ＡＬＣ横壁パネル用の取付金具およびそれを用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造
【課題】
パネル取付用の部材数および施工工数を減らすとともに、パネル、埋設アンカー位置、さらに柱等の製造時の寸法精度の不良があっても、パネル重量を自重受け金具で確実に支持し、さらに、パネル壁面の出入り調整もできる横壁パネルの取付け構造を提供する。
【解決手段】
パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルを支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
パネル取付用の部材数および施工工数を減らすとともに、パネル、埋設アンカー位置、さらに柱等の製造時の寸法精度の不良があっても、パネル重量を自重受け金具で確実に支持し、さらに、パネル壁面の出入り調整もできる横壁パネルの取付け構造を提供する。
【解決手段】
パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルを支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ＡＬＣパネルの長尺方向を水平置きして、建物駆体にパネルが取り付けられるときに用いられるＡＬＣ横壁パネル用の取付金具およびそれを用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ＡＬＣ横壁パネルの建物躯体（柱）への取付構造およびその固定金具として、図５、図６および図７に示すものが特許文献１に開示されている。
特許文献１における固定金具５０を用いた取付構造は、図５（パネル取付構造を示す垂直断面図）または図６（パネル取付構造を示す水平断面図）に示すように、一対の対称部材からなる固定金具５０がボルト５０ｃにより柱２に締め付けて固定され、さらに、その固定金具５０にパネル３が固定された構造となっている。
【０００３】
このパネル取付構造において、図５または図６に示すように、柱２の所定位置に自重受け金具５１が溶接固定され、その自重受け金具５１によりパネル３の下部小口面が支持されている。
また、図６に示すように、スタットボルト５０ｅを、その一端がパネル３内のアンカー５に、他端が固定金具５０の挿通孔５０ｂを挿通させた後にナット５０ｄに、それぞれ螺合して固定されることにより固定金具５０がパネル３に固定されるようになる。
一方、固定金具５０は、一対の固定金具５０のボルト孔５０ａを挿通させたボルト５０ｃにナット５０ｄを締着して一体化させることにより、柱２に固定されている。
【０００４】
このようにして、横壁パネル３が柱３に固定されたパネル取付構造となる。
この図５または図６に示すようなパネル取付構造によれば、図８に示すような、さらに、以前から使用されていたパネル取付用部材、すなわち、柱２に固定する定規アングル５５およびイナズマプレート５４が省略できて、パネル取付用の部材数とともにその施工工数を減らす効果が提唱されていた。
【０００５】
【特許文献１】特開平０６−４２０８６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、前記取付構造の場合、工場からの柱２の出荷時に、自重受け金具５１を柱２に予め取り付けておくことが必要となる。
そのため、パネル３の各辺の長さや埋設アンカー５の埋設位置に寸法誤差が生じると施工現場において、自重受け金具５１がパネル３の自重を十分に支持できないという不具合が発生する。
また、ボルト５０ｃにナット５０ｄを締着させて、固定金具５０およびパネル３を柱２に固定するため、柱２への固定金具５０の溶接の必要がない一方で、柱２に製造時の寸法精度に不具合があると、壁面外方向（パネルの前後方向）において相隣接する上下のパネル３でパネル面の出入り（凹凸）が発生するとともに、その出入りを調整することができない。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、前記課題を解決するために、
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、
壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
【０００８】
また、パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右のパネル目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する一対の自重受け片、そして柱側面に固定される一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片より構成され、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
【０００９】
さらに、前記固定片に、柱へ溶接固定するための切り欠き部が設けられていることをＡＬＣ横壁パネル用の取付金具において好ましい条件とした。
【００１０】
さらに、前述のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具を用いて、
その壁面支持片がパネル壁面に当接され、自重受け片が相隣接する上下パネル間に介在されているとともに上側パネルの下部小口面を支持し、そして、固定片が柱側面に溶接固定されており、
さらに、壁面支持片に設けられた貫通孔に係合部材が挿通されてパネル内の埋設アンカーと螺合されることにより、パネルが取付金具を介して柱に固定されているＡＬＣ横壁パネルの取付構造とした。
【００１１】
また、パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを段積みして柱に取り付けるＡＬＣ横壁パネルの取付構造において、
上層パネルは、一対の壁面支持片と一対の固定片、およびその固定片同士を連結する連結片とからなる断面ハット状の上層パネル取付金具を用いて、その壁面支持片がパネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより上層パネルが柱に固定され、
さらに、
下層パネルは、一対の壁面支持片と一対の自重受け片、そして一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片からなり、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とがそれぞれＬ字型を形成している下層パネル取付金具を用いて、
その壁面支持片が下層パネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、自重受け片が下層パネルの下部小口面を支持し、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより下層パネルが柱に固定されていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネルの取付構造とした。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、パネル取付用の部材数および施工工数を減らすとともに、パネル、埋設アンカー位置、さらに柱等の製造時の寸法精度に不具合があっても、パネル重量を自重受け金具で確実に支持し、さらに、パネル壁面の出入り（凹凸）調整もできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施形態を図１〜図４に基づいて説明する。なお、符号は従来例と同一のものはその符号を付した。
本発明は、パネル３の長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの縦目地部９を柱正面２ａに配置して、パネル３を柱２に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具１およびそれを用いた取付構造である。
図１は取付金具の第１実施形態を示す斜視図である。図２は、その取付金具を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造である。また、図３は、他の実施形態の取付金具を示す斜視図であり、図４は、その取付金具を用いた取付構造である。
【００１４】
図１または図２に示すように、本発明における取付金具１は、パネル壁面３ａに当接される壁面支持片１ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する自重受け片１ｃ、そして柱側面２ｂに固定される固定片１ｂより構成されている。
そして、壁面支持片１ａと自重受け片１ｃ、および、壁面支持片１ａと固定片１ｂとはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片１ａにはパネル３内の埋設アンカー５と螺合する係合部材４が挿通できる貫通孔１ｄが設けられている。
【００１５】
この取付金具１の構成により、壁面支持片１ａとＬ字型を形成する固定片１ｂが柱側面２ｂに溶接固定され、また、壁面支持片１ａに設けられた貫通孔１ｄを挿通させた係合部材４がパネル内の埋設アンカー５に螺合されることにより、パネル３が取付金具１を介して柱２へと固定されるようになる。
具体的には、図１または図２に示すように、スタットボルト４（係合部材）の一方が埋設アンカー５へ、他方が壁面支持片１ａの貫通孔１ｄを挿通後ワッシャー６を介してナット７と螺合されることにより、取付金具１がその壁面支持片１ａをパネル壁面３ａに当接して固定される。
【００１６】
このとき、係合部材４として通常のボルトを用いても良いが、柱２の周辺はパネル壁面まで工具が届きにくいとともに暗くまた狭いため、スタットボルト４にナット７を螺合させる構造が作業効率の面で好ましい。
また、壁面支持片１ａの貫通孔１ｄは、ワッシャー６が抜け出なければ、より大きな直径の円、または貫通孔の面積が広くなる矩形にすると、スタットボルト４が容易に挿通できるようになり好ましい。実際は、直径１２ｍｍのスタットボルト４と外直径５０ｍｍのワッシャー６を用いた場合、貫通孔１ｄとして一辺２５〜３５ｍｍの正方形の孔を壁面支持片１ａに形成しておくことが望ましい。
また、取付金具１は、板厚４．５〜６．０ｍｍの鋼板とすると、入手が容易であるとともに十分なパネル取付強度が確保できる。
【００１７】
固定片１ｂは、その周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定する。
また、図１に示すように、固定片１ｂの内部に切り欠き部１ｅを設け、その切り欠き部１ｅの内周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、十分な取付強度が確保できるとともに容易な下向き溶接作業のみにできるため望ましい。切り欠き部１ｅは、固定片１ｂ内に２つ設けることが取付強度のバランス上より好ましい。
【００１８】
さらに、壁面支持片１ａとＬ字型を形成する自重受け片１ｃは、上下に相隣接するパネル間に介在されて、上側パネル３の下部小口面３ｂをこの自重受け片１ｃに載置させることによりパネル重量を支持する。なお、この自重受け片１ｃには、下向きにリブを形成しておくと強度が向上して好ましい。
このようにして、固定片１ｂ、壁面支持片１ａおよび自重受け片１ｃにより構成された取付金具１により、ＡＬＣ横壁パネル３が柱２に取付固定されている。
図２では、相隣接する左右パネル３の目地部９が柱正面２ａに配置されて、それぞれの左右パネルの隣接する端部が一対の対称形の取付金具１で柱２に取り付けられることによってパネルが固定されている。
【００１９】
図１または図２に示すような取付金具１を用いてパネル３を柱２に取り付けると、部品点数が少ないため工数も少なくて施工できる。
そして、自重受け片１ｃが取付金具１と一体となっているため、この取付金具１を柱２に取り付けることにより、新たに自重受け金具を柱２に取り付ける必要がなくなる。
さらに、パネル３、アンカー５の埋設位置、さらに柱２の製造時の寸法精度の不具合があっても、パネル３内の埋設アンカー５に螺合されたスタットボルト４と壁面支持片１ａに設けられた貫通孔１ｄとの隙間や、固定片１ｂの柱側面２ｂへの固定位置の調整により、パネル３の下部小口面３ｂに自重受け片１ｃを載置させて確実にパネル自重を支持させたり、上下左右のパネル壁面の出入り（凹凸）調整をして面一にしたりすることができるようになる。
また、地震の発生時には、取付金具１の壁面支持片１ａが撓むことで柱２の揺れが吸収されるため、パネル下部小口面３ｂにおいて自重受け片１ｃの両端が干渉する部分でのパネル欠けの発生を防止する。
【００２０】
具体的に実施した取付金具１の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして切り欠き１ｅ（横幅７０ｍｍ×縦１０ｍｍ×２カ所）とした。また、取付金具１は板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【００２１】
次に、図３および図４に示すＡＬＣ横壁パネル用の取付金具１０およびそれを用いた取付構造について説明する。
図３または図４に示すように、取付金具１０は、パネル壁面３ａに当接される壁面支持片１０ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する自重受け片１０ｃ、そして柱側面２ｂに固定される固定片１０ｂ、および、その固定片同士を連結する連結片１０ｆより構成されている。
そして、壁面支持片１０ａと自重受け片１０ｃ、壁面支持片１０ａと固定片１０ｂ、また、固定片１０ｂと連結片１０ｆとはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片１０ａにはパネル内の埋設アンカー５と螺合する係合部材４を挿通させる貫通孔１０ｄが設けられている。
【００２２】
図３に示す取付金具１０は、一対の対称形の前記取付金具１を、その各々の固定片１ｂ同士が連結片１０ｆで連結された構造となっている。
すなわち、取付金具１０と一対の対称形の取付金具１との相違は連結片１０ｆで一体化されているか否かであり、その他の壁面支持片１０ａ（１ａ）、固定片１０ｂ（１ｂ）、および自重受け片１０ｃ（１ｃ）については、取付金具１における形状、機能、および効果と同じである。
この取付金具１０は、その各固定片１０ｂとＬ字型を形成する連結片１０ｆにより、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片１０ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する一対の自重受け片１０ｃ、そして、柱側面２ｂに固定される一対の固定片１０ｂが連結されて一体化した構成となっている。
【００２３】
そして、この取付金具１０は、図４に示すように、その一対の固定片１０ｂを柱２における対向する両側面２ｂにそれぞれ溶接固定することより、左右に相隣接するパネル３に対する一対の壁面支持片１０ａ、および一対の自重受け片１０ｃを柱２に同時に取り付けることができる。
これにより、取付金具１０は、相隣接する左右パネル３を同じ高さに容易にかつ同時に設定して固定できるようになる。
また、取付金具１０において、その固定片１０ｂの横幅長さを柱側面２ｂの幅よりも１０ｍｍ〜３０ｍｍ長めに設定しておくことで、パネル壁面の出入り（凹凸）調整をより容易にすることが可能となる。
なお、図１に示す取付金具１と同様に、取付金具１０においても各固定片１０ｂの内部に切り欠き部１０ｅを設け、図４に示すように、その切り欠き１０ｅの内周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、十分な取付強度が確保されるとともに容易な下向き溶接作業のみにできるため望ましい。また、図３に示すように、切り欠き部１０ｅを固定片１０ｂ内に２つ設けることにより、取付強度がバランス良く確保されて好ましい。
【００２４】
具体的に実施した取付金具１０の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１０ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１０ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１０ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして、連結片１０ｆ（横幅１３６ｍｍ×縦２００ｍｍ）とした。また、取付金具１０は、板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【００２５】
次に、下層パネル取付金具１０および上層パネル取付金具３０を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造を、その施工手順に沿って以下に説明する。（図４参照）
１．下層パネルの取付
図４に示すように、室内側から取付金具１０の固定片１０ｂおよび連結片１０ｆからなる凹部を柱２に嵌め込んで取付金具１０を柱２に仮設する。
そして、取付金具１０の自重受け片１ｃを下側パネル３の上小口面または布基礎（図示せず）の上面から１０ｍｍ浮かせた状態で、クランプ等を用いて柱２に取付金具１０を仮設置する。
そして、壁面支持片１０ａ（パネル壁面）の出入り（凹凸）が無くなるように取付金具の取付位置１０を調整したのちに、その固定片１０ｂを柱側面２ｂに溶接固定する。
このとき、固定片１０ｂに設けられた切り欠き部１０ｅの内周縁部（特に下側縁部）を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、容易な下向き溶接作業となり望ましい。
その後、スタットボルト４（係合部材）が埋設アンカー５に予め螺合された下層パネル３を、自重受け片１ｃにそのパネルの下部小口面３ｂを支持させて載置する。
このとき、パネル３に固定されて突出しているスタットボルト４の他端を、壁面支持片１０ａの貫通孔１０ｄを挿通させ後、ワッシャー６を介してナット７に螺合させる。さらに、ナット７の締着により、壁面支持片１０ａがパネル壁面３ａに当接された状態で、パネルが取付金具１０に固定される。
柱２を挟んで左右に相隣接するパネル３の他方に対しても、同様の取付構造および手順で、パネル３を柱２に取り付けて固定する。
【００２６】
２．上層パネルの取付
次に、下層パネルの上方の柱２に、上層パネル３を取り付けて固定する。
図４に示すように、上層パネル３は、一対の壁面支持片３０ａと一対の固定片３０ｂ、および、その固定片同士を連結する連結片３０ｆとからなる断面ハット状の上層パネル取付金具３０を用いて、柱２に取付固定される。
その手順は、図４に示すように、室内側から取付金具３０の固定片３０ｂおよび連結片３０ｆからなる凹部を柱２に嵌め込んで、取付金具３０を柱２に仮設置する。
そして、壁面支持片３０ａ（パネル壁面）の出入り（凹凸）が無くなるように取付金具３０の取付位置を調整したのちに、その固定片３０ｂを柱側面２ｂに溶接固定する。
このとき、固定片３０ｂに設けられた切り欠き部３０ｅの内周縁部（下側縁部）を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、容易な下向き溶接作業となり望ましい。
その後、上層パネル３の埋設アンカー５に予め螺合されて、パネル３から突出しているスタットボルト４の他端を、取付金具３０の壁面支持片３０ａの貫通孔３０ｄに挿通させた後、ワッシャー６を介してナット７と螺合させる。
これにより、取付金具３０の壁面支持片３０ａにパネル壁面３ａが当接された状態で、パネル３が上層パネル取付金具３０に取り付けられる。
柱２を挟んで左右に相隣接するパネル３の他方に対しても、同様の取付構造および手順で、上層パネル３を柱２に取り付けて固定する。
【００２７】
なお、下層パネル取付金具１および上層パネル取付金具２０を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造およびその施工手順は、下層パネル取付金具１０（一対の対称形の取付金具１を、その各々の固定片１ｂ同士を連結片１０ｆで連結された構造）および、上層パネル取付金具３０（一対の対称形の取付金具２０を、その各々の固定片２０ｂ同士を連結片３０ｆで連結された構造）の場合とは、相隣接する左右パネル３を同時に柱２に固定できる点において異なるのみである。
すなわち、取付金具１および取付金具２０に共通する壁面支持片１ａ，２０ａ、自重受け片１ｃ，２０ｃ、および固定片１ｂ，２０ｂによるパネルの取付構造およびその施工手順は、取付金具１０および取付金具３０におけるそれらと同様である。
【００２８】
なお、具体的に実施した取付金具１０および取付金具３０の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１０ａ，３０ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１０ｃ，３０ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１０ｂ，３０ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして、連結片３０ｆ（横幅１３６ｍｍ×縦２００ｍｍ）とした。また、取付金具１０および取付金具３０は、板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明によれば、ラック倉庫のように一定のピッチで立設された柱にＡＬＣパネルを取り付ける構造において、取付金具の数を減らすことができるとともに、パネル壁面の出入り（凹凸）調整が容易にできるようになるため、施工期間の短縮を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明における取付金具の１実施形態を示す斜視図。
【図２】本発明における取付構造の１実施形態を示す一斜視図。
【図３】本発明における取付金具の他の実施形態を示す斜視図。
【図４】本発明における取付構造の他の施形態を示す一斜視図。
【図５】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す垂直断面図。
【図６】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す水平断面図。
【図７】従来例における固定金具を示す斜視図。
【図８】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す水平断面図。
【符号の説明】
【００３１】
１ 取付金具（下層パネル取付金具）
１ａ 壁面支持片
１ｂ 固定片
１ｃ 自重受け片
１ｄ 貫通孔
１ｅ 切り欠き部
２ 柱
２ａ 柱正面
２ｂ 柱側面
３ ＡＬＣパネル
３ａ 壁面
３ｂ 下部小口面
４ 係止部材（スタットボルト）
５ 埋設アンカー
６ ワッシャー
７ ナット
８ 溶接部
９ 縦目地部
１０ 取付金具（下層パネル取付金具）
１０ａ 壁面支持片
１０ｂ 固定片
１０ｃ 自重受け片
１０ｄ 貫通孔
１０ｅ 切り欠き部
１０ｆ 連結片
２０ 取付金具（上層パネル取付金具）
２０ａ 壁面支持片
２０ｂ 固定片
２０ｄ 貫通孔
２０ｅ 切り欠き部
３０ 取付金具（上層パネル取付金具）
３０ａ 壁面支持片
３０ｂ 固定片
３０ｄ 貫通孔
３０ｅ 切り欠き部
３０ｆ 連結片
５０ 固定金具
５０ａ ボルト孔
５０ｂ 挿通孔
５０ｃ ボルト
５０ｄ ナット
５０ｅ スタットボルト
５１ 自重受け金具
５２ 縦目地部
５３ ボルト
５４ イナズマプレート
５５ 定規アングル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ＡＬＣパネルの長尺方向を水平置きして、建物駆体にパネルが取り付けられるときに用いられるＡＬＣ横壁パネル用の取付金具およびそれを用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
ＡＬＣ横壁パネルの建物躯体（柱）への取付構造およびその固定金具として、図５、図６および図７に示すものが特許文献１に開示されている。
特許文献１における固定金具５０を用いた取付構造は、図５（パネル取付構造を示す垂直断面図）または図６（パネル取付構造を示す水平断面図）に示すように、一対の対称部材からなる固定金具５０がボルト５０ｃにより柱２に締め付けて固定され、さらに、その固定金具５０にパネル３が固定された構造となっている。
【０００３】
このパネル取付構造において、図５または図６に示すように、柱２の所定位置に自重受け金具５１が溶接固定され、その自重受け金具５１によりパネル３の下部小口面が支持されている。
また、図６に示すように、スタットボルト５０ｅを、その一端がパネル３内のアンカー５に、他端が固定金具５０の挿通孔５０ｂを挿通させた後にナット５０ｄに、それぞれ螺合して固定されることにより固定金具５０がパネル３に固定されるようになる。
一方、固定金具５０は、一対の固定金具５０のボルト孔５０ａを挿通させたボルト５０ｃにナット５０ｄを締着して一体化させることにより、柱２に固定されている。
【０００４】
このようにして、横壁パネル３が柱３に固定されたパネル取付構造となる。
この図５または図６に示すようなパネル取付構造によれば、図８に示すような、さらに、以前から使用されていたパネル取付用部材、すなわち、柱２に固定する定規アングル５５およびイナズマプレート５４が省略できて、パネル取付用の部材数とともにその施工工数を減らす効果が提唱されていた。
【０００５】
【特許文献１】特開平０６−４２０８６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、前記取付構造の場合、工場からの柱２の出荷時に、自重受け金具５１を柱２に予め取り付けておくことが必要となる。
そのため、パネル３の各辺の長さや埋設アンカー５の埋設位置に寸法誤差が生じると施工現場において、自重受け金具５１がパネル３の自重を十分に支持できないという不具合が発生する。
また、ボルト５０ｃにナット５０ｄを締着させて、固定金具５０およびパネル３を柱２に固定するため、柱２への固定金具５０の溶接の必要がない一方で、柱２に製造時の寸法精度に不具合があると、壁面外方向（パネルの前後方向）において相隣接する上下のパネル３でパネル面の出入り（凹凸）が発生するとともに、その出入りを調整することができない。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、前記課題を解決するために、
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、
壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
【０００８】
また、パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右のパネル目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する一対の自重受け片、そして柱側面に固定される一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片より構成され、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられているＡＬＣ横壁パネル用の取付金具とした。
【０００９】
さらに、前記固定片に、柱へ溶接固定するための切り欠き部が設けられていることをＡＬＣ横壁パネル用の取付金具において好ましい条件とした。
【００１０】
さらに、前述のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具を用いて、
その壁面支持片がパネル壁面に当接され、自重受け片が相隣接する上下パネル間に介在されているとともに上側パネルの下部小口面を支持し、そして、固定片が柱側面に溶接固定されており、
さらに、壁面支持片に設けられた貫通孔に係合部材が挿通されてパネル内の埋設アンカーと螺合されることにより、パネルが取付金具を介して柱に固定されているＡＬＣ横壁パネルの取付構造とした。
【００１１】
また、パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを段積みして柱に取り付けるＡＬＣ横壁パネルの取付構造において、
上層パネルは、一対の壁面支持片と一対の固定片、およびその固定片同士を連結する連結片とからなる断面ハット状の上層パネル取付金具を用いて、その壁面支持片がパネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより上層パネルが柱に固定され、
さらに、
下層パネルは、一対の壁面支持片と一対の自重受け片、そして一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片からなり、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とがそれぞれＬ字型を形成している下層パネル取付金具を用いて、
その壁面支持片が下層パネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、自重受け片が下層パネルの下部小口面を支持し、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより下層パネルが柱に固定されていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネルの取付構造とした。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、パネル取付用の部材数および施工工数を減らすとともに、パネル、埋設アンカー位置、さらに柱等の製造時の寸法精度に不具合があっても、パネル重量を自重受け金具で確実に支持し、さらに、パネル壁面の出入り（凹凸）調整もできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明の実施形態を図１〜図４に基づいて説明する。なお、符号は従来例と同一のものはその符号を付した。
本発明は、パネル３の長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの縦目地部９を柱正面２ａに配置して、パネル３を柱２に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具１およびそれを用いた取付構造である。
図１は取付金具の第１実施形態を示す斜視図である。図２は、その取付金具を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造である。また、図３は、他の実施形態の取付金具を示す斜視図であり、図４は、その取付金具を用いた取付構造である。
【００１４】
図１または図２に示すように、本発明における取付金具１は、パネル壁面３ａに当接される壁面支持片１ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する自重受け片１ｃ、そして柱側面２ｂに固定される固定片１ｂより構成されている。
そして、壁面支持片１ａと自重受け片１ｃ、および、壁面支持片１ａと固定片１ｂとはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片１ａにはパネル３内の埋設アンカー５と螺合する係合部材４が挿通できる貫通孔１ｄが設けられている。
【００１５】
この取付金具１の構成により、壁面支持片１ａとＬ字型を形成する固定片１ｂが柱側面２ｂに溶接固定され、また、壁面支持片１ａに設けられた貫通孔１ｄを挿通させた係合部材４がパネル内の埋設アンカー５に螺合されることにより、パネル３が取付金具１を介して柱２へと固定されるようになる。
具体的には、図１または図２に示すように、スタットボルト４（係合部材）の一方が埋設アンカー５へ、他方が壁面支持片１ａの貫通孔１ｄを挿通後ワッシャー６を介してナット７と螺合されることにより、取付金具１がその壁面支持片１ａをパネル壁面３ａに当接して固定される。
【００１６】
このとき、係合部材４として通常のボルトを用いても良いが、柱２の周辺はパネル壁面まで工具が届きにくいとともに暗くまた狭いため、スタットボルト４にナット７を螺合させる構造が作業効率の面で好ましい。
また、壁面支持片１ａの貫通孔１ｄは、ワッシャー６が抜け出なければ、より大きな直径の円、または貫通孔の面積が広くなる矩形にすると、スタットボルト４が容易に挿通できるようになり好ましい。実際は、直径１２ｍｍのスタットボルト４と外直径５０ｍｍのワッシャー６を用いた場合、貫通孔１ｄとして一辺２５〜３５ｍｍの正方形の孔を壁面支持片１ａに形成しておくことが望ましい。
また、取付金具１は、板厚４．５〜６．０ｍｍの鋼板とすると、入手が容易であるとともに十分なパネル取付強度が確保できる。
【００１７】
固定片１ｂは、その周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定する。
また、図１に示すように、固定片１ｂの内部に切り欠き部１ｅを設け、その切り欠き部１ｅの内周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、十分な取付強度が確保できるとともに容易な下向き溶接作業のみにできるため望ましい。切り欠き部１ｅは、固定片１ｂ内に２つ設けることが取付強度のバランス上より好ましい。
【００１８】
さらに、壁面支持片１ａとＬ字型を形成する自重受け片１ｃは、上下に相隣接するパネル間に介在されて、上側パネル３の下部小口面３ｂをこの自重受け片１ｃに載置させることによりパネル重量を支持する。なお、この自重受け片１ｃには、下向きにリブを形成しておくと強度が向上して好ましい。
このようにして、固定片１ｂ、壁面支持片１ａおよび自重受け片１ｃにより構成された取付金具１により、ＡＬＣ横壁パネル３が柱２に取付固定されている。
図２では、相隣接する左右パネル３の目地部９が柱正面２ａに配置されて、それぞれの左右パネルの隣接する端部が一対の対称形の取付金具１で柱２に取り付けられることによってパネルが固定されている。
【００１９】
図１または図２に示すような取付金具１を用いてパネル３を柱２に取り付けると、部品点数が少ないため工数も少なくて施工できる。
そして、自重受け片１ｃが取付金具１と一体となっているため、この取付金具１を柱２に取り付けることにより、新たに自重受け金具を柱２に取り付ける必要がなくなる。
さらに、パネル３、アンカー５の埋設位置、さらに柱２の製造時の寸法精度の不具合があっても、パネル３内の埋設アンカー５に螺合されたスタットボルト４と壁面支持片１ａに設けられた貫通孔１ｄとの隙間や、固定片１ｂの柱側面２ｂへの固定位置の調整により、パネル３の下部小口面３ｂに自重受け片１ｃを載置させて確実にパネル自重を支持させたり、上下左右のパネル壁面の出入り（凹凸）調整をして面一にしたりすることができるようになる。
また、地震の発生時には、取付金具１の壁面支持片１ａが撓むことで柱２の揺れが吸収されるため、パネル下部小口面３ｂにおいて自重受け片１ｃの両端が干渉する部分でのパネル欠けの発生を防止する。
【００２０】
具体的に実施した取付金具１の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして切り欠き１ｅ（横幅７０ｍｍ×縦１０ｍｍ×２カ所）とした。また、取付金具１は板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【００２１】
次に、図３および図４に示すＡＬＣ横壁パネル用の取付金具１０およびそれを用いた取付構造について説明する。
図３または図４に示すように、取付金具１０は、パネル壁面３ａに当接される壁面支持片１０ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する自重受け片１０ｃ、そして柱側面２ｂに固定される固定片１０ｂ、および、その固定片同士を連結する連結片１０ｆより構成されている。
そして、壁面支持片１０ａと自重受け片１０ｃ、壁面支持片１０ａと固定片１０ｂ、また、固定片１０ｂと連結片１０ｆとはそれぞれＬ字型を形成しており、さらに、その壁面支持片１０ａにはパネル内の埋設アンカー５と螺合する係合部材４を挿通させる貫通孔１０ｄが設けられている。
【００２２】
図３に示す取付金具１０は、一対の対称形の前記取付金具１を、その各々の固定片１ｂ同士が連結片１０ｆで連結された構造となっている。
すなわち、取付金具１０と一対の対称形の取付金具１との相違は連結片１０ｆで一体化されているか否かであり、その他の壁面支持片１０ａ（１ａ）、固定片１０ｂ（１ｂ）、および自重受け片１０ｃ（１ｃ）については、取付金具１における形状、機能、および効果と同じである。
この取付金具１０は、その各固定片１０ｂとＬ字型を形成する連結片１０ｆにより、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片１０ａ、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面３ｂを支持する一対の自重受け片１０ｃ、そして、柱側面２ｂに固定される一対の固定片１０ｂが連結されて一体化した構成となっている。
【００２３】
そして、この取付金具１０は、図４に示すように、その一対の固定片１０ｂを柱２における対向する両側面２ｂにそれぞれ溶接固定することより、左右に相隣接するパネル３に対する一対の壁面支持片１０ａ、および一対の自重受け片１０ｃを柱２に同時に取り付けることができる。
これにより、取付金具１０は、相隣接する左右パネル３を同じ高さに容易にかつ同時に設定して固定できるようになる。
また、取付金具１０において、その固定片１０ｂの横幅長さを柱側面２ｂの幅よりも１０ｍｍ〜３０ｍｍ長めに設定しておくことで、パネル壁面の出入り（凹凸）調整をより容易にすることが可能となる。
なお、図１に示す取付金具１と同様に、取付金具１０においても各固定片１０ｂの内部に切り欠き部１０ｅを設け、図４に示すように、その切り欠き１０ｅの内周縁部を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、十分な取付強度が確保されるとともに容易な下向き溶接作業のみにできるため望ましい。また、図３に示すように、切り欠き部１０ｅを固定片１０ｂ内に２つ設けることにより、取付強度がバランス良く確保されて好ましい。
【００２４】
具体的に実施した取付金具１０の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１０ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１０ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１０ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして、連結片１０ｆ（横幅１３６ｍｍ×縦２００ｍｍ）とした。また、取付金具１０は、板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【００２５】
次に、下層パネル取付金具１０および上層パネル取付金具３０を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造を、その施工手順に沿って以下に説明する。（図４参照）
１．下層パネルの取付
図４に示すように、室内側から取付金具１０の固定片１０ｂおよび連結片１０ｆからなる凹部を柱２に嵌め込んで取付金具１０を柱２に仮設する。
そして、取付金具１０の自重受け片１ｃを下側パネル３の上小口面または布基礎（図示せず）の上面から１０ｍｍ浮かせた状態で、クランプ等を用いて柱２に取付金具１０を仮設置する。
そして、壁面支持片１０ａ（パネル壁面）の出入り（凹凸）が無くなるように取付金具の取付位置１０を調整したのちに、その固定片１０ｂを柱側面２ｂに溶接固定する。
このとき、固定片１０ｂに設けられた切り欠き部１０ｅの内周縁部（特に下側縁部）を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、容易な下向き溶接作業となり望ましい。
その後、スタットボルト４（係合部材）が埋設アンカー５に予め螺合された下層パネル３を、自重受け片１ｃにそのパネルの下部小口面３ｂを支持させて載置する。
このとき、パネル３に固定されて突出しているスタットボルト４の他端を、壁面支持片１０ａの貫通孔１０ｄを挿通させ後、ワッシャー６を介してナット７に螺合させる。さらに、ナット７の締着により、壁面支持片１０ａがパネル壁面３ａに当接された状態で、パネルが取付金具１０に固定される。
柱２を挟んで左右に相隣接するパネル３の他方に対しても、同様の取付構造および手順で、パネル３を柱２に取り付けて固定する。
【００２６】
２．上層パネルの取付
次に、下層パネルの上方の柱２に、上層パネル３を取り付けて固定する。
図４に示すように、上層パネル３は、一対の壁面支持片３０ａと一対の固定片３０ｂ、および、その固定片同士を連結する連結片３０ｆとからなる断面ハット状の上層パネル取付金具３０を用いて、柱２に取付固定される。
その手順は、図４に示すように、室内側から取付金具３０の固定片３０ｂおよび連結片３０ｆからなる凹部を柱２に嵌め込んで、取付金具３０を柱２に仮設置する。
そして、壁面支持片３０ａ（パネル壁面）の出入り（凹凸）が無くなるように取付金具３０の取付位置を調整したのちに、その固定片３０ｂを柱側面２ｂに溶接固定する。
このとき、固定片３０ｂに設けられた切り欠き部３０ｅの内周縁部（下側縁部）を溶接部８として柱側面２ｂに固定すると、容易な下向き溶接作業となり望ましい。
その後、上層パネル３の埋設アンカー５に予め螺合されて、パネル３から突出しているスタットボルト４の他端を、取付金具３０の壁面支持片３０ａの貫通孔３０ｄに挿通させた後、ワッシャー６を介してナット７と螺合させる。
これにより、取付金具３０の壁面支持片３０ａにパネル壁面３ａが当接された状態で、パネル３が上層パネル取付金具３０に取り付けられる。
柱２を挟んで左右に相隣接するパネル３の他方に対しても、同様の取付構造および手順で、上層パネル３を柱２に取り付けて固定する。
【００２７】
なお、下層パネル取付金具１および上層パネル取付金具２０を用いたＡＬＣ横壁パネルの取付構造およびその施工手順は、下層パネル取付金具１０（一対の対称形の取付金具１を、その各々の固定片１ｂ同士を連結片１０ｆで連結された構造）および、上層パネル取付金具３０（一対の対称形の取付金具２０を、その各々の固定片２０ｂ同士を連結片３０ｆで連結された構造）の場合とは、相隣接する左右パネル３を同時に柱２に固定できる点において異なるのみである。
すなわち、取付金具１および取付金具２０に共通する壁面支持片１ａ，２０ａ、自重受け片１ｃ，２０ｃ、および固定片１ｂ，２０ｂによるパネルの取付構造およびその施工手順は、取付金具１０および取付金具３０におけるそれらと同様である。
【００２８】
なお、具体的に実施した取付金具１０および取付金具３０の各寸法は、パネル（幅６００ｍｍ、長さ３０００ｍｍ、厚さ１００ｍｍ）、および鉄骨角柱（一辺が１２５ｍｍ）に対して、壁面支持片１０ａ，３０ａ（横幅１００ｍｍ×縦４００ｍｍ）、自重受け片１０ｃ，３０ｃ（横幅１００ｍｍ×奥行き７５ｍｍ）、固定片１０ｂ，３０ｂ（横幅１６０ｍｍ×縦２００ｍｍ）、そして、連結片３０ｆ（横幅１３６ｍｍ×縦２００ｍｍ）とした。また、取付金具１０および取付金具３０は、板厚４．５ｍｍの鋼板を折曲させて作成した。
【産業上の利用可能性】
【００２９】
本発明によれば、ラック倉庫のように一定のピッチで立設された柱にＡＬＣパネルを取り付ける構造において、取付金具の数を減らすことができるとともに、パネル壁面の出入り（凹凸）調整が容易にできるようになるため、施工期間の短縮を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【００３０】
【図１】本発明における取付金具の１実施形態を示す斜視図。
【図２】本発明における取付構造の１実施形態を示す一斜視図。
【図３】本発明における取付金具の他の実施形態を示す斜視図。
【図４】本発明における取付構造の他の施形態を示す一斜視図。
【図５】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す垂直断面図。
【図６】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す水平断面図。
【図７】従来例における固定金具を示す斜視図。
【図８】従来例におけるＡＬＣパネルの取付構造を示す水平断面図。
【符号の説明】
【００３１】
１ 取付金具（下層パネル取付金具）
１ａ 壁面支持片
１ｂ 固定片
１ｃ 自重受け片
１ｄ 貫通孔
１ｅ 切り欠き部
２ 柱
２ａ 柱正面
２ｂ 柱側面
３ ＡＬＣパネル
３ａ 壁面
３ｂ 下部小口面
４ 係止部材（スタットボルト）
５ 埋設アンカー
６ ワッシャー
７ ナット
８ 溶接部
９ 縦目地部
１０ 取付金具（下層パネル取付金具）
１０ａ 壁面支持片
１０ｂ 固定片
１０ｃ 自重受け片
１０ｄ 貫通孔
１０ｅ 切り欠き部
１０ｆ 連結片
２０ 取付金具（上層パネル取付金具）
２０ａ 壁面支持片
２０ｂ 固定片
２０ｄ 貫通孔
２０ｅ 切り欠き部
３０ 取付金具（上層パネル取付金具）
３０ａ 壁面支持片
３０ｂ 固定片
３０ｄ 貫通孔
３０ｅ 切り欠き部
３０ｆ 連結片
５０ 固定金具
５０ａ ボルト孔
５０ｂ 挿通孔
５０ｃ ボルト
５０ｄ ナット
５０ｅ スタットボルト
５１ 自重受け金具
５２ 縦目地部
５３ ボルト
５４ イナズマプレート
５５ 定規アングル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、
壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項２】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右のパネル目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する一対の自重受け片、そして柱側面に固定される一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片より構成され、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項３】
前記固定片に、柱へ溶接固定するための切り欠き部が設けられている請求項１または２記載のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項４】
請求項１〜３記載のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具を用いて、
その壁面支持片がパネル壁面に当接され、自重受け片が相隣接する上下パネル間に介在されているとともに上側パネルの下部小口面を支持し、そして、固定片が柱側面に溶接固定されており、
さらに、壁面支持片に設けられた貫通孔に係合部材が挿通されてパネル内の埋設アンカーと螺合されることにより、パネルが取付金具を介して柱に固定されているＡＬＣ横壁パネルの取付構造。
【請求項５】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを段積みして柱に取り付けるＡＬＣ横壁パネルの取付構造において、
上層パネルは、一対の壁面支持片と一対の固定片、およびその固定片同士を連結する連結片とからなる断面ハット状の上層パネル取付金具を用いて、その壁面支持片がパネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより上層パネルが柱に固定され、
さらに、
下層パネルは、一対の壁面支持片と一対の自重受け片、そして一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片からなり、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とがそれぞれＬ字型を形成している下層パネル取付金具を用いて、
その壁面支持片が下層パネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、自重受け片が下層パネルの下部小口面を支持し、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより下層パネルが柱に固定されていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネルの取付構造。
【請求項１】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する自重受け片、そして柱側面に固定される固定片より構成され、
壁面支持片と自重受け片、および、壁面支持片と固定片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項２】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右のパネル目地部を柱正面に配置してパネルを柱に取り付けるためのＡＬＣ横壁パネル用の取付金具であって、
該取付金具は、パネル壁面に当接される一対の壁面支持片、相隣接する上下パネル間に介在して上側パネルの下部小口面を支持する一対の自重受け片、そして柱側面に固定される一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片より構成され、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とはそれぞれＬ字型を形成しており、
さらに、その壁面支持片にはパネル内の埋設アンカーと螺合する係合部材が挿通できる貫通孔が設けられていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項３】
前記固定片に、柱へ溶接固定するための切り欠き部が設けられている請求項１または２記載のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具。
【請求項４】
請求項１〜３記載のＡＬＣ横壁パネル用の取付金具を用いて、
その壁面支持片がパネル壁面に当接され、自重受け片が相隣接する上下パネル間に介在されているとともに上側パネルの下部小口面を支持し、そして、固定片が柱側面に溶接固定されており、
さらに、壁面支持片に設けられた貫通孔に係合部材が挿通されてパネル内の埋設アンカーと螺合されることにより、パネルが取付金具を介して柱に固定されているＡＬＣ横壁パネルの取付構造。
【請求項５】
パネルの長尺方向を水平置きするとともに、相隣接する左右パネルの目地部を柱正面に配置してパネルを段積みして柱に取り付けるＡＬＣ横壁パネルの取付構造において、
上層パネルは、一対の壁面支持片と一対の固定片、およびその固定片同士を連結する連結片とからなる断面ハット状の上層パネル取付金具を用いて、その壁面支持片がパネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより上層パネルが柱に固定され、
さらに、
下層パネルは、一対の壁面支持片と一対の自重受け片、そして一対の固定片、および、その固定片同士を連結する連結片からなり、壁面支持片と自重受け片、壁面支持片と固定片、また、固定片と連結片とがそれぞれＬ字型を形成している下層パネル取付金具を用いて、
その壁面支持片が下層パネル壁面に当接されているとともに壁面支持片に設けられた貫通孔を挿通させた係合部材がパネル内の埋設アンカーと螺合され、自重受け片が下層パネルの下部小口面を支持し、さらに、固定片が柱側面に溶接固定されることにより下層パネルが柱に固定されていることを特徴とするＡＬＣ横壁パネルの取付構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００９−９１８００（Ｐ２００９−９１８００Ａ）
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２６３１５４（Ｐ２００７−２６３１５４）
【出願日】平成１９年１０月９日（２００７．１０．９）
【出願人】（０００１８５９４９）クリオン株式会社 (105)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年４月３０日（２００９．４．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月９日（２００７．１０．９）
【出願人】（０００１８５９４９）クリオン株式会社 (105)
【Ｆターム（参考）】
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