AC信号を調節する方法
AC入力信号を調節してAC出力信号を提供するスイッチング・レギュレータおよび方法であって、前記AC入力信号を受信するステップと、参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記参照信号(68)とそれらのポイントとの同期をとるステップと、前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号(78)を取得するステップと、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差(74)を取得するステップと、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって調節済みのAC出力信号を生成するステップと、を含むスイッチング・レギュレータおよび方法。前記スイッチング・レギュレータは、前記入力信号の各半サイクルに関して変調用トランジスタおよびクランプ用ダイオードを使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC信号を変調によって調節(regulate)する方法に関するものである。特に、本発明は、変調トランジスタを使用してAC信号を調節するスイッチング・レギュレータに関するものである。例示的な応用例の1つとしては、接続機器または電気グリッドに供給する前に調節を必要とする可能性があるAC信号を生成する家庭用熱電併給(domestic combined heat and power:dchp)ジェネレータによって生成されるAC信号の変調が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
生成されたAC信号を他の場所で使用できるようにするには、当該AC信号を調節する必要が生じる状況が多く発生する。このような調節としては周波数制御、電圧制御、あるいは電流制御を挙げることができ、通常であれば他の場所で使用されるAC波形に許容できない揺らぎを生じさせる恐れがある電圧および電流の過渡状態および定常状態の変動制御を含むこともできる。
【0003】
ここで本発明の背景として、本出願人の企図する1つの応用例を説明する。ここで挙げる応用例は、家庭環境での給湯および集中暖房を実現するdchpユニットである。本出願人の国際特許出願第PCT/GB03/001200号には、スターリング・エンジンを備えたdchpユニットが記載されている。このようなdchpユニットは、世帯の集中暖房と給湯の要件を満たすだけでなく、高いエネルギー効率で電気を生成するのに使用することもできるので有益である。そのように生成された電気は世帯内で使用することも、世帯に配電する電気グリッドに買い取らせることも可能である。
【0004】
調節では、dchpユニットに接続された家電製品の需要を満足させること、すなわち、各機器の即時の必要を満たす電圧の電力を提供することが必要とされる。さらに、dchpユニットによって生成される電気は、幹線電気グリッドへの供給に適するように厳密に調節されなければならない。
【0005】
図1は、DC波形を調節するのに使用され得るよく知られたバック(Buck)レギュレータを示す。このレギュレータは、通常パルス幅変調方式に従って切り換えられる、所望の平均出力電圧を提供するトランジスタを備える。インダクタおよびキャパシタは、パルス化された出力を平滑化して、その出力から提供されるDC電圧信号に加わるリプルが最小限に抑えられるようにする。このレギュレータは、トランジスタがOFFにスイッチされるときに電流フローを維持しようと試みるインダクタによって生成される大きな逆電圧からトランジスタを保護するクランプ用ダイオード(「フライバック・ダイオード(flyback diode)」としても知られる)の働きをするように設けられたダイオードも含む。
【0006】
1対のバック・レギュレータを組み合わせてAC電源用レギュレータを提供することもできる。図2は、欧州特許出願公開第0,631,372号に開示されるレギュレータを再現している。このレギュレータは、ディマー・スイッチから操作される照明に給電するためにAC入力を変換して可変電圧のDC出力を提供する。図2のAで示されるように、関連するダイオードを有する1対のトランジスタが設けられており、ここでは一方のトランジスタがAC入力の正の半サイクルを変調し、他方のトランジスタがAC入力の負の半サイクルを変調する。図2のBで示されるように、1対のクランプ用ダイオード、ここでは半サイクル毎に1つのクランプ用ダイオードが設けられており、これらは該当する半サイクル中に関連するトランジスタによってINおよびOUTの回路切り換えが行われる。したがって、正と負の両方の半サイクルがパルス幅変調され、その結果得られる出力がインダクタおよびキャパシタによって平滑化されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、所望の波形(最も基本的には正しい振幅の波形)の出力信号を提供するためのPWM(パルス幅変調)の制御手法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の背景技術に対して、本発明の第1の態様によれば、AC入力信号を調節してAC出力信号を提供する方法であって、前記AC入力信号を受信するステップと、参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップと、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差(fractional error)を取得するステップと、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって調節済みのAC出力信号を生成するステップと、を含む方法が提供される。
【0009】
任意選択で、前記方法は、前記誤差信号が単極性、例えば正となることを保証するステップをさらに含むことができる。これは、前記誤差信号にオフセットを追加して前記誤差信号が正などの単極性となることを保証することによって達成することができる。これにより、前記参照信号と前記誤差信号の両方が除算される前に正となることが保証されるので有利である。これにより、最終的には1つの象限だけを使用してAC信号を調節することが可能となる。例えば、乗算器チップを使用して除算を行うこともできる。この場合には、関連する利点がもたらされる一方で、両方の入力が正となる、つまり前記チップが単一の象限で動作すれば済むことになる。
【0010】
任意選択で、前記方法は、前記端数誤差をスケーリングした後、前記AC信号を変調してスケーリング済みの前記端数誤差を補正するステップをさらに含むことができる。このスケーリングは、前記AC出力信号で必要とされる電圧が達成されるように行うことができる。別法として、前記方法は、前記AC入力信号と前記参照信号の相対的な大きさを調整するようにスケーリングを行った後、スケーリング済みの前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップをさらに含むことができる。任意選択で、前記AC入力信号がスケーリングされる。これらのスケーリング方法は必要に応じて組み合わせることができる。前記スケーリングは、電気グリッドの電圧、例えば230ボルトのRMS電圧または120ボルトのRMS電圧を基準にして行うことができる。任意選択で、前記方法は、スケーリング済みの前記AC入力信号から前記参照信号を減算するステップを含むことができる。
【0011】
好ましくは、前記方法は、全波整流正弦波に対応する参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号を全波整流するステップと、をさらに含むことができる。
【0012】
任意選択で、前記方法は、前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記AC入力信号がゼロを通過するときに前記参照信号がゼロに達するように、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、を含むことができる。
【0013】
前記方法は、前記AC入力信号をパルス幅変調して前記端数誤差を補正するステップを含むことができる。前記パルス幅変調は、前記端数誤差とランプ信号とを比較する比較器を使用することによって行うことができる。前記端数誤差によって前記AC入力信号の電圧が前記参照信号を超えたことが示されたときは、パルス幅変調を行って前記AC入力信号に相当する部分を取り除くことができる。
【0014】
負のフィードバック・ループを使用すると、通常であれば前記AC出力信号内に存在する誤差を補償することができる。したがって、自己調節の措置を導入することができる。例えば、前記方法は、前記AC出力信号をフィードバックするステップと、前記調節中に前記フィードバック信号を使用して前記AC出力信号の誤差を補償するステップと、を含むことができる。任意選択で、前記方法は、前記AC出力信号の誤差を補償するために、前記フィードバック信号に従って前記AC入力信号を修正するステップを含むことができる。
【0015】
好ましい一実施形態では、前記方法は、スイッチング・レギュレータを使用して前記AC入力信号を調節するステップをさらに含むことができる。前記スイッチング・レギュレータは、前記AC入力信号を受信する入力端子と、前記調節済みのAC出力信号を提供する出力端子と、前記出力端子側に提示される前記調節済みのAC出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、を備えることができる。前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、を備えることができる。次に、前記方法は、前記変調用トランジスタを使用して、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することにより、前記調節済みのAC出力信号を生成するステップをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、AC信号を調節するスイッチング・レギュレータであって、AC入力信号を受信する入力端子と、AC出力信号を提供する出力端子と、前記出力端子側に提示される前記出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、を備え、前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、を備え、前記レギュレータは、参照信号を生成するように構成された信号生成器と、前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得し、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するように構成された演算ユニットと、をさらに備え、前記変調用トランジスタは、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって、調節済みのAC出力信号を生成するように構成されている、スイッチング・レギュレータが提供される。
【0017】
任意選択で、前記スイッチング・レギュレータは、前記変調用トランジスタを切り換えるように動作可能な第1のスイッチング・コントローラと、前記クランプ・スイッチを切り換えるように動作可能な第2の別個のスイッチング・コントローラと、をさらに備えることができる。
【0018】
また、本発明の他の態様によれば、上述の各方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるようにプログラムされたコンピュータと、それ自体がコンピュータにロードされたときに、上述の各方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるコンピュータ・プログラムと、そのようなコンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体と、が提供される。
【0019】
ここで単なる例示として、本発明をより理解しやすくするために添付の図面を参照しながら好ましい諸実施形態について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
まず、図3aおよび図3bを参照して、本発明の第1の態様に係るAC信号を変調によって調節する方法について説明する。レギュレータがAC信号を入力として受信し、その入力信号を変調してAC出力信号を提供する。50で、AC入力信号がサンプリングされ、サンプリング済みのAC信号が入力波形52として生成される。実際には、フィードバック・ループが出力信号の参照を提供し、この参照を50でサンプリングすることもできる。したがって、サンプリング済みのAC信号はAC入力信号を反映し、下流の出力信号に導入された誤差を補正するように修正される。
【0021】
サンプリング済みのAC信号52は、54で整流済みのAC信号を生成するために全波整流器56によって全波整流されることもある。その場合には、60で所望の出力電圧、本例では230V RMSを基準に整流済みのAC信号をスケーリングすることにより、スケーリング済みのAC信号58を生成することができる。
【0022】
これと並行して、サンプリング済みのAC信号52を使用して、ゼロ・ボルトを通過するサンプリング済みのAC信号52と一致するようなトリガ・パルス62を生成することができる。このようなゼロ・クロスはソフトウェアを使用して検出することができ、また、デジタル・フィルタリングを使用してゼロ・クロス周辺の雑音効果を取り除くこともでき、ソフトウェア・パターン・マッチングを利用して位相同期を改善することも可能である。68で示されるように、コンピュータ64は、これらのトリガ・パルス62を使用して同期化された参照信号66を生成する。参照信号66は正弦波に対応するが、全波整流AC信号と等価な信号となるように各ローブが正方向だけに延びている。参照信号66は、スケーリング済みのAC信号58がゼロ・ボルトに到達するのと同期してゼロ・ボルトに到達するように、トリガ・パルス62を使用してサンプリング済みのAC信号52との同期がとられる。
【0023】
このような正弦波の参照信号66は、ルックアップ・テーブルを使用してデジタル/アナログ変換器に値を供給することによって生成される。正弦波形のうちの0〜π/2ラジアン部分に関する値だけが記憶され、例えばπ/2〜πラジアン部分で各値の反転値が使用され、この形状がπ〜2πラジアン部分で繰り返される。
【0024】
70で、参照信号66からスケーリング済みのAC信号58を減算(すなわち瞬間値から瞬間値を減算)して誤差信号72を生成することができる。正の値だけが得られることを保証するためにオフセットが導入される。上記の減算は、例えば適切なオフセットで動作する異なる増幅器で実行されてもよい。したがって、誤差信号72は正の値だけを含む。
【0025】
上記から分かるように、この誤差信号72はAC入力信号の位相の関数となる。この位相変動は、74で、誤差信号を参照信号66で除算して%誤差信号78を提供するように動作する乗算器チップ78によって取り除くことができる。次に80で、この%誤差信号78を使用してAC入力信号を変調することができる。参照信号66と誤差信号72はいずれも単極性信号であるので、乗算器チップ78は単一の象限で動作すれば済むことになる。これによって乗算器チップ78のコストと複雑さが大幅に低減される。さらに、このような単象限動作の使用によって他の利点も得られる。例えば、象限間の切り換えを行うときに(すなわち、ある入力の極性が変化するときに)固有のクロスオーバ歪みおよび線形性の不整合が回避される。さらに、通常であればリアクティブ成分(干渉フィルタ・チョークなど)の動作特性を変化させることもあるDCオフセットがAC入力信号内に存在する場合は、双方の半サイクルが正方向に向かうもの(positive going)として扱われ、それらの双方の半サイクルにDCオフセットが均等に追加されることになる。したがって、例えばこのDCオフセットを正および負の各半サイクルに追加した場合にも、ゼロ・ボルトを基準にした全体の波形は変化しないことになる。また、フィードバック・ループは、レギュレータ自体から導入されるDCオフセットを補償する。
【0026】
上記の変調はパルス幅変調手法に従って実行することができ、変調を介して信号の誤差を取り除くことができる。例えば、%誤差信号78とランプ信号とを比較することにより、当該%誤差信号78とランプ信号とが交差する場所を利用してパルス幅を定義することができる。例えば、レギュレータが必要とされるAC出力信号を生成している場合には、参照信号と(整流およびスケーリング後の)サンプリング済みのAC信号とが一致し、その結果ゼロの%誤差信号が得られる。これにより、変調においてAC入力信号の電圧が変化しないような全幅パルスが生じる。入力されるAC信号は一般にAC出力信号に必要とされるよりも大きくなるため、このような状況は例外的といえる。それ故、入力されるAC信号の電圧が必要とされている電圧を超える状況の方が遥かに多く発生する。このような状況がサンプリング済みのAC信号に反映され、その結果より小さいパルスを発生させる誤差信号78が得られる。これらのより小さいパルスによって入力されたAC信号が変調され、AC出力信号の電圧が必要なレベルまで降圧される。
【0027】
参照信号66の大きさと、サンプリング済みのAC信号52のスケーリングの程度は、AC入力信号が所望の230V RMSとなったときにゼロの%誤差信号78が得られるように選択される。本発明の利点の1つはその柔軟性にあり、例えば参照信号66の生成およびスケーリングは、任意の所望の出力電圧と適合するように変更することができ、例えばその地域の電気グリッドと適合するように変更することもできる。
【0028】
言うまでもなく、上記の構成には様々な修正を施すことができる。例えば、参照信号66を基準にしたAC入力信号のスケーリングが必要とされたときは、AC入力信号または参照信号66あるいはその両方に対してスケーリングを実行することができる。また、74の除算が終わるまではスケーリングを実行することができないようにしてもよい。例えば、%誤差をスケーリングのために増幅器に引き渡すこともできる。
【0029】
本発明はハードウェアの形で実施することもソフトウェアの形で実施することもでき、ハードウェアとソフトウェアの組合せの形で実施することもできる。例えば、電子部品を減算および除算を実行する演算ユニットとして機能させることができ、また、適切な形でプログラミングされたコンピュータをそのような演算ユニットとして機能させることもできる。
【0030】
レギュレータ・アセンブリ
図4は、本発明を実施するのに適した部品を含むレギュレータ・アセンブリ101のブロック図である。
【0031】
96から分かるように、活線104および中性線106上でそれぞれAC入力信号が受信され、各信号がACレギュレータ100に引き渡される。このAC入力信号は浮動状態であってよく、すなわち、必ずしも接地する必要はない。ACレギュレータ100は、AC入力信号の実際の調節を行うものであり、図4に示されるレギュレータ・アセンブリ101内の他の部品の制御下で操作される。
【0032】
以下の説明から明らかとなるように、ACレギュレータ100は次の4つのトランジスタ、すなわち、切り換えによってAC信号の変調を行い、それによってAC入力信号の調節を行う2つのトランジスタと、変調用トランジスタを保護するためにクランプ用ダイオードを有効化することができる2つのトランジスタとを備える。各クランプ用トランジスタは、クランプ電源ユニット(PSU)142から給電されるクランプ・スイッチング・コントローラ126の制御下で動作し、PSU 142は、AC入力信号から電力を取り込む。
【0033】
同様に、各変調用トランジスタは、変調器PSU 124から給電される関連する変調器スイッチング・コントローラ124を有し、変調器PSU 124は、AC入力信号から電力を取り込む。
【0034】
変調器スイッチング・コントローラ124は、1対の変調用トランジスタ間の動作を単に切り換えるだけで、一方または他方の変調用トランジスタの動作を可能にするものである。各変調用トランジスタの実際の切り換えは、パルス幅変調(PWM)手法に従って制御される。したがって、PWMモジュール90は、変調器スイッチング・コントローラ124から一方または他方の変調用トランジスタの動作を可能にする(またはいずれの動作も無効にする)信号を受信する。PWMモジュール90は、電圧比較器92および電流比較器94からの信号も受信する。
【0035】
電圧比較器92は、AC入力信号を参照し、AC入力信号の変調を有効化してAC出力信号の電圧を制御するように動作する。電流比較器94もAC入力信号を参照するが、電流比較器94は、レギュレータ・アセンブリ101に接続された1つまたは複数の負荷(load)に流れる電流を示す信号99も受信する。電流比較器94は、AC入力信号の変調を有効化して負荷に提供される電力を制御するように動作する。
【0036】
レギュレータ・アセンブリ101は、次の2つのモードのいずれか、すなわち電圧比較器92の管理下におかれる電圧制御モードと、電流比較器94の管理下におかれる電流制御モードのいずれかで動作することができる。どちらのモードを使用するかは、負荷から取り込まれる電流を監視することによって判定することができる。通常の電流が必要とされる場合には、電圧制御モードを使用することができ、すなわち、電圧比較器92がPWMモジュール90を制御し、PWMモジュール90がACレギュレータ100を制御する。一方、過剰電流が必要とされる場合には、(少なくとも短い期間の間は)電流制御モードを使用することができ、すなわち、電流比較器94がPWMモジュール90を制御し、PWMモジュール90がACレギュレータ100を制御する。各モードについては以下のセクションでより詳細に説明する。
【0037】
いずれにせよ、レギュレータ・アセンブリ101に接続された1つまたは複数の負荷に流れる電流を示す信号99も受信する電流過負荷検出器97によって、限界が与えられる可能性がある。電流が大きすぎる場合、または過剰電流の持続時間が長すぎる場合には、これを短絡として解釈することができ、電流過負荷検出器はACレギュレータ100の動作を停止させるように動作することができる。このような動作は、電流過負荷検出器97がPWMモジュール90を制御することによって実現することができる。
【0038】
上述のレギュレータ・アセンブリ101を使用してdchpジェネレータなどのジェネレータをグリッドまたは接続機器に接続することができる。例えば、レギュレータ・アセンブリ101は、dchpユニットのオルタネータと電気グリッドおよび家電機器との間のブリッジを形成することができ、それにより、オルタネータによって生成される信号が電気グリッドへの投入および/または接続機器への供給に適することを保証することができる。
【0039】
電圧制御および電流制御
上述のように、本発明で企図される応用例の1つは、それ自体のオルタネータからAC信号が生成されるdchpユニット内のスターリング・エンジンである。このような低慣性ジェネレータの特定の要件は、負荷需要に関わらずジェネレータ端子の両端間の適切なインピーダンスを提供することである。オルタネータが過度に高いインピーダンスまたは過度に低いインピーダンスを感知した場合には、その結果過電圧および波形歪みが生じる可能性があり、また、開路状態や短絡状態のような極端な場合には、ジェネレータの物理的損傷が発生する可能性もある。
【0040】
オルタネータは、それ自体が電気幹線(electrical mains)に直接接続されたときは適度に安定なインピーダンスが確実に提示されるようになっている。さらに、オルタネータは、調節要件に従って収容される回路を監視することによって損傷を与える故障および過渡事象から保護される。しかしながら、接続機器に電気エネルギーを提供するdchpユニットが使用され、そのdchpユニットが電気幹線から切断されたときは、グリッドの停電が発生した場合と同様に、オルタネータに固有の保護は存在しない。こうした状況下で、オルタネータの電気出力の両端に接続された接続機器に対応する負荷は、ゼロからオルタネータの完全レート出力まで変化する可能性がある。実際、各機器が最初にdchpユニットに接続されるときは、各負荷がオルタネータから通常提供される電流よりも遥かに大きい「インラッシュ」電流を必要とする可能性がある。
【0041】
このような低慣性ジェネレータに対してすべての負荷需要条件下で安定なインピーダンスが提示されるように保証することは有利である。この処理は、電圧制御動作モードおよび電流制御動作モードを使用して実施される。また、電流制御動作モードは、以下で説明するように最初の接続時に生じる家電機器のインラッシュ電流に対処する仕組みを提供する。
【0042】
本実施形態において、AC入力信号は、公称電圧および最大電流を有する。例えば、AC入力信号は、4.3Aの最大電流で230V RMSの信号を生成するように動作するdchpユニット内のオルタネータによって生成することができる。
【0043】
接続されている負荷から取り込まれる電流を監視して、その電流が4.3Aの限界を超えているかどうかを判定することができる。4.3A以下の電流が取り込まれている間にレギュレータを電圧制御モードで動作させ、それによってAC出力信号の波形が230V RMSの振幅の理想的な正弦波と厳密に一致するように制御することができる。このモードでは、オルタネータが定インピーダンスを確認するように過電流をダンプ抵抗にダンプすることができる。
【0044】
しかしながら、多くの状況では4.3Aを超える電流が必要とされる可能性がある。例えば、レギュレータにトースターを接続する場合、最初にスイッチを入れるときに大きな電流が必要となる。冷えた過熱素子では当初24Aもの電流が取り込まれる可能性がある。このような大きな電流需要は、レギュレータ100内のキャパシタが放電する(それによって取り込まれている電流が示される)際の電圧降下として感知することができ、その場合にはレギュレータ・アセンブリ101を電流制御モードに変更することができる。
【0045】
電流制御モードでは、オルタネータから最大4.3Aの定電流が取り込まれる。この電力は、ACレギュレータ100内のインダクタに供給される。インダクタから導出されるAC出力信号は、230V RMS未満まで降下させ得る電圧を有することができ、それによって使用可能な電力を利用して電流を4.3A超まで上昇させることにより、需要が確実に満たされるようにすることができる。したがって、電流比較器94がオルタネータから取り込まれる最大値の電流を制御しながら、接続されている負荷により高い電流が分配されることを可能にする動作を行っている間に、電圧を変化させることが可能となる。
【0046】
多くの状況がそうであるように、トースターは、過熱素子を温めている短い期間の間だけ大きな電流を取り込む。過熱素子が温められた後は、トースターは典型的には2.4Aしか必要としないので、レギュレータの通常の動作範囲に十分収まることになる。したがって、電流需要が最大値の4.3Aを下回ったときに動作モードを電圧制御モードに戻すことができる。
【0047】
実際には、2つの異なる閾値を使用して乱調(すなわち、信号内の雑音に起因する度重なる切り換えによって生じる連続的な閾値超過)を防止するヒステリシスを提供することができる。電圧制御モードで動作しているときは、220V RMSへの電圧降下を使用して、過剰な電流需要が示されることから、電流制御モードに切り換えるよう指示するのに十分な大きさの電圧降下を示すことができる。電流制御モードで動作しているときは、225V RMSへの電圧上昇を使用して、電流需要が通常の状態に戻ったことから、電圧制御モードに切り換えるよう指示することができる。したがって、電圧が220V RMSの閾値を下回るまで降下したときは、信号の雑音揺らぎが非常に小さくなるので、225V RMSの閾値を超過することはなく、したがって制御が不用意に早い段階で電圧モードに切り換えられることもない。5Vの閾値差は、その差が予期される雑音変動よりも大きくなるように選択されている。同様に、動作を電圧制御に変更するために電圧を225V RMSの閾値を超えるまで増加させるには、制御を電流モードに戻す前に電圧を220V RMSまでかなり大幅に降下させる必要があるが、そのような降下幅は信号内の雑音で埋め合わせるには大きすぎる。
【0048】
ACレギュレータ
図5には、本発明を使用することが可能なACレギュレータ100が示されている。ACレギュレータ100は、AC源に接続される1対の入力端子102を備える。本実施形態において、入力端子102は、dchpユニット内で動作するスターリング・エンジンのオルタネータの出力を受信する。ACレギュレータ100は、活線104と中性線106との間の入力としてそれぞれ公称240VのAC信号を受信する。ACレギュレータ100は、1対の出力端子108の所望のAC出力信号を提供する。本実施形態では、dchpユニットからのAC入力が調節された後、そのAC入力が出力端子108からdchpユニットから電力を取り込む複数の接続家電製品に分配される。さらに、レギュレータ100は、幹線電源(electrical mains supply)に供給される調節済みのAC信号を提供することができる。
【0049】
ACレギュレータ100は事実上、2つのバック・レギュレータの組合せを備える。したがって、ACレギュレータ100は、いずれもAC入力信号をパルス幅変調して所望の信号がAC出力信号として提供されるように動作する1対の変調用トランジスタ110a、110bを備える。適切なPWM手法およびそれらの実装形態は、当技術分野でよく知られている。本明細書の他の部分でも説明されているように、PWMを実行してAC出力信号の電圧または電流を制御することができる。
【0050】
一方のトランジスタ110aは、AC入力信号の正の半サイクル中に変調を行い、他方のトランジスタ110bは、負の半サイクル中に変調を行う。この動作方法を可能にするために、トランジスタ110a、110bは直列に配置され、各トランジスタ110a、110bは、それぞれ変調器ダイオード112a、112bを備えた関連するシャントを有する。AC入力信号の負の半サイクル中は変調用トランジスタ110bがバイパスされ、AC入力信号の負の半サイクル中は変調用トランジスタ110aがバイパスされるように、これらの2つの変調器ダイオード112a、112bにはそれぞれ逆のバイアスが掛けられる。
【0051】
また、正の半サイクル中はダイオード114aがクランプ用ダイオードとして働き、負の半サイクル中はダイオード114bがクランプ用ダイオードとして働くことができるように、それぞれ逆のバイアスが掛けられる1対のクランプ用ダイオード114a、114bも設けられている。スイッチ型のシャント116a、116bは、各クランプ用ダイオード114a、114bの動作が必要とされない半サイクル中それらをバイパスすることができるように設けられている。スイッチは1対のトランジスタ118a、118bによって提供され、以下ではこれらのトランジスタを上述の変調用トランジスタ110a、110bと区別するために、クランプ用トランジスタ118a、118bと呼ぶ。
【0052】
変調用トランジスタ110a、110bから提供される信号を平滑化するインダクタ120およびキャパシタ122が設けられており、これによって出力端子108で必要とされる出力信号が提供される。
【0053】
レギュレータ100は以下のように操作することができる。
【0054】
AC入力信号の正の半サイクル中は、活線104から電流が流れ、変調器ダイオード112aによってブロックされ、その結果、電流はパルス幅変調手法に従ってゲーティングされる変調用トランジスタ110aに流れることになる。その後電流は、変調器ダイオード112bを介しシャントに沿って変調用トランジスタ110bをバイパスする(すなわちOFFに切り換えられる)。その後、各出力端子108で確認される電流フローを平滑化するように動作するインダクタ120およびキャパシタ122に突発電流が流れ込む。クランプ用ダイオード114aは、インダクタ120が電流フローを維持しようと試みるときに生じる逆電圧から変調用トランジスタ110aを保護する。これは、クランプ用ダイオード114bをバイパスするために、クランプ用トランジスタ118aがONに切り換えられ、クランプ用トランジスタ118bがOFFに切り換えられることに起因する。これにより、中性線106からシャント116aを介しクランプ用トランジスタ118aを経た後、クランプ用ダイオード114aを通って活線104に至る電流経路だけが設けられることが保証される。
【0055】
AC入力信号の負の半サイクル中は、中性線106から変調用トランジスタ110bを介して活線104に至る電流フローが達成される。変調器ダイオード112bは、電流がパルス幅変調手法に従ってゲーティングされる変調用トランジスタ110bを通過することになるように電流フローをブロックする。電流は、変調器ダイオード112aを介しシャントに沿って変調用トランジスタ110aをバイパスする(すなわちOFFに切り換えられる)。インダクタ120およびキャパシタ122は、ここでも各出力端子108で確認される電流フローを平滑化するように動作する。ここでは、インダクタ120が電流フローを維持しようと試みるときの変調用トランジスタ110bの保護を他方のクランプ用ダイオード114bが行うことになる。これは、クランプ用ダイオード114aをバイパスするために、クランプ用トランジスタ118bがONに切り換えられ、クランプ用トランジスタ118aがOFFに切り換えられることに起因する。これにより、活線104からシャント116bを介しクランプ用トランジスタ118bを経た後、クランプ用ダイオード114bを通って中性線106に至る電流経路だけが設けられることが保証される。
【0056】
スイッチング・コントローラ
図6は、図5のレギュレータに加えて、変調用トランジスタ110a、110bに関連する変調器スイッチング・コントローラ124と、クランプ用トランジスタ118a、118bに関連するクランプ・スイッチング・コントローラ126も示している。
【0057】
スイッチング・コントローラ124、126は、関連する電源ユニット(PSU)132、142(図6では個別の図示は省略)から給電可能な電力を必要とする。PSUのさらなる詳細は以下のセクションで示される。
【0058】
図7は、ACレギュレータ100内で使用することが可能な、出力端子12a、12bの1対のゲート駆動信号を提供する一般的な駆動回路10を示す。ゲート駆動信号は、活性入力(live input)14および中性入力(neutral input)16で受信されるAC入力信号を基準にして生成される。論理は、ゲート駆動信号がhigh状態またはlow状態を有することができるように提供される。さらに、駆動回路10は、端子12aがhighのときに端子12bの出力がlowとなり、逆もまた同様となるように構成される。AC入力信号が正から負に切り換わり、負から正に戻る際は、端子12a、12bの両方の出力がhighになることがないように、端子12a、12bの出力の状態はhighからlowに切り換わり、またはその逆に切り換わる。切り換えが行われる厳密な時期のさらなる詳細は、以下のセクションのうちの1つで示される。
【0059】
図7から分かるように、駆動回路の論理部分は、1対のNOTゲート18a、18bを備えることができる。本例では、NOTゲート18aがマスター論理ゲートとなる。NOTゲート18a、18bの周囲にキャパシタ22を含むシャント20を延在させて駆動回路の応答性を改善することができる。NOTゲート18aの出力は、端子12a側の出力を提供し、また、NOTゲート18bに引き渡されて端子12b側の出力を提供するように反転される。それ故、端子12a、12bに提示される出力はhighとlowの組合せであり、主にマスター論理ゲートであるNOTゲート18aの出力によって制御される。
【0060】
回路10は、それぞれグラウンド24に続くシャントを提供するように構成された3つのトランジスタQ1、Q2、およびQ3を含むこともできる。トランジスタQ3をON/OFF切り換えすることによってNOTゲート18aの入力に電流が流れるかどうかを判定することができ、これによってゲート駆動信号の状態を判定することができる。トランジスタQ1は、AC入力信号が負のときに活性端子(live terminal)14をグラウンド24にクランプするために設けることができる。同様に、トランジスタQ2は、AC入力信号が正のときに中性端子(neutral terminal)16をグラウンド24にクランプするために設けることができる。
【0061】
例示的な駆動回路10の動作を以下に示す。出発点として、活性端子14は正の半サイクルの立ち上がり側で正となり、中性端子16は負の半サイクルの立ち下がり側で負となるものと仮定する。次に、正の活性端子14は、それ自体が導通状態となるような電流がトランジスタQ3に流れることを確認する。したがって、DC電源26からの電流は、トランジスタQ3を介してNOTゲート18aではなくグラウンド24に流れる。したがって、NOTゲート18aへの入力はlowとなり、その出力はhighとなる。この出力は、出力端子12aの出力が「high」となるように出力端子12a側で確認される。NOTゲート18aからの「high」の出力はNOTゲート18bの入力となり、したがって、NOTゲート18bは端子12b側で確認される「low」の出力を生成する。
【0062】
フィードバック・ループ28は、NOTゲート18aからの「high」の出力をトランジスタQ2のベース部分に引き渡し、その結果トランジスタQ2は導通状態となる。したがって、トランジスタQ2は、中性端子15をグラウンド24にクランプするシャントを提供する。中性端子16はトランジスタQ1にも接続されており、したがって、シャントがトランジスタQ2を経由することを考慮すると、トランジスタQ1はOFF状態である。言うまでもなく、OFF状態のトランジスタQ1は、活性端子14からの電流がグラウンド24に直接流れるのではなくトランジスタQ3に流れることを保証するものである。
【0063】
AC入力信号の極性が変化すると、活性端子14はゼロとなり、その後中性端子16に対して負となる。それ故、トランジスタQ3には電流が流れずOFF状態となる。トランジスタQ3がOFF状態にあるときは、DC電源26からの電流がNOTゲート18aに流れる。「high」の入力があったときは、NOTゲート18aが端子12a側で確認される「low」の出力を生成する。NOTゲート18aからの「low」の出力は、端子12bの「high」の出力となるようにNOTゲート18bによって反転される。NOTゲート18aからの「low」の出力は、フィードバック・ループ28を介してトランジスタQ2のベース部分で確認され、その結果トランジスタQ2がOFFに切り換えられる。中性端子16のグラウンド24へのクランプがそれ以上行われず、中性端子16が徐々に正に近付いていくときは、トランジスタQ1に電流が流れON状態となる。トランジスタQ1が導通状態になったときは、活性端子14がグラウンド24にクランプされる。
【0064】
AC入力信号の極性が再び変化すると、中性入力16がゼロに降下することによってトランジスタQ1がOFFに切り換わり、中性入力16が正の端子14に対して負となるため、ダイオードD1がトランジスタQ1およびQ2を保護する。したがって、活性端子14のグラウンド24へのクランプはそれ以上行われない。活性端子14が正の状態となったときは、トランジスタQ3がONに切り換わり、その結果NOTゲート18aに対する入力が「low」となり、出力端子12a、12bで確認される状態が反転される。NOTゲート18aからの「high」の出力がトランジスタQ2に供給されると、トランジスタQ2がON状態となり、中性端子16がグラウンド24にクランプされる。
【0065】
これらのクランプ・サイクルは別の手法で考えることもできる。活性端子14が中性端子16に対して正であるときは(すなわちAC入力信号の正の半サイクル中は)、中性入力16がトランジスタQ2を介して参照(0V)レベルとしてのグラウンド24にクランプされる。同様に、中性入力14が活性入力16に対して負であるときは(負の半サイクル中は)、活性入力14がトランジスタQ1を介して基準レベルとしてのグラウンド24にクランプされる。基準レベルの切り換えをゼロ・ボルトから約1ボルト(one volt of zero volts)の範囲内に制限し、各出力端子12a、bに提示される駆動信号の遷移の切り換えを調節することにより、駆動回路は、逆極性接続に起因する損傷からそれ自体を保護するだけでなく、駆動素子(例えばトランジスタ)も保護するようになる。
【0066】
次に、図7の一般的な回路の具体的な実装形態の説明に移る。図8は、クランプ・スイッチング・コントローラ126を詳細に示す。本例において、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、後で説明するようにクランプPSU 142から+15VのDC信号を受信する。図面から分かるように、図8のクランプ・スイッチング・コントローラは、事実上図7の駆動回路10に対応する。同様の部分には同様の参照番号が付されるが、図8では図7の参照番号に200を加えてある。
【0067】
図8の回路の違いの1つは、NOTゲートではなくNORゲートを使用して論理が実装される点である。NORゲート218a、218bがNOTゲートと同様に機能することを保証するために、各入力は、よく知られる2つの構成で配置される。NORゲート218aに関しては、第2の入力がグラウンド224に結合される。NORゲート218bに関しては、両方の入力に同じ信号(NORゲート218aからの出力)が供給される。これらの構成は入れ替えることができ、また、同じ構成をNORゲート218aとNORゲート218bの両方に使用することもできる。NORゲート218a、218bからの出力は、それぞれ212a、212bで示されている。これらの出力212a、212bは、図8では出力端子としては示されず、後続のNORゲート230a、230bに引き渡され、以下ではこれらのゲートの機能について説明する。
【0068】
先の説明から分かるように、活性端子214が正となる正の半サイクル中は、出力212aが「high」となり、出力212bが「low」となる。このとき、トランジスタQ3がONになることで、NORゲートに対する入力が「low」に保たれ、トランジスタQ2がONになることで、中性端子216がグラウンド224にクランプされ、トランジスタQ1がOFFになることで、活性端子214がグラウンド224にクランプされないことが保証される。中性端子216が正となる負の半サイクル中は、出力212aが「low」となり、出力212bが「high」となる。このとき、トランジスタQ3がOFFになることで、NORゲートに対する入力を「high」にすることが可能となり、トランジスタQ2がOFFになることで、中性端子216がグラウンド224にクランプされないことが保証されるとともに、トランジスタQ1をONにして活性端子214をグラウンド224にクランプすることが可能となる。
【0069】
この追加的なNORゲート230a、230bは、ACレギュレータ100内のインダクタ120の両端に残留電圧が存在するときに、出力端子212a、212bに提示される2つのゲート駆動信号が活動化されることがないように保証するために含まれている。これにより、クランプ用トランジスタ118a、118bがその期間中に動作不能な状態を保つことを保証することによって、インダクタ120が放電する際に発生する逆電圧から各クランプ用トランジスタ118a、118bが保護される。
【0070】
この処理は、実際には、それ自体の他方の入力がコイル端子234を介してインダクタ・コイル120の「トップ・エンド」に接続されているNORゲート230aの一方の入力に、出力212aを引き渡すことによって達成される。したがって、インダクタ120から電流が流れておらず、212aの出力も「low」であるときは、出力端子232a上では「high」の出力だけが確認される。負の半サイクル中に出力212aが「low」であるときは、クランプ用ダイオード114bがアクティブとなることを保証するために、その負の半サイクル中にシャント116bが定位置となるように、端子232a側のゲート駆動信号がクランプ用トランジスタ118bに引き渡される。負の半サイクル中は、出力212bが「high」となり、したがって端子212b側のゲート駆動信号が常に「low」となる。このゲート駆動信号はクランプ用トランジスタ118aに供給され、その結果、クランプ用トランジスタ118aがOFF状態を保ち、クランプ用ダイオード114bがアクティブ状態を保つことが保証される。
【0071】
出力212bは、それ自体の他方の入力が中性端子216に接続されているNORゲート230bの一方の入力に引き渡され、それによってインダクタ・コイル120の「バック・エンド」上の電圧を確認する。その結果、端子232bに提示されるゲート駆動信号は、両方のインダクタ120が正の半サイクル中に放電した(端子212b側の出力が「low」となる)ときにだけ「high」となる。したがって、正の半サイクル中は、端子232b側の「high」の出力によってクランプ用トランジスタ118aがONに切り換わり、端子232a側の「low」の出力によってクランプ用トランジスタ118bがOFFとなることが保証される。これにより、クランプ用ダイオード114aは、正の半サイクルの全体をとおしてアクティブとなる。
【0072】
各半サイクルの開始点では212aおよび212bの各出力が反転されるが、各端子232a、232bに提示されるゲート駆動信号はいずれも、インダクタ120の両端の残留電圧によってOFFに保たれる。それ故、クランプ用トランジスタ118a、118bはいずれもOFFのままとなり、したがってインダクタ120が完全に放電されるまで保護されることになる。
【0073】
図9は、変調器PSU 132から12Vの供給を受ける変調器スイッチング・コントローラ124を示す。図示の5Vの供給は、変調器PSU 132から提供される12Vから任意の標準的な手法で取得することができる(実際には、変調器PSU 132を使用して12Vを必要とする他のコンポーネントに給電するため、図示の構成となっている)。図9の回路は、図7および図8の回路と非常に類似しており、したがって、図9では図7の参照番号に300を加えた同様の参照番号が使用されている。変調用トランジスタ110a、110bは(クランプ用ダイオード114a、114bによって)インダクタ120が放電する際に発生する逆電流から保護されるので、NORゲートを含める必要はなく、インダクタ120の電圧参照を含める必要もない。また、活性端子314および中性端子316は、変調器スイッチング・コントローラ124がクランプ・スイッチング・コントローラ126に対して180°ずれた位相で動作することが保証されるように効果的に反転される。
【0074】
このため、トランジスタQ1は依然として活性端子314をグラウンド324にクランプするように動作し、トランジスタQ2は中性端子316をグラウンド324にクランプするように動作し、トランジスタQ3はNOTゲート318aに対する入力を設定するように動作する。これにより、中性端子316が活性入力314に対して正であるときは、トランジスタQ3のベース側で中性端子316が導通状態にあることが確認される。したがって、変調器PSU 132からの電流がグラウンド324に流れ、その結果NOTゲート318aに対する入力が「low」となることが保証される。これは、NOTゲート318aの出力が「high」となり、出力端子232a側で確認されることを意味する。NOTゲート318aからの「high」の出力は、NOTゲート318bに引き渡され、その結果、それ自体の出力が出力端子312b上で「low」として確認されることが保証される。さらに、NOTゲート318aからの「high」の出力は、フィードバック・ループ328に沿って引き渡され、それによってトランジスタQ1がONに保たれる。したがって、活性端子314は、トランジスタQ1を介してグラウンド324にクランプされる。活性端子314がグラウンドにクランプされたときは、トランジスタQ2がOFFに保たれ、その結果、中性端子316がグラウンドにクランプされないことが保証される。
【0075】
活性入力314側のAC入力信号が中性入力316に対して正に向かうとき、中性入力16はゼロに降下し、それによってトランジスタQ3がOFFに切り換えられる。これにより、NOTゲート318aに対する入力が「high」に向かうことが確認され、その結果、端子312a側では「low」の出力が、端子312b側では「high」の出力が得られることになる。NOTゲート318aからの「low」の出力は、フィードバック・ループ328を介してトランジスタQ1によって確認され、したがってトランジスタQ1がOFFに切り換わる。トランジスタQ1がOFFに切り換えられたときに、活性端子314はそれ以上グラウンド324にクランプされなくなり、その時点から正に向かう活性端子314の電位によってトランジスタQ2がONに切り換えられ、それにより、中性端子316がグラウンド324にクランプされる。
【0076】
したがって、正の半サイクル中は、端子312a側のゲート駆動信号が「low」となり、端子312b側のゲート駆動信号が「high」となる。これとは逆に、負の半サイクル中は、端子312a側のゲート駆動信号が「high」となり、端子312b側のゲート駆動信号が「low」となる。端子312aは変調用トランジスタ110bに接続され、端子312bは変調用トランジスタ110aに接続されている。これにより、正の半サイクル中に(端子312bが「high」のときに)変調用トランジスタ110aを切り換えることができ、負の半サイクル中に(端子312aが「high」のときに)変調用トランジスタ110bを切り換えることができることが保証される。上述のように、ゲート駆動信号は、変調用トランジスタ110a、110bに直接供給されるのではなく、必要とされる調節済みの信号を生成するPWMモジュール90によってパルス幅変調が施される。したがって、変調器スイッチング・コントローラ124は、変調用トランジスタ110a、110bをPWMモジュール90によって切り換えることが可能となる時点を制御し、それ以外のすべての時点で変調用トランジスタ110a、110bがOFFとなることを保証するように動作する。
【0077】
上記の実施形態では、「high」の値を有する駆動信号を使用して各駆動信号の接続先となるトランジスタ(または駆動信号によって駆動可能なその他のデバイス)を駆動している。言うまでもなく、各デバイスが反転論理に従って動作する(すなわち、「high」の信号ではなく「low」の駆動信号によって各デバイスを活動化する必要がある)場合にも、上記の各実施形態は、それぞれの論理出力が反転されるように容易に適合することができる。
【0078】
スイッチング・コントローラPSU
各PSUは、例えばdchpユニットから供給されるAC信号のようなAC入力信号から均等に電力を取り込むことができる。図6から分かるように、変調器PSU 132は、AC入力信号の負の半サイクルの間だけ電力を受け取るように、適切にバイアスが掛けられたダイオード128を介して中性線106から電力を取り込むことができる。これとは逆に、クランプPSU 142は、AC入力信号の正の半サイクルの間だけ電力を受け取るように、適切にバイアスが掛けられたダイオード130を介して活線104から電力を取り込むことができる。したがって、PSU 132および142は、それぞれ交互の半サイクルの間に電力を取り込むことができる。さらに、PSU 132および142は、それぞれ均等に電力を取り込んでdchpユニットからのAC信号の整合性を保証することができ、また、非対称の電流波形をスイッチング・コントローラ132および142にもたらすこともできる。これにより、通常であれば複雑さと費用が高まるはずの力率改善の必要がなくなる。
【0079】
図10は、変調器PSU 132の一実施形態を示す。上述のとおり、このPSU 132は、AC入力信号の負の半サイクル中に電力を取り込むことができる。この例では、電流フローが中性線106から活線104に流れる。本実施形態で使用される変調用トランジスタ110a、110bは、12VのDC電圧で40mAの最大定常電流を必要とする。12Vのレベルは、20:1のスイッチング比で操作されるスイッチ134を使用することによって240Vの入力から得ることができる。12Vの滑らかなDC出力を保証するために、ダイオード136および平滑化コンポーネント(インダクタ138およびキャパシタ140)を含めることができる。変調器PSU 132は、必要とされる40mAの平均電流を供給するために、負の半サイクルの動作中に80mAの電流を取り込むことができる。20:1というスイッチング比は、電力を一定に維持しなければならないためAC入力から4mAの電流が取り込まれることを指す(スイッチの両端で電圧が240Vから12Vに降下することを思い出されたい)。
【0080】
図11は、クランプ用トランジスタ118a、118bのクランプPSU 142を示す。上述のように、このPSU 142は、AC入力信号の正の半サイクル中に電力を取り込むことができる。クランプ用トランジスタ118a、118bは、変調用トランジスタ110a、110bよりもずっと低い頻度で切り換わるため、それらと比べると必要とする電流もかなり少ないものとなる。具体的には、クランプ用トランジスタ118a、118bは、15VのDC電圧で1.8mAの最大定常電流を必要とする。その結果、図10に示されるようなスイッチング回路は好ましくない。その代わりに、必要とされる15Vを定格電圧とするツェナー・ダイオード144を使用してシャント調節され得る単純な半波整流回路を使用することができる。この回路の消費電力は、スイッチ134が電界効果トランジスタとして実装され得る図10の回路よりも低くなる可能性がある。
【0081】
ツェナー・ダイオード144を使用して出力の両端の電圧を15Vに制限することができ、並列キャパシタ146を使用して出力を平滑化し、負の半サイクル中の放電に備えて正の半サイクルの間にエネルギーを蓄えることができる。必要とされる1.8mAの平均電流は、正の半サイクルの間だけ3.6mAの電流を取り込むことによって得ることができる。この3.6mAの電流は、オームの法則に従い、33kΩの2つの直列抵抗148を使用して必要な66kΩの抵抗を提供することにより、240Vの入力から得ることができる。
【0082】
上記のPSU 132およびクランプPSU 142に関する2つの異なる構成が使用される場合、各構成では、AC入力信号から電力を均等に取り込むことを可能にしながら、各構成に関連するトランジスタ110a、110bおよびトランジスタ118a、118bに大きく異なる瞬間電流が提供され得ることが保証される。
【0083】
上記ではPSU 132、142に関する2つの具体例が示されているが、他のPSUを使用してトランジスタ110a、110bおよびトランジスタ118a、118bに給電することもできる。例えば、PSU 132と142の両方をスイッチャとすることも、線形構成とすることもできる。各PSUが共通の設計を有することもできる。別法として、チャージ・ポンプをPSUとして使用して電圧を増幅または減少させることもできる。適切な一例は、4段Dicksonチャージ・ポンプである。このようなチャージ・ポンプはインダクタを使用しないため、通常であれば干渉を引き起こす恐れがある大きな磁場を発生させることはない。
【0084】
極性切り換えのタイミング
先のセクションでは、正の半サイクルと負の半サイクルとの間の変更を有効化するスイッチング・コントローラ124、126と、それぞれのPSU 132、142とについて説明してきた。このセクションでは、正のスイッチングから負のスイッチングに変更する正確なタイミングがどのように管理され得るかについて説明する。AC入力信号が完全な正弦波信号とはならない可能性があることに関連する潜在的な問題を回避するために、このタイミングは厳密に制御する必要がある。図11は、例えばdchpユニットから取得され得る不均一なAC入力信号の一例を示す(ただし図を分かりやすくするために強調してある)。このような不均一な信号では、正の半サイクルから負の半サイクルに変化する際に必ずしも単一のゼロ・クロスがもたらされない可能性があり、その逆もまた同様である。以下から分かるように、信号上の雑音が3つ以上のゼロ・クロスをもたらす可能性がある。
【0085】
トランジスタ110a、110bおよび118a、118bが繰り返し切り換われば非効率につながるのが関の山であり、最悪の場合にはトランジスタ110a、110bおよび118a、118bに損傷を与えることもあるため、これを確実に回避するために、スイッチングはゼロ・ボルト周辺で厳密に制御する必要がある。さらに、トランジスタ110a、110bおよび118a、118bのスイッチングは、110aと110bのトランジスタ対と、118aと118bのトランジスタ対の両方のトランジスタ対が同じタイミングでスイッチングされないことが保証されるように制御しなければならない。特に、シャント116a、116bに沿って活線104から中性線106までの短絡回路が形成されないように、クランプ用トランジスタ118a、118bを同じタイミングでONに切り換えることができないようにすべきである。
【0086】
これらの問題を回避するために、スイッチングが一切許可されないゼロ・ボルト周辺の「デッド・ゾーン(dead zone)」が生み出されるスイッチング・レジームを実装することができる。この目的で、各極性変更毎に1対のオフセットを使用することができ、例えば正から負のスイッチングでは−V1と−Vswitchのオフセットを、負から正のスイッチングでは+V1と+Vswitchのオフセットを使用することができる。これらのオフセットは図11に示されている。
【0087】
±V1のオフセットにより、活性入力と中性入力との間の電圧が±V1の狭帯域に収まるときは常に「ゼロ・ボルト」条件が満たされるようなデッド・ゾーンが生み出される。この狭帯域に収まるゼロ・ボルトをAC入力信号が通過する際に生じるAC入力信号内の揺らぎによって起こる正と負の間の遷移は、この回路に関して言えばゼロと区別することができない。このため、±V1の値は、バックグラウンド信号の雑音レベルよりも大きくなるように選択することができる。
【0088】
トランジスタ110a、110bおよび118a、118bのアクティブ・スイッチングは、AC入力信号の電圧が+Vswitchを超えたときに開始される。アクティブ・スイッチングは、AC入力信号が+V1のオフセットを下回ると停止される。各オフセットは、(正の信号に関する)+V1から+Vswitchまでの帯域と、(負の信号に関する)−V1から−Vswitchまでの帯域とを生み出し、これによって「乱調」(通常であればAC入力信号が単一の作動レベルの上下に変動することによって生じるはずの、スイッチングの可能化および無効化の急速な繰り返し)を解消するヒステリシスが提供される。これらの帯域は、予想される雑音の大きさよりも大きくなるように設定することができる。
【0089】
正の半サイクルから開始する場合、変調用トランジスタ110aはアクティブとなり、PWM手法に従ってAC入力信号を変調するために切り換えられる。変調用トランジスタ110bはOFFとなる。クランプ用トランジスタ118aがONとなり、クランプ用トランジスタ118bがOFFとなることで、クランプ用ダイオード114aが有効となることが保証される。AC入力信号がゼロ・ボルトに向かって下がっていき、これが+V1の閾値を通過すると、変調用トランジスタ110aとクランプ用トランジスタ118aがどちらもOFFに切り換わる。それ故、AC入力信号がゼロ・ボルトを通過する前に、すべてのトランジスタ110a、110b、118a、118bがOFFに切り換えられることになる。インダクタ120はAC入力信号がゼロ・ボルトを通過すると放電するため、各オフセットは、インダクタ120が完全に放電される前にスイッチングが開始されないことを保証するのに役立つ。上述のように、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、ゲート駆動信号が、インダクタ120の両端の電圧がゼロに下がるまで「high」になることがないように各論理ゲート232a、bによって制御される点で、フェイル・セーフの役割を果たす。
【0090】
AC入力信号は徐々に負に近付いていき、1番目のオフセット−V1を通過する。これにより、スイッチング・コントローラ124、126を正モードから負モードに切り換えることができる。すなわち、トランジスタQ1、Q2、およびQ3の状態が切り換わり、活性端子214、314がそれぞれグラウンド224、324にクランプされることになる。この時点でスイッチング・コントローラ124、126の動作準備が整うことになるが、ゲート駆動信号は、2番目のオフセット−Vswitchを通過するまで「low」に維持される。−Vswitchを通過すると、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、「high」駆動信号を送信してクランプ用トランジスタ118bをONに切り換え、それによってクランプ用ダイオード114bを有効にすることができる。その後、クランプ・スイッチング・コントローラ124は、変調用トランジスタ110bが必要なパルス幅変調手法に従ってスイッチングを開始することができるように、「high」駆動信号を設定することができる。クランプ用トランジスタ118bが変調用トランジスタ110bよりも先にONに切り換わることを保証するために、変調用トランジスタ110bの−Vswitchよりもクランプ用トランジスタ110bの−Vswitchの方がゼロ・ボルトに近くなるように設定することができる。
【0091】
AC入力信号が再び下がり始めたときは、−V1を通過したときにだけスイッチングが停止される。
【0092】
以下の説明から分かるように、AC入力信号を負から正に切り換えるときは、上記と逆のプロトコルを使用することができる。簡潔に言えば、変調用トランジスタ110bおよびクランプ用トランジスタ118bがOFFに切り換わり、ゼロ・ボルトを通過し、+V1に到達した時点でスイッチング・コントローラ124、126が負から正に向かい(トランジスタQ1、Q2、およびQ3が切り換わり、中性端子216、316がグラウンド224、324にクランプされ)、最終的に+Vswitchに到達した時点で、まずクランプ用トランジスタ118aがONに切り換わり、その後変調用トランジスタ110aがONに切り換わる。
【0093】
図12は、±V1および±Vswitchの例示的な値を示す。実際には、これらの値は変更することができる。上述のように、変調用トランジスタ110a、110bがスイッチングを開始する前にクランプ用トランジスタ118a、118bがONになることが保証されるように、変調器スイッチング・コントローラ124とクランプ・スイッチング・コントローラ126とで異なる値、例えば異なる±Vswitchの値を使用することができる。図12は、ゼロ・ボルトからの対称的なオフセットを有する±V1および±Vswitchのオフセット対を示す。ただし、オフセットは必ずしも対照的である必要はない。例えば、+V1の大きさは、PSU 132、142によって使用される不均衡な瞬間電力ドレインの影響で−V1と異なる可能性もある。以下から想起されるように、正の半サイクルから負の半サイクルの間に得られる平均電力が均衡していても、瞬間レベルは変動する可能性がある。
【0094】
スイッチング・コントローラ124、126を使用したこのスイッチング手法の正確な実装形態は、トランジスタおよびダイオードの電圧降下、電流増幅要因、電圧切り換え特性などの素子特性を考慮に入れたコンポーネント値の選択に依存する。当業者なら、各コンポーネントおよびコンポーネント値の適切な選択肢を計算または実験測定あるいはその両方によって容易に決定することができるであろう。
【0095】
AC入力信号の調節
上記では、AC入力信号の調節を実施することが可能となる方法を概説してきた。レギュレータ・アセンブリ101の場合では、本調節は、電圧比較器92または電流比較器94がPWMモジュール90と連動して実施する。電圧比較器92と電流比較器94の動作様式は、事実上同様である。その理由は、電流比較器94は電流を調節するように動作するが、実際には抵抗の両端の電圧を監視することによって電流の調節を行う(すなわち、電流比較器94は電圧制御を介して、電流制御を間接的に有効化する)からである。したがって、上記の概要は、電圧比較器92と電流比較器94の両方の動作に適用される。
【0096】
上記の実施形態には、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨から必ずしも逸脱することなく様々な変更を施すことができることが当業者には理解されるだろう。
【0097】
上記のレギュレータ・アセンブリ101は、家電製品で使用されるdchpユニット内のスターリング・エンジンによって提供されるAC供給を調節する文脈で説明されてきた。しかしながら、本発明に係る調節は、他の有益な用途を見出すことができる。レギュレータ・アセンブリ101は事実上、ジェネレータや幹線電源など任意の電圧源の下流で動作するように設計されている。
【0098】
例えば、レギュレータ・アセンブリ101を使用してスターリング・エンジンのオルタネータと幹線電源との間のインターフェースを緩衝することにより、通常であれば出力波形が崩壊するほど大きな揺らぎを引き起こす恐れがある電圧および電流の過渡状態および定常状態の変動を防止することができる。このような構成により、グリッド電源の品質劣化に対応する安全措置の場合と同様に、制御システムで生じるエンジン停止の可能性が低下する。
【0099】
本発明に係るレギュレータ・アセンブリ101の好ましい利点の1つは、スタンド・アロン・ジェネレータとそれ自体の負荷(接続機器など)との間の接続を電気グリッドの制約に関わらず任意の国または市場で実現できることである。可能なグリッドおよびエンジンの周波数範囲に応じて電圧を設定する手段を提供することにより、スイッチング・レギュレータは、様々な市場の様々なグリッドと整合する機器での使用に適した電圧/周波数モデルを提供することができる。
【0100】
レギュレータ・アセンブリ101は、dchpユニット以外の文脈で使用することもできる。例えば、レギュレータ・アセンブリ101は、幹線電源と照明回路のような家庭用回路との間の緩衝器として使用することができる。電圧波形を制御することにより、大きな影響なしに、消費電力を調整(adjust)して電流需要の瞬間的な急増に対処し、力率を改善し、電気効率の改善によってコストを削減することが可能となる。また、波形制御を使用して、低品質の電源または高波高率の負荷のピーク電流需要に起因する揺らぎを緩和することもできる。実際、レギュレータ・アセンブリ101を利用すると、従来達成することができなかった蛍光照明の点火と後の調光とを確実に行うことができるようになる。
【0101】
本発明に係るレギュレータ・アセンブリ101の他の用途は、幹線電源と電気モータとの接続である。この場合、レギュレータ・アセンブリ101は、非常に低コストで単純な節電器およびコントローラとして動作し、その結果、通常の駆動装置と比較してモータ損失も低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】既知のバック・レギュレータの回路図である。
【図2】事実上2つのバック・レギュレータを組み合わせた既知のACレギュレータの回路図である。
【図3a】本発明の一実施形態に係るAC信号を調節する方法のブロック図である。
【図3b】図3aの方法の一実装形態を示す概略図である。
【図4】AC入力信号を受信し、AC出力信号を生成するように動作可能なレギュレータのブロック図である。
【図5】本発明に係るACレギュレータの一部を示す回路図である。
【図6】図5の回路を含む本発明に係るACレギュレータと、関連するスイッチング・コントローラとを示す回路図である。
【図7】第1および第2のゲート駆動信号を供給する駆動回路の回路図である。
【図8】クランプ・スイッチング・コントローラの回路図である。
【図9】変調器スイッチング・コントローラの回路図である。
【図10】1対の変調用トランジスタを制御する図6のスイッチング・コントローラのうちの一方の電源を示す回路図である。
【図11】クランプ用ダイオードに関連する1対のトランジスタを制御する図6のスイッチング・コントローラのうちの一方の電源を示す回路図である。
【図12】正から負および負から正へのスイッチング変更を行う際に使用される不均一なAC入力信号と、各オフセットとを示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、AC信号を変調によって調節(regulate)する方法に関するものである。特に、本発明は、変調トランジスタを使用してAC信号を調節するスイッチング・レギュレータに関するものである。例示的な応用例の1つとしては、接続機器または電気グリッドに供給する前に調節を必要とする可能性があるAC信号を生成する家庭用熱電併給(domestic combined heat and power:dchp)ジェネレータによって生成されるAC信号の変調が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
生成されたAC信号を他の場所で使用できるようにするには、当該AC信号を調節する必要が生じる状況が多く発生する。このような調節としては周波数制御、電圧制御、あるいは電流制御を挙げることができ、通常であれば他の場所で使用されるAC波形に許容できない揺らぎを生じさせる恐れがある電圧および電流の過渡状態および定常状態の変動制御を含むこともできる。
【0003】
ここで本発明の背景として、本出願人の企図する1つの応用例を説明する。ここで挙げる応用例は、家庭環境での給湯および集中暖房を実現するdchpユニットである。本出願人の国際特許出願第PCT/GB03/001200号には、スターリング・エンジンを備えたdchpユニットが記載されている。このようなdchpユニットは、世帯の集中暖房と給湯の要件を満たすだけでなく、高いエネルギー効率で電気を生成するのに使用することもできるので有益である。そのように生成された電気は世帯内で使用することも、世帯に配電する電気グリッドに買い取らせることも可能である。
【0004】
調節では、dchpユニットに接続された家電製品の需要を満足させること、すなわち、各機器の即時の必要を満たす電圧の電力を提供することが必要とされる。さらに、dchpユニットによって生成される電気は、幹線電気グリッドへの供給に適するように厳密に調節されなければならない。
【0005】
図1は、DC波形を調節するのに使用され得るよく知られたバック(Buck)レギュレータを示す。このレギュレータは、通常パルス幅変調方式に従って切り換えられる、所望の平均出力電圧を提供するトランジスタを備える。インダクタおよびキャパシタは、パルス化された出力を平滑化して、その出力から提供されるDC電圧信号に加わるリプルが最小限に抑えられるようにする。このレギュレータは、トランジスタがOFFにスイッチされるときに電流フローを維持しようと試みるインダクタによって生成される大きな逆電圧からトランジスタを保護するクランプ用ダイオード(「フライバック・ダイオード(flyback diode)」としても知られる)の働きをするように設けられたダイオードも含む。
【0006】
1対のバック・レギュレータを組み合わせてAC電源用レギュレータを提供することもできる。図2は、欧州特許出願公開第0,631,372号に開示されるレギュレータを再現している。このレギュレータは、ディマー・スイッチから操作される照明に給電するためにAC入力を変換して可変電圧のDC出力を提供する。図2のAで示されるように、関連するダイオードを有する1対のトランジスタが設けられており、ここでは一方のトランジスタがAC入力の正の半サイクルを変調し、他方のトランジスタがAC入力の負の半サイクルを変調する。図2のBで示されるように、1対のクランプ用ダイオード、ここでは半サイクル毎に1つのクランプ用ダイオードが設けられており、これらは該当する半サイクル中に関連するトランジスタによってINおよびOUTの回路切り換えが行われる。したがって、正と負の両方の半サイクルがパルス幅変調され、その結果得られる出力がインダクタおよびキャパシタによって平滑化されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、所望の波形(最も基本的には正しい振幅の波形)の出力信号を提供するためのPWM(パルス幅変調)の制御手法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の背景技術に対して、本発明の第1の態様によれば、AC入力信号を調節してAC出力信号を提供する方法であって、前記AC入力信号を受信するステップと、参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップと、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差(fractional error)を取得するステップと、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって調節済みのAC出力信号を生成するステップと、を含む方法が提供される。
【0009】
任意選択で、前記方法は、前記誤差信号が単極性、例えば正となることを保証するステップをさらに含むことができる。これは、前記誤差信号にオフセットを追加して前記誤差信号が正などの単極性となることを保証することによって達成することができる。これにより、前記参照信号と前記誤差信号の両方が除算される前に正となることが保証されるので有利である。これにより、最終的には1つの象限だけを使用してAC信号を調節することが可能となる。例えば、乗算器チップを使用して除算を行うこともできる。この場合には、関連する利点がもたらされる一方で、両方の入力が正となる、つまり前記チップが単一の象限で動作すれば済むことになる。
【0010】
任意選択で、前記方法は、前記端数誤差をスケーリングした後、前記AC信号を変調してスケーリング済みの前記端数誤差を補正するステップをさらに含むことができる。このスケーリングは、前記AC出力信号で必要とされる電圧が達成されるように行うことができる。別法として、前記方法は、前記AC入力信号と前記参照信号の相対的な大きさを調整するようにスケーリングを行った後、スケーリング済みの前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップをさらに含むことができる。任意選択で、前記AC入力信号がスケーリングされる。これらのスケーリング方法は必要に応じて組み合わせることができる。前記スケーリングは、電気グリッドの電圧、例えば230ボルトのRMS電圧または120ボルトのRMS電圧を基準にして行うことができる。任意選択で、前記方法は、スケーリング済みの前記AC入力信号から前記参照信号を減算するステップを含むことができる。
【0011】
好ましくは、前記方法は、全波整流正弦波に対応する参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号を全波整流するステップと、をさらに含むことができる。
【0012】
任意選択で、前記方法は、前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記AC入力信号がゼロを通過するときに前記参照信号がゼロに達するように、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、を含むことができる。
【0013】
前記方法は、前記AC入力信号をパルス幅変調して前記端数誤差を補正するステップを含むことができる。前記パルス幅変調は、前記端数誤差とランプ信号とを比較する比較器を使用することによって行うことができる。前記端数誤差によって前記AC入力信号の電圧が前記参照信号を超えたことが示されたときは、パルス幅変調を行って前記AC入力信号に相当する部分を取り除くことができる。
【0014】
負のフィードバック・ループを使用すると、通常であれば前記AC出力信号内に存在する誤差を補償することができる。したがって、自己調節の措置を導入することができる。例えば、前記方法は、前記AC出力信号をフィードバックするステップと、前記調節中に前記フィードバック信号を使用して前記AC出力信号の誤差を補償するステップと、を含むことができる。任意選択で、前記方法は、前記AC出力信号の誤差を補償するために、前記フィードバック信号に従って前記AC入力信号を修正するステップを含むことができる。
【0015】
好ましい一実施形態では、前記方法は、スイッチング・レギュレータを使用して前記AC入力信号を調節するステップをさらに含むことができる。前記スイッチング・レギュレータは、前記AC入力信号を受信する入力端子と、前記調節済みのAC出力信号を提供する出力端子と、前記出力端子側に提示される前記調節済みのAC出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、を備えることができる。前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、を備えることができる。次に、前記方法は、前記変調用トランジスタを使用して、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することにより、前記調節済みのAC出力信号を生成するステップをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、AC信号を調節するスイッチング・レギュレータであって、AC入力信号を受信する入力端子と、AC出力信号を提供する出力端子と、前記出力端子側に提示される前記出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、を備え、前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、を備え、前記レギュレータは、参照信号を生成するように構成された信号生成器と、前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得し、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するように構成された演算ユニットと、をさらに備え、前記変調用トランジスタは、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって、調節済みのAC出力信号を生成するように構成されている、スイッチング・レギュレータが提供される。
【0017】
任意選択で、前記スイッチング・レギュレータは、前記変調用トランジスタを切り換えるように動作可能な第1のスイッチング・コントローラと、前記クランプ・スイッチを切り換えるように動作可能な第2の別個のスイッチング・コントローラと、をさらに備えることができる。
【0018】
また、本発明の他の態様によれば、上述の各方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるようにプログラムされたコンピュータと、それ自体がコンピュータにロードされたときに、上述の各方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるコンピュータ・プログラムと、そのようなコンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体と、が提供される。
【0019】
ここで単なる例示として、本発明をより理解しやすくするために添付の図面を参照しながら好ましい諸実施形態について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
まず、図3aおよび図3bを参照して、本発明の第1の態様に係るAC信号を変調によって調節する方法について説明する。レギュレータがAC信号を入力として受信し、その入力信号を変調してAC出力信号を提供する。50で、AC入力信号がサンプリングされ、サンプリング済みのAC信号が入力波形52として生成される。実際には、フィードバック・ループが出力信号の参照を提供し、この参照を50でサンプリングすることもできる。したがって、サンプリング済みのAC信号はAC入力信号を反映し、下流の出力信号に導入された誤差を補正するように修正される。
【0021】
サンプリング済みのAC信号52は、54で整流済みのAC信号を生成するために全波整流器56によって全波整流されることもある。その場合には、60で所望の出力電圧、本例では230V RMSを基準に整流済みのAC信号をスケーリングすることにより、スケーリング済みのAC信号58を生成することができる。
【0022】
これと並行して、サンプリング済みのAC信号52を使用して、ゼロ・ボルトを通過するサンプリング済みのAC信号52と一致するようなトリガ・パルス62を生成することができる。このようなゼロ・クロスはソフトウェアを使用して検出することができ、また、デジタル・フィルタリングを使用してゼロ・クロス周辺の雑音効果を取り除くこともでき、ソフトウェア・パターン・マッチングを利用して位相同期を改善することも可能である。68で示されるように、コンピュータ64は、これらのトリガ・パルス62を使用して同期化された参照信号66を生成する。参照信号66は正弦波に対応するが、全波整流AC信号と等価な信号となるように各ローブが正方向だけに延びている。参照信号66は、スケーリング済みのAC信号58がゼロ・ボルトに到達するのと同期してゼロ・ボルトに到達するように、トリガ・パルス62を使用してサンプリング済みのAC信号52との同期がとられる。
【0023】
このような正弦波の参照信号66は、ルックアップ・テーブルを使用してデジタル/アナログ変換器に値を供給することによって生成される。正弦波形のうちの0〜π/2ラジアン部分に関する値だけが記憶され、例えばπ/2〜πラジアン部分で各値の反転値が使用され、この形状がπ〜2πラジアン部分で繰り返される。
【0024】
70で、参照信号66からスケーリング済みのAC信号58を減算(すなわち瞬間値から瞬間値を減算)して誤差信号72を生成することができる。正の値だけが得られることを保証するためにオフセットが導入される。上記の減算は、例えば適切なオフセットで動作する異なる増幅器で実行されてもよい。したがって、誤差信号72は正の値だけを含む。
【0025】
上記から分かるように、この誤差信号72はAC入力信号の位相の関数となる。この位相変動は、74で、誤差信号を参照信号66で除算して%誤差信号78を提供するように動作する乗算器チップ78によって取り除くことができる。次に80で、この%誤差信号78を使用してAC入力信号を変調することができる。参照信号66と誤差信号72はいずれも単極性信号であるので、乗算器チップ78は単一の象限で動作すれば済むことになる。これによって乗算器チップ78のコストと複雑さが大幅に低減される。さらに、このような単象限動作の使用によって他の利点も得られる。例えば、象限間の切り換えを行うときに(すなわち、ある入力の極性が変化するときに)固有のクロスオーバ歪みおよび線形性の不整合が回避される。さらに、通常であればリアクティブ成分(干渉フィルタ・チョークなど)の動作特性を変化させることもあるDCオフセットがAC入力信号内に存在する場合は、双方の半サイクルが正方向に向かうもの(positive going)として扱われ、それらの双方の半サイクルにDCオフセットが均等に追加されることになる。したがって、例えばこのDCオフセットを正および負の各半サイクルに追加した場合にも、ゼロ・ボルトを基準にした全体の波形は変化しないことになる。また、フィードバック・ループは、レギュレータ自体から導入されるDCオフセットを補償する。
【0026】
上記の変調はパルス幅変調手法に従って実行することができ、変調を介して信号の誤差を取り除くことができる。例えば、%誤差信号78とランプ信号とを比較することにより、当該%誤差信号78とランプ信号とが交差する場所を利用してパルス幅を定義することができる。例えば、レギュレータが必要とされるAC出力信号を生成している場合には、参照信号と(整流およびスケーリング後の)サンプリング済みのAC信号とが一致し、その結果ゼロの%誤差信号が得られる。これにより、変調においてAC入力信号の電圧が変化しないような全幅パルスが生じる。入力されるAC信号は一般にAC出力信号に必要とされるよりも大きくなるため、このような状況は例外的といえる。それ故、入力されるAC信号の電圧が必要とされている電圧を超える状況の方が遥かに多く発生する。このような状況がサンプリング済みのAC信号に反映され、その結果より小さいパルスを発生させる誤差信号78が得られる。これらのより小さいパルスによって入力されたAC信号が変調され、AC出力信号の電圧が必要なレベルまで降圧される。
【0027】
参照信号66の大きさと、サンプリング済みのAC信号52のスケーリングの程度は、AC入力信号が所望の230V RMSとなったときにゼロの%誤差信号78が得られるように選択される。本発明の利点の1つはその柔軟性にあり、例えば参照信号66の生成およびスケーリングは、任意の所望の出力電圧と適合するように変更することができ、例えばその地域の電気グリッドと適合するように変更することもできる。
【0028】
言うまでもなく、上記の構成には様々な修正を施すことができる。例えば、参照信号66を基準にしたAC入力信号のスケーリングが必要とされたときは、AC入力信号または参照信号66あるいはその両方に対してスケーリングを実行することができる。また、74の除算が終わるまではスケーリングを実行することができないようにしてもよい。例えば、%誤差をスケーリングのために増幅器に引き渡すこともできる。
【0029】
本発明はハードウェアの形で実施することもソフトウェアの形で実施することもでき、ハードウェアとソフトウェアの組合せの形で実施することもできる。例えば、電子部品を減算および除算を実行する演算ユニットとして機能させることができ、また、適切な形でプログラミングされたコンピュータをそのような演算ユニットとして機能させることもできる。
【0030】
レギュレータ・アセンブリ
図4は、本発明を実施するのに適した部品を含むレギュレータ・アセンブリ101のブロック図である。
【0031】
96から分かるように、活線104および中性線106上でそれぞれAC入力信号が受信され、各信号がACレギュレータ100に引き渡される。このAC入力信号は浮動状態であってよく、すなわち、必ずしも接地する必要はない。ACレギュレータ100は、AC入力信号の実際の調節を行うものであり、図4に示されるレギュレータ・アセンブリ101内の他の部品の制御下で操作される。
【0032】
以下の説明から明らかとなるように、ACレギュレータ100は次の4つのトランジスタ、すなわち、切り換えによってAC信号の変調を行い、それによってAC入力信号の調節を行う2つのトランジスタと、変調用トランジスタを保護するためにクランプ用ダイオードを有効化することができる2つのトランジスタとを備える。各クランプ用トランジスタは、クランプ電源ユニット(PSU)142から給電されるクランプ・スイッチング・コントローラ126の制御下で動作し、PSU 142は、AC入力信号から電力を取り込む。
【0033】
同様に、各変調用トランジスタは、変調器PSU 124から給電される関連する変調器スイッチング・コントローラ124を有し、変調器PSU 124は、AC入力信号から電力を取り込む。
【0034】
変調器スイッチング・コントローラ124は、1対の変調用トランジスタ間の動作を単に切り換えるだけで、一方または他方の変調用トランジスタの動作を可能にするものである。各変調用トランジスタの実際の切り換えは、パルス幅変調(PWM)手法に従って制御される。したがって、PWMモジュール90は、変調器スイッチング・コントローラ124から一方または他方の変調用トランジスタの動作を可能にする(またはいずれの動作も無効にする)信号を受信する。PWMモジュール90は、電圧比較器92および電流比較器94からの信号も受信する。
【0035】
電圧比較器92は、AC入力信号を参照し、AC入力信号の変調を有効化してAC出力信号の電圧を制御するように動作する。電流比較器94もAC入力信号を参照するが、電流比較器94は、レギュレータ・アセンブリ101に接続された1つまたは複数の負荷(load)に流れる電流を示す信号99も受信する。電流比較器94は、AC入力信号の変調を有効化して負荷に提供される電力を制御するように動作する。
【0036】
レギュレータ・アセンブリ101は、次の2つのモードのいずれか、すなわち電圧比較器92の管理下におかれる電圧制御モードと、電流比較器94の管理下におかれる電流制御モードのいずれかで動作することができる。どちらのモードを使用するかは、負荷から取り込まれる電流を監視することによって判定することができる。通常の電流が必要とされる場合には、電圧制御モードを使用することができ、すなわち、電圧比較器92がPWMモジュール90を制御し、PWMモジュール90がACレギュレータ100を制御する。一方、過剰電流が必要とされる場合には、(少なくとも短い期間の間は)電流制御モードを使用することができ、すなわち、電流比較器94がPWMモジュール90を制御し、PWMモジュール90がACレギュレータ100を制御する。各モードについては以下のセクションでより詳細に説明する。
【0037】
いずれにせよ、レギュレータ・アセンブリ101に接続された1つまたは複数の負荷に流れる電流を示す信号99も受信する電流過負荷検出器97によって、限界が与えられる可能性がある。電流が大きすぎる場合、または過剰電流の持続時間が長すぎる場合には、これを短絡として解釈することができ、電流過負荷検出器はACレギュレータ100の動作を停止させるように動作することができる。このような動作は、電流過負荷検出器97がPWMモジュール90を制御することによって実現することができる。
【0038】
上述のレギュレータ・アセンブリ101を使用してdchpジェネレータなどのジェネレータをグリッドまたは接続機器に接続することができる。例えば、レギュレータ・アセンブリ101は、dchpユニットのオルタネータと電気グリッドおよび家電機器との間のブリッジを形成することができ、それにより、オルタネータによって生成される信号が電気グリッドへの投入および/または接続機器への供給に適することを保証することができる。
【0039】
電圧制御および電流制御
上述のように、本発明で企図される応用例の1つは、それ自体のオルタネータからAC信号が生成されるdchpユニット内のスターリング・エンジンである。このような低慣性ジェネレータの特定の要件は、負荷需要に関わらずジェネレータ端子の両端間の適切なインピーダンスを提供することである。オルタネータが過度に高いインピーダンスまたは過度に低いインピーダンスを感知した場合には、その結果過電圧および波形歪みが生じる可能性があり、また、開路状態や短絡状態のような極端な場合には、ジェネレータの物理的損傷が発生する可能性もある。
【0040】
オルタネータは、それ自体が電気幹線(electrical mains)に直接接続されたときは適度に安定なインピーダンスが確実に提示されるようになっている。さらに、オルタネータは、調節要件に従って収容される回路を監視することによって損傷を与える故障および過渡事象から保護される。しかしながら、接続機器に電気エネルギーを提供するdchpユニットが使用され、そのdchpユニットが電気幹線から切断されたときは、グリッドの停電が発生した場合と同様に、オルタネータに固有の保護は存在しない。こうした状況下で、オルタネータの電気出力の両端に接続された接続機器に対応する負荷は、ゼロからオルタネータの完全レート出力まで変化する可能性がある。実際、各機器が最初にdchpユニットに接続されるときは、各負荷がオルタネータから通常提供される電流よりも遥かに大きい「インラッシュ」電流を必要とする可能性がある。
【0041】
このような低慣性ジェネレータに対してすべての負荷需要条件下で安定なインピーダンスが提示されるように保証することは有利である。この処理は、電圧制御動作モードおよび電流制御動作モードを使用して実施される。また、電流制御動作モードは、以下で説明するように最初の接続時に生じる家電機器のインラッシュ電流に対処する仕組みを提供する。
【0042】
本実施形態において、AC入力信号は、公称電圧および最大電流を有する。例えば、AC入力信号は、4.3Aの最大電流で230V RMSの信号を生成するように動作するdchpユニット内のオルタネータによって生成することができる。
【0043】
接続されている負荷から取り込まれる電流を監視して、その電流が4.3Aの限界を超えているかどうかを判定することができる。4.3A以下の電流が取り込まれている間にレギュレータを電圧制御モードで動作させ、それによってAC出力信号の波形が230V RMSの振幅の理想的な正弦波と厳密に一致するように制御することができる。このモードでは、オルタネータが定インピーダンスを確認するように過電流をダンプ抵抗にダンプすることができる。
【0044】
しかしながら、多くの状況では4.3Aを超える電流が必要とされる可能性がある。例えば、レギュレータにトースターを接続する場合、最初にスイッチを入れるときに大きな電流が必要となる。冷えた過熱素子では当初24Aもの電流が取り込まれる可能性がある。このような大きな電流需要は、レギュレータ100内のキャパシタが放電する(それによって取り込まれている電流が示される)際の電圧降下として感知することができ、その場合にはレギュレータ・アセンブリ101を電流制御モードに変更することができる。
【0045】
電流制御モードでは、オルタネータから最大4.3Aの定電流が取り込まれる。この電力は、ACレギュレータ100内のインダクタに供給される。インダクタから導出されるAC出力信号は、230V RMS未満まで降下させ得る電圧を有することができ、それによって使用可能な電力を利用して電流を4.3A超まで上昇させることにより、需要が確実に満たされるようにすることができる。したがって、電流比較器94がオルタネータから取り込まれる最大値の電流を制御しながら、接続されている負荷により高い電流が分配されることを可能にする動作を行っている間に、電圧を変化させることが可能となる。
【0046】
多くの状況がそうであるように、トースターは、過熱素子を温めている短い期間の間だけ大きな電流を取り込む。過熱素子が温められた後は、トースターは典型的には2.4Aしか必要としないので、レギュレータの通常の動作範囲に十分収まることになる。したがって、電流需要が最大値の4.3Aを下回ったときに動作モードを電圧制御モードに戻すことができる。
【0047】
実際には、2つの異なる閾値を使用して乱調(すなわち、信号内の雑音に起因する度重なる切り換えによって生じる連続的な閾値超過)を防止するヒステリシスを提供することができる。電圧制御モードで動作しているときは、220V RMSへの電圧降下を使用して、過剰な電流需要が示されることから、電流制御モードに切り換えるよう指示するのに十分な大きさの電圧降下を示すことができる。電流制御モードで動作しているときは、225V RMSへの電圧上昇を使用して、電流需要が通常の状態に戻ったことから、電圧制御モードに切り換えるよう指示することができる。したがって、電圧が220V RMSの閾値を下回るまで降下したときは、信号の雑音揺らぎが非常に小さくなるので、225V RMSの閾値を超過することはなく、したがって制御が不用意に早い段階で電圧モードに切り換えられることもない。5Vの閾値差は、その差が予期される雑音変動よりも大きくなるように選択されている。同様に、動作を電圧制御に変更するために電圧を225V RMSの閾値を超えるまで増加させるには、制御を電流モードに戻す前に電圧を220V RMSまでかなり大幅に降下させる必要があるが、そのような降下幅は信号内の雑音で埋め合わせるには大きすぎる。
【0048】
ACレギュレータ
図5には、本発明を使用することが可能なACレギュレータ100が示されている。ACレギュレータ100は、AC源に接続される1対の入力端子102を備える。本実施形態において、入力端子102は、dchpユニット内で動作するスターリング・エンジンのオルタネータの出力を受信する。ACレギュレータ100は、活線104と中性線106との間の入力としてそれぞれ公称240VのAC信号を受信する。ACレギュレータ100は、1対の出力端子108の所望のAC出力信号を提供する。本実施形態では、dchpユニットからのAC入力が調節された後、そのAC入力が出力端子108からdchpユニットから電力を取り込む複数の接続家電製品に分配される。さらに、レギュレータ100は、幹線電源(electrical mains supply)に供給される調節済みのAC信号を提供することができる。
【0049】
ACレギュレータ100は事実上、2つのバック・レギュレータの組合せを備える。したがって、ACレギュレータ100は、いずれもAC入力信号をパルス幅変調して所望の信号がAC出力信号として提供されるように動作する1対の変調用トランジスタ110a、110bを備える。適切なPWM手法およびそれらの実装形態は、当技術分野でよく知られている。本明細書の他の部分でも説明されているように、PWMを実行してAC出力信号の電圧または電流を制御することができる。
【0050】
一方のトランジスタ110aは、AC入力信号の正の半サイクル中に変調を行い、他方のトランジスタ110bは、負の半サイクル中に変調を行う。この動作方法を可能にするために、トランジスタ110a、110bは直列に配置され、各トランジスタ110a、110bは、それぞれ変調器ダイオード112a、112bを備えた関連するシャントを有する。AC入力信号の負の半サイクル中は変調用トランジスタ110bがバイパスされ、AC入力信号の負の半サイクル中は変調用トランジスタ110aがバイパスされるように、これらの2つの変調器ダイオード112a、112bにはそれぞれ逆のバイアスが掛けられる。
【0051】
また、正の半サイクル中はダイオード114aがクランプ用ダイオードとして働き、負の半サイクル中はダイオード114bがクランプ用ダイオードとして働くことができるように、それぞれ逆のバイアスが掛けられる1対のクランプ用ダイオード114a、114bも設けられている。スイッチ型のシャント116a、116bは、各クランプ用ダイオード114a、114bの動作が必要とされない半サイクル中それらをバイパスすることができるように設けられている。スイッチは1対のトランジスタ118a、118bによって提供され、以下ではこれらのトランジスタを上述の変調用トランジスタ110a、110bと区別するために、クランプ用トランジスタ118a、118bと呼ぶ。
【0052】
変調用トランジスタ110a、110bから提供される信号を平滑化するインダクタ120およびキャパシタ122が設けられており、これによって出力端子108で必要とされる出力信号が提供される。
【0053】
レギュレータ100は以下のように操作することができる。
【0054】
AC入力信号の正の半サイクル中は、活線104から電流が流れ、変調器ダイオード112aによってブロックされ、その結果、電流はパルス幅変調手法に従ってゲーティングされる変調用トランジスタ110aに流れることになる。その後電流は、変調器ダイオード112bを介しシャントに沿って変調用トランジスタ110bをバイパスする(すなわちOFFに切り換えられる)。その後、各出力端子108で確認される電流フローを平滑化するように動作するインダクタ120およびキャパシタ122に突発電流が流れ込む。クランプ用ダイオード114aは、インダクタ120が電流フローを維持しようと試みるときに生じる逆電圧から変調用トランジスタ110aを保護する。これは、クランプ用ダイオード114bをバイパスするために、クランプ用トランジスタ118aがONに切り換えられ、クランプ用トランジスタ118bがOFFに切り換えられることに起因する。これにより、中性線106からシャント116aを介しクランプ用トランジスタ118aを経た後、クランプ用ダイオード114aを通って活線104に至る電流経路だけが設けられることが保証される。
【0055】
AC入力信号の負の半サイクル中は、中性線106から変調用トランジスタ110bを介して活線104に至る電流フローが達成される。変調器ダイオード112bは、電流がパルス幅変調手法に従ってゲーティングされる変調用トランジスタ110bを通過することになるように電流フローをブロックする。電流は、変調器ダイオード112aを介しシャントに沿って変調用トランジスタ110aをバイパスする(すなわちOFFに切り換えられる)。インダクタ120およびキャパシタ122は、ここでも各出力端子108で確認される電流フローを平滑化するように動作する。ここでは、インダクタ120が電流フローを維持しようと試みるときの変調用トランジスタ110bの保護を他方のクランプ用ダイオード114bが行うことになる。これは、クランプ用ダイオード114aをバイパスするために、クランプ用トランジスタ118bがONに切り換えられ、クランプ用トランジスタ118aがOFFに切り換えられることに起因する。これにより、活線104からシャント116bを介しクランプ用トランジスタ118bを経た後、クランプ用ダイオード114bを通って中性線106に至る電流経路だけが設けられることが保証される。
【0056】
スイッチング・コントローラ
図6は、図5のレギュレータに加えて、変調用トランジスタ110a、110bに関連する変調器スイッチング・コントローラ124と、クランプ用トランジスタ118a、118bに関連するクランプ・スイッチング・コントローラ126も示している。
【0057】
スイッチング・コントローラ124、126は、関連する電源ユニット(PSU)132、142(図6では個別の図示は省略)から給電可能な電力を必要とする。PSUのさらなる詳細は以下のセクションで示される。
【0058】
図7は、ACレギュレータ100内で使用することが可能な、出力端子12a、12bの1対のゲート駆動信号を提供する一般的な駆動回路10を示す。ゲート駆動信号は、活性入力(live input)14および中性入力(neutral input)16で受信されるAC入力信号を基準にして生成される。論理は、ゲート駆動信号がhigh状態またはlow状態を有することができるように提供される。さらに、駆動回路10は、端子12aがhighのときに端子12bの出力がlowとなり、逆もまた同様となるように構成される。AC入力信号が正から負に切り換わり、負から正に戻る際は、端子12a、12bの両方の出力がhighになることがないように、端子12a、12bの出力の状態はhighからlowに切り換わり、またはその逆に切り換わる。切り換えが行われる厳密な時期のさらなる詳細は、以下のセクションのうちの1つで示される。
【0059】
図7から分かるように、駆動回路の論理部分は、1対のNOTゲート18a、18bを備えることができる。本例では、NOTゲート18aがマスター論理ゲートとなる。NOTゲート18a、18bの周囲にキャパシタ22を含むシャント20を延在させて駆動回路の応答性を改善することができる。NOTゲート18aの出力は、端子12a側の出力を提供し、また、NOTゲート18bに引き渡されて端子12b側の出力を提供するように反転される。それ故、端子12a、12bに提示される出力はhighとlowの組合せであり、主にマスター論理ゲートであるNOTゲート18aの出力によって制御される。
【0060】
回路10は、それぞれグラウンド24に続くシャントを提供するように構成された3つのトランジスタQ1、Q2、およびQ3を含むこともできる。トランジスタQ3をON/OFF切り換えすることによってNOTゲート18aの入力に電流が流れるかどうかを判定することができ、これによってゲート駆動信号の状態を判定することができる。トランジスタQ1は、AC入力信号が負のときに活性端子(live terminal)14をグラウンド24にクランプするために設けることができる。同様に、トランジスタQ2は、AC入力信号が正のときに中性端子(neutral terminal)16をグラウンド24にクランプするために設けることができる。
【0061】
例示的な駆動回路10の動作を以下に示す。出発点として、活性端子14は正の半サイクルの立ち上がり側で正となり、中性端子16は負の半サイクルの立ち下がり側で負となるものと仮定する。次に、正の活性端子14は、それ自体が導通状態となるような電流がトランジスタQ3に流れることを確認する。したがって、DC電源26からの電流は、トランジスタQ3を介してNOTゲート18aではなくグラウンド24に流れる。したがって、NOTゲート18aへの入力はlowとなり、その出力はhighとなる。この出力は、出力端子12aの出力が「high」となるように出力端子12a側で確認される。NOTゲート18aからの「high」の出力はNOTゲート18bの入力となり、したがって、NOTゲート18bは端子12b側で確認される「low」の出力を生成する。
【0062】
フィードバック・ループ28は、NOTゲート18aからの「high」の出力をトランジスタQ2のベース部分に引き渡し、その結果トランジスタQ2は導通状態となる。したがって、トランジスタQ2は、中性端子15をグラウンド24にクランプするシャントを提供する。中性端子16はトランジスタQ1にも接続されており、したがって、シャントがトランジスタQ2を経由することを考慮すると、トランジスタQ1はOFF状態である。言うまでもなく、OFF状態のトランジスタQ1は、活性端子14からの電流がグラウンド24に直接流れるのではなくトランジスタQ3に流れることを保証するものである。
【0063】
AC入力信号の極性が変化すると、活性端子14はゼロとなり、その後中性端子16に対して負となる。それ故、トランジスタQ3には電流が流れずOFF状態となる。トランジスタQ3がOFF状態にあるときは、DC電源26からの電流がNOTゲート18aに流れる。「high」の入力があったときは、NOTゲート18aが端子12a側で確認される「low」の出力を生成する。NOTゲート18aからの「low」の出力は、端子12bの「high」の出力となるようにNOTゲート18bによって反転される。NOTゲート18aからの「low」の出力は、フィードバック・ループ28を介してトランジスタQ2のベース部分で確認され、その結果トランジスタQ2がOFFに切り換えられる。中性端子16のグラウンド24へのクランプがそれ以上行われず、中性端子16が徐々に正に近付いていくときは、トランジスタQ1に電流が流れON状態となる。トランジスタQ1が導通状態になったときは、活性端子14がグラウンド24にクランプされる。
【0064】
AC入力信号の極性が再び変化すると、中性入力16がゼロに降下することによってトランジスタQ1がOFFに切り換わり、中性入力16が正の端子14に対して負となるため、ダイオードD1がトランジスタQ1およびQ2を保護する。したがって、活性端子14のグラウンド24へのクランプはそれ以上行われない。活性端子14が正の状態となったときは、トランジスタQ3がONに切り換わり、その結果NOTゲート18aに対する入力が「low」となり、出力端子12a、12bで確認される状態が反転される。NOTゲート18aからの「high」の出力がトランジスタQ2に供給されると、トランジスタQ2がON状態となり、中性端子16がグラウンド24にクランプされる。
【0065】
これらのクランプ・サイクルは別の手法で考えることもできる。活性端子14が中性端子16に対して正であるときは(すなわちAC入力信号の正の半サイクル中は)、中性入力16がトランジスタQ2を介して参照(0V)レベルとしてのグラウンド24にクランプされる。同様に、中性入力14が活性入力16に対して負であるときは(負の半サイクル中は)、活性入力14がトランジスタQ1を介して基準レベルとしてのグラウンド24にクランプされる。基準レベルの切り換えをゼロ・ボルトから約1ボルト(one volt of zero volts)の範囲内に制限し、各出力端子12a、bに提示される駆動信号の遷移の切り換えを調節することにより、駆動回路は、逆極性接続に起因する損傷からそれ自体を保護するだけでなく、駆動素子(例えばトランジスタ)も保護するようになる。
【0066】
次に、図7の一般的な回路の具体的な実装形態の説明に移る。図8は、クランプ・スイッチング・コントローラ126を詳細に示す。本例において、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、後で説明するようにクランプPSU 142から+15VのDC信号を受信する。図面から分かるように、図8のクランプ・スイッチング・コントローラは、事実上図7の駆動回路10に対応する。同様の部分には同様の参照番号が付されるが、図8では図7の参照番号に200を加えてある。
【0067】
図8の回路の違いの1つは、NOTゲートではなくNORゲートを使用して論理が実装される点である。NORゲート218a、218bがNOTゲートと同様に機能することを保証するために、各入力は、よく知られる2つの構成で配置される。NORゲート218aに関しては、第2の入力がグラウンド224に結合される。NORゲート218bに関しては、両方の入力に同じ信号(NORゲート218aからの出力)が供給される。これらの構成は入れ替えることができ、また、同じ構成をNORゲート218aとNORゲート218bの両方に使用することもできる。NORゲート218a、218bからの出力は、それぞれ212a、212bで示されている。これらの出力212a、212bは、図8では出力端子としては示されず、後続のNORゲート230a、230bに引き渡され、以下ではこれらのゲートの機能について説明する。
【0068】
先の説明から分かるように、活性端子214が正となる正の半サイクル中は、出力212aが「high」となり、出力212bが「low」となる。このとき、トランジスタQ3がONになることで、NORゲートに対する入力が「low」に保たれ、トランジスタQ2がONになることで、中性端子216がグラウンド224にクランプされ、トランジスタQ1がOFFになることで、活性端子214がグラウンド224にクランプされないことが保証される。中性端子216が正となる負の半サイクル中は、出力212aが「low」となり、出力212bが「high」となる。このとき、トランジスタQ3がOFFになることで、NORゲートに対する入力を「high」にすることが可能となり、トランジスタQ2がOFFになることで、中性端子216がグラウンド224にクランプされないことが保証されるとともに、トランジスタQ1をONにして活性端子214をグラウンド224にクランプすることが可能となる。
【0069】
この追加的なNORゲート230a、230bは、ACレギュレータ100内のインダクタ120の両端に残留電圧が存在するときに、出力端子212a、212bに提示される2つのゲート駆動信号が活動化されることがないように保証するために含まれている。これにより、クランプ用トランジスタ118a、118bがその期間中に動作不能な状態を保つことを保証することによって、インダクタ120が放電する際に発生する逆電圧から各クランプ用トランジスタ118a、118bが保護される。
【0070】
この処理は、実際には、それ自体の他方の入力がコイル端子234を介してインダクタ・コイル120の「トップ・エンド」に接続されているNORゲート230aの一方の入力に、出力212aを引き渡すことによって達成される。したがって、インダクタ120から電流が流れておらず、212aの出力も「low」であるときは、出力端子232a上では「high」の出力だけが確認される。負の半サイクル中に出力212aが「low」であるときは、クランプ用ダイオード114bがアクティブとなることを保証するために、その負の半サイクル中にシャント116bが定位置となるように、端子232a側のゲート駆動信号がクランプ用トランジスタ118bに引き渡される。負の半サイクル中は、出力212bが「high」となり、したがって端子212b側のゲート駆動信号が常に「low」となる。このゲート駆動信号はクランプ用トランジスタ118aに供給され、その結果、クランプ用トランジスタ118aがOFF状態を保ち、クランプ用ダイオード114bがアクティブ状態を保つことが保証される。
【0071】
出力212bは、それ自体の他方の入力が中性端子216に接続されているNORゲート230bの一方の入力に引き渡され、それによってインダクタ・コイル120の「バック・エンド」上の電圧を確認する。その結果、端子232bに提示されるゲート駆動信号は、両方のインダクタ120が正の半サイクル中に放電した(端子212b側の出力が「low」となる)ときにだけ「high」となる。したがって、正の半サイクル中は、端子232b側の「high」の出力によってクランプ用トランジスタ118aがONに切り換わり、端子232a側の「low」の出力によってクランプ用トランジスタ118bがOFFとなることが保証される。これにより、クランプ用ダイオード114aは、正の半サイクルの全体をとおしてアクティブとなる。
【0072】
各半サイクルの開始点では212aおよび212bの各出力が反転されるが、各端子232a、232bに提示されるゲート駆動信号はいずれも、インダクタ120の両端の残留電圧によってOFFに保たれる。それ故、クランプ用トランジスタ118a、118bはいずれもOFFのままとなり、したがってインダクタ120が完全に放電されるまで保護されることになる。
【0073】
図9は、変調器PSU 132から12Vの供給を受ける変調器スイッチング・コントローラ124を示す。図示の5Vの供給は、変調器PSU 132から提供される12Vから任意の標準的な手法で取得することができる(実際には、変調器PSU 132を使用して12Vを必要とする他のコンポーネントに給電するため、図示の構成となっている)。図9の回路は、図7および図8の回路と非常に類似しており、したがって、図9では図7の参照番号に300を加えた同様の参照番号が使用されている。変調用トランジスタ110a、110bは(クランプ用ダイオード114a、114bによって)インダクタ120が放電する際に発生する逆電流から保護されるので、NORゲートを含める必要はなく、インダクタ120の電圧参照を含める必要もない。また、活性端子314および中性端子316は、変調器スイッチング・コントローラ124がクランプ・スイッチング・コントローラ126に対して180°ずれた位相で動作することが保証されるように効果的に反転される。
【0074】
このため、トランジスタQ1は依然として活性端子314をグラウンド324にクランプするように動作し、トランジスタQ2は中性端子316をグラウンド324にクランプするように動作し、トランジスタQ3はNOTゲート318aに対する入力を設定するように動作する。これにより、中性端子316が活性入力314に対して正であるときは、トランジスタQ3のベース側で中性端子316が導通状態にあることが確認される。したがって、変調器PSU 132からの電流がグラウンド324に流れ、その結果NOTゲート318aに対する入力が「low」となることが保証される。これは、NOTゲート318aの出力が「high」となり、出力端子232a側で確認されることを意味する。NOTゲート318aからの「high」の出力は、NOTゲート318bに引き渡され、その結果、それ自体の出力が出力端子312b上で「low」として確認されることが保証される。さらに、NOTゲート318aからの「high」の出力は、フィードバック・ループ328に沿って引き渡され、それによってトランジスタQ1がONに保たれる。したがって、活性端子314は、トランジスタQ1を介してグラウンド324にクランプされる。活性端子314がグラウンドにクランプされたときは、トランジスタQ2がOFFに保たれ、その結果、中性端子316がグラウンドにクランプされないことが保証される。
【0075】
活性入力314側のAC入力信号が中性入力316に対して正に向かうとき、中性入力16はゼロに降下し、それによってトランジスタQ3がOFFに切り換えられる。これにより、NOTゲート318aに対する入力が「high」に向かうことが確認され、その結果、端子312a側では「low」の出力が、端子312b側では「high」の出力が得られることになる。NOTゲート318aからの「low」の出力は、フィードバック・ループ328を介してトランジスタQ1によって確認され、したがってトランジスタQ1がOFFに切り換わる。トランジスタQ1がOFFに切り換えられたときに、活性端子314はそれ以上グラウンド324にクランプされなくなり、その時点から正に向かう活性端子314の電位によってトランジスタQ2がONに切り換えられ、それにより、中性端子316がグラウンド324にクランプされる。
【0076】
したがって、正の半サイクル中は、端子312a側のゲート駆動信号が「low」となり、端子312b側のゲート駆動信号が「high」となる。これとは逆に、負の半サイクル中は、端子312a側のゲート駆動信号が「high」となり、端子312b側のゲート駆動信号が「low」となる。端子312aは変調用トランジスタ110bに接続され、端子312bは変調用トランジスタ110aに接続されている。これにより、正の半サイクル中に(端子312bが「high」のときに)変調用トランジスタ110aを切り換えることができ、負の半サイクル中に(端子312aが「high」のときに)変調用トランジスタ110bを切り換えることができることが保証される。上述のように、ゲート駆動信号は、変調用トランジスタ110a、110bに直接供給されるのではなく、必要とされる調節済みの信号を生成するPWMモジュール90によってパルス幅変調が施される。したがって、変調器スイッチング・コントローラ124は、変調用トランジスタ110a、110bをPWMモジュール90によって切り換えることが可能となる時点を制御し、それ以外のすべての時点で変調用トランジスタ110a、110bがOFFとなることを保証するように動作する。
【0077】
上記の実施形態では、「high」の値を有する駆動信号を使用して各駆動信号の接続先となるトランジスタ(または駆動信号によって駆動可能なその他のデバイス)を駆動している。言うまでもなく、各デバイスが反転論理に従って動作する(すなわち、「high」の信号ではなく「low」の駆動信号によって各デバイスを活動化する必要がある)場合にも、上記の各実施形態は、それぞれの論理出力が反転されるように容易に適合することができる。
【0078】
スイッチング・コントローラPSU
各PSUは、例えばdchpユニットから供給されるAC信号のようなAC入力信号から均等に電力を取り込むことができる。図6から分かるように、変調器PSU 132は、AC入力信号の負の半サイクルの間だけ電力を受け取るように、適切にバイアスが掛けられたダイオード128を介して中性線106から電力を取り込むことができる。これとは逆に、クランプPSU 142は、AC入力信号の正の半サイクルの間だけ電力を受け取るように、適切にバイアスが掛けられたダイオード130を介して活線104から電力を取り込むことができる。したがって、PSU 132および142は、それぞれ交互の半サイクルの間に電力を取り込むことができる。さらに、PSU 132および142は、それぞれ均等に電力を取り込んでdchpユニットからのAC信号の整合性を保証することができ、また、非対称の電流波形をスイッチング・コントローラ132および142にもたらすこともできる。これにより、通常であれば複雑さと費用が高まるはずの力率改善の必要がなくなる。
【0079】
図10は、変調器PSU 132の一実施形態を示す。上述のとおり、このPSU 132は、AC入力信号の負の半サイクル中に電力を取り込むことができる。この例では、電流フローが中性線106から活線104に流れる。本実施形態で使用される変調用トランジスタ110a、110bは、12VのDC電圧で40mAの最大定常電流を必要とする。12Vのレベルは、20:1のスイッチング比で操作されるスイッチ134を使用することによって240Vの入力から得ることができる。12Vの滑らかなDC出力を保証するために、ダイオード136および平滑化コンポーネント(インダクタ138およびキャパシタ140)を含めることができる。変調器PSU 132は、必要とされる40mAの平均電流を供給するために、負の半サイクルの動作中に80mAの電流を取り込むことができる。20:1というスイッチング比は、電力を一定に維持しなければならないためAC入力から4mAの電流が取り込まれることを指す(スイッチの両端で電圧が240Vから12Vに降下することを思い出されたい)。
【0080】
図11は、クランプ用トランジスタ118a、118bのクランプPSU 142を示す。上述のように、このPSU 142は、AC入力信号の正の半サイクル中に電力を取り込むことができる。クランプ用トランジスタ118a、118bは、変調用トランジスタ110a、110bよりもずっと低い頻度で切り換わるため、それらと比べると必要とする電流もかなり少ないものとなる。具体的には、クランプ用トランジスタ118a、118bは、15VのDC電圧で1.8mAの最大定常電流を必要とする。その結果、図10に示されるようなスイッチング回路は好ましくない。その代わりに、必要とされる15Vを定格電圧とするツェナー・ダイオード144を使用してシャント調節され得る単純な半波整流回路を使用することができる。この回路の消費電力は、スイッチ134が電界効果トランジスタとして実装され得る図10の回路よりも低くなる可能性がある。
【0081】
ツェナー・ダイオード144を使用して出力の両端の電圧を15Vに制限することができ、並列キャパシタ146を使用して出力を平滑化し、負の半サイクル中の放電に備えて正の半サイクルの間にエネルギーを蓄えることができる。必要とされる1.8mAの平均電流は、正の半サイクルの間だけ3.6mAの電流を取り込むことによって得ることができる。この3.6mAの電流は、オームの法則に従い、33kΩの2つの直列抵抗148を使用して必要な66kΩの抵抗を提供することにより、240Vの入力から得ることができる。
【0082】
上記のPSU 132およびクランプPSU 142に関する2つの異なる構成が使用される場合、各構成では、AC入力信号から電力を均等に取り込むことを可能にしながら、各構成に関連するトランジスタ110a、110bおよびトランジスタ118a、118bに大きく異なる瞬間電流が提供され得ることが保証される。
【0083】
上記ではPSU 132、142に関する2つの具体例が示されているが、他のPSUを使用してトランジスタ110a、110bおよびトランジスタ118a、118bに給電することもできる。例えば、PSU 132と142の両方をスイッチャとすることも、線形構成とすることもできる。各PSUが共通の設計を有することもできる。別法として、チャージ・ポンプをPSUとして使用して電圧を増幅または減少させることもできる。適切な一例は、4段Dicksonチャージ・ポンプである。このようなチャージ・ポンプはインダクタを使用しないため、通常であれば干渉を引き起こす恐れがある大きな磁場を発生させることはない。
【0084】
極性切り換えのタイミング
先のセクションでは、正の半サイクルと負の半サイクルとの間の変更を有効化するスイッチング・コントローラ124、126と、それぞれのPSU 132、142とについて説明してきた。このセクションでは、正のスイッチングから負のスイッチングに変更する正確なタイミングがどのように管理され得るかについて説明する。AC入力信号が完全な正弦波信号とはならない可能性があることに関連する潜在的な問題を回避するために、このタイミングは厳密に制御する必要がある。図11は、例えばdchpユニットから取得され得る不均一なAC入力信号の一例を示す(ただし図を分かりやすくするために強調してある)。このような不均一な信号では、正の半サイクルから負の半サイクルに変化する際に必ずしも単一のゼロ・クロスがもたらされない可能性があり、その逆もまた同様である。以下から分かるように、信号上の雑音が3つ以上のゼロ・クロスをもたらす可能性がある。
【0085】
トランジスタ110a、110bおよび118a、118bが繰り返し切り換われば非効率につながるのが関の山であり、最悪の場合にはトランジスタ110a、110bおよび118a、118bに損傷を与えることもあるため、これを確実に回避するために、スイッチングはゼロ・ボルト周辺で厳密に制御する必要がある。さらに、トランジスタ110a、110bおよび118a、118bのスイッチングは、110aと110bのトランジスタ対と、118aと118bのトランジスタ対の両方のトランジスタ対が同じタイミングでスイッチングされないことが保証されるように制御しなければならない。特に、シャント116a、116bに沿って活線104から中性線106までの短絡回路が形成されないように、クランプ用トランジスタ118a、118bを同じタイミングでONに切り換えることができないようにすべきである。
【0086】
これらの問題を回避するために、スイッチングが一切許可されないゼロ・ボルト周辺の「デッド・ゾーン(dead zone)」が生み出されるスイッチング・レジームを実装することができる。この目的で、各極性変更毎に1対のオフセットを使用することができ、例えば正から負のスイッチングでは−V1と−Vswitchのオフセットを、負から正のスイッチングでは+V1と+Vswitchのオフセットを使用することができる。これらのオフセットは図11に示されている。
【0087】
±V1のオフセットにより、活性入力と中性入力との間の電圧が±V1の狭帯域に収まるときは常に「ゼロ・ボルト」条件が満たされるようなデッド・ゾーンが生み出される。この狭帯域に収まるゼロ・ボルトをAC入力信号が通過する際に生じるAC入力信号内の揺らぎによって起こる正と負の間の遷移は、この回路に関して言えばゼロと区別することができない。このため、±V1の値は、バックグラウンド信号の雑音レベルよりも大きくなるように選択することができる。
【0088】
トランジスタ110a、110bおよび118a、118bのアクティブ・スイッチングは、AC入力信号の電圧が+Vswitchを超えたときに開始される。アクティブ・スイッチングは、AC入力信号が+V1のオフセットを下回ると停止される。各オフセットは、(正の信号に関する)+V1から+Vswitchまでの帯域と、(負の信号に関する)−V1から−Vswitchまでの帯域とを生み出し、これによって「乱調」(通常であればAC入力信号が単一の作動レベルの上下に変動することによって生じるはずの、スイッチングの可能化および無効化の急速な繰り返し)を解消するヒステリシスが提供される。これらの帯域は、予想される雑音の大きさよりも大きくなるように設定することができる。
【0089】
正の半サイクルから開始する場合、変調用トランジスタ110aはアクティブとなり、PWM手法に従ってAC入力信号を変調するために切り換えられる。変調用トランジスタ110bはOFFとなる。クランプ用トランジスタ118aがONとなり、クランプ用トランジスタ118bがOFFとなることで、クランプ用ダイオード114aが有効となることが保証される。AC入力信号がゼロ・ボルトに向かって下がっていき、これが+V1の閾値を通過すると、変調用トランジスタ110aとクランプ用トランジスタ118aがどちらもOFFに切り換わる。それ故、AC入力信号がゼロ・ボルトを通過する前に、すべてのトランジスタ110a、110b、118a、118bがOFFに切り換えられることになる。インダクタ120はAC入力信号がゼロ・ボルトを通過すると放電するため、各オフセットは、インダクタ120が完全に放電される前にスイッチングが開始されないことを保証するのに役立つ。上述のように、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、ゲート駆動信号が、インダクタ120の両端の電圧がゼロに下がるまで「high」になることがないように各論理ゲート232a、bによって制御される点で、フェイル・セーフの役割を果たす。
【0090】
AC入力信号は徐々に負に近付いていき、1番目のオフセット−V1を通過する。これにより、スイッチング・コントローラ124、126を正モードから負モードに切り換えることができる。すなわち、トランジスタQ1、Q2、およびQ3の状態が切り換わり、活性端子214、314がそれぞれグラウンド224、324にクランプされることになる。この時点でスイッチング・コントローラ124、126の動作準備が整うことになるが、ゲート駆動信号は、2番目のオフセット−Vswitchを通過するまで「low」に維持される。−Vswitchを通過すると、クランプ・スイッチング・コントローラ126は、「high」駆動信号を送信してクランプ用トランジスタ118bをONに切り換え、それによってクランプ用ダイオード114bを有効にすることができる。その後、クランプ・スイッチング・コントローラ124は、変調用トランジスタ110bが必要なパルス幅変調手法に従ってスイッチングを開始することができるように、「high」駆動信号を設定することができる。クランプ用トランジスタ118bが変調用トランジスタ110bよりも先にONに切り換わることを保証するために、変調用トランジスタ110bの−Vswitchよりもクランプ用トランジスタ110bの−Vswitchの方がゼロ・ボルトに近くなるように設定することができる。
【0091】
AC入力信号が再び下がり始めたときは、−V1を通過したときにだけスイッチングが停止される。
【0092】
以下の説明から分かるように、AC入力信号を負から正に切り換えるときは、上記と逆のプロトコルを使用することができる。簡潔に言えば、変調用トランジスタ110bおよびクランプ用トランジスタ118bがOFFに切り換わり、ゼロ・ボルトを通過し、+V1に到達した時点でスイッチング・コントローラ124、126が負から正に向かい(トランジスタQ1、Q2、およびQ3が切り換わり、中性端子216、316がグラウンド224、324にクランプされ)、最終的に+Vswitchに到達した時点で、まずクランプ用トランジスタ118aがONに切り換わり、その後変調用トランジスタ110aがONに切り換わる。
【0093】
図12は、±V1および±Vswitchの例示的な値を示す。実際には、これらの値は変更することができる。上述のように、変調用トランジスタ110a、110bがスイッチングを開始する前にクランプ用トランジスタ118a、118bがONになることが保証されるように、変調器スイッチング・コントローラ124とクランプ・スイッチング・コントローラ126とで異なる値、例えば異なる±Vswitchの値を使用することができる。図12は、ゼロ・ボルトからの対称的なオフセットを有する±V1および±Vswitchのオフセット対を示す。ただし、オフセットは必ずしも対照的である必要はない。例えば、+V1の大きさは、PSU 132、142によって使用される不均衡な瞬間電力ドレインの影響で−V1と異なる可能性もある。以下から想起されるように、正の半サイクルから負の半サイクルの間に得られる平均電力が均衡していても、瞬間レベルは変動する可能性がある。
【0094】
スイッチング・コントローラ124、126を使用したこのスイッチング手法の正確な実装形態は、トランジスタおよびダイオードの電圧降下、電流増幅要因、電圧切り換え特性などの素子特性を考慮に入れたコンポーネント値の選択に依存する。当業者なら、各コンポーネントおよびコンポーネント値の適切な選択肢を計算または実験測定あるいはその両方によって容易に決定することができるであろう。
【0095】
AC入力信号の調節
上記では、AC入力信号の調節を実施することが可能となる方法を概説してきた。レギュレータ・アセンブリ101の場合では、本調節は、電圧比較器92または電流比較器94がPWMモジュール90と連動して実施する。電圧比較器92と電流比較器94の動作様式は、事実上同様である。その理由は、電流比較器94は電流を調節するように動作するが、実際には抵抗の両端の電圧を監視することによって電流の調節を行う(すなわち、電流比較器94は電圧制御を介して、電流制御を間接的に有効化する)からである。したがって、上記の概要は、電圧比較器92と電流比較器94の両方の動作に適用される。
【0096】
上記の実施形態には、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨から必ずしも逸脱することなく様々な変更を施すことができることが当業者には理解されるだろう。
【0097】
上記のレギュレータ・アセンブリ101は、家電製品で使用されるdchpユニット内のスターリング・エンジンによって提供されるAC供給を調節する文脈で説明されてきた。しかしながら、本発明に係る調節は、他の有益な用途を見出すことができる。レギュレータ・アセンブリ101は事実上、ジェネレータや幹線電源など任意の電圧源の下流で動作するように設計されている。
【0098】
例えば、レギュレータ・アセンブリ101を使用してスターリング・エンジンのオルタネータと幹線電源との間のインターフェースを緩衝することにより、通常であれば出力波形が崩壊するほど大きな揺らぎを引き起こす恐れがある電圧および電流の過渡状態および定常状態の変動を防止することができる。このような構成により、グリッド電源の品質劣化に対応する安全措置の場合と同様に、制御システムで生じるエンジン停止の可能性が低下する。
【0099】
本発明に係るレギュレータ・アセンブリ101の好ましい利点の1つは、スタンド・アロン・ジェネレータとそれ自体の負荷(接続機器など)との間の接続を電気グリッドの制約に関わらず任意の国または市場で実現できることである。可能なグリッドおよびエンジンの周波数範囲に応じて電圧を設定する手段を提供することにより、スイッチング・レギュレータは、様々な市場の様々なグリッドと整合する機器での使用に適した電圧/周波数モデルを提供することができる。
【0100】
レギュレータ・アセンブリ101は、dchpユニット以外の文脈で使用することもできる。例えば、レギュレータ・アセンブリ101は、幹線電源と照明回路のような家庭用回路との間の緩衝器として使用することができる。電圧波形を制御することにより、大きな影響なしに、消費電力を調整(adjust)して電流需要の瞬間的な急増に対処し、力率を改善し、電気効率の改善によってコストを削減することが可能となる。また、波形制御を使用して、低品質の電源または高波高率の負荷のピーク電流需要に起因する揺らぎを緩和することもできる。実際、レギュレータ・アセンブリ101を利用すると、従来達成することができなかった蛍光照明の点火と後の調光とを確実に行うことができるようになる。
【0101】
本発明に係るレギュレータ・アセンブリ101の他の用途は、幹線電源と電気モータとの接続である。この場合、レギュレータ・アセンブリ101は、非常に低コストで単純な節電器およびコントローラとして動作し、その結果、通常の駆動装置と比較してモータ損失も低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】既知のバック・レギュレータの回路図である。
【図2】事実上2つのバック・レギュレータを組み合わせた既知のACレギュレータの回路図である。
【図3a】本発明の一実施形態に係るAC信号を調節する方法のブロック図である。
【図3b】図3aの方法の一実装形態を示す概略図である。
【図4】AC入力信号を受信し、AC出力信号を生成するように動作可能なレギュレータのブロック図である。
【図5】本発明に係るACレギュレータの一部を示す回路図である。
【図6】図5の回路を含む本発明に係るACレギュレータと、関連するスイッチング・コントローラとを示す回路図である。
【図7】第1および第2のゲート駆動信号を供給する駆動回路の回路図である。
【図8】クランプ・スイッチング・コントローラの回路図である。
【図9】変調器スイッチング・コントローラの回路図である。
【図10】1対の変調用トランジスタを制御する図6のスイッチング・コントローラのうちの一方の電源を示す回路図である。
【図11】クランプ用ダイオードに関連する1対のトランジスタを制御する図6のスイッチング・コントローラのうちの一方の電源を示す回路図である。
【図12】正から負および負から正へのスイッチング変更を行う際に使用される不均一なAC入力信号と、各オフセットとを示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AC入力信号を調節してAC出力信号を提供する方法であって、
前記AC入力信号を受信するステップと、
参照信号を生成するステップと、
前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、
前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップと、
前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するステップと、
前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって調節済みのAC出力信号を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記誤差信号が単極性となることを保証するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誤差信号にオフセットを追加して前記誤差信号が単極性となることを保証するステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端数誤差をスケーリングした後、前記AC信号を変調してスケーリング済みの前記端数誤差を補正するステップをさらに含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記AC入力信号と前記参照信号の相対的な大きさを調整するようにスケーリングを行った後、スケーリング済みの前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップをさらに含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電気グリッドの電圧を基準にしたスケーリングを行うステップを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
230ボルトのRMS電圧を基準にしたスケーリングを行うステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記AC入力信号をスケーリングするステップを含む請求項4乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
スケーリング済みの前記AC入力信号から前記参照信号を減算するステップを含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
全波整流正弦波に対応する参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号を全波整流するステップと、を含む請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記AC入力信号をパルス幅変調して前記端数誤差を補正するステップを含む請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記端数誤差とランプ信号とを比較する比較器を使用することによってパルス幅変調を行うステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記端数誤差によって前記AC入力信号の電圧が前記参照信号を超えたことが示されたときは、パルス幅変調を行って前記AC入力信号に相当する部分を取り除くステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記AC出力信号をフィードバックするステップと、前記調節中に前記フィードバック信号を使用して前記AC出力信号の誤差を補償するステップと、を含む請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記AC出力信号の誤差を補償するために、前記フィードバック信号に従って前記AC入力信号を修正するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
接続されている負荷が大きな電流を必要とするときに、前記調節済みのAC出力信号の電圧が降下することを可能にするステップを含む請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項4または5に従属する場合に、前記スケーリングを調整することによって前記電圧の降下を可能にするステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記AC入力信号を受信する入力端子と、
前記調節済みのAC出力信号を提供する出力端子と、
前記出力端子側に提示される前記調節済みのAC出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、
入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、
を備えるスイッチング・レギュレータを使用して前記AC入力信号を調節するステップをさらに含み、
前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、
前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、
前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、
を備え、
前記変調用トランジスタを使用して、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することにより、前記調節済みのAC出力信号を生成するステップ
をさらに含む請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
AC信号を調節するスイッチング・レギュレータであって、
AC入力信号を受信する入力端子と、
AC出力信号を提供する出力端子と、
前記出力端子側に提示される前記出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、
入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、
を備え、
前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、
前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、
前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、
を備え、
前記レギュレータは、
参照信号を生成するように構成された信号生成器と、
前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得し、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するように構成された演算ユニットと、
をさらに備え、
前記変調用トランジスタは、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって、調節済みのAC出力信号を生成するように構成されている、
スイッチング・レギュレータ。
【請求項20】
前記変調用トランジスタを切り換えるように動作可能な第1のスイッチング・コントローラと、前記クランプ・スイッチを切り換えるように動作可能な第2の別個のスイッチング・コントローラと、をさらに備える請求項19に記載のスイッチング・レギュレータ。
【請求項21】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるようにプログラムされたコンピュータ。
【請求項22】
それ自体がコンピュータにロードされたときに、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるコンピュータ・プログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項1】
AC入力信号を調節してAC出力信号を提供する方法であって、
前記AC入力信号を受信するステップと、
参照信号を生成するステップと、
前記AC入力信号がゼロとなるポイントを検出し、前記参照信号とそれらのポイントとの同期をとるステップと、
前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップと、
前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するステップと、
前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって調節済みのAC出力信号を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記誤差信号が単極性となることを保証するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記誤差信号にオフセットを追加して前記誤差信号が単極性となることを保証するステップを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端数誤差をスケーリングした後、前記AC信号を変調してスケーリング済みの前記端数誤差を補正するステップをさらに含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記AC入力信号と前記参照信号の相対的な大きさを調整するようにスケーリングを行った後、スケーリング済みの前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得するステップをさらに含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
電気グリッドの電圧を基準にしたスケーリングを行うステップを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
230ボルトのRMS電圧を基準にしたスケーリングを行うステップを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記AC入力信号をスケーリングするステップを含む請求項4乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
スケーリング済みの前記AC入力信号から前記参照信号を減算するステップを含む請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
全波整流正弦波に対応する参照信号を生成するステップと、前記AC入力信号を全波整流するステップと、を含む請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記AC入力信号をパルス幅変調して前記端数誤差を補正するステップを含む請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記端数誤差とランプ信号とを比較する比較器を使用することによってパルス幅変調を行うステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記端数誤差によって前記AC入力信号の電圧が前記参照信号を超えたことが示されたときは、パルス幅変調を行って前記AC入力信号に相当する部分を取り除くステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記AC出力信号をフィードバックするステップと、前記調節中に前記フィードバック信号を使用して前記AC出力信号の誤差を補償するステップと、を含む請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記AC出力信号の誤差を補償するために、前記フィードバック信号に従って前記AC入力信号を修正するステップを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
接続されている負荷が大きな電流を必要とするときに、前記調節済みのAC出力信号の電圧が降下することを可能にするステップを含む請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項4または5に従属する場合に、前記スケーリングを調整することによって前記電圧の降下を可能にするステップを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記AC入力信号を受信する入力端子と、
前記調節済みのAC出力信号を提供する出力端子と、
前記出力端子側に提示される前記調節済みのAC出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、
入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、
を備えるスイッチング・レギュレータを使用して前記AC入力信号を調節するステップをさらに含み、
前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、
前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、
前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、
を備え、
前記変調用トランジスタを使用して、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することにより、前記調節済みのAC出力信号を生成するステップ
をさらに含む請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
AC信号を調節するスイッチング・レギュレータであって、
AC入力信号を受信する入力端子と、
AC出力信号を提供する出力端子と、
前記出力端子側に提示される前記出力信号を平滑化するように構成されたインダクタおよび/またはキャパシタと、
入力された前記AC信号の正の半サイクルおよび負の半サイクルをそれぞれ調節するように構成された正の半サイクル部分および負の半サイクル部分と、
を備え、
前記正の半サイクル部分および前記負の半サイクル部分はそれぞれ、
前記AC入力信号の前記各半サイクルを変調するように動作可能な変調用トランジスタであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを可能にし、他方の半サイクル中は前記変調用トランジスタ内の電流フローを阻止するように構成された関連する変調器ダイオードを有する変調用トランジスタと、
前記変調用トランジスタを逆バイアス電圧から保護するように構成されたクランプ用ダイオードであって、前記変調用トランジスタの一方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータに接続し、他方の半サイクル中に前記クランプ用ダイオードを前記レギュレータから切断するように動作可能な関連するクランプ・スイッチを有するクランプ用ダイオードと、
を備え、
前記レギュレータは、
参照信号を生成するように構成された信号生成器と、
前記参照信号とAC入力信号との減算を行って誤差信号を取得し、前記誤差信号を前記参照信号で除算して端数誤差を取得するように構成された演算ユニットと、
をさらに備え、
前記変調用トランジスタは、前記AC入力信号を変調して前記端数誤差を補正することによって、調節済みのAC出力信号を生成するように構成されている、
スイッチング・レギュレータ。
【請求項20】
前記変調用トランジスタを切り換えるように動作可能な第1のスイッチング・コントローラと、前記クランプ・スイッチを切り換えるように動作可能な第2の別個のスイッチング・コントローラと、をさらに備える請求項19に記載のスイッチング・レギュレータ。
【請求項21】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるようにプログラムされたコンピュータ。
【請求項22】
それ自体がコンピュータにロードされたときに、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法に従ってスイッチング・レギュレータを動作させるコンピュータ・プログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータ・プログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−522992(P2009−522992A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548027(P2008−548027)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004929
【国際公開番号】WO2007/077426
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503138558)マイクロゲン エナジー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004929
【国際公開番号】WO2007/077426
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503138558)マイクロゲン エナジー リミテッド (28)
【Fターム(参考)】
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