説明

AlN基板上に形成されたGaNレーザおよびその製造方法

Ga(In)N系の半導体レーザ構造が、その半導体構造内の過度の引張り歪みを避ける必要性に対処する様式でAlNまたはGaN基板(20)上に形成されたGa(In)N系レーザ構造およびそれに関連する製造方法が提案される。本発明のある実施の形態によれば、基板(20)、格子調節層(30)、下側クラッド領域(60)、能動型導波領域(40)、上側クラッド領域(50)、およびレーザのNおよびP型接触領域(60,60)が、半導体層に組成連続体を形成している、AlGaN格子調節層(30)を備えたAlNまたはGaN基板上にGa(In)N系半導体レーザが設けられる。さらに別の実施の形態が開示され、記載されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2007年5月31日に出願された米国仮特許第60/932,450号および2007年8月15日に出願された米国特許第11/893,188号の恩恵を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、Ga(In)N半導体レーザに関し、より詳しくは、そのような半導体レーザの設計と製造に関する。
【背景技術】
【0003】
GaNおよび/またはGaInNから形成された能動型導波領域を備えた半導体レーザは、紫外線から赤までの発光を網羅し、ここで、集合的にGa(In)N系半導体レーザと称される。405nmのGa(In)N系半導体レーザが商品化されてきたが、引き続き、工業的に実現可能な青と緑のGa(In)N系半導体レーザを開発する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の概念は、青と緑の発光の脈絡に制限されないが、本発明の目的の1つは、工業的に実現可能な青と緑のGa(In)N系半導体レーザの見込みを改善するレーザ設計と製造手法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
GaN系レーザでは、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)クラッド層が使用されることが多いが、AlGaNとGaNとの間の屈折率のコントラストは、特に、青/緑の光学範囲において、比較的小さい。したがって、本出願の発明者等は、屈折率のコントラストを増加させ、レーザ動作を改善するためには、AlGaN中のAl含有量が比較的多い必要があることを認識した。本発明者等は、半導体レーザ構造におけるAlGaN層のAl含有量および/または層厚には、これらの層は引張り歪み下にあることが多く、このことは、亀裂形成や他の構造欠陥の原因となり得るので、実際的な制限があることも認識した。
【0006】
本発明によれば、Ga(In)N系の半導体レーザ構造が、その半導体構造内の過度の引張り歪みを避ける必要性に対処する様式でAlNまたはGaN基板上に形成されたGaN系レーザ構造およびそれに関連する製造方法が提案される。本発明のある実施の形態によれば、レーザの基板、格子調節層、下側クラッド領域、能動型導波領域、上側クラッド領域、およびNおよびP型接触領域が、半導体レーザにおける組成連続体を形成しているAlGaN格子調節層を備えたAlNまたはGaN基板上に、Ga(In)N系半導体レーザが設けられる。
【0007】
本発明の別の実施の形態によれば、格子調節層中の平均Al含有量は、(i)上側と下側のクラッド領域中のAl含有量と実質的に等しい、(ii)上側と下側のクラッド領域が、格子調節層を覆って形成されたときに圧縮されたかまたは緩和された状態を取ることを確実にするために、上側と下側のクラッド領域中のAl含有量よりも十分に大きい、または(iii)上側と下側のクラッド領域が、格子調節層を覆って形成されたときに引張り状態であって、その引張り状態の結果生じた歪みが、上側と下側のクラッド領域の亀裂形成閾値を超えない程度まで、引張り状態を取るように、上側と下側のクラッド領域のAl含有量よりも少ない、のいずれかである。
【0008】
本発明による半導体レーザを製造する方法を含む、追加の実施の形態が開示されており、それらは、本発明の以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の特別な実施の形態の以下の詳細な説明は、同じ構造が同じ参照番号により示されている、以下の図面と共に読んだときに、もっとよく理解できる。
【図1】本発明の複数の実施の形態による適切な半導体レーザ設計の一般的な概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に図1を参照する。本発明の様々な概念が、端面発光レーザダイオードとして構成された半導体レーザ10を参照して図解されるが、本発明の概念は、例えば、端面発光分布ブラッグ反射器(DBR)レーザおよび垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)を含む、様々な半導体レーザ構造にも適用されることに留意されたい。一般に、半導体レーザ10は、基板20、格子調節層30、上側クラッド領域50と下側クラッド領域60との間に挟まれた能動型導波領域40、N型接触領域70、およびP型接触領域80を備えており、それらの各々が、以下にさらに詳しく説明されている。端面発光レーザダイオードでは、レーザ積層体(stack)の側縁に向けて干渉性放射の放出を導くために、上側と下側のクラッド領域50,60が利用されることが、半導体レーザの設計における熟練者には理解されるであろう。その一方、VCSELは、レーザビームがレーザ積層体の上面から放出されるタイプの半導体レーザダイオードであり、端面発光レーザダイオードの上側と下側のクラッド領域の代わりに、またはそれらと組み合わせて、上側と下側のブラッグ反射器を利用する。端面発光型およびVCSEL型の構成の特定の構成部材が、レーザ光を発するように協働する様式のより詳しい動作説明は、この主題に関する、容易に入手できる文献から細かく調べられる。
【0011】
図解された実施の形態において、基板20はAlNまたはGaNからなり、格子調節層30は、基板20を覆って形成されたAlGaNからなる。格子調節層30は非導電性であって差し支えないが、ある実施の形態においては、AlGaN格子調節層30の少なくとも一部分は、導電性となるようにドープされたAlGaNからなっていてもよいと考えられる。典型的に、基板20および格子調節層30は、実質的に純粋な、すなわち、少なくとも約99%純粋な、単結晶AlN、GaNまたはAlGaNからなる。95%以上の純度で容易に得られるであろう格子調節層30は、本発明の範囲から逸脱せずに、様々な様式で基板を覆って形成してもよいが、AlGaN層は、最初にAlNまたはGaNを成長させ、次いで、所望の組成のAlGaNに勾配を付ける(grading)ことによって、AlNまたはGaN基板上に成長させることができることに留意されたい。この様式の成長を、所望の厚さに達するまで続ける。厚さは、AlGaN格子調節層30の完全なまたはほぼ完全な緩和を確実にするほど十分であるべきである。あるいは、所望の組成のAlGaNからなる格子調節層30は、AlNまたはGaN基板20上に直接成長させても差し支えないが、直接の成長により、その表面近くにより高密度の転位を有する格子調節層が生成されるかもしれないと予測される。
【0012】
半導体レーザ10の製造を完了するために、下側クラッド領域60が格子調節層30を覆って形成され、それは導電性となるようにドープされたAlGaNからなる。能動型導波領域40が下側クラッド領域60を覆って形成され、それは、レーザ光放出のために構成されたGa(In)N系の量子井戸構造を構成する。上側クラッド領域50が能動型導波領域40を覆って形成され、それは、導電性となるようにドープされたAlGaNからなる。NおよびP型接触領域は、能動型導波領域を横切って導電接続されており、GaNまたはAlGaNからなる。上述したように、本発明者等は、AlNまたはGaN基板上のGa(In)N半導体レーザ構造の製造に関連する数多くの重大な設計の検討事項を認識した。具体的に言うと、Ga(In)N半導体レーザ構造におけるAlGaN層のAl含有量および/または層厚には、これらの層は引張り歪み下にあることが多く、このことは、亀裂形成や他の構造欠陥の原因となり得るので、実際的な制限がある。これらの課題は、半導体レーザ構造に、亀裂の形成をなくすかまたは十分に減少させるように調節されたそれぞれのAl含有量を提供することにより、少なくともある程度は対処できる。
【0013】
例えば、緑の波長範囲において高い屈折率コントラストを有する導波路を得るために、比較的高いAl含有量、例えば、10%〜20%のAlを含むAlGaNクラッド層が必要な場合、本発明者等は、AlGaN格子調節層30および上側と下側のクラッド領域50,60において最適なAl含有量を選択することに帰因する利点を認識した。具体的に言えば、AlNまたはGaN基板上のGa(In)N系半導体レーザ構造の製造にAlGaNを使用する場合、その構造における特定の層の格子定数は、Al含有量に反比例する。Al含有量の少ない層は、大きい格子定数を有し、構造内のAl含有量の多い任意の他の関連する層に引張り歪みを誘発する傾向にある。したがって、本発明の特定の実施の形態において、Ga(In)N系半導体レーザは、関連するクラッド層よりもAl含有量が多いAlGaN格子調節層を設けることによって、AlNまたはGaN基板上に成長させられる。このようにして、この半導体レーザ構造が歪んでいないかまたは圧縮されていることを確実にすることによって、格子調節層30を覆って後に形成される層の亀裂形成を防ぐことができる。何故ならば、歪んでいない層または圧縮下にある層は、引張り歪み下にある層よりも、亀裂形成を受けにくいからである。あるいは、Ga(In)N系半導体レーザは、結果として生じる引張応力が、亀裂形成を避けるのに十分に小さいという条件で、関連するクラッド層よりもAl含有量がわずかに少ないAlGaN格子調節層を設けることによって、AlNまたはGaN基板上に成長させても差し支えない。
【0014】
より詳しくは、格子調節層30のAl含有量は、AlwGa1-wNとして表すことができ、下側のクラッド領域60のAl含有量は、AlvGa1-vNとして表すことができ、上側クラッド領域50のAl含有量は、AluGa1-uNとして表すことができ、ここで、それぞれ、v<1およびu<1である。参照の範囲内で、u、vおよびwのそれぞれの値は、格子調節層30中のAl含有量が、(i)上側と下側のクラッド領域50,60が、格子調節層30を覆って形成されたときに、圧縮されたかまたは歪んでいない状態を取ることを確実にするために上側と下側のクラッド領域50,60中のAl含有量よりも十分に大きいか、または(ii)上側と下側のクラッド領域50,60が、格子調節層30を覆って形成されたときに、引張り状態を取るように上側と下側のクラッド領域50,60中のAl含有量よりも少ないが、引張り状態の結果生じた歪みが、上側と下側のクラッド領域50,60の亀裂形成閾値を超えない程度までしか少なくないのいずれかであるように確立または調節できる。一般に、Al含有量は、レーザの動作波長でGa(In)NおよびAlGaNの間に望ましい屈折率コントラストにより少なくともある程度決定される。例えば、比較的高い屈折率コントラストを必要とする本発明の特定の実施の形態において、本発明者等は、AlNまたはGaN基板上に形成されたGa(In)N系半導体レーザについて、u、vおよびwのそれぞれの値は、約0.08以上であることを認識した。その上、u、vおよびwのそれぞれ値について、以下の条件の内の一方または両方を確実に満たすことが好ましいであろう:w>v−0.06、およびw>u−0.06。
【0015】
格子調節層30の厚さは、その格子が、基板20上に形成された後に緩和状態を取ることを確実にするのに十分である、すなわち、約1μm程度であることが好ましい。例えば、決して制限するものではなく、適切な半導体レーザは、Ga(In)N系VSCELの製造のために亀裂のないAlxGa1-xN/GaN DBRの成長を支持するために厚いAlGaN緩衝層を使用することによって、AlN基板上に製造することができると考えられる。図解した実施の形態は、AlN基板20上に直接形成された格子調節層30を示しているが、基板と格子調節層30との間に1つ以上の介在層が設けられ、その場合、格子調節層30は、単に、AlN基板20を「覆って(over)」形成されることも考えられる。同様に、下側のクラッド領域60は格子調節層30上に直接形成されているが、格子調節層30と下側のクラッド領域60との間に1つ以上の介在層が設けられ、その場合、下側のクラッド領域60は、単に、格子調節層30を「覆って」形成されることも考えられる。ここに述べられた他の層または領域について、単に、関連するある層または領域を「覆って」形成されたときに、同じ事が言える。
【0016】
基板20、格子調節層30、下側のクラッド領域60、能動型導波領域40、上側クラッド領域50、およびNおよびP型接触領域70,80が、半導体レーザにおいて「組成連続体」とここに定義されるものを形成する。より詳しくは、本発明を説明し、定義する目的のために、ある構造体における一連の層は、その構造体における1つの層の少なくとも1つの成分が、この構造体における次に挙げられた層に見つけられるときに、「組成連続体」を形成する。構造体における1つの層の2種類以上の成分が、その構造体における次に挙げられる層中に見つけられた場合、「二成分組成連続体」が存在する。構造体における「挙げられた」層に重点が置かれる。何故ならば、ここに定義した「組成連続体」は、組成連続体を形成する一連の層の一部として挙げられない層に必ずしも適用されるわけではないと考えられるからである。例えば、基板20、格子調節層30、下側クラッド領域60、能動型導波領域40、上側クラッド領域50、およびNおよびP型接触領域70,80が組成連続体を形成している、図1を参照すると、半導体レーザは、その組成連続体の条件を満たさない任意のタイプの介在層を含んでもよいと考えられる。
【0017】
本発明の特別な実施の形態において、基板20、格子調節層30、下側のクラッド領域60、能動型導波領域40、上側クラッド領域50、およびNおよびP型接触領域70,80が、Al、GaおよびNから選択された成分を含む二成分組成連続体を形成する。より詳しくは、組成連続体は、AlNまたはGaN基板20とAlGaN格子調節層30の界面でのAl系またはGa系の連続体から、AlGaN格子調節層30とAlGaN下側のクラッド領域60の界面でのAlおよびGaの二成分連続体へと、次いで、AlGaN下側クラッド領域60とGa(In)N系能動型導波領域40の界面でのGa系連続体まで移行する。その上、上述した組成連続体は、Ga(In)N系能動型導波領域40およびAlGaN上側クラッド領域50に亘りGa系連続体をさらに構成する。
【0018】
本発明の概念は、特定の能動型導波領域の構成に一般には限られないが、図解の目的のために、1つの適切な能動型導波領域の構成が図1にさらに詳しく示されている。例えば、決して制限するものではなく、能動型導波領域40は、対向する導波路層44,46の間に挟まれた量子井戸利得領域42および電子遮断層48を備えてもよい。量子井戸利得領域42は、1つ以上の多重量子井戸層として構成された1つ以上の量子井戸、1つ以上の多重量子ドット層、またはそれらの組合せを含んでよく、550nm未満の波長で光を放出するように構成することができる。本発明のある実施の形態によれば、量子井戸利得領域42は、GaN/GaInN、GaInN/GaInN、またはAlGaN/GaInN多重量子井戸または量子ドットからなる、対向する導波層は、反対のN型およびP型の導電性のGaNまたはGaInNからなり。量子井戸利得領域は、関連するバリヤ内におけるよりも井戸中のインジウムのレベルが高い、GaInN/GaInNからなることも考えられる。AlGaInNが、量子井戸利得領域42および関連する導波路層44,46中に使用するのに適していると考えられる。量子井戸利得領域がGa1-yInyNまたはAlxGa1-x-yInyNからなることが好ましく、ここで、xは少なくとも約0であり、yは少なくとも約0.05である。さらに、電子遮断層48はP型AlGaNからなる。追加の能動型導波領域の構成が、本発明の教示による適応に適していると考えられる。
【0019】
同様に、本発明の概念は、特定のクラッドおよび接触領域の構成に一般に限られないが、能動型導波領域40を覆って形成された上側クラッド領域50はP型AlGaN/GaN超格子クラッドからなり、下側クラッド領域60がN型AlGaNからなることが考えられる。N型接触領域70が、図1に概して図解されており、図1に図解された様式で、N型下側クラッド領域60およびこの下側クラッド領域60と接した導電接点72により形成されてよい。その上、下側導波路層44および任意の関連するバリヤまたは井戸の全てまたは一部が、下側接触領域70を形成するようにN型ドープされていてもよいと考えられる。同様に、P型接触領域80が、概して図1に図解されており、上側クラッド領域50を覆って形成されたP型GaN層82およびP型GaN層と接触した導電接点84からなっていてよい。
【0020】
さらに、本発明の概念は主に電気的励起レーザを参照してここに説明するが、本発明の様々な利点が、上側と下側のクラッド領域50,60を導電性となるようにドープする必要がない、光学的励起レーザの脈絡に利用することもできると考えられる。
【0021】
ここでのGa(In)N系能動型導波領域またはGa(In)N系半導体レーザへの言及は、半導体レーザの能動型導波領域が、少なくとも一部がGaNまたはGaInNにより形成された量子井戸構造からなるどのような半導体レーザも網羅するように広く読まれるべきである。
【0022】
その上、ここでの、特定の様式で、すなわち特定の性質または機能を具体化するために「構成されている」本発明の構成部材の記述は、意図した用途の記述とは反対に、構造的な記述である。例えば、VCSELまたはDBR端面発光レーザとして「構成された」Ga(In)Nレーザへの参照は、レーザの既存の物理的条件を意味し、それゆえ、レーザの構造的特徴の明確な記述として理解されるべきである。
【0023】
「好ましくは」、「一般に」、および「典型的に」などの用語は、ここに用いられた場合、請求項に記載された発明の範囲を制限したり、または特定の特徴が、請求項に記載された発明の構造または機能にとって重大、必須、または重要であることを意味したりするように利用されたのではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は単に、本発明のある実施の形態の特定の態様を特定したり、本発明の特定の実施の形態に利用されてもされなくてもよい代わりのまたは追加の特徴を強調したりすることを意図している。
【0024】
本発明を説明し、定義する目的のために、「実質的に」および「約」という用語は、任意の量的比較、値、測定値、または他の表示に帰するであろう固有の不確実さの程度を表すためにここに用いられることに留意されたい。「実質的に」および「約」という用語はまた、当該の主題の基本的機能を変化させずに、量的表示が、述べられた基準から変動してもよい程度を示すためにここに用いられている。
【0025】
本発明の先の詳細な説明は、請求項に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概要または構成を提供することが意図されているのが理解されよう。本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な改変および変更を行えることが当業者には明らかである。それゆえ、本発明は、本発明の改変および変更を、それらのが添付の特許請求の範囲およびその同等物に含まれるという条件で、包含することが意図されている。例えば、本発明のいくつかの態様は、ここに好ましいまたは特に有益と確認されているが、本発明は、本発明のこれらの好ましい態様に必ずしも制限されるものではないことが考えられる。
【符号の説明】
【0026】
10 半導体レーザ
20 基板
30 格子調節層
40 能動型導波領域
50 上側クラッド領域
60 下側クラッド領域
70 N型接触領域
80 P型接触領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、格子調節層、上側クラッド領域と下側クラッド領域との間に配置された能動型導波領域、N型接触領域、およびP型接触領域を備えた半導体レーザを製造する方法であって、
AlNまたはGaNからなる基板を提供する工程、
前記基板を覆って、w<1である、AlwGa1-wNからなる格子調節層を形成する工程、
前記格子調節層を覆って、v<1である、AlvGa1-vNからなる下側クラッド領域を形成する工程、
前記下側クラッド領域を覆ってGa(In)N系能動型導波領域を形成し、該Ga(In)N系能動型導波領域をレーザ光放出のために構成する工程、
前記能動型導波領域を覆って、u<1である、AluGa1-uNからなる上側クラッド領域を形成する工程、
前記能動型導波領域を横切って、GaNまたはAlGaNからなるNおよびP型接触領域を導電接続する工程、および
前記格子調節層中のAl含有量が、(i)前記上側および下側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、圧縮されたかまたは歪んでいない状態を取ることを確実にするために前記上側および下側クラッド領域中のAl含有量よりも十分に大きいか、または(ii)前記上側および下側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、引張り状態を取るように該上側および下側クラッド領域中のAl含有量よりも少ないが、前記引張り状態にあるその結果生じた歪みが、前記上側および下側クラッド領域の亀裂形成閾値を超えない程度までしか少なくないのいずれかであるように、アルミニウム含有量係数u、vおよびwを調節する工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
組成の連続体が、前記基板と前記格子調節層との界面でのAl系またはGa系の連続体から、前記格子調節層と前記下側クラッド領域との界面でのAlおよびGaの二成分連続体へ、前記下側クラッド領域と前記能動型導波領域との界面でのGa系連続体へと移行することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
基板、格子調節層、上側クラッド領域と下側クラッド領域との間に置かれた能動型導波領域、N型接触領域、およびP型接触領域を備えた半導体レーザを製造する方法であって、
AlNまたはGaNからなる基板を提供する工程、
前記基板を覆って、w<1である、AlwGa1-wNからなる格子調節層を形成する工程、
前記格子調節層を覆って、v<1である、AlvGa1-vNからなる下側クラッド領域を形成する工程、
前記下側クラッド領域を覆ってGa(In)N系能動型導波領域を形成し、該Ga(In)N系能動型導波領域をレーザ光放出のために構成する工程、
前記能動型導波領域を覆って、u<1である、AluGa1-uNからなる上側クラッド領域を形成する工程、
前記能動型導波領域を横切って、GaNまたはAlGaNからなるNおよびP型接触領域を導電接続する工程、および
アルミニウム含有量係数u、vおよびwを、u、vおよびwのそれぞれの値が約0.08以上であり、w>v−0.06かつw>u−0.06であるように調節する工程、
を有してなる方法。
【請求項4】
基板、格子調節層、上側クラッド領域と下側クラッド領域との間に置かれた能動型導波領域、N型接触領域、およびP型接触領域を備えた半導体レーザであって、
前記基板がAlNまたはGaNからなり、
前記格子調節層が、前記基板を覆って形成され、AlGaNからなり、
前記下側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成され、AlGaNからなり、
前記能動型導波領域が、前記下側クラッド領域を覆って形成され、レーザ光の放出のために構成されており、
前記NおよびP型接触領域が、前記能動型導波領域を横切って導電接続され、GaNまたはAlGaNからなり、
前記格子調節層のAl含有量が、w<1である、AlwGa1-wNと表すことができ、
前記下側クラッド領域のAl含有量が、v<1である、AlvGa1-vNと表すことができ、
vおよびwのそれぞれの値が、前記格子調節層のAl含有量が、(i)前記下側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、圧縮されたかまたは歪んでいない状態を取ることを確実にするために前記下側クラッド領域中のAl含有量よりも十分に大きいか、または(ii)前記下側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、引張り状態を取るように該下側クラッド領域中のAl含有量よりも少ないが、前記引張り状態にあるその結果生じた歪みが、前記下側クラッド領域の亀裂形成閾値を超えない程度までしか少なくないのいずれかであることを特徴とする半導体レーザ。
【請求項5】
前記上側クラッド領域が、前記能動型導波領域を覆って形成され、導電性となるようにドープされたAlGaNからなり、
前記上側クラッド領域のAl含有量が、u<1である、AluGa1-uNと表すことができ、
uおよびwのそれぞれの値が、前記格子調節層のAl含有量が、(i)前記上側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、圧縮されたかまたは歪んでいない状態を取ることを確実にするために前記上側クラッド領域中のAl含有量よりも十分に大きいか、または(ii)前記上側クラッド領域が、前記格子調節層を覆って形成されたときに、引張り状態を取るように該上側クラッド領域中のAl含有量よりも少ないが、前記引張り状態にあるその結果生じた歪みが、前記上側クラッド領域の亀裂形成閾値を超えない程度までしか少なくないのいずれかであることを特徴とする請求項4記載の半導体レーザ。

【図1】
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【公表番号】特表2010−528489(P2010−528489A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510312(P2010−510312)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/006727
【国際公開番号】WO2008/150401
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】