説明

ARコーティングのための耐久性高屈折率ナノ複合材料

本発明は、重合性モノマー/オリゴマー樹脂混合物の中に、反応性または共重合性の表面改質をされた、散在している結晶性ジルコニアナノ粒子を好ましくは含む、紫外線硬化可能な組成物を包含する。共重合可能な表面改質が、その官能化された粒子に、配合物中の反応性モノマー、オリゴマー、および架橋剤と共重合することを可能とする官能基を与えていると考えられる。ナノ粒子を表面改質することに関しては、メタクリレート官能性よりもアクリレート官能性の方が好ましい。その一方で、メタクリレート官能性は、非反応的または非重合的な官能性よりは好ましい。ナノ複合材料を硬化させると、実質的なアクリレート官能性を有する原料の選択によって、得られるネットワークが高度に架橋される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
CRTスクリーンのようなディスプレイデバイスのための保護膜としての膜またはコーティングの開発については、当該技術分野においては多くの文献が存在する。それらには、反射防止コーティング、ハードコート、オプティカルコーティングなどが含まれる。それにも関わらず、光学用途のための重合可能な高屈折率材料の開発におけるさらなる改良が依然として求められている。用途の例としては、反射防止コーティングおよびハードコート材料が挙げられる。重合可能な膜の多くは、1.5以下の屈折率を有している。しかしながら、光学的な利点からは、反射防止用途における高光学層に必要な極めて薄いコーティング(約85nm)を開発するためには、屈折率を1.6以上に上げるのが望ましい改良である。さらに、1%未満のような比較的に低い反射率を示す、耐久性があり、廉価で、しかも高品質な反射防止コーティングが必要とされている。
【0002】
また別な関心事としては、有用な基材に適用した後で、UV硬化工程より前に、その混合溶液から溶媒が乾燥したときに、樹脂、モノマー、オリゴマー、および光重合開始剤からなる多くの配合物ではデウェット(脱湿、またはビードアップ)するということがある。その結果、必要な厚みの高屈折率層で被覆されていない基材の部分と、所望しているよりは厚い他の部分とが存在することになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上述の関心事は、重合性モノマー/オリゴマー樹脂混合物中に、活性または共重合可能な表面改質を有する、散在している結晶性ジルコニアナノ粒子を好ましくは含む、新規な紫外線硬化可能な組成物によって解決される。その共重合可能な表面改質が、その官能化された粒子が、配合物中の反応性モノマー、オリゴマー、および架橋剤と共重合することを可能とする官能基を与えていると考えられる。
【0004】
ナノ粒子を表面改質することに関しては、メタクリレート官能性よりもアクリレート官能性の方が好ましい。その一方で、メタクリレート官能性は、非反応的または非重合的な官能性よりは好ましい。ナノ複合材料を硬化させると、実質的なアクリレート官能性を有する原料を選択することによって、得られるネットワークが高度に架橋される。
【0005】
異なったサイズを有するナノ粒子が、本発明においては有用であることが見出された。具体的には、10〜30nmのサイズ範囲の大部分のナノ粒子と、約80〜150nmのサイズ範囲の小さい割合のナノ粒子とを含む混合物から、高度の透明性と耐久性を有する組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明には、重合性モノマー/オリゴマー樹脂混合物を含む組成物が含まれる。その樹脂混合物は、全組成物の約30〜70重量%で用いられる。多官能性を有する樹脂が好ましい。メタクリレート官能性よりもアクリレート官能性の方が好ましい。非反応的官能性よりは、メタクリレート官能性の方が好ましい。本発明の樹脂は、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、ならびに多官能(>3)アクリレート、たとえばテトラアクリレート、およびペンタアクリレート官能性を有する樹脂からなる群から選択することができる。屈折率を向上させるために、その他の樹脂を、芳香族およびハロゲン(臭素が特に好ましい)官能性を有する樹脂を含む群から選択することができる。本発明の樹脂の具体例としては、ペンタエリスリトールのトリおよびテトラアクリレート混合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エポキシ化ビスフェノールAのジアクリレート、エポキシ化臭素化ビスフェノールAのジアクリレート、およびフェノキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0007】
有用な架橋剤としては、たとえば、以下のものからなる群より選択されるポリ(メタ)アクリルモノマーが挙げられる:(a)ジ(メタ)アクリル含有化合物、たとえば、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート;(b)トリ(メタ)アクリル含有化合物、たとえば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(たとえば、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化トリアクリレート(たとえば、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;(c)さらに高級官能性の(メタ)アクリル含有化合物、たとえば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;(d)オリゴマー性(メタ)アクリル化合物、たとえば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート;それらのポリアクリルアミド類似体;およびそれらの組合せ。そのような化合物は、たとえば、ペンシルバニア州エクストン(Exton,PA)のサートマー・カンパニー(Sartomer Company);ジョージア州スマーナ(Smyrna,GA)のユー・シー・ビー・ケミカルズ・コーポレーション(UCB Chemicals Corporation);およびウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)などの供給業者から広く入手可能である。さらなる有用な(メタ)アクリレート原料としては、たとえば米国特許第4,262,072号明細書(ウェンドリング(Wendling)ら)に記載されているようなヒダントイン残基含有ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0008】
好適な架橋剤としては、少なくとも3個の(メタ)アクリレート官能基が挙げられる。好適な市販の架橋剤としては、ペンシルバニア州エクストン(Exton,PA)のサートマー・カンパニー(Sartomer Company)から市販されている、たとえば、商品名「SR351」として入手可能なトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、商品名「SR444」または「SR295」として入手可能なペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETA)、および商品名「SR399」として入手可能なジペントラエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。さらに、多官能アクリレートと低官能性アクリレートの混合物、たとえば、PETAとフェノキシエチルアクリレート(PEA)との混合物を使用してもよい。
【0009】
表面改質コロイド状ナノ粒子は、重合構造の中に、コーティングの耐摩耗性および/または屈折率を向上させるのに有効な量で存在させる。本明細書に記述される表面改質コロイド状ナノ粒子は、各種の望ましい特質を有するが、そのような特質としてはたとえば以下のものが含まれる:ナノ粒子が樹脂系の中で安定な分散体を形成するような、ナノ粒子の樹脂系との相溶性;ナノ粒子に樹脂系との反応性を与え、それによって複合材料の耐摩耗性を上げるための表面改質;および、樹脂系に添加して、それによって未硬化組成物の粘度の安定性に低衝撃を与える表面改質ナノ粒子。表面改質を組み合わせて使用することによって、組成物の未硬化時および硬化後の性質を調節することが可能である。適切な表面改質ナノ粒子は組成物の光学的および物理的性質を改良することが可能であるが、そのような性質としてはたとえば以下のものが挙げられる:改良された樹脂の機械的強度、樹脂系に担持させる固体容積を増加させながらも、粘度の変化を最小限に抑制すること、および、樹脂系に担持させる固体容積を増加させながらも、光学的透明度を維持すること。
【0010】
表面改質コロイド状ナノ粒子は、粒径または会合粒径が1nmより大きく、200nm未満であるような酸化物粒子であってよい。それらの測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)を基準としたものとすることができる。そのナノ粒子としては、金属酸化物たとえば、アルミナ、酸化スズ、酸化アンチモン、シリカ、ジルコニア、チタニア、それらの混合物、またはそれらの混合酸化物などが挙げられる。表面改質コロイド状ナノ粒子は、実質的に完全に縮合されていてもよい。
【0011】
シリカナノ粒子は、5〜150の粒径を有していてもよい。シリカナノ粒子は、耐久性物品または光学的要素の中に、10〜60重量%、または10〜40重量%の量で存在させるのがよい。本発明の原料として使用するためのシリカは、ナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.)(イリノイ州ネーパービル(Naperville,Ill.))から、製品名ナルコ・コロイダル・シリカズ(NALCO COLLOIDAL SILICAS)として市販されている。たとえば、シリカとしては、ナルコ(NALCO)製品1040、1042、1050、1060、2327および2329が挙げられる。
【0012】
ジルコニアナノ粒子は、典型的には、5〜150nm、または5〜75nm、または5〜25nm、または5〜15nmの粒径を示すであろう。ジルコニアナノ粒子は、コーティングの中に、10〜70重量%または30〜50重量%の量で存在させることができる。本発明の原料に使用するためのジルコニアは、ナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.)(イリノイ州ネーパービル(Naperville,Ill.))から製品名ナルコ(NALCO)OOSSOO8として、およびビューラー(Buhler)(スイス国ウズバイル(Uzweil,Switzerland))から製品名WOまたはWOSとして市販されている。同時係属中の米国特許出願第11/027426号明細書(出願日:2004年12月30日)に記載されているように、スリー・エム・カンパニー(3M Company)はジルコニアを内製している。
【0013】
チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズ、および/または混合金属酸化物のナノ粒子は、5〜50nm、または5〜15nm、または10nmの粒径または会合粒径を有することができる。チタニア、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズ、および/または混合金属酸化物のナノ粒子は、耐久性物品または光学的要素の中では、10〜70重量%または30〜50重量%の量で使用するのが有用であろうと考えられる。本発明の原料に使用するための混合金属酸化物は、触媒化成工業(株)(Catalysts&Chemical Industries Corp.)(日本国川崎在)から、製品名オプトレーク(Optolake)3として市販されている。
【0014】
米国特許第6,800,378号明細書にはさらに、ナノ粒子として有用な他の無機酸化物粒子、本発明のナノ粒子の表面改質を行うときに使用可能なおよび水性、有機、および混合ゾルの記載がある。米国特許出願公開第2003/0165680号明細書に記載されているように、2種以上のタイプの無機原子を含む混合酸化物を採用することもできる。したがって、いくつかの実施態様においては、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子を、異なった元素組成を有するさらなるナノ粒子(たとえば、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、五酸化アンチモン)と組み合わせて使用してもよい。そのような追加のナノ粒子を存在させるならば、それらが、Ti/Sb混合酸化物ナノ粒子の粒径と同程度の平均粒径を有しているのが望ましい。そのようなナノ粒子は、たとえばナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Co.)(イリノイ州ネーパービル(Naperville,Ill.))、または、ナイアコール・ナノ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド(Nyacol Nano Technologies,Inc.)(マサチューセッツ州アシュランド(Ashland,Mass.))から市販されている。追加のナノ粒子の例についてはさらに、米国特許第5,037,579号明細書および米国特許第6,261,700号明細書にも記載がある。
【0015】
ナノサイズの粒子を表面処理することによって、ポリマー樹脂の中で安定に分散させることが可能となる。その表面処理によってナノ粒子が安定化され、その結果としてその粒子が重合性樹脂の中によく分散され、実質的に均質な組成物が得られるのが好ましい。さらに、表面処理剤を用いて、ナノ粒子の表面の少なくとも一部を改質して、その安定化された粒子が共重合したり、硬化の際に重合性樹脂と反応したりできるようにすることが可能である。
【0016】
表面処理剤を用いて本発明のナノ粒子を処理するのが好ましい。一般的には、表面処理剤は、粒子の表面に(共有結合的、イオン結合的、または強い物理吸着によって)結合する第一の末端と、その粒子に樹脂との相溶性を付与したり、および/または硬化の際にその樹脂と反応したりする第二の末端とを有している。表面処理剤の例としては、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、およびチタネートが挙げられる。好適な処理剤のタイプは、ある程度は、金属酸化物表面の化学的性質によって決まってくる。シリカおよびその他のシリカ系充填剤の場合には、シランが好ましい。ジルコニアのような金属酸化物の場合には、シランおよびカルボン酸が好ましい。表面改質は、モノマーとの混合に引き続いて実施してもよいし、あるいは混合の後で実施してもよい。シランを使用する場合には、シランと粒子またはナノ粒子表面との反応は、樹脂へ組み入れる前に実施するのが好ましい。表面改質剤の必要量は、粒径、粒子のタイプ、改質剤の分子量、および改質剤のタイプなどいくつかの因子に依存する。一般的に、改質剤のほぼ単分子層が粒子の表面に付着しているのが好ましい。付着させるための手順や必要とされる反応条件もまた、使用される表面改質剤に依存する。シランを使用する場合には、酸性または塩基性条件下、高温で約1〜24時間表面処理するのが好ましい。カルボン酸のような表面処理剤の場合には通常、高温や長時間は必要としない。
【0017】
耐久性組成物のために好適な表面処理剤の代表的な実施態様としては、たとえば以下のような化合物を挙げることができる:イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TES)、シルクエスト(Silquest)A1230、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TES)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、およびそれらの混合物。
【0018】
コロイド分散体における粒子の表面改質は、各種の方法によって実施することが可能である。そのプロセスには、無機分散体の混合物を表面改質剤と混合することが含まれる。場合によっては、その時点で、共溶媒を添加することができるが、共溶媒としてはたとえば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミドおよび1−メチル−2−ピロリジノンが挙げられる。共溶媒は、表面改質剤さらには表面改質粒子の溶解性を向上させることができる。次いでその無機ゾルと表面改質剤とを含む混合物を、室温または高温で、混合の存在下または非存在下で反応させる。好適な方法においては、その混合物を約85℃で約24時間反応させて、表面改質ゾルを得る。金属酸化物が表面改質される、好適な方法においては、金属酸化物の表面処理には、その粒子表面への酸性分子の吸着が含まれているのが好ましい。金属酸化物の表面改質は、室温で起こすことも可能である。
【0019】
シランを用いたZrO2の表面改質は、酸性条件下または塩基性条件下で実施することができる。一つの好ましいケースにおいては、酸性条件下で適切な時間をかけて、シランを加熱するのが好ましい。その時点で、その分散体をアンモニア水溶液(または他の塩基)と組み合わせる。この方法によって、ZrO2の表面、さらにはシランとの反応から酸の対イオンを除くことが可能となる。好適な方法においては、粒子を分散体から沈降させ、液相から分離して、溶媒の中に再分散させる。
【0020】
次いで、その表面改質粒子を、各種の方法を用いて、硬化可能な樹脂の中に組み入れることができる。好適な態様においては、溶媒交換法を使用し、それによって、その樹脂を表面改質ゾルに添加し、それに続けて、蒸発法によって水および(使用していれば)共溶媒を除去すると、重合可能な樹脂の中に分散された粒子が残る。その蒸発工程は、たとえば、蒸留法、ロータリーエバポレーター法、またはオーブン乾燥法によって実施することができる。
【0021】
また別な態様においては、水非混和性溶媒の中に表面改質粒子を抽出し、必要があれば、それに続けて溶媒交換を行うことも可能である。
【0022】
別な方法としては、重合可能な樹脂の中に表面改質ナノ粒子を組み入れるまた別な方法には、改質された粒子を乾燥させて粉体とし、それに続けて、樹脂原料を加え、その中に粒子を分散させることが含まれる。この方法の乾燥工程は、その系に適した慣用される手段、たとえばオーブン乾燥法または噴霧乾燥法によって実施することができる。
【0023】
表面改質剤を組み合わせることも有用であるが、この場合、それらの表面改質剤の少なくとも一つは、硬化性樹脂と共重合することが可能な官能基を有している。たとえば、その重合性基はエチレン性不飽和であっても、あるいは開環重合が可能な環状官能基であってもよい。エチレン性不飽和重合性基は、たとえば、アクリレートもしくはメタクリレート、またはビニル基であってよい。
【0024】
本発明の組成物は、ナノ複合材料として特性を表すことも可能である。ナノ複合材料は、充分に分散されたナノ粒子を含むポリマーマトリックスと定義される。ナノ粒子は、200ナノメートル未満、多くの場合100nm未満の粒子として定義される。米国特許第5,385,776号明細書には、ポリアミドの中に組み入れたナノ複合材料の現状理解を可能とする、例が挙げられている。ナノ粒子は一般に、無機粒子たとえば、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、または金属塩化物である。本発明においては、高屈折率ナノ粒子を使用することによって、それを組み入れた組成物の屈折率を向上させる。
【0025】
好適なナノ粒子としては、結晶性ジルコニアを挙げることができるが、他の高屈折率ナノ粒子たとえば、ジルコニア、シリカ、チタニア、アンチモン、金属酸化物の混合物、混合金属酸化物、およびそれらの混合物も使用できる。非晶性ジルコニアよりは結晶性ジルコニアの方が好ましいが、それは、結晶性ジルコニアを含む組成物の方が屈折率が高いからである。場合によってはジルコニアに、酸化物の全量を基準にして、約0.1〜8.0%のイットリウムが含まれていてもよい。ジルコニア系の組成物に官能性シリカナノ粒子を加えて、仕上がりコーティングの補強と耐摩耗性を上げることも可能である。有用なシリカ粒子の例は、イリノイ州ネーパービル(Naperville,Illinois)のナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Company)から入手可能なものである。有用なジルコニアの例は、米国特許第6,376,590号明細書に記載されているものであり、またチタニアの例は、米国特許第6,432,526号明細書に記載されているものである。ジルコニア粒子は、ナルコ(NALCO)、スリー・エム・カンパニー(3M Company)、およびビューラー(BUHLER)から供給されるものでよい。ジルコニアは、典型的には約30〜70重量%で用いられるが、約50〜70重量%としたときに、高い屈折率と耐久性の両方が観察される。この好適な範囲(50〜70重量%)の中でジルコニアの量を低くすると、実験室的な分析からは、より高い耐久性が観察された。したがって、50重量%のジルコニアが最も好ましい。シリカナノ粒子は約0〜20重量%とすることができるが、10重量%が好ましい。重量パーセントはすべて、全組成物重量を基準としたものである。本発明においては、樹脂を30〜70重量%で存在させ、ナノ粒子を30〜70重量%で存在させる。ニートで配合する方法では、多くとも50重量%の粒子の配合しかできないが、それに対して、希釈混合法を用いれば、粒子%に制限なく配合することが可能となる。したがって、50重量%を超えるナノ粒子とする場合には、この希釈混合法を使用した。
【0026】
本発明においてはさらに、相対的に大きい(とはいえそれでも1ミクロン未満の)粒子を相対的に少ないパーセントで、本発明の組成物に加えてもよい。パーセントが低いので、比較的高屈折率または低屈折率の、より大きな粒子を使用することが含まれる。
【0027】
本発明は、艶消し粒子とは区別される。光学膜として艶消しコーティングを使用することは、ディスプレイ業界においては周知である。艶消しの外観は、「散乱反射」を与える比較的大きな(1〜10マイクロメートルの)粒子を使用することにより、ぎらつきを低下させることとなって、視認者には読み取りが容易となる。この種の製品は、AR機能がまったく無くても調製することが可能である。しかしながら、それらの大きな粒子によって得られるぎらつき防止(antiglare=AG)特性は、ハードコート層中または高屈折率層中のいずれかに、大きな(1〜10ミクロン)粒子を組み入れることによって、反射防止(AR)構成物に加えることが可能であるが、これについては、フジ(Fuji)の米国特許第6,693,746号明細書に記載がある。
【0028】
ナノ粒子の表面改質は、粒子の表面上の特定の分子の反応に関し、ポリマーマトリックス中における良好な分散性または溶解性、改良されたコーティングの透明性、および改良されたコーティングの耐久性を達成するのに有用である。したがって、カルボン酸、シランおよび/または分散剤のような表面改質剤を用いてそのナノ粒子を処理して、それらとポリマーマトリックスとの相溶性を向上させるのが好ましい。米国特許第6,329,058号明細書に、典型的な表面改質剤の例が挙げられている。本質的には、表面改質によって粒子のアグロメレーションが防止され、それによって、モノマーおよび樹脂の中への粒子の分散が容易となり、そのためコーティング配合物の透明性が向上すると考えられる。さらに、本発明の混合物には高屈折率ナノ粒子が含まれていて、その結果、溶媒が乾燥したときに膜またはコーティングがデウェットしにくくなり、そのために、極めて薄くて均質なコーティングの形成が可能となって、それをUV硬化させて均質な高屈折率層を形成させることが可能となる。表面改質は、透明性のためにも必要であって、モノマー、溶媒、および樹脂の中に粒子を容易に分散させるのに役立つ。表面改質剤分子は、粒子表面に共役結合するかまたは吸着することが可能な官能性を示す。
【0029】
たとえば、カルボン酸またはシラン官能基は、粒子表面に共役結合するかまたは吸着することが可能であり、そのような改質剤の例としては、メトキシエトキシエトキシ酢酸(MEEAA)およびシルクエスト(Silquest)A−1230(登録商標)が挙げられる。高屈折率を有する表面改質剤を使用することも好ましく、そのようなものとしては、ナフチル酢酸およびトリメトキシフェニルシランが挙げられる。
【0030】
本発明のナノ粒子はさらに、反応性または共重合可能な表面改質剤によって表面改質してもよい。反応性表面改質とは、粒子表面に吸着するか共有結合するかのいずれかが可能である官能基に加えて、重合を容易にする官能基も含む表面改質剤を使用するということを意味している。
【0031】
本発明のコーティングを重合(または硬化)させると、ポリマーマトリックスに共有結合的に結合した粒子を有するナノ複合材料が形成され、そのために硬化されたコーティングの耐久性が向上する。そのような改質剤の例は、アクリル酸、メタクリル酸、ラジカル重合可能な基を有するシラン、たとえばトリメトキシシリルプロピルメタクリレート、好ましくはアクリレートシラン、ならびにシリカである。ナノ粒子の混合物を使用すると、組合せのメリットを実現させることが可能となる。たとえば、表面改質ジルコニアを加えると屈折率を高めるのに役立つし、その一方で表面改質シリカを加えることにより耐久性をさらに向上させることができる。
【0032】
本発明の組成物にはさらに、公知のタイプIおよびタイプIIのUV光重合開始剤のいずれかが含まれていてもよく、そのようなものとしては、たとえば置換されたアセトフェノン、ベンゾイン、ホスフィンオキシド、ベンゾフェノン/アミンの組合せ、およびその他当業者周知の光重合開始剤のタイプが挙げられる。光重合開始剤の例としては、たとえばニューヨーク州タリータウン(Tarrytown,New York)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から供給される、イルガキュア(Irgacure,登録商標)819、ダロキュア(Darocure,登録商標)1173、またはTPO、ならびにたとえばビー・エー・エス・エフ(BASF)から供給されるTPO−Lなどが挙げられる。紫外光線の存在下にラジカル光重合開始剤が開裂してラジカルを発生し、それが配合物中のアクリレートおよびメタクリレート官能基の重合を開始させて、架橋されたナノ複合材料を形成させると考えられる。公知の各種タイプとクラスのラジカル光重合開始剤を使用することが可能であるが、それらは、『フォトイニシエーターズ・フォア・フリー・ラジカル・カチオニック・ポリメリゼーション(Photoinitiators for Free Radical Cationic Polymerization)』(サイタ・テクノロジー・リミテッド(SITA Technology Ltd.)、英国SW18184JQ、ロンドン、ブルームヒル・ロード、ガーディナー・ハウス(Gardiner House,Broomhill Road,LONDON,SW18184JQ,ENGLAND)の第3巻『ケミストリー・アンド・テクノロジー・オブ・UV・アンド・EB・フォーミュレーション・フォア・コーティングズ・インクス・アンド・ペインツ(Chemistry and Technology of UV&EB Formulation For Coatings,Inks,&Paints)』に記載がある。
【0033】
本発明の組成物において有用な具体的な光重合開始剤としては、米国特許第5,545,676号明細書に記載されているようなオニウム塩が挙げられる。オニウム塩は、フリーラジカル重合系の高速可視光線硬化における共重合開始剤として有用であることが見出された。光重合開始剤は、典型的には約0.05重量%〜約10重量%、より好ましくは約1〜4重量%の量で用いられる。
【0034】
複合材料の屈折率は、ZrO2の担持量と樹脂の屈折率の関数である。屈折率は、容積平均法を使用して、公知の密度、粒子または樹脂の屈折率、重量比を用いて計算することができる。たとえば、2成分系では、重量パーセントを換算して容積パーセントとし、正味の屈折率は、(容積分率1×屈折率1)+(容積分率2×屈折率2)の和となる。
【0035】
耐久性は、粒子担持量、粒径、粒径分布、表面処理、膜の表面粗さ、樹脂系の架橋、および硬化樹脂マトリックスに対する表面処理の反応性の関数である。マトリックスの中に反応する物質を用いた表面改質では、非反応性の表面処理の場合よりも、かなり高い耐久性が得られることが判った。好適な表面処理剤は、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランである。
【0036】
本組成物は、極めて薄い(約110nm未満)高屈折率層を与える必要があり、また耐久性を有しているのが望ましい。それらが、流体コーティング技術によって加工することができ、PETのようなポリマー膜基材を破壊しない程度の低い温度で迅速に硬化することが可能であれば、さらに好ましい。組成物がそれらの要件を満たすことが判った。それらの組成物は、ポリマー膜の上に効果的に溶媒コーティングされ、硬化された。100nm未満のコーティング厚みが再現性良く得られた。
【0037】
極めて微細なスケールでの表面粗さがあると、光学的な品質に影響を与えることなく耐久性を向上させることが見出された。この粗さは、組成物の中に小さい割合の大きい粒子を組み入れることによって得ることができる。このことは、たとえば、広い粒径分布を有するか、あるいは小さい割合の大きい粒子を意識的に添加したZrO2を使用することによって、達成することが可能である。ある種の乾燥条件または硬化条件を使用して、表面粗さを発生させることも可能である。その表面トポグラフィーは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定することができる。AFM測定は、種々の組成物について、各種の粗さ量を与える。いくつかのサンプルの場合においては、AFMが、表面から立ち上がっている120nmもの高さを有する「ピーク」を示す。それらのピークは、硬化された表面からの摩耗除去源を維持するのに役立つ。本発明のUV硬化膜の表面を、AFM(原子間力顕微鏡法)によって検討した。「10pt平均」というのは、膜の表面の上の10um×10umの正方形の中で観察される最も高い10点の平均値である。高い10pt平均値を有する膜は、より粗い表面を有していて、(好適なナノ粒子表面改質と共に)チーズクロス摩耗試験において好結果を与える。
【0038】
この分析に使用された機器は、デジタル・インストラメンツ・ディメンジョン(Digital Instruments Dimension)5000SPMであった。使用したプローブは、オリンパス(Olympus)のオテスパ(OTESPA)単結晶シリコンレバー(力定数:約40N/M)であった。操作モードは、タッピング・モード(tapping−mode,登録商標)であり、スキャンサイズは1辺10マイクロメートル(10×10μm画像領域)であり、スキャン速度は1.02Hz、画像化セットポイント比(imaging setpoint ratio)は、空間中の元の振幅シグナル(A0)の75%であった(Asp/A0=1.5/2/0)。データを平面に合わせて、サンプルの傾きを補正した。10μmデータセットについて、Rz(10点平均)を測定した(ここでRzは、そのサンプルにおける、ピークとバリーとの間隔について最大10個の平均値である);
【0039】
【数1】

【0040】
ここで、Hnはデータセット中の最も高い点10個であり、Lnは最も低い点10個である。
【0041】
AFMを用いて10ミクロン×10ミクロンの正方形についての測定を行い、最も高いピーク10個の平均値を記録した。粗い膜ではすべて、大きい粒子を用いており、それらは分布の広いジルコニアの形態(ジルコニアゾル1およびジルコニアゾル2)、または本明細書で特定するような寸法と重量パーセントで、主成分の小さいジルコニアに大きいシリカを加えたバイモーダル分布の形態となっている。「10点ピーク平均」に関しては、好適な耐久性あるいは好適な粗さのためには少なくとも30nmあるのが望ましいが、1000nmを超えてはならない。良好な性能や最適な耐久性に寄与する因子が粗さだけではないことが見出された。粒子を、メタクリレートシランよりはアクリレートシランを用いて処理するのが好ましいが、そのいずれも本発明において使用することは可能である。さらに、70重量%以上のジルコニア(または全無機粒子)を含む組成物は、比較的低い耐久性を示すことも見出された。
【0042】
本発明に従って作ったコーティングは、原子間力顕微鏡法を使用し、典型的な10×10マイクロメートル領域で調べると、少なくとも30ナノメートル、高くて120ナノメートルの10点平均粗さ値を示す。粗さが60〜120nmであるのが好ましい。
【0043】
粗い表面を得るための一つの方法は、配合物の中に、大きい粒子を小さい割合組み入れる方法である。これは、粒径分布が広いナノ粒子を使用して実施することができる。別な方法として、配合物の中に小さい粒子と共に、小さい割合の大きい粒子を意図的に添加することによって、粗い表面を得ることもできる。
【0044】
粒径および粒径分布は、光子相関法(PCS)によって測定した。容積平均粒径は、マルバーン(Malvern)シリーズ4700粒径分析器(マサチューセッツ州サウスバラ(Southborough,MA)のマルバーン・インストラメンツ・インコーポレーテッド(Malvern Instruments Inc.)から入手可能)を使用して、光子相関法(PCS)により求めた。希釈したジルコニアゾルサンプルを、シリンジ加圧を用いて0.2μmフィルターを通して濾過してガラス製キュベットの中に入れ、それにカバーをした。サンプルチャンバーの温度を25℃に平衡させてから、データ取得を開始した。供給されたソフトウェアを使用して、90度の角度で、コンチン(CONTIN)法解析を行った。コンチン(CONTIN)法とは、一般的な逆変換問題を解析するために広く使用されている数学的手法であって、これについては、S.W.プロベンチャー(S.W.Provencher)、コンピューター・フィジックス・コミュニケーションズ(Comput.Phys.Commun.)第27巻、p.229(1982)にさらに詳しい記述がある。24個のデータビンを使用してその解析を行った。その計算には以下の数値を用いた:水の屈折率=1.333、水の粘度=0.890センチポワズ、ジルコニア粒子の屈折率=1.9。
【0045】
PCSデータに基づいて、2種の粒径測定値を計算した。強度平均粒径(単位:ナノメートル)は、散乱光強度分布の平均値に相当する粒子の大きさに等しかった。散乱光強度は、粒子直径の6乗に比例した。容積平均粒径(これも単位:ナノメートル)は、ジルコニア粒子の屈折率と分散媒体(すなわち、水)の屈折率の両方を考慮に入れて、散乱光強度分布から計算される容積分布から誘導した。容積平均粒径は、容積分布の平均値に相当する粒径に等しかった。強度平均粒径を容積平均粒径で割り算すると、粒径分布を表示する比率が得られた。
【0046】
粒径分布に関しては、ジルコニア粒子を摩砕することによって、相対的に小さい粒子の広いスペクトルが得られ、その中に分散された相対的に大きい粒子の量が減少したと考えられる。
【0047】
粒径と粒径分布は光子相関法によって測定することができる。上述の多分散性の項は、異なった粒径の粒子の分布の目安である。多分散性値が小さくなるほど、実際の分布が、すべての粒子の大きさが同じである(すなわち、それらが単分散である)理想的な状態に近づく。本発明においては、相対的に大きいおよび相対的に小さい粒子の分布を有しているのが望ましい。したがって、耐久性の向上をもたらすと考えられる、大きい粒子の突起を与えるためには、多分散性値を0.4〜0.8、より好ましくは約0.6〜0.7の範囲とするのが望ましい。容積平均とZ平均とは、光散乱データにマッチするであろうと測定器が予測している数値である。粒径の解析において、Z平均では実質的には、分布の高い方の端にある粒子に重点が置かれている。したがって、Z平均が約20〜80、より好ましくは約60〜65の範囲にあるのが望ましい。その一方で、容積平均は、典型的には約3.5〜約20を測定している。最も重要なことは、本発明の組成物が、小さい粒子に混ぜ込んだ大きい粒子を含んでいるということである。強度(I)平均は、光を屈折させる粒径の計算平均である。大きい粒子の方が、小さい粒子よりは光に当たる確率がはるかに高いので、強度平均は、Z平均と同様に、極めて大きな粒子に重点が置かれている。マルバーン(Malvern)PCS測定に関する表に示されているように、約25〜150、より好ましくは90〜105の強度平均は、大きい粒子に比較して、有用なナノ粒子のバッチを反映している。本出願明細書においては、大きい粒子とは、膜の表面から突出しているものとみなしている。したがって、極めて大きな粒子の正確な量は評価しないが、その母集団の存在は、多分散性、Z平均、I平均、ならびにI平均の容積平均に対する比によって表される。I平均の容積平均に対する比は、典型的には約1.5〜約18の範囲であるが、好ましい値は約14.28である。
【0048】
バイモーダル粒子分布
バイモーダル粒子分布を与えるZrO2とシリカの混合物において、大きい方の粒子の分率は、(大粒子の重量%)/(全粒子の重量%)に等しい。大粒子の分率は、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。大粒子の分率は、典型的には40重量%未満、好ましくは35%までの範囲である。他の相対的に大きい粒子としては、たとえばジルコニアが挙げられる。
【0049】
大部分のナノ粒子は、10〜30ナノメートルの容積平均(volume mean average)のサイズである。「大部分(majority)」という用語は、ナノ粒子の50重量%を超える、より好ましくは約67〜90重量%であると定義される。小さい割合のナノ粒子は、約80〜150ナノメートルの平均断面直径を有するサイズである。「小さい割合(minority)」という用語は、ナノ粒子の50重量%未満、より好ましくは約33〜10重量%であると定義される。説明を加えれば、実施例51は、全組成重量に対して、40重量%のZrO2および20重量%のシリカを含む。したがって、粒子全体の%としての大粒子の%は、20/60すなわち約33.3%である。したがって、本発明のさらなる態様においては、先に述べた組成物であって、さらにすぐ上で説明した粒子分布を有するものは、1.60より大きな屈折率を保持しながらも優れた耐久性を与えると考えられる。
【0050】
本発明の組成物には、その他の添加剤が含まれていてもよい。当業者公知のように、たとえば、UV増感剤、酸素捕捉剤、フリーラジカル硬化において有用なその他の成分を使用してもよい。
【0051】
本発明に従って製造された膜は、積み重ね、積層、その他の方法で本発明に従って、他の膜またはディスプレイデバイスと組み合わされる。米国特許第6,800,378号明細書には、膜同士の層を結合させたり、たとえばディスプレイデバイスの上で反射防止膜と結合させたりするためのプロセスが記載されている。同じプロセスが、本発明においても使用できる。多層膜を調製するための、スピンコーティング、ナイフコーティングなどを含めた公知の方法を用いることができる。
【0052】
本発明さらに別な態様においては、上述の光学膜を、反射防止膜構成の中に含ませる。図1に見られるように、反射防止コーティング10には、基材12(たとえば、PETまたはポリカーボネートから成形したもの)、または反射防止膜における基材として有用性を認識されている他の材料が含まれる。基材12の両面に接着剤14を用い、それによって、基材12を、ディスプレイデバイス16ならびに基材12から外側に向けて配された並列層に接合させる。本発明においては、ハードコート層18を、基材12の上に接合および層化させ、それによって、基材12と物理的に接触状態にある、外側に向けて配された層を形成させる。少なくとも1.6の比較的に高い光学層20は、先に述べたようにして形成され、次いで、ハードコート層18の上に接合および層化される。所望により、構成物10には、反射防止膜において典型的に使用される他の層、たとえば低い屈折率の層22、または当業者には公知の汚れ防止層(図示せず)が含まれていてもよい。
【0053】
基材12は、各種広い範囲の非ポリマー材料たとえばガラス、または各種の熱可塑性および架橋ポリマー材料たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、(たとえば、ビスフェノールA)ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリオレフィンたとえば各種のオプティカルデバイスに一般的に使用される、2軸配向ポリプロピレンなどを含むか、それらからなっていてよい。基材はさらに、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、エポキシなどを含むか、それらからなっていてもよい。さらに、基材16には、有機成分と無機成分の両方を含むハイブリッド材料を含んでいてもよい。
【0054】
典型的には、基材は、ある程度は、目的とする用途のために望ましい光学的および機械的性質を基準に選択する。そのような機械的性質としては、典型的には、可撓性、寸法安定性および耐衝撃性が挙げられる。基材の厚みもまた、典型的には、目的とする用途に依存する。ほとんどの用途においては、基材の厚みが約0.5mm未満であるのが好ましく、より好ましくは約0.02〜約0.2mmである。自立性のポリマー膜が好ましい。ポリマー材料は、慣用される膜製造技術たとえば、押出し法や、場合によってはその押出した膜を1軸または2軸配向させる方法を用いて、膜に成形することができる。基材とハードコート層との間の接着性を改良する目的で、基材を、たとえば、化学処理、コロナ処理たとえば空気または窒素コロナ、プラズマ、火炎、または化学線照射などで処理することもできる。所望により、任意要素のタイ層またはプライマーを、基材および/またはハードコート層に適用して、層間接着力を向上させることもできる。
【0055】
各種の光透過性光学膜が公知であって、たとえば、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:多層光学膜、微細構造化膜たとえば再帰反射性シートおよび輝度増強膜、(たとえば、反射性または吸収性)偏光膜、拡散膜、さらには米国特許出願公開第2004−0184150号明細書(2004年1月29日)に記載されているような、(たとえば、2軸)抑制膜(retarder film)および補償膜(compensator film)。
【0056】
米国特許出願公開第2003/0217806号明細書には、多層光学膜、すなわち、異なった屈折率のミクロ層を配列することによって少なくとも部分的には、所望の透過性および/または反射性を与える膜が記載されている。それらのミクロ層は異なった屈折率特性を有していて、そのために、いくつかの光は隣接するミクロ層の間の界面で反射される。それらのミクロ層は充分に薄いので、複数の界面で反射された光が増加的干渉または相殺的干渉を受けて、その膜本体に所望の反射的性質または透過的性質を与える。紫外、可視、または近赤外の波長の光を反射するように設計された光学膜では、それぞれのミクロ層は一般に、約1μm未満の光学的厚み(すなわち、物理的な厚みと屈折率を掛け合わせたもの)を有する。しかしながら、より厚い層が含まれていてもよいが、そのような層としてはたとえば、膜の外側表面でのスキン層、あるいは膜の内部に配されていてミクロ層のパケットを分離する、保護境界層などが挙げられる。多層光学膜本体にはさらに、積層物中の多層光学膜の2枚以上のシートを接合させるための、1層または複数の厚い接着剤層が含まれていてもよい。
【0057】
多層光学膜本体の反射性および透過性は、それぞれのミクロ層の屈折率の関数である。それぞれのミクロ層は、少なくとも膜の局所的な位置においては、面内屈折率のnx、ny、ならびに膜の厚み軸に関連する屈折率nzによって、その特性を表すことができる。これらの指数は、相互に直交するx−、y−、およびz−軸の方向に偏光された光に対する主題物質の屈折率を示している。実際には、屈折率は、適切な材料の選択と加工条件によって調節される。膜は、2種のポリマーA、Bを交互に、典型的には数十層または数百層の共押出しをし、それに続けて場合によっては、その多層押出し物を一つまたは複数の増倍ダイ(multiplication die)を通し、次いで、その押出し物を延伸させるかまたは他の方法で配向させて、最終的な膜を形成することによって製造することが可能である。得られた膜は、典型的には、数十層または数百層の個々のミクロ層からなるが、それらの厚みおよび屈折率を調節することによって、たとえば可視または近赤外におけるスペクトルの所望の領域に、一つまたは複数の反射バンドを与えることができる。かなりの数の層を用いて高い反射率を達成するためには、隣接するミクロ層で、x−軸の方向における偏光の屈折率の差(δnx)が少なくとも0.05を示すのが好ましい。二つの直交偏光で高い反射率を望む場合には、隣接するミクロ層がさらに、y−軸の方向における偏光の屈折率の差(δny)も少なくとも0.05を示すのが好ましい。別な方法としては、一つの偏光状態の直角入射光を反射し、直交する偏光状態の直角入射光を透過するような多層スタックを作って、屈折率の差を0.05未満、好ましくは約0とすることも可能である。所望により、z−軸の方向における偏光の、隣接するミクロ層の間の屈折率の差(δnz)を調節して、斜め入射光のp−偏光成分について、所望の反射性を達成することも可能である。
【0058】
ポリマー多層光学膜を組み立てるのに使用することが可能な物質の例は、国際公開第99/36248号パンフレット(ニービン(Neavin)ら)に見出すことができる。それらの物質の内の少なくとも一つは、大きな絶対値を有する応力光学係数を持つポリマーであるのが望ましい。別の言い方をすれば、そのポリマーが、延伸させたときに、大きな複屈折(少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.1、さらには0.2)を示すのが好ましい。その多層膜の用途に応じて、膜の面の二つの直交方向の間、一つまたは複数の面内方向の間および膜面に垂直な方向、あるいはそれらの組合せで、複屈折を起こさせてもよい。未延伸ポリマー層の間の等方性屈折率が広く分離しているような特別なケースでは、ポリマーの少なくとも一つにおける大きな複屈折が好ましいという条件は緩和することが可能であるが、それでも複屈折が望ましいことが多い。そのような特別なケースは、2軸プロセスを使用し、膜を二つの直交する面内方向に延伸させて形成させた、ミラー膜のため、および偏光子膜のためのポリマーの選択において起きる可能性がある。さらに、そのポリマーは、延伸をさせた後でも複屈折を維持することが可能で、それによって、仕上がりの膜にも所望の光学的性質が付与されるのが望ましい。多層膜の他の層に第二のポリマーを選択し、それによって、仕上がりの膜においても、その第二のポリマーの屈折率が、少なくとも一つの方向においては、それと同じ方向における第一のポリマーの屈折率とは顕著に異なっているようにすることも可能である。利便性のためには、2種だけの異なったポリマー物質を使用し押出しプロセスの間にそれらの物質を交互に重ねて、A、B、A、Bのような交互の層を形成させることにより、膜を組立てることも可能である。しかしながら、2種だけの異なったポリマー物質を交互に重ねることは、必須条件ではない。それに代えて、多層光学膜のそれぞれの層が、膜のどこにも存在しない一つだけの物質またはブレンド物からなっていてもよい。共押出しされるポリマーが、同一または類似の溶融温度を有しているのが好ましい。
【0059】
充分な屈折率の差および充分な層間接着力の両方を与える2種のポリマーの組合せの例を以下に挙げる:
【0060】
(1)主として1軸延伸を用いたプロセスで製造される偏光多層光学膜のためには:PEN/coPEN、PET/coPET、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/イースター(Eastar,登録商標)およびPET/イースター(Eastar,登録商標)であるが、ここで「PEN」はポリエチレンナフタレートを指し、「coPEN」はナフタレンジカルボン酸をベースとしたコポリマーまたはブレンド物を指し、「PET」はポリエチレンテレフタレートを指し、「coPET」はテレフタル酸をベースとしたコポリマーまたはブレンド物を指し、「sPS」はシンジオタクチックポリスチレンおよびその誘導体を指し、そしてイースター(Eastar,登録商標)は、イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Co.)から市販されているポリエステルまたはコポリエステル(シクロヘキサンジメチレンジオール単位と、テレフタレート単位とを含んでいると考えられる)を指す;
【0061】
(2)2軸延伸プロセスのプロセス条件を操作することにより製造される偏光多層光学膜のためには:PEN/coPEN、PEN/PET、PEN/PBT、PEN/PETG、およびPEN/PETcoPBTであるが、ここで、「PBT」はポリブチレンテレフタレートを指し、「PETG」は第二のグリコール(通常はシクロヘキサンジメタノール)を用いたPETのコポリマーを指し、そして「PETcoPBT」は、テレフタル酸またはそのエステルと、エチレングリコールおよび1,4−ブタンジオールの混合物とからのコポリエステルを指す;
【0062】
(3)ミラー膜(着色ミラー膜を含む)のためには:、PEN/PMMA、coPEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/エクデル(Ecdel,登録商標)、PET/エクデル(Ecdel,登録商標)、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/coPET、PEN/PETG、およびPEN/ティー・エッチ・ブイ(THV,登録商標)であるが、ここで「PMMA」はポリメチルメタクリレートを指し、エクデル(Ecdel,登録商標)は、イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Co.)から市販されている熱可塑性ポリエステルまたはコポリエステル(シクロヘキサンジカルボキシレート単位、ポリテトラメチレンエーテルグリコール単位、およびシクロヘキサンジメタノール単位を含むと考えられる)であり、そしてティー・エッチ・ブイ(THV,登録商標)は、スリー・エム・カンパニー(3M Company)から市販されているフルオロポリマーである。
【0063】
好適な多層光学膜および関連の構成についてのさらなる詳細は、米国特許第5,882,774号明細書(ジョンザ(Jonza)ら)、ならびに国際公開第95/17303号パンフレット(オウダーキルク(Ouderkirk)ら)および国際公開第99/39224号パンフレット(オウダーキルク(Ouderkirk)ら)にも見出すことができる。ポリマー多層光学膜および膜本体には、それらの光学的、機械的、および/または化学的性質のために選択された追加の層およびコーティングが含まれていてもよい。米国特許第6,368,699号明細書(ギルバート(Gilbert)ら)を参照されたい。それらのポリマー膜および膜本体にはさらに、無機層、たとえば金属または金属酸化物コーティングまたは層が含まれていてもよい。
【0064】
「低屈折率」層という用語には、典型的には、約1.5未満、より好ましくは約1.45未満、最も好ましくは約1.42未満の屈折率が含まれる。低屈折率層における最低の屈折率は、典型的には少なくとも約1.35である。本発明の目的においては、「高屈折率」という用語は一般に、基材に対する層として適用したときに、約1.6を超える屈折率を有するコーティング層を形成する物質を意味するものとする。高屈折率層の最大の屈折率は、典型的には、約1.75以下である。高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率の差は、典型的には少なくとも0.15であり、より典型的には0.2以上である。
【0065】
低屈折率層22は、当業者公知の方法により形成させることができる。米国特許第6,723,423号明細書には、低屈折率層の形成に関する公知の知識の例が挙げてあるが、それらに限定される訳ではない。例示的な低屈折率層は、低屈折率のフルオロポリマー組成物から形成するか、あるいは、コーティングして、紫外線または加熱手段により硬化させることが可能な、多官能性アクリレート(すなわち、アクリレート相)たとえばトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)および場合によっては追加のフッ素化単官能性アクリレートまたは多官能性フッ素化アクリレートとブレンドした、反応性フルオロプラスチックおよび/またはフルオロエラストマー(すなわち、官能性フルオロポリマー相)を含む相互貫入ポリマーネットワークまたは準相互貫入ポリマーネットワークから誘導することにより、形成することができる。アクリレート架橋剤を存在させることによって、低屈折率と、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)またはハードコートPET膜のような高屈折率のポリマー基材への改良された接着性との両方を有する組成物が得られる。その低屈折率コーティング混合物は、モノマーの多官能性アクリレートとの間で架橋反応に与ることが可能な反応性高分子量フルオロポリマー(1種または複数)であれば、好ましい。そのものは、生成するポリアクリレート相へのフルオロポリマー相の架橋性を向上させて、高屈折率層と低屈折率層との間の界面接触が促進された、共架橋された、相互貫入、または準相互貫入ポリマーネットワークを形成し、それによって耐久性および低屈折率性が改良される。
【0066】
各種の任意の恒久的および除去可能なタイプの接着剤組成物14を基材12の反対側(すなわち、ハードコート18の反対側)の上にコーティングして、物品10をディスプレイ表面に上に容易に搭載できるようにしてもよい。典型的には、接着剤14、基材12、およびハードコーティング層18を、予めパッケージとして組んでおいて、接着剤14に付着させた剥離層(図示せず)を有する膜19とする。次いでその剥離層を除去して、接着剤層14をディスプレイ16のハウジングまたはその他の領域に取り付けて、光学ディスプレイ16とする。
【0067】
好適な任意成分の接着剤組成物14としては、(たとえば、水素化)ブロックコポリマーたとえば、テキサス州ウェストホロウ(Westhollow,TX)のクレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers)から、商品名「クレイトン(Kraton)G−1657」として市販されているもの、さらには他の(たとえば、類似の)熱可塑性ゴムなどが挙げられる。その他の接着剤の例としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系およびエポキシ系接着剤が挙げられる。好適な接着剤は、充分な光学的性質と光安定性を有していて、その接着剤が、時間の経過や屋外暴露によって黄変してそのためにその光学ディスプレイの表示品質を劣化させるようなことがない。接着剤は、トランスファーコーティング法、ナイフコーティング法、スピンコーティング法、ダイコーティング法など各種公知のコーティング技術を使用して適用することができる。接着剤の例については、米国特許出願公開第2003/0012936号明細書に記載がある。そのような接着剤のいくつかは、ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)のスリー・エム・カンパニー(3M Company)から商品番号8141、8142、および8161として市販されている。基材層12は、各種広い範囲の非ポリマー材料たとえばガラス、またはポリマー材料たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ビスフェノールAポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、各種のオプティカルデバイスに一般的に使用されている2軸配向ポリプロピレンなど、いずれで構成されていてもよい。
【0068】
反射防止材料は、光学ディスプレイ(「ディスプレイ」)においては特に有用である。反射防止材料は、耐久性および光学的透明度を改良しながらも、ぎらつきを抑制し、透過損を抑制する働きをする。
【0069】
そのようなディスプレイとしては、マルチキャラクターおよび特にマルチライン・マルチキャラクターディスプレイたとえば液晶ディスプレイ(「LCD」)、プラズマディスプレイ、フロントおよびリアプロジェクションディスプレイ、ブラウン管(「CRT」)、標識、さらにはシングルキャラクターまたはバイナリーディスプレイたとえば発光管(「LED」)、信号ランプ、ならびにスイッチなどが挙げられる。そのようなディスプレイパネルの光透過性(すなわち、露出表面)基材は、「レンズ」と呼ばれることもある。本発明は、損傷を受けやすい表示面を有するディスプレイには特に有用である。
【0070】
本発明のコーティング組成物、その反応生成物、さらには保護物品は、各種の可搬性または非可搬性の情報表示物品に使用することができる。そのような物品としては、たとえば以下のようなものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:PDA、LCD−TV(エッジライト方式および直下型方式の両方)、携帯電話(PDA/携帯電話複合タイプを含む)、タッチスクリーン、腕時計、カーナビゲーションシステム、全地球測位システム、測深機、計算器、電子ブック、CDおよびDVDプレーヤー、プロジェクションテレビスクリーン、コンピューターモニター、ノートパソコンディスプレイ、機器用計器、機器パネルカバー、グラフィックディスプレイのような標識など。それらのデバイスは、平面的な表示面を有していても、あるいは非平面的、たとえば少し曲面となった表示面を有していてもよい。
【0071】
コーティング組成物またはコーティングされた膜は、たとえば以下に示すような、その他の各種物品にも使用することができる:カメラレンズ、眼鏡レンズ、双眼鏡レンズ、ミラー、再帰反射性シート、自動車用窓、建築物用窓、列車用窓、ボート用窓、航空機用窓、車両用前照灯および尾灯、陳列ケース、眼鏡、舗装道路マーカー(たとえば、凸状)および舗装マーキングテープ、オーバーヘッドプロジェクター、ステレオキャビネットドア、ステレカバー、時計のカバー、さらには光学式および磁気光学記録ディスクなど。
【0072】
以下に示す実施例を用いて本発明をさらに説明するが、それらによって本発明が限定される訳ではない。
【0073】
原料および供給源
次の表に、本明細書において言及される各種商品名、各商品名についてそれぞれの化学物質およびそれぞれの供給業者を列記する。
【0074】
【表1】

【0075】
粒径の測定
ZrO2ゾル1、ゾル2、ゾル3、およびゾル5の粒径および粒径分布は、光子相関法により測定した。適切なロットのナノ粒子を、マルバーン・PCS・オートサイザー(Malvern PCS Autosizer)4700(英国マルバーン(Malvern,UK)のマルバーン・インストラメンツ・リミテッド(Malvern Instruments Ltd.)製)を使用し、レーザー波長488nm、温度25.0℃、セルタイプZET5110、および検出器角度90度の条件で測定した。ZrO2分散体の場合には、水を用いて適切な量を希釈し、ディスパーサントR.I.1.33、サンプルR.I.1.90の設定で測定した。それぞれのゾルについて5サンプル、それぞれのサンプルについて20回の測定を行い、それぞれのゾルについて平均値を報告する。
【0076】
キュミランツ(CUMULANTS)法解析によるデータ解析では、モノモーダル(すなわち、ガウス)分布を仮定している。Z平均または(強度平均サイズ)を計算し(そして、d6に比例する、ここでd=粒子直径)、その多分散性はその分布の幅が目安となる。多分散性が大きいということは、より広い分布であって、そのためいくぶん大きい粒子となることを意味している。
【0077】
マルチモーダルモードである、コンチン(CONTIN)法によるデータ解析では、粒子がモノモーダルであるとは仮定せず、強度平均(I−ave)および容積平均(V−ave)の値を計算する。容積平均がd3に比例するのに対して、強度平均はd6に比例するので、強度平均の方が大きい粒子に重点が置かれる。したがって、I−ave/V−aveの比が大きいほど、分布が広い。以下の表に、キュミランツ(CUMULANTS)法解析とコンチン(CONTIN)法解析の両方からの解析結果を示す。
【0078】
SiO2ゾル1の粒径は測定しなかった。製造業者からの報告では、サイズが110nmで、粒径分布は狭い。
【0079】
【表2】

【実施例】
【0080】
実施例1:
配合物調製のための一般的アプローチ:
ニート調製法:
各種のレベルの官能性、たとえばモノアクリレート、ジアクリレート、テトラアクリレート、およびペンタアクリレート官能性を有する1種または複数の市販の樹脂を、アンバージャー(amber jar)の中で混合した。いくつかの樹脂は、屈折率を上昇させるために、芳香族およびハロゲン(臭素が特に好ましい)官能基を有していた。(別途に調製しておいた)表面改質ナノ粒子を光重合開始剤と共に溶媒中に添加してから、ロータリーエバポレーター法によってその溶媒を除去した。このプロセスによって、樹脂中粒子のニートで粘稠な混合物が得られる。次いでこの物質を、コーティング溶媒、光重合開始剤、およびその他の補助剤と組み合わせることができる。
【0081】
溶液混合法:
ナノ粒子の表面改質を行い、溶媒の中へ移す。別な容器で、樹脂を溶媒と混合する。次いで、樹脂溶液とナノ粒子溶液とを、所望の割合で混合する。このプロセスは、粘度による妨害を受けない。典型的な溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、トルエン、および酢酸エチルが挙げられる。溶媒の中における、粒子、改質剤、樹脂、モノマー、光重合開始剤を含めた、全固形分の担持量は約2〜20重量%であって、残りの重量は溶媒である。溶液混合法の場合、粘度の制約が存在しないので、ナノ粒子は固形分の0〜100重量%の間で添加してよく、樹脂も固形分の0〜100重量%の間で添加してよい。総合的な発明の目的のためには、ナノ粒子の有用な担持量は30〜70重量%であり、樹脂の有用な担持量は30〜70重量%である。
【0082】
実施例2:
ジルコニアナノ粒子の表面改質:
1.シラン改質ジルコニアナノ粒子分散体の調製
400.0グラムのZrO2ゾル4および26.57グラムのMEEAAを、1Lの丸底フラスコに仕込んだ。ロータリーエバポレーター法によって、80℃で水と酢酸を除去した。そのようにして得られた粉体を、398グラムのD.I.水の中に再分散させた。水の中に分散させた粒子の416.56グラムを、2Lのビーカーに仕込んだ。その粒子分散体を撹拌しながら、800グラムの1−メトキシ−2−プロパノール、45.0グラムのシランA−174(Silane A−174,登録商標)、および29.21グラムのシルクエスト(Silquest)A−1230(登録商標)を徐々にそのビーカーに添加した。次いでその混合物を、2クォートのサイズのジャーの中に注入し、密閉し、90℃に3時間加熱した。そのジャーの内容物を取り出し、ロータリーエバポレーター法によって濃縮して40.43重量%ジルコニアとした。1268.0グラムの脱イオン水および42.0グラムの濃アンモニア水溶液(29%アンモニア)を4Lのビーカーに仕込んだ。
【0083】
そのビーカーに、撹拌しながら、濃縮された分散体を徐々に添加した。そのようにして得られた白色の沈殿物を、真空濾過により単離し、追加の脱イオン水を用いて洗浄した。湿り気のある固形物を、メチルエチルケトン(MEK)の中に分散させた。得られたシラン改質ジルコニア分散体には14.89%のジルコニアが含まれ、実施例29、30、および34に記載の配合物を作るのに使用した。
【0084】
2.シラン改質ジルコニアナノ粒子分散体の調製
400.0グラムのZrO2ゾル4および26.57グラムのMEEAAを、1リットルの丸底フラスコに仕込んだ。ロータリーエバポレーター法によって、水と酢酸を除去した。そのようにして得られた粉体を、302.82グラムの脱イオン水の中に再分散させ、2リットルのビーカーに仕込み、それに撹拌しながら、800グラムの1−メトキシ−2−プロパノール、41.19グラムの(トリメトキシシリル)アクリル酸プロピル、29.34グラムのシルクエスト(Silquest)(登録商標)A−1230、および0.5グラムのプロスタブ(Prostab,登録商標)5198の水中2%溶液を添加した。この混合物を室温で30分間撹拌してから、1L(クォート)のジャーに注入し、密閉し、90℃に3.0時間加熱した。ジャーの内容物を取り出し、ロータリーエバポレーター法を用いて濃縮した。1242グラムの脱イオン水および42グラムの濃アンモニア水溶液(29%アンモニア)を4Lのビーカーに仕込んだ。そのビーカーに、撹拌しながら、濃縮された分散体を徐々に添加した。そのようにして得られた白色の沈殿物を、真空濾過により単離し、追加の脱イオン水を用いて洗浄した。その湿り気のある固形物をアセトンの中に分散させた。こうして得られたシラン改質ジルコニア分散体は、16.2%のジルコニアを含んでいた。ジルコニア分散体はすべて濾過して、1ミクロン未満とした。この物質は、希釈溶液法によって配合して、実施例33を作った。
【0085】
3.ZrO2ゾル5 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
透析:
ZrO2ゾル5(1,085g、44.53重量%固形分)を、5個の透析バッグ(スペクトラ/ポア・モレキュラーポーラス・メンブレン・チュービング(Spectra/Por Molecularporous Membrane tubing)MWCO12−14,000)に仕込み、8リットルのDI水の中で透析した。30分後および12時間後に水を補給した。そのゾルを単離し(1291.2g、35.64%固形分)、シラン処理に使用した。
【0086】
透析したZrO2ゾル(320.19g、35.63%固形分、32.25%ZrO2)を1クォートのジャーに仕込んだ。撹拌しながら、DI水(150g)を仕込んだ。メトキシプロパノール(443g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(26.92g)およびA1230(18.23g)を、撹拌しながら、1リットルのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に4時間40分加熱した。加熱の後、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物を405gになるまで濃縮した。DI水(1290g)および濃NH3(29.5g、29重量%)を4Lのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(360g)をメトキシプロパノール(1400g)の中に分散させた。その混合物を約48時間撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(265.29g)。メトキシプロパノール(248g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(273.29g)。メトキシプロパノールを仕込み(221g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。最終生成物282.29gを単離すると、45.24%固形分であった。1ミクロンフィルターを通して、その混合物を濾過した。この物質を実施例48〜52において使用した。
【0087】
4.ZrO2ゾル3 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
ZrO2ゾル3(400.7g、23.03%ZrO2)を1クォートのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(400g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(18.82g)およびA1230(12.66g)を、撹拌しながら1Lのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に5.5時間加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物(759g)をストリッピングして、230.7gとした。
【0088】
DI水(700g)および濃NH3(17.15g、29重量%)を4Lのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(215g)をメトキシプロパノール(853g)の中に分散させた。次いで、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(226g)。メトキシプロパノール(200g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮物した(188.78g)。メトキシプロパノールを仕込み(195g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(251.2g)。メトキシプロパノールを仕込み(130g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。最終生成物244.28を単離すると、39.9%固形分であった。1ミクロンフィルターを通して、その混合物を濾過した。この物質を、実施例44〜47において使用した。
【0089】
5.ZrO2ゾル5 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
ZrO2ゾル5(280.12g、40.05重量%固形分、36.02%ZrO2)を1クォートのジャーに仕込んだ。撹拌しながら、DI水(150g)を仕込んだ。メトキシプロパノール(456g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(26.26g)およびA1230(17.75g)を、撹拌しながら、1リットルのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に4時間加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングすると359.4gとなった。DI水(1287g)および濃NH3(28.34g、29重量%)を4Lのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(336g)をメトキシプロパノール(800g)の中に分散させた。次いで、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(296.9g)。メトキシプロパノール(200g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮物した(280.7g)。メトキシプロパノールを仕込み(200g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。その最終生成物258.6gを単離すると、49.56%固形分であった。1umフィルターを用いて、その混合物を濾過した。この物質は、実施例40において使用した。
【0090】
6.ZrO2ゾル5 3−(メタクリルオキシプロピル)))トリメトキシシラン
透析ZrO2ゾル5(207.4g)を透析バッグに仕込み、3500gのDI水中で6時間透析した。(シグマ透析チューブMWCO>1200を使用した。)そのゾルを単離し(34.03%固形分)、シラン処理に用いた。
【0091】
透析されたZrO2ゾル(80g、34.03重量%固形分、30.8%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。撹拌しながら、DI水(80g)を仕込んだ。メトキシプロパノール(160g)、3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(8.59g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。そのジャーを密封し、90℃に3時間15分加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングして170gとすると、白色のスラリーが得られた。DI水(258g)および濃NH3(5.7g、29重量%)を1Lのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。真空濾過により、その固形物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(82g)をメトキシプロパノール(200g)の中に分散させた。次いで、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(97g)。メトキシプロパノール(204g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物を濃縮した(85.5g)。メトキシプロパノールを仕込み(205g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。最終生成物91.46gを単離すると、27.4%固形分であった。1umフィルターを用いて、その混合物を濾過した。この物質は、実施例32において使用した。
【0092】
7.ZrO2ゾル5 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン
ZrO2ゾル5(71.77g、42.14%固形分、37.92%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。DI水(61.47g)を、撹拌しながら仕込んだ。メトキシプロパノール(135.2g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(7.87g)およびA1230(5.3g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。そのジャーを密封し、90℃に3時間30分加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングして97gとすると、白色のスラリーが得られた。DI水(386g)および濃NH3(8.5g、29重量%)を1Lのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。真空濾過により、その固形物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(85.7g)をメトキシプロパノール(約150g)の中に分散させた。次いで、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した(110g)。メトキシプロパノール(100g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮物した(106.8g)。メトキシプロパノール(100g)を加え、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮物した(109.46g)。メトキシプロパノールを仕込み(100g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。最終生成物91.02gを単離すると、39.2%固形分であった。1umフィルターを用いて、その混合物を濾過した。この物質は、実施例41において使用した。
【0093】
8.SiO2ゾル1 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
シリカゾル1(110nm)(327g、39.63%シリカ)を1クォートのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(351g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(2.65g)、およびA1230(1.7g)を1Lのビーカーに仕込んだ。次いでその混合物を、撹拌しながらシリカゾルに仕込んだ。その混合物を、90℃に16.5時間加熱した。ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物(299.53g)を濃縮した(153g)。メトキシプロパノール(194g)を仕込み、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物を濃縮した(161.9g)。メトキシプロパノールを仕込み(190g)、ロータリーエバポレーター法を用いて、その混合物を濃縮した。最終生成物157.5gを単離すると、37.65%固形分であった。
【0094】
9.ZrO2ゾル1 75/25 3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
ZrO2ゾル1(100.24g、18.01%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(101g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(3.65g)およびA1230(2.47g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に4時間加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングすると52gとなった。
【0095】
DI水(175g)および濃NH3(3.4g、29重量%)を500mLのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(43g)をアセトン(57g)の中に分散させた。MgSO4をその混合物に加え、約30分間静置した。次いでその混合物を、ひだ付き濾紙、次いで1ミクロンフィルターを用いて濾過した。その最終生成物を単離すると、15.8%固形分であった。この物質を、実施例36および37において使用した。
【0096】
10.ZrO2ゾル1 75/25(3−(メタクリルオキシプロピル))トリメトキシシラン/A1230
ZrO2ゾル1(100g、29.46%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(100g)、3−(メタクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(6.14)およびA1230(4.26)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に5時間加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングすると52gとなった。DI水(179g)および濃NH3(5.5g、29重量%)を500mLのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形分(83.5g)をアセトン(66.5g)の中に分散させた。MgSO4をその混合物に加え、約20分間静置した。次いでその混合物を、ひだ付き濾紙、次いで1ミクロンフィルターを用いて濾過した。最終生成物を単離すると、12.9重量%固形分であった。この物質を実施例31および35において使用した。
【0097】
11.ZrO2ゾル5 75/25(3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230
ZrO2ゾル5(100g、21.47%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(100g)、3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン(5.59g)およびA1230(3.75g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に3時間加熱した。加熱後に、ロータリーエバポレーター法を用いてその混合物をストリッピングすると130.62gとなった。DI水(143g)および濃NH3(4.5g、29重量%)を500mLのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(65.65g)をアセトン(79g)の中に分散させた。その混合物にMgSO4を加え、静置した。次いでその混合物を、ひだ付き濾紙、次いで1ミクロンフィルターを用いて濾過した。最終生成物を単離すると、16.9%固形分であった。この物質は、実施例38において使用した。
【0098】
12.ZrO2ゾル2 75/25 (3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシラン/A1230)
ZrO2ゾル2(300.2g、27.12%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(300.57g)、(3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(16.55g)およびA1230(11.22g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ZrO2ゾル2(400.1g、27.12%ZrO2)を16オンスのジャーに仕込んだ。メトキシプロパノール(401g)、(3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(21.91g)およびA1230(14.98g)を、撹拌しながら500mLのビーカーに仕込んだ。次いでそのメトキシプロパノール混合物を、撹拌しながらZrO2ゾルに仕込んだ。ジャーを密封し、90℃に4時間加熱した。加熱後に、その二つのジャーからの混合物を合わせ、ロータリーエバポレーター法を用いて濃縮すると507.77gとなった。DI水(1400g)および濃NH3(34g、29重量%)を2000mLのビーカーに仕込んだ。上述の濃縮ゾルを、最小限の撹拌をしながら、これに添加した。白色の沈殿物が得られた。真空濾過により、その沈殿物を湿り気のあるフィルターケーキとして単離した。その湿り気のある固形物(515g)をアセトン(300g)の中に分散させた。これを一夜撹拌し、MgSO4(226g)を添加し、その混合物を、氷浴の中で冷却しながら約30分間静置した。次いでその混合物を、ひだ付き濾紙、次いで1ミクロンのフィルターを用いて濾過し、アセトン(175g)を添加した。最終生成物を単離すると、25重量%固形分であった。この物質を、実施例39、42および43において使用した。
【0099】
希釈配合物の調製
溶媒の中で表面改質ナノ粒子ゾルを調製し、追加のモノマー/樹脂、追加の溶媒、および光重合開始剤を添加して、後述の表に示す組成物を得ることにより、希釈配合物を調製した。
【0100】
コーティング膜の調製:
基材は、予めハードコートを用いてコーティングされたポリエステル膜であった。そのハードコートには、官能化シリカ粒子および多官能アクリレートモノマー、モノマー、ならびに光重合開始剤が含まれている。このケースにおいては、そのハードコートは、米国特許第6,299,799号明細書の実施例3の記載に従って実質的に形成された。
【0101】
イー・アイ・ティー・パワーパック(EIT POWERPUCK,登録商標)により測定した、硬化条件のためのコーティングプロセス/ライン速度は以下の通りであった:
【0102】
%固形分=5重量%固形分/95重量%溶媒
ライン速度=10fpm、溶媒はライン上で乾燥
バルブ=フュージョン・システムズ(Fusion Systems)「D]または「H]バルブによって得られるD(これは、UV照射を与える)
窒素不活性化を採用
UVエネルギーおよび出力は、バージニア州スターリング(Sterling,VA)のイー・アイ・ティー・インコーポレーテッド(EIT Inc.)製のパワーパック(POWERPUCK,登録商標)を使用して、紫外線スペクトルのUVA、UVB、UVC、およびUVV領域について測定し、以下のような記録をとった。
【0103】
この情報は、コーティング溶液をUV重合させたときに受けた、エネルギー(J/cm2)および出力(W/cm2)を与えるものである。本明細書のすべての実施例は、同一の速度で硬化されていて、そのため、それらの値は全部の塗布にあてはまる。このことは、この速度、このタイプの光源、この条件(N2不活性化、周囲温度)で本発明のコーティングをUV重合させさえすれば、そのコーティングは再現性良く硬化された本明細書に記載されている耐久性が得られるということを実質的に示唆している。(ランプの数を増やすか、またはより強力なランプを使用して)より大きなUV出力を用いると、より早いライン速度が採用できるであろう、ということを理解されたい。
【0104】
【表3】

【0105】
以下において与えられる表には、以下の項目を示している:コーティングおよび硬化されたサンプル配合物、用いられた光重合開始剤、液体コーティングの屈折率(または計算値)、硬化されたものの屈折率の値(いくつかのケースのみ)、用いた溶媒および濃度、UV光源(フュージョン(Fusion)HまたはDバルブ)、ハードコート上でのサンプルのUVVIS極大値(1/4波での反射極大としての目標は550nmであって、550よりも少ない値は、より薄いコーティング、それより高い値は、より厚いコーティングを示す)、ならびに最新の耐摩耗性結果。
【0106】
硬化させたサンプルについて、耐久性の評価を行ったが、その方法は次の通りである:24層のチーズクロスでくるんだ6mmの「スタイラス」を用い、そのスタイラスの上に2.2kg(+スタイラスの重量)の加重をかけてサンプルを機械的にこすって、損傷が観察されないで何回のパスまたは「ラブ(rub)」が実施できるか、および何回のパスまたは「ラブ(rub)」になると損傷が観察されたか、に注目した。その結果をX/Yフォーマットで表したが、ここで数Xは、摩擦によってもサンプルが視覚的に未変化に止まっているパスの回数を示す。数Yは、損傷が観察された点を表す。受容不可能な耐摩耗性とは、25ラブ未満での破損と定義する。合格の耐摩耗性とは、50〜100ラブの間で破損したことを示す。極めて良好な耐摩耗性とは、200ラブを超えてから破損したことを示す。
【0107】
ニートな液状配合物の屈折率は、ツアイス(Zeiss)屈折計で測定した。
【0108】
硬化させた膜の屈折率測定は、シリカウェーハ上にスピンコーティングし、エリプソメトリーにより測定することにより実施した。スピンコーティング法を用いてコーティング溶液をシリカウェーハの上に適用してから、UV硬化させた。そのスピンコーティング速度は1000RPMであった。UVプロセス条件は、500w、Dバルブ、N2:25フィート/分、2パスである。
【0109】
屈折率はエリプソメーターにより測定する。反射された偏光データは、θ=55度、65度、75度、λ=350〜1000nmで集めた。屈折率nは、550nmにおける二つの測定の平均値である。n1=1.6227、n2=1.615、nave=1.6189。
【0110】
屈折率は、個々の成分のRIの容積平均を基準として計算した。屈折率は、容積平均法を使用して、公知の密度、粒子または樹脂の屈折率、重量比を用いて計算される。重量パーセントを換算して容積パーセントとし、正味の屈折率は、(容積分率1×屈折率1)+(容積分率2×屈折率2)の和となるようにする。液状物の屈折率はツアイス(Zeiss)屈折計を用いて測定するが、それに対して硬化、架橋させた固形物の屈折率は、メトリコン(Metricon)(別な場所で説明する)を用いて測定する。当業者には公知のことであるが、硬化の際にコーティングが収縮し、そのために屈折率が上がる。
【0111】
UVVISの測定は、シマヅ(Shimadzu)分光光度計で実施した。第一表面反射測定は、標準試験法の「ファースト・サーフェス・トータル・アンド・シーピー・リフレクション・メジャーメント・ユージング・ザ・シマヅ・スペクトロフォトメーター(First Surface Total and CP Reflection Measurement Using Shimadzu Spectrophotometer)」に従ってMPC3100分光光度計を使用して実施した。ハードコーティングしたPETの上の単一の高屈折率光学層の厚みは、次式の関係から計算することができる:
【0112】
t=λ/4η
ここで:
t=厚み(nm)
λ=波長(nm)
η=屈折率。
【0113】
サンプルが550nmにおいて極大反射を示せば、理想的である。屈折率=1.62の組成物の場合、極大反射の波長を550nmとするには、硬化させたコーティング厚みを約85nmとするのがよい。
【0114】
【表4】

【0115】
【表5】

【0116】
第1表の実施例は、極めて高い屈折率、適切な光学的厚さ、および中程度〜かなりの耐久性を与える。
【0117】
【表6】

【0118】
実施例33〜43のそれぞれには、1.0重量%のイルガキュア(Irgacure)819光重合開始剤が含まれていた。
【0119】
【表7】

【0120】
第2表のものは、極めて高い耐久性、極めて高い屈折率配合を示している。実施例38および40においてジルコニアゾル5のための表面改質剤として3:1のアクリレートシラン:A1230を使用することによって、良好な耐久性を有し極めて高い屈折率の配合物が得られたことは、注目に値する。同等の高屈折率(1.62)を有しながらさらに高い耐久性を示す例が実施例37および39にあるが、これらでは、アクリレートシラン:A1230表面改質剤と共にジルコニアゾル(1および2)を使用している。
【0121】
60重量%のジルコニアゾル2を用い、アクリレートシラン/A1230で官能化された実施例42は、検討した内で最高の屈折率を有する耐久性配合物であるが、1.65の屈折率と、平均して100パスの耐久性を有している。担持量を70重量%(実施例43)とすると、耐久性が低下する。次に示すのは、ZrO2ゾル5およびシリカゾルの混合物、またはZrO2ゾル3を用いた追加の実施例のいずれかを用いた、追加の配合物を示す表である。
【0122】
【表8】

【0123】
実施例44〜53のそれぞれには、1.0重量%のイルガキュア(Irgacure)819光重合開始剤が含まれていた。
【0124】
【表9】

【0125】
【表10】

【0126】
アクリレートシランの使用
表面改質剤の選択が異なっているだけの、実施例37および39と実施例31とを比較すると、アクリレートシラン官能性がメタクリレートシラン官能性よりも優れていることが強く支持されるが、ここで、そのアクリレートシランは、ゲレスト(Gelest)製の3−(アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランである。実施例36を実施例35と比較した場合も、同様の改良が観察される。実施例32は、すべてA174を用いて表面官能化させたものであるのに対して、実施例38および40では、3:1のアクリレートシラン:A1230であった。実施例38および40は、より良好な耐久性を示している。第3c表から判るように、薄いコーティングに対してバイモーダル法を試みると、大きい粒子を10〜20重量%使用したときの、特に耐久性に関する実証例が挙げられている。
【0127】
メタクリレートシランで処理した粒子を用いると耐摩耗性ハードコートコーティングが得られることは公知ではあるが、そのようなコーティングの屈折率は1.60未満である。より高いジルコニア担持量では、薄い(<100nm)コーティングにおいて、アクリレートシランにより官能化させた粒子を用いることにより、高い耐久性を伴った高屈折率(>1.60)のコーティングが達成された。
【0128】
広い粒径分布
ジルコニアゾル(ロット1および2)のサンプルを、実施例31、35、36、37、39、42、および43において使用した。ZrO2ゾルロット3を、実施例44〜47において使用した。その理由は不明ではあるが、SR295:CN120Z:SR339(48:35:17)樹脂系の場合とは対照的に、樹脂がSR399樹脂である場合には、大きい粒子の突出が顕著となる。上述の粒径測定からは、ジルコニアゾルのロット1および2は、それらの直径を85nmの目標コーティング厚みと比較すれば、突出部分を与えることは当然ではあるが、ジルコニアゾルロット3でも(その程度が低いとはいえ)それが起きるというのは驚くべきことである。
【0129】
測定されたトポグラフィー
実施例37および39に見られるような、50重量%ジルコニア(ゾル1および2)硬化配合物の極めて高い耐久性は、表面トポグラフィーの結果であろうと考えられる。この考えは、原子間力顕微鏡法(AFM)によって支持される。(たとえば実施例38におけるような)小さなナノ粒子を使用した配合物において見出される比較的平坦な表面とは対照的に、AFMでは120nmもの高さの表面からの立ち上がりを有する「ピーク」が認められが、その例としては実施例37および39が挙げられる。それらのピークは、硬化された表面からの摩耗除去源を維持するのに役立つ。それらのピークの原因となっているのは、ジルコニアゾル1および2の中に存在する大きい粒子であると考えられる。
【0130】
本発明のUV硬化膜それぞれの表面それぞれを、AFM(原子間力顕微鏡法)によって検討した。「10pt平均」というのは、膜の表面の上の10um×10umの正方形の中で観察される最も高い10点の平均値である。高い10pt平均値を有する膜は、明らかにより粗く、(好適な表面改質と共に)チーズクロス摩耗試験において好結果を与える。
【0131】
【表11】

【0132】
第4表に、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定された「10点平均粗さ」(単位:ナノメートル)、さらにはチーズクロス耐久性データを列記した。本発明に従って作ったコーティングは、原子間力顕微鏡法を使用し、典型的な10×10マイクロメートル領域で調べると、少なくとも30ナノメートル、しかし好ましくは約120ナノメートルの10点平均粗さ値を示す。実施例では、2種の樹脂系、反応性表面改質剤(アクリレート対メタクリレート)の効果、および異なった粒径のジルコニアゾルの表面粗さおよび耐久性に及ぼす効果、を比較している。最も良好な性能を与える高屈折率サンプルは、分散性の広いZrO2ゾル、アクリレート官能性、および好ましくは高度に多官能であるアクリレート樹脂を用いていた。さらに、表4から、2種のバイモーダルの例の耐久性と粗さが立証されているが、そこでは、高%の低分散度の小さい粒子と、低%の低分散度の大きい粒子(110nm)との組合せが、効果を発揮している。
【0133】
本発明は、たとえば反射防止膜も含めたオプティカルコーティングおよび膜において、主要な用途を見出すであろうと考えられる。しかしながら、それに限定される訳ではない。本発明の実施態様についてのこれまでの記述は、説明だけを目的としていることも理解されたい。したがって、本明細書に開示された各種の構造的および操作面での特徴は、いずれも添付された請求項において定義される本発明の範囲から外れることなく、当業者の能力に応じて多くの修正を容易に加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明による、オプティカルコーティングを含むコーティング構成を示す断面図である。
【図2】本発明による、典型的なディスプレイデバイスを示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性モノマー/オリゴマー混合物、および
表面改質ジルコニアナノ粒子を含む表面改質無機ナノ粒子を含むUV硬化可能なオプティカルコーティングであって、前記オプティカルコーティングが少なくとも1.6の屈折率を有し、前記コーティングが少なくとも30ナノメートルの10点平均粗さ値を有する、コーティング。
【請求項2】
前記ジルコニアナノ粒子が、アクリレートシランを用いて表面改質されている、請求項1に記載のコーティング。
【請求項3】
前記モノマー/オリゴマー樹脂が、実質的なアクリレート官能性を有する1種または複数のモノマーを用いて架橋されている、請求項2に記載のコーティング。
【請求項4】
前記表面改質ナノ粒子が、約10〜30ナノメートルの平均断面直径を有する大部分のナノ粒子と約80〜150ナノメートルの平均断面直径を有する小さい割合のナノ粒子とを含む、請求項1に記載のコーティング。
【請求項5】
前記大部分のナノ粒子が、ナノ粒子の全重量の約67〜90重量%を占める、請求項4に記載のコーティング。
【請求項6】
前記無機ナノ粒子が、相対的に小さいジルコニアナノ粒子と相対的に大きいシリカナノ粒子とを含み、前記大きい粒子が全ナノ粒子重量の約10〜33重量%を占める、請求項1に記載のコーティング。
【請求項7】
請求項1に記載のコーティングを含む、ディスプレイシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のコーティングを含む、反射防止コーティング。
【請求項9】
前記無機ナノ粒子が、ジルコニア、シリカ、チタン、アンチモン、混合金属酸化物、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のコーティング。
【請求項10】
ポリマー基材、
前記ポリマー基材に結合させたハードコート層、
前記ハードコート層に接合させた高屈折率光学層、および
前記高屈折率光学層に接合させた任意の低屈折率光学層を含む反射防止膜であって、
前記高屈折率光学層が、約10〜30ナノメートルの粒径の大部分のナノ粒子と、約80〜150ナノ粒子の粒径の小さい割合のナノ粒子とを含む官能化ジルコニアナノ粒子のバイモーダル系を含む、反射防止膜。
【請求項11】
前記バイモーダル系がシリカナノ粒子をさらに含む、請求項10に記載の反射防止膜。
【請求項12】
前記大部分のナノ粒子がジルコニアであり、前記小さい割合のナノ粒子がジルコニアである、請求項10に記載の反射防止膜コーティング。
【請求項13】
請求項10に記載の反射防止膜を含む、ディスプレイシステム。
【請求項14】
前記ジルコニアナノ粒子が、少なくとも30ナノメートルの10点平均を示す、請求項10に記載のコーティング。
【請求項15】
前記ジルコニアナノ粒子が、前記ポリマー基材中に散在粒子として概ね存在している、請求項10に記載のコーティング。
【請求項16】
少なくとも1.6の屈折率を有する、請求項10に記載のコーティング。
【請求項17】
ポリマー基材、および
前記ポリマー基材に固着されたハードコート層を含む保護膜であって、
前記ハードコート層が少なくとも1.6の屈折率を有し、
前記ハードコート層が、表面改質ジルコニアナノ粒子を含む官能化無機ナノ粒子のバイモーダル系を含み、ここで、大部分のナノ粒子が約10〜30ナノメートルの粒径であり、小さい割合のナノ粒子が約80〜150ナノ粒子の粒径である、保護膜。
【請求項18】
前記ハードコート層に接合された低屈折率光学層をさらに含む、請求項17に記載の保護膜。
【請求項19】
請求項17に記載の保護膜を含む、ディスプレイシステム。
【請求項20】
前記無機ナノ粒子が、摩砕されたジルコニアナノ粒子を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項21】
無機ナノ粒子を70重量パーセント未満含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項22】
約0.4〜約0.8の範囲の多分散性、および約20〜80のz平均により定義されるジルコニアナノ粒子を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項23】
約10〜30nmの容積平均と、約1.5:18の強度平均:容積平均の比率で定義されるジルコニアナノ粒子を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項24】
重合性モノマー/オリゴマー樹脂混合物、および
前記混合物中に分散された表面改質ジルコニアナノ粒子を含む表面改質無機ナノ粒子を含有する組成物であって、
前記ナノ粒子が、約0.4〜約0.8の範囲の多分散性、および約20〜80のz平均により定義される、組成物。
【請求項25】
前記ナノ粒子が、約10〜30nmの容積平均と、約1.5:18の強度平均:容積平均の比率で定義される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記ナノ粒子が、約10〜30ナノメートルの粒径の大部分のナノ粒子と、約80〜150ナノ粒子の粒径の小さい割合のナノ粒子とを含む官能化ジルコニアナノ粒子からなるバイモーダル系を定義する、請求項24に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−527415(P2008−527415A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549490(P2007−549490)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046526
【国際公開番号】WO2006/073856
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】