説明

3次元物体を生成するための装置

【課題】実際的な取扱いの機能が改善されるためにより生産性が向上する3次元物体を生成するための装置を特定する。
【解決手段】3次元物体(13)を生成するための装置(1)は、光の影響下で凝固し得る材料(11)を保持するためのトラフ(7)を含む。トラフ(7)はその下部に透明の板(8)を含む。トラフ(7)の透明の板(8)および側壁(10)上に弾性層(9)が設けられ、弾性層(9)が透明の板(8)から離れるよりも、凝固された材料が弾性層からより容易に離れる。露光および投影ユニット(19)は下から透明の板(8)を通してトラフ(7)内の材料(11)を露光して凝固させるように働く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特許請求項1の前提部分の記載に従って3次元物体を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許請求項1の前提部分の記載に従った装置は93 19 405 U1から既知である。
【特許文献1】93 19 405 U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の目的は、実際的な取扱いの機能が改善されるためにより生産性が向上する、3次元物体を生成するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は特許請求項1に従った装置によって達成される。この発明の展開は従属請求項で提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
この発明の実際的な例が図とともに以下で説明される。
3次元物体を生成するための装置1は、底部3、側壁4、および上壁5を備えるハウジング2を含む。上壁5にはアパチャ6が設けられる。ハウジング2の外側にはアパチャ6を覆う重合トラフユニット7が配置される。重合トラフユニット7は底板8を含み、これは可視光に対して透明であり、アパチャ6が完全に覆われるようにアパチャよりもわずかに大きな寸法を有する。透明な底板8はたとえばガラスまたはプレキシグラスから作られる。透明な底板8の、アパチャ6に面していない側面には、たとえばシリコーンコーティングの形で実際の重合トラフ7を形成する弾性層9が取付けられ、これはアパチャ6を覆う透明な底板8の領域上で広がり、その縁10において透明な板9から突き出し、縁は同時に、光の影響下で重合性である液体材料11を保持するための重合性トラフの縁を形成する。弾性層9は、重合の後に透明な底板8よりも重合性材料11に対して粘着しにくい材料から作られていることが重要である。この実施例での縁の高さは約数ミリメートルである。重合トラフ7として設計される透明の底板8と弾性分割層9とは締結要素12によって互いに接続され、重合トラフユニット7としてハウジング2の上壁5に固定される。ここでの固定は、重合トラフユニット7を容易に除去し、交換することができるようなものである。形成されるべき物体13を保持するために、高さ調整装置15によって垂直方向に上下にスライドし得るキャリアプラットホーム14が設けられる。キャリアプラットホーム14は重合トラフユニット7の底部の位置から直線的に垂直に上へと移動して再び元に戻ることができるように設計され、かつそのように制御可能である。さらに、形成されるべき物体13がキャリアプラットホームのスライド時に離れてしまわないように、物体を形成する重合材料が粘着する材料からキャリアプラットホーム14を作る。重合トラフユニット7と、高さ調整装置15を備えるキャリアプラットホーム14との上に不透明フード16が設けられる。
【0006】
ハウジング2内には重合性材料のための貯蔵コンテナ17が設けられる。これはたとえば不透明バッグの形で構成され、不透明パイプによってポンプ18を介して重合トラフユニット7に接続される。
【0007】
ハウジング2内にはまた露光および投影ユニット19が配置される。これは、本質的に可視域内の光を発する光源(図示せず)と、幾何学層データに依存して各層での物体13の断面画像を生成しそれをトラフの内部に面している層9の側面に投影するマスク製造装置(図示せず)とを含む。マスク製造装置は好ましくは、デジタル方式で制御されるミラーシステム(デジタルミラーディスプレイ)として構成される。当該技術分野で公知であるこのマスク製造装置はチップ上に多数の可動マイクロミラーを含み、その方向は、チップに当る光源からの光が所望の様態で偏向され、ミラーセッティングによって作られる画像が露光されるべき面上で再現されるように、制御可能である。露光および投影ユニット19から出てくる光線を透明な底板の下部へと偏向するために、レフレクタ20が設けられる。さらに、露光持続時間を制御するために、たとえば電気機械クロージャとして設計されるストップユニット21が露光および投影ユニット19からの光ビームの出口に直接配置される。セントラルコンピュータユニット22が露光および投影ユニット19、高さ調整装置15、および輸送装置18を制御する。制御モジュール23を介しての手動の制御も可能である。
【0008】
動作において、まず、生成されるべき物体13のデジタル化されたまたはハーフトーンプロセスの幾何学層データが公知の技術によって生成され、装置1に送られる。重合トラフユニット7は可視光の影響下で重合する単量体で満たされ、キャリアプラットホーム14は、キャリアプラットホーム14と、透明の底板8または分割層9との間に液体の単量体が入る精密なギャップが残るように、高さ調整装置15によってトラフ内に位置付けられる。次に、ストップ21が開いた状態で第1の層が露光され、第1の層内での物体の断面画像が露光および投影ユニット19によって分割層9に隣接する液体の表面に投影される。露光および投影ユニット19の制御はこの場合、幾何学層データに従って行なわれる。露光によって、第1の層の露光された区域が硬化し、キャリアプラットホーム14に粘着する。ストップ21によって露光持続時間を制御する。露光サイクルの終了時にはストップ21が閉じられ、キャリアプラットホーム14が垂直に上方向へと移動させられ、次の層のために位置付けられる。プロセスでは、第1の層の重合された区域が層9から離され、空いたスペースまたは出来たギャップへと新しい材料が流れ込む。この層内での物体の断面に従って再び露光サイクルが行なわれる。説明された動作は物体13が仕上がるまで繰返される。最終的に、物体が付いたキャリアプラットホーム14を構造スペースから除去し、物体を洗浄し、それをキャリアプラットホーム14からはずす。必要であれば、物体をさらに硬化することもできる。構造プロセスが行なわれた後、装置から重合トラフユニット7を除去し、洗浄する。その間に、第2の重合トラフユニットを挿入して次の構造プロセスを早くも始めることもできる。このために、生産性が向上し、異なる材料を用いることもできる。別の利点は、下からの露光のために、低い縁でもって重合トラフを設計することができることである。したがって、物体の高さが重合トラフの縁よりも大きい場合に特に、材料を節約することができる。
【0009】
変形された実施例では、露光/投影ユニット19にはマクロミラーシステムの代わりに液晶投影器(LCD投影器)が装備される。
【0010】
本発明は、光の影響下で凝固し得る液体材料(11)を物体(13)の断面に対応する位置で層ごとに凝固することによって3次元物体を生成するための装置であって、材料を保持するためのトラフ(9、10、8;7)と、光源(19)と、露光されるべき区域を凝固されるべき物体の断面に従って表面に投影するための装置(19)と、形成されるべき物体をトラフと相対的に位置付けるための位置決め装置(15)とを含み、露光されるべき物体の表面は透明の板(8)によって覆われ、透明な板に被覆される材料は、透明な板よりも凝固された材料に対して粘着しにくく、トラフの底部とトラフの側壁(10)とは層(9)によって形成されることを特徴とする、3次元物体を生成するための装置であってもよい。また、層(9)は弾性であってもよい。装置内の透明の板(8)とトラフ形
状の層(9)とは交換可能ユニット(7)を形成してもよい。また、透明の板(8)はトラフの底部を形成し、露光は下から行なわれてもよい。投影装置(19)はマイクロミラーアレイ技術または液晶ディスプレイを備えるマルチメディア投影器を含んでいてもよい。トラフの高さは形成されるべき物体(13)の高さよりも低くなり得ることがある。。電気機械クロージャ(21)は露光持続時間を制御するために設けられていてもよい。本発明は、光の影響下で凝固し得る液体材料(11)を物体(13)の断面に対応する位置で層ごとに凝固することによって3次元物体を生成するための装置であって、材料を保持するためのトラフ(9、10、8;7)と、光源(19)と、露光されるべき区域を凝固されるべき物体の断面に従って表面に投影するための装置(19)と、形成されるべき物体をトラフと相対的に位置付けるための位置決め装置(15)とを含み、照射されるべき材料の表面はトラフの底部に設けられる透明の板によって覆われ、露光されるべき区域を投影するための装置はマイクロミラーアレイ技術を備える投影器を含むことを特徴とする、3次元物体を生成するための装置であってもよい。光源は本質的に可視スペクトル内で光を発してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】装置の概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0012】
7 トラフ、8 透明の板、9 弾性層、10 トラフ側壁、11 液体材料、13 物体、15 位置決め装置、19 光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の影響下で凝固し得る材料(11)を物体(13)の断面に対応する位置で層ごとに凝固することによって3次元物体を生成するための装置であって、
材料を保持するための部材(9、10、8;7)と、
形成されるべき物体の断面に従って露光されるべき区域に対して光を発するための光源を含む装置(19)と、
材料を保持するための部材に対して製造中の物体を位置決めするための位置決め装置(15)とを含み、
露光されるべき材料の表面は材料を保持するための部材に設けられた透明の板によって覆われ、
露光されるべき区域を投影するための装置はマイクロミラーアレイ技術を備える投影器を含むことを特徴とする、3次元物体を生成するための装置。
【請求項2】
光源は本質的に可視スペクトル内で光を発することを特徴とする、請求項1に記載の3次元物体を生成するための装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−155650(P2008−155650A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38756(P2008−38756)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【分割の表示】特願2002−115107(P2002−115107)の分割
【原出願日】平成14年4月17日(2002.4.17)
【出願人】(504090282)エンビジョンテク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】ENVISIONTEC GMBH
【Fターム(参考)】