説明

90度ハイブリッド,光モジュールおよび光受信機

【課題】90度ハイブリッドにおける位相遅延の偏波依存性を抑制する。
【解決手段】信号光分岐部1Aと、参照光分岐部1Bと、第1検波光生成部1Aと、第2検波光生成部1Bと、光位相シフト部5と、をそなえ、かつ、信号光分岐部1Aと第1検波光生成部1Aとの間の光路に、信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部6−1,6−2が挿入されるとともに、参照光分岐部1Bと前記第2検波光生成部1Bとの間の光路に、参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部6−3,6−4が挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本案件は、90度ハイブリッド,光モジュールおよび光受信機に関し、例えば、超高速のフォトニックネットワークに適用されるものを含む。
【背景技術】
【0002】
長距離伝送の光ネットワークにおいては、伝送速度が増加するに従い、(D)QPSK((Differential) Quadrature Phase Shift Keying)等の位相変調方式が注目されてきている。さらに、伝送容量を増大させるため、波長多重等の多重方式とともに、偏波多重を併用する方式の開発も進行している。
【0003】
QPSK方式等の位相変調信号光の復調は、例えば、信号光と、同一波長の参照光(局発光)を干渉させるホモダイン検波を用いることができる。即ち、0度、90度の位相を持つ参照光と信号光とを干渉させ、I ch、Q chの変調信号を検出する。この処理を行なうデバイスが90度ハイブリッドである。尚、90度ハイブリッドで検出されたIch,Qchの変調信号光は、例えばバランスドレシーバで受光された後、例えばデジタル信号処理を通じて4値の復調処理等が行なわれる。
【0004】
90度ハイブリッドは、信号光と参照光を合波し干渉させる機能と、参照光に90度(1/4波長)の位相を付加する機能を有しており、合波される信号光と参照光との位相を揃えることで、得られる復調信号の品質の良質化を図ることができる。
【0005】
また、偏波多重された位相変調信号の復調においては、偏波分離器で偏波方向毎の光信号に分離する。例えば、2つの偏波方向の光信号が偏波多重された位相変調信号においては、各偏波方向の光信号に偏波分離したのち、それぞれ2台の受信フロントエンドモジュールを用い、偏波成分ごとに復調する。
【0006】
受信フロントエンドモジュールは、例えば、上述の90度ハイブリッドとバランスドレシーバとが集積化されたものであり、2台の受信フロントエンドモジュールを用いる場合にはその分だけ装置規模が増大する。
【0007】
これに対し、小型化、コストダウンの構成例として下記の特許文献1〜3に記載されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0152361号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0152362号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0152363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
偏波分離器で偏波方向毎の光信号に分離する前段において、上述のごとき検波を行なうこと、即ち、2つの偏波成分が偏波多重された光信号について一括して検波を行なうことが検討されている。この場合においては、両偏波についての90度ハイブリッドにおいて生じうる偏波依存性が、合波される信号光と参照光との位相ずれの要因となりうる。
【0010】
ここで生じうる偏波依存性は、具体的には、90度ハイブリッドを両偏波で共用とする構成を採用した場合の、光路上の複屈折材質や、光学膜等で発生する位相遅延の偏波依存性や、90度の位相を付加する素子部の偏波依存性などによるものである。
【0011】
そこで、本案件の目的の一つは、偏波分離器で偏波方向毎の光信号に分離する前段において、上述のごとき検波を行なう場合においても、偏波成分ごとに、信号光と参照光とを最適な位相条件にすることにある。
【0012】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成又は作用により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本案件の他の目的として位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ、かつ、前記信号光分岐部と前記第1検波光生成部との間の光路に、前記信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、前記参照光分岐部と前記第2検波光生成部との間の光路に、前記参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、90度ハイブリッドを用いることができる。
【0014】
(2)入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、前記第1,第2検波光生成部からの各検波光をそれぞれ異なる偏波に分離する偏波分離部と、前記偏波分離部の後段に、前記偏波分離部にて分離された各検波光の偏波成分について受光する受光部と、前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ、かつ、前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第1検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第2検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、光モジュールを用いることができる。
【0015】
(3)さらに、上記(1)の90度ハイブリッドが用いられた光受信機を用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
開示の技術によれば、偏波方向毎の光信号に分離する前段において検波を行なう場合においても、偏波成分ごとに、信号光と参照光とを最適な位相条件にすることができ、位相遅延の偏波依存性が抑制された90度ハイブリッドを実現できる。そのため、偏波多重された信号の両偏波成分のコヒーレント光受信のため90度ハイブリッドを共通に用いることが可能となる。更に、異なる偏波間での相互作用は発生しないため、偏波多重された信号光を入射しても、それぞれの偏波が独立に90度ハイブリッドを通過する場合と同義となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態を示す図である。
【図2】光通信システムを示す図である。
【図3】温度制御部による波長板の制御態様の一例を説明する図である。
【図4】信号光および局発光の偏波成分ごとの位相ずれの補償例について説明する図である。
【図5】第1実施形態の第1変形例を示す図である。
【図6】第1実施形態の第2変形例を示す図である。
【図7】第2実施形態を示す図である。
【図8】第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。但し、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図は無い。即ち、本実施形態は、その趣旨に逸脱しない範囲において種々変形して実施することができる。
【0019】
〔A〕第1実施形態の説明
図1は第1実施形態を示す図である。この図1において、10は90度ハイブリッドであり、9vi,9vq,9hi,9hqはいずれもバランスドレシーバである。これらの90度ハイブリッド10およびバランスドレシーバ9vi,9vq,9hi,9hq(以下、統括して「9」と記述する場合がある)は集積されて単一の光モジュールとすることもできる。
【0020】
なお、この集積された光モジュールは、光フロントエンドと称される場合がある。また、図1に示す90度ハイブリッド10およびバランスドレシーバ9は、ともに、図2に示す光通信システムの光受信器の要素として適用可能である。
【0021】
この図2に示す光通信システム100においては、光送信器110と光受信器130とが光伝送路120を介して接続される。光送信器110は、一例として、光源(Laser Diode:LD)101,分岐部102,変調器103h,103v,偏波回転器104および偏波合成器(Polarization Beam Combiner:PBC)105をそなえる。
【0022】
すなわち、LD101からの光を用いて変調器103h,103vで個別に変調された信号光をPBC105で偏波合成する。このとき、一方の光信号(この場合には変調器103vからの信号光について90度偏波回転されており、PBC105からは偏波多重された信号光を出力できるようになっている。
【0023】
また、光受信器130は、局発光源(LD)131,光フロントエンド132および電気信号処理部(Analog to Digital Converter / Digital Signal Processor:ADC/DSP)133をそなえる。また、光フロントエンド132は、光ハイブリッド134および4つのバランスドレシーバ135をそなえる。
【0024】
光ハイブリッド134は、図1に例示する90度ハイブリッド10を用いることができ、局発光との干渉光について、偏波成分ごとにI信号およびQ信号として出力する。又、4つのバランスドレシーバ135は、それぞれ、図1に例示するバランスドレシーバ9を用いることができ、偏波成分ごとのI信号およびQ信号についての変調信号を検出する。そして、電気信号処理部133においては、バランスドレシーバ135からの信号を用いて信号復調処理を行なう。
【0025】
ここで、図1に例示する90度ハイブリッド10では、光送信器110(図2参照)からの偏波多重された光信号を偏波成分ごとではなく一括して、局発光源131からの局発光(参照光)と合波させる構成をそなえる。尚、局発光源131からの参照光としては、2つの直交する信号光の偏光方向に対し、例えば45度程度に偏光方向を傾けた直線偏光の光を用いることで、縦、横の両方向の偏波の参照光を得る事ができる。
【0026】
図1に例示する90度ハイブリッド10は、互いに同等の特性を有する2つ(2枚)のビームスプリッタ1A,1B,ミラー2A,2B,集光レンズ3A,3B,複屈折板4,90度位相付加部5,波長板6−1〜6−4および温度制御部6aをそなえる。
【0027】
図1に例示するビームスプリッタ1A,1Bは、それぞれの母材部分1aが内側に、ビームスプリッタ膜1bが外側になるように、対向して配置されている。又、これらのビームスプリッタ1A,1Bについては、平行して配置させることができる。そして、2枚のビームスプリッタ1A,1Bには、ビームスプリッタ1A,1Bの部材平面に対して斜め方向から、それぞれ、信号光および参照光が入射されるようになっている。
【0028】
本例においては、信号光はビームスプリッタ1Aの母材部分1aの側に、参照光はビームスプリッタ1Bのビームスプリッタ膜1bの側に、それぞれ入射される。このとき、入射される信号光および反射光については、互いに平行として、それぞれ同等の角度で対応するビームスプリッタ1A,1Bに入射させることができる。尚、7Aは光伝送路111からの信号光をビームスプリッタ1Aへ導くレンズであり、7Bは局発光源131からの参照光をビームスプリッタ1Bへ導くレンズである。
【0029】
ビームスプリッタ1Aに入射される信号光は、母材1aを通過するとともに、一部はビームスプリッタ膜1bを通過してビームスプリッタ1Bに入射するが、残りはビームスプリッタ膜1bを反射するようになっている。従って、ビームスプリッタ1Aは、信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部の一例である。
【0030】
また、ビームスプリッタ1Bに入射される局発光は、一部はビームスプリッタ膜1bおよび母材1aを通過してビームスプリッタ1Aの母材1bに入射するが、残りはビームスプリッタ膜1bを反射するようになっている。従って、ビームスプリッタ1Bは、局発光を第1局発光と第2局発光とに分岐する局発光分岐部の一例である。
【0031】
ミラー2Aは、ビームスプリッタ1Aを通過した信号光(第1信号光)を反射して、ビームスプリッタ1Aのビームスプリッタ膜1bに再入射されるように折り返す。又、後述の波長板6−1,6−2は、ビームスプリッタ1Aを通過した第1信号光がビームスプリッタ1Aに再入射される光路上に挿入される。換言すれば、ビームスプリッタ1Aを上述のごとく通過した第1信号光は、上述の波長板6−1,6−2およびミラー2Aを通じて、ビームスプリッタ1Aに再入射される。
【0032】
また、ミラー2Bは、ビームスプリッタ1Bを反射した局発光(第2局発光)を反射する。ミラー2Bで反射された第2局発光は光路が折り返されて、ビームスプリッタ1Bのビームスプリッタ膜1bに再入射される。又、90度位相付加部5と、後述の波長板6−3,6−4と、は、ビームスプリッタ1Bを反射した光がビームスプリッタ1Bに再入射される光路上に挿入される。換言すれば、ビームスプリッタ1Bを反射した第2局発光は、上述の90度位相付加部5,波長板6−3,6−4およびミラー2Bを通じて、ビームスプリッタ1Bに再入射される。
【0033】
さらに、ビームスプリッタ1Aに再入射される第1信号光については、ビームスプリッタ膜1bで再反射される成分の光(図1のS1参照)と、ビームスプリッタ膜1bおよび母材1aを通過する成分の光(図1のS2参照)と、に分岐される。
【0034】
一方、ビームスプリッタ1Bを通過した第1局発光は、ビームスプリッタ1Aにおける母材1aを通過してビームスプリッタ膜1bに入射される。そして、ビームスプリッタ膜1bに入射される第1局発光のうち、一部はビームスプリッタ膜1bを通過し(図1のL1参照)、残りはビームスプリッタ膜1bを反射する(図1のL2参照)。
【0035】
このとき、ビームスプリッタ1Aへ入射される第1信号光および第1局発光は、ビームスプリッタ1Aを挟んで互いに逆側から入射される。これらの第1信号光および第1局発光については、ビームスプリッタ1Aへの入射位置、角度を設定することにより、信号光および局発光の各分岐光について、同じ光軸上を辿る2組の合波光とすることができる。即ち、分岐後の信号光S1と局発光L1、および、分岐後の信号光S2と局発光L2について、それぞれ同じ光軸上を辿る光として合波させることができる。
【0036】
一方、ビームスプリッタ1Aを反射した第2信号光は、ビームスプリッタ1Aを通過してビームスプリッタ1Bに入射される。即ち、ビームスプリッタ1Bにおける母材1aを通過して、ビームスプリッタ膜1bに入射される。そして、ビームスプリッタ1Bのビームスプリッタ膜1bに入射された第2信号光のうち、一部はビームスプリッタ膜1bを反射し(図1のS3参照)、残りはビームスプリッタ膜1bを通過する(図1のS4参照)。
【0037】
さらに、ミラー2Bを反射してビームスプリッタ1Bに再入射される第2局発光については、ビームスプリッタ膜1bおよび母材1aを通過する成分の光(図1のL3参照)と、ビームスプリッタ膜1bで再反射される成分の光(図1のL4参照)と、に分岐される。
【0038】
このとき、ビームスプリッタ1Bへ入射される第2信号光および第2局発光は、ビームスプリッタ1Bを挟んで互いに逆側から入射される。これらの第2信号光および第2局発光については、ビームスプリッタ1Bへの入射位置、角度を設定することにより、信号光および局発光の各分岐光について、同じ光軸上を辿る2組の合波光とすることができる。即ち、分岐後の信号光S3と局発光L3、および、分岐後の信号光S4と局発光L4について、それぞれ同じ光軸上を辿る光として合波させることができる。
【0039】
ところで、90度位相付加部5は、レンズ7Bから導入された局発光が2分岐する一方の局発光、本例においては、ミラー2Bで反射される側の局発光ついて90度の位相シフトを付与する。従って、局発光L3,L4は、局発光L1,L2に対して90度の位相差が付与されるようになっている。従って、90度位相付加部5は、第1又は第2検波光生成部に入力される第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部の一例である。
【0040】
すなわち、ビームスプリッタ1Aにおいて信号光と合波される局発光は、90度位相付加部5で位相シフトが与えられていない。これに対し、ビームスプリッタ1Bにおいて信号光と合波される局発光は、90度位相付加部5で位相シフトが与えられている。
【0041】
したがって、ビームスプリッタ1Aで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S1およびL1、並びに、S2およびL2)は、それぞれ、I(In-phase)chの第1検波光I1,I2とすることができる。又、ビームスプリッタ1Bで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S3およびL3、並びに、S4およびL4)は、それぞれ、Q(Quadrature-phase)chの第2検波光Q1,Q2とすることができる。
【0042】
換言すれば、ビームスプリッタ1Aは、第1信号光と第1局発光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部の一例であり、ビームスプリッタ1Bは、第2信号光と第2局発光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部の一例である。
【0043】
集光レンズ3Aは、上述のビームスプリッタ1Aからの検波光I1,I2についてそれぞれ集光する。又、集光レンズ3Bは、上述のビームスプリッタ1Bからの検波光Q1,Q2について集光する。従って、集光レンズ3A,3Bは、第1,第2検波光生成部1A,1Bにて生成した各検波光をそれぞれコリメートするコリメータの一例である。尚、集光レンズ3A,3Bについては一体に形成することも可能である。
【0044】
複屈折板4は、上述のIch,Qchの検波光について、偏波多重の要素である2つの偏波成分に分離する。即ち、図1に例示する複屈板4においては、変調信号光についての2つの偏波成分について一括して参照光と合波された検波光I1,I2,Q1,Q2について、それぞれ偏波分離する。換言すれば、複屈折板4は、集光レンズ3A,3Bにおいてコリメートされた各検波光をそれぞれ異なる偏波に分離する偏波分離部の一例である。
【0045】
これにより、バランスドレシーバ9viにおいては、複屈折板4で偏波分離された、検波光I1,I2についての縦偏波成分(垂直偏波成分)を受光することにより、バランスド受信を行なうことができる。同様に、バランスドレシーバ9hiにおいては、検波光I1,I2についての横偏波成分(水平偏波成分)を受光することにより、バランスド受信を行なうことができる。
【0046】
また、バランスドレシーバ9vqにおいては、検波光Q1,Q2についての縦偏波成分(垂直偏波成分)を受光することにより、バランスド受信を行なうことができる。更に、バランスドレシーバ9hqにおいては、検波光Q1,Q2についての横偏波成分(水平偏波成分)を受光することにより、バランスド受信を行なうことができる。
【0047】
すなわち、バランスドレシーバ9vi,9vqでそれぞれバランスド受信することにより得られるIch,Qchの電気信号は、縦偏波成分についての変調信号の検出信号である。又、バランスドレシーバ9hi,9hqでそれぞれバランスド受信することにより得られるIch,Qchの電気信号は、横偏波成分についての変調信号の検出信号である。
【0048】
なお、上述の4つのバランスドレシーバ9は、前述の図2に示す4つのバランスドレシーバ135にそれぞれ対応付けられる。即ち、バランスドレシーバ9で受光され電気信号に変換された信号は、電気信号処理部133に出力される。そして、電気信号処理部133においては、バランスドレシーバ9からの電気信号を元に信号復調処理を行なう。
【0049】
ここで、ビームスプリッタ1Aの外側とミラー2Aの間の光路上にタンデムに配置された2枚の波長板6−1,6−2は、信号光についての偏波多重成分ごとの位相遅延量を可変する。又、ビームスプリッタ1Bの外側とミラー2Bの間の光路上にタンデムに配置された2枚の波長板6−3,6−4は、局発光についての偏波多重成分ごとの位相遅延量を可変する。
【0050】
また、例えば、波長板6−1,6−3はビームが作る面に対して高速軸が水平となるように、波長板6−2,6−4はビームが作る面に対して高速軸が垂直となるように、それぞれ配置される。
【0051】
すなわち、信号光の光路上にタンデム配置される波長板6−1,6−2は、高速軸と低速軸とが向かい合わせとなる。但し、波長板6−1,6−2は、波長板の温度が同じ既定温度の場合は、互いに光学的に同じ厚みを有するように構成されているので、縦方向の偏波と横方向の偏波での位相ずれはキャンセルされ、偏波に依存性は発生しない。
【0052】
同様に、局発光の光路上にタンデム配置される波長板6−3,6−4は、高速軸と低速軸とが向かい合わせとなる。そして、波長板6−3,6−4についても、波長板の温度が同じ既定温度の場合は、互いに光学的に同じ厚みを有するように構成されているので、縦方向の偏波と横方向の偏波での位相ずれはキャンセルされ、偏波に依存性は発生しない。
【0053】
図1に示すような90度ハイブリッド10においては、信号光と局発光の経路によって、ビームスプリッタ1A又は1Bの母材1aを通過する回数に差ができるため、経路毎に位相差が生じうる。このため、上述の既定温度において、波長板6−1,6−2が有する合計の光学的厚みと、波長板6−3,6−4が有する合計の光学的厚みと、は、上述の経路ごとの位相差を抑制させるような差が与えられる。
【0054】
換言すれば、上述の既定温度における、波長板6−1,6−2および波長板6−3,6−4の遅延量(光学的厚み)の差によって、上述した母材1aを通過する回数の差による信号光および局発光間での位相差をそろえることが可能である。即ち、信号光はビームスプリッタ1Aの母材1a側から、局発光は、ビームスプリッタ1Bの母材1aではない膜1b側から入射するため、波長板6−3,6−4を厚くすることで位相差を吸収する。
【0055】
ここで、信号光又は局発光が母材1aを通過するときの遅延量をx、ビームスプリッタ膜1bを通過(透過)するときの位相ずれ(遅延量)をbt、ビームスプリッタ膜1bを反射するときの位相ずれ(遅延量)をbrとする。更に、2つの波長板6−1,6−2で発生する遅延量の和をlm12、2つの波長板6−3,6−4全体で発生する遅延量の和をlm34とする。
【0056】
このとき、信号光Si(i=1〜4の整数)の遅延量はそれぞれ式(S−i)のようになり、局発光Liの遅延量はそれぞれ式(L−i)のようになる。従って、対応する組の信号光Siと局発光Liの遅延量の差分(例えば、Si−Li)は、式(D−i)のようになる。
【0057】
x+bt+lm12+br …(S−1)
bt+x+x+bt …(L−1)
lm12−x+br−bt …(D−1)
x+bt+lm12+bt+x …(S−2)
bt+x+x+br(+π)+x …(L−2)
lm12−x+bt−br−π …(D−2)
x+br(+π)+x+x+br(+π)+x …(S−3)
br+lm34+bt+x …(L−3)
3x−lm34+br−bt …(D−3)
x+br(+π)+x+x+bt …(S−4)
br+lm34+br …(L−4)
3x−lm34+bt−br+π …(D−4)
【0058】
ここで、上述の式(D−i)において、br−btの項については一定であるが、lm12,lm34よりも十分に小さい値とすることができる。一方、式(D−1),(D−2)におけるlm12−xの項については、lm12=xのときに0になる。又、式(D−3),(D−4)におけるlm34−xの項については、lm34=3xのときに0になる。
【0059】
このように、上述の既定温度において、信号光が透過する側の波長板6−1,6−2を、その2枚で発生する合計の位相差がビームスプリッタ1A又は1Bを構成する板を1回透過する分の位相差となるような光学的厚みを有するようにする。又、波長板6−3,6−4は、上述の既定温度において、その2枚で発生する合計の位相差が、ビームスプリッタ1A又は1Bを構成する板を3回透過する分の位相差となるような光学的厚みを有するようにする。これにより、全ての経路で位相差をそろえる事ができる。
【0060】
つぎに、偏波多重されている信号光が参照光とともに90度ハイブリッド10に入射されてから、信号光と参照光とが合波される個所に至る光路上における遅延量の偏波依存性を抑制させることについて説明する。即ち、温度制御部6aでの波長板6−1〜6−4の温度制御が、上述の遅延量の偏波依存性を抑制させる。
【0061】
温度制御部6aは、波長板6−1〜6−4の温度を個別に制御する。即ち、温度制御部6aは、波長板6−1,6−2を個別に温度制御することを通じ、信号光の互いに直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御する。又、温度制御部6aは、波長板6−3,6−4の温度を個別に制御することを通じ、局発光の互いに直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御する。
【0062】
たとえば、温度制御部6aを通じて、高速軸が横方向(水平方向)の波長板6−1,6−3の温度を既定温度から上昇させると、当該波長板6−1,6−3を通じて縦方向(垂直方向)の偏波成分の位相を遅らせることができる。一方、波長板6−1,6−3の温度を既定温度から下降させると、当該波長板6−1,6−3を通じて縦方向(垂直方向)の偏波成分の位相を遅らせることができる。
【0063】
図3は温度制御部6aによる波長板6−1〜6−4の制御態様の一例を説明する図である。例えば、縦偏光のIchに関し(図3のvi列参照)、信号光の位相が参照光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−1の温度を既定温度から下降させ、縦偏光のIchの信号光の位相の遅延量を少なくさせる。一方、参照光の位相が信号光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−1の温度を既定温度から上昇させ、縦偏光のIchの信号光の位相の遅延量を多くさせる。これにより、信号光と参照光との位相ずれを抑制させることができる。
【0064】
また、縦偏光のQchに関し(図3のvq列参照)、信号光の位相が参照光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−3の温度を既定温度から上昇させ、縦偏光のQchの参照光の位相の遅延量を多くさせる。一方、参照光の位相が信号光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−3の温度を既定温度から下降させ、縦偏光のQchの参照光の位相の遅延量を少なくさせる。これにより、信号光と参照光との位相ずれを抑制させることができる。
【0065】
さらに、横偏光のIchに関し(図3のhi列参照)、信号光の位相が参照光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−2の温度を既定温度から下降させ、横偏光のIchの信号光の位相の遅延量を少なくさせる。一方、参照光の位相が信号光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−2の温度を既定温度から上昇させ、横偏光のIchの信号光の位相の遅延量を多くさせる。これにより、信号光と参照光との位相ずれを抑制させることができる。
【0066】
また、横偏光のQchに関し(図3のhq列参照)、信号光の位相が参照光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−4の温度を既定温度から上昇させ、横偏光のQchの参照光の位相の遅延量を多くさせる。一方、参照光の位相が信号光よりも遅れている場合、温度制御部6aは、波長板6−4の温度を既定温度から下降させ、横偏光のQchの参照光の位相の遅延量を少なくさせる。これにより、信号光と参照光との位相ずれを抑制させることができる。
【0067】
このように、2つの偏波成分が偏波多重された信号光が一括して参照光と合波される場合においても、信号光および参照光について偏波成分ごとに位相の遅延を制御することができる。従って、上述したような遅延量の偏波依存性については、温度制御部6aによる波長板6−1〜6−4の温度制御を通じて抑制させることが可能になる。
【0068】
したがって、上述の波長板6−1,6−2および温度制御部6aは、協働することにより、信号光分岐部1Aと第1検波光生成部1Aとの間の第1光路に、信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部の一例となる。
【0069】
また、上述の波長板6−3,6−4および温度制御部6aは、協働することにより、参照光分岐部1Bと第2検波光生成部1Bとの間の第2光路に、参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部の一例となる。
【0070】
なお、上述の制御例のほか、温度制御部6aは、波長板6−1〜6−4に対しては前述の既定温度から温度を一方向に制御(例えば上昇させる制御)するのみでも、信号光と参照光との位相ずれを抑制させることは可能である。
【0071】
また、上述の温度制御部6aによる波長板6−1〜6−4の温度制御は、一例として、図2に示す電気信号処理部133から、偏波成分ごとの復調信号の品質情報を温度制御部6aで受け取り、受け取った品質情報に基づいて行なうことができる。
【0072】
具体的には、温度制御部6aは、受け取った品質情報から、偏波多重成分の一つであるIchの縦偏光についての信号光と局発光との位相ずれ量を導出するとともに、導出した位相ずれを補償するように(位相ずれがなくなる方向に)、波長板6−1,6−3の温度を制御する。同様に、受け取った品質情報から、偏波多重成分の一つである横偏光についての信号光と局発光との位相ずれ量を導出するとともに、導出した位相ずれを補償するように(なくなる方向に)、波長板6−2,6−4の温度を制御する。
【0073】
図4は、上述の信号光および局発光の偏波成分ごとの位相ずれの補償例について、検波光I1における縦偏光成分および横偏光成分に着目して説明する図である。ここで、図4の(A)においては、検波光I1における信号光の光路SP1および局発光の光路LP1について示している。
【0074】
図4の(B)に示すように、90度ハイブリッド10に入力される信号光Sと局発光Lについては、互いに位相が揃っている場合を想定する。温度制御部6aが波長板6−1〜6−4に対する温度制御を行なっていない場合においては、図4の(C)に例示するように、縦偏光成分および横偏光成分ごとに、信号光と参照光との間に異なる位相差が生じうる。90度ハイブリッド10におけるビームスプリッタ膜1bの偏波依存性等によるものである。
【0075】
すなわち、縦偏光成分においては、図4の(C1)に例示するように、信号光と参照光との間に位相差ΔφIsが生じるが、横偏光成分においては、図4の(C2)に例示するように、信号光と参照光との間には、ΔφIsとは異なる位相差ΔφIpが生じている。
【0076】
温度制御部6aにおいては、偏波成分ごとの復調信号の品質情報に基づいて、偏光成分ごとに信号光と局発光との位相ずれ量を導出する。そして、導出した位相ずれ量を補償するように各波長板6−1〜6−4の温度を制御する。
【0077】
たとえば、電気信号処理部133は、バランスドレシーバ9vi,9vqから出力された信号をもとにして得られる復調信号の品質情報を温度制御部6aに渡す。そして、温度制御部6aにおいては、電気信号処理部133からの品質情報に基づき導出される位相ずれ量に対応して、波長板6−1,6−2を温度制御する。これにより、図4の(D1)に例示するように、縦偏光成分における信号光および参照光間の位相差を補償することができるようになる。
【0078】
同様に、電気信号処理部133は、バランスドレシーバ9hi,9hqから出力された信号をもとにして得られる復調信号の品質情報を温度制御部6aに渡す。そして、温度制御部6aにおいては、電気信号処理部133からの品質情報に基づき導出される位相ずれ量に対応して、波長板6−1,6−2を温度制御する。これにより、図4の(D2)に例示するように、横偏光成分における信号光および参照光間の位相差を補償することができるようになる。
【0079】
このように、第1実施形態によれば、偏波方向毎の光信号に分離する前段において検波を行なう場合においても、偏波成分ごとに、信号光と参照光とを最適な位相条件にすることができ、位相遅延の偏波依存性が抑制された90度ハイブリッド10を実現できる。そのため、偏波多重された信号の両偏波成分のコヒーレント光受信のため90度ハイブリッド10を共通に用いることが可能となる。更に、異なる偏波間での相互作用は発生しないため、偏波多重された信号光を入射しても、それぞれの偏波が独立に90度ハイブリッド10を通過する場合と同義となる。
【0080】
なお、90度ハイブリッド10の構成としては偏波分離部の一例である複屈折板4を含める構成としているが、90度ハイブリッドとしては別モジュールの構成としてもよい。又は、バランスドレシーバ9を含めて一体のモジュール(受信フロントエンド)とすることもできる。
【0081】
〔A1〕第1実施形態の第1変形例
図5は第1実施形態の第1変形例を示す図である。図5に例示するものにおいては、第1実施形態の場合と異なる90度ハイブリッド11と、第1実施形態の場合と同様のバランスドレシーバ9をそなえる。尚、図5中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0082】
そして、90度ハイブリッド11とバランスドレシーバ9については集積した光モジュール(光フロントエンド)とすることができる。更に、図5に示す90度ハイブリッド11およびバランスドレシーバ9についても、ともに、図2に示す光通信システムの光受信器の要素として適用可能である。
【0083】
90度ハイブリッド11は、第1実施形態における90度ハイブリッド10(図1参照)と異なり、90度位相付加部5としての機能を波長板6−13,6−14に持たせている。波長板6−1,6−2については、図1の場合と同様、その2枚で発生する合計の位相差がビームスプリッタ1A又は1Bを構成する板を1回透過する分の位相差となるような光学的厚みを有するようにしている。
【0084】
これに対し、波長板6−13,6−14は、その厚みにより、第1実施形態の場合における温度制御前の既定温度において、参照光に与える遅延量に、90度位相シフトのための遅延量が加えられている。具体的には、波長板6−13,6−14は、上述の既定温度において、その2枚で発生する合計の位相差が、ビームスプリッタ1A又は1Bを構成する板を3回透過する分の位相差となるような光学的厚みを有するようにしている。これにより、全ての経路で位相差をそろえている。
【0085】
上述の場合においては、温度制御前の同等の既定温度において、波長板6−13,6−14の光学的厚みを、前述の波長板6−1,6−2が有する光学的厚みと異なるようにしているが、温度制御前の既定温度自体を、波長板6−1,6−2と、波長板6−13,6−14と、の間でオフセットを設けるようにしてもよい。このようにしても、波長板6−13,6−14で発生する合計の位相差に、90度位相シフトのための遅延量を加えることが可能である。
【0086】
これにより、ビームスプリッタ1A,1Bにおいて信号光と合波される2つの局発光のうちで、ビームスプリッタ1Bにおいて信号光と合波される局発光のみが、90度位相シフトを与えることができる。
【0087】
したがって、ビームスプリッタ1Aで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S1およびL1、並びに、S2およびL2)は、それぞれ、I(In-phase)chの第1検波光I1,I2とすることができる。又、ビームスプリッタ1Bで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S3およびL3、並びに、S4およびL4)は、それぞれ、Q(Quadrature-phase)chの第2検波光Q1,Q2とすることができる。
【0088】
そして、温度制御部6aは、前述の第1実施形態の場合と同様に、波長板6−1,6−2,6−13,6−14の温度を個別に制御する。即ち、温度制御部6aは、波長板6−1,6−2を個別に温度制御することを通じ、信号光の互いに直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御する。又、温度制御部6aは、波長板6−13,6−14の温度を個別に制御することを通じ、局発光の互いに直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御する。これにより、図1の場合と同様に、縦変更成分,横偏光成分それぞれにおける、信号光および参照光が光路上で受ける位相差の偏波依存性について抑制させることができるようになる。
【0089】
〔A2〕第1実施形態の第2変形例
図6は第1実施形態の第2変形例を示す図である。図6に例示するものにおいては、図1,図5の場合と異なる90度ハイブリッド12と、第1実施形態の場合と同様のバランスドレシーバ9をそなえる。尚、図5中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0090】
図6に示す90度ハイブリッド12は、図1,図5に示すものと異なる偏波分離部41をそなえる。偏波分離部41は、レンズ3A,3Bから出力される検波光I1,I2,Q1,Q2について、それぞれ縦偏光成分と横偏光成分とに分離出力する複屈折板であるが、偏波分離された縦偏光成分および横偏光成分を互いに異なる方向に出射するようになっている。
【0091】
すなわち、図1,図5に示す偏波分離部4においては、偏波分離された縦偏光成分および横偏光成分について互いに平行な光軸を有して出射するが、図6に例示する偏波分離部41においては、互いに直交する方向に出射する。
【0092】
このため、検波光の縦偏光成分を受光するバランスドレシーバ9vi,9vqと、検波光の横偏光成分を受光するバランスドレシーバ9hi,9hqと、は、複屈折板4について互いに異なる面に対向して配置されるようになっている。
【0093】
そして、温度制御部6aにおいては、前述の第1実施形態の場合と同様に、波長板6−1,6−2,6−13,6−14の温度を個別に制御している。これにより、図1の場合と同様に、縦変更成分,横偏光成分それぞれにおける、信号光および参照光が光路上で受ける位相差の偏波依存性について抑制させることができるようになる。
【0094】
〔B〕第2実施形態の説明
図7は第2実施形態を示す図である。図7において、20は90度ハイブリッドであり、9vi,9vq,9hi,9hqはいずれもバランスドレシーバである。これらの90度ハイブリッド20およびバランスドレシーバ9についても、集積されて単一の光モジュール(光フロントエンド9とすることができる。
【0095】
図7に示す90度ハイブリッド20は、前述の図1に示すものと異なるビームスプリッタ21A,21Bをそなえるとともに、光路長差補正部22をそなえる。尚、他の構成については図1に示すものと基本的に同様であり、図7中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示す。
【0096】
すなわち、ビームスプリッタ21Aで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S21およびL21、並びに、S22およびL22)は、それぞれ、I(In-phase)chの第1検波光I21,I22とすることができる。又、ビームスプリッタ21Bで合波された合波光である、信号光と局発光との組(S23およびL23、並びに、S24およびL24)は、それぞれ、Q(Quadrature-phase)chの第2検波光Q21,Q22とすることができる。
【0097】
図1に示すビームスプリッタ1A,1Bと比較して、ビームスプリッタ21A,21Bは、ともに母材1aが対向して面平行に配置されている点は同様であるが、ビームスプリッタ膜1bの両側面に母材1aが形成されている点が異なっている。
【0098】
そして、光路長差補正部22は、ビームスプリッタ21Aで分岐されてビームスプリッタ21Bに入射される信号光の光路長を補正するとともに、およびビームスプリッタ21Bで分岐されてビームスプリッタ21Aに入射される参照光の光路長を補正する。換言すれば、光路長差補正部22は、信号光および参照光の光路長の補正のために共用することができるようになっている。
【0099】
ここで、信号光S2i,参照光L2iの遅延量を式で表すと、前述の第1実施形態の場合において、ビームスプリッタ21A,21Bをなす外側の母材1aと、光路長補正部22による遅延量が加算されるので、それぞれ式(S−2i),(L−2i)のようになる。尚、光路長差補正部22を通過するときの信号光および参照光の遅延量をそれぞれys,ylとしている。これらの式から、対応する組の信号光S2iと局発光L2iの遅延量の差分(例えば、S2i−L2i)は、式(D−2i)のようになる。
【0100】
x+bt+lm12+br+3x …(S−21)
bt+x+x+bt+2x+yl …(L−21)
lm12−x+br−bt+x−yl …(D−21)
x+bt+lm12+bt+x+2x …(S−22)
bt+x+x+br(+π)+x+x+yl …(L−22)
lm12−x+bt−br−π+x−yl …(D−22)
x+br(+π)+x+x+br(+π)+x+ys …(S−23)
br+lm34+bt+x+3x …(L−23)
3x−lm34+br−bt+3x …(D−23)
x+br(+π)+x+x+bt+ys+x …(S−24)
br+lm34+br+4x …(L−24)
3x−lm34+bt−br+π+ys−3x …(D−24)
【0101】
ここで、lm12=x,lm34=3xであるから、光路長差補正部22においては、参照光について光路長yl=−xだけ、信号光について光路長ys=−3xに相当する量が補正される遅延を与える。これにより、全ての経路で信号光および参照光についての位相差をそろえることができる。
【0102】
そして、温度制御部6aにおいては、前述の第1実施形態の場合と同様に、波長板6−1,6−2,6−13,6−14の温度を個別に制御している。これにより、図1の場合と同様に、縦変更成分,横偏光成分それぞれにおける、信号光および参照光が光路上で受ける位相差の偏波依存性について抑制させることができるようになる。
【0103】
したがって、第2実施形態においても、偏波方向毎の光信号に分離する前段において検波を行なう場合においても、偏波成分ごとに、信号光と参照光とを最適な位相条件にすることができ、位相遅延の偏波依存性が抑制された90度ハイブリッド20を実現できる。そのため、偏波多重された信号の両偏波成分のコヒーレント光受信のため90度ハイブリッド20を共通に用いることが可能となる。更に、異なる偏波間での相互作用は発生しないため、偏波多重された信号光を入射しても、それぞれの偏波が独立に90度ハイブリッド20を通過する場合と同義となる。
【0104】
〔C〕第3実施形態
図8は第3実施形態を示す図である。図8において、30は光導波路デバイスとしての90度ハイブリッドである。この図8に示す90度ハイブリッド30は、基板31に光導波路32が形成されるとともに、90度位相付加部33および偏波位相制御部34A,34Bが形成されている。
【0105】
光導波路32は、信号光分岐部32a,参照光分岐部32b,分岐導波路部32c−1〜32c−4,第1検波光生成部32d,第2検波光生成部32e,偏波分離部32f−1〜32f−4をそなえる。ここで、信号光分岐部32aは、入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する。又、参照光分岐部32bは、入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する。
【0106】
分岐導波路部32c−1は、信号光分岐部32aからの第1信号光を第1検波光生成部32dに導く。分岐導波路32c−2は、信号光分岐部32aからの第2信号光を第2検波光生成部32eに導く。更に、分岐導波路部32c−3は、参照光分岐部32bからの第1参照光を第1検波光生成部32dに導く。分岐導波路32c−4は、参照光分岐部32bからの第2参照光を第2検波光生成部32eに導く。
【0107】
ここで、上述の分岐導波路部32c−1には、前述の第1,第2実施形態における波長板6−1,6−2に相当する偏波位相制御部34Aが介装される。即ち、偏波位相制御部34Aは、信号光分岐部32aと第1検波光生成部32dとの間の光路に介装され、第1信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部である。
【0108】
また、分岐導波路部32c−4上には、前述の図1における符号5に相当する90度位相付加部33をそなえるとともに、図1における波長板6−3,6−4に相当する偏波位相制御部34Bをそなえる。即ち、分岐導波路部32c−4は、参照光分岐部32bと第2検波光生成部32eとの間の光路に介装され、参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部である。
【0109】
なお、上述の90度位相付加部33および偏波位相制御部34A,34Bにおいては、例えば、対応する分岐導波路32c−1,32c−4に対して電極を通じた電圧を印加することにより、位相制御を行なうことができる。
【0110】
この場合においては、図8に例示するように、電気信号処理部133(図2参照)からの受信信号の品質情報に基づき、この受信信号品質が良好となるように偏波位相制御部34A,34Bを駆動制御する駆動部35をそなえることができる。即ち、駆動部35は、電気信号処理部133からの品質情報に基づき、各偏波位相制御部34A,34Bに対する偏波成分ごとの位相制御のための電圧を与える。これにより、駆動部35は、受信信号品質が良好となるように、印加する電圧の大きさを通じて偏波位相制御部34A,34Bを制御することができる。
【0111】
この場合において、偏波位相制御部34A,34Bは、マッハツェンダ干渉計等の導波路構成により一旦直交する偏波成分について分離させて、個々に電圧印加を通じた位相制御を行なうことで実現可能である。又、上述の90度位相付加部33および偏波位相制御部34Bについては、一体化して位相制御を与える構成としてもよい。
【0112】
これにより、前述の第1,第2実施形態の場合と同様、偏波成分ごとの位相制御が行なわれた第1信号光および第2参照光を用いて、第1,第2検波光を生成することができるようになる。
【0113】
すなわち、第1検波光生成部32dは、(偏波成分ごとの位相制御が行なわれた)第1信号光と、第1参照光と、から第1検波光を生成し、第2検波光生成部32eは、第2信号光と、(90度の位相が付加され偏波成分ごとの位相制御が行なわれた)第2参照光と、から第2検波光を生成する。
【0114】
これらの第1,第2検波光生成部32d,32eには、例えば2入力2出力の光カプラを用いることができる。具体的には、第1検波光生成部32dをなす光カプラは、信号光分岐部32aで分岐された第1信号光と、参照光分岐部32bで分岐された第1参照光と、を入力されて、合波された光を互いに位相が反転された2出力とすることができる。同様に、第2検波光生成部32eをなす光カプラは、信号光分岐部32aで分岐された第2信号光と、参照光分岐部32bで分岐された第2参照光と、が合波された光を互いに位相が反転された2出力とすることができる。
【0115】
偏波分離部32f−1は、第1検波光生成部32dで生成された2出力の検波光のうちの一方について、直交する2つの偏波成分、即ち縦偏光成分および横偏光成分に分離する。同様に、偏波分離部32f−2は、第1検波光生成部32dで生成された2出力の検波光のうちの他方について、縦偏光成分および横偏光成分に分離する。
【0116】
さらに、偏波分離部32f−3は、第2検波光生成部32eで生成された2出力の検波光のうちの一方について、直交する2つの偏波成分、即ち縦偏光成分および横偏光成分に分離する。同様に、偏波分離部32f−4は、第2検波光生成部32eで生成された2出力の検波光のうちの他方について、縦偏光成分および横偏光成分に分離する。
【0117】
なお、偏波分離部32f−1,32f−2で偏波分離された縦偏光成分については、前述の図1の場合と同様のバランスドレシーバ9viで受信させることができる。又、偏波分離部32f−1,32f−2で偏波分離された横偏光成分については、バランスドレシーバ9hiで受信させることができる。
【0118】
さらに、偏波分離部32f−3,32f−4で偏波分離された縦偏光成分については、前述の図1の場合と同様のバランスドレシーバ9vqで受信させることができる。又、偏波分離部32f−3,32f−4で偏波分離された横偏光成分については、バランスドレシーバ9hqで受信させることができる。
【0119】
このように、第3実施形態においても、偏波方向毎の光信号に分離する前段において検波を行なう場合においても、偏波成分ごとに、信号光と参照光とを最適な位相条件にすることができ、位相遅延の偏波依存性が抑制された90度ハイブリッド30を実現できる。そのため、偏波多重された信号の両偏波成分のコヒーレント光受信のため90度ハイブリッド30を共通に用いることが可能となる。更に、異なる偏波間での相互作用は発生しないため、偏波多重された信号光を入射しても、それぞれの偏波が独立に90度ハイブリッド30を通過する場合と同義となる。
【0120】
〔D〕その他
上述した実施形態にかかわらず、開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
たとえば、偏波分離部4としては、複屈折板を適用しているが、他の光学素子を適用することとしてもよい。
また、上述した開示により、請求項記載の装置を製造することは可能である。
【0121】
〔E〕付記
以上の実施形態に関し、さらに下記の付記を開示する。
(付記1)
入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、
入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、
前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、
前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、
前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ
かつ、
前記信号光分岐部と前記第1検波光生成部との間の光路に、前記信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、
前記参照光分岐部と前記第2検波光生成部との間の光路に、前記参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、
90度ハイブリッド。
【0122】
(付記2)
前記各検波光をそれぞれ直交する2つの偏波成分に分離する偏波分離部と、をそなえた、付記1記載の90度ハイブリッド。
【0123】
(付記3)
前記第1,第2検波光生成部は、ハーフミラーまたは光カプラである、付記1又は2記載の90度ハイブリッド。
【0124】
(付記4)
前記光位相シフト部は、相対的に90度の光位相シフトを与える、付記1又は2記載の90度ハイブリッド。
【0125】
(付記5)
前記第1信号光又は前記第1参照光の光路と、前記第2信号光又は前記第2参照光の光路に反射部がそなえられた、付記1又は2記載の90度ハイブリッド。
【0126】
(付記6)
前記第1,第2偏波位相制御部は、それぞれ、
高速軸が前記偏波分離部で分離する2つの偏波成分に対応する互いに直交する一対の波長板が前記第1光路,第2光路においてタンデムに配置されるとともに、
前記一対の波長板を個別に温度制御する温度制御部をそなえた、付記2記載の90度ハイブリッド。
【0127】
(付記7)
前記参照光分岐部に入力される参照光は、前記偏波分離部で分離する2つの偏波成分に対して45度の直線偏波の光である、付記2記載の90度ハイブリッド。
【0128】
(付記8)
前記第2偏波位相制御部は、前記第2参照光の光路に挿入されるとともに、前記位相シフト部と一体に形成される、付記1記載の90度ハイブリッド。
【0129】
(付記9)
前記第1,第2検波光生成部にて生成した各検波光をそれぞれコリメートする少なくとも1つのコリメータが介装された、付記1記載の90度ハイブリッド。
【0130】
(付記10)
前記信号光分岐部と、前記第1又は第2検波光生成部と、は、一体に形成されたハーフミラーであり、
前記参照光分岐部と、前記第2又は第1検波光生成部と、は、一体に形成されたハーフミラーである、付記1記載の90度ハイブリッド。
【0131】
(付記11)
入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、
入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、
前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、
前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、
前記第1,第2検波光生成部からの各検波光をそれぞれ異なる偏波に分離する偏波分離部と、
前記偏波分離部の後段に、前記偏波分離部にて分離された各検波光の偏波成分について受光する受光部と、
前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ
かつ、
前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第1検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、
前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第2検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、光モジュール。
【0132】
(付記12)
付記1〜10のいずれか1項記載の90度ハイブリッドが用いられた光受信機。
【符号の説明】
【0133】
1A,1B,21A,21B ビームスプリッタ(信号光分岐部,参照光分岐部,第1,第2検波光生成部)
2A,2B ミラー
3A,3B 集光レンズ
4 複屈折板(偏波分離部)
5 90度位相付加部(光位相シフト部)
6−1〜6−4,6−13,6−14 波長板(第1,第2偏波位相制御部)
6a 温度制御部(第1,第2偏波位相制御部)
7A,7B レンズ
9vi,9vq,9hi,9hq バランスドレシーバ(受光部)
10,11,12,20,30 90度ハイブリッド
22 光路長差補正部
31 基板
32 光導波路
32a 信号光分岐部
32b 参照光分岐部
32c−1〜32c−4 分岐導波路部
32d第1検波光生成部
32e 第2検波光生成部
32f−1〜32f−4 偏波分離部
33 90度位相付加部
34A,34B 偏波位相制御部
35 駆動部
100 光通信システム
101 光源(Laser Diode:LD)
102 分岐部
103h,103v 変調器
104 偏波回転器
105 偏波合成器(Polarization Beam Combiner:PBC)
110 光送信器
120 光伝送路
130 光受信器
131 局発光源(LD)
132 光フロントエンド
133 電気信号処理部(Analog to Digital Converter / Digital Signal Processor:ADC/DSP)
134 光ハイブリッド
135 バランスドレシーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、
入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、
前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、
前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、
前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相 シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ
かつ、
前記信号光分岐部と前記第1検波光生成部との間の光路に、前記信号光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、
前記参照光分岐部と前記第2検波光生成部との間の光路に、前記参照光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、
90度ハイブリッド。
【請求項2】
前記各検波光をそれぞれ直交する2つの偏波成分に分離する偏波分離部と、をそなえた、請求項1記載の90度ハイブリッド。
【請求項3】
前記第1,第2検波光生成部は、ハーフミラーまたは光カプラである、請求項1又は2記載の90度ハイブリッド。
【請求項4】
前記光位相シフト部は、相対的に90度の光位相シフトを与える、請求項1又は2記載の90度ハイブリッド。
【請求項5】
前記第1,第2偏波位相制御部は、それぞれ、
高速軸が前記偏波分離部で分離する2つの偏波成分に対応する互いに直交する一対の波長板が前記第1光路,第2光路においてタンデムに配置されるとともに、
前記一対の波長板を個別に温度制御する温度制御部をそなえた、請求項2記載の90度ハイブリッド。
【請求項6】
前記参照光分岐部に入力される参照光は、前記偏波分離部で分離する2つの偏波成分に対して45度の直線偏波の光である、請求項2記載の90度ハイブリッド。
【請求項7】
前記第2偏波位相制御部は、前記第2参照光の光路に挿入されるとともに、前記位相シフト部と一体に形成される、請求項1記載の90度ハイブリッド。
【請求項8】
前記信号光分岐部と、前記第1又は第2検波光生成部と、は、一体に形成されたハーフミラーであり、
前記参照光分岐部と、前記第2又は第1検波光生成部と、は、一体に形成されたハーフミラーである、請求項1記載の90度ハイブリッド。
【請求項9】
入力される信号光を第1信号光と第2信号光とに分岐する信号光分岐部と、
入力される参照光を第1参照光と第2参照光とに分岐する参照光分岐部と、
前記第1信号光と前記第1参照光とから第1検波光を生成する第1検波光生成部と、
前記第2信号光と前記第2参照光とから第2検波光を生成する第2検波光生成部と、
前記第1,第2検波光生成部からの各検波光をそれぞれ異なる偏波に分離する偏波分離部と、
前記偏波分離部の後段に、前記偏波分離部にて分離された各検波光の偏波成分について受光する受光部と、
前記第1又は第2検波光生成部に入力される前記第1又は第2参照光に与えられた量の光位相シフトを行なう光位相シフト部と、をそなえ
かつ、
前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第1検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第1偏波位相制御部が挿入されるとともに、
前記信号光分岐部又は前記参照光分岐部と、前記第2検波光生成部と、の間の光路に、入力光の直交する2つの偏波成分の位相を個別に制御して出力する第2偏波位相制御部が挿入された、光モジュール。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の90度ハイブリッドが用いられた光受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−237300(P2010−237300A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83010(P2009−83010)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】