3端子コンデンサ及びその実装方法
【課題】実装部におけるランド間のショートを防止して、実装品質の向上を図ることができる3端子コンデンサ及びその実装方法を提供する。
【解決手段】3端子コンデンサ1−1は、貫通電極3及びグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2と、外部電極5−1,5−2と、グランド外部電極6とを備える。さらに、3端子コンデンサ1−1の中央部には、グランド外部電極6とチップ体2との中央部を貫通する貫通孔7が設けられている。これにより、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じた場合に、隆起した半田を、貫通孔7内に逃がして、3端子コンデンサ1−1が実装されたグランド側接続ランドとホット側接続ランドとの間のショートを防止することができる。
【解決手段】3端子コンデンサ1−1は、貫通電極3及びグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2と、外部電極5−1,5−2と、グランド外部電極6とを備える。さらに、3端子コンデンサ1−1の中央部には、グランド外部電極6とチップ体2との中央部を貫通する貫通孔7が設けられている。これにより、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じた場合に、隆起した半田を、貫通孔7内に逃がして、3端子コンデンサ1−1が実装されたグランド側接続ランドとホット側接続ランドとの間のショートを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板の1対のホット側接続ランドと1つのグランド側接続ランド上に実装する貫通型の3端子コンデンサ及びその実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の3端子コンデンサは、高速ICの電源の電荷供給用に使用する場合等に、その等価直列インダクタンス(ESL)を小さくするために、その実装構造に種々の工夫を施している。
図17は、一従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
図17に示す3端子コンデンサの実装構造は、特許文献1に開示の技術であり、グランド側接続ランド上を流れる電流の方向を規制することで、構造全体の等価直列インダクタンスを低減化する。
具体的には、3端子コンデンサ100の中央の胴部を巻く周回形状のグランド外部電極101の下側に、グランド側接続ランド203を配し、図示しないグランドに下端が接続されたスルーホール210を、グランド側接続ランド203の中央部に形成している。そして、リフロー処理により、3端子コンデンサ100のグランド外部電極101とグランド側接続ランド203とを半田にて接続させている。
これにより、3端子コンデンサ100のグランド外部電極101から流出したノイズ電流I1,I2が互いに逆方向からスルーホール210に向かって流れ、スルーホール210に流入して、図示しないグランドに排出される。
したがって、ノイズ電流I1,I2が互いに逆方向から向かい合うように流れるので、それぞれの電流が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極101とグランド側接続ランド203とスルーホール210との間の等価直列インダクタンスが小さくなる。この結果、3端子コンデンサ100と基板とを含むトータルの等価直列インダクタンスを小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−282348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
図18は、従来技術の問題点を説明するための断面図である。
図17において、3端子コンデンサ100の実装面の真裏の位置に、図示しないランドを設けて、スルーホール210をこのランドに接続した構造をとる場合がある。このような構造において、3端子コンデンサ100を実装した状態で、図示しない3端子コンデンサ等のチップ部品をリフロー処理によって基板裏側のランドに半田付けしようとすると、図18に示すように、このランド上の溶けた半田300がスルーホール210に流入して、3端子コンデンサ100側の開口からに隆起することがある。このような現象が起こると、隆起した半田300が3端子コンデンサ100の下面で押され、グランド側接続ランド203の両側(図18の左右側)からホット側接続ランド201,202に向かって広がり、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とをショートさせてしまうおそれがある。
なお、この従来技術では、周回形状のグランド外部電極101を3端子コンデンサ100に適用して、このグランド外部電極101とグランド側接続ランド203との接続を図るようにしているが、図19に示すように、断面コの字状の1対のグランド外部電極101′,101′を用いた3端子コンデンサ100′の場合にも、半田300がスルーホール210から隆起して、上記と同様に、ショート事故が発生するおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、実装部におけるランド間のショートを防止して、実装品質の向上を図ることができる3端子コンデンサ及びその実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つグランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部上下方向に貫通する貫通孔を設け、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成とする。
かかる構成により、基板上に、第1及び第2のホット側接続ランドが所定間隔で配設され、中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドがこれら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設されている場合に、この発明の3端子コンデンサを、これらグランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとに実装することができる。
具体的には、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置する。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。これにより、3端子コンデンサの実装が完了する。
ところで、当該3端子コンデンサの実装面の真裏の位置に、ランドが設けられ、スルーホールがこのランドにも接続されている場合がある。このような場合に、3端子コンデンサを実装した状態で、3端子コンデンサ等のチップ部品をリフロー処理によってそのランドに半田付けしようとすると、その溶けた半田が、スルーホールから流入することがある。すると、この半田は、当該3端子コンデンサが接続されているグランド側接続ランドのスルーホール開口から隆起し、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がろうとする。
しかし、この発明の3端子コンデンサを上記のように実装することで、スルーホールから隆起した半田は、グランド外部電極の下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込み、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がることはない。したがって、裏面側のリフロー処理時に、半田が広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
また、この発明の3端子コンデンサでは、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成をとっているので、貫通孔内に入った半田が貫通電極と接触することはない。
3端子コンデンサを実装した状態で、ノイズ電流が第1及び第2のホット側接続ランドが接続された配線に発生すると、ノイズ電流は、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極の一方から貫通電極に流れ込み、これと対向するグランド電極を通じてグランド外部電極からグランド側接続ランドへと排出される。このとき、ノイズ電流はグランド側接続ランド上を互いに逆方向から中央のスルーホールに向かって流れるので、それぞれの電流が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極とグランド側接続ランドとスルーホールとの間の等価直列インダクタンスが小さくなる。
【0007】
請求項2の発明は、絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、チップ体の胴部下面中央部から上下方向に貫通する貫通孔を設け、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、第1及び第2のグランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、チップ体の胴部下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
また、この3端子コンデンサも、貫通電極を抜ける孔が、貫通孔よりも大径に設定されているので、貫通孔内に入った半田が貫通電極と接触することはない。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の3端子コンデンサにおいて、貫通孔の内壁に、導電膜を付着させて、当該導電膜と上記グランド電極とを電気的に接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じた場合には、その半田が、チップ体の胴部下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込み、導電膜を通じて、グランド電極と電気的に接続するので、チップ体内部のグランド電極と外部のスルーホールとが、半田を介して電気的に接続されることとなる。
【0009】
請求項4の発明は、絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つグランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部下面に渡って上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、グランド外部電極の下面中央部に位置する凹部内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0010】
請求項5の発明は、絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、チップ体の胴部下面中央部から上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、チップ体の胴部下面中央部に位置する凹部に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0011】
請求項6の発明は、3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、3端子コンデンサとして、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の3端子コンデンサを用い、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、貫通孔の開口から3端子コンデンサの貫通孔内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0012】
請求項7の発明は、3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、3端子コンデンサとして、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサを用い、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、3端子コンデンサの凹部内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【発明の効果】
【0013】
以上詳しく説明したように、この発明によれば、実装状態の3端子コンデンサに向かってスルーホールから隆起した半田を、当該3端子コンデンサに設けた貫通孔内や凹部に逃がして、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとのショートを防止するので、高品質の3端子コンデンサ実装基板を提供することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサの内部を透過して示す斜視図である。
【図2】3端子コンデンサを示す分解斜視図である。
【図3】図1の矢視A−A断面図である。
【図4】図2の矢視B−B断面図である。
【図5】3端子コンデンサの実装方法を示す斜視図である。
【図6】3端子コンデンサの実装方法を示す断面図である。
【図7】3端子コンデンサによるショート防止効果を説明するための断面図である。
【図8】等価直列インダクタンス低減効果を示す断面図である。
【図9】この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図10】図9の矢視C−C断面図である。
【図11】3端子コンデンサのショート防止効果を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図13】図12の矢視D−D断面図である。
【図14】3端子コンデンサのショート防止効果を説明するための断面図である。
【図15】この発明の第4実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図16】図15の矢視E−E断面図である。
【図17】一従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
【図18】従来技術の問題点を説明するための断面図である。
【図19】他の従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサの内部を透過して示す斜視図であり、図2は、3端子コンデンサを示す分解斜視図であり、図3は、図1の矢視A−A断面図であり、図4は、図2の矢視B−B断面図である。
【0017】
図1に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−1は、貫通電極3及びグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2と、第1の外部電極としての外部電極5−1及び第2の外部電極としての外部電極5−2と、グランド外部電極6とを備えている。
【0018】
チップ体2は、絶縁性素材で形成されており、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2は、このチップ体2内に積層形成されている。
具体的には、図2に示すように、グランド電極4−1をチップ体2を構成する絶縁層21上に形成し、絶縁層22をグランド電極4−1上に積層した。そして、貫通電極3を絶縁層22上に生成し、絶縁層23を貫通電極3上に積層した。しかる後、グランド電極4−2を絶縁層23上に形成し、最後に、絶縁層24をグランド電極4−2上に積層することにより、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2を形成した。
このように形成された貫通電極3では、図3に示すように、その前端3a及び後端3bをチップ体2の前面2a及び後面2bに露出させている。
一方、グランド電極4−1は、図4に示すように、この貫通電極3と下側に位置して対向し、その両端4a,4bをチップ体2の両側面2c,2dにそれぞれ露出させている。
また、グランド電極4−2は、貫通電極3と上側に位置して対向し、その両端4a,4bをチップ体2の両側面2c,2dにそれぞれ露出させている。
【0019】
外部電極5−1,5−2は、図1に示すように、チップ体2の前面2a側,後面2b側(図3参照)にそれぞれ形成され、貫通電極3に接続されている。
具体的には、外部電極5−1,5−2は、図3に示すように、断面コ字状をなし、チップ体2の前面2a,後面2bにおいて、貫通電極3の両端3a,3bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
一方、グランド外部電極6は、図1及び図2に示すように、周回状を成し、チップ体2の胴部中央部を巻くように設けられている。そして、このグランド外部電極6は、図4に示すように、チップ体2の両側面2c,2dに露出したグランド電極4−1,4−2の両端4a,4bに電気的に接続されている。
【0021】
この実施例では、このような3端子コンデンサ1−1に、図1に示すように貫通孔7を設けている。
すなわち、図4に示すように、貫通孔7が、グランド外部電極6の下面6aの中央部からチップ体2の胴部上方向に貫通し、グランド外部電極6の上面6bで開口している。
具体的には、図2に示すように、連通する同径の孔7a〜7dを、絶縁層21とグランド電極4−1、絶縁層22と貫通電極3、絶縁層23とグランド電極4−2、絶縁層24にそれぞれ形成し、これら孔7a〜7dに連通する孔7e,7fをグランド外部電極6の下面6a,上面6bにそれぞれ形成した。
【0022】
また、図2に示すように、絶縁層22と貫通電極3には、貫通孔7を構成する孔7bを形成したが、貫通電極3にも、直径がこの孔7bよりも大きな孔30を形成している。そして、孔30を孔7bよりも大径に設定すると共に、孔7bの外側と孔30の内側との間に、チップ体2を形成する絶縁性部材20を介在させて、貫通電極3が孔7b内に露出しないようにしている。
【0023】
次に、この実施例の3端子コンデンサの実装方法について説明する。
図5は、3端子コンデンサ1−1の実装方法を示す斜視図であり、図6は、3端子コンデンサ1−1の実装方法を示す断面図である。
図5に示すように、3端子コンデンサ1−1を実装する基板200上には、例えば、図示しない外部電源に接続されたホット側接続ランド201と、図示しないICの電源端子に接続されたホット側接続ランド202とが所定間隔で設けられている。そして、グランド側接続ランド203が、ホット側接続ランド201,202の間の中央のスペースに配設されている。また、等価直列インダクタンス低減用のスルーホール210が、グランド側接続ランド203の中央部に設けられ、図示しないグランドと接続されている。
【0024】
3端子コンデンサ1−1をかかる基板200に実装するには、図6に示すように、3端子コンデンサ1−1の外部電極5−1,5−2を、ホット側接続ランド201,202上に載置し、貫通孔7をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6を、グランド側接続ランド203に載置する。
しかる後、リフロー処理を行うことで、外部電極5−1,5−2をホット側接続ランド201,202上に接続すると共に、グランド外部電極6をグランド側接続ランド203に接続することで、3端子コンデンサ1−1の実装が終わる。
【0025】
図7は、3端子コンデンサ1−1によるショート防止効果を説明するための断面図である。
ところで、上記実装状態において、スルーホール210が、3端子コンデンサ1−1実装面の真裏に設けられた図示しないランドに接続され、図示しない3端子コンデンサ等のチップ部品がそのランド上にリフロー処理で半田付けされる場合がある。このような場合には、スルーホール210当該ランド側の開口から溶けた半田300が流入し、図7に示すように、グランド側接続ランド203のスルーホール210の開口210aから流出して隆起し、ホット側接続ランド201,202側に広がるおそれがある。
上記実装状態では、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7が、グランド外部電極6の下面6aの中央部からチップ体2の胴部上方向に貫通しているので、この貫通孔7はスルーホール210の真上に位置する。したがって、スルーホール210の開口210aから隆起した半田300は、真上で開口するグランド外部電極6の下面6aの孔7eから貫通孔7内に入り込む。このため、半田300が、スルーホール210から溢れ、グランド外部電極6の下面6aの両側からスペースS1,S2上に広がることはない。
したがって、この実施例の3端子コンデンサ1−1を用いることで、隆起した半田300によって、グランド側接続ランド203及びホット側接続ランド201,202間がショートするという事態の発生を防止することができる。
【0026】
上記のように、スルーホール210から溢れた半田300は、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7に入り込みグランド外部電極6の上面6b側に向かうので、図7の破線で示すように、半田300が、グランド電極4−1,4−2に接触した状態になる場合がある。このような場合には、グランド電極4−1,4−2が半田300を通じてスルーホール210に直接接続した状態になる。
これに対して、半田300が、貫通電極3に接触すると、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2とがショートした状態になり、好ましくはない。しかし、この実施例の3端子コンデンサ1−1では、貫通電極3の孔30を、貫通孔7の孔7bよりも大径に設定すると共に、孔7bの外側と孔30の内側との間に、チップ体2を形成する絶縁性部材20を介在させて、貫通電極3が孔7b内に露出しないようにしているので、貫通孔7内に入った半田300が貫通電極3と接触することはない。
【0027】
図8は、等価直列インダクタンス低減効果を示す断面図である。
3端子コンデンサ1−1の上記実装状態において、ICのスイッチング動作等によって高周波のノイズ電流が、ICの電源端子に生じると、ノイズ電流は、図7において、ホット側接続ランド201から3端子コンデンサ1−1の外部電極5−1を通じて貫通電極3に流れ込む。そして、図8に示すように、ノイズ電流I1,I2が、グランド電極4−1,4−2を通じてグランド外部電極6からグランド側接続ランド203へと排出される。このとき、矢印で示すように、ノイズ電流I1,I2が、グランド側接続ランド203上を互いに逆方向から中央のスルーホール210に向かって流れる。この結果、それぞれの電流I1,I2が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極6とグランド側接続ランド203とスルーホール210との間の等価直列インダクタンスが小さくなる。
【0028】
以上のように、この実施例によれば、スルーホール210から隆起した半田300を、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7内や凹部に逃がし、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とのショートを防止するので、高品質の3端子コンデンサ実装基板を提供することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図9は、この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図10は、図9の矢視C−C断面図である。
この実施例は、グランド外部電極の構成が上記第1実施例と異なる。
すなわち、図9に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−2は、1対のグランド外部電極6−1,6−2を有する。
具体的には、図10に示すように、第1のグランド外部電極としてのグランド外部電極6−1が、チップ体2の胴部中央部において側面2cから上面2e及び下面2fの縁部に渡って形成され、全体として断面コ字状の折曲形状を成している。そして、このグランド外部電極6−1が、グランド電極4−1,4−2の端部4aに接続されて、グランド外部電極6−1とグランド電極4−1,4−2との電気的接続が図られている。
また、第2のグランド外部電極としてのグランド外部電極6−2が、チップ体2の胴部中央部において側面2dから上面2e及び下面2fの縁部に渡って形成され、このグランド外部電極6−2も全体として断面コ字状の折曲形状を成している。そして、このグランド外部電極6−2も、グランド電極4−1,4−2の端部4bに接続されて、グランド外部電極6−2とグランド電極4−1,4−2との電気的接続が図られている。
【0030】
このようなグランド外部電極6−1,6−2を有する3端子コンデンサ1−2においては、貫通孔7は、チップ体2にのみ形成されている。
具体的には、貫通孔7は、チップ体2の胴部下面2fの中央部から上面2e側に貫通している。
そして、導電膜70が、貫通孔7の内壁に付着形成され、導電膜70とグランド電極4−1,4−2とが電気的に接続されている。なお、導電膜70を貫通孔7の内壁に形成するか否かは任意であり、導電膜70を貫通孔7の内壁に形成しない3端子コンデンサもこの発明の一態様であり、発明の範囲に含まれることは勿論である。
【0031】
次に、この実施例の3端子コンデンサ1−2の実装方法について説明する。
図11は、3端子コンデンサ1−2のショート防止効果を説明するための断面図である。
図11に示すように、3端子コンデンサ1−2の場合も、上記第1実施例の3端子コンデンサ1−1と同様に、外部電極5−1,5−2(図9参照)を、基板200上のホット側接続ランド201,202(図5及び図6参照)上に載置し、貫通孔7をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6−1,6−2を、グランド側接続ランド203に載置させることができる。この状態で、リフロー処理を行うことにより、外部電極5−1,5−2をホット側接続ランド201,202上に接続し、グランド外部電極6−1,6−2をグランド側接続ランド203に接続することができる。
また、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じたとしても、スルーホール210から隆起した半田300は、チップ体2の貫通孔7の開口から貫通孔7内に入り込むので、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202との間のショートを防止することができる。
【0032】
また、この実施例の3端子コンデンサ1−2では、導電膜70が貫通孔7の内壁に形成されているので、半田300が貫通孔7内に入り込むと、グランド電極4−1,4−2が、導電膜70及び半田300を通じて外部のスルーホール210に電気的に接続された状態になる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例3】
【0033】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図12は、この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図13は、図12の矢視D−D断面図である。
この実施例は、貫通孔7の代わりに凹部を設けた点が、上記第1実施例と異なる。
すなわち、図12に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−3は、下側に凹部8を有する。
具体的には、図13に示すように、グランド外部電極6の下面6aとチップ体2の下面2fとを上方向に所定高さだけ凹ませることで、3端子コンデンサ1−3の下側に凹部8を形成した。
【0034】
次に、この実施例の3端子コンデンサ1−3の実装方法について説明する。
図14は、3端子コンデンサ1−3のショート防止効果を説明するための断面図である。
図14に示すように、3端子コンデンサ1−3の外部電極5−1,5−2(図12参照)を、ホット側接続ランド201,202(図5参照)上に接続し、凹部8をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6を、グランド側接続ランド203に接続する。
かかる状態で、リフロー処理することで、3端子コンデンサ1−3を実装することができる。
また、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じたとしても、スルーホール210から隆起した半田300が、グランド外部電極6の下面中央部に位置する凹部8内に入り込むので、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とのショートは防止される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0035】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図15は、この発明の第4実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図16は、図15の矢視E−E断面図である。
この実施例は、貫通孔7の代わりに凹部を用いた点が、上記第2実施例と異なる。
すなわち、図15に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−4は、チップ体2の下側に凹部8′を有する。
具体的には、図16に示すように、チップ体2の下面2fの中央部を上方向に所定高さだけ凹ませることで、3端子コンデンサ1−4の下側に、凹部8′を形成した。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【符号の説明】
【0036】
1−1〜1−4…3端子コンデンサ、 2…チップ体、 2a…前面、 2b…後面、 2c,2d…側面、 2e,6b…上面、 2f,6a…下面、 3…貫通電極、 3a…前端、 3b…後端、 4−1,4−2…グランド電極、 4a,4b…端部、 5−1,5−2…外部電極、 6,6−1,6−2…グランド外部電極、 7…貫通孔、 7a〜7f,30…孔、 8,8′…凹部、 20…絶縁性部材、 21〜24…絶縁層、 70…導電膜、 200…基板、 201,202…ホット側接続ランド、 203…グランド側接続ランド、 210…スルーホール、 300…半田。
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板の1対のホット側接続ランドと1つのグランド側接続ランド上に実装する貫通型の3端子コンデンサ及びその実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の3端子コンデンサは、高速ICの電源の電荷供給用に使用する場合等に、その等価直列インダクタンス(ESL)を小さくするために、その実装構造に種々の工夫を施している。
図17は、一従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
図17に示す3端子コンデンサの実装構造は、特許文献1に開示の技術であり、グランド側接続ランド上を流れる電流の方向を規制することで、構造全体の等価直列インダクタンスを低減化する。
具体的には、3端子コンデンサ100の中央の胴部を巻く周回形状のグランド外部電極101の下側に、グランド側接続ランド203を配し、図示しないグランドに下端が接続されたスルーホール210を、グランド側接続ランド203の中央部に形成している。そして、リフロー処理により、3端子コンデンサ100のグランド外部電極101とグランド側接続ランド203とを半田にて接続させている。
これにより、3端子コンデンサ100のグランド外部電極101から流出したノイズ電流I1,I2が互いに逆方向からスルーホール210に向かって流れ、スルーホール210に流入して、図示しないグランドに排出される。
したがって、ノイズ電流I1,I2が互いに逆方向から向かい合うように流れるので、それぞれの電流が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極101とグランド側接続ランド203とスルーホール210との間の等価直列インダクタンスが小さくなる。この結果、3端子コンデンサ100と基板とを含むトータルの等価直列インダクタンスを小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−282348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来の技術では、次のような問題がある。
図18は、従来技術の問題点を説明するための断面図である。
図17において、3端子コンデンサ100の実装面の真裏の位置に、図示しないランドを設けて、スルーホール210をこのランドに接続した構造をとる場合がある。このような構造において、3端子コンデンサ100を実装した状態で、図示しない3端子コンデンサ等のチップ部品をリフロー処理によって基板裏側のランドに半田付けしようとすると、図18に示すように、このランド上の溶けた半田300がスルーホール210に流入して、3端子コンデンサ100側の開口からに隆起することがある。このような現象が起こると、隆起した半田300が3端子コンデンサ100の下面で押され、グランド側接続ランド203の両側(図18の左右側)からホット側接続ランド201,202に向かって広がり、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とをショートさせてしまうおそれがある。
なお、この従来技術では、周回形状のグランド外部電極101を3端子コンデンサ100に適用して、このグランド外部電極101とグランド側接続ランド203との接続を図るようにしているが、図19に示すように、断面コの字状の1対のグランド外部電極101′,101′を用いた3端子コンデンサ100′の場合にも、半田300がスルーホール210から隆起して、上記と同様に、ショート事故が発生するおそれがある。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、実装部におけるランド間のショートを防止して、実装品質の向上を図ることができる3端子コンデンサ及びその実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つグランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部上下方向に貫通する貫通孔を設け、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成とする。
かかる構成により、基板上に、第1及び第2のホット側接続ランドが所定間隔で配設され、中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドがこれら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設されている場合に、この発明の3端子コンデンサを、これらグランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとに実装することができる。
具体的には、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置する。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。これにより、3端子コンデンサの実装が完了する。
ところで、当該3端子コンデンサの実装面の真裏の位置に、ランドが設けられ、スルーホールがこのランドにも接続されている場合がある。このような場合に、3端子コンデンサを実装した状態で、3端子コンデンサ等のチップ部品をリフロー処理によってそのランドに半田付けしようとすると、その溶けた半田が、スルーホールから流入することがある。すると、この半田は、当該3端子コンデンサが接続されているグランド側接続ランドのスルーホール開口から隆起し、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がろうとする。
しかし、この発明の3端子コンデンサを上記のように実装することで、スルーホールから隆起した半田は、グランド外部電極の下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込み、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がることはない。したがって、裏面側のリフロー処理時に、半田が広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
また、この発明の3端子コンデンサでは、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成をとっているので、貫通孔内に入った半田が貫通電極と接触することはない。
3端子コンデンサを実装した状態で、ノイズ電流が第1及び第2のホット側接続ランドが接続された配線に発生すると、ノイズ電流は、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極の一方から貫通電極に流れ込み、これと対向するグランド電極を通じてグランド外部電極からグランド側接続ランドへと排出される。このとき、ノイズ電流はグランド側接続ランド上を互いに逆方向から中央のスルーホールに向かって流れるので、それぞれの電流が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極とグランド側接続ランドとスルーホールとの間の等価直列インダクタンスが小さくなる。
【0007】
請求項2の発明は、絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、チップ体の胴部下面中央部から上下方向に貫通する貫通孔を設け、貫通電極を抜ける孔を、貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、絶縁性部材を介在させて、貫通電極が貫通孔内に露出しないように設定した構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、第1及び第2のグランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、チップ体の胴部下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
また、この3端子コンデンサも、貫通電極を抜ける孔が、貫通孔よりも大径に設定されているので、貫通孔内に入った半田が貫通電極と接触することはない。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の3端子コンデンサにおいて、貫通孔の内壁に、導電膜を付着させて、当該導電膜と上記グランド電極とを電気的に接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じた場合には、その半田が、チップ体の胴部下面中央部に位置する貫通孔の開口から貫通孔内に入り込み、導電膜を通じて、グランド電極と電気的に接続するので、チップ体内部のグランド電極と外部のスルーホールとが、半田を介して電気的に接続されることとなる。
【0009】
請求項4の発明は、絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つグランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部下面に渡って上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を、グランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、グランド外部電極の下面中央部に位置する凹部内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0010】
請求項5の発明は、絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つグランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、チップ体の胴部下面中央部から上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた構成とする。
かかる構成により、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に載置し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに載置することができる。しかる後、リフロー処理を行うことで、第1及び第2の外部電極を第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、第1及び第2のグランド外部電極をグランド側接続ランドに接続することができる。
また、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、チップ体の胴部下面中央部に位置する凹部に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0011】
請求項6の発明は、3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、3端子コンデンサとして、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の3端子コンデンサを用い、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、貫通孔をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、貫通孔の開口から3端子コンデンサの貫通孔内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【0012】
請求項7の発明は、3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、3端子コンデンサとして、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサを用い、3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、凹部をスルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極をグランド側接続ランドに接続した構成とする。
かかる構成により、半田がスルーホールから隆起するような事態が生じたとしても、その半田は、3端子コンデンサの凹部内に入り込むので、半田が、第1及び第2のホット側接続ランド側に広がって、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとをショートさせるという事態は生じない。
【発明の効果】
【0013】
以上詳しく説明したように、この発明によれば、実装状態の3端子コンデンサに向かってスルーホールから隆起した半田を、当該3端子コンデンサに設けた貫通孔内や凹部に逃がして、グランド側接続ランドと第1及び第2のホット側接続ランドとのショートを防止するので、高品質の3端子コンデンサ実装基板を提供することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサの内部を透過して示す斜視図である。
【図2】3端子コンデンサを示す分解斜視図である。
【図3】図1の矢視A−A断面図である。
【図4】図2の矢視B−B断面図である。
【図5】3端子コンデンサの実装方法を示す斜視図である。
【図6】3端子コンデンサの実装方法を示す断面図である。
【図7】3端子コンデンサによるショート防止効果を説明するための断面図である。
【図8】等価直列インダクタンス低減効果を示す断面図である。
【図9】この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図10】図9の矢視C−C断面図である。
【図11】3端子コンデンサのショート防止効果を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図13】図12の矢視D−D断面図である。
【図14】3端子コンデンサのショート防止効果を説明するための断面図である。
【図15】この発明の第4実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図16】図15の矢視E−E断面図である。
【図17】一従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
【図18】従来技術の問題点を説明するための断面図である。
【図19】他の従来例に係る3端子コンデンサその実装構造を一部破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサの内部を透過して示す斜視図であり、図2は、3端子コンデンサを示す分解斜視図であり、図3は、図1の矢視A−A断面図であり、図4は、図2の矢視B−B断面図である。
【0017】
図1に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−1は、貫通電極3及びグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2と、第1の外部電極としての外部電極5−1及び第2の外部電極としての外部電極5−2と、グランド外部電極6とを備えている。
【0018】
チップ体2は、絶縁性素材で形成されており、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2は、このチップ体2内に積層形成されている。
具体的には、図2に示すように、グランド電極4−1をチップ体2を構成する絶縁層21上に形成し、絶縁層22をグランド電極4−1上に積層した。そして、貫通電極3を絶縁層22上に生成し、絶縁層23を貫通電極3上に積層した。しかる後、グランド電極4−2を絶縁層23上に形成し、最後に、絶縁層24をグランド電極4−2上に積層することにより、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2を内包したチップ体2を形成した。
このように形成された貫通電極3では、図3に示すように、その前端3a及び後端3bをチップ体2の前面2a及び後面2bに露出させている。
一方、グランド電極4−1は、図4に示すように、この貫通電極3と下側に位置して対向し、その両端4a,4bをチップ体2の両側面2c,2dにそれぞれ露出させている。
また、グランド電極4−2は、貫通電極3と上側に位置して対向し、その両端4a,4bをチップ体2の両側面2c,2dにそれぞれ露出させている。
【0019】
外部電極5−1,5−2は、図1に示すように、チップ体2の前面2a側,後面2b側(図3参照)にそれぞれ形成され、貫通電極3に接続されている。
具体的には、外部電極5−1,5−2は、図3に示すように、断面コ字状をなし、チップ体2の前面2a,後面2bにおいて、貫通電極3の両端3a,3bにそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
一方、グランド外部電極6は、図1及び図2に示すように、周回状を成し、チップ体2の胴部中央部を巻くように設けられている。そして、このグランド外部電極6は、図4に示すように、チップ体2の両側面2c,2dに露出したグランド電極4−1,4−2の両端4a,4bに電気的に接続されている。
【0021】
この実施例では、このような3端子コンデンサ1−1に、図1に示すように貫通孔7を設けている。
すなわち、図4に示すように、貫通孔7が、グランド外部電極6の下面6aの中央部からチップ体2の胴部上方向に貫通し、グランド外部電極6の上面6bで開口している。
具体的には、図2に示すように、連通する同径の孔7a〜7dを、絶縁層21とグランド電極4−1、絶縁層22と貫通電極3、絶縁層23とグランド電極4−2、絶縁層24にそれぞれ形成し、これら孔7a〜7dに連通する孔7e,7fをグランド外部電極6の下面6a,上面6bにそれぞれ形成した。
【0022】
また、図2に示すように、絶縁層22と貫通電極3には、貫通孔7を構成する孔7bを形成したが、貫通電極3にも、直径がこの孔7bよりも大きな孔30を形成している。そして、孔30を孔7bよりも大径に設定すると共に、孔7bの外側と孔30の内側との間に、チップ体2を形成する絶縁性部材20を介在させて、貫通電極3が孔7b内に露出しないようにしている。
【0023】
次に、この実施例の3端子コンデンサの実装方法について説明する。
図5は、3端子コンデンサ1−1の実装方法を示す斜視図であり、図6は、3端子コンデンサ1−1の実装方法を示す断面図である。
図5に示すように、3端子コンデンサ1−1を実装する基板200上には、例えば、図示しない外部電源に接続されたホット側接続ランド201と、図示しないICの電源端子に接続されたホット側接続ランド202とが所定間隔で設けられている。そして、グランド側接続ランド203が、ホット側接続ランド201,202の間の中央のスペースに配設されている。また、等価直列インダクタンス低減用のスルーホール210が、グランド側接続ランド203の中央部に設けられ、図示しないグランドと接続されている。
【0024】
3端子コンデンサ1−1をかかる基板200に実装するには、図6に示すように、3端子コンデンサ1−1の外部電極5−1,5−2を、ホット側接続ランド201,202上に載置し、貫通孔7をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6を、グランド側接続ランド203に載置する。
しかる後、リフロー処理を行うことで、外部電極5−1,5−2をホット側接続ランド201,202上に接続すると共に、グランド外部電極6をグランド側接続ランド203に接続することで、3端子コンデンサ1−1の実装が終わる。
【0025】
図7は、3端子コンデンサ1−1によるショート防止効果を説明するための断面図である。
ところで、上記実装状態において、スルーホール210が、3端子コンデンサ1−1実装面の真裏に設けられた図示しないランドに接続され、図示しない3端子コンデンサ等のチップ部品がそのランド上にリフロー処理で半田付けされる場合がある。このような場合には、スルーホール210当該ランド側の開口から溶けた半田300が流入し、図7に示すように、グランド側接続ランド203のスルーホール210の開口210aから流出して隆起し、ホット側接続ランド201,202側に広がるおそれがある。
上記実装状態では、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7が、グランド外部電極6の下面6aの中央部からチップ体2の胴部上方向に貫通しているので、この貫通孔7はスルーホール210の真上に位置する。したがって、スルーホール210の開口210aから隆起した半田300は、真上で開口するグランド外部電極6の下面6aの孔7eから貫通孔7内に入り込む。このため、半田300が、スルーホール210から溢れ、グランド外部電極6の下面6aの両側からスペースS1,S2上に広がることはない。
したがって、この実施例の3端子コンデンサ1−1を用いることで、隆起した半田300によって、グランド側接続ランド203及びホット側接続ランド201,202間がショートするという事態の発生を防止することができる。
【0026】
上記のように、スルーホール210から溢れた半田300は、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7に入り込みグランド外部電極6の上面6b側に向かうので、図7の破線で示すように、半田300が、グランド電極4−1,4−2に接触した状態になる場合がある。このような場合には、グランド電極4−1,4−2が半田300を通じてスルーホール210に直接接続した状態になる。
これに対して、半田300が、貫通電極3に接触すると、貫通電極3とグランド電極4−1,4−2とがショートした状態になり、好ましくはない。しかし、この実施例の3端子コンデンサ1−1では、貫通電極3の孔30を、貫通孔7の孔7bよりも大径に設定すると共に、孔7bの外側と孔30の内側との間に、チップ体2を形成する絶縁性部材20を介在させて、貫通電極3が孔7b内に露出しないようにしているので、貫通孔7内に入った半田300が貫通電極3と接触することはない。
【0027】
図8は、等価直列インダクタンス低減効果を示す断面図である。
3端子コンデンサ1−1の上記実装状態において、ICのスイッチング動作等によって高周波のノイズ電流が、ICの電源端子に生じると、ノイズ電流は、図7において、ホット側接続ランド201から3端子コンデンサ1−1の外部電極5−1を通じて貫通電極3に流れ込む。そして、図8に示すように、ノイズ電流I1,I2が、グランド電極4−1,4−2を通じてグランド外部電極6からグランド側接続ランド203へと排出される。このとき、矢印で示すように、ノイズ電流I1,I2が、グランド側接続ランド203上を互いに逆方向から中央のスルーホール210に向かって流れる。この結果、それぞれの電流I1,I2が発生する磁界が互いに打ち消し合い、グランド外部電極6とグランド側接続ランド203とスルーホール210との間の等価直列インダクタンスが小さくなる。
【0028】
以上のように、この実施例によれば、スルーホール210から隆起した半田300を、3端子コンデンサ1−1の貫通孔7内や凹部に逃がし、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とのショートを防止するので、高品質の3端子コンデンサ実装基板を提供することができる。
【実施例2】
【0029】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図9は、この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図10は、図9の矢視C−C断面図である。
この実施例は、グランド外部電極の構成が上記第1実施例と異なる。
すなわち、図9に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−2は、1対のグランド外部電極6−1,6−2を有する。
具体的には、図10に示すように、第1のグランド外部電極としてのグランド外部電極6−1が、チップ体2の胴部中央部において側面2cから上面2e及び下面2fの縁部に渡って形成され、全体として断面コ字状の折曲形状を成している。そして、このグランド外部電極6−1が、グランド電極4−1,4−2の端部4aに接続されて、グランド外部電極6−1とグランド電極4−1,4−2との電気的接続が図られている。
また、第2のグランド外部電極としてのグランド外部電極6−2が、チップ体2の胴部中央部において側面2dから上面2e及び下面2fの縁部に渡って形成され、このグランド外部電極6−2も全体として断面コ字状の折曲形状を成している。そして、このグランド外部電極6−2も、グランド電極4−1,4−2の端部4bに接続されて、グランド外部電極6−2とグランド電極4−1,4−2との電気的接続が図られている。
【0030】
このようなグランド外部電極6−1,6−2を有する3端子コンデンサ1−2においては、貫通孔7は、チップ体2にのみ形成されている。
具体的には、貫通孔7は、チップ体2の胴部下面2fの中央部から上面2e側に貫通している。
そして、導電膜70が、貫通孔7の内壁に付着形成され、導電膜70とグランド電極4−1,4−2とが電気的に接続されている。なお、導電膜70を貫通孔7の内壁に形成するか否かは任意であり、導電膜70を貫通孔7の内壁に形成しない3端子コンデンサもこの発明の一態様であり、発明の範囲に含まれることは勿論である。
【0031】
次に、この実施例の3端子コンデンサ1−2の実装方法について説明する。
図11は、3端子コンデンサ1−2のショート防止効果を説明するための断面図である。
図11に示すように、3端子コンデンサ1−2の場合も、上記第1実施例の3端子コンデンサ1−1と同様に、外部電極5−1,5−2(図9参照)を、基板200上のホット側接続ランド201,202(図5及び図6参照)上に載置し、貫通孔7をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6−1,6−2を、グランド側接続ランド203に載置させることができる。この状態で、リフロー処理を行うことにより、外部電極5−1,5−2をホット側接続ランド201,202上に接続し、グランド外部電極6−1,6−2をグランド側接続ランド203に接続することができる。
また、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じたとしても、スルーホール210から隆起した半田300は、チップ体2の貫通孔7の開口から貫通孔7内に入り込むので、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202との間のショートを防止することができる。
【0032】
また、この実施例の3端子コンデンサ1−2では、導電膜70が貫通孔7の内壁に形成されているので、半田300が貫通孔7内に入り込むと、グランド電極4−1,4−2が、導電膜70及び半田300を通じて外部のスルーホール210に電気的に接続された状態になる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例3】
【0033】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図12は、この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図13は、図12の矢視D−D断面図である。
この実施例は、貫通孔7の代わりに凹部を設けた点が、上記第1実施例と異なる。
すなわち、図12に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−3は、下側に凹部8を有する。
具体的には、図13に示すように、グランド外部電極6の下面6aとチップ体2の下面2fとを上方向に所定高さだけ凹ませることで、3端子コンデンサ1−3の下側に凹部8を形成した。
【0034】
次に、この実施例の3端子コンデンサ1−3の実装方法について説明する。
図14は、3端子コンデンサ1−3のショート防止効果を説明するための断面図である。
図14に示すように、3端子コンデンサ1−3の外部電極5−1,5−2(図12参照)を、ホット側接続ランド201,202(図5参照)上に接続し、凹部8をスルーホール210の真上に位置させた状態で、グランド外部電極6を、グランド側接続ランド203に接続する。
かかる状態で、リフロー処理することで、3端子コンデンサ1−3を実装することができる。
また、半田300がスルーホール210から隆起するような事態が生じたとしても、スルーホール210から隆起した半田300が、グランド外部電極6の下面中央部に位置する凹部8内に入り込むので、グランド側接続ランド203とホット側接続ランド201,202とのショートは防止される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0035】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図15は、この発明の第4実施例に係る3端子コンデンサを示す斜視図であり、図16は、図15の矢視E−E断面図である。
この実施例は、貫通孔7の代わりに凹部を用いた点が、上記第2実施例と異なる。
すなわち、図15に示すように、この実施例の3端子コンデンサ1−4は、チップ体2の下側に凹部8′を有する。
具体的には、図16に示すように、チップ体2の下面2fの中央部を上方向に所定高さだけ凹ませることで、3端子コンデンサ1−4の下側に、凹部8′を形成した。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【符号の説明】
【0036】
1−1〜1−4…3端子コンデンサ、 2…チップ体、 2a…前面、 2b…後面、 2c,2d…側面、 2e,6b…上面、 2f,6a…下面、 3…貫通電極、 3a…前端、 3b…後端、 4−1,4−2…グランド電極、 4a,4b…端部、 5−1,5−2…外部電極、 6,6−1,6−2…グランド外部電極、 7…貫通孔、 7a〜7f,30…孔、 8,8′…凹部、 20…絶縁性部材、 21〜24…絶縁層、 70…導電膜、 200…基板、 201,202…ホット側接続ランド、 203…グランド側接続ランド、 210…スルーホール、 300…半田。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つ上記グランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部上下方向に貫通する貫通孔を設け、
上記貫通電極を抜ける孔を、上記貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する上記貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、上記絶縁性部材を介在させて、上記貫通電極が上記貫通孔内に露出しないように設定した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項2】
絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記チップ体の胴部下面中央部から上下方向に貫通する貫通孔を設け、
上記貫通電極を抜ける孔を、上記貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する上記貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、上記絶縁性部材を介在させて、上記貫通電極が上記貫通孔内に露出しないように設定した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項3】
請求項2に記載の3端子コンデンサにおいて、
上記貫通孔の内壁に、導電膜を付着させて、当該導電膜と上記グランド電極とを電気的に接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項4】
絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つ上記グランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記グランド外部電極の下面中央部から上記チップ体の胴部下面に渡って上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項5】
絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記チップ体の胴部下面中央部から上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項6】
3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、
上記3端子コンデンサとして、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の3端子コンデンサを用い、
当該3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、上記第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、上記貫通孔を上記スルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を上記グランド側接続ランドに接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサの実装方法。
【請求項7】
3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、
上記3端子コンデンサとして、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサを用い、
当該3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、上記第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、上記凹部を上記スルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を上記グランド側接続ランドに接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサの実装方法。
【請求項1】
絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つ上記グランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記グランド外部電極の下面中央部からチップ体の胴部上下方向に貫通する貫通孔を設け、
上記貫通電極を抜ける孔を、上記貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する上記貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、上記絶縁性部材を介在させて、上記貫通電極が上記貫通孔内に露出しないように設定した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項2】
絶縁性部材で形成したチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記チップ体の胴部下面中央部から上下方向に貫通する貫通孔を設け、
上記貫通電極を抜ける孔を、上記貫通孔よりも大径に設定すると共に、この孔内に位置する上記貫通孔の外側と貫通電極の孔の内側との間に、上記絶縁性部材を介在させて、上記貫通電極が上記貫通孔内に露出しないように設定した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項3】
請求項2に記載の3端子コンデンサにおいて、
上記貫通孔の内壁に、導電膜を付着させて、当該導電膜と上記グランド電極とを電気的に接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項4】
絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部を巻くように設けられ且つ上記グランド電極の両端に電気的に接続された周回形状のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記グランド外部電極の下面中央部から上記チップ体の胴部下面に渡って上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項5】
絶縁性のチップ体と、このチップ体に内包され前端及び後端がチップ体の前面及び後面に露出した貫通電極と、この貫通電極と上下方向で対向し且つ両端がチップ体の両側面にそれぞれ露出したグランド電極と、上記チップ体の前面及び後面にそれぞれ形成され且つ上記貫通電極の両端にそれぞれ電気的に接続された第1及び第2の外部電極と、チップ体の胴部中央部において一方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の一方端部に接続された折曲形状の第1のグランド外部電極と、チップ体の胴部中央部において他方の側面から少なくとも下面縁部に渡って形成され且つ上記グランド電極の他方端部に接続された折曲形状の第2のグランド外部電極とを備える3端子コンデンサであって、
上記チップ体の胴部下面中央部から上方向に所定高さだけ凹む凹部を設けた、
ことを特徴とする3端子コンデンサ。
【請求項6】
3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、
上記3端子コンデンサとして、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の3端子コンデンサを用い、
当該3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、上記第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、上記貫通孔を上記スルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を上記グランド側接続ランドに接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサの実装方法。
【請求項7】
3端子コンデンサを、基板上に所定間隔で配設された第1及び第2のホット側接続ランドと、これら第1及び第2のホット側接続ランドの間の中央のスペースに配設され且つその中央部にスルーホールを有するグランド側接続ランドとに実装する3端子コンデンサの実装方法であって、
上記3端子コンデンサとして、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサを用い、
当該3端子コンデンサの第1及び第2の外部電極を、上記第1及び第2のホット側接続ランド上に接続し、上記凹部を上記スルーホールの真上に位置させた状態で、グランド外部電極を上記グランド側接続ランドに接続した、
ことを特徴とする3端子コンデンサの実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−165776(P2011−165776A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24866(P2010−24866)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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