説明

5’−および3’−キャップド・アプタマーおよびそれらの使用

本発明は、5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップされた末端を有するアプタマーを用いる、疾患を治療するための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、年齢関連黄斑変性症を含む血管新生関連疾患および障害の治療の5’−5’および3’−3’キャップドVEGFアプタマーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は血管形成および血管新生に関する。より具体的には、本発明は血管新生または血管形成を阻害する抗血管内皮成長因子(抗−VEGF)アプタマー、並びに血管新生および血管形成に関連する疾患の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
血管形成、または血管新生は、これによって新たな血管が既存の内皮から発生するプロセスである。正常な血管形成は、胚の発生、創傷治癒および女性の生殖機能の幾つかの構成要素を含む様々なプロセスにおいて重要な役割を果たすが、血管形成は特定の病理学的状態にも関連する。望ましくない、すなわち病理学的な血管形成は、増殖性網膜症、関節リウマチ、乾癬および癌を含む特定の疾患状態に関連付けられている(Fanら.(1995)Trends Pharmacol.Sci.16:57;およびFolkman (1995)Nature Medicine 1:27を参照)。実際、腫瘍組織中の血管の量は、乳癌(Weidnerら.(1992)J.Natl.Cancer Inst.84:1875−1887)、前立腺癌(Weidnerら(1993)Am.J.Pathol.143:401−409)、脳腫瘍(Liら.(1994)Lancet 344:82−86)、およびメラノーマ(Fossら.(1996)Cancer Res.56:2900−2903)における強力な負の予測指標である。さらに、血管透過性の変化は正常および病理学的生理プロセスの両者において役割を果たすものと考えられる(Cullinan−Boveら.(1993)Endocrinol.133:829; Sengerら.(l993)Cancer and Metastasis Reviews 12:303)。
【0003】
血管形成を誘導することが可能な様々な成長因子が現在までに同定されている。これらには塩基性および酸性繊維芽細胞成長因子(aFGF、bFGF)、トランスフォーミング成長因子アルファおよびベータ(TGFα、TGFβ)、血小板誘導成長因子(PDGF)、アンジオジェニン、血小板誘導内皮細胞成長因子(PD−ECGF)、インターロイキン−8(IL−8)、並びに血管内皮成長因子(VEGF)が含まれる。これらのうち、VEGFが生理学的および病理学的血管形成の正の調節因子として鍵となる役割を果たすものと思われる(Brownら.(1996)Control of Angiogenesis (Goldberg and Rosen, eds.)Birkhauser, Basel、およびThomas (1996)J.Biol.Chem.271:603−606に概説)。
【0004】
VEGFは、内皮細胞を選択的に刺激して増殖、移動およびマトリックス分解酵素産生を生じる分泌されたジスルフィド結合ホモダイマーであり(Connら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1323−1327;Ferrara and Henzel (1989)Biochem.Biophys.Res.Commun.161:851−858;Pepperら.(1991)Biochem.Biophys.Res.Commun.181:902−906;Unemoriら.(1992)J.Cell.Physiol.153:557−562)これらはすべて新たな血管の形成を必要とするプロセスである。唯一公知の内皮細胞特異的有糸分裂促進因子であることに加えて、VEGFは巨大分子に対する血管透過性の一過性の増加を誘導するこの能力の点で血管形成成長因子のうちで独特である(したがって、この元の、および代わりの名称は血管透過性因子、VPFである)(Dvorakら.(1979)J.Immunol.122:166−174;Sengerら.(1983)Science 219:983−985;Sengerら.(1986)Cancer Res.46:5629−5632を参照)。血管透過性の増加およびこの結果生じる血管外空間における血漿タンパク質の沈積は内皮細胞が移動するための仮のマトリックスを提供することによって新たな血管形成を助成する(Dvorakら.(1995)Am.J.Pathol.146:1029−1039)。過剰透過性は、実際、腫瘍に関連するものを含む新たな血管の特徴的な特色である。加えて、組織低酸素症によって誘導される代償的血管形成にVEGFが介在することが今や公知である(Levyら.(1996)J.Biol.Chem.2746−2753);Shweikiら.(1992)Nature 359:843−845)。
【0005】
VEGFは、VEGF遺伝子の選択的スプライシングの結果として、4種類の形態で生じる(VEGF−121、VEGF−165、VEGF−189、VEGF−206)(Houckら.(1991)Mol.Endocrin.5:1806−1814;Tischerら.(1991)J.Biol.Chem.266:11947−11954)。2種類のより小さい形態は拡散性であるのに対して、より大きい2種類の形態はこれらのヘパリンに対する高い親和性の結果として主として細胞膜に局在したままである。VEGF−165はヘパリンにも結合し、最も多量の形態である。ヘパリンに結合しない唯一の形態であるVEGF−121はVEGF受容体に対する親和性が低い(Gitay−Gorenら.(1996)J.Biol.Chem.271:5519−5523)ことに加えて有糸分裂促進効力が低いように思われる(Keytら.(1996)J.Biol.Chem.271:7788−7795)。VEGFの生物学的効果には2つのチロシンキナーゼ受容体(Flt−1およびFlk−1/KDR)が介在し、この発現は内皮起源の細胞に極めて制限される(de Vriesら.(1992)Science 255:989−991;Millauerら.(1993)Cell 72:835−846;Termanら.(1991)Oncogene 6:519−524)。両機能的受容体の発現は高い親和性結合に必要であるが、内皮細胞における走化性および分裂促進性シグナル伝達は主としてKDR受容体を介して生じるものと思われる(Parkら.(1994)J.Biol.Chem.269:25646−25654;Seetharamら.(1995)Oncogene 10:135−147;Waltenbergerら.(1994)J.Biol.Chem.26988−26995)。血管の発生にとってのVEGFおよびVEGF受容体の重要性が、近年、VEGF遺伝子の1つの対立遺伝子(Carmelietら.(1996)Nature 380:435−439;Ferraraら.(1996)Nature 380:439−442)またはFlt−1(Fongら.(1995)Nature 376:66−70)もしくはFlk−1遺伝子(Shalabyら.(1995)Nature 376:62−66)の両対立遺伝子を欠くマウスにおいて示されている。各々の場合において、胚死亡を生じる血管形成における異なる異常性が観察された。
【0006】
VEGFは事実上すべての腫瘍細胞において様々な量で産生および分泌される(Brownら.(1997)Regulation of Angiogenesis (Goldberg and Rosen, Eds.)Birkhauser, Basel, pp.233−269)。VEGFおよびこの受容体が腫瘍成長に寄与するという直接の証拠が、近年、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍異種移植片の成長がVEGFに対する中和抗体(Kimら.(1993)Nature 362:841−844)、顕性不活性VEGF受容体flk−1の発現(Millauerら.(1996)Cancer Res.56:1615−1620; Millauerら.(1994)Nature 367:576−579)、Flk−1チロシンキナーゼ活性の低分子量阻害剤(Strawnら.(1966)Cancer Res.56:3540−3545)、またはVEGF mRNAに対するアンチセンス配列の発現(Salehら.(1996)Cancer Res.56:393−401)によって阻害され得ることを実証することによって得られた。重要なことには、腫瘍転移の発生率がVEGFアンタゴニストによって劇的に減少することも見出された(Claffeyら.(1996)Cancer Res.56:172−181)。
【0007】
VEGF阻害剤は、乾癬、眼障害、コラーゲン血管疾患および新生物疾患を含む血管形成が関与する様々な疾患におけるVEGFの役割のため、広範な臨床的有用性を有する。VEGF阻害剤の1タイプはアプタマーと呼ばれる核酸ベースのVEGFリガンドである。アプタマーは特定の三次元構造を採用する化学的に合成された核酸の短鎖であり、試験管内人工進化法(SELEX)と呼ばれるイン・ビトロ選択のプロセスによって特定の標的に対するこれらの親和性について選択される。SELEXは、いかなる標的に対するものであっても適切な結合親和性および特異性を有する特定の配列について多数のオリゴヌクレオチドを迅速にスクリーニングする組み合わせの化学的方法論である。この方法を用いて、特定の標的に対して特異的である新規アプタマー核酸リガンドを創出することができる。SELEX法一般、並びに、特に、VEGFアプタマーおよび配合物は、例えば、米国特許第5,270,163号、第5,475,096号、第5,696,249号、第5,670,637号、第5,811,533号、第5,817,785号、第5,958,691号、第6,011,020号、第6,051,698号、第6,147,204号、第6,168,778号、および第6,426,335号に記載されており、これらの各々の内容は参照によりここに明確に組み込まれる。抗−VEGFアプタマーは、ヒトVEGFの165kDaアイソフォームに高い親和性で結合する小さく安定なRNA様分子である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、VEGFのアプタマーアンタゴニストは血管新生が関与する疾患の治療において有用である。例えば、VEGFアンタゴニストは新生血管年齢関連黄斑変性症(AMD)、高齢者集団における他のいかなる疾患よりも重大な視力喪失を生じる脈絡膜血管新生(CNV)を特徴とする進行性状態の治療に用いられている(Csakyら.(2003)Ophthalmol.110:880−1を参照)。AMDは網膜の中心領域である黄斑に対する損傷から生じる。眼レンズは光を黄斑上に集中させて中心視力の細部の認識を可能にする。黄斑に対する損傷は中心視力の低下を生じる。AMDの危険因子には遺伝、高齢、青い眼および白い皮膚が含まれる。AMDの現行の治療には、全身投与された薬物と眼に対するレーザー光療法を組み合わせた光線力学的療法が含まれる。全身性薬物は活性化して血管を漏出的に閉鎖する一重項酸素ラジカルを生じる感光性化学物質である。この治療は視力喪失患者の割合の減少による測定で疾患の進行を遅らせる上で有効ではあるが、疾患プロセスを逆転させることはなく、視力に幾らかでも改善が見られる患者は僅かである。
【0009】
対照的に、VEGFの阻害剤は直接作用して新たな血管の形成をブロックし、血管の漏出性を低下させ、および潜在的に血管の退化を導く。したがって、抗−VEGFアプタマーはAMDの進行を停止させ、視力の改善を助けることができる。動物モデルはVEGFが脈絡膜血管新生を誘導することができることを確証しており、ヒトにおける薬理学的研究は硝子体内注射された抗−VEGFアプタマーが血管新生年齢関連黄斑変性症の治療において有効であることを示している(Fishら.(2003)Ophthalmol.110:979−86を参照)。血管新生に関連する眼疾患の治療のために眼の硝子体に注射されるとき、抗−VEGFアプタマーはポリエチレングリコール(PEG)に結合されており、これは化合物の安定化を助長する(例えば、Droletら,(2000)Pharm.Res.17:1503−10を参照)。したがって、黄斑変性症および血管新生が関与する他の疾患を治療するための他の抗−VEGFアプタマーも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要約)
エクソヌクレアーゼに対する感受性を低下させ、全体的な安定性を高めるような様式で5’−キャップおよび3’−キャップされているとき、一般にアプタマー、すなわち核酸リガンド、特にVEGFアプタマーが最も安定であり、したがって、有効であることが観察されている。したがって、本発明は、部分的に、一般にアプタマー、特に抗−VEGFアプタマーの5’末端を5’−5’反転ヌクレオシドキャップ構造で、および3’末端を3’−3’反転ヌクレオシドキャップ構造でキャップすることに基づく。
【0011】
したがって、一側面において、本発明は、5’末端が5’−5’反転ヌクレオシドキャップで、および3’末端が3’−3’反転ヌクレオシドキャップでキャップされているアプタマー、すなわち、核酸リガンドを提供する。幾つかの実施態様において、キャップされたアプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。
【0012】
別の側面において、本発明は抗−VEGFアプタマー組成物を提供する。本発明の抗−VEGFアプタマーは5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチドキャップ構造の両者を有する。幾つかの実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマーまたは混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。
【0013】
一実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0014】
【化16】

を含む。他の実施態様においては、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0015】
【化17】

を含む。さらに別の実施態様においては、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0016】
【化18】

を含む。特定の実施態様においては、本発明のキャップド抗−VEGFアプタマーは配列:
【0017】
【化19】

を有し、ここで、各々のC、G、A、およびUは、それぞれ、天然ヌクレオチド、シチジン、グアニジン、アデニン、およびウリジン、またはこれらに対応する修飾ヌクレオチドを表し;X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;並びに残りのヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。幾つかの実施態様において、キャップド抗−VEGFアプタマーのヌクレオチドの各々は、個々に、2’リボシル置換、例えば、−OH(これはリボ核酸(RNA)の標準である)、または−H(これはデオキシリボ核酸(DNA)の標準である)を坦持する。他の実施態様においては、2’リボシル位置がO(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、またはNH置換基で置換されている。
【0018】
具体的な実施態様の1つにおいて、5’−5’キャップド抗−VEGFアプタマーは構造:
【0019】
【化20】

を有し、ここで、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、および「T」はデオキシリボチミジル酸を表す。
【0020】
本発明は、5’末端が5’−5’反転ヌクレオシドでキャップされ、および3’末端が3’−3’反転ヌクレオシドでキャップされる有効量のアプタマー、並びに医薬的に許容される坦体または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。この側面の特定の実施態様において、キャップド・アプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーであり得る。
【0021】
別の特定の実施態様において、本発明は、5’末端が5’−5’反転ヌクレオシドでキャップされ、および3’末端が3’−3’反転ヌクレオシドでキャップされる有効量の抗−VEGFアプタマー、並びに医薬的に許容される坦体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。この側面の特定の実施態様において、キャップド抗−VEGFアプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。一実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0022】
【化21】

を含む。別の実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0023】
【化22】

を含む。さらに別の実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0024】
【化23】

を含む。さらに別の実施態様において、本発明の医薬組成物は、
【0025】
【化24】

を有する抗−VEGFキャップド・アプタマーを含み、ここで、C、G、A、およびUの各々は、それぞれ、天然ヌクレオチド、シチジン、グアニジン、アデニン、およびウリジン、またはこれらに対応する修飾ヌクレオチドを表し;X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;並びに残りのヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。幾つかの実施態様において、医薬組成物中のキャップド抗−VEGFアプタマーのヌクレオチドの各々は2’リボシル置換、例えば、−OH(これはリボ核酸(RNA)の標準である)、または−H(これはデオキシリボ核酸(DNA)の標準である)を坦持する。他の実施態様において、2’リボシル位置はO(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、またはNH置換基で置換されている。別の具体的な実施態様において、本発明の医薬組成物は、構造:
【0026】
【化25】

を有する本発明のキャップド抗−VEGFアプタマーを含む。この実施態様において、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、および「T」はデオキシリボチミジル酸を表す。
【0027】
さらに別の側面において、本発明は、5’−5’および3’−3’キャップド末端の両者を有するアプタマー、並びに該キャップド・アプタマーの放出を許容する生体適合性ポリマーの徐放用組成物を提供する。この側面の特定の実施態様において、徐放用組成物中のキャップド・アプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。
【0028】
別の側面において、本発明は、5’−5’および3’−3’キャップド末端を有する抗−VEGF アプタマー、並びにキャップド抗−VEGFアプタマーの放出を許容する生体適合性ポリマーを含む抗−VEGFアプタマー徐放用組成物を提供する。この側面の特定の実施態様において、徐放用組成物中のキャップド抗−VEGFアプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。この側面の一実施態様において、本発明の徐放用組成物の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0029】
【化26】

を含む。この側面の別の実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0030】
【化27】

を含む。この側面のさらに別の実施態様において、本発明の抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0031】
【化28】

を含む。特定の実施態様において、本発明の徐放用組成物は配列:
【0032】
【化29】

を有する抗−VEGFキャップド・アプタマーを含み、ここで、C、G、A、およびUの各々は、それぞれ、天然ヌクレオチド、シチジン、グアニジン、アデニン、およびウリジン、またはこれらに対応する修飾ヌクレオチドを表し;X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;並びに残りのヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。幾つかの実施態様において、徐放用組成物中のキャップド抗−VEGFアプタマーのヌクレオチドの各々は2’リボシル置換、例えば、−OH(これはリボ核酸(RNA)の標準である)、または−H(これはデオキシリボ核酸(DNA)の標準である)を坦持する。他の実施態様において、2’リボシル位置はO(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、またはNH置換基で置換されている。特定の実施態様において、本発明の徐放用組成物は、構造:
【0033】
【化30】

を有する本発明のキャップド抗−VEGFアプタマーを含む。この実施態様において、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、および「T」はデオキシリボチミジル酸を表す。
【0034】
本発明のこの側面の一実施態様において、アプタマーは組成物の約0.1%(w/w)から約30%(w/w)の量で存在する。他の実施態様において、アプタマーは徐放用組成物中に組成物の約0.1%(w/w)から約10%(w/w)、または約0.5%(w/w)から約5%(w/w)の量で存在する。別の実施態様において、組成物は安定化剤、例えば、糖類、ポリアルコール、タンパク質または親水性ポリマーを含む。別の実施態様において、生体適合性ポリマーは生理学的条件下で分解性のポリマーである。特定の実施態様において、分解性ポリマーはポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、生腐食性ヒドロゲル、共重合体、またはこれらの分解性ポリマーの2種類以上の混合物である。別の実施態様において、本発明の徐放用組成物のポリエステル分解性ポリマーはポリ乳酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンまたはこれらのポリエステル分解性ポリマーの1種類以上の配合物もしくは共重合体である。特定の実施態様において、ポリエステル分解性ポリマーは乳酸グリコール酸共重合体である。
【0035】
さらに別の実施態様において、アプタマーの徐放に用いられる生体適合性ポリマーは非分解性ポリマーである。幾つかの実施態様において、非分解性ポリマーはシリコーン誘導体、または多糖、ポリエーテル、ビニルポリマー、ポリウレタン、セルロースベースのポリマーもしくはポリシロキサンである。特定の実施態様において、本発明の徐放用組成物のポリエーテル生体適合性ポリマーはポリ酸化エチレン、ポリエチレングリコール、またはポリテトラメチレンオキシドである。別の特定の実施態様において、アプタマーの徐放用のビニル生体適合性ポリマーはポリアクリレート、アクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリ酢酸ビニルである。さらに別の実施態様において、生体適合性ポリマーはセルロースベースのポリマー、例えば、セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、または酢酸セルロースである。
【0036】
さらに別の実施態様において、抗−VEGFアプタマーの徐放用組成物は微小球体を含む。一実施態様において、微小球体は生体適合性ポリマーを含む。別の実施態様において、本発明の徐放用組成物は約400μm未満の平均径を有する固体粒子を含む。他の実施態様において、微小球体は約200μm未満または約100μm未満の平均径を有する固体粒子である。
【0037】
さらに別の側面において、本発明は、生理学的条件下で分解性である生体適合性ポリマーを含む、5’−5’および3’−3’の両者がキャップされている抗−VEGFアプタマーの徐放用組成物を提供する。この側面の一実施態様において、眼の強膜上にある間の生分解性ポリマーからのキャップド抗−VEGFアプタマーの放出の半減期は約1ヶ月を上回る。他の実施態様において、眼の強膜上にある間の生分解性ポリマーからのキャップド抗−VEGFアプタマーの放出の半減期は約2ヶ月を上回り、または約4ヶ月を上回る。
【0038】
別の側面において、本発明は、哺乳動物における眼病状態を治療または阻害する方法であって、該哺乳動物に、該眼病を治療または阻害するのに十分な量で、5’−5’および3’−3’反転キャップを有する抗−VEGFアプタマーを投与することによる方法を提供する。この側面の特定の実施態様において、本発明の方法は、5’−5’および3’−3’反転キャップを有する抗−VEGFアプタマーを医薬的に許容される坦体または希釈剤と共に投与することを含む。
【0039】
この方法の幾つかの実施態様において、抗−VEGFキャップド・アプタマーはRNAアプタマー、DNAアプタマー、または混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有するアプタマーである。
【0040】
この方法の別の実施態様において、医薬的に許容される坦体または希釈剤と共に投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0041】
【化31】

を含む。別の実施態様において、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0042】
【化32】

を含む。さらに別の実施態様において、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0043】
【化33】

を含む。
【0044】
この方法の一実施態様において、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーは配列:
【0045】
【化34】

を有し、ここで、C、G、A、およびUの各々は、それぞれ、天然ヌクレオチド、シチジン、グアニジン、アデニン、およびウリジン、またはこれらに対応する修飾ヌクレオチドを表し;X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;並びに残りのヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。幾つかの実施態様において、キャップド抗−VEGFアプタマーのヌクレオチドの各々は2’リボシル置換、例えば、−OH(これはリボ核酸(RNA)の標準である)、または−H(これはデオキシリボ核酸(DNA)の標準である)を坦持する。他の実施態様において、2’リボシル位置はO(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、またはNH置換基で置換されている。
【0046】
この方法の特定の実施態様の1つにおいて、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーは構造:
【0047】
【化35】

を有する。この実施態様において、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、および「T」はデオキシリボチミジル酸を表す。
【0048】
本発明は哺乳動物における眼病状態を治療または阻害する別の方法であって、該哺乳動物に、該眼病を治療または阻害するのに十分な量で、5’−5’および3’−3’反転キャップを有する抗−VEGF・アプタマーを投与することによる方法も提供する。この側面において、この方法は、5’−5’および3’−3’反転キャップを有する有効量の抗−VEGFアプタマーを、該アプタマーの徐放を許容する生体適合性ポリマーと共に投与することを含む。
【0049】
この方法の幾つかの実施態様において、アプタマーの徐放を許容する生体適合性ポリマーと共に投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはRNAアプタマーまたはDNAアプタマーである。さらに他の実施態様において、投与されるキャップド抗−VEGF・アプタマーは混合(すなわち、RNAおよびDNAの両者)組成を有する。
【0050】
この方法の別の実施態様において、抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0051】
【化36】

を含む。別の実施態様において、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0052】
【化37】

を含む。さらに別の実施態様において、投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーはヌクレオチド配列
【0053】
【化38】

を含む。
【0054】
この方法の特定の実施態様の1つにおいて、アプタマーの徐放を許容する生体適合性ポリマーと共に投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーは配列:
【0055】
【化39】

を有し、ここで、C、G、A、およびUの各々は、それぞれ、天然ヌクレオチド、シチジン、グアニジン、アデニン、およびウリジン、またはこれらに対応する修飾ヌクレオチドを表し;X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり;並びに残りのヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。幾つかの実施態様において、生体適合性ポリマーと共に投与されるキャップド抗−VEGFアプタマーのヌクレオチドの各々は2’リボシル置換、例えば、−OH(これはリボ核酸(RNA)の標準である)、または−H(これはデオキシリボ核酸(DNA)の標準である)を坦持する。他の実施態様において、2’リボシル位置はO(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、またはNH置換基で置換されている。
【0056】
特定の実施態様の1つにおいて、生体適合性ポリマーと共に投与される抗−VEGFキャップド・アプタマーは構造:
【0057】
【化40】

を有する。この実施態様において、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、および「T」はデオキシリボチミジル酸を表す。
【0058】
この側面の別の実施態様において、投与される徐放用組成物は、徐放用組成物の約0.1%(w/w)から約30%(w/w)の濃度で存在する5’−5’および3’−3’キャップド抗−VEGFアプタマーを含む。別の実施態様において、投与される徐放用組成物は組成物の約0.1%(w/w)から約10%(w/w)である抗−VEGFアプタマーを含む。さらに別の実施態様において、投与される徐放用組成物は組成物の約0.5%(w/w)から約5%(w/w)である抗−VEGFアプタマーを含む。
【0059】
さらに別の実施態様において、徐放用組成物は安定化剤、例えば、糖類、ポリアルコール、タンパク質または親水性ポリマーを含む。
【0060】
幾つかの実施態様において、抗−VEGFアプタマーと組み合わせて投与される生体適合性ポリマーは生理学的条件下で分解性である。幾つかの実施態様において、眼病を治療するためにキャップド抗−VEGFアプタマーと組み合わせて投与するための分解性ポリマーには、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、生体腐食性ヒドロゲルに加えて、これらの共重合体、および混合物が含まれる。
【0061】
特定の実施態様において、徐放用組成物において投与される分解性バイオポリマーは、ポリエステル、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、またはこれらの配合物もしくは共重合体である。特に有用な実施態様において、分解性バイオポリマーには乳酸グリコール酸共重合体が含まれる。
【0062】
本発明のこの側面の他の実施態様において、生体適合性ポリマーは非分解性ポリマー、例えば、シリコーン誘導体である。他の実施態様において、徐放用組成物において投与される非分解性ポリマーは、多糖、ポリエーテル、ビニルポリマー、ポリウレタン、セルロースベースのポリマー、またはポリシロキサンである。特定の実施態様において、徐放用組成物と共に投与されるポリエーテル非分解性生体適合性ポリマーは、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、またはポリテトラメチレンオキシドである。別の特定の実施態様において、徐放用組成物と共に投与されるビニルポリマー非分解性生体適合性ポリマーはポリアクリレート、アクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリ酢酸ビニルである。さらに別の特定の実施態様において、徐放用組成物と共に投与されるセルロースベースの非分解性生体適合性ポリマーは、セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、または酢酸セルロースである。
【0063】
特定の実施態様において、投与される徐放用組成物は約400μm未満の平均径を有する固体粒子である。他の実施態様において、投与される固体粒子は約200μm未満または約100μm未満の平均径を有する。
【0064】
本発明のこの側面のさらに他の実施態様において、生体適合性ポリマーは生理学的条件下で分解性である。特定の実施態様において、眼の強膜上での抗−VEGFアプタマーの放出の半減期は約1ヶ月を上回る。他の実施態様において、眼の強膜上でのアプタマーの放出の半減期は約2ヶ月を上回る。別の実施態様において、眼の強膜上でのアプタマーの放出の半減期は約4ヶ月を上回る。
【0065】
本発明のこの側面の特定の実施態様において、治療または阻害される疾患状態は、視神経円板血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体内血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾患、または増殖性硝子体網膜症である。幾つかの実施態様において、治療または阻害しようとする角膜血管新生は外傷、化学熱傷または角膜移植によって生じる。他の特定の実施態様において、治療または阻害しようとする虹彩血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、眼腫瘍または網膜剥離によって生じる。さらに他の特定の実施態様において、治療または阻害しようとする網膜血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血または外傷によって生じる。さらに他の実施態様において、治療または阻害しようとする硝子体内血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血または外傷によって生じる。さらなる実施態様において、治療または阻害しようとする脈絡膜血管新生は年齢関連黄斑変性症の網膜もしくは網膜下障害、糖尿病性黄斑浮腫、推定眼ヒストプラスマ症候群、近視性変性、血管様の筋または眼の外傷によって生じる。
【0066】
本発明の別の実施態様において、治療薬の投与は、液滴または薬物送達装置によって組成物を哺乳動物の眼の強膜と接触させることによって達成する。本発明の治療薬の投与に適する薬物送達装置には、ヒトの眼の内側に眼の白色表面(強膜)に直接はめ込まれて埋め込まれる微小機械的薬物送達システム、例えば、同時係属米国特許出願第10/139,656号に記載されるものが含まれる。さらに他の実施態様において、治療薬の投与は、硝子体内注射、結膜下注射または結膜下投与によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
(発明の詳細な説明)
ここで参照される特許、科学および医学刊行物は本発明がなされた時点で当業者が利用可能であった知識を確立する。発行米国特許、公開および係属米国特許出願、公開PCT国際特許出願並びにここで引用される他の参考文献の開示全体は参照によりここに組み込まれる。
定義
ここで用いられるすべての技術的および科学的用語は、以下で他に定義されない限り、当業者が通常理解するものと同じ意味を有することが意図される;ここで用いられる技術の参照は当該技術分野において通常理解される技術を参照することが意図され、これにはこれらの技術に対する変形または等価物もしくは当業者に明らかである後に開発された技術の置換が含まれる。本発明である主題をより明瞭に、および簡潔に説明するため、本明細書および添付の請求の範囲において用いられる特定の用語について以下の定義を与える。
【0068】
「約」という用語は、ここでは、ほぼ(approximately)、〜の近く(in the region of)、およそ(roughly)、または〜の周囲(around)を意味するのに用いられる。「約」が数値範囲に関連して用いられるとき、記載される数値の上下に境界を拡張することによってこの範囲が修正される。一般に、「約」という用語は、ここでは、数値を開始値の上下に20%の変動で修正するのに用いられる。
【0069】
ここで用いられる場合、「アプタマー」という用語は、非ポリヌクレオチド分子(例えば、タンパク質)に対する非共有結合性物理的相互作用による選択的結合親和性を有するあらゆるポリヌクレオチド、またはこれらの塩を意味する。アプタマーは、抗体のこのエピトープへの結合に類似する様式で、リガンドに結合するポリヌクレオチドである。本発明のアプタマーは、ここで説明されるように、配列中に5’−5’および3’−3’反転キャップを組み込むことによって修飾される。
【0070】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、適切な条件(例えば、pH、温度、溶媒、イオン強度、電場強度)下で相補的または実質的に相補的な配列を有する天然核酸に対して選択的結合親和性を有する、共有結合したヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドの配列を含むあらゆる分子を包含するものである。ポリヌクレオチドには、天然核酸に加えて、修飾ヌクレオシドもしくはヌクレオシド間結合を有する核酸類似体、および結合もしくは検出を促進するリンカーもしくは検出可能なラベルで修飾されている分子が含まれる。
【0071】
ここで用いられる場合、「ヌクレオシド」という用語は、天然リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシド:アデノシン、シトシン、グアノシン、チモシンまたはウラシルのいずれかを意味する。
【0072】
「修飾ヌクレオチド」または「修飾ヌクレオシド」または「修飾塩基」という用語は、リボ核酸(すなわち、A、C、GおよびU)およびデオキシリボ核酸(すなわち、A、C、GおよびT)に生じる標準塩基、糖および/またはリン酸骨格の変形を指す。例えば、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し、Aは2’−メトキシアデニル酸を表し、Cは2’−フルオロシチジル酸を表し、Uは2’−フルオロウリジル酸を表し、Aはリボアデニル酸を表す。アプタマーはシトシンまたは、5−メチルシトシン、4−アセチルシトシン、3−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、2−チオシトシン、5−ハロシトシン(例えば、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、および5−ヨードシトシン)、5−プロピニルシトシン、6−アゾシトシン、5−トリフルオロメチルシトシン、N4、N4−エタノシトシン、フェノキサジンシチジン、フェノチアジンシチジン、カルバゾールシチジンもしくはピリドインドールシチジンを含む、あらゆるシトシン関連塩基を含む。アプタマーは、さらに、グアニンまたは、6−メチルグアニン、1−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルグアニン、7−メチルグアニン、2−プロピルグアニン、6−プロピルグアニン、8−ハログアニン(例えば、8−フルオログアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、および8−ヨードグアニン)、8−アミノグアニン、8−スルフィドリルグアニン、8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニン、7−メチルグアニン、8−アザグアニン、7−デアザグアニンもしくは3−デアザグアニンを含む、あらゆるグアニン関連塩基を含む。アプタマーは、さらに、アデニンまたは、6−メチルアデニン、N6−イソペンテニルアデニン、N6−メチルアデニン、1−メチルアデニン、2−メチルアデニン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、8−ハロアデニン(例えば、8−フルオロアデニン、8−ブロモアデニン、8−クロロアデニン、および8−ヨードアデニン)、8−アミノアデニン、8−スルフィドリルアデニン、8−チオアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニン、7−メチルアデニン、2−ハロアデニン(例えば、2−フルオロアデニン、2−ブロモアデニン、2−クロロアデニン、および2−ヨードアデニン)、2−アミノアデニン、8−アザアデニン、7−デアザアデニンもしくは3−デアザアデニンを含む、あらゆるアデニン関連塩基を含む。ウラシルまたは、5−ハロウラシル(例えば、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル)、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5 −カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、1−メチルシュードウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アゾウラシル、もしくは4−チオウラシルを含む、あらゆるウラシル関連塩基も含まれる。当該技術分野において公知の他の修飾塩基変種の例には、限定されることなしに、37C.F.R.§1.822(p)(1)で列挙されるもの、例えば、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン、2’−メトキシシチジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルシュードウリジン、β−D−ガラクトシルケオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチルシュードウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、β−D−マンノシルケオシン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、N−((9−β−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)トレオニン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)N−メチル−カルバモイル)トレオニン、ウリジン−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウリジン−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウリジン、ケオシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)カルバモイル)トレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、ワイブトシン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジンが含まれる。ヌクレオチドには、米国特許第3,687,808号、同第3,687,808号、同第4,845,205号、同第5,130,302号、同第5,134,066号、同第5,175,273号、同第5,367,066号、同第5,432,272号、同第5,457,187号、同第5,459,255号、同第5,484,908号、同第5,502,177号、同第5,525,711号、同第5,552,540号、同第5,587,469号、同第5,594,121号、同第5,596,091号、同第5,614,617号、同第5,645,985号、同第5,830,653号、同第5,763,588号、同第6,005,096号、および同第5,681,941号に記載される修飾核酸塩基のいずれかも含まれる。当該技術分野において公知の修飾ヌクレオシドおよびヌクレオヂド糖骨格変種の例には、限定されることなしに、例えば、2’リボシル置換、例えば、F、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO、CH、ONO、NO、N、NH、OCHCHOCH、O(CHON(CH、OCHOCHN(CH、O(C1−10アルキル)、O(C2−10アルケニル)、O(C2−10アルキニル)、S(C1−10アルキル)、S(C2−10アルケニル)、S(C2−10アルキニル)、NH(C1−10アルキル)、NH(C2−10アルケニル)、NH(C2−10アルキニル)、およびO−アルキル−O−アルキルを有するものが含まれる。望ましい2’リボシル置換には、2−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ、(2’OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH−CH=CH)、2’−アミノ(2’−NH)、および2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。2’−置換はアラビノ(上)位置またはリボ(下)位置であり得る。
【0073】
ここで用いられる場合、「5’−5’反転ヌクレオチド・キャップ」という用語は、以下に示されるように、オリゴヌクレオチドの5’末端に共有結合する第1ヌクレオチドであって、第1ヌクレオチドの5’位とオリゴヌクレオチドの5’末端との間のホスホジエステル結合を介するものを意味する。
【0074】
【化41】

【0075】
「3’−3’反転ヌクレオチド・キャップ」という用語は、以下に示されるように、オリゴヌクレオチドの3’末端に共有結合する最終ヌクレオチドであって、最終ヌクレオチドの3’位とオリゴヌクレオチドの3’末端との間のホスホジエステル結合を介するものを意味する。
【0076】
【化42】

【0077】
「抗−VEGFアプタマー」は、VEGFに結合し、この活性を阻害するポリヌクレオチドアプタマーを包含するものである。このようなアプタマーは公知の方法を用いて同定することができる。例えば、米国特許第5,475,096号および第5,270,163号に記載されるように試験管内人工進化法、すなわち、SELEX法を用いることができる。抗−VEGFアプタマーは、米国特許第6,168,778号、第6,051,698号、第5,859,228号、および第6,426,335号に記載される配列を含み、これらは、本発明に従って、5’−5’および3’−3’反転キャップを含むように修飾することができる。
【0078】
他に具体的に指示されない限り、「または」という単語は、ここでは、「および/または」の包括的な意味で用いられ、「いずれか/または」の排他的な意味ではない。
【0079】
ここで用いられる場合、「増加」および「減少」は、それぞれ、統計的に有意の増加(すなわち、p<0.1)および統計的に有意の減少(すなわち、p<0.1)を意味する。
【0080】
変数の数値範囲の列挙は、ここで用いられる場合、この範囲内の数値のいずれかに等しい変数で本発明を実施できることを伝えようとするものである。したがって、本質的に不連続である変数については、この変数は、この範囲の終点を含めて、この数値範囲内のあらゆる整数値に等しいものであり得る。同様に、本質的に連続的である変数については、この変数は、この範囲の終点を含めて、この数値範囲内のあらゆる実数値に等しいものであり得る。例として、および限定されることなしに、0から2の値を有するものと記載される変数は、本質的に不連続である変数については0、1または2であり得、本質的に連続的である変数については0.0、0.1、0.01、0.001、または>=0および<=2であるあらゆる他の実数値であり得る。
【0081】
5’および3’−キャップド・アプタマー
ヌクレアーゼの存在下で安定であるアプタマーが作製されている。このようなアプタマーは、このアプタマーの5’末端に5’−5’反転ヌクレオチド・キャップを、およびこのアプタマーの3’末端に3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを含む。5’および3’末端におけるこれらの構造修飾は本発明のアプタマー化合物の安定化に役立つ。この方法で修飾されたアプタマーは、このアプタマーが結合するタンパク質に関連する疾患の治療に有用である。
【0082】
本発明は、RNA、DNAまたはRNAおよびDNAで構成される5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチドてキャップされたアプタマーを特色とする。有用なアプタマーの例は、望ましくないVEGF誘導血管形成から生じる疾患状態、特に、眼の疾患におけるような血管新生の治療に用いることができるアプタマーである。
【0083】
本発明の特定の非限定的組成物は、配列
【0084】
【化43】

または
【0085】
【化44】

を含むアプタマーを含有し、ここで、C、G、AまたはUの各々は上で定義されるヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドである。
【0086】
本発明は、配列
【0087】
【化45】

または
【0088】
【化46】

を含む5’−5’および3’−3’キャップド抗−VEGFアプタマーを含み、ここで、C、G、AまたはUの各々は上で定義されるヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチドである。例えば、本発明は、例えば、米国特許第6,426,335号、第6,168,778号、第6,147,204号、第6,051,698号、第6,011,020号、第5,958,691号、第5,859,228号、第5,849,479号および第5,811,533号(これらの内容はこれらの全体がここに組み込まれる)に記載される試験管内人工進化法(SELEX)の生成物のような、配列番号2−3に相当する下位配列を含む5’−5’および3’−3’キャップド抗−VEGFアプタマーを含む。下位配列
【0089】
【化47】

を含む非限定的および例示的抗−VEGFアプタマー配列には:
【0090】
【化48】

および
【0091】
【化49】

が含まれる。下位配列
【0092】
【化50】

を含む非限定的および例示的抗−VEGFアプタマー配列には:
【0093】
【化51】

および
【0094】
【化52】

が含まれる。下位配列
【0095】
【化53】

を含む非限定的および例示的抗−VEGFアプタマー配列には:
【0096】
【化54】

および
【0097】
【化55】

が含まれる。
【0098】
さらに他の抗−VEGFアプタマー配列は、当該技術分野において公知の代わりの高親和性配列、例えば、これらの抗−VEGFアプタマーおよび匹敵する親和性でVEGFに結合する他の抗−VEGFアプタマーの単ヌクレオチドおよび複数ヌクレオチド置換を含む。例えば、本発明は、ここに示される特定のアプタマー配列、例えば、配列番号1−10によって指定されるものと実質的に相同であり、およびこれらと実質的に同じVEGF結合能力を有するアプタマー核酸配列を含む。「実質的に相同」が意味するところは、70%を超える、例えば、80%を超える、90%を超える、95%または99%の一次配列相同の程度である。ここに記載される相同のパーセンテージは、整列を助力するために10ヌクレオチドの長さの1ギャップを導入することができるとき、比較する配列中の同一ヌクレオチド残基で整列する2つの配列のうちの小さいものに見出されるヌクレオチドのパーセンテージとして算出される。このような関連配列の相同パーセント、すなわち、配列同一性は、公知アルゴリズムを用いて、例えば、National Center for Biotechnology Informationによって提供されるBLASTネットワークサービス(Altschul, S.Fら,(1990)J.Mol.Biol.215:403−410)によって決定することもできる。実質的に同じVEGF結合能力は、この親和性がここで説明されるリガンドの親和性の大きさの1または2オーダー内にあることを意味する。ここで具体的に説明されるものと実質的に相同である所定の配列が同じVEGF結合能力を有するかどうかを決定することは当業者の技術の範囲内にある。
【0099】
例えばZukerfoldプログラム(Zuker(1989)Science 244:48−52を参照)を用いる、配列整列によって同じ構造または同じ構造モチーフを有するものと仮定されるさらに他のアプタマー配列も含まれる。当該技術分野において公知のように、二次構造および構造モチーフを予想するのに他のコンピュータプログラムを用いることができる。溶液中、または結合アプタマー/VEGF複合体としてのアプタマーの実質的に同じ構造または構造モチーフは、NMRまたは当該技術分野において公知である他の技術を用いて仮定することもできる。米国特許第6,344,318号(この内容は参照によりここに組み込まれる)は、このような構造的に関連する本発明のアプタマーを同定するための方法を記載する。
【0100】
改善された特性、例えば、サイズの減少、安定性の強化、または結合親和性の強化を有する修飾アプタマーも本発明の範囲内に含まれる。抗−VEGFアプタマー配列のこのような修飾には、ヌクレオチド残基の付加、欠失もしくは置換、および/または1つ以上の残基の化学的修飾が含まれる。このような修飾抗−VEGFアプタマーを生成するための方法は当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許第5,817,785号および第5,958,691号に記載されている。
【0101】
例えば、化学的に修飾されたアプタマーには1つ以上の修飾塩基を含むものが含まれる。例えば、本発明の修飾ピリミジン塩基は一般式5’−Xおよび/または2’−Yの置換を有することができ、修飾プリン塩基は一般式8−Xおよび/または2−Yの修飾を有することができる。X基にはハロゲンI、Br、Cl、またはアジドもしくはアミノ基が含まれる。Y基にはアミノ基、フッ素またはメトキシ基が含まれる。同じ機能を果たす他の官能置換基も含まれ得る。本発明のアプタマーは1つ以上のX−修飾塩基、もしくは1つ以上のY−修飾塩基、またはX−およびY−修飾塩基の組み合わせを有することができる。本発明は、これらの置換ピリミジンおよびプリンの誘導体、例えば、5’−トリホスフェート、並びにアデノシンおよびグアノシンの場合にはイソブチリル保護塩基を有し、またはシトシンの場合にはアシル保護を有する、5’−ジメトキシトリチル、3’−ベータ−シアノエチル、N,N−ジイソプロピルホスホラミダイトを包含する。ここに開示されるヌクレオチド類似体のいずれかを坦持するアプタマーがさらに本発明に含まれる。本発明は5および2’位が修飾されている特定のヌクレオチド類似体を包含し、これには、5−(3−アミノアリル)ウリジントリホスフェート(5−AA−UTP)、5−(3−アミノアリル)デオキシウリジントリホスフェート(5−AA−dUTP)、5−フルオレセイン−12−ウリジントリホスフェート(5−F−12−UTP)、5−ジゴキシゲニン−11−ウリジントリホスフェート(5−Dig−11−UTP)、5−ブロモウリジントリホスフェート(5−Br−UTP)、2’−アミノ−ウリジントリホスフェート(2’−NH.sub.2−UTP)および2’−アミノ−シチジントリホスフェート(2’−NH.sub.2−CTP)、2’−フルオロ−シチジントリホスフェート(2’−F−CTP)、並びに2’−フルオロ−ウリジントリホスフェート(2’−F−UTP)が含まれる。
【0102】
本発明の幾つかのアプタマーは以下の式I:
【0103】
【化56】

を有し、ここで、C、G、A、およびUは、それぞれ、シチジル酸、グアニル酸、アデニル酸、およびウリジル酸ヌクレオチドを表し、X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、並びに3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、並びに残りのヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する。式Iにおいて、ヌクレオチドの各々は、個々に、OH、H、O(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、およびNHから選択される2’リボシル置換基を含むことができる。
【0104】
本発明の他のアプタマーは以下の式IIを有する:
【0105】
【化57】

式IIにおいて、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し;Aは2’−メトキシアデニル酸を表し;Cは2’−フルオロシチジル酸を表し;Uは2’−フルオロウリジル酸を表し;Aはリボアデニル酸を表し;およびTはデオキシリボチミジル酸を表す。
【0106】
アプタマーの合成
ここで説明される抗−VEGFアプタマーは自動シンセサイザー、例えば、実施例1において説明されるような、標準固相ホスホラミダイト技術を用いて調製することができる(例えば、Scaringeら.(1990)Nucleic Acids Res.18:5433 または Wincottら.(1995)Nucleic Acids Res.23:2677 を参照)。ここで説明されるアプタマーの固相合成に用いられる第1の構成要素は、例えば、官能化支持樹脂であり得、これは、引き続く3’−ホスホラミダイトのカップリングでオリゴヌクレオチドを形成することによって必要とされる3’−3’−キャップを得るために5’位を介してこの樹脂に結合する第1ヌクレオチドモノマーを含む。この構成要素を調製するための支持樹脂は、例えば、Atkinson and Smitt in Olieonucleotide Synthesis (1984)M.J.Gait(ed).35−49に記載されるように、当該技術分野において公知である。この固相合成において用いられる最終構成要素は、例えば、アプタマー中に必要な5’−5’反転キャップを生じる、5’−ホスホラミダイトヌクレオシドであり得る。一般に、アプタマー中に必要な5’−5’反転キャップを得るために付加される最終鎖メンバーは、5’−活性化および3’−保護ヌクレオシド、例えば、3’−OH基が、例えばジメトキシトリチルを用いることによって、保護されている、5’−リンエステルアミドまたはヌクレオシドH−ホスホネートである。このような5’−活性化ヌクレオシドは当該技術分野において公知であって市販されており、例えば、Glen Researchから入手可能な、以下に示されるdT−5’−CEホスホラミダイト(すなわち、3’−ジメトキシトリチル−2’−デオキシチミジン、5’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイト)(カタログ#10−0301−10;www.glenresearch.com)。
【0107】
【化58】

【0108】
例えばdA、dC、dG、およびdUに対応する、他の5’−活性化および3’−保護ヌクレオシドも反転5’−5’キャップ構造の調製における使用に利用可能である。対応する5’−活性化および3’−保護ヌクレオシドは反転5’−5’アプタマー・キャップの形成に用いることもできる。
【0109】
ここで説明されるアプタマーは、他の定型的な方法を用いて作製することもできる(例えば、Methods in Molecular Biology.Volume 20;Protocols for Oligonucleotides and Analogs, pp.165−189 (S.Agrawal, Ed., Humana Press, 1993);Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach, pp.87−108 (F.Eckstein, Ed., IRL Press, 1991);および Methods in Molecular Biology.Volume 74:Ribozyme Protocols, pp.59−68, Wincott and Usman,「A Practical Method for the Production of RNA and Ribozymes」(P.Turner, Ed., Humana Press, 1997 を参照)。
【0110】
一般に、アプタマー・オリゴヌクレオチドの構築および単離は4つの工程を含む:合成、開裂および脱保護、脱シリル化並びに沈殿。アプタマーの合成は、オリゴヌクレオチド・シンセサイザーを用いる標準固相合成法によって達成することができる。この合成サイクルは4つの工程からなる:(1)支持体結合オリゴヌクレオチドの成長する鎖上のトリチル基の除去(例えば、ジクロロメタン(DCM)中のジクロロ酢酸(DCA)を用いて);(2)成長する鎖への添加されたアミダイトの活性化剤介在カップリング(例えば、4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)活性化カップリングを用いて);(3)カップリングにおいて形成されるホスフェートトリエステル結合のホスフェート結合への酸化、および(4)欠失配列の形成を防止するための未反応の成長する鎖のキャッピング。この一連の4つの反応は反転チミジン−固体支持体(例えば、コントロールド・ポア・グラス(CPG)固体支持体)で開始し、正しい配列のアプタマーが構築されるまで反復方式で繰り返す。次に、このオリゴヌクレオチドをこの固体支持体から切断し、塩基および骨格保護基を(例えば、メチルアミンおよび濃アンモニアの混合物を用いて)塩基性条件下で除去する。続いて、リボース残基上の2つのシリル保護基を(例えば、フッ化水素またはフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて)フッ化物介在反応で除去する。最後に、完全に脱保護したオリゴヌクレオチドを(例えば、クロマトグラフィーまたは、例えば塩化ナトリウムおよびエタノールを用いる、沈殿によって)単離する。
【0111】
当該技術分野において公知の代替合成スキームが本発明に含まれることは理解される。例えば、Scaringeら((1998)J.Am.Chem.Soc.120:11820−11821)は、RNAおよび混合RNA/DNAオリゴヌクレオチドの作製において特に有用であるオリゴヌクレオチド合成スキームを記載する。簡潔に述べると、この方法は5’−ヒドロキシルの保護にシリルエーテルを、および2’−ヒドロキシル基の保護に酸不安定性オルトエステルを用い、すなわち、5’−O−SIL−2’−O−ビス(2−アセトキシエトキシ)メチルリボヌクレオシドホスホラミダイトを用いる。シリルエーテル保護基は、酸不安定性2’−ヒドロキシル部分に適合する中性条件下においてフッ化物イオンで除去することができる。2’−O−ビス(2−アセトキシエトキシ)メチル(ACE)オルトエステルはヌクレオシドおよびオリゴヌクレオチド合成条件に対して安定であるが、オリゴヌクレオチドの塩基脱保護の間にエステル加水分解によって修飾される。生じる2’−O−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)メチルオルトエステルはACEオルトエステルよりも10倍酸不安定性であり、2’−O−保護基の完全な切断は極度に穏やかな条件で(例えば、pH3、55℃で10分用いて)達成される。この化学の新たな特徴は高品質のRNAオリゴヌクレオチドの合成を可能にする。
【0112】
これらのアプタマーは、治療量で、哺乳動物、例えばヒト、における眼病状態の治療または阻害に用いることができる。治療しようとする眼病状態は、視神経円板血管新生、虹彩血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、角膜血管新生、硝子体血管新生、緑内障、パンヌス、翼状片、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、血管性網膜症、網膜変性、ブドウ膜炎、網膜の炎症性疾患、および増殖性硝子体網膜症であり得る。治療または阻害しようとする角膜血管新生は外傷、化学熱傷または角膜移植によって生じるものであり得る。治療または阻害しようとする虹彩血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、眼腫瘍または網膜剥離によって生じるものであり得る。治療または阻害しようとする網膜血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血または外傷によって生じるものであり得る。治療または阻害しようとする硝子体内血管新生は糖尿病性網膜症、静脈閉塞、鎌状赤血球網膜症、未熟児網膜症、網膜剥離、眼の虚血または外傷によって生じるものであり得る。治療または阻害しようとする脈絡膜血管新生は年齢関連黄斑変性症の網膜もしくは網膜下障害、糖尿病性黄斑浮腫、推定眼ヒストプラスマ症候群、近視性変性、血管様の筋または眼の外傷によって生じるものであり得る。
【0113】
あらゆる特定の場合において投与されるアプタマーの量は、治療する疾患、投与方法、並びに被験者の年齢、体重、および一般的な健康に依存する。有効用量および最適投与方式の決定に標準臨床試験を用いることができる。
【0114】
本発明の反転キャップ抗−VEGFアプタマーは望ましくない血管新生に関与するあらゆる眼病状態の治療または阻害に用いることができる。アプタマーは、適切な治療処方(下記参照)で、眼病状態の治療または阻害に適するあらゆる経路によって投与することができる。アプタマーはヒト、家庭内ペット、家畜、または他の哺乳動物に投与することができる。眼への投与は、例えば、強膜貫通、結膜下、テノン嚢下、球後、または硝子体内注射によるものであり得る。
【0115】
本発明のアプタマーは望ましくないVEGF誘導血管新生に関与する非眼病状態の治療にも用いることができる。例はアテローム、カポジ肉腫、血管種、コラーゲン血管病、乾癬、脳浮腫および新生物疾患(癌)である。これらの疾患状態を治療するためのアプタマーの投与は、局所、経口、静脈内、皮下、または血管内投与を含む、あらゆる適切な経路によるものであり得る。
【0116】
5’−5’、3’−3’反転キャップアプタマーの処方
アプタマーはあらゆる適切な医薬的に許容される坦体または賦形剤、例えば、生理食塩水または蒸留水と共に投与される。場合により、ここで説明される処方は、アプタマーを安定化させ、これにより治療活性を維持する賦形剤を含む。さらに、塩、糖、およびアルコールのような賦形剤はアプタマー治療薬の拡散を促進する。本発明と組み合わせて用いることができる非限定的な代表的賦形剤には、とりわけ、糖類、例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、フルクトース、ガラクトース、マンニトール、デキストリンおよびグルコース;ポリアルコール、例えば、グリセロールまたはソルビトール;タンパク質、例えば、アルブミン;疎水性分子、例えば、油;並びに親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールが含まれる。ここで説明される本発明の化合物の医薬処方には、異性体、例えば、ジアステレオマーおよび鏡像異性体、ラセミ混合物を含む異性体の混合物、これらの塩、溶媒和物、および多形が含まれる。
【0117】
治療用処方は液体溶液または懸濁液の形態であり得る。処方を作製するための当該技術分野において公知の方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy (20th ed., ed.A.R.Gennaro AR.), Lippincott Williams & Wilkins, 2000に見出される。経口投与用には、処方は錠剤またはカプセルの形態であり得る。鼻内処方は粉末、点鼻液、またはエアロゾルの形態であり得る。非経口投与用の処方は、例えば、賦形剤、無菌水、もしくは生理食塩水、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレングリコール、植物起源の油、または水素化ナフタレンを含むことができる。吸入用の処方は、賦形剤、例えば、ラクトースを含むことができ、または、例えばポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリコレートおよびデオキシコレートを含有する、水溶液であってもよく、または点鼻液の形態にある油性投与用溶液であってもよく、またはゲルとしてであってもよい。処方中の化合物の濃度は、投与しようとする薬物の投与量および投与経路を含む幾つかの要素に依存して変化する。
【0118】
本発明のアプタマーは生体適合性ポリマー内に封入して、またはこれと共に投与して、アプタマーの徐放をもたらすことができる。生体適合性ポリマーは生分解性ポリマーまたは時間経過と共に組み込まれたアプタマーを拡散によって放出する生体適合性非分解性ポリマーのいずれであってもよい。アプタマーは生体適合性ポリマー内に均一に、または不均一に分布させることができる。様々な生体適合性ポリマーが本発明の実施において有用であり、ポリマーの選択は特定の治療方式において必要とされる薬物放出速度に依存する。アプタマーはポリマー徐放処方の形態で提供することができ、この組成物中のアプタマーの量は約0.1%から30%、約0.1%から約10%、または約0.5%から約5%(w/w)で変化する。
【0119】
非限定的で代表的な合成生分解性ポリマーには、例えば:ポリアミド、例えば、ポリアミノ酸およびポリペプチド;ポリエステル、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、およびポリカプロラクトン;ポリ無水物;ポリオルトエステル;ポリカーボネート;並びにこれらの化学誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、および当業者が定型的になす他の修飾)、共重合体、並びにこれらの混合物が含まれる。分解性徐放組成物は、眼の強膜上に配置されたとき、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、または4ヶ月を上回る抗−VEGFアプタマーの放出の半減期を有することができる。
【0120】
アプタマーは生体適合性非分解性ポリマー内に封入することもできる。非限定的で代表的な非分解性ポリマーには、多糖;ポリエーテル、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレンオキシド;ビニルポリマー、例えば、ポリアクリレート、アクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリ酢酸ビニル;ポリウレタン;セルロースベースのポリマー、例えば、セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、および酢酸セルロース;ポリシロキサンおよび他のシロキサン誘導体が含まれる。代わりに、アプタマーをリポソーム配合物内に封入することもできる。
【0121】
有用なポリマー徐放組成物は、400μm、200μm、100μm、または50μm未満の平均径を有する固体粒子である。
【0122】
特定の場合において、塩、糖またはアルコールのような賦形剤によって本発明の組成物の拡散を促進することができる。この化合物は、場合により、医薬的に許容される塩、例えば、医薬産業において通常用いられる非毒性酸付加塩または金属錯体として投与することができる。酸付加塩の非限定的な例には、四級アンモニウム塩;有機酸、例えば、酢酸、乳酸、パモ酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、パルミチン酸、スベリン酸、サリチル酸、酒石酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸またはヒアルロン酸およびこれらの化学的誘導体等;ポリマー酸、例えば、タンニン酸、カルボキシメチルセルロース等;並びに無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸等が含まれる。金属錯体には、亜鉛、鉄等が含まれる。
【0123】
年齢関連黄斑変性症の治療
年齢関連黄斑変性症の治療ため、本発明のアプタマーを無菌蒸留水に5mg/mlから30mg/mlの濃度で溶解する。生じる溶液を100μlの容積でシリンジに入れる。医師がこのシリンジを患者の眼の硝子体に挿入し、溶液を徐々に(約10秒)注入した後、シリンジを引き抜く。この治療を、様々な間隔(例えば、3ヶ月間隔)で、患者の生涯を通して行う。
【0124】
代わりに、アプタマーをポリマー徐放組成物、例えば、生分解性微小球中に処方する。このようなアプタマー含有ポリマーは公知の方法を用いて調製することができる。例えば、Carrasquilloら,J.Pharm.Pharmacol.53:115 (2001)を参照のこと。望ましくは、ポリマー徐放処方は哺乳動物の眼の強膜上に配置する。徐放処方は、例えば、強膜上に配置することにより、硝子体内注射により、結膜下注射により、または静脈内注射により送達することもできる。結膜下注射のため、患者の結膜(cul de sacs)を局所抗生物質で、並びに顔および睫毛および瞼を洗って布で覆うことによって滅菌することができる。アプタマーと共にキシロカインの結膜下注射によって局所麻酔を施すこともできる。
【0125】
以下の例は本発明の実施の幾つかの好ましい形態を説明するが、請求される発明の範囲を制限しようとするものではない。類似の結果を得るのに代替物質および方法を用いることができる。
【実施例1】
【0126】
抗−VEGFアプタマーの合成
5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを有するオリゴヌクレオチドを、100μモルスケールで、標準RNA合成テンプレートを用いるAktaオリゴヌクレオチド・シンセサイザー(Pharmacia)で合成した。用いた支持物質は、チミジンの5’ヒドロキシルを介して支持体に結合する反転Tを乗せたCPG(約700μの細孔サイズ)であった。この支持体はPrime Synthesisから購入した。
【0127】
以下に示されるオリゴヌクレオチド1を調製した。
【0128】
【化59】

【0129】
オリゴヌクレオチド1において、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し;Aは2’−メトキシアデニル酸を表し;Cは2’−フルオロシチジル酸を表し;Uは2’−フルオロウリジル酸を表し;Aはリボアデニル酸を表し;およびdTデオキシリボチミジル酸を表す。
【0130】
このオリゴヌクレオチドを、2から4当量のホスホラミダイト(2’フルオロU、2’フルオロC(アセチル)、2’メトキシA(ベンゾイル)、2’メトキシG(イソブチル)、および2’TBDMS保護リボシルA(ベンゾイル)を約0.15M濃度で、および0.6Mエチルチオテトラゾールをアセトニトリル中で用いて合成した。ホスホラミダイト・カップリング工程の後、標準試薬および条件を用いてこれらの物質を酸化し、キャップして脱トリチル化した。
【0131】
これらの粗製オリゴヌクレオチドを濃アンモニア中、40℃で6時間脱保護した。この溶液を濾過し、等容積のDMSOで3回洗浄した。生じる濾液を氷浴において冷却し、HF−TEA溶液で処理した。この混合物を40℃で1時間加熱した。この後、この溶液を等容積の0.5M NaOAcで失活させ、pHを約7.0に調整した。この物質を、強アニオン交換(Q)カラムでのアニオン交換クロマトグラフィーにより、約75℃で、20mMリン酸ナトリウム中の1M NaClの直線勾配を用いて精製した。生成物画分を合わせ、ポリマー逆相カラムで脱塩した。脱塩した生成物を凍結乾燥した。凍結乾燥した生成物を加熱アニオン交換(Dionexカラム)クロマトグラフィーおよびMALDI質量分析によって分析した。
【実施例2】
【0132】
抗−VEGFアプタマーのIC50試験
ヒト血管内皮成長因子(VEGF)に結合する抗−VEGFアプタマーの能力を、競合結合ELISA様アッセイを用いて決定した。このアッセイにおいては、組換えVEGF165を96ウェルプレート(Quadra 96 Plus)のウェルに結合させた。プレート上の非特異的反応性部位をブロックした後、試験アプタマーおよびビオチニル化競合体のマトリックス、以下に示すDNAオリゴヌクレオチドを添加した。
【0133】
【化60】

「X」は上記表示におけるビオチン部分を表す。ビオチニル化競合体および試験アプタマーの両者は固定されているVEGFの結合部位について競合する。未結合ビオチニル化競合体および未結合試験アプタマーを除去した後、化学発光反応を用いて残留するビオチニル化競合体の量を検出する。プレート全体を照度計(Victor 2)で直ちに読み取る。結合するビオチニル化競合体の量は結合する試験アプタマーの量と反比例の関係にある。この方法をオリゴヌクレオチド1(実施例1を参照)のアッセイに用いたところ、3.277nMのICI50を有していた。
【実施例3】
【0134】
抗−VEGFアプタマーの安定性
一連の生物学的流体中の5’−5’−および3’−3’− キャップド抗−VEGFアプタマーのエクソヌクレアーゼ消化に対する安定性を、例えば、ウシ胎児血清中、ヒト血清中、ヒト血漿中、およびヒト滑液中で評価する。イン・ビボ(生理学的)ヌクレアーゼ分解に対するオリゴヌクレオチド安定性を測定するための通常のイン・ビトロ・アッセイは当該技術分野において公知であり、文献に記載されている(例えば、Biegelmanら.(1995)J.Biol.Chem.270:25702−8;Uhlmannら.(1997)Antisense Nucleic Acid Drug Dev.7:345−50;およびPiekenら.(1991)Science 253:314−7を参照)。
【0135】
簡潔に述べると、まず、分析しようとするアプタマー・オリゴヌクレオチドを当該技術分野において公知の方法を用いて、例えば、T4ポリヌクレオチドキナーゼおよび[γ−32P]ATPでの5’−末端標識(3’−3’キャップのフリーの5’末端)によって標識する。内部標識のためには、まずキャップド抗−VEGFアプタマーを半分に分けて合成し、3’−半アプタマー位置をT4ポリヌクレオチドキナーゼおよび[γ−32P]ATPを用いて5’−末端標識し、これを、例えばT4 RNAリガーゼを用いて、5’−半アプタマー部分にライゲートする。これらの標識キャップド抗−VEGFアプタマーを半アプタマーから単離し、組み込まれなかった標識をゲル電気泳動によって除去する。
【0136】
次に、様々な生物学的流体中の標識5’−5’および3’−3’キャップドVEGFアプタマーの安定性を決定する。500pmolのゲル精製5’−末端標識または内部標識キャップド・アプタマーをエタノール沈殿させた後、20μlの室温で20秒間渦攪拌することによって適切な流体(ヒト血清、ヒト血漿、ヒト滑液、またはウシ胎児血清)中に再懸濁させる。試料を37℃に置き、2μlアリコートを30秒から72時間の定期的な時点で採取する。20μlの95%ホルムアミド、0.5×TBE(50mMトリス、50mMホウ酸塩、1mM EDTA)を添加することによってアリコートを失活させ、凍結した後、ゲルに乗せる。次に、このVEGF−アプタマーのアリコートを20%アクリルアミド、8M尿素ゲル中での電気泳動によってサイズ分画する。ゲルをMolecular Dynamics PhosphorImagerで画像処理し、各々のリボザイムの安定性半減期(t)を未変性リボザイムのパーセンテージ対インキュベーション時間のプロットの指数関数フィットから算出する。5’−5’および3’−3’キャップドVEGFアプタマーでの結果を対照アプタマー(例えば、同じ配列の非キャップド抗−VEGFアプタマーまたはキャップされた末端の一方のみを有する抗−VEGFアプタマー(すなわち、3’−3’−または5’−5’−単一キャップド抗−VEGFアプタマー))で得られるものと比較し、5’−5’および3’−3’二重キャップド・アプタマーが対応する非キャップドまたは単一キャップド形態のアプタマーより安定であり、したがって、治療上有効であることを示す。
【0137】
加えて、投与前調製品、例えば、生成物試料における抗−VEGFアプタマーの安定性を測定して安定性を決定する。簡潔に述べると、薬物生成物の術式使用の可能性に関して情報に基づく判断を確立できるように現実の状況に対応する時間ベースの安定性研究によってキャップド抗−VEFGアプタマーの統合性を決定する。30mg/mlのおおよこの濃度の薬物生成物の溶液およびビヒクル・マトリックス溶液に37℃および90%相対湿度を42日にわたって施す。溶液のアリコートを2、7、14、28および42日に取り出して希釈し、(上記実施例2において説明される)競合プレート結合アッセイおよびHPLCクロマトグラフィーによって分析する。クロマトグラフィーの結果は、試料中の活性抗−VEGFアプタマーの量の定量化に加えて、この活性成分と対比した不純物/分解物の総量をもたらす。競合プレート結合の結果は、組換えヒトVEGF165への結合の活性成分による阻害を確立するためのIC50データをもたらす。
【0138】
等価物
本発明をこれらの好ましい実施態様を参照して詳しく示し、説明したが、当業者は、添付の請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらのうちで形態および詳細に様々な変更をなし得ることを理解するであろう。当業者は、定型的にしか過ぎない実験を用いて、ここで具体的に説明される本発明の特定の実施態様の多くの等価物を認識し、または確認することができるであろう。このような等価物は添付の請求の範囲の範囲に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】5’−5’反転キャップの化学構造の模式図。
【図2】3’−3’反転キャップの化学構造の模式図。
【図3】一次元および二次元プロトンNMR分光法によって確立された5’−5’反転dTおよび3’−3’反転dTキャップド抗−VEGFアプタマーの二次構造の模式図。
【図4】様々な機能を有する複数のVEGF−Aアイソフォーム(VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF183、およびVEGF189)の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを含むアプタマー。
【請求項2】
アプタマーがRNAアプタマーである、請求項1のアプタマー。
【請求項3】
アプタマーがDNAアプタマーである、請求項1のアプタマー。
【請求項4】
5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを含む抗−VEGFアプタマー。
【請求項5】
アプタマーがRNAアプタマーである、請求項4の抗−VEGFアプタマー。
【請求項6】
アプタマーがDNAアプタマーである、請求項4の抗−VEGFアプタマー。
【請求項7】
配列
【化1】

を含み、ここで、C、A、GおよびUの各々は天然または修飾ヌクレオシドである、請求項4の抗−VEGFアプタマー。
【請求項8】
配列
【化2】

を含み、ここで、C、A、GおよびUの各々は天然または修飾ヌクレオシドである、請求項4の抗−VEGFアプタマー。
【請求項9】
配列
【化3】

を含み、ここで、C、A、GおよびUの各々は天然または修飾ヌクレオシドである、請求項4の抗−VEGFアプタマー。
【請求項10】
式I:
【化4】

によってさらに記述され、ここで、C、G、A、およびUは、それぞれ、シチジル酸、グアニル酸、アデニル酸、およびウリジル酸ヌクレオチドを表し、X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、および3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、並びに残りのヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する、請求項4のアプタマー。
【請求項11】
前記ヌクレオチドの各々が、個別に、OH、H、O(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、およびNHからなる群より選択される2’リボシル置換基を含む、請求項10のアプタマー。
【請求項12】
式II:
【化5】

によってさらに記述され、ここで、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し、Aは2’−メトキシアデニル酸を表し、Cは2’−フルオロシチジル酸を表し、Uは2’−フルオロウリジル酸を表し、Aはリボアデニル酸を表し、およびTはデオキシリボチミジル酸を表す、請求項11のアプタマー。
【請求項13】
有効量の5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを含むアプタマーを医薬的に許容される坦体または希釈剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項14】
アプタマーがRNAアプタマーである、請求項13の医薬組成物。
【請求項15】
アプタマーがDNAアプタマーである、請求項13の医薬組成物。
【請求項16】
有効量の5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを有する抗−VEFGアプタマーを、医薬的に許容される坦体または希釈剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項17】
抗−VEGFアプタマーがRNAアプタマーである、請求項16の医薬組成物。
【請求項18】
抗−VEGFアプタマーがDNAアプタマーである、請求項16の医薬組成物。
【請求項19】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化6】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項16の医薬組成物。
【請求項20】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化7】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項16の医薬組成物。
【請求項21】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化8】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項16の医薬組成物。
【請求項22】
抗−VEGFアプタマーが式I:
【化9】

によってさらに記述され、ここで、C、G、A、およびUは、それぞれ、シチジル酸、グアニル酸、アデニル酸、およびウリジル酸ヌクレオチドを表し、X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、および3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、並びに残りのヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する、請求項16の医薬組成物。
【請求項23】
前記ヌクレオチドの各々が、個別に、OH、H、O(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、およびNHからなる群より選択される2’リボシル置換基を含む、請求項22の医薬組成物。
【請求項24】
抗−VEGFアプタマーが式II:
【化10】

によってさらに記述され、ここで、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し、Aは2’−メトキシアデニル酸を表し、Cは2’−フルオロシチジル酸を表し、Uは2’−フルオロウリジル酸を表し、Aはリボアデニル酸を表し、およびTはデオキシリボチミジル酸を表す、請求項23の医薬組成物。
【請求項25】
アプタマーの徐放用組成物であって、有効量の、5 −5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを有するアプタマーおよびアプタマーの放出を許容する生体適合性ポリマーを含む組成物。
【請求項26】
アプタマーがRNAアプタマーである、請求項25の組成物。
【請求項27】
アプタマーがDNAアプタマーである、請求項25の組成物。
【請求項28】
アプタマーの徐放用組成物であって、有効量の、5’−5’および3’−3’反転ヌクレオチド・キャップを有する抗−VEFGアプタマーおよびアプタマーの放出を許容する生体適合性ポリマーを含む組成物。
【請求項29】
抗−VEGFアプタマーがRNAアプタマーである、請求項28の組成物。
【請求項30】
抗−VEGFアプタマーがDNAアプタマーである、請求項28の組成物。
【請求項31】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化11】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項28の組成物。
【請求項32】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化12】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項28の組成物。
【請求項33】
抗−VEGFアプタマーが配列
【化13】

を含み、C、A、GおよびUの各々が天然または修飾ヌクレオシドである、請求項28の組成物。
【請求項34】
抗−VEGFアプタマーが式I:
【化14】

によってさらに記述され、ここで、C、G、A、およびUは、それぞれ、シチジル酸、グアニル酸、アデニル酸、およびウリジル酸ヌクレオチドを表し、X−5’−5’はアプタマーの5’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、および3’−3’−Xはアプタマーの3’末端をキャップする反転ヌクレオチドであり、並びに残りのヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合によって連続的に連結する、請求項28の組成物。
【請求項35】
前記ヌクレオチドの各々が、個別に、OH、H、O(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、およびNHからなる群より選択される2’リボシル置換基を含む、請求項34の組成物。
【請求項36】
抗−VEGFアプタマーが式II:
【化15】

によってさらに記述され、ここで、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し、Aは2’−メトキシアデニル酸を表し、Cは2’−フルオロシチジル酸を表し、Uは2’−フルオロウリジル酸を表し、Aはリボアデニル酸を表し、およびTはデオキシリボチミジル酸を表す、請求項35の組成物。
【請求項37】
前記アプタマーが前記組成物の0.1%(w/w)から30%(w/w)を構成する、請求項28の組成物。
【請求項38】
前記アプタマーが前記組成物の0.1%(w/w)から10%(w/w)を構成する、請求項37の組成物。
【請求項39】
前記アプタマーが前記組成物の0.5%(w/w)から5%(w/w)を構成する、請求項38の組成物。
【請求項40】
糖類、ポリアルコール、タンパク質および親水性ポリマーからなる群より選択される安定化剤をさらに含む、請求項28の組成物。
【請求項41】
前記生体適合性ポリマーが生理学的条件下で分解性である、請求項28の組成物。
【請求項42】
前記分解性ポリマーがポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアミド、ポリエステル、ポリオルトエステル、生腐食性ヒドロゲル、および共重合体、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項41の組成物。
【請求項43】
前記ポリエステルがポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、それらの混合物、およびそれらの共重合体からなる群より選択される、請求項42の組成物。
【請求項44】
前記ポリマーが乳酸グリコール酸共重合体を含む、請求項42の組成物。
【請求項45】
前記生体適合性ポリマーが非分解性ポリマーである、請求項28の組成物。
【請求項46】
非分解性ポリマーがシリコーン誘導体である、請求項45の組成物。
【請求項47】
非分解性ポリマーが多糖、ポリエーテル、ビニルポリマー、ポリウレタン、セルロースベースのポリマー、およびポリシロキサンからなる群より選択される、請求項45の組成物。
【請求項48】
ポリエーテルがポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、およびポリテトラメチレンオキシドからなる群より選択される、請求項47の組成物。
【請求項49】
ビニルポリマーがポリアクリレート、アクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリ酢酸ビニルからなる群より選択される、請求項47の組成物。
【請求項50】
セルロースベースのポリマーがセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、および酢酸セルロースからなる群より選択される、請求項47の組成物。
【請求項51】
前記組成物が400μm未満の平均径を有する固体粒子である、請求項28の組成物。
【請求項52】
前記組成物が200μm未満の平均径を有する固体粒子である、請求項51の組成物。
【請求項53】
前記組成物が100μm未満の平均径を有する固体粒子である、請求項52の組成物。
【請求項54】
アプタマーの徐放用組成物であって、有効量の、5’−5’および3’−3’反転キャップを有する抗−VEGFアプタマーおよび生理学的条件下で分解性である生体適合性ポリマーを含む組成物。
【請求項55】
眼の強膜上での前記アプタマーの放出の半減期が1ヶ月を上回る、請求項54の組成物。
【請求項56】
眼の強膜上での前記アプタマーの放出の半減期が2ヶ月を上回る、請求項55の組成物。
【請求項57】
眼の強膜上での前記アプタマーの放出の半減期が4ヶ月を上回る、請求項56の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−501615(P2007−501615A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522749(P2006−522749)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025422
【国際公開番号】WO2005/014814
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(506064913)(オーエスアイ)アイテツク・インコーポレーテツド (10)
【Fターム(参考)】