説明

ATRを利用した尿成分分析装置及び方法

【課題】本発明は、尿(urine)に含まれている成分の濃度などを測定するための尿成分分析装置及び方法に関し、詳細には、減衰赤外線分光器(Attenuated Total Reflectance infrared spectroscopy)を利用して、尿に含まれている成分の濃度などを測定するための尿成分分析装置及び方法に関する。
【解決手段】凹状または平面状の採尿部を有する座式便器と、前記採尿部から採取された尿を分析部に誘導するための配管部と、前記配管部を通じて誘導された尿の成分を分析するための分析部とを含み、前記採尿部は、前記座式便器の内側前面に形成されて、前記分析部は、ATRを含み、前記分析部は、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする尿成分分析装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿に含まれている成分の濃度などを測定するための尿成分分析装置及び方法に関するもので、さらに詳細には、減衰全反射赤外線分光器 (Attenuated Total Reflectance infrared spectroscopy、以下、‘ATR-IR’という)を利用して、尿に含まれている成分の濃度などを測定するための尿成分分析装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、可視光線を利用して尿成分を検査する方法がよく利用されている。可視光線領域でも主に三つの波長を使用して、尿に含まれている成分を分析しており、この際、尿検査紙を使用して検査する方法が主に利用されている。前記方法では、使い捨ての尿検査紙を使用しているため、一般人が毎日尿の成分を測定するためには、検査紙を別途購入しなければならなく、しかも、尿検査紙に尿を付ける方法と測定方法が非常に不便である。また、尿検査紙と装備を一般家庭で保管しなければならないなどの不具合があって、一般人に普及するには困難がある。
【0003】
尿検査紙を使用しない方法としては、分光分析方法が使用されているが、ほとんどは、座式便器から試料を導入する導入装置を別に構成して、試料を導入する方式で利用されており、この導入された試料の分析装置、光源及び検出器を並べて(180度角度)配列する透過型方式から構成される。前記方式の場合は、追加的な設備が要り、特に、前記方式で使用される光は、近赤外線に当たる。この近赤外線を利用する分析装置に使用される波長帯域は、800nm〜2500nmである。前記波長帯域の光は、尿に含まれる成分のうち、単一成分の分析には適しているが、尿に含まれた複数の成分の成分を分析する場合は、複数の成分に対する測定値が重なって出てくるため、複数の尿成分を分析するに問題があった。
【0004】
上記のような問題により、尿に含まれている複数の成分を、さらに便利且つ精密に分析できる装置及び方法の提供が難しくなっている。
【0005】
また、座式便器に座って、簡単な操作を通じて、尿成分の分析だけではなく、血圧、体脂肪などを便利に測定できる装置がないため、使用者または患者は、尿成分、血圧、体脂肪などを、それぞれ異なる時間に異なる場所で測定しなければならない問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、ATR−IRを構成するATRを座式便器に直接付着して、より便利且つ正確に尿に含まれている成分を分析できる尿成分分析装置及び方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、波長が1000〜15000nmに属する光を利用して、尿に含まれている成分を正確に分析できる尿成分分析装置及び方法を提供することを目的とある。
【0008】
また、本発明は、尿成分分析と共に、血圧、体脂肪などを、簡単な操作を通じてほぼ同時に測定できる健康診断システムを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、凹状または平面状の採尿部を有する座式便器と、前記採尿部から採取された尿を分析部に誘導するための配管部と、前記配管部を通じて誘導された尿の成分を分析するための分析部とを含み、前記採尿部は、前記座式便器の内側前面に形成されて、前記分析部は、ATRを含み、前記分析部は、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、尿成分分析装置を提供する。
【0010】
前記配管部は、基準値を測定するための基準物質及び尿を前記ATRに導入するための入力管と、前記ATRから基準物質及び尿を出力するための出力管とを含み、前記入力管は、前記基準物質及び前記尿が前記ATRに導入されることを制御するためのソレノイドバルブと、前記基準物質を供給するための、少なくとも一つのカートリッジと、前記入力管及び前記ATRを洗浄するための洗浄液を供給するクリーニングタンクとを含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、凹状または平面状の採尿部を有する座式便器と、前記採尿部から採取された尿の成分を分析するための分析部とを含み、前記採尿部は、前記座式便器の内側前面に形成されて、前記分析部は、ATRを含み、前記分析部は、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする尿成分分析装置を提供する。
【0012】
前記採尿部は、前記座式便器の内部に水平に形成されるか、または斜めに傾いて形成され、前記採尿部は、半球面状に形成されて、前記半球面は、中心部位にホールを有する。前記分析部は、プリズムを含み、前記プリズムは、前記ホールと結合し、前記プリズムの上面が前記半球面を形成するか、または前記プリズムの上面が前記ホールの下に結合され得る。
【0013】
前記尿成分分析装置は、前記採尿部を洗浄するために、前記採尿部より高い位置に形成された洗浄液供給部をさらに含むことができる。
【0014】
前記分析部は、光を発生する光源と、前記光を利用して単色光を生成する単色化器と、前記単色光を前記ATRに導入するための反射鏡と、前記ATRを通過した単色光を検出するための検出器と、前記検出部で検出された単色光の特性を測定して、前記機器を制御する制御器とをさらに含む。
【0015】
前記単色化器は、フーリエ変換を利用して前記単色光を生成して、前記単色光の波長は、1000〜15000nmに属し、前記分析部は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して、小型に作製され得る。
【0016】
また、前記目的を達成するために、本発明は、採尿部を通じて導入された基準物質のスペクトルを測定する段階と、前記採尿部を通じて導入された尿の吸収スペクトルを測定する段階と、予め尿の各成分を測定した標準値と吸収スペクトルとの相関関係を示す検量線を獲得する段階と、前記検量線を用いて、前記尿に含まれた各成分の量を推定する段階とを含み、前記採尿部は、座式便器の内側前面に形成されて、前記基準物質のスペクトル及び前記尿の吸収スペクトルは、ATRを利用して測定し、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする尿成分分析方法を提供する。
【0017】
前記尿成分分析方法は、前記尿の吸収スペクトルを測定した後に、前記採尿部を洗浄液を利用して洗浄する段階をさらに含み、前記洗浄液と前記基準物質は、同一であってもよい。また、前記尿成分分析方法は、前記採尿部より高い位置に形成された空気噴射口を利用して、前記採尿部を乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0018】
また、前記目的を達成するために、本発明は、座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、前記座式便器と結合されて形成される体脂肪測定装置とを含んで構成される健康診断システムにおいて、前記体脂肪測定装置は、前記座式便器の左側及び右側に設けられた取っ手と、4個の接点にそれぞれ対をなして設けられた8個の電極とを含み、前記接点のうち、二つの接点は、 座式便器の便座の上側表面の、使用者の臀部または大腿部が接触する部位に位置して、他の二つの接点は、前記取っ手に位置することを特徴とする健康診断システムを提供する。
【0019】
前記各接点は、電圧電極及び電流電極を含み、前記取っ手は、前記座式便器に陥没状の形で設けられて、前記取っ手に水が付くことを防止するためのカバーを含むことを特徴とする。
【0020】
前記健康診断システムは、ATRを利用して、尿に含まれた成分を測定する尿成分分析装置をさらに含み、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本発明は、座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、前記座式便器の便座下に設けられた複数のロードセル(Load cell)を利用して、使用者の体重を測定する体重測定装置と、ATRを利用して、尿に含まれた成分を測定する尿成分分析装置とを含み、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする健康診断システムを提供する。
【0022】
前記健康診断システムは、前記使用者の血圧を測定できる血圧測定装置と、指紋認識を通じて前記尿成分分析装置の使用者を確認する指紋認識装置とをさらに含み、前記血圧測定装置及び指紋認識装置は、前記使用者の腕がのせられるアーム保持部に位置し、前記使用者は、前記座式便器に座ったまま、前記指紋認識装置及び血圧測定装置を利用して、指紋認識及び血圧測定を同時に行うことができることを特徴とする。
【0023】
前記健康診断システムは、前記尿成分分析装置で測定した尿成分情報、前記体重測定装置で測定した体重情報、前記指紋認識装置で測定した指紋情報、前記血圧測定装置で測定した血圧情報、及び前記体脂肪測定装置で測定した体脂肪情報の、少なくとも一つをディスプレイするためのモニターをさらに含み、前記モニターは、前記アーム保持部に位置することを特徴とする。
【0024】
前記健康診断システムは、前記健康診断システムに利用される薬品を供給する薬品投入装置をさらに含み、前記薬品投入装置は、前記座式便器の後側に、斜め方向に設けられて、前記薬品投入装置は、前記温水洗浄便座と連結されることを特徴とする。
【0025】
前記健康診断システムは、前記尿成分情報、体重情報、指紋情報、血圧情報、及び体脂肪情報の少なくとも一つを、インターネットまたはイーサネットを利用して伝送することを特徴とする。
【0026】
また、前記目的を達成するために、本発明は、座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、前記座式便器と結合されて形成される心電図測定装置とを含んで構成される健康診断システムにおいて、前記心電図測定装置は、前記座式便器の左/右側取っ手に位置する二つの接点と、前記座式便器の便座の上側表面の、使用者の臀部または大腿部が接触する部位に位置する二つの接点とを含み、前記各接点は、それぞれ二つの電極を有し、前記心電図測定装置は、前記4個の接点に位置した8個の電極を用いて誘導電流を流し、各電極間の電位差を測定することにより、使用者の心電図を測定することを特徴とする健康診断システムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明で使用される用語は、可能な限り、現在広く使用される一般的な用語を選択しているが、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあって、この場合は、該当する発明の詳細な説明の部分でその意味を記載しているため、単純な用語の名称ではなく、用語の有する意味により本発明を把握しなければならない。
【0028】
以下に本発明の好ましい実施例を、添付の図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
図1は、本発明の一実施例による尿成分分析装置を含む健康診断システムを示す斜視図である。図1を参照すると、前記健康診断システムは、血圧測定装置100、温水洗浄便座制御装置200、指紋認識装置300、モニター400、メイン制御装置500、体脂肪測定装置600、尿成分分析装置700、薬品投入装置800、及び体重測定装置900を含む。
【0030】
前記健康診断システムは、前記血圧測定装置100を利用して血圧を測定することができる。前記血圧測定装置100は、使用しない時は、使用者の腕がのせられるアーム保持部1000に挿入されており、人が座式便器に座って、血圧を測定するためにメイン制御装置500の‘血圧測定’ボタンを押すと、前記血圧測定装置100の加圧台が上方に突出される。その後、人の腕を前記加圧台に入れた後、メイン制御装置500の‘スタート’ボタンを押すと、血圧が測定される。前記モニター400は、脈拍及び/または最低/最高血圧を表示する。測定完了後、前記加圧台から腕を抜いて、‘血圧測定’ボタンを再び押すと、前記血圧測定装置100の加圧台が自動に前記アーム保持部1000に挿入される。前記血圧測定装置100は、多様な形態に作られ得るが、点線円内に示されたように、開放型カフ(Cuff)を使用して、使用者が手首をのせさえすれば、自動に血圧を測定する形態に製作することもできる。この場合、直方体からなる形態に比べ、腕の入る部位を小さくすることができ、小型化に有利である。
【0031】
図1において、前記血圧測定装置100は、直方体状または開放型カフ状を有し、前記アーム保持部1000の上面に位置しているとして示されているが、本発明は、前記血圧測定装置100の形態及び位置に限定されるものではない。
【0032】
前記指紋認識装置300は、使用者が座式便器に座ってから手を接触すると、自動に指紋を認識し、現在座っている使用者が家族の誰かを確認する。前記指紋認識装置300は、従来一般に利用される指紋認識装置を使用することができるため、本明細書では、前記指紋認識装置300の動作方法に関する具体的な説明を省く。
【0033】
また、前記健康診断システムは、体重測定装置900を利用して体重を測定し、体脂肪測定装置600を利用して体脂肪を測定することができる。
【0034】
前記体重測定装置900は、座式便器の便座下方に四つのLoad Cellを付着し、体重を測定する。人が座式便器に座ると、自動に測定を始め、測定した値を、右側アーム保持部1000にあるモニター400に表示する。
【0035】
体脂肪の測定は、人が座式便器に座ってから、座式便器の上端の左/右側にある、電極が内装されている体脂肪測定装置600の取っ手を握ると、測定を始めるが、前記体脂肪測定装置600は、図2及び図3を参照して詳細に記述される。
【0036】
体脂肪を測定する方法を詳細に記述すると、メイン制御装置500の‘体脂肪測定’ボタンを押すと、体重測定装置900の圧力センサが作動して、体重を測定する。その後、‘スタート’ボタンを押した後、座った状態で両腕を下方に伸び、体脂肪測定装置600の取っ手を握る。体脂肪測定が完了すると、予め記憶されている使用者の年齢、性別、身長、及び前記体重測定装置900により測定された体重を利用し、モニター400に体脂肪率、筋肉量などの情報を表示する。体重情報が既に記憶されている場合は、前記体重測定過程を省いてもよい。
【0037】
前記モニター400は、前記アーム保持部1000の下面から、固定された一つの軸を中心に水平方向に回転する方式で突出される。その後、前記モニター400は、固定された他の軸を中心に、垂直方向に回転され、使用者が見やすい傾きまたは角度に調節できる。
【0038】
図1には、体脂肪測定のために、前記体脂肪測定装置600の取っ手部分が座式便器の左右に水平に陥没されている形態として示されているが、本発明は、前記体脂肪測定装置600の形態及び位置に限定されるものではない。また、本発明は、体脂肪を測定するためのメイン制御装置500のボタン種類に制限がない。
【0039】
また、前記健康診断システムは、尿成分分析装置700を利用して、尿中に含まれている糖、タンパク質、血液などを測定して、モニター400に表示することができる。前記尿成分分析装置700に対する具体的な説明は、図2〜図6を参照して後述する。
【0040】
また、前記健康診断システムは、前記尿成分分析装置700の後側に位置した薬品投入装置800を含む。前記薬品投入装置800には、洗浄剤(例えば、膣洗浄剤)、芳香剤などの薬品が投入される。前記薬品投入装置800は、薬品ケースと正確に結合され得る形態にしてもよく、若干傾いた形態に作られ、薬品が流れやすい形態にしてもよい。したがって、薬品ケースをそのまま前記薬品投入装置800に入れて使用し、薬品が全部切れたら、前記薬品投入装置800から薬品ケースを取り出し廃棄することができる。前記薬品投入装置800は、温水洗浄便座装置(図5に図示)と連結され、薬品投入装置800に投入された薬品が温水洗浄便座装置を介して噴射される。
【0041】
また、前記健康診断システムは、別途のメモリ(図示せず)を含み、前記メモリは、測定データ(例えば、体重、体脂肪、糖、タンパク質など)を個人別に貯蔵する。また、前記健康診断システムは、インターネットまたはイーサネットなどを利用して、前記メモリに貯蔵された測定データを診断サービスセンタなどに伝送し、前記伝送された情報を利用して分析した結果を受信することができる。また、使用者は、前記健康診断システムを利用する間、モニター400を通じて映画鑑賞またはインターネット検索をすることができ、内装された電話機(図示せず)を利用して通話も可能である。
【0042】
図2は、本発明の一実施例による健康診断システムを構成する体脂肪測定装置を示す。図2を参照すると、前記体脂肪測定装置600は、座式便器の便座に四つの電極601、602、603、604が設けられて、両取っ手にそれぞれ二つの電極605、606、607、608が設けられ、計8個の電極を利用して体脂肪を測定する。
【0043】
即ち、座式便器の左側及び右側の各取っ手に電圧電極及び電流電極をそれぞれ設けて、また、座式便器の上側の、臀部または大腿部が接触する部分にさらに四つの電極(電圧電極2個、電流電極2個)を設けるが、二つの電極(電圧電極及び電流電極)が一つの接点を構成する。
【0044】
図3は、本発明の一実施例による体脂肪測定装置の取っ手を示す。図3を参照すると、前記取っ手609は、座式便器の両側に陥没状の形で設けられて、水が付くことを防止するために、その上にカバー611を付着することができる。また、カバー611の縁の溝に入った水が排出されるように、下側にスリット610を設けてもよい。本発明は、前記カバー及び前記スリットの形態に制限はない。
【0045】
図4は、本発明の一実施例による体脂肪測定装置において、電流が流れる方向を示す。図4を参照すると、本発明による体脂肪測定装置600は、体脂肪測定時、使用者が座式便器の便座に座って両側の取っ手を握っていると、図4の(c)に示されたように、二回、異なる経路に電圧及び電流を供給して身体のインピーダンスを測定し、より一層精密度を高めることができる。
【0046】
従来の4電極方式は、測定経路が、図4の(a)及び(b)に示されたように、左側腹部を通じて右側腕を測定するか、あるいは左側腹部を通じて左側腕を測定するため、いずれの場合も、上半身の半分のみを測定する。従って、上半身全体のインピーダンスを測定することができないという問題点がある。
【0047】
しかしながら、本発明による体脂肪測定装置600は、最初は、電圧電極603及び電流電極604から、左側臀部(または大腿部)、腹部、左側腕を順に通って、電圧電極607及び電流電極608に電流が流れるようにして、二番目は、電圧電極601及び電流電極602から、右側臀部(または大腿部)、腹部、右側腕を順に通って、電圧電極605及び電流電極606に電流が流れるようにする。
【0048】
このようにすることにより、腹部を含む上半身右側のインピーダンス及び上半身左側のインピーダンスを全て測定可能であり、腹部を含む上半身全体のインピーダンスを正確に測定することができて、この値を基準に体脂肪を換算するため、従来の4電極方式に比べ、より一層正確に体脂肪を測定することができる。
【0049】
また、本発明による健康診断システムは、心電図測定装置を含む。前記心電図測定装置は、図2に示された体脂肪測定装置と同一な電極を使用して心電図を測定するが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、前記心電図測定装置は、便座上端の左/右側に設けられた四つの電極及び座式便器の両側の取っ手に設けられた四つの電極を利用するか、または体脂肪測定装置とは別に存在する電極を利用することができる。
【0050】
心電図を測定する方法は、次のようである。まず、使用者が座式便器に座ってから、座式便器の両側取っ手を握ると、心電図測定装置は、8個の電極を利用して、以下のように6回の誘導電流を流した後、各電極間の電位差を測定する。
【0051】
まず、右手、左手、及び左側大腿部(または臀部)の電位差を測定する。 第1の誘導電流により左手−右手の電位差を測定し、第2の誘導電流により左側大腿部−右手の電位差を測定して、第3の誘導電流により左側大腿部−左手の電位差を測定する。
【0052】
その後、右手、左手、及び右側大腿部(または臀部)の電位差を測定する。 第4の誘導電流により左手−右手の電位差を測定し、第5の誘導電流により右側大腿部−右手の電位差を測定して、第6の誘導電流により右側大腿部−左手電位差を測定する。
【0053】
上記のような方法により測定した結果は、メイン制御装置500に伝送されるか、別途の心電図測定装置(図示せず)に伝送される。測定結果、電位差が陽(+)の場合は上向きに、陰(−)の場合は下向きに表示して、6回の測定結果の加重平均値を計算し、最終心電図を求める。上記のように、6回の測定を通じてより精密な心電図測定結果を得ることができる。以下では、前記尿成分分析装置700についてより詳細に説明する。
【0054】
図5は、本発明の一実施例による尿成分分析装置の分析部を示す斜視図である。図5を参照すると、尿成分分析装置700は、座式便器、採尿部、分析部などを含み、前記分析部740は、ATR−IRで構成されて、前記ATR−IRは、光源741、単色化器742、反射鏡743、745、ATR744、検出器746及び制御器747を含む。
【0055】
試料(例えば、尿)が分析部740のATR744に導入されると、光源741から生成された光が単色化器742に導入される。前記光源は、1000〜15000nm内の波長を有する光を生成する。
【0056】
単色化器742は、光源741から発生された光を各波数(wavenumber)で単色化する。この際、単色化器742は、単色光を生成する。前記単色化器742は、フーリエ変換を利用して単色光を生成するか、あるいは他の方法を利用して単色光を生成することができる。本発明は、前記単色光を生成する方法に限定されるものではない。生成された単色光は、反射鏡を通じてATR744に導入される。
【0057】
ATR744は、試料に前記単色光を通過させる。本発明において、ATRは、一般的な吸収分光法で扱い難い試料の赤外線スペクトルを得る方法であって、溶解度の低い固体、フィルム、繊維、ペースト及び接着剤及び/または粉末試料を測定する時に好適に利用できる分析法またはその装置を意味する。
【0058】
光が稠密な媒質から粗い媒質に通過する時、通常反射が起こるが、この際、入射される光の反射比率は、入射角が大きくなるほど増加し、ある臨界角を超過すると、全反射が起こるようになる。
【0059】
このような反射が起こる時、光は、粗い媒質で短い距離を浸透するように挙動するということが、実験的に且つ理論的に知られているが、この時、光の浸透深さは、十分の数波長から数波長範囲まで変化するようになる。
【0060】
最終浸透深さは、入射光の波長、二つの物質の屈折率及び境界面に対する入射角に依存し、このような浸透輻射線を消滅波(evanescent wave)といい、粗い媒質が消滅波を吸収すると、吸収帯波長の光は、減衰(attenuated)するようになる。ATR744は、上記のような媒質間界面で反射による吸収原理を利用する。
【0061】
ATR744を通過した光は、反射鏡745で反射された後、検出器746に導入される。前記検出器746で検出された光は、制御器747でデジタル信号に変化されて測定される。前記制御器270は、検出されたデータを測定して、前記各部分を電子的に制御する。
【0062】
図5に示された分析部の形態は例示的なもので、本発明は、前記分析部の形態に限定されるものではない。また、本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して作製された分析部を含む。
【0063】
図6は、本発明の第1の実施例による尿成分分析装置の配管部を示す斜視図である。前記尿成分分析装置は、座式便器に凹状に形成された採尿部(図示せず)、前記採尿部から採取された尿を分析部に誘導するための配管部720、及び前記配管部を通じて誘導された尿の成分を分析するための分析部744を含む。
【0064】
図6を参照すると、前記配管部720は、ATR744に試料を導入するための装置であって、精密な分析のために、小便が液体状態で導入されるフロータイプから構成され得る。前記フロータイプ配管部720は、ソレノイドバルブ723がオフ状態で、まず基準(reference)物質を入力管721を介してATR744に提供して、分析部740は、基準値を測定し、その後、前記基準物質は、出力管722を通じて排出される。
【0065】
また、前記配管部720は、ソレノイドバルブ723がオン状態で、一定時間試料を入力管721を介してATR744に提供して、分析部740は、前記試料を測定し、その後、前記試料は、出力管722を通じて排出される。本発明は、従来のATR上にフロータイプ配管部720を付着して、試料をより容易に測定できるように構成される。
【0066】
試料を測定した後、クリーニングタンク725から洗浄液が排出され、入力管721及び出力管722を含む配管部720を洗浄する。特に、前記配管部720は、基準物質を供給するための、少なくとも一つのカートリッジ726、727、728を含む。したがって、多様な種類の基準物質を利用することができて、前記カートリッジは、取り替えが容易にできるように構成される。基準物質の内容物は、試料に含まれた、測定しようとする成分以外の試料成分を含むように作られ、測定しようとする成分以外の成分による干渉現象を最少化できるように製造される。
【0067】
図7は、本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の座式便器に形成された採尿部を示す斜視図である。図7を参照すると、前記尿成分分析装置は、尿を採取するための採尿部730、前記採尿部を含む座式便器710、及び前記採尿部730から採取された尿を分析するための分析部740を含む。
【0068】
図7に示された座式便器710及び分析部740の機能は、図6を参照して記述された座式便器及び分析部と、その機能が同一または非常に類似しているため、具体的な説明を省く。図6を参照して記述された尿分析装置との差異点は、図7に示された尿成分分析装置は、配管部720を有しないという点である。図7に示された尿成分分析装置は、採尿部730が分析部740に直接連結される。したがって、基準物質及び/または試料が、採尿部730を介して分析部740に導入されて、前記採尿部730を通じて排出される。
【0069】
本発明の第2の実施例による尿成分分析装置は、別途の配管部720を有しないため、配管の取り替えなどの追加的な費用が掛からなく、簡便に尿成分を測定することができて、前記配管に形成される汚染物質の影響を最少化することができる。また、洗浄液による洗浄と同時に、基準物質(Reference material)で基準値を測定した後、直ちに尿成分を分析することができる。以下では、図8及び図9を参照して、前記採尿部730の詳細な形態を説明する。
【0070】
図8は、本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の座式便器に形成された採尿部を示す詳細断面図である。図8を参照すると、前記尿成分分析装置の採尿部730は、座式便器710の内側面に斜めに形成される。したがって、尿及び/または基準物質が流れ落ちながら、容易に前記採尿部730を満たし、洗浄液で容易に前記採尿部730を洗浄することができる。本発明は、座式便器710に斜めに形成された採尿部731だけではなく、座式便器710に水平に形成された採尿部732を含む。
【0071】
前記採尿部730は、座式便器710に凹状(例えば、半球状)に形成されて、前記採尿部730は、中央付近に尿が満たされるホールを有してもよい。図8には、半球状に形成された採尿部730が示されているが、本発明は、前記採尿部の形態に制限はなく、他の形態を有する採尿部730を含む。
【0072】
また、前記尿成分分析装置は、前記採尿部730の上方に形成された洗浄液供給部712及び空気噴射口711を含むことができる。洗浄液供給部712は、洗浄液を噴射して採尿部730を洗浄し、空気噴射口711は、空気を噴射して前記採尿部730を乾燥させる。前記洗浄液は、基準物質と同一な物質を利用してもよく、基準物質と異なる別の洗浄液を利用してもよい。本発明は、前記洗浄液供給部712及び空気噴射口711の形態及び位置に限定されるものではない。
【0073】
上述のように、前記尿成分分析装置は、健康診断システムの一部を構成して、図8には、前記健康診断システムに含まれた薬品投入装置800が示されている。前記薬品投入装置800に投入された薬品は、温水洗浄便座装置に伝達され利用される。
【0074】
図9は、本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の採尿部と結合された分析部を示す断面図である。図9の(a)を参照すると、前記採尿部730は、ATR744のプリズム733と結合され、半球を形成するように製作される。即ち、ATR744のプリズム733が、採尿部730の中央付近に形成されたホールと結合され、プリズム733の上面が採尿部730の半球状面と正確に一致するように製作される。このように形成される場合、採尿部730とATR744の境界面に、尿または他の物質が入り込み難く、汚染が防止できる長所がある。
【0075】
図9の(b)を参照すると、プリズム733の上面が、採尿部730の中央付近に形成されたホールの下に付着されるように形成することができる。このように形成される場合、尿が前記ホールに容易に満たされて、また、採尿部730とプリズム733とを結合することが便利になる。
【0076】
図9の(c)を参照すると、上面の平らなプリズム733が採尿部730と結合されるように形成できる。また、図9の(d)を参照すると、上面の平らなプリズム733が、平らに形成された採尿部730と結合されるように形成できる。本発明は、図9に示された採尿部730とプリズム733の結合構造に限定されず、多様な形態で結合された採尿部730及びプリズム733を含む。
【0077】
図10は、本発明の一実施例による尿成分分析方法を示すフローチャートである。図10を参照すると、まず、本発明による尿成分測定装置の分析部740を含む分析システムが駆動される(S1010)。その後、基準物質が前記分析部740に導入されて、前記分析部740は、基準スペクトルを測定する(S1020)。前記基準物質は、水を含む。
【0078】
その後、座式便器710内の採尿部730を介して、試料がATR744に直接導入される。その後、ATR744及びフーリエ変換単色化器742などを含む分析部740は、導入された試料を利用して、吸収スペクトルを測定する(S1030)。前記吸収スペクトルは、前記基準スペクトルに比べ、基準物質より一定な波数を示し、計算式は、−log(基準スペクトル/試料スペクトル)で計算される。
【0079】
その後、予め試料の各成分を測定した標準値と、吸収スペクトルとの相関関係を示す検量線を獲得する(S1040)。前記検量線に前記試料の吸収スペクトルを代入し、前記試料に含まれた各成分値を推定することができる(S1050)。一般に、検量線は、標準尿成分と実際値を利用して相関関係を確認した後、相関性の統計尺度であるR2、SECを確認して、予めコンピュータに導入する。
【0080】
上記の全過程を日常分析(Routine analysis)という。日常分析値の最も重要なのは、SEP(Standard error of prediction)であって、測定値と実際値にどのくらいの差があるかに対する統計指標として、測定と同時に得られる。
【0081】
即ち、試料(例えば、尿)中の各成分(例えば、Glucose、Albumin、Nitrite、Bilirubinなど)を測定した標準値と、一般的な吸収スペクトルとの相関関係を検量線で示す。この相関関係の良否を示す尺度があるが、その一つは、R2であり、もう一つは、SEC(Standard error of calibration)とSEP(Standard error of prediction)で表す。R2とSEC、SEPは、標準値とスペクトルの値を任意の直線で表す時、二つの値のデータが一定な直線にどのくらい近くあるかによって、標準値と吸収スペクトルとの相関関係を示す。
【0082】
最も理想的な場合、即ち、標準値と吸収スペクトルとの相関関係が最もよい場合は、統計的に、R2は1であり、SECとSEPが0に近い。標準値と吸収スペクトルとの関係は、MLR(Multiple linear regression)あるいはPLSR(Regression of Partial Least square)を使用して表現できる。
【0083】
前記検量線を利用して、試料に含まれた成分、例えば、Glucoseなどの成分値を測定する。前記成分値は、信頼度有意性であるRMSEP(Root mean of standard error prediction)値で表す。このような信頼度有意性内の成分値を測定することにより、試料に含まれた各成分値を測定することができる。
【0084】
図11は、本発明の一実施例による尿中のGlucose測定スペクトル結果グラフである。図11は、20%、10%、5%、及び0.2%Glucose濃度に対する測定スペクトルを示す。基準物質である水を先に測定した後、基準物質に対するGlucoseの吸収スペクトルを示す。このスペクトルの強度は、Y軸の吸光度であるAU(Absorbance unit)値で表す。ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.01AU程度で現れて、測定波数領域である4000〜900波数の中、900〜1400の間の波数でGlucose吸収スペクトルを確認することができる。Glucose濃度は、20%から0.2%ずつ段階的に濃度が減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0085】
図12は、本発明の一実施例による尿中のCreatine測定スペクトル結果グラフである。図12は、5%、2%及び1%Creatine濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定スペクトルも同様に、基準物質として水を使用しCreatineを測定した吸収スペクトルである。 ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.008AU程度で現れており、測定波数領域である4000〜900波数の中、1400〜1900の間の波数でCreatine吸収スペクトルを確認することができる。Creatine濃度が5%から1%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0086】
図13は、本発明の一実施例による尿中のUrea測定スペクトル結果グラフである。図13は、10%、5%、及び2%Urea濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定スペクトルも同様に、基準物質として水を使用しUreaを測定した吸収スペクトルである。 ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.012AU程度で現れており、測定波数領域である4000〜900波数の中、図9のCreatineと同様に、1400〜1900の間の波数でUrea吸収スペクトルを確認することができる。Urea濃度が10%から2%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0087】
図14は、本発明の一実施例による尿中のCholesterol測定スペクトル結果グラフである。図14は、2%、1%、及び0.5%Cholesterol濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定スペクトルでは、基準物質としてクロロホルム(CHCl3)を使用しCholesterolを測定した吸収スペクトルである。 ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.005AU程度で現れており、測定波数領域である4000〜900波数の中、2700〜3100の間の波数でCholesterol吸収スペクトルを確認することができる。Cholesterol濃度が2%から0.5%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0088】
図15は、本発明の一実施例による尿中のBilirubin測定スペクトル結果グラフである。図15は、2%、1%、及び0.5%Bilirubin濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定では、図12と同様に、基準物質としてクロロホルム(CHCl3)を使用しBilirubinを測定した吸収スペクトルである。ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.004AU程度で現れており、測定波数領域である4000〜900波数の中、1300〜1800の間の波数でBilirubin吸収スペクトルを確認することができる。Bilirubin濃度が2%から0.5%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0089】
図16は、本発明の一実施例による尿中のUric acid測定スペクトル結果グラフである。 図16は、2%、1%、及び0.5%Uric acid濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定スペクトルでは、基準物質として水と水酸化ナトリウム(NaOH)を使用しUric acidを測定した吸収スペクトルである。ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、0.005AU程度で現れており、測定波数領域である1100〜1700の間の波数でUric acid吸収スペクトルを確認することができる。Uric acid濃度が2%から0.5%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0090】
図17は、本発明の一実施例による尿中のNitrite測定スペクトル結果グラフである。 図17は、2%、1%、及び0.5%Nitrite濃度に対する測定スペクトルを示す。前記測定スペクトルでは、基準物質として水を使用しNitriteを測定した吸収スペクトルである。ATR−IRで測定した吸収スペクトルは、最も高い濃度で0.002AU程度で現れており、測定波数領域である1100〜1500の間の波数で現れる。前記吸収スペクトルは、図16のUric acid吸収スペクトルとほぼ等しい領域で確認することができる。Nitrite濃度が2%から0.5%ずつ段階的に減少するにつれて、吸収スペクトルも減少する。
【0091】
図18は、本発明の一実施例による、小便成分中のGlucose検量線グラフである。図18に示されたように、20%、10%、5%、及び0.2%の濃度別Glucoseの吸収スペクトルの変化と濃度標準値との相関性をみると、吸収スペクトルとの相関性は、R2が0.999であって、非常に直線的に表れるため、吸収スペクトルを通じてのGlucose量を推定することができる。
【0092】
図19は、本発明の一実施例による、小便成分中のCreatine検量線グラフである。 図19に示されたように、5%、2%、及び1%の濃度別Creatineの吸収スペクトルの変化と濃度標準値との相関性をみると、吸収スペクトルとの相関性は、R2が0.997であって、非常に直線的に表れるため、吸収スペクトルを通じてのCreatine量を推定することができる。
【0093】
図20は、本発明の一実施例による、小便成分中のUrea検量線グラフである。図20に示されたように、10%、5%、及び2%の濃度別Ureaの吸収スペクトルの変化と濃度標準値との相関性をみると、吸収スペクトルとの相関性は、R2が0.987であって、非常に直線的に表れるため、吸収スペクトルを通じてのUrea量を推定することができる。
【0094】
図21は、本発明の一実施例による、小便成分中のCholesterol検量線グラフである。図21に示されたように、2%、1%、及び0.5%の濃度別Cholesterolの吸収スペクトルの変化と濃度標準値との相関性をみると、吸収スペクトルとの相関性は、R2が0.997であって、非常に直線的に表れるため、吸収スペクトルを通じてのCholesterol量を推定することができる。
【0095】
図22は、本発明の一実施例による、小便成分中のBilirubin検量線グラフである。図22に示されたように、2%、1%、及び0.5%の濃度別Bilirubinの吸収スペクトルの変化と濃度標準値との相関性をみると、吸収スペクトルとの相関性は、R2が0.988であって、非常に直線的に表れるため、吸収スペクトルを通じてのBilirubin量を推定することができる。
【0096】
図23は、本発明の一実施例による、尿試料に含まれたUric acid測定のための吸収スペクトルである。図示されたように、イ)の吸収スペクトルは、水を基準として試料全体を測定した後、試料中のUric acidの吸収スペクトルを測定したものである。Creatineなどの試料成分により、同一な濃度の場合は、Uric acid吸収スペクトルを分離することが難しい。一方、ロ)の場合は、Uric acidの個別吸収スペクトルを分離するために、試料中のUric acidを除いた尿を基準物質として吸収スペクトルを測定したものである。この場合、周囲のCreatineなどの吸収スペクトルが除かれて、Uric acid吸収スペクトルが現れることを確認することができる。
【0097】
図24は、本発明の一実施例による、尿試料に含まれたUrea測定のための吸収スペクトルである。図23と同様な方法により測定したが、図示されたように、イ)の吸収スペクトルは、水を基準として試料全体を測定した後、試料中のUreaの吸収スペクトルを測定したものである。図23と同様に、周囲のCreatineなどの試料成分により、同一な濃度の場合は、Urea吸収スペクトルを分離することが難しい。一方、ロ)の場合は、Ureaの個別吸収スペクトルを分離するために、試料中のUreaを除いた尿を基準物質として吸収スペクトルを測定したものである。この場合、周囲のCreatineなどの吸収スペクトルが除かれて、Urea吸収スペクトルが現れることを確認することができる。
【0098】
以上のように、本発明は、具体的な構成素子などのような特定事項と限定された実施例及び図面により説明されたが、これらは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されただけで、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野で通常の知識を有する者なら、このような記載から多様な修正及び変形が可能である
【0099】
したがって、本発明の思想は、以上の実施例に限定されて定められてはいけなく、添付の特許請求の範囲のみならず、この特許請求の範囲と均等であるか、等価的変形のあるあらゆるものは、本発明の思想の範疇に属すると言える。
【0100】
本発明による尿成分分析装置及び方法は、座式便器に直接付着されるATR及びフーリエ変換赤外線分光器を利用して、尿の成分を測定することにより、尿の検査項目成分の全てを精密に短時間内に測定できる効果がある。
【0101】
また、本発明による尿成分分析装置及び方法は、配管部のような追加的な設備を導入せずに構成できて、耐久性に優れている。本発明による尿成分分析装置は、分析装置を座式便器に直接付着することにより、毎日検査者(または使用者)の尿成分をモニタリングすることができ、各個人の健康情報を随時チェックして、早期検診が可能な効果がある。
【0102】
また、本発明による尿成分分析装置及び方法は、波長が1000〜15000nmに属する光を利用して、尿に含まれている成分を測定することにより、尿に含まれた複数の成分に対する迅速且つ正確な分析ができる効果がある。
【0103】
また、本発明は、座式便器に座って、簡単な操作を通じて、尿成分の分析だけではなく、血圧、体脂肪などを便利に測定できる健康診断システムを提供することにより、使用者または検査者が、尿成分、血圧、体脂肪などを周期的に便利に測定できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の一実施例による尿成分分析装置を含む健康診断システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による健康診断システムを構成する体脂肪測定装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例による体脂肪測定装置の取っ手を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施例による体脂肪測定装置において、電流が流れる方向を示す図である。
【図5】本発明の一実施例による尿成分分析装置の分析部を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施例による尿成分装置の配管部を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の座式便器に形成された採尿部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の座式便器に形成された採尿部を示す詳細断面図である。
【図9】本発明の第2の実施例による尿成分分析装置の採尿部と結合された分析部を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施例による尿成分分析方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のGlucose測定スペクトル結果グラフである。
【図12】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のCreatine測定スペクトル結果グラフである。
【図13】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のUrea測定スペクトル結果グラフである。
【図14】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のCholesterol測定スペクトル結果グラフである。
【図15】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のBilirubin測定スペクトル結果グラフである。
【図16】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のUric acid測定スペクトル結果グラフである。
【図17】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のNitrite測定スペクトル結果グラフである。
【図18】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のGlucose検量線結果グラフである。
【図19】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のCreatine検量線結果グラフである。
【図20】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のUrea検量線結果グラフである。
【図21】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のCholesterol検量線結果グラフである。
【図22】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中のBilirubin検量線結果グラフである。
【図23】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中の試料混合物中のUric acid測定グラフである。
【図24】本発明の一実施例による尿成分分析装置を用いた、尿中の試料混合物中のUrea測定グラフである。
【符号の説明】
【0105】
100 血圧測定装置
200 温水洗浄便座制御装置
300 指紋認識装置
400 モニター
500 メイン制御装置
600 体脂肪測定装置
700 尿成分分析装置
720 配管部
721 入力管
722 出力管
723 ソレノイドバルブ
740 分析部
741 光源
742 単色化器
743、745 反射鏡
744 ATR
746 検出器
747 制御器
800 薬品投入装置
900 体重測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状または平面状の採尿部を有する座式便器と、
前記採尿部から採取された尿を分析部に誘導するための配管部と、
前記配管部を通じて誘導された尿の成分を分析するための分析部と、
を含み、
前記採尿部は、前記座式便器の内側前面に形成されて、前記分析部は、ATRを含み、前記分析部は、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、尿成分分析装置。
【請求項2】
前記配管部は、
基準値を測定するための基準物質及び尿を前記ATRに導入するための入力管と、
前記ATRから基準物質及び尿を出力するための出力管と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の尿成分分析装置。
【請求項3】
前記入力管は、
前記基準物質及び前記尿が前記ATRに導入されることを制御するためのソレノイドバルブと、
前記基準物質を供給するための、少なくとも一つのカートリッジと、
前記入力管及び前記ATRを洗浄するための洗浄液を供給するクリーニングタンクと、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載の尿成分分析装置。
【請求項4】
凹状または平面状の採尿部を有する座式便器と、
前記採尿部から採取された尿の成分を分析するための分析部と、
を含み、
前記採尿部は、前記座式便器の内側前面に形成されて、前記分析部は、ATRを含み、前記分析部は、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、尿成分分析装置。
【請求項5】
前記採尿部は、前記座式便器の内部に水平に形成されるか、または斜めに傾いて形成されることを特徴とする、請求項4に記載の尿成分分析装置。
【請求項6】
前記採尿部は、半球面状に形成されて、前記半球面は、中心部位にホールを有することを特徴とする、請求項5に記載の尿成分分析装置。
【請求項7】
前記分析部は、プリズムを含み、前記プリズムの上面が曲面状に形成されて前記ホールと結合するか、前記プリズムの上面が平面状に形成されて前記ホールと結合するか、あるいは前記プリズムの上面が前記ホールの下に付着されることを特徴とする、請求項6に記載の尿成分分析装置。
【請求項8】
前記尿成分分析装置は、
前記採尿部を洗浄するために、前記採尿部より高い位置に形成された洗浄液供給部をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の尿成分分析装置。
【請求項9】
前記尿成分分析装置は、
前記採尿部を乾燥させるために、前記採尿部より高い位置に形成された空気噴射口を含むことを特徴とする、請求項8に記載の尿成分分析装置。
【請求項10】
前記分析部は、
光を発生する光源と、
前記光を利用して単色光を生成する単色化器と、
前記単色光を前記ATRに導入するための反射鏡と、
前記ATRを通過した単色光を検出するための検出器と、
前記検出部で検出された単色光の特性を測定して、前記機器を制御する制御器と、を含むことを特徴とする、請求項1または4に記載の尿成分分析装置。
【請求項11】
前記単色光の波長は、1000〜15000nmに属することを特徴とする、請求項10に記載の尿成分分析装置。
【請求項12】
前記分析部は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して、小型に作製されることを特徴とする、請求項10に記載の尿成分分析装置。
【請求項13】
採尿部を通じて導入された基準物質のスペクトルを測定する段階と、
前記採尿部を通じて導入された尿の吸収スペクトルを測定する段階と、
予め尿の各成分を測定した標準値と吸収スペクトルとの相関関係を示す検量線を獲得する段階と、
前記検量線を用いて、前記尿に含まれた各成分の量を推定する段階と、を含み、
前記採尿部は、座式便器の内側前面に形成されて、前記基準物質のスペクトル及び前記尿の吸収スペクトルは、ATRを利用して測定し、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、尿成分分析方法。
【請求項14】
前記基準物質のスペクトル及び前記尿の吸収スペクトルは、前記ATRに導入される単色光を利用して測定されることを特徴とする、請求項13に記載の尿成分分析方法。
【請求項15】
前記単色光の波長は、1000〜15000nmに属することを特徴とする、請求項14に記載の尿成分分析方法。
【請求項16】
前記尿成分分析方法は、
前記尿の吸収スペクトルを測定した後に、前記採尿部を洗浄液を利用して洗浄する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の尿成分分析方法。
【請求項17】
前記洗浄液と前記基準物質は、同一であることを特徴とする、請求項16に記載の尿成分分析方法。
【請求項18】
前記尿成分分析方法は、
前記採尿部より高い位置に形成された空気噴射口を利用して、前記採尿部を乾燥させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の尿成分分析方法。
【請求項19】
座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、前記座式便器と結合されて形成される体脂肪測定装置とを含んで構成される健康診断システムにおいて、
前記体脂肪測定装置は、前記座式便器の左側及び右側に設けられた取っ手と、4個の接点にそれぞれ対をなして設けられた8個の電極とを含み、
前記接点のうち、二つの接点は、 座式便器の便座の上側表面の、使用者の臀部または大腿部が接触する部位に位置して、他の二つの接点は、前記取っ手に位置することを特徴とする、健康診断システム。
【請求項20】
前記各接点は、電圧電極及び電流電極を含み、
前記取っ手は、前記座式便器に陥没状の形で設けられて、前記取っ手に水が付くことを防止するためのカバーを含むことを特徴とする、請求項19に記載の健康診断システム。
【請求項21】
前記健康診断システムは、ATRを利用して、尿に含まれた成分を測定する尿成分分析装置をさらに含み、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、請求項19に記載の健康診断システム。
【請求項22】
座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、
前記座式便器の便座下に設けられた複数のロードセル(Load cell)を利用して、使用者の体重を測定する体重測定装置と、
ATRを利用して、尿に含まれた成分を測定する尿成分分析装置と、を含み、
前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、健康診断システム。
【請求項23】
前記健康診断システムは、
前記使用者の血圧を測定できる血圧測定装置と、
指紋認識を通じて前記尿成分分析装置の使用者を確認する指紋認識装置と、をさらに含み、
前記血圧測定装置及び指紋認識装置は、前記使用者の腕がのせられるアーム保持部に位置し、前記使用者は、前記座式便器に座ったまま、前記指紋認識装置及び血圧測定装置を利用して、指紋認識及び血圧測定を同時に行うことができることを特徴とする、請求項21または22に記載の健康診断システム。
【請求項24】
前記健康診断システムは、
前記尿成分分析装置で測定した尿成分情報、前記体重測定装置で測定した体重情報、前記指紋認識装置で測定した指紋情報、前記血圧測定装置で測定した血圧情報、及び前記体脂肪測定装置で測定した体脂肪情報の、少なくとも一つをディスプレイするためのモニターをさらに含み、前記モニターは、前記アーム保持部に位置することを特徴とする、請求項23に記載の健康診断システム。
【請求項25】
前記健康診断システムは、
前記健康診断システムに利用される薬品を供給する薬品投入装置をさらに含み、
前記薬品投入装置は、前記座式便器の後側に、斜め方向に設けられて、前記薬品投入装置は、前記温水洗浄便座と連結されることを特徴とする、請求項24に記載の健康診断システム。
【請求項26】
前記健康診断システムは、前記尿成分情報、体重情報、指紋情報、血圧情報、及び体脂肪情報の少なくとも一つを、インターネットまたはイーサネットを利用して伝送し、前記伝送された情報を利用して分析した結果を受信することを特徴とする、請求項24に記載の健康診断システム。
【請求項27】
座式便器の後側に設けられた温水洗浄便座と、前記座式便器と結合されて形成される心電図測定装置とを含んで構成される健康診断システムにおいて、
前記心電図測定装置は、前記座式便器の左/右側取っ手に位置する二つの接点と、前記座式便器の便座の上側表面の、使用者の臀部または大腿部が接触する部位に位置する二つの接点と、を含み、
前記各接点は、それぞれ二つの電極を有し、前記心電図測定装置は、前記4個の接点に位置した8個の電極を用いて誘導電流を流し、各電極間の電位差を測定することにより、使用者の心電図を測定することを特徴とする、健康診断システム。
【請求項28】
前記心電図測定装置は、第1の誘導電流を流して、左手−右手の電位差を求めて、第2の誘導電流を流して、左側大腿部−右手の電位差を求めて、第3の誘導電流を流して、左側大腿部−左手の電位差を求め、右手、左手、及び左側大腿部の電位差を測定して、
第4の誘導電流を流して、左手−右手の電位差を求めて、第5の誘導電流を流して、右側大腿部−右手の電位差を求め、第6の誘導電流を流して、右側大腿部−左手電位差を求め、右手、左手、及び右側大腿部の電位差を測定した後、前記測定結果の平均値を利用して、前記使用者の心電図を求めることを特徴とする、請求項27に記載の健康診断システム。
【請求項29】
前記健康診断システムは、
ATRを利用して、尿に含まれた成分を測定する尿成分分析装置をさらに含み、前記ATRは、前記座式便器に直接付着されることを特徴とする、請求項27に記載の健康診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−204598(P2009−204598A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122153(P2008−122153)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(508139011)ゼーエスエムヘルスケア株式会社 (1)
【氏名又は名称原語表記】JSM Health Care INC
【Fターム(参考)】