説明

5−アミノ−2−(1−ヒドロキシ−エチル)−テトラヒドロピラン誘導体

本発明は、式Iの抗菌性化合物、及びそのような化合物の塩に関する:
【化1】


式中、
はアルコキシ(特にメトキシ)を表し;
はH又はFを表し;
、R、R及びRのそれぞれは、独立にH又はDを表し;
VはCHを表し、かつWはCH又はNを表すか、又は、VはNを表し、かつWはCHを表し;
YはCH又はNを表し;
ZはO、S又はCHを表し;そして
AはCH、CHCH又はCDCDを表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な5−アミノ−2−(1−ヒドロキシ−エチル)−テトラヒドロピラン誘導体、それらを含有する医薬抗菌組成物、及び感染症(例、細菌感染症)の治療のための医薬の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。これらの化合物は、中でもグラム陽性及びグラム陰性、好気性及び嫌気性菌、並びにマイコバクテリアを含む多様なヒト及び動物の病原体に対して有効な、有用な抗菌剤である。
【背景技術】
【0002】
抗生剤の広範な使用は、微生物に対して選択的進化圧を与え、遺伝子ベースの耐性機構を生じてきた。現代の医療及び社会経済的挙動は、例えば人工関節内で、病原菌の遅延した増殖状態を形成し、また例えば免疫障害を有する患者における長期間宿主保有の支持により、耐性の発達の問題を悪化させている。
【0003】
病院の環境では、主な感染源である、益々多数のStaphylococcus aureus、Streptococcus pneumonia、Enterococcus spp.、及びPseudomonas aeruginosa株が多剤耐性となっており、従って治療が不可能ではなくとも困難である:
−S.aureusは、β−ラクタム、キノロン、及び現在はバンコマイシンにも耐性である;
−S.pneumoniaeは、ペニシリン又はキノロン抗生物質、及び新しいマクロライドに対してさえも、耐性となっている;
−Enteroccocciは、キノロン及びバンコマイシンに耐性であり、β−ラクタム抗生物質は、これらの株に対して全く効果を有さなかった;
−Enterobacteriaceaは、セファロスポリン及びキノロン耐性である;
−P.aeruginosaは、β−ラクタム及びキノロン耐性である。
【0004】
さらに、Enterobacteriacae及びPseudomonas aeruginosa等の多剤耐性グラム陰性株の発生が着実に増大しており、そして現在使用されている抗生剤を用いた治療中に選択されたAcinetobacter spp.又はClostridium difficileのような新たに出現した生物が、実際に病院環境内で問題となっている。従って、A.baumannii、ESBL−産生E.coli及びKlebsiella種並びにPseudomonas aeruginosa等の多剤耐性グラム陰性桿菌を克服する新しい抗生剤に対する医療上の高い需要が存在する(Clinical Infectious Diseases(2006)、42、657−68)。
【0005】
加えて、持続性感染症の原因となる微生物は、消化性潰瘍又は心疾病のような重篤な慢性疾病の原因物質又は補助因子として益々認識されている。
【0006】
WO2006/032466が式(A1)の抗菌性化合物を開示する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは、特にアルコキシ、ハロゲン又はシアノを表し;
U、V、W及びXの1つ又は2つはNを表し、残りはCHを表すか、又はU、V及び/又はWについてはCRを表してもよく、そしてXについてはCRを表してもよく;
はハロゲンを表し;
はハロゲン又はアルコキシを表し;
Dは、式
【0009】
【化2】

【0010】
の基(式中、Pは
【0011】
【化3】

【0012】
から選択される環であり、
QはO又はSであり;
K、Y及びZは、それぞれ独立にN又はCRであり;そして
は、水素又はハロゲン(そして特に水素又はフッ素)である。)を特に表すことができ;
Mは、特に基、M
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、
はNHCO、CHCH、CH=CH、COCH、CH(OH)CH、CHCH(OH)、CH(OH)CH(OH)又はOCHを表し;
はCH、CO、CHCH=CH、COCH=CH又はCHCONHを表し;
は、特に水素を表すことができ;
及びRはそれぞれ、特に水素を表すことができ;
は、特に水素を表すことができ;そして
点線は単結合を表すか、又はR及びRが水素を表す場合には、二重結合をも表す。)である。
【0015】
WO2006/032466に具体的に開示される化合物のうち、(実施例187には)式(E187)の化合物が記載されている:
【0016】
【化5】

【0017】
さらに、WO2006/125974はまた、(実施例1における)式(E1)の化合物を含む、上記の式(A1)の化合物を包括的に開示する:
【0018】
【化6】

【0019】
WO2007/080016は、側鎖Rを除くすべての側鎖に関し、上記式(A1)と非常に類似する式を有する化合物を開示する。
【0020】
WO2007/105154は、(実施例21における)式(E21)の化合物を含む、上記式(A1)の具体的な化合物を開示する:
【0021】
【化7】

【0022】
式(E187)、(E21)又は(E1)の化合物は興味深い抗菌特性を有するかもしれないが、ヒトに対する使用には向かない。なぜならば、これらの化合物は、多分にQT時間の延長し、従って、患者の死亡を引き起こし得る重篤有害事象である心室性不整脈を惹起するからである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
出願人らは、下記の式Iに相当する特定の5−アミノ−2−(1−ヒドロキシ−エチル)−テトラヒドロピラン抗生物質誘導体を見出した。関連する構造を有する従前に知られる化合物と異なり、式Iの化合物は、低いhERG Kチャンネル阻害を示すため、QT時間の延長、そして心室性不整脈を惹起する可能性は低い。
【0024】
本発明の種々の態様を以下に示す:
i)本発明は、第一に、式Iの化合物、及び式Iの化合物の塩(特に、薬学的に許容される塩)に関する。
【0025】
【化8】

【0026】
式中、
はアルコキシ(特にメトキシ)を表し;
はH又はFを表し;
、R、R及びRのそれぞれは、独立にH又はDを表し;
VはCHを表し、かつWはCH又はNを表すか、又は、VはNを表し、かつWはCHを表し;
YはCH又はNを表し;
ZはO、S又はCHを表し;そして
AはCH、CHCH又はCDCDを表す。
【0027】
以下の段落では、本発明の化合物の種々の化学的部分の定義をしており、他の表現によりなされた定義が、より広い又はより狭い定義を与えない限り、当該定義は、本明細書及び請求項を通じて、一律に適用されることを意図している。
【0028】
単独で又は組み合わせて使用される「アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を含む、飽和の、直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味する。アルキル基の代表的な例には、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルが含まれる。「(C−C)アルキル」(x及びyはそれぞれ整数である。)という用語は、x〜y個の炭素原子を含む、前記部分で定義したアルキル基を意味する。
【0029】
単独で又は組み合わせて使用される「アルコキシ」という用語は、1〜4個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖アルコキシ基を意味する。「(C−C)アルコキシ」(x及びyはそれぞれ整数である。)という用語は、x〜y個の炭素原子を含む、前記部分で定義したアルコキシ基を意味する。例えば、(C−C)アルコキシ基は、1〜3個の炭素原子を含む。アルコキシ基の代表的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ及びイソ−プロポキシが含まれる。好ましくは、メトキシ及びエトキシである。
【0030】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を、好ましくは、フッ素又は塩素を意味する。
【0031】
記号「D」はジュウテリウム原子、すなわち水素のH同位体を表す。
【0032】
「薬学的に許容される塩」という用語は、無毒性の無機若しくは有機酸及び/又は塩基付加塩を意味する。「Salt selection for basic drugs」、Int.J.Pharm.(1986)、33、201−217を参照してもよい。
【0033】
さらに、本明細書で使用される「室温」という用語は、20〜30℃、好ましくは25℃の温度を意味する。
【0034】
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X−10%XからX+10%Xの間、好ましくはX−5%XからX+5%Xの間を表す。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」の用語は、この出願において、Y−10℃からY+10℃の間、好ましくはY−5℃からY+5℃の間を表す。
【0035】
ii)本発明はさらに、式Iの化合物でもある、態様i)に定義する式Iの化合物、及び式Iの化合物の塩(特に、薬学的に供用される塩)に関する;
【0036】
【化9】

【0037】
式中、
はアルコキシ(特にメトキシ)を表し;
はH又はFを表し;
WはCH又はNを表し;
YはCH又はNを表し;
ZはO、S又はCHを表し;そして
nは0又は1を表す。
【0038】
iii)特に、本発明は、
−Rが(C−C)アルコキシ(特にメトキシ)を表し;そして
−R、R、R及びRの多くとも1つがDを表し、かつAがCH又はCHCHを表すか、又はR、R、R及びRのそれぞれがHを表し、かつAがCH、CHCH又はCDCDを表す;式ICEの化合物、すなわち態様i)に従う式Iの化合物、並びに式ICEのそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)に関する。
【0039】
iv)本発明はさらに、Rが(C−C)アルコキシ(特にメトキシ)を表し、かつZがSを表す場合にのみ、nが0を表してもよい、式ICEPの化合物、すなわち態様ii)に従う式Iの化合物、並びに式ICEPのそのような化合物の塩(特に薬学的に許容される塩)に関する。
【0040】
v)本発明の好ましい態様によれば、上記態様i)〜iv)の1つに定義する式Iの化合物は、Rがメトキシ又はエトキシ(特にメトキシ)であるような化合物である。
【0041】
vi)本発明の一変形によれば、上記態様i)〜v)の1つに定義する式Iの化合物は、RがHを表すような化合物である。
【0042】
vii)本発明の別の変形によれば、上記態様i)〜v)の1つに定義する式Iの化合物は、RがFを表すような化合物である。
【0043】
viii)本発明の一主態様によれば、上記態様i)〜vii)の1つに定義する式Iの化合物は、WがNを表すような化合物である。
【0044】
ix)本発明の別の主態様によれば、上記態様i)〜vii)の1つに定義する式Iの化合物は、WがCHを表すような化合物である。
【0045】
x)本発明の一副態様によれば、上記態様i)〜ix)の1つに定義する式Iの化合物は、YがCHを表すような化合物である。
【0046】
xi)本発明の別の副態様によれば、上記態様i)〜ix)の1つに定義する式Iの化合物は、YがNを表すような化合物である。
【0047】
xii)本発明の一主変形は、ZがOを表す、態様i)〜xi)の一つに定義する式Iの化合物に関する。
【0048】
xiii)主変形xii)の一副変形によれば、上記主変形xii)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが0を表すような化合物である。
【0049】
xiv)主変形xii)の別の副変形によれば、上記主変形xii)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが1を表すような化合物である。
【0050】
xv)主変形xii)のさらに別の副変形によれば、上記主変形xii)に定義する式Iの化合物は、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCDCDを表す。
【0051】
xvi)本発明の別の主変形は、ZがSを表す、態様i)〜xi)の一つに定義する式Iの化合物に関する。
【0052】
xvii)主変形xvi)の一副変形によれば、上記主変形xvi)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが0を表すような化合物である。
【0053】
xviii)主変形xvi)の別の副変形によれば、上記主変形xvi)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが1を表すような化合物である。
【0054】
xix)主変形xvi)のなお別の副変形によれば、上記主変形xvi)に定義する式Iの化合物は、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAはCDCDを表す。
【0055】
xx)本発明のなお別の主変形は、ZがCHを表す、態様i)〜xi)の1つに定義する式Iの化合物に関する。
【0056】
xxi)主変形xx)の一副変形によれば、上記主変形xx)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが0を表すような化合物である。
【0057】
xxii)主変形xx)の別の副変形によれば、上記主変形xx)に定義する式Iの化合物は:
−これらの化合物が、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCHCHを表すか;又は
−これらの化合物が、態様ii)又はiv)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様ii)又はiv)に定義する式Iの化合物であり、かつnが1を表すような化合物である。
【0058】
xxiii)主変形xx)のなお別の副変形によれば、上記主変形xx)に定義する式Iの化合物は、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xi)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物であり、かつAがCDCDを表す。
【0059】
xxiv)本発明の別の態様は、VがCHを表し、かつWがCH又はNを表す、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xxiii)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物に関する。
【0060】
xxv)本発明の別の態様は、さらに、VがNを表し、かつWがCHを表す、態様i)又はiii)に定義するか、又は態様v)〜xxiii)のいずれかと組み合わせた態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物に関する。
【0061】
xxvi)本発明の別の態様は、R、R、R及びRのそれぞれがHを表し、かつAがCH又はCHCHを表す、態様i)、iii)、v)〜xiv)、xvi)〜xviii)、xx)〜xxii)、xxiv)及びxxv)の1つに定義する式Iの化合物に関し、以下において、これらのすべての化合物は式Iの化合物と記載される。
【0062】
xxvii)態様xxvi)の特定の副態様によれば、態様xxvi)に定義する式Iの化合物は、VがCHを表し、かつWがCH又はNを表すような化合物である。
【0063】
xxviii)特に、態様xxvii)に定義する式Iの化合物は:
−VがCHを表し、かつWがNを表し;
−Rがメトキシを表し;
−ZがO又はS(好ましくはO)を表し;そして
−AがCHCHを表すような化合物である。
【0064】
xxix)態様xxvi)の別の特定の副態様によれば、態様xxvi)に定義する式Iの化合物は、VがNを表し、かつWがCHを表すような化合物である。
【0065】
xxx)特に、態様xxix)に定義する式Iの化合物は:
−Rがメトキシを表し;
−YがNを表し;
−ZがO又はS(好ましくはS)を表し;そして
−AがCHCHを表すような化合物である。
【0066】
xxxi)本発明の別の態様は、
−R、R、R及びRの1つがDを表し、残りのR、R、R及びRがそれぞれHを表し、かつAがCH又はCHCHを表すか、又は
−R、R、R及びRのそれぞれがHを表し、かつAがCDCDを表す、態様i)、iii)、v)〜xiv)、xvi)〜xviii)、xx)〜xxii)、xxiv)及びxxv)の1つに定義する式Iの化合物に関し、以下において、これらのすべての化合物は式Iの化合物と記載される。
【0067】
xxxii)態様xxxi)の特定の副態様によれば、態様xxxi)に定義する式Iの化合物は、VがCHを表し、かつWがCH又はNを表すような化合物である。
【0068】
xxxiii)特に、態様xxxii)に定義する式Iの化合物は、
−VがCHを表し、かつWがNを表し;
−Rがメトキシを表し;
−ZがO又はS(好ましくはO)を表し;そして
−AがCHCH又はCDCDを表すような化合物である。
【0069】
xxxiv)態様xxxi)の特定の副態様によれば、態様xxxi)に定義する式Iの化合物は、VがNを表し、かつWがCHを表すような化合物である。
【0070】
xxxv)特に、態様xxxiv)に定義する式Iの化合物は、
−Rがメトキシを表し;
−YがNを表し;
−ZがO又はS(好ましくはS)を表し;そして
−AがCHCH又はCDCDを表すような化合物である。
【0071】
xxxvi)態様i)〜iv)の1つに定義する式Iの下記の化合物が特に好ましい:
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール;
(1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール;
(1S)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
並びにその塩(特に、薬学的に許容される塩)。
【0072】
xxxvii)態様i)又はiii)に定義する、式Iのさらなる特に好ましい化合物は下記の化合物である:
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1;
(S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル−d1)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d2)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
並びにその塩(特に、薬学的に許容される塩)。
【0073】
xxxviii)本発明はさらに、態様xxxvi)に挙げた化合物及び態様xxxvii)に挙げた化合物から成る群より選択される、態様i)又はiii)に定義する式Iの化合物に関する。特に、本発明はまた、態様xxxvi)に挙げた化合物及び態様xxxvii)に挙げた化合物から成る群より選択される式Iの化合物の群であって、当該化合物の群がさらに態様v)〜xxxv)の1つに対応する当該式Iの化合物の群、並びにそのような化合物の塩(特に、薬学的に許容される塩)に関する。本発明はさらに、態様xxxvi)に挙げた化合物及び態様xxxvii)に挙げた化合物から成る群より選択される、式Iのいずれかの個々の化合物、及びそのような個々の化合物の塩(特に、薬学的に許容される塩)に関する。
【0074】
本発明、すなわち、態様i)〜xxxviii)の1つに従う式Iの化合物は、ヒト及び動物医療における、化学療法に有効な化合物として、及び無機及び有機素材、特にすべてのタイプの有機素材、例えばポリマー、滑沢剤、塗料、繊維、皮革、紙及び木材の保存のための物質としての使用に適切である。
【0075】
本発明の式Iの化合物は、特に細菌及び細菌様生物に対して活性である。従って、それらは、ヒト及び動物における、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalis、Staphylococcus aureus、Enterococcus faecalis、E.faecium、E.casseliflavus、S.epidermidis、S.haemolyticus、又はPeptostreptococcus spp.による感染に関連した肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃炎、及び乳突炎;Streptococcus pyogenes、Groups C及びG streptococci、Corynebacterium diphtheriae、又はActinobacillus haemolyticumによる感染に関連した咽頭炎、リウマチ熱、及び糸球体腎炎;Mycoplasma pneumoniae、Legionella pneumophila、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae、又はChlamydia pneumoniaeによる感染に関連した気道感染症;例えば非限定的にβ−ラクタム、バンコマイシン、アミノグリコシド、キノロン、クロランフェニコール、テトラサイクリン及びマクロライド等の公知の抗菌剤に耐性の株を含む、S.aureus、S.haemolyticus、E.faecalis、E.faecium、E.duransを原因とする心内膜炎及び骨髄炎を含む血液及び組織感染;Staphylococcus aureus、コアグラーゼ陰性staphylococci(即ち、S.epidermidis、S.haemolyticus等)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus agalactiae、Streptococcal群C−F(minute colony streptococci)、viridans streptococci、Corynebacterium minutissimum、Clostridium spp.、又はBartonella henselaeによる感染に関連した非併発性皮膚及び軟組織感染症及び膿瘍、並びに産褥熱;Staphylococcus aureus、コアグラーゼ陰性staphylococcal種、又はEnterococcus spp.による感染に関連した非併発性急性尿路感染症;尿道炎及び子宮頚管炎;Chlamydia trachomatis、Haemophilus ducreyi、Treponema pallidum、Ureaplasma urealyticum、又はNeiserria gonorrhoeaeによる感染に関連した性感染症;S.aureusによる感染に関連した毒素疾患(食中毒及び毒素ショック症候群)、又はA、B、及びC群streptococci;Helicobacter pyloriによる感染に関連した潰瘍;Borrelia recurrentisによる感染に関連した全身性熱性症候群;Borrelia burgdorferiによる感染に関連したライム病;Chlamydia trachomatis、Neisseria gonorrhoeae、S.aureus、S.pneumoniae、S.pyogenes、H.influenzae、又はListeria spp.による感染に関連した結膜炎、角膜炎、及び涙嚢炎;Mycobacterium avium、又はMycobacterium intracellulareによる感染に関連した播種性鳥型結核菌複合体(MAC)病;Mycobacterium tuberculosis、M.leprae、M.paratuberculosis、M.kansasii、又はM.cheloneiを原因とする感染症;Campylobacter jejuniによる感染に関連した胃腸炎;Cryptosporidium spp.による感染に関連した消化管内原虫;viridans streptococciによる感染に関連した歯性感染症;Bordetella pertussisによる感染に関連した持続性の咳;Clostridium perfringens又はBacteroides spp.による感染に関連したガス壊疽;並びにHelicobacter pylori又はChlamydia pneumoniaeによる感染に関連したアテローム性動脈硬化症又は心血管系疾病を含む、これら病原体を原因とする局所及び全身感染症、並びに細菌感染症に関連した疾患の予防及び化学療法に特に適切である。
【0076】
本発明の式Iの化合物は、さらに、例えばE.coli、Klebsiella pneumoniae及び他のEnterobacteriaceae、Acinetobacter baumaniiを含むAcinetobacter spp.、Stenothrophomonas maltophilia、Neisseria meningitidis、Bacillus cereus、Bacillus anthracis、Clostridium difficile、Corynebacterium spp.、Propionibacterium acnes並びにbacteroide spp等の細菌により仲介される感染症の治療のための医薬の製造に有用である。
【0077】
本発明の式Iの化合物は、さらに、Plasmodium malaria、Plasmodium falciparum、Toxoplasma gondii、Pneumocystis carinii、Trypanosoma brucei及びLeishmania sppを原因とする原虫感染症の治療に有用である。
【0078】
上記した病原体のリストは、単なる例として解釈するべきであり、限定を意図するものでは全くない。
【0079】
本発明の式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩は、医薬の製造のために使用してもよく、そして細菌感染症の予防又は治療に適切である。
【0080】
ヒトと同様、細菌感染症は、式Iの化合物(又はその薬学的に許容される塩)を用いて、豚、反芻動物、馬、犬、猫及び家禽のような他の種においても治療し得る。
【0081】
本発明はまた、式Iの化合物の薬学的に許容される塩並びに組成物及び製剤にも関する。
【0082】
本明細書における(そして特に前述の態様における)式Iの化合物に対するいかなる言及も、適宜かつ好都合に、そのような化合物の塩(特に、薬学的に許容される塩)にも言及しているものと理解されるべきである。
【0083】
本発明の医薬組成物は、活性薬剤として、式Iの化合物(又はその薬学的に許容される塩)の少なくとも一種と、任意に担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバントとを含み、さらなる公知の抗生物質を含んでいてもよい。
【0084】
式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば経腸又は非経口投与のための医薬組成物の形態で使用することができる。
【0085】
医薬組成物の製造は、いずれの当業者にもよく知られた様式で(例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、21st Edition(2005)、Part 5、「Pharmaceutical Manufacturing」[published by Lippincott Williams & Wilkins]を参照されたい。)、記述された式Iの化合物又はこれらの薬学的に許容される塩を、任意にその他の治療的に有益な物質と組み合わせて、適切な無毒の不活性な薬学的に許容される固体又は液体の担体材料及び必要に応じて、通常の薬学的アジュバントと共に、製剤投与形態とすることにより遂行することができる。
【0086】
本発明の別の側面は、薬学的に活性な量の、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、患者における細菌感染症の予防又は治療方法に関する。
【0087】
さらに、式Iの化合物(化合物自体、その塩、当該化合物又はその塩を含む組成物、当該化合物又はその塩の使用、その他であるかを問わない)に対して示されたいかなる好適性も、式I、ICE、ICEP、I及びIの化合物に準用される。
【0088】
さらに、式Iの化合物は、例えば外科器具から病原菌及び細菌を除去し、又は部屋若しくは領域を無菌にするための、清浄目的に使用することもできる。その目的のために、式Iの化合物を、溶液中又はスプレー製剤中に含有させることができる。
【0089】
式Iの化合物は、下記の手順を用いて、本発明に従って製造することができる。
【0090】
式Iの化合物の製造
略語
明細書及び実施例を通して以下の略語が使われる:
Ac アセチル
AcOH 酢酸
AD−mixα 1,4−ビス(ジヒドロキニン)フタラジン、
Fe(CN)、KCO及びKOsO.2H
AD−mixβ 1,4−ビス(ジヒドロキニジン)フタラジン、
Fe(CN)、KCO及びKOsO.2H
Alloc アリールオキシカルボニル
aq. 水性
Boc tert−ブトキシカルボニル
Cbz ベンジルオキシカルボニル
CC シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DME 1,2−ジメトキシエタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
EDC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩
ESI 電子スプレーイオン化
eq. 当量
エーテル ジエチルエーテル
Et エチル
EtOH エタノール
Fmoc 9−フルオレニルメトキシカルボニル
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,
N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート
Hex ヘキサン
Hept ヘプタン
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
KHMDS カリウムヘキサメチルジシラジド
LC 液体クロマトグラフィー
LiHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MS 質量分析法
Ms メタンスルホニル(メシル)
n−BuLi n−ブチルリチウム
org. 有機
Pd/C 炭素上パラジウム
Pd/CaCO 炭酸カルシウム上パラジウム
Pd(OH)/C 炭素上水酸化パラジウム
Ph フェニル
Pyr ピリジン
rac. ラセミ
rt 室温
sat. 飽和した
TBAF フッ化テトラブチルアンモニウム
TBDMS tert−ブチルジメチルシリル
TBDPS tert−ブチルジフェニルシリル
TBME tert−ブチルメチルエーテル
tBu tert−ブチル
T3P プロピルホスホン酸無水物
TEA トリエチルアミン
Tf トリフルオロメタンスルホニル(トリフリル)
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
Ts パラ−トルエンスルホニル
【0091】
一般的反応技術:
一般的反応技術1(ケトン又はアルデヒドのアルコールへの還元):
ケトン又はアルデヒドは、LiBH、NaBH又はLiBH等のホウ素又は水素化アルミニウム還元剤により、THF等の溶媒中で、−20℃と40℃の間にて還元される。重水素化アルコール誘導体を望む場合には、NaBD又はLiAlDを還元剤として用いなければならない。カルボニル基を還元するさらなる一般的方法、並びに不斉還元法は、Comprehensive Organic Transformations。A guide to Functional Group Preparations、2nd Edition、R.C.Larock、Wiley−VC;New York、Chichester、Weinheim、Brisbane、Singapore、Toronto(1999)、Section Alcohols and phenols、p.1057−1087及びp.1097−1110に記載されている。
【0092】
一般的反応技術2(還元的アミノ化):
アミンとアルデヒド又はケトンとの反応は、生成した水を、物理的又は化学的手段(例えば、溶媒−水共沸混合物の蒸留、又はモレキュラー・シーヴ、MgSO又はNaSO等の乾燥剤の存在)にて除去できる溶媒系内で行われる。そのような溶媒は、典型的にはトルエン、Hex、THF、DCM若しくはDCE、又はDCE/MeOH等の溶媒の混合物である。反応は、微量の酸(通常、AcOH)により触媒することができる。中間体イミンは、適切な還元剤(例えば、NaBH、NaBHCN又はNaBH(OAc))で、又はPd/C等の貴触媒上での水素化を通じて還元される。反応は、−10℃と110℃の間、好ましくは0℃と60℃の間にて行われる。反応はまた、ワンポットで行うこともできる。反応はまた、MeOH又は水等のプロトン性溶媒中で、ピコリン−ボラン錯体の存在下で行うこともできる(Tetrahedron(2004)、60、7899−7906)。
【0093】
一般的反応技術3(アミン脱保護):
ベンジルカーバメートは、貴金属触媒(例えば、Pd/C)上での水素化分解により脱保護される。Boc基は、HCl等の酸性条件下で、EA、又はTFAニート、若しくはDCM等の溶媒で希釈したTFA等の有機溶媒中で除去することができる。Alloc基は、モルホリン、ジメドン又は水素化トリブチルスズ等のアリルカチオンスカベンジャーの存在下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下において、0℃と50℃の間にて、THF等の溶媒中で除くことができる。N−ベンジル保護アミンは、貴金属触媒(例えば、木炭上Pd(OH))上での水素化分解により脱保護される。アミン保護基を除くさらなる一般的方法は、Protecting Groups in Organic Synthesis、3rd Ed(1999)、494−653;T.W.Greene、P.G.M.Wuts(出版元:John Wiley and Sons、Inc.、New York、N.Y.)に記載されている。
【0094】
一般的反応技術4(アミド形成):
カルボン酸を、DCC、EDC、HOBT、T3P、HATU又は炭酸ジ−(N−スクシンイミジル)等の活性化剤の存在下、DCM、MeCN又はDMF等の乾燥非プロトン性溶媒中、−20℃と+60℃の間にてアミン又はアルコキシアルキルアミンと反応させる(Comprehensive Organic Synthesis、B.M.Trost、I.Fleming、Eds;Pergamon Press:New York(1991)、vol.6、p.381中のG.Benzを見よ。)。あるいは、カルボン酸を、ニート又はDCM等の溶媒中の塩化オキサリル又は塩化チオニルと、20℃と+60℃の間にて反応させることにより、その対応する酸クロリドに変換することにより活性化することができる。さらなる活性化剤は、Comprehensive Organic Transformations。A guide to Functional Group Preparations、2nd Edition、R.C.Larock、Wiley−VC;New York、Chichester、Weinheim、Brisbane、Singapore、Toronto(1999)、Section nitriles、carboxylic acids and derivatives、p.1941−1949中に見出すことができる。
【0095】
一般的反応技術5(アミン保護):
アミンは、通常、Alloc、Cbz又はBocのようなカーバメートとして保護される。これらは、アミンを、NaOH、TEA、DMAP又はイミダゾール等の塩基の存在下、クロロギ酸アリル若しくはベンジル、二炭酸ジ−tert−ブチルと反応させることにより得られる。これらはまた、NaCO又はTEA等の塩基の存在下における、臭化又は塩化ベンジルとの反応により、N−ベンジル誘導体として保護することもできる。あるいは、N−ベンジル誘導体は、ベンズアルデヒドの存在下における還元的アミノ化を通じて得ることができる(上記の「一般的反応技術2」を見よ。)。他のアミン保護基を導入するさらなる戦略は、Protecting Groups in Organic Synthesis、3rd Ed(1999)、494−653、T.W.Greene、P.G.M.Wuts(出版元:John Wiley and Sons、Inc.、New York、N.Y.)に記載されている。
【0096】
一般的反応技術6(アルコールのケトン又はアルデヒドへの酸化):
アルコールは、Swern(D.Swernら、J.Org.Chem.(1978)、43、2480−2482を見よ。)、Dess−Martin(D.B.Dess及びJ.C.Martin、J.Org.Chem.(1983)、48、4155を見よ。)又はLey(過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムを用いて;Synthesis(1994)、7、639−66を見よ。)条件下における酸化により、それぞれ、それらの対応するケトン又はアルデヒドに変換することができる。さらなる方法は、Comprehensive Organic Transformations。A guide to Functional Group Preparations、2nd Edition、R.C.Larock、Wiley−VC;New York、Chichester、Weinheim、Brisbane、Singapore、Toronto(1999)、Section aldehydes and ketones、p.1234−1249に見出すことができる。
【0097】
一般的反応技術7(アルコールの活性化):
アルコールを、TEA等の塩基の存在下、Pyr、THF又はDCM等の乾燥非プロトン性溶媒中、−30℃と50℃の間にて、MsCl、TfCl又はTsClと反応させる。トリフレート又はメシレートの場合には、TfO又はMsOを用いることもできる。これらのスルホネートは、NaI又はNaB等のハロゲン化ナトリウムと、MeCN中又はDMF中で、40℃と120℃の間にて反応させることができ、対応するヨウ化物誘導体を与える。あるいは、対応する臭化物又は塩化物はまた、対応するアルコール誘導体の、それぞれPBr又はPClとの反応により得ることができる。
【0098】
一般的反応技術8(アミン置換):
スルホネート又はヨウ化物誘導体(上記「一般的反応技術7」を見よ。)として活性化されたアルコールを、TEA又はDIPEA等の有機塩基の存在下、DMF等の溶媒中、20℃と110℃の間にて、アミンと反応させる。
【0099】
一般的製造方法:
式Iの化合物の製造
式Iの化合物は、下記の方法により、実施例に記載された方法により、又は類似の方法により製造することができる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物質又は溶媒により変わるが、そのような条件は、当業者のルーティンの最適化手順により決定することができる。
【0100】
式Iの化合物は、
a) 式IIの化合物
【0101】
【化10】

【0102】
(式中、R、R、V、W、Y、Z及びAは式Iに定義する通りであり、そしてPGは、Cbz、Boc又はFmoc等のアミノ保護基を表す。)を、LiAlH、NaBH又はNaBD等のヒドリド試薬を用いて還元し(一般的反応技術1を見よ。)、次いで、保護基PGを一般的反応技術3に従って除くことにより;又は
b) 式IIIの化合物
【0103】
【化11】

【0104】
(式中、R、R、R、R、V及びWは式Iに定義する通りである。)を、式IVの化合物
【0105】
【化12】

【0106】
(式中、A、Y及びZは式Iの通りである。)と、還元的アミノ化条件下(一般的反応技術2を見よ。)で反応させることにより(R又はRがDであり、かつ他方がHである特定の場合には、反応はNaBDの存在下で行われる。);又は
c) 上記セクションb)に定義する式IIIの化合物を、式IVaの化合物
【0107】
【化13】

【0108】
(式中、A、Y及びZは式Iの通りである。)と、還元的アミノ化条件下(一般的反応技術2を見よ。)で反応させることにより(R及びRのそれぞれがDである特定の場合には、反応はNaBDの存在下で行われる。);又は
d) 上記セクションb)に定義する式IIIの化合物を、式Vの化合物
【0109】
【化14】

【0110】
(式中、Y、Z及びAは式Iに定義する通りであり、そしてLは、塩素、臭素若しくはヨウ素等のハロゲン、又は、式OSOの基(式中、Rは、アルキル、トリル又はトリフルオロメチルを表す。)を表す。)と、一般的反応技術8に従って反応させることにより;又は
e) 式VIの化合物
【0111】
【化15】

【0112】
(式中、R、R、V及びWは式Iに定義する通りである。)から得られるアニオンを、式VIIの化合物
【0113】
【化16】

【0114】
(式中、Y、Z及びAは式Iに定義する通りであり、そしてPGはアミノ保護基である。)と反応させ(アニオンは、THF中で、n−BuLi等の強塩基により、−50℃と−100℃の間にて生成し、さらに、式VIIのアルデヒド、と−78℃と−20℃の間で反応させる。)、次いで、保護基PGを一般的反応技術3に従って除くことにより;又は
f) 式VIIIの化合物
【0115】
【化17】

【0116】
(式中、R、R、V、W、Y、Z及びAは、式Iに定義する通りである。)を、Pd/C等の貴金属触媒上で水素と、又は、Pd(dba)上でNaBH若しくはNaBDと反応させることにより;又は
g) 式IXの化合物
【0117】
【化18】

【0118】
(式中、R、R、V及びWは式Iに定義する通りであり、そしてUは、臭素又は塩素等のハロゲンを表す。)から得られるアニオンを、式Xのエポキシド
【0119】
【化19】

【0120】
(式中、Y、Z及びAは式Iの通りであり、そしてPGは、Cbz、Boc又はFmoc等のアミノ保護基を表す。)と反応させ(アニオンは、THF中で、n−BuLiを用いたハロゲン金属交換により、−50℃と−100℃の間で生成する。)、次いで、保護基PGを一般的反応技術3に従って除くことにより、
本発明に従って製造することができる。
【0121】
このようにして得られた式Iの化合物は、必要に応じ、それらの塩、そして特にそれらの薬学的に許容される塩に変換してもよい。
【0122】
さらに、式Iの化合物がジアステレオマーの混合物の形態で得られる場合には常に、ジアステレオマーは、当業者に知られた方法、例えば、Regis Whelk−O1(R,R)(10μm)カラム、Daicel ChiralCel OD−H(5−10μm)カラム、又はDaicel ChiralPak IA(10μm)若しくはAD−H(5μm)カラム等のキラル固定相上のHPLCを用いて分離することができる。キラルHPLCの典型的な条件は、0.8から150mL/分の流速における、溶出液A(EtOH。TEA、ジエチルアミン等のアミンの存在下又は非存在下で)及び溶出液B(ヘキサン)の無勾配混合物である。ジアステレオマーの混合物はまた、シリカゲルクロマトグラフィー、HPLC及び結晶化技術の適宜な組み合わせにより分離してもよい。
【0123】
式II〜Xの化合物の製造:
式IIの化合物の製造
式IIの化合物は、下記スキーム1に記載の通りに製造することができる。
【0124】
【化20】

【0125】
スキーム1において、R、V、W、R、Y、Z及びAは、式Iにおける場合と同じ意味を有し、そしてPGは、Cbz、Boc又はFmoc等のアミノ保護基である。
【0126】
式I−1の既知のカルボン酸誘導体(Eur.J.Org.Chem.(2003)、2418−27)は、DCC等のカップリング剤の存在下におけるN−メトキシ−メタナミンとの反応の後に、その対応するワインレブアミドに変換することができる(一般的反応技術4)。Boc保護基は除去することができ(一般的反応技術3)、そして得られたアミンは、式IVのアルデヒドと反応させることができる(一般的反応技術2)。式I−3の中間体中の遊離アミンは、一般的反応技術5に従って、基PGで保護することができる。得られた式I−4の中間体は、式VIの誘導体の反応により生成したアニオンと、n−BuLi等の強塩基を用いて、THF等の溶媒中、−30℃と−100℃の間にて反応させることができ、式IIの化合物を与える。
【0127】
式IIIの化合物の製造
式IIIの化合物は、対応する式XIの化合物
【0128】
【化21】

【0129】
(式中、PGは、Boc、Fmoc又はCbz等のアミノ保護基を表す。)の、一般的反応技術3に従う脱保護により得ることができる。
【0130】
式IVの化合物の製造
AがCH又はCHCHである式IVの化合物は、文献(WO02/056882、WO2004/058144及びWO2007/071936を見よ。)に記載の通りに製造することができる。AがCDCDを表す式IVの化合物は、それぞれBrCDCDBr、HOCDCDOH及びHSCDCDOHを用いて、AがCHCHを表す化合物と同様に製造することができる。
【0131】
式IVaの化合物の製造
式IVaの化合物は、式IVのアルデヒドに由来するエステルを、LiAlDを用いて還元し(当該エステルは、例えば、WO2007/081597又はWO2003/087098に従って製造される。)、次いで、MnOで再び酸化することにより得ることができる。
【0132】
式Vの化合物の製造
LがOSOを表す式Vの化合物は、一般的反応技術7に従う、対応するアルコール誘導体(L=OH)の活性化により得ることができる。Lがハロゲンを表す式Vの化合物は、リチウム、カリウム又はナトリウム塩化物との反応により、一般的反応技術7に従って、前者の化合物から得ることができる。必要なアルコール誘導体(L=OH、かつA=CH又はA=CHCH)は、既知の手順(例えば、WO2004/058144)に従って、又は、式IVの対応するアルデヒド誘導体の一般的反応技術1に従う還元によって得ることができる。AがCDCDであるアルコール誘導体は、適宜な重水素化物質を用いて、上記手順と同様に得ることができる。
【0133】
式VIの化合物の製造
VがCHであり、WがCHであるか、又はWがNであり、かつRがHである式VIの化合物は、文献(WO00/21948、WO2006/046552及びWO2007/081597を見よ。)に記載の通りに製造することができる。
【0134】
VがCHであり、WがNであり、かつRがFである式VIの化合物は、下記のスキーム2に記載の通りに製造することができる。
【0135】
【化22】

【0136】
すなわち、式II−1の既知の化合物(例えば、R=OMe;WO2008/009700)は、THF等の溶媒中、−30℃と−100℃の間にて、n−BuLi等の強塩基と反応させることができ、そして得られたアニオンをヨウ化メチルでクェンチする。
【0137】
VがNであり、WがCHであり、かつRがH又はFである式VIの化合物は、市販されているか、又は、文献(WO2007/115947)に記載の通りに製造することができる。
【0138】
式VIIの化合物の製造
式VIIの化合物は、下記のスキーム3に記載の通りに製造することができる。
【0139】
【化23】

【0140】
スキーム3において、Y、Z及びAは、式Iにおける場合と同じ意味を有し、そしてPGは、Cbz又はBoc等のアミノ保護基である。
【0141】
式III−1の既知のアルコール誘導体(Eur.J.Org.Chem.(2003)、2418−27)は脱保護し(一般的反応技術3)、そして、還元的アミノ化条件下で、式IVのアルデヒドと反応させることができる(一般的反応技術2)。次いで、式III−2の中間体のアミノ基は、保護することができ(一般的反応技術5)、そして得られる式III−3の中間体は、対応する式VIIのアルデヒドに酸化することができる(一般的反応技術6)。
【0142】
式VIIIの化合物の製造
式VIIIの化合物は、下記のスキーム4に記載の通りに製造することができる。
【0143】
【化24】

【0144】
スキーム4において、R、R、V、W、Y、Z及びAは、式Iにおける場合と同じ意味を有し、PGは、Cbz又はBoc等のアミノ保護基であり、そしてRは1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イル又はベンゾチアゾール−2−イルである。
【0145】
すなわち、式IV−2のスルホン(WO2006/032466に従って製造。)と式IV−1のアルデヒドは、KHMDS又はLiHMDS等の塩基の存在下、1,2−ジメトキシエタン、DMF又はトルエン等の溶媒中で、J.Chem.Soc.、Perkin Trans.1(2002)、2563−2585中のBlakemore、P.R.に概説されるようにカップリングすることができる。式IV−3の(E)−アルケン誘導体は脱保護することができ(一般的反応技術3)、そして得られた遊離アミンは、還元的アミノ化条件下で(一般的反応技術2)、式IVのアルデヒドと反応させることができる。次いで、遊離アミンは保護することができ(一般的反応技術5)、式IV−4の中間体を与える。これらの中間体は、Chem.Rev.(1994)、94、2483に記載のように、メタンスルホンアミドの存在下、水/2−メチル−2−プロパノール混合物中で、AD−mixβで処理することにより、対応するキラルcis−ジオール誘導体に変換することができる。式IV−5のキラルcis−ジオールは、TEA又はPyr等の有機塩基の存在下で、ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンで処理するか、又は、DCM又はTHF等の不活性溶媒中、−78℃と50℃の間に渡る温度にて、より簡便には、0℃と20℃の間に渡る温度にて、カルボニルイミダゾールで処理することにより、対応する環状炭酸塩に変換することができる。次いで、これらの環状炭酸塩は、保護基PGの除去により(一般的反応技術3)式VIIIの化合物に変換することができる。PGがCbzを表す特定の場合には、式IV−5の中間体の水素化分解により、式Iの化合物が直接生成する。
【0146】
式IXの化合物の製造
VがCHであり、かつWがCH又はNである式IXの化合物は、市販されているか、又はWO2008/003690、WO2006/125974、WO2006/032466、WO2005/019215若しくはWO2004/058144に従って得ることができる。
【0147】
VがNであり、WがCHであり、かつRがメトキシである式IXの化合物は、下記のスキーム4aに記載の通りに製造することができる。
【0148】
【化25】

【0149】
すなわち、VがNであり、WがCHであり、かつRがメトキシである式IXの化合物は、(例えば)3−クロロ−4−フルオロ−1,2−ベンゼンジアミン(CAS132915−81−2;市販)又は3−ブロモベンゼン−1,2−ジアミン(CAS1575−36−6;市販)を、グリオキシル酸メチルと反応させることにより得ることができる。次いで、得られる式IV−2の化合物を、POCl又はPOBr、次いでNaOMeとメタノール中で連続的に反応させることにより、VがNであり、WがCHであり、UがCl又はBrであり、かつRがメトキシである式IXの化合物を得ることができる。
【0150】
式Xの化合物の製造
式Xの化合物は、下記のスキーム5に記載の通りに製造することができる。
【0151】
【化26】

【0152】
スキーム5において、Y、Z及びAは、式Iにおける場合と同じ意味を有し、PGは、Boc又はCbz等のアミノ保護基を表し、そしてRは、アルキル、CF又はトリルを表す。
【0153】
式VIIのアルデヒドをメチレントリフェニルホスフォランと反応させることにより、式V−1の中間体ビニル誘導体を得ることができ、それはAD−mixαを用いたcis−ジヒドロキシ化に付すことができる。式V−2の中間体ジオール誘導体は、TEA又はDIPEA等の塩基の存在下、塩化ピバロイルと反応させることにより、ピバロイル等の保護基でモノ保護することができる。次いで、第二アルコール官能基はスルホネートとして活性化することができ(一般的反応技術7)、そして、式V−4の中間体を、NaOMe等の塩基とMeOH中で反応させることにより、最後にエポキシドを得ることができる。
【0154】
式XIの化合物の製造:
又はRがHを表す式XIの化合物は、WO2006/032466に記載の通りに製造することができる。
【0155】
又はRの一方がDであり、かつ他方がHであり、かつPGがBocである式XIの化合物は、下記のスキーム6に記載の通りに製造することができる。
【0156】
【化27】

【0157】
スキーム6において、R、R、V、W及びZは、式Iにおける場合と同じ意味を有する。
【0158】
式IV−3のオレフィン性誘導体は、Chem.Rev.(1994)、94、2483に記載のように、メタンスルホンアミドの存在下、水/2−メチル−2−プロパノール混合物中で、AD−mixβで処理することによりcis−ジヒドロキシ化することができる。式VI−1のキラルcis−ジオールは、TEA又はPyr等の有機塩基の存在下で、ホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンで処理するか、又は、DCM又はTHF等の不活性溶媒中、−78℃と50℃の間に渡る温度にて、より簡便には、0℃と20℃の間に渡る温度にて、カルボニルイミダゾールで処理することにより、対応する式VI−2の環状炭酸塩に変換することができる。これらの環状炭酸塩は、Pd(dba)等の触媒の存在下におけるNaBDとの反応の後に、RがDであり、RがHであり、かつPGがBocである式XIの重水素化類似誘導体に変換することができ、又は、Pd(dba)等の触媒の存在下におけるNaBHとの反応の後、若しくは、Pd/C等の貴金属触媒上での水素化を通じて、RがHであり、RがHであり、かつPGがBocである式XIの類似誘導体に変換することができる。得られるアルコール誘導体は、一般的反応技術6を用いて、対応する式VI−3のケトン誘導体に変換することができ、さらに、NaBDを用いて、RがHであり、RがDであり、かつPGがBocである、対応する式XIの誘導体に還元することができる。
【0159】
本発明の特定の態様を下記の実施例に記載するが、それらは、本発明をさらに詳細に説明するためのものであり、発明の範囲をいかなる意味においても限定するものではない。
【実施例】
【0160】
下記のセクションにおいて、別段の記載が無い限り、「通常の水性後処理」という用語は、適宜な溶媒で水層を抽出した後、合わせた有機層を塩水(brine)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固することを意味する。
【0161】
温度はすべて℃で示す。化合物は、H−NMR(300MHz)(Varian Oxford)又はH−NMR(400MHz)(Bruker Avance 400)によって特徴付けた。化学シフトδは、使用する溶媒と関連して、ppmで示してある;多重度:s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、p=五重項、hex=六重項、hep=七重項、m=多重項、br=広域、結合定数はHzで示してある。あるいは、化合物は、LC−MS(DAD及びELSDを備えたAgilent 1100 Binary Pumpを用いたSciex API 2000、又はAgilent 1200 Binary Pump、DAD及びELSDを備えたAgilent quadrupole MS6140)によって;TLC(MerckのTLC−プレート、Silica gel 60 F254)によってによって特徴付けた。特に言及しない限り、化合物は、シリカゲル60A上のクロマトグラフィーによって精製した。CCに用いたNHOHは25%水溶液である。
【0162】
実施例1:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
(1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール(0.12g;0.4mmol;WO2006/032466に従って製造。)の、MeOH(1.5mL)とDCE(6mL)中の溶液に、3Åモレキュラー・シーヴ(1.2g)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(0.07g、0.4mmol、WO02/056882に従って製造。)を添加した。混合物を50℃にて一晩攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そしてNaBH(0.09g、2.29mmol)を添加した。この温度にて反応を1h進行させた。反応混合物をDCM−MeOH(9−1、30mL)で希釈し、そしてろ過した。固形物をDCM(20mL)で洗浄した。ろ液をsat.NaHCO溶液(10mL)で洗浄し、そして水層を、DCM−MeOH(3x10mL)で3回抽出した。有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製して、表題化合物を白色のフォーム(0.125g、収率70%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.63(d、J=4.7Hz、1H);8.21(d、J=9.1Hz、1H);7.99(s、1H);7.50(d、J=4.4Hz、1H);7.21(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.51(d、J=6.4Hz、1H);4.30−4.34(m、2H);4.24−4.28(m、2H);3.99(s、3H);3.96(重複m、1H);3.85(m、1H);3.68(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.42(dd、J=3.8、12.9Hz、1H);3.09(ddd、J=2.1、3.9、11.1Hz、1H);2.96(dd、J=9.0、12.9Hz、1H);2.91(t、J=10.5Hz、1H);2.42(重複m、1H);2.07(br. s、1H);1.99(m、1H);1.62(m、1H);1.45(m、1H);1.15(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2428に対して453.0[M+H]。
【0163】
実施例2:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
(1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール(0.1g、0.33mmol、WO2006/032466に従って製造。)と6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−カルバルデヒド(0.06g、1eq.;WO2007/071936に従って製造。)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、表題化合物を無色の油状物(0.008g、収率8%)として得た。化合物をCC(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製した。MS(ESI、m/z):C2327に対して454.3[M+H]。
【0164】
実施例3:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
3.i. {(3R,6S)−6−[(4R,5R)−5−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−2−オキソ−[1,3]ジオキソラン−4−イル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
{(3R,6S)−6−[(1R,2R)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1,2−ジヒドロキシ−エチル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(5.56g、12.71mmol;WO2006/032466に従って製造。)の、DCM(115mL)中の氷冷溶液に、Pyr(6.13mL、76.25mmol)とトリホスゲン(1.89g、6.35mmol)を添加した。反応混合物を、同じ温度で25min攪拌し、そしてsat.NaHCO溶液(100mL)を添加した。2層をデカントし、そして水層をDCM(100mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣を、トルエンを用いて2回共蒸発させ、表題の炭酸塩を白色の固体(4.56g、収率77%)として得た。1H NMR(d6−DMSO) δ:8.93(d、J=0.9Hz、1H);8.36(d、J=9.4Hz、1H);7.31(d、J=9.4Hz、1H);6.77(d、J=7.6Hz、1H);6.32(d、J=5.6Hz、1H);5.07(dd、J=3.2、5.6Hz、1H);4.01(s、3H);3.93(m、1H);3.54(m、1H);3.35(m、1H);3.08(t、J=10.5Hz、1H);1.88(m、1H);1.67(m、1H);1.32−1.51(m、2H);1.36(s、9H)。MS(ESI、m/z):C2226Fに対して464.0[M+H]。
【0165】
3.ii. {(3R,6S)−6−[(1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1−ヒドロキシ−エチル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
中間体3.i(5.92g、12.77mmol)の、EA(120mL)とMeOH(15mL)の溶液中の溶液に、20%Pd(OH)/C(湿潤化、5.40g)を添加した。反応液を、水素雰囲気下、45℃にて5h攪拌した。Rtに冷却後、触媒をろ過により除き、EA−MeOHの混合物(9−1、100mL)で洗浄した。ろ液を濃縮乾固し、そして残渣をクロマトグラフに付して(EA−Hept、4−1からEA−MeOH、9−1へ)、完全に還元された化合物(0.52g)を最初に、次いで、表題化合物を明灰色の固体(3.18g、収率59%)として得た。MS(ESI、m/z):C2128Fに対して422.1[M+H]。
【0166】
3.iii. (1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
中間体3.ii(3.18g、7.54mmol)のTFA(30mL)中の溶液を、rtにて20min攪拌した。濃縮乾固後、残渣を、sat.NaHCO溶液(50mL)とDCM−MeOH(9−1、100mL)との間で分画した。水層のpHを、32% aq.NaOHを用いて12に調整した。水層を、同じ混合物で5回抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固して、表題のアミンを灰白色の固体(1.92g、収率79%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(d、J=0.6Hz、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.20(d、J=9.1Hz、1H);4.53(d、J=6.2Hz、1H);4.01(s、3H);3.91(m、1H);3.77(ddd、J=1.8、4.4、8.2Hz、1H);3.32(重複m、1H);3.05−3.16(m、2H);2.81(t、J=10.3Hz、1H);2.53(m、1H);1.89(m、1H);1.43−1.68(m、2H);1.32(br. s、2H);1.12(m、1H)。MS(ESI、m/z):C1620Fに対して322.2[M+H]。
【0167】
3.iv. (1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
中間体3.iii(0.5g、1.55mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(0.262g、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、表題化合物を、2つのCC工程による精製の後に、無色の油状物(0.477g、収率65%)として得た(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7を溶出液として用いた最初のCCの後に得られる生成物を、EA−MeOH、9−1、次いで1% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、9−1を溶出液として用いた2番目のCCにより精製する。)。H NMR(d6−DMSO)δ:8.72(d、J=0.6Hz、1H);8.23(d、J=9.1Hz、1H);7.99(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.53(d、J=6.2Hz、1H);4.30−4.34(m、2H);4.24−4.28(m、2H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.68(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.32(重複m、1H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.16(br. s、1H);1.99(m、1H);1.65(m、1H);1.47(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2427Fに対して471.2[M+H]。
【0168】
実施例4:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
(1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール(0.053g、0.165mmol;WO2006/032466に従って製造。)と6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−カルバルデヒド(0.028g、1eq.;WO2007/071936に従って製造。)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、表題化合物を白色のフォーム(0.020g、収率26%)として得た。化合物をCC(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);7.16(s、1H);4.53(d、J=6.2Hz、1H);4.46−4.51(m、2H);4.35−4.40(m、2H);4.00(s、3H);3.86−3.96(m、2H);3.83(br. s、2H);3.31(重複m、1H);3.06−3.16(m、2H);2.91(t、J=10.3Hz、1H);2.41(重複m、1H);2.21(br. s、1H);2.01(m、1H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.20(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2326Fに対して472.2[M+H]。
【0169】
実施例5:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール:
5.i. (E)−{(3R,6S)−6−[2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−ビニル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−カルバルデヒド(5g、24.36mmol;WO2008/126024に従って製造。)と(3R,6S)−[6−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−スルフォニルメチル)−テトラヒドロ−ピラン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(10.32g、24.36mmol、WO2006/032466に従って製造。)の、DME(104mL)中の混合物を、−60℃に冷却した。LiHMDS(THF中1M、42mL)の溶液を、30minに渡って滴下した。反応液を、この温度にて1時間攪拌した後、rtにゆっくりと温めた。水(80mL)とEA(80mL)を添加した。2層をデカントし、そして水層をEA(2x100mL)で2回抽出した。合わせた有機層を塩水(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、そして濃縮乾固した。残渣(10.5g)をさらに精製することなく進めた。分析データは、少量の粗製物をジエチルエーテル中で粉砕することにより得られた。H NMR(d6−DMSO) δ:8.24(d、J=8.8Hz、1H);7.83(dd、J=6.4、9.1Hz、1H);7.35(dd、J=9.1、10.3Hz、1H);7.30(dd、J=1.2、16.7Hz、1H);7.01(d、J=8.8Hz、1H);6.90(dd、J=5.6、16.7Hz、1H) 6.79(m、1H);3.99(s、3H)、3.84−3.99(m、2H);3.37(m、1H);3.08(t、J=10.5Hz、1H);1.82−1.95(m、2H);1.42−1.54(m、2H);1.38(s、9H)。MS(ESI、m/z):C2227Fに対して403.2[M+H]。
【0170】
5.ii. {(3R,6S)−6−[(1R,2R)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−1,2−ジヒドロキシ−エチル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
中間体5.i(10.5g、26mmol)の2−メチル−2−プロパノール(130mL)、水(130mL)及びEA(5mL)中の混合物に、rtにて、連続的にメタンスルホンアミド(2.5g)とAD−mixβ(36g)を添加した。亜硫酸水素ナトリウム(39g)を反応混合物に少しずつ添加した。2層を分離し、そして水層をEA(2x150mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(DCM−MeOH、19:1)で精製して、表題のジオールを灰白色のフォーム(9.0g、20.6mmol)として得た。MS(ESI、m/z):C2229Fに対して437.0[M+H]。
【0171】
5.iii. {(3R,6S)−6−[(4R,5R)−5−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−2−オキソ−[1,3]ジオキソラン−4−イル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
中間体5.ii(9.0g、20.6mml)とトリホスゲン(3.06g)を出発物質として、そして実施例3、工程3.i.の手順を用いて、表題化合物を白色のフォーム(7.0g、収率73%)として得た。MS(ESI、m/z):C2327Fに対して463.1[M+H]。
【0172】
5.iv. {(3R,6S)−6−[(1S)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−1−ヒドロキシ−エチル]−テトラヒドロ−ピラン−3−イル}−カルバミン酸 tert−ブチルエステル:
中間体5.iii(0.86g、1.86mmol)のEtOH(16mL)中の溶液に、ギ酸アンモニウム(0.56g、9.29mmol)、5%Pd/CaCO(0.08g)及び10%Pd/C(0.004g)を添加した。反応をrtにて2h進行させた。触媒をろ過により除き、そして真空濃縮した。水(15mL)を添加し、そして混合物をEA(2x10mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(EA−Hept、1−2から1−1へ)で精製して、表題化合物を白色のフォーム(0.580g、収率74%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.21(d、J=9.1Hz、1H);7.77(dd、J=6.2、8.8Hz、1H);7.26(t、J=9.1Hz、1H);6.95(d、J=8.8Hz、1H);6.68(m、1H);4.39(d、J=6.2Hz、1H);3.99(s、3H);3.78−3.90(m、2H);3.27−3.39(m、2H) 3.01−3.12(m、2H);2.92(t、J=10.5Hz、1H);1.88(m、1H);1.48−1.68(m、2H);1.36(s、9H)、1.32(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2229Fに対して[M+H]。
【0173】
5.v. (1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール:
中間体5.iv(0.577g、1.37mmol)を出発物質として、そして実施例1に記載の手順を用いて、表題のアミンをベージュ色のフォーム(0.441g、収率100%)として得た。MS(ESI、m/z):C1721Fに対して321.2[M+H]。
【0174】
5.vi. (1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール:
中間体5.v(0.15g、1.55mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(0.078g、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、表題化合物を、(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7を溶出液として用いた最初のCCの後に得られる生成物を、EA−MeOH、9−1、次いで1% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、9−1を溶出液として用いた2番目のCCにより精製する。)2つのCC工程による精製の後に無色の油状物(0.068g、収率31%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.20(d、J=8.8Hz、1H);7.99(s、1H);7.76(dd、J=6.4、9.1Hz、1H);7.25(t、J=9.1Hz、1H);6.95(d、J=8.8Hz、1H);6.91(s、1H);4.29−4.35(m、3H);4.23−4.28(m、2H);3.97(s、3H);3.95(重複m、1H);3.84(m、1H);3.68(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.31(重複m、1H);3.02−3.13(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.44(重複m、1H);1.95−2.10(m、2H);1.61(m、1H);1.48(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2528Fに対して470.1[M+H]。
【0175】
実施例6:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
6.i. メタンスルホン酸 2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチルエステル:
(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イル)−メタノール(0.150g、0.8mmol;WO2004/058144に記載の通りに製造。)の、DCM(4mL)中の、0℃に冷却した懸濁液に、TEA(0.228mL、1.6mmol、2eq.)とMsCl(0.076mL、0.98mmol、1.2eq.)を添加した。反応液を同じ温度にて攪拌した。30min後にMsCl(0.013mL、0.16mmol)を添加した。sat.NaHCO溶液(25mL)とDCM(20mL)を添加した。2層をデカントし、そして有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(DCM−MeOH、97−3)で精製して、表題化合物を黄色がかった油状物(0.210g、収率98%)として得た。MS(ESI、m/z):C11NOに対して262.0[M+H]。
【0176】
6.ii. (1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
中間体3.iii(0.08g、0.25mmol)と中間体6.i(0.065g、0.25mmol)のDMF(1.5mL)中の溶液に、DIPEA(0.104mL、0.625mmol)を添加した。混合物を80℃に一晩加熱した。溶媒を減圧下で除き、そして残渣を、DCM−MeOH(9−1)を溶出液として用いて、(sat.NaHCO溶液で前処理した)Hydromatrix(登録商標)を通してろ過した。ろ液を濃縮乾固し、そして残渣をCC(0.5% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、19−1)で精製して、表題化合物をベージュ色のフォーム(0.045g、収率37%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(d、J=0.Hz、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.92(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);7.13(s、1H);4.53(d、J=5.9Hz、1H);4.33−4.37(m、2H);4.00(s、3H);3.84−3.97(m、2H);3.68(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.31(重複m、1H);3.22−3.26(m、2H);3.06−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.5Hz、1H);2.43(重複m、1H);1.96−2.08(m、2H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.19(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2427FSに対して487.3[M+H]。
【0177】
実施例7:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール:
中間体5.v(0.08g、0.25mmol)と中間体6.i(0.065g、0.25mmol)を出発物質として、表題化合物をベージュ色のフォーム(0.040g、純度85%)として得た。粗製反応混合物を、CC(0.5% aq.NHOHを含む、DCM−MeOH、19−1)で精製した。MS(ESI、m/z):C2528FSに対して486.1[M+H]。
【0178】
実施例8:(1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール:
8.i. メタンスルホン酸 3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチルエステル:
(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イル)−メタノール(WO2004/058144に記載の通りに製造;0.450g、2.66mmol)を出発物質として;実施例6、工程6.iの手順を用いて、表題のメシレートを紫色の油状物(0.468g、収率71%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.07(s、1H);7.54(s、1H);5.87(s、2H);5.15(s、2H);3.31(s、3H)。MS(ESI、m/z):CNOに対して248.0[M+H]。
【0179】
8.ii. (1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール:
中間体3.iii(0.08g、0.25mmol)と中間体8.i(0.061g、0.25mmol)を出発物質として、実施例6、工程6.iiの工程を用い、表題化合物をベージュ色のフォーム(0.030g、収率25%)として得た。粗製反応混合物をCC(0.3% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、97−3)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(d、J=0.6Hz、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.97(s、1H);7.41(s、1H);7.20(d、J=9.1Hz、1H);5.80(s、2H);4.55(d、J=6.2Hz、1H);4.00(s、3H);3.84−3.98(m、2H);3.71(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.31(重複m、1H);3.06−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.5Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.11(m、1H);2.01(m、1H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.20(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2427FSに対して487.3[M+H]。
【0180】
実施例9:(1S)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール:
中間体5.v(0.085g、0.265mmol)と中間体8.i(0.065g、0.265mmol)を出発物質として、表題化合物をベージュ色のフォーム(0.035g、収率35%)として得た。粗製反応混合物をCC(0.3% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、97−3)で精製した。MS(ESI、m/z):C2528FSに対して472.4[M+H]。
【0181】
実施例10:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
10.i. 6−クロロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン:
(3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン−6−イル)−メタノール(WO2004/058144に記載の通りに製造;0.7g、4.27mmol)を出発物質として、実施例6、工程6.iに記載の手順を用い、表題のクロリドを茶色の固体(0.205g、収率26%)として得た(メシル化反応の間に、さらなるクロリド形成が起こった。)。H NMR(CDCl) δ:8.10(s、1H);7.13(s、1H);4.60(s、2H);4.21−4.25(m、2H);2.76−2.82(m、2H);1.99−2.07(m、2H)。MS(ESI、m/z):C10NOClに対して1842.4[M+H]。
【0182】
10.ii. (1S)−1−{(2S,5R)−5−[(3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
中間体3.iii(0.08g、0.25mmol)と中間体10.i(0.050g、0.27mmol)を出発物質として、実施例6、工程6.iiの工程を用い、表題化合物をベージュ色のフォーム(0.015g、収率13%)として得た。粗製反応混合物をCC(0.3% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、97−3)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(d、J=0.6Hz、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.93(s、1H);7.20(d、J=9.1Hz、1H);7.08(s、1H);4.55(d、J=6.2Hz、1H);4.12−4.17(m、2H);4.00(s、3H);3.86−3.99(m、2H);3.70(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.32(重複m、1H);3.06−3.16(m、2H);2.91(t、J=10.3Hz、1H);2.69−2.75(m、2H);2.43(重複m、1H);1.86−2.08(m、4H);1.66(m、1H);1.47(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2529Fに対して469.0[M+H]。
【0183】
実施例11:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−カルバルデヒド(0.502g、純度80%、2.2mmol)のMeOH(15mL)中の、45℃に温めた溶液に、中間体3.ii(0.706g、2.2mmol、1eq.)を添加した。混合物を45℃にて5min攪拌した。溶液をrtにて3h攪拌した。混合物を0℃に冷却し、そしてNaBH(0.260g)を一度に添加した。DCM(5mL)を添加し、そして反応を同じ温度で1h進行させた。反応をDCM(100mL)とsat.NaHCO(30mL)で希釈した。2層をデカントし、そして水層をDCM−MeOH(9−1、50mL)で一度で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(1% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、9−1)で精製して、白色のフォームを得た。固形物を熱2−プロパノール中で再結晶化して、表題化合物を白色の固体(0.43g)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.53(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);4.51−4.59(m、3H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.81(br. s、2H);3.24−3.35(m、3H);3.05−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.42(重複m、1H);2.21(br. s、1H);2.01(m、1H);1.65(m、1H);1.49(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2326FSに対して488.7[M+H]。
【0184】
実施例12:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
12.i. 2−クロロ−6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−カルバルデヒド:
DIPA(22.3mL)のTHF(150mL)中の溶液に、−20℃にて、n−BuLi(2.3M、63.7mL、159mmol)を添加した。混合物を−20℃にて10min攪拌した。−78℃に冷却後、2−クロロ−6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン(27.1g、127.4mmol)のTHF(100mL+10mLリンス)中の溶液を、40minに渡って添加した。赤みがかった混合物を−78℃にて40min攪拌した。内部温度を−70℃未満に保ちながら、DMF(15mL)を添加した。反応を20min進行させた。AcOH(15mL)を添加した。混合物をrtまで温めた後、3M HCl(180mL)とEA(500mL)を添加した。2つの透明な層が得られるまで、混合物をEA(400mL)でさらに希釈した。2層を分離し、そして水層をEA(3x300mL)で抽出した。有機層を、sat.aq.NaHCO(200mL)と塩水(200mL)で2回抽出し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。粗生成物をエーテル−EA混合物(1−1、250mL)で粉砕し、エーテル(2x100mL)で洗浄し、そして高真空下で乾燥して、表題のアルデヒドをベージュ色の固体(23g、収率76%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:10.96(dd、J=0.9、1.5Hz、1H)、8.29(dd、J=5.6、9.4Hz、1H)、7.67(ddd、J=0.6、9.1、10.5Hz、1H)、4.17(s、3H)。
【0185】
12.ii. 6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−カルバルデヒド:
中間体12.i(23g、95.6mmol)をTHF(750mL)に懸濁し、そしてTEA(26.6mL)を添加した。得られた清澄な溶液を10%Pd/C(5g)で処理し、そして水素雰囲気下で75min攪拌した。反応混合物を、セライトを通してろ過し、水(100mL)を用いて固形物をリンスした。2層をEA(2x200mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をエーテルで粉砕し、そして固形物をろ過し、そして高真空下で乾燥して、表題化合物をベージュ色の固体(16.6g、収率84%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:11.15(dd、J=0.6、1.5Hz、1H);8.24(dd、J=5.6、9.4Hz、1H);7.38(ddd、J=0.6、9.4、10Hz、1H);4.14(s、3H)。
【0186】
12.iii. (1S)−1−((2S,5R)−5−アミノ−テトラヒドロ−ピラン−2−イル)−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
中間体12.ii.(3.02g、14.64mmol)と(3R,6S)−[6−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−スルフォニルメチル)−テトラヒドロ−ピラン−3−イル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(6.20g、14.64mmol、WO2006/032466に従って製造。)を出発物質として、実施例5、工程5.i(Juliaカップリング、収率58%、MS(ESI、m/z):C2126Fに対して404.3[M+H])及び5.ii(不斉ジヒドロキシル化、収率>100%、MS(ESI、m/z):C2128Fに対して438.3[M+H])、実施例3、工程3.i(炭酸塩形成、収率64%、MS(ESI、m/z):C2226Fに対して438.3[M+H])、実施例5、工程5.iv(水素化分解、収率65%、MS(ESI、m/z):C2128Fに対して422.3[M+H])並びに実施例3、工程3.ii(Boc脱保護、収率78%)の手順を順番に用い、表題のアミンを白色の固体(1.53g、4.76mmol)として得た。必要に応じ、適宜な溶出系を用いて、粗製の中間体をCCで精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.54(s、1H);7.89(dd、J=5.9、9.1Hz、1H);7.47(t、J=9.1Hz、1H);4.38(d、J=6.2Hz、1H);4.03(s、3H);3.75−3.85(m、2H);3.29(重複m、1H);3.00−3.13(m、2H);2.80(t、J=10.3Hz、1H);2.55(m、1H);1.88(m、1H);1.44−1.65(m、2H);1.30(br. s、2H);1.11(m、1H)。MS(ESI、m/z):C1620Fに対して322.4[M+H]。
【0187】
12.iv. (1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
中間体12.iii(0.065g、0.22mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(0.035g、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用い、(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7を溶出液として用いて)CCによる精製の後、表題化合物を無色の油状物(0.04g、収率40%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.53(s、1H);7.98(s、1H);7.89(dd、J=5.6、9.1Hz、1H)、6.91(s、1H);4.38(d、J=6.2Hz、1H);4.29−4.34(m、2H);4.23−4.28(m、2H);4.03(s、3H);3.93(m、1H);3.79(m、1H);3.65(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.29(重複m、1H);3.03−3.13(m、2H);2.88(t、J=10.5Hz、1H);2.42(重複m、1H);1.95−2.06(m、2H);1.62(m、1H);1.48(m、1H);1.17(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2427Fに対して471.2[M+H]。
【0188】
実施例13:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
中間体12.iii(0.296g、0.9223mmol)と6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−カルバルデヒド(0.153g、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用い、表題化合物を白色のフォーム(0.122g、収率28%)として得た。化合物をCC(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.53(s、1H);7.88(dd、J=5.9、9.1Hz、1H);7.46(t、J=9.1Hz、1H);7.16(s、1H);4.47−4.50(m、2H);4.35−4.40(m、3H);4.06(s、3H);3.93(m、1H);3.75−3.84(m、3H);3.27(重複m、1H);3.03−3.12(m、2H);2.88(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.25(br. s、1H);2.00(m、1H);1.61(m、1H);1.47(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2326Fに対して472.2[M+H]。
【0189】
実施例14:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
中間体12.iii(57mg、0.177mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(33mg、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用い、表題化合物を白色のフォーム(27mg、収率31%)として得た。化合物をCC(0.7% aq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製した。MS(ESI、m/z):C2427FSに対して487.2[M+H]。
【0190】
実施例15:(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール:
中間体12.iii(1.01g、3.14mmol)のMeOH(19.5mL)中の、50℃に加熱した溶液に、6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−カルバルデヒド(0.57g、3.14mmol、1eq.)を添加した。混合物をrtにて一晩攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そしてNaBH(0.18g、4.71mmol、1.5eq.)を添加した30min後に、NaBH(0.06g、2.36mmol、0.75eq.)をさらに添加した。Sat.aq.NaHCO(20mL)を添加した。揮発性物質が留去されなくなるまで、溶媒を減圧下で除いた。次いで、DCM−MeOH(9−1、50mL)を添加した。2層をデカントし、そして水層をDCM−MeOH(9−1、2x20mL)で2回抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。固形物をCC(EA−MeOH、9−1、次いで、0.5%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、19−1から0.7%のNHOHを含むDCM−MeOH、93−7へ。)で精製して、表題化合物を白色のフォーム(0.9g)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.53(s、1H);7.89(dd、J=5.9、9.1Hz、1H);7.53(s、1H);7.46(t、J=9.1Hz、1H);4.54−4.59(m、2H);4.39(d、J=6.2Hz、1H);4.03(s、3H);3.93(m、1H);3.75−3.84(m、3H);3.25−3.32(m、3H);3.03−3.12(m、2H);2.88(t、J=10.3Hz、1H);2.42(重複m、1H);2.24(m、1H);2.00(m、1H);1.62(m、1H);1.48(m、1H);1.16(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2326N5OFSに対して488.7[M+H]。
【0191】
実施例16:(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
中間体3.iii(0.054g、0.169mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(0.028g、1eq.)を出発物質として、そして(NaBDを還元剤として用いたことを唯一の例外として)実施例1の手順を用い、表題化合物を灰白色のフォーム(0.026g、収率32%)として得た。粗生成物をCC(0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93:7)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.71(s、1H);8.24(d、J=9.1Hz、1H);7.98(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.90(s、1H);4.52(d、J=5.9Hz、1H);4.30−4.34(m、2H);4.23−4.27(m、2H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.62(d、J=7.3Hz、1H);3.32(重複m、1H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.09−1.94(m、2H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2426DFに対して472.4[M+H]。
【0192】
実施例17:(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
17.i. (4−(2−ブロモエトキシ−d4)−5−((4−メトキシベンジル)オキシ)ピリジン−2−イル)メチル アセテート:
5−((4−メトキシベンジル)オキシ)−4−オキソ−1,4−ジヒドロピリジン−2−イル)メチルアセテート(WO2006/014580に従って製造;1.6g、5.28mmol)のDMF(16mL)中の溶液に、KCO(1.46g、10.5mmol)とd4−ジブロモエタン(2.25mL、26mmol)を添加した。反応液を75℃にて3h攪拌した。溶液を濃縮し、そして残渣を水とEAの間で分画した。水層をEA(5x25mL)で数回抽出した。有機層を合わせ、MgSO上で乾燥し、そして濃縮乾固した。油状の残渣をCC(EA/Hept、1:1から4:1、そして1:0へ。)で精製して、表題の中間体をベージュ色の固体(1.49g、収率68%)として得た。H NMR(CDCl) δ:8.16(s、1H);7.34−7.38(m、2H);6.88−6.92(m、2H);6.87(s、1H);5.11(s、4H);3.81(s、3H);2.14(s、3H)。MS(ESI、m/z):C1816NOBrDに対して414.2[M+H]。
【0193】
17.ii. 4−(2−ブロモエトキシ−d4)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジン−3−オール塩酸塩:
中間体17.i(1.49g、3.6mmol)の、AcOH−conc.HCl混合物(2−1、15mL)中の混合物を、60℃に1h加熱した。溶媒を真空除去し、そして残渣をエーテル中で粉砕して、表題化合物をベージュ色の固体(1.01g、収率97%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:11.36(br. s、1H);8.12(s、1H);7.52(s、1H)、4.70(s、2H)。
【0194】
17.iii. (2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メタノール:
中間体17.ii(1.01g、3.50mmol)のDMF(15mL)中の溶液に、KCO(0.968g、7.0mmol)を添加した。混合物を75℃にて3h加熱した。溶媒を減圧下で除き、そして残渣を最小量の水中に取り、そしてEA(5x20mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、そして蒸発させた。残渣をCC(DCM−MeOH、97−3)で精製して、表題化合物を白色の固体(0.5g、収率85%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:7.98(s、1H);6.88(s、1H);5.23(t、J=5.9Hz、1H);4.38(d、J=5.9Hz、1H)。
【0195】
17.iv. 2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド:
中間体17.iii(508mg、2.97mmol)のDCM(15mL)中の溶液に、MnO(1.3g、14.8mmol)を添加した。反応混合物をrtにて24h攪拌した。セライト上でろ過し、そしてDCM(100mL)で洗浄した。ろ液を濃縮乾固した。固形物をCC(DCM−MeOH、49−1)で精製して、表題のアルデヒドを白色の固体(0.429g、収率85%)として得た。H NMR(d6−DMSO):9.79(s、1H);8.33(s、1H);7.40(s、1H)。
【0196】
17.v. (1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
中間体3.iii(0.207g、0.65mmol)のMeOH(4mL)中の溶液に、中間体16.iv(0.109g、0.65mmol)を添加した。混合物をrtにて一晩攪拌した。NaBH(100mg、2.58mmol)を添加した。反応混合物をDCM(2mL)で希釈し、そしてrtにて30min攪拌した。Sat.NaHCO(5mL)を添加した。揮発性物質を真空除去した。DCM−MeOH、9−1(10mL)を添加し、そして2層をデカントした。水層をDCM−MeOH(9−1、2x10mL)で2回抽出した。合わせた有機層を塩水(5mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。固体残渣をCC(EA−MeOH、9−1、次いで、0.5%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、19−1から1%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、9−1へ。)で精製して、表題化合物を灰白色のフォーム(0.189g)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.24(d、J=9.1Hz、1H);7.98(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.53(d、J=6.2Hz、1H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.68(AB系、J=14.4Hz、Δ=0.05ppm、2H);3.32(重複m、1H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.16(br. s、1H);1.99(m、1H);1.65(m、1H);1.47(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2423Fに対して475.4[M+H]。
【0197】
実施例18:(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1:
18.i. Tert−ブチル((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)((3R,6S)−6−((1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)−1−ヒドロキシエチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)カーバメート:
実施例3の化合物(500mg、0.6mmol)のDCM(10mL)中の溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(418mg、1.8eq.)を添加した。混合物をrtにて3h攪拌した。反応混合物をCC(DCMからDCM−MeOH、9−1への勾配)で直接精製して、表題化合物を無色のフォーム(870mg、収率>100%、残余の試薬が混入。)として得た。MS(ESI、m/z):C2935Fに対して571.4[M+H]。
【0198】
18.ii. Tert−ブチル((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)((3R,6S)−6−(2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)アセチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)カーバメート:
中間体18.i(870mg、0.368mmol)のDCM(4mL)中の氷冷溶液に、DIPEA(0.55mL)とPyr.SO(413mg、純度50%、0.552mmol)のDMSO(1.4mL)中の溶液を添加した。混合物を同じ温度にて20min攪拌した。Sat.NaHCO(20mL)を添加した。混合物をDCM(20mL)で希釈し、そして2層をデカントした。有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(DCMからDCM−MeOH、9−1への勾配)で精製して、表題化合物を無色のフォーム(573mg、収率96%)として得た。MS(ESI、m/z):C2933Fに対して569.4[M+H]。
【0199】
18.iii. Tert−ブチル((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)((3R,6S)−6−((1RS)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)−1−ヒドロキシエチル−1−d1)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)カーバメート:
中間体18.ii(573g、1mmol)のMeOH(9mL)中の氷冷溶液に、NaBD(120mg、2.87mmol)を一度に添加した。混合物を同じ温度にて30min攪拌した。Sat.NaHCO(10mL)とDCM(30mL)を添加した。2層をデカントし、そして有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(DCM−MeOH、1−0から9−1への勾配)で精製して、表題化合物を、ジアステレオマーの2−1混合物として、無色のフォーム(566mg、収率98%)の形態で得た。MS(ESI、m/z):C2934DFに対して572.4[M+H]。
【0200】
18.iv. (1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ [2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1:
中間体18.iii(566mg、0.98mmol)を出発物質として、実施例3、工程3.iiiの工程を用い、表題化合物(412mg、収率88%)を、ジアステレオマーの2−1混合物として得た。ジアステレオマーの混合物(212mg)を、Daicel ChiralPak AIカラム(20x250mm)上で、MeCN:EtOH:ジイソプロピルアミン、30:70:0.1(流速16mL/min、210nMでのUV検出)で溶出する半分取キラルHPLCにて分離し、各ジアステレオマーを、それぞれ64mg、114mg得た。分析サンプルを、前記の溶出液を用いて、ChiralPack AI(4.6x250mm、5μM)カラム上で、0.8mL/minの流速で溶出した。各保持時間は8.8及び10.98minであった。表題のエナンチオマー(白色の固体)は、2番目に溶出する主化合物であると同定した。H NMR(d6−DMSO)δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.98(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.51(s、1H);4.30−4.34(m、2H);4.24−4.28(m、2H);4.00(s、3H);3.93(m、1H);3.60−3.70(m、2H);3.32(重複m、1H);3.07−3.15(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);1.95−2.05(m、2H);1.64(m、1H);1.48(m、1H);1.19(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2426DFに対し472.5[M+H]。
【0201】
実施例19:(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
中間体 3.iii(80mg、0.25mmol)のMeOH(1.5mL)中の溶液に、2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(45mg、1.01eq.)を添加した。混合物をrtにて一晩攪拌した。0℃に冷却後、NaBD(62mg、1.5mmol)とDCM(0.5mL)を添加した。反応混合物を2.5h攪拌して、反応混合物をrtに到達させた。DCM(8mL)とsat.NaHCO(8mL)を添加した。2層をデカントし、そして水層をDCM−MeOH(9−1、2x10mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(EA−MeOH、9−1、次いで、0.5%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、19−1から0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7へ。)で精製して、表題化合物を白色のフォーム(0.1g、収率80%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.92(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);7.13(s、1H);4.53(d、J=5.9Hz、1H);4.33−4.38(m、2H);4.01(s、3H);3.87−3.96(m、2H);3.63(d、J=9.4Hz、1H);3.31(重複m、1H);3.22−3.26(m、2H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.19(br. s、1H);2.01(m、1H);1.67(m、1H);1.49(m、1H);1.19(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2426DFSに対して472.4[M+H]。
【0202】
実施例20:(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1:
20.i. Tert−ブチル((3R,6S)−6−((S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)−1−ヒドロキシエチル−2−d1)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)カーバメート:
NaBD(130mg、3.1mmol)をエタノール−d6(7mL)に懸濁した。Pd(dba)(0.013g、0.015mmol)を固体として添加した。混合物を10℃に冷却し、次いで、内部温度を20℃未満に保ちながら、中間体3.i(850mg、1.83mmol)のTHF(2.5mL)中の溶液を滴下した。30min後、反応混合物をrtまで温めた。この時点で、混合物を0℃に冷まし、そして水(10mL)を添加した。溶液をセライト上でろ過し、そしてEA(20mL)で洗浄した。水層をEA(30mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSO上で乾燥し、ろ過し、そして濃縮乾固した。残渣をCC(Hept−EA、2−1からHept−EA、1−2へ。)で精製して、表題化合物を黄色の油状物(360mg、収率46%)として得た。MS(ESI、m/z):C2426DFSに対して423.4[M+H]。
【0203】
20.ii. (S)−1−((2S,5R)−5−アミノテトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1:
中間体20.i(360mg、0.854mmol)を出発物質として、そして実施例3、工程3.iiiの手順を用いて、表題化合物を黄色の固体(84mg、収率31%)として得た。化合物をCC(1%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、9−1)で精製した。MS(ESI、m/z):C1619DFに対して323.6[M+H]。
【0204】
20.iii. (1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1:
中間体20.ii(80mg、0.249mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(41mg、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、表題化合物を白色の固体(29mg、収率25%)として得た。粗生成物をCC(溶出液:0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.99(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.53(dd、J=2.3、6.2Hz、1H);4.30−4.34(m、2H);4.24−4.28(m、2H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.63−3.67(m、2H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.8Hz、1H);2.44(重複m、1H);1.95−2.11(m、2H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2426DFに対して472.4[M+H]。
【0205】
実施例21:(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1:
中間体20.ii(20mg、0.062mmol)と2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(11mg、1eq.)を出発物質として、そして実施例1の手順を用いて、CC(溶出液:0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93−7)による精製の後に、表題化合物を白色の固体(17mg、収率55%)として得た。MS(ESI、m/z):C2426DFSに対して488.8[M+H]。
【0206】
実施例22:(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1:
実施例6の化合物(475mg、0.976mmol)を出発物質として、そして実施例18、工程18.i〜18.ivの手順を用いて(Boc形成:収率100%;アルコールの酸化:収率96%;NaBDによるケトンの還元:収率96%;Boc脱保護:収率85%)、表題化合物を無色のフォーム(198mg)として得た。必要に応じ、最初の3工程の粗製物質を、適宜な溶出液を用いてCCで精製した。第4工程の生成物を、ジアステレオマーの1.5−1混合物として得た。ジアステレオマーの当該混合物を、MeCN:EtOH:ジイソプロピルアミン、10:90:0.1で溶出する、Daicel ChiralPak AIカラム(20x250mm)上の半分取キラルHPLC(流速16mL/min、210nMにおけるUV検出)で分離し、各ジアステレオマーを、それぞれ62mg、97mg得た。分析サンプルは、前記の溶出液を用い、0.8mL/minの流速で、ChiralPack AI(4.6x250mm、5μM)カラム上で溶出した。各保持時間は14.8及び19.2minであった。表題のエナンチオマー(白色のフォーム)は、2番目に溶出する主化合物であると同定した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.92(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);7.13(s、1H);4.51(s、1H);4.33−4.38(m、2H);4.00(s、3H);3.93(m、1H);3.60−3.70(m、2H);3.31(重複m、1H);3.22−3.26(m、2H);3.06−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.5Hz、1H);2.43(重複m、1H);1.96−2.08(m、2H);1.63(m、1H);1.48(m、1H);1.19(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2426DFSに対して488.7[M+H]。
【0207】
実施例23:(S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル−d1)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール:
中間体3.iii(84mg、0.249mmol)と6,7−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリダジン−3−カルバルデヒド(45mg、1eq.)を出発物質として、そして(NaBDを還元剤として用いたことを唯一の例外として)実施例1の手順を用いて、表題化合物を灰白色のフォーム(76mg、収率62%)として得た。粗生成物をCC(0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93:7)で精製した。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.25(d、J=9.1Hz、1H);7.53(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);4.51−4.62(m、3H);4.00(s、3H);3.86−3.97(m、2H);3.79(d、J=7.9Hz、1H);3.26−3.33(m、3H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.5Hz、1H);2.43(重複m、1H);1.95−2.06(m、2H);1.65(m、1H);1.49(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2325DFSに対して[M+H]。
【0208】
実施例24:(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ [2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d2)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
24.i. 2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルボン酸:
2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド(722mg、4.37mmol)の、2−メチル−2−プロパノール(95mL)と2−メチル−2−ブテン(22mL)中の溶液に、亜塩素酸ナトリウム(80%、4.55g、40.22mmol)とリン酸二水素ナトリウム(3.65g、26.45mmol)の水(35mL)中の溶液を滴下した。得られた溶液をrtにて19h攪拌した。揮発性物質を減圧下で除いた。残渣を水(20mL)で希釈し、そして、1N HClの添加により、pHを3に調整した。水層をDCM−MeOH、9−1(25x30mL)で抽出した。合わせた抽出物をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で蒸発させた。残渣をエーテル中で粉砕し、そしてろ過して、表題の酸を白色の固体(0.405g、収率51%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.19(s、1H);7.50(s、1H);4.36(s、4H)。MS(ESI、m/z):CNOに対して182.3[M+H]。
【0209】
24.ii. N−メトキシ−N−メチル−2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルボキサミド:
中間体24.i(402mg、2.22mmol)のDCM(5.5mL)中の氷冷懸濁液に、N,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(98%、246mg、2.47mmol)、DIPEA(1.52mL、8.87mmol)及びT3P(EA中50%、1.46mL、2.48mmol)を滴下した。反応液を0℃にて30min攪拌した後、rtに温めた。反応を一晩進行させた。反応混合物を、sat.炭酸水素ナトリウム(2x10mL)で2回洗浄した。次いで、(1mLのsat.aq.NaCOで塩基性化した)水層を、DCM−MeOH、9−1(3x10mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO上で乾燥し、ろ過し、そして減圧下で蒸発させた。残渣をCC(DCM−MeOH勾配)で精製して、表題化合物を灰白色の固体(396mg、収率80%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.10(s、1H);7.10(s、1H);4.31−4.41(m、4H);3.65(s、3H);3.24(s、3H)。MS(ESI、m/z):C1012に対して225.1[M+H]。
【0210】
24.iii. 2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−カルバルデヒド−d1:
中間体24.ii(202mg、0.90mmol)のTHF(5.5mL)中の、−78℃に冷却した溶液に、LiAlD(98%D、49mg、1.14mmol)を添加した。得られた混合物を、同じ温度にて1h攪拌した。反応混合物をTHF(15mL)で希釈し、そしてsat.NaSO溶液(1mL)を添加した。懸濁液をろ過し、そしてろ液を減圧下で蒸発させた。残渣をCC(DCM−MeOH勾配)で精製して、表題のアルデヒドを白色の固体(131mg、収率87%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.32(s、1H);7.40(s、1H);4.40(m、4H)。MS(ESI、m/z):CNODに対して167.1[M+H]。
【0211】
24.iv. (1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ [2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d2)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール:
中間体3.iii(104mg、0.32mmol)と中間体24.iii(45mg、1.02eq.)を出発物質として、そして(NaBDを還元剤として用いたことを唯一の例外として)実施例1の手順を用い、CC(0.7%のaq.NHOHを含むDCM−MeOH、93:7)による精製の後に、表題化合物を灰白色のフォーム(79mg、収率52%)として得た。H NMR(d6−DMSO) δ:8.72(s、1H);8.24(d、J=9.1Hz、1H);7.98(s、1H);7.19(d、J=9.1Hz、1H);6.91(s、1H);4.53(d、J=5.9Hz、1H);4.31−4.34(m、2H);4.23−4.27(m、2H);4.00(s、3H);3.85−3.96(m、2H);3.32(重複m、1H);3.07−3.16(m、2H);2.90(t、J=10.3Hz、1H);2.43(重複m、1H);2.09−1.94(m、2H);1.65(m、1H);1.48(m、1H);1.18(m、1H)。MS(ESI、m/z):C2425Fに対して473.6[M+H]。
【0212】
発明化合物の薬理学的特性
イン ヴィトロアッセイ
1) 細菌増殖の最小阻害濃度
実験方法:
最小阻害濃度(MICs;mg/l)は、「Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically」Approved standard、7th ed.、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI) Document M7−A7、Wayne、PA、USA、2006中の記載に従って、ミクロ希釈法によりカチオン調整Mueller−Hinton Broth中で測定した。
【0213】
結果:
全実施例化合物を数種のグラム陽性及びグラム陰性菌に対して試験した。
【0214】
典型的な抗菌試験の結果を下記の表に示す(MICはmg/lで表す。)。
【0215】
【表1】

【0216】
2)イン ヴィトロにおけるhERG Kチャンネルの遮断:
原理:
薬剤により誘起されるQT時間の延長、及び、結果として生じる心室頻拍を含む心室性不整脈は、他の薬剤に加えて、抗感染薬の種々のクラスの幾つかのメンバーでも生じる有害事象である。近年、多くの抗細菌薬が、この生命を脅かす毒性を引き起こす危険性のために、市場より撤退するか、又は、臨床開発の種々のフェーズにおいて断念されてきた。抗感染薬は、むしろ高濃度で使用され、そして頻繁に複雑な投与計画に加えられるため、投与計画に関する完全な情報を欠いているかもしれない場合には、特別な注意を喚起する必要がある。
【0217】
本発明の化合物と同じ化合物クラスに属する、最近開示されたヴィキダシン、並びにマクロライド及びキノロン等の特定の抗感染薬のクラスがすべて関連する。事実、QT時間を延長する能力は、これらの薬剤クラスのメンバー間でしばしば異なり、そしてこの効果の可能性は、ドラッグデザイン及び開発の間において、正確に予測することができない。最良の予測因子は、hERG Kチャンネル遮断の度合いである。hERG阻害を予測するための幾つかのモデルが開発されてきたが、現在のところ、そのような阻害を予測するための明確な構造−活性相関は存在しない。我々は、本発明の2つの特徴を合わせることにより、hERGへの負荷が少なく、かつ抗菌活性の度合いを維持した化合物が得られることを発見した。
【0218】
実験方法:
hERG Kチャンネルをヒト心臓からクローニングし、そして組み替えチャンネルをCHO−K1細胞(CHOhERG)内で安定に発現させる。これらの細胞はbSys GmbH(CH−4052、バーゼル、スイス)から購入し、そして150mL培養フラスコ内で、5%CO下、37℃にて増殖させる。細胞がほぼ100%コンフルエント(confluent)になった時、0.25%トリプシン−EDTA溶液でそれらを剥がし、そしてQPatch自動パッチクランプロボット(Sophion Bioscience A/S、2750、バラールップ、デンマーク)の、細胞調製ユニット内に置いた。下記の緩衝溶液及び電圧プロトコルを用いて、hERG Kチャンネル(IKhERG)を通る電流を誘起した:
−細胞外溶液(mM):[NaCl]=150;[KCl]=4;[CaCl]=1.2;[MgCl]=1;[HEPES]=10;pHはNaOHで7.4に調整した;
−細胞内溶液(mM):[KCl]=140;[NaCl]=10;[MgCl]=1;[HEPES]=10;[EGTA]=5;[Mg−ATP]=5;[Na−GTP]=0.1;pHはKOHで7.2に調整した;
−電圧プロトコル:結果として生じる電位は−80mVであり、刺激の頻度は0.1Hzである。hERG K電流を、−40mVへの500msパルスの最後の20msの間の平均電流から、−40mVへの50msパルスの最後の20msの間の平均電流を差し引いたものとして測定する。
【0219】
細胞が数分間安定化し、そして電流が一定になった後、IKhERGの振幅を制御条件下で記録する。その後、QPatchロボットが、被検化合物を試験濃度にて細胞に適用し、そして刺激から4分後に、IKhERGの振幅を試験条件下で記録する。2つの振幅の比を分別遮断(fractional block)を定義するために用い、そして2つの細胞上での平均遮断を、各濃度(例えば、10μM)での効果を得るために用いた。ある被検化合物に対して十分な数の濃度について試験した場合には、IKhERG阻害に対するみかけのIC50を算出する。
【0220】
結果:
上記の試験方法を用いて、細菌S.aureus A798に対するMIC及びhERG Kチャンネルのイン ヴィトロでの遮断について、下式ICOMP
【0221】
【化28】

【0222】
を有する化合物について試験を行い、下記の表に要約する結果が得られた。
【0223】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又はそのような化合物の塩:
【化1】

式中、
はアルコキシを表し;
はH又はFを表し;
、R、R及びRのそれぞれは、独立にH又はDを表し;
VはCHを表し、かつWはCH又はNを表すか、又は、VはNを表し、かつWはCHを表し;
YはCH又はNを表し;
ZはO、S又はCHを表し;そして
AはCH、CHCH又はCDCDを表す。
【請求項2】
、R、R及びRのそれぞれがHを表し、かつAがCH又はCHCHを表す、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項3】
が(C−C)アルコキシを表し;そして
、R、R及びRの多くとも1つがDを表し、かつAがCH又はCHCHを表すか、又はR、R、R及びRのそれぞれがHを表し、かつAがCH、CHCH又はCDCDを表す、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項4】
式Iの化合物でもある、請求項1又は2に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩;
【化2】

式中、
はアルコキシを表し;
はH又はFを表し;
WはCH又はNを表し;
YはCH又はNを表し;
ZはO、S又はCHを表し;そして
nは0又は1を表す。
【請求項5】
がメトキシを表す、請求項1〜4の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項6】
がHを表す、請求項1〜5の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項7】
がFを表す、請求項1〜5の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項8】
WがNを表す、請求項1〜7の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項9】
WがCHを表す、請求項1〜7の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項10】
YがCHを表す、請求項1〜9の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項11】
YがNを表す、請求項1〜9の1項に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩。
【請求項12】
下記から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物、又はそのような化合物の塩:
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−エタノール;
(1S)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール;
(1S)−2−(7−フルオロ−2−メトキシ−キノリン−8−イル)−1−{(2S,5R)−5−[(3−オキサ−1−チア−5−アザ−インダン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(3,4−ジヒドロ−2H−ピラノ[2,3−c]ピリジン−6−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリダジン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(2,3−ジヒドロ−4−オキサ−1−チア−6−アザ−ナフタレン−7−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(6−フルオロ−3−メトキシ−キノキサリン−5−イル)−エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−2,2,3,3−d4−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d1)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ−[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−2−d1;
(S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]オキサチイノ[2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール−1−d1;
(S)−1−{(2S,5R)−5−[(6,7−ジヒドロ−8−オキサ−5−チア−1,2−ジアザ−ナフタレン−3−イルメチル−d1)−アミノ]−テトラヒドロ−ピラン−2−イル}−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−[1,5]ナフチリジン−4−イル)−エタノール;
(1S)−1−((2S,5R)−5−(((2,3−ジヒドロ−[1,4]ジオキシノ [2,3−c]ピリジン−7−イル)メチル−d2)アミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−2−(3−フルオロ−6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)エタノール。
【請求項13】
医薬としての、請求項1〜12の1項に定義する式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1〜12の1項に定義する式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を、活性成分として、そして少なくとも1つの治療上不活性な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
細菌感染症の予防又は治療のための医薬の製造のための、請求項1〜12の1項に定義する式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項16】
細菌感染症の予防又は治療のための、請求項1〜12の1項に定義する式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩。

【公表番号】特表2012−511566(P2012−511566A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540318(P2011−540318)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055689
【国際公開番号】WO2010/067332
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】