説明

AXL抗体

本発明は、抗体、特にAXL受容体型チロシンキナーゼの細胞外ドメインと結合し、AXL活性を少なくとも部分的に阻害するモノクローナル抗体を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体、特にAXL受容体型チロシンキナーゼの細胞外ドメインと結合し、AXL活性を少なくとも部分的に阻害するモノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
AXL(Ark、UFO、Tyro-7)受容体型チロシンキナーゼは、キナーゼのTyro-3ファミリーのメンバーであり、他のメンバーはMer(Eyk、Nyk、Tyro-12)およびSky(Rse、Tyro-3、Dtk、Etk、Brt、Tif)である。それは異好性リガンドGas6、抗凝血因子タンパク質Sと相同的である70-kDaタンパク質の結合によって活性化される。他の受容体型チロシンキナーゼとは対照的に、AXLチロシンリン酸化は同種結合によって誘導される可能性もある。AXLの活性化は、PI-3-キナーゼAkt/(Frankeら、Oncogene22:8983〜8998頁、2003)およびRas/Erkおよびβ-カテニン/TCF(Goruppiら、MoI.Cell Biol.21:902〜915頁、2001)のような他の主な経路を介したシグナル伝達をもたらす。
【0003】
AXLは脳、心臓、骨格筋、臓器被膜および幾つかの他の臓器の結合組織を含めた一定範囲の正常組織中、およびリンパ球ではなく単球中で弱く発現される。AXLによって誘導されるAktリン酸化は、線維芽細胞(Goruppiら、Mol Cell Biol 17:4442〜4453頁、1997)、内皮細胞(Hasanbasicら、Am J Physiol Heart Circ Physiol、2004)、血管平滑筋細胞(Melaragnoら、J.MoI.Cell Cardiol.37:881〜887頁、2004)およびニューロン(Allenら、Mol.Endocrinol.13:191〜201頁、1999)の生存中において記載されている。さらに、AXLは細胞接着および走化性において役割を果たす。AXLのノックアウトは、血小板インテグリンIlb3の低下した活性化の結果として、低下した血小板凝集安定化および血栓形成を示す。
【0004】
AXLの過剰発現は、様々な癌型、例えば乳癌(Mericら、Clin. Cancer Res.8:361〜367頁、2002、Berclazら、Ann.Oncol.12:819〜824頁、2001)、結腸(Chenら、Int.J.Cancer83:579〜584頁、1999、Cravenら、Int.J.Cancer60:791〜797頁、1995)、前立腺(Jacobら、Cancer Detect.Prev.23:325〜332頁、1999)、肺(Wimmelら、Eur J Cancer37:2264〜2274頁、2001)、胃(Wuら、Anticancer Res22:1071〜1078頁、2002)、卵巣(Sunら、Oncology66:450〜457頁、2004)、子宮内膜(Sunら、Ann.Oncol.14:898〜906頁、2003)、腎臓(Chungら、DNA Cell Biol. 22:533〜540頁、2003)、肝細胞(Tsouら、Genomics50:331〜340頁、1998)、甲状腺(Itoら、Thyroid12:971〜975頁、2002、Itoら、Thyroid9:563〜567頁、1999)、および食道癌(Nemotoら、1997)、さらにCML中(Janssenら、A novel putative tyrosine kinase receptor with oncogenic potential.Oncogene、6:2113〜2120頁、1991、Braungerら、Oncogene14:2619〜2631頁、1997、O'Bryanら、Mol Cell Biol 11:5016〜5031頁、1991)、AML(Rochlitzら、Leukemia13:1352〜1358頁、1999)、骨肉腫(Nakanoら、J.Biol.Chem.270:5702〜5705頁、2003)、メラノーマ(van Ginkelら、Cancer Res64:128〜134頁、2004)、ならびに頭頸部扁平上皮細胞癌(Greenら、Br J Cancer.2006 94:1446〜594頁、2006)において実証されている。
【0005】
さらに、非侵襲性細胞と比較して攻撃的な乳癌細胞系において上方制御される転移関連遺伝子として、AXLが同定されている。in vitroでは、AXL活性は移動および侵襲に必要とされることが分かり、かつこの活性は抗体処理によって阻害することができ(WO04008147)。同様に、優性ネガティブ型のAXLの発現を介した(Vajkoczy、P.、ら、Proc.Natl.Acad.Science U.S.A.103:5799〜5804頁、2005)、またはAXLのsiRNA介在型下方制御(Hollandら、Cancer Res.65: 9294〜9303頁、2005)のいずれかによるin vivoでのAXL活性の排除は、ネズミ異種移植実験中で皮下および同所性細胞増殖を妨げた。
【0006】
これまで、AXLと結合し生物活性を有する2つの抗体が記載されている。一方の抗体はAXL介在型細胞侵襲を低減することができ(WO04008147)、他方の抗体はAXL/リガンドの相互作用を低減することが報告されている。しかしながら両抗体はポリクローナルであり、それらは治療的投与には不適切となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO04008147
【特許文献2】米国特許第6,054,297号
【特許文献3】米国特許第5,886,152号
【特許文献4】米国特許第5,877,293号
【特許文献5】米国特許第4,816,567号
【特許文献6】WO89/09622
【特許文献7】EP-A10239400
【特許文献8】W090/07861
【特許文献9】米国特許出願第07/466,008号
【特許文献10】米国特許出願第07/610,515号
【特許文献11】米国特許出願第07/919,297号
【特許文献12】米国特許出願第07/922,649号
【特許文献13】米国特許出願第08/031,801号
【特許文献14】米国特許出願第08/112,848号
【特許文献15】米国特許出願第08/234,145号
【特許文献16】米国特許出願第08/376,279号
【特許文献17】米国特許出願第08/430,938号
【特許文献18】米国特許出願第08/464,584号
【特許文献19】米国特許出願第08/464,582号
【特許文献20】米国特許出願第08/463,191号
【特許文献21】米国特許出願第08/462,837号
【特許文献22】米国特許出願第08/486,853号
【特許文献23】米国特許出願第08/486,857号
【特許文献24】米国特許出願第08/486,859号
【特許文献25】米国特許出願第08/462,513号
【特許文献26】米国特許出願第08/724,752号
【特許文献27】米国特許出願第08/759,620号
【特許文献28】米国特許出願公開第2003/0093820号
【特許文献29】米国特許第6,162,963号
【特許文献30】米国特許第6,150,584号
【特許文献31】米国特許第6,114,598号
【特許文献32】米国特許第6,075,181号
【特許文献33】米国特許第5,939,598号
【特許文献34】日本国特許第3068180B2号
【特許文献35】日本国特許第3068506B2号
【特許文献36】日本国特許第3068507B2号
【特許文献37】欧州特許第EP0463151B1号
【特許文献38】国際特許出願第WO9402602号
【特許文献39】国際特許出願第WO9634096号
【特許文献40】国際特許出願第WO9824893号
【特許文献41】国際特許出願第WO0076310号
【特許文献42】米国特許第5,545,807号
【特許文献43】米国特許第5,545,806号
【特許文献44】米国特許第5,625,825号
【特許文献45】米国特許第5,625,126号
【特許文献46】米国特許第5,633,425号
【特許文献47】米国特許第5,661,016号
【特許文献48】米国特許第5,770,429号
【特許文献49】米国特許第5,789,650号
【特許文献50】米国特許第5,814,318号
【特許文献51】米国特許第5,877,397号
【特許文献52】米国特許第5,874,299号
【特許文献53】米国特許第6,255,458号
【特許文献54】米国特許第5,591,669号
【特許文献55】米国特許第6,023.010号
【特許文献56】米国特許第5,612,205号
【特許文献57】米国特許第5,721,367号
【特許文献58】米国特許第5,789,215号
【特許文献59】米国特許第5,643,763号
【特許文献60】米国特許出願第07/574,748号
【特許文献61】米国特許出願第07/575,962号
【特許文献62】米国特許出願第07/810,279号
【特許文献63】米国特許出願第07/853,408号
【特許文献64】米国特許出願第07/904,068号
【特許文献65】米国特許出願第07/990,860号
【特許文献66】米国特許出願第08/053,131号
【特許文献67】米国特許出願第08/096,762号
【特許文献68】米国特許出願第08/155,301号
【特許文献69】米国特許出願第08/161,739号
【特許文献70】米国特許出願第08/165,699号
【特許文献71】米国特許出願第08/209,741号
【特許文献72】欧州特許第0546073B1号
【特許文献73】国際特許出願第WO9203918号
【特許文献74】国際特許出願第WO9222645号
【特許文献75】国際特許出願第WO9222647号
【特許文献76】国際特許出願第WO9222670号
【特許文献77】国際特許出願第WO9312227号
【特許文献78】国際特許出願第WO9400569号
【特許文献79】国際特許出願第WO9425585号
【特許文献80】国際特許出願第WO9614436号
【特許文献81】国際特許出願第WO9713852号
【特許文献82】国際特許出願第WO9824884
【特許文献83】米国特許第5,981,175号
【特許文献84】欧州特許出願第773288号
【特許文献85】欧州特許出願第843961号
【特許文献86】WO9110741
【特許文献87】WO9402602
【特許文献88】WO9634096
【特許文献89】WO9633735
【特許文献90】W08809344
【特許文献91】WO0009560
【特許文献92】米国特許第5,827,690号
【特許文献93】米国特許第5,756,687号
【特許文献94】米国特許第5,750,172号
【特許文献95】米国特許第5,741,957号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Frankeら、Oncogene22:8983〜8998頁、2003
【非特許文献2】Goruppiら、MoI.Cell Biol.21:902〜915頁、2001
【非特許文献3】Goruppiら、Mol Cell Biol 17:4442〜4453頁、1997
【非特許文献4】Hasanbasicら、Am J Physiol Heart Circ Physiol、2004
【非特許文献5】Melaragnoら、J.MoI.Cell Cardiol.37:881〜887頁、2004
【非特許文献6】Allenら、Mol.Endocrinol.13:191〜201頁、1999
【非特許文献7】Mericら、Clin. Cancer Res.8:361〜367頁、2002
【非特許文献8】Berclazら、Ann.Oncol.12:819〜824頁、2001
【非特許文献9】Chenら、Int.J.Cancer83:579〜584頁、1999
【非特許文献10】Cravenら、Int.J.Cancer60:791〜797頁、1995
【非特許文献11】Jacobら、Cancer Detect.Prev.23:325〜332頁、1999
【非特許文献12】Wimmelら、Eur J Cancer37:2264〜2274頁、2001
【非特許文献13】Wuら、Anticancer Res22:1071〜1078頁、2002
【非特許文献14】Sunら、Oncology66:450〜457頁、2004
【非特許文献15】Sunら、Ann.Oncol.14:898〜906頁、2003
【非特許文献16】Chungら、DNA Cell Biol. 22:533〜540頁、2003
【非特許文献17】Tsouら、Genomics50:331〜340頁、1998
【非特許文献18】Itoら、Thyroid12:971〜975頁、2002
【非特許文献19】Itoら、Thyroid9:563〜567頁、1999
【非特許文献20】Janssenら、A novel putative tyrosine kinase receptor with oncogenic potential.Oncogene、6:2113〜2120頁、1991
【非特許文献21】Braungerら、Oncogene14:2619〜2631頁、1997
【非特許文献22】O'Bryanら、Mol Cell Biol 11:5016〜5031頁、1991
【非特許文献23】Rochlitzら、Leukemia13:1352〜1358頁、1999
【非特許文献24】Nakanoら、J.Biol.Chem.270:5702〜5705頁、2003
【非特許文献25】van Ginkelら、Cancer Res64:128〜134頁、2004
【非特許文献26】Greenら、Br J Cancer.2006 94:1446〜594頁、2006
【非特許文献27】Vajkoczy、P.ら、Proc.Natl.Acad.Science U.S.A.103:5799〜5804頁、2005
【非特許文献28】Hollandら、Cancer Res.65: 9294〜9303頁、2005
【非特許文献29】HarlowおよびLane、「Antibodies、a Laboratory Manual」、CSH Press、Cold Spring Harbour、1988
【非特許文献30】BinzおよびPluckthun、Curr Opin Biotechnol、16:459〜69頁、2005
【非特許文献31】Skerra、J.Mol.Recog.、Biochim Biophys Acta、1482:337〜350頁、2000
【非特許文献32】Sambrook、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y
【非特許文献33】Tangriら、(J Immunol.174:3187〜96頁、2005)
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【非特許文献35】Jonesら、Nature、321:522〜525頁(1986)
【非特許文献36】Riechmannら、Nature、332:323〜327頁(1988)
【非特許文献37】Verhoeyenら、Science、239:1534〜1536頁(1988)
【非特許文献38】Mendezら、(Nature Genetics 15:146〜156頁、1997)
【非特許文献39】GreenおよびJakobovits、(J.Exp.Med.188:483〜495頁、1998)
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【非特許文献42】Sambrook、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(2001、第三版)N.Y.
【非特許文献43】Ausubel、Current Protocols in Molecular Biology、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(1994)
【非特許文献44】Mouellic、Proc.Nat!.Acad.Sci.USA、87(1990)、4712〜4716頁、Joyner、Gene Targeting、A Practical Approach、Oxford University Press
【非特許文献45】Scopes、「Protein Purification」、Springer-Verlag、N.Y.(1982)
【非特許文献46】Mandlerら、J.Natl.Cancer Inst.、92(19)、1549〜51頁(2000)
【非特許文献47】Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:8618〜8623頁(1996)
【非特許文献48】Doroninaら、Nat.Biotechnol.21:778〜784頁(2003)
【非特許文献49】The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、15th Ed.1987、pp.1206〜1228頁、Berkowら編、Rahway、N.J
【非特許文献50】Goruppiら、1996、Oncogene12、471〜480頁
【非特許文献51】Healyら、2001、Am.J.Physiol.、280、1273〜1281頁
【非特許文献52】Hollandら、Cancer Res:65、9294〜9303頁、2005
【非特許文献53】KorffおよびAugustin:J Cell Sci 112:3249〜58頁、1999
【非特許文献54】KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341〜52頁、1998
【非特許文献55】KabatらSequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition.NIH Publication No.91〜3242頁、1991
【非特許文献56】Norderhaug et. al.J.Immunol.Methods204、1997
【非特許文献57】Neuberger EMBO J. 1983;2(8):1373〜8頁、1983
【非特許文献58】Kohfeld FEBS Vol414;(3)557ff、1997
【非特許文献59】http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/
【非特許文献60】LiscovitchおよびRavid、2007、Cancer Letters、245、350〜352頁
【非特許文献61】Fairchildら、1987、Cancer Research、47、5141〜5148頁
【非特許文献62】Xuら、2002、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、302、963〜971頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがってAXLの治療的可能性を考慮して、AXL介在シグナル伝達を有効かつ特異的に妨害し療法治療に適した、モノクローナルAXL抗体、その抗体断片もしくは派生物の必要性は高い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって本発明の第一の態様は、AXL、特にヒトAXLの細胞外ドメインと結合し、AXL活性を少なくとも部分的に阻害する、その断片または派生物を含めたモノクローナル抗体に関する。
【0011】
本発明の抗体は、以下の性質:AXL介在シグナル伝達を低減または妨害する能力、AXLリン酸化を低減または妨害する能力、細胞増殖を低減または妨害する能力、血管新生を低減または妨害する能力、細胞移動を低減または妨害する能力、腫瘍転移を低減または妨害する能力、AXL介在PI3Kシグナル伝達を低減または妨害する能力、およびAXL介在抗アポトーシスを低減または阻害し、それによって例えば抗腫瘍薬を用いた治療に対する細胞の感度を高める能力の少なくとも1つまたは複数をさらに有することが好ましい。さらに、本発明の抗体はAXL、特にヒトAXLに対する高い特異性を示すことができ、他のTyro-3ファミリーのメンバー、例えばMERおよび/またはSKYおよび/または哺乳動物非霊長類AXL、ネズミAXLなどは有意に認識しない。抗体の特異性は、実施例中に記載したように、交差反応性の測定によって決定することができる。
【0012】
用語「活性」は、細胞の表現型、特に、それに限定されないが癌の表現型、例えば、アポトーシスの回避、増殖シグナルの自給自足化、細胞増殖、組織浸潤および/または転移、抗増殖シグナルに対する非感受性(抗アポトーシス)および/または持続的血管新生に影響を与えるAXLの生物機能を指す。
【0013】
用語「AXL介在シグナル伝達」は、AXLと第二のメッセンジャー分子の直接または関節相互作用によって誘発される、第二のメッセンジャー経路の活性化を意味する。
【0014】
用語「AXLリン酸化」は、第二のAXLタンパク質(トランスリン酸化)またはタンパク質キナーゼ活性を有する別のタンパク質のいずれかによる、アミノ酸残基、好ましくはチロシン残基のリン酸化を指す。
【0015】
用語「細胞増殖」は、ヒト細胞、特に、それに限定されないがヒト癌細胞の再生の根底にある全てのAXL関連プロセスを指す。細胞増殖は、細胞DNAの複製、2つの等しい大きさの染色体群への複製DNAの分離、および細胞全体の物理的分離(細胞質分裂と呼ばれる)に貢献する、またはそれらをもたらし、好ましくはAXLリン酸化および/またはAXL介在シグナル伝達を含めた、AXLの非触媒または触媒活性によって刺激または介在され得る。
【0016】
用語「血管新生」は、既存の血管からの新たな血管、特に、それに限定されないが新たな腫瘍供給血管の増殖に貢献する全てのAXL関連プロセスを指す。これらのプロセスには、血管内皮細胞の増殖、生存、移動および発芽、周皮細胞の誘引および移動、および血管安定化のための基底膜形成、血管環流、または間質または新生腫瘍細胞による血管新生因子の分泌などの多数の細胞事象があり、好ましくはAXLリン酸化および/またはAXL介在シグナル伝達を含めた、AXLの非触媒または触媒活性によって刺激または介在され得る。
【0017】
用語「転移」は、癌細胞が原発性腫瘍から分散し、リンパ管および/または血管に浸透し、血流中を循環し、身体中の他の場所の正常組織中の遠方病巣において増殖するのを(転移)支援する全てのAXL関連プロセスを指す。特にそれは、転移の根底にあり、好ましくはAXLリン酸化および/またはAXL介在シグナル伝達を含めた、AXLの非触媒または触媒活性によって刺激または介在される、増殖、移動、固定非依存性、アポトーシスの回避、または血管新生因子の分泌などの腫瘍細胞の細胞事象を指す。
【0018】
用語「AXL介在抗アポトーシス」は、プログラムされた細胞死(アポトーシス)から、ヒト細胞、好ましくは、それに限定されないがヒト癌細胞を予防する、全てのAXL関連プロセスを指す。特にそれは、増殖因子離脱、低酸素症、化学療法剤または放射線への露出、Fas/Apo-1受容体介在シグナル伝達の開始を介したアポトーシスの誘導から、ヒト細胞、好ましくは、それに限定されないがヒト癌細胞を予防し、好ましくはAXLリン酸化および/またはAXL介在シグナル伝達を含めた、AXLの非触媒または触媒活性によって刺激または介在されるプロセスを指す。
【0019】
さらに本発明は、AXLに対するその結合活性がKD=10-5M以下、好ましくはKD=10-7M以下、最も好ましくはKD=10-9M以下である抗体を含む。AXLに対する本発明の抗体の結合活性がKD=10-5M以下であるかどうかは、当業者によって知られている方法によって決定することができる。例えば、Biacoreを用いた表面プラズモン共鳴法、および/またはELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、EIA(酵素イムノアッセイ)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、または蛍光抗体技法、例えばFACSを使用して活性を決定することができる。
【0020】
第二の態様では、抗体は少なくとも1つの抗原結合部位、例えば1つまたは2つの抗原結合部位を有することができる。さらに抗体は、少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖および少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖を含むことが好ましい。免疫グロブリン鎖は可変ドメイン、および場合によっては定常ドメインを含む。可変ドメインは、相補性決定領域(CDR)、例えばCDR1、CDR2および/またはCDR3領域、およびフレームワーク領域を含むことができる。用語「相補性決定領域(CDR)」は当技術分野で十分に定義されており(例えば、HarlowおよびLane、「Antibodies、a Laboratory Manual」、CSH Press、Cold Spring Harbour、1988を参照)、抗原と主に接触する抗体の可変領域内のアミノ酸の延長部分を指す。
【0021】
本発明のさらなる態様は、
(a)配列番号16、22、28に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号17、23、29に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号18、24、30に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖アミノ酸配列、
ならびに/または
(d)配列番号13、19、25に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号14、20、26に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号15、21、27に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖アミノ酸配列
を含む、AXLの細胞外ドメインと結合する、その断片または派生物を含めた抗体、
またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体に関する。
【0022】
好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号16に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号17に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号18に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号13に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号14に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号15に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖を含み、
またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である。
【0023】
さらなる好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号22に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号23に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号24に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号19に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号20に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号21に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖を含み、
またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である。
【0024】
他のさらなる好ましい実施形態では、抗体は、
(a)配列番号28に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号29に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号30に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号25に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号26に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号27に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖を含み、
またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である。
【0025】
別の実施形態では、本発明は、配列番号8、10、12からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または配列番号7、9、11からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗体、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体を対象とする。
【0026】
本明細書で使用する、2つのポリペプチド配列間の「配列同一性」は、その配列間で同一であるアミノ酸の割合を示す。本発明の好ましいポリペプチド配列は、少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0027】
特に好ましい実施形態では、抗体は11B7、11D5、10D12またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体からなる群から選択される。
【0028】
抗体は天然および/または合成起源の任意の抗体、例えば哺乳動物起源の抗体であってよい。定常ドメインは、存在する場合、ヒト定常ドメインであることが好ましい。可変ドメインは、哺乳動物可変ドメイン、例えばヒト化またはヒト可変ドメインであることが好ましい。抗体はキメラ、ヒト化またはヒト抗体であることがより好ましい。
【0029】
本発明の抗体は、IgA型、IgD型、IgE型、IgG型またはIgM型、好ましくは、それらに限定されないが、IgG1型、IgG2型、IgG3型、IgG4型、IgM1型およびIgM2型を含めた、IgG型またはIgM型であってよい。最も好ましい実施形態では、抗体はヒトIgG1型、IgG2型またはIgG4型の抗体である。
【0030】
前に論じたように、幾つかのアイソタイプの抗体が存在する。生成する抗体はこのようなアイソタイプを最初に有している必要はなく、そうではなくて生成する抗体は任意のアイソタイプを有することができること、および当技術分野でよく知られている従来の分子生物学の技法を使用して適切な発現ベクターにおいて、分子的にクローニングされたV領域遺伝子またはクローニングされた定常領域遺伝子またはcDNAを使用すること、および次いで当技術分野で知られている技法を使用して宿主細胞中で抗体を発現させることによって抗体のアイソタイプを変えることができることは理解されよう。
【0031】
用語抗体は、抗体の少なくとも1つの抗原結合部位を有する「断片」または「派生物」を含む。抗体断片には、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、およびFv断片がある。
【0032】
抗体の派生物には、単鎖抗体、ナノボディ、およびダイアボディがある。抗体の派生物は、AXLと結合する抗体様結合活性を有する足場タンパク質も含み得る。
【0033】
本発明の文脈内では、本明細書で使用する用語「足場タンパク質」は、その中でアミノ酸挿入、置換または欠失が十分許容される、露出表面積を有するポリペプチドまたはタンパク質を意味する。本発明により使用することができる足場タンパク質の例は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のタンパク質A、オオモンシロチョウ(Pieris brassicae)由来のビリン結合タンパク質、または他のリポカリン、アンキリン反復タンパク質、およびヒトフィブロネクチンである(BinzおよびPluckthun、Curr Opin Biotechnol、16:459〜69頁、2005中に総説)。足場タンパク質の工学処理は、安定的にフォールディングしたタンパク質の構造フレームワーク上または中への親和機能の移植または組み込みとしてみなすことができる。親和機能は、本発明によるタンパク質の結合親和性を意味する。足場は結合特異性を与えるアミノ酸配列から構造上分離することができる。一般に、このような人工親和性試薬の開発に適していると考えられるタンパク質は、合理的、または最も一般的には、in vitroで提示された人工足場ライブラリー中での結合作用物質の、AXL、精製タンパク質または細胞表面上に提示されたタンパク質のいずれかに対するパニングなどの、組合せタンパク質工学処理技法、当技術分野で知られている技術によって得ることができる(Skerra、J.Mol.Recog.、Biochim Biophys Acta、1482:337〜350頁、2000;Binz and Pluckthun、Curr Opin Biotechnol、16:459〜69頁、2005)。さらに、抗体様結合活性を有する足場タンパク質は足場ドメインを含有するアクセプターポリペプチドから誘導することができ、足場ドメインをドナーポリペプチドの結合ドメインと接合して、ドナーポリペプチドの結合特異性を、アクセプターポリペプチドを含有する足場ドメインに与えることが可能である。挿入結合ドメインは、例えば抗AXL抗体の少なくとも1つのCDR、好ましくは配列番号13〜30の群から選択される少なくとも1つのCDRを含むことができる。例えばポリペプチド合成、コードアミノ酸の核酸合成を含めた当業者に知られている様々な方法によって、ならびに当業者によく知られている様々な形の組換え法によって挿入を実施することができる。
【0034】
前に示しているように、抗体、その抗体断片または派生物の特異性は、CDRのアミノ酸配列に存在する。抗体の可変ドメイン(重鎖VHおよび軽鎖VL)は、4つの比較的保存されたフレームワーク領域すなわち「FR」に隣接する、超可変領域と時折呼ばれる3つの相補性決定領域を含むことが好ましい。しばしば、抗体の特異性は、VH鎖のCDRなどの1つのCDR、または複数のCDRによって決定または大部分が決定される。当業者は、前に記載したCDRを有する抗体、その抗体断片または派生物の可変ドメインは、さらに改善された特異性および生物機能の抗体の構築に使用することができることを、容易に理解するはずである。本発明に関する限り、前に記載した可変ドメインの少なくとも1つのCDRを含み、添付の実施例中に記載した抗体と実質的に同じ、類似または改善された結合性を有利に有する、抗体、その抗体断片または派生物を包含する。添付の配列表中に列挙する少なくとも1つのCDRを含み本発明の実施形態によって必要とされる抗体から始めて、高い特異性および/または親和性のために、当業者は最初に同定したモノクローナル抗体または異なる抗体由来のさらなるCDRを組合せることができる。CDR移植は当技術分野でよく知られており、元の特異性が保持される限り、それを使用して、本発明の抗体、その断片または派生物の特異的親和性および他の性質を微調整することもできる。抗体、断片または派生物が元のドナー抗体の少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個、さらにより好ましくは少なくとも4個または少なくとも5個、および特に好ましくは全6個のCDRを含むことは有利である。本発明のさらなる代替では、異なる最初に同定したモノクローナル抗体由来のCDRを新たな抗体構成要素において組合せることができる。これらの場合、重鎖の3個のCDRは同じ抗体に由来し、一方軽鎖の3個のCDRはいずれも異なる抗体(ただしいずれも同じ抗体由来)に由来することが好ましい。本発明の抗体またはそれらの対応する免疫グロブリン鎖は、当技術分野で知られている従来の技法を使用して、例えば単独または組合せのいずれかで、当技術分野で知られているアミノ酸の欠失、挿入、置換、付加、および/または組換え、および/または任意の他の修飾を使用することによってさらに修飾することができる。免疫グロブリン鎖のアミノ
酸配列の根底にあるDNA配列中にこのような修飾を導入するための方法は当業者によく知られている、例えば、Sambrook、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Yを参照。
【0035】
抗体、その抗体断片または派生物は、治療目的で場合によっては脱免疫状態にする。脱免疫状態の抗体は、Tヘルパーリンパ球によって認識され得るエピトープを欠くまたはそれらが少ないタンパク質である。前記エピトープの同定の仕方の一例は、Tangri et al.、(J Immunol.174:3187〜96頁、2005)中に示される。脱免疫状態の抗体断片またはその派生物の製造は、米国特許第6,054,297号、米国特許第5,886,152号および米国特許第5,877,293号中に記載されたのと同様に実施することができる。
【0036】
一実施形態では、本発明の抗体は、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定種に由来するかまたは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同であり、一方鎖の残り部分が、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体、およびそれらが望ましい生物活性を示す限りこのような抗体の断片中の対応する配列と同一または相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を特に含む(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.、Proc.Natl.Acad.Sci. USA、81:6851〜6855頁(1984))。キメラ抗体の生成は、例えばWO89/09622中に記載されている。
【0037】
好ましくは、本発明は、配列番号38、39、41、42からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または配列番号37、40からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキメラ抗体、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体を指す。
【0038】
さらなる実施形態では、本発明の抗体はヒト化または完全ヒト抗体である。ヒト化型の抗体は、キメラ化またはCDR移植などの当技術分野で知られている方法に従って生成することができる。ヒト化抗体を産生するための別の方法は当技術分野でよく知られており、例えばEP-A10239400およびW090/07861中に記載されている。一般に、ヒト化抗体は、ヒト以外である供給源からそこに導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、「輸入」可変ドメインから典型的に得られる「輸入」残基と呼ばれることが多い。非ヒト起源のCDRまたはCDR配列とヒト抗体の対応する配列を置換することによって、Winterおよび同僚(Jones et al.、Nature、321:522〜525頁(1986)、Riechmann et al.、Nature、332:323〜327頁(1988)、Verhoeyen et al.、Science、239:1534〜1536頁(1988))の方法に従い、例えばヒト化を実施することができる。したがって、このような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、この場合実質的に完全ではないヒト可変ドメインが非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際、ヒト化抗体は典型的には、幾つかのCDR残基およびおそらく幾つかのFR残基が、非ヒト抗体中の類似部位由来の残基によって置換されているヒト抗体である。
【0039】
好ましくは、本発明は、配列番号44、46からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または配列番号43、45からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むヒト化抗体、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体を指す。
【0040】
完全ヒト抗体を生成するための1つの方法は、最大1000kbただしそれ以下の大きさの、ヒト重鎖遺伝子座およびkappa軽鎖遺伝子座の生殖細胞形状断片を含有するように工学処理された、XenoMouse(登録商標)系統のマウスの使用による。Mendezら、(Nature Genetics 15:146〜156頁、1997)、およびGreenおよびJakobovits、(J.Exp.Med.188:483〜495頁、1998)を参照。XenoMouse(登録商標)系統は、AMGEN、Inc.(以前はABGENIX、Fremont、CA)から入手可能である。
【0041】
XenoMouse(登録商標)系統のマウスの生成は、1990年1月12日に出願された米国特許出願第07/466,008号、1990年11月8日に出願された米国特許出願第07/610,515号、1992年7月24日に出願された米国特許出願第07/919,297号、1992年7月30日に出願された米国特許出願第07/922,649号、1993年3月15日に出願された米国特許出願第08/031,801号、1993年8月27日に出願された米国特許出願第08/112,848号、1994年4月28日に出願された米国特許出願第08/234,145号、1995年1月20日に出願された米国特許出願第08/376,279号、1995年4月27日に出願された米国特許出願第08/430,938号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/464,584号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/464,582号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/463,191号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/462,837号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/486,853号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/486,857号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/486,859号、1995年6月5日に出願された米国特許出願第08/462,513号、1996年10月2日に出願された米国特許出願第08/724,752号、1996年12月3日に出願された米国特許出願第08/759,620号、2001年11月30日に出願された米国特許出願公開第2003/0093820号、および米国特許第6,162,963号、米国特許第6,150,584号、米国特許第6,114,598号、米国特許第6,075,181号および米国特許第5,939,598号、ならびに日本国特許第3068180B2号、日本国特許第3068506B2号、および日本国特許第3068507B2号中で論じられ示されている。1996年6月12日に付与公開された欧州特許第EP0463151B1号、1994年2月3日に公開された国際特許出願第WO9402602号、1996年10月31日に公開された国際特許出願第WO9634096号、1998年6月11日に公開された国際特許出願第WO9824893号、2000年12月21日に公開された国際特許出願第WO0076310号も参照。前に挙げた特許、出願、および参照文献のそれぞれの開示は、それらの全容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0042】
別の手法において、GenPharm International、Inc.を含めた他社が「小遺伝子座」手法を利用している。小遺伝子座手法では、Ig遺伝子座由来の数片(個々の遺伝子)の封入によって外因性Ig遺伝子座を模倣する。したがって、1つまたは複数のVH遺伝子、1つまたは複数のDH遺伝子、1つまたは複数のJH遺伝子、mu定常領域、および通常は第二の定常領域(好ましくはガンマ定常領域)が、動物に挿入するための構築体に形成される。この手法はSuraniらへの米国特許第5,545,807号、およびそれぞれLonbergおよびKayへの米国特許第5,545,806号、米国特許第5,625,825号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,770,429号、米国特許第5,789,650号、米国特許第5,814,318号、米国特許第5,877,397号、米国特許第5,874,299号、および米国特許第6,255,458号、KrimpenfortおよびBernsへの米国特許第5,591,669号および米国特許第6,023.010号、Bernsらへの米国特許第5,612,205号、米国特許第5,721,367号、および米国特許第5,789,215号、およびChoiおよびDunn、およびGenPharm Internationalへの米国特許第5,643,763号、1990年8月29日に出願された米国特許出願第07/574,748号、1990年8月31日に出願された米国特許出願第07/575,962号、1991年12月17日に出願された米国特許出願第07/810,279号、1992年3月18日に出願された米国特許出願第07/853,408号、1992年6月23日に出願された米国特許出願第07/904,068号、1992年12月16日に出願された米国特許出願第07/990,860号、1993年4月26日に出願された米国特許出願第08/053,131号、1993年7月22日に出願された米国特許出願第08/096,762号、1993年11月18日に出願された米国特許出願第08/155,301号、1993年12月3日に出願された米国特許出願第08/161,739号、1993年12月10日に出願された米国特許出願第08/165,699号、1994年3月9日に出願された米国特許出願第08/209,741号中に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれている。欧州特許第0546073B1号、国際特許出願第WO9203918号、国際特許出願第WO9222645号、国際特許出願第WO9222647号、国際特許出願第WO9222670号、国際特許出願第WO9312227号、国際特許出願第WO9400569号、国際特許出願第WO9425585号、国際特許出願第WO9614436号、国際特許出願第WO9713852号、および国際特許出願第WO9824884および米国特許第5,981,175号も参照、これらの開示はそれらの全容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0043】
Kirinもマウスからのヒト抗体の生成を実証しており、その中ではミクロ細胞の融合によって、染色体の大きな切片、または染色体全体が導入されている。それらの開示が参照により本明細書に組み込まれている、欧州特許出願第773288号および欧州特許出願第843961号を参照。さらに、KirinのTcマウスとMedarexの小遺伝子座(Humab)マウスの異種交配の結果である、KMTMマウスが生成されている。これらのマウスは、KirinマウスのヒトIgHトランス染色体およびGenpharmマウスのkappa鎖トランス遺伝子を有する(Ishidaら、Cloning Stem Cells 4:91〜102頁、2002)。
【0044】
ヒト抗体はin vitro法によって誘導することもできる。適切な例には、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(以前はProliferon)、Affimed)リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイなどがあるが、それらに限定されない。
【0045】
治療目的で、抗体は治療エフェクター基、例えば放射性基または細胞毒性基と結合させることが可能である。
【0046】
診断目的で、抗体を標識することができる。適切な標識には、放射性標識、蛍光標識、または酵素標識がある。
【0047】
本発明によって利用するさらなる抗体は、いわゆる異種抗体である。マウスにおけるヒト抗体などの異種抗体の産生に関する一般原理は、例えばWO9110741、WO9402602、WO9634096およびWO9633735中に記載されている。
【0048】
前に論じたように、本発明の抗体は、例えばFv、Fab'およびF(ab')2、ならびに単鎖を含めた、完全抗体以外の様々な形で存在することができる。例えばW08809344を参照。
【0049】
望む場合、本発明の抗体を重鎖および/または軽鎖の可変ドメインにおいて突然変異させて、抗体の結合性を変えることが可能である。例えば、1つまたは複数のCDR領域中に突然変異を施して、AXLに関する抗体のKdを増大または低下させること、または抗体の結合特異性を変えることが可能である。部位特異的突然変異誘発における技法は当技術分野でよく知られている。例えば、SambrookらおよびAusubelら上記を参照。さらに、生殖細胞と比較してAXL抗体の可変領域中で変化することが知られているアミノ酸残基において、突然変異を施すことができる。別の態様では、突然変異を1つまたは複数のフレームワーク領域中に導入することができる。フレームワーク領域または定常ドメイン中に突然変異を施して、AXL抗体の半減期を増大させることが可能である。例えばWO0009560を参照。フレームワーク領域または定常ドメイン中に突然変異を施して、抗体の免疫原性を変えること、別の分子との共有または非共有結合用の部位を与えること、または補体結合などの性質を変えることも可能である。単鎖突然変異抗体中のフレームワーク領域、定常ドメインおよび可変領域の各々において突然変異を施すことができる。あるいは、単鎖突然変異抗体中のフレームワーク領域、可変領域または定常ドメインの1つのみにおいて突然変異を施すことができる。
【0050】
さらなる態様では、抗体はエフェクター機能を有する定常ドメインを有する可能性があり、それによって細胞表面上の抗体、その抗体断片または派生物と結合したAXL発現細胞は免疫系機能によって攻撃される可能性がある。例えば、抗体は補体を固定し、補体依存性細胞障害(CDC)に関与することができる。さらに、抗体は単球およびナチュラルキラー(NK)細胞などのエフェクター細胞上のFc受容体と結合し、抗体依存性細胞毒性(ADCC)に関与することができる。
【0051】
他のさらなる態様では、本発明の抗体は、療法治療、好ましくは過剰増殖性疾患、心臓血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症および血栓形成、糖尿病関連疾患、特に糸球体肥大または糖尿病性腎症、および特にAXLの発現、過剰発現または活動亢進と関係がある、それを伴う、またはそれによって引き起こされる障害の治療に適用可能である。過剰増殖性疾患は、AXLの発現、過剰発現または活動亢進と関係がある、それを伴う、またはそれによって引き起こされる障害、例えば乳癌、結腸癌、肺癌、腎臓癌、濾胞性リンパ腫、骨髄性白血病、皮膚癌/メラノーマ、グリア芽腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、バレット食道および食道癌、胃癌、膀胱癌、子宮頸癌、肝臓癌、甲状腺癌、および頭頸部癌などの癌、または過形成および腫瘍性疾患または他のAXL発現もしくは過剰発現過剰増殖性疾患から選択されることが好ましい。
【0052】
別の態様では、本発明の抗体は、前述の障害の1つを治療するための、抗腫瘍薬との同時投与に使用することができる。
【0053】
本明細書で使用する同時投与は、抗腫瘍薬、好ましくはアポトーシス誘導性抗腫瘍薬との、本発明の抗体の投与を含む。用語同時投与は、1つの組成物の形または2つ以上の異なる組成物の形での、本発明の抗体と抗腫瘍薬、好ましくはアポトーシス誘導性抗腫瘍薬の投与をさらに含む。同時投与は、同時(すなわち同じときに)または連続的に(すなわち一定間隔で)、本発明の抗体と抗腫瘍薬、好ましくはアポトーシス誘導性抗腫瘍薬を投与することを含む。
【0054】
本発明はさらに、本発明の抗体、その抗体断片または派生物をコードする核酸分子に関する。前に記載した抗体、その抗体断片または派生物をコードする本発明の核酸分子は、例えばDNA、cDNA、RNA、または合成によって生成したDNAもしくはRNA、または単独または組合せでこれらの核酸分子のいずれかを含む組換えによって生成したキメラ核酸分子であってよい。核酸分子は、遺伝子全体もしくはその相当部分またはその断片および派生物に対応するゲノムDNAであってもよい。ヌクレオチド配列は天然に存在するヌクレオチド配列に対応する可能性があり、1つまたは多数のヌクレオチド置換、欠失または付加を含有する可能がある。本発明の特に好ましい実施形態では、核酸分子はcDNA分子である。
【0055】
好ましくは、本発明は、
(a)配列番号7〜12、13〜30、37〜42、43〜46のポリペプチドをコードする核酸配列、
(b)配列番号1〜6、31〜36に示す核酸配列、
(c)(a)または(b)中の配列のいずれかと相補的な核酸、および
(d)ストリンジェントな条件下で(a)、(b)または(c)とハイブリダイズすることができる核酸配列
からなる群から選択される単離核酸分子に関する。
【0056】
用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、2つの核酸断片が、例えばSambrookら、「Expression of cloned genes in E.coli」in Molecular Cloning:A laboratory manual(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、USA中に記載された標準ハイブリダイゼーション条件下で、互いにハイブリダイズすることを意味する。このような条件は、例えば約45℃での6.O×SSC中でのハイブリダイゼーション、次に50℃で2.O×SSC、好ましくは65℃で2.O×SSC、または50℃で0.2×SSC、好ましくは65℃で0.2×SSCを用いた洗浄ステップである。
【0057】
本発明はさらに、本発明の核酸分子を含むベクターに関する。前記ベクターは、例えばファージ、プラスミド、ウイルスまたはレトロウイルスベクターであってよい。レトロウイルスベクターは、複製可能または複製欠損である可能性がある。後者の場合、ウイルス増殖は一般に相補的宿主細胞中でのみ起こり得る。
【0058】
本発明の核酸分子は、宿主中での増殖の選択可能マーカーを含有するベクターと結合させることが可能である。一般に、プラスミドベクターを、リン酸カルシウム沈殿物または塩化ルビジウム沈殿物などの沈殿物中、または荷電脂質との複合体中、またはフラーレンなどの炭素系クラスターに導入する。ベクターがウイルスである場合、宿主細胞への施用前に適切なパッケージ細胞系を使用してin vitroでそれをパッケージすることができる。
【0059】
好ましくは、本発明のベクターは発現ベクターであり、この場合核酸分子は1つまたは複数の制御配列と作動可能に連結し、原核生物および/または真核生物宿主細胞中での転写および場合によっては発現を可能にする。前記核酸分子の発現は、核酸分子の転写、好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。真核生物細胞、好ましくは哺乳動物細胞中での発現を確実にする制御エレメントは、当業者によく知られている。それらは通常、転写の開始を確実にする制御配列、および場合によっては転写の停止および転写産物の安定化を確実にするポリ-Aシグナルを含む。他の制御エレメントは、転写および翻訳エンハンサーを含むことができる。原核生物宿主細胞中での発現を可能にする考えられる制御エレメントは、例えば大腸菌(E.coli)におけるlac、trpまたはtacプロモーターを含み、真核生物宿主細胞中での発現を可能にする制御エレメントの例は、酵母におけるAOXIまたはGAL1プロモーター、または哺乳動物および他の動物細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサー、SV40-エンハンサーまたはグロブリンイントロンである。転写の開始を担うエレメント以外に、このような制御エレメントは、ポリヌクレオチドの下流にSV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位などの、転写停止シグナル部位も含み得る。この文脈において、Okayama-BergのcDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)またはpSPORTI(GIBCOBRL)などの、適切な発現ベクターが当技術分野で知られている。前記ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子導入または標的ベクターであることが好ましい。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマウイルスなどのウイルスに由来する発現ベクターは、標的細胞集団への本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの送達に使用することができる。当業者によく知られている方法を使用して組換えウイルスベクターを構築することができる。例えば、Sambrook、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(2001、第三版)N.Y.およびAusubel、Current Protocols in Molecular Biology、Green Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.(1994)中に記載された技法を参照。あるいは、本発明の核酸分子は、標的細胞への送達用のリポソームに再構築することができる。
【0060】
本発明はさらに、本発明のベクターを含む宿主に関する。
【0061】
前記宿主は、原核生物または真核生物細胞または非ヒトトランスジェニック動物であってよい。宿主中に存在する本発明のポリヌクレオチドまたはベクターは宿主のゲノムに組み込むことができる、またはそれは、染色体外に維持することができるかのいずれかである。この点において、本発明の核酸分子は、「遺伝子標的化」および/または「遺伝子置換」、突然変異遺伝子の修復、または相同的組換えによる突然変異遺伝子の作製に使用することができることも理解される。例えば、Mouellic、Proc.Nat!.Acad.Sci.USA、87(1990)、4712〜4716頁、Joyner、Gene Targeting、A Practical Approach、Oxford University Pressを参照。
【0062】
宿主は、細菌、昆虫、真菌、植物、動物、哺乳動物または、好ましくはヒト細胞などの、任意の原核生物または真核生物細胞であってよい。好ましい真菌細胞は、例えばサッカロミセス属(genus Saccharomyces)の細胞、特にサッカロミセスセレヴィシエ種(species S.cerevisiae)の細胞である。用語「原核生物」は、本発明の変異体ポリペプチドの発現のためにポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトすることができる、全ての細菌を含むことを意味する。原核生物宿主は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、例えば大腸菌、ネズミチフス菌(S.typhimurium)、セラチアマルセッセンス(Serratia marcescens)および枯草菌(Bacillus subtilis)などを含むことができる。当業者に一般に知られている技法のいずれかを使用することによって、突然変異型の本発明の変異体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用して、宿主を形質転換またはトランスフェクトすることができる。融合、作動可能に連結した遺伝子を調製し、および細菌または動物細胞中でそれらを発現させるための方法は当技術分野でよく知られている(Sambrook、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(2001、第三版)。その中に記載された遺伝子構築体および方法は、例えば原核生物宿主中での、本発明の変異体抗体、その抗体断片または派生物の発現に利用することができる。一般に、挿入核酸分子の有効な転写を容易にするプロモーター配列を含有する発現ベクターは、宿主と共に使用される。発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびターミネーター、ならびに形質転換細胞の表現型の選択を与えることができる特異的遺伝子を典型的には含有する。形質転換原核生物宿主を発酵槽中で増殖させ、当技術分野で知られている技法に従い培養して、最適な細胞増殖を達成することが可能である。本発明の抗体、その抗体断片または派生物は、次いで増殖培地、細胞溶解物、または細胞膜分画から単離することができる。微生物または他に発現された本発明の抗体、その抗体断片または派生物の単離および精製は、例えば調製クロマトグラフィー分離、およびモノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用を含む分離などの免疫学的分離などの、任意の従来の手段によるものであってよい。
【0063】
本発明の好ましい実施形態では、宿主は細菌、真菌、植物、両生類または動物細胞である。好ましい動物細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、3T3細胞、NSO細胞およびヒト細胞を含めた幾つかの他の細胞系、例えばPer.C6があるが、それらに限定されない。別の好ましい実施形態では、前記動物細胞は昆虫細胞である。好ましい昆虫細胞には、SF9細胞系の細胞があるが、それらに限定されない。
【0064】
本発明のより好ましい実施形態では、前記宿主はヒト細胞またはヒト細胞系である。前記ヒト細胞には、ヒト胚腎臓細胞(HEK293、293T、293フリースタイル)があるが、それらに限定されない。さらに、前記ヒト細胞系には、HeLa細胞、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHepG2)、A549細胞があるが、それらに限定されない。
【0065】
本発明は、本発明の抗体を産生するために使用することができる、1つまたは複数の本発明の核酸分子を含むトランスジェニック非ヒト動物も提供する。抗体はヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、ラット、マウス、ウサギ、ハムスターまたは他の哺乳動物の組織または乳、血液もしくは尿などの体液において産生し、そこから回収することができる。例えば、米国特許第5,827,690号、米国特許第5,756,687号、米国特許第5,750,172号、および米国特許第5,741,957号を参照。前に記載したように、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含む非ヒトトランスジェニック動物は、AXLまたはその一部分を用いた免疫処置によって生成することができる。
【0066】
本発明はさらに、抗体を調製するための方法であって、前記抗体の合成を可能にする条件下で本発明の宿主を培養するステップ、および前記培養物から前記抗体を回収するステップを含む方法に関する。
【0067】
形質転換宿主を発酵槽中で増殖させ、当技術分野で知られている技法に従い培養して、最適な細胞増殖を達成することが可能である。発現した後、本発明の完全抗体、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の免疫グロブリン型は、硫安沈殿法、親和性カラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含めた、当技術分野の標準手順に従い精製することができる。Scopes、「Protein Purification」、Springer-Verlag、N.Y.(1982)を参照。本発明の抗体またはその対応する免疫グロブリン鎖は、次いで増殖培地、細胞溶解物、または細胞膜分画から単離することができる。例えば、微生物に発現された本発明の抗体または免疫グロブリン鎖の単離および精製は、例えば調製クロマトグラフィー分離、および例えば本発明の抗体の定常領域を対象とするモノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用を含む分離などの免疫学的分離などの、任意の従来の手段によるものであってよい。
【0068】
本発明の抗体は、例えば薬剤標的化およびイメージング用途で、他の成分とさらに結合させることが可能であることは、当業者には明らかであろう。抗体または抗原の発現後に、結合部位とこのような結合を化学的に実施することができ、または結合産物をDNAレベルで本発明の抗体または抗原に工学処理することができる。次いでDNAを適切な宿主系中で発現させ、かつ必要な場合、発現したタンパク質を回収し復元させる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態では、抗体を放射性同位体または毒性化学療法剤などのエフェクターと結合させる。これらの抗体結合体は、除去するための細胞、例えばAXLを発現する癌細胞を標的化する際に有用であることが好ましい。本発明の抗体/抗体断片と例えば放射性同位体の結合は、腫瘍治療に対する利点をもたらす。化学療法および他の形の癌治療とは異なり、放射性同位体-抗体の組合せの放射免疫治療または投与は、周囲の正常、健常組織に対して最小の損傷で癌細胞を直接標的化する。好ましい放射性同位体には例えば3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131Iがある。
【0070】
さらに、ゲルダナマイシン(Mandlerら、J.Natl.Cancer Inst.、92(19)、1549〜51頁(2000)およびメイタンシン、例えばメイタンシノイド薬剤、DM1(Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:8618〜8623頁(1996)およびオーリスタチン-Eまたはモノメチルオーリスタチン-E(Doroninaら、Nat.Biotechnol.21:778〜784頁(2003)またはカリケアミシト(calicheamicit)などの毒性化学療法剤と結合しているとき、本発明の抗体を使用して癌を治療することができる。酸性または還元条件下または特異的プロテアーゼへの露出で薬剤を放出する異なるリンカーは、この技術と共に利用される。本発明の抗体は、当技術分野で記載されるように結合させることが可能である。
【0071】
本発明はさらに、本発明の抗体、核酸分子、ベクター、宿主、または本発明の方法によって得られる抗体を含む医薬組成物に関する。
【0072】
本明細書で使用する用語「組成物」は、少なくとも1つの本発明の化合物を含む。このような組成物は、医薬または診断用組成物であることが好ましい。
【0073】
前記医薬組成物は、薬剤として許容される担体および/または希釈剤を含むことが好ましい。本明細書で開示する医薬組成物は、AXLの発現、過剰発現または活動亢進と関係がある、それを伴う、またはそれによって引き起こされる障害、例えば過剰増殖性疾患、心臓血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症および血栓形成、糖尿病関連疾患、特に糸球体肥大または糖尿病性腎症の治療に部分的に有用であり得る。前記障害は、癌、例えば乳癌、結腸癌、肺癌、腎臓癌、濾胞性リンパ腫、骨髄性白血病、皮膚癌/メラノーマ、グリア芽腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、バレット食道および食道癌、胃癌、膀胱癌、子宮頸癌、肝臓癌、甲状腺癌、および頭頸部癌などの癌、または他の過形成および腫瘍性疾患または他のAXL発現もしくは過剰発現疾患だけには限られないが、これらを含む。
【0074】
本明細書の用語「活動亢進」は、負の調節の欠如および/または機能不全によって引き起こされる可能性がある、制御不能なAXLシグナル伝達を指す。例えば負の調節は、タンパク質の脱リン酸化、分解および/またはエンドサイトーシスを含む。さらに、制御不能なAXLシグナル伝達は、AXLアミノ酸配列の変化をもたらす、体細胞または生殖細胞のいずれかの遺伝子変化の結果であり得る。
【0075】
適切な医薬担体、賦形剤および/または希釈剤の例は当技術分野でよく知られており、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々な型の湿潤剤、滅菌溶液などを含む。このような担体を含む組成物は、よく知られている従来の方法によって製剤化することができる。これらの医薬組成物は、適切な用量で対象に投与することができる。適切な組成物の投与は、異なる方法によって、例えば静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内、または気管支内投与によって実施することができる。本発明の組成物は、例えば脳のような外部または内部標的部位への遺伝子銃送達によって、標的部位に直接投与することもできる。投薬レジメンは担当医および臨床学的要因によって決定され得る。医療分野においてよく知られているように、任意の一人の患者に関する投薬は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与する個々の化合物、性別、投与の時間および経路、一般的健康状態、および同時に投与される他の薬剤を含めた多くの要因に依存する。タンパク質性医薬活性物質は用量当たり1μg〜100mg/体重1kgの量で存在する可能性があるが、しかしながら、特に前述の要因を考慮して、この例示的な範囲より下または上の用量が想定される。レジメンが持続注入である場合、それはさらに一分間当たり体重1kg当たり1pg〜100mgの範囲でなければならない。
【0076】
定期評価によって進行をモニターすることができる。本発明の組成物は局所または全身に投与することができる。非経口投与用の調製物には、滅菌水性溶液または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンがある。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体には、水、アルコール/水溶液、生理食塩水および緩衝培地を含むエマルジョンまたは懸濁液がある。非経口賦形薬には、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液、または固定油がある。静脈内賦形薬には、液体および栄養補給剤、電解質補給剤(リンガーデキストロースに基づく補給剤など)などがある。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの、防腐剤および他の添加剤が存在してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の意図する用途に応じてさらなる作用物質を含むことができる。医薬組成物は、例えば追加的な抗腫瘍薬、小分子阻害剤、抗腫瘍剤または化学療法剤のような、さらなる活性作用物質を含むことが特に好ましい。
【0077】
本発明は、好ましくは少なくとも1つのさらなる抗腫瘍薬と組合せた本発明の抗体である抗AXL抗体を含む、医薬組成物にも関する。前記組合せは、例えば異常な細胞増殖を阻害する際に有効である。
【0078】
多くの抗腫瘍薬が、現在当技術分野で知られている。一般にこの用語は、過剰増殖性障害を予防、軽減および/または治療することができる全ての作用物質を含む。一実施形態では、抗腫瘍薬は、抗体または免疫調節タンパク質だけには限られないがこれらを含めた、治療用タンパク質の群から選択される。別の実施形態では、抗腫瘍薬は、分裂阻害剤、キナーゼ阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入剤、抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、抗生存因子、生物反応修飾物質、抗ホルモン、例えば抗アンドロゲン、および抗血管新生剤からなる小分子阻害剤または化学療法剤の群から選択される。
【0079】
本明細書に示す抗体と組合せて使用することができる抗腫瘍薬の具体例には、例えばゲフィチニブ、ラパチニブ、サニチニブ、ペメトレキセド、ベバシスマブ、セツキシマブ、イマチニブ、トラスツマブ、アレムツマブ、リツキシマブ、エルロチニブ、ボルテゾミブなどがある。本明細書に記載し特許請求する組成物において使用する他の具体的な抗腫瘍薬には、例えばカペシタビン、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マホスファミド、イフォスファミド、シトシンアラビノシド、ビス-クロロエチルニトロソウレア、ブサルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン(CA)、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコフォルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホルアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-フルオロデオキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキセート(MTX)、コルヒシン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、トリメトレキセート、テニポシド、シスプラスチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)などの化学療法剤がある。一般に、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、15th Ed.1987、1206〜1228頁、Berkowら編、Rahway、N.Jを参照。特に好ましいのは、アポトーシスを誘導するような抗腫瘍薬である。
【0080】
記載したAXL抗体と共に使用するとき、このような抗腫瘍薬は、個別(例えば、5-FUおよび抗体)、連続的(例えば、一定期間の時間5-FUおよび抗体、次にMTXおよび抗体)、または1つまたは複数の他のこのような抗腫瘍薬との組合せで(例えば、5-FU、MTXおよび抗体、または5-FU、放射線治療剤および抗体)使用することができる。
【0081】
用語抗腫瘍薬は、例えば照射または放射線治療として治療手段も含むことができる。
【0082】
本発明の医薬組成物は人間医学において使用することができ、かつ獣医学用途でも使用することができる。
【0083】
さらに本発明は、過剰増殖性疾患、心臓血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症および血栓形成、糖尿病関連疾患、特に糸球体肥大または糖尿病性腎症、および特にAXLの発現、過剰発現または活動亢進と関係がある、それを伴う、またはそれによって引き起こされる障害の診断、予防または治療用の医薬組成物を調製するための、本発明の抗体、本発明の核酸分子、ベクター、宿主、または本発明の方法によって得た抗体の使用に関する。
【0084】
前述の過剰増殖性疾患は、任意の新生組織形成、すなわち組織の任意の異常および/または制御不能な新たな増殖を含む。本明細書で使用する用語「組織の制御不能な新たな増殖」は、増殖制御の機能不全および/または消失に依存する可能性がある。過剰増殖性疾患は、腫瘍疾患および/または転移性または浸潤性癌などの癌を含む。
【0085】
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記過剰増殖性疾患は、特に乳癌、結腸癌、肺癌、腎臓癌、濾胞性リンパ腫、骨髄性白血病、皮膚癌/メラノーマ、グリア芽腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、バレット食道および食道癌、胃癌、膀胱癌、子宮頸癌、肝臓癌、甲状腺癌、および頭頸部癌などの癌、または過形成および腫瘍性疾患、または他のAXL発現もしくは過剰発現過剰増殖性疾患である。
【0086】
さらに別の実施形態では、本発明は、前述の障害の1つの治療用の抗腫瘍薬と同時投与するための医薬品を製造するための、抗AXL抗体、好ましくは本発明の抗体の使用を言及する。
【0087】
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明は、薬剤耐性癌の治療用の医薬組成物を製造するための抗AXL抗体の使用を対象とする。特に好ましい実施形態では、抗AXL抗体は請求項1から22において定義するモノクローナル抗体である。
【0088】
さらに本発明は、本発明の抗体、本発明の核酸分子、ベクター、宿主、または本発明の方法によって得た抗体、および場合によっては薬剤として許容される担体を含む診断用組成物に関する。
【0089】
本発明の診断用組成物は、サンプルを本発明の抗体と接触させるステップ、およびサンプル中のAXLの存在を検出するステップを含む、異なる細胞、組織または別の適切なサンプル中の哺乳動物AXLの望ましくない発現、過剰発現または活動亢進の検出において有用である。したがって、本発明の診断用組成物は、過剰増殖性疾患の発症または疾患状態を評価するために使用することができる。
【0090】
さらに、AXLを発現する癌細胞などの悪性細胞を、本発明の抗体を用いて標的化することができる。したがって、本発明の抗体と結合した細胞は、補体系などの免疫系機能または細胞媒介性細胞障害によって攻撃され、それによって癌細胞の数を減らすまたは癌細胞を撲滅する可能性がある。これらの考慮事項は、転移および再発腫瘍の治療にも同様に当てはまる。
【0091】
本発明の別の態様では、本発明の抗体を標識基と結合させる。このような抗体は診断用途に特に適している。本明細書で使用する用語「標識基」は、検出可能なマーカー、例えば顕著なアビジンによって検出することができる放射標識アミノ酸またはビオチニル部分を指す。抗体などのポリペプチドおよび糖タンパク質を標識するための様々な方法は当技術分野で知られており、本発明を実施する際に使用することができる。適切な標識基の例には、以下の:放射性同位体または放射性核種(例えば3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光基(例えばFITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素基(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、または二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)があるが、それらに限定されない。
【0092】
特定の態様では、標識基を様々な長さのスペーサーアームによって結合させて、考えられる立体障害を減らすことが望ましい可能性がある。
【0093】
別の実施形態では、本発明は、AXL発現細胞の存在を評価する方法であって、本発明の抗体とそれらの/その表面上にAXLを有する疑いがある細胞または組織を接触させるステップを含む方法に関する。サンプル中のAXL発現を検出するのに適した方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または免疫組織化学法(IHC)であってよい。
【0094】
ELISAアッセイはマイクロタイタープレート形式で実施することができ、この場合、例えばマイクロタイタープレートのウエルはAXL抗体と吸着する。ウエルを洗い流し、乳タンパク質またはアルブミンなどのブロッキング剤で処理して、検体の非特異的吸着を妨げる。その後ウエルを試験サンプルで処理する。試験サンプルまたは標準を洗い流した後、例えばビオチンとの結合によって標識した二次AXL抗体でウエルを処理する。過剰な二次抗体を洗浄除去した後、例えばアビジン結合ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)および適切な発色性基質を用いて標識を検出する。試験サンプル中のAXL抗原の濃度は、標準サンプルから開発した標準曲線との比較によって決定する。
【0095】
IHC用に、パラフィン包埋組織を使用することができ、この場合、組織は例えばキシレン中で最初に脱パラフィン処理し、次いで例えばエタノールで脱水し、蒸留水で洗い流す。ホルマリン固定およびパラフィン包埋によってマスキングした抗原性エピトープは、エピトープアンマスキング、酵素消化またはサポニンによって露出させることが可能である。エピトープアンマスキングのために、パラフィン切片を、スチーマー、水浴または電子レンジ中で20〜40分間、例えば2NのHCl溶液(pH1.0)などのエピトープ回収溶液中で加熱することができる。酵素消化の場合、組織切片は例えばプロテイナーゼK、トリプシン、プロナーゼ、ペプシンなどの異なる酵素溶液中において37℃で10〜30分間インキュベートすることができる。
【0096】
エピトープ回収溶液または過剰な酵素を洗い流した後、組織切片をブロッキングバッファーで処理して非特異的相互作用を予防する。一次AXL抗体は適切な濃度で加える。過剰な一次抗体を洗い流し、室温において10分間ペルオキシダーゼブロッキング溶液中で切片をインキュベートする。別の洗浄ステップ後、例えば酵素のアンカーとして働くことができる基で標識した二次標識抗体と共に、組織切片をインキュベートする。したがって例は、ストレプトアビジン結合ホースラディッシュペルオキシダーゼによって認識されるビオチン標識二次抗体である。抗体/酵素複合体の検出は、適切な発色性基質とのインキュベートによって実施する。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、AXL機能を阻害する方法であって、抗体がAXL機能を阻害することができる条件下で、本発明の抗体とそれらの/その表面上にAXLを有する疑いがある細胞または組織を接触させるステップを含む方法に関する。接触はin vitroまたはin vivoであってよい。
【0098】
本発明はさらに、過剰増殖性疾患、心臓血管疾患、特にアテローム性動脈硬化症および血栓形成、糖尿病関連疾患、特に糸球体肥大または糖尿病性腎症を治療する方法であって、適切な用量の本発明の抗体、その抗体断片または派生物をそれを必要とする患者に投与するステップを含む方法に関する。過剰増殖性疾患は、AXLの発現、過剰発現または活動亢進と関係がある、それを伴う、またはそれによって引き起こされる障害、例えば乳癌、結腸癌、肺癌、腎臓癌、濾胞性リンパ腫、骨髄性白血病、皮膚癌/メラノーマ、グリア芽腫、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、バレット食道および食道癌、胃癌、膀胱癌、子宮頸癌、肝臓癌、甲状腺癌、および頭頸部癌などの癌、または過形成および腫瘍性疾患、または他のAXL発現もしくは過剰発現過剰増殖性疾患から選択されることが好ましい。
【0099】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、治療する癌は薬剤耐性癌である。
【0100】
本発明はさらに、疾患を治療する方法であって、本発明の抗体を哺乳動物に投与し、前記疾患がAXLの発現または活性の異常なレベルと直接的または間接的に関係がある方法に関する。
【0101】
最後に本発明は、抗AXL抗体、好ましくは本発明の抗体、その抗体断片または派生物、前記構成要素をコードする核酸分子および/または本発明のベクターを含むキットに関する。
【0102】
本明細書に開示する化合物を含む全ての実施形態は、医薬品を調製するために単一化合物または組合せとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】Rat 1-MockおよびRat 1-AXLcl.2線維芽細胞における細胞表面AXLのフローサイトメトリー分析の図である。それぞれpLXSNおよびpLXSN-hAXLエコトロフィックウイルスによるRat 1線維芽細胞の感染によって生成した、ポリクローナルRat 1-MockおよびクローンRat 1-AXLcl.2細胞を回収し、3μg/mlでマウス対照抗体72A1(左図)またはマウス抗AXLMAB154一次抗体(右図)およびPE結合抗マウス二次抗体で染色した。詳細に関しては本文参照。Rat 1-AXLcl.2細胞の染色は3桁の変化をもたらし、これらの細胞の表面上でのAXLの過剰発現を実証する。
【図2】NIH3T3-MockおよびNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞における細胞表面AXLのフローサイトメトリー分析の図である。それぞれpLXSNおよびpLXSN-AXLエコトロフィックウイルスによるNIH3T3線維芽細胞の感染によって生成した、ポリクローナルNIH3T3-MockおよびクローンNIH3T3-AXLcl.7細胞を回収し、3μg/mlでマウス対照抗体72A1(左図)またはマウス抗AXLMAB154一次抗体(右図)およびPE結合抗マウス二次抗体で染色した。詳細に関しては本文参照。NIH3T3-AXLcl.7細胞の染色は2桁の変化をもたらし、これらの細胞の表面上でのAXLの過剰発現を実証する。
【図3】ラット抗AXL抗体とマウスおよびカニクイザルAXLならびにヒトMerおよびSkyの交差反応性のフローサイトメトリー分析の図である。HEK293T線維芽細胞は、pcDNA3、pcDNA3-hAXL、pcDNA3mAXL、pcDNA3-cyAXL、pcDNA3-hMer、またはpcDNA3-hSkyで一時的にトランスフェクトした。細胞を回収し、10μg/mlの抗AXL1D5、11D5、11B7、10D12、6E7、2A1、11D7または12B7一次抗体および/またはPE結合ロバ抗ラット二次抗体、または対照用にのみPE結合ロバ抗マウス二次抗体単独で染色した。詳細に関しては本文参照。マウスAXLならびにヒトMerおよびSkyとの適度な交差反応性を示す12B7以外、いずれの抗AXL抗体もこれらの分子と交差反応しなかった。対照的に、全ての試験した抗AXL抗体がカニクイザルAXLと交差反応した。
【図4】AXL受容体リン酸化に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのELISA実験の図である。NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞(A)およびNCI-H292肺癌細胞(B)を餓死させ、10μg/mlのマウス対照抗体72A1およびラット抗AXL抗体2A1、11D7、11D5、11B7、6E7、または10D12とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、溶解した。溶解物は抗ホスホチロシン抗体4G10コーティングMaxi-Sorp96ウエルプレートに移し、次いでそれを洗浄し、0.5μg/mlのビオチニル化ラット抗AXL抗体12B7、AP結合ストレプトアビジンおよびAttoPhos基質溶液と共にインキュベートして、蛍光強度を回収した。詳細に関しては本文参照。ラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、および10D12は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性AXL活性化を阻害または低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、ラット抗AXL抗体2A1および11D7は増大したリン酸化によって示されたように定常AXL活性化を刺激し、リガンド介在性AXL活性化を著しく低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。
【図5】p42/p44MAP-キナーゼリン酸化に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのELISA実験の図である。CaSki子宮頸癌細胞を餓死させ、10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5およびラット抗AXL抗体11D5、11B7、または2A1とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、ホルムアルデヒドで固定した。細胞を洗浄し、急冷し、抗ホスホp44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)一次抗体、HRP結合抗ウサギ二次抗体およびテトラメチルベンジジン溶液と共にインキュベートして、吸光強度を測定した。詳細に関しては本文参照。ラット抗AXL抗体11B7および11D5は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性p42/p44MAPキナーゼ活性化を低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、ラット抗AXL抗体2A1は増大したリン酸化によって示されたように定常p42/p44MAPキナーゼ活性化を刺激し、リガンド介在性p42/p44MAPキナーゼ活性化を低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。
【図6】Akt-キナーゼリン酸化に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのELISA実験の図である。NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞(A)およびCaLu-1肺癌細胞(B)を餓死させ、10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5およびラット抗AXL抗体11D5、11B7、または2A1とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、ホルムアルデヒドで固定した。細胞を洗浄し、急冷し、抗ホスホ-Akt (Ser473)一次抗体、HRP結合抗ウサギ二次抗体およびテトラメチルベンジジン溶液と共にインキュベートして、吸光強度を測定した。詳細に関しては本文参照。ラット抗AXL抗体11B7および11D5は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を阻害または低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、ラット抗AXL抗体2A1は増大したリン酸化によって示されたように定常Akt-キナーゼ活性化を刺激し、リガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。
【図7】Akt-キナーゼリン酸化に対するラットとキメラ抗AXL抗体の影響を比較するためのELISA実験の図である。NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞を餓死させ、50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、500ng/ml、および1μg/mlのラット抗AXL抗体11B7またはキメラ抗AXL抗体ch11B7、ならびに50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、500ng/ml、1μg/ml、5μg/ml、および10μg/mlのラット抗AXL抗体11D5またはキメラ抗AXL抗体ch11D5とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、ホルムアルデヒドで固定した。細胞を洗浄し、急冷し、抗ホスホ-Akt(Ser473)一次抗体、HRP結合抗ウサギ二次抗体およびテトラメチルベンジジン溶液と共にインキュベートして、吸光強度を測定した。詳細に関しては本文参照。ラット抗AXL抗体11B7およびキメラ抗AXL抗体ch11B7ならびにラット抗AXL抗体11D5またはキメラ抗AXL抗体ch11D5は、低下したリン酸化によって示されたのと同程度でリガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を阻害することができた。したがって、それらの各ラット相当物と比較して、キメラ抗AXL抗体ch11B7およびch11D5は活性を維持した。
【図8】ラット抗AXL抗体の結合性を調べるための競合ELISA実験の図である。96ウエルのMaxi-Sorpプレートを1μg/mlのヒトAXL-ECDでコーティングし、10μg/mlの非ビオチニル化アイソタイプ対照抗体1D5またはラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、10D12、11D7、または2A1と共にプレインキュベートした。0.5μg/mlのビオチニル化アイソタイプ対照抗体1D5またはビオチニル化ラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、10D12、11D7、または2A1とのインキュベーション、およびAP結合ストレプトアビジンおよびAttoPhos基質溶液の添加後、蛍光を回収して結合ビオチニル化抗体を測定した。詳細に関しては本文参照。対照抗体1D5はAXL-ECDと結合しなかった。アンタゴニスト抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、および10D12は、同一または構造上隣接するエピトープに関して互いに競合した。アゴニスト抗体11D7と2A1は異なるエピトープを認識し、AXL-ECDとの結合に関してアンタゴニスト抗体と競合しない。
【図9】細胞の移動および増殖に対するラットおよびキメラ抗AXL抗体の影響を調べるための創傷治癒/擦過傷アッセイの図である。密集状態に増殖した後、NCI-H292肺癌細胞を餓死させ、ピペット先端で傷つけた。10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5、アンタゴニストラット抗AXL抗体11D5、11B7、6E7、または10D12、キメラ抗AXL抗体chn11D5IgG2およびchn11B7IgG2、アゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7、ならびに10μg/mlのErbituxまたは5μMのSutentの存在下で、細胞を洗浄領域に再生息させ、24時間後、細胞を固定および染色し、創傷の写真を撮影した。詳細に関しては本文参照。アイソタイプ対照抗体1D5と比較して、アンタゴニストラット抗AXL抗体11D5、11B7、6E7、および10D12、ならびにキメラ抗AXL抗体chn11D5IgG2およびchn11B7IgG2は洗浄領域の再生息を低減させ、一方アゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7は完全な創傷閉鎖をもたらした。
【図10】対象細胞の移動に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのボイデンチャンバー/トランスウエルアッセイの図である。血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞は10μg/mlのラット抗AXL抗体4A6、11B7または2A1と共にプレインキュベートし、コラーゲンIコーティングFluoreBlock挿入体の上部に平板培養し、下部区画中のGas6有りまたはなしの無血清培地に曝した。7時間後、トランスマイグレーション細胞をカルセイン-AMで染色し、それぞれのウエルの蛍光を測定した。詳細に関しては本文参照。アンタゴニスト抗AXL抗体11B7はNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞の定常およびGas6誘導性移動の両方を低減し、一方アゴニストラット抗AXL抗体2A1は、NIH3T3-AXLcl.7細胞のリガンド誘導性および、特に定常移動を増大した。抗体4A6は対象細胞の移動に影響を与えなかった。
【図11】Gas6誘導性細胞増殖に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのAlamarBlue(商標)アッセイの図である。血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞は20μg/mlのマウス対照抗体72A1、ラットアンタゴニスト抗AXL抗体11D5および11B7、ならびにアゴニスト抗AXL抗体2A1と共にプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6の不在または存在下で増殖した。4日後、AlamarBlue(商標)を細胞に加え、吸光度を測定した。詳細に関しては本文参照。アンタゴニスト抗AXL抗体11D5および11B7はNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のGas6誘導性増殖を阻害し、一方アゴニストラット抗AXL抗体2A1は、NIH3T3-AXLcl.7細胞のリガンド誘導性および、特に、定常増殖を増大した。
【図12】Gas6介在性抗アポトーシスに対するラット抗AXL抗体の影響を調べるためのカスパーゼ-3/7アッセイの図である。血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞は10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5、アンタゴニストラット抗AXL抗体11B7および11D5、またはアゴニスト抗AXL抗体11D7および2A1と共にプレインキュベートし、Gas6有りまたはなしで治療した。Apo-ONE基質溶液を加え、蛍光を回収してカスパーゼ-3/7活性を測定した。詳細に関しては本文参照。アイソタイプ対照抗体と比較して、アンタゴニストラット抗AXL抗体11B7および11D5は血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のGas6介在性抗アポトーシスを低減し、したがってアポトーシスを誘導した。対照的に、アゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7は、Gas6の有無とは無関係に血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7細胞の抗アポトーシスを誘導し、したがってアポトーシスを阻害した。
【図13】VEGF-A誘導性内皮細胞発芽に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるための球状系細胞血管新生アッセイの図である。HUVEC球状系細胞を3Dコラーゲンゲル中に包埋し、25ng/mlのVEGF-Aで刺激し、示した濃度のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7(A)および11D5(B)で24時間処理した。データ点当たり10個のランダムに選択した球状系細胞の累積発芽長の平均±SEMを分析し(左図)、抗体による相対的阻害を決定した(右図)。IC50曲線およびIC50値の計算値の適合はGraphPadPrism4.03で実施した。詳細に関しては本文参照。アンタゴニストラット抗AXL抗体11B7および11D5は、球状系細胞血管新生アッセイ中で用量依存式にVEGF-A刺激性HUVEC発芽を阻害した。最高濃度の11B7を用いた治療はHUVECの発芽を基礎レベルに低減した一方で、最高濃度の11D5を用いた阻害はそれほど有効ではなかった(左図)。HUVECの発芽は、11B7および11D5に関してそれぞれ9.8×10-8Mおよび7.0×10-7MのIC50値で阻害された(右図)。
【図14】ヌードマウス中のヒト前立腺癌増殖に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるための同所性異種移植モデルの図である。PC-3-LN前立腺癌細胞を、NMRI-nu/nuマウスの前立腺中に同所に移植した。動物を無作為に4群に分け、25mg/kgのアイソタイプ対照抗体1D5またはアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7、および40mg/kgのSutentまたは12.5mg/kgのTaxotereを与えた。治療期間中、同所で増殖中のPC-3-LN腫瘍および末梢転移の増殖を第15日、第23日、第29日、および第34日にin vivo生物発光イメージングによって週に一回モニターした。詳細に関しては本文参照。アイソタイプ対照抗体1D5と比較して、アンタゴニストラット抗AXL抗体11B7は、ヌードマウス中のPC-3-LN前立腺腫瘍の全体的増殖を低減した。
【図15】ヌードマウス中のヒト前立腺癌転移に対するラット抗AXL抗体の影響を調べるための同所性異種移植モデルの図である。PC-3-LN前立腺癌細胞を、NMRI-nu/nuマウスの前立腺中に同所に移植した。動物を無作為に4群に分け、25mg/kgのアイソタイプ対照抗体1D5またはアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7、および40mg/kgのSutentまたは12.5mg/kgのTaxotereを与えた。解剖後、選択した器官(肝臓、脾臓、肺、大腿骨、および腰椎の一部)を回収し、生物発光イメージングによって転移の存在に関して分析した。詳細に関しては本文参照。アイソタイプ対照抗体1D5と比較して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7は脾臓転移の発生を低減した。特に、この実験中の11B7の抗転移効果はSutentのそれより強かった。
【図16】異なるヒト悪性腫瘍におけるAXL発現の免疫組織化学的分析の図である。腫瘍組織の対によってそれぞれ表され非悪性腫瘍組織と適合する17のヒト固形腫瘍型を、免疫組織化学法によってAXL発現に関して分析した。詳細に関しては本文参照。結果は(A)に要約し、1の強度は調べた細胞の25%超において弱い染色を指す。乳腺腫瘍および胃印環細胞癌において観察した最も強い染色の例を示す(B)。
【図17】Axlリン酸化に対するラットおよびキメラ抗AXL抗体の影響を比較するためのELISA実験の図である。CaSki子宮頸癌細胞を餓死させ、50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、および10μg/mlのラット抗Axl抗体11B7(A)またはキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、溶解した。溶解物は抗ホスホチロシン抗体4G10コーティングMaxi-Sorp96ウエルプレートに移した。その後プレートを洗浄し、0.5μg/mlのビオチニル化ラット抗AXL抗体12B7、AP結合ストレプトアビジンおよびAttoPhos基質溶液と共にインキュベートして、蛍光強度を回収した。詳細に関しては本文参照。子宮頸癌細胞系CaSkiにおける相対的Axlリン酸化の濃度依存的低減によって実証されたように、本発明のラット抗Axl抗体11B7(A)およびキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)は、同程度で受容体チロシンキナーゼAxlのリガンド介在性活性化を阻害することができた。
【図18】Axlリン酸化に対するラットおよびキメラ抗AXL抗体の影響を比較するためのELISA実験の図である。CaSki子宮頸癌細胞を餓死させ、50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、および10μg/mlのラット抗Axl抗体11B7(A)またはキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)とプレインキュベートし、400ng/mlのmGas6有りまたはなしで処理し、ホルムアルデヒドで固定した。細胞を洗浄し、急冷し、抗ホスホ-p44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)一次抗体、HRP結合抗ウサギ二次抗体およびテトラメチルベンジジン溶液と共にインキュベートして、吸光強度を測定した。詳細に関しては本文参照。相対的p44/p42MAPキナーゼリン酸化の濃度依存的低減によって示されたように、本発明のラット抗Axl抗体11B7(A)およびキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)は、子宮頸癌細胞系CaSkiにおいて同程度でp44/p42MAPキナーゼのGas6誘導性活性化を阻害することができた。
【図19】ヒト卵巣癌細胞における薬剤耐性を克服するための、ラット抗AXL抗体と化学療法剤の組合せ効果を調べるためのTUNEL染色の図である。ヒトNCI/ADR-RES卵巣癌細胞を10μg/mlの対照抗体またはアンタゴニスト抗AXL抗体11B7とプレインキュベートし、100μM、150μM、または200μMの最終濃度でドキソルビシンと同時インキュベートした。市販のキットを施用し、TUNEL染色を実施して、アポトーシスを目に見える状態にして測定した。詳細に関しては本文参照。細胞を対照抗体またはアンタゴニスト抗AXL抗体11B7と同時インキュベートしたかどうかとは無関係に、100μMのドキソルビシンで治療したNCI/ADR-RES卵巣癌細胞(上)で、TUNEL染色、したがってアポトーシスは観察しなかった。しかしながら、150μMのドキソルビシン濃度では、対照抗体で同時治療した細胞中で非常に弱いアポトーシスのみを検出することができ、一方アンタゴニスト抗AXL抗体11B7との同時インキュベーションはアポトーシスの実質的誘導をもたらした(中央)。さらに200μMのドキソルビシンの存在下では、細胞と11B7の同時インキュベーションは、対照IgG抗体とインキュベートした細胞と比較してアポトーシス率を有意に増大させ(下)、化学療法剤と本発明のアンタゴニスト抗AXL抗体の両方を用いたさらなる多剤耐性腫瘍細胞の同時治療は、薬剤耐性を克服するのに適している可能性があることを示した。
【図20】ヒトメラノーマ細胞の足場非依存性増殖に対する、ラット抗AXL抗体と化学療法剤の組合せ効果を調べるための軟寒天アッセイの図である。ヒトC-8161メラノーマ細胞は未治療状態に保ったか、2.5μg/mlの最終濃度でラットアンタゴニスト抗AXL抗体11B7とインキュベートしたかのいずれかであった。示した濃度でシスプラチンと組合せて、寒天包埋細胞は5日間0.7%底部寒天層の上部で増殖させた。MTTで染色して、次いでコロニーの領域を測定した。詳細に関しては本文参照。全領域のコロニーを反映する絶対数(A)およびこれらのデータに基づいて計算した相対的増殖阻害(B)を示す。未治療対照細胞と比較して、シスプラチンとのインキュベーションは、用量依存的にコロニー増殖遅延をもたらした。30%の範囲での11B7単独の阻害効果と一致して、アンタゴニスト抗Axl抗体11B7との組合せは、特に低濃度のシスプラチンで、C-8161メラノーマ細胞の軟寒天増殖に対してシスプラチンの有意に増大した阻害効果をもたらした。
【発明を実施するための形態】
【0104】
さらに本発明を、以下の実施例および添付の図面によって説明する。
【0105】
(実施例)
概評
実施した実験および得られた結果を含めた以下の実施例は例示目的にすぎず、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0106】
(実施例1.免疫原としてのAXL過剰発現Rat 1線維芽細胞および実験モデル系としてのAXL過剰発現NIH3T3線維芽細胞の生成)
全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)参照配列(NM_021913)に従うヒト受容体チロシンキナーゼAXL転写産物変異体1の完全長コード配列を、制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびSamHIの隣接認識エレメントを介してpLXSNにサブクローニングし、それによってレトロウイルス発現ベクターpLXSN-hAXLを生成した。
【0107】
ヒト受容体チロシンキナーゼAXLと特異的に結合する抗体を生成するために、ヒトAXLを安定的に過剰発現するRat 1線維芽細胞をレトロウイルス遺伝子導入によって生成した。簡潔には、3×105個のPhoenix-E細胞を60mmの培養皿に接種し、リン酸カルシウム法を使用して2μg/mlのpLXSNベクターまたはpLXSN-hAXLでトランスフェクトした。24時間後、培地を新たな培地に交換し、その中でPhoenix-E細胞を4時間インキュベートした。pLXSNまたはpLXSN-hAXLエコトロフィックウイルスを放出するPhoenix-E細胞の上清を採取し、Polybrene(4mg/ml;Aldrich)の存在下での3時間のサブコンフルーエントRat 1細胞(6cm皿当たり2×105個の細胞)のインキュベーション用に使用した。同時に、Phoenix-E細胞を新たな培地で再度インキュベートし、それをさらに3時間後、Polybrene(4mg/ml;Aldrich)の存在下でのRat 1線維芽細胞の二次感染に使用した。同様に、三次感染サイクルを実施した。培地を交換した後、G418でのRat 1細胞の選択を開始した。通常、21日間の選択後に安定的クローンを得た。
【0108】
安定的クローンの一団を増殖させ、FACS分析によって膜局在ヒトAXLの発現を定量化した。詳細には、1×105個の細胞をPBS中10mM EDTAで採取し、FACSバッファー(PBS、3%FCS、0.4%アジド)で一回洗浄し、96ウエルの丸底プレートに接種した。細胞を3分間1,000rpmで遠心分離にかけて上清を除去し、マウス抗AXL一次抗体MAB154(R&D Systems、3μg/ml)と再懸濁した。細胞懸濁液を氷上で1時間インキュベートし、FACSバッファーで二回洗浄し、FACSバッファー中に1:50に希釈した100μl/ウエルのPE結合ロバ抗マウス二次抗体(Jackson)に再懸濁した。細胞懸濁液は氷上および暗所で30分間インキュベートし、FACSバッファーで二回洗浄し、Epics XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して分析した。
【0109】
図1は、pLXSN空ベクターで安定的に感染したポリクローナルRat 1-Mock集団、およびpLXSN-hAXLで安定的に感染したRat 1-AXLcl.2のFACS分析を示し、この代表的なクローンの細胞表面上でのAXLの過剰発現を実証する。
【0110】
さらに、実験目的に適した細胞モデル系を生成するために、AXLを安定的に過剰発現するNIH3T3線維芽細胞を、Rat 1に関して記載した手順と同様に生成した。簡潔には、3×105個のPhoenix-E細胞を60mmの培養皿に接種し、リン酸カルシウム法を使用して2μg/mlのpLXSNベクターまたはpLXSN-AXLcDNAでトランスフェクトした。24時間後、培地を新たな培地に交換し、その中でPhoenix-E細胞を4時間インキュベートした。pLXSNまたはpLXSN-hAXLエコトロフィックウイルスを放出するPhoenix-E細胞の上清を採取し、Polybrene(4mg/ml;Aldrich)の存在下での3時間のサブコンフルーエントNIH3T3細胞(6cm皿当たり2×105個の細胞)のインキュベーション用に使用した。同時に、Phoenix-E細胞を新たな培地で再度インキュベートし、それをさらに3時間後、Polybrene(4mg/ml;Aldrich)の存在下でのNIH3T3線維芽細胞の二次感染に使用した。同様に、三次感染サイクルを実施した。培地を交換した後、G418でのNIH3T3細胞の選択を開始した。通常、21日間の選択後に安定的クローンを得た。
【0111】
安定的クローンの一団を増殖させ、FACS分析によって膜局在AXLの発現を定量化した。詳細には、1×105個の細胞をPBS中10mM EDTAで採取し、FACSバッファー(PBS、3%FCS、0.4%アジド)で一回洗浄し、96ウエルの丸底プレートに接種した。細胞を3分間1,000rpmで遠心分離にかけて上清を除去し、マウス抗AXL一次抗体MAB154(R&D Systems、3μg/ml)と再懸濁した。細胞懸濁液を氷上で1時間インキュベートし、FACSバッファーで二回洗浄し、FACSバッファー中に1:50に希釈した100μl/ウエルのPE結合ロバ抗マウス二次抗体(Jackson)に再懸濁した。細胞懸濁液は氷上および暗所で30分間インキュベートし、FACSバッファーで二回洗浄し、Epics XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して分析した。
【0112】
図2は、pLXSN空ベクターで安定的に感染したポリクローナルNIH3T3-Mock集団、およびpLXSN-hAXLで安定的に感染したNIH3T3-AXLcl.7のFACS分析を示し、この代表的なクローンの細胞表面上でのAXLの過剰発現を実証する。
【0113】
(実施例2.ラット抗AXLモノクローナル抗体の生成)
モノクローナルラット抗AXL抗体を、Lou/CまたはLong Evansラットに腹膜内と皮下の両方にRat 1-AXLcl.2の約10×106個の凍結細胞を注射することによって産生した。8週間隔後、最終追加抗原刺激を融合前3日に腹膜内および皮下に与えた。ミエローマ細胞系P3X63-Ag8.653とラット免疫系脾臓細胞の融合は標準手順に従い実施し、105のハイブリドーマが生成した。2週間後、ハイブリドーマ由来の第一の上清を回収し、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞とNIH3T3-Mock対照細胞の結合の一次FACSスクリーニングにおいて試験した。AXL結合に関して陽性であったクローンをさらに培養した。これらのクローンの50ml上清から、抗体を精製し、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞とNIH3T3-Mock対照細胞上のAXLの特異的結合に関して再分析した。NIH3T3-Mock対照細胞ではなくNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞と特異的に結合する精製抗体をAkt-キナーゼリン酸化ELISAにおいてさらに試験して、かつアイソタイプを決定するためのELISAを実施した。ラット抗体の精製のために、上清を20分間5,00Ogで遠心分離にかけ、その後滅菌濾過した。500μlのタンパク質GセファロースFFを加え、スピニングホイール上で少なくとも1時間4℃でインキュベートした。セファロースを遠心分離にかけ、上清を捨て、タンパク質Gマトリクスはクエン酸バッファー(10OmM)pH2.1を利用するタンパク質溶出の前にPBSで二回洗浄した。溶出分画は1MのトリスpH8.0を加えることによってすぐに中性pHに再度中和し、PBSで透析した。
【0114】
試験したオリゴクローナル抗体の中で、91個がNIH3T3-Mock対照細胞ではなくNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞と特異的に結合し、9個は同じ細胞中のGas6誘導型Aktリン酸化を阻害し、一方71個はAktリン酸化を刺激した。4個のアンタゴニスト抗体(I11B7、I10D12、I6E7、およびIII11D5、以下の実施例中ではそれぞれ11B7、10D12、6E7および11D5と呼ぶ)、2個のアゴニスト抗体(I11D7およびIII2A1、以下の実施例中では11D7および2A1と呼ぶ)および1個の対照抗体(III11D5、以下の実施例中では1D5と呼ぶ)を冷凍保存およびサブクローニングした。
【0115】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0116】
(実施例3.本発明のラット抗AXL抗体は、マウスAXLまたはヒトAXLファミリーの他のメンバー、MerおよびSkyと交差反応しない)
この実施例は、本発明のラット抗AXL抗体とマウスおよびカニクイザルAXL、ならびにヒトAXLファミリーの他のメンバー、ヒトMerおよびヒトSkyの交差反応性を扱う。マウスおよびサルAXLコード配列ならびにヒトMerおよびSkyのpcDNA3へのサブクローニングの後、それぞれの発現構築体をHEK293T線維芽細胞にトランスフェクトした。これらのタンパク質と結合する本発明のラット抗AXL抗体の能力は、FACS分析によって試験した。
【0117】
3A.マウスAXLのクローニング
この試験では、マウスAXL発現構築体pcDNA3-mAXLを生成した。マウスAXLの完全長コード配列は、鋳型としてマウス心臓cDNA(Ambion)および全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のマウスAXLの参照配列(NM_009465)に従う適切なプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した。マウスAXLをコードする完全長配列は、したがって2つの重複PCR断片、5'断片および3'断片によって覆われた。これらの断片の増幅用のプライマーは以下の通りであった:
EcoRI認識配列を有する5'断片用の順方向プライマーMOUSE1:
5'-GCGAATTCGCCACCATGGGCAGGGTCCCGCTGGCCTG-3'
5'断片用の逆方向プライマーMOUSE2:
5'-CAGCCGAGGTATAGGCTGTCACAGACACAGTCAG-3'
3'断片用の順方向プライマーMOUSE3:
5'-GCACCCTGTTAGGGTACCGGCTGGCATATC-3'
Notl認識配列を有する3'断片用の逆方向プライマーMOUSE4:
5'-ATAAGAATGCGGCCGCTCAGGCTCCGTCCTCCTGCCCTG-3'
5'断片はEcoRIおよびBstEIIで消化し、3'断片はBstEIIおよびNotlで消化し、かつpcDNA3はEcoRIおよびNotlで切断した。単離および精製断片の3因子の結合を実施し、DH5α細菌細胞に軽質転換した。単コロニーを得て、アンピシリンの存在の下で増殖した。市販のプラスミド精製キット(Qiagen)を使用して、マウスAXL発現ベクターpcDNA3-mAXLを精製し、HEK293T細胞への後の一過性トランスフェクションのために配列を確認した。
【0118】
3B.カニクイザルAXLのクローニング
この試験では、カニクイザルAXL発現構築体pcDNA3-cyAXLを生成した。カニクイザルAXLの完全長コード配列は、鋳型としてカニクイザル脳組織から調製したcDNAを使用してPCR増幅した。カニクイザルAXLのヌクレオチド配列が入手不能であったので、ヒトAXLとの有意な相同性を仮定して、それぞれのプライマーを設計した。カニクイザルAXLをコードする完全長配列は、したがって2つの重複PCR断片、5'断片および3'断片によって覆われた。これらの断片の増幅用のプライマーは以下の通りであった:
EcoRI認識配列を有する5'断片用の順方向プライマーCYNO1:
5'-CGGAATTCGCCACCATGGCGTGGCGGTGCCCCAG-3'
5'断片用の逆方向プライマーCYNO2:
5'-CTCTGACCTCGTGCAGATGGCAATCTTCATC-3'
3'断片用の順方向プライマーCYNO3:
5'-GTGGCCGCTGCCTGTGTCCTCATC-3'
Notl認識配列を有する3'断片用の逆方向プライマーCYNO4:
5'-ATAAGAATGCGGCCGCTCAGGCACCATCCTCCTGCCCTG-3'
5'断片はEcoRIおよびDraIIIで消化し、3'断片はDraIIIおよびNotlで消化し、かつpcDNA3はEcoRIおよびNotlで切断した。単離および精製断片の3因子の結合を実施し、DH5α細菌細胞に軽質転換した。単コロニーを得て、アンピシリンの存在の下で増殖した。市販のプラスミド精製キット(Qiagen)を使用して、カニクイザルAXL発現ベクターpcDNA3-cyAXLを精製し、HEK293T細胞への後の一過性トランスフェクションのために配列を確認した。カニクイザルのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は以下の通りである:
【0119】
ヌクレオチド配列:
ATGGCGTGGCGGTGCCCCAGGATGGGCAGGGTCCCGCTGGCCTGGTG
CTTGGCGCTGTGCGGCTGGGTGTGCATGGCCCCCAGGGGCACACAGG
CTGAAGAAAGTCCTTTCGTGGGTAACCCAGGGAATATCACAGGTGCCC
GGGGACTCACGGGCACCCTTCGGTGTCAGCTCCAGGTTCAGGGAGAG
CCCCCCGAGGTACACTGGCTTCGGGACGGACAGATCCTGGAGCTCGC
GGACAGTACCCAGACCCAGGTGCCCCTGGGTGAAGATGAGCAGGATGA
CTGGATAGTGGTCAGCCAGCTCAGAATCGCCTCCCTACAGCTTTCCGAC
GCGGGACAGTACCAGTGTTTGGTGTTTCTGGGACATCAGAACTTCGTGT
CCCAGCCTGGCTACGTAGGGCTGGAGGGCTTACCTTACTTCCTGGAGG
AGCCTGAGGACAGGACTGTGGCCGCCAACACCCCCTTCAACCTGAGCT
GCCAAGCCCAGGGACCCCCAGAGCCCGTGGACCTACTCTGGCTCCAG
GATGCTGTCCCCCTGGCCACAGCTCCAGGTCATGGTCCCCAGCGCAAC
CTGCATGTTCCAGGGCTGAACAAGACATCCTCTTTCTCCTGCGAAGCCC
ATAACGCCAAGGGAGTCACCACATCCCGCACGGCCACCATCACAGTGC
TCCCCCAGCAGCCCCGTAACCTCCATCTGGTCTCCCGCCAACCCACGG
AGCTGGAGGTGGCTTGGACTCCAGGCCTGAGCGGCATCTACCCCCTGA
CCCACTGCACCCTGCAGGCTGTGCTGTCAGACGATGGGATGGGCATCC
AGGCGGGAGAACCAGACCCCCCAGAGGAGCCCCTCACCTTGCAAGCAT
CTGTGCCCCCCCACCAGCTTCGGCTGGGCAGCCTCCATCCTCACACCC
CTTATCACATCCGTGTGGCATGCACCAGCAGCCAGGGCCCCTCATCCT
GGACACACTGGCTTCCTGTGGAGACGCCGGAGGGAGTGCCCCTGGGC
CCCCCTGAGAACATTAGTGCCACGCGGAATGGGAGCCAGGCCTTCGTG
CATTGGCAGGAGCCCCGGGCGCCCCTGCAGGGTACCCTGTTAGGGTA
CCGGCTGGCGTATCAAGGCCAGGACACCCCAGAGGTGCTAATGGACAT
AGGGCTAAGGCAAGAGGTGACCCTGGAGCTGCAGGGGGACGGGTCTG
TGTCCAATCTGACAGTGTGTGTGGCAGCCTACACTGCTGCTGGGGATG
GACCCTGGAGCCTCCCAGTACCCCTGGAGGCCTGGCGCCCAGGGCAA
GCACAGCCAGTCCACCAGCTGGTGAAGGAAACTTCAGCTCCTGCCTTC
TCGTGGCCCTGGTGGTATATACTGCTAGGAGCAGTCGTGGCCGCTGCC
TGTGTCCTCATCTTGGCTCTCTTCCTTGTCCACCGGCGAAAGAAGGAGA
CCCGTTATGGAGAAGTGTTCGAGCCAACAGTGGAAAGAGGTGAACTGG
TAGTCAGGTACCGCGTGCGCAAGTCCTACAGTCGCCGGACCACTGAAG
CTACCTTGAACAGCCTGGGCATCAGTGAAGAGCTGAAGGAGAAGCTGC
GGGATGTGATGGTGGACCGGCACAAGGTGGCCCTGGGGAAGACTCTG
GGAGAAGGAGAGTTTGGAGCCGTGATGGAAGGCCAGCTCAACCAGGA
CGACTCCATCCTCAAGGTGGCTGTGAAGACAATGAAGATTGCCATCTGC
ACAAGGTCAGAGCTGGAGGATTTCCTGAGTGAAGCAGTCTGCATGAAG
GAATTCGACCATCCCAATGTCATGAGGCTCATCGGTGTCTGTTTCCAGG
GTTCTGAACGAGAGAGCTTTCCAGCACCTGTGGTCATCTTACCTTTCAT
GAAGCATGGAGACCTACACAGCTTCCTCCTCTATTCCCGGCTTGGGGA
CCAGCCAGTGTACCTGCCCACTCAGATGCTAGTGAAGTTCATGGCGGA
CATCGCCAGTGGCATGGAATATCTGAGTACCAAGAGATTCATACACCGG
GACCTGGCGGCCAGGAACTGCATGCTGAATGAGAACATGTCCGTGTGT
GTGGCGGACTTCGGGCTCTCCAAGAAGATCTACAACGGGGACTACTAC
CGCCAGGGACGTATCGCCAAGATGCCAGTCAAGTGGATTGCCATTGAG
AGTCTAGCTGACCGTGTCTACACGAGCAAGAGTGATGTGTGGTCCTTC
GGGGTGACAATGTGGGAGATTGCCACAAGAGGCCAAACCCCATATCCA
GGCGTGGAGAACAGCGAGATTTATGACTATCTGCGCCAGGGAAATCGC
CTGAAGCAGCCTGCGGACTGTCTGGATGGACTGTATGCCTTGATGTCG
CGGTGCTGGGAGCTAAATCCCCAGGACCGGCCAAGTTTTACAGAGCTG
CGGGAAGATTTGGAGAACACACTGAAGGCCTTGCCTCCTGCCCAGGAG
CCTGACGAAATCCTCTATGTCAACATGGATGAAGGTGGAGGTTATCCTG
AACCTCCCGGCGCTGCTGGAGGAGCTGACCCCCCAACCCAGCTAGACC
CTAAGGATTCCTGTAGCTGCCTCACTTCGGCTGAGGTCCATCCTGCTGG
ACGCTATGTCCTCTGCCCTTCCACAGCCCCTAGCCCCGCTCAGCCTGC
TGATAGGGGCTCCCCAGCAGCCCCAGGGCAGGAGGATGGTGCC
【0120】
アミノ酸配列:
MAWRCPRMGRVPLAWCLALCGWVCMAPRGTQAEESPFVGNPGNITGAR
GLTGTLRCQLQVQGEPPEVHWLRDGQILELADSTQTQVPLGEDEQDDWIV
VSQLRIASLQLSDAGQYQCLVFLGHQNFVSQPGYVGLEGLPYFLEEPEDRT
VAANTPFNLSCQAQGPPEPVDLLWLQDAVPLATAPGHGPQRNLHVPGLNK
TSSFSCEAHNAKGVTTSRTATITVLPQQPRNLHLVSRQPTELEVAWTPGLS
GIYPLTHCTLQAVLSDDGMGIQAGEPDPPEEPLTLQASVPPHQLRLGSLHP
HTPYHIRVACTSSQGPSSWTHWLPVETPEGVPLGPPENISATRNGSQAFV
HWQEPRAPLQGTLLGYRLAYQGQDTPEVLMDIGLRQEVTLELQGDGSVSN
LTVCVAAYTAAGDGPWSLPVPLEAWRPGQAQPVHQLVKETSAPAFSWPW
WYILLGAVVAAACVLILALFLVHRRKKETRYGEVFEPTVERGELVVRYRVRK
SYSRRTTEATLNSLGISEELKEKLRDVMVDRHKVALGKTLGEGEFGAVMEG
QLNQDDSILKVAVKTMKIAICTRSELEDFLSEAVCMKEFDHPNVMRLIGVCF
QGSERESFPAPVVILPFMKHGDLHSFLLYSRLGDQPVYLPTQMLVKFMADI
ASGMEYLSTKRFIHRDLAARNCMLNENMSVCVADFGLSKKIYNGDYYRQG
RIAKMPVKWIAIESLADRVYTSKSDVWSFGVTMWEIATRGQTPYPGVENSEI
YDYLRQGNRLKQPADCLDGLYALMSRCWELNPQDRPSFTELREDLENTLK
ALPPAQEPDEILYVNMDEGGGYPEPPGAAGGADPPTQLDPKDSCSCLTSA
EVHPAGRYVLCPSTAPSPAQPADRGSPAAPGQEDGA
【0121】
3C.ヒトMerのクローニング
この試験では、ヒトMer発現構築体pcDNA3-hMerを生成した。ヒトMerの完全長コード配列は、EcoRIおよびXbaIを用いたベクターpCMV6-XL4-ヒトMer(Origene#TC116132)の切断によって得た。同じ制限エンドヌクレアーゼを用いたpcDNA3の消化後、両方の断片を連結してpcDNA3-hMerを生成した。Kozakコンセンサス配列を導入するために、pcDNA3-hMer中のヒトMerコード配列の5'領域を、ヒトMerのNCBI参照配列(NM_006343)に従う適切なプライマーを使用してPCR増幅した。これらの断片の増幅用のプライマーは以下の通りであった:
EcoRI認識配列およびKozakコンセンサス配列を有する順方向プライマーMER1:
5'-CGGAATTCGCCACCATGGGGCCGGCCCCGCTGCCGC-3'
5'断片用の逆方向プライマーMER2:
5'-TCGGCTGCCATTCTGGCCAACTTCC-3'
PCR産物およびpcDNA3-hMerはEcoRIおよびEcoRVで消化し、連結させて、その中でKozakコンセンサス配列が完全長ヒトMerコード配列に先行するpcDNA3-Kozak-hMerを生成した。DH5α細菌細胞に軽質転換し、単コロニーを得て、アンピシリンの存在の下で増殖した。市販のプラスミド精製キット(Qiagen)を使用して、pcDNA3-Kozak-hMer発現ベクターを精製し、HEK293T細胞への後の一過性トランスフェクションのために配列を確認した。
【0122】
3D.ヒトSkyのクローニング
この試験では、ヒトSky発現構築体pcDNA3-hSkyを生成した。ヒトSkyの完全長コード配列は、鋳型としてベクターpCMV6-XL4-ヒトSky(Origene#MG1044_A02)およびヒトSkyのNCBI参照配列(NM_006293)に従う適切なプライマーを使用してPCR増幅した。増幅用のプライマーは以下の通りであった:
EcoRI認識配列を有する順方向プライマーSKY1:
5'-CGGAATTCGCCACCATGGCGCTGAGGCGGAGC-3'
XhoI認識配列を有する逆方向プライマーSKY2:
5'-GCCCTCGAGCTAACAGCTACTGTGTGGCAGTAG-3'
PCR産物およびpcDNA3はEcoRIおよびXhoIで消化し、連結させて、pcDNA3-hSky発現ベクターを生成した。DH5α細菌細胞に軽質転換し、単コロニーを得て、アンピシリンの存在の下で増殖した。市販のプラスミド精製キット(Qiagen)を使用して、pcDNA3-hSky発現ベクターを精製し、HEK293T細胞への後の一過性トランスフェクションのために配列を確認した。
【0123】
3E.マウスAXL、カニクイザルAXL、ヒトMer、およびヒトSkyのトランスフェクションおよび発現
マウスAXL、カニクイザルAXL、ヒトMerまたはヒトSkyの一過性発現のために、HEK293T細胞は、リン酸カルシウム法を施用して、pcDNA3空ベクター、pcDNA3-hAXL、pcDNA3mAXL、pcDNA3-cyAXL、pcDNA3-hMer、またはpcDNA3-hSkyのいずれかで一時的にトランスフェクトした。簡潔には、トランスフェクション前に、16ml培地中の3×106個のHEK293T細胞を15cmの細胞組織培養皿に接種し、30時間7%CO2および37℃で増殖した。720μlのddH2O中のそれぞれの発現構築体または空ベクターの32μgのDNAを2.5MのCaCl2および2×BBS(pH6.96)と混合し、10分間室温に保った。溶液を細胞培養物に軽く加え、8時間3%CO2および37℃でインキュベートした。次いで培地を新たな増殖培地と交換し、24時間7%CO2および37℃で細胞を培養した。
【0124】
3F.交差反応性に関してラット抗AXL抗体を試験するためのFACS分析
FACS分析用に、2×105個の細胞をPBS中10mM EDTAで採取し、FACSバッファー(PBS、3%FCS、0.4%アジド)で一回洗浄し、96ウエルの丸底プレートに接種した。上清を除去するために、プレートを3分間1,000rpmで遠心分離にかけ、細胞は10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5ならびに抗AXL11D5、11B7、10D12、6E7、2A1、11D7および12B7一次抗体溶液に再懸濁した(100μl/ウエル)。氷上で1時間のインキュベーション後、細胞を冷却FACSバッファーで二回洗浄し、FACSバッファー中に1:50に希釈した(100μl/ウエル)PE結合ロバ抗ラット(Jackson)二次抗体または対照用のPE結合ロバ抗マウス二次抗体と再懸濁した。光から保護し、細胞は氷上で30分間インキュベートし、FACSバッファーで二回洗浄し、Epics XL-MCLフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して分析した。
【0125】
図3は、この実験の代表的な結果を示す。マウスAXLならびにヒトMerおよびSkyと適度な交差反応性を示す12B7以外、本発明の他の抗AXL抗体はいずれもこれらの分子と交差反応しなかった。対照的に、試験した本発明のラット抗AXL抗体は全て、カニクイザルAXLと交差反応した。
【0126】
(実施例4.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroでリガンド誘導性AXLリン酸化を阻害する)
ELISA実験を実施して、本発明のラット抗AXL抗体がAXLのリガンドGas6介在性活性化を阻害することができるかどうか調べた。Gas6介在性のAXL活性化は、増大した受容体チロシンリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり3×104個の細胞を正常増殖培地中、平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、増殖培地を無血清培地に交換して、一晩24時間で細胞を餓死させた。さらに一晩で、黒色Maxi-Sorp96ウエルプレート(Nunc)を2μg/mlのPBSおよび4℃においてマウス抗ホスホチロシン抗体4G10でコーティングした。第3日に、4G10抗体溶液を除去し、Maxi-SorpウエルをPBS0.5%BSAで少なくとも4時間室温においてブロッキングした。平行して、細胞を10μg/mlのマウス対照抗体72A1およびラット抗AXL抗体2A1、11D7、11D5、11B7、6E7、および10D12と37℃で1時間プレインキュベートし、400ng/mlのGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。次いで培地を除去し、氷上で30分間、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(10mMのNa4P2O7、1mMのフェニルメチルスルホニルフロリド、1mMのオルトバナジウム酸、1mMのNaF、および0,5%のアプロチニン)を補充した溶解バッファー(50mMのHEPES、pH7.5、150mMのNaCl、1mMのEDTA、10%のグリセリン、および1%のTritonX-100)中で細胞を溶かした。一方、ブロッキングバッファーを除去し、溶解物を移動させ4℃で一晩インキュベートする前に、Maxi-Sorpプレートを洗浄バッファー(PBS、0.05%のTween20)で6回洗浄した。第4日にプレートを洗浄バッファーで6回洗浄した後、室温において2時間0.5μg/mlのPBSで、ビオチニル化ラット抗AXL抗体12B7と共にウエルをインキュベートした。プレートを洗浄バッファーで6回洗浄し、PBS中に1:4,000希釈したAP結合ストレプトアビジン(Chemicon#SA110)をそれぞれのウエルに加え、室温において30分間インキュベートした。その後、ウエルを洗浄バッファーで6回洗浄し、AttoPhos基質溶液(Roche#11681982)を加えた。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、430nmの励起波長および580nmの発光波長においてそれぞれのウエルの蛍光を回収した。
【0127】
図4は、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞(A)およびNCI-H292肺癌細胞(B)に関する、この実験の代表的な結果を示す。本発明のラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、および10D12は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性AXL活性化を阻害または低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、本発明のラット抗AXL抗体2A1および11D7は増大したリン酸化によって示されたように定常AXL活性化を刺激し、リガンド介在性AXL活性化を著しく低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。同群の抗体に関する同様の影響を、肺癌細胞系CaLu-1およびCaLu-6、乳癌細胞系Hs578TおよびMDA-MB-231、前立腺癌細胞系PC-3、膵臓癌細胞系PANC-1、メラノーマ細胞系C-8161、卵巣癌細胞系SkOV-3およびSkOV-8、グリア芽腫細胞系SF-126、子宮頸癌細胞系CaSki、および胃癌細胞系Hs746TおよびMKN-1において観察した。
【0128】
(実施例5.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroでリガンド誘導性p42/p44MAP-キナーゼリン酸化を阻害する)
次に、ELISA実験を実施して、本発明のラット抗AXL抗体がp42/p44MAP-キナーゼのリガンドGas6介在性活性化を阻害することができるかどうか調べた。Gas6介在性のp42/p44MAP-キナーゼ活性化は、増大したタンパク質(Thr202/Tyr204)のリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり2×104個の細胞を平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、正常増殖培地を無血清培地に交換して、36時間で細胞を餓死させた。その後、細胞は10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5ならびにラット抗AXL抗体11D5、11B7、および2A1と37℃で1時間プレインキュベートし、次いで400ng/mlのGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。培地を除去し、室温で30分間、PBS(pH7.5)に溶かした4%ホルムアルデヒドで細胞を固定した。ホルムアルデヒド溶液を除去し、細胞は洗浄バッファー(PBS、0.1%のTween20)で二回洗浄した。細胞は洗浄バッファー中1%のH2O2、0.1%のNaN3で急冷し、室温において20分間インキュベートした。その後、冷却溶液を除去し、細胞は洗浄バッファーで二回洗浄し、PBS、0.5%BSAで4時間4℃においてブロッキングした。PBS中に1:500希釈した抗ホスホp44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)一次抗体(ポリクローナルウサギ;Cell Signaling#9101)、0.5%BSA、5mMEDTAを一晩4℃において加えた。第4日に抗体溶液を除去し、プレートは洗浄バッファーで3回洗浄した。PBS中に1:2,500希釈したHRP結合抗ウサギ二次抗体(Dianova#111-036-045)、0.5%BSAを次いでそれぞれのウエルに加え、室温において1.5時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーで3回、およびPBSで2回、それぞれ5分間洗浄した。テトラメチルベンジジン(TMB、Calbiochem)を加え、620nmでモニターした。100μlの250nMHClを加えることによって反応を停止させ、Vmaxプレートリーダー(Thermo Lab Systems)を使用して620nmの参照波長で、450nmにおいて吸光度を読み取った。
【0129】
図5は、子宮頸癌細胞系CaSkiに関する、この実験の代表的な結果を示す。本発明のラット抗AXL抗体11B7および11D5は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性p42/p44MAPキナーゼ活性化を低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、本発明のラット抗AXL抗体2A1は増大したリン酸化によって示されたように定常p42/p44MAPキナーゼ活性化を刺激し、リガンド介在性p42/p44MAPキナーゼ活性化を低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。同群の抗体に関する同様の影響を、乳癌細胞系Hs578Tおよび肺癌細胞系NCI-H292において観察した。
【0130】
(実施例6.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroでリガンド誘導性Aktリン酸化を阻害する)
さらに、ELISA実験を実施して、本発明のラット抗AXL抗体がAkt-キナーゼのリガンドGas6介在性活性化を阻害することができるかどうか調べた。Gas6介在性のAkt-キナーゼ活性化は、増大したタンパク質(Ser473)のリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり2×104個の細胞を平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、正常増殖培地を血清低下(DMEM、0.5%のFCS、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞用)または無血清(癌細胞系用)培地に交換して、36時間で細胞を餓死させた。その後、細胞は10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5ならびにラット抗AXL抗体11D5、11B7、および2A1と37℃で1時間プレインキュベートし、次いで400ng/mlのGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。培地を除去し、室温で30分間、PBS(pH7.5)に溶かした4%ホルムアルデヒドで細胞を固定した。ホルムアルデヒド溶液を除去し、細胞は洗浄バッファー(PBS、0.1%のTween20)で二回洗浄した。細胞は1%のH2O2、0.1%のNaN3、洗浄バッファー中で急冷し、室温において20分間インキュベートした。その後、冷却溶液を除去し、細胞は洗浄バッファーで二回洗浄し、PBS、0.5%BSAで4時間4℃においてブロッキングした。PBS中に1:500希釈した抗ホスホAkt(Ser473)一次抗体(ポリクローナルウサギ;Cell Signaling#9271)、0.5%BSA、5mMEDTAを一晩4℃において加えた。第4日に抗体溶液を除去し、プレートは洗浄バッファーで3回洗浄した。PBS中に1:2,500希釈したHRP結合抗ウサギ二次抗体(Dianova#111-036-045)、0.5%BSAを次いでそれぞれのウエルに加え、室温において1.5時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーで3回、およびPBSで2回、それぞれ5分間洗浄した。テトラメチルベンジジン(TMB、Calbiochem)を加え、620nmでモニターした。100μlの250nMHClを加えることによって反応を停止させ、Vmaxプレートリーダー(Thermo Lab Systems)を使用して620nmの参照波長で、450nmにおいて吸光度を読み取った。
【0131】
図6は、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞(A)およびCaLu-1肺癌細胞(B)に関する、この実験の代表的な結果を示す。本発明のラット抗AXL抗体11B7および11D5は、低下したリン酸化によって示されたようにリガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を阻害または低減することができ、したがってアンタゴニスト抗AXL抗体と考えられる。対照的に、本発明のラット抗AXL抗体2A1は増大したリン酸化によって示されたように定常Akt-キナーゼ活性化を刺激し、リガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を低減させず、したがってアゴニスト抗AXL抗体と考えられる。同群の抗体に関する同様の影響を、肺癌細胞系NCI-H292、乳癌細胞系Hs578TおよびMDA-MB-231、前立腺癌細胞系PC-3、膵臓癌細胞系PANC-1、メラノーマ細胞系C-8161、卵巣癌細胞系SkOV-3およびSkOV-8、膀胱癌細胞系TCC-Sup、ならびに線維肉腫細胞系HT1080において観察した。
【0132】
(実施例7.本発明のラット抗体とキメラ抗AXL抗体はin vitroにおいて同程度でリガンド誘導性Aktリン酸化を阻害する)
ラット抗AXL抗体11B7と11D5のキメラ派生物を本発明の一部として生成した(以下参照)。本発明のラット抗AXL抗体と本発明の対応するキメラ抗AXL抗体が、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞中のAkt-キナーゼのリガンドGas6介在性活性化を同程度で阻害することができたかどうか調べるために、ELISA実験を実施した。抗体介在性のAkt-キナーゼ阻害は、低下したタンパク質(Ser473)のリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり2×104個の細胞を平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、正常増殖培地を血清低下(DMEM、0.5%のFCS)培地に交換して、36時間で細胞を餓死させた。その後、細胞は50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、500ng/ml、および1μg/mlのラット抗AXL抗体11B7またはキメラ抗AXL抗体ch11B7、ならびに50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、500ng/ml、1μg/ml、5μg/ml、および10μg/mlのラット抗AXL抗体11D5またはキメラ抗AXL抗体ch11D5と37℃で1時間プレインキュベートし、次いで400ng/mlのGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。培地を除去し、室温で30分間、PBS(pH7.5)に溶かした4%ホルムアルデヒドで細胞を固定した。ホルムアルデヒド溶液を除去し、細胞は洗浄バッファー(PBS、0.1%のTween20)で二回洗浄した。細胞は1%のH2O2、0.1%のNaN3、洗浄バッファー中で急冷し、室温において20分間インキュベートした。その後、冷却溶液を除去し、細胞は洗浄バッファーで二回洗浄し、PBS、0.5%BSAで4時間4℃においてブロッキングした。PBS中に1:500希釈した抗ホスホAkt(Ser473)一次抗体(ポリクローナルウサギ;Cell Signaling#9271)、0.5%BSA、5mMEDTAを一晩4℃において加えた。第4日に抗体溶液を除去し、プレートは洗浄バッファーで3回洗浄した。PBS中に1:2,500希釈したHRP結合抗ウサギ二次抗体(Dianova#111-036-045)、0.5%BSAを次いでそれぞれのウエルに加え、室温において1.5時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーで3回、およびPBSで2回、それぞれ5分間洗浄した。テトラメチルベンジジン(TMB、Calbiochem)を加え、620nmでモニターした。100μlの250nMHClを加えることによって反応を停止させ、Vmaxプレートリーダー(Thermo Lab Systems)を使用して620nmの参照波長で、450nmにおいて吸光度を読み取った。
【0133】
図7は、本発明のラット抗AXL抗体11B7およびキメラ抗AXL抗体ch11B7、ならびに本発明のラット抗AXL抗体11D5およびキメラ抗AXL抗体ch11D5は、低下したリン酸化によって示されたのと同程度でリガンド介在性Akt-キナーゼ活性化を阻害することができたことを実証する。したがって、それらの各ラット相当物と比較して、キメラ抗AXL抗体ch11B7およびch11D5は活性を維持した。
【0134】
(実施例8.本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体は、同一または構造上隣接するエピトープに関して互いに競合し、本発明のアゴニストラット抗AXL抗体と結合部位を共有しない)
本発明のラット抗AXL抗体が、それらがAXL-ECDドメイン上の類似した結合エピトープに関して互いに競合するかどうか調べた。したがって、ビオチニル化抗AXL抗体と抗AXL抗体とプレインキュベートしたAXL-ECDドメインコーティングプレートの結合を、競合ELISAにおいて決定した。簡潔には、30μgのアイソタイプ対照抗体1D5ならびにラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、10D12、11D7、および2A1を、製造者の説明書に従いSulfo-NHS-ビオチン(Pierce#21217)でビオチニル化し、Micro-BioSpinP6カラムSSC(BIO-RAD #732-6200)を使用して精製した。第1日に、黒色96ウエルMaxi-Sorpプレート(Nunc)を、4℃で一晩PBSに溶かした100μl/ウエルの1μg/mlのヒトAXL-ECD(R&D Systems#154-AL)でコーティングした。第2日に、コーティングしたMaxi-Sorpプレートをブロッキングバッファー(PBS、1%のBSA、0.05%のTWEEN-20)で室温において2時間ブロッキングし(250μl/ウエル)、その後室温において1時間ブロッキングバッファー中で10μg/mlで(100μl/ウエル)、PBSまたは非ビオチニル化アイソタイプ対照抗体1D5ならびに非ビオチニル化ラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、10D12、11D7、または2A1と共にインキュベートした。抗体溶液を洗浄せずに除去し、100μl/ウエルのPBSまたはビオチニル化アイソタイプ対照抗体1D5ならびにビオチニル化ラット抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、10D12、11D7、または2A1は、ブロッキングバッファー中に0.5μg/mlで加え、室温において15分間インキュベートした。洗浄バッファー(PBS、0,1%のTWEEN-20)で6回洗浄した後、ブロッキングバッファー中1:4,000に希釈した80μl/ウエルのAP結合ストレプトアビジン(Chemicon#SA110)を加え、室温において20分間インキュベートし、再度洗浄バッファーで6回洗浄し、最後にPBSで一回洗浄した。検出用に、100μl/ウエルのAttophos基質溶液(Roche#11681982)を加えた。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、430nmの励起波長および580nmの発光波長においてそれぞれのウエルの蛍光を回収した。
【0135】
図8はこの実験の代表的な結果を示す。本発明のアンタゴニスト抗AXL抗体11B7、11D5、6E7、および10D12は、同一または構造上隣接するエピトープに関して互いに競合する。本発明の2つのアゴニスト抗体11D7と2A1は異なるエピトープを個々に認識し、したがって相互排他的ではない。さらに、11D7と2A1はAXL-ECDとの結合に関してアンタゴニスト抗体と競合しない。対照抗体1D5はAXL-ECDと結合しなかった。
【0136】
(実施例9.本発明のラット抗AXL抗体とキメラ抗AXL抗体はin vitroにおいて肺癌細胞の移動および増殖を阻害する)
異なる細胞の移動および増殖率ならびに培養条件を調べるために、in vitro創傷治癒/擦過傷アッセイが長年利用されている。これらのアッセイは一般に、最初に融合性細胞単層を増殖することを含む。次いで小領域を分離し、例えばピペット先端でこの層の線を傷つけることによって一群の細胞を破壊または除去する。細胞が移動し損傷部位を充填するとき(「創傷」)、開いた裂け目を次いで経時的に顕微鏡によって調べる。簡潔には、1.5×106個のNCI-H292肺癌細胞を12ウエル皿のウエル当たりに接種し、正常増殖培地(RPMI、10%のFCS)中で培養した。8時間後、細胞をPBSで洗い流し、一晩24時間血清低下培地(RPMI、0.5%のFCS)中で餓死させた。滅菌した200μlピペットの先端を使用して、ウエル当たり3つの別個の均一な創傷を融合性NCI-H292細胞単層を介して傷つけた。細胞はPBSで軽く洗い流し、比較用に、添加剤なし、10μg/mlのアイソタイプ対照抗体1D5、アンタゴニストラット抗AXL抗体11D5、11B7、6E7、または10D12、キメラ抗AXL抗体chn11D5IgG2およびchn11B7IgG2、アゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7、ならびに10μg/mlのErbituxまたは5μMのSutentを含有する低血清培地(RPMI、10%のFCS)でインキュベートした。細胞を24時間で洗浄領域に移動させ、PBSで一回洗浄し、氷冷メタノール(100%)で-20℃において固定した。細胞をクリスタルバイオレット(0.5%、20%メタノール中)で染色した後、水で洗い流し、一晩乾燥させ、創傷の写真を撮影した。
【0137】
図9は、NCI-H292肺癌細胞に関する、この実験の代表的な結果を示す。アイソタイプ対照抗体と比較して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11D5、11B7、6E7、および10D12、ならびに本発明のキメラ抗AXL抗体chn11D5IgG2およびchn11B7IgG2は洗浄領域の再生息を低減させ、一方本発明のアゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7は完全な創傷閉鎖をもたらした。同群の抗体を用いた同様の結果を、卵巣癌細胞系SkOv-3または胃癌細胞系MKN-1で観察した。
【0138】
(実施例10.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroにおいてNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のリガンド誘導性移動を阻害する)
トランスマイグレーションの実験を実施して、本発明の抗体が細胞移動を阻害するかどうか調べた。この目的のために、第1日の朝に、NIH3T3-AXLcl.7細胞を15cm皿上、正常増殖培地中に接種し、それを夕方に血清低下培地(DMEM、0.5%のFCS)に交換して、36時間で細胞を餓死させた。翌日、FluoroBlock96ウエルプレート(Becton Dickinson#351164、8μm孔径)を、37℃において一晩10μgコラーゲンI/ml0.1M酢酸でコーティングした。第3日に、血清低下培地(DMEM、0.5%のFCS)をさらに4時間、無血清培地(DMEM、0%のFCS、0.1%のBSA)に交換した。PBS中10mM EDTAで細胞を採取し、4×105個の細胞/mlの細胞密度および10μg/mlの抗体濃度で45分、ラット抗AXL抗体4A6、11B7または2A1と共にプレインキュベートした。次いでウエル当たり50μlの細胞懸濁液(20,000細胞)を、FluoroBlock96ウエルプレートの上部チャンバーに置き、ウエル当たり400ng/mlマウスGas6(R&D Systems)有りまたはなしの225μlの培地(DMEM、0%のFCS、0.1%のBSA)を底部チャンバーにおいて使用した。細胞は37℃において7時間移動させ、その後4.2μMのカルセイン-AM(Molecular Probes#C3099)PBS中、1mMのCaCl2、1mMのMgCl2で37℃において1時間染色した。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、530nmの波長においてそれぞれのウエルの蛍光を測定した。
【0139】
図10は、本発明のアンタゴニスト抗AXL抗体11B7が、NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞の定常およびGas6誘導性移動の両方を低減し、一方で本発明のアゴニストラット抗AXL抗体2A1は、NIH3T3-AXLcl.7細胞のリガンド誘導性、および特に定常移動を増大したことを示す。抗体4A6は細胞の移動に影響を与えなかった。
【0140】
(実施例11.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroにおいてNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のリガンド誘導性増殖を阻害する)
in vitroにおいて実験を実施して、Gas6誘導性細胞増殖を阻害する本発明のラット抗AXL抗体の能力を決定した。この目的のために、ウエル当たり2,500個のNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞を、一晩96ウエルプレート上のFCS含有培地中に接種した。翌日、血清低下培地(DMEM、0.5%のFCS)において10時間で細胞を餓死させ、その後20μg/mlのマウス対照抗体72A1、アンタゴニストラット抗AXL抗体11D5および11B7、ならびにアゴニスト抗体2A1と共に、DMEM、0.5%FCS中で1時間37℃においてプレインキュベートした。細胞は抗体溶液に直接リガンドを加えることによって400ng/mlマウスGas6(R&D Systems)有りまたはなしで処理し、次いで96時間増殖させた。AlamarBlue(商標)(BIOSOURCE#DAL1100)を加え、暗所で37℃においてインキュベートした。吸光度は30分毎に590nmで測定した。AlamarBlue(商標)を加えた4時間後にデータを得た。
【0141】
図11はこの実験の代表的な結果を示す。本発明のアンタゴニスト抗AXL抗体11D5および11B7はNIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のGas6誘導性増殖を阻害し、一方で本発明のアゴニストラット抗AXL抗体2A1は、NIH3T3-AXLcl.7細胞のリガンド誘導性、および特に定常増殖を増大した。
【0142】
(実施例12.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroにおいて血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のリガンド介在性抗アポトーシスを阻害する)
アポトーシスの誘導およびカスパーゼの活性化は、増殖因子離脱、化学療法剤または放射線への露出、またはFas/Apo-1受容体介在性細胞死プロセスの開始を含めた様々な刺激から生じる可能性がある。Gas6-AXL相互作用は、血清飢餓NIH3T3線維芽細胞(Goruppiら、1996、Oncogene 12、471〜480頁)または肺内皮細胞(Healyら、2001、Am.J.Physiol.、280、1273〜1281頁)を含めた一定範囲の細胞型のアポトーシスからの防御と関係があることが示されてきている。この実施例において本発明者らは、本発明のラット抗AXL抗体は血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のGas6介在性抗アポトーシスに干渉し、したがってアポトーシスを誘導するかどうか調べた。したがってアポトーシス率は、細胞のカスパーゼ-3/7活性の測定によって決定した。この目的のために、NIH3T3-AXLcl.7細胞を黒色透明底96ウエルプレート中にウエル当たり1.5×103個の細胞の密度で接種した(100μl/ウエル)。翌日、正常増殖培地を血清低下培地(DMEM、0.5%のFCS)と交換して、一晩24時間で細胞を餓死させた。翌日、DMEM、0%のFCS、0.01%のBSA中に80μg/mlで、アイソタイプ対照抗体1D5、アンタゴニストラット抗AXL抗体11B7および11D5、ならびにアゴニストラット抗AXL抗体11D7および2A1の抗体溶液を調製した。細胞はPBSで洗浄し、60μlのDMEM、0%のFCS、0.01%のBSAで覆い、10μlのそれぞれの抗体溶液を加えた。37℃で1時間のインキュベーション後、10μlのDMEM、0%のFCS、0.01%のBSA、3.2μg/mlのマウスGas6(R&D Systems)有りまたはなしを加え(抗体およびGas6の最終濃度はそれぞれ10μg/mlおよび400ng/mlであった)、細胞はさらに5時間37℃においてインキュベートした。以下のステップは、Apo-ONE Homogenwousカスパーゼ-3/7アッセイ(Promega、G7791)に対する技術告示を指す。簡潔には、培養プレートをインキュベーターから除去し、20分間室温で平衡状態に保った。60μlのApo-ONE基質と6mlバッファーを解凍し、組合せ、サンプルに加えた(75μl/ウエル)。ウエルの中身を30秒間軽く攪拌し、光から保護し、室温で1時間インキュベートした。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、485nmの励起波長および530nmの発光波長においてそれぞれのウエルの蛍光を測定した。
【0143】
図12は、この実験の代表的な結果を示す。アイソタイプ対照抗体と比較して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7および11D5は、血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7線維芽細胞のGas6介在性抗アポトーシスを低減し、したがってアポトーシスを誘導した。対照的に、本発明のアゴニストラット抗AXL抗体2A1および11D7は、Gas6の有無とは無関係に血清飢餓NIH3T3-AXLcl.7細胞の抗アポトーシスを強く誘導し、したがってアポトーシスを阻害した。
【0144】
(実施例13.本発明のラット抗AXL抗体はin vitroにおいて球状系細胞血管新生を阻害する)
AXLは、in vitroでの内皮細胞の移動、増殖、および管形成を含めた多数の血管新生挙動の重要なレギュレーターである(Hollandら、Cancer Res:65、9294〜9303頁、2005)。したがって、本発明のラット抗AXLモノクローナル抗体11B7および11D5を、HUVEC球状系細胞のVEGF-A誘導性血管発芽に対する阻害効果に関して試験した。これらの実験は本来公開されたプロトコル(KorffおよびAugustin:J Cell Sci 112:3249〜58頁、1999)を修正して進めた。簡潔には、プラスチック皿において懸滴法で500個のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をピペッティングして、一晩で球状系細胞を凝集させることによって、記載されたように(KorffおよびAugustin:J Cell Biol 143:1341〜52頁、1998)球状系細胞を調製した。次いで50個のHUVEC球状系細胞を0.9mlのコラーゲン溶液中に接種し(2mg/ml)、24ウエルプレートの個々のウエルにピペッティングして重合させた。低濃度のラット抗AXL抗体11B7および11D5(1×10-6M、1×10-7M、1×10-8M、1×10-9M、1×10-10M)を重合前にコラーゲン溶液中で直接混合し、一方増殖因子VEGF-A(最終濃度25ng/ml)を、重合ゲルの上部での100μlの10倍濃縮希釈標準溶液のピペッティングによって30分後に加えた。プレートは24時間37℃においてインキュベートし、4%のパラホルムアルデヒドを加えることによって固定した。HUVEC球状系細胞の発芽強度は、倒立顕微鏡およびデジタル画像ソフトウェアAnalysis3.2(Softイメージングシステム、Munster、ドイツ)を使用して、球状系細胞当たりの累積発芽長を決定する画像解析システムによって定量化した。10個のランダムに選択した球状系細胞の累積発芽長の平均を、個々のデータ点として分析した。
【0145】
図13はこの実験の代表的な結果を示す。本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7(A)および11D5(B)は、球状系細胞血管新生アッセイ中で用量依存式にVEGF-A刺激性HUVEC発芽を阻害した。最高濃度の11B7を用いた治療はHUVECの発芽を基礎レベルに低減した一方で、最高濃度の11D5を用いた阻害はそれほど有効ではなかった(左図)。HUVECの発芽は、11B7および11D5に関してそれぞれ9.8×10-8Mおよび7.0×-7MのIC50値で阻害された(右図)。
【0146】
(実施例14.本発明のラット抗AXL抗体はヌードマウス中のヒト前立腺癌増殖を低減する)
治療用抗体の抗腫瘍有効性は、ヒト異種移植腫瘍試験において評価されることが多い。これらのモデル系では、ヒト腫瘍を免疫不全マウス中で異種移植片として増殖させ、腫瘍増殖阻害の程度によって治療有効性を測定する。この試験の目的は、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7が、ヌードマウス中のヒト前立腺癌細胞の腫瘍増殖に干渉するかどうか評価することであった。簡潔には、第0日に、7〜8週齢のオスNMRI-nu/nuマウス(およその重量:順化後30g)に、2l/分の酸素流量において1.5〜2.0体積パーセントのイソフルランで麻酔をかけ、25μlのPBS中の1×106個のPC-3-LN細胞を前立腺中に同所に移植した。PC-3-LN細胞は、ルシフェラーゼ-ネオマイシン融合タンパク質をコードするレトロウイルスに感染したPC-3前立腺癌細胞系に由来する。したがって腫瘍増殖の発症および腫瘍増殖の進行は、in vivo生物発光イメージングによって測定可能であった。この目的のために、ルシフェリンをマウスに腹膜内(i.p.)注射して、NightOWLLB981生物発光イメージングシステム(Berthold Technologies、ドイツ)を使用して注射後10分で発光を測定した。初回治療の前に、動物を無作為に分け、統計的検定を実施して、各10匹の動物の治療群中の開始腫瘍体積(平均、中央および標準偏差)の均一性を保証した。第8日に全ての治療を開始し、第34日まで続け、次に第35日に解剖した。25mg/kgの25mg/kgのアイソタイプ対照抗体1D5およびアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7を、週に3回(月曜日、水曜日、金曜日)それぞれ群1および2の動物に腹膜内(i.p.)投与した。群3の動物には一日一回40mg/kgのSutentを経口(p.o.)投与した。群4の動物には4日間隔でそれぞれ12.5mg/kgのTaxotereを3回静脈内(i.v.)注射した。治療群の概要は以下に与える。
【0147】
【表2】

【0148】
図14は、この実験の代表的な結果を示す。アイソタイプ対照抗体1D5と比較して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7は、ヌードマウス中のPC-3-LN前立腺腫瘍の全体的増殖を低減させた。
【0149】
(実施例15.本発明のラット抗AXL抗体はヒト前立腺癌の転移を阻害する)
「Rat anti-AXL antibodies of the invention reduce human prostate carcinoma growth in nude mice」で記載されたのと同じ実験において、他の器官へのPC-3-LN腫瘍細胞の再局在化(転移)を解剖後に分析して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7の抗転移効果を評価した。この目的のために、選択した器官(肝臓、脾臓、肺、大腿骨、および腰椎の一部)を解剖後に回収し、均質化し、ルシフェリンを補充した。その後、NightOWLLB981生物発光イメージングシステム(Berthold Technologies、ドイツ)を使用して発光を測定した。
【0150】
図15は、脾臓の分析に関するこの実験の結果を示す。アイソタイプ対照抗体1D5と比較して、本発明のアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7は、脾臓転移の発生を低減した。特に、この実験中の11B7の抗転移効果はSutentのそれより強かった。肝臓、肺、大腿骨、および腰椎転移に関して同様の観察結果を得た。
【0151】
(実施例16.AXLは隣接正常組織より腫瘍中で主に発現される)
この試験では、17の異なるヒト悪性腫瘍におけるAXL発現を、組織マルチアレイ形式でホルマリン固定パラフィン包埋組織において免疫組織化学的に分析した。それぞれの腫瘍型に関して、腫瘍組織の対および非悪性腫瘍組織との適合を調べた。簡潔には、組織を16〜20時間4%の中性緩衝ホルマリン固定し、パラフィン包埋した。60コア組織マイクロアレイ(TMA)の構築用に、各症例の健常組織の1つの穿孔および対応する腫瘍組織の1つの穿孔が病理学者によって選択された。正常対照組織穿孔(それぞれの組織型の3個)を有する96コアTMAをFDAガイドラインに関して生成した。それぞれの穿孔は直径1.5mmであった。
【0152】
ミクロトームを用いて、選択した組織塊の切片の2〜4μmの切片を切断し、シラン系スライドガラス(Sigma)に載せ、60℃で30分間および38℃で一晩乾燥させた。キシレン浴で5分間2回、アセトンで5分間2回、および最後に蒸留水で5分間のインキュベーションによって切片を脱パラフィン処理した。切片の加熱前処理を10mMのクエン酸バッファー、pH6.0中、30分間スチーマー中で実施し、次に蒸留水中で洗浄した。内因性ペルオキシダーゼは、室温で20分間のメタノール中0.3%H2O2の新たに調製した溶液とのインキュベーションによって阻害し、次に蒸留水およびPBS中でそれぞれ5分間洗浄した。切片は室温で60分間ポリクローナルヤギ抗ヒトAXL抗体(Santa Cruz SC-1096)(1:20希釈、TBST中)と共にインキュベートした。TBST中で3回洗浄した後、切片は室温で45分間ビオチニル化ウサギ抗ヤギ二次抗体(Dianova、1:200希釈、TBST中)と共にインキュベートした。前と同様に洗浄した後、切片は室温で30分間ストレプトアビジン/HRP(DAKO、1:300希釈、TBST中)と共にインキュベートし、次に前と同様に洗浄した。染色はDAB溶液(DAKO、1:50希釈、基質バッファー中)で10分間室温において実施した。最後に、スライドを水で洗い流し、ハリスヘマトキシリンで対比染色し、スライドガラスでカバーした。対照切片は、抗AXL一次抗体の代わりにヤギIgG対照抗体(R&D)と共にインキュベートした。
【0153】
図16は、17の異なるヒト固形腫瘍および対応する非悪性腫瘍組織におけるAXL発現に関する、この分析の結果を要約する(A)。それぞれの兆候に関してスクリーニングした全ての症例の中で、濾胞性リンパ腫、前立腺癌(単細胞除く)、および腎臓癌では顕著な発現は検出しなかった。メラノーマおよびメルケル細胞腫瘍は、AXLの非常に低い発現を示した。肺の幾つかの腫瘍、主に腺癌において弱い発現を観察した。食道およびバレット腫瘍、卵巣、結腸および膵臓腫瘍ならびに肝臓腫瘍(肝細胞癌)は、約30%の症例において弱い染色を示した。頭頸部腫瘍は約40%の腫瘍において弱度〜適度の染色を示した。乳、頚部、膀胱、甲状腺および胃の60%〜100%の分析した腫瘍において弱度〜適度の染色を検出した。最も強い染色は乳腺腫瘍および胃印環細胞癌において見られた(B)。バックグラウンドより弱い染色を時折示した腎臓の細管以外、非悪性腫瘍組織は主として特異的染色は示さなかった。
【0154】
(実施例17:抗AXL抗体の構造および特性)
17A.ラット抗体可変ドメインのヌクレオチド配列
ラット抗AXL抗体の可変ドメインをハイブリドーマ細胞からクローニングした。RNAはRNA抽出キットRNeasy(RNeasy midi-キット、Qiagen)を利用して調製した。抗体遺伝子をコードするcDNAは、製造者の説明書に従い5'RACEキット(Invitrogen)を使用して調製する。
【0155】
簡潔には、第一鎖cDNAを、遺伝子特異的GSP1-プライマーおよびSuperscript(商標)II逆転写酵素を使用して全体またはRNAから合成した。第一鎖cDNA合成後、原型mRNA鋳型はRNaseMixを用いた処理によって除去する。次いでホモポリマー尾部をcDNAの3'末端に加える。TaqDNAポリメラーゼ、ネスト型、cDNA分子内に位置する部位とアニーリングする遺伝子特異的プライマー(GSP2)、およびキットと共に与えられたアンカープライマーを使用してPCR増幅を実施する。増幅後、5'RACE産物は配列決定用のpLXSN-ESKベクターにクローニングした。クローニングを容易にするために、アンカープライマー(AP)はSalIの認識配列を含み、GSP2プライマーはXhoI部位を含有していた。
【0156】
GSP1プライマー:
kappa_GSP1:GATGGATGCATTGGTGCAGC
新_kappa_GSP1:ATAGATACAGTTGGTGCAGC
重鎖_GSP1:CAGGGTCACCATGGAGTTA
GSP2プライマー:
XhoI-hGSP2:CCGCTCGAGCGGGCCAGTGGATAGACAGATGG
XhoI-kGSP2:CCGCTCGAGCGGCCGTTTCAGCTCCAGCTTGG
【0157】
ラット抗AXLモノクローナル抗体クローニング用のGSPプライマーの利用:
11B7:kappaGSP1;XhoI-kGSP2
重鎖GSP1;XhoI-hGSP2
10D12:kappa_GSP1、新_kappa_GSP1;XhoI-kGSP2
重鎖GSP1;XhoI-hGSP2
11D5:新_kappa_GSP1;XhoI-kGSP2
重鎖GSP1;XhoI-hGSP2
【0158】
17B.ラット抗AXL抗体可変ドメインのアミノ酸配列
ラット抗体可変ドメインの配列を、クローニングした配列決定遺伝子からpLXSN-ESKベクターに翻訳した。所与のアミノ酸配列は可変ドメインの1つの位置で始まる。抗体とその標的の特異的結合に必要とされる相補性決定領域(CDR)は、Kabat(KabatらSequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition.NIH Publication No.91〜3242頁、1991)に従い定義される。Kabatの定義は可変ドメイン内の配列変動性に基づく。抗体の抗AXL特異的CDR領域は配列番号13〜30で列挙する。個々のCDRは以下の位置を含む:
CDR-L1:24〜34
CDR-L2:50〜56
CDR-L3:89〜97
CDR-H1:31〜35b
CDR-H2:50〜65
CDR-H3:95〜102
【0159】
17Cラット抗体の発現および精製:
4.5g/Lのグルコース、1%のグルタミン、1%のピルビン酸塩、1%のPen/Strepを含むDMEMを使用して37℃、5〜7%のCO2において、CellineCL1000バイオリアクター(Integra Biosciences)中でハイブリドーマを培養した。FCSの補充は、栄養区画に関して1%のFCSおよび細胞区画に関して5%低IgGFCSである。採取および培地交換は週に2回実施する。細胞増殖に応じた1/1〜>1/3の細胞分裂。生産性はSDS-PAGE分析によって週に1回試験する。精製まで上清は-20℃で保存する。実験培養物のマイコプラズマ試験は週に1回実施する。
【0160】
抗体はAkta Explorer100システム(GE-Healthcare)によってタンパク質AまたはGセファロースFF(GE-Healthcare)を使用して精製する。カラムはそれぞれの精製用に個別に充填した。カラムサイズは各バッチ(通常50〜500mg)の予想される生産性およびサイズに調節する。タンパク質含有溶液は可能な限り常に氷上または4℃で保つ。滅菌バッファーおよび二回蒸留水は全プロセスに使用する。
【0161】
上清を解凍し、50mMのトリスpH8.5で緩衝処理し、遠心分離にかけ、0.22μmの膜を介して濾過し、カラムに充填する。8カラム体積(CV)の50mMPO4、pH8.5での洗浄後、10CVの100mMのグリシン、pH3.3以内で抗体を溶出する。溶出分画は1/5の1MトリスpH8.0を加えることによってすぐに中性pHに再度中和し(4ml溶出分画当たり1mlのトリス)、その後rSDS-PAGEによって透析した。純粋な抗体を含有する分画をプールし、4℃においてPBSで透析し、滅菌濾過する。
【0162】
バッファーシステムの要件は、それぞれの抗体の個々の性質に従い調節する。特に、ラットIgG2a抗体11D5をタンパク質G4FFマトリクス(GE-Healthcare)と結合させ、高塩条件(2MのNaCl)下で洗浄した。ラット抗体IgG111B7は、11D5に従い高塩条件下でrタンパク質A(GE-Healthcare)によって精製した。抗体溶出はpH5.5で実施した。ラット抗体精製に関する流速は、高い結合有効性のために低く保たなければならない。
【0163】
第二の精製ステップとして、イオン交換クロマトグラフィー(個々の、適切な条件下)または調製サイズ排除クロマトグラフィー(PBS、pH7.4)のいずれかを実施することができる。
【0164】
精製抗体の品質管理のための標準プロトコルは:
・rSDS-PAGEゲル分析;クーマシーまたは銀染色
・BCA試験(Pierce#23227BCAタンパク質アッセイキット;ラットIgG標準#31233)
・分析用サイズ排除(Superdex200Tricorn10/300GL、250μl中約250mg;0.5ml/分、Akta Explorer100)
・エンドトキシン試験(LAL、CambrexQCL-1000(登録商標)色原体LAL終点アッセイ#US50-648U)
・細胞ベースの活性アッセイ(FACS結合;pAkt;pAXL)を含む。
【0165】
精製抗体は、それらの安定性に応じて4℃または-20℃で滅菌条件下においてPBS、pH7.4中に保存した。
【0166】
17D.FACSスキャッチャードによる抗体親和性の決定
ヒトAXL過剰発現NIH3T3細胞をPBS中10mM EDTAとのインキュベーションによって採取し、FACSバッファー(PBSpH7.4、3%のFCS、0.1%のNaN3)中に1ml当たり6百万個の細胞で再懸濁した。丸底マイクロタイタープレートにおいて、100μlの細胞懸濁液を、FACSバッファー中に40μg/mlと0.002μg/mlの間の濃度(266および0.01nM)で、抗体11B7、11D5、ch11B7-IgG2またはch11D5-IgG2を含有する100μlの抗体溶液に加えた。抗体の結合は氷上において2時間進行させた。次いで、細胞はウエル当たり250μlのFACSバッファーで二回洗浄し、FACSバッファー中に1:50希釈した200μlの二次抗体(抗ラットPE;Jackson)に再懸濁した。45分のインキュベーション後、再度細胞をFACSバッファーで二回洗浄し、FACS分析用に500mlのPBSに再懸濁した。分析はBeckman-CoulterFACSFC500で実施した。見かけの親和性定数KDappを決定するために、平均蛍光値を平均蛍光と対応する抗体濃度([M])の比に対してプロットした。直線の逆勾配から生じた計算上のKDappを以下に挙げる:
【0167】
【表3】

【0168】
(実施例18.ラット抗AXL抗体のキメラ化:)
ヒトkappa軽鎖および重鎖IgG1/2遺伝子を、以下に記載したようにヒトボランティアの末梢血単核細胞(PBMC)からクローニングした:
【0169】
PBMCは全血から調製した。血液は室温でPBS/2mMEDTAおよび10U/mlヘパリン中に1/2,5希釈し、ダイアフラム(35ml/チューブ)[Biochrom#L6115からのBiocoll]で覆った15mlのBiocoll溶液で層状にした。サンプルは室温において30分間400×gで遠心分離にかけ、血清(約15ml)は廃棄した。PBMCを含有する界面はパスチュールピペットを使用して注意深く回収した。PBMCはPBS/2mMEDTA中で2回洗浄し(一回目の洗浄100ml、二回目の洗浄50ml)、300×gで10分間遠心分離にかけた。細胞ペレットはRPMI/10%のFCS(25ml)に再懸濁し、5.5×107個のPBMCを生成した。
【0170】
RNAは製造者の説明書に従いQiagen(#75142)からのRNeasyキットを使用してPBMCから調製した。精製RNA(30μg)は-80℃においてアリコートに保存した。
【0171】
抗体IgGガンマ1および2ならびにkappa鎖に関するcDNAを、以下のプライマーを使用して、製造者の説明書に従いSuperskriptIII逆転写酵素(invitrogen#18080〜93)を使用して、RT-PCRによって単離RNAから調製した:
【0172】
1) RT-γ: GCG TGT AGT GGT TGT GCA GAG
2) RT-γ2: GGG CTT GCC GGC CGT G
3) RT-κ: TGG AAC TGA GGA GCA GGT GG
4) 5'Blp: AGA TAA GCT TTG CTC AGC GTC CAC CAA GGG CCC ATC GGT
5) 3'Bam(GAG): AGA TGG ATC CTC ATT TAC CCG GAG ACA GGG AGA G
6) 5'Bsi: AGA TAA GCT TCG TAC GGT GGC TGC ACC ATC TGT CTT CAT
7) 3'Bam(CTT): AGA TGG ATC CCT AAC ACT CTC CCC TGT TGA AGC TCT
【0173】
プライマーは100μMで溶かした。RT-PCR反応は、それぞれ2pmolのオリゴRTγおよびRTκを使用することによって実施し、1μgのRNA、10mMのdNTP混合物を加え、65℃で5分間加熱した。4μlの第一鎖バッファー、1μlの0.1MDTT、1μlのRNase阻害剤(40U/μlのFermentas#EO0311)および2μlのSuperscriptIIIRTを加え、混合し50℃で1時間インキュベートし、次に熱不活性化ステップを15分間70℃で行った。
【0174】
2μlの第一鎖反応混合物を、Taqポリメラーゼ(Eurochrom#EME010001)を使用する第二ステップのPCRに使用して、抗体定常ドメインの二本鎖DNAを生成した。以下のPCR設定を使用して、プライマー5'BIpおよび3'Bam(GAG)を使用してγ-鎖を増幅し、かつ5'Bsiおよび3'Bam(CTT)を使用してκ-鎖定常領域を増幅した。
κ-鎖増幅:
94℃ 120秒
94℃ 30秒
55℃ 30秒
72℃ 45秒サイクル35回
72℃ 10分
γ-鎖増幅:
94℃ 120秒
94℃ 30秒
45℃ 30秒
72℃ 60秒サイクル5回
94℃ 30秒
50℃ 30秒
72℃ 60秒サイクル35回
72℃ 10分
【0175】
PCR産物をTAE緩衝2%アガロースゲル上で分析した。kappa軽鎖に関する約350bpの一本のバンドならびに重鎖γ1およびγ2に関する約1000bpの一本のバンドを発見した。PCR産物は、製造者の説明書に従いQiagenゲル抽出キット、(QIAGEN、#28784)によって精製した。PCR断片をpcDNA3ベクター(Invitrogen)のマルチクローニングサイトにクローニングするため、pcDNA3ベクターおよびPCR断片を、HindIII(5')およびBamHI(3')制限エンドヌクレアーゼで消化した。制限部位はPCRプライマー内にコードされた。消化した断片はQiagen PCR精製キット(QIAGEN、28104)を使用して精製し、γl、γ2およびκ鎖をコードするDNAをpcDNA3ベクターに連結させ、一晩16℃においてT4DNAリガーゼを容易にした。リガーゼは10分間65℃で不活性化した。連結したDNAプラスミドは、標準プロトコルを使用してCaCl2コンピテント大腸菌に直接形質転換し、アンピシリン含有LBプレートに平板培養した。一晩37℃のインキュベーション後、単コロニーを採取し、10μlのH2O中に懸濁し、PCRによって各抗体鎖含有プラスミドの含有に関して試験した(5μlの懸濁細胞、Taqポリメラーゼ、κコロニー用にプライマー5BIpおよび3Bam(GAG)γl/γ2ならびに5Bsiおよび3Bam(CTT):
94℃ 120秒
94℃ 30秒
55℃ 30秒
72℃ 60秒サイクル35回
72℃ 10分
【0176】
サンプルはPCR産物用の1.5%アガロースゲル上で分析した。抗体遺伝子含有コロニーを選択して、5mlのLB/アンピシリン培地に接種した。一晩37℃のインキュベーション後、大腸菌を採取し、Qiagen miniprepキット(QIAGEN、#12123)を使用してDNAを調製した。対照消化(HindIII、BamHI)は予想サイズで全てのκ鎖およびγ鎖遺伝子挿入体を示し、配列はMedigenomixでのDNA塩基配列決定によって確認した。
【0177】
ラット可変ドメインをpLXSN-ESKベクターからPCRによって増幅し、g1/g2およびkpcDNA3ベクターにクローニングしてキメラ完全長抗体を生成した。可変VLドメインは、5'末端にHindIIIおよびBsmI部位ならびに3'末端にBsiWI部位を含有する、以下のプライマーを用いて増幅した:
【0178】
VL-11B7-5': AGA TAA GCT TGT GCA TTC CGA CAT CCA GAT GAC CCA GGC TCC
VL-11B7-3': AGA TCG TAC GTT TCA GCT CCA GCT TGG TGC CTC
VL-11D5-5': AGA TAA GCT TGT GCA TTC CGA CAT CCA GAT GAC CCA GTC TCC ATC
VL-11D5-3': AGA TCG TAC GTT TCA GCT TGG TCC CAG
【0179】
可変VHドメインは、5'末端にHindIIIおよびBsmI部位ならびに3'末端にBIpI部位を含有する、以下のプライマーを用いて増幅した:
【0180】
VH-11B7/11D5-5': AGA TAA GCT TGT GCA TTC CGA GGT GCA GCT TCA GGA GTC AGG
VH-11B7/11D5-3': AGA TGC TGA GCT GAC AGT GAC CAT GAC TCC TTG GCC
【0181】
軽鎖のBsiWIおよび重鎖のBIpIは、可変ドメイン遺伝子の3'末端との直接融合を可能にするための、定常領域の5'末端における一部位である。
【0182】
pLNOH2ベクター(Norderhaug et. al.J.Immunol.Methods204、1997;Neuberger EMBO J. 1983;2(8):1373〜8頁、1983)由来のリーダー配列の配列番号69との融合のために、キメラ抗体鎖をコードする遺伝子を、組換え発現用にpCEPベクター系にクローニングした。軽鎖遺伝子はpCEP4(Invitrogen)中のNheI(5')およびXhoI(3')にクローニングし、重鎖遺伝子はpCEP-Pu中のKpnI(5')およびXhoI(3')にクローニングした(Kohfeld FEBS Vol414;(3)557ff、1997)。
【0183】
20×20cmプレート上に接種したHEK293細胞を、一過性発現用の標準的なCaPO4トランスフェクション法を使用して、軽鎖および重鎖遺伝子をコードする1μg/mlの各プラスミドとコトランスフェクトした。培養条件は、5%の低IgGFCS、1%のピルビン酸塩、1%のグルタミン、1%のペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM/F12高濃度グルコース培地中37℃、5%CO2であった。トランスフェクション後24時間で、培地を新たな培地に交換した。約3週間の間2〜3日毎に上清を回収した。ラット抗体精製に関して記載したのと同様に、標準バッファー条件(充填:50mMのトリス;pH=8.5、洗浄:5OmMのPO4;pH=8.5、溶出:10OmMのグリシン;pH3,3)下で1mlのHitraprタンパク質Aカラム(GE-Healthcare)を利用して、約600mlの上清からキメラ抗体を精製した。
【0184】
(実施例19.ラット抗AXL抗体可変ドメインのヒト化)
キメラ抗体のラット可変領域を、免疫グロブリンドメインに関するBLAST検索によってタンパク質レベルでヒト抗体生殖細胞配列と比較した。同一のCDRループ長をさらに有していたV-遺伝子内の最も近いヒト相当物を同定した。結合したDセグメントとJセグメントを、類似の手法中のラット配列とのそれらの相同性に従いV-BASEデータベース(http://vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk/)から選択した。
【0185】
11B7および11D5抗体のラット可変ドメイン用に、以下の最適ヒト生殖細胞配列(VDおよびJセグメント)を発見し、ヒトフレームワークとして定義した:
VL11B7ヒト:Vκ1-012+Jk1
VL11B7ヒト:VH4-59+D4-4(リーディングフレーム3)+JH4
VL11D5ヒト:Vκ1-L1+Jκ4
VL11D5ヒト:VH4-59+D4-4(リーディングフレーム3)+JH4
【0186】
ヒト化可変ドメインのリーダー配列は、選択した結合生殖細胞V-遺伝子配列から得た。Kabat( KabatらSequences of Proteins of Immunological Interest、Fifth Edition.NIH Publication No.91〜3242頁、1991)に従い定義されたラット抗AXL抗体のCDR残基は、抗AXL特異性のヒト生殖細胞フレームワークに移植して最終ヒト化型の抗AXL抗体hum11B7およびhum11D5を得た。
【0187】
ヒト化抗AXL抗体hum11B7およびhum11D5のタンパク質配列は以下の通りである:
【0188】
タンパク質配列はDNA配列に再翻訳した。Kazusa-Codon-Usageデータベースを使用して、哺乳動物細胞中での組換え発現用にDNA配列をコドン最適化した。ヒト化抗AXL抗体に関して生成したDNA配列は以下の通りである:
【0189】
ヒト化抗AXL抗体をコードする最適化DNA配列は、重複オリゴヌクレオチドに基づくPCR法によって合成した。
【0190】
VL-遺伝子はキメラ抗体構築体pCEP4_ch11B7k1のプラスミドを利用してpCEP4ベクターにクローニングした。クローニング部位は、ヒト化抗体の合成遺伝子中に既に含まれていたNheI(5')およびBsiWI(3')である。制限部位としてKpnI(5')およびBIpI(3')を利用して、対応するキメラ重鎖ベクターpCEP-PU_ch11B7g1中に、VH遺伝子をクローニングした。DNA最適化、遺伝子合成、クローニングおよび配列確認はEurofins Medigenomix GmbH, Martinsried、ドイツで実施した。
【0191】
(実施例20.本発明のラット抗体とキメラ抗Axl抗体はin vitroでリガンド誘導性Axlリン酸化を同程度で阻害する)
ラット抗Axl抗体11B7および11D5のキメラ派生物を本発明の一部として生成した(以下参照)。本発明のラット抗Axl抗体と本発明の対応するキメラ抗Axl抗体が、in vitroにおいて同程度でリガンドGas6介在性Axl活性化を阻害することができたかどうか調べるために、CaSki子宮頸癌細胞においてELISA実験を実施した。したがってGas6介在性Axl活性化を、増大した受容体チロシンリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり3×104個の細胞を正常増殖培地中、平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、増殖培地を無血清培地に交換して、一晩24時間で細胞を餓死させた。さらに一晩で、黒色Maxi-Sorp96ウエルプレート(Nunc)を2μg/mlのPBSおよび4℃においてマウス抗ホスホチロシン抗体4G10でコーティングした。第3日に、4G10抗体溶液を除去し、Maxi-SorpウエルをPBS0.5%BSAで少なくとも4時間室温においてブロッキングした。平行して、細胞は50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、および10μg/mlのラット抗Axl抗体11B7またはキメラ抗Axl抗体ch11B7と37℃で1時間プレインキュベートし、後に400ng/mlのGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。次いで培地を除去し、氷上で30分間、ホスファターゼおよびプロテアーゼ阻害剤(10mMのNa4P2O7、1mMのフェニルメチルスルホニルフロリド、1mMのオルトバナジウム酸、1mMのNaF、および0,5%のアプロチニン)を補充した溶解バッファー(50mMのHEPES、pH7.5、150mMのNaCl、1mMのEDTA、10%のグリセリン、および1%のTritonX-100)中で細胞を溶かした。一方、ブロッキングバッファーを除去し、溶解物を移動させ4℃で一晩インキュベートする前に、Maxi-Sorpプレートを洗浄バッファー(PBS、0.05%のTween20)で6回洗浄した。第4日にプレートを洗浄バッファーで6回洗浄した後、室温において2時間0.5μg/mlのPBSで、ビオチニル化ラット抗Axl抗体12B7と共にウエルをインキュベートした。プレートを洗浄バッファーで6回洗浄し、PBS中に1:4,000希釈したAP結合ストレプトアビジン(Chemicon#SA110)をそれぞれのウエルに加え、室温において30分間インキュベートした。その後、ウエルを洗浄バッファーで6回洗浄し、AttoPhos基質溶液(Roche#11681982)を加えた。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、430nmの励起波長および580nmの発光波長においてそれぞれのウエルの蛍光を回収した。
【0192】
図17は、子宮頸癌細胞系CaSkiに関するこの実験の代表的な結果を示す。相対的なAxlリン酸化の濃度依存的低減によって実証されたように、本発明のラット抗Axl抗体11B7(A)および本発明のキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)は、同程度で受容体チロシンキナーゼAxlのリガンド介在性活性化を阻害することができた。同じ実験設定を適用した比較可能な影響を、メラノーマ細胞系C-8161で観察した。
【0193】
(実施例21.本発明のラット抗Axl抗体とキメラ抗Axl抗体はin vitroでリガンド誘導性p42/p44MAP-キナーゼリン酸化を同程度で阻害する)
本発明のラット抗Axl抗体と本発明の対応するキメラ抗Axl抗体が、CaSki子宮頸癌細胞においてp42/p44MAP-キナーゼのGas6誘導性活性化も同程度で阻害することができたかどうかをさらに確認するために、ELISA実験を実施した。ここでは、Gas6誘導性p42/p44MAP-キナーゼ活性化は、増大したタンパク質(Thr202/Tyr204)のリン酸化によって検出した。簡潔には、第1日に、ウエル当たり2×104個の細胞を平底96ウエルプレート中に接種した。翌日、正常増殖培地を無血清培地に交換して、24時間で細胞を餓死させた。その後、細胞は50ng/ml、100ng/ml、300ng/ml、750ng/ml、1μg/ml、および10μg/mlのラット抗Axl抗体11B7またはキメラ抗Axl抗体ch11B7と37℃で1時間プレインキュベートし、次いで400ng/mlのmGas6(R&D Systems)有りまたはなしで37℃において10分間処理した。培地を除去し、室温で30分間、PBS(pH7.5)に溶かした4%ホルムアルデヒドで細胞を固定した。ホルムアルデヒド溶液を除去し、細胞は洗浄バッファー(PBS、0.1%のTween20)で二回洗浄した。細胞は1%のH2O2、0.1%のNaN3、洗浄バッファー中で急冷し、室温において20分間インキュベートした。その後、冷却溶液を除去し、細胞は洗浄バッファーで二回洗浄し、PBS、0.5%BSAで4時間室温においてブロッキングした。PBS中に1:1,000希釈した抗ホスホp44/p42MAPキナーゼ(Thr202/Tyr204)一次抗体(ポリクローナルウサギ;Cell Signaling#9101)、0.5%BSA、0.05%Tween20、5mMEDTAを一晩4℃において加えた。第4日に抗体溶液を除去し、プレートは洗浄バッファーで3回洗浄した。PBS中に1:2,500希釈したHRP結合抗ウサギ二次抗体(Dianova#111-036-045)、0.5%BSA、0.05%Tween20、5mMEDTAを次いでそれぞれのウエルに加え、室温において1.5時間インキュベートした。プレートは洗浄バッファーで3回、それぞれ5分間洗浄した。テトラメチルベンジジン(TMB、Calbiochem)を加え、620nmでモニターした。100μlの250nMHClを加えることによって反応を停止させ、Vmaxプレートリーダー(Thermo Lab Systems)を使用して620nmの参照波長で、450nmにおいて吸光度を読み取った。
【0194】
図18は、この実験の代表的な結果を示す。相対的なp44/p42MAPキナーゼリン酸化の濃度依存的低減によって示されたように、本発明のラット抗Axl抗体11B7(A)およびキメラ抗Axl抗体ch11B7(B)は、CaSki子宮頸癌細胞において同程度で、p44/p42MAPキナーゼのGas6誘導性活性化を阻害することができた。
【0195】
(実施例22.本発明のラット抗Axl抗体は、in vitroで化学療法剤と相乗作用して薬剤耐性を克服する)
本発明のラット抗Axl抗体は、血清飢餓NIH3T3-Axlcl.7線維芽細胞のGas6介在性抗アポトーシスに干渉することが判明したので、アンタゴニスト抗Axl抗体はアポトーシスを誘導する際に化学療法剤と相乗作用し、それによって薬剤耐性の克服に貢献し得るかどうかという疑問が生じた。この実施例では、ドキソルビシンを含めた幾つかの作用物質に対する高レベルの耐性を示す(Fairchildら、1987、Cancer Research、47、5141〜5148頁;Xuら、2002、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、302、963〜971頁)、(本来MCF-7/AdrR)NCI/ADR-RES細胞、卵巣癌細胞系(Liscovitch and Ravid、2007、Cancer Letters、245、350〜352頁)を、アンタゴニスト抗Axl抗体11B7および/またはドキソルビシンとインキュベートし、かつアポトーシス率はTUNEL染色によって決定した。簡潔には、正常増殖培地中の3×104個のNCI/ADR-RES細胞を8チャンバー培養スライド(BD Falcon、カタログ番号354118)のウエル当たりに接種し、それら37℃で1時間は同じ培地でプレインキュベートした。翌朝、正常増殖培地を除去し、細胞を洗浄し、血清低下(0.5%FCS)培地で培養した。夕方に、アイソタイプ対照抗体1D5またはアンタゴニスト抗Axl抗体11B7を、それぞれ10μg/mlの最終濃度で加えた。第3日の朝に、100μM、150μM、または200μMの最終濃度でドキソルビシンを加え、細胞は37℃でインキュベートした。24時間後、細胞はPBSで一回洗い流し、室温で20分間PBS(pH7.5)中4%ホルムアルデヒドで固定し、5分間空気乾燥させ、-20℃で保存した。市販のFluorescein-FragEL(商標)キット(Oncogene、カタログ番号 QIA39、現在はMerck-Calbiochemを介して流通)を使用して、供給者のマニュアル説明書(「Fluorescein-FragEL(商標)of cell preparations fixed on slides)の章、ページ10)に従いTUNEL染色を実施した。蛍光顕微鏡検査法を施用して、細胞を分析し写真を撮影した。
【0196】
図19は、この実験の代表的な結果を示す。細胞を対照抗体またはアンタゴニストラット抗Axl抗体11B7と同時インキュベートしたかどうかとは無関係に、100μMのドキソルビシンで治療したNCI/ADR- RES卵巣癌細胞(上)で、TUNEL染色、したがってアポトーシスは観察しなかった。しかしながら、150μMのドキソルビシン濃度では、対照抗体で同時治療した細胞中で非常に弱いアポトーシスのみを検出することができ、一方アンタゴニストラット抗Axl抗体11B7との同時インキュベーションはアポトーシスの実質的誘導をもたらした(中央)。さらに200μMのドキソルビシンの存在下では、細胞と11B7の同時インキュベーションは、対照IgG抗体とインキュベートした細胞と比較してアポトーシス率を有意に増大させ(下)、化学療法剤と本発明のアンタゴニスト抗Axl抗体の両方を用いたさらなる多剤耐性腫瘍細胞の同時治療は、薬剤耐性を克服するのに適している可能性があることを示した。
【0197】
(実施例23.本発明のラット抗Axl抗体は、in vitroで足場非依存性コロニー増殖を低減する際に化学療法剤と相乗作用する)
軟寒天アッセイを実施して、単独または化学療法剤との組合せのいずれかで足場非依存性細胞増殖を阻害する、本発明のラット抗Axl抗体の能力を調べた。軟寒天コロニー形成アッセイは形質転換細胞を試験するための標準的なin vitroアッセイである。形質転換細胞のみが軟寒天中で増殖することができるからである。簡潔には、750C-8161メラノーマ細胞を未治療状態に保ったか、または37℃で30分間IMDM培地(Gibco)において15μg/mlでアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7とプレインキュベートしたかのいずれかであった。その後、細胞をDifco高級寒天溶液と組合せ、それぞれ0.35%、0.2%、および7.5μg/mlの寒天、FCS、および11B7の濃度で50μlの上部寒天細胞懸濁液を生成した。この細胞懸濁液は20%FCSを含有する50μlの0.7%アガロース底部層の上部に平板培養し、0.2%FCSおよび一致濃度のシスプラチンを含有する別の50μlの供給層溶液で最後に覆った。サンプル当たり全150μlで、11B7およびシスプラチンの最終濃度はそれぞれ2.5μg/mlおよび1.5μM、1.0μM、0.75μM、0.5μM、または0.25μMであった。コロニーを5日間形成させ、次いで37℃で3時間50μlのMTT(Sigma、1mg/ml、PBS中)で染色した。HTS Bonitコロニー形成ソフトウェア(Lemnatec、Wuerselen)と併せてScanalyzer HTSカメラシステムを使用して、シスプラチンの有無の下でのアンタゴニストラット抗AXL抗体11B7の影響を三連で分析した。
【0198】
図20は、この実験の代表的な結果を示す。示したデータは全領域のコロニーを指し、測定した絶対数(A)とシスプラチンおよび/またはアンタゴニストラット抗Axl抗体11B7によってもたらされた相対的増殖阻害(B)の両方を反映する。未治療対照細胞と比較して、シスプラチンとのインキュベーションは、用量依存的にコロニー増殖遅延をもたらした。30%の範囲での11B7単独の阻害効果と一致して、アンタゴニスト抗Axl抗体11B7との組合せは、特に低濃度のシスプラチンで、C-8161メラノーマ細胞の軟寒天増殖に対してシスプラチンの有意に増大した阻害効果をもたらした。
【0199】
(実施例24.本発明のラット抗Axl抗体は腫瘍関連現象を低減する際に抗腫瘍薬と相乗作用を示す)
前の実施例中で、ドキソルビシンと同時投与した本発明のアンタゴニスト抗Axl抗体の相乗効果を、卵巣癌細胞系NCI/ADR-RESなどの多剤耐性癌細胞におけるアポトーシスの誘導および薬剤耐性の克服に関して観察した。さらに、足場非依存性コロニー増殖を低減する際の本発明のアンタゴニスト抗Axl抗体とシスプラチンの組合せ効果を、メラノーマ細胞系C-8161で検出した。したがって、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、癌細胞または癌疾患に罹患する患者を、照射および/または1つまたは複数のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。特に、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、メラノーマ細胞またはメラノーマに罹患する患者を、照射および/またはシスプラチン、ダカルバジン、テモゾロミド/テモダール、ムホラン/フォテムスチン、パクリタキセル、またはドセタキセルだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。さらに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、卵巣癌細胞または卵巣癌に罹患する患者を、照射および/またはドキソルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、メルファラン、アルトレタミン、トポテカン、イフォスファミド、エトポシド、または5-フルオロウラシルだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。追加的に、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、前立腺癌細胞または前立腺癌に罹患する患者を、照射および/またはミトザントロン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはビンブラスチンだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。さらに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、胃腸/胃癌細胞または胃腸/胃癌に罹患する患者を、照射および/または5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、シスプラチン、ドキソルビシン、メトトレキセート、エトポシド、ロイコボリン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはイリノテカンだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。さらに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、乳癌細胞または乳癌に罹患する患者を、照射および/またはドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ビノレルビン、またはトラスツズマブだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。さらに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、子宮頸癌細胞または子宮頸癌に罹患する患者を、照射および/またはシスプラチン、イフォスアミド、イリノテカン、5-フルオロウラシル、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、またはトポテカンだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。さらに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、膵臓癌細胞または膵臓癌に罹患する患者を、照射および/またはゲムシタビン、カペシタビン、または5-フルオロウラシルだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。最後に、他の癌型を除外せずに、腫瘍細胞のアポトーシスの誘導および/または薬剤耐性の克服、腫瘍細胞の生存の抑制、腫瘍細胞の成長および/または増殖の阻害、腫瘍細胞の移動、拡散および転移の低減、または腫瘍血管新生の阻害における相乗効果は、肺癌細胞または肺癌に罹患する患者を、照射および/またはシスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ビノレルビン、ビンクリスチン、イフォスアミド、ゲムシタビン、メトトレキセート、シクロホスファミド、ロムスチン、またはトポテカンだけには限られないが、これらであることが好ましい任意のさらなる抗腫瘍薬と組合せたアンタゴニスト抗Axl抗体で治療するとき予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AXLの細胞外ドメインと結合し、AXL活性を少なくとも部分的に阻害するモノクローナル抗体。
【請求項2】
AXL介在シグナル伝達を低減および/または妨害する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
AXLリン酸化を低減および/または妨害する、請求項1から2のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項4】
細胞増殖を低減および/または妨害する、請求項1から3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
血管新生を低減および/または妨害する、請求項1から4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
細胞移動を低減および/または妨害する、請求項1から5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
腫瘍転移を低減および/または妨害する、請求項1から6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項8】
AXL介在抗アポトーシスを低減および/または妨害する、請求項1から7のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項9】
AXL介在PI3Kシグナル伝達を低減および/または妨害する、請求項1から8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項10】
組換え抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、多重特異的抗体、またはそれらの断片である、請求項1から9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項11】
キメラ抗体であり、配列番号38、39、41、42からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または配列番号37、40からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体である、請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項12】
ヒト化抗体であり、配列番号44、46からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、および/または配列番号43、45からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識する抗体である、請求項10に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
Fab断片、Fab'断片、F(ab')断片、Fv断片、ダイアボディ、または単鎖抗体分子である、請求項1から12のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項14】
IgG1型、IgG2型、IgG3型またはIgG4型である、請求項1から13のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
標識基と結合した、請求項1から14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項16】
エフェクター基と結合した、請求項1から15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項17】
足場タンパク質である、請求項1から16のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項18】
(a)配列番号16、22、28に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号17、23、29に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号18、24、30に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む少なくとも1つの重鎖アミノ酸配列、
ならびに/または
(d)配列番号13、19、25に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号14、20、26に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号15、21、27に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む少なくとも1つの軽鎖アミノ酸配列
を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項19】
(a)配列番号16に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号17に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号18に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号13に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号14に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号15に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖
を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項20】
(a)配列番号22に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号23に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号24に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号19に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号20に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号21に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖
を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項21】
(a)配列番号28に示すCDRH1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH1配列、
(b)配列番号29に示すCDRH2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH2配列、および
(c)配列番号30に示すCDRH3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRH3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む重鎖、
ならびに/または
(d)配列番号25に示すCDRL1、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL1配列、
(e)配列番号26に示すCDRL2、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL2配列、および
(f)配列番号27に示すCDRL3、またはそれと1もしくは2アミノ酸異なるCDRL3配列
からなる群から選択される少なくとも1つのCDRを含む軽鎖
を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項22】
配列番号8、10、12からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸、および/または配列番号7、9、11からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列、もしくは少なくともその可変ドメイン、もしくはそれと少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、またはAXLの細胞外ドメイン上の同じエピトープを認識するモノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項23】
(a)請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体、その抗体断片または派生物をコードする核酸配列、
(b)配列番号1〜6、31〜36に示す核酸配列、
(c)(a)または(b)中の配列のいずれかと相補的な核酸、および
(d)ストリンジェントな条件下で(a)、(b)または(c)とハイブリダイズすることができる核酸配列
からなる群から選択される単離核酸分子。
【請求項24】
請求項23に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項25】
発現ベクターであり、核酸配列が制御配列と作動可能に連結した、請求項24に記載のベクター。
【請求項26】
請求項24または25に記載のベクターを含む宿主。
【請求項27】
ヒト、細菌、動物、真菌、両生類または植物細胞である、請求項26に記載の宿主。
【請求項28】
非ヒトトランスジェニック動物である、請求項26に記載の宿主。
【請求項29】
請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を製造する方法であって、請求項26、27または28に記載の宿主から前記ポリペプチドを得るステップを含む方法。
【請求項30】
抗AXL抗体、好ましくは請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体、請求項23に記載の核酸分子、請求項24または25に記載のベクター、請求項26、27または28に記載の宿主、または請求項29に記載の方法によって生成するポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項31】
薬剤として許容される担体、希釈剤および/またはアジュバントを含む、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
さらなる活性作用物質を含む、請求項30または31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
過剰増殖性疾患を診断、予防または治療するための、請求項30から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記過剰増殖性疾患がAXLの発現、過剰発現および/または活動亢進と関係がある、請求項30から33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記過剰増殖性疾患が乳癌、肺癌および他のAXL発現または過剰発現癌、および腫瘍転移の形成からなる群から選択される、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
過剰増殖性疾患を診断、予防または治療するための、請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項37】
過剰増殖性疾患の診断、予防または治療用の医薬組成物を製造するための、請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の使用。
【請求項38】
前記過剰増殖性疾患が請求項34または35のいずれか一項で定義した過剰増殖性疾患である、請求項36または37に記載の使用。
【請求項39】
AXLの発現と関係がある状態を診断するための方法であって、サンプルを請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体と接触させるステップ、およびAXLの存在を検出するステップを含む方法。
【請求項40】
状態が請求項34または35のいずれか一項に記載の過剰増殖性疾患である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
患者中のAXLの発現と関係がある状態を予防または治療するための方法であって、有効量の少なくとも請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体をそれを必要とする患者に投与するステップを含む方法。
【請求項42】
状態が請求項34または35のいずれか一項に記載の過剰増殖性疾患である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
患者が哺乳動物患者、特にヒト患者である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
抗AXL抗体、好ましくは請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体、請求項23に記載の核酸分子、または請求項24もしくは25に記載のベクターを含むキット。
【請求項45】
さらなる抗腫瘍薬をさらに含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
薬剤耐性癌の治療用の医薬組成物を製造するための抗AXL抗体の使用。
【請求項47】
抗AXL抗体が請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
過剰増殖性疾患の治療用の抗腫瘍薬との同時投与用の医薬品を製造するための抗AXL抗体の使用。
【請求項49】
抗AXL抗体が請求項1から22のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体である、請求項48に記載の使用。

【図20】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−505120(P2011−505120A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532510(P2010−532510)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009548
【国際公開番号】WO2009/062690
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510129222)ユー3・ファーマ・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】