説明

6’−シアリルラクトース塩並びに6’−シアリルラクトース塩及び他のA−シアリルオリゴ糖の合成方法

本発明は、α−シアリルオリゴ糖の合成に関し、特に工業的規模での使用を可能にする条件下でのケーニッヒ・クノール反応によるカップリングのステップを含む6’−シアリルラクトース及びその塩の合成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6’−シアリルラクトースの塩の分野に関する。本発明はまた、α−シアリルオリゴ糖の合成方法、特に6’−シアリルラクトース及びその塩の合成方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)
【化1】


[式中、Rは遊離の水酸基を有する単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基である]で示されるα−シアリルオリゴ糖は、哺乳動物や鳥類の組織にリポオリゴ糖、リポ多糖、又は糖タンパク質の糖鎖の主要な形態で存在する。α−シアリルオリゴ糖は種々のグリコシド結合、より典型的には、α(2−3)ガラクトース、α(2−6)ガラクトース又はα(2−3)ラクトース、α(2−6)ラクトースに存在する。これらのシアロシドの機能は、オリゴ糖部分の構造不均一性により動物に依って大きく異なる。シアロシドは多くの病原体の生理と成長に特に重要な役割を果たす細胞間及び細胞内イベントのメディエイターである(DK Ress他、Current Organic Synthesis,2004,1,31〜46)。
【化2】

【0003】
人乳1リットル中には、約5〜10gの遊離オリゴ糖が含まれているが、この含量はタンパク質の含量とほぼ等しく、脂質の含量を上回る。130種を超える異なるオリゴ糖が人乳中で確認されているが(人乳オリゴ糖−HMO)、乳児用人工調合乳は牛乳由来であり、人類に特異なオリゴ糖は微量にしか含んでいない。人乳のオリゴ糖の基本構築ブロックは、D−グルコース(Glc)、D−ガラクトース(Gal)、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、L−フコース(Fuc)及びシアル酸(N−アセチルノイラミン酸、Neu5Ac)の5つの単糖である。還元性末端は、ラクトース(Galβ1−4Glc)又はより多くの反復ユニット(最大15ユニット)のN−アセチルラクトサミン(Galβ1−3/4GlcNAc)により形成することができる。ラクトース又はポリラクトサミンは、α2−3結合及び/又はα2−6結合によりシアル化することができる。人乳のシアロシドの例として、3’−シアリル−3−フコシルラクトース(3’S3FL)、6’−シアリルラクトース(6’SL)、3’−シアリルラクトース(3’SL)、3’−シアリルラクトサミン(3’SLN)及び6’−シアリルラクトサミン(6’SLN)がある。
【0004】
主に哺乳動物の組織や人乳に存在するシアロシドの中で、式(Ia)の化合物である6’−シアリルラクトース(N−アセチルノイラミニル−ラクトース、α−NeuNAc−(2→6)−β−D−Gal−(1→4)−D−Glc又は6’−SL)が特に重要である。その理由は、この化合物が、細胞認識や免疫反応などの様々な細胞経路イベントに関係する糖タンパク質及び糖脂質の重要な構成要素だからである。6’−SL及びその塩は、乳幼児用の配合食品のサプリメントとして注目に値する。6’−シアリルラクトースの塩について文献では、ナトリウム塩(CAS番号:157574−76−0;FW:C23H38NO19Na、6’−シアリルラクトースナトリウム塩、6’−N−アセチルノイラミニル−ラクトースナトリウム塩)とアンモニウム塩だけが知られている。ナトリウム塩は食品及び薬剤として許容されるが、アンモニウム塩はアンモニウムイオンにより潜在的に毒性がある。したがって、6’SLを既に知られている塩形態の代替となる食品や薬剤として許容される別の塩形態で入手することが必要である。
【0005】
現在の技術水準では、シアリルオリゴ糖(6’SLを含む)を合成するための様々な戦略が知られており、全ての戦略は、活性化シアル酸フラグメント(供与体)を位置選択的又は立体選択的にオリゴ糖部分(受容体)に結合するという収束的手法を見越している。この重要なカップリングのステップに関して、文献では、酵素的手法のみ、化学的手法のみ、又は化学酵素的手法のみを予測する3つの異なる合成戦略が知られている。
【0006】
酵素経路に関して、シアリルトランスフェラーゼ及びトランスシアリダーゼ(極めて特殊な方法でシアル酸をオリゴ糖に添加する酵素)の系列が使用された。この合成経路の例が、A.T.Beyer他、Adv.Enzymol.,1981,52,23〜175、J.Weinstein他、J.Biol.Chem.,1982,257,13845〜13853に報告されている。
【0007】
しかしながら、これらの酵素を使用するにはいくつかの制限がある。
1)酵素の入手可能性が限られていること
2)活性化基質CMP−NeuAc又はPNP−NeuAcの供与体の合成が必要であること
3)天然シアロシド合成のための使用での柔軟性を低下させるシアリルトランスフェラーゼの厳密な特異性(Ichigawa Y.他、Analytical Biochem 1992,202,215〜238,S.Sabesan他、J.Am.Chem.Soc.,1986,108,2068〜2080,O.Hindsgaul他、J.Biol.Chem.,1991,266,17858〜17862,H.J.Gross他、Eur.J.Biochem.1988,177,583〜589)。
【0008】
化学−酵素経路に関しては、S.Sabesan他、J.Am.Chem.Soc.,1986,108,2068〜2080に記載されているように、受容体の化学合成、次いで酵素的シアリル化を含む。
【0009】
化学的手法だけに焦点を合わせると、シアル酸によるグリコシド結合の形成は、供与体がジェミナルのカルボシキル基によって電子的及び立体的に妨害されることにより妨害されるため、非常に困難な反応であることが強調される。更に、C−3上に官能基がないことにより、立体化学を制御する隣接基関与が除外され、脱離反応による副生物の生成が誘導される。最終的に、α配置を伴う結合形成は、アノマー効果に関して熱力学的に不利となる。現在の技術水準におけるこれらの欠点を改善するために、適切な活性化シアル酸供与体及び種々のグリコシル化法により反応する、適切に保護された水酸基を持つ受容体を調製するための様々な戦略が開発されてきた。
【0010】
シアル酸供与体に関して、複雑な分子構造により、その合成、保護、活性化が相当に困難になることを強調するべきである。多官能性(3個の第二級水酸基)及び第三級アノマー中心が合成化学者の仕事を複雑なものにしている。現在の技術水準では、シアル酸供与体は2−キサンテート(A.Marra他、Carbohydr.Res.,1989,187,35)、2−アリールスルホン(Y.Du他、Carbohydr.Res.,1998,308,161)、2−ホスファイト(RR Schmidt他、Tetrahedron Lett.,1992,33,6123又はCH Wong他、J.Am.Chem.Soc.,1992,114,8748)又は2−ハロ誘導体として活性化できることが知られている。全てのこれらの群の中で、ホスファイトとしてはハロゲン誘導体が好ましく、チオ誘導体は、その合成に有害な試薬を必要とし、工業的に取り扱うのは簡単ではない。ハロゲンの中では、安定性があり、容易に合成できるので、クロロ誘導体が好ましく、実際、ブロモ誘導体は不安定であり、グリコシル化反応中に、容易に脱離して、アノマー混合物を誘導する傾向がある。フルオロ誘導体は、クロロ誘導体よりも複雑な合成を必要とし、βグリコシド結合を形成し易い。クロロ誘導体は、その生成や使用が最も容易な供与体である。
【0011】
供与体の構造に関して、前述のものより更に複雑な他の合成経路では、2,3の位置での競争脱離を防止するために、グリコシル化反応で隣接基関与を提供する官能基をシアル酸をC−3上に含む必要がある。このため、フェニルチオやフェニルセレンなどの基が導入されてきた(Y.Ito他、Tetrahedron Lett.,1988,29,3987、又はL.O.Kononov他、Tetrahedron Lett.,1997,38,1599)。これらの経路は、一般に2,3−デヒドロ−N−アセチルノイラミン酸から始まるグリコシル化反応のための活性供与体を得るために複数のステップを必要とし、その終了は得られる特異性、中間体の精製の容易さによって異なる。
【0012】
したがって、式(I)のシアリルオリゴ糖、特に6’SLの合成には、式(II)の2−クロロ−供与体のような単純なシアリル誘導体を効率よく使用するのが好ましいであろう
【化3】


[式中、Pは適切な保護基であり、R1はアルキル基であり、Xは塩素である](R.Kuhn他、Chem.Ber.,1966,99,611、A.Marra他、Carb.Res.,1989,190,317〜322、及びNF Byramova他、Carb.Res,1992,237,161〜175で報告される方法により得られる)。この理由は、単純なシアリル誘導体は、非常に毒性の強い反応物質を使用することなく簡単に工業的規模に合成することができ、グリコシル化反応中にα結合の特異的な形成を誘導するからである。しかし、シアル酸供与体は最初に使用された後、その使用は著しく減少し、現在の技術は、より一段と複雑な供与体を目指して取り組んでいる。
【0013】
6’SLの合成のための受容体の活性化に関して、文献では、エーテル保護基、例えば、その除去が、水素添加を必要とするため、容易に管理できず(G.Pazynina他、Tetrahedron Lett,2002,43,8011−8013)、したがって、工業的に利用することは難しいベンジル基で置換された受容体がある。
【0014】
シアル酸のα−グリコシドが、Ag(I)をプロモーターとして使用するケーニッヒ・クノール反応[Koenigs,W.,Knorr,E.Chem.Ber.,1901,34,957]、又はHg(II)をプロモーターとして使用する改変Helferich法[Helferich,B.;Zirner,J.Chem.Ber.,1962,95,2604]によって調製された。これらの反応で選択された基質は、β−ハロゲン化グリコシルである。これらの古典的な方法には、使用する機会と収率を改善するために設計された多様な変形形態が知られている。これら変形形態間の主な相違は、金属プロモーターの対アニオンの選択と関係する。最も一般的に用いられているプロモーターは、AgOTf、AgCO、HgX(Xはハロゲン化物)及びHg(CN)である。一般に、以下のことが知られている。Ag(I)プロモーターは、活性と立体選択性がより強い(Pazynina G他、Tetrahedron Lett,2002,43,8011〜8013)が、多量に使用するべきであり(前記受容体に関しては6〜7当量)、その結果、合成コスト(生産廃棄物の処理を含む)が増加する。これに対して、Hg(II)プロモーターは、より高い収率をもたらす(H.Paulsen他、Angew.Chem.Int.Ed.Engl,1982,927〜928)が、その毒性のために取扱いが困難になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、簡単で経済的で、工業的規模で利用でき、その結果、前記文献で知られる方法に関連した上述の技術上の問題を克服できる式(I)の化合物を合成する方法の必要性は明白である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記の問題を式(Ib)の化合物
【化4】


[式中、Mn+は、K、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+及びAl3+からなる群より選択される]により解決する。更に本発明の主題は、式(I)のα−シアリルオリゴ糖の化合物
【化5】


[式中、Rは、遊離水酸基を有する単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基である]の合成方法である。前記方法は、以下の少なくとも1つのステップ
a)式(II)のシアル酸供与体
【化6】


[式中、Pは適切な保護基であり、R1はアルキル基であり、Xはハロゲンである]の、式R’OHの受容体[式中、R’は保護基P’により適切に保護された単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基であり、0個、1個又は複数の遊離の水酸基を含み、これらの保護基P’は同一でも互いに異なっていても、前記供与体中に存在する保護基と異なってもよい]とのケーニッヒ・クノール反応によるカップリングによって、式(III)の中間体
【化7】


[式中、P、R1及びR’は、上記で定義された通りである]
を得るステップであって、
このケーニッヒ・クノール反応は、Ag(I)系の金属プロモーターを受容体のモル数に対して0.5〜2.0当量のモル量で使用すること特徴とするステップを含む。
【0017】
特に、上述した方法は、式(Ib)[式中、Mn+は、Na、K、NH、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+、Al3+である]で示す6’SL及びその塩を合成するのに便利な経路を提供する。
【0018】
本発明の他の利点は、後に詳細な説明で記述されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の主題は、式(Ib)
【化8】


[式中、Mn+は、K、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+、Al3+からなる群より選択され、Mの酸化状態に対応して、n=1、2、3である]の化合物である。好ましくは、Mn+は、Ca2+、Mg2+、又はKである。
【0020】
式(Ib)の化合物は、全て食品及び薬剤として許容され、潜在的活性成分又はフードサプリメント(乳幼児用の人工調合乳のサプリメントなど)として有用である。
【0021】
特に、6’SLについては、以下のことが挙げられる。
カルシウム塩は、骨の成長を促進するのに潜在的に有用である。
カリウム塩及びマグネシウム塩は、生体膜を通る適切な輸送及び生理学的な膜内外の電位差を維持、促進及び回復するのに潜在的に有用である。
鉄塩は、Feの集成が必要な全ての病的状態に潜在的に有用である。
【0022】
カルシウム塩は、特に、周知のナトリウム塩より優れた化学物理的特性を有し、結晶化がより容易である。実際、結晶化の段階で、処理が容易な結晶性固体が形成され、したがって工業的な規模においても管理がより容易であり、その結晶性固体の濾過は問題なく迅速に行われ、固体の効率的洗浄が可能になる。
【0023】
他方、ナトリウム塩の場合は、結晶化の段階で、最初にゴム状の固体が得られるが、撹拌するのが困難で、研磨する必要がある。その結果、濾過は遅くなり労力を要することになる。この2種類の塩の安定性は類似していると思われる。
【0024】
カルシウム塩のもう1つの肯定的側面は、酸の形態で同一の6’SLマトリックスから開始する場合、カルシウム塩はより高純度で得られることである。例えば、同一の6’SLマトリックスから、ナトリウム塩の結晶は87%のHPLC純度で、カルシウム塩の結晶は93%のHPLC純度で得られた。
【0025】
カリウム塩及びマグネシウム塩の両者は、その結晶化傾向がナトリウム塩と類似しているが、同様に化学物理的特性に関してもナトリウム塩と類似した傾向を示す。
【0026】
上記の式(Ib)の化合物は、6’SLにより、当業技術で公知である、対応するカルボン酸から塩を調製する方法に従って、6‘SLにより調製することができる。例えば、好ましくは式(Ib)の化合物は、pHが8〜10になるまで、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩(すなわち、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)など、KCO、CaCO、MgCOなど、KHCOなど)などのMn+を含む塩基を添加することにより、6’SL溶液から調製することができる。溶媒を除去した後、得られた塩をアルコール、又は水/アルコールの混合物、好ましくはメタノール、エタノール、及びこれらと水との混合物からの結晶化により精製する。
【0027】
場合によって、溶解していない過剰の塩基が存在する場合には、溶媒を除去する前に、それらを濾過により除去することが可能である。
【0028】
別の態様では、本発明は式(I)のα−シアリル−オリゴ糖
【化9】


[式中、Rは、遊離の水酸基を有する単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基であり、好ましくは、Rは、ガラクトース、グルコース、グルコサミン、ラクトース、ラクトサミン、フコシルラクトースの中から選択され、より好ましくは、Rは6’−ガラクトース、3’−グルコース、3’−グルコサミン、6’−ラクトース、3’−ラクトース、6’−ラクトサミン、3’−ラクトサミン、3’−3−フコシルラクトースの中から選択される]の合成方法に関する。
前記方法は、以下の少なくとも1つのステップ:
a)式(II)のシアル酸供与体
【化10】


[式中、
Pは適切な保護基であり、
R1はアルキル基、好ましくはMe、Et、又はPrであり、
Xはハロゲン、好ましくは塩素である]の
式R’OHの適切に保護された受容体[式中、R’は保護基P’により適切に保護された単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基であり、0個、1個又は複数の遊離の水酸基を含み、これらの保護基P’は同一でも互いに異なっていても、前記供与体中に存在する保護基と異なっていてもよい]とのケーニッヒ・クノール反応によるカップリングによって、式(III)の中間体
【化11】


[式中、P、R1及びR’は上記に定義された通りである]を得るステップであって、
このケーニッヒ・クノール反応は、Ag(I)系の金属プロモーターを受容体のモル数に対して0.5〜2.0当量のモル量で使用すること特徴とするステップを含む。
【0029】
より好ましい実施態様では、本方法はまた、ステップ(a)の後に、以下のステップ
b)保護基P、P’及びR1を除去して、上記の式(I)の化合物を得るステップ
を含む。
【0030】
保護基の除去b)は、現在の技術水準で知られている方法に従って実施される(TW Green and PGM WUTS.Green’s Protective Groups in Organic Synthesis.Ed Wiley ed 4.2006)。
【0031】
好適な実施態様では、金属プロモーターは受容体のモル数に対して0.75〜0.85モル当量のモル量で使用される。
【0032】
好適な実施態様では、前記金属プロモーターはAgOTf、AgCOなどのAg(I)塩から選択され、より好適にはAgCOである。
【0033】
好適な実施態様では、前記カップリングa)は、非プロトン性極性溶媒中で実施する。ジクロロメタン中で実施することが好ましい。
【0034】
好適な実施態様では、前記カップリングa)は、前記混合物を5日〜10日間、20℃〜40℃の温度で撹拌して達成し、好ましくは、前記混合物を、30℃で7日間撹拌する。
【0035】
好適な実施態様では、P及びP’はベンジル及びアシルから独立に選択し、好ましくは、P及びP’は、アセチル、ベンゾイル、又は、アルコキシル基、ハロゲン基、ニトロ基で一置換又は二置換されたベンゾイルから独立に選択される。
【0036】
好適な実施態様では、P及びP’はアシルである。より好適な実施態様では、P及びP’は同一であり、アセチルである。Rが6’−ラクトースであり、P=P’=Acである本発明の方法では、周知の6’SL合成方法と別の相違がある。このケースでは、本発明で使用される受容体は、ベンジル基を示さないので、結果的に保護基を除去するための触媒水素化を回避するという利点がある。
【0037】
好適な実施態様では、この適切に保護された受容体R’OHは、ガラクトシド部分C−6に遊離の反応性水酸基を有する。特に好適な実施態様では、前記受容体は式(IV)のラクトース誘導体
【化12】


[式中、P’は適切な保護基であり、好ましくはP’はアシルであり、より好ましくはアセチルである]である。
【0038】
特に好適な実施態様では、本発明は、上記の方法[式中、P及びP’はAcであり、Xは塩素であり、R1はメチルである]による、式(Ia)(式中、R=6’−ラクトース)の6’SLの合成に関する。この特別な組み合わせでは、受容体が式(IVa)、
【化13】


の化合物であるこのカップリング反応は、式(IIIa)
【化14】


の化合物を提供する。式(IIIa)の化合物は、粗製混合物から得られるので、驚くべきことに、シアル酸のアノマー炭素及び式(Ia)の化合物6’SLの生成に対する水酸基及びカルボキシル官能基の連続的脱保護の後続反応に使用できる。好適には、最初にアセチル基の除去を始め、次にメチルエステルの加水分解を進めるべきである。
【0039】
この連続的脱保護は、当業技術で周知のように実施される。好適には、Ac基の除去は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、又は水酸化ナトリウムなどの塩基、より好適にはナトリウムメトキシドを使用し、溶媒にはメタノールやエタノールなどの第一級アルコール、最も好適にはメタノールを使用して行われる。好適には、シアル酸のアノマー炭素におけるメチルエステルの加水分解は、NaOH 1Mの塩基性条件下で行われる。
【0040】
好適には、メチルエステルの加水分解が完了したら、イオン交換樹脂、特に、強カチオン樹脂及び弱アニオン樹脂により、反応混合物の最終的な酸性化を行い、6’SLを含有する溶出液を得る。
【0041】
上記の方法で使用されるシアル酸供与体は、特にXが塩素であり、R’が式(IV)(式中、P=P’=Ac)で保護されたラクトースの場合、調製及び使用がシンプルで簡単である。当業技術が、よりいっそう複雑な供与体を求めてきたにもかかわらず、驚くべきことにこの選択は、公知の方法の問題を解決するのに十分であることを示した。
【0042】
ステップa)で使用されるプロモーター金属の量は、公知の当業技術の現状と比較して驚くほど減少し、0.5〜2.0当量対6〜7当量である。その結果、合成コスト及び廃棄物の処理コストが低下する。
【0043】
カップリング反応の生成は、脱保護の後続反応で使用するのに驚くほど十分な純度で達成され、脱保護されたシアリルオリゴ糖を高収率、高純度で得る。更に、本発明の前記カップリング反応の方法は、α異性体だけが唯一得られるので、立体選択的であることに留意すべきである。
【0044】
したがって、本発明の方法は、工業的規模での実施が可能である。
【0045】
本発明はまた、Mn+が、Na、K、NH4+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+、又はAl3+である式(Ib)の化合物の合成方法であって、当該方法は上記で説明した方法による6’SLの調製を含む方法について言及している。好ましくは、式(Ib)の塩は、6’SLを含有する溶出液で直接調製し、イオン交換樹脂処理後、またメチルエステルの加水分解後に、例えば、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩(KOH、Ca(OH)、Mg(OH)など、KCO、CaCO、MgCOなど、KHCOなど)などのM(n+)を含有する塩基をpHが8〜10になるまで添加して得られる。
【0046】
式(II)の化合物は、(R.Kuhn他、Chem.Ber.,1966,99,611,A.Marra他、Carb.Res,1989,190,317〜322 and NF Byramova他、Carb.Res,1992,237,161−175)で報告される公知の当業技術で得ることができる。
【0047】
適切に保護された受容体の合成は、当業者の知識に従って行うことができる。特に、式(IIIa)(式中、PはAcである)の受容体の合成は、図式1に基づいた公知の方法に従って実施された。
【化15】

【0048】
本発明によれば、アルコキシは、例えば−OMe、−OEt、−OnPr、−OiPr、−OnBu、−OjBu、−OtBuを意味する。
【0049】
本発明によれば、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0050】
本発明によれば、アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロから選択される1つ又は複数の基で置換されていてもよい、1〜6個の炭素原子を含む直鎖アルキル鎖、又は分岐状アルキル鎖を意味する。
【0051】
本発明によれば、アリールは、ハロゲン、アルコキシ、ニトロから選択される1つ又は複数の基で最終的に置き換えられているベンゼンを意味する。
【0052】
本発明によれば、アシルは、−OCO−アルキル、又は−OCO−アリールの基を意味し、ここで、アルキル及びアリールは上記で定義した通りである。
【0053】
本発明によれば、単糖は、ポリオキシアルデヒド(アルドース)、ポリオキシケトン(ケトース)、又は式(CHO)、C2nn−1、C2nn−1NH、又はC2nn−1NHAc(式中、n=3、4、5、6、7)で示される単純な糖を意味する。単糖は、定義に該当するあり得る全ての立体異性体及び全ての非環状形又は環状形のもの、若しくは分子内セミアセタール及び分子内セミケタールを意味する。一例として、ピラノシル型とフラノシル型が挙げられる。例えば、グリセリンアルデヒド、アロース、アルトロース、アラビノース、エリトロース、フコース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン、N−アセチル−グルコサミン、イドース、リキソース、マンノース、プシコース、リボース、デオキシリボース、ソルボース、タガトース、トレオース、キシロース、及び対応するケトースがこの定義に含まれる。
【0054】
本発明によれば、二糖はアセタール結合又はグリコシド(O−グリコシド、又はN−グリコシド)結合で、連結された2種類の単糖よりなるポリオキシ化合物を意味する。上記定義では、あり得る全ての立体異性体及び全ての開放形又は環状形のもの、例えば、ラクトース、ラクトサミン、N−アセチル−ラクトサミン、マルトース、セロビオース、スクロース、スレアロース、ツラノースなどが含まれる。
【0055】
本発明によれば、オリゴ糖は、グリコシド結合で3〜6個の単糖が結合して形成され直鎖型糖鎖又は分岐型糖鎖を形成するポリマーを意味する。例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース、アカルボース、スタキオースが含まれる。
【実施例】
【0056】
実験の部
【0057】
実施例1
4’,6’−ジ−O−ベンジリデンラクトースの調製
【0058】
ラクトース一水和物200g(0.555mol)を撹拌しながらN,N−ジメチルホルムアミド1.4Lに添加し、次いでベンズアルデヒドジメチルアセタール209ml(1.39mol)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.28g(0.028mol)を添加した。得られた懸濁液を55℃に加熱し、TLCが成功するまで(16〜18時間)(薬局方)この温度を維持した。室温まで冷却した後、pHが7〜8になるまでトリエチルアミン4.7mlを添加した。前記混合物を濃縮して、溶液700mlを得た。溶液を激しく撹拌しながら、高温のアセトン3L(50〜55℃)でドレインした。当該混合物を0±5℃に冷却して、沈殿は完了させた。沈殿物を濾過し、冷たいアセトン0.7Lで洗浄し、乾燥させて、白色生成物として4’,6’−ジ−O−ベンジリデンラクトース(αアノマー及びβアノマーの混合物)208gを得た(分析結果 HPLC66%、0319mol、収率57%)。
【0059】
二重結晶化(最初はMeOH、次いでMeOH/HO 4/1 体積/体積による)により、αアノマーに濃縮された分析試料が得られた。NMRキャラクタリゼーションが以下に報告される。
H NMR(DMSOd,300MHz):δ ppm 7.51〜7.34(5H,m,Ph);6.36(d,JOH−1=4.8Hz,1H,C1−OH);5.58(s,1H,PhCH);5.28(d,J=4.2Hz,1H,OH);5.01(d,J=5.7Hz,OH);4.92(擬似t,J1−OH=J1〜2=4.0Hz,1H,H−1);4.68(d,J=6.9Hz,1H,OH);4.45(m,2H,2×OH);4.37(d,J1’−2’=7.5Hz,1H,H−1’);4.16〜3.95(m,3H);3.84〜3.11(m,9H)(H−2,H−3,H−4,H−5,CH−6,H−2’,H−3’,H−4’,H−5’,CH−6’)。
13C NMR(DMSOd,75MHz):δ ppm 138.5、128.6、127.9、126.2(Ph);103.1(C−1’);99.8(PhCH);92.1(C−1);79.6、75.8、72.2、71.6、71.3、69.9、69.8、68.5(C2,C2’,C3,C3’,C4,C4’,C5,C5’);66.2(C6’);60.3(C6)。
Rf(薬局方、可視紫外分光法及びナフトレゾルシン)=0.7
【0060】
実施例2
4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトースの調製
【0061】
ラクトース一水和物200g(0.555mol)を撹拌しながら、N,N−ジメチルホルムアミド1.4Lに添加し、次いでp−メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタール237ml(1.39mol)とp−トルエンスルホン酸一水和物5.28g(0.028mol)を添加した。得られた懸濁液を55℃に加熱し、好ましいTLC結果になるまで(16〜18時間)(薬局方)この温度を維持した。室温まで冷却した後、pHが7〜8になるまでトリエチルアミン5.0mlを添加した。当該混合物を濃縮し、高温のアセトン3L(50〜55℃)中で残留物を結晶化した。混合物を0−5℃に冷却して沈殿を完結させた。沈殿物を濾過し、2×200mlの冷たいアセトンで洗浄し、淡黄色固体で4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトース(αアノマー及びβアノマーの混合物)219gを得た(分析結果 HPLC76%、0361mol、収率65%)。高温のアセトン/水 4/1 体積/体積による結晶化により、αアノマー及びβアノマーの混合物(1/1 mol/mol)の分析試料が得られた。NMRキャラクタリゼーションが以下に報告される。
H NMR(DMSOd,300MHz):δ ppm 7.38(d,J=8.7Hz,2H)、6.93(d,J=8.7Hz,2H)(Ph);6.70(d,JOH−1=6.6Hz,1H,C1−OH β);6.36(d,JOH−1=4.1Hz,1H,C1−OH α);5.52(s,1H,PhCH α+β);5.27(m,1H,OHα+β);5.04〜4.95(m,1H,OHα+β);4.92(擬似t,J=4.1Hz,H−1 α);4.72〜4.60(m,1H,OHα+β);4.56〜4.28(m,H−1’ α+β+H−1 β+2×OHα+β);4.12〜3.92(m,3H);3.76(s,3H,OMe);3.80〜3.11(m,9H);2.98(m,1H β)。
13C NMR(DMSOd,75MHz):δ ppm 159.4、130.9、127.6、113.2(Ph);103.0(C−1’ α+β);99.7(PhCHα+β);96.7(C−1β);92.1(C−1α);79.6、79.2、75.7、74.9、74.8、74.6、72.2、71.6、71.3、69.9、69.8、68.4(C2,C2’,C3,C3’,C4,C4’,C5,C5’ α+β);66.2(C6’ α+β);60.4,60.3(C6α+β);55.1(OMeα+β)。
Rf(薬局方、可視紫外分光法及びナフトレゾルシン)=0.8
【0062】
実施例3
1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−ベンジリデン−β−D−ラクトースの調製
【0063】
実施例1に従って得られた4’,6’−O−ベンジリデンラクトース100g(HPLCで0.153mol)とトリエチルアミン256ml(1.84mol)をメチルエチルケトン600mlに加えた。反応混合物を60℃に加熱し、無水酢酸174ml(1.84mol)を滴下し、内部温度を70℃未満に維持した。TLCが成功するまで(10〜12時間)、反応混合物を70℃で撹拌した(AcOEt)。この溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン270ml及び水200mlに溶解した。pHが9〜9.5になるまで撹拌しながらNaOH30%を添加し、次いで層を分離した。水層をジクロロメタン75mlで再度抽出した。集めた有機層を水200mlで洗浄した後、pHが1〜1.5になるまで撹拌しながらHCL溶液32%を添加した。酸性水層をジクロロメタン75mlで抽出した。次いで、集めた有機層をNaCl(20%)370mlで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、活性炭及びベントナイトで脱色した。当該溶媒を濃縮し、その残留物をそのまま次の反応で使用した。HPLC定量では、1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−ベンジリデンラクトース103g(0.151mol)が、基本的にβアノマーとして示された(αアノマー<10mol%)(収率99%)。αアノマー9mol%を含有する分析試料が、高温のMeOHからの結晶化により得られた。NMRキャラクタリゼーション(βアノマー)を以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ ppm 7.54〜7.34(m,5H,Ph);5.68(d,J1〜2=8.4Hz,1H,H−1)、5.47(擬似s,1H,CHPh);5.32〜5.21(m,2H,H−3+H−2’)、5.07(dd,J2〜3=9.6Hz e J2〜1=8.4Hz,1H,H−2)、4.87(dd,J3’−2’=10.4Hz e J3’−4’=3.8Hz,1H,H−3’)、4.54〜4.43(m,2H,H−1’+H−6a)、4.38〜4.25(m,2H,H−4’+H−6’a)、4.14(dd,J6b−6a=12.2 e J6b−5=4.6Hz,1H,H−6b)、4.04(d,J6’b−6’a=12.3Hz,1H,H−6’b)、3.90〜3.70(m,2H,H4+H5);3.46(擬似s,1H,H−5’)、2.14〜2.00(6×COCH)。
13C NMR(CDCl,75MHz):δ ppm 170.8、170.4、170.1、169.7、169.0、168.9(6×COCH);137.5、129.3、128.3、126.6(Ph);101.4(CHPh);101.1(C−1’);91.8(C−1);75.5、73.8、73.2、72.4、72.2、70.5、69.0、68.5(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’);66.6(C−6’);61.8(C−6)、20.9〜20.7(6×COCH)。
Rf(AcOEt:ヘキサン=1:1、可視紫外分光法及びHSO/MeOH)=0.3
【0064】
実施例4
1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−p−メトキシベンジリデン−β−D−ラクトースの調製
【0065】
実施例2に従って得られた4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトース100g(HPLC定量 0.165mol)とトリエチルアミン242ml(1.74mol)をメチルエチルケトン600mlに加えた。当該懸濁液を60℃に加熱し、無水酢酸164ml(1.74mol)を滴下し、内部温度を70℃未満に維持した。好ましくTLCが成功するまで(10〜12時間)、反応混合物を70℃で撹拌した(AcOEt:ヘキサン=1:1)。当該溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン270ml及び水200mlに溶解した。pHが9〜9.5になるまで撹拌しながらNaOH30%を添加し、次いで層を分離した。水層をジクロロメタン75mlで再度抽出した。集めた有機層を水200mlで洗浄した後、pHが1〜1.5になるまで撹拌しながらHCL溶液32%を添加した。酸性水層をジクロロメタン75mlで抽出した。次いで、集めた有機層を飽和NaHCO400ml、NaCl(20%)400mlで洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、活性炭及びベントナイトで漂白した。当該溶媒を濃縮し、その残留物をそのまま次の反応で使用した。HPLC定量では、1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトース110g(0.155mol)が、基本的にβアノマーとして示された(収率94%)。分析試料が、高温のMeOHからの結晶化により得られた。NMRキャラクタリゼーション(βアノマー)を以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ ppm 7.36(d,J=8.7Hz,2H)、6.88(d,J=8.7Hz,2H)(Ph);5.66(d,J1〜2=8.4Hz,1H,H−1);5.40(擬似s,1H,CHPh);5.24(擬似t,J3〜2=J3〜4=9.6Hz,1H,H−3);5.23(dd,J2’−3’=10.2Hz e J2’−1’=7.8Hz,1H,H−2’);5.04(dd,J2〜3=9.6Hz e J2〜1=8.4Hz,1H,H−2);4.84(dd,J3’−2’=10.2Hz e J3’−4’=3.6Hz,1H,H−3’)、4.46(dd,J6a−6b=12.0Hz e J6a−5=1.5Hz,1H,H−6a);4.44(d,J1’−2’=7.8Hz,1H,H−1’);4.28(d,J4’−3’=3.6Hz,1H,H−4’);4.25(d,J6’a−6’b=12.6Hz,1H,H−6’a);4.12(dd,J6b−6a=12.0 e J6b−5=4.5Hz,1H,H−6b)、4.00(dd,J6’b−6’a=12.6Hz e J6’b−5’=1.5Hz,1H,H−6’b);3.87〜3.69(m,2H,H4+H5);3.79(s,3H,OMe);3.42(擬似s,1H,H−5’);2.09、2.07、2.03、2.02、2.00(6×COCH)。
13C NMR(CDCl,75MHz):δ ppm 170.8、170.4,170.1、169.6、168.93、168.89(6×COCH);160.3、130.1、127.9、113.7(Ph);101.3(CHPh);101.1(C−1’);91.8(C−1);75.5、73.8、73.2、72.4、72.1、70.5、69.0、68.4(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’);66.5(C−6’);61.8(C−6)、55.4(OMe);20.9〜20.6(6×COCH)。
Rf(AcOEt:ヘキサン=1:1、可視紫外分光法及びHSO/MeOH)=0.2
【0066】
実施例5
1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトースの調製
【0067】
実施例3に従って得られた1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−ベンジリデンラクトース100g(0.15mol)を含むシロップを、氷酢酸400mlに溶解した。反応混合物を80℃に加熱し、次にこの混合物を1.5時間この温度で撹拌しながら、水100ml(80℃に予熱)を加えた。次に、反応混合物を急激に室温まで冷却し、トルエン500mlと水350mlを加えて、抽出した。水層を、トルエン150mlで抽出した。合一したトルエン層には、別の反応で使用可能な未反応の1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−ベンジリデンラクトースが含有していた。1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトースを含む水層を、塩化メチレン500ml及び150mlで連続して抽出した。有機抽出液を、水(3×150ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、更に濃縮した。残留物を高温の酢酸イソプロピル(50〜55℃)580mlから結晶化して、乾燥させた後、1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトース(0.05mol)30.8gを白亜色の固体で得た。合一したトルエン層で未反応の1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−ベンジリデンラクトース(0.03mol)20.2gが回収されたことを考慮すると、収率は42%である。
融点 188〜190℃
H NMR(CDCl,300MHz):δ ppm 5.68(d,J1〜2=8.1Hz,1H,H−1)、5.24(擬似t,J3〜2=J3〜4=9.3Hz,1H,H−3)、5.19(dd,J2’−3’=10.2Hz e J2’−1’=7.8Hz,1H,H−2’)、5.05(dd,J2〜3=9.3Hz e J2〜1=8.1Hz,1H,H−2)、4.88(dd,J3’−2’=10.2Hz e J3’−4’=3.3Hz,1H,H−3’)、4.49(d,J1’−2’=7.8Hz,1H,H−1’)、4.49(dd,J6a−6b=11.1Hz e J6a−5=1.8Hz,1H,H−6a)、4.15〜4.05(m,2H,H−4’+H−6b)、4.00〜3.70(m,4H,H−4+H−5+H−6’a+H−6’b)、3.56(擬似t,J=5.4Hz,1H,H−5’)、2.96(d,JOH−4’=4.2Hz,C4’−OH)、2.59(dd,JOH−6’=7.5 e 4.8Hz,C6’−OH)、2.11、2.09、2.08、2.07 2.04、2.03(6×COCH)。
13C NMR(CDCl,75MHz):δ ppm 170.6、170.4、170.3、169.7、169.6、169.0(6×COCH);101.2(C−1’)、91.7(C−1)、75.9(C−4)、74.6(C−5’)、73.7(C−3’)、73.6(C−5)、73.1(C−3)、70.7(C−2)、69.7(C−2’)、67.8(C−4’)、62.1、62.0(C−6,C−6’)、20.9、20.8、20.7(6×COCH)。
Rf(AcOEt、可視紫外分光法及びHSO/MeOH)=0.4
【0068】
実施例6
ジ1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトースの調製
【0069】
実施例4に従って得られた1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトース100g(0.14mol)を含むシロップを、氷酢酸400mlに溶解した。次に、水100mlを加えて、混合物を室温で4.5時間撹拌した。トルエン500mlと水350mlを添加した後、抽出した。水層を、トルエン150mlで抽出した。集めたトルエン層には、別の反応で使用可能な未反応の1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−4’,6’−O−p−メトキシベンジリデンラクトースが含有していた。1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトースを含む水層を、塩化メチレン500ml及び150mlで連続して抽出した。有機抽出液を、水(3×150ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、更に濃縮した。残留物を高温の酢酸イソプロピル(50〜55℃)580mlから結晶化して、乾燥させた後、1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトース(0.07mol、収率50%)40.6gを白色粉末状の固体で得た。当該白色粉末状固体の特性は、実施例5で得られた固体の特性と類似する。
【0070】
実施例7
(メチル5−アセトアミド−4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−2,3−ジ−O−アセチル−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−1,2,3,6−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラノースの調製
【0071】
実施例3に従って得られた1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトース100g(0.168mol)をジクロロメタン600mlに溶解し、次いでモレキュラーシーブ3Aを250g添加した。当該溶液を5〜10分間撹拌した後、炭酸銀(0.14mol)38.0gを添加した。ジクロロメタン500ml中の式(II)(式中、Pはアセチルであり、Xは塩素であり、R1はメチルである)の塩素誘導体128.5(0.252mol)(1.5eq)の溶液を添加して、その懸濁液を塩素誘導体が消滅するまで7日間30℃で激しく撹拌し続けた(TLC、CHCl:MeOH=10:1)。次に、その混合反応物をジカライト上で濾過し、溶媒を除去し、縮合生成物、1,2,3,6,2’,3’−ヘキサ−O−アセチル−β−D−ラクトース及び式(II)の2,3脱離生成物の混合物と微量の4,7,8,9−テトラ−O−アセチル−NANAを含有する脆性固体の残留物(約230g)を得た。13CのNMRにより、約90%のモル転化率が評価された。縮合生成物の分析試料を、エタノール:イソプロピルエーテル=1:3 体積/体積からの結晶化により白色非晶質固体で得た。
H NMR(CDCl,300MHz):δ ppm 5.66(d,J1〜2=8.4Hz,1H,H−1);5.42〜5.10(m,5H,H−3+H−2’+H−7”+H−8”+NH);5.01(擬似t,J2〜1=8.4Hz,1H,H−2);4.94〜4.78(m,2H,H−3’+H−4”);4.53〜4.27(m,3H,H−1’+H−6a+H−9”);4.24〜3.92(m,5H,H−6b+H−4’+H−5”+H−6”+H−9”b);3.92〜3.50(m,5H,H−4+H−5+H−5’+H−6’a+H−6’b);3.80(s,3H,COOCH)、2.93(広幅なs,1H,OH);2.55(dd,J3”eq−3”ax=12.6 e J3”eq−4”=4.5Hz,1H,H−3”eq);2.17〜1.97(31H,10×CHCO e H−3”ax)、1.86(s,3H,NHCOCH)。
13C NMR(CDCl,75MHz):δ ppm 171.05、170.98、170.5、170.4、170.29、170.28、170.24、170.0、169.6、169.4、169.0、168.0(OAc,NHAc,COOMe);100.8(C−1’);99.1(C−2”);91.7(C−1);75.7、73.7、73.6、72.94、72.90、72.4、70.7、69.7、68.95、68.87、67.4、66.3(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”);62.6、62.4、62.1(C−6,C−6’,C−9”);53.2(OCH);49.4(C−5”);37.4(C−3”);23.2(NHCOCH)、21.1、20.9、20.8、20.74、20.67(10×CHCO)。
【0072】
実施例8
(メチル5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−Dガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−(α/β)−D−グルコピラノースの調製
【0073】
実施例7に従って得られた粗生成物230gをMeOH1.4Lに溶解し、次いでメタノール25重量%中のナトリウムメトキシド29.6mlを添加した。溶液を室温で12時間撹拌し続けた。好ましいTLC制御(薬局方)下で、当該溶液を乾燥したIR120(H)39gで中和した。樹脂を濾過し、溶媒をロータベーパーで除去して、残留物143gを得た。残留物は次の反応で使用された。収率は、定量的であった。
H NMR(DO,300MHz):δ ppm 5.21(d,J1〜2 3.6Hz,1H,H−1α)、4.66(d,J1〜2 7.8Hz,1H,H−1β)、4.42(d,J1’−2’:7.5Hz,1H,H−1’)、4.15〜3.45(m,19H)、3.89(s,3H,COOCH)、3.29(m,1H)、2.70(dd,J3”eq−3”ax 12.9 e J3”eq−4” 4.8Hz,H−3”eq)、2.03(s,3H,NHCOCH)、1.88(擬似t,J3”ax−3”eq=J3”ax−4” 12.9Hz,H−3”ax)。
13C NMR(DO,75MHz):δ ppm 175.5(NHCOCH)、170.4(COOMe)、103.9(C−1’)、99.6(C−2”)、96.3(C−1β)、92.5(C−1α)、80.5,80.4,75.2(2C)、74.4、74.0、73.5、73.0、72.2、71.7、71.3、71.2、70.5、69.0(2C)、67.9(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”)、64.0(C−6’)、63.8(C−9”)、60.8 e 60.7(C−6α+β)、54.1(COOCH)、52.3(C−5”)、39.6(C−3”)、22.8(NHCOCH)。
【0074】
実施例9
ナトリウム5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−(α/β)−D−グルコピラノースの調製
【0075】
実施例8に従って得られた脱アセチル化粗生成物143gを水715mlに溶解し、溶液を4℃に冷却した。NaOH水溶液でpHを中性に調整し、次いでNaOH(30%)23mlを加えて溶液の温度を10℃未満に維持した。当該溶液を、室温で24時間撹拌した。好ましいTLC制御(薬局方)下で、溶液をIR120(H)/IRA96(OH)に通した。溶出液をNaOHでpH9に調整し、シロップに濃縮し、脆性の白色固体を得るまで無水EtOHで数回揮散させた。この白色固体をEtOH96%から再結晶して、77.3gを得た。
当該化合物のH NMRデータ及び13C NMRデータは、文献(L.Dorland他、Eur.J.Biochem.1978,87,323;J.P.Kamerling他、Carbohydr.Res.1982,100,331)で報告されるデータと一致した。
H NMR(DO,300MHz):δ ppm 5.22(d,J1〜2 3.8Hz,1H,H−1α)、4.66(d,J1〜2 7.8Hz,1H,H−1β)、4.43(d,J1’−2’:7.6Hz,1H,H−1’)、4.02〜3.48(m,19H)、3.31(m,1H)、2.71(dd,J3”eq−3”ax 12.5 e J3”eq−4” 4.7Hz,H−3”eq)、2.03(s,3H,NHCOCH)、1.74(擬似t,J3”ax−3”eq=J3”ax−4” 12.5Hz,H−3”ax)。
13C NMR(DO,75MHz,外部標準アセトン):δ ppm 175.6(NHCOCH)、174.1(COO)、103.9(C−1’)、100.9(C−2”)、96.3(C−1β)、92.5(C−1α)、80.4、80.3、75.30、75.26、74.4、74.3、73.2、73.0、72.4、72.3、71.7、71.4、70.6、69.2、69.04、69.01(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”)、64.2(C−6’)、63.3(C−9”)、60.9 e 60.8(C−6α+β)、52.4(C−5”)、40.7(C−3”)、22.7(NHCOCH)。
[α]20℃:+9.3°(c:1%,HO)
融点: 191.4−194.2°C(T 分解)
【0076】
実施例10
カルシウム5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−(α/β)−D−グルコピラノースの調製
【0077】
実施例8に従って得られた脱アセチル化粗生成物100gを水500mlに溶解し、溶液を4℃に冷却した。NaOH水溶液でpHを中性に調整し、次いでNaOH(30%)23mlを加えて溶液の温度を10℃未満に維持した。生成した溶液を室温で24時間撹拌し続けた。好ましいTLC制御(薬局方)下で、溶液をIR120(H)/IRA96(OH)に通した。溶出液をCa(OH)でpH8.7に調整し、濾過し、次いで、65°Brixでシロップに濃縮した。当該シロップを50℃でメタノール540mlに滴下した。生成した懸濁液を50℃で1時間激しく撹拌し続けた。更に室温で1時間撹拌した後、真空下で濾過した。当該固体をメタノール160mlで洗浄し、真空下、50−55℃で乾燥させ、46.2gを得た。
H NMR(DO,300MHz):δ ppm 5.22(d,J1〜2 3.8Hz,1H,H−1α)、4.66(d,J1〜2 7.8Hz,1H,H−1β)、4.43(d,J1’−2’:7.8Hz,1H,H−1’)、4.02〜3.48(m,19H)、3.31(m,1H)、2.71(dd,J3”eq−3”ax 12.0 e J3”eq−4” 4.5Hz,H−3”eq)、2.03(s,3H,NHCOCH)、1.74(擬似t,J3”ax−3”eq=J3”ax−4” 12.0Hz,H−3”ax)。
13C NMR(DO,75MHz,内部標準アセトニトリル):δ ppm 175.5(NHCOCH)、174.1(COO)、103.8(C−1’)、100.9(C−2”)、96.2(C−1β)、92.4(C−1α)、80.3、80.3、75.26、75.22、74.4、74.3、73.1、73.0、72.4、72.2、71.7、71.4、70.5、69.1、69.13、69.00(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”)、64.2(C−6’)、63.2(C−9”)、60.9 e 60.7(C−6α+β)、52.4(C−5”)、40.7(C−3”)、22.7(NHCOCH)。
Ca2+の分析 98.3%
[α]20°C:+10°(c:1%、HO)
融点:204,5−206,6°C(T 分解)
IRνKBrmax:3400、1612、1380、1033cm−1
【0078】
実施例11
カリウム5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−(α/β)−D−グルコピラノースの調製
【0079】
実施例8に従って得られた脱アセチル化粗生成物100gを水500mlに溶解し、溶液を4℃に冷却した。NaOH水溶液でpHを中性に調整し、次いでNaOH(30%)23mlを加えて溶液の温度を10℃未満に維持した。溶液を室温で24時間撹拌し続けた。好ましいTLC制御(薬局方)下で、溶液をIR120(H)/IRA96(OH)に通した。溶出液をKOHでpH10に調整し、シロップに濃縮し、脆性の白色固体を得るまで無水EtOHで数回揮散させた。この白色固体を無水EtOHから再結晶した。当該固体を真空下、50−55℃で乾燥させ、35.7gを得た。
H NMR(DO,200MHz):δ ppm 5.22(d,J1〜2 3.8Hz,1H,H−1α)、4.66(d,J1〜2 7.8Hz,1H,H−1β)、4.43(d,J1’−2’:7.6Hz,1H,H−1’)、4.02〜3.48(m,19H)、3.31(m,1H)、2.71(dd,J3”eq−3”ax 12.0 e J3”eq−4” 4.4Hz,H−3”eq)、2.03(s,3H,NHCOCH)、1.74(擬似t,J3”ax−3”eq=J3”ax−4” 12.0Hz,H−3”ax)。
13C NMR(DO,75MHz,内部標準アセトン):δ ppm 175.5(NHCOCH)、174.0(COO)、103.8(C−1’)、100.9(C−2”)、96.2(C−1β)、92.4(C−1α)、80.3、80.2、75.22、75.19、74.4、74.3、73.1、72.9、72.4、72.2、71.7、71.4、70.5、69.1、69.04、69.01(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”)、64.1(C−6’)、63.2(C−9”)、60.8 e 60.7(C−6α+β)、52.4(C−5”)、40.7(C−3”)、22.6(NHCOCH)。
[α]20℃:+9.8°(c:1%,HO)
融点179.3−182.8°C(T 分解)
IRνKBr max:3391、1612、1379、1034cm−1
【0080】
実施例12
マグネシウム5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−α−D−ガラクト−ノノ−2−ウロピラノシルオナート)−(2→6)−β−D−ガラクトピラノシル−(1→4)−(α/β)−D−グルコピラノースの調製
【0081】
実施例8に従って得られた脱アセチル化粗生成物100gを水500mlに溶解し、溶液を4℃に冷却した。NaOH水溶液でpHを中性に調整し、次いでNaOH(30%)23mlを加えて溶液の温度を10℃未満に維持した。溶液を室温で24時間撹拌し続けた。好ましいTLC制御(薬局方)下で、溶液をIR120(H)/IRA96(OH)に通した。溶出液をMgOでpH9.8に調整し、残留物に濃縮し、脆性の白色固体を得るまで無水EtOHで数回揮散させた。当該白色固体を無水EtOHから再結晶して、50.8gを得た。
H NMR(DO,300MHz):δ ppm 5.22(d,J1〜2 3.6Hz,1H,H−1α)、4.66(d,J1〜2 8.1Hz,1H,H−1β)、4.43(d,J1’−2’:7.5Hz,1H,H−1’)、4.02〜3.48(m,19H)、3.31(m,1H)、2.71(dd,J3”eq−3”ax 12.3 e J3”eq−4” 4.5Hz,H−3”eq)、2.03(s,3H,NHCOCH)、1.74(擬似t,J3”ax−3”eq=J3”ax−4” 12.3Hz,H−3”ax)。
13C NMR(DO,75MHz,内部標準アセトニトリル):δ ppm 175.5(NHCOCH)、174.1(COO)、103.8(C−1’)、100.9(C−2”)、96.3(C−1β)、92.4(C−1α)、80.3、80.2、75.26、75.23、74.4、74.3、73.1、73.0、72.4、72.2、71.7、71.4、70.6、69.1、69.00、68.96(C−2,C−3,C−4,C−5,C−2’,C−3’,C−4’,C−5’,C−4”,C−6”,C−7”,C−8”)、64.2(C−6’)、63.3(C−9”)、60.9 e 60.7(C−6α+β)、52.4(C−5”)、40.7(C−3”)、22.7(NHCOCH)。
Mg2+の分析97.5%
[α]20°C+9.8°(c:1%、HO)
融点183.1−185.1°C(T 分解)
IRνKBrmax:3391、1634、1379、1035cm−1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ib)
【化1】


[式中、Mn+は、K、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+及びAl3+からなる群の中から選択される]の化合物。
【請求項2】
n+が、K、Ca2+、Mg2+からなる群の中から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
6’−シアリルラクトース(6’SL)から始まる、請求項1又は2で定義された式(Ib)の化合物の調製方法であって、6’SL溶液にM(n+)を含む塩基を添加して8〜10のpH値を得ることを含む方法。
【請求項4】
式(I)
【化2】


[式中、Rは、遊離の水酸基を有する単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基である]のα−シアリルオリゴ糖の化合物の調製方法であって、以下の少なくとも1つのステップ
a)式(II)のシアル酸供与体
【化3】


[式中、Pは適切な保護基であり、R1はアルキル基であり、Xはハロゲンである]の、式R’OHの受容体[式中、R’は保護基P’により適切に保護された単糖、二糖、又はオリゴ糖の残基であり、0個、1個又は複数の遊離の水酸基を含み、前記保護基P’は同一でも互いに異なっていても、前記供与体中に存在する保護基と異なっていてもよい]とのケーニッヒ・クノール反応によるカップリングによって、式(III)の中間体
【化4】


[式中、P、R1及びR’は上記で定義した通りである]を得るステップであって、
前記ケーニッヒ・クノール反応は、Ag(I)系の金属プロモーターを受容体のモル数に対して0.5〜2.0当量のモル量で使用することを特徴とするステップを含む方法。
【請求項5】
ステップ(a)の後に、以下のステップ
b)保護基P、P’及びRを除去し、請求項4で定義した式(I)の化合物を得るステップ
を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Rが6’−ラクトースである請求項4又は5に記載の6’SLの調製方法。
【請求項7】
n+が、Na、K、NH、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Fe2+、又はAl3+である式(Ib)の化合物の調製方法であって、請求項6に記載の方法による6’SLの調製を含む式(Ib)の化合物の調製方法。
【請求項8】
薬剤及び食品インテグレーターとして使用するための請求項1又は2に記載の式(Ib)の化合物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の式(Ib)の化合物と少なくとも薬剤として又は食品として許容される他の成分とを含有する医薬組成物及び食品組成物。

【公表番号】特表2012−522761(P2012−522761A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502871(P2012−502871)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051470
【国際公開番号】WO2010/116317
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(502350799)イナルコ ソシエタ ペル アチオニ (6)
【Fターム(参考)】