AM−OLEDにおける中間階調表現法
本発明は、ディスプレイの各セルがいくつかの薄膜トランジスタ(TFT)の組を介して制御されるアクティブマトリクス式のOLED(有機発光ディスプレイ)における中間階調表現法に関する。低い中間階調レベルを表示するとき、および/または動画を表示するときのAM-OLEDにおける中間階調表現を改善するため、各フレームを複数のサブフレームに分割することが提案される。ここで、AM-OLEDのセルに加えられるデータ信号の振幅はCRTディスプレイの視覚的応答に一致するよう適応されることができる。本発明によれば、画像を表示するために使われるビデオフレームはN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、セルに加えられる前記データ信号はそれぞれあるサブフレームの間セルに加えられるN個の独立な基本データ信号からなっている。当該ビデオフレームの間に当該セルによって表示される中間階調レベルは前記基本データ信号の振幅およびサブフレームの継続時間に依存する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの各セルがいくつかの薄膜トランジスタ(TFT)の組を介して制御されるアクティブマトリクス式のOLED(有機発光ディスプレイ)における中間階調表現法に関する。本方法は、これに限るものではないが、より詳細にはビデオ用途のために開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクスOLEDすなわちAM-OLEDの構造はよく知られている。それは:
・各セルについてOLED材料に接続されたコンデンサとともにいくつかのTFTの組を含んでいるアクティブマトリクスを有しており、ここでコンデンサはビデオフレームのある部分の間ある値を保存するメモリ素子としてはたらき、この値は次のビデオフレームまたは当該ビデオフレームの次の部分の間に当該セルによって表示されるべきビデオ情報を表すものであり、TFTは当該セルの選択、コンデンサ中でのデータの記憶および記憶されたデータに対応するビデオ情報の当該セルによる表示を可能にするスイッチとしてはたらくものであり、
AM-OLEDはさらに、
・内容をリフレッシュするためにマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバまたはゲートドライバと、
・現在選択されている行の各セルに保存されるべきデータを届ける、各セルのためのビデオ情報を受け取る要素である列ドライバまたはソースドライバと、
・必要とされるビデオおよび信号処理ステップを適用し、必要とされる制御信号を行ドライバおよび列ドライバに届けるデジタル処理ユニット、
とを有する。
【0003】
実はOLEDセルを駆動するには2つの方法がある。第一の方法では、デジタル処理ユニットによって送られた各デジタルビデオ情報は列ドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電流に変換され、この電流がマトリクスの適切なセルに与えられる。第二の方法では、デジタル処理ユニットによって送られたデジタルビデオ情報は列ドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電圧に変換される。この電流または電圧がマトリクスの適切なセルに与えられる。
【0004】
上記から、行ドライバの機能が、1行ずつの選択を適用することだけという、ごく単純なものであることがうかがえる。シフトレジスタだといえなくもない。列ドライバが実際の能動的な役割を表しており、高レベルのデジタル‐アナログ変換器と見なすことができる。そのような構造のAM-OLEDによるビデオ情報の表示は次のとおりである。入力信号はデジタル処理ユニットに転送され、該デジタル処理ユニットは内部処理ののち、列ドライバに送られるデータと同期して、行選択のためのタイミング信号を行ドライバに届ける。列ドライバに伝送されるデータはパラレルまたはシリアルである。さらに、列ドライバは別個の基準信号伝達デバイスによって届けられる基準信号伝達の処理をする。この要素は、電圧駆動の場合には基準電圧の組を、電流駆動回路の場合には基準電流の組を届ける。最高の基準は白のために使われ、最低の基準は最低の中間階調のために使われる。次いで、列ドライバはマトリクスのセルに、そのセルによって表示されるべきデータに対応する電圧または電流の振幅を加える。
【0005】
セルについて選ばれている駆動概念(電流駆動か電圧駆動か)とは関係なく、中間階調レベルは1フレームの間に当該セルのコンデンサにアナログ値を保存することによって定義される。当該セルは、次のフレームとともにやってくる次のリフレッシュまで、この値を保持する。その場合、ビデオ情報は完全にアナログの仕方で表現され、フレーム全体にわたって安定状態に留まる。この中間階調表現は、パルスで作動するCRTディスプレイにおけるものとは異なる。図1は、CRTおよびAM-OLEDの場合における中間階調表現を図示している。
【0006】
図1は、CRTディスプレイの場合(図1の左の部分)、選択されたピクセルが受け取るパルスは、ビームに由来し、画面の蛍光体上に光のピークを生成することを示している。その光のピークは蛍光体の残光性(persistence)に依存して急速に減少する。新しいピークが1フレーム後(たとえば、50Hzについては20ms後、60Hzについては16.67ms後)に発生する。この例では、フレームNの間はレベルL1が表示され、フレームN+1の間はより低いレベルL2が表示されている。AM-OLEDの場合には(図1の右の部分)、現在のピクセルの輝度はフレーム期間全体を通じて一定である。ピクセルの値は各フレームの最初に更新される。ここでもビデオレベルL1およびL2がフレームNおよびN+1の間に表示されている。図中、斜線で示されている、レベルL1およびL2についての照明面積は、使われる電力管理システムが同一であれば、CRTデバイスとAM-OLEDデバイスとの間で等しい。すべての振幅はアナログ的に制御される。
【0007】
AM-OLEDにおける中間階調表現には、現在、いくつかの欠点がある。その一つは、低い中間階調レベル表現の表現である。図2は、2つの極端な中間レベルの8ビットAM-OLED上での表示を示している。この図は、データ信号C1を使って発生させられる最低中間階調レベルとデータ信号C255を使って発生させられる最高中間階調レベル(白を表示するための)との差を示している。データ信号C1がC255よりもずっと低くなければならないことは明らかである。C1は通常、C255の255分の1となるべきである。よって、C1は非常に低い。ところが、そのような小さな値の保存は、系の慣性のため困難なことがある。さらに、この値を設定する際の誤り(ドリフト…)は、最高レベルについてよりも、最低レベルの場合に最終的なレベルに対する影響がずっと大きいだろう。
【0008】
AM-OLEDのもう一つの欠点は、動画を表示するときに現れる。この欠点は、人間の目の視運動性眼振と呼ばれる反射機構に起因する。この機構は、場面中で動いている対象を追跡し、網膜上に静止した像を保持するよう目を駆動する。映画のフィルムは、連続的に動いているという視覚的な印象を生成する一連の離散的な静止映像である。視覚上のファイ現象と呼ばれる見かけの動きは刺激(ここでは映像)の持続性に依存する。図3は、黒い背景上を動く白い円板を表示する場合の目の動きを図解している。円板はフレームNからフレームN+1にかけて左のほうに移動する。脳は円板の動きを連続的な左に向かう動きであると識別して、連続的な動きの視覚的な知覚を生成する。AM-OLEDにおける動き表現は、CRTディスプレイと違ってこの現象と衝突する。図3のフレームNおよびN+1を表示する場合について、CRTおよびAM-OLEDで知覚される動きが図4に図解されている。CRTディスプレイの場合、パルス表示は視覚上のファイ現象に非常によく適合する。実際、脳はCRT情報を連続的な動きと識別するのに何の問題もない。ところが、AM-OLED映像表現の場合には、対象はフレーム全体の間静止状態に留まっていてから次のフレームで新しい位置にジャンプするように見える。そのような動きを脳が解釈するのは非常に困難で、その結果映像がぼやけたり映像が振動(ジャダー[judder])したりすることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
低い中間階調レベルを表示するとき、および/または動いている映像を表示するときのAM-OLEDにおける中間階調表現を改良するための方法および装置を開示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの問題を解決するため、各フレームを複数のサブフレームに分割することが提案される。ここで、信号の振幅はCRTディスプレイの視覚的応答に一致するよう適応されることができる。
【0011】
本発明は、複数のセルを有し、ビデオフレームの間に画像のピクセルの中間階調レベルを表示するために各セルにデータ信号が加えられるアクティブマトリクス有機発光ディスプレイにおいて画像を表示する方法であって、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、セルへの前記データ信号がそれぞれあるサブフレームの間にセルに加えられるN個の独立な基本データ信号からなっており、当該ビデオフレームの間に当該セルによって表示される中間階調レベルが前記基本データ信号の振幅およびサブフレームの継続時間に依存し、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少することを特徴とする方法に関する。
【0012】
各基本データ信号の振幅は、発光するためにある第一の閾値より大きいか、あるいは発光を無効にするための前記第一の閾値よりも小さいある振幅Cblackに等しいかのいずれかである。
【0013】
各基本データ信号の振幅はさらに、ある第二の閾値以下である。
【0014】
第一の実施形態では、この第二の閾値は各サブフレームについて異なり、ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少する。この第一の実施形態では、複数の基準中間階調レベルのそれぞれについて、該基準中間階調レベルを表示するために使われる諸基本データ信号の振幅で前記振幅Cblackと異なるものは、カットオフ振幅として定義されることができる。次いで可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記基本データ信号のそれぞれの振幅はある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられる。
【0015】
第二の実施形態では、前記第二の閾値はビデオフレームの各サブフレームで同じ値であり、C255に等しい。この第二の実施形態では、前記中間階調レベルを表示するために使われる基本データ信号の振幅が前記第二の閾値かCblackのいずれかに等しい中間階調レベルが、基準中間階調レベルとして定義される。可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記第二の閾値に等しい基本データ信号の少なくとも一つのものの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられる。
【0016】
有利には、本発明の方法は動き補償された画像を生成するための以下のステップをも含む:
・画像の少なくとも一つのピクセルについての動きベクトルを計算する
・各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算する
・前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理する
本発明では、あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーを、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに再分配することが可能である。
【0017】
本発明はまた、画像を表示するための装置であって、複数の有機発光セルを有するアクティブマトリクスと、前記アクティブマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバと、ビデオフレーム期間中に画像の諸ピクセルの中間階調レベルを表示するために諸セルに加えるべきデータ信号を受け取る列ドライバと、前記データ信号および前記行ドライバを制御するための制御信号を生成するデジタル処理ユニットとを有する装置にも関する。この装置の特徴は、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加するという点と、前記デジタル処理ユニットが、それぞれがN個の独立な基本データ信号からなるデータ信号を生成し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少し、前記基本データ信号のそれぞれは前記列ドライバを通じてあるサブフレーム期間中にあるセルに加えられるものであり、当該ビデオフレーム期間中に当該セルによって表示される中間階調レベルは前記基本データ信号および前記サブフレームの継続時間に依存するという点である。
【0018】
本発明の例示的な実施形態は図面に、そしてより詳細には以下の記述において示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によれば、ビデオフレームは複数のサブフレームに分割され、セルに加えられるデータ信号の振幅は可変であり、セルのデータ信号は複数の独立な基本データ信号を含み、これらの基本データ信号のそれぞれがあるサブフレーム期間中にセルに加えられる。サブフレームの数は2よりも多く、AM-OLEDにおいて使用できるリフレッシュレートに依存する。
【0020】
本明細書では、以下の記法を用いる:
CL……図2におけるような従来式の方法において中間階調レベルLを表示するためのセル(cell)のデータ信号の振幅を表す。
SFi……ビデオフレーム中のi番目のサブフレーム(subframe)を表す。
C′(SFi)……ビデオフレームのサブフレームSFiについての基本データ信号の振幅を表す。
Di……サブフレームSFiの継続時間(duration)を表す。
Cmin……それを超えればセルの動作が良好(高速書き込み、高安定性等)であると考えられるようなデータ信号の値を表す第一の閾値である。
Cblack……発光を無効にするためにセルに加えられるべき基本データ信号の振幅を表す。CblackはCminよりも低い。
【0021】
本発明の方法は図5で図解できる。この例では、もとのビデオフレームは6つのサブフレームSF1からSF6に分割される。それぞれの継続時間はD1からD6である。それぞれサブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6の期間中の中間階調レベルを表示するために、6つの独立した基本データ信号C′(SF1)、C′(SF2)、C′(SF3)、C′(SF4)、C′(SF5)、C′(SF6)が使われる。
【0022】
各サブフレームについていくつかのパラメータを定義する必要がある。
・値Cmax(SFi)と呼ばれる第二の閾値。これはサブフレームSFi期間中の最大データ値を表す。
・サブフレームSFiの継続時間Di。i∈[1,
..., 6]
本発明においては、各基本データ信号C′(SFi)の振幅はCblackであるか、Cminより高いかのいずれかである。さらに、PDP技術について知られているような動きの人工効果を避けるためにはC′(SFi+1)
≦C′(SFi)である。
【0023】
サブフレームSFiの継続時間Diは以下の条件を満たすように定義される:
・D1×Cmin<C1×T ここで、Tはビデオフレーム継続時間を表す。この条件は、最低中間階調レベルが閾値Cminより高いデータ信号で表現できることを保証する。表面C1×Tは最低中間階調レベルを表しており、C′(SF1)>Cminとして D1×C′(SF1)=C1×Tとなるような新しいC′(SF1)を見出すことが可能である。
・i>1のすべてのDiについてDi>Di-1かつDi×Cmin<Di-1×Cmax(SFi-1) この条件は、常にサブフレームを追加することによって中間階調表現における連続性を有することが可能であることを保証する。
【0024】
本発明について2つの主要な実施形態により説明する。第一の実施形態ではCmax(SFi)がビデオフレーム中でサブフレームから次のサブフレームに向けて減少し、ビデオフレームの最初のサブフレームについての値CmaxがC255より高い。第二の実施形態では、Cmax(SFi)はすべてのサブフレームについて同じ値であり、図2の値C255に等しい。
【0025】
図6の表が両実施形態を表している。第一の実施形態の詳細は表の左欄に、第二の実施形態の詳細は表の右欄に記載されている。この表は両実施形態において中間階調レベル1, 5, 20, 120, 255を表示するためにセルに加えられるべき諸基本データ信号の振幅を示している。
【0026】
第一の実施形態では、第二の閾値Cmax(SFi)は、ΣCmax(SFi)・Di=C255・ΣDi(和はi=1から6についてとる)となるように定義される。第二の実施形態では、Cmax(SFi)は6つのサブフレームについて同じ値であり、C255に等しい。
【0027】
両実施形態において、中間階調レベル1, 5, 20, 120, 255を表示するための振幅C′(SFi) i∈[1,...,6]は次のようなものである:
・レベル1については、
C′(SF1)>Cmin i∈[2,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル5については、
C′(SF1)>Cmin i∈[2,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル20については、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>Cmin i∈[4,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル120については、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>C′(SF4)>C′(SF5)>C′(SF6)>Cmin
・レベル255については、第一の実施形態では、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>C′(SF4)>C′(SF5)>C′(SF6)>Cmin、
第二の実施形態ではi∈[1,...,6]についてC′(SFi)=C255
PDP技術について知られている動きの人工効果を避けるため、第一の実施形態の場合のようにC′(SFi+1)がC′(SFi)よりも低いことが好ましい。結果として、第一の実施形態における発光は図1で呈示されたような陰極線管(CRT)の場合と同様になるのに対し、第二の実施形態では発光は中間階調レベルの最初の半分(低レベルから中レベル)についてのみCRTと同様になる。
【0028】
低レベル表現に関しては、両実施形態は等価である。最初の基本データ信号がビデオフレーム全体にわたってセルに加えられるわけではないので、それは閾値Cminより高くてもよい。それに、両実施形態は低レベルから中程度の中間階調までの表現については同一である。
【0029】
動き表現に関しては、第一の実施形態は従来式の諸方法よりもよい動き表現を提供する。これは、ビデオフレームの最後の諸サブフレームについての第二の閾値がC255より小さいからである。この動き表現はあらゆる中間階調レベルについてより優れている。第二の実施形態については、動き表現は低レベルから中レベルまでについて改善されるのみである。
【0030】
こうしてみると、第一の実施形態のほうが、低レベル表現および動き表現を改善するためにより適応されているように見える。しかし、第一のサブフレームのために使われる最大データ信号振幅Cmaxは通例のC255よりもずっと高いので、セル寿命に影響を与える可能性がある。よって、両実施形態のうちの一つを選択するためには、この因子も考慮に入れなければならない。
【0031】
本発明は、中間階調レベルの分解能が増すというもう一つの利点も呈する。実際、セルに加えられるべき基本データ信号のアナログ振幅は列ドライバによって定義される。列ドライバが6ビットドライバであれば、各基本データ信号の振幅は6ビットである。6つの基本データ信号が使われるので、結果として得られるデータ信号の分解能は6ビットより高くなる。
【0032】
所与の中間階調レベルを表示するための改良された実施形態では、可能な中間階調レベルの範囲において、より低かった以前の中間階調レベルを表示するために使われた基本データ信号の一つの振幅を下げることが可能である。Cblackでないあらゆる基本データ信号振幅がCminより大きいことを確実にするためである。この改良の背後にある主要な発想は、新しいサブフレームが使われるとき、新しい0でない基本データ信号の振幅が必ずCminより大きくなるよう、以前のサブフレームの元の値をしかるべく減らすべきであるということである。
【0033】
図7がこの改良を第一の実施形態について図解している。最初の低レベルを表示するための基本データ信号の振幅は次のとおりである:
C′(SF1)=A>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
最初のさらなる中間階調レベルについては、C′(SF1)の値は増加し、その一方i>1のすべてのiについてはC′(SFi)=Cblackが保たれる。たとえば10または19といったいくつかの基準中間階調レベルについては、Cblackでない基本データ信号振幅がカットオフ振幅と考えられる。それらはサブフレームSFiおよび基準中間階調レベルLについてC′cut(SFi,L)と記される。たとえば、中間階調レベル10を表示するためには次のようになっている:
C′(SF1)=C′cut(SF1,10)
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
中間階調レベル11を表示するためには、次の基本データ信号C′(SF2)の振幅がCminより大きくなるようにするため、振幅C′(SF1)が下げられる。好ましくは、振幅C′(SF1)は、Δ×D1=Cmin×D2となるようなある量Δだけ下げられる。
【0034】
C′(SF1)=C′cut(SF1,10)−Δ=C′cut(SF1,10)−(Cmin×D2)/D1
C′(SF2)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
同様にして、中間階調レベル19を表示するためには次のようになっている:
C′(SF1)=C′cut(SF1,19)
C′(SF2)=C′cut(SF2,19)
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
中間階調レベル20を表示するためには、次の基本データ信号C′(SF3)がCminより大きくなるようにするため、振幅C′(SF1)およびC′(SF2)がそれぞれ、Δ′×D1+Δ″×D2=Cmin×D3となるようなΔ′およびΔ″だけ下げられる。
【0035】
C′(SF1)=C′cut(SF1,19)−Δ′
C′(SF2)=C′cut(SF2,19)−Δ″
C′(SF3)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>3のすべてのiについて
【0036】
図8は第二の実施形態についてこの改良を図解している。最初の低レベルを表示するためには、第一の実施形態と同様に:
C′(SF1)=A>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
最初のさらなる中間階調レベルについては、C′(SF1)の値は増加し、その一方i>1のすべてのiについてはC′(SFi)=Cblackが保たれる。中間階調レベルLを表示するための基本データ信号C (SFi)の振幅がC255に達している場合には、レベルL+1を表示するためにはこの基本データ信号の振幅が下げられる。好ましくはΔ×Di=Cmin×Di+1となるようなある量Δだけ下げられる。
【0037】
このことは図8ではレベル14, 15, 25, 26について示されている。レベル13については、C′(SF1)=C255およびi>1のすべてのiについてC′(SFi)=Cblackである。レベル14については、次のようになる
C′(SF1)=C255−Δ=C255−(Cmin×D2)/D1
C′(SF2)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
同様にして、中間階調レベル25を表示するためにはC′(SF1)=C′(SF2)=C255およびi>2のすべてのiについてC′(SFi)=Cblackである。レベル26については、次のようになる
C′(SF1)=C255
C′(SF2)=C255−Δ′=C255−(Cmin×D3)/D2
C′(SF3)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>3のすべてのiについて
【0038】
本発明の方法は、動き補償された画像を生成するために動き推定を使うときに有利に使用できる。動き推定器は映像の各ピクセルについて動きベクトルを生成する。このベクトルがあるフレームから次のフレームにかけてのそのピクセルの動きを表す。この動き情報に基づいて、画像の各サブフレームおよび各ピクセルについてシフト値を計算することができる。次いで、動き補償された画像を生成するためにこれらのシフト値に基づいて諸セルのデータ信号が処理されうる。PDPで使われる駆動方法とは対照的に、サブフレームについての基本データ信号のアナログ値は、前記サブフレームについてのピクセルの変位がAM-OLEDのセルの位置と一致していない場合でも調整できる。ピクセルの真の変位を知ることにより、前記サブフレームの基本データ信号の新しいアナログ値をその時間的位置に依存して補間することができる。
【0039】
この改良は図9および図10によって図解されている。図9は11枚のサブフレームを有するビデオフレームNの期間中のあるピクセルの、動きベクトルVに従った種々の位置を示している。各サブフレームの基本データ信号の振幅はアナログなので、このサブフレームの時間的位置に対応するよりよい画像を得るためにその値を修正することが可能である。たとえば、図10によって示されるように、第7サブフレームについてのピクセルPのエネルギーはAM-OLEDの4つのセル上に分配される。本発明によれば、4つのセルのそれぞれに、ピクセルのエネルギーのうちから当該セルを再被覆するピクセルの面積に比例する部分を分配することによって、補間をアナログ的な仕方で行うことができる。
【0040】
図10では、ピクセルPの位置はAM-OLEDのセルCの位置と厳密には一致していない。網掛けの領域はピクセルPのうちセルCに一致する領域を表している。この領域はピクセル領域のx%に等しい。よって、良好な補間のためには、ピクセルPのエネルギーのx%がセルCに移され、残りは抑えられるか、他の3つのセルに分配されるかする。
【0041】
本発明の原理はビデオまたはPC用途に適用可能である。PC用途については、メインフレーム中にサブフレームを2つのみ使用することが可能である。すなわち、図11に示すような、短い継続時間をもつ第一のサブフレームと、より長い継続時間を有する第二のサブフレームである。これ以上のサブフレームは必要ない。動いているシーケンスがなく、これら2つのサブフレームで低レベル表現を改善するには十分だからである。
【0042】
本発明の方法を実装するためには種々の装置を使うことができる。図12は第一の装置を示している。これはAM-OLED10と、内容をリフレッシュするためにAM-OLED10のセルを1行ずつ選択する行ドライバ11と、AM-OLEDの各セルのためのビデオ情報を受け取り、該ビデオ情報を表すデータを前記セルに保存されるよう届ける列ドライバ12と、適切なデータ信号を行ドライバ11に、ビデオ情報を列ドライバ12に届けるデジタル処理ユニット13、とを有する。
【0043】
デジタル処理ユニット13においては、ビデオ情報は標準的なOLED処理ブロック20に通常通りに転送される。このブロックの出力データは次いでサブフレーム・トランスコード表21に転送される。この表は各ピクセルについてn個の出力データを与える。nはサブフレームの数で、各サブフレームについて一つの出力データである。各ピクセルについてのn個の出力データは次いでサブフレーム・メモリ22の種々の位置に保存される。サブフレーム・メモリ22とは、各サブフレームに割り当てられている、メモリ中の特定の領域である。サブフレーム・メモリ22は2つの画像についてのサブフレームデータを保存することができる。一方の画像のデータが読まれている間に他方の画像のデータを書き込むことができる。データはサブフレームごとに読まれ、標準的なOLED駆動ユニット23に伝送される。
【0044】
OLED駆動ユニット23は、サブフレームごとに行ドライバ11および列ドライバ12を駆動することを受け持っている。OLED駆動ユニット23はまた、サブフレームの継続時間Diを制御する。
【0045】
画像が複数のサブフレームで表示されるビデオ表示モードと、画像が単一のサブフレーム(通常通り)または低レベル表現を改良するために2つのサブフレームで表示されるPC表示モードとを選択するために、コントローラ24を使ってもよい。コントローラ24はOLED処理ブロック20、サブフレーム・トランスコード表21およびOLED駆動ユニット23に接続される。
【0046】
図13は動き推定を用いた別の実施形態を示している。デジタル処理ユニット13は同じ諸ブロックを有しているが、ただOLED処理ユニット20の前に動き推定器25が加わり、サブフレーム補間ブロック26がサブフレーム・トランスコード表21とサブフレーム・メモリ22との間に挿入されている。入力信号は動き推定器25に転送される。動き推定器25は現在の画像のピクセルごと、またはピクセル群ごとに動きベクトルを計算する。次いで、入力信号はさらにOLED処理20およびサブフレーム・トランスコード表21に先に説明したように送られる。動きベクトルはサブフレーム補間ブロック26に送られる。動きベクトルは、サブフレーム・トランスコード表21からくる以前のサブフレームと一緒に、新しいサブフレームを生成するために使われる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】CRTおよびAM-OLEDの場合におけるフレーム期間中の照明を示す図である。
【図2】2つの極端な中間階調レベルを古典的な方法で表示するためのAM-OLEDのセルに加えられるデータ信号を示す図である。
【図3】一連の画像においてオブジェクトが動く場合の目の動きを示す図である。
【図4】CRTおよびAM-OLEDの場合における図3の動くオブジェクトの知覚される動きを示す図である。
【図5】本発明の方法を一般的な仕方で示す図である。
【図6】本発明の2つの実施形態に基づく、種々の中間階調レベルを表示するためにセルに加えられる基本データ信号を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施形態に基づく、いくつかの特定の中間階調レベルの表示を示す図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に基づく、いくつかの特定の中間階調レベルの表示を示す図である。
【図9】2つのフレームの間の動きベクトルに基づいて動くピクセルの各サブフレーム期間中の位置を示す図である。
【図10】ビデオフレームの第7のサブフレーム期間における図9のピクセルの位置を示す図である。
【図11】PC用途の場合における本発明のある実施形態を示す図である。
【図12】本発明の方法が実装される第一の装置を示す図である。
【図13】本発明の方法が実装される第二の装置を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 パネル
20 標準的なOLED処理
21 サブフレーム・トランスコード
22 サブフレーム・メモリ
23 標準的なOLED駆動
24 コントローラ(PC/ビデオ)
25 動き推定器
26 サブフレーム補間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの各セルがいくつかの薄膜トランジスタ(TFT)の組を介して制御されるアクティブマトリクス式のOLED(有機発光ディスプレイ)における中間階調表現法に関する。本方法は、これに限るものではないが、より詳細にはビデオ用途のために開発されたものである。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクスOLEDすなわちAM-OLEDの構造はよく知られている。それは:
・各セルについてOLED材料に接続されたコンデンサとともにいくつかのTFTの組を含んでいるアクティブマトリクスを有しており、ここでコンデンサはビデオフレームのある部分の間ある値を保存するメモリ素子としてはたらき、この値は次のビデオフレームまたは当該ビデオフレームの次の部分の間に当該セルによって表示されるべきビデオ情報を表すものであり、TFTは当該セルの選択、コンデンサ中でのデータの記憶および記憶されたデータに対応するビデオ情報の当該セルによる表示を可能にするスイッチとしてはたらくものであり、
AM-OLEDはさらに、
・内容をリフレッシュするためにマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバまたはゲートドライバと、
・現在選択されている行の各セルに保存されるべきデータを届ける、各セルのためのビデオ情報を受け取る要素である列ドライバまたはソースドライバと、
・必要とされるビデオおよび信号処理ステップを適用し、必要とされる制御信号を行ドライバおよび列ドライバに届けるデジタル処理ユニット、
とを有する。
【0003】
実はOLEDセルを駆動するには2つの方法がある。第一の方法では、デジタル処理ユニットによって送られた各デジタルビデオ情報は列ドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電流に変換され、この電流がマトリクスの適切なセルに与えられる。第二の方法では、デジタル処理ユニットによって送られたデジタルビデオ情報は列ドライバによって振幅がビデオ情報に比例する電圧に変換される。この電流または電圧がマトリクスの適切なセルに与えられる。
【0004】
上記から、行ドライバの機能が、1行ずつの選択を適用することだけという、ごく単純なものであることがうかがえる。シフトレジスタだといえなくもない。列ドライバが実際の能動的な役割を表しており、高レベルのデジタル‐アナログ変換器と見なすことができる。そのような構造のAM-OLEDによるビデオ情報の表示は次のとおりである。入力信号はデジタル処理ユニットに転送され、該デジタル処理ユニットは内部処理ののち、列ドライバに送られるデータと同期して、行選択のためのタイミング信号を行ドライバに届ける。列ドライバに伝送されるデータはパラレルまたはシリアルである。さらに、列ドライバは別個の基準信号伝達デバイスによって届けられる基準信号伝達の処理をする。この要素は、電圧駆動の場合には基準電圧の組を、電流駆動回路の場合には基準電流の組を届ける。最高の基準は白のために使われ、最低の基準は最低の中間階調のために使われる。次いで、列ドライバはマトリクスのセルに、そのセルによって表示されるべきデータに対応する電圧または電流の振幅を加える。
【0005】
セルについて選ばれている駆動概念(電流駆動か電圧駆動か)とは関係なく、中間階調レベルは1フレームの間に当該セルのコンデンサにアナログ値を保存することによって定義される。当該セルは、次のフレームとともにやってくる次のリフレッシュまで、この値を保持する。その場合、ビデオ情報は完全にアナログの仕方で表現され、フレーム全体にわたって安定状態に留まる。この中間階調表現は、パルスで作動するCRTディスプレイにおけるものとは異なる。図1は、CRTおよびAM-OLEDの場合における中間階調表現を図示している。
【0006】
図1は、CRTディスプレイの場合(図1の左の部分)、選択されたピクセルが受け取るパルスは、ビームに由来し、画面の蛍光体上に光のピークを生成することを示している。その光のピークは蛍光体の残光性(persistence)に依存して急速に減少する。新しいピークが1フレーム後(たとえば、50Hzについては20ms後、60Hzについては16.67ms後)に発生する。この例では、フレームNの間はレベルL1が表示され、フレームN+1の間はより低いレベルL2が表示されている。AM-OLEDの場合には(図1の右の部分)、現在のピクセルの輝度はフレーム期間全体を通じて一定である。ピクセルの値は各フレームの最初に更新される。ここでもビデオレベルL1およびL2がフレームNおよびN+1の間に表示されている。図中、斜線で示されている、レベルL1およびL2についての照明面積は、使われる電力管理システムが同一であれば、CRTデバイスとAM-OLEDデバイスとの間で等しい。すべての振幅はアナログ的に制御される。
【0007】
AM-OLEDにおける中間階調表現には、現在、いくつかの欠点がある。その一つは、低い中間階調レベル表現の表現である。図2は、2つの極端な中間レベルの8ビットAM-OLED上での表示を示している。この図は、データ信号C1を使って発生させられる最低中間階調レベルとデータ信号C255を使って発生させられる最高中間階調レベル(白を表示するための)との差を示している。データ信号C1がC255よりもずっと低くなければならないことは明らかである。C1は通常、C255の255分の1となるべきである。よって、C1は非常に低い。ところが、そのような小さな値の保存は、系の慣性のため困難なことがある。さらに、この値を設定する際の誤り(ドリフト…)は、最高レベルについてよりも、最低レベルの場合に最終的なレベルに対する影響がずっと大きいだろう。
【0008】
AM-OLEDのもう一つの欠点は、動画を表示するときに現れる。この欠点は、人間の目の視運動性眼振と呼ばれる反射機構に起因する。この機構は、場面中で動いている対象を追跡し、網膜上に静止した像を保持するよう目を駆動する。映画のフィルムは、連続的に動いているという視覚的な印象を生成する一連の離散的な静止映像である。視覚上のファイ現象と呼ばれる見かけの動きは刺激(ここでは映像)の持続性に依存する。図3は、黒い背景上を動く白い円板を表示する場合の目の動きを図解している。円板はフレームNからフレームN+1にかけて左のほうに移動する。脳は円板の動きを連続的な左に向かう動きであると識別して、連続的な動きの視覚的な知覚を生成する。AM-OLEDにおける動き表現は、CRTディスプレイと違ってこの現象と衝突する。図3のフレームNおよびN+1を表示する場合について、CRTおよびAM-OLEDで知覚される動きが図4に図解されている。CRTディスプレイの場合、パルス表示は視覚上のファイ現象に非常によく適合する。実際、脳はCRT情報を連続的な動きと識別するのに何の問題もない。ところが、AM-OLED映像表現の場合には、対象はフレーム全体の間静止状態に留まっていてから次のフレームで新しい位置にジャンプするように見える。そのような動きを脳が解釈するのは非常に困難で、その結果映像がぼやけたり映像が振動(ジャダー[judder])したりすることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
低い中間階調レベルを表示するとき、および/または動いている映像を表示するときのAM-OLEDにおける中間階調表現を改良するための方法および装置を開示することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの問題を解決するため、各フレームを複数のサブフレームに分割することが提案される。ここで、信号の振幅はCRTディスプレイの視覚的応答に一致するよう適応されることができる。
【0011】
本発明は、複数のセルを有し、ビデオフレームの間に画像のピクセルの中間階調レベルを表示するために各セルにデータ信号が加えられるアクティブマトリクス有機発光ディスプレイにおいて画像を表示する方法であって、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、セルへの前記データ信号がそれぞれあるサブフレームの間にセルに加えられるN個の独立な基本データ信号からなっており、当該ビデオフレームの間に当該セルによって表示される中間階調レベルが前記基本データ信号の振幅およびサブフレームの継続時間に依存し、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少することを特徴とする方法に関する。
【0012】
各基本データ信号の振幅は、発光するためにある第一の閾値より大きいか、あるいは発光を無効にするための前記第一の閾値よりも小さいある振幅Cblackに等しいかのいずれかである。
【0013】
各基本データ信号の振幅はさらに、ある第二の閾値以下である。
【0014】
第一の実施形態では、この第二の閾値は各サブフレームについて異なり、ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少する。この第一の実施形態では、複数の基準中間階調レベルのそれぞれについて、該基準中間階調レベルを表示するために使われる諸基本データ信号の振幅で前記振幅Cblackと異なるものは、カットオフ振幅として定義されることができる。次いで可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記基本データ信号のそれぞれの振幅はある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられる。
【0015】
第二の実施形態では、前記第二の閾値はビデオフレームの各サブフレームで同じ値であり、C255に等しい。この第二の実施形態では、前記中間階調レベルを表示するために使われる基本データ信号の振幅が前記第二の閾値かCblackのいずれかに等しい中間階調レベルが、基準中間階調レベルとして定義される。可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記第二の閾値に等しい基本データ信号の少なくとも一つのものの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられる。
【0016】
有利には、本発明の方法は動き補償された画像を生成するための以下のステップをも含む:
・画像の少なくとも一つのピクセルについての動きベクトルを計算する
・各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算する
・前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理する
本発明では、あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーを、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに再分配することが可能である。
【0017】
本発明はまた、画像を表示するための装置であって、複数の有機発光セルを有するアクティブマトリクスと、前記アクティブマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバと、ビデオフレーム期間中に画像の諸ピクセルの中間階調レベルを表示するために諸セルに加えるべきデータ信号を受け取る列ドライバと、前記データ信号および前記行ドライバを制御するための制御信号を生成するデジタル処理ユニットとを有する装置にも関する。この装置の特徴は、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加するという点と、前記デジタル処理ユニットが、それぞれがN個の独立な基本データ信号からなるデータ信号を生成し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少し、前記基本データ信号のそれぞれは前記列ドライバを通じてあるサブフレーム期間中にあるセルに加えられるものであり、当該ビデオフレーム期間中に当該セルによって表示される中間階調レベルは前記基本データ信号および前記サブフレームの継続時間に依存するという点である。
【0018】
本発明の例示的な実施形態は図面に、そしてより詳細には以下の記述において示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によれば、ビデオフレームは複数のサブフレームに分割され、セルに加えられるデータ信号の振幅は可変であり、セルのデータ信号は複数の独立な基本データ信号を含み、これらの基本データ信号のそれぞれがあるサブフレーム期間中にセルに加えられる。サブフレームの数は2よりも多く、AM-OLEDにおいて使用できるリフレッシュレートに依存する。
【0020】
本明細書では、以下の記法を用いる:
CL……図2におけるような従来式の方法において中間階調レベルLを表示するためのセル(cell)のデータ信号の振幅を表す。
SFi……ビデオフレーム中のi番目のサブフレーム(subframe)を表す。
C′(SFi)……ビデオフレームのサブフレームSFiについての基本データ信号の振幅を表す。
Di……サブフレームSFiの継続時間(duration)を表す。
Cmin……それを超えればセルの動作が良好(高速書き込み、高安定性等)であると考えられるようなデータ信号の値を表す第一の閾値である。
Cblack……発光を無効にするためにセルに加えられるべき基本データ信号の振幅を表す。CblackはCminよりも低い。
【0021】
本発明の方法は図5で図解できる。この例では、もとのビデオフレームは6つのサブフレームSF1からSF6に分割される。それぞれの継続時間はD1からD6である。それぞれサブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6の期間中の中間階調レベルを表示するために、6つの独立した基本データ信号C′(SF1)、C′(SF2)、C′(SF3)、C′(SF4)、C′(SF5)、C′(SF6)が使われる。
【0022】
各サブフレームについていくつかのパラメータを定義する必要がある。
・値Cmax(SFi)と呼ばれる第二の閾値。これはサブフレームSFi期間中の最大データ値を表す。
・サブフレームSFiの継続時間Di。i∈[1,
..., 6]
本発明においては、各基本データ信号C′(SFi)の振幅はCblackであるか、Cminより高いかのいずれかである。さらに、PDP技術について知られているような動きの人工効果を避けるためにはC′(SFi+1)
≦C′(SFi)である。
【0023】
サブフレームSFiの継続時間Diは以下の条件を満たすように定義される:
・D1×Cmin<C1×T ここで、Tはビデオフレーム継続時間を表す。この条件は、最低中間階調レベルが閾値Cminより高いデータ信号で表現できることを保証する。表面C1×Tは最低中間階調レベルを表しており、C′(SF1)>Cminとして D1×C′(SF1)=C1×Tとなるような新しいC′(SF1)を見出すことが可能である。
・i>1のすべてのDiについてDi>Di-1かつDi×Cmin<Di-1×Cmax(SFi-1) この条件は、常にサブフレームを追加することによって中間階調表現における連続性を有することが可能であることを保証する。
【0024】
本発明について2つの主要な実施形態により説明する。第一の実施形態ではCmax(SFi)がビデオフレーム中でサブフレームから次のサブフレームに向けて減少し、ビデオフレームの最初のサブフレームについての値CmaxがC255より高い。第二の実施形態では、Cmax(SFi)はすべてのサブフレームについて同じ値であり、図2の値C255に等しい。
【0025】
図6の表が両実施形態を表している。第一の実施形態の詳細は表の左欄に、第二の実施形態の詳細は表の右欄に記載されている。この表は両実施形態において中間階調レベル1, 5, 20, 120, 255を表示するためにセルに加えられるべき諸基本データ信号の振幅を示している。
【0026】
第一の実施形態では、第二の閾値Cmax(SFi)は、ΣCmax(SFi)・Di=C255・ΣDi(和はi=1から6についてとる)となるように定義される。第二の実施形態では、Cmax(SFi)は6つのサブフレームについて同じ値であり、C255に等しい。
【0027】
両実施形態において、中間階調レベル1, 5, 20, 120, 255を表示するための振幅C′(SFi) i∈[1,...,6]は次のようなものである:
・レベル1については、
C′(SF1)>Cmin i∈[2,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル5については、
C′(SF1)>Cmin i∈[2,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル20については、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>Cmin i∈[4,...,6]についてはC′(SFi)=Cblack
・レベル120については、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>C′(SF4)>C′(SF5)>C′(SF6)>Cmin
・レベル255については、第一の実施形態では、
C′(SF1)>C′(SF2)>C′(SF3)>C′(SF4)>C′(SF5)>C′(SF6)>Cmin、
第二の実施形態ではi∈[1,...,6]についてC′(SFi)=C255
PDP技術について知られている動きの人工効果を避けるため、第一の実施形態の場合のようにC′(SFi+1)がC′(SFi)よりも低いことが好ましい。結果として、第一の実施形態における発光は図1で呈示されたような陰極線管(CRT)の場合と同様になるのに対し、第二の実施形態では発光は中間階調レベルの最初の半分(低レベルから中レベル)についてのみCRTと同様になる。
【0028】
低レベル表現に関しては、両実施形態は等価である。最初の基本データ信号がビデオフレーム全体にわたってセルに加えられるわけではないので、それは閾値Cminより高くてもよい。それに、両実施形態は低レベルから中程度の中間階調までの表現については同一である。
【0029】
動き表現に関しては、第一の実施形態は従来式の諸方法よりもよい動き表現を提供する。これは、ビデオフレームの最後の諸サブフレームについての第二の閾値がC255より小さいからである。この動き表現はあらゆる中間階調レベルについてより優れている。第二の実施形態については、動き表現は低レベルから中レベルまでについて改善されるのみである。
【0030】
こうしてみると、第一の実施形態のほうが、低レベル表現および動き表現を改善するためにより適応されているように見える。しかし、第一のサブフレームのために使われる最大データ信号振幅Cmaxは通例のC255よりもずっと高いので、セル寿命に影響を与える可能性がある。よって、両実施形態のうちの一つを選択するためには、この因子も考慮に入れなければならない。
【0031】
本発明は、中間階調レベルの分解能が増すというもう一つの利点も呈する。実際、セルに加えられるべき基本データ信号のアナログ振幅は列ドライバによって定義される。列ドライバが6ビットドライバであれば、各基本データ信号の振幅は6ビットである。6つの基本データ信号が使われるので、結果として得られるデータ信号の分解能は6ビットより高くなる。
【0032】
所与の中間階調レベルを表示するための改良された実施形態では、可能な中間階調レベルの範囲において、より低かった以前の中間階調レベルを表示するために使われた基本データ信号の一つの振幅を下げることが可能である。Cblackでないあらゆる基本データ信号振幅がCminより大きいことを確実にするためである。この改良の背後にある主要な発想は、新しいサブフレームが使われるとき、新しい0でない基本データ信号の振幅が必ずCminより大きくなるよう、以前のサブフレームの元の値をしかるべく減らすべきであるということである。
【0033】
図7がこの改良を第一の実施形態について図解している。最初の低レベルを表示するための基本データ信号の振幅は次のとおりである:
C′(SF1)=A>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
最初のさらなる中間階調レベルについては、C′(SF1)の値は増加し、その一方i>1のすべてのiについてはC′(SFi)=Cblackが保たれる。たとえば10または19といったいくつかの基準中間階調レベルについては、Cblackでない基本データ信号振幅がカットオフ振幅と考えられる。それらはサブフレームSFiおよび基準中間階調レベルLについてC′cut(SFi,L)と記される。たとえば、中間階調レベル10を表示するためには次のようになっている:
C′(SF1)=C′cut(SF1,10)
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
中間階調レベル11を表示するためには、次の基本データ信号C′(SF2)の振幅がCminより大きくなるようにするため、振幅C′(SF1)が下げられる。好ましくは、振幅C′(SF1)は、Δ×D1=Cmin×D2となるようなある量Δだけ下げられる。
【0034】
C′(SF1)=C′cut(SF1,10)−Δ=C′cut(SF1,10)−(Cmin×D2)/D1
C′(SF2)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
同様にして、中間階調レベル19を表示するためには次のようになっている:
C′(SF1)=C′cut(SF1,19)
C′(SF2)=C′cut(SF2,19)
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
中間階調レベル20を表示するためには、次の基本データ信号C′(SF3)がCminより大きくなるようにするため、振幅C′(SF1)およびC′(SF2)がそれぞれ、Δ′×D1+Δ″×D2=Cmin×D3となるようなΔ′およびΔ″だけ下げられる。
【0035】
C′(SF1)=C′cut(SF1,19)−Δ′
C′(SF2)=C′cut(SF2,19)−Δ″
C′(SF3)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>3のすべてのiについて
【0036】
図8は第二の実施形態についてこの改良を図解している。最初の低レベルを表示するためには、第一の実施形態と同様に:
C′(SF1)=A>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>1のすべてのiについて
最初のさらなる中間階調レベルについては、C′(SF1)の値は増加し、その一方i>1のすべてのiについてはC′(SFi)=Cblackが保たれる。中間階調レベルLを表示するための基本データ信号C (SFi)の振幅がC255に達している場合には、レベルL+1を表示するためにはこの基本データ信号の振幅が下げられる。好ましくはΔ×Di=Cmin×Di+1となるようなある量Δだけ下げられる。
【0037】
このことは図8ではレベル14, 15, 25, 26について示されている。レベル13については、C′(SF1)=C255およびi>1のすべてのiについてC′(SFi)=Cblackである。レベル14については、次のようになる
C′(SF1)=C255−Δ=C255−(Cmin×D2)/D1
C′(SF2)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>2のすべてのiについて
同様にして、中間階調レベル25を表示するためにはC′(SF1)=C′(SF2)=C255およびi>2のすべてのiについてC′(SFi)=Cblackである。レベル26については、次のようになる
C′(SF1)=C255
C′(SF2)=C255−Δ′=C255−(Cmin×D3)/D2
C′(SF3)>Cmin
C′(SFi)=Cblack i>3のすべてのiについて
【0038】
本発明の方法は、動き補償された画像を生成するために動き推定を使うときに有利に使用できる。動き推定器は映像の各ピクセルについて動きベクトルを生成する。このベクトルがあるフレームから次のフレームにかけてのそのピクセルの動きを表す。この動き情報に基づいて、画像の各サブフレームおよび各ピクセルについてシフト値を計算することができる。次いで、動き補償された画像を生成するためにこれらのシフト値に基づいて諸セルのデータ信号が処理されうる。PDPで使われる駆動方法とは対照的に、サブフレームについての基本データ信号のアナログ値は、前記サブフレームについてのピクセルの変位がAM-OLEDのセルの位置と一致していない場合でも調整できる。ピクセルの真の変位を知ることにより、前記サブフレームの基本データ信号の新しいアナログ値をその時間的位置に依存して補間することができる。
【0039】
この改良は図9および図10によって図解されている。図9は11枚のサブフレームを有するビデオフレームNの期間中のあるピクセルの、動きベクトルVに従った種々の位置を示している。各サブフレームの基本データ信号の振幅はアナログなので、このサブフレームの時間的位置に対応するよりよい画像を得るためにその値を修正することが可能である。たとえば、図10によって示されるように、第7サブフレームについてのピクセルPのエネルギーはAM-OLEDの4つのセル上に分配される。本発明によれば、4つのセルのそれぞれに、ピクセルのエネルギーのうちから当該セルを再被覆するピクセルの面積に比例する部分を分配することによって、補間をアナログ的な仕方で行うことができる。
【0040】
図10では、ピクセルPの位置はAM-OLEDのセルCの位置と厳密には一致していない。網掛けの領域はピクセルPのうちセルCに一致する領域を表している。この領域はピクセル領域のx%に等しい。よって、良好な補間のためには、ピクセルPのエネルギーのx%がセルCに移され、残りは抑えられるか、他の3つのセルに分配されるかする。
【0041】
本発明の原理はビデオまたはPC用途に適用可能である。PC用途については、メインフレーム中にサブフレームを2つのみ使用することが可能である。すなわち、図11に示すような、短い継続時間をもつ第一のサブフレームと、より長い継続時間を有する第二のサブフレームである。これ以上のサブフレームは必要ない。動いているシーケンスがなく、これら2つのサブフレームで低レベル表現を改善するには十分だからである。
【0042】
本発明の方法を実装するためには種々の装置を使うことができる。図12は第一の装置を示している。これはAM-OLED10と、内容をリフレッシュするためにAM-OLED10のセルを1行ずつ選択する行ドライバ11と、AM-OLEDの各セルのためのビデオ情報を受け取り、該ビデオ情報を表すデータを前記セルに保存されるよう届ける列ドライバ12と、適切なデータ信号を行ドライバ11に、ビデオ情報を列ドライバ12に届けるデジタル処理ユニット13、とを有する。
【0043】
デジタル処理ユニット13においては、ビデオ情報は標準的なOLED処理ブロック20に通常通りに転送される。このブロックの出力データは次いでサブフレーム・トランスコード表21に転送される。この表は各ピクセルについてn個の出力データを与える。nはサブフレームの数で、各サブフレームについて一つの出力データである。各ピクセルについてのn個の出力データは次いでサブフレーム・メモリ22の種々の位置に保存される。サブフレーム・メモリ22とは、各サブフレームに割り当てられている、メモリ中の特定の領域である。サブフレーム・メモリ22は2つの画像についてのサブフレームデータを保存することができる。一方の画像のデータが読まれている間に他方の画像のデータを書き込むことができる。データはサブフレームごとに読まれ、標準的なOLED駆動ユニット23に伝送される。
【0044】
OLED駆動ユニット23は、サブフレームごとに行ドライバ11および列ドライバ12を駆動することを受け持っている。OLED駆動ユニット23はまた、サブフレームの継続時間Diを制御する。
【0045】
画像が複数のサブフレームで表示されるビデオ表示モードと、画像が単一のサブフレーム(通常通り)または低レベル表現を改良するために2つのサブフレームで表示されるPC表示モードとを選択するために、コントローラ24を使ってもよい。コントローラ24はOLED処理ブロック20、サブフレーム・トランスコード表21およびOLED駆動ユニット23に接続される。
【0046】
図13は動き推定を用いた別の実施形態を示している。デジタル処理ユニット13は同じ諸ブロックを有しているが、ただOLED処理ユニット20の前に動き推定器25が加わり、サブフレーム補間ブロック26がサブフレーム・トランスコード表21とサブフレーム・メモリ22との間に挿入されている。入力信号は動き推定器25に転送される。動き推定器25は現在の画像のピクセルごと、またはピクセル群ごとに動きベクトルを計算する。次いで、入力信号はさらにOLED処理20およびサブフレーム・トランスコード表21に先に説明したように送られる。動きベクトルはサブフレーム補間ブロック26に送られる。動きベクトルは、サブフレーム・トランスコード表21からくる以前のサブフレームと一緒に、新しいサブフレームを生成するために使われる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】CRTおよびAM-OLEDの場合におけるフレーム期間中の照明を示す図である。
【図2】2つの極端な中間階調レベルを古典的な方法で表示するためのAM-OLEDのセルに加えられるデータ信号を示す図である。
【図3】一連の画像においてオブジェクトが動く場合の目の動きを示す図である。
【図4】CRTおよびAM-OLEDの場合における図3の動くオブジェクトの知覚される動きを示す図である。
【図5】本発明の方法を一般的な仕方で示す図である。
【図6】本発明の2つの実施形態に基づく、種々の中間階調レベルを表示するためにセルに加えられる基本データ信号を示す図である。
【図7】本発明の第一の実施形態に基づく、いくつかの特定の中間階調レベルの表示を示す図である。
【図8】本発明の第二の実施形態に基づく、いくつかの特定の中間階調レベルの表示を示す図である。
【図9】2つのフレームの間の動きベクトルに基づいて動くピクセルの各サブフレーム期間中の位置を示す図である。
【図10】ビデオフレームの第7のサブフレーム期間における図9のピクセルの位置を示す図である。
【図11】PC用途の場合における本発明のある実施形態を示す図である。
【図12】本発明の方法が実装される第一の装置を示す図である。
【図13】本発明の方法が実装される第二の装置を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 パネル
20 標準的なOLED処理
21 サブフレーム・トランスコード
22 サブフレーム・メモリ
23 標準的なOLED駆動
24 コントローラ(PC/ビデオ)
25 動き推定器
26 サブフレーム補間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを有し、ビデオフレームの間に画像のピクセルの中間階調レベルを表示するために各セルにデータ信号が加えられるアクティブマトリクス有機発光ディスプレイにおいて画像を表示する方法であって、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、セルへの前記データ信号がそれぞれあるサブフレームの間セルに加えられるN個の独立な基本データ信号からなっており、当該ビデオフレームの間に当該セルによって表示される中間階調レベルが前記基本データ信号の振幅およびサブフレームの継続時間に依存し、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少することを特徴とする方法。
【請求項2】
各基本データ信号の振幅が、発光するためにある第一の閾値より大きいか、あるいは発光を無効にするための前記第一の閾値よりも小さいある振幅Cblackに等しいかのいずれかであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の閾値が各サブフレームについて同じ値であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
各基本データ信号の振幅がある第二の閾値以下であることを特徴とする、請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記第二の閾値が各サブフレームについて異なっており、ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向かって減少することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
複数の基準中間階調レベルのそれぞれについて、該基準中間階調レベルを表示するために使われる諸基本データ信号の振幅で前記振幅Cblackと異なるものは、カットオフ振幅として定義され、可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するために、前記基本データ信号のそれぞれの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第二の閾値がビデオフレームの各サブフレームにおいて同じ値であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項8】
その中間階調レベルを表示するために使われる基本データ信号の振幅が前記第二の閾値かCblackのいずれかに等しい中間階調レベルが基準中間階調レベルとして定義され、可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記第二の閾値に等しい基本データ信号の少なくとも一つのものの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか一項記載の方法であって、:
・画像の少なくとも一つのピクセルについての動きベクトルを計算し、
・各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算し、
・前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理する、
ステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項10】
あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーが、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに分配されることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
・複数の有機発光セルを有するアクティブマトリクスと、
・前記アクティブマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバと、
・ビデオフレーム期間中に画像の諸ピクセルの中間階調レベルを表示するために諸セルに加えるべきデータ信号を受け取る列ドライバと、
・前記データ信号および前記行ドライバを制御するための制御信号を生成するデジタル処理ユニット、
とを有する画像を表示するための装置であって:
ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記デジタル処理ユニットが、それぞれがN個の独立な基本データ信号からなるデータ信号を生成し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少し、前記基本データ信号のそれぞれは前記列ドライバを通じてあるサブフレーム期間中にあるセルに加えられるものであり、当該ビデオフレーム期間中に当該セルによって表示される中間階調レベルは前記基本データ信号および前記サブフレームの継続時間に依存する、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置であって、画像の少なくとも一つのピクセルについて動きベクトルを計算する動き推定器をさらに有しており、
前記デジタル処理ユニットが、各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算し、前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理することができることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置であって、前記デジタル処理ユニットが、あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーを、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに分配することができることを特徴とする装置。
【請求項1】
複数のセルを有し、ビデオフレームの間に画像のピクセルの中間階調レベルを表示するために各セルにデータ信号が加えられるアクティブマトリクス有機発光ディスプレイにおいて画像を表示する方法であって、ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、セルへの前記データ信号がそれぞれあるサブフレームの間セルに加えられるN個の独立な基本データ信号からなっており、当該ビデオフレームの間に当該セルによって表示される中間階調レベルが前記基本データ信号の振幅およびサブフレームの継続時間に依存し、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少することを特徴とする方法。
【請求項2】
各基本データ信号の振幅が、発光するためにある第一の閾値より大きいか、あるいは発光を無効にするための前記第一の閾値よりも小さいある振幅Cblackに等しいかのいずれかであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第一の閾値が各サブフレームについて同じ値であることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
各基本データ信号の振幅がある第二の閾値以下であることを特徴とする、請求項1ないし3のうちいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記第二の閾値が各サブフレームについて異なっており、ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向かって減少することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
複数の基準中間階調レベルのそれぞれについて、該基準中間階調レベルを表示するために使われる諸基本データ信号の振幅で前記振幅Cblackと異なるものは、カットオフ振幅として定義され、可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するために、前記基本データ信号のそれぞれの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記第二の閾値がビデオフレームの各サブフレームにおいて同じ値であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項8】
その中間階調レベルを表示するために使われる基本データ信号の振幅が前記第二の閾値かCblackのいずれかに等しい中間階調レベルが基準中間階調レベルとして定義され、可能な中間階調レベルの範囲における前記基準中間階調レベルの一つ上の中間階調レベルを表示するためには、前記第二の閾値に等しい基本データ信号の少なくとも一つのものの振幅がある量だけ下げられ、次の最初の基本データ信号の振幅が前記第一の閾値よりもある量だけ大きくなるよう増加させられることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちいずれか一項記載の方法であって、:
・画像の少なくとも一つのピクセルについての動きベクトルを計算し、
・各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算し、
・前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理する、
ステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項10】
あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーが、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに分配されることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
・複数の有機発光セルを有するアクティブマトリクスと、
・前記アクティブマトリクスのセルを1行ずつ選択する行ドライバと、
・ビデオフレーム期間中に画像の諸ピクセルの中間階調レベルを表示するために諸セルに加えるべきデータ信号を受け取る列ドライバと、
・前記データ信号および前記行ドライバを制御するための制御信号を生成するデジタル処理ユニット、
とを有する画像を表示するための装置であって:
ビデオフレームがN≧2としてN枚の相続くサブフレームに分割され、前記サブフレームの継続時間はビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて増加し、前記デジタル処理ユニットが、それぞれがN個の独立な基本データ信号からなるデータ信号を生成し、前記基本データ信号の振幅は一つ一つの中間階調レベルについては当該ビデオフレームの最初のサブフレームから最後のサブフレームに向けて減少し、前記基本データ信号のそれぞれは前記列ドライバを通じてあるサブフレーム期間中にあるセルに加えられるものであり、当該ビデオフレーム期間中に当該セルによって表示される中間階調レベルは前記基本データ信号および前記サブフレームの継続時間に依存する、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置であって、画像の少なくとも一つのピクセルについて動きベクトルを計算する動き推定器をさらに有しており、
前記デジタル処理ユニットが、各サブフレームについて、および前記少なくとも一つのピクセルについて、該ピクセルについて計算された動きベクトルに基づいてシフト値を計算し、前記ピクセルについて計算されたシフト値に基づいて、前記少なくとも一つのピクセルを表示するために使われるセルのデータ信号を処理することができることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置であって、前記デジタル処理ユニットが、あるサブフレームの間に前記少なくとも一つのピクセルの中間階調レベルを表示するための基本データ信号のエネルギーを、前記少なくとも一つのピクセルおよび前記サブフレームについてのシフト値に基づいて、ディスプレイの諸セルに分配することができることを特徴とする装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−534992(P2007−534992A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510019(P2007−510019)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051713
【国際公開番号】WO2005/104074
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051713
【国際公開番号】WO2005/104074
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】
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