・、X12、Y1、Y2、・・・、Y12の順に選択され、その後、センサコイルX1に戻って同じ順番でこの選択動作が繰り返される。
【0027】
また、図3に示すように、処理部120は、増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ(BPF)134、検波回路136、サンプルホールド回路(S/H)138、アナログ−デジタル変換器(A/D)140、CPU150を備えている。
【0028】
増幅回路122は、選択回路112の出力電圧を増幅する。発振器124は、周波数(f1+f0)で発振動作を行う。発振器126は、周波数(f2+f0)で発振動作を行う。発振器128は、周波数(f3+f0)で発振動作を行う。周波数切替器130は、3つの発振器124、126、128のそれぞれから出力される発振信号のいずれかを選択する周波数切替を行う。この周波数切替はCPU150からの指示に応じて行われ、例えば、発振器124、126、128の順番に各発振信号が切り替えられ、一巡すると最初からこの切替動作が繰り返される。
【0029】
周波数変換器132は、周波数混合回路(ミキサ)であって、増幅回路122の出力信号と周波数切替器130の出力信号が入力されており、これら2つの信号を混合して出力する。具体的には、周波数切替器130の出力信号の周波数をF1、増幅回路122の出力信号の周波数をF2とすると、これらの信号の和成分(F1+F2)に相当する信号と差成分(F1−F2)に相当する信号が周波数変換器132から出力される。
【0030】
帯域通過フィルタ134は、周波数変換器132から出力される信号の中から周波数f0近傍の成分(中間周波数信号)を通過させて出力する。検波回路136は、帯域通過フィルタ134から出力される中間周波信号に対してAM検波を行い、周波数f0の信号レベルに対応する電圧を出力する。
【0031】
上述した発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ(BPF)134、検波回路136によってヘテロダイン検波回路が構成されている。指示装置200内の指示コイル201には発振器211から周波数f1の信号が、指示コイル202には発振器212から周波数f2の信号が、指示コイル203には発振器213から周波数f3の信号がそれぞれ入力されるため、それぞれの指示コイル201、202、203からは周波数f1、f2、f3の信号が送信される。これらの信号がセンサコイルX1に到達すると、センサコイルX1の始端と終端の間には、これら3つの周波数f1、f2、f3の成分を有する電圧が現れる。周波数切替器130によって発振周波数(f1+f0)の発振器124が選択されている場合を考えると、周波数変換器132からは、増幅回路122から出力される周波数f1に対応する和成分(2f1+f0)と差成分(f0)に相当する2種類の信号と、周波数f2に対応する和成分(f1+f2+f0)と差成分(f1−f2+f0)に相当する2種類の信号と、周波数f3に対応する和成分(f1+f3+f0)と差成分(f1−f3+f0)に相当する2種類の信号が出力される。帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f1に対応する差成分(f0)のみを通過させる。同様に、周波数切替器130によって発振周波数(f2+f0)の発振器126が選択されている場合には、帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f2に対応する差成分(f0)のみを通過させる。周波数切替器130によって発振周波数(f3+f0)の発振器128が選択されている場合には、帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f3に対応する差成分(f0)のみを通過させる。
【0032】
このようにして、周波数切替器130によって3つの発振器124、126、128を順番に選択して周波数切替器130から周波数変換器132に向けて出力する信号の周波数を切り替えることにより、センサコイルX1の出力に含まれる3つの周波数成分(f1、f2、f3)に対応する信号の中から帯域通過フィルタ134を通過させる成分を切り替えることができる。
【0033】
特に、中間周波数f0(例えば455kHz)を3種類の周波数f1、f2、f3(例えば2MHz近傍)よりも低くすることにより、Q(=f0/B、Bは−3dBにおけるバンド幅)が低い帯域通過フィルタ134を用いることができ、センサコイルX1の出力の中から周波数f1、f2、f3近傍の狭い周波数帯域の成分のみを抽出して、ノイズの影響を除去することが可能となる。他のセンサコイルについても同様である。
【0034】
サンプルホールド回路(S/H)138は、検波回路136の出力電圧を所定時間保持する。アナログ−デジタル変換器(A/D)140は、サンプルホールド回路138によって保持された電圧を所定ビット数のデジタルデータに変換する。
【0035】
CPU150は、メモリやハードディスク装置(ともに図示せず)に格納された所定のプログラムを実行することにより、アナログ−デジタル変換器140の出力データ(検波出力データ)に基づいて指示装置200の3次元空間における位置および方向(3次元情報)を算出する動作と、そのために必要なセンサ装置100の各部を制御する動作を行う。
【0036】
上述した発振回路211、212、213が駆動手段に、増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ134、検波回路136、サンプルホールド回路138、アナログ−デジタル変換器140が出力レベル検出手段に、CPU150が3次元情報算出手段にそれぞれ対応する。
【0037】
本実施形態の3次元情報検出装置はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。図4は、指示装置200の位置および方向を検出する全体動作の手順を示す流れ図である。この動作手順は所定の時間間隔(例えば20ms毎)で繰り返される。
【0038】
まず、CPU150は、選択回路112にセンサコイルX1を選択する指示を送る。この指示に応じて、選択回路112からは、センサコイルX1の始端、終端間に現れる電圧が処理部120内の増幅回路122に向けて出力され、増幅回路122で増幅されて周波数変換器132に入力される(ステップ100)。また、CPU150は、周波数切替器130に発振器124を選択する指示を送る。この指示に応じて、周波数切替器130では発振器124が選択されるため、発振器124から出力される周波数(f1+f0)の発振信号が周波数切替器130を介して周波数変換器132に入力される(ステップ101)。
【0039】
周波数変換器132では、発振器124から入力される周波数(f1+f0)の発振信号と、増幅回路122から入力される信号とを混合して周波数変換を行う。また、帯域通過フィルタ134は、周波数変換器132から出力される信号の中から周波数f0近傍の中間周波数信号を抽出する。検波回路136は、帯域通過フィルタ134から出力される中間周波信号をAM検波する。
【0040】
次に、CPU150は、サンプルホールド回路138に指示を送って検波回路136の出力電圧を保持し、この保持した電圧に対応する検波出力データをアナログ−デジタル変換器140から取り込む(ステップ102)。このようにして、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f1に対応する検波出力データの取り込みが行われる。
【0041】
同様にして、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f2、f3に対応する検波出力データの取り込みが行われる。すなわち、CPU150から周波数切替器130に発振器126を選択する指示を送ることにより、周波数切替器130では発振器126から出力される周波数(f2+f0)の発振信号が選択される(ステップ103)。これにより、検波回路136からは周波数f2に対応する信号が出力され、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f2に対応する検波出力データがCPU150に取り込まれる(ステップ104)。
【0042】
また、CPU150から周波数切替器130に発振器128を選択する指示を送ることにより、周波数切替器130では発振器128から出力される周波数(f3+f0)の発振信号が選択される(ステップ105)。これにより、検波回路136からは周波数f3に対応する信号が出力され、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f3に対応する検波出力データがCPU150に取り込まれる(ステップ106)。
【0043】
このようにしてセンサコイルX1に関する検波出力データの取り込みが終了すると、次に、CPU150は、検波出力データを取り込んでいない他のセンサコイルがあるか否かを判定する(ステップ107)。他のセンサコイルがある場合には肯定判断が行われ、ステップ100に戻って、次のセンサコイルについて同様の処理が繰り返される。
【0044】
また、全てのセンサコイルについて検波出力データの取り込みが終了すると、ステップ107の判定において否定判断が行われる。次に、CPU150は、取り込んだ各センサコイルに対応する検波出力データに基づいて、指示装置200の3次元空間における位置および方向を算出する(ステップ108)。
【0045】
図5は、一連の動作によって取り込まれる検波出力データの説明図である。図5において、「コイル選択信号」は、CPU150から選択回路112に入力されるセンサコイルの選択指示の内容を示しており、例えば、コイル選択信号が「X1」のときに選択回路112によってセンサコイルX1が選択される。また、「周波数選択信号」は、CPU150から周波数切替器130に入力される発振器の選択指示の内容を示しており、周波数選択信号が「f1」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f1+f0)の発振器124が選択され、周波数選択信号が「f2」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f2+f0)の発振器126が選択され、周波数選択信号が「f3」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f3+f0)の発振器128が選択される。また、「BPF出力」は帯域通過フィルタ134の出力波形を、「検波出力」は検波回路136の出力波形をそれぞれ示している。
【0046】
図5に示すように、検波回路136の出力波形、すなわち、CPU150に取り込まれる検波出力データとして、センサコイルX1〜X12、Y1〜Y12と3つの周波数f1、f2、f3との組み合わせに対応する合計72(=24×3)個の検出レベル値が含まれるパターンデータが得られる。このパターンデータの内容(72個の検出レベル値)は、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203とタブレット110内の24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12との相対的な位置関係によって決まる固有の関係を有する。したがって、この固有の関係を予め調べておくことにより、CPU150は、得られたパターンデータに基づいて、指示装置200内の指示コイル201、202、203の位置や方向、すなわち、これらの指示コイル201、202、203が備わった指示装置200の3次元空間における位置および方向を算出することができる。
【0047】
なお、上述した固有の関係は、実際に検出レベル値を測定する場合の他、計算によって求めるようにしてもよい。具体的には、例えばニューラルネットワーク技術による学習によって(例えば、指示装置200の3次元空間における位置および方向を変更した複数箇所で実際に上記のパターンデータを取得し、位置および方向との対応を学習させることによって)、上述した固有の関係を求めるようにすれば、複雑なアルゴリズムや計算を行うことなく、上述した固有の関係を求めることができる。
【0048】
ところで、本発明では、指示装置200の3次元空間における位置および方向と、得られるパターンデータとが1対1の関係にあることが重要であり、そのためには、指示コイル201、202、203の配置を工夫する必要がある。例えば、3つの指示コイル201、202、203のそれぞれが平面状に巻回されているものとする。配置の一例としては、一の指示コイルの中心線(指示コイルの中心を通り、この指示コイルが巻回された平面と垂直な向きを有する中心線)に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように3つの指示コイル201、202、203を配置すればよい。
【0049】
図6は、指示コイル201、202、203の配置の一例を示す図である。図6(A)に示す例では、指示コイル201と指示コイル202が所定の立方体(巻枠)の周囲に互いに直交する向きに巻回され、他の指示コイル203がこの立方体とは離れた位置に配置されている。また、指示コイル201、202、203の中の一の指示コイルに着目したときに残り2つの指示コイルの配置がこの一の指示コイルの中心線に対して非対称となるように3つの指示コイル201、202、203が配置されている。図6(B)に示す例では、3つの指示コイル201、202、203が近接配置されている。図6(C)に示す例では、3つの指示コイル201、202、203が所定の立方体(巻枠)の周囲に配置されている。なお、図6(B)、(C)に示す例においても、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように3つの指示コイル201、202、203が配置されている。
【0050】
図7は、指示コイル201、202、203の配置の他の例を示す図である。指示装置200の3次元空間における位置が同じであって方向のみを変えた場合を考えると、3つの指示コイル201、202、203はできるだけ離れて配置されている方がパターンデータに大きな変化が生じやすくなる。図7に示す例では、指示装置200の筐体が直方体であるものとし、互いに直交する3つの面をA、B、Cとする。指示コイル201が面A上に、指示コイル202が面B上に、指示コイル203が面C上に配置されている。また、少なくとも2つのセンサコイル(図7に示す例では、センサコイル201と202あるいはセンサコイル201と203)は、筐体の最も離れた2箇所に配置されていることが望ましい。
【0051】
このように、指示装置200内に、3つの指示コイル201、202、203に信号を供給する発振回路211、212、213を設けており、センサコイル側から信号を受信した後に指示コイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。
【0052】
また、指示装置200とセンサ装置100との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置200を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、指示装置200内に3つの指示コイル201、202、203を備え、それぞれに周波数f1、f2、f3の信号を個別入力したが、4つ以上の指示コイルを備え、それぞれに4種類以上の周波数の信号を個別に入力するようにしてもよい。
【0054】
図8は、4つの指示コイルを用いる場合の配置の一例を示す図である。図8に示すように、2つの指示コイル201、202が第1の立方体(巻枠)の周囲に互いに平行にならないように巻回され、他の2つの指示コイル203、204が第2の立方体(巻枠)の周囲に互いに平行にならないように巻回されている。また、2つの指示コイル201、202と2つの指示コイル203、204は、互いに離れて配置されている。例えば、2つの指示コイル201、202が巻回された第1の立方体と2つの指示コイル203、204が巻回された第2の立方体とが指示装置200の筐体の最も離れた位置に配置されている。なお、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように4つの指示コイル201、202、203、204が配置されている。
【0055】
また、上述した実施形態では、矩形形状の12個のセンサコイルX1〜X12と、12個のセンサコイルY1〜Y12とを互いに直交する向きに重ねて配置したが、各センサコイルの形状や配置はこれに限定されない。すなわち、取得するパターンデータに基づいて指示装置200の3次元空間における位置と方向を算出可能なものであれば、どのようなものであってもよい。但し、複数、望ましくは3以上である必要がある。
【0056】
図9および図10は、センサコイルの変形例を示す図である。図9に示す例では、四角形形状のタブレット110の四隅のそれぞれに正方形のセンサコイルZ1、Z2、Z3、Z4が互いに重複しないように配置されている。図10に示す例では、四角形形状のタブレット110の四隅のそれぞれに正方形のセンサコイルZ1、Z2、Z3、Z4が互いに部分的に重複するように配置されている。なお、各センサコイルの形状は矩形形状や正方形形状に限らず、三角形や円形などその他の形状であってもよい。特に、ニューラルネットワーク技術による学習を利用して指示装置200の位置と方向を算出する場合には、センサコイルの形状が複雑になっても特に不都合はないため、タブレット110上の配置等の都合で適宜形状を決めることができる。また、全てのセンサコイルを同じ形状にする必要はなく、一部が異なる形状であったり、複数の異なる形状のセンサコイルを組み合わせるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、図6あるいは図7に示すように、指示コイル201、202、203の形状を円形あるいは四角形としたが、その他の形状にしてもよい。特に、指示装置200の筐体を上下、左右あるいは所定方向に180度回転させた場合に、得られるパターンデータが異なるようにするために、対称軸をもたない形状(例えば、3辺の長さが異なる三角形形状)にしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、3つの発振器124、126、128と周波数切替器130とを用いて3種類の周波数の信号を順番に周波数変換器132に入力するようにしたが、3種類の発振器124、126、128を用いる代わりに、周波数シンセサイザを用いて3種類の信号を生成するようにしてもよい。
【0059】
図11は、周波数シンセサイザの構成を示す図である。図11に示す周波数シンセサイザ160は、電圧制御型発振器(VCO)161、可変分周器162、位相比較器(PD)163、基準周波数発振器164、ローパスフィルタ(LPF)165を含んで構成されている。可変分周器162の分周比nをCPU150によって設定することにより、基準周波数発振器164から出力される基準周波数信号のn倍の周波数の信号が電圧制御型発振器161から出力される。したがって、分周比nを可変することにより、異なる3つの周波数f1+f0、f2+f0、f3+f0を順番に生成することが可能となる。
【0060】
また、上述した実施形態では、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203のそれぞれに3種類の周波数f1、f2、f3の信号を並行して入力することにより、3つの指示コイル201、202、203から各センサコイルに向けて同時に信号が送信されるようにしたが、各センサコイルの出力信号の中からこれら3種類の周波数成分を抽出して検波出力を得る動作は各周波数について順番に行われる。したがって、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203から信号を送信する動作も順番に行うようにしてもよい。
【0061】
図12は、3つの指示コイル201、202、203から順番に信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。図12に示す指示装置200Aは、図2に示した指示装置200に対して切替制御部220が追加された点が異なっている。切替制御部220は、3つの発振回路211、212、213を順番に選択して動作させる制御を行う。選択状態にない2つの発振回路は、非動作状態あるいは消費電力を抑えた状態(例えば発振信号の振幅を抑制した状態)に制御される。これにより、並行して3つの発振回路211、212、213を動作させる場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0062】
ところで、図12に示した指示装置200Aを用いて3種類の周波数f1、f2、f3の信号を順番に送信する場合には、受信側において同期をとってこれらの信号を順番に受信する必要がある。
【0063】
図13は、受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。図13に示す流れ図は、図4に示した流れ図に対して、ステップ101とステップ102の間にステップ200の動作を追加した点が異なっている。このステップ200では、周波数f1の信号を検出したか否かがCPU150によって判定される。検出されない場合には否定判断が行われ、この判定動作が繰り返される。このステップ200に先だって実行されるステップ101の動作では、発振器124から出力される周波数(f1+f0)の発振信号が周波数切替器130を介して周波数変換器132に入力されるため、検波回路136では周波数f1に対応する中間周波信号に対する検波が行われる。したがって、CPU150は、アナログ−デジタル変換器140から出力される検波出力データを監視することにより、具体的には検波出力データの値が所定値を超えたときに周波数f1の信号が検出されたものと判断することができる。周波数f1の信号の検出開始タイミングがわかれば、そのタイミングで同期をとることにより、3つの周波数f1、f2、f3の信号を順番に受信することができる。ステップ200を実行するCPU150がタイミング検出手段に対応する。なお、ステップ200の判定動作は必ずしも毎回行う必要はない。例えば、24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12についての処理を行う際に1回あるいは数回行うようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203から各センサコイルに向けて同時に信号を送信する場合を想定していたため、信号の送信元となる指示コイルを識別するために3種類の周波数f1、f2、f3の信号を用いたが、3つの指示コイル201、202、203から順番に信号を送信する場合であって、受信側で同期をとることができる場合には、単一周波数の信号を3つの指示コイル201、202、203を切り替えて順番に送信するようにしてもよい。
【0065】
図14は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。図14に示す指示装置200Bは、図2に示した指示装置200に対して、3つの発振回路211、212、213を1つの発振回路211と切替制御部222に置き換えた点が異なっている。切替制御部222は、周波数f1で発振動作を行う発振回路211の出力先としての指示コイル201、202、203を順番に切り替える制御を行う。これにより、並行して3つの発振回路211、212、213を動作させる場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0066】
図15は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する指示装置200Bに対応する処理部の変形例を示す図である。図15に示す処理部120Aは、図3に示した処理部120に対して、発振器126、128と周波数切替器130を省略した点が異なっている。すなわち、処理部120Aでは、発振器124から出力される周波数f1+f0の信号が直接周波数変換器132に入力されている。この例では、発振器の数を3から1に減らすとともに周波数切替器130が不要になるため、構成および制御手順の簡略化が可能になる。また、図11に示す周波数シンセサイザ160を用いる必要もなくなり、周波数切替に必要な引き込み時間を確保する必要もないことから、周波数切替に要する時間を短くすることができる。
【0067】
図16は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する指示装置200Bを用いる場合に受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。図13に示した動作手順では周波数f0の信号を検出するステップ200を追加することによって受信側で同期をとっていたが、3つの指示コイルから送信する信号の周波数を同じにした場合にはこの手法で同期をとることはできないため、別の方法で同期を確立する必要がある。図16に示す動作手順に含まれるステップ100、107、108は、図4に示した動作手順と同じであり、以下では、ステップ100とステップ107の間に行われるステップ300、301、302、303の動作について説明する。
【0068】
いずれかのセンサコイルが選択された後(ステップ100)、CPU150は、開始タイミングを検出したか否かを判定する(ステップ300)。例えば、指示装置200Bでは、指示コイル201、202、203を順番に選択して周波数f1の信号を送信するタイミングに先だって、これら3つの指示コイル201、202、203を同時に駆動し、並行して周波数f1の信号を送信する。このようにして3つの指示コイル201、202、203を同時に駆動することにより、順番に選択する場合に比べて周波数f1の信号の送信出力を上げることができるため、受信側で周波数f1の信号の検波レベル値を監視することにより、この信号の送信タイミングを開始タイミングとして検出することができる。なお、必ずしも3つのセンサコイルを同時に駆動する場合に限らず、2つのセンサコイルを同時に駆動したり、いずれか1つのセンサコイルのみを送信出力を上げて駆動するようにしてもよい。
【0069】
開始タイミングが検出されるとステップ300の判定において肯定判断が行われる。開始タイミングがわかれば、この開始タイミングを基準にしてそれ以後に行われる3つのセンサコイル201、202、203の切替タイミングがわかるため、それぞれのセンサコイルから信号が送信されるタイミングに合わせて検波出力データを取り込むことができる(ステップ301、302、303)。ステップ300を実行するCPU150がタイミング検出手段に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、指示装置内に、3つの指示コイルに信号を供給する駆動手段を設けており、センサコイル側から信号を受信した後に指示コイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。さらに、指示装置とセンサ装置との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
100 センサ装置
110 タブレット
112 選択回路
120 処理部
122 増幅回路
124、126、128 発振器
130 周波数切替器
132 周波数変換器
134 帯域通過フィルタ(BPF)
136 検波回路
138 サンプルホールド回路(S/H)
140 アナログ−デジタル変換器(A/D)
150 CPU
200 指示装置
201、202、203 指示コイル
211、212、213 発振回路
220、222 切替制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元空間における位置および方向に関する情報を検出する3次元情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タブレット上に置かれた位置指示器の位置を検出する座標検出装置(例えば、特許文献1参照。)や、3次元情報センサ装置内の複数のセンサコイルと離れて配置された指示装置の3次元位置を検出する3次元情報検出装置(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0003】
特許文献1の座標検出装置では、位置指示器内に指示コイルとコンデンサからなる同調回路が設けられており、タブレットに設けられた複数のセンサコイルと同調回路の指示コイルとの間で電磁結合によって信号の送受信を行い、センサコイル側で受信した信号を解析することにより位置指示器の位置検出が行われる。
【0004】
また、特許文献2の3次元情報検出装置では、指示装置内に設けられた3つの指示コイルに対して順番に周波数信号を供給し、3次元情報センサ装置において複数のセンサコイルの出力を検出することで指示装置の3次元位置および方向を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−302153号公報(第2−3頁、図3−4)
【特許文献2】特開2003−196015号公報(第5−16頁、図1−41)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された座標検出装置では、センサコイルから位置検出器内の指示コイルに向けて信号を送信した後にこの指示コイルからセンサコイルに信号を送信しているため、センサコイルと指示コイル間の信号の送受信に時間がかかるという問題がある。特に、位置検出器の3次元情報を得るため位置検出器内に設ける指示コイルの数を増やそうとすると、複数の指示コイルのそれぞれと複数のセンサコイルとの間で信号を送受信することになるためさらに時間がかかることになり、位置検出の周期が長くなって位置検出精度の低下につながるため好ましくない。また、センサコイルから指示コイルに対して信号を送信することにより指示コイルに接続されたコンデンサを充電することで、反対に指示コイルからセンサコイルに向けて送信する信号の電力を得ているため、位置検出器がセンサコイルから離れている場合にはセンサコイルの出力レベルが極端に小さくなって検出精度が低下するという問題がある。さらに、位置検出器内に複数の指示コイルを設ける場合を考えると、1つのセンサコイルから送信された信号を複数の指示コイルで同時に受信することになるため、指示コイルを順番に切り替えて1つの指示コイルからセンサコイルへ向けて信号を送信することができず、検出精度の低下につながることになる。
【0007】
一方、特許文献2に開示された3次元情報検出装置では、指示装置内の3つの指示コイルに信号ケーブルを介して直接信号を送信しているため、指示装置において送信動作に先立って受信動作を行う必要がなく、指示装置から3次元情報センサ装置に向けた信号の送信間隔を短くすることができるため、信号の送信に時間がかかることはない。また、3つの指示コイルにおける信号の出力レベルを一定に維持することができるため、センサコイル側の出力レベルの低下による検出精度の低下を防止することができる。
【0008】
しかし、特許文献2に開示された3次元情報検出装置では、3次元情報センサ装置内の送信回路から信号ケーブルを介して指示装置内の3つの指示コイルに向けて、3次元情報センサ装置内の受信回路と同期した信号を送信しており、信号ケーブルが必要になることから指示装置の操作を阻害し、操作性が悪いという問題があった。この特許文献2には、指示装置内に電源回路や信号発生回路を設けてもよい旨の記載が含まれるが、3次元情報センサ装置内の受信回路とこの信号発生回路との間で同期をとるために信号ケーブルを介して3次元情報センサ装置と指示装置との間を接続する必要があることに変わりはなく、操作性の改善にはつながらない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、操作性を向上させることができ、検出時間の短縮および検出精度の向上が可能な3次元情報検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の3次元情報検出装置は、指示装置の3次元空間における位置および方向をセンサ装置によって検出する。指示装置は、3以上の複数の指示コイルと、これら複数の指示コイルのそれぞれに所定周波数の信号を供給する駆動手段とを備えている。また、センサ装置は、複数のセンサコイルと、複数の指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる複数のセンサコイルの出力レベルを検出する出力レベル検出手段と、出力レベル検出手段によって検出された出力レベルに基づいて指示装置の位置および方向を3次元情報として算出する3次元情報算出手段とを備えている。
【0011】
指示装置内に、複数の指示コイルに信号を供給する駆動手段を設けており、指示コイルからの信号送信に先立ってセンサコイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。
【0012】
また、出力レベル検出手段を周波数変換器、フィルタ、検波回路を備えるヘテロダイン構成により実現することにより、高い検出精度を確保することができる。特に、周波数変換器で低い周波数に変換することにより、Qが低いフィルタを用いてノイズの影響を除去することが容易となる。
【0013】
また、複数の指示コイルのそれぞれを平面状に巻回するとともに、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように複数の指示コイルを配置することにより、指示装置の位置および方向を確実に検出することができる。また、複数の指示コイルの少なくとも2つを、指示装置の筐体内の最も離れた位置に離間して配置することにより、高い検出精度で指示装置の位置および方向を検出することができる。
【0014】
また、指示装置とセンサ装置との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【0015】
また、複数の指示コイルに供給される信号の周波数を指示コイル毎に異ならせる場合には、センサコイルの出力と指示コイルとの対応付けが容易になる。このため、複数の指示コイルのそれぞれに並行して信号を供給した場合であっても、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。
【0016】
また、複数の指示コイルのそれぞれに順番に異なる周波数の信号を供給する場合には、センサ装置側に、複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段を備えることにより、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。また、指示コイルを順番に選択的に駆動することにより、指示装置側における電力消費を抑制することができる。
【0017】
また、複数の指示コイルに供給される信号の周波数を複数の指示コイルについて同じにするとともに、複数の指示コイルのそれぞれに順番に信号を供給する場合には、センサ装置側に、複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段を備えることにより、センサコイルの出力に含まれる各指示コイルに対応する成分を分離抽出することができる。また、この場合も指示装置側における電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態の3次元情報検出装置の概略的な全体構成を示す図である。
【図2】指示装置の構成を示す図である。
【図3】センサ装置の構成を示す図である。
【図4】指示装置の位置および方向を検出する全体動作の手順を示す流れ図である。
【図5】一連の動作によって取り込まれる検波出力データの説明図である。
【図6】指示コイルの配置の一例を示す図である。
【図7】指示コイルの配置の他の例を示す図である。
【図8】4つの指示コイルを用いる場合の配置の一例を示す図である。
【図9】センサコイルの変形例を示す図である。
【図10】センサコイルの変形例を示す図である。
【図11】周波数シンセサイザの構成を示す図である。
【図12】3つの指示コイルから順番に信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。
【図13】受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。
【図14】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。
【図15】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する指示装置に対応する処理部の変形例を示す図である。
【図16】3つの指示コイルから順番に単一周波数の信号を送信する指示装置を用いる場合に受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用した一実施形態の3次元情報検出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、一実施形態の3次元情報検出装置の概略的な全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の3次元情報検出装置は、センサ装置100と指示装置200を含んで構成されている。
【0021】
センサ装置100は、指示装置200の3次元空間内での位置および方向(図1に示すX軸、Y軸、Z軸上の位置と、傾きθと方位φによって特定される方向)を検出する処理を行っており、机上、床上、壁面などに配置されたタブレット110と、このタブレット110と信号線を介して接続された処理部120を備えている。また、指示装置200は、利用者が携帯可能であって、所定形状の筐体を有している。この指示装置200は、タブレット110や処理部120とは物理的に分離しており、これらの間は信号ケーブルを介して接続されていない。
【0022】
図2は、指示装置200の構成を示す図である。指示装置200は、3つの指示コイル201、202、203と、3つの発振回路211、212、213を備えている。3つの指示コイル201、202、203は、指示装置200の筐体内に配置されている。配置の具体例については後述する。発振回路211は、周波数f1で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル201に入力される。同様に、発振回路212は、周波数f2で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル202に入力される。発振回路213は、周波数f3で発振動作を行い、その発振信号が指示コイル203に入力される。これら3つの発振器211、212、213は、常時発振動作を行っており、3つの指示コイル201、202、203からは同時に3種類の周波数f1、f2、f3の信号が送信されている。
【0023】
図3は、センサ装置100の構成を示す図である。図3に示すように、タブレット110は、水平方向(X軸方向)に整列配置された12個のセンサコイルX1〜X12と、垂直方向(Y軸方向)に整列配置された12個のセンサコイルY1〜Y12と、選択回路112とを備えている。
【0024】
センサコイルX1は、導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がY軸に平行になるように配置されている。同様に、水平方向に整列配置された他のセンサコイルX2〜X12のそれぞれも導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がY軸に平行になるように配置されている。これら12個のセンサコイルX1〜X12は、部分的に重複するように水平方向にずらして配置されている。
【0025】
一方、センサコイルY1は、導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がX軸に平行になるように配置されている。同様に、垂直方向に整列配置された他のセンサコイルY2〜Y12のそれぞれも導線が所定回数矩形形状に巻回されたループコイルであって、矩形形状の長辺がX軸に平行になるように配置されている。これら12個のセンサコイルY1〜Y12は、部分的に重複するように垂直方向にずらして配置されている。
【0026】
選択回路112は、24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12の1つを順番に選択し、選択したセンサコイルの始端および終端(図3において、符号Aが付されたX1A、Y1A等が始端を、符号Bが付されたX1B、Y1B等が終端をそれぞれ示している)の間に現れる電圧を出力する。例えばセンサコイルX1、X2、・・・、X12、Y1、Y2、・・・、Y12の順に選択され、その後、センサコイルX1に戻って同じ順番でこの選択動作が繰り返される。
【0027】
また、図3に示すように、処理部120は、増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ(BPF)134、検波回路136、サンプルホールド回路(S/H)138、アナログ−デジタル変換器(A/D)140、CPU150を備えている。
【0028】
増幅回路122は、選択回路112の出力電圧を増幅する。発振器124は、周波数(f1+f0)で発振動作を行う。発振器126は、周波数(f2+f0)で発振動作を行う。発振器128は、周波数(f3+f0)で発振動作を行う。周波数切替器130は、3つの発振器124、126、128のそれぞれから出力される発振信号のいずれかを選択する周波数切替を行う。この周波数切替はCPU150からの指示に応じて行われ、例えば、発振器124、126、128の順番に各発振信号が切り替えられ、一巡すると最初からこの切替動作が繰り返される。
【0029】
周波数変換器132は、周波数混合回路(ミキサ)であって、増幅回路122の出力信号と周波数切替器130の出力信号が入力されており、これら2つの信号を混合して出力する。具体的には、周波数切替器130の出力信号の周波数をF1、増幅回路122の出力信号の周波数をF2とすると、これらの信号の和成分(F1+F2)に相当する信号と差成分(F1−F2)に相当する信号が周波数変換器132から出力される。
【0030】
帯域通過フィルタ134は、周波数変換器132から出力される信号の中から周波数f0近傍の成分(中間周波数信号)を通過させて出力する。検波回路136は、帯域通過フィルタ134から出力される中間周波信号に対してAM検波を行い、周波数f0の信号レベルに対応する電圧を出力する。
【0031】
上述した発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ(BPF)134、検波回路136によってヘテロダイン検波回路が構成されている。指示装置200内の指示コイル201には発振器211から周波数f1の信号が、指示コイル202には発振器212から周波数f2の信号が、指示コイル203には発振器213から周波数f3の信号がそれぞれ入力されるため、それぞれの指示コイル201、202、203からは周波数f1、f2、f3の信号が送信される。これらの信号がセンサコイルX1に到達すると、センサコイルX1の始端と終端の間には、これら3つの周波数f1、f2、f3の成分を有する電圧が現れる。周波数切替器130によって発振周波数(f1+f0)の発振器124が選択されている場合を考えると、周波数変換器132からは、増幅回路122から出力される周波数f1に対応する和成分(2f1+f0)と差成分(f0)に相当する2種類の信号と、周波数f2に対応する和成分(f1+f2+f0)と差成分(f1−f2+f0)に相当する2種類の信号と、周波数f3に対応する和成分(f1+f3+f0)と差成分(f1−f3+f0)に相当する2種類の信号が出力される。帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f1に対応する差成分(f0)のみを通過させる。同様に、周波数切替器130によって発振周波数(f2+f0)の発振器126が選択されている場合には、帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f2に対応する差成分(f0)のみを通過させる。周波数切替器130によって発振周波数(f3+f0)の発振器128が選択されている場合には、帯域通過フィルタ134は、これら6種類の信号の中から周波数f3に対応する差成分(f0)のみを通過させる。
【0032】
このようにして、周波数切替器130によって3つの発振器124、126、128を順番に選択して周波数切替器130から周波数変換器132に向けて出力する信号の周波数を切り替えることにより、センサコイルX1の出力に含まれる3つの周波数成分(f1、f2、f3)に対応する信号の中から帯域通過フィルタ134を通過させる成分を切り替えることができる。
【0033】
特に、中間周波数f0(例えば455kHz)を3種類の周波数f1、f2、f3(例えば2MHz近傍)よりも低くすることにより、Q(=f0/B、Bは−3dBにおけるバンド幅)が低い帯域通過フィルタ134を用いることができ、センサコイルX1の出力の中から周波数f1、f2、f3近傍の狭い周波数帯域の成分のみを抽出して、ノイズの影響を除去することが可能となる。他のセンサコイルについても同様である。
【0034】
サンプルホールド回路(S/H)138は、検波回路136の出力電圧を所定時間保持する。アナログ−デジタル変換器(A/D)140は、サンプルホールド回路138によって保持された電圧を所定ビット数のデジタルデータに変換する。
【0035】
CPU150は、メモリやハードディスク装置(ともに図示せず)に格納された所定のプログラムを実行することにより、アナログ−デジタル変換器140の出力データ(検波出力データ)に基づいて指示装置200の3次元空間における位置および方向(3次元情報)を算出する動作と、そのために必要なセンサ装置100の各部を制御する動作を行う。
【0036】
上述した発振回路211、212、213が駆動手段に、増幅回路122、発振器124、126、128、周波数切替器130、周波数変換器132、帯域通過フィルタ134、検波回路136、サンプルホールド回路138、アナログ−デジタル変換器140が出力レベル検出手段に、CPU150が3次元情報算出手段にそれぞれ対応する。
【0037】
本実施形態の3次元情報検出装置はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。図4は、指示装置200の位置および方向を検出する全体動作の手順を示す流れ図である。この動作手順は所定の時間間隔(例えば20ms毎)で繰り返される。
【0038】
まず、CPU150は、選択回路112にセンサコイルX1を選択する指示を送る。この指示に応じて、選択回路112からは、センサコイルX1の始端、終端間に現れる電圧が処理部120内の増幅回路122に向けて出力され、増幅回路122で増幅されて周波数変換器132に入力される(ステップ100)。また、CPU150は、周波数切替器130に発振器124を選択する指示を送る。この指示に応じて、周波数切替器130では発振器124が選択されるため、発振器124から出力される周波数(f1+f0)の発振信号が周波数切替器130を介して周波数変換器132に入力される(ステップ101)。
【0039】
周波数変換器132では、発振器124から入力される周波数(f1+f0)の発振信号と、増幅回路122から入力される信号とを混合して周波数変換を行う。また、帯域通過フィルタ134は、周波数変換器132から出力される信号の中から周波数f0近傍の中間周波数信号を抽出する。検波回路136は、帯域通過フィルタ134から出力される中間周波信号をAM検波する。
【0040】
次に、CPU150は、サンプルホールド回路138に指示を送って検波回路136の出力電圧を保持し、この保持した電圧に対応する検波出力データをアナログ−デジタル変換器140から取り込む(ステップ102)。このようにして、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f1に対応する検波出力データの取り込みが行われる。
【0041】
同様にして、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f2、f3に対応する検波出力データの取り込みが行われる。すなわち、CPU150から周波数切替器130に発振器126を選択する指示を送ることにより、周波数切替器130では発振器126から出力される周波数(f2+f0)の発振信号が選択される(ステップ103)。これにより、検波回路136からは周波数f2に対応する信号が出力され、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f2に対応する検波出力データがCPU150に取り込まれる(ステップ104)。
【0042】
また、CPU150から周波数切替器130に発振器128を選択する指示を送ることにより、周波数切替器130では発振器128から出力される周波数(f3+f0)の発振信号が選択される(ステップ105)。これにより、検波回路136からは周波数f3に対応する信号が出力され、センサコイルX1から出力される信号に含まれる周波数f3に対応する検波出力データがCPU150に取り込まれる(ステップ106)。
【0043】
このようにしてセンサコイルX1に関する検波出力データの取り込みが終了すると、次に、CPU150は、検波出力データを取り込んでいない他のセンサコイルがあるか否かを判定する(ステップ107)。他のセンサコイルがある場合には肯定判断が行われ、ステップ100に戻って、次のセンサコイルについて同様の処理が繰り返される。
【0044】
また、全てのセンサコイルについて検波出力データの取り込みが終了すると、ステップ107の判定において否定判断が行われる。次に、CPU150は、取り込んだ各センサコイルに対応する検波出力データに基づいて、指示装置200の3次元空間における位置および方向を算出する(ステップ108)。
【0045】
図5は、一連の動作によって取り込まれる検波出力データの説明図である。図5において、「コイル選択信号」は、CPU150から選択回路112に入力されるセンサコイルの選択指示の内容を示しており、例えば、コイル選択信号が「X1」のときに選択回路112によってセンサコイルX1が選択される。また、「周波数選択信号」は、CPU150から周波数切替器130に入力される発振器の選択指示の内容を示しており、周波数選択信号が「f1」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f1+f0)の発振器124が選択され、周波数選択信号が「f2」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f2+f0)の発振器126が選択され、周波数選択信号が「f3」のときに周波数切替器130によって発振周波数(f3+f0)の発振器128が選択される。また、「BPF出力」は帯域通過フィルタ134の出力波形を、「検波出力」は検波回路136の出力波形をそれぞれ示している。
【0046】
図5に示すように、検波回路136の出力波形、すなわち、CPU150に取り込まれる検波出力データとして、センサコイルX1〜X12、Y1〜Y12と3つの周波数f1、f2、f3との組み合わせに対応する合計72(=24×3)個の検出レベル値が含まれるパターンデータが得られる。このパターンデータの内容(72個の検出レベル値)は、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203とタブレット110内の24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12との相対的な位置関係によって決まる固有の関係を有する。したがって、この固有の関係を予め調べておくことにより、CPU150は、得られたパターンデータに基づいて、指示装置200内の指示コイル201、202、203の位置や方向、すなわち、これらの指示コイル201、202、203が備わった指示装置200の3次元空間における位置および方向を算出することができる。
【0047】
なお、上述した固有の関係は、実際に検出レベル値を測定する場合の他、計算によって求めるようにしてもよい。具体的には、例えばニューラルネットワーク技術による学習によって(例えば、指示装置200の3次元空間における位置および方向を変更した複数箇所で実際に上記のパターンデータを取得し、位置および方向との対応を学習させることによって)、上述した固有の関係を求めるようにすれば、複雑なアルゴリズムや計算を行うことなく、上述した固有の関係を求めることができる。
【0048】
ところで、本発明では、指示装置200の3次元空間における位置および方向と、得られるパターンデータとが1対1の関係にあることが重要であり、そのためには、指示コイル201、202、203の配置を工夫する必要がある。例えば、3つの指示コイル201、202、203のそれぞれが平面状に巻回されているものとする。配置の一例としては、一の指示コイルの中心線(指示コイルの中心を通り、この指示コイルが巻回された平面と垂直な向きを有する中心線)に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように3つの指示コイル201、202、203を配置すればよい。
【0049】
図6は、指示コイル201、202、203の配置の一例を示す図である。図6(A)に示す例では、指示コイル201と指示コイル202が所定の立方体(巻枠)の周囲に互いに直交する向きに巻回され、他の指示コイル203がこの立方体とは離れた位置に配置されている。また、指示コイル201、202、203の中の一の指示コイルに着目したときに残り2つの指示コイルの配置がこの一の指示コイルの中心線に対して非対称となるように3つの指示コイル201、202、203が配置されている。図6(B)に示す例では、3つの指示コイル201、202、203が近接配置されている。図6(C)に示す例では、3つの指示コイル201、202、203が所定の立方体(巻枠)の周囲に配置されている。なお、図6(B)、(C)に示す例においても、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように3つの指示コイル201、202、203が配置されている。
【0050】
図7は、指示コイル201、202、203の配置の他の例を示す図である。指示装置200の3次元空間における位置が同じであって方向のみを変えた場合を考えると、3つの指示コイル201、202、203はできるだけ離れて配置されている方がパターンデータに大きな変化が生じやすくなる。図7に示す例では、指示装置200の筐体が直方体であるものとし、互いに直交する3つの面をA、B、Cとする。指示コイル201が面A上に、指示コイル202が面B上に、指示コイル203が面C上に配置されている。また、少なくとも2つのセンサコイル(図7に示す例では、センサコイル201と202あるいはセンサコイル201と203)は、筐体の最も離れた2箇所に配置されていることが望ましい。
【0051】
このように、指示装置200内に、3つの指示コイル201、202、203に信号を供給する発振回路211、212、213を設けており、センサコイル側から信号を受信した後に指示コイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。
【0052】
また、指示装置200とセンサ装置100との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置200を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、指示装置200内に3つの指示コイル201、202、203を備え、それぞれに周波数f1、f2、f3の信号を個別入力したが、4つ以上の指示コイルを備え、それぞれに4種類以上の周波数の信号を個別に入力するようにしてもよい。
【0054】
図8は、4つの指示コイルを用いる場合の配置の一例を示す図である。図8に示すように、2つの指示コイル201、202が第1の立方体(巻枠)の周囲に互いに平行にならないように巻回され、他の2つの指示コイル203、204が第2の立方体(巻枠)の周囲に互いに平行にならないように巻回されている。また、2つの指示コイル201、202と2つの指示コイル203、204は、互いに離れて配置されている。例えば、2つの指示コイル201、202が巻回された第1の立方体と2つの指示コイル203、204が巻回された第2の立方体とが指示装置200の筐体の最も離れた位置に配置されている。なお、一の指示コイルの中心線に対して他の指示コイルの配置が非対称となるように4つの指示コイル201、202、203、204が配置されている。
【0055】
また、上述した実施形態では、矩形形状の12個のセンサコイルX1〜X12と、12個のセンサコイルY1〜Y12とを互いに直交する向きに重ねて配置したが、各センサコイルの形状や配置はこれに限定されない。すなわち、取得するパターンデータに基づいて指示装置200の3次元空間における位置と方向を算出可能なものであれば、どのようなものであってもよい。但し、複数、望ましくは3以上である必要がある。
【0056】
図9および図10は、センサコイルの変形例を示す図である。図9に示す例では、四角形形状のタブレット110の四隅のそれぞれに正方形のセンサコイルZ1、Z2、Z3、Z4が互いに重複しないように配置されている。図10に示す例では、四角形形状のタブレット110の四隅のそれぞれに正方形のセンサコイルZ1、Z2、Z3、Z4が互いに部分的に重複するように配置されている。なお、各センサコイルの形状は矩形形状や正方形形状に限らず、三角形や円形などその他の形状であってもよい。特に、ニューラルネットワーク技術による学習を利用して指示装置200の位置と方向を算出する場合には、センサコイルの形状が複雑になっても特に不都合はないため、タブレット110上の配置等の都合で適宜形状を決めることができる。また、全てのセンサコイルを同じ形状にする必要はなく、一部が異なる形状であったり、複数の異なる形状のセンサコイルを組み合わせるようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、図6あるいは図7に示すように、指示コイル201、202、203の形状を円形あるいは四角形としたが、その他の形状にしてもよい。特に、指示装置200の筐体を上下、左右あるいは所定方向に180度回転させた場合に、得られるパターンデータが異なるようにするために、対称軸をもたない形状(例えば、3辺の長さが異なる三角形形状)にしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、3つの発振器124、126、128と周波数切替器130とを用いて3種類の周波数の信号を順番に周波数変換器132に入力するようにしたが、3種類の発振器124、126、128を用いる代わりに、周波数シンセサイザを用いて3種類の信号を生成するようにしてもよい。
【0059】
図11は、周波数シンセサイザの構成を示す図である。図11に示す周波数シンセサイザ160は、電圧制御型発振器(VCO)161、可変分周器162、位相比較器(PD)163、基準周波数発振器164、ローパスフィルタ(LPF)165を含んで構成されている。可変分周器162の分周比nをCPU150によって設定することにより、基準周波数発振器164から出力される基準周波数信号のn倍の周波数の信号が電圧制御型発振器161から出力される。したがって、分周比nを可変することにより、異なる3つの周波数f1+f0、f2+f0、f3+f0を順番に生成することが可能となる。
【0060】
また、上述した実施形態では、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203のそれぞれに3種類の周波数f1、f2、f3の信号を並行して入力することにより、3つの指示コイル201、202、203から各センサコイルに向けて同時に信号が送信されるようにしたが、各センサコイルの出力信号の中からこれら3種類の周波数成分を抽出して検波出力を得る動作は各周波数について順番に行われる。したがって、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203から信号を送信する動作も順番に行うようにしてもよい。
【0061】
図12は、3つの指示コイル201、202、203から順番に信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。図12に示す指示装置200Aは、図2に示した指示装置200に対して切替制御部220が追加された点が異なっている。切替制御部220は、3つの発振回路211、212、213を順番に選択して動作させる制御を行う。選択状態にない2つの発振回路は、非動作状態あるいは消費電力を抑えた状態(例えば発振信号の振幅を抑制した状態)に制御される。これにより、並行して3つの発振回路211、212、213を動作させる場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0062】
ところで、図12に示した指示装置200Aを用いて3種類の周波数f1、f2、f3の信号を順番に送信する場合には、受信側において同期をとってこれらの信号を順番に受信する必要がある。
【0063】
図13は、受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。図13に示す流れ図は、図4に示した流れ図に対して、ステップ101とステップ102の間にステップ200の動作を追加した点が異なっている。このステップ200では、周波数f1の信号を検出したか否かがCPU150によって判定される。検出されない場合には否定判断が行われ、この判定動作が繰り返される。このステップ200に先だって実行されるステップ101の動作では、発振器124から出力される周波数(f1+f0)の発振信号が周波数切替器130を介して周波数変換器132に入力されるため、検波回路136では周波数f1に対応する中間周波信号に対する検波が行われる。したがって、CPU150は、アナログ−デジタル変換器140から出力される検波出力データを監視することにより、具体的には検波出力データの値が所定値を超えたときに周波数f1の信号が検出されたものと判断することができる。周波数f1の信号の検出開始タイミングがわかれば、そのタイミングで同期をとることにより、3つの周波数f1、f2、f3の信号を順番に受信することができる。ステップ200を実行するCPU150がタイミング検出手段に対応する。なお、ステップ200の判定動作は必ずしも毎回行う必要はない。例えば、24個のセンサコイルX1〜X12、Y1〜Y12についての処理を行う際に1回あるいは数回行うようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、指示装置200内の3つの指示コイル201、202、203から各センサコイルに向けて同時に信号を送信する場合を想定していたため、信号の送信元となる指示コイルを識別するために3種類の周波数f1、f2、f3の信号を用いたが、3つの指示コイル201、202、203から順番に信号を送信する場合であって、受信側で同期をとることができる場合には、単一周波数の信号を3つの指示コイル201、202、203を切り替えて順番に送信するようにしてもよい。
【0065】
図14は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する場合の指示装置の変形例を示す図である。図14に示す指示装置200Bは、図2に示した指示装置200に対して、3つの発振回路211、212、213を1つの発振回路211と切替制御部222に置き換えた点が異なっている。切替制御部222は、周波数f1で発振動作を行う発振回路211の出力先としての指示コイル201、202、203を順番に切り替える制御を行う。これにより、並行して3つの発振回路211、212、213を動作させる場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0066】
図15は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する指示装置200Bに対応する処理部の変形例を示す図である。図15に示す処理部120Aは、図3に示した処理部120に対して、発振器126、128と周波数切替器130を省略した点が異なっている。すなわち、処理部120Aでは、発振器124から出力される周波数f1+f0の信号が直接周波数変換器132に入力されている。この例では、発振器の数を3から1に減らすとともに周波数切替器130が不要になるため、構成および制御手順の簡略化が可能になる。また、図11に示す周波数シンセサイザ160を用いる必要もなくなり、周波数切替に必要な引き込み時間を確保する必要もないことから、周波数切替に要する時間を短くすることができる。
【0067】
図16は、3つの指示コイル201、202、203から順番に単一周波数の信号を送信する指示装置200Bを用いる場合に受信側において同期をとる動作手順を示す流れ図である。図13に示した動作手順では周波数f0の信号を検出するステップ200を追加することによって受信側で同期をとっていたが、3つの指示コイルから送信する信号の周波数を同じにした場合にはこの手法で同期をとることはできないため、別の方法で同期を確立する必要がある。図16に示す動作手順に含まれるステップ100、107、108は、図4に示した動作手順と同じであり、以下では、ステップ100とステップ107の間に行われるステップ300、301、302、303の動作について説明する。
【0068】
いずれかのセンサコイルが選択された後(ステップ100)、CPU150は、開始タイミングを検出したか否かを判定する(ステップ300)。例えば、指示装置200Bでは、指示コイル201、202、203を順番に選択して周波数f1の信号を送信するタイミングに先だって、これら3つの指示コイル201、202、203を同時に駆動し、並行して周波数f1の信号を送信する。このようにして3つの指示コイル201、202、203を同時に駆動することにより、順番に選択する場合に比べて周波数f1の信号の送信出力を上げることができるため、受信側で周波数f1の信号の検波レベル値を監視することにより、この信号の送信タイミングを開始タイミングとして検出することができる。なお、必ずしも3つのセンサコイルを同時に駆動する場合に限らず、2つのセンサコイルを同時に駆動したり、いずれか1つのセンサコイルのみを送信出力を上げて駆動するようにしてもよい。
【0069】
開始タイミングが検出されるとステップ300の判定において肯定判断が行われる。開始タイミングがわかれば、この開始タイミングを基準にしてそれ以後に行われる3つのセンサコイル201、202、203の切替タイミングがわかるため、それぞれのセンサコイルから信号が送信されるタイミングに合わせて検波出力データを取り込むことができる(ステップ301、302、303)。ステップ300を実行するCPU150がタイミング検出手段に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、指示装置内に、3つの指示コイルに信号を供給する駆動手段を設けており、センサコイル側から信号を受信した後に指示コイルからの信号送信を行う必要がないため、信号の送信に要する時間を短くすることができる。また、センサコイルとの相対的位置に関係なく常に一定の信号を指示コイルから送信することができ、センサコイルの出力レベルを大きくして位置および方向の検出精度の向上を図ることができる。さらに、指示装置とセンサ装置との間が物理的に分離され、これらの間が信号ケーブルを介して接続されていないため、指示装置を利用者が操作した場合に、信号ケーブルが利用者の操作を阻害することがなく、操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
100 センサ装置
110 タブレット
112 選択回路
120 処理部
122 増幅回路
124、126、128 発振器
130 周波数切替器
132 周波数変換器
134 帯域通過フィルタ(BPF)
136 検波回路
138 サンプルホールド回路(S/H)
140 アナログ−デジタル変換器(A/D)
150 CPU
200 指示装置
201、202、203 指示コイル
211、212、213 発振回路
220、222 切替制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示装置の3次元空間における位置および方向をセンサ装置によって検出する3次元情報検出装置において、
前記指示装置は、3以上の複数の指示コイルと、これら複数の指示コイルのそれぞれに所定周波数の信号を供給する駆動手段とを備え、
前記センサ装置は、複数のセンサコイルと、前記複数の指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる前記複数のセンサコイルの出力レベルを検出する出力レベル検出手段と、前記出力レベル検出手段によって検出された出力レベルに基づいて前記指示装置の位置および方向を3次元情報として算出する3次元情報算出手段とを備えることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記出力レベル検出手段は、
前記センサコイルで受信した信号に対して、この信号の周波数よりも低い周波数に変換する周波数変換器と、
前記周波数変換器から出力される信号の中から所定の中間周波数の成分を抽出するフィルタと、
前記フィルタを通して信号を検波する検波回路と、
を備えることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の指示コイルのそれぞれは平面状に巻回されており、
一の前記指示コイルの中心線に対して他の前記指示コイルの配置が非対称となるように前記複数の指示コイルが配置されていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記複数の指示コイルの少なくとも2つは、前記指示装置の筐体内の最も離れた位置に離間して配置されていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記指示装置は、信号ケーブルを介して前記センサ装置と接続されていないことを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記複数の指示コイルに供給される信号の周波数は、前記指示コイル毎に異なっていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに並行して異なる周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記センサ装置は、前記複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段をさらに備え、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに順番に異なる周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記センサ装置は、前記複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段をさらに備え、
前記複数の指示コイルに供給される信号の周波数は、前記複数の指示コイルについて同じであり、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに順番に同じ周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項1】
指示装置の3次元空間における位置および方向をセンサ装置によって検出する3次元情報検出装置において、
前記指示装置は、3以上の複数の指示コイルと、これら複数の指示コイルのそれぞれに所定周波数の信号を供給する駆動手段とを備え、
前記センサ装置は、複数のセンサコイルと、前記複数の指示コイルのそれぞれに信号を供給したときに得られる前記複数のセンサコイルの出力レベルを検出する出力レベル検出手段と、前記出力レベル検出手段によって検出された出力レベルに基づいて前記指示装置の位置および方向を3次元情報として算出する3次元情報算出手段とを備えることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記出力レベル検出手段は、
前記センサコイルで受信した信号に対して、この信号の周波数よりも低い周波数に変換する周波数変換器と、
前記周波数変換器から出力される信号の中から所定の中間周波数の成分を抽出するフィルタと、
前記フィルタを通して信号を検波する検波回路と、
を備えることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記複数の指示コイルのそれぞれは平面状に巻回されており、
一の前記指示コイルの中心線に対して他の前記指示コイルの配置が非対称となるように前記複数の指示コイルが配置されていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記複数の指示コイルの少なくとも2つは、前記指示装置の筐体内の最も離れた位置に離間して配置されていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記指示装置は、信号ケーブルを介して前記センサ装置と接続されていないことを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記複数の指示コイルに供給される信号の周波数は、前記指示コイル毎に異なっていることを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに並行して異なる周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記センサ装置は、前記複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段をさらに備え、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに順番に異なる周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記センサ装置は、前記複数の指示コイルのそれぞれから信号が送信されるタイミングを検出するタイミング検出手段をさらに備え、
前記複数の指示コイルに供給される信号の周波数は、前記複数の指示コイルについて同じであり、
前記駆動手段は、前記複数の指示コイルのそれぞれに順番に同じ周波数の信号を供給することを特徴とする3次元情報検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−13944(P2011−13944A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157657(P2009−157657)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000139403)株式会社ワコム (118)
【Fターム(参考)】
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