説明

3次元断層撮影像作成方法およびコンピュータシステム

【課題】 金属修復物等に起因するアーチファクトを除去し、上下顎骨や上下歯列の正確な3次元CT像を得る。
【解決手段】 アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法が、口腔領域断層撮影データと歯列模型断層撮影データとを、入力手段を介してコンピュータに入力する工程と、口腔領域断層撮影データからマーカを含む3次元口腔領域像を作成して、表示手段に表示する工程と、歯列模型断層撮影データからマーカを含む3次元歯列模型像を作成して、表示手段に表示する工程と、演算手段が、3次元口腔領域像中のマーカと、3次元歯列模型像中のマーカとが略一致するように、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像とを重ね合わせ、3次元歯列模型像をトリミングし、3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除し、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて合成した像を3次元断層撮影像とする工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元断層撮影像の作成方法および作成用コンピュータシステムに関し、特に、断層撮影像のアーチファクトを除去した上下顎骨や上下歯列の3次元断層撮影像の作成方法および作成用コンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科における人工歯根インプラント手術等において、上下顎骨や上下歯列の形態を把握することは重要である。このため、従来は、口腔領域のCT(Computerized Tomography)像を撮影し、かかるCT像を基に、上下顎骨や上下歯列の3次元CT像を得ていた(例えば、非特許文献1、2)。
【非特許文献1】Aita, H., Ueda, Y., Tamura, S., Kasai, N., Ohata, N., Inoue, N., Kobayashi,H. & Ikeda, K. (2002) "A new method of removing metal artifacts from 3-D model data for rapid prototyping", Maxillofacial Prosthetics 25: pp42
【非特許文献2】G Goerres, G.W., Hany, T.F., Kamel, E., von Schulthess, G.K. & Buck, A. (2002) "Head and neck imaging with PET and PET/CT: artefacts from dental metallic implants", European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 29: pp367-370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、口腔内に歯科金属修復物がある場合、歯科金属修復物に起因するアーチファクト(映像障害)がCT像に発生した。このため、2次元のCT像を合成して作成した上下顎骨や上下歯列の3次元CT像が正確に表示されず、アーチファクトの除去が求められていた。
【0004】
これに対して、2次元CT像の画像処理によりアーチファクトを消去する方法が試みられたが、アーチファクトが大きく、例えば歯列の大部分がアーチファクトで覆われるような場合には、アーチファクトだけを除去することは不可能であった。
【0005】
一方、人工歯根インプラント手術等では、通常、石膏等で歯列模型が作製される。発明者らは、かかる歯列模型に着目し、歯列模型の形状データを用いて、患者の3次元CT像を修正することにより、アーチファクトを除去した3次元CT像が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、金属修復物等に起因するアーチファクトを除去し、上下顎骨や上下歯列の正確な3次元断層撮影像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入力手段、表示手段、および演算手段を含むコンピュータを用いて、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、
(a)バイトとマーカとを含むインターフェイスのバイトを噛んだ状態で、患者の口腔領域を断層撮影した口腔領域断層撮影データを、入力手段を介してコンピュータに入力する工程と、
(b)患者の歯列模型がバイトを噛んだ状態を断層撮影した歯列模型断層撮影データを、入力手段を介してコンピュータに入力する工程と、
(c)口腔領域断層撮影データからマーカを含む3次元口腔領域像を作成して、表示手段に表示する工程と、
(d)歯列模型断層撮影データからマーカを含む3次元歯列模型像を作成して、表示手段に表示する工程と、
(e)演算手段が、
3次元口腔領域像中のマーカと、3次元歯列模型像中のマーカとが略一致するように、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像とを重ね合わせ、
入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、3次元歯列模型像をトリミングし、
入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除し、
3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて合成した像を3次元断層撮影像とする工程と、を含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法である。
【0008】
また、本発明は、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムであって、
患者の口腔領域断層撮影データと、患者の歯列模型の歯列模型断層撮影データとを入力する入力手段と、
口腔領域断層撮影データから作成された3次元口腔領域像と、歯列模型断層撮影データから作成された3次元歯列模型像とを表示する表示手段と、
3次元口腔領域像中の基準点と、3次元歯列模型像中の基準点とが略一致するように2つの像を重ねた位置で、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて画像合成する手段と、
入力手段を介して入力された選択領域に基づいて3次元歯列模型像をトリミングするトリミング手段と、
入力手段を介して入力された選択領域に基づいて3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを除去する除去手段とを含むことを特徴とするコンピュータシステムでもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる3次元断層撮影像作成方法および作成用コンピュータシステムを用いることにより、上下顎骨や上下歯列の正確な3次元断層撮影像を得ることができ、人工歯根インプラント手術等の臨床例への適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、歯の金属修復物を有する患者の口腔内写真(下顎)である。このような金属修復物を有する患者に対して口腔領域のCT像を撮影し、3次元イメージに合成した3次元口腔領域像を図2に示す。3次元口腔領域像は、断層写真であるCT像を積み重ねて合成する。3次元口腔領域像の合成には、ハプティックデバイス(商品名:PHANToM)を用いる。
【0011】
図2に示すように、患者が金属修復物を有する場合、金属修復物によるアーチファクト(映像障害)が発生し、歯列部分の正確な画像が得られない。例えば、上下顎骨のCT撮影に対しては、密度の高い金合金、銀合金、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、ステンレス鋼等が、アーチファクトを発生させるアーチファクト源となる。
【0012】
一方、人工歯根インプラント手術や顎変形症手術を行う場合、通常は、石膏の歯列模型が作製される。歯列模型は、患者の歯列の型を取り作製されるため、その患者の歯列が正確に再現されている。
【0013】
本実施の形態では、かかる歯列模型から3次元歯列模型像をとり、かかる3次元歯列模型像を用いて3次元口腔領域像の一部を置き換えるものである。
【0014】
図3は、患者の3次元口腔領域像の一部を、3次元歯列模型像で置き換える場合に、位置合わせの基準となるインターフェイスである。全体が10で表されるインターフェイスは、歯列バイト1と位置合わせ用マーカープレート2からなる。
歯列バイト1は、その患者の歯列に対応した形状となっている。また、歯列バイト1は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値(400〜900)では撮影されない材料から形成される。かかる材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような高分子材料(即時重合レジン)、シリコーン、ウレタン、チオコールのようなゴム系材料がある。また、マーカープレート2は石膏から形成された板状体からなる。マーカープレート2の表面には、例えば、直径が4〜5mmの円状の凸部(又は凹部)が部分的に設けられている。後述する位置合わせの工程で、かかる凸部が重なるように位置合わせすることにより、位置合わせの精度が向上する。
【0015】
ここでは、まず、図9のフローチャートを参照しながら、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像作成方法について説明する。CT撮影は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値を用いて行われる、顎骨や歯列模型の撮影とする。
かかる方法では、まず、患者の歯列模型20を、例えば石膏で作製する。この石膏模型は、一般的な歯科治療で用いられる模型である。
【0016】
次に、図4(a)に示すように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませる。上述のように、インターフェイス10の歯列バイト1は、歯列模型20と噛み合うようにできている。
【0017】
このように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませて固定した状態で、CT像(歯列模型断層撮影データ)を取得する。CT像の撮影には、16列マルチスライス・ヘリカルCT(SOMATOM Sensation 16、 Siemens製、スライス幅:0.31mm)が用いられる。CT像は、入力手段を介してコンピュータに入力され、DICOM方式のデータとして記憶手段に保存される(工程S11)。
更に、得られたCT像(歯列模型断層撮影データ)を用いて、3次元歯列模型像が構築される。3次元歯列模型像の構築は、例えば、VGStudio MAX1.1 (Volume Graphic製)を用いて行われ、DICOM方式のデータが、STL(Standard Template Library)形式の3次元データに変換されて、ディスプレイ等の表示手段に表示される(工程S12)。
【0018】
図4(b)は、表示手段に表示された、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませた状態の3次元歯列模型像25である。上述のように、即時重合レジン等からなる歯列バイトは、CT像には写らない。
【0019】
次に、図5(a)に示すように、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態で、口腔領域を撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る。かかるデータは、入力手段を介してコンピュータに入力され、記憶手段に保存される(工程S21)。
【0020】
口腔領域断層撮影データは、3次元口腔領域像35に合成されて、表示手段に表示される(工程S22)。図5(b)は、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態の3次元口腔領域像35である。図5(b)からわかるように、歯列近傍では、金属修復物の影響でアーチファクトが発生している。また、歯列バイトは、3次元口腔領域像35には写っていない。
【0021】
次に、図6に示すように、図4(b)の3次元歯列模型像25と、図5(b)の3次元口腔領域像35とを重ね合わせる。具体的には、図4(b)の3次元歯列模型像25を、図5(b)の3次元口腔領域像35の座標上に配置して位置合わせした後に、3次元歯列模型像25で3次元口腔領域像35の一部を置き換えて、3次元像を合成する(工程S3)。
【0022】
3次元像を置き換える際、双方の3次元像中のマーカープレート2が重なるように、位置合わせを行う。位置合わせには、Polygon Edition Tool (Konica-Minolta製) を用いる。マーカープレート2のような基準を用いてCT像を合成することにより、高い位置精度で、3次元歯列模型像25を、3次元口腔領域像35に取り込むことができる。
【0023】
具体的には、まず、3次元歯列模型像25に含まれるマーカプレート2上の、基準点(3点)を抽出する。次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカプレート2に対しても、マーカプレート2上の同じ位置にある基準点(3点)を抽出する。
ここでは、同一のマーカプレート2が双方の3次元像で用いられているため、基準点の位置が正確に抽出される。また、マーカープレート2の表面に、凸部が設けられることにより、基準点の特定が容易かつ正確に行える。
なお、双方の3次元像において、異なったマーカを用いることも可能である。また、特定の歯や歯の傷などを基準点に用いて、位置合わせを行っても良い。
【0024】
次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカプレート2上で抽出された3点に、3次元歯列模型像25に含まれるマーカプレート2上で抽出された3点が重なるように、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とを重ねる。かかる工程で、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とが、概ね位置合わせされる。
【0025】
続いて、3次元歯列模型像25に含まれるマーカプレート2と、3次元口腔領域像35に含まれるマーカプレート2に対して、例えば法線ベクトル法を適用して、更に、正確に位置合わせを行う。
【0026】
位置合わせが終了した状態で、3次元口腔領域像35の一部を3次元歯列模型像25で置き換える。これにより、図6に示すような3次元像が得られる。
【0027】
図6では、3次元歯列模型像25がそのまま3次元口腔領域像35に合成されているため、必要に応じて3次元歯列模型像25をトリミングし、3次元歯列模型像25中の歯列以外の部分(主に歯肉部分)を削除し、歯列のみの像(3次元歯列像)とする(工程S4)。具体的には、表示手段に表示された3次元歯列模型像25を見ながら、カーソルやポインタ等の入力手段を介して所定の選択領域を指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元歯列模型像25のデータから消去する。選択領域は、位置データとして、例えば座標で入力しても構わない。
【0028】
また、図6では、アーチファクト40が残っているが、必要に応じてこれも削除する(S5)。アーチファクト40の除去には、例えばハプティックデバイス(触力覚デバイス)であるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。具体的には、表示手段に表示された3次元画像のアーチファクト40を見ながら、不要な領域をカーソルやポインタ等の入力手段を介して選択領域として指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元口腔領域像35のデータから削除する。
【0029】
なお、アーチファクトの除去は、トリミング後の歯列模型像をもとに行っても良い。即ち、アーチファクトは、例えば、図6に見られるように、金属修復物を有する歯列から外方に延びる。このため、トリミング後の歯列模型像を基準として、トリミング後の歯列模型像(歯列)の外部表面から外方に広がった領域を選択領域として入力し、かかる領域に含まれる3次元口腔領域像35のデータを削除することにより、アーチファクトの削除が可能となる。更にアーチファクトが部分的に残る場合には、上述の方法に従って、残ったアーチファクトを除去しても構わない。
【0030】
以上の工程で、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像が完了する。
【0031】
ここで、図9のフローチャートでは、3次元歯列模型像25を3次元口腔領域像35に合成(工程S3)してから3次元歯列模型像25のトリミング(工程S4)、アーチファクトの除去(工程S5)を行ったが、トリミング(工程S4)、アーチファクト除去(工程S5)を別々の画像で行った後に、双方の画像を合成(工程S3)することもできる。例えば、位置合わせした状態で、2つの画像を重ねて表示した後、それぞれの画像に対してトリミング(工程S4)とアーチファクトの除去(工程S5)を行い、最後に2つの画像を合成(工程S3)しても良い。
【0032】
図7は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、インプラント手術を行う患者に適用した場合の3次元像である。図7(a)は、本方法適用前の3次元像であり、図7(b)は、本方法適用後の3次元像である。
図7からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった下顎の歯列が明確に表されるようになる。
【0033】
また、図8は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、顎変形患者に適用した場合の3次元像である。図8(a)は、本方法適用前の3次元CT像であり、図8(b)、(c)は、本方法適用後の3次元CT像(正面、側面)である。
図8からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった上下の歯列が、正面、側面ともに明確に表されるようになる。
【0034】
なお、本実施の形態では、CT像から得た3次元口腔領域像を、歯列模型をCT撮影して得た3次元歯列模型像を用いて修正したが、歯列模型の形状は、接触式3次元デジタイザ(商品名ATOS、ドイツGOM社製)やレーザ光測定装置、接触式の測定装置を用いて測定しても良い。
【0035】
また、本実施の形態では、3次元断層撮影像としてCT撮影で得られた像について説明したが、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴映像)法を用いて得られた像に対しても適用できる。MRI法を用いて3次元断層撮影像を作成した場合は、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、Ti等からなる金属修復物が、アーチファクト源となる。
【0036】
続いて、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムについて、簡単に説明する。
図10は、全体が100で表されるコンピュータシステムの概略図である。コンピュータシステム100は、まず、口腔領域断層撮影データ/歯列模型断層撮影データ等を入力するための、入力部101を有する。口腔領域断層撮影データ/歯列模型断層撮影データは、例えばDICOMデータとして提供される。トリミングする領域、アーチファクトとして除去する領域等の選択領域も、かかる入力部を介して行われる。
【0037】
入力部101は、例えば、インターネットやCD−ROMによる供給等、一般的なコンピュータへのデータ供給手段のほか、ポインタやカーソルで、表示手段の所定領域を選択するような手段であっても良い。
【0038】
コンピュータシステム100は、また、口腔領域断層撮影データ等を記憶する記憶部102を有する。記憶部102は、例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体からなる。
【0039】
コンピュータシステム100は、また、制御演算部103を有する。制御演算部103は、更に、口腔領域断層撮影データ/歯列模型断層撮影データから3次元像を作成する3次元像作成部105を含む。3次元像の作成には、例えば、VGStudio MAX1.1 (Volume Graphic製)が用いられ、DICOMデータが、STL(Standard Template Library)形式の3次元データに変換される。
【0040】
制御演算部103は、また、3次元像合成部106を有する。3次元像合成部106では、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像との位置合わせを行い、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて画像合成を行う。
【0041】
制御演算部103は、また、3次元歯列模型像をトリミングするトリミング部107を含む。トリミング部107には、例えば、Konica-Minolta製のPolygon Edition Toolなどが使用される。
【0042】
制御演算部103は、更に、3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除するアーチファクト除去部108を有する。かかる除去部としては、例えば、ハプティックデバイスであるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。
【0043】
コンピュータシステム100は、更に、表示部104を有する。表示部104には、例えば、一般的なディスプレイが用いられる。
【0044】
なお、コンピュータシステム100は、必要に応じて、コンピュータシステムが一般的に備える他の手段を備えるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】金属修復物を有する患者の口腔内写真である。
【図2】金属修復物を有する患者の3次元CT像である。
【図3】位置合わせの基準となるインターフェイスである。
【図4】(a)は、インターフェイスを噛んだ状態の歯列模型であり、(b)は、その3次元CT像である。
【図5】(a)は、インターフェイスを噛んだ状態の患者であり、(b)は、その3次元CT像である。
【図6】本方法による合成後の3次元CT像である。
【図7】インプラント手術を行う患者の3次元CT像であり、(a)は、本方法適用前、(b)は、本方法適用後の3次元CT像である。
【図8】顎変形患者の3次元CT像であり、(a)は、本方法適用前、(b)(c)は、本方法適用後の3次元CT像である。
【図9】3次元断層撮影像作成方法のフローチャートである。
【図10】3次元断層撮影像用のコンピュータシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 歯列バイト
2 マーカプレート
10 インターフェイス
20 歯列模型
25 歯列模型の3次元CT像
30 患者
35 患者の3次元CT像
40 アーチファクト
100 コンピュータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段、表示手段、および演算手段を含むコンピュータを用いて、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、
(a)バイトとマーカとを含むインターフェイスの該バイトを噛んだ状態で、患者の口腔領域を断層撮影した口腔領域断層撮影データを、該入力手段を介して該コンピュータに入力する工程と、
(b)該患者の歯列模型が該バイトを噛んだ状態を断層撮影した歯列模型断層撮影データを、該入力手段を介して該コンピュータに入力する工程と、
(c)該口腔領域断層撮影データから該マーカを含む3次元口腔領域像を作成して、該表示手段に表示する工程と、
(d)該歯列模型断層撮影データから該マーカを含む3次元歯列模型像を作成して、該表示手段に表示する工程と、
(e)演算手段が、
該3次元口腔領域像中の該マーカと、該3次元歯列模型像中の該マーカとが略一致するように、該3次元口腔領域像と該3次元歯列模型像とを重ね合わせ、
該入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、該3次元歯列模型像をトリミングし、
該入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、該3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除し、
該3次元口腔領域像の一部を該3次元歯列模型像で置き換えて合成した像を3次元断層撮影像とする工程と、を含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法。
【請求項2】
入力手段、表示手段、および演算手段を含むコンピュータを用いて、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、
(a)患者の口腔領域を断層撮影した口腔領域断層撮影データを、入力手段を介してコンピュータに入力する工程と、
(b)該患者の歯列模型の形状を表す歯列模型データを、該入力手段を介して該コンピュータに入力する工程と、
(c)該口腔領域断層撮影データから3次元口腔領域像を作成して、表示手段に表示する工程と
(d)該歯列模型データから3次元歯列模型像を作成して、該表示手段に表示する工程と
(e)演算手段が、
該3次元口腔領域像中の基準点と、該3次元歯列模型像中の基準点とが略一致するように、該3次元口腔領域像と該3次元歯列模型像とを重ね合わせ、
該3次元口腔領域像の一部を該3次元歯列模型像で置き換えて合成した像を3次元断層撮影像とする工程と、を含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法。
【請求項3】
上記口腔領域断層撮影データが、マーカの位置データを含み、
上記歯列模型データが、マーカの位置データを含み、
上記工程(e)が、上記3次元口腔領域像中の該マーカと、上記3次元歯列模型像中の該マーカとを上記基準点に用いて、該3次元口腔領域像と該3次元歯列模型像とを重ね合わせる工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項4】
更に、(f)演算手段が、上記入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、上記3次元歯列模型像をトリミングして3次元歯列像を作成する工程を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項5】
更に、(g)演算手段が、上記入力手段を介して選択された選択領域に基づいて、上記3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除して、上記3次元歯列像を露出させる工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項6】
アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムであって、
患者の口腔領域断層撮影データと、該患者の歯列模型の歯列模型断層撮影データとを入力する入力手段と、
該口腔領域断層撮影データから作成された3次元口腔領域像と、該歯列模型断層撮影データから作成された3次元歯列模型像とを表示する表示手段と、
該3次元口腔領域像中の基準点と、該3次元歯列模型像中の基準点とが略一致するように2つの像を重ねた位置で、該3次元口腔領域像の一部を該3次元歯列模型像で置き換えて画像合成する手段と、
該入力手段を介して入力された選択領域に基づいて該3次元歯列模型像をトリミングするトリミング手段と、
該入力手段を介して入力された選択領域に基づいて該3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを除去する除去手段と、を含むことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項7】
断層撮影に用いるインターフェイスであって、バイトとバイトに固定されたからマーカなり、該バイトを噛んだ状態の患者の口腔領域の断層撮影像と、該バイトを噛んだ状態の該患者の歯列模型の断層撮影像とを、該マーカを基準点として重ね合わせて合成することを特徴とするインターフェイス。
【請求項8】
上記バイトが、上記口腔領域および上記歯列模型の断層撮影では写らない材料からなることを特徴とする請求項7に記載のインターフェイス。


【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−21016(P2006−21016A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242441(P2004−242441)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2003年12月13日 CAS2003学会大会事務局発行の「第12回 日本コンピュータ外科学会大会 第13回 コンピュータ支援画像診断学会大会 合同論文集」に発表
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【出願人】(391003358)和田精密歯研株式会社 (4)
【Fターム(参考)】