説明

APO−Bレベル低下のためのオメガ−3脂肪酸および脂質異常症剤

アポリポタンパク質Bレベルを減少させるために脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせの併用投与または単位投与を用いる方法。この方法は高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合型脂質異常症、冠状動脈性心臓疾患(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患の患者の治療、ならびに心臓血管、心臓性、および血管イベントの予防または軽減に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2006年10月10日に出願された米国仮出願番号60/850,280(出典明示により本発明の一部とする)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、アポリポタンパク質Bレベルを低下させるために脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせの単回投与または単位投与を利用する方法に関する。この方法は、一次高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂質異常症、冠状動脈性心臓疾患(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患の患者の治療、および心血管および血管イベントの予防または縮小に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
ヒトにおいて、コレステロールおよびトリグリセリドは、血流中のリポタンパク質複合体の一部であり、超遠心分離法により高密度リポタンパク質(HDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度リポタンパク質(VLDL)フラクションに分割できる。コレステロールおよびトリグリセリドは肝臓で合成され、VLDLに組み入れられ、血漿中に放出される。高レベルの総コレステロール(総C)、LDL−C、およびアポリポタンパク質B(apo−B、LDL−Cおよび VLDL−Cの膜複合体)はヒトアテローム性動脈硬化を促進し、アテローム性動脈硬化症の発症に関連するHDL−Cおよびその輸送複合体、アポリポタンパク質A(apo−A)のレベルを減少させる。さらに、ヒトにおける心血管系罹患率および死亡率はTCおよびLDL−Cのレベルに正比例して変化し、HDL−Cのレベルと逆比例して変化し得る。加えて、研究者らは、TCからHDL−Cを差し引くことにより決定される非HDLコレステロール(非HDL−C)は、高トリグリセリド血症、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患の重要な指標であることを見出した。非HDL−C粒子は、apo−Bを膜複合体形成アポリポタンパク質として含む。非HDL−Cはアテローム生成apo−B含有粒子中に存在するコレステロールの合計量の良好な尺度であるが、apo−Bの直接測定は、血清単位あたりのアテローム生成粒子の量のさらに良好な尺度を提供し得る。
【0004】
LDL−Cは依然として心血管系リスクを評価するために一般的に使用される脂質値であるが、apo−Bは脂質リスクをより良好に反映し得る。Sniderman、Am.J.Cardiol.90(suppl):48i−54I(2002)は、冠動脈疾患リスクおよび計算されたLDL−Cレベルに対するその優位性の予想においてapo−Bの値を裏付ける証拠を概説している。
【0005】
冠血管疾患(CVD)は、様々な疾患および状態を包含する広義語である。これは、心臓および身体全体にわたって見られる血管すべてからなる心血管系の様々な部分のいずれかにおける障害を意味する。心臓疾患としては、冠動脈疾患、CHD、心筋症、心臓弁膜症、心膜疾患、先天性心疾患(例えば、縮窄、心房または心室中隔欠損症)、および心不全が挙げられる。血管の疾患としては、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、卒中、血管性認知症、動脈瘤、末梢動脈疾患、間欠性跛行、脈管炎、静脈不全、静脈血栓症、静脈瘤、およびリンパ浮腫が挙げられる。血管または冠状動脈血行再建術(ステント留置を用いるかもしくは用いない血管形成、または血管移植)などのCVDの治療を受けている患者もいる。数種の心臓血管疾患は先天性であるが、多くは中年期以降に獲得され、不健康な習慣、例えば座りがちな生活習慣および喫煙に起因する。数種のCVDはさらなる心臓障害、例えば狭心症、主要心血管系有害イベント(MACE)および/または主要冠状動脈イベント(MCE)、例えば心筋梗塞(MI)または冠状動脈インターベンション、またはさらには死(心臓または心臓血管)に至り、このことはCVDを治療し、予防する努力の重要性を際立たせる。
【0006】
一次予防法は、CVD、MACEまたはMCEの開始を遅らせるか、または予防する目的で、CVDの公知危険因子を減少させること、またはその発生を予防することに焦点を置く。二次予防法は、CVDが確立された患者において、再発性CVDを減少させ、死亡率、MACEまたはMCEを減少させることに焦点を置く。
【0007】
MACEとしては、心臓死、他の心血管死、MCE(心筋梗塞(MI)および冠状動脈インターベンション、例えば冠状動脈血行再建術、血管形成、経皮経管冠状動脈血管形成(PTCA)、経皮冠状動脈インターベンション(PCI)および冠状動脈バイパス移植術(CABG)を包含する)、不安定狭心症、卒中、一過性脳虚血発作(TIA)のための入院ならびに末梢動脈疾患(PAD)のための入院および/またはインターベンションが挙げられる。
【0008】
成人における高い血中コレステロール値の検出、評価、および治療に関する全米コレステロール教育プログラム専門委員会の第三次報告、NIH公開番号02−5215(2002年9月)(「NCEP ATP III」としても知られる)は、本発明の一部として参照されるが、CHDのリスクを減少させるためにコレステロール低下療法を推奨する。ATP IIIでは、CHDは、MI、安定または不安定狭心症、非侵襲的検査および冠状動脈治療の履歴により示される心筋虚血をはじめとする症候性虚血性心疾患として定義されている。ATP IIIは、LDL−Cが脂質療法の主要標的であり、制御されるべき他の脂質としては、トリグリセリド(TG)、非HDL−CおよびHDL−Cが挙げられることを示している。Apo−Bは新たな危険因子として記載されている。ATP IIIは脂質療法の主要標的としてLDL−Cに取って代わるために調製されたのではなく、限定された疫学的および臨床試験の証拠がリスク予測においてLDL−Cよりもapo−Bが優れていることを裏付けることを記載している。
【0009】
ATP IIIの指針は、LDL−C低下療法の強度が個体のCHDについての絶対的リスクに対して調節されることである。リスク評価はCHDの短期(≦10年)および長期(>10年)リスクに分類され、LDL−C目標は対応して調節される。加えて、ATP IIIは、LDL−C目標を変更する3種のCHDのリスク、すなわち、確立されたCHDおよびCHDリスク等価物、複数の(2+)危険因子、ならびに0−1危険因子を特定する。確立されたCHDおよびCHDリスク等価物としては、CHD、他の臨床的アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病、および複数の危険因子が挙げられ、CHDの10年リスクは>20パーセントである。危険因子計数において特定される主な独立危険因子としては、喫煙、高血圧症、低HDL−C、早期CHDの家族歴および年齢が挙げられる。
【0010】
3種の危険因子のLDL−C目標は次のとおりである:
【表1】

*10年リスク>20パーセントを有する複数の危険因子の人のLDL−C目標は<100mg/dlである。
ATP IIIもCHDの10年リスクの割合に基づく患者のLDL−C目標の概略を示す:
【表2】

【0011】
一般に「心血管系イベント」として分類される、心筋梗塞(MI)後症候群ならびに高コレステロール血症および高トリグリセリド血症患者の成人内因性過剰脂血を治療するために、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸などの薬剤が使用されてきた。
【0012】
脂質異常症薬としては一般的に、HMG CoAリダクターゼ阻害剤(スタチン)、コレステロール吸収阻害剤、ナイアシンおよび誘導体、例えば、ニコチンアミド、フィブラート、胆汁酸抑制剤、MTP阻害剤、LXR作用物質および/または拮抗物質ならびにPPAR作用物質および/または拮抗物質が挙げられる。
【0013】
スタチンは3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG−CoA)リダクターゼ阻害剤であり、例えば高脂血症および関節硬化症を治療するために用いられてきた。典型的には、スタチン単剤療法は、コレステロールレベルを、特に患者が許容できるLDL−Cレベルにない場合に治療するために用いられてきた。スタチンは、体内のコレステロール産生速度を制御する酵素HMG−CoAリダクターゼを阻害する。スタチンは、コレステロールの産生を減速させ、肝臓が血液中にすでに存在しているLDL−コレステロールを除去する能力を増加させることにより、コレステロールを低下させる。このように、スタチンの主な効果は、LDL−Cレベルを低下させることである。スタチンはCHDリスクを約3分の1に減少させることが証明されている。しかし、スタチンはTG−HDL軸に対して適度な効果しかないようである。様々なスタチンを用いる単剤療法はapo−Bレベルを、例えば、ベースラインから約25%から約40%減少させることも知られている。例えば、Ballantyneら、Am.Heart J.151(5):975.e1−975.e9(2006)参照。
【0014】
コレステロール吸収阻害剤、たとえば エゼチミブおよびMD−0727は、コレステロールの腸管吸収を選択的に阻害する脂質低下化合物の一種である。エゼチミブは小腸の刷子縁に作用し、小腸摂取から腸細胞中への胆汁性および食事性コレステロールを減少させる。2006年世界心臓病学会で発表された研究の結果は、エゼチミブおよびシンバスタチンの組み合わせが、高コレステロール血症患者におけるapo−Bレベルに対して、シンバスタチン単独よりも高い正の効果を有することを実証している。Orseら、Effects Of Ezetimibe/simvastatin On Lipoprotein Subclasses In Patients With Primary Hypercholesterolemia、2006 World Congress− poster presentation;Ballantyneら、Effects of Ezetimibe/Simvastatin Compared to Simvastatin Monotherapyin Reducing C−Reactive Protein and Low Density Lipoprotein−Cholesterol、2006 World Cardiology Congress−poster presentation。
【0015】
コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、例えばトルセトラピブは、CETP分子、とりわけHDL形からLDL形へコレステロールを移動させるものを阻害する。したがってこの分子を阻害することは、HDLコレステロールレベルを増加させるための有望な方法である。トルセトラピブはまた、単剤療法として投与された場合、およびスタチンとの組み合わせで投与された場合のどちらでもLDL−Cおよびapo−Bのレベルを低下させることが記載されている。Bhardwajら、Indian J.Pharmacol.37:46(2005)。
【0016】
ナイアシン(ニコチン酸または3−ピリジンカルボン酸)は高脂血症およびアテローム性動脈硬化症を治療するためにすでに使用されている。ナイアシンは総コレステロール、LDL−Cおよびトリグリセリドを減少させ、HDL−Cを増加させることが知られている。ナイアシン療法はapo−Bの血清レベルを減少させることも知られている。しかし、ナイアシン療法から得られる個々の脂質およびリポタンパク質反応の規模は根本的な脂質異常の重さおよび種類により影響を受け得る。ある研究においては、低用量のナイアシン+アトラバスタチン(20mg)またはロスバスタチン(10mg)のいずれかは、エゼチミブ−シンバスタチンの組み合わせまたはロスバスタチン単独と比較してapo−Bレベルを低下させた。McKenneyら、Atherosclerosis 7(suppl):174.Abstract Tu−W27:4(2006)。
【0017】
フィブラート、例えばフェノフィブラート、ベンザフィブラート、クロフィブラートおよびジェムフィブロジルは、PPAR−アルファ作用物質であり、患者において、トリグリセリドが豊富なリポタンパク質を減少させ、HDLを増加させ、アテローム生成−高比重LDLを減少させるために使用される。フィブラートは典型的にはかかる患者に経口投与される。
【0018】
フェノフィブラートすなわち2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸、1−メチルエチルエステル(フィブラートファミリーに属する)は、血中トリグリセリドおよびコレステロールレベルを低下させるその有効性のために、医薬活性成分として長年知られてきた。フェノフィブラートは水中に非常に難溶性の活性成分であり、フェノフィブラートの消化管中の吸収は限定される。1日あたり40から300mgのフェノフィブラートの治療により、コレステロール血症の20から25%の軽減が可能になり、トリグリセリド血症の40から50%の軽減が可能になる。
【0019】
胆汁酸抑制剤、例えばコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラムは、胆汁酸と結合し、これらの消化系からの再吸収を防止し、コレステロールレベルを減少させる医薬の一種である。胆汁酸抑制剤の通常の効果は、LDL−コレステロールを約10から20パーセント低下させることである。低用量の抑制剤はLDL−コレステロールにおいて有用な減少をもたらし得る。ある研究は、フルバスタチンおよびコレスチラミンを用いた併用療法は、apo−Bレベルにおいて顕著で用量に依存した減少をもたらすことを記載している。Bardら、Am.J.Cardiol.、76(2):65A−70A(2005)。
【0020】
MTP阻害剤、たとえばインプリタピドは、コレステロールおよびトリグリセリドの分泌を阻害することが知られている。
【0021】
肝臓Xレセプター(LXR)は、特異的オキシステロールリガンドに反応して脂質代謝に関与する遺伝子の発現を調節する「コレステロールセンサー」である(Repaら、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.16:459−481(2000))。LXR作用物質および拮抗物質は脂質異常症およびアテローム性動脈硬化症の有効な治療薬である。
【0022】
PPAR−ガンマ作用物質、例えばチアゾリジンジオンピオグリタゾンおよびロシグリタゾンは、心血管系リスクおよびアテローム性動脈硬化症の代理マーカーを改善することが証明されている。例えば、チアゾリジンジオンはC−反応性タンパク質および頸動脈内膜中膜厚を減少させる。非チアゾリジンジオン、例えばテサグリタザル、ナビグリチザルおよびマルグリタザルは二重アルファ/ガンマPPAR作用物質である。これらの化合物は、グルコース、インスリン、トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を低下させるために使用される。ある研究において、ロシグリタゾンはapo−Bレベルを有意に減少させることが証明された。Goldbergら、Diabetes Care 28(7):1547−1554(2005)。
【0023】
部分PPAR−ガンマ作用物質/拮抗物質、例えばメタグリダセンはII型糖尿病の治療に用いられる。
【0024】
海産物油(通常、魚油とも呼ばれる)は、脂質代謝を調節することが判明している2種のオメガ−3脂肪酸、つまりエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)の良好な供給源である。オメガ−3脂肪酸は心臓血管疾患、特に軽い高血圧症、高トリグリセリド血症の危険因子、および凝固第VII因子リン脂質複合体活性に対して影響を及ぼすことが判明している。オメガ−3脂肪酸は血清トリグリセリドを低下させ、血清HDL−コレステロールを増加させ、収縮期および拡張期血圧ならびに脈拍数を低下させ、血液凝固第VII因子−リン脂質複合体の活性を低下させる。さらに、オメガ−3脂肪酸は重大な副作用を生じることなく良好な耐容性を示すようである。
【0025】
オメガ−3脂肪酸のこのような形態の一つは、DHAおよびEPAを含有する魚油由来のオメガ−3長鎖多飽和脂肪酸の濃縮物であり、過去にはOmacor(登録商標)という商標名で販売され、現在はLovaza(商標)として知られている。オメガ−3脂肪酸のこのような形態は、例えば米国特許第5,502,077号、第5,656,667号および第5,698,594号(それぞれ本発明の一部として参照される)に記載されている。
【0026】
混合型脂質異常症または高コレステロール血症の患者はしばしば190mg/dlより高いLDLコレステロールの血中レベル、200mg/dl以上のトリグリセリドレベル、および0.9g/lより高いapo−Bレベルを示す。高トリグリセリド血症、高コレステロール血症および/または混合型脂質異常症の多くの患者において、食事および単剤療法を用いることにより、目標値に達するために十分適切にLDLコレステロール、トリグリセリドおよび/またはapo−Bレベルが減少するとは限らない。これらの患者においては、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の相補的併用療法が望ましい。
【0027】
多くの研究は、オメガ−3脂肪酸およびスタチン療法のapo−Bレベルに対する複合効果を調査した。これらの研究のほとんどはスタチンがapo−Bレベルを有意に減少させることを確認したが、ほとんどの研究は、オメガ−3脂肪酸治療を追加してもapo−Bレベルの有意なさらなる減少はないことも報告している。
【0028】
Hongらは、冠状動脈性心臓疾患および混合型脂質異常症の患者における魚油およびシンバスタチンの効果を調査した。292.8mg/dlまたは269.5mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する患者をまず10〜20mg/日のシンバスタチンで6〜12週間治療した。その後、この患者をシンバスタチンおよびプラセボまたはシンバスタチンおよび3g/日の魚油(Meilekang(商標))で治療した。併用治療はベースラインおよびプラセボと比較してトリグリセリドレベルを有意に減少させた。加えて、併用治療は、ベースラインと比較して、HDL−Cレベルを数値的に増加させ、LDL−Cレベルを数値的に減少させた。しかし、HDL−CレベルおよびLDL−Cレベルにおける変化は統計的に有意ではなかった。apo−Bのレベルは併用治療群においては上昇したが、apo−Bレベルはプラセボ群においては数値的に減少した。Hongら、Chin.Med.Sci.J.19:145−49(2004)。
【0029】
Contacosらは、混合型高脂血症の患者に対する魚油およびプラバスタチンの効果を調査した。4.6から5.5ミリモル/l(404から483mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者をまず、40mg/日のプラバスタチン、6g/日の魚油(Himega(商標)、3gのオメガ−3脂肪酸を含有、EPA/DHA比2:1)、またはプラセボで6週間治療した。その後、全患者をプラバスタチンおよび魚油でさらに12週間治療した。プラバスタチンでの初期治療はLDL−Cレベルを有意に減少させた。プラバスタチンおよび魚油の併用治療もトリグリセリドおよびLDL−Cレベルを有意に減少させた。しかし、魚油をプラバスタチン単剤療法に追加すると、LDL−Cレベルが数値的に増加しただけで、これは統計的に有意ではなかった。魚油単独での治療もトリグリセリドレベルを有意に減少させたが、LDL−Cレベルを増加させた。この群に関して併用治療は魚油単独と比べて(ベースラインと比較してではなく)LDL−Cレベルを有意に減少させた。Apo−Bレベルはプラバスタチン治療で有意に減少した。魚油を用いた併用療法はapo−Bレベルをさらに数値的に減少させたが、このさらなる減少はプラバスタチン単剤療法と比較して有意ではなかったと報告された。Contacosら、Arterioscl.Thromb.13:1755−62(1993)。
【0030】
Grekasらは、腎移植後脂質異常症における低用量プラバスタチンおよび魚油の併用療法について記載している。30人の免疫抑制療法に対して持続性高コレステロール血症を有する腎臓移植患者(総コレステロール>200mg/dl)に標準食を4週間与え、続いて20mgのプラバスタチンを用いた治療を8週間行った。食事段階でのベースライントリグリセリドレベルは184mg/dlであった。この期間の後に、さらに4週間標準食を与え、次いで8週間20mgプラバスタチン+1gの魚油(Prolipid)での治療を行った。食事段階でのベースライントリグリセリドレベルは169mg/dlであった。Apo−Bレベルは食事+スタチン療法で有意に減少しなかった。しかし、食事+スタチン+魚油はapo−Bレベルを有意に減少させることが報告された。Grekasら、Nephron(2001)88:329−333。Grekasらの研究結果は、これらの研究がプラバスタチン療法単独でapo−Bレベルにおいて有意な減少を示さないことから疑わしい。PRAVACHOL(登録商標)(プラバスタチン)は一次高コレステロール血症および混合型脂質異常症の患者において高いapo−Bレベルを減少させるために食事への添加物として必要とされる。したがって、Grekasらの研究はプラバスタチンを用いて有意なapo−B減少を示さなかったという事実により、この研究は疑わしくなる。
【0031】
Huffらは、食用魚油およびロバスタチンの組み合わせがミニブタにおいて超低密度リポタンパク質(VLDL)および低密度リポタンパク質(LDL)フラクションの両方でapo−Bレベルを減少させることを見出した。しかし、この研究は併用療法を魚油単剤療法に対して比較しただけで、併用療法をスタチン単剤療法に対して比較しなかった。Huffら、Arteroscl.Thromb.、12(8):901−910(1992年8月)。
【0032】
Julaらは高コレステロール血症の男性における様々な血清脂質に対する食事およびシンバスタチンの影響を研究した。オープンプラセボ期間の後、対象を「習慣的食事」群または「食事療法」群に振り分けた。食事療法は地中海型食事であり、ここではエネルギーの10%以下が飽和およびトランス不飽和脂肪酸由来であり;コレステロール摂取が250mg/日以下であり;植物および海産物起源のオメガ−3脂肪酸摂取が少なくとも4g/日であり、オメガ−6脂肪酸のオメガ−3脂肪酸に対する割合が4未満であり;果実、野菜および可溶性繊維の摂取が増加した。対象にその後、20mg/日のシンバスタチンまたはプラセボも、12週間、二十盲・交差式方法で摂取させた。食事療法群およびシンバスタチン群の対象はapo−Bレベルが有意に減少した。2つの変数間の相互作用は有意であると報告された。Julaら、JAMA 287(5):598−605(2002)。
【0033】
米国特許出願公開番号2003/0170643は、ER後分泌前タンパク質分解(PERPP)を刺激することにより、apo−Bおよび/またはapo−B含有リポタンパク質および/またはアテローム生成リポタンパク質の成分の血漿濃度を低下させる治療薬を投与することによって患者を治療する方法を具体化している。
【0034】
研究ではスタチンおよびOmacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸の効果を調査している。例えば、Hansenらは、高コレステロール血症の患者において6g/日のOmacor(登録商標)オメガ−3脂肪酸と組み合わせたロバスタチン(40mg/日)の効果を調べた。1.66ミリモル/l(約146mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を6g/日のOmacor(登録商標)で6週間、続いて40mg/日のロバスタチンでさらに6週間、そしてOmacor(登録商標)およびロバスタチン両方の組み合わせで最後の6週間治療した。ロバスタチン単剤療法の結果、HDL−Cレベルが有意に増加し、トリグリセリドおよびLDL−Cレベルが有意に減少した。併用療法後、トリグリセリドおよびLDL−Cレベルはさらに有意に減少した。Apo−Bレベルはロバスタチン単剤療法で有意に減少し、オメガ−3脂肪酸の追加でさらに数値的に減少したが、このようなさらなる減少はロバスタチン単剤療法と比較して有意であるとは示されなかった。Hansenら、Arterioscl.Thromb.14(2):223−229(1994年2月)。
【0035】
Nordoyらは、脂肪過剰血症の患者に対するアトラバスタチンおよびオメガ−3脂肪酸の効果を調査した。3.84ミリモル/l(約337mg/dl)または4.22ミリモル/l(約371mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を、10mg/日のアトラバスタチンで5週間治療した。その後、さらに5週間、アトラバスタチン治療に2g/日のOmacor(登録商標)またはプラセボを追加した。アトラバスタチン単剤療法は、ベースラインと比較して、HDL−Cレベルを有意に増加させ、トリグリセリド、LDL−Cおよびapo−Bレベルを有意に減少させた。併用療法は、アトラバスタチン単独と比較して、HDL−Cレベルをさらに増加させた。トリグリセリド、LDL−Cおよびapo−Bレベルは、アトラバスタチン単剤療法と比べて併用療法で数値的にさらに若干減少したが、減少は有意ではなかった。Nordoyら、Nutr.Metab.Cardiovasc.Dis.(2001)11:7−16。
【0036】
Chanらは、脂質異常症の肥満体・インスリン抵抗性男性(絶食状態で研究)に対するアトラバスタチン(40mg/日)および4g/日の4Omacor(登録商標)の併用治療を研究した。1.7から2.0ミリモル/l(約150から170mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を6週間:40mg/日のアトラバスタチンおよびプラセボ;4g/日のOmacor(登録商標)およびプラセボ;アトラバスタチンおよびOmacor(登録商標)の組み合わせ;またはプラセボの組み合わせで治療した。アトラバスタチン単剤療法はapo−Bレベルを有意に減少させた。併用療法もプラセボ群と比較してapo−Bレベルを有意に減少させた。しかし、Omacor(登録商標)に起因する効果は有意ではなかった。Chanら、Diabetes、51:2377−2386(2002年8月)。
【0037】
Nordoyらは、家族性高コレステロール血症はあるが心臓血管疾患に罹っていない患者において40mg/日のロバスタチンおよび6g/日のOmacor(登録商標)(「K−85」と同定)の併用療法の有効性を研究した。この研究は、3回の診療期間(それぞれ6週間の長さで、6週間のウォッシュアウト期間を間にはさむ)を含んでいた。最終試験は最後の診療後12週間で行った。Apo−Bレベルはオメガ−3脂肪酸単剤療法で数値的に若干減少したが、ロバスタチン単剤療法で有意に減少した。併用療法はまたベースラインと比較してapo−Bレベルを有意に減少させた。しかし、この減少はロバスタチン単剤療法と比較して有意であることが示されなかった。Nordoyら、Essent.Fatty Acids Eicosanoids、Invited Pap.Int’l Congr.4th、256−61(1998)。
【0038】
Nordoyらは、高脂血症の患者においてシンバスタチンおよびオメガ−3脂肪酸での治療の有効性および安全性も調査した。2.76ミリモル/l(約243mg/dl)または3.03ミリモル/l(約266mg/dl)のベースライントリグリセリドレベルを有する患者を20mg/日のシンバスタチンまたはプラセボで5週間治療し、次いですべての患者を20mg/日のシンバスタチンでさらに5週間治療した。その後、患者を4g/日のOmacor(登録商標)またはプラセボでさらに5週間さらに治療した。オメガ−3脂肪酸をシンバスタチンとともに投与した結果、血清総コレステロールが中程度に減少し、トリグリセロールレベルが減少し、apo−Bレベルが若干数値的に減少した。しかし、オメガ−3脂肪酸に起因する効果は有意ではなかった。Nordoyら、J. of Internal Medicine、243:163−170(1998)。
【0039】
Durringtonらは、確立された冠状動脈性心臓疾患および持続性高トリグリセリド血症を有する患者においてOmacor(登録商標)オメガ−3酸およびシンバスタチンの組み合わせの有効性、安全性、および耐性を調べた。>2.3ミリモル/lの平均ベースライントリグリセリドレベル(平均患者血清トリグリセリドレベルは4.6ミリモル/lであった)を、10〜40mg/日のシンバスタチンおよび2g/日のOmacor(登録商標)またはプラセボで24週間、二重盲検試験において治療し、その後、両群にオープン試験でさらに24週間Omacor(登録商標)を摂取させた。併用療法は12週間でベースライン単剤療法と比べて有意にトリグリセリドレベルを減少させた。加えて、これらの患者におけるVLDLコレステロールレベルは30〜40%減少した。LDL−Cレベルはベースライン単剤療法と比べて、わずか48週後に有意に減少したが、12および24週で数値的な(統計的に有意でない)減少があった。Apo−Bレベルはオメガ−3脂肪酸をシンバスタチン単剤療法に加えると若干数値的な(統計的に有意でない)減少を示した。Durringtonら、Heart、85:544−548(2001)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】米国特許第5,502,077号
【特許文献2】米国特許第5,656,667号
【特許文献3】米国特許第5,698,594号
【特許文献4】米国特許出願公開番号2003/0170643
【非特許文献】
【0041】
【非特許文献1】Sniderman、Am.J.Cardiol.90(suppl):48i−54I(2002)
【非特許文献2】成人における高い血中コレステロール値の検出、評価、および治療に関する全米コレステロール教育プログラム専門委員会の第三次報告、NIH公開番号02−5215(2002年9月)
【非特許文献3】Ballantyneら、Am.Heart J.151(5):975.e1−975.e9(2006)
【非特許文献4】Orseら、Effects Of Ezetimibe/simvastatin On Lipoprotein Subclasses In Patients With Primary Hypercholesterolemia、2006 World Congress− poster presentation;Ballantyneら、Effects of Ezetimibe/Simvastatin Compared to Simvastatin Monotherapyin Reducing C−Reactive Protein and Low Density Lipoprotein−Cholesterol、2006 World Cardiology Congress−poster presentation
【非特許文献5】Bhardwajら、Indian J.Pharmacol.37:46(2005)
【非特許文献6】McKenneyら、Atherosclerosis 7(suppl):174.Abstract Tu−W27:4(2006)
【非特許文献7】Bardら、Am.J.Cardiol.、76(2):65A−70A(2005)
【非特許文献8】Repaら、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.16:459−481(2000)
【非特許文献9】Goldbergら、Diabetes Care 28(7):1547−1554(2005)
【非特許文献10】Hongら、Chin.Med.Sci.J.19:145−49(2004)
【非特許文献11】Contacosら、Arterioscl.Thromb.13:1755−62(1993)
【非特許文献12】Grekasら、Nephron(2001)88:329−333
【非特許文献13】Huffら、Arteroscl.Thromb.、12(8):901−910(1992年8月)
【非特許文献14】Julaら、JAMA 287(5):598−605(2002)
【非特許文献15】Hansenら、Arterioscl.Thromb.14(2):223−229(1994年2月)
【非特許文献16】Nordoyら、Nutr.Metab.Cardiovasc.Dis.(2001)11:7−16
【非特許文献17】Chanら、Diabetes、51:2377−2386(2002年8月)
【非特許文献18】Nordoyら、Essent.Fatty Acids Eicosanoids、Invited Pap.Int’l Congr.4th、256−61(1998)
【非特許文献19】Nordoyら、J. of Internal Medicine、243:163−170(1998)
【非特許文献20】Durringtonら、Heart、85:544−548(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
脂質異常症剤での単剤療法よりもapo−Bレベルの減少を増加させるための方法が必要とされているがまだ対処されていない。この方法は、ヒト対象などの対象において、以下の1以上の治療:高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合型脂質異常症、冠状動脈性心臓疾患(CHD)、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患、および/または心血管系および/または血管イベントの予防または軽減に特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、apo−Bレベルを減少させるために脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを利用する方法を提供し、これは以下の1以上の治療:高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、混合型脂質異常症、冠状動脈性心臓疾患、血管疾患、アテローム性動脈硬化症および関連する疾患、および/または心血管系および血管イベントの予防または軽減に適している。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、対象における血液脂質治療の方法であって、この対象に有効量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを含む方法を包含し、ここで、対象におけるapo−Bレベルは、脂質異常症剤単独での治療と比較して減少する。
【0045】
他の実施形態において、本発明は、対象群においてapo−Bレベルを減少させる方法であって、対象群を提供し、この対象群に脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを、脂質異常症剤単独での治療と比較してこの対象群のapo−Bレベルを減少させるために有効な量で投与することにより、この対象群におけるapo−Bレベルを減少させることを含む方法を包含する。好ましい実施形態において、対象群は次の疾患のうちの少なくとも1つを有する:高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合型脂質異常症、血管疾患、および/またはアテローム性動脈硬化症および関連する疾患。
【0046】
さらなる実施形態において、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を含む単位投与形態などの複合製品としての一つの医薬組成物として投与する。
【0047】
好ましい実施形態において、医薬組成物は、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号および第5,698,594号に記載されているようなLovaza(商標)オメガ−3脂肪酸を含む。好ましい実施形態において、医薬組成物は組成物の全脂肪酸含量に対して少なくとも40重量%の濃度で存在するオメガ−3脂肪酸を含む。
【0048】
さらに他の好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸は組成物の全脂肪酸含量と比較して少なくとも50重量%のEPAおよびDHAを含み、EPAおよびDHAは、EPA:DHAの重量比が99:1から1:99、好ましくは1:2から2:1である。
【0049】
本発明のバリエーションにおいて、脂質異常症剤は、ピタバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、アトラバスタチン、ロバスタチンおよびフルバスタチンをはじめとするスタチンであるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、オメガ−3脂肪酸と組み合わせて使用されるスタチンはシンバスタチンである。
【0050】
本発明の一つの態様において、一次高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂質異常症の患者の治療において、併用製品を使用する。
【0051】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせの初回投与前、すなわちベースラインでの対象(または対象群)の血清中のトリグリセリドレベルは約200から約499mg/dlである。
【0052】
本発明は、本明細書において表示される治療法のいずれかに有用な医薬を製造するために有効な量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の使用も包含する。
【0053】
本発明の他の特徴および利点は、以下の試験によるか、または本発明の実施により当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、脂質異常症剤単独の治療で得られるレベルを超えてapo−Bレベルを減少させるために脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を利用することに関する。本発明の方法は、一次高トリグリセリド血症または高コレステロール血症または混合型脂質異常症、冠状動脈性心臓疾患、血管疾患、アテローム性動脈硬化症ならびに関連する疾患の治療および/または心血管系および/または血管イベントの予防もしくは軽減に特に有用である。好ましい実施形態において、対象は0.9g/lより高いベースラインapo−Bレベルを有し、本発明の使用はapo−Bレベルを0.9g/l未満に減少させる。
【0055】
いくつかの実施形態において、対象は少なくとも少なくとも130mg/dl、さらに好ましくは少なくとも160mg/dlの非HDL−Cレベルを有し、本発明の使用はapo−Bレベルを、好ましくはベースラインと比較して、および/または、脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも2%減少させる。
【0056】
いくつかの実施形態において、対象は上昇したLDL−Cレベル(例えば、少なくとも100mg/dl、少なくとも100mg/dlであり130mg/dl未満、少なくとも130mg/dl、または少なくとも160mg/dl)および/または上昇したトリグリセリドレベル(例えば、少なくとも150mg/dl、少なくとも200mg/dl、200〜499mg/dl、または少なくとも500mg/dl)を有し、両方の場合、対象を混合型脂質異常症と見なすことができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明は新規組み合わせを提供する。好ましい実施形態において、この組み合わせはオメガ−3脂肪酸および脂質異常症剤を含み、オメガ−3脂肪酸を脂質異常症剤の投与と同時に、例えば単一固定用量医薬組成物として、または同時に投与される別個の組成物として投与する。
【0058】
他の好ましい実施形態において、投与はオメガ−3脂肪酸および脂質異常症剤を含み、ここでオメガ−3脂肪酸は脂質異常症剤の投与とは別であるが、併用療法計画において投与される。例えば、脂質異常症剤は1日1回投与することができ、オメガ−3脂肪酸は1日2回投与することができる。本開示の恩恵を受ける当業者は、オメガ−3脂肪酸および脂質異常症剤を投与するための正確な投与量およびスケジュールが多くの因子、たとえば投与経路、状態の重篤度、他の共存症、および他の薬物治療の使用により様々であることを理解するであろう。
【0059】
いくつかの実施形態において、権利を請求する投与法は最初に使われる治療法、つまり状態または疾患について施される最初の種類の治療法である。他の実施形態において、権利を請求する治療法は第二に使われる治療法、つまり初期治療(最初に使われる治療法、例えば、脂質異常症剤またはオメガ−3脂肪酸治療単独)が治療目標に関して適切に効かなかった場合、またはたとえば患者の生理学的変化もしくはCHD危険因子の変化のために適切でなくなった場合に施される治療である。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明は第一次予防に適している。他の実施形態において、本発明は第二次予防に適している。
【0061】
好ましい実施形態において、選択された対象群は、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の併用療法の前に脂質異常症剤療法を受けた。他の活性剤(オメガ−3脂肪酸以外)も脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の併用療法の前に用いられた。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明は対象群における血液脂質療法であって、対象群に有効量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを含む方法を包含し、ここで、対象群に投与した後、対象群のトリグリセリドレベルおよびapo−Bレベルは、脂質異常症剤単独で治療された対照群に比べて減少し、対象群のHDL−Cレベルは脂質異常症剤単独で治療された対照群と比較して、および/またはベースラインと比較して増大する。この対象群は、好ましくは200〜499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0063】
他の好ましい実施形態において、本発明は対象群における血中脂質療法であって、この対象群に有効量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを含み、対象群に投与した後、この対象群のトリグリセリドレベルおよびapo−Bレベルは脂質異常症剤単独で治療された対照群と比較して減少し、ベースラインと比べて1%を超えてLDL−Cを増加させない方法を包含する。対象群は好ましくは200から499mg/dlのトリグリセリドレベルを有する。
【0064】
他の好ましい実施形態において、本発明は対象群における血中脂質療法であって、この対象群に有効量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを含み、対象群に投与した後、この対象群の非HDL−Cレベル、総コレステロールレベル、トリグリセリドレベル、およびapo−Bレベルが脂質異常症剤単独で治療された対照群に比べて減少し、対象群のHDL−Cレベルが脂質異常症剤単独で治療された対照群と比べて増加し、ベースラインと比べて1%を超えてLDL−Cを増加させない方法を包含する。
【0065】
他の好ましい実施形態において、本発明は対象群における血中脂質療法であって、この対象群に有効量の脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸を投与することを含み、この対象群に投与した後、対象群の非HDL−Cレベルが 脂質異常症剤単独で治療された対照群と比べて減少する方法を包含する。対象群は好ましくは200から499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する。
【0066】
他の好ましい実施形態において、本発明は対象群におけるLDL−Cレベルを増加させることなくこの対象群におけるトリグリセリドレベルおよびapo−Bレベルを減少させる方法であって、対象群を提供し、LDL−Cレベルを増加させることなくこの対象群におけるトリグリセリドレベルおよびapo−BレベルをHMG−CoAリダクターゼ阻害剤単独での処理と比べて減少させるために有効な量で脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを対象群に投与することによってトリグリセリドレベルおよびapo−Bレベルを減少させることを含む方法を包含する。
【0067】
「脂質異常症剤単独での処理と比べて」という言い回しは、同じ対象または対象群の治療、または異なる治療群において匹敵する対象または対象群(すなわち、コレステロールまたはトリグリセリドレベルなどの特定の血中タンパク質または脂質に関して同じ種類内に含まれる対象)の治療を意味する。具体的に例示された方法に関して、「減少させる」および「増加させる」という用語は、その一般的かつ慣例的意味に関して、統計的に有意な減少または増加、すなわち、5%以下(p=0.05以下)、さらに好ましくは2.5%以下(p=0.025以下)の変化の確率を意味することが意図される。本発明のいくつかの実施形態において、脂質異常症剤単独はあるレベルを統計的に有意に減少または増加させ(たとえばapo−Bレベルを減少させ)、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の併用療法はこのレベルをさらに統計的に有意に減少または増加させる。
【0068】
apo−Bレベルを減少させることに加えて、本発明の方法および組成物は、脂質異常症剤単独での治療に比べて、治療された対象または対象群における以下の脂質レベルのいずれかを減少させるためにも使用できる:非HDL−Cレベル、トリグリセリドレベル、VLDL−Cレベル、総Cレベル、RLP−Cレベル、Lp−PLA2レベルおよび/またはApo−C3レベル。本発明の方法および組成物は脂質異常症剤単独での治療と比べてHDL−Cレベルを増加させるためにも使用できる。好ましくは、本発明の方法および組成物はベースラインと比較してLDL−Cレベルを増加させることなく用いられる。
【0069】
好ましくは、非HDL−Cレベルはベースラインから少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%減少させることができる。
【0070】
好ましくは、トリグリセリドレベルはベースラインと比べて少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約25%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、さらに好ましくは少なくとも約20%減少させることができる。
【0071】
好ましくは、VLDL−Cレベルは、ベースラインと比べて少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、さらに好ましくは少なくとも約25%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、さらに好ましくは少なくとも約20%減少させることができる。
【0072】
好ましくは、総Cレベルは、ベースラインと比べて少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約2%、好ましくは少なくとも約3%減少させることができる。
【0073】
好ましくは、RLP−Cレベルは、ベースラインと比べて少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、さらに好ましくは少なくとも約25%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約15%、さらに好ましくは少なくとも約20%減少させることができる。
【0074】
好ましくは、Lp−PLA2レベルは、ベースラインと比べて少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%、さらに好ましくは少なくとも約10%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%、さらに好ましくは少なくとも約7%減少させることができる。
【0075】
好ましくは、apo−Bレベルは、ベースラインと比べて少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約4%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約1%、好ましくは少なくとも約2%減少させることができる。
【0076】
好ましくは、Apo−C3レベルはベースラインと比べて少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約7%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約8%、好ましくは少なくとも約10%減少させることができる。
【0077】
好ましくは、HDL−Cレベルは、ベースラインと比べて少なくとも約2%、好ましくは少なくとも約3%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%減少させることができる。
【0078】
好ましくは、本発明は、総コレステロールのHDL−Cに対する比をベースラインと比べて少なくとも約5%、さらに好ましくは少なくとも約10%、および/または脂質異常症剤単独での治療よりも少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%減少させることができる。
【0079】
本発明は、現在公知であるか、または将来的に公知になる脂質異常症剤を一般的に安全と認識される量で組み入れることができる。好ましい脂質異常症剤としては、HMG CoAリダクターゼ阻害剤、たとえばスタチン、コレステロール吸収阻害剤、たとえばこれらに限定されないがエゼチミブ、ナイアシンおよび誘導体、たとえばニコチンアミド、CETP阻害剤、たとえばこれらに限定されないがトルセトラピブ、フィブラート、たとえばこれらに限定されないがフェノフィブラート、ベンザフィブラート、クロフィブラートおよびジェムフィブロジル、胆汁酸抑制剤、たとえばこれらに限定されないがコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラム、MTP阻害剤、たとえばこれらに限定されないがWO00/38725およびScience、282、1998年10月23日、pp.751−754(出典明示により本発明の一部として参照される)に開示されているもの、LXR作用物質および/または拮抗物質、ならびにPPAR作用物質および拮抗物質(たとえばこれらに限定されないがPPAR−アルファ、PPAR−ガンマ、PPAR−デルタ、PPAR−アルファ/ガンマ、PPAR−ガンマ/デルタ、PPAR−アルファ/デルタ、およびPPAR−アルファ/ガンマ/デルタ作用物質、拮抗物質および部分作用物質および/または拮抗物質)、たとえばこれらに限定されないがチアゾリジンジオン、非チアゾリジンジオンおよびメタグリダセンが挙げられる。現在広く利用可能な6種のスタチン:アトラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンがある。7番目のスタチンであるピタバスタチンは臨床試験中である。8番目のスタチンであるセリバスタチンは現在のところアメリカ合衆国市場から除去されている。しかし、セリバスタチンが最終的に安全かつ有効であることが確認されたならば、セリバスタチンを本発明のいくつかの実施形態と併せて使用できることは当業者には理解できる。
【0080】
一般に、脂質異常症剤の効果は用量依存性である。すなわち、用量が高いほど、治療効果が大きい。しかし、各脂質異常症剤の効果は異なるので、1つの脂質異常症剤の治療効果のレベルは、他の脂質異常症剤の治療効果のレベルと必ずしも直接相関するとは限らない。しかし、当業者らは特定の対象に投与されるべき正確な投与量が経験および状態の重篤度に基づくことを理解するであろう。
【0081】
本明細書において用いられる場合、「オメガ−3脂肪酸」という用語は、天然もしくは合成オメガ−3脂肪酸、または医薬的に許容されるエステル、誘導体、複合体(例えば、Zalogaら、米国特許出願公開番号2004/0254357、およびHorrobinら、米国特許第6,245,811号(それぞれ出典明示により本発明の一部として参照される)を参照)、これらの前駆体もしくは塩およびこれらの混合物を包含する。オメガ−3脂肪酸油の例としては、これらに限定されないが、オメガ−3多飽和長鎖脂肪酸、たとえばエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびα−リノレン酸;オメガ−3脂肪酸のグリセロールとのエステル、たとえばモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド;ならびにオメガ−3脂肪酸および第一、第二または第三アルコールのエステル、たとえば、脂肪酸メチルエステルおよび脂肪酸エチルエステルが挙げられる。好ましいオメガ−3脂肪酸油は長鎖脂肪酸、たとえばEPAまたはDHA、これらのトリグリセリド、これらのエチルエステルおよびこれらの混合物が挙げられる。オメガ−3脂肪酸またはこれらのエステル、誘導体、複合体、前駆体、塩およびこれらの混合物を、その純粋な形態または魚油、好ましくは精製油濃縮物などの油の一成分としてのいずれかで使用できる。本発明における使用に適した商業的オメガ−3脂肪酸の例としては、Incromega F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162、TG2779、TG2928、TG3525およびE5015(Croda International PLC、Yorkshire、England)、ならびにEPAX6000FA、EPAX5000TG、EPAX4510TG、EPAX2050TG、K85TG、K85EE、K80EEおよびEPAX7010EE(Pronova Biocare a.s.、1327 Lysaker、Norway)が挙げられる。
【0082】
好ましい組成物としては、米国特許第5,502,077号、第5,656,667号および第5,698,694号(出典明示によりその全体として本発明の一部として参照される)において言及されているオメガ−3脂肪酸が挙げられる。
【0083】
別の好ましい組成物は、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、なお一層好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、またはさらには少なくとも90重量%の濃度で存在するオメガ−3脂肪酸を含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は少なくとも50重量%、さらに好ましくは少なくとも60重量%、なお一層好ましくは少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80%、たとえば約84重量%のEPAおよびDHAを含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は約5から約100重量%、さらに好ましくは約25から約75重量%、なお一層好ましくは約40から約55重量%、最も好ましくは約46重量%のEPAを含む。好ましくは、オメガ−3脂肪酸は約5から約100重量%、さらに好ましくは約25から約75重量%、なお一層好ましくは約30から約60重量%、最も好ましくは約38重量%のDHAを含む。前記のすべての比は特に別の定めのない限り、組成物中の全脂肪酸含量に対する重量基準である。重量比は遊離酸またはエステル形態基準であるが、本発明にしたがって他の形態が用いられる場合でも、オメガ−3脂肪酸のエチルエステル形態に基づくのが好ましい。
【0084】
EPA:DHA比は99:1から1:99、好ましくは4:1から1:4、さらに好ましくは3:1から1:3、最も好ましくは2:1から1:2である。オメガ−3脂肪酸は純粋なEPAまたは純粋なDHAを含み得る。
【0085】
オメガ−3脂肪酸組成物は任意に化学酸化防止剤、たとえばアルファトコフェロール、油、たとえば大豆油および部分的水素化植物油、および潤滑剤、たとえば、ヤシ油、レシチンおよびその混合物を包含する。
【0086】
オメガ−3脂肪酸の最も好ましい形態はLovaza(商標)オメガ−3酸(K85EE、Pronova Biocare A.S.、Lysaker、Norway)であり、好ましくは(投与形態あたり)次の特性を含む:
【表3】

【0087】
脂質異常症剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の併用製品を、カプセル、錠剤、飲料中に分散させることができる散剤、または別の固体経口投与形態、液体、ソフトゲルカプセル、コーティングされたソフトゲルカプセル(米国出願番号11/716,020(出典明示により本発明の一部として参照される)を参照)、または当該分野において公知の他の都合のよい投与形態、たとえばカプセル中の経口液体で投与することができる。いくつかの実施形態において、カプセルはハードゼラチンを含む。併用製品は注射または注入に適した液体中に含まれていてもよい。本発明の活性成分は1以上の不活性な医薬成分(ここでは一般に「賦形剤」とも呼ばれる)の組み合わせとともに投与することもできる。不活性成分は、たとえば、適用可能で有効な製剤(安全で便利で他の点で使用に許容できる)中に、活性成分を可溶化、懸濁、増粘、希釈、乳化、安定化、保存、保護、着色、風味付け、調製する働きをする。
【0088】
賦形剤としては、界面活性剤、たとえばプロピレングリコールモノカプリレート、グリセロールおよび長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステルの混合物、ポリエトキシル化ヒマシ油、グリセロールエステル、オレオイルマクロゴールグリセリド、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、ポリエチレン−ポリプロピレングリコールコポリマー、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、共溶媒、たとえばエタノール、グリセロール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール、ならびに油、たとえばココナツ油、オリーブ油またはベニバナ油が挙げられる。界面活性剤、共溶媒、油またはこれらの組み合わせの使用は、一般に医薬分野において公知であり、当業者には理解されるように、任意の好適な界面活性剤を本発明およびその実施形態と関連して使用することができる。
【0089】
濃縮オメガ−3脂肪酸は約0.1gから約10g、さらに好ましくは約1gから約8g、最も好ましくは約2gから約6gの一日量で投与することができる。一つの実施形態において、オメガ−3脂肪酸を最高4g/日までの量で投与する。
【0090】
脂質異常症剤を単回投与製品として通常の成人用量を超えるか、または成人用量に等しいか、または成人用量より少ない量で投与することができる。例えば、脂質異常症剤を単回投与製品として通常の成人用量の10〜100%、好ましくは約25〜100%、最も好ましくは約50〜80%の量で投与することができる。本発明の一つの実施形態において、脂質異常症剤はHMG−CoAリダクターゼ阻害剤、またはスタチンであり、これらは一般に1グラムのオメガ−3脂肪酸あたり約0.5mgから80mg、さらに好ましくは約1mgから約40mg、最も好ましくは約5mgから約20mgの量で存在し得る。一日量は約2mgから約320mg、好ましくは約4mgから約160mgの範囲であり得る。
【0091】
本発明のいくつかのバリエーションにおいて、脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを単回投与または単位投与形態に処方する。好ましい実施形態において、脂質異常症剤は:ピタバスタチン、アトラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンの群から選択されるスタチンである。
【0092】
Pravachol(登録商標)(Bristol−Myers Squibb、Princeton、NJにより製造)として市場で知られているプラバスタチンは親水性である。プラバスタチンは食物なしで、すなわち空腹で最もよく吸収される。濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与におけるプラバスタチンの用量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり、好ましくは2.5から80mg、好ましくは5から60、さらに好ましくは10から40mgである。一つのバリエーションにおいて、プラバスタチンを使用する併用製品は就寝時付近、たとえば午後10時に摂取される。
【0093】
Merck、Whitehouse Station、NJによりMevacor(登録商標)の名称で市販されているロバスタチンは疎水性である。プラバスタチンと異なり、ロバスタチンは食事とともに摂取すべきであり、従っていくつかの実施形態において、濃縮オメガ−3脂肪酸およびロバスタチンの併用製品は食品とともに摂取すべきである。ロバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与において、好ましくは濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり2.5から100mg、好ましくは5から80mg、さらに好ましくは10から40mgである。
【0094】
Merck、Whitehouse Station、NJによりZocor(登録商標)の名称で市販されているシンバスタチンは疎水性である。シンバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与において、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり好ましくは1日あたり1から80mg、好ましくは2から60mg、さらに好ましくは5から40mgである。
【0095】
Pfizer、New York、NYによりLipitor(登録商標)の名称で市販されているアトラバスタチンは疎水性であり、合成スタチンとして知られている。アトラバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与において、濃縮オメガ−3脂肪酸あたり好ましくは2.5から100mg、好ましくは5から80mg、さらに好ましくは10から40mgである。
【0096】
Novartis、New York、NYによりLescol(登録商標)の名称で市販されているフルバスタチンは親水性であり、合成スタチンとして知られている。フルバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与において、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり5から160mg、好ましくは10から120mg、さらに好ましくは20から80mgである。
【0097】
ロスバスタチンはAstra Zeneca、Wilmington、DEによりCrestor(登録商標)の名称で市販されている。ロスバスタチンの投与量は、濃縮オメガ−3脂肪酸の併用投与において、濃縮オメガ−3脂肪酸の投与量あたり1から80mg、好ましくは2から60mg、さらに好ましくは5から40mgである。
【0098】
脂質異常症剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の1日投与量を1から10用量あわせて投与することができ、好ましい投与回数は1日につき1から4回であり、最も好ましいのは1日あたり1から2回である。投与は好ましくは経口投与であるが、脂質異常症剤および濃縮オメガ−3脂肪酸の単位投与量を提供する他の投与形態を用いることができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、本発明の処方は、先行技術における処方と比較して、通常の成人量として一方または両方を投与して、各活性成分の有効性を改善することができる。他の実施形態において、本発明の処方は、各活性成分の有効性を依然として維持するかまたはさらには改善しつつ、先行技術の処方と比較して脂質異常症剤および/またはオメガ−3脂肪酸の投与量を減少させることができる。
【0100】
脂質異常症剤および濃縮オメガ−3脂肪酸のこの組み合わせは、2つの薬剤単独の予想される複合または相加効果よりも大きな効果を可能にし得る。さらに、2つの薬剤の複合または相加効果は、対象の血中のトリグリセリドの初期レベルに依存し得る。例えば、対象のトリグリセリドレベルは、150mg/dL未満であるならば一般に正常であり、約150〜199mg/dL以内であるならばボーダーラインから高い値であり、約200〜499mg/dL以内であるならば高く、500mg/dL以上であるならば非常に高い。本発明は「非常に高い」トリグリセリドレベルを48週未満、好ましくは24週以内、さらに好ましくは12週以内、最も好ましくは8週以内で「高」または「ボーダーラインから高」まで減少させるために使用できる。本発明は「高い」トリグリセリドレベルを48週未満、好ましくは24週以内、さらに好ましくは12週以内、最も好ましくは8週以内で「ボーダーラインから高」または「正常」まで減少させるためにも使用できる。
【実施例】
【0101】
臨床試験:高トリグリセリド血症対象におけるLovaza(商標)およびシンバスタチン併用療法の有効性および安全性を評価するためのランダム化二重盲検プラセボ対照試験
【0102】
高トリグリセリド血症対象におけるLovaza(商標)オメガ−3脂肪酸およびシンバスタチン(Zocor(登録商標))との併用療法の有効性および安全性を評価するために、ランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を行った。患者をまず40mg/日のシンバスタチンで少なくとも8週間治療し、直ちにベースライン測定をおこなった。患者は、ベースライントリグリセリドレベルが正常値を超え(≧150mg/dl)、そしてLDL−CがNCEP ATP III目標よりも最大でも10%高いならば、臨床対象への登録およびランダム化に適格であった。合計259人の患者をランダム化し、Lovaza(商標)オメガ−3脂肪酸またはプラセボのいずれかを少なくとも1回投与し、これらの患者のうち229人は200から499mg/dlの間のベースライントリグリセリドレベルを有していた。その後、初期治療をおこない、二重盲検方式でスタチン治療を続けながら続いて4g/日のLovaza(商標)オメガ−3脂肪酸またはプラセボのいずれかでさらに8週間治療した。243人の患者が試験を終えた。
【0103】
次の表1は様々な脂質および炎症パラメータおよびマーカーの変化について得られた結果を示す。
【表4】

【0104】
次の表2および3は、それぞれLovaza(商標)治療およびプラセボに対するものにより実験において達成されたLDL-C目標を示す。
【表5】


【表6】

【0105】
ベースラインLDL−Cおよび非HDL−Cレベルの関数としてapo−B減少をさらに詳細分析することにより、Lovaza(商標)治療が増加するLDL−Cおよび非HDL−Cベースラインレベルでapo−Bレベルを減少させる、有意かつ増大する能力が示され、一方、プラセボ治療の結果、apo−Bレベルにランダムかつ有意でない変化が起こる。
【0106】
表4A、4Bおよび5は特異的LDL−Cおよび非HDL−C患者サブグループについてLovaza(商標)またはプラセボ治療でapo−Bが減少し、他の脂質パラメータが変化することを示す。さらに高いLDL−C(≧100mg/dL)および非HDL−C(≧130mg/dL)ベースラインレベルで、Lovaza(商標)はapo−Bを減少させ、一方、さらに低いベースラインレベルで、Lovaza(商標)対プラセボによるapo−B変化は有意ではない。表4Bから、Apo−B減少効果はさらに高いLDL−Cベースラインレベルでさらに大きく、LDL−Cレベルにおける減少を伴うようであることがわかる。
【表7】


【表8】


【表9】

【0107】
表6は、200mg/dLより高いトリグリセリドベースラインレベルのこのレベルよりも低いレベルに対しての、Lovaza(商標)またはプラセボ治療でのapo-B減少および他の脂質パラメータ変化を示す。高いトリグリセリドベースラインレベル(≧200mg/dL)で、Lovaza(商標)はapo-Bを減少させ、一方、低いベースライントリグリセリドレベルで、Lovaza(商標)対プラセボによるApo-B変化は有意ではない。
【表10】

【0108】
表7および8は、特異的LDL−C/トリグリセリドおよび非HDL−C/トリグリセリド患者サブグループについてのLovaza(商標)またはプラセボ治療でのapo-B減少および他の脂質パラメータ変化を示す。組み合わせた高いLDL−C(≧100mg/dL)およびトリグリセリド(≧200mg/dL)ベースラインレベルならびに組み合わせた非HDL−C(≧130mg/dL)およびトリグリセリド(≧200mg/dL)ベースラインレベルで、Lovaza(商標)はapo−Bを減少させ、一方、低いベースラインレベルで、Lovaza(商標)対プラセボによるapo−B変化は有意ではない。
【表11】


【表12】

【0109】
本明細書において言及されるすべての文献は全体として参照することにより本発明の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象群におけるapo−Bレベルを減少させる方法であって、対象群を提供し、前記対象群に脂質異常症剤およびオメガ−3脂肪酸の組み合わせを、脂質異常症剤単独での治療と比較して、前記対象群のapo−Bレベルを減少させるのに有効な量で投与することにより、前記対象群のapo−Bレベルを減少させることを含む方法。
【請求項2】
前記脂質異常症剤がHMG CoAリダクターゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、CETP阻害剤、ナイアシンおよび誘導体、フィブラート、胆汁酸抑制剤、MTP阻害剤、LXR作用物質および/または拮抗物質、ならびにPPAR作用物質、拮抗物質および/または部分作用物質/拮抗物質からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記対象群が次の状態または疾患:高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、混合脂質異常症、血管疾患、およびアテローム性動脈硬化症のうちの少なくとも1つに罹っている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記対象群が少なくとも100mg/dLのLDL−コレステロールレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記対象群が少なくとも100mg/dLであり130mg/dL未満であるDLD−コレステロールレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記対象群が少なくとも130mg/dLのLDL−コレステロールレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記対象群が少なくとも130mg/dLの非HDL−コレステロールレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記対象群が少なくとも100mg/dLのLDL−コレステロールレベルおよび少なくとも200mg/dLのトリグリセリドレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記対象群が少なくとも130mg/dLの非HDL−コレステロールレベルおよび少なくとも200mg/dLのトリグリセリドレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記オメガ−3脂肪酸が前記組成物の合計脂肪酸含量に対して少なくとも40重量%の濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記オメガ−3脂肪酸が前記組成物の合計脂肪酸含量に対して少なくとも80重量%の濃度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記オメガ−3脂肪酸が、前記組成物の合計脂肪酸含量に対して少なくとも80重量%のEPAおよびDHAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記オメガ−3脂肪酸が前記組成物の合計脂肪酸含量に対して約40重量%から約55重量%のEPAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記オメガ−3脂肪酸が前記組成物の合計脂肪酸含量に対して約30重量%から約60重量%のDHAを含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
オメガ−3脂肪酸が、オメガ−3多飽和長鎖脂肪酸、オメガ−3脂肪酸のグリセロールとのエステル、オメガ−3脂肪酸および第一、第二または第三アルコールのエステル、またはこれらの混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記オメガ−3脂肪酸がEPAおよびDHAを2:1から1:2のEPA:DHA比で含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記オメガ−3脂肪酸を脂質異常症剤の投与と別に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記オメガ−3脂肪酸を前記脂質異常症剤の投与と同時に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記オメガ−3脂肪酸および前記脂質異常症剤を併用療法計画において投与する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
前記オメガ−3脂肪酸および前記脂質異常症剤を単位投与形態で一緒に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項21】
前記対象群が200から499mg/dlのベースライントリグリセリドレベルを有する、請求項1記載の方法。
【請求項22】
LDL−Cレベルの増加が回避される請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2010−505956(P2010−505956A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532391(P2009−532391)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/021631
【国際公開番号】WO2008/045465
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(506219731)リライアント・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】RELIANT PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】