説明

Aピラーガーニッシュ取付け装置

【課題】Aピラーガーニッシュを縮幅化したAピラーガーニッシュ取付け装置の提供。
【解決手段】Aピラーガーニッシュ30がテザークリップ20によりAピラー11に取付けられる。Aピラーガーニッシュ30は、台座部32を有し、台座部32は、頂壁33と、ほぼ平行な対向側壁34と、テザークリップ20の収容空間部38とを有する。台座部32の対向側壁34は、頂壁33とガーニッシュ本体とを連結する方向の中間部に、収容空間部38内に突出し対向側壁34の間隔を狭くするくびれ部60を有している。くびれ部の外面は凹部63となっている。凹部63にCSA13の一部を進入させることにより、Aピラーガーニッシュ30が縮幅化される。くびれ部60は、収容空間部38内に突出する、1つ以上のリブ64を有する。CSA展開時にリブ64がテザークリップのアンカー部24と接触して、エネルギー吸収され、テザークリップ20の破断が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひも状のテザー部を有するクリップ(以下、テザークリップという)を用いて、車体のフロントピラー(フロントピラーをAピラーともいう)のパネル部材(インナーパネル)に、Aピラーガーニッシュを取付けるAピラーガーニッシュ取付け装置(Aピラーガーニッシュ取付け装置をAピラーガーニッシュ取付け構造といってもよい)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来のAピラーガーニッシュ取付け装置を開示している。
従来の頭部保護エアバッグ装置5では、図11〜図13に示すように、窓等の開口の周縁におけるAピラー1とルーフサイドレール2とにわたって、カーテンシールドエアバッグ(通称、カーテンエアバッグ)3がロール折りまたは蛇腹状に畳まれて収納されている。車両衝突時、カーテンシールドエアバッグ(以下、単にCSAともいう)3が図11の2点鎖線に示すように展開膨張する時に、CSA3を車内側から覆っていた、Aピラー部のAピラーガーニッシュ4、およびルーフサイドレール部のルーフヘッドライニングが、CSA3によって車内側に押されてパネル部材1aから離間し(離間状態のAピラーガーニッシュを図12で2点鎖線4’で示す)、Aピラーガーニッシュ4’およびルーフヘッドライニングと、パネル部材1aとの間に間隔が形成され、該間隔を通って、CSA3が車室内に窓に沿って展開膨張し(展開状態のCSAの一部を図12において2点鎖線3’で示す)、乗員頭部を保護する。
【0003】
従来のAピラーガーニッシュ4のAピラー1部位のパネル部材(インナーパネル)1aへの取付け装置5は、通常、図12および図13に示す構造をとる。
従来装置では、Aピラーガーニッシュ4は、テザークリップ6を用いて、Aピラー1のパネル部材1aに取付けられる。テザークリップ6とAピラーガーニッシュ4は樹脂製部品であり、パネル部材1aは鋼板製部品である。
【0004】
テザークリップ6は、パネル部材1aへの装着部であるボデー装着部6aと、Aピラーガーニッシュ4への装着部であるガーニッシュ装着部6bと、テザークリップ先端部に形成されたアンカー部6dと、ガーニッシュ装着部6bとアンカー部6dとの間にわたって延びるテザー部6cとを有している。
【0005】
Aピラーガーニッシュ4は、Aピラー長手方向(図11のA方向)に延びるガーニッシュ本体7と、ガーニッシュ本体7の裏面(乗員から見て裏側の面)に一体に形成された台座部8を有する。台座部8は、頂壁8aと、頂壁8aとガーニッシュ本体7の裏面とを連結する、互いに対向する側壁8b、8cと、側壁8b、8cに直交するもう一つの側壁(図12、図13には表れない)を有する。側壁8b、8cのうち一方の側壁8bは、台座部8の頂壁8aに直交する方向に延びる。側壁8b、8cのうち他方の側壁8cは台座部8の頂壁8aに対して斜め方向(ガーニッシュ本体7に近づくにつれて側壁8b、8cの間隔を拡げる方向)に延びる。台座部8内の空間部は、テザークリップ6のテザー部6cとアンカー部6dを収容する収容空間部であり、側壁8cの傾斜により、ガーニッシュ本体7に近づくにつれてAピラー長手方向と直交する方向の収容空間部幅が拡大している。CSA3は、台座部8の収容空間部の外側に、かつ、傾斜された側壁8cの外側に、Aピラー長手方向に延びるように、配置される。CSA3は、展開時に、Aピラーガーニッシュ4を内側から押し広げて図12の4’の状態にし、展開間隔を通って車室内に展開、膨張し、図11の3’の状態になる。
【0006】
CSA展開前は、テザークリップ6は、ガーニッシュ装着部6bでAピラーガーニッシュ4の台座部8の頂壁8aに形成された矩形孔9に嵌合している。CSA展開中には、Aピラーガーニッシュ4がCSA3に押されてAピラーパネル部材1aから離れる方向に移動し、台座部8の頂壁8aは、テザークリップ6のガーニッシュ装着部6bからアンカー部6d側に、テザークリップ6に対して相対的に移動する。台座部8の頂壁8aの矩形孔9の周縁部がアンカー部6dに係合した時に、Aピラーガーニッシュ4のAピラーパネル部材1aから離れる方向の移動が止まり、Aピラーガーニッシュ4の乗員側への飛散が抑制される。
【0007】
CSA展開における、Aピラーガーニッシュ4とAピラーボデー部材1aとの間のCSA展開用間隔を必要量確保するために、テザー部6cは所定の長さをもつ。この所定の長さを持つテザー部6cを台座部8内の収容空間部に収容すると、アンカー部6dが、Aピラーガーニッシュ4の側壁8b、8c間部分7aに干渉し、アンカー部6dとテザー部6cとを台座部8内の収容空間部内に収容することが困難になる。それを回避するため、従来は、テザークリップ単品ではほぼ真直のテザー部6cを、台座部8に形成した案内壁8eで案内することにより、Aピラー1の長手方向と直交する方向に、かつ傾斜する側壁8c側に、曲げて組み付け、このテザー部6cが曲がった状態で、アンカー部6dとテザー部6cとを台座部8内の収容空間部に収容している。Aピラーガーニッシュ4の台座部8の側壁8cを頂壁8aに対して傾斜させ、台座部8内の収容空間部がガーニッシュ本体7に近づくにつれて側壁8b、8cの間隔が拡がっていることは、アンカー部6dとテザー部6cとを台座部8内の収容空間部内に収容することを容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−176089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1のAピラーガーニッシュ取付け装置5にはつぎの課題がある。
テザークリップ6のテザー部6cがAピラー1の長手方向と直交する方向に曲げられ、アンカー部6dと曲げられたテザー部6cを収容するために、Aピラーガーニッシュ4の台座部8の1つの側壁8cが、Aピラー1の長手方向と直交する方向にかつガーニッシュ本体7に近づくにつれて側壁8b、8c間隔が拡がるように、頂壁8aに対して傾斜されているため、図12に示すように、台座部8の高さ方向の中間部位での、台座部8の、収容空間部幅Dpが、増大する。その結果、運転者から見た方向(図12のB方向)において、運転者から見た方向と直交する方向の、台座部8の高さ方向の中間部位での、台座部8とCSA3との幅寸法Wpが、テザー部6cが曲げられない場合に比べて、増大し、それにつれてAピラーの、運転者から見た方向と直交する方向の、幅も増大する。運転者の視界はAピラーの幅分遮られ、Aピラーの幅の増大は視界を低下させるので、テザー部6cが曲げられて取り付けられる従来のAピラーガーニッシュ取付け装置には、視界上、改善の余地がある。図12は、助手席側のAピラーを示しているが、運転席側もこれに準じた課題がある。
【0010】
本発明の目的は、Aピラーの幅を、従来(台座部が頂壁に直交する側壁と頂壁に斜交する側壁とからなる対向側壁を有し、テザークリップのテザー部がAピラーの長手方向と直交する方向に曲げられて台座部内に配置される場合のAピラーの幅)に比べて狭くし、視界を改善したAピラーガーニッシュ取付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する、または上記目的を達成する本発明のAピラーガーニッシュ取付け装置はつぎのとおりである。
【0012】
(1)本発明のAピラーガーニッシュ取付け装置は、Aピラーガーニッシュと、車体のAピラーのパネル部材と、テザークリップとを有し、テザークリップによりAピラーガーニッシュが車体のAピラーのパネル部材に取付けられるAピラーガーニッシュ取付け装置である。
Aピラーガーニッシュは、Aピラーの長手方向に延びるガーニッシュ本体と、ガーニッシュ本体の長手方向の一部にガーニッシュ本体の裏面からパネル部材側に突出させて形成された台座部とを有する。
台座部は、クリップ挿通孔を有する頂壁と、該頂壁とガーニッシュ本体とを連結する互いに対向する対向側壁とを有しており、台座部の頂壁と対向側壁とガーニッシュ本体とで囲まれた空間部は、テザークリップの一部を収容する収容空間部を形成している。
テザークリップが、パネル部材への装着部であるボデー装着部と、Aピラーガーニッシュへの装着部であるガーニッシュ装着部と、テザークリップ先端部に形成されたアンカー部と、ガーニッシュ装着部とアンカー部との間にわたって延びる可撓性があるテザー部とを有している。
テザークリップのテザー部は、少なくとも一部が収容空間部に収容されている。
台座部の対向側壁は、頂壁とガーニッシュ本体とを連結する方向の中間部に、収容空間部内に突出し対向側壁の間隔を狭くするくびれ部を有している。
【0013】
(2)台座部の対向側壁は、くびれ部を除いて、互いにほぼ平行でかつ台座部の頂壁に直交している。
テザークリップのテザー部は単品状態で曲がっている。
AピラーガーニッシュのAピラーパネル部材への取付け完了状態で、テザークリップのテザー部は、テザー部の曲がり方向をAピラーの長手方向に向けられている。
【0014】
(3)アンカー部は矩形状の外形を有し、アンカー部は該アンカー部の外形の矩形の長手方向を台座部の対向側壁を結ぶ方向に向けられている。
台座部の対向側壁のくびれ部は、収容空間部内に突出する、1つ以上のリブを有する。
台座部の対向側壁のくびれ部のリブの間隔は、アンカー部の外形の矩形の長手方向の寸法以下である。
【0015】
(4)台座部の対向側壁のくびれ部は、部分円筒形状を有する。
【0016】
(5)台座部の対向側壁のくびれ部は、台形形状を有する。
【発明の効果】
【0017】
上記(1)のAピラーガーニッシュ取付け装置によれば、台座部の対向側壁は、頂壁とガーニッシュ本体とを連結する方向の中間部に、収容空間部内に突出し対向側壁の間隔を狭くするくびれ部を有しているので、台座部の対向側壁の外側面は、くびれ部において収容空間部側に凹んだ凹部を形成している。そして、この凹部に、Aピラーガーニッシュ裏側に配置される部品の一部を進入させて、該部品を、台座部の対向側壁のくびれ部に寄せて配置することにより、Aピラーを細幅化できる。
たとえば、CSAの一部(凹部に対向するCSA部分)が凹部に進入するようにCSAを台座部に寄せて配置することにより、くびれ部以外の部位での台座部の幅DとCSAの断面の幅Cの和の幅(D+C)が、従来(台座部側壁にくびれ部が形成されない場合)に比べて進入量E分、狭くなる。その結果、運転者から見た方向Bの台座部とCSAの和の幅Wが従来のWpに比べて狭くなり、それにつれて、運転者から見た方向BのAピラーの幅も、従来装置に比べ、狭くなる。その結果、視界がAピラーによって遮られにくくなり、視界が改善される。
【0018】
上記(2)のAピラーガーニッシュ取付け装置によれば、テザー部はテザークリップの単品状態ですでに曲がっており、テザー部の曲がり方向がAピラーの長手方向に向けられているので、テザー部の曲がり方向がAピラーの長手方向と直交する方向に向けられていた従来装置に比べ、台座部の幅(Aピラーの長手方向と直交する方向の台座部の寸法)をDpからDに狭くすることができる。また、台座部の幅が狭くなった分、台座部の幅DとCSAの断面の幅Cの和の幅(D+C)が狭くなる。その結果、運転者から見た方向Bの台座部とCSAの和の幅Wが従来のWpに比べて狭くなり、それにつれて、運転者から見た方向BのAピラーの幅も、従来装置に比べ、狭くなる。その結果、視界がAピラーによって遮られにくくなり、視界が改善される。
【0019】
上記(3)のAピラーガーニッシュ取付け装置によれば、台座部の対向側壁のくびれ部は収容空間部内に突出するリブを有し、該対向側壁のリブの間隔(対向側壁の、一方の側壁のリブと他方の側壁のリブとの間隔)が、アンカー部の外形の矩形の長手方向の寸法以下であるので、CSA展開時に、台座部頂壁がアンカー部側に移動する時に、アンカー部が台座部のくびれ部のリブと摺動接触し、その時の摩擦によるエネルギー吸収作用が得られる。
その結果、アンカー部がくびれ部を通り抜けて台座部頂壁のクリップ挿通孔周縁部に衝突する時の衝突力が弱められ、テザー部が(とくに、低温時に)破断することが防止される。これによって、テザー部が破断した場合には生じるかもしれないAピラーガーニッシュの飛散が抑制される。
【0020】
上記(4)のAピラーガーニッシュ取付け装置によれば、台座部の対向側壁のくびれ部は、部分円筒形状を有するので、くびれ部の外面の凹部は弧状をなす。一方、CSAがロール折りの場合は、CSAの断面の外形がほぼ円形である。したがって、くびれ部の外面の弧状凹部は、外形がほぼ円形のCSAの断面の一部を収容可能である。そのため、台座部の対向側壁のくびれ部が部分円筒形状である場合は、ロール折りのCSAに対して適用されることが望ましい。
【0021】
上記(5)のAピラーガーニッシュ取付け装置によれば、台座部の対向側壁のくびれ部は、台形形状を有するので、くびれ部の外面の凹部は台形状をなす。一方、CSAが蛇腹折りの場合は、CSAの断面の外形がほぼ矩形である。したがって、くびれ部の外面の台形凹部は、外形がほぼ矩形のCSAの断面の一部を収容可能である。そのため、台座部の対向側壁のくびれ部が台形形状である場合は、蛇腹折りのCSAに対して適用されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例のAピラーガーニッシュ取付け装置の、Aピラー長手方向と直交する面で切断して見た、断面図(図11のX−X線で沿って切断した拡大断面図)である。
【図2】図1のテザークリップと台座部の斜視図である。
【図3】図1のテザークリップの拡大側面図(Aピラー長手方向と直交する方向に見た図)である。
【図4】図1のテザークリップの拡大正面図(Aピラー長手方向に見た図)である。
【図5】図1のテザークリップの拡大平面図(アンカー部側から見た図)である。
【図6】図1のテザークリップの拡大斜視図である。
【図7】図1のテザークリップのテザー部の根元部の拡大断面図である。
【図8】図1のテザークリップと台座部の、台座部頂壁の部位での拡大平面図である。
【図9】(イ)は、図1のテザークリップと台座部の、取付け状態での断面図であり、(ロ)は、図1のテザークリップと台座部の、CSA展開途中での断面図である。
【図10】本発明の実施例の変形例(くびれ部の形状を図1のものと変えた例)のAピラーガーニッシュ取付け装置の、テザークリップと台座部の、取付け状態での断面図である。
【図11】本発明および従来の、Aピラー、ルーフサイドレール、CSAを含む、車両側面図である。
【図12】従来の、Aピラーガーニッシュ取付け装置の、Aピラー長手方向と直交する面で切断して見た、断面図(図11のX−X線で沿って切断した拡大断面図)である。
【図13】図12のテザークリップと台座部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例のAピラーガーニッシュ取付け装置10を、図1〜図11を参照して説明する。
図1〜図9は本発明の一実施例のAピラーガーニッシュ取付け装置を示し、図10は本発明の図1〜図9の実施例の変形例(くびれ部の形状を図1のものと変えた例)を示す。
図中、FRは車両前後方向前方を示し、INは車両幅方向内側を示す。
【0024】
まず、本発明の一実施例および変形例のAピラーガーニッシュ取付け装置の構成を、図1〜図9および図11を参照して説明する。
本発明のAピラーガーニッシュ取付け装置10を含む頭部保護エアバッグ装置では、図11に示すように、窓等の開口の周縁におけるAピラー11とルーフサイドレール12とにわたって、カーテンシールドエアバッグ(以下、単にCSAともいう)13がロール折りまたは蛇腹状に畳まれて収納されている。図1は、CSA13がロール折りの場合を示すが、蛇腹状に畳まれてもよい。ロール折りの場合は、CSA13の外形はほぼ円形であるが、蛇腹状に畳まれた場合は、CSA13の外形はほぼ矩形状となる。車両衝突時、CSA13が図11の2点鎖線に示すように展開膨張する時に、CSA13を車内側から覆っていた、Aピラー部のAピラーガーニッシュ30、およびルーフサイドレール部のルーフヘッドライニングが、CSA13によって車内側に押されてパネル部材40から離間し、Aピラーガーニッシュ30およびルーフヘッドライニングと、パネル部材40との間に間隔が形成される。この間隔を通って、CSA13が車室内に窓に沿って展開膨張し、乗員頭部を保護する。図1および図11において、CSA13の展開膨張は、2点鎖線13’で示されている。また、図1において、パネル部材からの離間途中にあるAピラーガーニッシュ30は、2点鎖線30’で示されている。
【0025】
本発明の実施例のAピラーガーニッシュ取付け装置10は、テザークリップ20によりAピラーガーニッシュ30が車体のAピラー11のパネル部材40に取付けられるAピラーガーニッシュ取付け装置である。図1〜9に示すように、Aピラーガーニッシュ取付け装置10は、Aピラーガーニッシュ30と、車体のAピラー11のパネル部材40(インナーパネル41を含む)と、テザークリップ20とを有する。Aピラーガーニッシュ30は硬質製樹脂部材であり、テザークリップ20は軟質製樹脂部材(弾性変形可能な部材)であり、パネル部材40は鋼板製部材である。
【0026】
Aピラー11のパネル部材40は、インナーパネル41、アウターパネル42、インナーパネル41とアウターパネル42との間に設けられたリーンフォースメント43を有する。Aピラーガーニッシュ30は、テザークリップ20により、インナーパネル41に取り付けられる。なお、図1において、44〜50の部品は、従来公知のものであり、44はフロントガラス、45はドレンホース、46はアンテナ、47はワイヤハーネス、48はウォッシャホース、49、50は、ゴム製のウエザーストリップである。
【0027】
Aピラーガーニッシュ30は、Aピラー11の長手方向に延びるガーニッシュ本体31と、ガーニッシュ本体31の長手方向の一部にガーニッシュ本体31の裏面からパネル部材40側に突出させて形成された台座部32とを有する。Aピラーガーニッシュ30は、Aピラー11のパネル部材40、CSA13、および部品45〜48を、車室側から覆う。CSA13は、インナーパネル41とガーニッシュ本体31との間の空間部で、台座部32よりフロントガラス44から遠い側の空間部に配置される。CSA13は、Aピラー11の長手方向に延びる。部品45〜48は、台座部32よりフロントガラス44側にある。したがって、CSA13が展開膨張する時に、台座部32および部品45〜48は邪魔にならない。
【0028】
Aピラーガーニッシュ30の台座部32は、ガーニッシュ本体31と一体に成形されている。台座部32は、クリップ挿通孔37を有する頂壁33と、該頂壁33とガーニッシュ本体31とを連結する互いに対向する一対の対向側壁34とを有している。
台座部32の頂壁33と一対の対向側壁34とガーニッシュ本体31とで囲まれた空間部は、テザークリップ20の一部を収容する収容空間部38を形成している。
【0029】
台座部32の一対の対向側壁34は、頂壁33とガーニッシュ本体31とを連結する方向の中間部に、収容空間部38内に突出し対向側壁34の間隔を狭くするくびれ部60を有している。対向側壁34のくびれ部60の外面(収容空間部38に面する面と反対側の面)は、収容空間部38側に凹む凹部63となっている。くびれ部60は、Aピラー長手方向に、CSA13と平行に、側壁34全長にわたって延びている。台座部32の対向側壁34は、くびれ部60を除いて、台座部32の頂壁33に直交しており、互いにほぼ平行である。
【0030】
くびれ部60の外面の凹部63の形状は、部分円筒面状61(図1、図9の実施例)または台形状62(図10に示す変形例)である。
部分円筒面状61はCSA13がロール折りの場合に用いられ、台形状62はCSA13がロール折りの場合にも蛇腹折りの場合にも用いられる。
【0031】
凹部63の形状が部分円筒面状61である場合、凹部63の部分円筒面の径は、ロール折りのCSA13の断面の径以上であることが望ましい。凹部63の部分円筒面の径が、ロール折りのCSA13の断面の径以上である場合、CSA13の凹部63対向部分を凹部63内に進入させてCSA13の外面を凹部63の最も深い部位の表面に接触させることができる。CSA13の外面を凹部63の最も深い部位の表面に接触させた時の、CSA13の凹部63への進入量Eは、凹部63の最も深い部位の深さと等しい。
【0032】
凹部63の形状が台形状62である場合、凹部63の台形形状は、凹部63の深さが深い部位(凹部63の底部位)で対向斜辺の間隔が狭くなる形状である。また、CSA13が蛇腹折りの場合、凹部63の底部位における対向斜辺の間隔(凹部63の底の長さ)は、蛇腹折りの矩形の、凹部63の底への対向辺の長さ以上である。凹部63の底の長さが蛇腹折りの矩形の、凹部63の底への対向辺の長さより長い場合、CSA13の一部を凹部に進入させた時に、蛇腹折りの矩形の、凹部63の底への対向辺を、凹部63の底に接触させることができる。この時の、CSA13の凹部63への進入量Eは、凹部63の底部での深さと等しい。
【0033】
CSA13は台座部32側に寄せられ、CSA13の断面の一部は、台座部32の対向側壁34のうちCSA13に近い方の側壁34の外面の凹部63内に進入し、凹部63の表面に近接または接触している。CSA13の断面の一部が凹部63内に進入することによって、台座部32のくびれ部60以外での対向側壁外面間の幅DとCSA13の幅C(CSA13がロール折りの場合はCSA13の直径)との和が進入量E分縮小され、それにつれて運転者から見た方向Bの(台座部32とCSA13との和の)幅Wも縮小される。その結果、台座部32の対向側壁間方向と平行な方向におけるAピラー11の幅も、縮小され、それにつれて運転者から見た方向BのAピラー11の幅も縮小される。
【0034】
CSA13の場合と同様に、台座部32を挟んでCSA13と反対側にある部品(ドレンホース45、アンテナ46、ワイヤハーネス47、ウォッシャホース48)のうち、台座部32の側壁(部品45〜48に近い側の側壁)34の凹部63の側方に位置する部品(たとえば、アンテナ46、ウォッシャホース48)の断面の一部も、側壁34の外面の凹部63内に進入して、凹部63の底面に近接または接触するようにしてもよい(図9の(イ)に示す)。この場合も、運転者から見た方向BのAピラー11の幅も縮小される。
【0035】
台座部32の一対の対向側壁34は、くびれ部60を除いて、台座部32の頂壁33に直交している。一対の対向側壁34は、くびれ部60を除いて、互いに平行である。従来は一対の側壁の一方が他方に対して斜めに延びていたが、本発明では、一対の対向側壁34は、平行に延びる。一対の対向側壁34は、Aピラー11の長手方向に延びている。
【0036】
台座部33の収容空間部38は、ガーニッシュ本体31の長手方向に収容空間部38の少なくとも一端(斜め上方側の一端)で開口(36が開口を示す)している。ガーニッシュ本体31の長手方向に見て収容空間部38の他端は、図8に示すように、一対の対向側壁34と直交する直交側壁35で閉塞されていてもよいし、あるいは、開口していてもよい。
【0037】
テザークリップ20は、パネル部材40への装着部であるボデー装着部21と、フランジ部25と、Aピラーガーニッシュ30への装着部であるガーニッシュ装着部22と、テザークリップ先端部に形成されたアンカー部24と、ガーニッシュ装着部22とアンカー部24との間にわたって延びる可撓性のテザー部23とを有している。ボデー装着部21はフランジ部25に対して収容空間部38と反対側にあり、ガーニッシュ装着部22と、テザー部23と、アンカー部24とは、フランジ部25に対して収容空間部38側にある。
テザークリップ20のテザー部23とアンカー部24とは、少なくとも一部が収容空間部38内に収容されている。
アンカー部24は、中央に、台座部頂壁のクリップ挿通孔縁部に当たった時の衝撃を緩和する切り込み24aを有し、この切り込み24aを中心にして左右対称形である。
【0038】
ボデー装着部21の爪部21aは、ボデー装着部21をインナーパネル41の孔に挿入する時には対向爪部間隔が縮小して挿入可能とし、挿入後は自身の弾性で元の位置に復帰して、ボデー装着部21がインナーパネル41から抜けないようにする。同様に、ガーニッシュ装着部22の爪部22aは、ガーニッシュ装着部22を台座部32の頂壁33のクリップ挿通孔37にアンカー部24およびテザー部23側から装着する時には対向爪部間隔が縮小して挿入可能とし、挿入後は自身の弾性で元の位置に復帰して、ガーニッシュ装着部22が台座部32の頂壁33から抜けないようにする。
【0039】
テザークリップ20のテザー部23は、図6に示すように、単品状態で(台座部32に取り付けられる前の状態)曲がっている。
また、Aピラーガーニッシュ30のAピラーパネル部材40への取付け完了状態で、テザークリップ20のテザー部23は、単品状態での曲がりを維持しており、テザー部23の曲がり方向をAピラー11の長手方向に向けられている。従来では、テザー部はAピラーの長手方向と直交する方向に曲がっているが、本発明では、テザー部23はAピラー11の長手方向に曲がっている。
【0040】
テザー部23は、収容空間部38内で、Aピラー長手方向に、台座部32の開口36側に、曲がっている。
テザークリップ20の先端部(アンカー部24側の先端部)は、図8に示すように、台座部33の収容空間部38の一端の開口36から、収容空間部38外に突出している。
【0041】
図6、図7に示すように、テザー部23は、テザー部23の少なくとも根元部(ガーニッシュ装着部22側の端部)において、矩形状の横断面を有する。テザー部23は、テザー部23の根元部における、横断面の矩形の短辺方向(短辺が延びる方向)がガーニッシュ本体31の長手方向(Aピラー11の長手方向)に向けられている。
【0042】
上記のAピラーガーニッシュ取付け装置10において、台座部32の頂壁33に設けられたクリップ挿通孔37は矩形状である。
台座部頂壁33のクリップ挿通孔37は、クリップ挿通孔37の矩形の長手方向をガーニッシュ本体31の長手方向(Aピラー11の長手方向)に向けられている。
【0043】
また、テザークリップ20のアンカー部24は矩形状の外形を有する。
テザークリップ20のアンカー部24は、テザークリップ20をAピラーガーニッシュ30に装着した状態で、アンカー部24の矩形状の外形の長手方向がガーニッシュ本体31の長手方向(Aピラー11の長手方向)と直交する方向に向けられている。
【0044】
矩形状外形を有するアンカー部24の長手方向の長さは、台座部32の頂壁33に形成された矩形状外形を有するクリップ挿通孔37の長手方向と直交する方向の長さより長い。
また、アンカー部24の矩形状外形の大きさは、台座部32の頂壁33に形成された、矩形状クリップ挿通孔37の大きさより小さい。
テザー部23の矩形状横断面の大きさは、アンカー部24の矩形状外形の大きさより小さい。
テザー部23の矩形状横断面の長辺の長さは、台座部32の頂壁33に形成された、矩形状クリップ挿通孔37の短辺の長さより短い。
テザークリップ20のガーニッシュ装着部22は、矩形状の外形を有し、爪部22aを除き、台座部32の頂壁33に形成された矩形状のクリップ挿通孔37より若干小さい外形を有する。爪部22aを入れたガーニッシュ装着部22の外形は、クリップ挿通孔37より大きい。
【0045】
台座部32の対向側壁34のくびれ部60は、収容空間部38内に突出する、1つ以上のリブ64を有する。リブ64は、くびれ部60の収容空間部38内への凸形状の頂点よりも収容空間部38内に突出している。リブ64は、くびれ部60の収容空間部38に面する内面の、Aピラー長手方向における、全長かまたはほぼ全長にわたって形成されている。
【0046】
台座部32の対向側壁34のくびれ部60に設けられたリブ64の間隔(対向側壁34の一方の側壁のリブ64と他方の側壁のリブ64との間隔)D1は、アンカー部24の外形の矩形の長手方向の寸法D2以下である。
台座部32の対向側壁34のくびれ部60の内面間の間隔(対向側壁34の一方の側壁のくびれ部60の内面と他方の側壁のくびれ部60の内面との間隔)D3は、アンカー部24の外形の矩形の長手方向の寸法D2以上である。
これによって、CSA13の展開時に、アンカー部24はくびれ部60を通過できるが、アンカー部24がリブ64に摺動接触し、摩擦を生じてエネルギーが吸収されるようになる。
【0047】
Aピラーガーニッシュ30のパネル部材40への取付け手順はつぎのとおりである。
畳まれた状態のCSA13が図示略のCSA固定クリップによってAピラー11のインナーパネル41に取付けられる。部品45〜48も配置される。
テザークリップ20がAピラーガーニッシュ30の台座部32に取り付けられる。その後、テザークリップ20のボデー装着部21がインナーパネル41の孔に挿入され、Aピラーガーニッシュ30がインナーパネル41に取付けられる。この時、CSA13の断面の一部が、Aピラーガーニッシュ30の台座部32のくびれ部60外面の凹部63に進入するようにする。Aピラーガーニッシュ30は、CSA13および部品45〜48を車室側から覆う。
【0048】
テザークリップ20の、Aピラーガーニッシュ30の台座部32への取付けにおいては、テザークリップ20を、アンカー部24側から台座部32の頂壁33のクリップ挿通孔37を挿通させてアンカー部24を収容空間部38内に挿入する。この時、アンカー部24の矩形状外形の長手方向と、クリップ挿通孔37の矩形の長手方向とを合わせる。テザー部23の曲がりの方向は、ガーニッシュ本体31の長手方向と直交する方向に向けられている。アンカー部24の外形の矩形の大きさは、台座部32の頂壁33のクリップ挿通孔37の矩形の大きさより小さいため、アンカー部24はクリップ挿通孔37を通り抜ける。アンカー部24がクリップ挿通孔37およびくびれ部60を挿通したところで、テザークリップ20を90度回転させ、テザー部23の曲がりの方向が、ガーニッシュ本体31の長手方向に向くようにする。
【0049】
さらに、テザー部23をクリップ挿通孔37に挿通させていき、テザー部23を収容空間部38に入れる。テザー部23の矩形状横断面の長辺の長さは、台座部32の頂壁33の矩形状クリップ挿通孔37の短辺の長さより短いため、テザー部23はクリップ挿通孔37を挿通する。この時、テザー部23の曲がりの方向は、ガーニッシュ本体31の長手方向に向けられている。
【0050】
ついで、テザークリップ20のガーニッシュ装着部22が台座部32の頂壁33のクリップ挿通孔37に押し込まれ挿通される。ガーニッシュ装着部22の爪部22aがクリップ挿通孔37を挿通すると、爪部22aが弾性復帰し、テザークリップ20が台座部32から抜け落ちないようになる。この状態では、テザークリップ20のフランジ部25が台座部32の頂壁33に接触する。また、テザー部23の曲がりの方向は、ガーニッシュ本体31の長手方向に向けられている。
【0051】
その後、テザークリップ20が装着されているAピラーガーニッシュ30をパネル部材40に取付ける。この取付けにおいては、テザークリップ20のボデー装着部21を、Aピラーのインナーパネル41のテザークリップ取付け孔に押し込む。ボデー装着部21の爪部21aがテザークリップ取付け孔を通り抜けると、爪部21aが元の位置に弾性復帰し、テザークリップ20がインナーパネル41から外れなくなる。この状態では、テザー部23の曲がりの方向は、ガーニッシュ本体31の長手方向、すなわち、Aピラーの長手方向に向けられている。
【0052】
つぎに、Aピラーガーニッシュ取付け装置10の、CSA13の展開、膨張時の作動を説明する。
衝突検知センサまたは衝突予知センサが車両の衝突を検知または予知すると、ECUがインフレータを作動させ、インフレータからの膨張用ガスがCSA13に供給される。それまで畳まれていたCSA13が、図11において、Aピラー11では、2点鎖線13’で示すように、展開、膨張していく。
【0053】
Aピラー11においては、図1に示すように、展開膨張するCSA13から力を受けて、Aピラーガーニッシュ30が押し拡げられる。図1で2点差線30’は押し広げられる途中のAピラーガーニッシュを示す。Aピラーガーニッシュ30が押し拡げられる時、台座部32の頂壁33がインナーパネル41から離れていき、頂壁33のクリップ挿通孔37周縁部がガーニッシュ装着部22の爪部22aを押して弾性変形させ、ガーニッシュ装着部22を通過する。頂壁33のクリップ挿通孔37周縁部は、さらにテザー部23と摺動しつつ移動し、テザー部23をそれまで曲がっていた状態から真直の状態に弾性変形させ、アンカー部24に向かって移動する。
【0054】
逆に、アンカー部24から見れば、アンカー部24は、図9の(イ)の状態から、台座部32に対して頂壁33に向かって相対移動を始め、途中で図9の(ロ)の状態になって、くびれ部60を通過する。その時、アンカー部材24とリブ64とが摺動接触し、摩擦によりエネルギーが吸収され、アンカー部24が頂壁33向かって相対移動する速度が低減される。
そして、ついにアンカー部24と頂壁33のクリップ挿通孔37周縁部とが当たった位置で、台座部32の頂壁33がインナーパネル41から離れていく動きが止まり、Aピラーガーニッシュ30が乗員へ向かって飛散することが防止される。アンカー部24とリブ64と摺動接触によるエネルギー吸収により、アンカー部24と頂壁33のクリップ挿通孔37周縁部との当たりが弱まり、テザークリップのテザー部23の破断がより確実に防止される。
【0055】
Aピラーガーニッシュ30が押し拡げられることにより、Aピラーガーニッシュ30とAピラーのインナーパネル41との間に、台座部32より車室内側に、CSA展開用間隔が形成される。テザー部23が曲がっていた状態から真直の状態に変形されるので、台座部32の頂壁33がインナーパネル41から離れる時の移動距離が長くとれ、CSA展開用間隔を十分に大きくすることができる。このCSA展開用間隔を通して、CSA13が、車室内に、かつ乗員とサイドウインドとの間の空間に、展開膨張され、乗員頭部を側突から保護する。
【0056】
つぎに、本発明のAピラーガーニッシュ取付け装置10の効果を説明する。
台座部32の対向側壁34がくびれ部60を有しているので、対向側壁34の外側面がくびれ部60において収容空間部38側に凹んだ凹部63を形成している。この凹部63に、Aピラーガーニッシュ裏側に配置される部品(たとえば、CSA13)の一部を進入させ、該部品を、対向側壁34の凹部63の表面に寄せて配置することができるので、Aピラー11が細幅化される。
【0057】
たとえば、CSA13の一部(凹部63に対向するCSA部分)が凹部63に進入するようにCSA13を台座部32に寄せて配置することにより、くびれ部60以外の部位での台座部32の幅DとCSA13の断面の幅Cの和の幅(D+C)が、従来(台座部側壁にくびれ部が形成されない場合)に比べて、CSA13の一部の凹部63への進入量E分、狭くなる。その結果、運転者から見た方向Bの台座部32とCSA13の和の幅Wが従来(台座部側壁にくびれ部が形成されない場合)の運転者から見た方向Bの台座部とCSAの和のWpに比べて狭くなる。それにつれて、運転者から見た方向BのAピラー11の幅も、従来装置に比べ、狭くなる。その結果、視界がAピラー11によって遮られにくくなり、視界が改善される。
図1は、助手席側のAピラー11を示しているが、運転席側もこれに準じた、Aピラー11の狭幅化効果がある。
【0058】
テザー部23がテザークリップ20の単品状態ですでに曲がっており(従来のように、組み付け時にガイドで曲げるものではない)、かつ、テザー部23の曲がり方向がAピラー11の長手方向に向けられている(従来は、Aピラー11の長手方向と直交方向に曲げられていた)。そのため、テザー部の曲がり方向がAピラーの長手方向と直交する方向であった従来装置に比べ、台座部32の幅D(Aピラー11の長手方向と直交する方向の台座部32の寸法)を狭くすることができる。従来はテザー部の曲がりを収容できるように台座部8の幅Dpが広くされていた。
【0059】
また、台座部32の幅Dが狭くなった分、運転者から見た方向Bにおける、台座部32とCSA13の和の幅Wが、従来の台座部とCSAの和の幅Wp(図12)に比べて小さくなり、運転者から見た方向BのAピラー11の幅が、従来装置に比べ、狭くなる。その結果、視界がAピラー11によって遮られにくくなり、視界が改善される。
【0060】
台座部32の対向側壁34のくびれ部60は収容空間部38内に突出するリブ64を有し、該対向側壁のリブ64の間隔(対向側壁34の、一方の側壁のリブと他方の側壁のリブとの間隔)が、テザークリップ20のアンカー部24の外形の矩形の長手方向の寸法以下であるので、CSA13の展開時に、台座部頂壁33がアンカー部24側に相対移動する時に、アンカー部24が台座部32のくびれ部60のリブ64と摺動接触し、その時の摩擦によるエネルギー吸収作用が得られる。これによって、台座部頂壁33がアンカー部24側に相対移動する速度が低減される。その結果、アンカー部24がくびれ部60を通り抜けて台座部頂壁33のクリップ挿通孔37の周縁部に衝突する時の衝突力が弱められ、テザー23部が(とくに、低温時に)破断することが防止される。これによって、テザー部23が破断した場合には生じるかもしれないAピラーガーニッシュ30の飛散が抑制される。
【0061】
台座部32の対向側壁34のくびれ部60が、部分円筒形状61を有する場合は、くびれ部60の外面の凹部63の表面は部分円筒形状をなす。一方、CSAがロール折りの場合は、CSAの断面の外形がほぼ円形である。したがって、くびれ部60の外面の部分円筒形状凹部63は、凹部63の部分円筒形状の径がCSA13の円形断面の径以上である限り、CSA13の断面の一部を、該CSA13の断面が凹部63の最も深い部位の表面に接触するように、収容可能である。CSA13の断面が凹部63の最も深い部位の表面に接触する状態で、CSA13の断面が台座部32に最も寄せられ、CSA13の凹部63への進入量Eが最大で、Aピラーを最も狭幅化することができる。
【0062】
台座部32の対向側壁34のくびれ部60が、台形形状62を有する場合、くびれ部60の外面の凹部63も台形状をなす。一方、CSA13が蛇腹折りの場合は、CSAの断面の外形がほぼ矩形である。したがって、くびれ部60の外面の台形凹部63は、凹部63の底の長さがCSAの断面矩形の凹部対向辺の長さ以上である限り、CSA13の断面の一部を、該CSA13の断面矩形の凹部対向面が凹部63の底に接触するように、収容可能である。CSA13の断面が凹部63の底に接触する状態で、CSA13の断面が台座部32に最も寄せられ、CSA13の凹部63への進入量Eが最大で、Aピラーを最も狭幅化することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 Aピラーガーニッシュ取付け装置
11 Aピラー
12 ルーフサイドレール
13 CSA(カーテンシールドエアバッグ)
13’ 展開時のCSA
20 テザークリップ
21 ボデー装着部
21a 爪部
22 ガーニッシュ装着部
22a 爪部
23 テザー部
24 アンカー部
24a 切り込み
25 フランジ部
30 Aピラーガーニッシュ
30’ パネル部材から離間した時のAピラーガーニッシュ
31 ガーニッシュ本体
32 台座部 33 頂壁
34 対向側壁
35 直交側壁
36 開口
37 クリップ挿通孔
38 収容空間部
40 パネル部材
41 Aピラーのインナーパネル
42 Aピラーのアウターパネル
43 Aピラーのリーンフォースメント
44 フロントガラス
45 ドレンホース
46 アンテナ
47 ワイヤハーネス
48 ウォッシャホース
49 ウエザーストリップ
50 ウエザーストリップ
60 くびれ部
61 部分円筒形状
62 台形形状
63 凹部
64 リブ
A Aピラー長手方向
B 運転者から見た方向
C CSAの幅(CSAがロール折りの場合はCSAの径)
D 台座部の幅
D1 台座部の対向側壁のくびれ部に設けられたリブの間隔
D2 アンカー部の外形の矩形の長手方向の寸法
D3 台座部の対向側壁のくびれ部の内面間の間隔
E 進入量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Aピラーガーニッシュと、車体のAピラーのボデー部材と、テザークリップとを有し、前記テザークリップにより前記Aピラーガーニッシュが車体の前記Aピラーのボデー部材に取付けられるAピラーガーニッシュ取付け装置において、
前記Aピラーガーニッシュは、前記Aピラーの長手方向に延びるガーニッシュ本体と、前記ガーニッシュ本体の長手方向の一部に前記ガーニッシュ本体の裏面からボデー部材側に突出させて形成された台座部とを有し、
該台座部は、クリップ挿通孔を有する頂壁と、該頂壁と前記ガーニッシュ本体とを連結する互いに対向する対向側壁とを有しており、前記台座部の前記頂壁と前記対向側壁と前記ガーニッシュ本体とで囲まれた空間部は、前記テザークリップの一部を収容する収容空間部を形成しており、
前記テザークリップが、前記ボデー部材への装着部であるボデー装着部と、前記Aピラーガーニッシュへの装着部であるガーニッシュ装着部と、テザークリップ先端部に形成されたアンカー部と、前記ガーニッシュ装着部と前記アンカー部との間にわたって延びる可撓性があるテザー部とを有しており、
前記テザークリップのテザー部は、少なくとも一部が前記収容空間部に収容されており、
前記台座部の前記対向側壁は、前記頂壁と前記ガーニッシュ本体とを連結する方向の中間部に、前記収容空間部内に突出し前記対向側壁の間隔を狭くするくびれ部を有しているAピラーガーニッシュ取付け装置。
【請求項2】
前記台座部の対向側壁は、前記くびれ部を除いて、互いにほぼ平行でかつ前記台座部の頂壁に直交しており、
前記テザークリップのテザー部は単品状態で曲がっており、
前記Aピラーガーニッシュの前記Aピラーボデー部材への取付け完了状態で、前記テザークリップのテザー部は、前記テザー部の曲がり方向をAピラーの長手方向に向けられている、請求項1記載のAピラーガーニッシュ取付け装置。
【請求項3】
前記アンカー部は矩形状の外形を有し、前記アンカー部は該アンカー部の外形の矩形の長手方向を前記台座部の前記対向側壁を結ぶ方向に向けられており、
前記台座部の前記対向側壁の前記くびれ部は、前記収容空間部内に突出するリブを有しており、
前記台座部の前記対向側壁の前記くびれ部の前記リブの間隔は、前記アンカー部の外形の矩形の長手方向の寸法以下である請求項1または請求項2記載のAピラーガーニッシュ取付け装置。
【請求項4】
前記台座部の前記対向側壁の前記くびれ部は、部分円筒形状を有する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のAピラーガーニッシュ取付け装置。
【請求項5】
前記台座部の前記対向側壁の前記くびれ部は、台形形状を有する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のAピラーガーニッシュ取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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