説明

4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンの調製方法

本発明は、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、式中、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である、それらの製造、それらを含有するリチウムイオン電池用溶媒混合物、およびリチウムイオン電池用導電性塩溶液、例えばLiPF含有溶液に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年5月28日出願の欧州特許出願第09161429.7号の優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、純粋な4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)および4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)の製造方法に関する。本発明はまた、本発明の方法における中間体として有用である4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)にも関する。
【背景技術】
【0003】
(特許文献1)には、フルオロ置換環状カーボネートを含む非水電解液が開示されている。これらの化合物を得ることができる方法は一切記載されていない。(特許文献2)には、塩基および溶媒の存在下、ハロゲン化カルボニルおよびヒドロキシケトンからの(薬物または薬物の中間体として適した)ハロゲン置換環状カーボネートの製造が開示されている。実施例では、クロロ置換化合物しか調製されていなかった。
【0004】
(非特許文献1)には、ある種の官能基へのカルボニルフルオリドの付加が記載されている。
【0005】
フッ素化されたジアルキルカーボネートおよびフッ素化されたアルキレンカーボネートが、リチウムイオン電池用の添加剤および溶媒として適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−306364公報
【特許文献2】独国特許出願公開第1031800号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】F.S.Fawcettら、Journal of American Chemical Society、84巻(1962年)、4275〜4285頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、フッ素原子を含有し、リチウムイオン電池用の添加剤または溶媒として適している新規有機環状カーボネートを提供することである。この目的は、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)、特に4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、およびそれらの特定の製造方法によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の一態様は、式(I):
【化1】

の化合物4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン[式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である]に関する。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルである。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。この態様の好ましい実施形態は、式(I):
【化2】

の純化合物4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン[式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である]に関する。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルである。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。「純粋な」という用語は、好ましくは99重量%以上、より好ましくは99.5重量%以上、非常に好ましくは99.9重量%以上、特に99.99重量%以上の純度を有する単一の式(I)の化合物を表わす。R’は、好ましくはHである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
純度99重量%以上の純粋な4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、RはC1〜C5アルキルを表わす)が好ましい。非常に好ましい式(I)の化合物は、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンである。4−フルオロ−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−フルオロ−4−i−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−オンも好ましい。これらの化合物において、R’はHである。
【0011】
式(I)(式中、R’はC1〜C3アルキル基である)の化合物は、シス異性体およびトランス異性体の形で存在することに留意しなければならない。
【0012】
最も好ましい化合物は4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンである。この化合物において、R’はHである。
【0013】
本発明の別の態様は、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす)の調製方法に関する。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルを表わす。本発明の4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である)調製方法は、
式(II)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である)の化合物FC(O)OCHR’C(O)Rの環化ステップを含み、あるいは
式(II’)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である)の化合物ClC(O)OCHR’C(O)Rの環化ステップと、その後の塩素−フッ素交換ステップとを含む。
【0014】
一代替策によれば、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンは、式(II)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキルである)の化合物FC(O)OCHR’C(O)Rの環化により調製される。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルを表わす。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。R’は、好ましくはHである。特に好ましくは、Rはメチルであり、R’はHである。
【0015】
環化反応は触媒されることが好ましい。
【0016】
一実施形態によれば、環化反応は含窒素ヘテロ環式化合物またはフッ化物イオンによって触媒される。Fイオンは、塩、好ましくは無機塩の形で反応混合物に導入することができる。アルカリ金属フッ化物、特にLiFは、Fイオンを提供する好ましい塩である。好ましい実施形態において、ヘテロ環式化合物は芳香族化合物である。例えば、ピリジンまたは2−メチルイミダゾールを触媒として使用することができる。特に好ましいのは、少なくとも1種のジアルキルアミノ基で置換されたピリジン、特にジアルキルアミノ基を4位に有するものである。4−ジメチルアミノピリジンは非常に好適である。他の4−ジアルキルアミノピリジン、例えばアルキルがC1〜C3アルキル基を表わすものも、好適であると考えられる。アルキル基は同じでも異なってもよい。
【0017】
含窒素ヘテロ環式化合物は、反応混合物中に広範囲で存在することができる。例えば、反応混合物の0.1〜10重量%の量で存在することができる。
【0018】
別の実施形態によれば、環化反応は、酸、特にフッ化水素(HF)によって触媒される。所望の場合、酸触媒を出発化合物に添加することができる。好ましい実施形態によれば、出発化合物は、塩化カルボニル、カルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドおよびヒドロキシケトン(後に説明されることになる)から調製される。この実施形態において、酸、すなわちHClおよび/またはHFは反応生成物として生成される。したがって、この実施形態において、酸を添加して、環化反応を触媒することは必要ではない。これは、酸触媒を添加する別個のステップが不要になるので言うまでもなく有利である。
【0019】
環化反応は、好ましくは20℃以上の温度で行われる。環化反応は、好ましくは50℃以上の温度で行われる。環化反応は、好ましくは200℃以下の温度で行われる。
【0020】
環化反応は、液相において行われる。環化反応は、バッチ式または連続式で行うことができる。
【0021】
環化反応は、無溶媒または溶媒の存在下で行うことができる。好適な溶媒は、非プロトン性有機溶媒である。例えば、エーテル、エステル、クロロカーボン、ペルフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、炭化水素、および芳香族炭化水素、例えばベンゼン、1種または複数のC1〜C3アルキル基で置換されたベンゼン、1種または複数のハロゲン原子で置換されたベンゼンが好適である。トルエンまたはテトラヒドロフランが非常に好適である。また、それぞれの標的生成物4−フルオロ−4−アルキル−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンも好適な溶媒である。追加の化合物を分離する必要がないので、ワークアップは特に簡単である。
【0022】
生成された4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンは、公知の方式、例えば蒸留、結晶化または沈殿で単離することができる。
【0023】
好ましい実施形態において、式(II)の化合物は、カルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドと式(III)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす)のヒドロキシケトンRC(O)CHR’OHから調製される。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル基、より好ましくはC1〜C3アルキル基である。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。R’は、好ましくはHである。特に好ましくは、式(III)(式中、Rは、メチル、エチル、i−プロピルまたはn−プロピルであり、R’はHである)の化合物が出発材料として使用される。
【0024】
カルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドとヒドロキシケトンのモル比は、好ましくは0.95:1以上、より好ましくは1:1以上である。好ましくは4:1以下であり、より好ましくは2.5:1以下である。わずかにモル過剰のカルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドが有利である。
【0025】
好ましい一代替策によれば、カルボニルフルオリドとヒドロキシアセトンの反応は、好ましくはHF捕捉剤の存在下、例えば第三級アミン、HFを吸収するフッ化物塩、またはN−ヘテロ環式芳香族化合物の存在下で行われる。特に好ましくは、LiF、NaF、KFまたはCsFが、HF捕捉剤として適用される。
【0026】
好ましい一代替策によれば、カルボニルクロリドフルオリドとヒドロキシアセトンの反応は、HCl捕捉剤の存在下、例えば第三級アミンまたはN−ヘテロ環式芳香族化合物の存在下で行われる。その結果生じるHFはいずれも、捕捉剤によって拘束されることになる。
【0027】
カルボニル化合物とケトンの反応は、好ましくは液相において行われる。反応は、好ましくは50℃以下の温度で行われる。より好ましくは、反応は0℃以下の温度で行われる。
【0028】
反応は、無溶媒または溶媒の存在下で行うことができる。好適な溶媒は、非プロトン性有機溶媒である。例えば、エーテル、エステル、クロロカーボン、ペルフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ヒドロクロロカーボン、炭化水素、および芳香族炭化水素、例えばベンゼン、1種または複数のC1〜C3アルキル基で置換されたベンゼン、1種または複数のハロゲン原子で置換されたベンゼンが好適である。トルエンまたはテトラヒドロフランが非常に好適である。式(II)の化合物とヒドロキシケトンの反応生成物が中間体として使用される式(I)のそれぞれの化合物は、溶媒としても使用することができる。
【0029】
所望の場合、式(II)の化合物を、公知の方法、例えば蒸留、結晶化または沈殿で単離することができる。好ましくは、上述されたように単離することなく、第2のステップで式(I)の化合物へとさらに反応させる。
【0030】
第2の好ましい代替策によれば、カルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドとヒドロキシケトンの反応は、酸捕捉剤の非存在下で行われる。この代替策において、反応を溶媒の非存在下で行うことが好ましい。
【0031】
カルボニル化合物とヒドロキシケトンは、ワンポット反応で反応して、式(I)の化合物を生成することが明らかになった。式(II)の中間化合物は、単離または精製する必要がない。したがって、好ましい実施形態は、式(I)の化合物の調製方法であって、式(II)(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)の化合物FC(O)OCHR’C(O)Rが、第1のステップにおいてカルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドと式(III)(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)のヒドロキシアセトンRC(O)CHR’OHから調製され、第1のステップにおいて生成された式(II)の化合物が、第2のステップにおいてさらに反応して、式(I)の化合物を生成し、その方法において、第1のステップおよび第2のステップはワンポット反応で行われる方法を提供する。好ましくは、反応を開始するとき、出発化合物の混合物は、カルボニル化合物およびヒドロキシケトンからなる。カルボニルフルオリドがカルボニル化合物として使用される場合には、反応中にHFが放出され、またはカルボニルクロリドフルオリドがカルボニル化合物として使用される場合にはHClおよびHFが放出されるので、反応が開始した後、反応混合物にはHFおよび/またはHCが含まれている。これは、第三級アミンのような塩基の存在下で行われる反応と異なる。というのは、これらの塩基は、生成されたハロゲン化水素を拘束するからである。
【0032】
式(II)の中間化合物の単離は必要でない。ハロゲン化カルボニルとヒドロキシケトンの反応において副生物として生成されたHFまたはHClは、反応混合物中に残留する可能性があり、あるいは反応中または反応が終結した後に除去することができる。酸、特にHFは、触媒として作用するようである。
【0033】
この実施形態において、カルボニルフルオリドが好ましいハロゲン化カルボニルである。生成されたHFの除去が反応中に予定されていない場合、出発材料は、冷却反応器、特に加圧可能な反応器に加えられる。反応器の冷却を止め、反応器内容物を温めることによって、または温度を室温に上がらせることによって反応混合物を室温にする。式(I)の化合物は、室温(約20℃)であっても生成されるが、反応混合物を加熱することが好ましい。好ましくは、反応混合物を70℃以下の温度に加熱する。好ましくは、反応混合物を、オートクレーブ中、自生圧力下で反応させる。反応混合物を撹拌する、または反応器内容物を混合する他の手段を適用することが好ましい。
【0034】
(カルボニルクロリドフルオリドが出発化合物として使用されるとき)生じるHClおよびHF、またはカルボニルフルオリドが使用される好ましい実施形態において生じるHFは、反応の終結後に反応混合物から除去される。次に、カルボニルフルオリドを出発化合物として使用する好ましい実施形態に鑑みて、本発明をさらに説明する。
【0035】
オートクレーブを反応器として適用する場合、圧力を解放する。次いで、フッ化水素を、当技術分野において公知である方法で反応混合物から除去する。例えば、反応混合物を蒸留する、または真空を適用する。HFを除去する好ましい方式は、反応混合物に不活性ガスを通気することである。窒素は、不活性ガスとして特に適している。反応混合物および/または不活性ガスを加熱して、HFの除去を改善することができる。反応混合物に不活性ガスを通気しながら、真空を適用して、HF除去を改善または加速することができる。得られた粗生成物中のHF含有量が所望の低レベルである場合、例えば得られた粗生成物中のHF含有量が2重量%以下である場合、式(I)の化合物を本質的に含有する得られた粗生成物を、少なくとも1つの別の精製ステップにかけることができる。別の精製ステップは、クロマトグラフ方法とすることができる。式(I)の粗化合物を蒸留で精製することが好ましい。
【0036】
ハロゲン化水素(カルボニルフルオリドが出発材料として使用されるときはHF、カルボニルクロリドフルオリドが出発材料として使用される場合はHFおよびHCl)を除去するよう意図されている場合、反応混合物に不活性ガス、特に窒素を通気して、反応中に生成されるハロゲン化水素の少なくとも一部分が除去されるように反応を行うことが好ましい。反応は、好ましくは周囲圧力で行われる。酸捕捉剤は加えない、すなわちハロゲン化水素が反応混合物中に存在し、好ましくは反応は溶媒の非存在下、すなわち無溶媒で行われる。カルボニルフルオリドは、反応を開始する前にヒドロキシケトンに添加することができる。反応を行う代替方式においては、カルボニルフルオリドおよび不活性ガス、特に窒素を、反応器中の液体に連続通気する。カルボニル化合物および不活性ガスは、別々にまたは混合物の形で反応器に入り込ませることができる。カルボニル化合物と不活性ガスの体積比は、例えば1:9〜9:1の範囲で様々となり得る。本発明の別の態様は、式(II)の化合物FC(O)OCHR’C(O)R(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキルである)である。C4原子上の置換基に関して、「アルキル」という用語は、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキルを表わす。最も好ましくは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。特に好ましくは、Rはメチルであり、R’はHである。これらの化合物は、上述されたように製造することができ、上述されたようにリチウムイオン電池の添加剤または溶媒として有用である式(I)の化合物を調製するための中間体として使用することができる。
【0037】
以下に、式(I)の化合物の製造について別の代替策を説明する。
【0038】
本発明の好ましい方法は、
a)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンと式(III)(式中、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)のヒドロキシアセトンRC(O)CHR’OHを反応させて、ClC(O)OCHR’C(O)Rを含有する反応混合物を生成するステップと、
b)環化反応を行うステップと、
塩素−フッ素交換反応を行うステップと
を含み、塩素−フッ素交換反応をステップa)の後に行い、その結果FC(O)OCHR’C(O)Rを含む反応混合物を生成し、場合による精製後に、ステップb)の環化反応にかける、または
ステップa)において生成されたClC(O)OCHR’C(O)Rを4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンに変換し、次いで塩素−フッ素交換反応にかけて、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンを生成するように、塩素−フッ素交換反応をステップb)の後に行う、
ただし、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基であることを条件とする。もちろん、出発材料のRおよびR’は、中間体生成物および最終生成物のRおよびR’と同じ意味を有する。
【0039】
この代替策において、クロロ置換化合物が関与しており、(II)の化合物は、それぞれ式(IV):
【化3】

[式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である]の化合物4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンから塩素−フッ素交換反応で調製される。Rは、好ましくはC1〜C5アルキル基、より好ましくはC1〜C3アルキル基である。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす。
【0040】
式(IV)(式中、Rはアルキル基であり、R’はHである)の化合物4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、好ましくは99重量%以上の純度を有し、より好ましくは99.9重量%以上の純度を有する式(IV)(式中、Rはアルキル基であり、R’はHである)の純化合物4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンは新規であり、また本発明の実施形態でもある。好ましい化合物は、4−クロロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンである。式(IV)の化合物は、式(I)の化合物を、例えば以下に記載するような方式で調製するための中間体として有用である。
【0041】
中間体である式(IV)のクロロ置換カーボネートと、塩素原子をフッ素原子で置換することができる反応物質とを反応させる。この反応は「Halex」反応と呼ばれる。塩素−フッ素交換を行うのに適した反応物質は、一般に公知である。このような反応物質として特に適しているのは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属フッ化物、フッ化アンモニウム、式(VI)のアミンフッ化水素酸塩N(R(式中、置換基Rは同じであるか異なり、HまたはC1〜C5基を表わす、ただし、少なくとも1つの置換基RがC1〜C5アルキル基であることを条件とする)である。フッ化物の代わりに、またはそれらに加えて、フッ化水素酸付加物、例えばCsF・HFを、Halex反応に使用することができる。他のフッ化物、例えばAgFも、同様に反応物質として適している。Halex反応は、溶媒の非存在下または存在下、例えばニトリルもしくはエーテルの存在下で行うことができる。しばしば、反応は高温、例えば50℃以上の温度で行われる。
【0042】
フッ素化反応物質の塩化物塩およびおそらく過剰のフッ化物塩、ならびにフッ素化されたカーボネート、ならびにおそらく未反応の出発材料を含む反応混合物のワークアップは、公知の方式で行われる。例えば、固体を濾過により除去し、液相を水抽出および分別蒸留または溶媒除去後に沈殿にかける。
【0043】
式(IV)の化合物は、塩化カルボニルまたはその2量体(ジホスゲン)または3量体(トリホスゲン)と式(III)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)のヒドロキシケトンRC(O)CHR’OHを反応させて、式(II’)(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)の化合物ClC(O)OCHR’C(O)Rを生成し、その後、環化反応を行うことによって製造されることが好ましい。最も好ましくは、R’はメチル、エチル、i−プロピルまたはn−プロピルを表わす。R’は、好ましくはHである。特に好ましくは、式(III)(式中、Rは、メチル、エチル、i−プロピルまたはn−プロピルであり、R’はHである)の化合物を出発材料として使用する。ホスゲンまたはその2量体もしくは3量体とヒドロキシケトンの反応を行う条件は、カルボニルフルオリドとヒドロキシケトンとの反応それぞれについて記載されている通りである。環化反応の条件は、式(II)の化合物それぞれの環化反応について上述された条件に対応する。次いで、上述されたように環状生成物とフッ素化試薬を反応させて、式(I)の化合物を生成する。
【0044】
この実施形態の修正によれば、第1のステップにおいて、塩化カルボニルまたはその2量体(ジホスゲン)または3量体(トリホスゲン)と式(III)(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)のヒドロキシケトンRC(O)CHR’OHを反応させて、式(II’)(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)の化合物ClC(O)OCHR’C(O)Rを生成する。次いで、得られたクロロ化合物を、上述されたようにHalex反応により対応するフルオロ化合物にかける。次いで、得られたFC(O)OCHR’C(O)Rを、上述されたように環化反応にかける。
【0045】
式(I)の化合物4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンの好ましい製造方法は、
カルボニルフルオリドと式(III)(式中、Rはアルキルであり、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキル、最も好ましくはメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わし、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす)のヒドロキシケトンRC(O)CHR’OHを反応させて、式(II)(式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する)の化合物FC(O)OCHR’C(O)Rを生成するステップと、
式(II)の化合物を環化して、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンを生成するステップと
を含む。
【0046】
2つのステップの好ましい反応条件は、上記に詳細に説明されている。
【0047】
すべての生成物は、エナンチオマーのラセミ混合物として得られ、または得ることができ、さらに式(I)(式中、R’はC1〜C3アルキル基である)の化合物の場合は、ジアステレオマーのシス異性体とトランス異性体の混合物が得られることに留意しなければならない。「純化合物」という用語は、エナンチオマーのラセミ混合物を包含するということにも留意しなければならない。「純化合物」という用語は、ジアステレオマーのシス異性体とトランス異性体の混合物も包含するということにも留意しなければならない。
【0048】
本発明の4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキル、最も好ましくはメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わし、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす)、特に4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンは、リチウムイオン電池用の溶媒または添加剤として特に有用である。これらは、ニート溶媒として使用することができるが、好適なリチウムイオン電池用溶媒として公知の1種または複数の溶媒と共に、添加剤として適用することが好ましい。本発明の化合物は、電極の少なくとも一方、おそらくアノードに保護フィルムを形成すると想定される。
【0049】
したがって、少なくとも1種の4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、好ましくはC1〜C5アルキル、より好ましくはC1〜C3アルキル、最も好ましくはメチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わし、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす)およびリチウムイオン電池に適した少なくとも1種の他の溶媒を含む溶媒混合物は、本発明のさらにもう1つの対象である。
【0050】
溶媒混合物の少なくとも1種の他の溶媒は、Liイオン電池の溶媒として有用であることが公知である任意の溶媒である。ジアルキルカーボネートおよびアルキレンカーボネートからなる群から、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートからなる群から選択されることが好ましい。
【0051】
これらが、主に溶媒としての機能で使用される場合、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンは、溶媒の100重量%を構成することができ、またはリチウムイオン電池で使用される他の溶媒を含む混合物中のその内容物、例えば上記のものは、極めて高く、例えば溶媒混合物の20重量%から<100重量%までとすることができる。
【0052】
これらは、例えば電池の電極の少なくとも一方に保護フィルムを形成するための溶媒を含む混合物中に主に添加剤としての機能で含められる場合、溶媒を含む混合物中に、好ましくは混合物の全重量の0.5重量%以上の量で含有される。好ましくは、これらは、溶媒を含む混合物中に、混合物の20重量%以下の量で含有される。しばしば、混合物中におけるこれらの含有量は、10重量%以下である。
【0053】
好ましくは、リチウムイオン電池用溶媒混合物は、フッ素化された添加剤および少なくとも1種の別のリチウムイオン電池用溶媒を含有する。ただし、少なくとも1種のフッ素化された添加剤は、式(I)の単一の純化合物4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン(式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である)であることを条件とし、かつ式(I)の化合物の純度は、99.9重量%以上であることを条件とする。
【0054】
所望の場合、溶媒と添加剤の混合物は、別の添加剤、例えばフルオロエチレンカーボネート、tert−アミルベンゼンまたはトリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェートを含有することができる。
【0055】
本発明のさらにもう1つの態様は、リチウムイオン電池用電解質溶液に関する。これらの電解質溶液は、上述する添加剤と溶媒の混合物、および導電性塩を含有する。導電性塩は、当技術分野において公知である。LiPFは、好ましい導電性塩である。他の導電性塩、例えばビスオキサラトホウ酸リチウム(LiBOB)、ビス(フルオロスルホニル)イミドリチウム(LiFSI)、ビス(トリフルオロスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)またはLiBFは、本発明の電解質溶液の構成要素としても適している。
【0056】
電解質溶液中における導電性塩の量は可変であるが、通常1±0.5molの導電性塩が溶解した形で含有される。
【0057】
本発明の方法は、環のC4炭素原子上にフッ素原子を選択的に含む高純度ジオキソラノンの選択的製造を可能にする。したがって、所定の特性を有するリチウムイオン電池用溶媒または溶媒混合物を生成することが容易に可能である。
【0058】
参照により本明細書に組み込まれるいずれかの特許、特許出願、および刊行物の開示内容が、用語を不明確にする恐れがある程度に本出願の明細書と矛盾する場合、本明細書が優先するものとする。
【0059】
次に、本発明を実施例により説明するが、実施例は本発明を限定するものではない。
【0060】
実施例1:FC(O)OCHC(O)CHの調製
ヒドロキシアセトン(31.74g;0.42mol;Alfa Aeserから入手可能)を乾燥トルエン50mlに溶解した。乾燥したNaF(32g、0.76mol)をHF捕捉剤として添加した。2時間にわたって、カルボニルフルオリド(45g;0.68mol)を、−78℃に維持した溶液に導入した。次いで、得られた反応混合物を周囲温度(約20℃)にし、固体(主にNaF・HF)を濾取した。
【0061】
所望の場合、生成したFC(O)OCHC(O)CHを分別蒸留で単離することができる。
【0062】
実施例2:4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンの調製
実施例の濾液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.5g)を添加し、得られた溶液を80℃で4時間撹拌した。冷却した後、揮発性の構成要素、特にトルエンを回転式エバポレータによって除去し、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを分別蒸留で単離した。
【0063】
沸点は88℃(20mbar)であった。
収量:11.72g(理論値の21%)
【0064】
実施例3:リチウムイオン電池用溶媒混合物の調製
3.1. 4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートを含む混合物
4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートを重量比1:19で混合する。
【0065】
3.2. 4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとジメチルカーボネートを含む混合物
4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとジメチルカーボネートを重量比1:19で混合する。
【0066】
3.3. 4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとプロピレンカーボネートを含む混合物
4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとプロピレンカーボネートを重量比1:19で混合する。
【0067】
3.4. 4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを含む混合物
4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを重量比1:9.5:9.5で混合する。
【0068】
3.5. 4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを含む混合物
4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンとエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを重量比1:9.5:9.5で混合する。
【0069】
実施例4:LiPF含有電解質溶液の調製
実施例4.1:実施例3.1の溶媒混合物へのLiPFの溶解
LiPFを、湿気との接触を防止する注意の下、例えばグローブボックス中、アルゴンまたは窒素雰囲気下で、LiPFの濃度が1モル濃度になるように実施例3.1の溶媒混合物に溶解する。
【0070】
実施例4.2:実施例3.2の溶媒混合物へのLiPFの溶解
LiPFを、LiPFの濃度が1モル濃度になるように実施例3.2の溶媒混合物に溶解する。
【0071】
実施例4.3:実施例3.3の溶媒混合物へのLiPFの溶解
LiPFを、LiPFの濃度が1モル濃度になるように実施例3.3の溶媒混合物に溶解する。
【0072】
実施例4.4:実施例3.4の溶媒混合物へのLiPFの溶解
LiPFを、LiPFの濃度が1モル濃度になるように実施例3.3の溶媒混合物に溶解する。
【0073】
実施例5:酸捕捉剤の非存在下および溶媒の非存在下、周囲圧力でのFC(O)OCHC(O)CHの調製
ヒドロキシアセトン(100g、1.35mol)を二口PFAフラスコに加える。氷/水浴で0℃に冷却するとき、液体に、激しく撹拌下、COFとNの混合物を、ヒドロキシアセトンがすべて消費されるまでバブリングする。ここで、反応混合物を100℃にし、反応混合物に窒素を2時間バブリングする。
【0074】
所望の場合、生成したFC(O)OCHC(O)CHを分別蒸留で単離することができる。あるいは、塩基、例えばジメチルアミノピリジンまたはHFを添加することができ、環化反応を行って、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを得ることができる。
【0075】
実施例6:塩基の非存在下、自生圧力下での4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンの調製
ヒドロキシアセトン(100g、1.35mol)をステンレス鋼製圧力反応器に加えた。反応器を閉め、イソプロパノール/ドライアイス浴中で30分間冷却した。カルボニルフルオリド(90g、1.35mol)を反応器に加えた。圧力が25バールまで上昇した。反応器をイソプロパノール/ドライアイス浴中でさらに2時間維持し、その後、反応を室温まで温まらせた。次いで、反応を50℃に18時間加熱した。過剰のCOFを圧力解放により除去し、その後、反応混合物を100℃にした。窒素を用いて、混合物を100℃で2時間ストリッピングすることによって、揮発性化合物を除去した。反応器を開放し、純度94.6%の暗色粘性液体粗生成物(109.2g)を得た。所望の場合、生成した4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを、分別蒸留で単離することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、式中、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である、の化合物。
【請求項2】
99重量%以上の純度を有する、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Rが、メチル、エチル、i−プロピルおよびn−プロピルを表わす、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である、の調製方法であって、式(II)、FC(O)OCHR’C(O)R、式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である、の化合物の環化ステップを含むか、または式(II’)、ClC(O)OCHR’C(O)R、式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3基である、の化合物の環化ステップとその後の塩素−フッ素交換ステップとを含む、方法。
【請求項5】
RがC1〜C5アルキルを表わす、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記環化反応が、含窒素ヘテロ環式化合物またはFによって触媒される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記式(II)、FC(O)OCHR’C(O)R、式中、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である、の化合物が、カルボニルフルオリドまたはカルボニルクロリドフルオリドと式(III)、RC(O)CHR’OH、式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する、のヒドロキシアセトンから調製される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
a)ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンと式(III)、RC(O)CHR’OH、式中、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基である、のヒドロキシアセトンを反応させて、ClC(O)OCHR’C(O)Rを含有する反応混合物を生成するステップと、
b)環化反応を行うステップと、
塩素−フッ素交換反応を行うステップと
を含み、
前記塩素−フッ素交換反応をステップa)の後に行い、その結果FC(O)OCHR’C(O)Rを含む反応混合物が生成され、オプションの精製後に、前記ステップb)の環化反応にかけられるか、または
前記塩素−フッ素交換反応をステップb)の後に行い、その結果ステップa)において生成されたClC(O)OCHR’C(O)Rが4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンに変換され、次いで前記塩素−フッ素交換反応にかけられて、4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オンが生成され、
ただし、Rはアルキル基であり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基であることを条件とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記式(II)、FC(O)OCHR’C(O)R、式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する、の化合物が、第1のステップにおいてカルボニルフルオリドと式(III)、RC(O)CHR’OH、式中、RおよびR’は上記に示した意味を有する、のヒドロキシアセトンから調製され、前記第1のステップにおいて生成された前記式(II)の化合物が、第2のステップにおいてさらに反応して、前記式(I)の化合物を生成し、前記第1のステップおよび前記第2のステップはワンポット反応で行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
式(II)、FC(O)OCHR’C(O)R、式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキルである、の化合物。
【請求項11】
アルキルがC1〜C5アルキルを表わす、請求項10に記載の式(II)の化合物。
【請求項12】
少なくとも1種の4−フルオロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、式中、Rはアルキルであり、R’はHまたはC1〜C3アルキル基を表わす、およびリチウムイオン電池に適した少なくとも1種の他の溶媒を含有するリチウムイオン電池用溶媒混合物。
【請求項13】
請求項13に記載の溶媒混合物およびリチウムイオン電池用導電性塩、好ましくはLiPFを含有するリチウムイオン電池用電解質溶液。
【請求項14】
式(IV)、4−クロロ−4−R−5−R’−1,3−ジオキソラン−2−オン、式中、Rはアルキル基であり、R’はHである、の化合物。
【請求項15】
99重量%以上の純度を有する、請求項14に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−528116(P2012−528116A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512366(P2012−512366)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057281
【国際公開番号】WO2010/136506
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】