説明

4工程の持続性毛髪繊維処理法

【課題】新たな毛髪処理(ヘアートリートメント)法、並びに毛髪を持続的に弛緩(リラクシング)させるための方法を提供する。
【解決手段】次の工程を具備してなる毛髪処理方法:1又は複数の還元剤を化粧品として許容される媒体中に含有してなるアルカリ性組成物を毛髪に塗布し、次いで該毛髪をすすぎ、1又は複数のセラミドを化粧品として許容される媒体中に含有してなる酸性のpH値を有する組成物を毛髪に塗布し、次いで該毛髪をすすぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、僅かに還元性のアルカリ性組成物を塗布する工程とセラミドを含有する酸性pH値の組成物を塗布する工程を具備する毛髪処理(ヘアートリートメント)法、並びに毛髪を持続的に弛緩(リラクシング)させるためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の毛髪、特にアジア人の毛髪は、天然に堅く真っ直ぐである。
女性は、毛髪に異なった形、つまりカールしたテクスチャーを必ずしも付与することなく、かかるストレート性を壊したいと考える。
【0003】
毛髪をよりしなやかに弛緩させるための処理方法は知られている。かかる方法はコンディショニング剤を使用するか、あるいはシリコーン類又はカチオン性ポリマーを含む非リンス処理からなる。
かかる方法は毛髪にソフト化効果をもたらしうるが、そのような効果は長く続かない。
従って、毛髪スタイルに異なった形を必ずしも付与することなく毛髪繊維を持続的に弛緩させることを可能にする毛髪処理方法を提供する必要がある。かかる方法は、自然のままの毛髪の感触に影響を及ぼしてはならず、つまりべとつき感(脂肪性)も重たい感じもあってはならない。
【発明の概要】
【0004】
本出願人は、僅かに還元性のアルカリ性組成物を塗布する工程とセラミドを含有する酸性pH値の組成物を塗布する工程を含む毛髪処理方法を実施すると、従来技術の問題を解消し、毛髪繊維を持続的に弛緩させることができることを発見した。
セラミド含有組成物を毛髪に塗布する工程と毛髪温度を高くする工程を含む毛髪のストレート化のための毛髪処理方法は欧州特許出願公開第1468667号から知られている。
システイン-及び/又はシステアミン含有組成物をケラチン物質に塗布することを含むケラチン物質の永続的な再成形のための処理方法は仏国特許出願公開第2767486号からまた知られている。
【0005】
最後に、還元工程と酸化工程を含みうる毛髪処理方法は特開2005−162699号からまた知られている。酸化組成物は過酸化水素又はブロメートのような酸化剤を必ず含む。そのような酸化組成物はまたpH調節剤を含有しうる。特開2005−162699号は、酸化組成物及び還元組成物の双方に使用することができる単純な添加剤としてセラミドのことに言及してはいる。しかしながら、何れの実施例にもセラミドの使用は開示していない。この文献は還元工程の後に酸性pH値のセラミド含有組成物を塗布する工程を含む処理方法は何ら開示していない。
そのような方法は毛髪繊維を持続的に弛緩させることには成功しない。
【0006】
よって、
− 一又は複数の還元剤を化粧品として許容される媒体中に含有するアルカリ性組成物を毛髪に塗布し、
− 該毛髪をすすぎ、
− 一又は複数のセラミドを化粧品として許容される媒体中に含有する酸性pH値を有する組成物を毛髪に塗布し、ついで
− 該毛髪をすすぐ
ことからなる工程を含む毛髪処理方法を提供することが本発明の目的である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において使用されるアルカリ性組成物中に存在する一又は複数の還元剤は、好ましくはアルカリ性組成物の全重量の0.1〜4重量%、より好ましくは1〜2重量%を占める。
該一又は複数の還元剤は、化粧品組成物に伝統的に使用されている全ての還元剤から選択することができる。
よって、本発明において好適に使用される一又は複数の還元剤は、典型的には、式
H(X')(R)
[上式中、X'はP、S又はSOを表し、qは0又は1であり、rは1又は2であり、Rは、一種のヘテロ原子が介在していてもよく、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミン又はカルボキシ基、((C−C30)アルキル)アミノカルボニル基、((C−C30)アシル)アミノ基、モノ-又はジアルキルアミノ基、モノ-又はジヒドロキシルアミノ基、又は塩基とのその一つの塩から選択される置換基を有していてもよい直鎖状、分枝状、飽和、不飽和の(C−C20)炭化水素基である。]
の還元剤から選択される。
【0008】
好適な還元剤としては、チオグリコール酸、チオ乳酸、グリセロールモノチオグリコレート、システアミン、N-アセチルシステアミン、N-プロピオニルシステアミン、システイン、N-アセチルシステイン、チオリンゴ酸、パンテテイン、2,3-ジメルカプトコハク酸、N-(メルカプトアルキル)-ω-ヒドロキシアルキルアミド類、N-モノ-又はN,N-ジアルキル-メルカプト-4-ブチルアミド類、アミノメルカプト-アルキルアミド類、N-(メルカプトアルキル)スクシンアミド酸及びN-(メルカプトアルキル)スクシンイミド誘導体、アルキルアミノメルカプトアルキルアミド類、2-ヒドロキシプロピルチオグリコネート及び(2-ヒドロキシ-1-メチル)エチルチオグリコレート共沸混合物、メルカプトアルキルアミノアミド類、N-メルカプト-アルキルアルカンジアミド類及びホルムアミジンスルフィン酸誘導体、及びそれらの塩を挙げることができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、一又は複数の還元剤はシステイン又はN-アセチルシステインから選択される。
【0009】
還元剤に加えて、本発明によって使用されるアルカリ性組成物は、ゲル化剤及び/又は増粘剤、グリコール類、還元剤の効果を促進するための膨潤及び浸透剤、シリコーン類、及び香料から選択される一又は複数種の化粧品用活性剤を含有しうる。
該一又は複数のゲル化剤及び/又は増粘剤は、セルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばHERCULES社から市販されているAQU D-3295A、グアーガムとその誘導体、例えばジャガー(JAGUAR)HP105の商品名でRHODIA社から市販されているヒドロキシプロピルグアー、微生物由来のグアーガム、例えばキサンタンガム及びスクレログルカンガム、キャロブビーンガム、キチン及びキトサン誘導体、カラギーナン類、クレー、ポリ(オキシアルキレン)グリコール類、ポリ(オキシアルキレン)グリコールエステル、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸架橋ホモポリマー、例えばCARBOMER、アクリレート類とC−C30アルキルアクリレート類のコポリマー、例えばヘキスト社から市販されているBOZEPOL C、アクリルアミドとアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のコポリマー、例えばSEPPIC社から市販されているセピゲル(SEPIGEL)305、アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドのコポリマー、例えばSEPPIC社から市販されているセピゲル901、トリメチルエチルアンモニウムメタクリレートクロライドとアクリレートのコポリマー、例えばアライド・コロイズ社から市販されているサルケア(SALCARE)SC92、及びエチルトリメチルアンモニウムメタクリレートクロライドのホモポリマー、例えばアライド・コロイズ社から市販されているサルケアSC95から選択されうる。
【0010】
本発明の方法で使用されるアルカリ性組成物に存在しうるシリコーン類は、特に、組成物に不溶性のポリオルガノシロキサン類であり、油、ロウ、樹脂又はガムの形態で存在していてもよい。
オルガノポリシロキサン類は、ウォルター・ノール(Walter Noll)の「シリコーンの化学と技術(Chemistry and Technology of Silicones)」(1968)、アカデミック・プレス(Academic Press)社版に、より詳細に定義されている。
シリコーン類は揮発性又は非揮発性であってよい。
【0011】
揮発性である場合、シリコーン類は、特に60℃〜260℃の範囲の沸点を有するもの、更により詳細には次のものから選択される:
(i) 3〜7、好ましくは4〜5のケイ素原子を有する環状シリコーン類。
その適切な例には、特に、ユニオン・カーバイド(UNION CARBIDE)社から「揮発性シリコーン7207」又はローン・プーラン(RHONE-POULENC)社から「シルビオン(SILBIONE)70045V2」の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、ユニオン・カーバイド社から「揮発性シリコーン7158」又はローン・プーラン社から「シルビオン70045V5」の商品名で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物が含まれる。
ジメチルシロキサンとメチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば次の化学式:
【化1】

を有する、ユニオン・カーバイド社から市販されている「シリコーンボラタイル(登録商標)FZ3109」をまた挙げることができる。
ケイ素から誘導された有機化合物と環状シリコーン類の混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールの(50:50)混合物、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビスネオペンタンの混合物を挙げることもできる。
【0012】
(ii) 2〜9のケイ素原子を有し、25℃で5×10−6/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性シリコーン類、例えば、東レ・シリコーン(TORAY SILICONE)社から「SH200」の商品名で市販されているデカメチルテトラシロキサン。このクラスに属するシリコーン類は、コスメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and Toiletries)の第91巻、1月、76、27-32頁、トッド・アンド・バイヤーズ(TODD & BYERS)の「化粧品のための揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmetics)」において刊行されている論文にまた記載されている。
【0013】
非揮発性シリコーン類が好ましくは使用され、より詳細には、ポリアルキルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類、シリコーン系ガム及び樹脂、有機官能基で変性したポリオルガノシロキサン類、並びにそれらの混合物が使用される。
これらのシリコーン類は、より詳細にはポリアルキルシロキサン類から選択され、粘度が25℃で5×10−6〜2.5m/s、好ましくは1×10−5〜1m/sの範囲であるトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサン類を特に挙げることができる。シリコーン類の粘度は、例えばASTM445規格、アペンディクスCに従って25℃で測定される。
【0014】
これらのポリアルキルシロキサン類には、非限定的な例として、次の市販品が含まれる:
− ローン・プーラン社から市販されているミラシル(MIRASIL)油又は47及び70047シリーズのシルビオン(登録商標)油、例えばオイル70047V500000;
− ローン・プーラン社から市販されているミラシル(登録商標)シリーズの油;
− ダウ・コーニング(DOW CORNING)社の200シリーズの油、特に粘度が60000cStのDC200;
− ゼネラル・エレクトリック(GENERAL ELECTRIC)社のビスカシル(登録商標)(VISCASIL)油及びジェネラル・エレクトリック社のSFシリーズの所定の油(SF96、SF18)。
【0015】
ジメチルシラノール末端基を有するポリジメチルシロキサン類(CTFA名=ジメチコノール)、例えばローン・プーラン社の48シリーズの油を挙げることもできる。
アミノエチル、アミノプロピル及びα, ωシラノール基含有ポリジメチルシロキサン類をまた挙げることができる。
このポリアルキルシロキサンクラスには、ポリ(C-C20)アルキルシロキサン類である、ゴールドシュミット(GOLDSCHMIDT)社から「アビルワックス(ABIL WAX)(登録商標)9800及び9801」の商品名で市販されている製品が含まれる。
【0016】
ポリアルキルアリールシロキサン類は、特に25℃で1×10−5〜5×10−2/sの範囲の粘度を有する直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチルメチルフェニルシロキサン類とポリジメチルジフェニルシロキサン類から選択される。
このようなポリアルキルアリールシロキサン類の適切な例には以下の商品名で市販されている製品:
・ローン・プーラン社の70641シリーズのシルビオン(登録商標)油;
・ローン・プーラン社のロドルシル(登録商標)(RHODORSIL)70633及び763シリーズの油;
・ダウ・コーニング社のダウ・コーニング556コスメティック・グレード・フルイド(COSMETIC GRADE FLUID)油;
・バイエル(BAYER)社のPKシリーズのシリコーン類、例えば製品PK20;
・バイエル社のPN及びPHシリーズのシリコーン類、例えば製品PN1000及びPH1000;
・ゼネラル・エレクトリック社のSFシリーズのある種の油、例えばSF1023、SF1154、SF1250及びSF1265。
【0017】
本発明の方法のアルカリ性組成物中に存在しうるシリコーンガムは、特に、溶媒中において単独で又は混合物として使用される200000〜1000000の高い数平均分子量を持つポリジオルガノシロキサン類である。この溶媒は、揮発性シリコーン類、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン類、ポリイソブチレン類、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカン又はそれらの混合物から選択することができる。
【0018】
次の製品をより詳細には挙げることができる:
− ポリジメチルシロキサンガム、
− ポリジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム、
− ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサンガム、
− ポリジメチルシロキサン/フェニルメチルシロキサンガム、
− ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム。
【0019】
本発明で特に使用される製品は、次のような混合物である:
− 末端鎖がヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン(CTFA辞書命名法によればジメチコノールと呼ばれる)と環状ポリジメチルシロキサン(CTFA辞書命名法によればシクロメチコーンと呼ばれる)から形成された混合物、例えばダウ・コーニング社から市販されている製品Q2・1401;
− ポリジメチルシロキサンガムと環状シリコーンから形成された混合物、例えばゼネラル・エレクトリック社のSF1214シリコーン・フルイドで、該製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当するSF1202シリコーン・フルイド油に溶解した、数平均分子量500000のジメチコーンに相当するSF30ガムである;
− 異なる粘度の2種のPDMS、より詳細にはPDMSガムとPDMSオイルの混合物、例えばゼネラル・エレクトリック社の製品SF1236。SF1236は、20m/sの粘度の上述したSE30ガムと、5×10−6/sの粘度のSF96オイルの混合物である。このような製品は好ましくは15%のSE30ガムと85%のSF96オイルを含有する。
【0020】
本発明に係る方法のアルカリ性組成物中に存在しうるオルガノポリシロキサン樹脂は、Rが1〜16の炭素原子を有する炭化水素ベース基又はフェニル基を示すRSiO2/2、RSiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2単位を含有する架橋シロキサン系である。これらの製品中、特に好ましいものは、RがC-C低級アルキル基、特にメチル又はフェニル基を示すものである。
【0021】
これらの樹脂としては、ジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーン類であり、ゼネラル・エレクトリック社から「シリコーン・フルイドSS4230及びSS4267」の名称で販売されているもの、又は「ダウ・コーニング593」の名称で販売されている製品をまた挙げることができる。
特に信越社からX22-4914、X21-5034及びX21-5037の商品名で市販されているトリメチルシロキシシリカート型の樹脂をまた挙げることができる。
【0022】
本発明に係る方法のアルカリ性組成物中に存在しうる有機変性シリコーン類は、その構造に、炭化水素基を介して結合した一又は複数の有機官能(organofunctional)基を含有する上述したようなシリコーン類である。
本発明において好適に使用される有機変性シリコーン類としては次のものを挙げることができる:
− C-C24アルキル基を有していてもよいポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばダウ・コーニング社からQ2・5200の名称で市販されている(C12)アルキルメチコーンコポリオール、及びユニオン・カーバイド社の油であるシルウェット(登録商標)(SILWET)L722、L7500、L77及びL711、又はダウ・コーニング社からDC1248の商品名で市販されているジメチコーンコポリオールと呼ばれる製品;
− 置換又は非置換のアミン基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばジェネシー(GENESEE)社からGP7100及びGP4シリコーン・フルイドの商品名で市販されている製品、又はダウ・コーニング社からQ2・8220及びダウ・コーニング929もしくは939の名称で販売されている製品。置換アミン基は、特にC-Cアミノアルキル基である。ワッカー(WACKER)社から市販されているベルシル(BELSIL)ADM LOG1シリコーンのようなアルコキシ基を含むアミノ-シリコーン類を特に挙げることができる;
− チオール基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばジェネシー社から「GP72A」及び「GP71」の商品名で市販されている製品;
− アルコキシル化基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばSWSシリコーン社から「シリコーン・コポリマーF-755」の名称で、またゴールドシュミット社からアビルワックス(登録商標)2428、2434及び2440の商品名で市販されている製品;
− ヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば仏国特許出願公開第8516334号に記載されているヒドロキシアルキル官能基を含むポリオルガノシロキサン類;
− アシルオキシアルキル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば米国特許第4957732号に記載されているポリオルガノシロキサン類;
− カルボキシル型のアニオン性基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばチッソ・コーポレーション(CHISSO CORPORATION)の欧州特許第186507号に記載されている製品、又は信越社の製品名X-22-3701Eに含まれるもの;又は2-ヒドロキシアルキルスルホナートを有するポリオルガノシロキサン類;2-ヒドロキシアルキルチオスルファートを有するポリオルガノシロキサン類、例えばゴールドシュミット社から「アビル(登録商標)S201」及び「アビル(登録商標)S255」の名称で販売されている製品;
− ヒドロキシアシルアミノ基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば欧州特許出願第342834号に記載されているポリオルガノシロキサン類。例えばダウ・コーニング社の製品Q2-8413はその例である。
ポリジメチルシロキサン/アミノポリエーテル(80:20)ブロックポリマーは非イオン性シリコーンの適切な例である。
【0023】
アルカリ性組成物のpH値は一般には7.5から9.5の範囲である。
アルカリ性組成物のpH値は、一又は複数のアルカリ剤、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、プロパンジアミン-1,3、リジン、アルギニン、炭酸又は重炭酸のアルカリ又はアンモニウム、有機カーボネート、例えば炭酸グアニジン、又は水酸化アルカリによって調節される。
これまでに説明したように、本発明の方法は、化粧品として許容可能な媒体中に一又は複数種のセラミドを含有する酸性pH値を有する組成物を毛髪に塗布する工程を更に含む。
【0024】
本発明において使用される酸性pHを有する組成物中に存在しうるセラミドは、次の式(I):
【化2】

[上式中、
− R1は、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C30炭化水素基を表し、当該基は一又は複数のヒドロキシル基によって置換可能であり、これらヒドロキシル基は飽和又は不飽和C16-C30脂肪酸によってエステル化されていてもよく;あるいはR''-(NR-CO)-R'基であって、Rは水素原子又はモノ-又はポリヒドロキシル化され、好ましくはモノヒドロキシル化されたC-C10炭化水素基を示し、R'とR''は炭素原子の合計数が9から30である炭化水素基で、R'は二価の基であり;
− Rは、水素原子又は(グリコシル)、(ガラクトシル)又はスルホガラクトシル基(ここで、nは1〜4の整数、mは1〜8の整数である)を表し;
− Rは、水素原子又は飽和又は不飽和のC16-C27炭化水素基を示し、ここで該基は一又は複数のC-C14アルキル基で置換可能であり;RはC15-C26α-ヒドロキシアルキル基でそのヒドロキシル基がC16-C30α-ヒドロキシ酸でエステル化されていてもよいものを表し得;
− Rは、水素原子、直鎖状又は分枝状のC16-C27炭化水素基、あるいは、RがC10-C26炭化水素を表す-CH-CHOH-CH-O-R基を示し;
− Rは、水素原子、又はモノ-又はポリヒドロキシル化されたC-C炭化水素基を示す]の化合物から選択されうる。
【0025】
好ましくは、セラミドは、Rがヒドロキシル化されていてもよいC16-C22脂肪酸から誘導された飽和又は不飽和のアルキル基を示し;Rが水素原子を示し;Rがヒドロキシル化されていてもよい飽和の直鎖状C15基を示す式(I)の化合物から選択される。
挙げることができるものは、特に
− N-リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-オレオイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ベヘノイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-2-ヒドロキシパルミトイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、
又はこれらの化合物の混合物である。
【0026】
本発明の好ましい実施態様によれば、セラミドはN-オレオイルジヒドロスフィンゴシンである。
セラミドは、一般に組成物の全重量の0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜1重量%を表す。
セラミドに加えて、本発明の方法において使用される酸性pHを有する組成物は、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性界面活性剤、ロウ、シリコーン類、保存料及び香料から選択される一又は複数種の化粧品用活性剤を含みうる。
【0027】
本発明によれば、界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性又は両性界面活性剤でありうる。
アニオン性界面活性剤の好適な例としては、特に次の化合物:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類、アルキルホスファート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィンスルホナート類、パラフィンスルホナート類;アルキルスルホスクシナート類、アルキルエーテルスルホスクシナート類、アルキルアミドスルホスクシナート類;アルキルスルホアセタート類;アシルサルコシナート類;及びアシルグルタマート類の塩、特にアルカリ金属塩、中でもナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩を挙げることができ、これら全ての化合物のアルキル及びアシル基は6〜24の炭素原子を有し、アリール基は好ましくはフェニル又はベンジル基に対応する。
【0028】
またポリグリコシドカルボン酸及びC-C24アルキルエステル、例えばアルキルグルコシドシトラート類、アルキルポリグリコシドタートラート類及びアルキルポリグリコシドスルホスクシナート類、並びにアルキルスルホスクシナマート類、アシルイセチオナート類及びN-アシルタウラート類を使用することもでき、ここで、これら全ての化合物のアルキル及びアシル基はまた12〜20の炭素原子を有する。好適に使用される更なるアニオン性界面活性剤としては、アシル基が8〜20の炭素原子を含むアシルラクチラート類を挙げることもできる。
更に、アルキル-D-ガラクトシドウロン酸及びそれらの塩、並びにポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキル(C-C24)アリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩、特に2〜50のアルキレンオキシド基を有するもの、及びそれらの混合物を挙げることもまたできる。
【0029】
非イオン性界面活性剤は、またそれ自体よく知られている化合物(これに関しては、特に、ブラッキー・アンド・サン社(グラスゴー及びロンドン)から出版されているエム・アール・ポーター(M.R. Porter)の「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」、1991年、116-178頁を参照)である。それらは、特に、例えば8〜18の炭素原子を有する脂肪鎖を有するポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化された脂肪酸、α-ジオール類又はアルコール類から選択可能で、ここで、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数は特に2〜50までとすることができ、グリセロール基の数は特に2から30までとすることができる。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、脂肪アルコールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類、平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するエトキシル化されたソルビタン脂肪酸エステル;スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(C-C24)アルキルポリグリコシド類、(C-C24)N-アルキルグルカミン誘導体、アミンオキシド類、例えば(C10-C14)アルキルアミンオキシド類又は(C10-C14)N-アシルアミノプロピルモルホリンオキシド類;及びそれらの混合物を挙げることもできる。
【0030】
両性界面活性剤は、特に第2級又は第3級脂肪族アミン誘導体であり得、脂肪族基は8〜22の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状鎖であり、少なくとも1つの水可溶化アニオン性基、例えば、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナートを含み;(C-C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルベタイン類又は(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルスルホベタイン類;並びにそれらの混合物を、挙げることもまたできる。
【0031】
アミン誘導体としては、それぞれ、次の式:
-CONHCHCH-N(R)(R)(CHCOO-) (a)
[上式中:
は、加水分解されたヤシ油中に存在する酸R-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、
はβ-ヒドロキシエチル基を示し、
はカルボキシメチル基を示す];
及び
2’-CONHCHCH-N(B)(C) (b)
[上式中:
Bは-CHCHOX'を示し、
Cはz=1又は2である-(CH)-Y'を示し、
X'は、-CHCH-COOH基又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH又は-CH-CHOH-SOH基を示し、
2’は、加水分解されたヤシ油又はアマニ油中に存在する酸R2’-COOHのアルキル基、アルキル基、特にC17アルキル基及びそのイソ形、又は不飽和C17基を示す]
を有するアンホカルボキシグリシナート類及びアンホカルボキシプロピオナート類の名称でCTFA辞書、第3版、1982に分類され、米国特許第2528378号及び同2781354号に記載され、ミラノール(MIRANOL)(登録商標)の商品名で市販されている製品を挙げることができる。
【0032】
これらの化合物は、ココアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium cocoamphodiacetate)、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium lauroamphodiacetate)、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium caprylamphodiacetate)、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム(disodium capryloamphodiacetate)、ココアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium cocoamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium lauroamphodipropionate)、カプリルアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium caprylamphodipropionate)、カプリロアンホ二プロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipropionate)、ラウロアンホ二プロピオン酸及びココアンホ二プロピオン酸の名称で、CTFA辞典、第5版、1993年に分類されている。
ローディア(RHODIA)社からミラノール(登録商標)C2M濃縮物の商品名で市販されているココアンホジアセタートはその適切な例である。
【0033】
本発明の組成物はそれ自体よく知られている一又は複数のカチオン性界面活性剤、例えば場合によってはポリオキシアルキレン化されていてもよい第1級、第2級又は第3級脂肪アミン、第4級アンモニウム塩及びその混合物を更に含みうる。
【0034】
第4級アンモニウム塩の好適な例には、特に次のものが含まれる:
− 一般式(VI)を有するもの:
【化3】

上式中、RからR11の基は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で1〜30の炭素原子を有する脂肪族基、あるいはアリール又はアルキルアリール基のような芳香族基を表す。脂肪族基は、特に酸素、窒素、硫黄及びハロゲン等のヘテロ原子を含みうる。脂肪族基は、例えば、アルキル、アルコキシ、(C-C)ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、アルキル(C12-C22)アミドアルキル(C-C)、アルキル(C12-C22)アセテート、約1から30の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され;Xはハロゲン化物、ホスフェート類、アセテート類、ラクテート類、アルキル(C-C)サルフェート類、アルキル又はアルキルアリールスルホナート類の群から選択されるアニオンである;
【0035】
− イミダゾリン第4級アンモニウム塩、例えば、次の一般式(VII)を持つもの:
【化4】

上式中、R12は、8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基、例えば獣脂脂肪酸誘導体を表し、R13は水素原子、C-Cアルキル基、又は8〜30の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基を表し、R14はC-Cアルキル基を表し、R15は水素原子、C-Cアルキル基を表し、Xはハロゲン化物、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルサルフェート、アルキル又はアルキルアリールスルホナートからなる群から選択されるアニオンである。好ましくは、R12とR13は12〜21の炭素原子を有するアルケニル又はアルキル基の混合物、例えば獣脂脂肪酸誘導体を示し、R14はメチルを示し、R15は水素原子を示す。このような製品は、例えば、REWO社から、「リウォカット(REWOQUAT)(登録商標)」W75の商品名で市販されている;
【0036】
− 式(VIII)の第4級ジアンモニウム塩:
【化5】

上式中、R16は約16〜30炭素原子を有する脂肪族基を示し、R17、R18、R19、R20及びR21は同一でも異なっていてもよく、水素又は1〜4の炭素原子を有するアルキル基から選択され、Xはハロゲン化物、アセテート類、ホスフェート類、ニトレート類及びメチルサルフェートからなる群から選択されるアニオンである。このような第4級ジアンモニウム塩には、特にプロパン獣脂ジアンモニウムジクロリドが含まれる:
【0037】
− 少なくとも一つのエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩、例えば次の式(IX)のもの:
【化6】

[上式中、
22はC-Cアルキル基とC-Cヒドロキシアルキル又はジヒドロキシアルキル基から選択され;
23は、
− 次の基
【化7】

− 直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C22炭化水素ベース基であるR27
− 水素原子
から選択され、
− R25は、
− 次の基
【化8】

− 直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C炭化水素ベース基であるR29
− 水素原子
から選択され、
− R24,R26及びR28は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C21炭化水素ベース基から選択され;
− r、s及びtは同一でも異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり;
− yは1〜10の範囲の整数であり;
− xとzは同一でも異なっていてもよく、0〜10の範囲の整数であり;
− Xは有機又は無機の単純又は複合アニオンであり;
但し、x+y+zの合計は1〜15であり、xが0であればR23はR27を示し、zが0であれば、R25はR29を示す。
22アルキル基は直鎖状又は分枝状であり得、より詳細には直鎖状である。
好ましくは、R22はメチル、エチル、ヒドロキシエチル又はジヒドロキシプロピル基、より詳細にはメチル又はエチル基を表す。有利には、x+y+zの合計は1から10である。
【0038】
23がR27炭化水素基である場合、それは長鎖で12から22の炭素原子を有し得、又は短鎖で、1から3の炭素原子を有しうる。
25がR29炭化水素基である場合、それは好ましくは1から3の炭素原子を含む。
有利には、R24、R26及びR28は同一又は異なっており、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC11-C21炭化水素基から、より詳細には直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC11-C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
好ましくは、xとzは同一又は異なっており、0又は1である。
有利には、yは1である。
好ましくは、r、s及びtは同一又は異なっており、2又は3であり、より詳細には2である。
上記アニオンは好ましくはハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物)又は硫酸アルキル、より詳細にはメチルサルフェートを表す。しかしながら、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、アセテートもしくはラクテートのような有機酸から誘導されるアニオンをまた使用することができ、あるいはエステル官能性アンモニウムと適合性がある任意の他のアニオンである。
アニオンXは更に詳細には塩化物又はメチルサルフェートを表す。
【0039】
式(IX)のアンモニウム塩のうち以下の、
− R22がメチル又はエチル基を示し;
− xとyが1であり;
− zが0又は1であり;
− r、sとtが2であり;
− R23
− 次の基
【化9】

− メチル、エチル又はC14-C22炭化水素基、
− 水素原子;
から選択され;
− R25
− 次の基
【化10】

− 水素原子
から選択され;
− R24、R26及びR28は同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17炭化水素基、好ましくは直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される;
ものが本発明の組成物において特に使用される。
有利には、炭化水素基は直鎖状である。
【0040】
式(IX)の化合物の好適な例には、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム塩、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム塩、モノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩及びその混合物の塩(特に塩化物又はメチルサルフェート)のようなものが含まれる。アシル基は好ましくは14〜18の炭素原子を有しており、より詳細にはパーム油又はヒマワリ油のような植物性油から得られる。化合物が複数のアシル基を含む場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
これらの製品は、例えばオキシアルキレン化されていてもよいトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを脂肪酸又は植物又は動物由来の脂肪酸の混合物で直接エステル化することによって、あるいはそのメチルエステルのエステル交換により得られる。このようなエステル化には、ハロゲン化アルキル(好ましくはメチル又はエチル)、ジアルキル(好ましくはメチル又はエチル)サルフェート、メチルメタンスルホナート、メチルパラ-トルエンスルホナート、グリコール又はグリセロールクロロヒドリンのようなアルキル化剤を使用する第4級化が続く。
このような化合物は、例えば、ヘンケル(HENKEL)社によってデハイクァート(DEHYQUART)(登録商標)の商品名で、ステパン(STEPAN)社によってステパンクァット(STEPANQUAT)(登録商標)の商品名で、セカ(CECA)社によってノキサミウム(NOXAMIUM)の商品名で、リウォ-ウィティコ(REWO−WITCO)社によってリウォクァットWE18(REWOQUAT(登録商標)WE18)の商品名で市販されている。
【0041】
本発明の組成物は、第4級アンモニウムのモノ、ジ及びトリエステル塩の組合せで、ジエステル塩が重量で大部分であるものを含みうる。
アンモニウム塩のそのような混合物としては、例えば15〜30重量%のアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェート、45〜60%のジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェート及び15〜30%のトリアシルオキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェートを含む混合物で、アシル基が14〜18の炭素原子を有し、場合によっては部分的に水素化されたパーム油から得られるものが含まれる。
米国特許第4874554号及び米国特許第4137180号に開示されている少なくとも一つのエステル官能基を含むアンモニウム塩もまた使用することができる。
【0042】
式(VI)の第4級アンモニウム塩として、最も好ましいものは、一方では、テトラアルキルアンモニウムクロリド、例えばアルキル基が約12〜22の炭素原子を含むジアルキルジメチルアンモニウムクロリド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドであり、他方では、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド又はステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロリドでVAN DYK社からセラフィル(CERAPHYL)(登録商標)70なる商品名で市販されているものである。
【0043】
本発明の方法に使用される酸性pH値を有する組成物中に存在しうるロウは、特にカルナウバロウ、キャンデリラロウ、アルファルファロウ、パラフィンロウ、オゾケライト、植物性ロウ、例えばオリーブの木のロウ、ライスワックス、水素化ホホバ油又は花の無水ロウ、例えばバーチン社(BERTIN)(仏国)から販売されているクロフサスグリ(Ribes nigrum)の花のロウ、動物性ロウ、例えばミツロウ、又は変性したミツロウ(セラベリナ(cerabellina))から選択され;本発明で使用される他のロウ又はロウベース原料は、特に参照名M82でソフィム(SOPHIM)社から市販されているもの等の海洋性ロウ(marine waxes)、ポリエチレンロウ又は一般にポリオレフィン類である。
【0044】
本発明に使用される酸性pH値を有する組成物中に導入されうるシリコーン類は、アルカリ性組成物に関してこれまでに述べた全てのシリコーンから選択することができる。
典型的には、本発明の方法に使用される酸性pH値を有する組成物のpHは2.0から4.5の範囲である。
酸性組成物のpHは、例えば塩酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、クエン酸及びリン酸のような一又は複数の酸性化剤によって調節される。
【0045】
これまでに説明したように、アルカリ性組成物及び酸性pH値を有する組成物中にそれぞれ存在している一又は複数の還元剤及びセラミドは化粧品として許容される媒体中に導入される。
よって、本発明方法で使用されるアルカリ性及び酸性組成物の媒体(ビヒクル)は、好ましくは水からなる水性媒体であり、有利には、より詳細にはアルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、又はポリオール類もしくはポリオールエーテル類、例えばグリセロール、エチレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、並びにジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを含む化粧品的に許容可能な有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、組成物の全重量に対して約0.1〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%の範囲の量で存在し得る。
【0046】
これまでに説明したように、酸性pH値を有する組成物を毛髪に塗布した後に、毛髪を、典型的には水を用いて、すすぐ。
本発明の特定の実施態様では、酸性pH値を有する組成物を塗布した後で、それを洗い流す前に、毛髪を加温下(フードヘアードライヤー)又は水蒸気雰囲気下(スチームヘアードライヤー)に置くことができる。
【0047】
本発明の更に特定の実施態様では、酸性pH値を有する組成物を塗布した後で、それを洗い流す前に、一又は複数種の油を含む組成物が毛髪に塗布される。
これまでに説明したような毛髪に塗布することができる油には、例えば次のものが含まれる:
− 動物系炭化水素油、例えばペルヒドロスクアレン;
− 植物系炭化水素油、例えば4〜10の炭素原子を有する脂肪酸の流動トリグリセリド類、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、又はヒマワリ油、コーン油、大豆油、カボチャ油、グレープシード油、ゴマ油、ナッツ油、アプリコット核油、マカダミアナッツ油、アララ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばステアリネリーズ・デュボア社(Stearineries Dubois)から市販されているもの、又はダイナミット・ノーベル(Dynamit Nobel)社からミグリオール(Miglyol)(登録商標)810、812及び818の名称で市販されているもの、ホホバ油又はカリテバター;
− 直鎖状又は分枝状の鉱物性又は合成炭化水素、例えば揮発性又は非揮発性パラフィン油、及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム(Parleam)(登録商標);イソパラフィン類、例えばイソヘキサデカン及びイソデカン。
− 合成エステル及び合成エーテル、特に脂肪酸から誘導されたもの、例えば式RCOOR及びRORの油(ここで、Rは8〜29の炭素原子を含む脂肪酸残基を表し、Rは3〜30の炭素原子を含む分枝又は非分枝の炭化水素鎖を表す)、例えばプルセリン(PurCellin)油、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル又はイソステアリン酸イソステアリル;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪アルコールのヘプタノアート、オクタノアート及びデカノアート;ポリオールエステル、例えばプロピレングリコールジオクタノアート、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート及びジエチレングリコールジイソノナノアート;及びペンタエリトリトールエステル、例えばテトライソステアリン酸ペンタエリトリチル;
− 8〜26の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの組合せ(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール又はリノレイルアルコール;
− アルコキシル化脂肪アルコール、特にエトキシル化脂肪アルコール、例えばオレス-12(oleth-12);
− 部分的に炭化水素ベース及び/又はシリコーンベースであるフッ化油、例えば、特許出願JP-A-2295912に記載されているもの;フッ化油はまたBNFL Fluorochemical社から「FLUTEC PC1(登録商標)」及び「FLUTEC PC3(登録商標)」の名称で販売されているペルフルオロメチルシクロペンタン及びペルフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;ペルフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;ペルフルオロアルカン、例えば、3M社から「PF5050(登録商標)」及び「PF5060(登録商標)」の名称で販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、あるいはAtochem社から「FORALKYL(登録商標)」の名称で販売されているブロモペルフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブテン;ペルフルオロモルホリン誘導体、例えば、3M社から「PF 5052(登録商標)」の名称で市販されている4-トリフルオロメチルペルフルオロモルホリンをまた包含する;
− シリコーン油、例えば直鎖状又は環状のシリコーン鎖を含む揮発性又は不揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)であって、室温で液体又はペースト状であるもの、特に、シクロへキサシロキサン等のシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコーン);シリコーン鎖の末端又はそれにペンダントしたアルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサンで、これらの基が2〜24の炭素原子を含むもの;フェニル型シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及びポリメチルフェニルシロキサン;
− 並びにこれらの組合せ。
【0048】
一又は複数の還元剤を含有するアルカリ性組成物を塗布する工程とそのような組成物を洗い流す工程の後、該毛髪は酸化プロセスを受けなければならない。そのような酸化は酸化組成物を使用して又は空気中の酸素の作用を通して実施されうる。毛髪は好ましくは空気中の酸素を通した自然の酸化プロセスを受ける。
従って、本発明の方法は、好ましくは例えば過酸化水素又は臭素酸塩のような一又は複数の強い酸化剤を毛髪に塗布する工程を含まない。よって、セラミドを含有する酸性pH値の組成物は好ましくは酸化剤を含まない。
【0049】
よって、本発明の方法は、毛髪繊維を持続的に弛緩させることを可能にする。機械的テンション下で毛髪をセットした後、還元剤とついで酸化剤を使用して毛髪を永続的に再成形する伝統的な方法によって得られる結果とは異なり、毛髪のカールやストレート化のような実質的な変化がヘアースタイル美観に何ももたらされない。更に、毛髪の感触は自然のままである。
【実施例】
【0050】
アジア人の毛髪が本発明に係る方法によって持続的に弛緩された。このために、アルカリ性組成物と酸性pHを有する組成物が使用される。
組成物の処方は次の通りである。
アルカリ性組成物(重量%で表示):
N-アセチルシステイン 1.2
アルギニン 2
ヒドロキシエチルセルロース 1.2
カチオン性シリコーン(クォータニウム-80) 0.75
グリセロール 10
香料 0.2
水 84.65
アルカリ性組成物のpH値は8.5である。
【0051】
酸性pH値を有する組成物(重量%で表示):
N-オレオイルジヒドロスフィンゴシン 0.1
ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド80% 2
水/イソプロパノール溶液(CLARIANT製GENAMIN KDMP)
キャンデリラロウ 0.3
DOW CORNING(登録商標)2-8299 CATIONIC EMULSION 1.5
クエン酸 pH3にする量
水 100にする量
該アルカリ性組成物を毛髪に塗布した後、洗い流す。ついで、毛髪の綿密な処理のための酸性pH値を持つ組成物を塗布した後、洗い流す。得られた毛髪は持続的に弛緩されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を具備してなる毛髪処理方法:
− 一又は複数の還元剤を化粧品として許容される媒体中に含有するアルカリ性組成物を毛髪に塗布し、
− 該毛髪をすすぎ、
− 一又は複数のセラミドを化粧品として許容される媒体中に含有する酸性pH値を有する組成物を毛髪に塗布し、ついで
− 該毛髪をすすぐ。
【請求項2】
アルカリ性組成物のpH値が7.5から9.5の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
還元性化合物がアルカリ性組成物の全重量の0.1〜4重量%、好ましくは1〜2重量%である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
一又は複数の還元剤が、式
H(X')(R)
[上式中、X'はP、S又はSOを表し、qは0又は1であり、rは1又は2であり、Rは、一種のヘテロ原子が介在していてもよく、ヒドロキシ基、ハロゲン、アミン又はカルボキシ基、((C−C30)アルキル)アミノカルボニル基、((C−C30)アシル)アミノ基、モノ-又はジアルキルアミノ基、モノ-又はジヒドロキシルアミノ基、又は塩基とのその一つの塩から選択される置換基を有していてもよい直鎖状、分枝状、飽和、不飽和の(C−C20)炭化水素基である。]
の還元剤から選択される請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
一又は複数の還元剤が、システイン及びN-アセチルシステインから選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酸性pH値を有する組成物のpHが2.0〜4.5の範囲である請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
セラミドが次の式(I):
【化1】

[上式中、
− R1は、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のC-C30炭化水素基を表し、該基は一又は複数のヒドロキシル基によって置換可能であり、これらヒドロキシル基は飽和又は不飽和C16-C30脂肪酸によってエステル化されていてもよく;あるいはR''-(NR-CO)-R'基であって、Rは水素原子又はモノ-又はポリヒドロキシル化され、好ましくはモノヒドロキシル化されたC-C10炭化水素基を示し、R'とR''は炭素原子の合計数が9から30である炭化水素基で、R'は二価の基であり;
− Rは、水素原子又は(グリコシル)、(ガラクトシル)又はスルホガラクトシル基(ここで、nは1〜4の整数、mは1〜8の整数である)を表し;
− Rは、水素原子又は飽和又は不飽和のC16-C27炭化水素基を示し、ここで該基は一又は複数のC-C14アルキル基で置換可能であり;RはC15-C26α-ヒドロキシアルキル基でそのヒドロキシル基がC16-C30α-ヒドロキシ酸でエステル化されていてもよいものを表し得;
− Rは、水素原子、直鎖状又は分枝状のC16-C27炭化水素基、あるいは、RがC10-C26炭化水素を表す-CH-CHOH-CH-O-R基を示し;
− Rは、水素原子、又はモノ-又はポリヒドロキシル化されたC-C炭化水素基を示す]の化合物から選択される請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
セラミドが、
− N-リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-オレオイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ベヘノイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-2-ヒドロキシパルミトイルジヒドロスフィンゴシン、
− N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、
又は該化合物の混合物から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
セラミドが、酸性pH値を有する組成物の全重量に関して0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜1重量%である請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
セラミドを含有する酸性pH値を有する組成物が酸化剤を含まない請求項1から9の何れか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2009−143895(P2009−143895A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−292293(P2008−292293)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】