説明

APO−B100発現の抑制のためのRNAアンタゴニスト化合物

Apo−B100遺伝子に向けられたオリゴヌクレオチドが、Apo−B100の発現をモデュレートするために提供される。組成物は、Apo−B100をコードする核酸にターゲティングされたオリゴヌクレオチド、とりわけアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。Apo−B100発現をモデュレートするため、およびApo−B100の過剰発現か、突然変異Apo−B100の発現かまたはその両者のいずれかと関連する疾患の治療のために、これら化合物を使用する方法が提供される。疾患の例は、癌、例えば、肺、乳、結腸、前立腺、膵臓、肺、肝臓、胸腺、腎臓、脳、精巣、胃、腸管、腸、脊髄、洞、膀胱、尿管または卵巣の癌である。オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオシドまたは核酸アナログ、例えば、ロックト核酸またはその組合せから構成されていてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Apo−B100の発現をモデュレートするための化合物および方法を提供する。とりわけ、本発明は、Apo−B100をコードする核酸に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド化合物に関する。これらオリゴヌクレオチド化合物はApo−B100の発現をモデュレートすることが示され、その医薬製剤および癌疾患の治療剤としてのその使用が開示される。
【背景技術】
【0002】
アポリポタンパク質B(ApoB、アポリポタンパク質B−100;ApoB−100、アポリポタンパク質B−48;ApoB−48およびAg(x)抗原としても知られる)は、脂質のアセンブリーおよび分泌において、および特定のクラスのリポタンパク質の輸送およびレセプター媒介取り込みおよび送達において、欠くことのできない役割を果たす大きな糖タンパク質である。ApoBは、リポタンパク質の循環レベルの制御において重要な役割を果たしており、それゆえ、アテローム性動脈硬化症の罹病性(アポリポタンパク質B含有リポタンパク質の周辺濃度と高度の相関関係を有する)と関係している。哺乳動物中に存在する2つの形態のApoB、その構造およびApoBの医学的重要性のさらなる詳細についてはDavidsonおよびShelness (Annul Rev. Nutr., 2000, 20, 169-193)を参照のこと。
【0003】
ApoB−100含有リポタンパク質Lp(a)の血漿レベルの増大は、アテローム性動脈硬化症と、高コレステロール血症(Seedら、N. Engl. J. Med., 1990, 322, 1494-1499)、心筋梗塞(Sandkampら、Clin. Chew., 1990, 36, 20-23)、および血栓症(Nowak-Gottlら、Pediatrics, 1997, 99, Eli)を含むその徴候とのリスクの増大と関係している。
【0004】
Lp(a)の血漿濃度は遺伝的因子の影響を強く受け、大抵の医薬や食事操作に対し難治性である(KatanおよびBeynen, Am. J. Epidemiol., 1987, 125, 387-399; Vessbyら、Atherosclerosis, 1982, 44, 61-71)。上昇したLp(a)レベルの薬理療法はささやかな成功しか博しておらず、未だにアフェレーシスが最も有効な治療適用である(HajjarおよびNachman, Annul Rev. Med., 1996, 47, 423-442)。
【0005】
哺乳動物では2つの形態のアポリポタンパク質Bが存在する。ApoB−100は、4536アミノ酸残基を含む完全長タンパク質を表し、もっぱらヒト肝臓で合成される(DavidsonおよびShelness, Annul Rev. Nutr., 2000, 20, 169-193)。ApoB−48として知られる先端欠失形態は、アミノ末端の2152残基に対応し、すべての哺乳動物の小腸で合成される(DavidsonおよびShelness, Annul Rev. Nutr., 2000, 20, 169-193)。
【0006】
アポリポタンパク質Bの共通する構造遺伝子が2つの区別されるタンパク質イソ型を生成する基礎は、RNA編集として知られるプロセスである。部位特異的なシトシンからウラシルへの編集反応はUAA停止コドンを生成し、アポリポタンパク質Bの翻訳終止はApoB−48を生成する(DavidsonおよびShelness, Annul Rev. Nutr., 2000, 20, 169-193)。
【0007】
哺乳動物ApoBの医学的重要性は、トランスジェニックマウス研究を用いて過剰発現ヒトApoBか(KimおよびYoung, J. Lipid Res., 1998, 39, 703-723; Nishinaら、J. Lipid Res., 1990, 31, 859-869)またはApoBノックアウトマウス(Fareseら、Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1995, 92, 1774-1778; KimおよびYoung, J. Lipid Res., 1998, 39, 703-723)のいずれかで実証されている。
【0008】
今日、アポリポタンパク質B機能の抑制に向けられた戦略は、Lp(a)アフェレーシス、抗体、抗体フラグメントおよびリボザイムに限られている。さらに、低い生物安定性および/または低い結合アフィニティーのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、PCT公開WO00/97662, WO03/11887およびWO2004/44181に開示され、特許請求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、アポリポタンパク質B機能を有効に拮抗することができ、それゆえ血漿Lp(a)レベルを低下させることのできるさらなる薬剤に対する必要性が依然として存在する。
【0010】
本発明は、有効なロックト核酸(Locked Nucleic Acid;LNA)オリゴマー化合物および、アポリポタンパク質Bの別のイソ型であるApoB−48の抑制を含む、アポリポタンパク質B発現をモデュレートする方法における該化合物の使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、アポリポタンパク質B(ApoB−100/ApoB−48)の発現をモデュレートするための組成物および方法を提供する。とりわけ、本発明は、特定のモチーフに対してアポリポタンパク質Bをターゲティングするオリゴヌクレオチド化合物に関する。これらモチーフは、SEQ ID NOS: 2-26、とりわけSEQ ID NOS: 2, 3,10, 11および21である。LNA含有オリゴヌクレオチド化合物の特別のデザインもまた開示される。特に好ましい化合物は、SEQ ID NOS: 29-47、とりわけSEQ ID NOS: 29, 30, 31, 36, 37, 38, 40および42である。本発明の化合物は、アポリポタンパク質mRNAおよびタンパク質発現の強力なインヒビターである。インビトロでは、SEQ ID NOS: 29および30は、ApoB発現を約1-5nMのIC50でダウンレギュレートし、SEQ ID No 37は、約0.5nMのIC50を示した。インビボでは、ApoB−100mRNA発現は、SEQ ID NO: 29で処置後、肝臓および空腸で用量依存的な仕方で抑制された。ApoB−100レベルの低下と同時に、血漿中の全コレステロールは70%低下した。
【0012】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物を含む医薬組成物その他の組成物もまた提供される。さらに、細胞または組織においてアポリポタンパク質Bの発現をモデュレートする方法であって、該細胞または組織を本発明のオリゴヌクレオチド化合物または組成物の1またはそれ以上と接触させることを含む方法もまた提供される。また、本発明のオリゴヌクレオチド化合物または組成物の1またはそれ以上の治療学的または予防学的有効量を投与することによる、アポリポタンパク質Bの発現と関連する疾患または状態に罹患しているかまたは罹患しそうな動物またはヒトを治療する方法も開示される。さらに、アポリポタンパク質Bの発現の抑制のため、およびアポリポタンパク質B活性と関連する疾患の治療のためにオリゴヌクレオチド化合物を使用する方法が提供される。そのような疾患の例は、種々のタイプのHDL/LDLコレステロール不均衡;異常脂血症(dyslipidemias)、例えば、家族性高リポタンパク質血症、後天性高リポタンパク質血症、高コレステロール血症;スタチン耐性高コレステロール血症;冠状動脈疾患(CAD)、冠状心疾患(CHD)、アテローム性動脈硬化症である。
【0013】
本発明は、アポリポタンパク質B(ApoB−100および/またはApoB−48など)をコードする核酸分子の機能をモデュレートするのに使用するため、オリゴマー化合物、とりわけアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる。モデュレーションは、最終的には生成したアポリポタンパク質Bの量の変化である。一つの態様において、このことは、アポリポタンパク質Bをコードする核酸(例えばメッセンジャーRNA)と特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物を提供することによって達成される。モデュレーションは、アポリポタンパク質Bの発現の抑制、すなわち、生成された機能的なタンパク質の数の低減に導くのが好ましい。
【0014】
図1は、LNAヌクレオチドアナログを含むsiRNAおよび一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、インビトロで同じナノモル範囲で有効であることを示している。しかしながら、インビボでは、本発明の16-mer LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは非修飾siRNAおよびコレステリルコンジュゲートsiRNAの両者よりも優れている。
【0015】
図2Aおよび2Bは、コレステリルコンジュゲートsiRNAに比べてインビボで8倍まで一層有効である本発明のLNAオリゴヌクレオチドを示す。LNAオリゴヌクレオチドはマウス血漿中の全コレステロールを低下させたが、siRNA処置は低下させなかった(図3)。さらに、LNAオリゴヌクレオチドはsiRNAよりも生物安定である。
【0016】
標的の発現をモデュレートするオリゴマー化合物は、実験によって、または標的に対する配列情報および所望の標的に対してオリゴヌクレオチド化合物を如何にして最良にデザインするかについてのノウハウに基づく合理的デザインによって、同定される。これら化合物の配列は本発明の好ましい態様である。同様に、これら好ましいオリゴマー化合物によってターゲティングされる配列モチーフは、好ましいターゲティング部位である。
【0017】
オリゴマー化合物およびオリゴヌクレオチド化合物
「オリゴマー化合物」(「オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」、および「オリゴヌクレオチド化合物」と同義)とは、本発明に関連して用いるときは、オリゴマー、すなわち核酸ポリマー(例えば、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)、または当該技術分野で知られたものの核酸アナログ、好ましくはロックト核酸(LNA)、またはそれらの混合物)をいう。この語は、天然に存在する核酸塩基、糖およびインターヌクレオシド(骨格)結合から構成されるオリゴヌクレオチド、並びに天然に存在しない部分を有し同様に機能するかまたは特別の改善された機能を有するオリゴヌクレオチドを包含する。完全にまたは部分的に修飾または置換したオリゴヌクレオチドが、そのようなオリゴヌクレオチドの幾つかの望ましい特性、例えば、細胞膜を通る能力、細胞外および細胞内ヌクレアーゼに対する良好な耐性、核酸標的に対する親和性および特異性のために、天然形態のものよりも屡々好ましい。LNAアナログが、例えば上記特性に関して特に好ましい。それゆえ、極めて好ましい態様において、本発明による「オリゴマー化合物」、オリゴヌクレオチド」、「オリゴ」および「オリゴヌクレオチド化合物」は、LNA単位などのヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの両単位で構成され、12-50のヌクレオチド/ヌクレオチドアナログのポリマー化合物(オリゴマー)を形成する化合物である。
【0018】
「単位」なる語は、モノマーと理解される。
【0019】
本発明のオリゴマー化合物は、アポリポタンパク質BメッセンジャーRNAおよび/または哺乳動物アポリポタンパク質B(Apo−B)DNAセンスまたは相補鎖にハイブリダイズすることができる。NCBIアクセッション番号NM_000384は、ヒトアポリポタンパク質BのmRNA配列を提供する。本発明のオリゴマー化合物は、NCBIアクセッション番号NM_000384に開示された核酸または好ましい態様において該ヒトアポリポタンパク質に由来するmRNA核酸標的を含むその逆相補鎖(reverse complement)にハイブリダイズすることができるのが極めて好ましい。
【0020】
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも37℃、例えば、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、または少なくとも60℃のTmにてApoBmRNAなどの標的核酸に対してハイブリダイズして二本鎖を形成することができる。一つの側面において、Tmは、37℃〜80℃、例えば、50〜70℃である。
【0021】
Tmの測定
10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA, pH 7.0中の化合物の3μM溶液を、10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA, pH 7.0中の3μMの濃度のその相補鎖DNAまたはRNAオリゴヌクレオチドと90℃にて1分間混合し、静置して室温に冷却する。ついで、二本鎖の融解曲線を、25〜95℃の範囲で1℃/分の加熱割合にて260nmでの吸光度を測定することによって決定する。Tmは、融解曲線の第一派生物(first derivative)の最大として測定する。
【0022】
オリゴマー化合物は好ましくはアンチセンスオリゴマー化合物であり、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」および「アンチセンスインヒビター」とも称する。
【0023】
そのようなアンチセンスインヒビターは、標的核酸に相補的なヌクレオチド/ヌクレオチドアナログ配列を含む化合物であり、「siRNA」、「miRNA」、「リボザイム」、「オリゴザイム」の形態をとる。しかしながら、好ましくはアンチセンスインヒビターは一本鎖オリゴヌクレオチドである。一本鎖オリゴヌクレオチドは、標的核酸の対応領域に相補的であるのが好ましい。
【0024】
典型的に、一本鎖「アンチセンス」オリゴヌクレオチドは標的遺伝子のmRNAと特異的に相互作用して、例えばRNアーゼH機構による該mRNAのターゲティングされた分解を惹き起こすか、または他の仕方で翻訳を妨害する。
【0025】
一つの態様において、本発明によるオリゴマー化合物は、哺乳動物ApoBをコードするDNA、例えば、センスまたはアンチセンスDNA鎖をターゲティングする。siRNAは標的DNAと相互作用できることが知られている。
【0026】
本発明によるオリゴマー化合物は、少なくとも3のヌクレオチドアナログを含むのが好ましい。この少なくとも3のヌクレオチドアナログは、ロックト核酸ヌクレオチドアナログであるのが好ましく、そのようなヌクレオチドアナログを含むオリゴマー化合物は本明細書において「LNAオリゴマー化合物」、「LNAオリゴヌクレオチド化合物」および「LNAオリゴヌクレオチド」と称する。
【0027】
適切には、本発明による「オリゴヌクレオチド化合物」、「オリゴマー化合物」、「LNAオリゴマー化合物」は、例えば、水素結合による標的核酸への結合によってヒトにおいて所望の治療効果を誘発することのできる、本明細書に規定するオリゴヌクレオチドである。
【0028】
本発明は、8-50、例えば、10-50、とりわけ12-50または12-25のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログからなるオリゴヌクレオチドなどのオリゴマー化合物に関し、該化合物は、少なくとも8、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも15、例えば、14, 15, 16または17のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのサブ配列を含み、該サブ配列は、Apo−B100および/またはApoB−48核酸標的配列の配列内(すなわち、配列に対応)に位置する。ヌクレオチドアナログは、配列SEQ ID NOS: 2-26、とりわけSEQ ID NOS: 2, 3, 10, 11および21の各ヌクレオチドのアナログである。それゆえ、本発明の化合物の配列は、SEQ ID NOS: 2-26、とりわけSEQ ID NOS: 2, 3, 10, 11および21よりなる群から選ばれた配列内(すなわち、配列に対応)に位置するか、またはSEQ ID NOS: 2-26、とりわけSEQ ID NOS: 2, 3, 10, 11および21の配列内のヌクレオチドのアナログを含む。
【0029】
その内部に化合物のサブ配列が位置する(またはその内部にサブ配列がヌクレオチドのアナログを含む)好ましい配列群は、SEQ ID NO: 2および3; SEQ ID NO: 2および3および11; SEQ ID NO: 10および11; SEQ ID No 21を含む。
【0030】
一つの態様において、その内部に化合物のサブ配列が位置する(またはその内部にサブ配列がヌクレオチドのアナログを含む)配列群は、SEQ ID No 3である。
【0031】
一つの態様において、その内部に化合物のサブ配列が位置する(またはその内部にサブ配列がヌクレオチドのアナログを含む)配列群は、以下よりなる群から選ばれる配列である:SEQ ID No 2, SEQ ID No 3, SEQ ID No 6, SEQ ID No 7, SEQ ID No 8, SEQ ID No 9, SEQ ID No 10, SEQ ID No 11, SEQ ID No 12, SEQ ID No 13, SEQ ID No 14, SEQ ID No 15, SEQ ID No 16, SEQ ID No 17, SEQ ID No 27, SEQ ID No 28, SEQ ID No 48およびSEQ ID No 50。
【0032】
関心のもたれる態様において、本発明の化合物は、8-50ヌクレオチドを含み、該化合物は、少なくとも8ヌクレオチドのサブ配列を含み、該サブ配列はSEQ ID NOs: 2および3よりなる群から選ばれた配列内に位置し、少なくとも1のヌクレオチドが対応ヌクレオチドアナログによって置換され、3'末端がヌクレオチドアナログではなくヌクレオチドを含む。
【0033】
8-50ヌクレオチドを含み、該化合物が少なくとも8ヌクレオチドのサブ配列を含み、該サブ配列がSEQ ID NOs: 2および3よりなる群から選ばれた配列内に位置する本発明の化合物の態様において、配列は、典型的に、本明細書において規定する2-6の一続きのLNAと、それに続く4-12の一続きのヌクレオチドと、それに続く本明細書において規定する2-6の一続きのLNAを含む。
【0034】
「内部に位置する」および「対応する」とは、本発明のオリゴマー化合物のヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの配列またはそのサブ配列と、以下の等価ヌクレオチド配列との組合せ間での比較をいう:(i)アポリポタンパク質B核酸配列(すなわち、核酸標的)の逆相補鎖、および/または(ii)SEQ ID NOS: 2-26,および59-67よりなる群にて提供されるヌクレオチドの配列(すなわち、配列モチーフ)、または一つの態様において、その逆相補鎖。ヌクレオチド配列は、その等価ヌクレオチドと直接比較される。
【0035】
配列は、SEQ ID No. 63, SEQ ID No. 64, SEQ ID No. 65, SEQ ID No. 66, SEQ ID No. 67およびSEQ ID No 68よりなる群から選ばれた核酸中に存在する連続ヌクレオチドの等価数に対応する、少なくとも8、例えば、少なくとも9、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも11、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも13、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも15、例えば、少なくとも16、例えば、少なくとも17、例えば、少なくとも18、例えば、少なくとも19、または少なくとも20のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含む(図7参照)。
【0036】
好ましくは、少なくとも3のヌクレオチドアナログが、該サブ配列内に、任意に少なくとも3ヌクレオチドアナログの連続配列として、例えば、3, 4, 5または6ヌクレオチドアナログの連続配列として位置する。
【0037】
一つの好ましい態様において、オリゴマー化合物は、サブ配列のみからなる、すなわち、オリゴマー化合物の全配列が、SEQ ID No 2-26およびSEQ ID No 59-62よりなる群から選ばれた配列など、対応配列中に見出される。
【0038】
好ましくは、ApoB標的配列の対応領域と相関させたときにミスマッチを生成するヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログが存在しない、すなわち、本発明のオリゴマー中に存在するすべてのヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログがApoB核酸標的配列と連続した塩基対を形成することができる。
【0039】
しかしながら、一つの態様において、サブ配列および核酸標的配列内に1のミスマッチまたは2のミスマッチが存在してもよい。ミスマッチが存在する場合、それらミスマッチがヌクレオチドアナログと標的配列との間のものでないのが好ましい。しかしながら、ギャップマー(gapmer)(RNアーゼHを再利用することができる)のギャップにおいては、ミスマッチはRNアーゼH再利用能の喪失に導く。十分なRNアーゼH活性を確実にするには、典型的に5または6の連続相補的ヌクレオチドが必要である。
【0040】
好ましい態様において、本発明によるオリゴヌクレオチド化合物は、SEQ ID NO 59および/またはSEQ ID NO. 60に対応する配列を含み、その際、該サブ配列は、任意に1またはそれ以上のミスマッチを含んでいてよい。
【0041】
一つの態様において、本発明によるオリゴヌクレオチド化合物は、SEQ ID NO 61および/またはSEQ ID NO. 62に対応する配列を含み、その際、該サブ配列は、任意に1またはそれ以上のミスマッチを含んでいてよい。
【0042】
本発明の好ましい態様において、サブ配列は、SEQ ID No 63中の等価数の連続ヌクレオチド内に位置する(すなわち対応する)少なくとも8、例えば、少なくとも10、または少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、14, 15, 16, 17, 18, 19または20のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含み、その際、該サブ配列は、任意に1またはそれ以上のミスマッチを含んでいてよい。
【0043】
本発明のさらなる態様において、サブ配列は、SEQ ID No 64, SEQ ID No 65, SEQ ID No 66, SEQ ID No 67およびSEQ ID No 68よりなる群から選ばれたヌクレオチド配列中の等価数の連続ヌクレオチド内に位置する(すなわち対応する)少なくとも8、例えば、少なくとも10、または少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、14, 15, 16, 17, 18, 19または20のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含み、その際、該サブ配列は、任意に1またはそれ以上のミスマッチを含んでいてよい。
【0044】
一つの態様において、本発明によるオリゴマー化合物は二本鎖オリゴヌクレオチドであり、その際、各鎖は合計16-30のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含む(または、からなる)。該二本鎖複合体(オリゴヌクレオチド)の一方の鎖は本明細書に規定するオリゴヌクレオチド化合物に対応すること、および他方の鎖は相補的配列を有するオリゴヌクレオチドであることが理解されなければならない。
【0045】
合計が例えば8-50のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログは、8-50のヌクレオチドまたは8-50のヌクレオチドアナログ、または組み合わせたヌクレオシド単位の合計が50を超えないそれらの組合せを意味する。
【0046】
化合物は、好ましくは、12-25のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、例えば、13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, または24のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、例えば、15〜22のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、例えば、14〜18のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、さらに好ましくは15または16のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログからなる。
【0047】
この文脈において、「ヌクレオシド」および「ヌクレオチド」は、その通常の意味で用いられる。例えば、それは、その1番目炭素原子により窒素原子含有塩基、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)またはグアニン(G)に結合した2-デオキシリボース単位を含む。
【0048】
同様に、「ヌクレオチド」とは、例えば、本発明の化合物に関する好ましい態様において、その1番目炭素原子により窒素原子含有塩基、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)またはグアニン(G)に結合し、その5番目の炭素原子によりインターヌクレオシドリン酸に(または、一つの態様において、その等価物、例えば、ホスホロチオエート基に)、または末端基に結合した2-デオキシリボース単位をいう。ヌクレオチドはまた、例えば、一つの態様において、リボース単位、例えば、RNAヌクレオチドを含んでいてよい。
【0049】
本明細書において用いる場合、「ヌクレオチドアナログ」とは、例えば、一つの好ましい態様において、リボース単位が2-デオキシリボースと異なっているか、および/または窒素原子含有塩基がA、C、TおよびGと異なっているか、および/またはインターヌクレオシドリン酸結合基が異なっている、天然に存在しないヌクレオチドをいう。ヌクレオシドアナログの具体例は、例えば、FreierおよびAltmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213により、およびスキーム1に記載されている。
【0050】
「対応ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ」および「対応ヌクレオシド/ヌクレオチド」とは、ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログおよびヌクレオシド/ヌクレオチド中の窒素原子含有塩基が同一であることを示すことを意図している。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボース単位がアデニンに結合している場合、「対応ヌクレオシドアナログ」はアデニンに結合したペントース単位(2-デオキシリボースと異なる)を含む。
【0051】
「核酸」は、1またはそれ以上のヌクレオチドの共有結合によって形成される分子として定義される。「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書では同義である。例えば、DNAおよびRNAが核酸である。
【0052】
「核酸アナログ」とは、天然に存在しない核酸結合化合物、すなわち、好ましい態様において、少なくとも1のヌクレオチドと少なくとも1のヌクレオチドアナログ(例えば、LNA単位など)との配列などの化合物をいう。そのような化合物は、哺乳動物で天然には認められない(あるいは、一つの態様において、本発明の時点では哺乳動物で見出されることが公には知られていない)。
【0053】
好ましいヌクレオチドアナログは、LNA、例えば、ベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNA、最も好ましくはベータ-D-オキシ-LNAである。本発明の化合物は、典型的に、該ヌクレオチドが、リン酸基、ホスホロチオエート基およびボラノホスフェート(boranophosphate)基よりなる群から選ばれた結合基を含むものであり、インターヌクレオシド結合は、-O-P(O)2-O-, -O-P(O,S)-O-、とりわけ、リン酸基および/またはホスホロチオエート基であってよい。特別の態様において、すべてのヌクレオチドがホスホロチオエート基を含む。一つの態様において、ヌクレオチドの幾つかまたはすべてが、互いにホスホロチオエート基によって結合されている。適切には、すべてのヌクレオチドが互いにホスホロチオエート基によって結合されている。
【0054】
ヌクレオチドは、典型的に、互いに結合基によって結合されている。
【0055】
ヌクレオチドアナログおよび核酸アナログは、例えば、FreierおよびAltmann(Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443)およびUhlmann(Curr. Opinion in Drug & Development (2000, 3(2): 293-213)に記載されている。スキーム1および2は、核酸を製造するのに適したヌクレオチドアナログの選択された例を説明するものである。
【0056】
スキーム1
【化1】

【0057】
関心のもたれる態様において、化合物は3-12のヌクレオチドアナログ、例えば、6または7のヌクレオチドアナログを含む。さらに一層好ましい態様において、該ヌクレオチドアナログの少なくとも1がロックト核酸(LNA)、例えば、ヌクレオチドアナログの少なくとも2、または少なくとも3または少なくとも4、または少なくとも5、または少なくとも6、または少なくとも7、または少なくとも8、または少なくとも9、または少なくとも10、または少なくとも11がLNAであってよく、一つの態様において、すべてのヌクレオチドアナログがLNAであってよい。
【0058】
「LNA」とは、1の二環ヌクレオチドアナログを含むヌクレオチドアナログをいい、LNAモノマーをもいう。
【0059】
「LNAオリゴヌクレオチド」の文脈で用いる場合の「LNA」は、1またはそれ以上の二環ヌクレオシドアナログを含むオリゴヌクレオチドをいう。本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いるロックト核酸(LNA)は、以下の一般式の構造を有する:
【化2】

(式中、XおよびYは、独立に、基-O-, -S-, -N(H)-, N(R)-, -CH2-または-CH-(二重結合の一部である場合), -CH2-O-, -CH2-S-, -CH2-N(H)-, -CH2-N(R)-, -CH2-CH2-または-CH2-CH-(二重結合の一部である場合), -CH=CH-、ここで、Rは水素原子およびC1-4-アルキルから選ばれる;ZおよびZ*は、独立に、インターヌクレオシド結合、末端基または保護基から選ばれる;Bは、天然または非天然のヌクレオ塩基を構成する;および非対称基はいずれの方向であってもよい)。
【0060】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いるロックト核酸(LNA)は、以下の化学式のいずれかによる少なくとも1のロックト核酸(LNA)を含む:
【化3】

(式中、Yは-O-, -S-, -NH-, またはN(RH);ZおよびZ*は、独立に、インターヌクレオシド結合、末端基または保護基から選ばれる;Bは、天然または非天然のヌクレオ塩基を構成する;およびRHは水素原子およびC1-4-アルキルから選ばれる)。
【0061】
好ましくは、本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いるロックト核酸(LNA)は、-O-P(O)2-O-, -O-P(O,S)-O-, -O-P(S)2-O-, -S-P(O)2-O-, -S-P(O,S)-O-, -S-P(S)2-O-, -O-P(O)2-S-, -O-P(O,S)-S-, -S-P(O)2-S-, -O-PO(RH)-O-, -O-PO(OCH3)-O-, -O-PO(NRH)-O-, -O-PO(OCH2CH2S-R)-O-, -O-PO(BH3)-O-, -O-PO(NHRH)-O-, -O-P(O)2-NRH-, -NRH-P(O)2-O-, -NRH-CO-O-(式中、RHは水素原子およびC1-4-アルキルから選ばれる)よりなる群から選ばれたインターヌクレオシド結合を含む。
【0062】
上記に記載したように、本発明の関心のもたれる態様において、オリゴヌクレオチド化合物は、LNA(Locked Nucleic Acid)と呼ばれる化学の少なくとも1の単位を含む。
【0063】
特に好ましいLNA単位をスキーム2に示す。
スキーム2
【化4】

【0064】
「チオ-LNA」は、上記一般式においてXまたはYの少なくとも1つがSまたは-CH2-S-から選ばれるロックトヌクレオチドを含む。チオ-LNAは、ベータ-D-配置およびアルファ-L-配置の両者であってよい。
【0065】
「アミノ-LNA」は、上記一般式においてXまたはYの少なくとも1つが-N(H)-, -N(R)-, CH2-N(H)-, -CH2-N(R)-(式中、Rは水素原子およびC1-4-アルキルから選ばれる)から選ばれるロックトヌクレオチドを含む。アミノ-LNAは、ベータ-D-配置およびアルファ-L-配置の両者であってよい。
【0066】
「オキシ-LNA」は、上記一般式においてXまたはYの少なくとも1つが-O-または-CH2-O-であるロックトヌクレオチドを含む。オキシ-LNA、ベータ-D-配置およびアルファ-L-配置の両者であってよい。
【0067】
「エナ-LNA(ena-LNA)」は、上記一般式においてXまたはYの少なくとも1つが-CH2-O-(ここで、-CH2-O-の酸素原子は、ヌクレオ塩基Bの2'-位に結合している)であるロックトヌクレオチドを含む。
【0068】
好ましい態様において、LNAは、ベータ-D-オキシ-LNA, アルファ-L-オキシ-LNA, ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNAから選ばれ、とりわけベータ-D-オキシ-LNAである。ヌクレオシドおよび/またはLNAは、典型的に、リン酸基によりおよび/またはホスホロチオエート基により互いに結合している。
【0069】
「少なくとも1つ」なる語は、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17等々の1よりも大きいかまたは1に等しい整数を含む。
【0070】
本明細書において使用する場合、「標的核酸」なる語は、Apo−B100をコードするDNA、そのようなDNAから転写されたRNA(プレmRNA、mRNAおよびmRNA編集を含む)、およびそのようなRNAに由来するcDNAを包含する。
【0071】
「標的タンパク質」は、哺乳動物アポリポタンパク質B、好ましくはヒトアポリポタンパク質Bである。ApoB−100およびApoB−48の両者は同じ遺伝子配列に由来するので、本発明によるオリゴマー化合物はアポリポタンパク質Bのいずれかまたは両形態、およびApoB−100をコードするmRNA、およびRNA編集形態(Apo−B48をコードする)の両者をダウンレギュレーションするのに用いることができることが認識されるであろう。
【0072】
本明細書において使用する場合、「遺伝子」なる語は、エクソン、イントロン、非コード5'および3'領域および調節配列を含む遺伝子および現在知られているその変異体および解明しうるさらなる変異体を意味する。
【0073】
本明細書において使用する場合、「mRNA」なる語は、標的遺伝子の現在知られているmRNA転写物、および同定されうるさらなる転写物を意味する。
【0074】
本明細書において使用する場合、「モデュレーション」なる語は、遺伝子の発現の増大(刺激)かまたは低減(抑制)のいずれかを意味する。本発明においては、抑制は遺伝子発現のモデュレーションの好ましい形態であり、mRNAは好ましい標的である。
【0075】
本明細書において使用する場合、アンチセンス化合物を特定の標的核酸に「ターゲティング」するとは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、意図する標的にアンチセンス化合物が結合し、その機能をモデュレートしうるような仕方で細胞、動物またはヒトに提供することを意味する。
【0076】
好ましいヌクレオチドアナログはLNAである。
【0077】
さらに好ましいヌクレオチドアナログは、インターヌクレオシドリン酸結合がホスホロチオエートであるものである。
【0078】
さらに一層好ましいヌクレオチドアナログは、ヌクレオチドがインターヌクレオシドホスホロチオエート結合を有するLNAであるものである。
【0079】
関心のもたれる態様において、本発明の化合物の3'末端は、ヌクレオチドアナログではなくヌクレオチドを含む。
【0080】
好ましくは、本発明によるオリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1のロックト核酸(LNA)単位、例えば、3, 4, 5, 6, 7, 8, 9,または10のロックト核酸(LNA)単位、好ましくは4〜9のLNA単位、例えば、6〜9のLNA単位、最も好ましくは6, 7または8のLNA単位を含む。好ましくは、LNA単位は、少なくとも1のベータ-D-オキシ-LNA単位、例えば、4, 5, 6, 7, 8, 9,または10のベータ-D-オキシ-LNA単位を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴマー化合物は1を超えるタイプのLNA単位を含むことが考えられるが、すべてのLNA単位がベータ-D-オキシ-LNA単位であってよい。適切には、オリゴマー化合物は、ベータ-D-オキシ-LNAと、以下のLNA単位の1またはそれ以上との両者を含む:D-ベータまたはL-アルファ配置のいずれかにあるチオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、エナ-LNAおよび/またはアルファ-LNAまたはそれらの組合せ。
【0081】
ヌクレオチドアナログ、例えば、LNAヌクレオチドアナログを含む本発明の化合物の態様において、サブ配列は、典型的に、本明細書において規定する2-6の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、LNAヌクレオチドアナログと、それに続く4-12の一続きのヌクレオチドと、それに続く本明細書において規定する2-6の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、LNAヌクレオチドアナログを含む。
【0082】
一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、LNAヌクレオチドアナログと、それに続く一続きのヌクレオチドと、それに続く一続きのヌクレオチドアナログLNAを含むサブ配列は、ギャップマーとして知られる。
【0083】
適切には、そのような「ギャップマー」の一つの態様において、該サブ配列は、4の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログと、それに続く8の一続きのヌクレオチドと、それに続く4の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログを含み、3'末端に任意に単一ヌクレオチドを有する。
【0084】
「ギャップマー」のさらなる一つの態様において、該サブ配列は、3の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログと、それに続く9の一続きのヌクレオチドと、それに続く3の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログを含み、3'末端に任意に単一ヌクレオチドを有する。そのようなデザインは、驚くべきことに極めて有効であることが見出された。
【0085】
「ギャップマー」のさらなる一つの態様において、該サブ配列は、4の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログと、それに続く8の一続きのヌクレオチドと、それに続く3の一続きのヌクレオチドアナログ、例えば、本明細書において規定するLNAヌクレオチドアナログを含み、3'末端に任意に単一ヌクレオチドを有する。
【0086】
好ましくは、オリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNAおよびDNAの両単位を含む。好ましくは、LNAおよびDNAの両単位の組み合わせた合計は、14-20、例えば、15-18、さらに好ましくは16または17のLNA/DNA単位である。好ましくは、本発明のオリゴマー化合物中のLNA/DNA比は、0.3〜1、さらに好ましくは0.4〜0.9、例えば、0.6〜0.8である。
【0087】
好ましくは、本発明によるオリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、式(5'から3'に向かって):A-B-C(および任意にD)(式中、A(5'領域)は、少なくとも1のLNA単位、例えば、1-6のLNA単位、好ましくは2-5のLNA単位、最も好ましくは4のLNA単位からなるまたは含む;B(中央領域)は、好ましくはAの直ぐ3'側にあり、少なくとも1のDNA糖単位、例えば、1-12のDNA単位、好ましくは4-12のDNA単位、さらに好ましくは6-10のDNA単位、例えば、7-9のDNA単位、最も好ましくは8のDNA単位からなるまたは含む;C(3'領域)は、好ましくはBの直ぐ3'側にあり、少なくとも1のLNA単位、例えば、1-6のLNA単位、好ましくは2-5のLNA単位、最も好ましくは4のLNA単位からなるまたは含む)で示されるポリヌクレオチド配列を含むギャップマーである。
【0088】
ギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、上記中央ドメイン(C)(好ましくはDNA単位を含むまたはDNA単位からなる)内にミスマッチが存在しないのが好ましい。RNアーゼH消化のためには、少なくとも5の連続ヌクレオチド(またはRNアーゼHをオリゴ/標的ハイブリッドに再利用することのできるアナログ)が中央ドメインにおいて必要であることが典型的にわかっている。それゆえ、中央ドメインが5を超える連続ヌクレオチドであるギャップマーについては、好ましくはないにしても、2のミスマッチが許容しうる。
【0089】
ギャップマーオリゴヌクレオチドの一つの態様において、ミスマッチはギャップマーの5'末端または3'末端の方に位置しているのが好ましい。そのような態様において、標的mRNAとのミスマッチを含むギャップマーオリゴヌクレオチドでは、そのようなミスマッチが5'領域および/または3'領域のいずれかに位置していること、および/または該ミスマッチが該ギャップマーオリゴヌクレオチドおよび標的分子の5'末端または3'末端ヌクレオチド単位の間にあるのが好ましい。
【0090】
一つの態様において、式:A-B-Cで示されるギャップマーは、さらなる領域Dを含み、該領域は、オリゴマー化合物の3'領域(C)の1またはそれ以上のDNA糖残基、例えば、1-3のDNA糖残基(1-2のDNA糖残基を含む)、最も好ましくは1のDNA糖残基からなるまたは含む、好ましくはからなる。
【0091】
一つの態様において、LNAを含む本発明によるオリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、すべてのLNA C残基が5'メチル-シトシンである。
【0092】
一つの特別に関心のもたれる態様において、化合物は式:
5'-[(LNA)3-4-(DNA/RNA)8-9-(LNA)3-(DNA/RNA)1]-3'
(式中、「LNA」はLNAヌクレオチドを示し、「DNA」および「RNA」は、それぞれデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを示す)で示される。
【0093】
さらに詳細には、化合物は、SEQ ID NOS: 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46および47よりなる群から選ばれてよい。好ましい化合物は、SEQ ID No: 29, 30, 31, 32, 36, 37, 38, 40, 41および42よりなる群から、またはSEQ ID No: 30および31よりなる群から、および/またはSEQ ID No: 36, 37および38よりなる群から、および/またはSEQ ID No: 41および42よりなる群から選ばれてよい。現在、最も好ましい化合物は、SEQ ID NO: 29, SEQ ID NO: 30およびSEQ ID NO: 37よりなる群から選ばれたものである。
【0094】
適切には、該ヌクレオチドおよび/または該LNAは、リン酸基および/またはホスホロチオエート基またはそれらの組合せによって互いに結合していてよい。
【0095】
一つの態様において、該ヌクレオチドおよび/または該LNAは、ホスホロチオエート基によって互いに結合しているのが好ましい。
【0096】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 29を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0097】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 30を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0098】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 31を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0099】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 32を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0100】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 33を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0101】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 34を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0102】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 35を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0103】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 36を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0104】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 37を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0105】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 38を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0106】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 39を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0107】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 40を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0108】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 41を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0109】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 42を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0110】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 43を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0111】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 44を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0112】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 45を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0113】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 46を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0114】
一つの態様において、本発明は、SEQ ID NO: 47を含むまたはからなるオリゴヌクレオチド化合物を提供する。
【0115】
一つの態様において、本発明によるオリゴヌクレオチドがRNAオリゴヌクレオチド、例えば、SEQ ID No: 48, 49, 50または51である場合、3'末端は、末端リボヌクレオチドに直ぐ近接した、2つの共結合した(co-joined)2'-O-メチル修飾リボヌクレオチド単位を含む。
【0116】
オリゴヌクレオチド化合物の調製
LNAヌクレオチドおよびアナログ構築ブロック(β-D-オキシ-LNA, β-D-チオ-LNA, β-D-アミノ-LNAおよびα-L-オキシ-LNA)は、以下の刊行された手順およびその中に引用された文献、例えば、WO03/095467A1; D. S. Pedersen, C. Rosenbohm, T. Koch (2002) Preparation of LNA Phosphoramidites, Synthesis 6, 802−808; M. D. Sorensen, L. Kvaerno, T. Bryld, A. E. Hakansson, B. Verbeure, G. Gaubert, P. Herdewijn, J. Wengel (2002) α-L-ribo-configured Locked Nucleic Acid (α-l-LNA): Synthesis and Properties, J. Am. Chem. Soc., 124, 2164-2176; S. K. Singh, R. Kumar, J. Wengel (1998) Synthesis of Novel Bicyclo[2.2.1] Ribonucleosides: 2’-Amino- and 2’-Thio-LNA Monomeric Nucleosides, J. Org. Chem. 1998, 63, 6078-6079; C. Rosenbohm, S. M. Christensen, M. D. Sorensen, D. S. Pedersen, L. E. Larsen, J. Wengel, T. Koch (2003) Synthesis of 2’-amino-LNA: a new strategy, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663;およびWO2004/069991A2に従って調製することができる。
【0117】
チミジンLNAモノマーの一つの具体例は、(1S,3R,4R,7S)-7-ヒドロキシ-1-ヒドロキシメチル-3-(チミン-1イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2:2:1]ヘプタンである。
【0118】
LNAオリゴヌクレオチドは、実施例およびWO99/14226, WO00/56746, WO00/56748, WO00/66604, WO00/125248, WO02/28875, WO2002/094250およびWO03/006475の記載に従って調製することができる。それゆえ、LNAオリゴヌクレオチドは、有機化学の当業者によく知られた核酸化学の重合方法を用いて製造することができる。一般に、ホスホルアミダイト法(S. L. BeaucageおよびR. P. Iyer, Tetrahedron, 1993, 49, 6123; S. L. BeaucageおよびR. P. Iyer, Tetrahedron, 1992, 48, 2223)の標準重合サイクルを用いるが、例えば、H−ホスホネート化学、ホスホトリエステル化学を用いることもできる。
【0119】
幾つかのモノマーでは、より長いカップリング時間、および/または繰り返しカップリング、および/またはより高濃度のカップリング試薬の使用が、必要であるかまたは有利である。
【0120】
使用したホスホルアミダイトは、典型的に、満足のいく>95%の段階収率でカップリングする。リン(III)からリン(V)への酸化は、通常、例えば、ヨウ素/ピリジン/H2Oを用いて行う。これにより、脱保護後、天然のホスホロジエステルインターヌクレオシド結合が得られる。ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合が調製される場合、ホスホロジエステルインターヌクレオシド結合の合成に使用する通常の(例えば、ヨウ素/ピリジン/H2O)酸化をADTT試薬(水素化キサンテン(アセトニトリル:ピリジン 9:1; v/v中に0.01M))を使用する酸化で置き換えることにより、チオール化工程を行う。BeaucageやPADSなどの他のチオール化試薬を使用することもできる。ホスホロチオエートLNAオリゴヌクレオチドが、段階カップリング収率>=98%で効率的に合成された。
【0121】
β-D-アミノ-LNA, β-D-チオ-LNA、および/またはα-L-LNAを含むLNAオリゴヌクレオチドもまた、ホスホルアミダイト法を用いて段階カップリング収率≧98%で効率よく合成することができる。
【0122】
LNAオリゴヌクレオチドの精製は、使い捨ての逆相精製カートリッジおよび/または逆相HPLCおよび/またはエタノールもしくはブタノールからの沈殿を用いて行うことができる。毛管ゲル電気泳動、逆相HPLC、MALDI−MS、およびESI−MSを用い、合成したLNAオリゴヌクレオチドの純度を確認した。
【0123】

LNAオリゴヌクレオチドは、様々な薬理学的に許容しうる塩にて用いることができる。本明細書において、この語は、LNAオリゴヌクレオチドの所望の生物学的活性を保持し、かつ最小の所望でない毒性作用を示す塩をいう。そのような塩の非制限的例は、有機アミノ酸、および金属カチオン、例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどとの、またはアンモニア、N,N-ジベンジルエチレン-ジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、またはエチレンジアミンから生成するカチオンとの塩基付加塩;またはその組み合わせ、例えば、亜鉛タンニン酸塩などで生成することができる。
【0124】
そのような塩は、ホスホジエステル基および/またはホスホロチオエート基を有するLNAオリゴヌクレオチドから生成され、例えば、適当な塩基との塩である。これら塩としては、例えば、元素周期表のIa族, Ib族, IIa族およびIIb族の金属由来の非毒性金属塩、とりわけ、適当なアルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム塩、またはアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩またはカルシウム塩が挙げられる。これら塩としては、さらに亜鉛およびアンモニウム塩、および適当な有機アミン、例えば、非置換またはヒドロキシル置換されたモノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミン、とりわけ、モノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミンと生成される塩、または第四級アンモニウム化合物、例えば、N-メチル-N-エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキル)アミン、例えば、モノ-、ビス-またはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-tert-ブチルアミンまたはトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N,N-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ-低級アルキル)アミン、例えば、N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミンまたはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはN-メチル-D-グルカミンと生成される塩、または第四級アンモニウム化合物と生成される塩、例えば、テトラブチルアンモニウム塩が挙げられる。リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩またはカリウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0125】
プロドラッグ
一つの態様において、LNAオリゴヌクレオチドはプロドラッグの形態であってよい。オリゴヌクレオチドは実質的に負に荷電している。細胞膜の親油性の性質のため、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みは、中性または親油性の等価物に比べて低減している。この極性「妨害」は、プロドラッグアプローチ(例えば、Crooke, R. M. (1998) in Crooke, S. T., Antisense Research and Application. Springer-Verlag, ベルリン、ドイツ、vol. 131, pp. 103-140を参照)を使用することで回避することができる。このアプローチでは、LNAオリゴヌクレオチドは、投与されたときに中性となるように保護された形態で調製される。これら保護基は、LNAオリゴヌクレオチドが細胞によって取り込まれたときに除去されるような仕方にデザインされる。そのような保護基の例は、S−アセチルチオエチル(SATE)またはS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)である。これら保護基はヌクレアーゼ耐性であり、細胞内で選択的に除去される。
【0126】
コンジュゲート
本発明のさらなる側面は、本明細書で定義した化合物を含むコンジュゲートに関し、該化合物には少なくとも1の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド残基が共有結合している。
【0127】
本発明の関連する側面において、本発明の化合物はコンジュゲートを形成すべくリガンドに結合しており、該リガンドはアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して該コンジュゲートの細胞取り込みを増大させることを意図している。
【0128】
本発明の化合物またはコンジュゲートはまた、活性な医薬物質、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、コレステロール低下剤、抗糖尿病薬、化学療法剤または抗生物質にコンジュゲートしまたはさらにコンジュゲートしていてよい。
【0129】
本発明との関連において、「コンジュゲート」なる語は、本明細書に記載するLNAオリゴヌクレオチド(すなわち、ヌクレオシドまたはヌクレオシドアナログの配列を含む化合物)が1またはそれ以上の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド残基に共有結合することによって生成する不均一分子を示すことを意図している。
【0130】
それゆえ、LNAオリゴヌクレオチドは、LNAオリゴヌクレオチドが二量体構造または樹木状構造に配置されるように、例えば、ペプチド核酸(PNA)、タンパク質(例えば、標的タンパク質の抗体)、巨大分子、低分子量医薬物質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、ミセル形成基、抗体、炭水化物、レセプター結合基、ステロイド、例えば、コレステロール、ポリペプチド、インターカレート剤、例えば、アクリジン誘導体、長鎖アルコール、デンドリマー(dendrimer)、リン脂質および他の親油性基またはそれらの組み合わせなどを含む非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド残基とコンジュゲートしまたはキメラを形成することができる。LNAオリゴヌクレオチドはまた、活性な医薬物質、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、コレステロール低下剤、抗糖尿病薬、化学療法剤または抗生物質にコンジュゲートしまたはさらにコンジュゲートしていてよい。
【0131】
このようにコンジュゲートすることで、LNAオリゴヌクレオチドの薬動力学的特性に関して有利な特性が付与される。とりわけ、このようにしてコンジュゲートすることは増大した細胞取り込みを達成する。
【0132】
一つの態様において、LNAオリゴヌクレオチドはコンジュゲートを形成すべくリガンドに結合され、該リガンドは、アンチセンスLNAオリゴヌクレオチドに比べて該コンジュゲートの細胞取り込みを増大させることを意図するものである。この結合は、末端位置の5'/3'-OHで行うことができるが、リガンドの結合はまた糖および/または塩基でも行うことができる。とりわけ、アンチセンスLNAオリゴヌクレオチドがコンジュゲートする増殖因子は、トランスフェリンまたは葉酸を含む。高レベルのトランスフェリンまたは葉酸レセプターを発現する細胞による取り込みのため、トランスフェリン-ポリリシン-オリゴヌクレオチド複合体または葉酸-ポリリシン-オリゴヌクレオチド複合体を調製することができる。コンジュゲート/リガンドの例は、コレステロール残基、二本鎖インターカレート剤、例えば、アクリジン、ポリ−L−リシン、1またはそれ以上のホスホロモノチオエートなどのヌクレアーゼ耐性連結基での「末端キャッピング(end-capping)」などである。
【0133】
細胞中へのオリゴヌクレオチド取り込みの担体としてのトランスフェリン複合体の調製は、Wagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410-3414 (1990)によって記載されている。葉酸レセプターエンドサイトーシスによる葉酸-巨大分子コンジュゲートの細胞送達(アンチセンスオリゴヌクレオチドの送達を含む)は、Lowらの米国特許第5,108,921号に記載されている。Leamonら、Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 5572 (1991)をも参照のこと。
【0134】
医薬組成物
本発明の特に興味のもたれる側面は、本明細書に記載の化合物またはコンジュゲートおよび薬理学的に許容しうる希釈液、担体またはアジュバントを含む医薬組成物に関する。特に興味のもたれる側面において、医薬組成物は経口投与用に適合されている。
【0135】
医薬組成物の製造の指針は、Alfonso R. Gennaroによる「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」および以下の記載に見出すことができる。
【0136】
本発明はまた、活性成分として少なくとも1の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド構築物を含む医薬組成物に特に関連することが理解されなければならない。本発明による医薬組成物は任意に薬理学的に許容しうる担体を含むこと、および医薬組成物はさらに任意にアンチセンス化合物、化学療法剤、コレステロール低下剤、抗炎症化合物、抗ウイルス化合物および/または免疫モデュレート化合物を含むことが理解されなければならない。
【0137】
上記に記載したように、本発明の医薬組成物は、少なくとも1の治療/予防化合物をさらに含んでいてよい。該化合物は、典型的に、以下よりなる群から選ばれる:胆汁酸塩封鎖樹脂(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラム塩酸塩)、HMGCoA-リダクターゼ阻害剤(、例えば、ロバスタチン、セリバスタチン、プレバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、およびフルバスタチン)、ニコチン酸、フィブル酸(fibric acid)誘導体(例えば、クロフィブレート、ゲンフィブロジル、フェノフィブレート、ベンザフィブレート、およびシプロフィブレート)、プロブコール、ネオマイシン、デキストロチロキシン、プラント−スタノール(plant-stanol)エステル、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、インプリタピド、胆汁酸トランスポーター(apical sodium-dependent bile acid transporters)の阻害剤、肝臓CYP7aのレギュレーター、エストロゲン補充療法剤(例えば、タモキシフェン)、および抗炎症剤(例えば、グルココルチコイド)。
【0138】
本発明に含まれるオリゴヌクレオチド化合物またはコンジュゲートは、様々な薬理学的に許容しうる塩にて用いることができる。本明細書において使用する場合、この語は、本明細書において同定する化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小の所望でない毒性作用を示す塩をいう(「コンジュゲート」を参照)。
【0139】
本発明の一つの態様において、オリゴヌクレオチド化合物またはコンジュゲートは、プロドラッグの形態であってよい(「プロドラッグ」を参照)。
【0140】
本発明はまた、本明細書に開示する1またはそれ以上のオリゴヌクレオチド化合物またはコンジュゲートの製剤をも包含する。薬理学的に許容しうる結合剤およびアジュバントは、製剤医薬の一部である。カプセル剤、錠剤および丸剤等は、例えば、以下の化合物を含んでいてよい:結合剤として、微結晶セルロース、ガムまたはゼラチン;賦形剤として、デンプンまたはラクトース;滑沢剤としてステアリン酸塩;種々の甘味剤または香味剤。カプセル剤については、投与単位は脂肪油などの液体担体を含んでいてよい。同様に、糖衣または腸溶剤は投与単位の一部である。オリゴヌクレオチド製剤はまた、活性な医薬成分とミセルエマルジョンを形成する脂質とのエマルジョンであってもよい。そのような製剤は、経口投与に特に有用である。
【0141】
本発明のオリゴヌクレオチドは、所望の作用を損なうことないいかなる物質とも、あるいは所望の作用を補う物質と混合することができる。これらには、他のヌクレオシド化合物を含む他の薬剤が含まれる。
【0142】
非経口、皮下、皮内または局所投与のためには、製剤は、滅菌希釈液、緩衝液、張性の調節剤および抗菌剤を含んでいてよい。活性化合物は、分解または生体からの即座の排除に対して保護する担体(徐放特性を有するインプラントまたはマイクロカプセルを含む)とともに調製することができる。静脈内投与のためには、好ましい担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水である。
【0143】
好ましくは、オリゴヌクレオチド化合物は、治療する患者に重篤な副作用を引き起こすことなく治療学的有効量を送達するに充分な量にて、薬理学的に許容しうる担体または希釈液中などの単位製剤に含有される。
【0144】
本発明の医薬組成物は、局所あるいは全身処置が望まれるか否かおよび処置する領域に依存して多くの仕方で投与することができる。投与は、(a)経口、(b)肺で行う、例えば、粉末またはエアゾル剤の吸入(ネブライザーによるもの、気管内、鼻内を含む)、(c)表皮、経皮、眼内および粘膜(膣および直腸送達を含む)を含む局所、または(d)静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内注射または注入、または頭蓋内(例えば、くも膜下腔内または脳室内)投与を含む非経口であってよい。一つの態様において、活性なLNAオリゴヌクレオチドは、静脈内、腹腔内、経口、局所またはボーラス注射により投与し、または標的臓器に直接投与する。
【0145】
局所投与のための医薬組成物および製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、噴霧剤、坐剤、液剤および粉末薬が挙げられる。通常の製薬担体、水性、粉末または油性基剤、粘稠化剤などは必要または所望される。被覆コンドーム、グラブ(gloves)なども用いることができる。好ましい局所製剤としては、本発明のオリゴヌクレオチドが局所送達剤、例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤および界面活性剤と混合されるものが挙げられる。
【0146】
経口投与のための組成物および製剤としては、これらに限られるものではないが、粉末薬または顆粒剤、ミクロ粒子、ナノ粒子、水もしくは非水媒体中の懸濁剤または水溶液、カプセル剤、ゲルカプセル剤、サシェ剤(sachets)、錠剤またはミニ錠剤(minitablets)が挙げられる。
【0147】
非経口、くも膜下腔内または脳室内投与のための組成物および製剤としては、緩衝液、希釈液および他の適当な添加剤、例えば、これらに限られるものではないが、透過促進剤、担体化合物および他の薬理学的に許容しうる担体または賦形剤を含んでいてよい滅菌水溶液が挙げられる。
【0148】
本発明の医薬組成物としては、これらに限られるものではないが、液剤、エマルジョン、およびリポソーム含有製剤が挙げられる。これら組成物は、前もって生成した液体、自己乳化固体および自己乳化半固体を含む(これらに限られるものではない)様々な成分から調製できる。肝臓組織への薬剤の送達は、カチオン性リポソーム、シクロデキストリン、ポルフィリン誘導体、分枝鎖デンドリマー、ポリエチレンイミンポリマー、ナノ粒子およびミクロスフェアを含む(これらに限られるものではない)担体媒体送達により促進することができる(Dass CR. J Pharm Pharmacol 2002; 54(1):3-27)。
【0149】
本発明の医薬製剤は、単位投与剤型にて都合よく提供することができ、製薬産業においてよく知られた常法に従って調製することができる。そのような常法は、活性成分を製薬担体または賦形剤と混合する工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体または細かく分割した固体担体または両者と均一かつ密に混合することにより調製する。
【0150】
本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ、軟ゲルおよび坐剤などの(これらに限られるものではない)多くの可能な剤型に製剤化することができる。本発明の組成物はまた、水性、非水性または混合媒体中の懸濁剤としても製剤化することができる。水性懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む懸濁剤の粘度を増大させる物質をさらに含んでいてよい。懸濁剤はまた、安定化剤をも含んでいてよい。
【0151】
LNA含有オリゴヌクレオチド化合物は、上記のように多くの治療適用に対して有用である。一般に、本発明の治療方法は、治療学的有効量のLNA含有オリゴヌクレオチドを哺乳動物、とりわけヒトに投与することを含む。
【0152】
ある態様において、本発明は、(a)1またはそれ以上のアンチセンス化合物および(b)1またはそれ以上の他のコレステロール低下剤(非アンチセンス機構により機能する)を含む医薬組成物を提供する。本発明の化合物とともに用いる場合、そのようなコレステロール低下剤は、個々に(例えば、アトルバスタチンおよびオリゴヌクレオチド)、連続して(例えば、アトルバスタチンおよびオリゴヌクレオチドを投与した所定期間の後に他の薬剤およびオリゴヌクレオチド)、またはそのような1またはそれ以上のコレステロール低下剤と併用して、用いることができる。当該技術分野で当業者に知られたすべてのコレステロール低下剤が、本発明による化合物との併用療法として本明細書中に引用される。
【0153】
抗炎症剤(非ステロイド抗炎症剤およびコルチコステロイドを含むが、これらに限られるものではない)、抗ウイルス剤、およびイムノモデュレーターをも本発明の組成物と組み合わせることができる。2またはそれ以上の組み合わせた化合物は、一緒に、または連続して使用できる。
【0154】
他の態様において、本発明の組成物は、第一の核酸をターゲティングする1またはそれ以上のアンチセンス化合物、とりわけオリゴヌクレオチドと、第二の核酸標的にターゲティングする1またはそれ以上の別のアンチセンス化合物とを含有していてよい。2またはそれ以上の組み合わせた化合物は、一緒に、または連続して使用できる。
【0155】
投与量は、処置しようとする疾患状態の重篤度および応答性、および数日から数ヶ月、または治癒が有効となるかまたは疾患状態の縮減が達成されるまで持続する処置の経過に依存する。最適の投与スケジュールは、患者の体内での薬剤の蓄積の測定から計算することができる。
【0156】
最適の投与量は、個々のオリゴヌクレオチドの相対的な効力に依存して変わる。一般に、それは、インビトロおよびインビボ動物モデルで有効であると見出されたEC50に基づいて評価することができる。一般に、投与量は、体重1kg当たり0.01μg〜1gであり、毎日、毎週、毎月または毎年1回またはそれ以上、あるいは2〜10年に1回、または数時間から数ヶ月の間の連続注入により投与できる。投与の繰り返し頻度は、体液または組織中の薬剤の測定した残留時間および濃度に基づいて評価することができる。成功した処置後、患者に維持療法を受けさせて疾患状態の再発を防ぐのが望ましい。
【0157】
処置の方法
当業者であれば、LNAを含むオリゴヌクレオチド化合物がアポリポタンパク質B(Apo−B100)関連疾患と多くの異なる原理により闘うのに用いることができることを評価するであろう(それゆえ、これは本発明の意図の範囲内である)。
【0158】
LNAオリゴヌクレオチド化合物は、小さな二本鎖RNA分子であるsiRNAとしてデザインすることができ、これは未だ十分には理解されていない「アンチセンス様機構」により特定の内生または外来の遺伝子をサイレンシングするのに細胞で用いられる。
【0159】
β-D-オキシ-LNAはRNアーゼH活性を支持しないことが示されている。しかしながら、これは、ギャップマーと呼ばれるβ-D-オキシ-LNAとDNAとからなるキメラオリゴヌクレオチドを作製することにより、本発明に従って変えることができる。ギャップマーは、典型的にβ-D-オキシ-LNAの1〜6残基(フランク)によってフランキングされた、RNアーゼHによって認識されることができ開裂されうる一続きの中央の4-12 ntのDNAまたは修飾モノマーに基づく。フランクもまたLNA誘導体で構築することができる。RNアーゼH媒介機構によって作用することのできる本発明による他のキメラ構築物が存在する。ヘッドマー(headmer)は、連続した一続きのβ-D-オキシ-LNAまたはLNA誘導体と、その5'末端に3'末端に向かって続く連続した一続きのRNアーゼHによって認識されることができ開裂されうるDNAまたは修飾モノマーとからなるものとして定義され、テールマー(tailmer)は、連続した一続きのRNアーゼHによって認識されることができ開裂されうるDNAまたは修飾モノマーと、その5'末端に3'末端に向かって続く連続した一続きのβ-D-オキシ-LNAまたはLNA誘導体とからなるものとして定義される。ミックスマー(mixmers)と呼ばれる本発明による他のキメラは、RNアーゼHによって認識されることができ開裂されうるDNAまたは修飾モノマーとβ-D-オキシ-LNAおよび/またはLNA誘導体との交互の組成からなり、これもまたRNアーゼH結合および開裂に媒介することができる。α-L-LNAはある程度までRNアーゼH活性を再利用するので、ギャップマー構築物について、RNアーゼHによって認識されることができ開裂されうるDNAまたは修飾モノマーのギャップは一層小さいことが必要であり、ミックスマー構築物では一層大きな可撓性が導入される。
【0160】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの臨床的有効性は、その薬動力学的特性、例えば、吸収、分布、細胞による取り込み、代謝および排泄にかなりの程度依存する。これらパラメーターは、今度は、オリゴヌクレオチドの基礎をなす化学およびサイズおよび三次元構造によって有意に左右される。
【0161】
本発明によるLNAオリゴヌクレオチドの薬動力学的特性をモデュレートすることは、さらに、様々な異なる残基の結合によって達成することができる。例えば、オリゴヌクレオチドが細胞膜を通過する能力は、例えば、コレステロール残基、チオエーテル、脂肪族鎖、リン脂質またはポリアミンなどの脂質残基をオリゴヌクレオチドに結合することにより高めることができる。同様に、LNAオリゴヌクレオチドの細胞中への取り込みは、膜中の分子と相互作用する残基をオリゴヌクレオチドにコンジュゲートすることにより高めることができ、これにより細胞質中への輸送が媒体される。
【0162】
薬力学的特性は、本発明により、オリゴマーの取り込みを改善し、生体安定性を促進し、例えば、分解に対するオリゴマー耐性を促進し、および/または標的、例えばmRNA配列とのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション特性の特異性および親和性を増大させる基を用いて高めることができる。
【0163】
本発明による医薬組成物は、異常なレベルのApoB−100と関連する状態の治療に用いることができる。
【0164】
そのような状態の例は、高リポタンパク質血症、家族性3型高リポタンパク質血症(家族性異βリポタンパク質血症)、および家族性高αリポタンパク質血症;高脂血症、混合型高脂血症、多リポタンパク質型高脂血症、および家族性高脂血症;高グリセリド血症、家族性高グリセリド血症、および家族性リポタンパク質リパーゼ;高コレステロール血症、スタチン耐性高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、多遺伝子性高コレステロール血症、家族性欠損アポリポタンパク質B;アテローム性動脈硬化症および冠状動脈疾患を含む心血管疾患;血栓症;末梢血管疾患;フォン・ギールケ病(グリコーゲン貯蔵病I型);リポジストロフィー(先天性および後天性のもの);クッシング症候群;性器発育正常性発育不全性小人症(単離成長ホルモン欠損症);糖尿病;甲状腺機能亢進症;高血圧症;神経性食欲不振;ヴェルナー症候群;急性間欠性ポルフィリン症;原発性胆汁性肝硬変;肝外胆汁5閉塞;急性肝炎;ヘパトーマ;全身性エリテマトーデス;単クローン性高ガンマグロブリン血症(骨肉腫、多発性骨髄種、マクログロブリン血症、およびリンパ腫を含む);内分泌障害;肥満;ネフローゼ症候群;メタボリックシンドローム;炎症;甲状腺機能低下症;尿毒症(尿酸過剰血症);不能症;閉鎖性肝臓疾患;特発性高カルシウム血症;異グロブリン血症(dysqlobulinemia);上昇したインスリンレベル;X症候群(Syndrome X);デュピュイトラン拘縮;AIDS;およびアルツハイマー病および痴呆である。
【0165】
本発明はまた、アポリポタンパク質B発現を抑制するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む、状態のリスクを低減する方法であって、該状態が、妊娠;間欠性跛行;痛風;および水銀中毒およびアマルガム病から選ばれる方法をも提供する。本発明はさらに、アポリポタンパク質B発現を抑制するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む、コレステロール粒子の血管内皮への結合を抑制する方法をも提供し、その結果、本発明はまた、アポリポタンパク質B発現を抑制するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む、以下のリスクを低減する方法をも提供する:(i)コレステロール粒子の酸化;(ii)単球の内皮への結合;(iii)単球のマクロファージへの分化;(iv)マクロファージによる酸化脂質30粒子の摂取およびサイトカイン(IL-l, TNF-アルファ, TGF-ベータを含むが、これらに限られるものではない)放出;(v)線維脂肪病変および炎症の血小板生成(platelet formation of fibrous fibrofatty lesions and inflammation);(vi)血栓に導く内皮病変;および(vii)心筋梗塞や脳卒中に導く血栓。
【0166】
本発明はまた、アポリポタンパク質B発現を抑制するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む、アルコール中毒、喫煙、経口避妊薬の使用、グルココルチコイドの使用、ベータ−アドレナリン阻害薬の使用、またはイソトレチニオン(13−シスレチノイン酸)の使用に関連する高脂血症を低減する方法をも提供する。
【0167】
本発明はさらに、本明細書に開示したあらゆる状態の治療用医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【0168】
一般に、本発明の一つの側面は、異常なレベルのApoB−100と関連する状態を罹患しているかまたは罹患しやすい哺乳動物を治療する方法であって、該哺乳動物に、Apo−B100をターゲティングした1またはそれ以上のLNA単位を含むオリゴヌクレオチドの治療学的有効量を投与することを含む方法に関する。
【0169】
本発明の関心のもたれる側面は、上記の状態の治療用医薬の製造のための本明細書に記載の化合物または本明細書に記載のコンジュゲートの使用に関する。
【0170】
本発明の方法は、異常なレベルのApoB−100によって引き起こされる疾患の治療または予防に用いられるのが好ましい。
【0171】
さらに、本明細書に記載する本発明は、そのような療法を必要とするヒトに、治療学的有効量のApo−B100モデュレートオリゴヌクレオチド化合物(オリゴマーの高投与量を含むが、これに限られるものではない)を含む、疾患を予防または治療する方法を包含する。本発明はさらに、Apo−B100モデュレートオリゴヌクレオチド化合物の投与の短期間の使用を包含する。
【0172】
本発明の一つの態様において、オリゴヌクレオチド化合物は、リガンド/コンジュゲートに結合している。それはアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞摂取を増大させるための方法である。
【0173】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物はまた、活性な医薬物質、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病薬、または抗菌剤または抗生物質にコンジュゲートしてよい。
【0174】
別に記載したように、本発明はさらに、異常なレベルのApoB−100を治療する方法であって、本明細書に記載の化合物、または本明細書に記載のコンジュゲートまたは本明細書に記載の医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含み、別の化学療法剤のさらなる投与を含む方法に関する。該さらなる投与は、別の化学療法剤が本発明の化合物にコンジュゲートされ、医薬組成物中に配合され、または別個の製剤で投与されるようなものであってよい。
【0175】
本発明のLNA含有オリゴヌクレオチド化合物はまた、診断、治療および予防の研究薬剤に利用することもできる。研究において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞および実験動物においてApo−B100遺伝子の合成を特異的に抑制し、それによって標的の機能的分析または治療的介入のための標的としてのその有用性の評価を容易にするのに用いることができる。診断において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞または組織でのApo−B100発現をノーザンブロッティング、インシトゥハイブリダイゼーションまたは同様の方法によって検出および定量するのに用いることができる。治療のためには、疾患または障害を罹患していると思われApo−B100の発現をモデュレートすることによって治療することのできる動物またはヒトを、本発明によるアンチセンス化合物を投与することによって治療する。さらに、治療学的または予防学的有効量の1またはそれ以上の本発明のアンチセンス化合物または組成物を投与することによる、Apo−B100の発現と関連する疾患または状態を罹患しているかまたは罹患しやすいと思われる動物、とりわけマウスおよびヒトを治療し、ヒトを治療する方法が提供される。
【0176】
本発明はまた、医薬として使用するための本明細書に記載の化合物またはコンジュゲートにも関する。
【0177】
本発明はさらに、異常なレベルのApoB−100の治療用医薬の製造のための本明細書に記載の化合物またはコンジュゲートの使用に関する。典型的に、該異常なレベルのApoB−100は、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または高脂血症の形態である。
【0178】
さらに、本発明は、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および高脂血症よりなる群から選ばれた疾患または状態を罹患する患者を治療する方法であって、それを必要とする患者に本明細書に記載の医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。好ましくは、医薬組成物を経口投与する。
【0179】
本発明の幾つかの態様
1.全部で12-50のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログからなる化合物であって、該化合物は少なくとも10のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのサブ配列を含み、該サブ配列は配列番号:SEQ ID No 2, SEQ ID No 3, SEQ ID No 6, SEQ ID No 7, SEQ ID No 8, SEQ ID No 9, SEQ ID No 10, SEQ ID No 11, SEQ ID No 12, SEQ ID No 13, SEQ ID No 14, SEQ ID No 15, SEQ ID No 16, SEQ ID No 17, SEQ ID No 27, SEQ ID No 28, SEQ ID No 48およびSEQ ID No 50よりなる群から選ばれた配列内に位置しており、該化合物は少なくとも3のヌクレオチドアナログを含むことを特徴とする化合物。
【0180】
2.二本鎖オリゴヌクレオチドからなり、各鎖が全部で16-30のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含み、該化合物は少なくとも10のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのサブ配列を含み、該サブ配列はSEQ ID NOS: 27, 28, (および/または48または50)よりなる群から選ばれた配列内に位置しており、該化合物は少なくとも3のヌクレオチドアナログを含むことを特徴とする請求項1の化合物。
【0181】
3.12-25のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含む、態様1の化合物。
【0182】
4.15, 16, 17, 18, 19, 20, 21,または22のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含む、態様3の化合物。
【0183】
5.16のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含む、態様4の化合物。
【0184】
6.該ヌクレオチドが、リン酸基、ホスホロチオエート基およびボラノホスフェート基よりなる群から選ばれた結合基を含み、インターヌクレオシド結合が-O-P(O)2-O-, -O-P(O,S)-O-である、態様1〜5のいずれかの化合物。
【0185】
7.該結合がリン酸基である、態様6の化合物。
【0186】
8.該結合がホスホロチオエート基である、態様6の化合物。
【0187】
9.すべてのヌクレオチドがホスホロチオエート基を含む、態様6の化合物。
【0188】
10.3-12のヌクレオチドアナログを含む、態様9の化合物。
【0189】
11.6のヌクレオチドアナログを含む、態様10の化合物。
【0190】
12.該ヌクレオチドアナログの少なくとも1がロックト核酸(LNA)である、態様10〜11のいずれかの化合物。
【0191】
13.LNAが、ベータ-D-オキシ-LNA, アルファ-L-オキシ-LNA, ベータ-D-アミノ-LNAまたはベータ-D-チオ-LNAから選ばれる、態様12の化合物。
【0192】
14.該ヌクレオシドおよび/またはLNAが互いにリン酸基により結合している、態様13の化合物。
【0193】
15.該ヌクレオシドおよび/または該LNAが互いにホスホロチオエート基により結合している、態様14の化合物。
【0194】
16.該サブ配列がSEQ ID NO: 2である、態様12の化合物。
【0195】
17.該サブ配列がSEQ ID NO: 3である、態様12の化合物。
【0196】
18.3'末端LNAが対応天然ヌクレオシドで置換されている、態様16〜17のいずれかの化合物。
【0197】
19.SEQ ID No: 29からなる化合物。
【0198】
20.SEQ ID No: 30からなる化合物。
【0199】
21.態様1〜20のいずれかの化合物と、該化合物に共有結合した少なくとも1の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド残基とを含むコンジュゲート。
【0200】
22.態様1〜20のいずれかの化合物または態様21のコンジュゲート、および薬理学的に許容しうる希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物。
【0201】
23.少なくとも1のコレステロール低下化合物を含む、態様22の医薬組成物。
【0202】
24.該化合物が、胆汁酸塩封鎖樹脂(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラム塩酸塩)、HMGCoA-リダクターゼ阻害剤(、例えば、ロバスタチン、セリバスタチン、プレバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、およびフルバスタチン)、ニコチン酸、フィブル酸(fibric acid)誘導体(例えば、クロフィブレート、ゲンフィブロジル、フェノフィブレート、ベンザフィブレート、およびシプロフィブレート)、プロブコール、ネオマイシン、デキストロチロキシン、プラント−スタノール(plant-stanol)エステル、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、インプリタピド、胆汁酸トランスポーター(apical sodium-dependent bile acid transporters)の阻害剤、肝臓CYP7aのレギュレーター、エストロゲン補充療法剤(例えば、タモキシフェン)、および抗炎症剤(例えば、グルココルチコイド)よりなる群から選ばれる、態様23の医薬組成物。
【0203】
25.医薬として使用するための態様1〜20のいずれかの化合物または態様21のコンジュゲート。
【0204】
26.異常なレベルのApo−B100の治療用医薬の製造のための、態様1〜20のいずれかの化合物または態様21のコンジュゲートの使用。
【0205】
27.該異常なレベルのApo−B100が、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または高脂血症である、態様26の使用。
【0206】
本発明を以下の実施例により非制限的な仕方でさらに説明する。
【0207】
実施例
実施例1:モノマー合成
LNAモノマー構築ブロックおよびその誘導体を、以下の刊行された方法およびその中で引用された文献に従って調製した:
WO 03/095467 A1
D. S. Pedersen, C. Rosenbohm, T. Koch (2002) LNAホスホルアミダイトの調製, Synthesis 6, 802-808
M. D. Sorensen, L. Kvaerno, T. Bryld, A. E. Hakansson, B. Verbeure, G. Gaubert, P. Herdewijn, J. Wengel (2002) α-L-リボ-配置Locked Nucleic Acid (α-l-LNA):合成および特性, J. Am. Chem. Soc., 124, 2164-2176.
S. K. Singh, R. Kumar, J. Wengel (1998) 新規なビシクロ[2.2.1]リボヌクレオチド: 2'-アミノ- および2'-チオ-LNAモノマーヌクレオシドの合成, J. Org. Chem. 1998, 63, 6078-6079.
C. Rosenbohm, S. M. Christensen, M. D. Sorensen, D. S. Pedersen, L. E. Larsen, J. Wengel, T. Koch (2003) Synthesis of 2'-アミノ-LNAの合成:新規な戦略, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663.
D. S. Pedersen, T. Koch (2003) LNA (Locked Nucleic Acid)のアナログ 2'-チオ-LNAチミンおよび5-メチルシトシンホスホルアミダイトの合成, Synthesis 4, 578-582.
【0208】
実施例2:オリゴヌクレオチドの合成
オリゴヌクレオチドを、Expedite 8900/MOSS合成機(Multiple Oligonucleotide Synthesis System)でのホスホルアミダイトアプローチを用い、1μモルまたは15μモルのスケールで合成した。より大きなスケールの合成にはAkta Oligo Pilotを用いた。合成の終了時(DMT-on)、水性アンモニアを室温で1〜2時間用いてオリゴヌクレオチドを固相支持体から開裂し、65℃で4時間さらに脱保護した。オリゴヌクレオチドを逆相HPLC(RP−HPLC)により精製した。DMT基の除去後、AE−HPLC、RP−HPLC、およびCGEによりオリゴヌクレオチドを特徴付け、分子量をESI−MSによりさらに確認した。詳細は以下を参照。
【0209】
LNA-固相支持体の調製:
LNAスクシニルヘミエステルの調製
5'-O-Dmt-3'-ヒドロキシ-LNAモノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2当量)およびDMAP(1.2当量)をDCM(35mL)に溶解した。反応液を室温で一夜攪拌した。NaH2PO4 0.1M pH 5.5 (2×)および食塩水(1×)で抽出した後、有機層をさらに無水Na2SO4で乾燥させ、濾過および蒸発させた。ヘミエステルを95%の収率で得、さらに精製することなく用いた。
【0210】
LNA-支持体の調製
上記で調製したヘミエステル誘導体(90μモル)を最小量のDMFに溶解し、DIEAおよびpyBOP(90μモル)を加え、1分間攪拌した。この前活性化混合物をLCAA-CPG(500オングストローム、80-120メッシュサイズ、300mg)と手動合成機中で混合し、攪拌した。室温で1.5時間後、支持体を濾去し、DMF、DCMおよびMeOHで洗浄した。乾燥後、負荷を57μモル/gと決定した(Tom Brown, Dorcas J.S.Brown. Modern machine-aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis. In: F.Eckstein編、Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach. オックスフォード: IRLプレス, 1991: 13-14を参照)。
【0211】
オリゴヌクレオチドの伸長
ホスホルアミダイト(A(bz), G(ibu), 5-メチル-C(bz))またはT-β-シアノ-エチル-ホスホルアミダイト)のカップリングを、アセトニトリル中の0.1Mの5'-O-DMT-保護アミダイトの溶液およびアクチベーターとしてアセトニトリル(0.25M)中のDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)を用いて行う。チオール化を、水素化キサンテン(アセトニトリル:ピリジン10%中に0.01M)を用いて行う。残りの試薬は、オリゴヌクレオチドの合成に典型的に使用するものである。供給者により提供されるプロトコールを都合よく最適化した。
【0212】
RP−HPLCによる精製:
カラム:Xterra RP18
流速:3mL/分
緩衝液:0.1M酢酸アンモニウム、pH8およびアセトニトリル
【0213】
略語
DMT:ジメトキシトリチル
DCI:4,5-ジシアノイミダゾール
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP:ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル
【0214】
実施例3:オリゴヌクレオチド化合物のデザイン
siRNAは、21-ヌクレオチドセンス鎖(SEQ ID NO: 27)および23ヌクレオチドアンチセンス鎖(SEQ ID NO: 28)であり、その結果、該アンチセンス鎖の3'に2のヌクレオチドの突出を有する。
【0215】
ApoB-siRNAセンス5'-GUCAUCACACUGAAUACCAA*U-3'(SEQ ID NO: 48)、ApoB-1-siRNAアンチセンス鎖5'-AUUGGUAUUCAGUGUGAUGAc*a*C-3(SEQ ID NO: 49)およびApoB-siRNA-Cholセンス鎖:5'-GUCAUCACACUGAAUACCAAU*Chol-3'(SEQ ID NO: 50)をRNATEC(Leuven)により合成した。
【0216】
本発明の一つの態様において、SEQ ID NOS: 2-26は、SEQ ID NOS: 29-47におけると同様、少なくとも3のLNAヌクレオチド、例えば、6または7のLNAヌクレオチドを含む。
【0217】
表1:本発明のオリゴヌクレオチド化合物
SEQ ID NOS: 27, 28, 48, 49, 50において、大文字はリボヌクレオチド単位を示し、下付きの「s」はホスホロチオエート結合を表す。
【0218】
【表1】

【0219】
【表2】

【0220】
【表3】

【0221】
【表4】

【0222】
SEQ ID No: 30は、本発明による関心のもたれる化合物である。
【0223】
実施例4:ヒトまたはラット血漿でのLNA化合物の安定性
LNAオリゴヌクレオチドの安定性を、ヒトまたはラットからの血漿(マウス、サルまたはイヌからの血漿であってもよい)で試験した。45μlの血漿に5μlのオリゴヌクレオチドを加える(最終濃度20μM)。オリゴを血漿中、0-96時間の範囲の時間、37℃にてインキュベートする(血漿は、ヌクレアーゼ活性について96時間試験して、ヌクレアーゼ開裂パターンで差違を示さない)。指定の時間に試料を液体窒素中で急速凍結乾燥(snap-frozen)した。血漿中の2μl(40ピコモルに等しい)のオリゴヌクレオチドに15μlの水および3μlの6×負荷染料(Invitrogen)を加えて希釈した。マーカーとして10bpラダー(Invitrogen:10821-015)を用いる。1μlのラダーに1μlの6×負荷染料および4μlの水を加えた。試料を混合し、65℃に10分加熱し、プリランゲル(prerun gel)(16%アクリルアミド、7M尿素、1×TBE;50ワットで1時間、前処理(pre-run))に負荷し、50-60ワットで2時間半処理した。その後、ゲルを1×TBE中の1×SyBRゴールド(モレキュラープローブ)で15分染色した。Bioradからのリン造影剤(phosphoimager)を用いてバンドを可視化した。
【0224】
実施例5:インビトロモデル:細胞培養
標的核酸発現に対するアンチセンス化合物の作用は、該標的核酸が測定可能なレベルで存在することを条件として、様々な細胞型のいずれにおいても試験することができる。標的は、内生的に、または該核酸をコードする核酸の一過性または安定なトランスフェクションにより発現させることができる。
【0225】
標的核酸の発現レベルは、例えば、ノーザンブロット分析、定量的PCR、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いてルーチンに決定することができる。以下の細胞型が例示目的で提供されるが、選択した細胞型で標的が発現されることを条件として他の細胞型をルーチンに用いることができる。
【0226】
細胞を以下に記載する適当な培地で培養し、37℃で95-98%の湿度および5%CO2に保持した。細胞を毎週2-3回、ルーチンに継代した。
【0227】
BNCL-2:マウス肝臓細胞株BNCL-2をATCCから購入し、DMEM(Sigma)中、10%FBS + Glutamax I + 非必須アミノ酸 + ゲンタマイシンとともに培養した。
【0228】
Hepa1-6:マウス肝臓細胞株Hepa1-6をATCCから購入し、DMEM(Sigma)中、10%FBS + Glutamax I + 非必須アミノ酸 + ゲンタマイシンとともに培養した。
【0229】
HepG2:ヒト肝臓細胞株HepG2をATCCから購入し、Eagle MEM(Sigma)中、10%FBS + Glutamax I + 非必須アミノ酸 + ゲンタマイシンとともに培養した。
【0230】
実施例6:インビトロモデル:アンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理
細胞培養およびトランスフェクション:BNCL-2またはHepa1-6細胞を12-ウエルプレートに37℃(5%CO2)にて10%FBS, Glutamax Iおよびゲンタマイシンを添加した増殖培地に播種した。細胞が60-70%コンフルエントになったとき、リポフェクタミン2000 (5μg/mL)を用いて異なる濃度のオリゴヌクレオチド(0.04-25nM)で2回ずつトランスフェクションした。トランスフェクションは本質的にDeanら(1994, JBC 269:16416-16424)の記載に従って行った。簡単に説明すると、細胞を10分間、リポフェクタミンとともにOptiMEM中でインキュベートし、ついでオリゴヌクレオチドをウエル当たり全量0.5mLのトランスフェクション混合物となるように加えた。4時間後、トランスフェクション混合物を除き、細胞を洗浄し、37℃で約20時間増殖させた(適当な増殖培地でのmRNA分析およびタンパク質分析)。ついで、細胞をタンパク質およびRNA分析のために回収した。
【0231】
実施例7:インビトロモデル:RNAの抽出およびcDNAの合成
全RNAの単離
RNeasyミニキット(Qiagen)を用いて全RNAを単離した。細胞をPBSで洗浄し、1%メルカプトエタノールを添加したCell Lysis Buffer (RTL, Qiagen)をウエルに直接加えた。数分後、試料を製造業者の指示に従って処理した。
【0232】
第一鎖の合成は、OmniScript Reverse TranscriptaseキットまたはM-MLV Reverse transcriptase(本質的に製造業者(Ambion)の記載に従う)のいずれかを製造業者の指示に従って用いて行った。OmniScript Reverse Transcriptaseを用いる場合は、0.5μgの全RNAの各試料を12μlに調節し、0.2μlのポリ(dT)12-18(0.5μg/μl) (Life Technologies)、2μlのdNTP混合物 (各5mM)、2μlの10×RT緩衝液、0.5μlのRNAguardTM RNaseインヒビター(33単位/mL、Amersham)および1μlのOmniScript Reverse Transcriptaseと混合し、ついで37℃で60分間インキュベートし、93℃で5分間加熱して不活化した。
【0233】
第一鎖をランダムデカマーおよびM-MLV-Reverse Transcriptase(本質的に製造業者(Ambion)の記載に従う)を用いて行う場合は、0.25μgの全RNAの各試料をH2O中で10.8μlに調節し、2μlのデカマーおよび2μlのdNTP混合物(各2.5mM)を加えた。試料を70℃に3分間加熱し、直ちに氷水中で冷却し、3.25μlの混合物(2μlの10×RT緩衝液;1μlのM-MLV Reverse Transcriptase;0.25μlのRNAaseインヒビター)を加えた。cDNAを42℃で60分間合成し、ついで95℃で10分間加熱して不活化し、最後に4℃に冷却した。
【0234】
実施例8:インビトロおよびインビボモデル:リアルタイムPCRによるApo−B100発現のオリゴヌクレオチド抑制の分析
Apo−B100発現のアンチセンスモデュレーションは、当該技術分野で知られた様々な仕方でアッセイすることができる。例えば、Apo−B100mRNAレベルを、例えば、ノーザンブロット分析、競合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはリアルタイムPCRにより定量することができる。リアルタイム定量的PCRが現在のところ好ましい。RNA分析は全細胞のRNAまたはmRNAで行うことができる。
【0235】
RNAの単離およびノーザンブロット分析などのRNA分析の方法は当該技術分野でルーチンであり、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sonsに教示されている。
【0236】
リアルタイム定量的(PCR)は、BioRADから利用できる市販のiQ Multi-Color Real Time PCR Detection Systemを用いて都合よく行うことができる。リアルタイム定量的PCRは当該技術分野でよく知られた技術であり、例えば、Heidら、Real time quantitative PCR, Genome Research (1996), 6: 986-994に教示されている。
【0237】
Apo−B100mRNAレベルのリアルタイム定量的PCR分析
処理した試料および非処理の試料での相対マウスApoB mRNAレベルを決定するため、生成したcDNAをBioRadからのiCyclerを用いた定量的PCR分析に用いた。
【0238】
8μlの5倍(Gapdhおよびベータ-アクチン)希釈したcDNAに、29.5μlのPlatinum qPCRを含有する52μlの混合物を加えた。
【0239】
Supermix-UDG(in-vitrogen)、1030nMの各プライマー、0.57×SYBR Green(Molecular probes)および11.4nMのFluorescein(Molecular probes)。
【0240】
2つずつの25μlをQ-PCRに用いた:50℃で120秒、95℃で120秒、および40サイクル[95℃で30秒および60℃で60秒]。
【0241】
ApoB発現を、50倍希釈したcDNAおよび標準Q-PCRプロトコールを用いて定量した。プライマー(フォアウォードプライマーおよびリバースプライマーの各最終濃度は0.6μMおよび0.9μM)およびプローブ(最終濃度0.1μM)を2×Platinum Quantitative PCR SuperMix UDG(カタログ#11730, Invitrogen)と混合し、3.3μlのcDNAに最終容量25μlとなるように加えた。各試料を2つずつ分析した。PCRプログラム:50℃で2分、95℃で10分、ついで95℃で15秒、60℃で1分を40サイクル。
【0242】
ApoB mRNA発現をマウスβ-アクチンまたはGapdh mRNA(同様にQ-PCRを用いて定量した)に対して正規化した。
【0243】
プライマー
mGapdh:5'-agcctcgtcccgtagacaaaat-3'(SEQ ID NO: 51)および5'-gttgatggcaacaatctccacttt-3'(SEQ ID NO: 52)
【0244】
mβ-アクチン:5'-ccttccttcttgggtatggaa-3'(SEQ ID NO: 53)および5'-gctcaggaggagcaatgatct-3'(SEQ ID NO: 54)
【0245】
mApoB:5'-gcccattgtggacaagttgatc-3'(SEQ ID NO: 55)および5'-ccaggacttggaggtcttgga-3'(SEQ ID NO: 56)
【0246】
mApoB Taqmanプローブ:5'-fam-aagccagggcctatctccgcatcc-3'(SEQ ID NO: 57)
【0247】
未処理マウス肝細胞株(Hepa1-6細胞)(5倍希釈し、ApoBおよびβ-アクチンまたはGapdhの両者を発現)から合成したcDNAの2倍希釈を用いてアッセイの標準曲線を調製した。ApoB mRNAの相対量を、iCycler iQ Real Time Detection Systemソフトウエアを用いて計算した閾値サイクルから決定した。
【0248】
実施例9:インビトロ分析:Apo−B100タンパク質レベルのウエスタンブロット分析
Apo−B100タンパク質レベルに対するApo−B100オリゴのインビトロでの作用をウエスタンブロッティングにより決定した。
【0249】
細胞を回収し、プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)を添加した50mM Tris-HCl pH 6.8、10%グリセリン、2.5%SDS、5mM DTTおよび6M尿素中で溶解した。全タンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を用いて測定した。50μgの全タンパク質を、MOPS緩衝液中の10-12%Bis-Trisゲルまたは3-8%Tris Acetateゲルで泳動し、製造業者の教示(Invitrogen)に従ってPVDFメンブレンにブロットした。ブロッキング緩衝液(5%低脂肪粉ミルクを添加したPBS-T)中で一夜インキュベートした後、メンブレンをApo−B100を検出する一次抗体とともに一夜インキュベートした。負荷の対照として、NeoMarkerからのモノクローナル抗体を用いてチューブリンまたはアクチンを検出した。ついで、メンブレンを二次抗体とともにインキュベートし、色素産生免疫検出キット(Invitrogen)または化学ルミネセンスECL+検出キット(Amersham)を用いて可視化した。
【0250】
実施例10:インビトロ分析:アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたヒトApo−B100発現のアンチセンス抑制
本発明に従い、一連のオリゴヌクレオチドをヒトApo−B100 RNAの異なる領域をターゲティングするようにデザインした。表1参照。SEQ ID NO: 29、siRNA(非修飾)またはコレステリル修飾siRNAの脂質介助した取り込み後のマウス肝細胞(Hepa1-6細胞)でのApo−B100 mRNAをノックダウンする効能(図1A)および2つのLNAオリゴヌクレオチドSEQ ID No:29およびSEQ ID No:30によるBNLCL2での(図1B)、およびSEQ ID No:29およびSEQ ID No:37によるHepa 1-6細胞での(図4)Apo−B100のノックダウンの比較について評価した。
【0251】
データは、モックトランスフェクション細胞と比較したダウンレギュレーションのパーセントとして表してある。転写の定常状態は、リアルタイムPCRによりモニターし、GAPDH転写物定常状態に正規化した。
【0252】
実施例11:LNA含有オリゴヌクレオチド化合物のインビボ標的ダウンレギュレーション
C57BL/6マウス(20g)に6.25, 12.5, 25または50mg/kgを3日連続で静脈内投与した(7匹のマウスのグループサイズ)。アンチセンスオリゴヌクレオチドと比べたsiRNA-Chol分子量が約3:1であるので、本発明者らは、より少ないアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した。すべてのsiRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを0.9%食塩水(NaCl)に溶解し、10mL/kg体重(注射当たり〜0.2ml)で与えた。屠殺時に肝臓の重量を記録した。ApoB mRNA発現の測定のための組織を、使用するまでRNA later(Ambion)中、-20℃で貯蔵した。空腸および肝臓でのmRNA分析および血漿中の全コレステロールを最後の静脈内注射の24時間後に行った(図2Aおよび2B参照)。
【0253】
実施例12:血漿中のコレステロールレベル
ABX Pentraからの比色アッセイCholesterol CPを用い、全コレステロールレベルを血漿中で測定した。コレステロールは、酵素的加水分解および酸化の後に測定する。21.5μLの水を1.5μLの血漿に加えた。250μLの試薬を加え、5分以内にコレステロール含量を540nMの波長で測定する。各動物での測定は2回ずつ行った。感度および線形性を2倍希釈した対照化合物(ABX Pentra N対照)で試験した。相対的コレステロールレベルをバックグラウンドの控除によって決定し、食塩水で処理したマウスの血漿でのコレステロールレベルとの対比として表した(図3参照)。
【0254】
実施例13:LNA含有オリゴヌクレオチド化合物のインビボ標的ダウンレギュレーション
C57BL/6マウス(20g)に6.25, 12,または25mg/kgを3日連続で静脈内投与した(7匹のマウスのグループサイズ)。アンチセンスオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO: 29およびSEQ ID NO: 37)を0.9%食塩水(NaCl)に溶解し、10mL/kg体重(注射当たり〜0.2ml)で与えた。ApoB mRNA発現の測定のための組織を、使用するまでRNA later(Ambion)中、-20℃で貯蔵した。空腸および肝臓でのmRNA分析および血漿中の全コレステロールおよびLDLコレステロールを最後の静脈内注射の24時間後に行った(図5A、5B、6Aおよび6B参照)。
【0255】
実施例14:LNAオリゴヌクレオチド化合物のマウスへの経口投与
C57BL/6マウス(20g)に10mL/kg、すなわち、滅菌H2O中の1.0mLのオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO: 29またはSEQ ID NO: 37)(7.5mg/ml)、0.1mLのTween80、1.9mLのオリーブ油の新たに調製した調合物を投与した。オリゴヌクレオチド化合物の最終濃度:2.5mg/mL。この調合物を1分間振盪し、5分間超音波処理した(3回繰り返した)。負の効果は観察されなかった。
【0256】
実施例15:インビトロ分析:細胞培養(ヒト肝細胞Huh-7)での用量応答/ヒトApo−B100発現のアンチセンス抑制
本発明に従って、一連のオリゴヌクレオチドをヒトApo−B100 mRNAの異なる領域をターゲティングすべくデザインした。表1参照。SEQ ID NO: 31-32, 36-38および40-42の脂質介助した取り込み後のヒト肝細胞(Huh-7細胞)でのApo−B100 mRNAをノックダウンする効能について評価した(図8)。実験は実施例5〜8の記載と同様にして行った。その結果は、すべての化合物について25nMで非常に強力なダウンレギュレーション(>80%)を示した。しかしながら、1nMでは、わずかに2の化合物(SEQ ID NO: 37および40)が70%もの高さでApo−B100 mRNAをダウンレギュレーションするという結果となった(これは非常に強力なダウンレギュレーションである)。
【0257】
実施例16:7の選択したLNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞培養(ヒト肝細胞Huh-7)でのIC50
最良のインビトロダウンレギュレーションを示す7つのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Apo−B100 mRNA発現の50%抑制をもたらすアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度を決定するIC50研究のために選択した。実験は実施例5〜8の記載と同様にして行った。SEQ ID NO: 36および37のみが約1nMのIC50を有し、一方、SEQ ID NO:38は5.7もの高いIC50を有していた(図9)。0.5nMのIC50は非常に強力な化合物を示しており、このことはSEQ ID NO: 37についてインビボデータで確認された(実施例17および18)。
【0258】
実施例17:SEQ ID NO: 37の1回、2回または3回投与の作用持続時間
C57BL/6マウス(20g)に6.25または25mg/kg/投与量を1日、2日または3日連続で腹腔内投与した(5匹のマウスのグループサイズ)。すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを0.9%食塩水(NaCl)に溶解し、10mL/kg体重(注射当たり〜0.2ml)で与えた。屠殺時(3, 5, 8, 13および21日目)に肝臓の重量を記録した。ApoB mRNA発現の測定のための組織を、使用するまでRNA later(Ambion)中、-20℃で貯蔵した。肝臓に対するmRNA分析は屠殺時に行い、一方、血漿中のLDL-および全コレステロールは最後の腹腔内投与の24時間、2または3および、6、11、および19日後に行った(図11)。この研究は、SEQ ID NO: 37の投与後のApo−B100 mRNAの非常に強力なダウンレギュレーションを示した:1の投与は投与後の3日目〜8日目に45-60%のApoB mRNA発現という結果となり、一方、3の投与では13日目に85-90%および21日目に約70%のダウンレギュレーションという結果となり、2または3の投与量を投与した場合には20日以上長い作用持続時間を示した。ApoB−100 mRNA発現および全コレステロールは、実施例8および12と同様にして測定した。
【0259】
実施例18:SEQ ID NO: 37の投与処方
標的(ApoB−100)mRNAダウンレギュレーションおよび血漿コレステロール濃度(1週間に1回回収)に対する作用を調べるため、C57BL/6マウス(20g)に2.mg/kg/投与量を1週間に2回4週間または5mg/kg/投与量を1週間に1回4週間腹腔内投与した(5匹のマウスのグループサイズ)。アンチセンスオリゴヌクレオチドを0.9%食塩水(NaCl)に溶解し、10mL/kg体重(注射当たり〜0.2ml)で投与した。屠殺時(28日目)に肝臓の重量を記録した。ApoB mRNA発現の測定のための組織を、使用するまでRNA later(Ambion)中、-20℃で貯蔵した。肝臓に対するmRNA分析は屠殺時に行い、一方、血漿中のLDLコレステロール濃度は7、14、21および28日目に行った(図10)。その結果は、LDLコレステロール濃度の経時的な線形低下を示し、2.5mg/kg/投与量を1週間に2回投与後の7日目および食塩水群に比べて28日目に30%の低下という結果となった。同様の結果は、同じ合計量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与するが5mg/kg/投与量を1週間に1回のみ投与する場合にも得られた。さらに、屠殺時(28日目)の肝臓中のApoB−100 mRNAレベルは、投与処方(1週間に1回または2回)の如何に拘わらず、20mg/kg投与後、28日にわたって30-40%のダウンレギュレーションを示した。これら結果は、低い投与量のSEQ ID NO 37においてさえもApoB−100 mRNAの有意のダウンレギュレーション、およびこのダウンレギュレーションが血漿LDL-コレステロールにおける30%低減として測定される治療的読み出し(read out)に影響を及ぼすことを示している。ApoB−100 mRNA発現および全コレステロールは、実施例8および12と同様にして測定した。
【図面の簡単な説明】
【0260】
【図1A】図1Aは、SEQ ID NO: 29、siRNA(非修飾)またはコレステリル修飾siRNAの脂質介助摂取後のマウス肝細胞(Hepa1-6細胞)での相対的なApoBmRNA発現を示す。
【0261】
【図1B】図1Bは、SEQ ID NOS: 29および30で処置後のBNLCL2細胞での相対的なApoBmRNA発現を示す。両化合物は、1nMまたは5nMの濃度で既にApoB−100mRNAの強力なインヒビターである。
【0262】
【図2A】図2Aは、SEQ ID NO: 29、siRNA(非修飾)(SEQ ID NOs: 48/49)またはコレステリル修飾siRNA(SEQ ID NOs: 50/49)で処置後(静脈内毎日投与を3日間)の肝臓での相対的なApoB−100mRNA発現を示す。
【0263】
【図2B】図2Bは、SEQ ID NO: 29、siRNA(非修飾)(SEQ ID NOs: 48/49)またはコレステリル修飾siRNA(SEQ ID NOs: 50/49)で処置後(静脈内毎日投与を3日間)の空腸での相対的なApoB−100mRNA発現を示す。
【0264】
【図3】図3は、SEQ ID NO: 29、siRNA(非修飾)(SEQ ID NOs: 48/49)またはコレステリル修飾siRNA(SEQ ID NOs: 50/49)で処置したマウスの血漿中のコレステロールの相対濃度を示す。
【0265】
【図4】図4は、BNCLまたはHepa 1-6細胞でのインビトロApoB−100標的ダウンレギュレーションを示す。マウス細胞株からのApoBmRNAレベル(GapDHに正規化)に対するSEQ ID No: 29および37の用量応答作用。
【0266】
【図5A】図5Aは、C57BL/6マウスのLNAアンチセンス処置後の肝臓でのインビボApoB−100サイレンシングを示す。C57BL/6マウスにてLNAアンチセンス分子を1投与(6.25, 12.5または25mg/kg)およびsiRNA(50mg/kg)を3日間連続投与した。ApoB−100発現をqPCRにより測定し、Gapdhに正規化した。データは平均±SD(n=7)を表す。
【0267】
【図5B】図5Bは、C57BL/6マウスのLNAアンチセンス処置後の空腸でのインビボApoB−100サイレンシングを示す。C57BL/6マウスにてLNAアンチセンス分子を1投与(6.25, 12.5または25mg/kg)およびsiRNA(50mg/kg)を3日間連続投与した。ApoB−100発現をqPCRにより測定し、Gapdhに正規化した。データは平均±SD(n=7)を表す。
【0268】
【図6A】図6Aは、LNAアンチセンス処置後の血漿コレステロール濃度を示す。C57BL/6マウスにてLNAアンチセンス分子を1投与(6.25, 12.5または25mg/kg)およびsiRNA(50mg/kg)を3日間連続投与した。LDL−コレステロール濃度を比色分析キットを用いて決定した。データは平均±SD(n=7)を表す。
【0269】
【図6B】図6Bは、LNAアンチセンス処置後の血漿コレステロール濃度を示す。C57BL/6マウスにてLNAアンチセンス分子を1投与(6.25, 12.5または25mg/kg)およびsiRNA(50mg/kg)を3日間連続投与した。血漿全コレステロール濃度を比色分析キットを用いて決定した。データは平均±SD(n=7)を表す。
【0270】
【図7】図7は、本発明によるオリゴマー化合物をデザインするのに用いた、ApoB標的核酸の好ましい配列の逆相補鎖(reverse compliment)の配列比較を示す。
【0271】
【図8】図8は、種々のLNAアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置したHuh-7(肝細胞)細胞でのインビトロスクリーニングおよび用量応答(1, 5または25nM)および標的mRNA(ApoB−100)ダウンレギュレーション(QPCR)として測定したオリゴヌクレオチドの作用を示す。
【0272】
【図9】図9は、7の選択したLNAアンチセンスオリゴヌクレオチドについて、QPCRによりHuh-7細胞で測定したIC50(標的(ApoB−100)発現の50%抑制を得るのに必要なアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度)を示す。
【0273】
【図10A】図10Aは、屠殺日(28日目)に肝臓で測定したApoB−100mRNAレベルを示す。C57BL/6マウスを、2.5mg/kg/投与で1週間に2回か(全部で8投与)または5mg/kgで1週間に1回(全部で4投与)、4週間投与した。
【0274】
【図10B】図10Bは、後眼窩血(retro orbital blood)にて1週間に1回、4週間測定した血漿LDL濃度を示す。C57BL/6マウスを、2.5mg/kg/投与で1週間に2回か(全部で8投与)または5mg/kgで1週間に1回(全部で4投与)、4週間投与した。
【0275】
【図11A】図11Aは、屠殺時、3, 5, 8, 13または21日目に肝臓でのApoB−100mRNAレベルとして測定した作用持続時間を示す。C57BL/6マウスに、25mg/kg/投与のSEQ ID NO:37の1、2または3投与を、1, 2または3日目の各日にそれぞれ連続して投与した。
【0276】
【図11B】図11Bは、屠殺時、3, 5, 8, 13または21日目に測定した全血漿コレステロールを示す。C57BL/6雌マウスに、25mg/kg/投与のSEQ ID NO:37の1、2または3投与を、1, 2または3日目の各日にそれぞれ連続して投与した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全部で12-50のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログからなるオリゴヌクレオチド化合物であって、該化合物は少なくとも10のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのサブ配列を含み、該サブ配列はSEQ ID NOS: 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25および26よりなる群から選ばれた配列に対応し、該化合物は少なくとも3のヌクレオチドアナログを含むことを特徴とするオリゴヌクレオチド化合物。
【請求項2】
二本鎖のオリゴヌクレオチドからなり、各鎖が全部で16-30のヌクレオチドおよび/またはヌクレオチドアナログを含み、該化合物は少なくとも10のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログのサブ配列を含み、該サブ配列はSEQ ID NOS: 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25および26から選ばれた配列内に位置しており、該化合物は少なくとも3のヌクレオチドアナログを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
該サブ配列が少なくとも3のヌクレオチドアナログを含む、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
該サブ配列が、2-6の一続きのヌクレオチドアナログと、それに続く4-12の一続きのヌクレオチドと、それに続く2-6の一続きのヌクレオチドアナログを含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
該サブ配列が、SEQ ID NOS: 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25および26よりなる群から選ばれた該配列中の対応配列と比較したときに1または2のミスマッチを含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
12-25のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
15, 16, 17, 18, 19, 20, 21,または22のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含む、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
15または16のヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含む、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
該ヌクレオチドが、リン酸基、ホスホロチオエート基およびボラノホスフェート基よりなる群から選ばれた結合基を含み、インターヌクレオシド結合が-O-P(O)2-O-, -O-P(O,S)-O-である、請求項1ないし8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
該結合がリン酸基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
該結合がホスホロチオエート基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
すべての結合がホスホロチオエート基である、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
3-12のヌクレオチドアナログを含む、請求項1ないし12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
6または7のヌクレオチドアナログを含む、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
該ヌクレオチドアナログの少なくとも1がロックト核酸(LNA)である、例えば、少なくとも3、またはすべてのヌクレオチドアナログがLNAである、請求項1ないし14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
LNAが、ベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNAから選ばれる、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
該ヌクレオシドおよび/またはLNAが互いにリン酸基またはホスホロチオエート基により結合している、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
該サブ配列が、SEQ ID No: 63、SEQ ID NO: 2、SEQ ID No: 3、およびSEQ ID No: 11よりなる群から選ばれる、請求項1ないし17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
該サブ配列が、SEQ ID No: 64、例えばSEQ ID No: 18または19;SEQ ID NO: 65、例えばSEQ ID No: 20または21;SEQ ID No: 66、例えばSEQ ID No: 22、23、または24;SEQ ID No: 67、例えばSEQ ID No: 25または26、およびSEQ ID No: 68、例えばSEQ ID No: 4または5よりなる群から選ばれる、請求項1ないし17のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
式:
5'-[(LNA)2-6-(DNA/RNA)4-12-(LNA)2-6-(DNA/RNA)0-1]-3'
または
5'-[(LNA)3-4-(DNA/RNA)8-9-(LNA)3-(DNA/RNA)1]-3'
(式中、「LNA」はLNAヌクレオチドを示し、「DNA」および「RNA」は、それぞれデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを示す)で示される、請求項1ないし19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
SEQ ID NOS: 29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46および47よりなる群から選ばれる化合物。
【請求項22】
SEQ ID NO: 29である、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
SEQ ID NO: 30である、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
SEQ ID NO: 37である、請求項20に記載の化合物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の化合物と、該化合物に共有結合した少なくとも1の非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド残基とを含むコンジュゲート。
【請求項26】
請求項1〜24のいずれかに記載の化合物または請求項24に記載のコンジュゲート、および薬理学的に許容しうる希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項27】
経口投与に適合される、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
少なくとも1のコレステロール低下化合物をさらに含む、請求項26または27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
該化合物が、胆汁酸塩封鎖樹脂(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラム塩酸塩)、HMGCoA-リダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、セリバスタチン、プレバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、およびフルバスタチン)、ニコチン酸、フィブル酸誘導体(例えば、クロフィブレート、ゲンフィブロジル、フェノフィブレート、ベンザフィブレート、およびシプロフィブレート)、プロブコール、ネオマイシン、デキストロチロキシン、プラント−スタノールエステル、コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ)、インプリタピド、胆汁酸トランスポーター(apical sodium-dependent bile acid transporters)の阻害剤、肝臓CYP7aのレギュレーター、エストロゲン補充療法剤(例えば、タモキシフェン)、および抗炎症剤(例えば、グルココルチコイド)よりなる群から選ばれる、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
医薬として使用するための請求項1〜24のいずれかに記載の化合物または請求項25に記載のコンジュゲート。
【請求項31】
異常なレベルのApo−B100の治療用医薬の製造のための、請求項1〜24のいずれかに記載の化合物または請求項25に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項32】
該異常なレベルのApo−B100が、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症または高脂血症よりなる群から選ばれた医学的状態の存在と相関関係を有する、請求項27に記載の使用。
【請求項33】
アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および高脂血症よりなる群から選ばれた疾患または状態を罹患する患者を治療する方法であって、それを必要とする患者に請求項26ないし29のいずれかに記載の医薬組成物またはコンジュゲートを投与する工程を含む方法。
【請求項34】
該医薬組成物またはコンジュゲートを経口投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アポリポタンパク質Bをダウンレギュレーションする方法であって、患者、例えば請求項33に記載の患者に請求項26ないし29のいずれかに記載の医薬組成物またはコンジュゲートを投与する工程を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公表番号】特表2009−507499(P2009−507499A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530329(P2008−530329)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000481
【国際公開番号】WO2007/031081
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(504013269)サンタリス ファーマ アー/エス (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】