説明

ALK1受容体およびリガンドアンタゴニストならびにその使用

本開示は、一部分において、アクチビン様キナーゼI(ALK1)媒介性制御系の特徴づけおよびインビボでの血管形成におけるこの系の役割を示す。一定の態様では、本開示は、アクチビン様キナーゼI(ALK1)ポリペプチドの細胞外ドメインのリガンド結合部分を含むポリペプチドを使用して、特に、血管形成関連障害を罹患した哺乳動物における血管形成をインビボで阻害することができるという洞察に関する。本開示はまた、ALK1のリガンド(かかるリガンドが血管形成誘発活性を有することが証明される)および受容体−リガンド相互作用を阻害する抗体を同定する。一定の態様では、本開示は、ALK−1リガンドのアンタゴニストおよび抗血管新生薬としてのかかるアンタゴニストの使用を提供する。さらに、本開示は、ALK−1自体のアンタゴニストおよび抗血管新生薬としてのかかるアンタゴニストの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願)
本願は、題名が「ALK1受容体およびリガンドアンタゴニストならびにその使用」である2006年11月2日に出願された米国仮特許出願第60/856,592号の出願日での利益を主張する。米国仮特許出願第60/856,592号の全ての教示が、本明細書中に参考として明白に援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
血管形成(新しい血管の形成過程)は、多くの正常または異常な生理学的状態に重要である。正常な生理学的条件下で、ヒトおよび動物は、特定の状況および制限された状況で血管形成をする。例えば、血管形成は、通常、創傷治癒、胎児および胚の発達、ならびに黄体、子宮内膜、および胎盤の形成において認められる。
【0003】
望ましくないまたは不適切に制御された血管形成は多くの障害で生じ、これには異常な内皮成長が病理学的過程に起因し、または関与し得る。例えば、血管形成は、多くの腫瘍の成長に関与する。無秩序な血管形成は、関節リウマチ、網膜症、血管腫、および乾癬などの病理学的過程に関与している。無秩序な血管形成が存在する多様な病状が血管形成関連疾患として分類されている。
【0004】
制御された血管形成および制御されない血管形成は、共に類似の様式で進行すると考えられている。毛細血管は、主に、基底膜に囲まれた内皮細胞および周皮細胞から構成される。血管形成は、内皮細胞および白血球から放出された酵素による基底膜の侵食から開始される。次いで、血管内腔を裏打ちする内皮細胞が、基底膜を介して突出する。血管新生因子は、侵食された基底膜を介して移動するように内皮細胞を誘導する。移動する細胞は、親血管から突出した「出芽」を形成し、ここで内皮細胞が有糸分裂および増殖を受ける。内皮出芽が相互に融合して、毛細血管係蹄を形成し、新規の血管を作製する。
【0005】
血管形成を阻害する薬剤は、種々の障害の治療で有効であることが証明されている。アバスチン(商標)(ベバシズマブ)(血管内皮成長因子(VEGF)に結合するモノクローナル抗体)は、種々の癌の治療で有効であることが証明されている。マクゲン(商標)(VEGFに結合するアプタマー)は、新生血管(湿性)加齢性黄斑変性の治療で有効であることが証明されている。SDF/CXCR4シグナル伝達経路のアンタゴニストは、腫瘍新血管形成を阻害し、マウスモデルにおいて癌に有効である(非特許文献1)。イソクマリン2−(8−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−オキソ−1H−2−ベンゾピラン−3−イル)プロピオン酸(NM−3)は、経口で生物学的に利用可能な血管形成阻害剤として第I相臨床評価が完了している。NM−3は、インビトロで内皮細胞および腫瘍細胞の両方を直接死滅させ、マウスにおいて多様なヒト腫瘍異種移植片の治療で有効である(非特許文献2)。サリドマイドおよび関連化合物は、癌治療において有益な効果を示しているが、分子の作用機構は明らかではなく、血管形成阻害は抗腫瘍効果の重要な構成要素のようである(例えば、非特許文献3を参照のこと)。関節リウマチ治療におけるTNF−αアンタゴニストの成功は、炎症を起こした関節組織に及ぼす抗血管形成効果が部分的に寄与している(非特許文献4)。抗血管形成療法は、他の炎症性疾患(特に、乾癬)に対して有益な効果を有することが広く期待されている。多くの抗血管新生薬は、罹患した組織と無関係に血管形成に効果があるにもかかわらず、他の血管形成薬は、組織選択効果を有する傾向があり得る。
【0006】
血管形成阻害のためのさらなる組成物および方法があることが望ましい。これらには、全身または一定の組織および/もしくは病状における血管の望ましくない成長を阻害することができる方法および組成物が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gulengら、Cancer Res.2005 Jul.1;65(13):5864−71
【非特許文献2】Agataら、Cancer Chemother Pharmacol.2005 December;56(6):610−4
【非特許文献3】Dredgeら、Microvasc Res.2005 January;69(1−2):56−63
【非特許文献4】Feldmannら、Annu Rev Immunol.2001;19:163−96
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
本開示は、一部分において、アクチビン様キナーゼI(ALK1)媒介性制御系の特徴づけおよびインビボでの血管形成におけるこの系の役割を示す。一定の態様では、本開示は、ALK−1リガンドのアンタゴニストおよび抗血管新生薬としてのかかるアンタゴニストの使用を提供する。さらに、本開示は、ALK−1自体のアンタゴニストおよび抗血管新生薬としてのかかるアンタゴニストの使用を提供する。本明細書に記載されるように、ALK1は、リガンドのGDF5群(GDF6およびGDF7が含まれる)の受容体であり、リガンドのBMP9群(BMP10が含まれる)の受容体でもある。本開示は、ALK1によって媒介されるシグナル伝達および上記リガンドがインビボでの血管形成に関与し、この制御系の阻害が強い抗血管形成効果を有することを証明する。したがって、一定の態様では、本開示は、ALK1制御系のアンタゴニスト(血管形成阻害で用いる受容体または1つまたは複数のリガンドのアンタゴニストが含まれる)を提供する。一定の態様では、本開示は、癌(特に、多発性骨髄腫)、関節リウマチ、および眼における病理学的血管形成に関連する障害の治療のためのALK1リガンドのアンタゴニストを提供する。
【0009】
一定の態様では、本開示は、血管形成阻害で使用するALK1の細胞外ドメインのリガンド結合部分(「ALK1 ECDポリペプチド」)を含むポリペプチドを提供する。いかなる特定の作用機構にも拘束されることを望まないが、かかるポリペプチドはALK1リガンドへの結合ならびにこれらのリガンドがALK1および他の受容体と相互作用する能力の阻害によって作用すると予想される。一定の実施形態では、ALK1 ECDポリペプチドは、配列番号1のヒトALK1配列のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。ALK1 ECDポリペプチドを、特に、眼などの組織への局所投与のために小さな単量体タンパク質または二量体化形態(例えば、融合タンパク質として発現する)として使用することができる。ALK1 ECDを、第2のポリペプチド部分に融合して特性を改善することもできる(半減期の増加またはより容易な産生もしくは精製など)。免疫グロブリンのFc部分への融合またはポリオキシエチレン部分(例えば、ポリエチレングリコール)への連結は、全身投与(例えば、静脈内、動脈内、および腹腔内投与)におけるALK1 ECDポリペプチドの血清半減期の増加に特に有用であり得る。本明細書中で証明されるように、全身投与したALK1−Fcポリペプチドは眼に強い抗血管形成効果を有し、関節リウマチおよび多発性骨髄腫のマウスモデルでの好ましい効果も得られる。一定の実施形態では、ALK1−Fc融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、このポリペプチドは、介入リンカーを使用し、または使用しないで、免疫グロブリンのFc部分に融合し、ALK1−Fc融合タンパク質は、1×10−7M未満のKでGDF5、GDF7、およびBMP9に結合し、1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する。Fc部分を、生物に適切であるように選択することができる。任意選択的に、Fc部分は、ヒトIgG1のFc部分である。好ましい実施形態では、ALK1−Fc融合タンパク質は、配列番号1のアミノ酸22〜118を含む。任意選択的に、ALK1−Fc融合タンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。任意選択的に、ALK1−Fc融合タンパク質は、哺乳動物細胞株、特に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株中での配列番号4の核酸の発現によって産生されるタンパク質である。ALK1−ECDポリペプチドを、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物として処方することができる。薬学的調製物を、全身送達(例えば、静脈内、動脈内、または皮下送達)または局所送達(例えば、眼)のために調製することができる。
【0010】
一定の態様では、本開示は、本明細書に一般的または具体的に記載の任意のALK1 ECDポリペプチドの投与による哺乳動物における血管形成の阻害方法を提供する。1つの実施形態では、方法は、有効量のALK1−Fc融合タンパク質を哺乳動物に投与する工程であって、ALK1 Fc融合タンパク質が配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドが免疫グロブリンのFc部分に融合し、ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する工程を含む。任意選択的に、ALK1−Fc融合タンパク質は、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する。任意選択的に、ALK1−Fc融合タンパク質は、配列番号3の配列を有する。ALK1 ECDポリペプチドを、局所(例えば、眼)または全身(例えば、静脈内、動脈内、または皮下)に送達することができる。特定の実施形態では、本開示は、哺乳動物の眼から離れた場所へのALK1−Fcタンパク質の投与(例えば、全身投与)による哺乳動物の眼の血管形成の阻害方法を提供する。
【0011】
一定の態様では、本開示は、ALK1、特に、細胞外ドメイン中に存在するエピトープ(配列番号1のアミノ酸22〜118)に結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドへのALK1の結合を阻害する抗体を提供する。これらのリガンドのALK1に対する親和性に基づいて、抗体は、5×10−8M未満、任意選択的に、5×10−8と1×10−10との間のKで結合することができる。この範囲内の親和性を有する抗体は、1つまたは複数のGDF5、6、および7によるシグナル伝達を阻害する一方で、BMP9および10によるシグナル伝達による影響が少ない予想されるであろう。かかる抗体は、好ましくは、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激された血管形成を阻害する。特定の機構に拘束されるのを望まないが、かかる抗体は、ALK1活性の直接的阻害によって作用すると予想され、ALK1リガンドの活性を阻害すると予想されるALK1−Fc融合タンパク質の活性と対照的なはずである。抗ALK1抗体は、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、またはBMP10が別の受容体系(BMPR1a、BMPR1b、およびBMPRII複合体など)によってシグナル伝達する能力を妨害しないと予想される。しかし、抗ALK1抗体は、ALK1 ECDがかかる低親和性リガンドを結合または阻害することができないにもかかわらず、ALK1の低親和性リガンド(例えば、結合が比較的弱いにもかかわらず、ALK−1を介した有意なシグナル伝達事象の誘発として一般に認識されるTGF−β)がALK1を介してシグナル伝達する能力を妨害すると予想される。抗体は、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合することができる。この範囲内の親和性の抗体は、BMP9または10によるシグナル伝達を阻害すると予想されるであろう。かかる抗体は、好ましくは、BMP9およびBMP10のALK1への結合を阻害する。とりわけ、本明細書に開示のデータに基づいて、ALK1に比較的弱く結合する抗体は、ALK1へのTGFβ結合を阻害することができる一方で、GDF5またはBMP9などのより強く結合するリガンドを阻害することができない。本明細書に記載の抗体は、好ましくは、組換え抗体(分子生物学技術を使用して構築された核酸から発現した抗体(ヒト化抗体または単鎖抗体から発生した全ヒト抗体など)を意味する)である。Fv、Fab、および単鎖抗体も、用語「組換え抗体」の範囲内に含まれる。抗体はまた、ポリクローナル抗体または非組換えモノクローナル抗体(ヒトまたはマウス形態およびトランスジェニックマウスから得たヒト抗体が含まれる)であり得る。抗体およびALK1−ECDポリペプチドを、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物として処方することができる。薬学的調製物を、全身送達(例えば、静脈内、動脈内、または皮下送達)または局所送達(例えば、眼)のために調製することができる。
【0012】
一定の態様では、本開示は、本明細書に記載のALK1ポリペプチドに結合する有効量の抗体を、全身または特異的に哺乳動物に投与することによる哺乳動物における血管形成の阻害方法を提供する。この目的に有用な抗体は、ALK1の細胞外ドメイン(例えば、配列番号1のアミノ酸22〜118からなるポリペプチドに結合する)またはALK1の別の部分に結合することができる。抗体は、配列番号1のアミノ酸22〜118からなるポリペプチドに結合することができ、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する。抗体は、5×10−8M未満、任意選択的に、5×10−8と1×10−10との間のKでALK1ポリペプチドに結合することができる。抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害することができる。BMP9または10によるシグナル伝達と比較してGDF5、6、または7によって媒介されるシグナル伝達を選択的に阻害する抗体を、GDF5、6、または7が局在する組織(主に、骨または関節)で起こる血管形成の選択的阻害剤として使用することができる。抗体は、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合することができる。抗体は、ALK1リガンドへのALK1結合を阻害することができ、ALK1リガンドは、BMP9およびBMP10からなる群から選択される。抗ALK1抗体を、局所(例えば、眼)または全身(例えば、静脈内、動脈内、または皮下)に送達することができる。特定の実施形態では、本開示は、抗ALK1抗体の投与による哺乳動物の眼における血管形成の阻害方法を提供する。別の特定の実施形態では、本開示は、多発性骨髄腫患者の治療方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、複数の血管新生促進因子(VEGF、PDGF、および/またはFGFなど)の結果としての病理学的血管形成に関連する障害における血管形成の阻害方法を提供する。
【0013】
一定の態様では、本開示は、本明細書に開示のALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体を提供する。いかなる特定の作用機構にも拘束されることを望まないが、ALK1リガンドに結合する抗体が事実上ALK1 ECDポリペプチドに類似する効果を有すると予想される。これは、両方の型の作用因子が受容体自体よりもむしろリガンドに結合するからである。一定の実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択されるリガンドに結合する。抗体は、5×10−8M未満のKでALK1リガンドに結合することができる。抗体を、ALK1リガンドによって刺激される血管形成の阻害について選択することができる。CAMアッセイは、望ましい抗体の選択に適切なアッセイ系である。かかる抗体は、好ましくは、組換え抗体であり、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物として処方することができる。薬学的調製物を、全身送達(例えば、静脈内、動脈内、または皮下送達)または局所送達(例えば、眼)のために調製することができる。
【0014】
一定の態様では、本開示は、ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、ALK1リガンドがBMP9およびBMP10からなる群から選択される抗体を提供する。抗体は、1×10−10M未満のKでALK1リガンドに結合することができる。かかる抗体は、好ましくは、組換え抗体であり、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物として処方することができる。薬学的調製物を、全身送達(例えば、静脈内、動脈内、または皮下送達)または局所送達(例えば、眼)のために調製することができる。
【0015】
一定の態様では、本開示は、哺乳動物の血管形成を阻害する方法であって、ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する有効量の抗体を哺乳動物に投与する工程を含み、ALK1リガンドが、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される方法を提供する。抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害することができる。
【0016】
BMP/GDFファミリーのメンバー(BMP9、BMP10、GDF5、GDF6、およびGDF7が含まれる)は、I型およびII型受容体に結合して機能的なシグナル伝達複合体を形成する。これらの受容体の結合部位は異なる。したがって、一定の実施形態では、ALK1リガンドに結合してリガンドのALK1への結合を阻害する抗体は、リガンドのI型受容体結合部位またはその付近に結合する抗体である。
【0017】
一定の態様では、本開示は、本明細書に開示のALK1シグナル伝達系の他の阻害剤の投与による哺乳動物の血管形成の阻害方法を提供する。かかる阻害剤には、ALK1、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、またはBMP10の産生を減少させる核酸(例えば、アンチセンスまたはRNAi構築物)が含まれ得る。種々の親和性結合試薬(アプタマー、ランダムペプチド、選択した標的に結合するように修飾することができるタンパク質足場(かかる足場の例には、アンチカリン(anticalin)およびFNIIIドメインが含まれる)など)も使用することができる。いずれの場合にも、親和性結合試薬を、ALK1−リガンド相互作用の破壊または結合後に起こるシグナル伝達の阻害のいずれかによって本明細書に開示のALK1制御系を破壊する能力について選択されるであろう。
【0018】
さらなる実施形態では、本開示は、ALK1制御系のレギュレータとしてのDANの役割を記載する。本明細書に示されるように、DNAは、リガンドのGDF5群に結合するが、リガンドのBMP9群に結合できない。したがって、DANは、GDF5、GDF6、またはGDF7によって媒介される血管形成を阻害するが、BMP9またはBMP10によって媒介される血管形成を阻害しないと予想される。したがって、DANを、タンパク質のGDF5群が主に発現する骨または関節における血管形成のための選択的阻害剤として使用することができる。したがって、一定の実施形態では、本開示は、骨または関節の血管形成(関節リウマチおよび骨または関節に関与する癌(例えば、多発性骨髄腫および骨転移)が含まれる)の文脈における抗血管新生薬として使用するためのDANタンパク質を提供する。DANタンパク質は、一般に、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する一方で、BMP9またはBMP10への結合は比較的低いであろう。DANタンパク質は、配列番号10のアミノ酸17〜180に対応するアミノ酸配列(成熟ヒトDAN)または配列番号10のアミノ酸21〜125(DANの保存システインknotドメイン)の配列と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。DANタンパク質は、その相補物がストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号11のヌクレオチド153〜467または同一のコード配列を有する配列番号11のヌクレオチド153〜467の変異体(「静的」変異体(トリプレットコード中のゆらぎ位置に1つまたは複数の変更を含む変異体など))、または配列番号11のヌクレオチド93〜635またはその静的変異体とハイブリッド形成する配列を含む核酸によってもコードされ得る。一定の態様では、DANタンパク質は、Fc融合タンパク質などの融合タンパク質である。DANが骨および関節における血管形成(骨または関節中に存在する腫瘍(多発性骨髄腫および骨転移など)が含まれる)の阻害に特に有用であると予想されるが、他の文脈(他の場所または眼に存在する腫瘍など)でも有用であり得る。
【0019】
一定の態様では、本開示は、哺乳動物の関節リウマチを治療する方法であって、ALK1 ECDタンパク質;ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;およびDANポリペプチドからなる群から選択される有効量の薬剤を、関節リウマチを有する哺乳動物に投与する工程を含む方法を提供する。
【0020】
一定の態様では、本開示は、哺乳動物の腫瘍を治療する方法を提供する。かかる方法は、ALK1 ECDタンパク質;ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;およびDANポリペプチドからなる群から選択される有効量の薬剤を、腫瘍を有する哺乳動物に投与する工程を含むことができる。方法は、血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含むことができる。腫瘍は、白血病、骨髄腫瘍、多発性骨髄腫、または骨転移(乳癌または前立腺癌に付随する転移など)などの骨に関連する腫瘍であり得る。腫瘍はまた、複数の血管新生促進因子を使用する腫瘍(抗VEGF療法に耐性を示す腫瘍など)であり得る。
【0021】
一定の態様では、本開示は、眼科処方物を提供する。かかる処方物は、ALK1 ECDタンパク質;ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;およびDANポリペプチドからなる群から選択される薬剤を含むことができる。
【0022】
一定の態様では、本開示は、眼の血管形成関連疾患の治療方法を提供する。かかる方法は、ALK1 ECDタンパク質;ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;およびDANポリペプチドからなる群から選択される有効量の薬剤を含む薬学的処方物を全身または眼に投与する工程を含むことができる。
【0023】
各例では、本明細書に記載の薬剤を、血管形成を阻害する第2の薬剤と併せて投与することができる。腫瘍の血管形成を阻害することが望ましい場合、薬剤を、抗癌効果を有する第2の薬剤(例えば、化学療法薬または生物抗癌薬)と併せて投与することができる。
【0024】
本開示はまた、ポリペプチドが免疫グロブリンのFc部分に結合する、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を有するALK1−Fc融合タンパク質を含む眼科薬学的処方物であって、ALK1−Fc融合タンパク質が、1×10−7M未満のKで、GDF5、GDF7、およびBMP9に結合し、1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する眼科薬学的処方物を提供する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号3の配列を有する。1つの実施形態では、Fc部分は、ヒトIgG1に由来する。1つの実施形態では、融合タンパク質を、哺乳動物細胞株中の配列番号4の核酸の発現によって産生する。1つの実施形態では、細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株である。処方物は、1つまたは複数の以下の薬物をさらに含むことができる:ペガプタニブ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイド。1つの実施形態では、処方物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0025】
本願はまた、配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体を含む眼科薬学的処方物を提供する。1つの実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する。1つの実施形態では、抗体は、5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する。別の実施形態では、抗体は、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する。1つの実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、またはBMP10によって刺激される血管形成を阻害する。処方物は、1つまたは複数の以下の薬物をさらに含むことができる:ペガプタニブ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイド。1つの実施形態では、処方物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0026】
一定の態様では、本開示は、本明細書に開示のALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体を含む眼科薬学的処方物を提供する。一定の実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択されるリガンドに結合する。抗体は、5×10−8M未満のKでALK1リガンドに結合することができる。抗体を、ALK1リガンドによって刺激される血管形成の阻害について選択することができる。CAMアッセイは、望ましい抗体の選択に適切なアッセイ系である。かかる抗体は、好ましくは、組換え抗体である。処方物は、1つまたは複数の以下の薬物をさらに含むことができる:ペガプタニブ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイド。1つの実施形態では、処方物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0027】
本願はまた、ポリペプチドが免疫グロブリンのFc部分に結合する、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むALK1−Fc融合タンパク質を含む眼科薬学的処方物であって、ALK1−Fc融合タンパク質が、1×10−7M未満のKでGDF5、GDF7、およびBMP9に結合し、1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、眼科薬学的処方物を眼に投与する工程を含む、眼の血管形成関連疾患を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号3の配列を有する。1つの実施形態では、Fc部分は、ヒトIgG1に由来する。1つの実施形態では、融合タンパク質を、哺乳動物細胞株中の配列番号4の核酸の発現によって産生する。1つの実施形態では、細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株である。処方物は、1つまたは複数の以下の薬物をさらに含むことができる:ペガプタニブ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイド。1つの実施形態では、処方物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0028】
本願はまた、配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体を含む眼科薬学的処方物を眼に投与する工程を含む、眼の血管形成関連疾患を治療する方法を提供する。1つの実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する。1つの実施形態では、抗体は、5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する。別の実施形態では、抗体は、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する。1つの実施形態では、抗体は、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、またはBMP10によって刺激される血管形成を阻害する。処方物は、1つまたは複数の以下の薬物をさらに含むことができる:ペガプタニブ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイド。1つの実施形態では、処方物は、実質的に発熱物質を含まない。
【0029】
開示の方法の1つの実施形態では、眼の血管形成関連疾患は、腫瘍、抗VEGF療法に耐性を示す腫瘍、多発性骨髄腫の腫瘍、骨に転移した腫瘍、骨または関節の炎症、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、および水晶体後線維増殖からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、ヒトアクチビン受容体様キナーゼ1(ALK1)のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。一重の下線は、推定細胞外ドメインを示す。二重の下線は細胞内ドメインを示す。シグナルペプチドおよび膜貫通ドメインには下線を引いていない。
【図2】図2は、ヒトALK1 cDNAの核酸配列(配列番号2)を示す。コード配列に下線を引いている。細胞外ドメインをコードする部分に二重の下線を引いている。
【図3】図3は、ヒトALK1の細胞内ドメインのFcドメインとの融合物の例(配列番号3)を示す。hALK1−Fcタンパク質は、C末端でリンカー(下線)に融合したヒトALK1タンパク質のアミノ酸22〜120およびIgG1 Fc領域を含む。
【図4】図4は、配列番号3のhALK1−Fcポリペプチドの発現のための核酸配列を示す。コードされたアミノ酸配列も示す。Asp22が分泌タンパク質のN末端アミノ酸となるようにリーダー配列を切断する。
【図5】図5は、内皮細胞管形成アッセイにおけるマウスALK1−Fc(「RAP」)およびヒトALK1−Fc(「ACE」)の抗血管形成効果を示す。全濃度のRAPおよびACEは内皮細胞成長サプリメント(Endothelial Cell Growth Supplement)(ECGF)に応答して管形成レベルをポジティブコントロール(エンドスタチン)よりも高い程度で減少させた。
【図6】図6は、トリ絨毛尿膜(CAM)アッセイにおけるGDF7の血管形成効果を示す。GDF7効果は、VEGFと同程度である。
【図7】図7は、CAMアッセイにおけるヒトALK1−Fc融合物の血管形成効果を示す。hALK1−Fcは、VEGF、FGF、およびGDF7によって刺激された血管形成を阻害する。
【図8】図8は、マウスALK1−Fc(MALK1−Fc)、hALK1−Fc、市販の抗ALK1モノクローナル抗体(抗ALK1 mAb)および市販の中和抗VEGFモノクローナル抗体の抗血管形成効果の比較を示す。ALK1−Fc構築物の抗血管形成効果は、抗VEGF抗体の効果と同程度である。
【図9】図9は、インビボでのhALK1−Fcおよび抗VEGF抗体の抗血管形成効果を示す。マウス角膜マイクロポケットアッセイによって測定したところ、hALK1−Fcおよび抗VEGFは、眼における血管形成効果は同程度であった。
【図10】図10は、関節リウマチのマウスコラーゲン誘導性関節炎(CIA)モデルにおけるmALK1−Fcの効果を示す。グラフは、コラーゲン誘導性雄DBA/1関節炎マウスにおける42日間の観察期間に決定した平均群関節炎スコアを示す。RAP−041はmALK1−Fcである。アバスチン(商標)は抗VEGF抗体ベバシズマブである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
1.概要
ALK1は、リガンドのTGF−βスーパーファミリーのI型細胞表面受容体であり、ACVRL1およびACVRLK1としても公知である。ALK1は、TGF−β1、TGF−β3、およびBMP−9の受容体とされている(Marchukら、Hum Mol Genet.2003;Brownら、J Biol Chem.2005 Jul 1;280(26):25111−8)。
【0032】
マウスでは、ALK1の機能喪失型変異によって脈管構造の発達に種々の異常を生じる(Ohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2000,97,2626−2631;Urnessら、Nat.Genet.2000,26,328−331)。
【0033】
ヒトでは、ALK1の機能喪失型変異は、先天性出血性末梢血管拡張症(HHT、すなわちオスラー−ランデュ−ウェバー症候群)に関連し、その患者は、毛細血管床を干渉することなく、動脈から静脈への直接的な流れ(連通)(動静脈シャント)を作製する動静脈奇形を発症する。HHT患者の典型的な症状は、反復性鼻出血、胃腸出血、皮膚および粘膜皮膚の毛細血管拡張症、ならびに肺、大脳、または肝臓の脈管構造の動静脈奇形(AVM)が含まれる。
【0034】
Davidら(Blood.2007 Mar.1;109(5):1953−61)およびScharpfeneckerら(J Cell Sci.2007 Mar.15;120(Pt 6):964−72)の近刊では、内皮細胞中でBMP9およびBMP10がALK1を活性化し、この活性化の結果が内皮細胞の増殖および移動を阻害することであると結論づけている。これらの効果は、VEGFなどの血管新生促進因子の効果と正反対である。したがって、これらの刊行物は、BMP9およびBMP10自体が抗血管新生因子であり、さらに、ALK1活性化が抗血管形成効果を有すると結論づけている。対照的に、本開示は、BMP9およびBMP10のアゴニストよりもむしろアンタゴニストが抗血管形成効果を有することを証明する。
【0035】
本開示は、ALK1の細胞外ドメイン(「ALK1 ECDポリペプチド」)の一部を含むポリペプチドを使用して、インビボで血管形成(VEGF非依存性血管形成および複数の血管新生因子(VEGF、FGF、およびPDGFが含まれる)によって媒介される血管形成が含まれる)を阻害することができるという発見に関する。ひとつには、本開示は、ALK1の生理学的な高親和性リガンドの同一性を提供し、ALK1 ECDポリペプチドが血管形成を阻害することを証明している。データは、ALK1 ECDポリペプチドがTGF−β1への重要な結合を示さない場合でさえ、ALK1 ECDポリペプチドが抗血管形成効果を発揮することができることを証明している。さらに、ALK1 ECDポリペプチドは、多数の異なる血管新生促進因子(VEGF、FGF、およびGDF7が含まれる)によって刺激される血管形成を阻害する。したがって、本開示は、ALK1制御系を説明する。ここで、ALK1は、リガンドのGDF5群(GDF6およびGDF7が含まれる)の受容体であり、リガンドのBMP9群(BMP10が含まれる)の受容体でもあり、この2つのリガンド群は異なる親和性を有する。さらに、開示は、上記のALK1およびリガンドによって媒介されたシグナル伝達がインビボで血管形成誘発性を示し、この制御系の阻害がインビボで強力な抗血管形成効果を有することを証明している。したがって、一定の態様では、本開示は、ALK1制御系のアンタゴニスト(血管形成(VEGF依存性血管形成およびVEGF非依存性血管形成が含まれる)の阻害で使用される受容体または1つもしくは複数のリガンドのアンタゴニストが含まれる)を提供する。しかし、ALK1自体に指向する抗体がALK1 ECDポリペプチド由来の異なる効果を有すると予想されることに留意すべきである。ALK1に対する汎中和抗体(pan−neutralizing antibody)(全ての強いまたは弱いリガンドの結合を阻害する抗体)は、ALK1を介したかかるリガンドのシグナル伝達を阻害すると予想されるが、かかるリガンドが他の受容体(例えば、GDF5−7およびBMP9−10の場合のBMPR1a、BMPR1b、BMPRIIならびにTGFβの場合のTBRIおよびTBRII)を介してシグナル伝達する能力を阻害すると予想されないであろう。他方では、ALK1 ECDポリペプチドは、このポリペプチドが強く結合する全てのリガンド(実施例に示した構築物などの構築物についてのGDF5〜7およびBMP9〜10が含まれる)を阻害すると予想されるが、このポリペプチドが弱く結合するリガンド(TGF−βなど)には影響を及ぼさないであろう。従って、ALK1に対する汎中和抗体は、ALK1を介したBMP9およびTGF−βシグナル伝達を遮断する一方で、別の受容体を介したBMP9およびTGF−βシグナル伝達を遮断しないであろう。一方、ALK1 ECDポリペプチドは、全受容体(ALK1以外の受容体でさえ)を介したBMP9シグナル伝達を阻害することができる一方で、任意の受容体(ALK1でさえも)を介したTGF−βシグナル伝達を阻害すると予想されないであろう。
【0036】
本明細書に記載のタンパク質は、他で特定しない限り、ヒト形態である。このタンパク質のGenbankリファレンスは以下のとおりである:ヒトGDF5、CAA56874;ヒトGDF6、AAH43222;ヒトGDF7、NP_878248;ヒトBMP9、Q9UK05;ヒトBMP10、O95393;ヒトDAN、BAA92265。ALK1配列を、図1〜5に示す。
【0037】
ヒトDanアミノ酸配列(配列番号10)(Genbank BAA92265):
【0038】
【化1】

成熟Danタンパク質は、アミノ酸17〜180に対応すると予想される。Danの保存システインknotドメインは、アミノ酸21〜125(下線)に対応する。
【0039】
ヒトDan cDNA配列(配列番号11)(Genbank BC012037):
【0040】
【化2】

【0041】
【化3】

DAN前駆体のコード配列は、核酸93〜635に対応する。成熟DANタンパク質のコード配列は、核酸141〜632に対応する。DANの保存システインknot部分のコード配列は、核酸153〜467に対応する。
【0042】
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内および各用語が使用される特定の文脈中で、当該分野でのその通常の意味を有する。本明細書に開示の組成物および方法ならびにどのようにしてこれらを作製するのかを説明する際に実施者へのさらなるガイダンスを提供するために、一定の用語を明細書で考察する。用語の任意の用途の範囲または意味は、用語が使用される特定の文脈から明らかであろう。
2.可溶性ALK1ポリペプチド
天然に存在するALK1タンパク質は膜貫通タンパク質であり、細胞の外側に存在するタンパク質部分(細胞外部分)および細胞内側に存在するタンパク質部分(細胞内部分)を有する。本開示の態様は、ALK1の細胞外ドメインの一部を含むポリペプチドを含む。
【0043】
一定の実施形態では、本開示は、「ALK1 ECDポリペプチド」を提供する。用語「ALK1 ECDポリペプチド」は、天然に存在するALK1ポリペプチドの細胞外ドメインのアミノ酸配列(任意のシグナル配列およびシグナル配列のN末端配列が含まれ、または除外される)または天然に存在するALK1ポリペプチドの細胞外ドメインと少なくとも33%、任意選択的に、天然に存在するALK1ポリペプチドの細胞外ドメインの配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸34〜95のシステインknot領域またはシステインknot+細胞外ドメインのN末端およびC末端のさらなるアミノ酸(配列番号1のアミノ酸22〜118など)など)からなるかこれらを含むポリペプチドをいうことが意図される。同様に、ALK1 ECDポリペプチドは、配列番号2のヌクレオチド100〜285またはストリンジェントなハイブリッド形成条件(一般に、かかる条件は当該分野で公知であるが、例えば、50% v/v ホルムアミド、5×SSC、2% w/v ブロッキング剤、0.1% N−ラウロイルサルコシン、0.3% SDSにて65℃で一晩のハイブリッド形成および、例えば、5×SSC中で約65℃での洗浄を含む)下でその相補物とハイブリッド形成するその静的変異体もしくは核酸によってコードされるポリペプチドを含むことができる。さらに、ALK1 ECDポリペプチドは、配列番号2のヌクレオチド64〜384またはストリンジェントなハイブリッド形成条件(一般に、かかる条件は当該分野で公知であるが、例えば、50% v/v ホルムアミド、5×SSC、2% w/v ブロッキング剤、0.1% N−ラウロイルサルコシン、0.3% SDSにて65℃で一晩のハイブリッド形成および、例えば、5×SSC中で約65℃での洗浄を含む)下でその相補物とハイブリッド形成するその静的変異体もしくは核酸によってコードされるポリペプチドを含むことができる。したがって、用語「ALK1 ECDポリペプチド」は、ALK1ポリペプチドの単離細胞外部分、その変異体(例えば、配列番号1のアミノ酸22〜118に対応する配列中にわずか2、3、4、5、または10個のアミノ酸の置換、付加、または欠失しか含まない変異体および配列番号1のアミノ酸34〜95に対応する配列中にたった2、3、4、5、または10個のアミノ酸の置換、付加、または欠失しか含まない変異体が含まれる)、そのフラグメント、およびに任意の上記を含む融合タンパク質を含むが、いずれの場合にも、任意の上記のALK1 ECDポリペプチドは、1つまたは複数のGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、またはBMP10に対する実質的な親和性を保持することが好ましいであろう。用語「ALK1 ECDポリペプチド」は、任意の全長の天然に存在するALK1ポリペプチドを除外することが明確に意図される。一般に、ALK1 ECDポリペプチドは、生物学的に関連する温度、pHレベル、および浸透圧の水溶液中で溶解性を示すように設計されるであろう。
【0044】
上記のように、本開示は、天然に存在するALK1ポリペプチドと特定の程度の配列同一性または配列類似性を共有するALK1 ECDポリペプチドを提供する。2つのアミノ酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列を、最適に比較されるように整列させる(例えば、最適なアラインメントのために第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較するために非相同配列を無視することができる)。次いで、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。第1の配列中のある位置が第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基で占められている場合、分子は、その位置で同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸「同一性」は、アミノ酸「相同性」と等価である)。2つの配列間の配列同一性は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮した配列が共有する同一の位置の数の関数である。
【0045】
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントおよび類似率の決定を、数学アルゴリズムを使用して実施することができる(Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991)。
【0046】
1つの実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用可能)中のGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970))アルゴリズムを使用して決定する。特定の実施形態では、以下のパラメータをGAPプログラムで使用する:Blosum62行列またはPAM250行列のいずれか、ならびに16、14、12、10、8、6、または4のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のレングスウェイト。さらに別の実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージ(Devereux,J.,ら、Nucleic Acids Res.12(1):387(1984))(http://www.gcg.comで利用可能)中のGAPプログラムを使用して決定する。パラメータの例には、NWSgapdna.CMP行列ならびに40、50、60、70、または80のギャップウェイトおよび1、2、3、4、5、または6のギャップレングスの使用が含まれる。他で指定しない限り、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、Blosum62行列、GAPウェイト10、ギャップレングス3を使用したGAPプログラムを使用して決定する必要があり、かかるアルゴリズムが所望の同一性パーセントを計算できない場合、本明細書に開示の適切な代替法を選択する必要がある。
【0047】
別の実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、PAM120重み付け残基テーブル(weight residue table)、ギャップレングスペナルティ12、およびギャップペナルティ4を使用した、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Myers and W.Miller(CABIOS,4:11−17(1989))のアルゴリズムを使用して決定する。
【0048】
2つのアミノ酸配列間の最良の全アラインメントを決定するための別の実施形態を、Brutlagら(Comp.App.Biosci.,6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定することができる。配列アラインメントでは、クエリーおよびサブジェクト配列は共にアミノ酸配列である。大域配列アラインメントの結果を、同一性パーセントで示す。1つの実施形態では、アミノ酸配列同一性を、Brutlagら(Comp.App.Biosci.,6:237−245(1990))のアルゴリズムに基づいたFASTDBコンピュータプログラムを使用して行う。特定の実施形態では、アミノ酸アラインメントの同一性および類似性を計算するために使用されるパラメータは、以下を含む:行列=PAM 150、k−tuple=2、ミスマッチペナルティ=1、ジョイニングペナルティ=20、ランダム化グループレングス=0、カットオフスコア=1、ギャップペナルティ=5、およびギャップサイズペナルティ=0.05。
【0049】
一定の実施形態では、ALK1 ECDポリペプチドは、配列番号1の配列などの天然に存在するALK1タンパク質の細胞外部分および好ましくはALK1細胞外ドメインのリガンド結合部分を含む。一定の実施形態では、可溶性ALK1ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸22〜118のアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるアミノ酸配列を含む。一定の実施形態では、欠失細胞外ALK1ポリペプチドは、配列番号1の細胞外部分のアミノ酸配列の少なくとも30、40、または50個の連続的アミノ酸を含む。
【0050】
好ましい実施形態では、ALK1 ECDポリペプチドは、1つまたは複数のGDF5、GDF6、GDF7、BMP9およびBMP10に結合する。任意選択的に、ALK1ポリペプチドは、TGF−β1またはTGF−β3に実質的に結合しない。結合を、溶液または表面プラズモン共鳴系(Biacore(商標)システムなど)で精製タンパク質を使用して評価することができる。好ましい可溶性ALK1ポリペプチドは、抗血管形成活性を示すであろう。血管形成阻害活性のためのバイオアッセイには、トリ絨毛尿膜(CAM)アッセイ、マウス角膜マイクロポケットアッセイ、移植腫瘍に及ぼす単離タンパク質または合成タンパク質投与の効果を測定するためのアッセイが含まれる。CAMアッセイは、O’Reilly,ら、「Angiogenic Regulation of Metastatic Growth」、Cell,vol.79(2),Oct.1,1994,pp.315−328に記載されている。簡潔に述べれば、インタクトな卵黄を有する3日齢のニワトリ胚を卵から分離し、ペトリ皿に入れる。3日間のインキュベーション後、試験すべきタンパク質を含むメチルセルロースディスクを、各胚のCAMに適用する。48時間のインキュベーション後、胚およびCAMを観察して、内皮成長が阻害されたかどうかを判断する。マウス角膜マイクロポケットアッセイは、疑われる内皮成長阻害剤を含む別のペレットと共に、成長因子含有ペレットをマウスの角膜中に移植し、角膜中に構成された毛細管パターンを観察する工程を含む。他のアッセイを、実施例に記載する。
【0051】
ALK1 ECDポリペプチドを、ALK1ポリペプチドの細胞質側末端および膜貫通領域の除去によって産生することができる。あるいは、膜貫通ドメインを、膜貫通ドメインを含む通常は疎水性のアミノ酸残基の欠失または親水性アミノ酸残基との置換によって不活化することができる。いずれにしても、実質的に親水性のハイドロパシープロフィールを作製する。それにより、脂質親和性が減少し、水溶性が改善されるであろう。親水性アミノ酸残基との置換より膜貫通ドメインの欠失が好ましい。これは、潜在的に免疫原性を示すエピトープの導入が回避されるからである。
【0052】
ALK1 ECDポリペプチドは、かなり多数の周知のリーダー配列をN末端にさらに含むことができる。かかる配列により、ポリペプチドが発現され、真核生物系の分泌経路に標的化されるであろう。例えば、Ernstらの米国特許第5,082,783号(1992)を参照のこと。あるいは、天然ALK1シグナル配列を使用して、細胞から突出させることができる。有力なリーダー配列には、天然のtPaおよびミツバチメリチンリーダー(それぞれ配列番号7〜9)が含まれる。シグナルペプチドのプロセシングは、他の可変要素の中でも、選択したリーダー配列、使用した細胞型、および培養条件などに応じて変化し得る。したがって、成熟ALK1 ECDポリペプチドの実際のN末端開始部位(配列番号5が含まれる)は、N末端方向またはC末端方向のいずれかに1〜5個のアミノ酸がシフトし得る。
【0053】
一定の実施形態では、本開示は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるためのALK1ポリペプチドの特異的変異を意図する。かかる変異を、1つまたは複数のグリコシル化部位(O結合またはN結合グリコシル化部位など)が導入または排除されるように選択することができる。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列(アスパラギン−X−トレオニン(またはアスパラギン−X−セリン)(式中、「X」は、任意のアミノ酸である))を含む。1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基の野生型ALK1ポリペプチド(O結合グリコシル化部位について)の配列への付加または置換によって変化させることもできる。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方での種々のアミノ酸の置換または欠失(および/または第2の位置でのアミノ酸欠失)により、修飾トリペプチド配列が非グリコシル化される。ALK1ポリペプチド上の炭水化物部分数の別の増加手段は、ALK1ポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングである。使用したカップリング様式に応じて、糖を、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基(システインの遊離スルフヒドリル基など);(d)遊離ヒドロキシル基(セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基など);(e)芳香族基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの芳香族基など);または(f)グルタミンのアミド基に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330号およびAplin and Wriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259−306(本明細書において参考により組み込まれる)に記載されている。ALK1ポリペプチド上に存在する1つまたは複数の炭水化物部分の除去を、化学的および/または酵素的に行うことができる。化学的脱グルコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのALK1ポリペプチドの曝露を含むことができる。この処理により、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたは全ての糖が切断される一方で、アミノ酸配列がインタクトなままである。化学的脱グルコシル化は、Hakimuddinら(1987)Arch.Biochem.Biophys.259:52およびEdgeら(1981)Anal.Biochem.118:131にさらに記載されている。Thotakuraら(1987)Meth.Enzymol.138:350に記載のように、ALK1ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断を、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用によって行うことができる。哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞の全てが異なるグリコシル化パターンを導入することができ、このグリコシル化パターンはペプチドのアミノ酸配列の影響を受け得るので、ALK1ポリペプチド配列を、使用される発現系の型に依存して必要に応じて調整することができる。一般に、ヒトで用いるALK1タンパク質を、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞株(HEK293またはCHO細胞株など)で発現するであろうが、他の哺乳動物発現細胞株、操作されたグリコシル化酵素を使用する酵母細胞株、および昆虫細胞も有用であると予想される。
【0054】
本開示は、変異体、特にALK1ポリペプチドの組み合わせ変異体組および欠失変異体の生成方法をさらに意図する。組み合わせ変異体のプールは、特に、機能的変異体配列の同定に有用である。かかるコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングの目的は、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとして作用することができるか、あるいは、新規の活性を同時に保有するALK1ポリペプチド変異体を生成することであり得る。種々のスクリーニングアッセイを以下に提供し、かかるアッセイを使用して変異体を評価することができる。例えば、ALK1ポリペプチド変異体を、ALK1リガンドに結合する能力、ALK1リガンドのALK1ポリペプチドへの結合を防止する能力、またはALK1リガンドに起因するシグナル伝達を妨害する能力についてスクリーニングすることができる。ALK1ポリペプチドまたはその変異体の活性を、細胞ベースのアッセイまたはインビボアッセイ、特に、実施例に開示の任意のアッセイで試験することもできる。
【0055】
天然に存在するALK1ポリペプチドの細胞外ドメインを含むALK1 ECDポリペプチドと比較して選択的効力または一般的に増加した効力を有する組み合わせ由来の変異体を生成することができる。同様に、変異誘発により、対応する野生型ALK1 ECDポリペプチドと劇的に異なる血清半減期を有する変異体を得ることができる。例えば、タンパク質の変化は、未変性ALK1 ECDポリペプチドが破壊、または消失もしくは不活化されるタンパク質分解または他の過程に対する安定性をより高くするか低くすることができる。かかる変異体および変異体をコードする遺伝子を使用して、ALK1ポリペプチドの半減期の調整によってALK1 ECDポリペプチドレベルを変化させることができる。例えば、半減期の短縮によって生物学的影響をより一過性にすることができ、それにより、患者内の組換えALK1 ECDポリペプチドレベルをより強く制御することができる。Fc融合タンパク質では、リンカー(存在する場合)および/またはFc部分を変異させて、タンパク質の半減期を変化させることができる。
【0056】
潜在的なALK1ポリペプチド配列の少なくとも一部をそれぞれ含むポリペプチドライブラリーをコードする遺伝子の縮重(degenerate)ライブラリーによってコンビナトリアルライブラリーを産生することができる。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、潜在的なALK1ポリペプチドのヌクレオチド配列の縮重組が各ポリペプチド、あるいは、より大きな融合タンパク質組(例えば、ファージライブラリー用)として発現可能であるように、遺伝子配列に酵素的にライゲーションすることができる。
【0057】
潜在的なALK1 ECD変異体のライブラリーを縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することができる方法が多数存在する。縮重遺伝子配列を自動化DNA合成機で化学合成し、次いで、合成遺伝子を発現に適切なベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である(例えば、Narang,S A(1983)Tetrahedron 39:3;Itakuraら(1981)Recombinant DNA,Proc.3rd Cleveland Sympos.Macromolecules,ed.A G Walton,Amsterdam:Elsevier pp 273−289;Itakuraら(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら(1984)Science 198:1056;Ikeら(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照のこと)。かかる技術を、他のタンパク質の定向進化で使用することができる(例えば、Scottら(1990)Science 249:386−390;Robertsら(1992)PNAS USA 89:2429−2433;Devlinら(1990)Science 249:404−406;Cwirlaら(1990)PNAS USA 87:6378−6382;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号、および同第5,096,815号を参照のこと)。
【0058】
あるいは、他の変異誘発型を使用してコンビナトリアルライブラリーを生成することができる。例えば、ALK1ポリペプチド変異体を生成し、例えば、アラニンスキャニング変異誘発など(Rufら(1994)Biochemistry 33:1565−1572;Wangら(1994)J.Biol.Chem.269:3095−3099;Balintら(1993)Gene 137:109−118;Grodbergら(1993)Eur.J.Biochem.218:597−601;Nagashimaら(1993)J.Biol.Chem.268:2888−2892;Lowmanら(1991)Biochemistry 30:10832−10838;およびCunninghamら(1989)Science 244:1081−1085)、リンカースキャニング変異誘発(Gustinら(1993)Virology 193:653−660;Brownら(1992)Mol.Cell.Biol.12:2644−2652;McKnightら(1982)Science 232:316);飽和変異誘発(Meyersら(1986)Science 232:613);PCR変異誘発(Leungら(1989)Method Cell Mol Biol 1:11−19);またはランダム変異誘発(化学的変異誘発など(Millerら(1992)A Short Course in Bacterial Genetics,CSHL Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;およびGreenerら(1994)Strategies in Mol Biol 7:32−34)が含まれる)などを使用したスクリーニングによってライブラリーから単離することができる。特に組み合わせ設定におけるリンカースキャニング変異誘発は、欠失(生体活性)形態のALK1ポリペプチドの魅力的な同定方法である。
【0059】
点変異および欠失によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物のスクリーニング、さらに、一定の特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーのスクリーニングのための広範な技術が当該分野で公知である。かかる技術は、一般に、ALK1ポリペプチドの組み合わせ変異誘発によって生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合可能である。最も広範に使用されている巨大遺伝子ライブラリーのスクリーニング技術は、典型的には、複製可能な発現ベクターへの遺伝子ライブラリーのクローニング、得られたベクターライブラリーでの適切な細胞の形質転換、および所望の活性の検出によってその産物が検出される遺伝子をコードするベクターの比較的簡潔な単離を容易にする条件下での組み合わせ遺伝子の発現を含む。好ましいアッセイには、ALK1リガンド結合アッセイおよびリガンド媒介細胞シグナル伝達アッセイが含まれる。
【0060】
一定の実施形態では、開示のALK1 ECDポリペプチドは、ALK1ポリペプチド中に天然に存在する任意の修飾に加えて翻訳後修飾をさらに含むことができる。かかる修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。結果として、修飾ALK1 ECDポリペプチドは、非アミノ酸エレメント(ポリエチレングリコール、脂質、ポリサッカリドまたはモノサッカリド、およびリン酸塩など)を含むことができる。ALK1 ECDポリペプチド機能に及ぼすかかる非アミノ酸エレメントの影響を、他のALK1 ECDポリペプチド変異体について本明細書に記載のように試験することができる。ALK1 ECDポリペプチドを、初期形態のALK1ポリペプチドの切断によって細胞中に産生する場合、翻訳後プロセシングはまた、タンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能に重要であり得る。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH−3T3、またはHEK293など)は、かかる翻訳後活性についての特定の細胞機構および特徴的機構を有し、ALK1ポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを確実にするために選択することができる。
【0061】
一定の態様では、機能的変異体または修飾形態のALK1 ECDポリペプチドには、ALK1 ECDポリペプチドの少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインを有する融合タンパク質が含まれる。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されない。所望の特性が付与されるように融合ドメインを選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製のために、アフィニティクロマトグラフィのための関連マトリックス(グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトに抱合した樹脂など)を使用する。多数のかかるマトリックスは、「キット」形態((HIS)融合パートナーを使用して有用なPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)など)で利用可能である。別の例として、ALK1 ECDポリペプチドの検出を容易にするように融合ドメインを選択することができる。かかる検出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびに特定の抗体が利用可能な通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能な周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc−mycタグが含まれる。場合によっては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどのためのプロテアーゼ切断部位を有する。このプロテアーゼ切断部位によって関連するプロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それにより、融合タンパク質から組換えタンパク質を遊離することが可能である。次いで、遊離タンパク質を、その後のクロマトグラフィ分離によって融合ドメインから単離することができる。一定の好ましい実施形態では、ALK1 ECDポリペプチドを、インビボでALK1ポリペプチドを安定化するドメイン(「安定剤」ドメイン)と融合する。「安定化」は、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態学的影響に起因するかどうかに関係なく、血清半減期を増加させる全てのものを意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合物は、広範なタンパク質に所望の薬物動態学的特性を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合物は、望ましい特性を付与することができる。選択することができる他の融合ドメイン型には、多量体化(例えば、二量体化、三量体化)ドメインおよび機能的ドメインが含まれる。
【0062】
特定の例として、本開示は、Fcドメインに融合したALK1の可溶性細胞外ドメインを含む融合タンパク質を提供する(例えば、配列番号6)。
【0063】
【化4】

【0064】
【化5】

任意選択的に、Fcドメインは、Asp−265、リジン322、およびAsn−434などの残基に1つまたは複数の変異を有する。一定の例では、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asp−265変異)を有する変異Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較してFcγ受容体への結合能力が減少する。他の場合、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asn−434変異)を有する変異Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較してMHCクラスI関連Fc−受容体(FcRN)への結合能力が増加した。
【0065】
融合タンパク質の異なるエレメントを所望の機能性と一致する任意の様式で処理することができると理解される。例えば、ALK1 ECDポリペプチドを、異種ドメインのC末端に配置するか、異種ドメインをALK1 ECDポリペプチドのC末端に配置することができる。ALK1 ECDポリペプチドドメインおよび異種ドメインは融合タンパク質に隣接する必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列を、ドメインまたはドメインの間のいずれかのC末端またはN末端に含めることができる。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「免疫グロブリンFc領域」または簡潔に「Fc」は、免疫グロブリン鎖定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部のカルボキシル末端部分を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、または5)2つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域との組み合わせを含むことができる。好ましい実施形態では、免疫グロブリンFc領域は、少なくとも1つの免疫グロブリンヒンジ領域のCH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、好ましくはCH1ドメインを欠く。
【0067】
1つの実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。他の免疫グロブリンクラス(IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、およびIgM(Igμ))を使用することができる。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号および同第5,726,044号に詳細に考察されている。特定の結果を達成するための一定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当業者のレベルの範囲内であると見なされる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の一部は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部、好ましくはFcγのCHドメインまたは任意のIgA、IgD、IgE、またはIgM中の相同ドメインの少なくとも一部を含む。
【0068】
さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失が本明細書に開示の方法の実施および組成物で有用であり得ることが意図される。1つの例は、上部CH2領域中にアミノ酸置換を導入してFc受容体に対する親和性が減少したFc変異体を作製することであろう(Coleら(1997)J.Immunol.159:3613)。
【0069】
一定の実施形態では、本開示は、他のタンパク質および/または他のALK1 ECDポリペプチド種から単離されるか、これを実質的に含まない(例えば、少なくとも80%、90%、95%、97%、または99%含まない)単離および/または精製形態のALK1 ECDポリペプチドを利用可能にする。
【0070】
一定の実施形態では、開示は、ALK1タンパク質の細胞外部分のコード配列を含む可溶性ALK1ポリペプチドをコードする核酸を含む。さらなる実施形態では、本開示はまた、かかる核酸を含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本開示のポリペプチドを、大腸菌などの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用する)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現することができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。したがって、本開示のいくつかの実施形態は、さらに、ALK1 ECDポリペプチドの産生方法に関する。配列番号3に記載のALK1−Fc融合タンパク質およびCHO細胞中で発現したALK1−Fc融合タンパク質は、強力な抗血管形成活性を有する。
【0071】
DANポリペプチド(野生型DANの変異体が含まれる)およびDANタンパク質を含む融合タンパク質を生成し、ALK1 ECDタンパク質に関して上記のように特徴づけることができる。
3.ALK1ポリペプチドをコードする核酸
一定の態様では、本開示は、任意のALK1ポリペプチド(例えば、ALK1 ECDポリペプチド)(本明細書中に開示のフラグメント、機能的変異体、および融合タンパク質が含まれる)をコードする単離および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号2は天然に存在するヒトALK1前駆体ポリペプチドをコードする一方で、配列番号4はIgG1 Fcドメインに融合したALK1細胞外ドメインの前駆体をコードする。本核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNA分子またはRNA分子であり得る。これらの核酸を、例えば、ALK1ポリペプチドの作製方法で使用するか、直接的な治療薬(例えば、アンチセンス、RNAi、または遺伝子療法でのアプローチ)として使用することができる。
【0072】
一定の態様では、ALK1ポリペプチドをコードする本核酸は、配列番号2または4の変異体である核酸を含むとさらに理解される。変異体ヌクレオチド配列には、1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失が異なる配列(対立遺伝子変異体など)が含まれる。
【0073】
一定の実施形態では、本開示は、配列番号2または4と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号2または4に相補的な核酸配列および配列番号2または4の変異体も本開示の範囲内に含まれることを認識するであろう。さらなる実施形態では、開示の核酸配列は、単離、組み換えであり得、そして/または異種ヌクレオチド配列と融合することができるか、DNAライブラリー中に存在し得る。
【0074】
他の実施形態では、開示の核酸には、高ストリンジェントな条件下で配列番号2または4中の指定されたヌクレオチド配列、配列番号2または4の相補配列、またはそのフラグメントとハイブリッド形成するヌクレオチド配列も含まれる。上記で考察されるように、当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。例えば、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)における約45℃でのハイブリッド形成およびその後の50℃の2.0×SSCでの洗浄を実施することができる。例えば、洗浄工程における塩濃度を、50℃での約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃での約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。さらに、洗浄工程中の温度を、室温(約22℃)での低ストリンジェンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件まで増加させることができる。温度および塩の両方を変更することができるか、温度または塩濃度を一定に保持しながら、他の可変要素を変化させることができる。1つの実施形態では、室温の6×SSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成し、その後に室温の2×SSCで洗浄する核酸を提供する。
【0075】
遺伝暗号の縮重によって配列番号2または4に記載の核酸と異なる単離核酸も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、多数のアミノ酸は、1つを超えるトリプレットによって指定される。同一のアミノ酸を特定するコドン(すなわち、シノニム(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンのシノニムである))により、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「静的」変異が起こり得る。しかし、本タンパク質のアミノ酸配列を変化させるDNA配列多型が哺乳動物細胞間に存在すると予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3〜5%まで)の変動が天然の対立遺伝子の変動によって所与の種の個体間に存在し得ることを認識するであろう。任意および全てのかかるヌクレオチドの変動および得られたアミノ酸多型は、本開示の範囲内である。
【0076】
一定の実施形態では、開示の組換え核酸を、発現構築物中の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に適切であろう。種々の宿主細胞のための多数の適切な発現ベクター型および適切な調節配列型が当該分野で公知である。典型的には、1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモータ配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボゾーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、およびエンハンサ配列またはアクチベータ配列が含まれ得るが、これらに限定されない。当該分野で公知の構成性プロモータおよび誘導性プロモータは、開示によって意図される。プロモータは、天然に存在するプロモータまたは1つを超えるプロモータのエレメントを組み合わせたハイブリッドプロモータのいずれかであり得る。発現構築物は、細胞または(on)エピソーム(プラスミドなど)中に存在することができるか、発現構築物を染色体に挿入することができる。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞を選択可能な選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は当該分野で周知であり、使用される宿主細胞によって変化するであろう。
【0077】
本明細書中に開示の一定の態様では、本核酸は、ALK1ポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供される。調節配列は当該分野で認識されており、ALK1ポリペプチドの発現を指示するように選択される。したがって、用語「調節配列」には、プロモータ、エンハンサ、および他の発現調節エレメントが含まれる。調節配列の例は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)に記載されている。例えば、DNA配列に作動可能に連結される場合、DNA配列の発現を調節する任意の広範な種々の発現調節配列を、これらのベクター中で使用して、ALK1ポリペプチドをコードするDNA配列を発現することができる。かかる有用な発現調節配列には、例えば、SV40の初期プロモータおよび後期プロモータ、tetプロモータ、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルスの最初期プロモータ、RSVプロモータ、lac系、trp系、TAC系またはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモータ、λファージの主なオペレータ領域およびプロモータ領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素のプロモータ、酸ホスファターゼのプロモータ(例えば、Pho5)、酵母α接合因子のプロモータ、バキュロウイルス系の多面体プロモータ、および原核細胞または真核細胞またはそのウイルスの遺伝子発現を調節することが公知の他の配列、ならびにその種々の組み合わせが含まれる。発現ベクターのデザインは形質転換すべき宿主細胞の選択および/または発現が望まれるタンパク質の型などの要因に依存し得ると理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を調節する能力、およびベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(抗生物質マーカーなど)の発現も考慮すべきである。
【0078】
開示に含まれる組換え核酸を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳動物)、またはその両方のいずれかでの発現に適切なベクターへのクローン化した遺伝子またはその一部のライゲーションによって産生することができる。組換えALK1ポリペプチド産生のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下の型のプラスミドが含まれる:大腸菌などの原核細胞における発現のためのpBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、およびpUC由来プラスミド。
【0079】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を容易にするための原核生物配列、および真核細胞中で発現する1つまたは複数の真核生物転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo、およびpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかを、細菌プラスミド(pBR322)由来の配列で修飾して、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を容易にする。あるいは、ウイルスの誘導体(ウシパピローマウイルス(BPV−1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来、およびp205)など)を、真核細胞中でのタンパク質の一過性発現のために使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスが含まれる)発現系の例を、以下の遺伝子療法送達系の説明で見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換で使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系および一般的な組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual,3rd Ed.,ed.by Sambrook,Fritsch and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001)を参照のこと。いくつかの例では、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましい場合がある。かかるバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941など)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(β−gal含有pBlueBac IIIなど)が含まれる。
【0080】
好ましい実施形態では、ベクターを、CHO細胞中での本ALK1ポリペプチドの産生のために設計するであろう(Pcmv−Scriptベクター(Stratagene,La Jolla,Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)、およびpCI−neoベクター(Promega,Madison,Wisc.)など)。明らかなように、本遺伝子構築物を使用して、培養物中で増殖した細胞中で本ALK1ポリペプチドを発現させ、例えば、精製のためにタンパク質(融合タンパク質または変異タンパク質が含まれる)を産生することができる。
【0081】
本開示はまた、1つまたは複数の本ALK1ポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号2または4)を含む組換え遺伝子でトランスフェクションした宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本明細書に開示のALK1ポリペプチドを、細菌細胞(大腸菌など)、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現することができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0082】
したがって、本開示は、さらに、本ALK1ポリペプチド(ALK1 ECDポリペプチドが含まれる)の産生方法に関する。例えば、ALK1ポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクションした宿主細胞を、ALK1ポリペプチドの発現が生じるのに適切な条件下で培養することができる。ALK1ポリペプチドを分泌させ、細胞とALK1ポリペプチドを含む培地との混合物から単離することができる。あるいは、ALK1ポリペプチドを、細胞質または膜画分に保持し、細胞を回収し、溶解し、タンパク質を単離することができる。細胞培養物には、宿主細胞、培地、および他の副生成物が含まれる。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。本ALK1ポリペプチドを、当該分野で公知のタンパク質精製技術(イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、限外濾過、電気泳動、ALK1ポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を使用した免疫親和性精製、およびALK1ポリペプチドに融合したドメインに結合する作用因子を使用したアフィニティ精製(例えば、プロテインAカラムを使用してALK1−Fc融合物を精製することができる)が含まれる)を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ALK1ポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。好ましい実施形態では、一連のカラムクロマトグラフィ工程(例えば、3つ以上の以下が任意の順番で含まれる:プロテインAクロマトグラフィ、Qセファロースクロマトグラフィ、フェニルセファロースクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および陽イオン交換クロマトグラフィ)によって精製する。ウイルス濾過および緩衝液の交換を使用して、精製を完了することができる。
【0083】
別の実施形態では、精製リーダー配列(所望の組換えALK1ポリペプチド部分のN末端のポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列など)をコードする融合遺伝子により、Ni2+金属樹脂を使用したアフィニティクロマトグラフィによって発現した融合タンパク質を精製することができる。次いで、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼでの処理によって除去して、精製ALK1ポリペプチドを得ることができる(例えば、Hochuliら(1987)J Chromatography 411:177;およびJanknechtら、PNAS USA 88:8972を参照のこと)。
【0084】
融合遺伝子の作製技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの連結を、ライゲーションのための平滑末端またはスタガー(stagger)末端、適切な末端を準備するための制限酵素消化、必要に応じて付着末端の充填、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素ライゲーションを使用した従来技術にしたがって行う。別の実施形態では、融合遺伝子を、従来技術(自動化DNA合成機が含まれる)によって合成することができる。あるいは、遺伝子フラグメントに、2つの連続遺伝子フラグメントの間に相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを使用し、その後にアニーリングしてキメラ遺伝子配列を生成することができるPCR増幅を行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubelら、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。
【0085】
ALK1、BMP9、BMP10、GDF5、GDF6、またはGDF7のアンタゴニストである核酸化合物のカテゴリーの例には、アンチセンス核酸、RNAi構築物、および触媒核酸構築物が含まれる。核酸化合物は、一本鎖または二本鎖であり得る。二本鎖化合物には、鎖の一方または他方が一本鎖であるオーバーハングまたは非相補性の領域も含まれ得る。一本鎖化合物には、自己相補領域(化合物が、二重らせん構造領域を有する所謂「ヘアピン」構造または「ステム−ループ」構造を形成することを意味する)が含まれ得る。核酸化合物は、全長ALK1核酸配列またはリガンド核酸配列のわずか1000、わずか500、わずか250、わずか100、またはわずか50、35、30、25、22、20、または18個のヌクレオチドからなる領域に相補的なヌクレオチド配列を含むことができる。相補領域は、好ましくは少なくとも8ヌクレオチド、任意選択的に少なくとも10または少なくとも15ヌクレオチド、任意選択的に15ヌクレオチドと25ヌクレオチドとの間であろう。相補領域は、標的転写物のイントロン、コード配列、または非コード配列(コード配列部分など)内に含まれ得る。一般に、核酸化合物は、約8〜約500ヌクレオチド長または塩基対長であり、任意選択的に、長さは約14〜約50ヌクレオチドであろう。核酸は、DNA(特に、アンチセンスとしての使用のため)、RNA、またはRNA:DNAハイブリッドであり得る。任意の1つの鎖には、DNAとRNAとの混合物およびDNAまたはRNAのいずれかとして容易に分類できない修飾形態が含まれ得る。同様に、二本鎖化合物は、DNA:DNA、DNA:RNA、またはRNA:RNAであり得る。任意の1つの鎖には、DNAとRNAとの混合物およびDNAまたはRNAのいずれかとして容易に分類できない修飾形態も含まれ得る。核酸化合物には、任意の種々の修飾(骨格(天然の核酸中の糖−リン酸部分(ヌクレオチド間結合が含まれる))または塩基部分(天然の核酸のプリンまたはピリミジン部分)に対する1つまたは複数の修飾が含まれる)を含み得る。アンチセンス核酸化合物は、好ましくは、約15〜約30ヌクレオチド長であり、しばしば、血清、細胞、または化合物が送達される可能性が高い場所(経口送達化合物の場合の胃および吸入化合物のための肺)での安定性などの特徴を改善するための1つまたは複数の修飾を含むであろう。RNAi構築物の場合、標的転写物に相補的な鎖は、一般に、RNAまたはその修飾物であろう。他の鎖は、RNA、DNA、または任意の他のバリエーションであり得る。二本鎖または一本鎖の「ヘアピン」RNAi構築物の二重鎖部分は、ダイサー基質としての役割を果たす限り、好ましくは18〜40ヌクレオチド長、任意選択的に約21〜23ヌクレオチド長であろう。触媒核酸または酵素核酸は、リボザイムまたはDNA酵素であり得、修飾形態も含むことができる。核酸化合物は、生理学的条件下および非センスコントロールまたはセンスコントロールがほとんどまたは全く影響を及ぼさない濃度で細胞に接触した場合、約50%、75%、90%、またはそれを超えて標的の発現を阻害することができる。核酸化合物の影響を試験するための好ましい濃度は、1、5、および10マイクロモルである。核酸化合物を、例えば、血管形成に及ぼす影響について試験することもできる。
【0086】
DANポリペプチド(野生型DANの変異体が含まれる)をコードする核酸およびDANタンパク質を含む融合タンパク質をコードする核酸を生成し、上記に記載のように、ALK1 ECDタンパク質をコードする核酸に関して特徴づけることができる。
4.抗体
開示の別の態様は、ALK1ポリペプチドの細胞外部分と反応する抗体、好ましくは、ALK1ポリペプチドと特異的に反応する抗体に関する。好ましい実施形態では、かかる抗体は、GDF5、GDF6、GDF7、BMP−9、またはBMP−10などのリガンドへのALK1結合を妨害することができる。ALK1のリガンドに対する抗体が成熟したプロセシング形態の関連タンパク質に結合すべきであると理解されるであろう。開示はまた、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、および/またはBMP10に結合してかかるリガンドへのALK1の結合を阻害する抗体も提供する。好ましい抗体は、バイオアッセイ(CAMアッセイまたは角膜マイクロポケットアッセイ(上記を参照のこと)など)において抗血管形成活性を示すであろう。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、例えば、任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)の全抗体が含まれ、選択された抗原との反応性を示す免疫グロブリンのフラグメントまたはドメインが含まれることを意図する。抗体を、従来技術を使用して断片化し、フラグメントを有用性および/または目的の特異的エピトープとの反応についてスクリーニングすることができる。したがって、この用語には、一定のタンパク質と選択的に反応することができる抗体分子のタンパク質分解部分または組換えによって調製された部分のセグメントが含まれる。かかるタンパク質分解フラグメントおよび/または組換えフラグメントの非限定例には、ペプチドリンカーによって連結したV[L]ドメインおよび/またはV[H]ドメインを含むFab、F(ab’)2、Fab’、Fv、および単鎖抗体(scFv)が含まれる。scFvを共有結合または非共有結合して、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または抗体および組換え抗体の他の精製調製物も含まれる。用語「組換え抗体」は、分子生物学技術を使用して構築した核酸から発現される抗体または免疫グロブリンの抗原結合ドメイン(単鎖抗体から構築したヒト化抗体または全ヒト抗体など)を意味する。1つのドメインおよび単鎖抗体も、用語「組換え抗体」に含まれる。
【0088】
抗体を、当該分野で公知の任意の種々の方法(動物への抗原の投与、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有する動物への抗原の投与、または抗体(しばしば、単鎖抗体または抗体ドメイン)のライブラリーに対する抗原を使用したスクリーニングが含まれる)によって生成することができる。抗原結合活性が検出されると、タンパク質の関連部分を他の抗体フレームワーク(全長IgGフレームワークが含まれる)にグラフティングすることができる。例えば、ALK1ポリペプチドまたはALK1リガンド由来の免疫原の使用により、標準的プロトコールによって抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を作製することができる(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual ed.by Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press:1988)を参照のこと)。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物を、ペプチドの免疫原性形態(例えば、ALK1ポリペプチドもしくは抗体応答を誘発することができる抗原性フラグメントまたは融合タンパク質)で免疫化することができる。タンパク質またはペプチドの免疫原性を付与する技術には、担体への抱合または当該分野で周知の他の技術が含まれる。ALK1ポリペプチドの抗原性部分(好ましくは、細胞外部分)を、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進行を、血漿または血清中の抗体力価の検出によってモニタリングすることができる。標準的なELISAまたは他の免疫アッセイを、抗体レベルを評価するための抗原としての免疫原と共に使用することができる。
【0089】
ALK1ポリペプチドの抗原性調製物での動物の免疫化後、抗ALK1抗血清を得ることができ、必要に応じて、ポリクローナル抗ALK1抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫化動物から採取し、骨髄腫細胞などの不死化細胞を使用した標準的な体細胞融合手順によって融合して、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。かかる技術は当該分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein,(1975)Nature,256:495−497によって最初に開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら(1983)Immunology Today,4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.pp.77−96)が含まれる。ハイブリドーマ細胞を、本開示の哺乳動物ALK1ポリペプチドおよびかかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離したモノクローナル抗体と特異的反応性を示す抗体の産生について免疫学的にスクリーニングすることができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、本ALK1ポリペプチドの1つとも特異的反応性を示すそのフラグメントが含まれることが意図される。抗体を、従来技術を使用して断片化し、フラグメントを上記様式において全抗体の有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)フラグメントを、ペプシンでの抗体の処理によって生成することができる。得られたF(ab)フラグメントを処理してジスルフィド架橋を還元して、Fabフラグメントを産生することができる。本開示の抗体は、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されたALK1ポリペプチドに対する親和性を有する二重特異性分子、単鎖分子、キメラ分子、およびヒト化分子が含まれることをさらに意図する。好ましい実施形態では、抗体は、抗体に結合して検出することができる標識(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)をさらに含む。
【0091】
一定の好ましい実施形態では、本開示の抗体は、組換え抗体、特に、ヒト化モノクローナル抗体または全組換え抗体である。
【0092】
抗体に関して使用する場合、形容詞「〜と特異的反応性を示す」は、当該分野で一般的に理解されるように、抗体が目的の抗原(例えば、ALK1ポリペプチドまたはALK1リガンド)と目的としない他の抗原との間で十分な選択性を示し、抗体が最低限でも特定の生体サンプル型中の目的の抗原の存在に検出に有用であることを意味することが意図される。抗体を使用した一定の方法では、抗体結合特異性度がより高いことが望ましい場合がある。例えば、存在量が非常に多い1つまたは複数の目的としないタンパク質の存在下での存在量が少ない目的のタンパク質の検出で使用される抗体は、抗体が目的の抗原と他の交差反応物との間により高い選択性を有する場合より良好に作用することができる。モノクローナル抗体は、一般に、(ポリクローナル抗体と比較して)所望の抗原と交差反応ポリペプチドとを効率的に区別する傾向がより高い。さらに、1つのサンプル型(例えば、糞便サンプル)中の目的の抗原の選択的同定に有効な抗体は、異なる生体サンプル型(例えば、血液サンプル)中の同一抗原の選択的同定に同程度に有効でない場合がある。同様に、他の生体夾雑物を欠く精製タンパク質調製物中の目的の抗原の同定に有効な抗体は、粗生体サンプル(血液サンプルまたは尿サンプルなど)中の目的の抗原の同定に同程度に有効でない場合がある。したがって、好ましい実施形態では、本願は、抗体使用に選択されるサンプル型である可能性が高いサンプル型中の目的の抗原に対する特異性が証明された抗体を提供する。
【0093】
抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす1つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性が異なる親和性の範囲に到達することができるにもかかわらず、一般に好ましい抗体は、約10−6、10−7、10−8、10−9、またはそれ未満の親和性(解離定数)を有するであろう。ALK1に対するTGFβの結合親和性が明らかに低い場合、多くの抗ALK1抗体はTGFβ結合を阻害すると予想される。しかし、リガンドのGDF5、6、7群は、約5×10−8MのKDで結合し、BMP9、10リガンドは約1×10−10MのKで結合する。したがって、適切な親和性の抗体を、これらのリガンドのシグナル伝達活性を妨害するように選択することができる。
【0094】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために使用される技術は、得られた抗体の性質に影響を及ぼし得る。例えば、一定の治療目的のために使用される抗体は、好ましくは、特定の細胞型を標的化することができるであろう。したがって、この抗体型を得るために、目的の抗原を発現する細胞に結合する抗体をスクリーニングすることが望ましい場合がある(例えば、蛍光活性化細胞分類による)。同様に、抗体が溶液中の抗原結合のための使用される場合、溶液結合を試験することが望ましい場合がある。種々の異なる技術は、特定の望ましい抗体を同定するための抗体:抗原相互作用の試験に利用可能である。かかる技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore結合アッセイ,Bia−core AB,Uppsala,Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International,Inc.,Gaithersburg,Md.の常磁性ビーズ系)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学が含まれる。
5.抗体およびFc−融合タンパク質の変化
本願は、さらに、操作されたFc領域または変異体Fc領域を有する抗体、ALK1−Fc融合タンパク質、およびDAN−Fc融合タンパク質を提供する。かかる抗体およびFc融合タンパク質は、例えば、エフェクタ機能(抗原依存性細胞傷害性(ADCC)および補体依存性細胞傷害性(CDC)など)の調整で有用であり得る。さらに、修飾により、抗体およびFc融合タンパク質の安定性を改良することができる。抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列変異体を、DNAへの適切なヌクレオチド変化の導入またはペプチド合成によって調製する。かかる変異体には、例えば、本明細書に開示の抗体およびFc融合タンパク質のアミノ酸配列内の残基の欠失および/または挿入および/または置換が含まれる。欠失、挿入、および置換を任意に組み合わせて最終構築物に到達させるが、最終構築物は所望の特徴を有するものとする。アミノ酸の変化は、抗体およびFc融合タンパク質の翻訳後プロセスを変化させることもできる(グリコシル化部位の数および位置の変化など)。
【0095】
エフェクタ機能が減少した抗体およびFc融合タンパク質を、アミノ酸配列の変化の導入によって産生することができる(Bluestoneら(WO94/28027号およびWO98/47531号を参照のこと、Xuら、2000 Cell Immunol 200;16−26も参照のこと)に記載のAla−Ala変異が含まれるが、これに限定されない)。したがって、一定の実施形態では、定常領域内に変異(Ala−Ala変異が含まれる)を有する開示の抗体およびFc融合タンパク質を使用して、エフェクタ機能を減少または排除することができる。これらの実施形態にしたがって、抗体およびFc融合タンパク質は、234位のアラニンへの変異、235位のアラニンへの変異、またはその組み合わせを含むことができる。1つの実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質はIgG4フレームワークを含み、ここで、Ala−Ala変異が234位のフェニルアラニンからアラニンへの変異および/または235位のロイシンからアラニンへの変異を示すであろう。別の実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質はIgG1フレームワークを含み、ここで、Ala−Ala変異は234位のロイシンからアラニンへの変異および/または235位のロイシンからアラニンへの変異を示すであろう。抗体またはFc融合タンパク質は、他の変異(CH2ドメイン中の点変異K322Aが含まれる)を二者択一的またはさらに保有することができる(Hezarehら、2001 J.Virol.75:12161−8)。
【0096】
特定の実施形態では、抗体またはFc融合タンパク質を修飾して、補体依存性細胞傷害性(CDC)を増強または阻害することができる。CDC活性を、Fc領域中の1つまたは複数のアミノ酸の置換、挿入、または欠失によって調整することができる(例えば、米国特許第6,194,551号を参照のこと)。あるいはまたはさらに、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域中に鎖間ジスルフィド結合を形成することが可能である。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、内在化能力を改良または減少した場合があり、そして/または補体媒介性細胞死滅を増加または減少した場合がある。Caronら、J.Exp Med.176:1191−1195(1992)およびShopes,B.J.Immunol.148:2918−2922(1992),WO99/51642号,Duncan & Winter Nature 322:738−40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;およびWO94/29351号を参照のこと。
6.血管形成および一定の障害を調整するための方法および組成物
本開示は、有効量のALK1 ECDポリペプチド(ALK1−Fc融合タンパク質など)、DANタンパク質(DAN−Fc融合タンパク質など)、または本明細書に開示の抗体(ALK1のGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、BMP10、またはECDに対する抗体など)、またはその後に集合的に「治療薬」と呼ばれる上記のいずれかの核酸アンタゴニスト(例えば、アンチセンスまたはsiRNA)の被験体への投与による、哺乳動物の血管形成を阻害する方法を提供する。示したデータは、本明細書に開示の抗血管形成治療薬を使用して哺乳動物の眼の血管形成を阻害することができることを詳細に示す。これらの治療薬は骨および関節ならびに腫瘍(特に、骨および関節に関連する腫瘍)の血管形成の阻害でも有用であると予想される。
【0097】
血管形成関連疾患には、血管形成依存性癌(例えば、固形腫瘍、血行性腫瘍(白血病など)、腫瘍転移が含まれる);良性腫瘍(例えば、血管腫、聴神経腫、神経線維腫、トラコーマ、および化膿性肉芽腫など);関節リウマチ;乾癬;皮膚紅潮;オスラー−ウェバー症候群;心筋血管形成;プラーク心血管新生;毛細血管拡張症;血友病性関節(hemophiliac joint);および血管線維腫が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
特に、本開示のポリペプチド治療薬は、癌(腫瘍)(特に、成長を補助するために血管形成過程に依存することが公知である癌など)の治療または防止に有用である。ほとんどの抗血管新生薬と異なり、ALK1 ECDポリペプチドは、複数の要因によって刺激される血管形成に影響を及ぼす。癌が頻繁に腫瘍血管形成を補助する複数の要因を必要とする場合、これは癌と非常に関連する。したがって、本明細書に開示の治療薬は、特に、単一の血管新生因子を標的化する薬物(例えば、VEGFを標的化するベバシズマブ)での治療に耐性を示す腫瘍の治療で特に有効であろう。本明細書で証明するように、ALK1−Fc融合タンパク質は、多発性骨髄腫の病理学的影響の減少で有用である。多発性骨髄腫は、有意な血管形成成分を含む癌として広く認識されている。したがって、本明細書に開示のALK1−Fc融合タンパク質および他の治療薬は、多発性骨髄腫および骨に関連する他の腫瘍の治療で有用であろう。本明細書で証明されるように、本明細書に開示の治療薬を使用して、多発性骨髄腫に関連する骨損傷を改善することができ、従って、これを使用して他の腫瘍(乳房腫瘍および前立腺腫瘍など)の骨転移に関連する骨損傷を改善することができる。本明細書に記載するように、GDF5−7リガンドは、骨中で高度に発現し、いかなる特定の機構にも制限されることを望んでいないが、これらのリガンドの干渉によって骨中の腫瘍発達に必要な過程を破壊することができる。
【0099】
かかる方法の一定の実施形態では、1つまたは複数のポリペプチド治療薬を、共に(同時に)または異なる時間に(連続的に)投与することができる。さらに、ポリペプチド治療薬を、癌治療または血管形成阻害のための別の化合物型と共に投与することができる。
【0100】
一定の実施形態では、開示の方法を単独で使用することができる。あるいは、本方法を、増殖性障害(例えば、腫瘍)の治療または防止を指示する他の従来の抗癌治療アプローチと組み合わせて使用することができる。例えば、かかる方法を、癌予防、癌再発および術後転移の防止、ならびに他の従来の癌療法の補助として使用することができる。本開示は、本ポリペプチド治療薬の使用によって、従来の癌療法(化学療法、放射線療法、光療法、免疫療法、および手術)の効果を増強することができることを認識する。
【0101】
広範な一連の従来の化合物は、新生物活性を有することが示されている。これらの化合物を、固形腫瘍の萎縮、転移およびさらなる成長の防止、または白血性もしくは骨髄性の悪性疾患における悪性細胞数の減少のために化学療法で薬物として使用されている。化学療法は種々の悪性疾患型の治療で有効であるが、多くの抗新生物化合物は望ましくない副作用を誘導する。2つ以上の異なる治療を組み合わせる場合、治療は相乗的に作用し、各治療薬の投薬量を減少させ、それにより、より高い投薬量で各化合物によって発揮される有害な副作用を減少させることができることが示されている。他の例では、治療無反応性の悪性疾患は、2つ以上の異なる治療を使用した併用療法に応答し得る。
【0102】
本明細書に開示のポリペプチド治療薬を、別の従来の抗新生物薬と組み合わせて同時または連続的に投与する場合、かかる治療薬は抗新生物薬の治療効果を増強し、または、かかる抗新生物薬に対する細胞耐性を克服することができる。これにより、抗新生物薬の投薬量が減少し、それにより、望ましくない副作用が軽減され、または耐性細胞における抗新生物薬の有効性が回復される。
【0103】
本開示によれば、本明細書に記載の抗血管新生薬を、疾患治療のための他の組成物および手順と組み合わせて使用することができる。例えば、腫瘍を、従来のように、ALK1またはALK1リガンドアンタゴニストと組み合わせた手術、照射、または化学療法で治療し、次いで、アンタゴニストを患者に投与して、微小転移の休止期間を延長し、任意の残留原発性腫瘍を安定化することができる。
【0104】
血管形成阻害剤を、新規の癌または再発癌を発症するリスクが高いことが公知の個体に予防的に投与することもできる。したがって、開示の態様は、有効量のALK1またはALK1リガンドアンタゴニストおよび/またはその誘導体、または本開示の別の血管形成阻害剤を被験体に投与する工程を含む、被験体の癌の防止方法を含む。
【0105】
本明細書で証明されるように、ALK1−Fcは、関節リウマチのマウスモデルの表現型の縮小に有効である。したがって、本明細書に開示の治療薬を、関節リウマチおよび他の骨または関節の炎症型の治療のために使用することができる。
【0106】
一定の正常な生理学的過程(例えば、排卵、月経、および胎盤形成)も、血管形成に関連する。本開示の血管形成阻害タンパク質は、内皮細胞が過剰または異常に刺激される疾患の治療で有用である。これらの疾患には、腸管癒着症、アテローム性動脈硬化症、強皮症、および肥厚性瘢痕(すなわち、ケロイド)が含まれるが、これらに限定されない。これらは、ネコ引っ掻き病(Rochele minalia quintosa)および潰瘍(ピロリ菌)などの病理学的結果として血管形成を有する疾患の治療でも有用である。
【0107】
一般的な血管形成阻害タンパク質を、胚着床に必要な子宮脈管形成の減少または防止による産児制限薬として使用することができる。したがって、本開示は、胚着床の防止に十分な阻害タンパク質量を女性に投与する場合の有効な産児制限方法を提供する。産児制限方法の1つの態様では、胚着床の遮断に十分なタンパク質の阻害量を性交渉および受精が起こる前または後に投与するので、有効な産児制限方法(おそらく、翌朝(morning after)法)を提供する。この記述に拘束されることを望まないが、子宮内膜の脈管形成の阻害が胚盤胞の着床を妨害すると考えられる。卵管粘膜の類似の脈管形成阻害は、胚盤胞の着床を妨害し、卵管妊娠の発症を防止する。投与方法には、丸薬、注射(静脈内、皮下、筋肉内)、座剤、膣スポンジ、膣タンポン、および子宮内デバイスが含まれるが、これらに限定されない。本開示の血管形成阻害剤の投与が胎盤の正常な脈管形成の増強を妨害し、首尾よく着床した胚盤胞内の血管の発達ならびに胚および胎児の発達も妨害するとも考えられる。
【0108】
眼では、血管形成は、例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、黄斑変性、角膜移植片拒絶、血管新生緑内障、および水晶体後線維増殖に関連する。本明細書に開示の治療薬を、眼内に投与するか、眼の他の局所投与によって投与することができる。さらに、実施例に示すように、ALK1−Fcを全身投与することができ、それでも依然として眼の血管形成に所望の効果を有する。
【0109】
眼の血管形成に関連する他の疾患には、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過装着、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン、紅斑性座瘡、フィレクテヌロシス(phylectenulosis)、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学火傷(chemical bums)、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁角膜炎(mariginal keratolysis)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性動脈炎、外傷、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンス・ジョンソン病、類天疱瘡放射状角膜切開、および角膜移植片拒絶、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾力線維性偽性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールス病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を生じる感染、推定眼ヒストプラズマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガート病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠血症候群、トキソプラズマ症、外傷、およびレーザー後合併症が含まれるが、これらに限定されない。他の疾患には、皮膚紅潮に関連する疾患(肋骨角の新血管新生)および線維性血管または線維組織の異常な増殖によって生じる疾患(全ての増殖性硝子体網膜症形態が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
眼の容態を、例えば、治療薬の全身注射、局所注射、眼内注射、または治療薬を放出する徐放性デバイスの挿入によって治療または防止することができる。化合物が角膜および眼の内部領域(例えば、前眼房、後眼房、硝子体、眼房水、硝子体液、角膜、虹彩/睫毛、レンズ、脈絡膜/網膜、および強膜)を貫通するのに十分な期間、化合物が眼表面と接触するように、治療薬を薬学的に許容可能な眼科ビヒクル中で送達させることができる。薬学的に許容可能な眼科ビヒクルは、例えば、軟膏、植物油、またはカプセル化材料であり得る。あるいは、開示の治療薬を、硝子体液および房水に直接注射することができる。さらに別では、化合物を、眼の治療のために静脈内注入または注射などによって全身投与することができる。
【0111】
1つまたは複数の治療薬を投与することができる。開示の方法は、眼の容態を治療するために使用される他の薬物との同時投与も含む。1つを超える薬剤または薬剤と薬物との組み合わせを投与する場合、同時または時間内に連続的に投与することができる。治療薬および/または薬物を、異なる投与経路または同一の投与経路によって投与することができる。1つの実施形態では、治療薬および薬物を、眼科薬学的処方物中で共に投与する。
【0112】
1つの実施形態では、治療薬を使用して、薬理学的機構によって血管形成を遮断するように作用する他の薬物との同時投与によって眼の血管形成に関連する疾患を治療する。開示の治療薬と同時に投与することができる薬物には、ペガプタニブ(マクゲン(商標))、ラニビズマブ(ルセンチス(商標))、乳酸スクアラミン(エビゾン(Evizon)(商標))、ヘパリナーゼ、および糖質コルチコイド(例えば、トリアムシノロン)が含まれるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、少なくとも1つの本明細書に開示の治療薬および少なくとも1つの以下の薬物を含む眼科薬学的処方物の投与によって治療される血管形成に関連する疾患の治療方法を提供する:ペガプタニブ(マクゲン(商標))、ラニビズマブ(ルセンチス(商標))、乳酸スクアラミン(エビゾン(商標))、ヘパリナーゼ、および糖質コルチコイド(例えば、トリアムシノロン)。
7.処方物および有効用量
本明細書に記載の治療薬を薬学的組成物に処方することができる。本開示にしたがって使用する薬学的組成物を、1つまたは複数の生理学的に許容可能な担体または賦形剤を使用した従来の様式で処方することができる。かかる処方物は、一般に、ほとんどの規制基準に従って実質的に発熱物質を含まない。
【0113】
一定の実施形態では、開示の治療方法は、組成物の全身投与または移植片もしくはデバイスとしての局所投与を含む。投与する場合、本開示で使用する治療組成物は、発熱物質を含まない生理学的に許容可能な形態である。本明細書に開示の方法において、任意選択的に上記組成物中にも含まれ得るALK1シグナル伝達アンタゴニスト以外の治療的に有用な薬剤を、本化合物(例えば、本明細書に開示のALK1 ECDポリペプチドまたは任意の抗体)と同時または連続的に投与することができる。
【0114】
典型的には、本明細書に開示のタンパク質治療薬を、非経口、特に静脈内または皮下に投与するであろう。非経口投与に適切な薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、処方物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁液、または増粘剤を含むことができる1つまたは複数の薬学的に許容可能な滅菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液、または使用直前に滅菌注射液もしくは分散液で再構成することができる滅菌粉末と組み合わせた1つまたは複数のALK1 ECDポリペプチドまたは他の抗体を含むことができる。開示の薬学的組成物中で使用することができる適切な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油(オリーブ油)、注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が含まれる。例えば、レシチンなどのコーティング物質、分散液の場合の必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。
【0115】
1つの実施形態では、本明細書に開示の抗体およびALK1 ECDタンパク質を、眼科薬学的処方物中で投与することができる。いくつかの実施形態では、眼科薬学的処方物は、滅菌水溶液(注射に適切な濃度が好ましい)、または蝋膏もしくは軟膏である。かかる蝋膏または軟膏は、典型的には、滅菌された薬学的に許容可能な蝋膏または軟膏の基剤(鉱物油−白色ワセリン基剤)中に溶解または懸濁した本明細書に開示の1つまたは複数の抗体またはALK1 ECDタンパク質を含む。蝋膏または軟膏組成物では、無水ラノリンも処方放物に含めることができる。抗菌薬としてチロメサールまたはクロロブタノールを、かかる軟膏組成物に添加することも好ましい。1つの実施形態では、滅菌水溶液は、米国特許第6,071,958号に記載されている。
【0116】
本開示は、pHを調整するための酸および塩基、狭い範囲内にpHを維持するための緩衝剤を含むように変化することができる処方物を提供する。さらなる薬物を処方物に添加することができる。これらには、ペガプタニブ、ヘパリナーゼ、ラニビズマブ、または糖質コルチコイドが含まれるが、これらに限定されない。本開示の眼科薬学的処方物を、無菌操作法によって調製するか、または適切な調製段階で滅菌する。
【0117】
組成物および処方物は、所望により、有効成分を含む1つまたは複数の単位投薬形態を含むことができるパックまたは分注デバイス中に存在することができる。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイル(ブリスターパックなど)を含むことができる。パックまたは分注デバイスは、投与説明書を添付することができる。
【実施例】
【0118】
(実施例1)ALK1−Fc融合タンパク質の発現
出願人は、ヒトFcに融合したヒトALK1またはマウスFcドメインに融合したマウスALK1(その間に最小のリンカーを有する)の細胞外ドメインを有する可溶性ALK1融合タンパク質を構築した。構築物を、それぞれ、hALK1−FcおよびmALK1−Fcと呼ぶ。
【0119】
CHO細胞株から精製されるhALK1−Fcを、図3に示す。特に、ヒトALK1タンパク質の細胞外ドメインの従来のC末端が配列番号1のアミノ酸118である一方で、本発明者らは、グルタミン残基で終結するドメインを有するのを回避することが望ましいと判断した。したがって、ヒトALK1由来の配列番号3の一部は、Q118に対してC末端に2つの残基(ロイシンおよびアラニン)を組み込む。したがって、本開示は、Q118の1〜5アミノ酸上流(配列番号1に対して113〜117)または下流(119〜123)のどこかであるALK1由来の配列のc末端を有するALK1 ECDポリペプチド(Fc融合タンパク質が含まれる)を提供する。
【0120】
hALK1−FcおよびmALK1−Fcタンパク質を、CHO細胞株中で発現した。以下の3つの異なるリーダー配列を考慮した:
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号7)
(ii)組織プラスミノゲンアクチベータ(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号8)
(iii)未変性:MTLGSPRKGLLMLLMALVTQG(配列番号9)。
【0121】
選択された形態はTPAリーダーを使用し、図4に示す非プロセシングアミノ酸配列を有する(配列番号5)。
【0122】
このポリペプチドは、図4に示す核酸配列によってコードされる(配列番号4)。
【0123】
一連のカラムクロマトグラフィ工程(例えば、3つ以上の以下が任意の順番で含まれる:プロテインAクロマトグラフィ、Qセファロースクロマトグラフィ、フェニルセファロースクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および陽イオン交換クロマトグラフィ)によって精製することができる。ウイルス濾過および緩衝液の交換を使用して、精製を完了することができる。hALK1−Fcタンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィによって決定したところ98%超の純度、SDS−PAGEによって決定したところ95%超に精製した。
【0124】
(実施例2)ALK1−Fcリガンドの同定
ALK1は、TGFβファミリーメンバーの1型受容体である。TGFβファミリーの種々のメンバーを、Biacore(商標)システムを使用して、ヒトALK1−Fc融合タンパク質への結合について試験した。TGFβ自体、GDF8、GDF11、BMP2、およびBMP4は全て、hALK1−Fcタンパク質への実質的結合を示すことができなかった。BMP2およびBMP4は、制限された結合を示した。GDF5、GDF7、およびBMP9は、それぞれ、5×10−8M、5×10−8M、および1×10−10MのK値の結合を示した。GDF5およびGDF7のGDF6との類似性に基づいて、GDF6が類似の親和性で結合すると予想される。BMP10は、BMP9と密接に関連し、類似の親和性で結合することも予想される。
【0125】
(実施例3)内皮細胞に及ぼすALK1−Fcおよび抗ALK1抗体の影響の特徴づけ
Smad1/5/8媒介シグナル伝達に応答する4つの連続コンセンサスSBE部位の調節下でルシフェラーゼレポータ構築物(SBE4−luc)を使用して、本発明者らは、HMVEC細胞中のhALK1−Fc薬または中和ALK1特異的モノクローナル抗体の存在下および不在下でのBMP−9媒介性活性を測定した。HMVEC細胞を、rhBMP−9(50ng/ml)で刺激し、それにより、Smad1/5/8媒介性転写活性化が誘導され、SBE4−luc調整転写上方制御の増加によってここで証明された。添加する場合、hALK1−Fc化合物(10μg/ml)または抗体(10μg/ml)はこの転写応答を減少させ(それぞれ、約60%)、ALK1−Fcの存在がBMP9シグナル伝達を有意に減少させ、さらに、BMP9シグナル伝達がALK1活性に関連することを示す。
【0126】
SMADリン酸化の活性化は、上流アクチビン受容体の活性化をアッセイするために一般的に使用される。ALK1は、そのリガンドによる活性化の際にSMADタンパク質1、5、および8のリン酸化を調整することが公知である。ここに、本発明者らは、rhBMP−9(50ng/ml)を30分間のタイムコースにわたって添加してHUVEC細胞(ALK1受容体を本質的に発現するヒト内皮細胞株)中でのSMADリン酸化を開始させた。リガンドでの細胞の処理から5分後にSMAD1/5/8のリン酸化が認められ、リン酸化は、全30分間にわたって維持された。比較的低濃度のhALK1−Fc(250ng/ml)の存在下で、SMAD1/5/8リン酸化が減少し、この薬剤が内皮細胞中でSmad1/5/8活性化を阻害することが確認された。
【0127】
インビトロ系でのALK1−Fcの血管形成効果を評価するために、本発明者らは、マトリゲル基質上での内皮細胞の管形成の減少における化合物の有効性をアッセイした。この技術は、新血管形成を評価するために一般的に使用されており、迅速且つ高再現性の結果が得られる。内皮細胞成長サプリメント(ECGS)を使用してマトリゲル上の内皮細胞由来の微細血管の形成を誘導し、次いで、抗血管形成化合物の有効性を18時間のタイムコースにわたる薬物およびECGSの両方の存在下での索形成の減少として測定した。予想通り、ネガティブコントロール(処理なし)と比較した場合にECGS(200ng/ml)の添加によって有意なコード形成が誘導され、これは、マトリゲル基質上で産生された内皮細胞索形成の基底レベルを示す(図5)。hALK1−Fc(100ng/ml)またはmALK1−Fc(100ng/ml)のいずれかの添加の際、索形成は明白に減少した。全サンプル中の脈管長の最終定量により、あらゆる濃度のhALK1−fcまたはmALK1−Fcが基底レベルへの新血管形成を減少させることが明らかとなった。さらに、血管新生促進性の強い因子ECGSの存在下でのhALK1−FcおよびmALK1−Fcによって新血管形成の強い阻害が維持され、ネガティブコントロールであるエンドスタチン(100ng/ml)よりもさらにより強力な抗血管形成活性が証明された。
【0128】
(実施例4)CAMアッセイ
VEGFおよびFGFは、血管形成を刺激することが周知である。CAM(トリ絨毛尿膜)アッセイ系を使用して、GDF7の血管形成効果を評価した。図6に示すように、GDF7は、VEGFと類似の効力で血管形成を刺激する。GDF5およびGDF6を使用して類似の結果が認められた。
【0129】
ALK1−Fc融合物を、CAMアッセイにおいて抗血管形成活性について試験した。これらの融合タンパク質は、VEGF、FGF、およびGDF7によって刺激された血管形成に対して強力な抗血管形成効果を示した。図7を参照のこと。BMP9およびPDGFは、このアッセイにおいて比較的弱い血管形成誘導能力を示したが、これらの因子のかかる血管形成効果は、それでもなおALK1によって阻害された。
【0130】
ALK1−Fcタンパク質および市販の抗血管形成性抗VEGFモノクローナル抗体を、CAMアッセイで比較した。ALK1−Fcタンパク質は、抗VEGFと比較して類似の効力を有していた。抗VEGF抗体であるベバシズマブは、現在、ヒトにおける癌および黄斑変性の治療で使用されている。図8を参照のこと。
【0131】
興味深いことに、抗ALK1抗体(R&D Systems)は、このアッセイ系で血管形成を有意に阻害できなかった。本発明者らは、これは異なる種におけるALK1配列の相違を反映し得ると予想する。
【0132】
(実施例5)マウス角膜マイクロポケットアッセイ
マウス角膜マイクロポケットアッセイを使用して、マウス眼における血管形成に及ぼすALK1−Fcの影響を評価した。腹腔内に投与したhALK1−Fcは、眼の血管形成を有意に阻害した。図9に示すように、hALK1−Fcは、抗VEGFと同程度に眼の血管形成を阻害した。hALK1−Fcおよび抗VEGFを、同一の重量/重量投薬量で使用した。VEGFを充填したマトリゲルを眼でない位置に移植した場合に類似のデータが得られた。
【0133】
これらのデータは、ALK1に対する高親和性リガンドが血管形成を促進し、ALK1−Fc融合タンパク質が強力な抗血管形成活性を有することを証明している。ALK1のリガンドは、以下の2つのカテゴリーに分類される:ALK1に中程度の親和性を有するGDF5、6、7群およびALK1に高親和性を有するBMP9、10群。
【0134】
GDF5、6、および7は主に骨および関節に局在化する一方で、BMP9は血液中を循環する。したがって、ALK1、GDF5、6、および7を含む骨および関節の血管新生促進系であり、ALK1およびBMP9(およびおそらくBMP10)を含む全身血管形成系のようである。
【0135】
(実施例6)関節リウマチのマウスモデル
マウスコラーゲン誘導性関節炎モデルは、十分に承認された関節リウマチモデルである。本研究では、10匹のマウス群を、ビヒクル、抗VEGF(ベバシズマブ−ネガティブコントロールとして、ベバシズマブはマウスVEGFを阻害しないため)、または1mg/kg、10mg/kg、または25mg/kgの用量のmALK1−Fc(「RAP−041」)で処理した。21日目のコラーゲン追加免疫後、関節炎スコア(図10を参照のこと)および足の腫脹は、全群で安定的に増加し、約38日目でピークになった。mALK1−Fc(「RAP−041」)で処理したマウスは、特に最も高い用量(25mg/kg)で両方の特徴についてスコアが減少したが、この減少は統計的に有意ではなかった。それにもかかわらず、用量に関連する傾向は明らかである。
【0136】
42日目の研究終了までに、関節炎の発症率は、ビヒクルコントロール処置マウスで10/10、ベバシズマブ処置マウスで9/10、1mg/kgのmALK1−Fcで処置した群で8/10、10mg/kgのmALK1−Fcで処置した群で9/10に到達した。25mg/kgのmALK1−Fcで処置した群の疾患の発生は、6/10とより低かった。
【0137】
(実施例7)多発性骨髄腫のマウスモデル
多発性骨髄腫は、実質的な骨量減少に関連する主に骨の癌である。マウス骨髄腫の5T2MMモデルは、高齢マウスで発症し、ヒト多発性骨髄腫患者で認められる影響と類似する影響をマウスで生じる自発性腫瘍型由来の腫瘍細胞(5T2MM細胞)の使用に基づく。例えば、Vanderkerkenら、Methods Mol Med.2005;113:191−205を参照のこと。mALK1−Fcを、このモデルにおける影響について試験した。
【0138】
C57BL/KaLwRijマウスに注射した5T2MM細胞により、破骨細胞表面の増加が促進され、溶骨性病変が形成され、骨領域の減少を生じた。骨疾患は、骨芽細胞数および骨芽細胞表面の減少、および石灰化の減少に関連する。
【0139】
5T2MM細胞を保有するマウスを、mALK1−Fc(RAP−041)(10mg/kg、腹腔内に週2回)またはビヒクルで5T2MM注射時から全部で12週間処置した。近位脛骨および腰椎のMicroCT分析により、ナイーブマウスと比較して5T2MM保有マウスにおいて海綿骨体積および小柱数の統計的に有意な減少が証明された(コントロールと比較して骨体積は40%減少し、小柱数は40%減少した)。RAP−041は、ビヒクル処置マウスと比較した場合、骨体積および小柱数の5T2MM誘導減少を完全に防止した(処置マウスは、非腫瘍化コントロールと比較して骨体積が120%であり、非腫瘍化コントロールと比較して小柱数が115%であった)。さらに、腫瘍処置マウスは、溶骨性病変を発症し、これはmicroCTで検出された。mALK1−Fc処置により、ビヒクル処置マウスと比較して、溶血性骨病変数が50%減少した。
【0140】
ALK1−Fcの抗血管形成効果に基づいて、本発明者らは、この薬剤によって得られた骨の防御効果が腫瘍成長の結果であると推測する。
【0141】
したがって、ALK1−Fcを使用して多発性骨髄腫を処置し、この腫瘍型に起因する骨疾患の影響を減少させることができる。
【0142】
(実施例8)DANのリガンド結合特性
DANは、MBP活性を阻害する分泌性シスチンknotタンパク質ファミリーのメンバーである。DANは、GDF5に結合して拮抗することが公知である。本発明者らは、DANはGDF7に強固に結合するが、BMP9に結合しないと判断した。したがって、本発明者らは、DANが一連のALK1の骨および関節局在リガンドを阻害し、DANが骨および関節関連血管形成の強力なアンタゴニストであると予想されると結論づけた。したがって、DANは、骨の癌(例えば、多発性骨髄腫および骨転移)ならびに関節リウマチおよび骨関節炎の治療で有用であり得る。
【0143】
まとめると、これらの実施例で開示した所見は、インビボでの血管形成、特に眼の血管形成の阻害のための本明細書に記載の多くの試薬を提供する。これらの所見は、GDF5、6、および7に標的化される薬剤を使用して、骨および関節の血管形成を選択的に阻害することができることも示す。これらの所見は、かかる薬剤を使用して癌および関節リウマチを治療することができることをさらに示す。
文献の引用
本明細書で言及した全ての刊行物および特許は、各刊行物または特許が具体的且つ個別に参考により組み込まれることを意図するように、その全体が本明細書で参考により組み込まれる。矛盾する場合、本願(本明細書の任意の定義が含まれる)に従う。
等価物
本発明の特定の実施形態を本明細書に明確に開示しているが、上記明細書は例示であり、本発明を制限しない。本明細書および以下の特許請求の範囲の再検討の際に本発明の多くの変形形態が当業者に明らかとなるであろう。本発明の全範囲を、特許請求の範囲およびその等価物の全範囲ならびに明細書およびかかる変形形態を参照して判断すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドが免疫グロブリンのFc部分に融合している、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むALK1−Fc融合タンパク質であって、該ALK1−Fc融合タンパク質が、1×10−7M未満のKで、GDF5、GDF7、およびBMP9に結合し、1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合するALK1−Fc融合タンパク質。
【請求項2】
Fc部分がヒトIgG1のFc部分であるALK1−Fc融合タンパク質。
【請求項3】
配列番号3のアミノ酸配列を含むALK1−Fc融合タンパク質。
【請求項4】
哺乳動物細胞株中の配列番号4の核酸の発現によって産生されるALK1−Fc融合タンパク質。
【請求項5】
哺乳動物細胞株がチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項4に記載のALK1−Fc融合タンパク質。
【請求項6】
請求項5に記載のALK1−Fc融合タンパク質を含む、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体。
【請求項8】
抗体が5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
抗体が1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項7に記載の抗体。
【請求項10】
抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項8に記載の抗体。
【請求項11】
抗体がBMP9およびBMP10のALK1への結合を阻害する、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
請求項7に記載の抗体を含む、実質的に発熱物質を含まない薬学的調製物。
【請求項13】
哺乳動物の血管形成を阻害する方法であって、有効量のALK1 ECDタンパク質を哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項14】
ALK−1 ECDタンパク質がALK1−Fc融合タンパク質である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ALK1−Fc融合タンパク質が配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ALK1 ECDタンパク質がGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ALK1 ECDポリペプチドが配列番号1のアミノ酸34〜95に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ALK1 ECDが、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号2のヌクレオチド100〜285または同一のコード配列を有する配列番号2のヌクレオチド100〜285の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ALK1−Fc融合タンパク質が配列番号3の配列を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
ALK1 ECD融合タンパク質を静脈内または眼に局所送達する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
阻害すべき血管形成が、哺乳動物の眼内、腫瘍内、骨内、または関節内で生じる血管形成である、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する有効量の抗体を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物の血管形成を阻害する方法。
【請求項24】
抗体が5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
抗体が1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
抗体がALK1のALK1リガンドへの結合を阻害し、該ALK1リガンドがBMP9およびBMP10からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
抗体を静脈内送達する、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
阻害すべき血管形成が、哺乳動物の眼内、腫瘍内、骨内、または関節内で生じる血管形成である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがGDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される抗体。
【請求項32】
抗体が5×10−8M未満のKでALK1リガンドに結合する、請求項31に記載の抗体。
【請求項33】
抗体がALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項31に記載の抗体。
【請求項34】
請求項31に記載の抗体を含む薬学的調製物。
【請求項35】
ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがBMP9およびBMP10からなる群から選択される抗体。
【請求項36】
抗体が1×10−10M未満のKでALK1リガンドに結合する、請求項35に記載の抗体。
【請求項37】
請求項35に記載の抗体を含む薬学的調製物。
【請求項38】
哺乳動物の血管形成を阻害する方法であって、ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する有効量の抗体を哺乳動物に投与する工程を含み、該ALK1リガンドが、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される方法。
【請求項39】
抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
抗体が、BMP9およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
抗体を静脈内送達する、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
阻害すべき血管形成が、哺乳動物の眼内、腫瘍内、骨内、または関節内で生じる血管形成である、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
哺乳動物の血管形成の阻害薬の製造におけるALK1 ECDポリペプチドまたはALK1 ECDポリペプチドをコードする核酸の使用。
【請求項45】
ALK1 ECDポリペプチドがALK−1Fc融合タンパク質である、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
ALK1−Fc融合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、該ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
哺乳動物の血管形成の阻害薬の製造におけるALK1またはALK1をコードする核酸に結合する抗体の使用であって、該抗体が配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する使用。
【請求項48】
哺乳動物の血管形成の阻害薬の製造におけるALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1またはALK1をコードする核酸への結合を阻害する抗体の使用であって、該抗体がGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択されるALK1リガンドに結合する使用。
【請求項49】
哺乳動物の血管形成を阻害する方法であって、有効量のDANタンパク質を哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項50】
DANタンパク質がDAN−Fc融合タンパク質である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
DAN−Fc融合タンパク質が配列番号10のアミノ酸21〜125の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
DANタンパク質が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
DANタンパク質が、配列番号10のアミノ酸17〜180に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
DANタンパク質が、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号11のヌクレオチド153〜467または同一のコード配列を有する配列番号11のヌクレオチド153〜467の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項55】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項56】
阻害すべき血管形成が、哺乳動物の眼内、腫瘍内、骨内、または関節内で生じる血管形成である、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
哺乳動物の関節リウマチを治療する方法であって、関節リウマチを有する哺乳動物に:
(a)ALK1 ECDタンパク質;
(b)ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;
(c)配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;および
(d)DANポリペプチド
からなる群から選択される有効量の薬剤を投与する工程を含む方法。
【請求項58】
ALK−1 ECDタンパク質がALK1−Fc融合タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ALK1−Fc融合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、該ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
ALK1 ECDタンパク質がGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
ALK1−Fc融合タンパク質が配列番号3の配列を有する、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
ALK1 ECDポリペプチドが配列番号1のアミノ酸34〜95に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項63】
ALK1 ECDが、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号2のヌクレオチド100〜285または同一のコード配列を有する配列番号2のヌクレオチド100〜285の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項64】
(b)の抗体が、5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項65】
(b)の抗体が、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項66】
(b)の抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
(b)の抗体が、ALK1のALK1リガンドへの結合を阻害し、該ALK1リガンドがBMP9およびBMP10からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項68】
(c)の抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項57に記載の方法。
【請求項69】
(c)の抗体が、BMP9およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項57に記載の方法。
【請求項70】
DANタンパク質がDAN−Fc融合タンパク質である、請求項57に記載の方法。
【請求項71】
DAN−Fc融合タンパク質が配列番号10のアミノ酸21〜125の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
DANタンパク質が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項57に記載の方法。
【請求項73】
DANタンパク質が、配列番号10のアミノ酸17〜180に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項74】
DANタンパク質が、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号11のヌクレオチド153〜467または同一のコード配列を有する配列番号11のヌクレオチド153〜467の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項75】
薬剤を静脈内送達する、請求項57に記載の方法。
【請求項76】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項77】
哺乳動物の腫瘍を治療する方法であって、腫瘍を有する哺乳動物に:
(a)ALK1 ECDタンパク質;
(b)ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;
(c)配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;および
(d)DANポリペプチド
からなる群から選択される有効量の薬剤を投与する工程を含む方法。
【請求項78】
ALK−1 ECDタンパク質がALK1−Fc融合タンパク質である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ALK1−Fc融合タンパク質が、配列番号1のアミノ酸22〜118の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、該ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
ALK1 ECDタンパク質がGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
ALK1−Fc融合タンパク質が配列番号3の配列を有する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
ALK1 ECDポリペプチドが配列番号1のアミノ酸34〜95に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項83】
ALK1 ECDが、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号2のヌクレオチド100〜285または同一のコード配列を有する配列番号2のヌクレオチド100〜285の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
(b)の抗体が、5×10−8M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
(b)の抗体が、1×10−10M未満のKでALK1ポリペプチドに結合する、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
(b)の抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
(b)の抗体が、ALK1のALK1リガンドへの結合を阻害し、該ALK1リガンドがBMP9およびBMP10からなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項88】
(c)の抗体が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
(c)の抗体が、BMP9およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドによって刺激される血管形成を阻害する、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
DANタンパク質がDAN−Fc融合タンパク質である、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
DAN−Fc融合タンパク質が配列番号10のアミノ酸21〜125の配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは免疫グロブリンのFc部分に融合しており、該ALK1−Fc融合タンパク質が1×10−6を超えるKでTGFβ−1に結合する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
DANタンパク質が、GDF5、GDF6、およびGDF7からなる群から選択される1つまたは複数のALK1リガンドに結合する、請求項77に記載の方法。
【請求項93】
DANタンパク質が、配列番号10のアミノ酸17〜180に対応するアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項94】
DANタンパク質が、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で配列番号11のヌクレオチド153〜467または同一のコード配列を有する配列番号11のヌクレオチド153〜467の変異体とハイブリッド形成する核酸によってコードされるアミノ酸を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項95】
薬剤を静脈内送達する、請求項77に記載の方法。
【請求項96】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項97】
血管形成を阻害する第2の薬剤を投与する工程をさらに含む、請求項77に記載の方法。
【請求項98】
腫瘍が骨に関連する、請求項77に記載の方法。
【請求項99】
腫瘍が骨髄腫または骨に転移した腫瘍である、請求項77に記載の方法。
【請求項100】
腫瘍が抗VEGF療法に耐性を示す、請求項77に記載の方法。
【請求項101】
(a)ALK1 ECDタンパク質;
(b)ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;
(c)配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;および
(d)DANポリペプチド
からなる群から選択される薬剤を含む眼科薬学的処方物。
【請求項102】
眼科疾患に関連する血管形成を治療する方法であって、
(a)ALK1 ECDタンパク質;
(b)ALK1リガンドに結合してALK1リガンドのALK1への結合を阻害する抗体であって、該ALK1リガンドがGDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される抗体;
(c)配列番号1のアミノ酸22〜118からなるALK1ポリペプチドに結合し、GDF5、GDF6、GDF7、BMP9、およびBMP10からなる群から選択される少なくとも1つのALK1リガンドの結合を阻害する抗体;および
(d)DANポリペプチド
からなる群から選択される有効量の薬剤を含む薬学的処方物を全身または眼に投与する工程を含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−508816(P2010−508816A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535341(P2009−535341)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/023217
【国際公開番号】WO2008/057461
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509125475)アクセルロン ファーマ, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】