説明

APC回路、及び光ディスク再生装置

【課題】レーザダイオードの駆動開始からその発光量が目標発光量に到達するまでの時間を短縮する。
【解決手段】APC回路101は、誤差増幅回路115の出力の飽和を検出する飽和検出回路116を備える。飽和検出回路116により誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されている場合に、飽和検出回路116により誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されていない場合よりも、低域通過フィルタ117の時定数が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、APC(Auto Power Control)回路、及び当該APC回路を搭載した光ディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ディスク再生装置等において、レーザダイオードの出力を一定に保持するために用いられるAPC回路が開示されている。このAPC回路は、同文献の第1図等に示されるように、レーザダイオードが発する光を受光してその受光量に相当する電圧を出力する光検出部と、当該光検出部の出力と所定の設定電圧とを比較するオペアンプからなる誤差増幅回路と、当該誤差増幅回路の出力を入力とする一次の低域通過フィルタとを備え、上記低域通過フィルタの出力に基づいてレーザダイオードを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−043190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のように構成されたAPC回路において、上記誤差増幅回路の出力飽和電圧をVsat1、低域通過フィルタの時定数をτ、レーザダイオードの駆動開始から誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間をTsat、誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になった直後の低域通過フィルタの出力電圧をVf1とする。レーザダイオードの駆動開始後、誤差増幅回路の出力が0VからVsat1にステップ状に変化して上記低域通過フィルタに入力されるので、低域通過フィルタの出力は、ステップ応答となる。したがって、以下の(式1)が成り立つ。
【0005】
【数1】

【0006】
上記(式1)を変形すると以下のようになる。
【0007】
【数2】

【0008】
その後、レーザダイオードの発光量が目標発光量となった状態での低域通過フィルタの出力電圧をVf2とすると、APC回路のループゲインが1000倍等、十分大きい場合には、Vf1≒Vf2となるので、以下の(式3)が成り立つ。
【0009】
【数3】

【0010】
誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になると、APC回路がオープンループシステムからクローズドループシステムに移行し、誤差増幅回路に負帰還が正常に掛かった状態となる。この状態では、APC回路の応答時定数をτc、低域通過フィルタの時定数をτ、APC回路のループゲインをAoとすると、τc=τ/Aoとなり、ループゲインAoが大きくなるほど応答速度が早くなる。
【0011】
したがって、APC回路のループゲインが1000倍等、十分大きい場合には、レーザダイオードの駆動開始からレーザダイオードの発光量が目標発光量に到達するまでの時間の大部分を、レーザダイオードの駆動開始から誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatが占める。
【0012】
ところで、近年、光ディスク再生装置等の機能の1チップ化が進み、上記光検出部の出力と所定の設定電圧との比較に用いられる誤差増幅回路がLSI(Large Scale Integrated Circuit)に内蔵される場合が多くなっている。この誤差増幅回路の電源電圧は、LSIにおけるアナログ増幅回路搭載領域の電源電圧に設定され、従来よりも低くなる傾向にある。誤差増幅回路の電源電圧が低下すると、誤差増幅回路の出力飽和電圧Vsat1も低くなるので、上記式(3)により求められるTsat、すなわちレーザダイオードの駆動開始から誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間が長くなり、その結果、レーザダイオードの駆動開始からその発光量が目標発光量に到達するまでの時間も長くなる。
【0013】
また、このようなAPC回路を光ディスク再生装置に用いた場合、レーザダイオードの発光量が目標発光量に到達してから光ディスクの再生が開始されるので、レーザダイオードの駆動開始から光ディスクの再生開始までの時間が長くなる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レーザダイオードの駆動開始からその発光量が目標発光量に到達するまでの時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するため、本発明の1態様に係るAPC回路は、レーザー光を発生するレーザダイオードと、前記レーザダイオードにより発生されたレーザー光の一部を受光し、その受光量に応じた電流を出力する受光素子と、前記受光素子の出力電流を電圧に変換して出力する電流電圧変換回路と、前記レーザダイオードの発光量の目標値に対応した基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、前記電流電圧変換回路により出力された電圧と前記基準電圧生成回路により生成された基準電圧との差分を増幅して増幅信号を出力する誤差増幅回路と、前記誤差増幅回路により出力された増幅信号に対してフィルタ処理を実行し、フィルタ処理後の電圧を出力する低域通過フィルタと、前記低域通過フィルタにより出力されたフィルタ処理後の電圧に応じて前記レーザダイオードを駆動するレーザダイオード駆動回路とを備えたAPC回路であって、前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出する飽和検出回路を備え、前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合に、前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合よりも、前記低域通過フィルタの時定数が小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この態様によると、誤差増幅回路の出力が飽和している場合には、誤差増幅回路の出力が飽和していない正常動作時よりも低域通過フィルタの時定数が小さくされ、上記式(3)により求められるTsat、すなわちレーザダイオードの駆動開始から誤差増幅回路の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間が短くなる。その結果、レーザダイオードの駆動開始からその発光量が目標発光量に到達するまでの時間が短くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、レーザダイオードの駆動開始からその発光量が目標発光量に到達するまでの時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1に係るレーザダイオードの入力電流と発光量との関係を示すグラフである。
【図3】実施形態1に係るフォトディテクタの出力電流と受光量との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態1に係る飽和検出回路の構成を示す回路図である。
【図5】実施形態1に係るレーザダイオード駆動回路の入力電圧と、レーザダイオードに流れる電流との関係を示すグラフである。
【図6】実施形態1に係るレーザダイオードの発光開始時におけるAPC回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施形態2に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態2に係る飽和検出回路及びスイッチの構成を例示する回路図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態4に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施形態5に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図12】実施形態5に係るレーザダイオードの発光開始時におけるAPC回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図13】本発明の実施形態6に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態7に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施形態8に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態9に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図17】実施形態9に係るレーザダイオード駆動回路の入力電圧と、レーザダイオードに流れる電流との関係を示すグラフである。
【図18】実施形態9に係るレーザダイオードの発光開始時におけるAPC回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図19】実施形態10に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図20】実施形態10に係る飽和検出回路及びスイッチの構成を例示する回路図である。
【図21】実施形態11に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図22】実施形態12に係るAPC回路の構成を示すブロック図である。
【図23】実施形態1〜12の変形例に係る飽和検出回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る光ディスク再生装置100を示す。この光ディスク再生装置100は、光ディスク130に記録されたデータを再生する。
【0021】
(光ディスク再生装置100の構成)
光ディスク再生装置100は、図1に示すように、APC回路101と、信号復調回路102と、出力インターフェース(I/F:interface)103、光検出器104、第1の駆動手段105、第2の駆動手段106、制御回路107、図示しない対物レンズ、及び図示しないスピンドルモータを備えている。
【0022】
APC回路101は、レーザダイオード111、受光素子としてのフォトディテクタ112、電流電圧(I/V)変換回路113、D/A(Digital to Analog)変換器114a、誤差増幅回路115、飽和検出回路116、低域通過フィルタ117、レーザダイオード駆動回路118、及びマイクロプロセッサ119を備えている。
【0023】
レーザダイオード111は、後述するレーザダイオード駆動回路118により出力された電流に応じて、レーザー光を発生する。レーザダイオード111のアノードは、レーザダイオード駆動回路118の出力に接続されている一方、レーザダイオード111のカソードは接地されている。
【0024】
図2は、レーザダイオード111の入力電流と発光量との関係を示す。レーザダイオード111は、入力電流が閾値電流Isを超えるまでは発光せず、閾値電流Isを超えると、入力電流の増加に応じてその発光量を増大させる。
【0025】
フォトディテクタ112は、レーザダイオード111により発生されたレーザー光の一部を受光し、その受光量に比例した電流を出力する。図3は、フォトディテクタ112の出力電流と受光量との関係を示す。フォトディテクタ112のアノードは、後で詳述する電流電圧変換回路113の入力に接続される一方、フォトディテクタ112のカソードは接地されている。
【0026】
電流電圧変換回路113は、フォトディテクタ112の出力電流を電圧に変換して出力する。詳しくは、電流電圧変換回路113は、内部に感度調整用可変抵抗113aを持ち、その出力電圧の値は、フォトディテクタ112の出力電流の電流値に感度調整用可変抵抗113aの抵抗値を乗じた値となる。
【0027】
D/A(Digital to Analog)変換器114aは、レーザダイオード111の発光量の目標値に対してD/A変換を行うことにより、当該目標値に対応した基準電圧を出力する。レーザダイオード111の発光量の目標値は、マイクロプロセッサ119により設定される。D/A変換器114aと、マイクロプロセッサ119とで、基準電圧生成回路114が構成されている。
【0028】
誤差増幅回路115は、オペアンプからなり、電流電圧変換回路113により出力された電圧と基準電圧生成回路114により生成された基準電圧との差分を増幅して増幅信号を出力端子から出力する。詳しくは、誤差増幅回路115の非反転入力にD/A変換器114aの出力が接続される一方、誤差増幅回路115の反転入力に前記電流電圧変換回路113の出力が接続され、これらの電位差に誤差増幅回路115の利得を乗じた増幅信号が誤差増幅回路115の出力となる。誤差増幅回路115の電源には、電源電圧Vccが供給され、誤差増幅回路115により出力される増幅信号の範囲は0V〜Vsat1となる。Vsat1は、電源電圧Vccとしてもよいし、その他の電圧値に設定してもよい。
【0029】
飽和検出回路116は、誤差増幅回路115により出力された増幅信号と電源電圧Vcc(基準固定電圧)よりも所定の電位差分低い閾値電圧とを比較し、前記増幅信号が前記閾値電圧以上である場合、すなわち前記増幅信号と電源電圧Vcc(基準固定電圧)との差分が前記所定の電位差以下である場合には前記誤差増幅回路115の出力の飽和を検出する。一方、前記増幅信号が前記閾値電圧未満である場合、すなわち前記増幅信号と電源電圧Vcc(基準固定電圧)との差分が前記所定の電位差を超える場合には前記誤差増幅回路115の出力の飽和を検出しない。
【0030】
具体的には、飽和検出回路116は、図4に示すように、抵抗116a,116bと、オペアンプ116cとを備えている。抵抗116a,116bは、誤差増幅回路115と共通の電源電圧Vccを発生する電源ノードと接地ノードとの間に順に直列に接続されている。上記オペアンプ116cの非反転入力には、誤差増幅回路115により出力された増幅信号が入力される一方、上記オペアンプ116cの反転入力には、前記抵抗116a,116bの間の電圧が前記閾値電圧として入力される。抵抗116a,116bの抵抗値をそれぞれR1、R2とすると、閾値電圧は、Vcc×R2/(R1+R2)となる。この閾値電圧は、Vsat1よりも少し低い電圧に設定される。これにより、誤差増幅回路115の出力の飽和を確実に検出できる。
【0031】
低域通過フィルタ117は、前記誤差増幅回路115により出力された増幅信号を入力ノード117aにより受信し、この増幅信号に対してフィルタ処理を実行し、フィルタ処理後の電圧(増幅信号の低域周波数成分)を出力ノード117bから出力する。
【0032】
低域通過フィルタ117は、具体的には、第1の抵抗117c、コンデンサ117d、スイッチ117e、及び第2の抵抗117fを備えている。第1の抵抗117cの一端は、前記入力ノード117aに接続されている一方、第1の抵抗117cの他端は、前記出力ノード117bに接続されている。コンデンサ117dの一端は、前記出力ノード117bに接続されている一方、コンデンサ117dの他端は接地ノードに接続(接地)されている。前記第2の抵抗117fは、スイッチ117eと互いに直列に接続されて該スイッチ117eとで直列回路117gを構成する。当該直列回路117gのスイッチ117e側の一端は前記入力ノード117aに接続されている一方、直列回路117gの第2の抵抗117f側の他端は出力ノード117bに接続されている。ここで、第2の抵抗117fの抵抗値は、第1の抵抗117cの抵抗値の1/9である。
【0033】
スイッチ117eは、飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されていない場合にはオフされる一方、前記飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されている場合にはオンされる。
【0034】
スイッチ117eがオンされている場合、すなわち、前記飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されている場合における低域通過フィルタ117の時定数は、スイッチ117eがオフされている場合、すなわち前記飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されていない場合の時定数の1/10となる。
【0035】
レーザダイオード駆動回路118は、低域通過フィルタ117により出力されたフィルタ処理後の電圧に比例した電流を前記レーザダイオード111に流すことにより、レーザダイオード111を駆動する。レーザダイオード駆動回路118の入力電圧(低域通過フィルタ117の出力)と、レーザダイオード111に流れる電流との関係を図5に示す。
【0036】
マイクロプロセッサ119は、レーザダイオード111の発光量の目標値を設定する。
【0037】
ここで、APC回路101が動作して、レーザダイオード111が目標発光量で発光している状態にある時にフォトディテクタ112が発生する電流値をI2とし、I/V変換回路113の感度調整用可変抵抗113aの抵抗値をRvrとする。また、基準電圧生成回路114の出力電圧をVrefとすると、誤差増幅回路115の反転入力電圧も、Vrefと同電位になる。したがって、以下の(式4)が成り立つ。
【0038】
I2・Rvr=Vref ・・・(式4)
このI2を発生するために必要な受光量は、図3に示すように、P2である。この時のレーザダイオード111の発光量をP1とすると、以下の(式5)が成り立つ。
【0039】
P2=k・P1 ・・・(式5)
(式5)において、kは光学的な構造により定まる係数である。
【0040】
また、この時の発光量をP1とするために必要なレーザダイオード111の駆動電流は、図2に示すようにI1であり、この電流I1を流すために必要なレーザダイオード駆動回路118の入力電圧は、図5に示すようにVf2である。
【0041】
光検出器104は、光ディスク130からの戻り光を受け、この戻り光の強度に応じた検出信号を出力する。この検出信号は、トラッキング引込み後、RF(Radio Frequency)信号となる。
【0042】
信号復調回路102は、光検出器104により出力された検出信号を受信する。トラッキング引込み後においては、RF信号である検出信号を復調して2値化した後、再生用デジタルデータに復号する。
【0043】
マイクロプロセッサ119は、信号復調回路102により受信された検出信号のDC(Direct Current)レベルを読み取り、光ディスク130が光ディスク再生装置100に装填されているか否かを判定する。光ディスク130が光ディスク再生装置100に装填されていると判定した場合、マイクロプロセッサ119は、スピンドルモータを所定の回転数で回転させるために、スピンドルモータ駆動信号を出力すると同時に、フォーカス引込み開始信号を出力する。また、マイクロプロセッサ119は、フォーカス引込み後、トラッキング引込み開始信号を出力する。
【0044】
また、マイクロプロセッサ119は、信号復調回路102により得られた再生用デジタルデータから、再生対象のアドレスを示すアドレス情報を取得し、このアドレス情報に基づいて、再生対象のアドレスへのアクセスに必要なトラバース移動距離を算出し、算出したトラバース移動距離に応じたトラバース駆動信号を出力する。
【0045】
さらに、マイクロプロセッサ119は、信号復調回路102により得られた再生用デジタルデータから、再生対象のアドレスを示すアドレス情報を再度取得し、このアドレス情報に基づいて、再生対象のアドレスへのアクセスに必要な移動量を算出し、このアクセスに何本分のトラックのトラックジャンプが必要となるかを示すトラックジャンプ駆動信号を出力する。
【0046】
また、制御回路107は、マイクロプロセッサ119により出力されたフォーカス引込み開始信号、トラッキング引込み開始信号、及びトラックジャンプ駆動信号に応じて、第1の駆動手段105を制御する。
【0047】
制御回路107は、マイクロプロセッサ119により出力されたスピンドルモータ駆動信号及びトラバース駆動信号に応じて、第2の駆動手段106を制御する。
【0048】
上記対物レンズは、レーザダイオード111により発生された光を通過させる。この対物レンズを通過した光が、上記光ディスク130の記録面に照射される。
【0049】
第1の駆動手段105は、上記対物レンズを光ディスク130の径方向、及び記録面に垂直な方向に移動させる。
【0050】
上記レーザダイオード111、フォトディテクタ112、光検出器104、第1の駆動手段105、及び対物レンズにより、光ヘッド120が構成されている。なお、この光ヘッド120に、電流電圧変換回路113及びレーザダイオード駆動回路118をさらに搭載してもよい。
【0051】
第2の駆動手段106は、トラバース制御信号により示される移動距離分、上記光ヘッド120を移動させるとともに、図示しないスピンドルモータを駆動する。この第2の駆動手段106と光ヘッド120とで、ディスク駆動装置121が構成されている。
【0052】
(光ディスク再生装置100の再生開始時の動作)
次に、上述のように構成された光ディスク再生装置100の再生開始時の動作を説明する。
【0053】
まず、マイクロプロセッサ119が、光ヘッド120を光ディスク130の最内周対応位置に移動させるトラバース駆動信号を出力する。これにより、光ヘッド120が光ディスク130の最内周対応位置に移動する。このとき、マイクロプロセッサ119は、レーザダイオード111の発光量の目標値に対応する基準電圧を0Vに設定している。これにより、レーザダイオード111の発光が停止している。
【0054】
次に、マイクロプロセッサ119が、レーザダイオード111の発光量の目標値に対応する基準電圧を0VからVrefにする。これにより、レーザダイオード111の発光が開始し、所定時間経過後、レーザダイオード111の発光量が目標発光量に到達する。
【0055】
その後、マイクロプロセッサ119が、信号復調回路102により受信された検出信号のDCレベルを読み取り、光ディスク130が光ディスク再生装置100に装填されているか否かを判定する。光ディスク130が光ディスク再生装置100に装填されていれば、光ディスク130からの戻り光が光検出器104により受光され、検出信号のDCレベルが所定レベル以上となる。
【0056】
マイクロプロセッサ119は、光ディスク130が光ディスク再生装置100に装填されていると判定すると、スピンドルモータを所定の回転数で回転させるために、スピンドルモータ駆動信号を出力する。またこれと同時に、フォーカス引込みが行われるように、フォーカス引込み開始信号を出力する。
【0057】
フォーカス引込みが行われた後、マイクロプロセッサ119は、トラッキング引込みが行われるように、トラッキング引込み開始信号を出力する。
【0058】
トラッキング引込みが行われると、光検出器104により出力される検出信号がRF信号となり、信号復調回路102が、この検出信号を復調して2値化し、再生用デジタルデータに復号する。
【0059】
マイクロプロセッサ119は、信号復調回路102により得られた再生用デジタルデータから、再生対象のアドレスを示すアドレス情報を取得し、このアドレス情報に基づいて、再生対象のアドレスへのアクセスに必要なトラバース移動距離を算出し、算出したトラバース移動距離を示すトラバース駆動信号を出力する。
【0060】
さらに、マイクロプロセッサ119は、信号復調回路102により得られた再生用デジタルデータから、再生対象のアドレスを示すアドレス情報を再度取得し、このアドレス情報に基づいて、再生対象のアドレスへのアクセスに必要な移動量を算出し、このアクセスに何本分のトラックのトラックジャンプが必要となるかを示すトラックジャンプ駆動信号を出力する。
【0061】
再生対象のアドレスへのアクセスの完了後、マイクロプロセッサ119の制御により、再生が開始する。つまり、再生対象のアドレスのデジタルデータが信号復調回路102により取得され、出力インターフェース103により出力される。
【0062】
図6は、レーザダイオード111の発光開始時におけるAPC回路101の動作を説明するタイミングチャートである。
【0063】
まず、マイクロプロセッサ119はレーザダイオード111の発光量の目標値に対応する基準電圧を0Vに設定している。これにより、レーザダイオード111の発光が停止している。誤差増幅回路115の出力電圧値の範囲は、0〜Vsat1であるので、誤差増幅回路115が理想オペアンプであれば、この時の誤差増幅回路115の出力は0Vとなる。しかし、実際のオペアンプは、入力オフセットを持つため、誤差増幅回路115の出力が0V以上になる可能性もある。このような場合であっても、誤差増幅回路115の出力電圧値が、レーザダイオード111を発光させない範囲に収まっていれば、基準電圧生成回路114の出力電圧を0Vに設定することにより、レーザダイオード111の発光を停止させることができる。レーザダイオード111を発光させない誤差増幅回路115の出力電圧値の範囲は、レーザダイオード111に流れる電流を閾値電流Is(図5参照)以下とする範囲である。図5に示すように、レーザダイオード111の閾値電流Isに対応したレーザダイオード駆動回路118の入力電圧はVs1である。したがって、基準電圧生成回路114の出力電圧が0Vであるとき、誤差増幅回路115の出力電圧値の範囲が0V〜Vs1に収まっていれば、レーザダイオード111の発光を停止させることができる。
【0064】
以降、誤差増幅回路115の出力が0Vである場合の例について説明する。
【0065】
次に、マイクロプロセッサ119による目標値の設定により、基準電圧生成回路114の出力電圧がVrefとされる。これにより、レーザダイオード111の駆動が開始する。このとき、次の(式6)の条件が成立する場合に、誤差増幅回路115の出力が飽和し、出力レベルがVsat1となる。
【0066】
(Vref−Vin(−))・Aop ≧ Vsat1 ・・・(式6)
通常、Vrefは、電圧精度やノイズの影響を考慮して、数百mV以上に設定される。また、レーザダイオード111の駆動開始前においては、レーザダイオード111が発光していないので、Vin(−)は0Vである。
【0067】
仮に、Vref=0.6V、Vin(−)=0V、Aop=1000、Vsat1=2.9Vとした場合、(Vref−Vin(−))・Aopは600Vとなり、(式6)の条件が成立し、誤差増幅回路115の出力は飽和する。
【0068】
誤差増幅回路115の出力電圧がVsat1となると、飽和検出回路116は、その飽和を検出して、スイッチ117eをオンする。スイッチ117eがオンすると、第1の抵抗117cに対し、第2の抵抗117fが並列に接続された状態となる。第1の抵抗117cの抵抗値をRf1、第2の抵抗117fの抵抗値をRf2とすると、第1の抵抗117cと第2の抵抗117fとの合成抵抗の抵抗値は以下のようになる。
【0069】
合成抵抗の抵抗値=(Rf1・Rf2)/(Rf1+Rf2)
第2の抵抗117fの抵抗値Rf2は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/9であるので、合成抵抗の抵抗値は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/10となる。したがって、スイッチ117eがオンしている場合の低域通過フィルタ117の時定数は、スイッチ117eがオフしているときの時定数の1/10となる。
【0070】
ここで、Vsat1=2.9V、Vf2=1.2Vとすると、スイッチ117eがオフしている場合、時定数τを1secとすると、(式3)より、レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路115の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatは534msecとなる。
【0071】
レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路115の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatは、(式3)より、低域通過フィルタ117の時定数τに比例する。
【0072】
スイッチ117eがオフしている場合の時定数τが1secであるので、スイッチ117eがオンしている場合、すなわち第1の抵抗117cに対して、第2の抵抗117fが並列に接続されている場合の時定数τは0.1secとなり、レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路115の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatは、1/10の53.4msecとなる。
【0073】
誤差増幅回路115の出力が飽和状態から正常動作状態になると、飽和検出回路116は、その非飽和を検出して、スイッチ117eをオフする。スイッチ117eがオフすると、低域通過フィルタ117は、第1の抵抗117cとコンデンサ117dとで構成されたフィルタとなる。これにより、誤差増幅回路115に負帰還が掛かり、レーザダイオード111が安定して発光する。
【0074】
誤差増幅回路115の出力が飽和している状態では、APC回路101において行われる制御がオープンループ制御となり、誤差増幅回路115に負帰還が掛かっていない。したがって、レーザダイオード111の過渡応答特性は、クローズドループ特性とは無関係となり、低域通過フィルタ117の時定数τによって定まる。
【0075】
したがって、上述のように、誤差増幅回路115の出力の飽和を飽和検出回路116が検出しているときに、誤差増幅回路115の出力の飽和を飽和検出回路116が検出していないときよりも低域通過フィルタ117の時定数τを小さくすることにより、誤差増幅回路115の出力が飽和状態であるときの過渡応答を速くし、レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路115の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatを短縮できる。これにより、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短くできる。また、上述のように、光ディスク130の再生は、レーザダイオード111の発光量が目標発光量に到達した後に開始されるので、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0076】
《実施形態2》
本発明の実施形態2に係る光ディスク再生装置100は、実施形態1のAPC回路101に代えて、図7に示すAPC回路201を備えている。
【0077】
このAPC回路201は、実施形態1の低域通過フィルタ117に代えて、低域通過フィルタ217を備えている。この低域通過フィルタ217では、直列回路117gのスイッチ117e側の一端が、前記入力ノード117aに代えて、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ217の構成は、低域通過フィルタ117と同じである。
【0078】
図8は、本実施形態2の飽和検出回路116及びスイッチ117eの回路構成の例を示す。図8の抵抗216cの抵抗値をRc1、抵抗216dの抵抗値をRd1とすると、図8の回路構成は、Vsat1≧Vcc−0.6V・(1+Rd1/Rc1)が成立している場合に有効である。
【0079】
飽和検出回路116は、PNPトランジスタ216aを備えている。このPNPトランジスタ216aのエミッタは、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続されている一方、PNPトランジスタ216aのコレクタは、抵抗216bを介して接地ノードに接続されている。また、PNPトランジスタ216aのベース−エミッタ間には、抵抗216cが接続されている。さらに、PNPトランジスタ216aのベースには、抵抗216dの一端が接続され、該抵抗216dの他端には、前記誤差増幅回路115により出力された増幅信号が入力される。
【0080】
スイッチ117eは、PNPトランジスタ217aを備え、そのエミッタ及びコレクタがスイッチ117eの両端をなしている。このPNPトランジスタ217aのベース−エミッタ間には、抵抗217bが接続されている。また、PNPトランジスタ217aのベースには、抵抗217cの一端が接続され、該抵抗217cの他端には、前記飽和検出回路116のPNPトランジスタ216aのコレクタが接続される。
【0081】
誤差増幅回路115の出力が飽和すると、飽和検出回路116のPNPトランジスタ216aがオフして、スイッチ117eのPNPトランジスタ217aがオンする。
【0082】
上述のように構成されたAPC回路201では、誤差増幅回路115が飽和を検出して、スイッチ117eがオンされたとき、第2の抵抗117fが電源ノードにスイッチ117eにより接続される。ここで、第1の抵抗117cの抵抗値をRf1、第2の抵抗117fの抵抗値をRf2とすると、上記(式3)におけるVsat1に相当する電圧は、(Rf1・Vcc+Rf2・Vsat1)/(Rf1+Rf2)となる。したがって、(式3)のVsat1を(Rf1・Vcc+Rf2・Vsat1)/(Rf1+Rf2)に置き換えることにより、以下の(式7)に示すように、Tsatを求められる。
【0083】
【数4】

【0084】
ここで、Vcc=3.2V、Vsat1=2.9V、Vf2=1.2Vとし、かつスイッチ117eがオフしたときの時定数τを1secとすると、(式3)より、Tsatは534msecとなる。
【0085】
誤差増幅回路115が飽和を検出して、スイッチ117eをオンした時の第1の抵抗117cと第2の抵抗117fとの合成抵抗の抵抗値は、以下の式で表すことができる。
【0086】
合成抵抗の抵抗値=(Rf1・Rf2)/(Rf1+Rf2)
ここで、第2の抵抗117fの抵抗値Rf2は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/9であるので、合成抵抗の抵抗値は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/10となる。
【0087】
スイッチ117eがオフしたときの時定数τを1secとしたので、スイッチ117eがオンして、第2の抵抗117fが電源ノードに接続された場合の時定数τは0.1secとなる。したがって、τ=0.1secを(式7)に代入して計算すると、Tsatは47.6msecとなる。このように、実施形態1と同様に、時間Tsatを短縮できるので、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、これにより、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0088】
また、スイッチ117eがオンしている時に、第2の抵抗117fがスイッチ117eを介して電源ノードに接続されるので、第2の抵抗117fが、誤差増幅回路115の出力の負荷にならない。したがって、出力飽和電圧Vsat1の低下を防ぐことができる。
【0089】
また、安定した電源電圧Vccを供給する電源ノードから、第2の抵抗117f及びスイッチ117eを介してコンデンサ117dに電流が流れるので、レーザダイオード111の駆動開始後、レーザダイオード111の発光量が目標発光量に到達するまでの時間を安定させることができる。
【0090】
本実施形態2に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0091】
《実施形態3》
本発明の実施形態3に係る光ディスク再生装置100は、実施形態1のAPC回路101に代えて、図9に示すAPC回路301を備えている。
【0092】
このAPC回路301は、実施形態1のAPC回路101の低域通過フィルタ117に代えて、低域通過フィルタ317を備えている。
【0093】
低域通過フィルタ317は、具体的には、入力ノード117a、出力ノード117b、コンデンサ117d、第1の抵抗317a、第2の抵抗317b、及び1回路2接点スイッチ317cを備えている。第2の抵抗317bの抵抗値は、第1の抵抗317aの抵抗値の1/10である。第1の抵抗317aの一端、及び第2の抵抗317bの一端は、上記入力ノード117aに接続されている。
【0094】
1回路2接点スイッチ317cは、飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されていない場合には、上記出力ノード117bに上記第1の抵抗317aの他端を接続する。つまり、1回路2接点スイッチ317cの接点が第1の抵抗317aに接続される。一方、前記飽和検出回路116により前記誤差増幅回路115の出力の飽和が検出されている場合には、上記出力ノード117bに上記第2の抵抗317bの他端を接続する。つまり、1回路2接点スイッチ317cの接点が第2の抵抗317bに接続される。
【0095】
低域通過フィルタ317についても、上記(式3)が成立する。したがって、Vsat1=2.9V、Vf2=1.2Vとすると、1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合、時定数τを1secとすると、(式3)より、時間Tsatは534msecである。
【0096】
ここで、第2の抵抗317bの抵抗値は、第1の抵抗317aの抵抗値の1/10であるので、1回路2接点スイッチ317cの接点を第2の抵抗317bに接続した場合の低域通過フィルタ317の時定数τは、1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合の時定数τの1/10となる。
【0097】
1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合の時定数τが1secであるので、1回路2接点スイッチ317cの接点を第2の抵抗317bに接続した場合の時定数τは0.1secとなる。τ=0.1secを(式3)に代入して計算すると、時間Tsatは、1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合の1/10の53.4msecとなる。このように、実施形態1と同様に、時間Tsatを短縮できるので、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。
【0098】
本実施形態3に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0099】
《実施形態4》
本発明の実施形態4に係る光ディスク再生装置100は、実施形態3のAPC回路301に代えて、図10に示すAPC回路401を備えている。
【0100】
このAPC回路401は、実施形態3の低域通過フィルタ317に代えて、低域通過フィルタ417を備えている。この低域通過フィルタ417では、第2の抵抗317bの一端が、前記入力ノード117aに代えて、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ417の構成は、低域通過フィルタ317と同じである。
【0101】
APC回路401における時間Tsatは、上記(式3)のVsatをVccに置き換えることにより、次の(式8)に示すように求められる。
【0102】
Tsat≒−τ・ln(1−Vf2/Vcc) ・・・(式8)
ここで、Vcc=3.2V、Vsat1=2.9V、Vf2=1.2Vとすると、1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合、このときの時定数τを1secとすると、(式3)より、時間Tsatは534msecとなる。
【0103】
ここで、第2の抵抗317bの抵抗値は、第1の抵抗317aの抵抗値の1/10であるので、1回路2接点スイッチ317cの接点を第2の抵抗317bに接続した場合の低域通過フィルタ317の時定数τは、1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合の時定数τの1/10となる。
【0104】
1回路2接点スイッチ317cの接点を第1の抵抗317aに接続した場合の時定数τが1secであるので、1回路2接点スイッチ317cの接点を第2の抵抗317bに接続した場合の時定数τは0.1secとなる。τ=0.1secを(式8)に代入して計算すると、時間Tsatは、47.0msecとなる。このように、実施形態1と同様に、時間Tsatを短縮できるので、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、この結果、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0105】
また、安定した電源電圧Vccを供給する電源ノードから、第2の抵抗317b及びスイッチ317cを介してコンデンサ117dに電流が流れるので、レーザダイオード111の駆動開始後、レーザダイオード111の発光量が目標発光量に到達するまでの時間を安定させることができる。
【0106】
本実施形態4に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態3と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0107】
《実施形態5》
本発明の実施形態5に係る光ディスク再生装置100は、実施形態1のAPC回路101に代えて、図11に示すAPC回路501を備えている。
【0108】
このAPC回路501は、実施形態1のマイクロプロセッサ119に代えて、マイクロプロセッサ519を備えている。このマイクロプロセッサ519は、実施形態1のマイクロプロセッサ119の機能に加え、レーザダイオード111が駆動状態と停止状態のいずれであるかを示すレーザオン信号を出力する機能を有する。また、マイクロプロセッサ519は、基準電圧生成回路114の出力電圧を常にVrefに設定する。
【0109】
また、APC回路501は、実施形態1のAPC回路101の構成に加え、1回路2接点スイッチ520を備えている。この1回路2接点スイッチ520は、マイクロプロセッサ519により出力されたレーザオン信号が駆動状態を示している場合には、低域通過フィルタ117の入力ノード117a及び飽和検出回路116の入力に誤差増幅回路115の出力を接続する。つまり、1回路2接点スイッチ520の接点が誤差増幅回路115の出力に接続される。一方、レーザオン信号が停止状態を示している場合には、低域通過フィルタ117の入力ノード117a及び飽和検出回路116の入力を接地ノードに接続する。つまり、1回路2接点スイッチ520の接点が接地ノードに接続される。
【0110】
図12は、レーザダイオード111の発光開始時におけるAPC回路501の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0111】
まず、マイクロプロセッサ519により出力されたレーザオン信号が停止状態を示し、低域通過フィルタ117の入力ノード117a及び飽和検出回路116の入力が接地ノードに接続されている。この状態では、低域通過フィルタ117の出力電圧は0Vとなり、レーザダイオード駆動回路118が電流を流さず、レーザダイオード111が発光しない。したがって、フォトディテクタ112の出力電流が0Aとなり、電流電圧変換回路113の出力電圧も0Vとなるので、誤差増幅回路115の反転入力の電圧が0Vとなる。
【0112】
ここで、Vref=0.6V、Vin(−)=0V、Aop=1000、Vsat1=2.9Vとすると、(Vref−Vin(−))・Aopは2.9V以上の600Vとなり、上記(式6)の条件を満足するので、誤差増幅回路115の出力は飽和して、その電圧はVsat1となる。
【0113】
その後、マイクロプロセッサ519により出力されたレーザオン信号が駆動状態を示すように切り替えられ、1回路2接点スイッチ520が、低域通過フィルタ117の入力ノード117a及び飽和検出回路116の入力を、誤差増幅回路115の出力に接続する。これにより、レーザダイオード111の駆動が開始する。
【0114】
このとき、誤差増幅回路115の出力がVsat1となっているので、飽和検出回路116が、その飽和を検出し、スイッチ117eをオンする。これにより、第1の抵抗117cに対して、第2の抵抗117fが並列に接続された状態になる。
【0115】
本実施形態5に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0116】
《実施形態6》
本発明の実施形態6に係る光ディスク再生装置100は、実施形態5のAPC回路501に代えて、図13に示すAPC回路601を備えている。
【0117】
このAPC回路601は、低域通過フィルタ117に代えて、実施形態2の低域通過フィルタ217を備えている。
【0118】
本実施形態6に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態5と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0119】
本実施形態6によれば、実施形態2と同様の効果が得られる。
【0120】
《実施形態7》
本発明の実施形態7に係る光ディスク再生装置100は、実施形態5のAPC回路501に代えて、図14に示すAPC回路701を備えている。
【0121】
このAPC回路701は、低域通過フィルタ117に代えて、実施形態3の低域通過フィルタ317を備えている。
【0122】
本実施形態7に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態5と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0123】
本実施形態7によれば、実施形態3と同様の効果が得られる。
【0124】
《実施形態8》
本発明の実施形態8に係る光ディスク再生装置100は、実施形態5のAPC回路501に代えて、図15に示すAPC回路801を備えている。
【0125】
このAPC回路801は、低域通過フィルタ117に代えて、実施形態4の低域通過フィルタ417を備えている。
【0126】
本実施形態8に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態5と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0127】
本実施形態8によれば、実施形態4と同様の効果が得られる。
【0128】
《実施形態9》
本発明の実施形態9に係る光ディスク再生装置100は、実施形態5のAPC回路501に代えて、図16に示すAPC回路901を備えている。
【0129】
このAPC回路901は、APC回路501の誤差増幅回路115、飽和検出回路116、1回路2接点スイッチ520、低域通過フィルタ117、及びレーザダイオード駆動回路118に代えて、誤差増幅回路915、飽和検出回路916、1回路2接点スイッチ920、低域通過フィルタ917、及びレーザダイオード駆動回路918を備えている。
【0130】
誤差増幅回路915は、オペアンプからなり、電流電圧変換回路113により出力された電圧と基準電圧生成回路114により生成された基準電圧との差分を増幅して増幅信号を出力する。詳しくは、誤差増幅回路915の非反転入力に前記電流電圧変換回路113の出力が接続される一方、誤差増幅回路915の反転入力に基準電圧生成回路114の出力が接続され、これらの電位差に誤差増幅回路915の利得を乗じた増幅信号が誤差増幅回路915の出力となる。誤差増幅回路915の電源には、電源電圧Vccが供給され、誤差増幅回路915により出力される増幅信号の範囲はVsat2〜Vsat1となる。Vsat2は0Vとしてもよいし、その他の電圧値に設定してもよい。
【0131】
飽和検出回路916は、誤差増幅回路915により出力された増幅信号と接地電圧(基準固定電圧)よりも所定の電位差分高い閾値電圧とを比較し、前記増幅信号が前記閾値電圧以下である場合、すなわち前記増幅信号と接地電圧(基準固定電圧)との差分が前記所定の電位差以下である場合には前記誤差増幅回路915の出力の飽和を検出する。一方、前記増幅信号が前記閾値電圧を超えている場合、すなわち前記増幅信号と接地電圧(基準固定電圧)との差分が前記所定の電位差を超えている場合には前記誤差増幅回路915の出力の飽和を検出しない。
【0132】
1回路2接点スイッチ920は、マイクロプロセッサ519により出力されたレーザオン信号が駆動状態を示している場合には、低域通過フィルタ917の入力ノード117a及び飽和検出回路916の入力に誤差増幅回路915の出力を接続する。つまり、1回路2接点スイッチ920の接点が、誤差増幅回路915の出力に接続される。一方、レーザオン信号が停止状態を示している場合には、低域通過フィルタ917の入力ノード117a及び飽和検出回路916の入力を、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続する。つまり、1回路2接点スイッチ920の接点が、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続される。
【0133】
低域通過フィルタ917においては、コンデンサ117dの他端が、接地されておらず、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ917の構成は、実施形態1の低域通過フィルタ117と同じである。
【0134】
レーザダイオード駆動回路918は、低域通過フィルタ917により出力されたフィルタ処理後の電圧(出力ノード117bの電圧)と電源電圧Vccとの差分に比例した電流を前記レーザダイオード111に流すことにより、レーザダイオード111を駆動する。レーザダイオード駆動回路918の入力電圧(低域通過フィルタ917の出力)と、レーザダイオード111に流れる電流との関係を図17に示す。
【0135】
飽和検出回路916の閾値電圧は、Vsat2よりも少し高く設定される。これにより、誤差増幅回路915の出力の飽和を確実に検出できる。
【0136】
ここで、本実施形態9において、レーザダイオード111にI1の駆動電流を流すために必要なレーザダイオード駆動回路918の入力電圧は、図17に示すように、Vf4となる。
【0137】
図18は、レーザダイオード111の発光開始時におけるAPC回路901の動作を説明するタイミングチャートである。
【0138】
まず、マイクロプロセッサ519が、停止状態を示すレーザオン信号を出力している。これにより、1回路2接点スイッチ920の接点が誤差増幅回路915の出力側ではなく、電源ノード側に切り替えられて、レーザダイオード111の駆動が停止する。
【0139】
レーザダイオード111の駆動が停止した状態では、低域通過フィルタ917の出力電圧はVccとなり、レーザダイオード駆動回路918がレーザダイオード111に駆動電流を流さず、レーザダイオード111が発光しない。この時、フォトディテクタ112が電流を出力しないため、I/V変換回路113の出力電圧は0Vとなる。一方、基準電圧生成回路114は、基準電圧Vrefを出力しているので、誤差増幅回路915の出力は下側の電圧に飽和して、Vsat2となっている。
【0140】
ここでレーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路915の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間をTsatとし、レーザダイオード111の発光量が目標発光量となった状態での低域通過フィルタ917の出力電圧をVf4とすると、時間Tsatは、上記(式3)のVf2をVcc−Vf4に、Vsat1をVcc−Vsat2にそれぞれ置き換えることにより、次の(式9)に示すように求められる。
【0141】
Tsat≒−τ・ln{1−(Vcc−Vf4)/(Vcc−Vsat2)}
・・・(式9)
ここで、Vcc=3.2V、Vref=0.6V、Vsat2=0.3V、Vf4=Vcc−1.2V=2.0Vとすると、スイッチ117eをオフしている場合、時定数τを1secとすると、(式9)より、時間Tsatは、534msecとなる。
【0142】
レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路915の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatは、(式9)より、低域通過フィルタ917の時定数τに比例する。
【0143】
誤差増幅回路915の出力電圧がVsat2となると、飽和検出回路916がその飽和を検出し、スイッチ117eがオンする。これにより、第1の抵抗117cに対し、第2の抵抗117fが並列に接続された状態となる。第1の抵抗117cの抵抗値をRf1、第2の抵抗117fの抵抗値をRf2とすると、第1の抵抗117cと第2の抵抗117fとの合成抵抗の抵抗値は以下のようになる。
【0144】
合成抵抗の抵抗値=(Rf1・Rf2)/(Rf1+Rf2)
第2の抵抗117fの抵抗値Rf2は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/9であるので、合成抵抗の抵抗値は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/10となる。したがって、スイッチ117eがオンしている場合の低域通過フィルタ917の時定数τは、スイッチ117eがオフしているときの時定数τの1/10となる。
【0145】
スイッチ117eがオフしている場合の時定数τを1secとすると、スイッチ117eがオンしている場合の時定数τは0.1secとなり、レーザダイオード111の駆動開始から誤差増幅回路915の出力が飽和状態から正常動作状態になるまでの時間Tsatは、スイッチ117eがオフしている場合の1/10、すなわち53.4msecとなる。このように、実施形態5と同様に、時間Tsatを短縮できるので、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、この結果、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0146】
本実施形態9に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態5と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0147】
《実施形態10》
本発明の実施形態10に係る光ディスク再生装置100は、実施形態9のAPC回路901に代えて、図19に示すAPC回路1001を備えている。
【0148】
このAPC回路1001は、APC回路901の低域通過フィルタ917に代えて、低域通過フィルタ1017を備えている。
【0149】
上記低域通過フィルタ1017では、直列回路117gのスイッチ117e側の一端が、前記入力ノード117aに代えて、接地電圧を発生する接地ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ1017の構成は、低域通過フィルタ917と同じである。
【0150】
図20は、本実施形態10の飽和検出回路916及びスイッチ117eの回路構成の例を示す。図20の抵抗1016cの抵抗値をRc2、抵抗1016dの抵抗値をRd2とすると、図20の回路構成は、Vsat2≦0.6V・(1+Rd2/Rc2)が成立している場合に有効である。
【0151】
飽和検出回路916は、NPNトランジスタ1016aを備え、このNPNトランジスタ1016aのエミッタは、接地ノードに接続されている一方、コレクタは、抵抗1016bを介して電源ノードに接続されている。また、NPNトランジスタ1016aのベース−エミッタ間には、抵抗1016cが接続されている。さらに、NPNトランジスタ1016aのベースには、抵抗1016dの一端が接続され、該抵抗1016dの他端には、前記誤差増幅回路915により出力された増幅信号が入力される。
【0152】
スイッチ117eは、NPNトランジスタ1017aを備え、そのエミッタ及びコレクタがスイッチ117eの両端をなしている。このNPNトランジスタ1017aのベース−エミッタ間には、抵抗1017bが接続されている。また、NPNトランジスタ1017aのベースには、抵抗1017cの一端が接続され、該抵抗1017cの他端には、前記飽和検出回路916のNPNトランジスタ1016aのコレクタが接続される。
【0153】
誤差増幅回路915の出力が飽和すると、飽和検出回路916のNPNトランジスタ1016aがオフして、スイッチ117eのNPNトランジスタ1017aがオンする。
【0154】
APC回路1001における時間Tsatは、上記実施形態2の(式7)において、Vf2をVcc−Vf4に、(Rf1・Vcc+Rf2・Vsat1)/(Rf1+Rf2)をVcc−Rf2・Vsat2/(Rf1+Rf2)に置き換えることにより、次の(式10)に示すように求められる。
【0155】
【数5】

【0156】
ここで、Vcc=3.2V、Vsat2=0.3V、Vf4=2.0Vとすると、スイッチ117eがオフしている場合、時定数τを1secとすると、(式9)より、Tsatは、534msecとなる。
【0157】
誤差増幅回路915の出力電圧がVsat2となると、飽和検出回路916がその飽和を検出し、スイッチ117eがオンする。これにより、第1の抵抗117cに対し、第2の抵抗117fが並列に接続される。第1の抵抗117cの抵抗値をRf1、第2の抵抗117fの抵抗値をRf2とすると、第1の抵抗117cと第2の抵抗117fとの合成抵抗の抵抗値は以下のようになる。
【0158】
合成抵抗の抵抗値=(Rf1・Rf2)/(Rf1+Rf2)
第2の抵抗117fの抵抗値Rf2は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/9であるので、合成抵抗の抵抗値は第1の抵抗117cの抵抗値Rf1の1/10となる。したがって、スイッチ117eがオンしている場合の低域通過フィルタ1017の時定数τは、スイッチ117eがオフしているときの時定数τの1/10となる。
【0159】
スイッチ117eがオフしている場合の時定数τを1secとすると、スイッチ117eがオンしている場合の時定数τは0.1secとなる。したがって、時間Tsatは、(式10)より、47.6msecとなる。このように、実施形態9と同様に、時間Tsatを短縮できるので、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、これにより、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0160】
本実施形態10に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態9と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0161】
《実施形態11》
本発明の実施形態11に係る光ディスク再生装置100は、実施形態9のAPC回路901に代えて、図21に示すAPC回路1101を備えている。
【0162】
このAPC回路1101は、実施形態9のAPC回路901の低域通過フィルタ917に代えて、低域通過フィルタ1117を備えている。
【0163】
この低域通過フィルタ1117においては、コンデンサ117dの他端が、接地されておらず、電源電圧Vccを発生する電源ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ1117の構成は、実施形態3の低域通過フィルタ317と同じである。
【0164】
本実施形態11においても、実施形態9と同様に、時間Tsatを短縮でき、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、これにより、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0165】
本実施形態11に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態9と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0166】
《実施形態12》
本発明の実施形態12に係る光ディスク再生装置100は、実施形態11のAPC回路1101に代えて、図22に示すAPC回路1201を備えている。
【0167】
このAPC回路1201は、低域通過フィルタ1117に代えて、低域通過フィルタ1217を備えている。この低域通過フィルタ1217では、第2の抵抗317bの一端が、前記入力ノード117aに代えて、接地ノードに接続されている。この点を除いては、低域通過フィルタ1217の構成は、低域通過フィルタ1117と同じである。
【0168】
APC回路1201における時間Tsatは、上記(式9)のVcc−Vsat2をVccに置き換えることにより、次の(式11)に示すように求められる。
【0169】
Tsat≒−τ・ln{1−(Vcc−Vf4)/Vcc} ・・・(式11)
本実施形態12においても、実施形態11と同様に、時間Tsatを短縮でき、レーザダイオード111の発光量を目標発光量に到達させるのに要する時間を短縮できる。また、この結果、レーザダイオード111の駆動開始から光ディスク130の再生開始までの時間を短縮できる。
【0170】
本実施形態12に係る光ディスク再生装置100のその他の構成及び動作は、実施形態11と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0171】
なお、上記実施形態1〜8において、飽和検出回路116に代えて、図23に示す飽和検出回路1316を設けてもよい。
【0172】
この飽和検出回路1316は、飽和検出回路116の構成に加え、抵抗1316a,1316bを備えている。上記抵抗1316aの一端は、上記オペアンプ116cの非反転入力に接続される一方、上記抵抗1316aの他端には、誤差増幅回路115により出力された増幅信号が入力される。また、上記抵抗1316bは、上記オペアンプ116cの非反転入力と出力との間に接続されている。
【0173】
この飽和検出回路1316は、ヒステリシス回路を構成しており、当該飽和検出回路1316の前記閾値電圧は、誤差増幅回路115の出力の飽和を検出しているときに、誤差増幅回路115の出力の飽和を検出していないときよりも低い電圧となる。つまり、電源電圧Vcc(基準固定電圧)と前記閾値電圧との差分は、誤差増幅回路115の出力の飽和を検出しているときに、誤差増幅回路115の出力の飽和を検出していないときよりも、大きくなる。飽和検出時の閾値電圧、及び飽和非検出時の閾値電圧は、抵抗116a,116b,1316a,1316bの抵抗値R1,R2,R3,R4に応じた値となる。
【0174】
また、上記実施形態1〜8において、低域通過フィルタ117,217,317,417に代えて、低域通過フィルタ117,217,317,417のコンデンサ117dと接地ノードとの間に抵抗を接続したラグリードフィルタを設けてもよい。
【0175】
同様に、上記実施形態9〜12において、低域通過フィルタ917,1017,1117,1217に代えて、低域通過フィルタ917,1017,1117,1217のコンデンサ117dと電源ノード又は出力ノード117bとの間に抵抗を接続したラグリードフィルタを設けてもよい。
【0176】
また、上記実施形態1,2,5,6,9,10では、直列回路117gのスイッチ117e側の一端を入力ノード117aに接続するとともに、直列回路117gの第2の抵抗117f側の他端を出力ノード117bに接続した。しかし、反対に、直列回路117gのスイッチ117e側の一端を出力ノード117bに接続し、直列回路117gの第2の抵抗117f側の他端を入力ノード117aに接続してもよい。
【0177】
また、上記実施形態1〜8において、誤差増幅回路115の出力(増幅信号)の範囲の下限を0Vとしたが、必ずしも0Vでなくてもよい。
【0178】
また、上記実施形態1〜4において、基準電圧生成回路114にD/A変換器114aを設けず、基準電圧生成回路114を、単に、0Vを含む2種類以上の固定電圧を出力する回路で構成してもよい。
【0179】
また、上記実施形態5〜12において、基準電圧生成回路114にD/A変換器114aを設けず、基準電圧生成回路114を、単に、2種類以上の固定電圧を出力する回路で構成してもよい。
【0180】
また、上記実施形態3,7,11では、前記1回路2接点スイッチ317cが、第1の抵抗317a及び第2の抵抗317bの他端を選択的に出力ノード117bに接続するようにした。しかし、1回路2接点スイッチ317cが、第1の抵抗317a及び第2の抵抗317bの他端を選択的に入力ノード117aに接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、APC回路、及び当該APC回路を搭載した光ディスク再生装置として有用である。
【符号の説明】
【0182】
100 光ディスク再生装置
101 APC回路
102 信号復調回路
104 光検出器
111 レーザダイオード
112 フォトディテクタ(受光素子)
113 電流電圧変換回路
114 基準電圧生成回路
115 誤差増幅回路
116 飽和検出回路
117 低域通過フィルタ
117a 入力ノード
117b 出力ノード
117c 第1の抵抗
117d コンデンサ
117e スイッチ
117f 第2の抵抗
117g 直列回路
118 レーザダイオード駆動回路
130 光ディスク
201 APC回路
217 低域通過フィルタ
301 APC回路
317 低域通過フィルタ
317a 第1の抵抗
317b 第2の抵抗
317c 1回路2接点スイッチ
401 APC回路
417 低域通過フィルタ
501 APC回路
520 1回路2接点スイッチ
601 APC回路
701 APC回路
801 APC回路
901 APC回路
915 誤差増幅回路
916 飽和検出回路
917 低域通過フィルタ
920 1回路2接点スイッチ
1001 APC回路
1017 低域通過フィルタ
1101 APC回路
1117 低域通過フィルタ
1201 APC回路
1217 低域通過フィルタ
1316 飽和検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を発生するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードにより発生されたレーザー光の一部を受光し、その受光量に応じた電流を出力する受光素子と、
前記受光素子の出力電流を電圧に変換して出力する電流電圧変換回路と、
前記レーザダイオードの発光量の目標値に対応した基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記電流電圧変換回路により出力された電圧と前記基準電圧生成回路により生成された基準電圧との差分を増幅して増幅信号を出力する誤差増幅回路と、
前記誤差増幅回路により出力された増幅信号に対してフィルタ処理を実行し、フィルタ処理後の電圧を出力する低域通過フィルタと、
前記低域通過フィルタにより出力されたフィルタ処理後の電圧に応じて前記レーザダイオードを駆動するレーザダイオード駆動回路とを備えたAPC回路であって、
前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出する飽和検出回路を備え、
前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合に、前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合よりも、前記低域通過フィルタの時定数が小さくなるように構成されていることを特徴とするAPC回路。
【請求項2】
請求項1に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタは、
前記誤差増幅回路により出力された増幅信号を受信する入力ノードと、
前記フィルタ処理後の電圧を出力する出力ノードと、
一端が前記入力ノードに接続されている一方、他端が前記出力ノードに接続されている第1の抵抗と、
一端が前記出力ノードに接続されたコンデンサと、
前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合にはオフされる一方、前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合にはオンされるスイッチと、
前記スイッチと互いに直列に接続されて当該スイッチとで直列回路を構成する第2の抵抗とを備え、
前記直列回路の一端は、前記入力ノードに接続されている一方、前記直列回路の他端は、前記出力ノードに接続されていることを特徴とするAPC回路。
【請求項3】
請求項1に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタは、
前記誤差増幅回路により出力された増幅信号を受信する入力ノードと、
前記フィルタ処理後の電圧を出力する出力ノードと、
一端が前記入力ノードに接続されている一方、他端が前記出力ノードに接続されている第1の抵抗と、
一端が前記出力ノードに接続されたコンデンサと、
前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合にはオフされる一方、前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合にはオンされるスイッチと、
前記スイッチと互いに直列に接続されて当該スイッチとで直列回路を構成する第2の抵抗とを備え、
前記直列回路の一端は、電源電圧を発生する電源ノードに接続されている一方、前記直列回路の他端は、前記出力ノードに接続されていることを特徴とするAPC回路。
【請求項4】
請求項1に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタは、
前記誤差増幅回路により出力された増幅信号を受信する入力ノードと、
前記フィルタ処理後の電圧を出力する出力ノードと、
一端が前記入力ノード及び出力ノードのうちの一方に接続された第1の抵抗と、
一端が前記入力ノード及び出力ノードのうちの前記一方に接続され、前記第1の抵抗よりも低い抵抗値を有する第2の抵抗と、
一端が前記出力ノードに接続されたコンデンサと、
前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合には、前記前記入力ノード及び出力ノードのうちの他方に前記第1の抵抗の他端を接続する一方、飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合には、前記入力ノード及び出力ノードのうちの他方に前記第2の抵抗の他端を接続する1回路2接点スイッチとを備えていることを特徴とするAPC回路。
【請求項5】
請求項1に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタは、
前記誤差増幅回路により出力された増幅信号を受信する入力ノードと、
前記フィルタ処理後の電圧を出力する出力ノードと、
一端が前記入力ノードに接続された第1の抵抗と
一端が電源電圧を発生する電源ノードに接続され、前記第1の抵抗よりも低い抵抗値を有する第2の抵抗と、
一端が前記出力ノードに接続されたコンデンサと、
前記飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されていない場合には、前記出力ノードに前記第1の抵抗の他端を接続する一方、飽和検出回路により前記誤差増幅回路の出力の飽和が検出されている場合には、前記出力ノードに前記第2の抵抗の他端を接続する1回路2接点スイッチとを備えていることを特徴とするAPC回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のAPC回路において、
前記飽和検出回路は、前記誤差増幅回路により出力された増幅信号と、所定の基準固定電圧に対して所定の電位差分の差を有する閾値電圧とを比較し、前記増幅信号と基準固定電圧との差分が前記所定の電位差以下である場合には前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出する一方、前記増幅信号と基準固定電圧との差分が前記所定の電位差を超える場合には前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出しないことを特徴とするAPC回路。
【請求項7】
請求項6に記載のAPC回路において、
前記基準固定電圧は前記誤差増幅回路の電源電圧であることを特徴とするAPC回路。
【請求項8】
請求項7に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタの入力ノード及び飽和検出回路の入力端子に、誤差増幅回路の出力端子と、電源電圧を発生する電源ノードとのうちの一方を接続する1回路2接点スイッチをさらに備えていることを特徴とするAPC回路。
【請求項9】
請求項6に記載のAPC回路において、
前記基準固定電圧は接地電圧であることを特徴とするAPC回路。
【請求項10】
請求項9に記載のAPC回路において、
前記低域通過フィルタの入力ノード及び飽和検出回路の入力端子に、誤差増幅回路の出力端子と、接地電圧を発生する接地ノードとのうちの一方を接続する1回路2接点スィッチをさらに備えていることを特徴とするAPC回路。
【請求項11】
請求項6に記載のAPC回路において、
前記閾値電圧は、前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出しているときに、前記誤差増幅回路の出力の飽和を検出してないときよりも低いことを特徴とするAPC回路。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のAPC回路と、
光ディスクからの戻り光を受け、この戻り光の強度に応じた検出信号を出力する光検出器と、
光検出器により出力された検出信号を復調して2値化した後、再生用デジタルデータに復号する信号復調回路とを備えた光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−4149(P2013−4149A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135509(P2011−135509)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】