説明

AV機器

【課題】一連のキー操作に対応した処理を自動で実行することで、使い勝手の良いAV機器を提供することである。
【解決手段】入力操作にしたがって制御する制御部27を備えたHDD一体型光ディスク装置(AV機器)10において、制御部27は、特殊キーの操作又は複数のキーの所定操作があった場合、外部記憶装置12からキー操作の順序が記載されたキーファイル12aを読み出し、該順序にしたがってキー処理する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AV(Audio Visual)機器に関する。
【背景技術】
【0002】
AV機器としてCD、ビデオカセット、DVD、BD(Blu-ray Disc)、ハードディスクなどを記録媒体とする再生機や記録再生機、テレビジョン受像機などが普及している。さらに、最近のAV機器にはUSBメモリやメモリカード等の外部記憶装置を接続できるものもある。そして、接続された外部記憶装置の利用法は様々である。
【0003】
例えば、特許文献1には、リモコンの操作キーを使用してUSBを選択することで、USBメモリからの画像データの読み込みを行う表示装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、起動時にキーボード上の特定のキーが押された場合にはメンテナンスモードに入ることが記載されている。そして、起動モードがメンテナンスモードである場合、CPUはメンテナンスプログラムをフレキシブルディスク、USBメモリといった外部記憶装置からメモリへロードし、メンテナンスプログラムの正当性を検証するための検証処理を実行する。メンテナンスプログラムの正当性が確認された場合、メンテナンスプログラムを実行する。
【0005】
また、特許文献3には、外部メモリを装着するだけで、ユーザが操作しなくても特定のファイルを自動的に外部メモリから読み出して動作を実行し、ファイルの生成が容易で、動作の順序も修正することができる情報処理装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、チャンネル番号や外部入力端子などを表す、入力映像信号に関する情報だけでなく、記録する外部メモリなどのメディアの残容量や記録状態などの状態情報を、ユーザがリモコン装置によるダイレクト操作によって確認できる映像表示装置が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、複数の表示データを格納した着脱自在なメモリ読出装置を装着する装着部と、特定のキーを含む、像形成に関する情報を入力するための複数のキー入力手段と、上記キー入力手段から入力された情報及び上記メモリ読出装置に格納された表示データを表示する表示手段と、上記キー入力手段及び表示手段を制御する制御手段と、を有する画像形成装置における表示制御方法において、通常動作モードが設定されている状態では、上記制御手段は、上記キー入力手段からの入力に応じた表示データを選択して上記表示手段に情報を表示し、上記装着部に上記メモリ読出装置が装着されていることを条件に実行可能な特定モードが設定されている状態では、上記制御手段は、上記特定のキーからのキー入力情報がある毎に、上記表示手段に表示される上記特定モードに関連した表示データの選択に関与することなく、上記特定のキーからのキー入力情報を上記メモリ読出装置に転送し、上記メモリ読出装置は転送されたキー入力情報に応じて、上記メモリ読出装置自身に格納されている表示データを選択し、選択した表示データを上記制御手段に転送し、上記制御手段は、転送された表示データを上記表示手段に表示させることを特徴とする表示制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−49317号公報(段落0039、図2)
【特許文献2】特開2010−9454号公報(段落0067、0068、図8)
【特許文献3】特開2006−11807号公報
【特許文献4】特開2005−197954号公報
【特許文献5】特許第2517608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、研究開発時のデバッグなどにおいて、決められた一連の動作を実行することがある。この一連の動作は、例えばリモコン装置の一連のキー操作に対応している。そして、この一連の動作が長くなる場合、自動処理できることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1〜5では一連のキー操作に対応した処理を自動で実行することについては開示も示唆もされていない。
【0010】
本発明は、一連のキー操作に対応した処理を自動で実行することで、使い勝手の良いAV機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、入力操作にしたがって制御する制御部を備えたAV機器において、前記制御部は、所定の入力操作があった場合、キー操作の順序が記載されたキーファイルを読み出し、該順序にしたがってキー処理することを特徴とする。
【0012】
上記のAV機器において、前記所定の入力操作は、特殊キーの操作又は複数のキーの所定操作であることが好ましい。
【0013】
また上記のAV機器において、前記順序にしたがってキー処理することを繰り返すこととしてもよい。
【0014】
また上記のAV機器において、前記キーファイルは、外部接続された外部記憶装置に記憶されていることが好ましい。
【0015】
また上記のAV機器において、前記所定の入力操作があった場合、他のキー操作を無効とすることが好ましい。この場合、再度、前記所定の入力操作があった場合、他のキー操作を有効とするとよい。
【0016】
また上記のAV機器において、例えば、前記キーファイルに記載されたキー操作の順序はデバッグ用の動作である。
【0017】
また上記のAV機器において、例えば、前記キーファイルに記載されたキー操作の順序はデモンストレーション用の動作である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、所定の入力操作があった場合、キーファイルにしたがってキー処理することにより、その都度一連のキー操作をする手間を省くことができ使い勝手が良い。
【0019】
また、キーファイルの格納場所として外部記憶装置を用いることで、キーファイルの内容の書き換えを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のHDD一体型光ディスク装置の構成及びその周辺機器を示すブロック図である。
【図2】本発明のHDD一体型光ディスク装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、AV機器の一例として、ハードディスクドライブ(HDD)一体型光ディスク装置を用いて説明する。図1は、HDD一体型光ディスク装置10の構成及びその周辺機器を示すブロック図である。HDD一体型光ディスク装置10には、テレビ等の表示装置11と、USBメモリやメモリカード等の外部記憶装置12とが接続されている。表示装置11及び外部記憶装置12の接続は有線接続又は無線接続のどちらでもよい。また外部記憶装置12には、後述するキーファイル12aが格納されている。またHDD一体型光ディスク装置10は、リモコン13によって操作可能である。
【0022】
HDD一体型光ディスク装置10は、アンテナ15で受信したデジタルテレビ放送信号を復調、デジタル化するチューナ16と、チューナ16や外部装置12から受け取った映像/音声データをMPEG2等に準拠して圧縮符号化したり、HDD記録再生部18又はBD/DVD記録再生部19で再生された圧縮された映像/音声データを伸長復号したりする映像/音声圧縮伸長部17と、映像/音声圧縮伸長部17から受け取った圧縮された映像/音声データをHDDに記録したり、HDDに記録されたデータを再生したりするHDD記録再生部18と、映像/音声圧縮伸長部17から受け取った圧縮された映像/音声データを挿入されたDVD又はBDに記録したり、DVD又はBDに記録されたデータを再生したりするBD/DVD記録再生部19と、各種設定値を表示装置11の一部に表示しながら設定できるようにするOSD(On Screen Display)部20と、OSD部20からの映像信号をアナログ化し、表示装置11へ出力する映像出力部21と、映像/音声圧縮伸長部17からの音声信号をアナログ化し、表示装置へ出力する音声出力部22と、ROMやRAMからなるメモリ23と、リモコン13からの信号を受信するリモコン受信部24と、操作部25と、外部記憶装置12が接続される外部I/F26と、HDD一体型光ディスク装置10の各部を制御する制御部27とを備えている。
【0023】
また、操作部25は、店頭でのデモンストレーション用のデモモード又は研究開発時のデバッグのデバッグモード又はユーザが行う煩雑な操作を自動で行うユーザモードなどを実行させる特殊キー25aと、チャンネル切り換え等に使用する数字キー25bとを有する。なお、リモコン13にも操作部25と同様の上記キーが備えられていてもよいし、操作部25に代えてリモコン13に上記キーが備えられていてもよい。
【0024】
また、制御部27は、所定の入力操作があった場合、キー操作の順序が記載されたキーファイル12aを読み出し、該順序にしたがってキー処理する制御も行う。以下に、この制御について詳しく説明する。
【0025】
図2は、HDD一体型光ディスク装置10の動作を示すフローチャートである。HDD一体型光ディスク装置10が起動している状態において、ステップS10で所定の入力操作があるまで待つ。ここでの所定の入力操作は、特殊キー25aの操作又は複数のキーの所定操作である。複数のキーの所定操作としては、例えば、数字キー25bなどの特定のキーを予め決められた順番に操作することや、数字キー25bなどの特定のキーを予め決められた組み合わせで同時に操作することとできる。このように、通常の操作では用いないキーや通常の操作では行わない操作とすることで、誤操作を防止することができる。
【0026】
ステップS10で所定の入力操作があると、ステップS11へ進んで外部記憶装置12からキーファイル12aを読み出す。キーファイル12aであるかどうかは、ファイル名から判断してもよいし、チェックサムを用いてもよい。キーファイル12aには、少なくともキー操作の順序と各キー操作の時間とが記載されており、さらに、一連の操作の繰り返し回数等が記載されていてもよい。
【0027】
キーファイル12aの内容は、例えば、トレイオープンキーを押下、押下状態で0.5秒ウェイト、トレイオープンキーを押上、0.5秒ウェイト、トレイクローズキーを押下、押下状態で0.5秒ウェイト、トレイクローズキーを押上、0.5秒ウェイト、再生キーを押下、押下状態で0.5秒ウェイト、再生キーを押上、という順序の操作を100回繰り返すというものとすることができる。これは、店頭でのデモンストレーション用に使うことができる。また、テレビジョン受像機であれば、店頭でのデモンストレーション用として、高解像度と低解像度とに順次切り替える動作などとしてもよい。
【0028】
キーファイル12aの内容は、また例えば、チャンネルを順に選局するチャンネルアップキーを押下、押下状態で0.5秒ウェイト、チャンネルアップキーを押上、という順序の操作を1万回繰り返すというものとすることができる。これは、研究開発時のデバッグ用に使うことができ、システム全体の耐久性を検証することができる。
【0029】
キーファイル12aの内容は、また例えば、HDDや光ディスクに録画されている番組を順に数秒ずつイントロ再生する一連の操作や、いくつか下層のフォルダ(ジャンル毎のフォルダ等)に格納されている録画番組を再生する一連の操作などを記載したものであってもよい。これは、本来ユーザが行う煩雑な操作を自動で行うものである。
【0030】
なお、操作部25やリモコン13の仕様が、キーを押下している間中ずっと信号を出力する仕様であれば、上記のように仮想的なキーの押上が必要であるが、キーを押下している間に一度だけ信号を出力する仕様であれば、上記のような仮想的なキーの押上は省略できる。
【0031】
ステップS11からはステップS12へ進んで他のキー操作を無効とする。つまり、他のキー操作を受け付けない。続いて、ステップS12からステップS13へ進んでキーファイル12aに記載された仮想的な操作を実行する。つまり、記載されたキー操作の順序にしたがってキー処理する。その後ステップS14へ進んで、再度同様の所定の入力操作があったか否かを判別する。
【0032】
ステップS14において再度同様の所定の入力操作があった場合、ステップS15へ進んで他のキー操作を有効とする。つまり、他のキー操作を受け付ける。一方、ステップS14において再度同様の所定の入力操作がない場合、ステップS13に戻り、キーファイル12aに記載された一連の操作処理を繰り返す。なお、キーファイル12aで一連の操作の繰り返し回数が決められている場合は、その回数が終了した時点で自動的に他のキー操作を有効としてもよい。そうすれば、再度同様の所定の入力操作をしてキー操作の無効を解除する手間が省ける。
【0033】
なお、ステップS12、S14、S15は省略してもよい。キー操作を無効にすることが効果的であるのは、デモンストレーション中やデバッグ中であり、キー操作されても処理が中断しないようしたい場合である。したがって、デモンストレーション中又はデバッグ中の場合はステップS12、S14、S15を有効にし、ユーザが行う操作を自動で行っている場合はステップS12、S14、S15を無効にすることも考えられる。これによると、ユーザが行う操作を自動で行っている場合は他のキー操作が有効となるので、例えば、イントロ再生中に再生キーが操作された場合、その続きを通常の再生に切り換えて再生するなどの処理が可能となる。
【0034】
このように、所定の入力操作があった場合、キー操作の順序が記載されたキーファイル12aを読み出し、該順序にしたがってキー処理することにより、その都度一連のキー操作をする手間を省くことができ使い勝手が良い。
【0035】
なお本発明において、キーファイルは複数存在してもよい。その場合、第1の特殊キーに第1のファイルを、第2の特殊キーに第2のファイルを対応させるなどとしたり、特殊キーを押下した後に所望のキーファイルを選択するようにしたりすればよい。また、ファイル番号順に順次処理してもよい。
【0036】
また本発明において、メニュー設定で、デモモード、デバッグモード、ユーザモードを選択可能としてもよい。これにより、特殊キーの操作など所定の入力操作があった場合、現在選択されているモードに対応したキーファイルを読み出して自動処理することができる。
【0037】
また本発明において、キーファイル12aの格納場所としては、外部記憶装置12に限らず、HDD一体型光ディスク装置10内部であってもよく、例えば、HDDやメモリ23dであってもよい。キーファイル12aの格納場所として外部記憶装置12を用いる利点としては、持ち運びが容易になり、外部記憶装置12をパーソナルコンピュータ等に接続すれば、キーファイル12aの内容の書き換えを簡単に行えることが挙げられる。キーファイル12aを簡単に書き換えできると、店頭でのデモンストレーション用には店員が書き換えでき、研究開発時のデバッグ用には研究員が書き換えでき、家庭ではユーザが書き換えできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、CD、DVD、BD等の光ディスクを再生するプレーヤや光ディスクを再生及び光ディスクに記録するレコーダなどの光ディスク装置をはじめ、該光ディスク装置にHDDやビデオカセット等の他の記録媒体の再生機能や記録機能を付加した複合機、テレビジョン受像機、テレビジョン受像機に上記プレーヤやレコーダを付加した複合機など、各種AV機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 HDD一体型光ディスク装置(AV機器)
11 表示装置
12 外部記憶装置
12a キーファイル
13 リモコン
15 アンテナ
16 チューナ
17 映像/音声圧縮伸長部
18 HDD記録再生部
19 BD/DVD記録再生部
20 OSD部
21 映像出力部
22 音声出力部
23 メモリ
24 リモコン受信部
25 操作部
25a 特殊キー
25b 数字キー
26 外部I/F
27 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作にしたがって制御する制御部を備えたAV機器において、
前記制御部は、所定の入力操作があった場合、キー操作の順序が記載されたキーファイルを読み出し、該順序にしたがってキー処理することを特徴とするAV機器。
【請求項2】
前記所定の入力操作は、特殊キーの操作又は複数のキーの所定操作であることを特徴とする請求項1記載のAV機器。
【請求項3】
前記順序にしたがってキー処理することを繰り返すことを特徴とする請求項1又は2記載のAV機器。
【請求項4】
前記キーファイルは、外部接続された外部記憶装置に記憶されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のAV機器。
【請求項5】
前記所定の入力操作があった場合、他のキー操作を無効とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のAV機器。
【請求項6】
再度、前記所定の入力操作があった場合、他のキー操作を有効とすることを特徴とする請求項5記載のAV機器。
【請求項7】
前記キーファイルに記載されたキー操作の順序がデバッグ用の動作であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のAV機器。
【請求項8】
前記キーファイルに記載されたキー操作の順序がデモンストレーション用の動作であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のAV機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−60272(P2012−60272A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199413(P2010−199413)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】