BMP−3プロペプチドおよび関連する方法
本発明は、骨増殖を促進するための組成物および方法を提供する。本発明はまた、BMP-3AまたはBMP-3B活性を調節する化合物をスクリーニングする方法も提供する。本明細書において提供された組成物および方法は、骨増殖を調節するために有用である。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年3月26日に出願された米国特許仮出願第60/557,100号の出願日の恩典を主張し、その明細書の全内容が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
骨形態形成タンパク質(BMP)は、トランスフォーミング増殖因子-βスーパーファミリーのメンバーである。多くのBMPが骨において産生され、骨形成活性を調節するが、このことは、これらのタンパク質が骨集団の構築に関与していることを示唆している。BMPファミリーメンバーには、BMP-2およびBMP-3が含まれる。BMP-2は、骨形成および増殖に関連した多数の機能に関係している。例えば、このタンパク質は、骨前駆細胞の骨芽細胞への分化を誘導して、骨折の治癒の増強を誘導する。
【0003】
BMP-3はまた、BMP-3Aとも呼ばれる。BMP-3Bと呼ばれる近縁のタンパク質も同様に、増殖分化因子10(GDF-10)として知られている。これらの二つのタンパク質は、非プロセシングタンパク質のC-末端部分に対応する成熟(完全なプロセシング)型に対応する領域において大きいアミノ酸配列類似性を示す。BMP-3AとBMP-3Bの配列間の差は、成熟ペプチド領域の主に外側に存在し、プロペプチドは有意な配列の差を示す。BMP-3Aは、当初、オステオゲニンとして骨から精製され、脱塩骨において特に豊富に存在する。組換え型BMP-3Aは、骨形成活性を示さないが、その代わりに、BMP-2の骨形成活性に拮抗することが報告された。Zhu et al., Chin J Biotechnol. 1999;15(3):153〜8(非特許文献1)。この結果は、BMP-3A-/-ノックアウトマウスにおいて認められた骨密度および骨量の増加によって支持された。Daluiski et al., Nat Genet. 2001 Jan;27(1):84〜8(非特許文献2)。
【0004】
上記の知見を考慮して、特に、骨粗鬆症または骨折を有する個体のような、骨質量の増加または骨増殖の増加を必要とする個体において、BMP-3A活性を調節する方法が必要である。
【0005】
【非特許文献1】Zhu et al., Chin J Biotechnol. 1999;15(3):153〜8
【非特許文献2】Daluiski et al., Nat Genet. 2001 Jan;27(1):84〜8
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
特定の局面において、本開示はBMP-3プロペプチドを提供する。本明細書において開示されるように、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3に結合して、II型受容体に対する結合を競合的に阻害する。したがって、BMP-3プロペプチドは、BMP-3-II型受容体媒介シグナル伝達を阻害するために用いてもよい。BMP-3プロペプチドは、骨障害、特に、骨粗鬆症および骨折の処置の場合のような骨密度または骨量の増加が望ましい障害を処置するために用いてもよい。さらに、そのようなプロペプチドは、BMPファミリーの他のメンバーを阻害して、さらなる障害の処置において有用となるであろう。同様に、成熟BMP-3Aおよび3Bポリペプチドは、他の生物学的プロセスに関与する可能性があり、本明細書に開示のBMP-3プロペプチドは、任意のBMP-3プロペプチド関連プロセスにおいてBMP-3Aおよび3Bに拮抗するために用いてもよい。BMP-3プロペプチドの例には、BMP-3AおよびBMP-3Bのプロペプチドと共に、その任意の機能的変種が含まれる。特定の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは骨増殖の抑制を解除するまたは増加させる。さらに、本開示は、BMP-3プロペプチドと類似の方法で成熟BMP-3ペプチドに結合する抗体を提供する。そのような抗体はまた、骨障害または他のBMP-3関連障害を処置するために用いてもよい。
【0007】
特定の局面において、開示は、骨増殖を促進するおよび/または骨喪失を阻害するための薬学的調製物を提供する。そのような調製物は、成熟BMP-3ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体に結合するBMP-3プロペプチドを含んでもよい。特定の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の場合において、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは骨増殖を抑制解除または増加する。好ましくは、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3にKD 1μM未満または100、10、もしくは1 nM未満で結合する。そのような調製物において用いられるためのBMP-3プロペプチドは、配列番号:1もしくは2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号:1もしくは2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドのような、本明細書に開示の如何なるポリペプチドであってもよい。BMP-3プロペプチドには、配列番号:1または2のアミノ酸少なくとも10個、20個、または30個を含むプロペプチドのような、天然のBMP-3プロペプチドの機能的断片が含まれてもよい。BMP-3プロペプチドは一般的に、成熟BMP-3ポリペプチドの完全長または機能的部分を含まず、好ましくはBMP-3プロペプチドには、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、10個以下、または5個以下が含まれるであろう。BMP-3プロペプチドには、天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較してアミノ酸配列の変化が含まれてもよい。アミノ酸配列の変化は、哺乳類、昆虫、もしくは他の真核細胞において産生された場合に、ポリペプチドのグリコシル化を変化させてもよく、または天然に存在するBMP-3ポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク分解性切断を変化させてもよい。BMP-3プロペプチドは、一つのドメインとしてBMP-3プロペプチド(本明細書に記述される様々な任意の切断または改変を含む)、および改善された薬物動態、より容易な精製、特定の組織へのターゲティング等のような所望の特性を提供する一つまたは複数のさらなるドメインを有する融合タンパク質であてもよい。例えば、融合タンパク質のドメインは、インビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織局在または分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化、および/または精製の一つまたは複数を増強してもよい。BMP-3プロペプチド融合タンパク質には、免疫グロブリンFcドメインまたは血清アルブミンが含まれてもよい。融合タンパク質には、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合体のような、精製小配列が含まれてもよい。任意で、BMP-3プロペプチドには、以下から選択される一つまたは複数の修飾アミノ酸残基が含まれる:グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合したアミノ酸、および有機誘導体化物質に結合したアミノ酸。薬学的調製物にはまた、以下のような一つまたは複数のさらなる化合物が含まれてもよい:骨吸収を阻害する化合物、骨形成を刺激する化合物、および/または骨塩密度を増加させる化合物。例えば、調製物には、ビスホスホネートが含まれてもよい。好ましくは、薬学的調製物は、実質的に発熱物質を含まない。好ましくは、BMP-3プロペプチドを含む薬学的組成物には、異なる成分として活性な成熟BMP-3タンパク質は含まれないであろう。
【0008】
特定の局面において、本開示は、本明細書に記述の薬学的調製物を含み、ヒトまたは非ヒト患者における骨密度もしくは増殖の増加を促進する、または骨喪失もしくは脱塩化を減少もしくは予防させるために用いられるように表示された、包装された医薬品を提供する。
【0009】
特定の局面において、本開示は、BMP-3の完全な翻訳可能な成熟部分をコードしないBMP-3プロペプチドをコードする核酸を提供する。単離ポリヌクレオチドは、上記のようなBMP-3プロペプチドに関するコード配列を含んでもよい。単離核酸には、BMP-3プロペプチドをコードする配列、および成熟部分内に存在する、またはプロペプチドと成熟部分とのあいだに存在する終止コドンを除く、成熟タンパク質の一部または全てをコードするであろう配列が含まれてもよい。例えば、単離ポリヌクレオチドは、配列番号:7および8からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよく、該ポリヌクレオチドはさらに、3'末端の前少なくとも300ヌクレオチドに転写終結コドンを含む。本明細書に開示の核酸は、発現のためにプロモーターに機能的に結合させてもよく、本開示は、そのような組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞を提供する。好ましくは、細胞はCHO細胞のような哺乳類細胞である。
【0010】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドを作製する方法を提供する。そのような方法には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような適した細胞において、本明細書に開示の核酸をコードする任意のプロペプチドを発現させることが含まれてもよい。そのような方法は以下を含んでもよい:a)プロペプチドの発現にとって適した条件で細胞を培養する段階であって、該細胞がBMP-3プロペプチド発現構築物によって形質転換される段階;およびb)そのように発現されたプロペプチドを回収する段階。
【0011】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドの有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を有する対象を処置する方法を提供する。BMP-3プロペプチドは、本明細書に開示の任意のプロペプチドであってもよい。対象は、例えば、正常より低い骨塩密度、骨粗鬆症、または骨折を有してもよい。方法には、ビスホスホネートのようなさらなる物質との同時投与が含まれてもよい。特定の態様において、開示は、本明細書に開示のBMP-3プロペプチドを投与する段階を含む、対象における骨密度および/または骨量を増加させるための方法を提供する。
【0012】
さらなる局面において、本開示は、骨密度および/または骨量を増加させる物質を同定するための方法を提供する。方法は以下を含んでもよい:a)成熟BMP-3ポリペプチドに対してBMP-3プロペプチドと競合的に結合する試験物質を同定する段階;およびb)骨増殖に及ぼす物質の影響を評価する段階。試験物質は、例えば、変種BMP-3プロペプチド、抗体、または低分子であってもよい。
【0013】
発明の詳細な説明
1.概要
本発明は、骨形態形成タンパク質-3(BMP-3)プロペプチドに関する。本明細書において用いられるように、「BMP-3」という用語は、任意の種に由来する3型の骨形態形成タンパク質ファミリーを指す。本明細書におけるBMP-3という言及は、本文から適当であるように、BMP-3A(BMP-3としても知られる)およびBMP-3B(GDF-10としても知られる)を含む、現在同定された型の任意の一つに対する言及であると理解される。「BMP-3」という用語にはまた、その成熟配列が成熟BMP-3の配列と少なくとも約75%相同である、好ましくは少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上相同である任意の公知のBMP-3の配列に由来するポリペプチドが含まれる。BMP-3ファミリーメンバーは一般的により大きい前駆体としてコードされ、ファミリーのメンバーは、一般的に成熟タンパク質に対応するC-末端付近で高い相同性領域を共有する。例えば、BMP-3Bは、成熟ペプチド(成熟ドメイン)においてBMP-3Aと82%のアミノ酸同一性を共有するが、プロペプチドでは37%の同一性に過ぎない。成熟タンパク質は実質的な相同性を共有することから、BMP-3Aプロペプチドはいずれかの成熟タンパク質に結合するであろうと予想されることに注目されたい。
【0014】
天然に存在するBMP-3タンパク質は一般的に、典型的にそのN-末端でシグナル配列の後に二塩基アミノ酸切断部位およびプロペプチドを含み、その後もう一つの二塩基アミノ酸切断部位および成熟ドメインを含む、より大きい前駆体としてコードされる。このように、本明細書において用いられるように、「プロペプチド」または「プロドメイン」という用語は、成熟ドメインに対してN-末端であって、シグナルペプチドに対してC-末端である部分である。任意で、BMP-3プロペプチドは、切断後、インスリン、リラキシン、インヒビン、アクチビン、およびTGF-βの場合のように、その成熟ペプチドと共有結合または非共有結合によって再会合する。「BMP-3プロペプチド」という用語は、BMP-3ファミリーメンバーの天然に存在するプロペプチドを含むポリペプチドと共に、有用な活性を保持しているその任意の変種(変異体、断片、およびペプチド模倣型を含む)を指すために用いられる。本明細書において用いられるように、BMP-3プロペプチドには、BMP-3プロペプチドの断片、機能的変種、および改変型(例えば、ペプチド模倣体型)が含まれる。「BMP-3」プロペプチドには、完全長の成熟BMP-3ドメインは含まれないが、BMP-3プロペプチドには、成熟ドメインの部分、特に完全に機能的ではない部分が含まれてもよい。例えば、BMP-3プロペプチドは、その同源の成熟ドメインの50、40、30、20、10、または5個より少ないアミノ酸を含んでもよい。BMP-3プロペプチドの機能的変種は例えば、成熟BMP-3タンパク質に対する結合、および/またはActRIIaのようなII型受容体に対するBMP-3の結合の競合的阻害能を特徴としてもよい。
【0015】
BMP-3AおよびBMP-3Bは共に、BMPファミリーの独自のサブグループを表す。骨芽細胞において、BMP-3Aおよび3Bは、BMP-2活性に拮抗することが示されている(Hino et al., 2004, Front Biosci., 9:1520〜9;Daluiski et al, 2001, Nature Genetics, 27:84〜88)。BMP-2は、骨形成および無機化を促進することが知られている;BMP-2は、骨芽細胞を刺激すると報告されており、同様に前駆細胞からの骨芽細胞の産生を促進すると報告されている。如何なる特定のメカニズムにも拘束されたくはないが、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3に拮抗することによって骨増殖を促進して(骨密度、骨量、または他の適当な測定値の増加を意味する)、このように一つまたは複数のBMP-2機能を脱阻害すると期待される。BMP-3はまた、独立した作用を有してもよく、おそらく骨芽細胞を刺激して、このように骨吸収の増加を引き起こしてもよい。BMP-3AおよびBMP-3B前駆体タンパク質の配列(すなわち、シグナルペプチド、プロペプチド、および成熟ペプチド)をそれぞれ、図3および図4に示す。
【0016】
作業実施例において記述するように、出願人は、BMP-3プロペプチド(例えば、BMP-3 Fc融合タンパク質)が成熟BMP-3Aに結合して、アクチビン受容体IIa(ActRIIa)に対する結合に関して成熟BMP-3Aと競合することを証明した。したがって、特定の態様において、本発明の組成物および方法は、成熟BMP-3AとActRIIaとの相互作用を阻害するために有用である。さらなる態様において、本発明の組成物および方法は、成熟BMP-3AとActRIIaとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害するために有用である。
【0017】
本明細書において用いられる用語は一般的に、当技術分野において、本発明の状況において、およびそれぞれの用語が用いられる特定の状況において通常の意味を有する。特定の用語を下記または本明細書の他所において考察して、本発明の組成物および方法を記述するための実践者に対するさらなる手引きならびにそれらを作製および用いる方法を提供する。用語の任意の使用に関する範囲または意味は、その用語が用いられる特定の状況から明らかとなるであろう。
【0018】
「約」および「およそ」は、一般的に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に関する許容される程度の誤差を意味する。典型的に、例としての誤差の程度は、所定の値または値の範囲の20%以内、好ましくは10%以内、およびより好ましくは5%以内である。
【0019】
または、および特に生体系において、「約」および「およそ」という用語は、好ましくは所定の値の5倍以内、より好ましくは2倍以内の程度の次数内の値を意味してもよい。本明細書において示した数値としての量は、特に明記していなければ近似値であり、「約」または「およそ」という用語は、明白に述べられていない場合推論されうることを意味している。
【0020】
「骨喪失」および「骨増殖」という用語は、本明細書において骨量、密度、または無機化の変化のような、任意の方法で測定された骨の大きさまたは密度における変化(それぞれ、減少または増加)を指すために用いられる。例えば、これらの特徴を、喪失または増殖の速度に関して、一瞬の比較(1回の時点)または平衡時の比較に関して評価してもよい。
【0021】
本開示は、野生型配列の一つまたは複数の変異体/配列変種との比較を含む、互いに配列を比較することを参照してもよい。そのような比較は典型的に、例えば当技術分野で周知の配列アラインメントプログラムおよび/またはアルゴリズム(例えば、例を挙げればBLAST、FASTA、およびMEGALIGN)を用いる、ポリマー配列のアラインメントを含む。当業者は、そのようなアラインメントにおいて、変異が残基の挿入または欠失を含む場合、配列アラインメントは、挿入されたまたは欠失した残基を含まないポリマー配列に、「ギャップ」(典型的にダッシュまたは「A」で示される)を導入するであろうことを、容易に認識することができる。
【0022】
「相同である」は、その全ての文法上の型およびスペルの変化形において、同じ生物種におけるスーパーファミリーからのタンパク質と共に、異なる生物種からの相同なタンパク質を含む、「共通の進化起源」を有する二つのタンパク質間の関係を指す。そのようなタンパク質(およびそのコード核酸)は、その配列類似性によって、%同一性に関して、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によって反映されるように、配列相同性を有する。
【0023】
「配列類似性」という用語は、その全ての文法上の型において、共通の進化的起源を共有してもよいまたは共有しなくてもよい核酸またはアミノ酸配列間の同一性または一致の程度を指す。
【0024】
しかし、一般的な用途および本出願において、「相同な」という用語は、「非常に」のような副詞によって修飾される場合、配列類似性を指してもよく、共通の進化起源に関連してもしなくてもよい。
【0025】
2.BMP-3プロペプチド
特定の局面において、本発明は、BMP-3プロペプチドに関する。好ましくはこれらの断片、機能的変種、および改変型は、その対応する野生型BMP-3プロペプチドと類似または同じである生物活性を有する。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3タンパク質に結合して、その機能を阻害する。特定の状況において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の状況において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは、骨増殖を抑制解除または増加させる。
【0026】
BMP-3プロペプチドの例には、BMP-3Aプロペプチド(配列番号:1)およびBMP-3Bプロペプチド(配列番号:2)が含まれる。BMP-3Aおよび3Bプロペプチドは、アミノ酸配列においてごく遠縁に類似であるに過ぎないが、それぞれは、類似の配列の成熟ポリペプチドに結合して、したがって、BMP-3BプロペプチドはBMP-3Aに結合し、その逆も起こると予想される。
【0027】
一つの特定の例において、ヒトBMP-3A cDNA(配列番号:7、図7)は、アミノ酸472個の前駆体タンパク質(配列番号:3、図3)をコードする。推定の多塩基タンパク質切断部位(配列番号:3の残基357〜362位)でのBMP-3A前駆体タンパク質の切断によって、アミノ酸110個からなる成熟BMP-3Aタンパク質(図3)およびアミノ酸340個からなるBMP-3Aプロペプチド(図1および3、配列番号:1)が生成される。BMP-3Aプロペプチドは、可能性があるグリコシル化部位を含む(図3)。例えば、Wozney et al., 1988, Science 242:1528〜34を参照されたい。
【0028】
もう一つの特定の例において、ヒトBMP-3B cDNA(配列番号:8、図8)は、アミノ酸478個の前駆体タンパク質をコードする。BMP-3B前駆体タンパク質の推定の多塩基タンパク質切断部位(配列番号:4の残基364〜368位)での切断によって、アミノ酸110個からなる成熟BMP-3Bタンパク質およびアミノ酸335個からなるBMP-3Bプロペプチド(図2および4、配列番号:2)が生成される。BMP-3BプロペプチドおよびBMP-3B成熟ペプチドはいずれも、可能性があるグリコシル化部位(図4)を含む。例えば、Hino et al., 1996, Biochem, Biophys. Res. Commun. 223(2), 304〜310を参照されたい。
【0029】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドの単離された断片は、BMP-3プロペプチド(例えば、配列番号:1または2)をコードする核酸の対応する断片から組換えによって産生されたポリペプチドをスクリーニングすることによって得ることができる。さらに、断片は、通常のMerrifield固相f-mocまたはt-Boc化学のような、当技術分野で公知の技術を用いて化学合成することができる。断片を産生して(組換えによってまたは化学合成によって)、骨増殖を刺激するように機能しうる、例えばBMP-3活性のアンタゴニストとして、またはBMP-2活性の活性化剤として機能しうるそれらのペプチジル断片を同定することができる。
【0030】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドの機能的変種は、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有する。特定の状況において、機能的変種は、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有する。好ましくは、そのような変種は、成熟BMP-3との結合能および/またはII型受容体に対するBMP-3結合の競合的阻害能を保持する。
【0031】
特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドの構造を改変することによって、機能的変種を作製することを企図する。そのような改変は、例えば治療有効性または安定性(例えば、エクスビボ保存期間およびインビボでのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強するような目的のために行ってもよい。そのような改変されたBMP-3プロペプチドは、BMP-3プロペプチドの天然に存在する型の少なくとも一つの活性を保持するように設計された場合、天然に存在するプロペプチドの機能的同等物であると見なされる。改変BMP-3プロペプチドはまた、例えばアミノ酸置換、欠失、または付加によって産生することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンへの単離された置換、アスパラギン酸塩のグルタミン酸塩への置換、トレオニンのセリンへの置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似の置換(例えば、保存的置換)は、得られた分子の生物活性に主な効果を有しないであろうと予想することは妥当である。保存的置換は、その側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。BMP-3プロペプチドのアミノ酸配列の変化によって、機能的相同体が得られるか否かは、野生型プロペプチドと類似の方法で細胞における反応を生じる変種プロペプチドの能力を評価することによって、容易に決定することができる。
【0032】
特定の態様において、本発明は、タンパク分解性切断に対するその部位の感受性をより低くするために、BMP-3プロペプチド配列のタンパク分解性切断部位において変異を作製することを企図する。コンピューター分析(市販のソフトウェア、例えばMacVector, Omega, PCGene, Molecular Simulation, Inc.を用いて)を用いて、タンパク質切断部位を同定することができる。当業者によって認識されるように、記述される変異、変種または改変のほとんどは、核酸レベルで行われ、場合によっては、翻訳後改変または化学合成によって行われる。そのような技術は当技術分野で周知である。
【0033】
特定の態様において、本発明は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるためにBMP-3プロペプチド配列の特異的変異を企図する。そのような変異は、O-結合またはN-結合部位のような、一つまたは複数のグリコシル化部位を導入するまたは消失させるために選択してもよい。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は一般的に、適当な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン-X-トレオニン(「X」は、任意のアミノ酸である)を含む。変化はまた、野生型BMP-3プロペプチドの配列の(O-結合グリコシル化部位での)一つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基の付加、または置換によって行われてもよい。グリコシル化認識部位の第一または第三のアミノ酸位置の一つまたは双方での多様なアミノ酸置換または欠失(および/または第二の位置でのアミノ酸欠失)によって、改変トリペプチド配列で非グリコシル化が起こる。BMP-3プロペプチド上での糖質部分の数を増加させるもう一つの手段は、BMP-3プロペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。用いるカップリングモードに応じて、糖を(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離のカルボキシル基;(c)システインのような遊離のスルフヒドリル基;(d)セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンのような遊離のヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのような芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基に結合してもよい。これらの方法は、参照により本明細書に組み入れられる、1987年9月11日に提出された国際公開公報第87/05330号、およびAplin and Wriston(1981)CRC Crit. Rev. Biochem., pp.259〜306に記述されている。BMP-3プロペプチド上に存在する一つまたは複数の糖質部分の除去は、化学的および/または酵素的に行ってもよい。化学的脱グリコシル化は、例えばBMP-3プロペプチドの化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または同等の化合物に対する曝露を含んでもよい。この処置によって、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたは全ての糖の切断が起こるが、アミノ酸配列は無傷のままである。化学的脱グリコシル化はさらに、Hakimuddin et al.(1987)Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdge et al.(1981)Anal. Biochem. 118:131によってさらに記述される。BMP-3プロペプチドに及ぼす糖質部分の酵素的切断は、Thotakura et al.(1987)Meth. Enzymol. 138:350によって記述される多様なエンドまたはエキソグリコシダーゼを用いることによって得ることができる。哺乳類、酵母、昆虫、および植物細胞は、ペプチドのアミノ酸配列によって影響を受けうる異なるグリコシル化パターンを全て導入する可能性があることから、プロペプチドの核酸および/またはアミノ酸配列は、適当であれば用いる発現系のタイプに応じて調節してもよい。
【0034】
本開示はさらに、変異体、特に、BMP-3プロペプチドの組み合わせ変異体の組と共に切断変異体を作製する方法を企図する;組み合わせ変異体のプールは、機能的変異体配列を同定するために特に有用である。そのような組み合わせライブラリをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのいずれかとして作用しうる、または全く新規の活性を有するBMP-3プロペプチド変種を作製するためであってもよい。多様なスクリーニングアッセイが下記に提供され、そのようなアッセイを用いて変種を評価してもよい。例えば、BMP-3プロペプチド変種を、成熟BMP-3ポリペプチドに対する結合能に関してスクリーニングしてもよく、またはActRIIのようなBMP-3受容体を発現する細胞に対する成熟BMP-3の結合の防止能に関してスクリーニングしてもよい。BMP-3の活性はまた、細胞に基づくまたはインビボアッセイにおいて試験してもよい。例えば、骨芽細胞または前駆体における骨産生に関与する遺伝子の発現に及ぼすBMP-3プロペプチドの影響を評価してもよい。これは、必要に応じて、組換え型BMP-3および/またはBMP-2の存在において行ってもよく、細胞を、任意のBMP-2、BMP-3および本発明のBMP-3プロペプチド変種を産生するためにトランスフェクトしてもよい。同様に、BMP-3プロペプチドをマウスまたは他の動物に投与してもよく、密度または容積のような一つまたは複数の骨特性を評価してもよい。骨折の治癒速度も同様に評価してもよい。
【0035】
天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較して選択的有効性を有する、組み合わせに由来する変種を作製することができる。そのような変種タンパク質は、組換えDNA構築物から発現された場合に、遺伝子治療プロトコールにおいて用いることができる。同様に、変異誘発は、対応する野生型プロペプチドとは細胞内半減期が大きく異なる変種を生じうる。例えば、変化したタンパク質は、タンパク質分解もしくは他の細胞プロセスに対してより安定にする、またはより不安定にすることができ、それによって天然のBMP-3プロペプチドの破壊またはそうでなければ不活化が起こる。そのような変種およびそれらをコードする遺伝子を利用して、プロペプチドの半減期を調節することによって、BMP-3プロペプチドレベルを変化させることができる。例えば、半減期が短ければより一過性の生物作用を生じることができ、誘導型発現系または予定された投与レジメの一部の場合、処置した対象における組換え型BMP-3プロペプチドレベルのより厳密な制御を行うことができる。
【0036】
好ましい態様において、それぞれに、可能性があるBMP-3プロペプチド配列の少なくとも一部が含まれる、ポリペプチドのライブラリをコードする遺伝子の縮重ライブラリによって組み合わせライブラリを産生する。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、可能性があるBMP-3プロペプチドヌクレオチド配列の縮重の組が個々のポリペプチドとして、またはより大きい融合タンパク質の組(例えば、ファージディスプレイ)として発現可能であるように、酵素的に遺伝子配列にライゲーションすることができる。
【0037】
可能性がある相同体のライブラリを、縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することができる多くの方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNAシンセサイザーにおいて行うことができ、次に、合成遺伝子を適当な発現ベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は当技術分野で周知である(例えば、Narang, SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al., (1981)Recombinant DNA, Proc.3rd Cleveland Sympos. Macromolecules, ed. AG Walton, Amsterdam : Elsevier pp273〜289;Itakura et al.,(1984)Annu. Rev. Biochem. 53:323;Itakura et al., (1984)Science 198:1056;Ike et al., (1983)Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい)。そのような技術は、他のタンパク質の定方向進化において用いられている(例えば、Scott et al., (1990)Science 249:386〜390;Roberts et al., (1992)PNAS USA 89:2429〜2433;Devlin et al., (1990)Science 249:404〜406;Cwirla et al., (1990)PNAS USA 87:6378〜6382;と共に米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、および第5,096,815号を参照されたい)。
【0038】
または、他の形の変異誘発を利用して、組み合わせライブラリを作製することができる。例えば、BMP-3プロペプチド変種(アゴニストおよびアンタゴニスト型の双方)は、例えば、アラニンスキャン変異誘発等(Ruf et al., (1994)Biochemistry 33:1565〜1572;Wang et al., (1994)J. Biol. Chem. 269:3095〜3099;Balint et al., (1993)Gene 137:109〜118;Grodberg et al., (1993)Eur. J. Biochem. 218:597〜601;Nagashima et al., (1993)J. Biol. Chem. 268:2888〜2892;Lowman et al., (1991)Biochemistry 30:10832〜10838;およびCunningham et al., (1989)Science 244:1081〜1085)、リンカースキャン変異誘発(Gustin et al., (1993)Virology 193:653〜660;Brown et al., (1992)Mol. Cell Biol. 12:2644〜2652;McKnight et al., (1982)Science 232:316)、飽和変異誘発(Meyers et al., (1986)Science 232:613)、PCR変異誘発(Leung et al., (1989)Method Cell Mol Biol 1:11〜19)、または化学的変異誘発等を含むランダム変異誘発(Miller et al., (1992)「A Short Course in Bacterial Genetics」, CSHL Press, Cold Spring Harbor, NY;およびGreener et al., (1994)Strategies in Mol Biol 7:32〜34)を用いるスクリーニングによって、ライブラリから生成および単離することができる。特に組み合わせの状況におけるリンカースキャン変異誘発は、BMP-3プロペプチドの切断型(生物活性型)を同定するために魅力的な方法である。
【0039】
点突然変異および切断によって作製された組み合わせライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするために、およびその件に関して特定の特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリをスクリーニングするために、広範な技術が当技術分野で公知である。そのような技術は一般的に、BMP-3プロペプチドの組み合わせ変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適合されるであろう。大きい遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も広く用いられている技術は、典型的に、複製可能な発現ベクターに遺伝子ライブラリをクローニングする段階、得られたベクターライブラリによって適当な細胞を形質転換する段階、および所望の活性を検出することによってその産物が検出される遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離が促進される条件で、組み合わせ遺伝子を発現させる段階を含む。下記に説明したアッセイのそれぞれに、組み合わせ変異誘発技術によって作製された多数の縮重配列をスクリーニングするために必要なハイスループット分析を行うことができる。
【0040】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドにはペプチド模倣体が含まれる。本明細書において用いられるように、「ペプチド模倣体」という用語には、天然に存在しないアミノ酸、ペプトイド等を含む化学改変ペプチドおよびペプチド様分子が含まれる。ペプチド模倣体は、対象に投与した場合の安定性の増加を含む、ペプチドに対して様々な長所を提供する。ペプチド模倣体を同定する方法は当技術分野で周知であり、これには可能性があるペプチド模倣体のライブラリを含むデータベースのスクリーニングが含まれる。例えば、Cambridge Structural Databaseは、結晶構造が公知である300,000個より多い化合物のコレクションを含む(Allen et al., Acta Crystallogr. Section B, 35:2331(1979))。標的分子の結晶構造が利用できない場合、構造は、例えばプログラムCONCORD(Rusinko et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 29:251(1989))を用いて作製することができる。もう一つのデータベースであるthe Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited, Informations Systems;San Leandro Calif.)は、市販の化合物約100,000個を含み、同様にBMP-3プロペプチドの可能性があるペプチド模倣体を同定するために検索することができる。
【0041】
実例を挙げれば、もう一つのタンパク質に対する結合に関与しているBMP-3プロペプチドのアミノ酸残基をマッピングするためにスキャン変異誘発を用いることによって、結合に関与するそれらの残基を模倣するペプチド模倣体化合物を作製することができる。例えば、そのような残基の非加水分解ペプチド模倣体は、ベンゾジアゼピン(例えば、Freidinger et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988を参照されたい)、アゼピン(例えば、Huffman et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988を参照されたい)、置換γラクタム環(Garvey et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988)、ケト-メチレンシュードペプチド(Ewenson et al., (1986)J. Med. Chem. 29:295;およびEwenson et al., 「Peptides : Structure and Function」(Proceedings of the 9th American Peptide Symposium)Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985)、b-ターンジペプチドコア(Nagai et al., (1985)Tetrahedron Lett 26:647;およびSato et al., (1986)J Chem Soc Perkin Trans 1:1231)、およびb-アミノアルコール(Gordon et al., (1985)Biochem Biophys Res Commun 126:419;およびDann et al., (1986)Biochem Biophys Res Commun 134:71)を用いて作製することができる。
【0042】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドはさらに、プロペプチドにおいて本来存在する任意の改変の他に翻訳後改変を含んでもよい。そのような改変には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、燐酸化、脂質化およびアシル化が含まれるがそれらに限定されるわけではない。結果として、改変BMP-3プロペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖、および燐酸塩のような非アミノ酸成分を含んでもよい。そのような非アミノ酸成分がBMP-プロペプチドの機能性に及ぼす影響を、他のBMP-3プロペプチド変種に関して本明細書において記述されるように試験してもよい。BMP-3プロペプチドがBMP-3タンパク質の発生期型を切断することによって細胞において産生される場合、翻訳後プロセシングはまた、タンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能にとって重要となる可能性がある。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3、またはHEK293のような)は、そのような翻訳後活性に関する特異的細胞機構および特徴的なメカニズムを有し、BMP-3タンパク質のBMP-3プロペプチドへの正確な改変およびプロセシングが確実となるように選択してもよい。
【0043】
特定の局面において、BMP-3プロペプチドの機能的変種または改変型には、BMP-3プロペプチドの少なくとも一部と一つまたは複数の融合ドメインとを有する融合タンパク質が含まれる。そのような融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが含まれるがそれらに限定されるわけではない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択してもよい。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離にとって特に有用である。アフィニティ精製の目的に関して、グルタチオン-、アミラーゼ-、およびニッケル-またはコバルト-結合残基のようなアフィニティクロマトグラフィーの関連するマトリクスを用いる。そのようなマトリクスの多くは、Pharmacia GST精製システム、および(HIS6)融合パートナーと共に有用であるQIAexpress(商標)システム(Qiagen)のような「キット」の形で利用可能である。もう一つの例として、BMP-3プロペプチドの検出を促進するために融合ドメインを選択してもよい。そのような検出ドメインの例には、それに対する特異的抗体が利用可能である通常短いペプチド配列である「エピトープタグ」と共に様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)が含まれる。それに対する特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス血液凝集素(HA)、およびc-mycタグが含まれる。いくつかの場合において、融合ドメインは、関連するプロテアーゼによって融合タンパク質を部分的に消化させて、それによってそこから組換え型蛋白質を遊離させる、第Xa因子またはトロンビンのようなプロテアーゼ切断部位を有する。次に、遊離したタンパク質を、その後のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離することができる。特定の好ましい態様において、BMP-3プロペプチドを、インビボでプロペプチドを安定化させるドメイン(「安定化剤」ドメイン)と共に融合させる。「安定化させる」とは、これが破壊の減少、腎臓によるクレアランスの減少、または他の薬物動態作用のためであるか否かによらず、血清中の半減期を増加させる如何なるものも意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範囲のタンパク質に対して所望の薬物動態特性を付与することが公知である。さらに、Fc融合体は、二量体を形成する傾向があり、二量体BMP-3プロペプチドを提供する。同様に、ヒト血清アルブミンとの融合は、所望の特性を付与することができる。選択されてもよい他のタイプの融合ドメインには、多量体形成(例えば、二量体形成、四量体形成)ドメインおよび機能的ドメイン(骨増殖のさらなる刺激のようなさらなる生物機能を付与する)が含まれる。
【0044】
融合タンパク質の異なる要素を所望の機能性と一貫する如何なる方法で配列させてもよいと理解される。例えば、BMP-3プロペプチドを、異種ドメインに対してC-末端に配置してもよく、または異種ドメインをBMP-3プロペプチドに対してC-末端に配置してもよい。プロペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質において隣接する必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに対してC-もしくはN-末端に、またはドメインのあいだに含まれてもよい。
【0045】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドは、BMP-3プロペプチドを安定化させることができる一つまたは複数の改変を含む。例えば、そのような改変は、プロペプチドのインビトロ半減期を増強する、プロペプチドの循環中の半減期を増強する、またはプロペプチドのタンパク質分解を減少させる。そのような安定化改変には、融合タンパク質(BMP-3プロペプチドと安定化剤ドメインとを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の改変(例えば、BMP-3プロペプチドに対するグリコシル化部位の付加を含む)、および糖質部分の改変(例えば、BMP-3プロペプチドからの糖質部分の除去)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。融合タンパク質の場合、BMP-3プロペプチドをIgG分子(例えば、Fcドメイン)のような安定化剤ドメインに融合させる。本明細書において用いられるように、「安定化剤ドメイン」という用語は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、Fc)を指すばかりでなく、これには糖質部分のような非タンパク質様改変、またはポリエチレングリコール(PEG)のような非タンパク質様ポリマーが含まれる。PEGは、分子量1000 D〜50,000 D、またはそれより大きいポリマーに及ぶ様々な大きさで、BMP-3プロペプチドに固定されてもよい。PEGポリマーが、特にN-末端アミンまたは操作されたシステインに対して向けられる場合には、選択的、残基特異的にプロペプチドに固定してもよい。PEGポリマーはまた、一級アミンおよび/またはスルフヒドリル基を反応させてもよい比較的制御されない反応において固定してもよい。化学量論は、1:1(PEG:プロペプチド)〜2:1の範囲、またはそれ以上であってもよい。
【0046】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドを免疫グロブリンFcドメインに融合させる。好ましい態様において、FcドメインはIgG1 Fc断片である。IgG1 Fc断片には、例えばFcγ受容体に対する結合を減少させる変異、およびMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に対する結合を減少させる変異を含む、様々な変化が含まれてもよい。変異の例には、Fc部分における265位(AspからAlaに)、322位(LysからAla)、および434位(AsnからAla)での変異が含まれる。Fc配列の例を図9に示す。
【0047】
特定の態様において、本発明は、他のタンパク質から単離された、またはそうでなければ他のタンパク質を実質的に含まないBMP-3プロペプチドの利用できる単離および/または精製型を作製する。
【0048】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチド(非改変または改変型)は、当技術分野で認識された多様な技術によって産生することができる。例えば、そのようなBMP-3プロペプチドは、Bodansky, M.「Principles of Peptide Synthesis」, Springer Verlag, Berlin(1993)およびGrant G.A.(ed.)、「Synthetic Peptides : A User's Guide」, W.H.Freeman and Company, New York(1992)において記述されるような標準的なタンパク質化学技術を用いて合成することができる。さらに、自動ペプチドシンセサイザーは市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。または、BMP-3プロペプチド、断片、またはその変種は、当技術分野で周知であるように、様々な発現系(例えば、大腸菌、チャイニーズハムスター卵巣細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を用いて組換えによって産生してもよい(下記も参照されたい)。さらなる態様において、改変または非改変BMP-3プロペプチドは、例えば、プロテアーゼ、例えばトリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を用いて、天然に存在する、または組換えによって産生されたBMP-3の消化によって産生してもよい。コンピューター分析(市販のソフトウェア、例えばMacVector, Omega, PCGene, Molecular Simulation, Inc.を用いて)を用いてタンパク質切断部位を同定することができる。または、そのようなプロペプチドは、化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミン)によるような当技術分野で公知の標準的な技術によって、天然に存在する、または組換えによって産生されるBMP-3から生成してもよい。
【0049】
特定の態様において、本発明は、部位のタンパク質切断に対する感受性をより低下させるために、BMP-3配列のタンパク質切断部位において変異を作製することを企図する。結果は、プロペプチドと成熟部分との双方を含むBMP-3ポリペプチドであり、これはBMP-3アンタゴニストとして有用となる可能性がある。より好ましくは、成熟部分は、成熟ペプチドのいくつかの部分が結合したBMP-3プロペプチドが産生されるように、終止コドンによって操作される。一つの特異的態様において、変異体は、配列番号:3のアミノ酸357、358、359、360、361もしくは362位での点突然変異、または配列番号:1のアミノ酸335、336、337、338、339、もしくは340位での点突然変異を含んでもよい。もう一つの特定の態様において、そのような変異体は、配列番号:4のアミノ酸364、365、366、367、もしくは368位での点突然変異、または配列番号:2のアミノ酸331、332、333、334、もしくは335位での点突然変異を含んでもよい。
【0050】
3.BMP-3プロペプチドをコードする核酸
特定の局面において、本発明は、本明細書に開示の機能的変種を含む任意のBMP-3プロペプチドをコードする単離および/または組換え型核酸を提供する。例えば、配列番号:5および6はBMP-3プロペプチドをコードする。本発明の核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよい。そのような核酸は、DNAまたはRNA分子であってもよい。これらの核酸は、例えばBMP-3プロペプチドを作製する方法において、または直接の治療物質として(例えば、遺伝子治療アプローチにおいて)用いてもよい。
【0051】
BMP-3プロペプチドをコードする本発明の核酸にはさらに、配列番号:5および6の変種である核酸が含まれると理解される。変種ヌクレオチド配列には、対立遺伝子変種のような一つまたは複数のヌクレオチド置換、付加、または欠失によって異なる配列が含まれ、したがって配列番号:5および6において示されたコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列が含まれるであろう。
【0052】
特定の態様において、本発明は、配列番号:5または6と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組換え型核酸配列を提供する。当業者は、配列番号:5または6と相補的である核酸配列および配列番号:5または6の変種も同様に本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。さらなる態様において、本発明の核酸配列は、単離型、組換え型となりうる、および/または異種ヌクレオチド配列と融合させることができる、またはDNAライブラリに存在しうる。
【0053】
他の態様において、本発明の核酸には、配列番号:5もしくは6において示されたヌクレオチド配列、配列番号:5もしくは6の相補的配列、またはその断片と高ストリンジェントな条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列が含まれる。先に考察したように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。例えば、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で約45℃でのハイブリダイゼーションの後に、2.0×SSCで50℃での洗浄を行うことができる。例えば、洗浄段階における塩濃度は、約2.0×SSCで50℃での低ストリンジェンシーから約0.2×SSCで50℃での高ストリンジェンシーまでの中から選択することができる。さらに、洗浄段階の温度は、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件まで増加させることができる。温度および塩の双方を変化させてもよく、または他の変数を変化させて温度もしくは塩濃度を一定に保持してもよい。一つの態様において、本発明は、6×SSCで室温の後に室温で2×SSCの洗浄を行う低ストリンジェンシー条件でハイブリダイズする核酸を提供する。
【0054】
遺伝子コードの縮重のために配列番号:5〜6に記載された核酸とは異なる単離された核酸も同様に、本発明の範囲に含まれる。例えば、多くのアミノ酸は、一つより多いトリプレットによって表される。同じアミノ酸を明記するコドンまたは同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンに関する同義語である)によって、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異が起こる可能性がある。しかし、本発明のタンパク質のアミノ酸配列の変化に至るDNA配列多型が、哺乳類細胞に存在するであろうと予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の一つまたは複数のヌクレオチドにおけるこれらの変異(ヌクレオチドの約3〜5%まで)が、天然の対立遺伝子変種により、所定の種の個体に存在する可能性があることを認識するであろう。そのようなヌクレオチド変化および得られたアミノ酸多型の如何なるものもおよび全てが本発明の範囲に含まれる。
【0055】
特定の態様において、本発明の組換え型核酸を、発現構築物において一つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に機能的に結合させてもよい。調節ヌクレオチド配列は一般的に、発現のために用いられる宿主細胞に対して適当となるであろう。多数のタイプの適当な発現ベクターおよび適した調節配列が、多様な宿主細胞に関して当技術分野で公知である。典型的に、一つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、ならびにエンハンサーもしくはアクチベーター配列が含まれてもよいがそれらに限定されるわけではない。当技術分野で公知の構成的または誘導型プロモーターが、本発明によって企図される。プロモーターは天然に存在するプロモーターであってもよく、または一つより多いプロモーターの要素を組み合わせるハイブリッドプロモーターであってもよい。発現構築物は、細胞においてプラスミドのようにエピソーム上で存在してもよく、または発現構築物を染色体に挿入してもよい。好ましい態様において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞を選択できるように選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は当技術分野において周知であり、用いる宿主細胞に応じて変化するであろう。
【0056】
本発明の特定の局面において、本発明の核酸は、BMP-3プロペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも一つの調節配列に機能的に結合したベクターにおいて提供される。調節配列は当技術分野において認識され、BMP-3プロペプチドの発現を指示するために選択される。したがって、調節配列という用語には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素が含まれる。例としての調節配列は、Goeddel;「Gene Expression Technology : Methods in Enzymology」, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記述される。例えば、機能的に結合した場合にDNA配列の発現を制御する広く多様な任意の発現制御配列が、BMP-3プロペプチドをコードするDNA配列を発現するために、これらのベクターにおいて用いられてもよい。そのような有用な発現制御配列には、例えばSV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステム、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモーター、ファージラムダの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼまたは他の糖分解酵素のプロモーター、酸ホスファターゼ、例えばPho5のプロモーター、酵母のα-接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリへドロンプロモーター、ならびに原核細胞もしくは真核細胞またはそのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、およびその様々な組み合わせが含まれる。発現ベクターのデザインは、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが望ましいタンパク質のタイプのような要因に依存してもよいと理解すべきである。その上、ベクターのコピー数、そのコピー数の制御能、および抗生物質マーカーのような、ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質の発現も同様に検討すべきである。
【0057】
本発明の組換え型核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳類)のいずれか、またはその双方における発現に適したベクターにライゲーションすることによって産生することができる。組換え型BMP-3プロペプチドを産生するための発現媒体には、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適したベクターには、以下のタイプのプラスミドが含まれる:大腸菌のような原核細胞における発現のための、pBR322由来プラスミド、pEMBL-由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac-由来プラスミド、およびpUC-由来プラスミド。
【0058】
いくつかの哺乳類発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進するために、原核細胞配列と、真核細胞において発現される一つまたは複数の真核細胞転写単位の双方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳類発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、原核細胞および真核細胞の双方における複製および薬物耐性選択を促進するために、pBR322のような細菌プラスミドからの配列によって改変されている。または、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン-バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体を、真核細胞におけるタンパク質の一過性の発現のために用いることができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、下記の遺伝子治療送達システムの説明において認められうる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において用いられる様々な方法が、当技術分野で周知である。原核細胞および真核細胞の双方に関する他の適した発現系と共に、一般的な組換え技法に関しては、「Molecular Cloning A Laboratory Manual」, 2nd Ed. ed by Sambrook, Fritsch, and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)Chapter 16 and 17を参照されたい。いくつかの状況において、バキュロウイルス発現系を用いることによって、組換え型SLC5A8ポリペプチドを発現することが望ましいかも知れない。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL-由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941のような)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1のような)およびpBlueBac-由来ベクター(β-gal含有pBlueBac IIIのような)が含まれる。
【0059】
好ましい態様において、ベクターは、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)のような、CHO細胞において本発明のBMP-3プロペプチドを産生するために設計されるであろう。明らかであるように、本発明の遺伝子構築物は、培養において増殖した細胞における本発明のBMP-3プロペプチドの発現を引き起こすために、例えば精製のために融合タンパク質または変種タンパク質を含むタンパク質を産生するために用いることができる。
【0060】
本発明はまた、本発明のBMP-3プロペプチドの一つまたは複数のコード配列(例えば、配列番号:5または6)を含む組換え型遺伝子をトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドは、大腸菌のような細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いて)、酵母、または哺乳類細胞において発現されてもよい。他の適した宿主細胞は当業者に公知である。
【0061】
したがって、本発明はさらに、本発明のBMP-3プロペプチドを産生する方法に関する。例えば、BMP-3プロペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞を適当な条件で培養して、BMP-3プロペプチドを発現させることができる。BMP-3プロペプチドは分泌されてもよく、細胞とプロペプチドを含む培地との混合物から単離してもよい。または、プロペプチドは、細胞質または膜分画に保持されてもよく、細胞を回収、溶解して、タンパク質を単離してもよい。細胞培養には、宿主細胞、培地、および他の副産物が含まれる。細胞培養のための適した培地は、当技術分野で周知である。プロペプチドは、細胞培養培地、宿主細胞、または双方から、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、およびプロペプチドの特定のエピトープに対して特異的な抗体による免疫アフィニティ精製を含む、当技術分野で公知のタンパク質精製技術を用いて単離することができる。好ましい態様において、BMP-3プロペプチドは、その精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。
【0062】
もう一つの態様において、組換え型BMP-3プロペプチドの所望の部分のN-末端でポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列のような精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いるアフィニティクロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を行うことができる。次に、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼによる処置によって除去して、精製BMP-3プロペプチドを提供することができる(例えば、Hochuli et al., (1987)J. Chromatography 411:177およびJanknecht et al., PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
【0063】
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端または付着末端、適当な末端を提供するための制限酵素消化、適当であれば付着末端を塞ぐこと、望ましくない結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処置、および酵素的ライゲーションを用いて、通常の技術に従って行われる。もう一つの態様において、融合遺伝子は、自動DNAシンセサイザーを含む通常の技術によって合成することができる。または、その後アニールしてキメラ遺伝子配列を生じることができる二つの連続遺伝子断片のあいだに相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができる(例えば、「Current Protocols in Molecular Biology」, eds. Ausubel et al., John Wiley & Sons : 1992を参照されたい)。
【0064】
4.抗体
本発明のもう一つの局面は抗体に関する。成熟BMP-3ポリペプチドと特異的反応して、BMP-3プロペプチドと競合的に結合する抗体は、BMP-3アンタゴニストとして用いてもよい。例えば、BMP-3成熟ペプチドに由来する免疫原を用いて、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を標準的なプロトコールによって作製することができる(例えば、「Antibodies : A Laboratory Manual」ed. Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press : 1988)を参照されたい)。マウス、ハムスター、またはウサギのような哺乳類を、BMP-3ペプチドの免疫原性型、抗体反応を誘発することができる抗原性断片、または融合タンパク質によって免疫することができる。好ましい態様において、接種されたマウスは、内因性のBMP3を発現せず、このようにそうでなければ抗自己抗体として消失されるであろう抗体の単離が促進される。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術には、担体との結合、または当技術分野で周知である他の技術が含まれる。BMP-3ペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で行うことができる。免疫の進行は、血漿または血清における抗体力価の検出によってモニターすることができる。抗体レベルを評価するために抗原として免疫原を用いる、標準的なELISAまたは他のイムノアッセイを用いることができる。
【0065】
BMP-3の抗原性調製物による動物の免疫後、抗血清を得て、望ましければポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を作製するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫した動物から採取して、標準的な体細胞融合技法によって骨髄腫細胞のような不死化細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を作製することができる。そのような技術は当技術分野で周知であり、例えばハイブリドーマ技術(当初、Kohler and Milstein, (1975)Nature, 256:495〜497によって開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar et al., (1983)Immunology Today, 4:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., (1985)「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」, Alan R. Liss, Inc. pp. 77〜96)が含まれる。ハイブリドーマ細胞を、BMP-3と特異的に反応する抗体の産生に関して免疫化学によってスクリーニングして、そのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物からモノクローナル抗体を単離することができる。
【0066】
本明細書において用いられるように「抗体」という用語には、本発明のBMP-3ペプチドと特異的に反応するその断片が含まれると意図される。抗体は通常の技術を用いて断片化して、断片を、抗体全体に関して先に記述した方法と同じ方法で有用性に関してスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2断片は、抗体をペプシンによって処置することによって作製することができる。得られたF(ab)2断片を処置して、ジスルフィド架橋を還元してFab断片を作製することができる。本発明の抗体にはさらに、抗体の少なくとも一つのCDR領域によって付与されるBMP-3ペプチドに対して親和性を有する、二重特異的、一本鎖、キメラ、およびヒト化抗体が含まれると意図される。好ましい態様において、抗体はさらに、それに結合して検出することができる標識を含む(例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素共因子となりうる)。
【0067】
特定の好ましい態様において、本発明の抗体はモノクローナル抗体であり、特定の態様において、本発明は、新規抗体を作製するための利用可能な方法を作成する。例えば、BMP-3ペプチドに対して特異的に結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、検出可能な免疫応答を刺激するために有効なBMP-3プロペプチドを含む免疫原性組成物の量をマウスに投与する段階、マウスから抗体産生細胞(例えば脾臓の細胞)を得る段階、抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを得る段階、およびBMP-3ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するために、抗体産生ハイブリドーマを試験する段階を含んでもよい。得られた後、ハイブリドーマを細胞培養において、任意でハイブリドーマ由来細胞がBMP-3ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で増殖させることができる。モノクローナル抗体は、細胞培養から精製してもよい。
【0068】
抗体を参照して用いられる場合の形容詞「特異的に反応する」は、当技術分野において一般的に理解されているように、抗体が、対象抗原(例えば、BMP-3ペプチド)と対象抗原ではない他の抗原とのあいだで十分に選択的であること、抗体が、特定のタイプの生体試料において対象抗原の存在を少なくとも検出するために有用であることを意味すると意図される。治療応用のような、抗体を用いる特定の方法では、高い程度の結合特異性が望ましいかも知れない。モノクローナル抗体は一般的に、所望の抗原と交叉反応ポリペプチドとを有効に識別する経口がより大きい(ポリクローナル抗体と比較して)。抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす一つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は異なる親和性の範囲内に達する可能性があるが、一般的に好ましい抗体は約10-6、10-7、10-8、10-9またはそれ未満の親和性を(解離定数)を有するであろう。
【0069】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために用いられる技術は、得られた抗体の特性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、抗体が溶液中で抗原に結合するために用いられる場合、溶液の結合を試験することが望ましいかも知れない。特に望ましい抗体を同定するために、抗体と抗原の相互作用を調べるために異なる多様な技術が利用可能である。そのような技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore結合アッセイ、Bia-core AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International, Inc, Gaithersburg, Marylandの常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈殿アッセイ、および免疫組織化学が含まれる。
【0070】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドに結合する抗体を提供する。そのような抗体は、抗原としてプロペプチドまたはその断片を用いて、先に記述したように大量に産生されてもよい。このタイプの抗体は、例えば生体試料におけるBMP-3プロペプチドを検出するために、および/または個体におけるBMP-3プロペプチドをモニターするために用いることができる。BMP-3プロペプチドのレベルは、例えば細胞のような、および/または全血試料、血清、血漿および尿のような体液のような多様な試料タイプにおいて測定してもよい。BMP-3プロペプチドに結合する抗体は、BMP-3活性を刺激するために用いることができ、骨増殖または骨吸収の減少を促進する。これは、過骨症、オステオポイキローシス、大理石骨病、骨硬化症(例えば、腎不全に起因する)、硬化性異骨症、骨髄硬化症、および高ホスファターゼ症のような、様々な障害において望ましいかも知れない。
【0071】
5.スクリーニングアッセイ
特定の局面において、本発明は、BMP-3プロペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(物質)を同定するために本発明のBMP-3プロペプチドを用いることに関する。本スクリーニングによって同定された化合物は、インビトロでの骨/軟骨増殖の調節能を評価するために、骨および/または軟骨組織において試験することができる。任意で、これらの化合物は、インビボでの骨./軟骨増殖の調節能を評価するために、動物モデルにおいてさらに試験することができる。
【0072】
BMP-3プロペプチドをターゲティングすることによって骨増殖を調節するための治療物質のスクリーニングに関して多数のアプローチが存在する。特定の態様において、化合物のハイスループットスクリーニングは、BMP-2の骨形成活性に及ぼすBMP-3プロペプチド媒介作用に及ぼすそのような化合物の影響を評価することによって、骨または軟骨増殖に及ぼすBMP-3Aプロペプチド媒介作用を混乱させる物質を同定するために行うことができる。特定の態様において、アッセイは、その結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)に対するBMP-3プロペプチドの結合を特異的に阻害または減少させる化合物をスクリーニングして同定するために行われる。またはアッセイは、その結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)に対するBMP-3プロペプチドの結合を増強する化合物を同定するために用いることができる。さらなる態様において、化合物は、BMP-3プロペプチドとの相互作用能によって同定されうる。
【0073】
多様なアッセイフォーマットは十分であり、本開示に照らして、本明細書に明白に記述されていないアッセイもそれにもかかわらず、当業者によって含まれるであろう。本明細書において記述されるように、本発明の試験化合物(物質)は、任意の組み合わせ化学法によって作製されてもよい。または、本発明の化合物はインビボまたはインビトロで合成された天然に存在する生体分子であってもよい。骨または軟骨増殖の調節物質としての作用能に関して試験される化合物(物質)は、例えば細菌、酵母、植物または他の生物(例えば、天然物)によって産生されうる、化学的に(例えば、ペプチド模倣体を含む低分子)産生されうる、または組換えによって産生されうる。本発明によって企図される試験化合物には、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、糖、ホルモン、および核酸分子が含まれる。特定の態様において、試験物質は、分子量約2,000ダルトン未満を有する低分子有機分子である。
【0074】
本発明の試験化合物は、単一の個別の実体として提供されうる、またはコンビナトリアルケミストリーによって作製されるような、複雑度がより大きいライブラリにおいて提供されうる。これらのライブラリは、例えばアルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および他のクラスの有機化合物を含みうる。試験化合物の試験系への提示は、特に最初のスクリーニング段階において単離型または化合物の混合物となりうる。任意で、化合物は、他の化合物によって誘導体化されてもよく、化合物の単離を促進する誘導体形成基を有してもよい。誘導体形成基の非制限的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位元素、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ、光活性化可能なクロスリンク剤、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0075】
化合物ライブラリおよび天然抽出物を試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所定の期間で検査される化合物数を最大限にするために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質に由来する可能性がある場合のような、無細胞系において行われるアッセイはしばしば、それらが迅速な開発、および試験化合物によって媒介される分子標的における変化の比較的容易な検出を可能にするために作製されうるという点において、「一次」スクリーニングとして好ましい。その上、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用率の影響は一般的に、インビトロ系では無視することができ、アッセイはそのかわりにBMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との結合親和性の変化において表れる可能性がある、分子標的に及ぼす薬物の効果に主に重点を置く。
【0076】
単に説明するために、本発明の例としてのスクリーニングアッセイにおいて、対象化合物を、アッセイの目的に関して適当であるように、BMP-3成熟ペプチドに通常結合することができる単離および精製BMP-3プロペプチドに接触させる。次に、化合物とBMP-3プロペプチドとの混合物に、BMP-3成熟ペプチドを含む組成物を加える。BMP-3プロペプチド複合体の検出および定量は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えばBMP-3成熟ペプチド)との複合体形成を阻害する(または増強する)化合物の有効性を決定する手段を提供する。化合物の有効性は、試験化合物の様々な濃度を用いて得られたデータから用量反応曲線を作製することによって評価することができる。その上、対照アッセイも同様に、比較のための基準値を提供するために行ってもよい。例えば、対照アッセイにおいて、単離および精製BMP-3成熟ペプチドを、BMP-3プロペプチドを含む組成物に加えて、BMP-3プロペプチド/成熟ペプチド複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般的に、反応物質を加える順序は多様となりえて、同時に混合することができる。その上、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物を用いて適した無細胞アッセイ系にしてもよい。
【0077】
BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質との複合体形成は、多様な技術によって検出してもよい。例えば、複合体の形成の調節は、例えば放射標識(例えば、32P、35S、14C、または3H)、蛍光標識(例えば、FITC)、または酵素標識BMP-3プロペプチドまたはその結合タンパク質のような検出可能に標識されたタンパク質を用いて、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出によって定量することができる。
【0078】
特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用の程度を直接または間接的に測定するために蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイを用いることを企図する。さらに、光学導波管(PCT公開国際公開公報第96/26432号および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)(下記の実施例において用いられるBiaCoreシステムによって用いられる様式)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づく検出のような他の検出様式は、本発明の多くの態様と適合性である。
【0079】
その上、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を破壊または増強する物質を同定するために「2ハイブリッドアッセイ」として知られる相互作用トラップアッセイを用いることを企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al., (1993)Cell 72:223〜232;Madura et al., (1993)J. Biol. Chem. 268:12046〜12054;Bartel et al., (1993)Biotechniques 14:920〜924;およびIwabuchi et al. (1993)Oncogene 8:1693〜1696を参照されたい。特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を解離させる化合物(例えば、低分子またはペプチド)を同定するためにリバース2ハイブリッドシステムを用いることを企図する。例えば、Vidal and Legrain, (1999)Nucleic Acids Res. 27:919〜29;Vidal and Legrain, (1999)Trends Biotechnol 17:374〜81;および米国特許第5,525,490号;第5,955,280号;第5,965,368号を参照されたい。
【0080】
一つの特定の例において、BMP-3プロペプチドと成熟BMP-3ペプチドとの相互作用は、FLAG-タグBMP-3前駆体タンパク質を発現する構築物を作製することによってアッセイすることができる。FLAGタグ前駆体タンパク質は細胞において発現され、BMP-3プロペプチドおよびFLAGタグ成熟BMP-3ペプチドにプロセシングされる。次に、細胞から調製したタンパク質溶解物を、FLAGに対する抗体によってアフィニティ精製する。BMP-3プロペプチドおよび成熟BMP-3ペプチドを含む複合体は、これらのアフィニティ精製タンパク質試料におけるBMP-3プロペプチドの存在によって決定することができる(例えば、イムノブロットによって)。
【0081】
特定の態様において、本発明の化合物は、本発明のBMP-3プロペプチドとの相互作用能によって同定される。化合物とBMP-3プロペプチドとの相互作用は、共有結合であっても非共有結合であってもよい。例えば、そのような相互作用は、光クロスリンク、放射標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィー(Jakoby WB et al., 1974, Methods in Enzymology 46:1)を含むインビトロ生化学法を用いてタンパク質レベルで同定することができる。特定の場合において、化合物は、BMP-3プロペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイのような、メカニズムに基づくアッセイにおいてスクリーニングしてもよい。これには、固相または液相結合事象が含まれてもよい。または、BMP-3プロペプチドをコードする遺伝子をレポーターシステム(β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)と共に細胞にトランスフェクトして、好ましくはハイスループットスクリーニングによってライブラリに対してスクリーニングしてもよく、またはライブラリの個々のメンバーをスクリーニングしてもよい。他のメカニズムに基づく結合アッセイ、例えば自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを用いてもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズ、もしくはチップに固定した標的について行ってもよく、固定した抗体によって捕捉してもよく、またはキャピラリー電気泳動によって分解してもよい。結合した化合物は通常、比色法、蛍光、または表面プラズモン共鳴を用いて検出してもよい。
【0082】
特定の局面において、本発明は、骨形成を刺激するための、および骨量を増加させるための方法および物質を提供する。したがって、無細胞系を用いて同定された如何なる化合物も、またはBMP-3機能に影響を及ぼすと予想される如何なる他の化合物(例えば、BMP-2の骨形成活性に拮抗する)も、インビトロまたはインビボで細胞全体または組織において試験して、骨または軟骨増殖の調節能を確認することができる。当技術分野で公知の様々な方法をこの目的のために利用することができる。
【0083】
例えば、BMP-3Aは、Msx2のBMP2による誘導を阻害して、骨前駆細胞のBMP2による骨芽細胞への分化を遮断する。このように、骨または軟骨増殖に及ぼすBMP-3プロペプチドまたは試験化合物の影響は、例えば細胞に基づくアッセイにおいてMsx2の誘導、または骨前駆細胞の骨芽細胞への分化を測定することによって、BMP-2の骨形成活性に及ぼすその作用によって決定することができる(例えば、Daluiski et al., Nat. Genet. 2001, 27(1):84〜8;Hino et al., Front Biosci. 2004, 9:1520〜9を参照されたい)。
【0084】
細胞に基づくアッセイのもう一つの例には、間葉前駆細胞および骨芽細胞において本発明のBMP-3プロペプチドおよび試験化合物の骨形成活性を分析することが含まれる。説明すると、ヒトBMP-3プロペプチドを発現する組換え型アデノウイルスを構築して、多能性間葉前駆細胞C3H10T1/2細胞、前骨芽細胞C2C12細胞、および骨芽細胞TE-85細胞に感染させた。次に、アルカリホスファターゼの誘導、オステオカルシン、およびマトリクスの無機化を測定することによって骨形成活性を決定した(例えば、Cheng et al., J. bone Joint Surg Am. 2003, 85〜A(8):1544〜52を参照されたい)。
【0085】
さらに、本発明は、骨または軟骨増殖を測定するためのインビボアッセイを企図する。例えば、Namkung-Matthai et al., Bone, 28:80〜86(2001)は、骨折後の初期における骨修復を調べるラット骨粗鬆症モデルを開示する。Kubo et al., Steroid Biochemistry & Molecular Biology, 68:197〜202(1999)も同様に、骨折後の後期における骨修復を調べるラット骨粗鬆症モデルを開示している。これらの参考文献は、骨粗鬆症による骨折を調べるためのラットモデルの開示のために、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。特定の局面において、本発明は、当技術分野で公知の骨折治癒アッセイを利用する。これらのアッセイには、骨折技術、組織学分析、および生化学分析が含まれ、それらは例えば、骨折を引き起こすと共に骨折の程度および修復プロセスを測定するための実験プロトコールの開示に関してその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,521,750号に記述されている。
【0086】
本発明のスクリーニングアッセイは、本発明のBMP-3プロペプチドおよびBMP-3プロペプチドの変種にあてはまるのみならず、BMP-3プロペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを含む任意の試験化合物に当てはまる。さらに、これらのスクリーニングアッセイは、薬物標的の確認および品質管理目的にとっても有用である。
【0087】
6.投与法
特定の態様において、本発明の組成物(例えば、BMP-3プロペプチドおよびそのようなプロペプチドを含む組成物)は、骨および/または軟骨形成を誘導するため、骨喪失を予防するため、骨無機化を増加するため、または骨の脱塩化を防止するために用いることができる。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドおよび本発明において同定された化合物は、ヒトおよび他の動物における骨粗鬆症の処置、骨折および軟骨欠損の治癒において適応を有する。BMP-3プロペプチドは、臨床下低骨密度であると診断された患者において、骨粗鬆症の発症に対する保護的測定として有用となる可能性がある。
【0088】
特定の態様において、本発明は、上記のBMP-3プロペプチドの治療的有効量を個体に投与することによって、骨/軟骨欠損に関連した疾患(障害または病態)を有する個体を処置または予防する方法を提供する。これらの方法は、動物、およびより詳しくはヒトの治療的および予防的処置を特に目的としている。
【0089】
特定の態様において、本発明の方法および組成物は、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損の治癒において医学的有用性を有する可能性がある。本発明の方法および組成物はまた、閉鎖骨折と共に開放骨折の減少、および同様に人工関節の固定の改善のために予防的に用いてもよい。骨形成物質によって誘導されるデノボ骨形成は、先天性、外傷性、または腫瘍の切除によって誘導される頭蓋顔面欠損の修復に関与して、美容形成外科においても有用である。さらに、本発明の方法および組成物は、歯周疾患の処置において、および他の歯修復プロセスにおいて用いてもよい。特定の場合において、本発明のBMP-3プロペプチドは、骨形成細胞を誘引する、骨形成細胞の増殖を刺激する、または骨形成細胞の前駆体の分化を誘導する環境を提供する。本発明のBMP-3プロペプチドはまた、骨粗鬆症の処置においても有用となる可能性がある。さらに、BMP-3プロペプチドは、軟骨欠損の修復および変形性関節炎の予防/逆転において用いてもよい。
【0090】
特定の態様において、本発明の方法および組成物はまた、創傷治癒および関連する組織修復において用いてもよい。創傷のタイプには、火傷、切り傷、および潰瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。例えばPCT公開国際公開公報第84/01106号を参照されたい。
【0091】
特定の態様において、本発明は、骨折、ならびに軟骨および/または骨欠損、または歯周病に関連した他の病態を修復するための治療法および組成物を提供する。本発明はさらに、創傷治癒および組織修復のための治療法および組成物を提供する。そのような組成物は、薬学的に許容される媒体、担体、またはマトリクスと混合して本発明のBMP-3プロペプチドの少なくとも一つの治療的有効量を含む。
【0092】
特定の特異的態様において、本発明の方法および組成物(例えば、BMP-3プロペプチド)は、骨粗鬆症、上皮小体機能昂進症、クッシング病、甲状腺中毒症、慢性的な下痢状態および吸収不良、腎尿細管アシドーシス、または神経性食欲不振のような、骨喪失を引き起こす病態に適応することができる。女性であること、低体重であること、および座っていることの多いライフスタイルは、骨粗鬆症(骨折のリスクに至る骨塩密度の減少)の危険因子であることは、多くの人々が承知している。しかし、骨粗鬆症は、特定の投薬の長期使用によっても起こりうる。薬物または他の医学的状態に起因する骨粗鬆症は、二次性骨粗鬆症として知られている。クッシング病として知られる病態では、体によって産生されたコルチゾルの過剰量によって骨粗鬆症および骨折が起こる。二次性骨粗鬆症に関連した最も一般的な投薬は、副腎によって天然に産生されるホルモンであるコルチゾルのような挙動を示すコルチコステロイドである。適当なレベルの甲状腺ホルモン(甲状腺によって産生される)は、骨格の発達にとって必要であるが、過剰量の甲状腺ホルモンは時間と共に骨量を減少させうる。アルミニウムを含む制酸剤は、腎疾患を有する人々、特に透析を受けている人が高用量を摂取すると骨喪失が起こりうる。二次骨粗鬆症を引き起こしうる他の投薬には、急発作を予防するために用いられるフェニトイン(Dilantin)およびバルビツレート;メソトレキセート(Rheumatrex, Immunex, Folex PFS)、関節炎、癌、および免疫障害の何らかの形の薬物;シクロスポリン(Sandimmune, Neoral)、自己免疫疾患を処置するためおよび臓器移植患者における免疫系を抑制するために用いられる薬物;前立腺癌および子宮内膜症を処置するために用いられる黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Lupron, Zoladex);ヘパリン(Calciparine, Liquaemin)、抗凝固剤投薬;ならびに高コレステロールを処置するために用いられるコレスチラミン(Questran)およびコレスチポル(Colestid)が含まれる。歯肉疾患は、部分的に細菌毒素の作用のために、および部分的に持続的な炎症の効果のために骨喪失を引き起こす。
【0093】
特定の態様において、本発明は、異常なまたは望ましくない骨増殖に関連した疾患または障害を処置するための方法および治療物質、例えばBMP-3プロペプチドのアンタゴニストを提供する。例えば、進行性骨化繊維異形成(FOP)として知られる疾患を有する患者は、如何なる運動も阻害する異常な「二次骨格」を発達させる。さらに、異常な骨増殖は、股関節置換手術後に起こることがあり、それによって手術の転帰を台無しにする。これは、病的な骨増殖およびBMP-3プロペプチドのアンタゴニストが治療的に有用となる可能性がある状況のより一般的な例である。BMP-3プロペプチドのアンタゴニストはまた、外傷、火傷、または脊髄損傷後の骨の病的な増殖のような、他の型の異常な骨増殖を処置するために有用となる可能性がある。さらに、BMP-3プロペプチドのアンタゴニストは、転移性前立腺癌または骨肉腫に関連して認められる異常な骨増殖に関連したBMPsの望ましくない作用を処置または予防するために有用となる可能性がある。BMP-3プロペプチドのこれらのアンタゴニストの例には、BMP-3プロペプチドとその結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を破壊する化合物、およびBMP-3プロペプチドに特異的に結合する抗体が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0094】
本発明の方法の特定の態様において、一つまたは複数のBMP-3プロペプチドを共に(同時に)または異なる時期に(連続的または重なり合って)投与することができる。さらに、BMP-3プロペプチドは、もう一つのタイプの骨形成性軟骨誘導または骨誘導因子と共に投与することができる。二つのタイプの化合物を同時または異なる時期に投与してもよい。本発明のBMP-3プロペプチドは、他の骨形成、軟骨誘導、または骨誘導因子と共に、またはおそらく相乗的に作用する可能性がある。多様な骨形成性の軟骨誘導性および骨誘導因子、特にビスホスホネートが、記述されている。例えば欧州特許出願第148,155号および第169,016号を参照されたい。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドと組み合わせることができる他の因子には、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF-αおよびTGF-β)、およびインスリン様増殖因子(IGF)のような様々な増殖因子が含まれる。
【0095】
7.薬学的組成物
特定の態様において、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)は、薬学的に許容される担体と共に調製される。例えば、BMP-3プロペプチド(例えば、そのFc融合タンパク質を含む)を単独で、または薬学的組成物(治療組成物)の成分として投与することができる。本発明の化合物は、ヒトまたは獣医学において用いるための簡便な方法において投与するために調製されてもよい。
【0096】
特定の態様において、本発明の治療的方法には、組成物をインプラントまたは装置として局所、全身、または局所投与することが含まれる。投与された場合、本発明において用いられる治療組成物は一般的に、発熱物質を含まない生理的に許容される型である。さらに、組成物は、骨、軟骨、または組織損傷部位への送達のために、望ましくは封入して、または粘液型で注射してもよい。局所投与は、創傷治癒および組織修復にとって適している可能性がある。上記の組成物において任意で含まれてもよいBMP-3プロペプチド以外の治療的に有用な物質は、またはもしくはさらに本発明の方法においてBMP-3プロペプチドと同時にまたは連続的に投与してもよい。好ましくは骨および/または軟骨形成に関して、組成物には、骨および/または軟骨損傷部位へのBMP-3プロペプチドまたは他の治療化合物を送達することができる、発達中の骨および軟骨の構造を提供する、ならびに最適に体に吸収されうるマトリクスが含まれるであろう。例えば、マトリクスはBMP-3プロペプチドの遅い放出を提供する可能性がある。そのようなマトリクスは、他の埋め込まれた医学的応用において現在用いられる材料で形成されてもよい。
【0097】
マトリクス材料の選択は、生物学的利用率、生物学的分解性、力学的特性、美容上の外観、および界面特性に基づく。本発明の組成物の特定の応用は、適当な処方を定義するであろう。組成物に関して可能性があるマトリクスは、生体分解性であり、化学的に定義された硫酸カルシウム、燐酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ無水物であってもよい。他の可能性がある材料は、骨、または皮膚コラーゲンのように生体分解性であり、生物学的に十分に定義されている。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクス成分を含む。他の可能性があるマトリクスは、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオグラス、アルミネート、または他のセラミクスのような、非生体分解性で化学的に定義されている。マトリクスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、またはコラーゲンおよび燐酸三カルシウムのような上記の任意のタイプの材料の組み合わせを含んでもよい。バイオセラミクスは、燐酸カルシウムアルミニウムのような組成物において、孔の大きさ、粒子径、粒子の形状、および生物学的分解性を変化させるためのプロセシングにおいて変化してもよい。
【0098】
特定の態様において、本発明の方法は、例えばそれぞれが、活性成分として物質の既定量を含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(着香剤基剤を用いて、通常蔗糖およびアカシアまたはトラガカントを用いて)、粉剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体における溶液もしくは浮遊液として、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、または蔗糖およびアカシアのような不活性基剤を用いて)および/またはマウスウォッシュ等の形で経口投与することができる。物質は、ボーラス、し剤、またはパスタ剤として投与してもよい。
【0099】
経口投与のための固体投与剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉剤、顆粒剤等)において、本発明の一つまたは複数の治療化合物を、クエン酸ナトリウムまたは燐酸二カルシウムおよび/または以下の任意のような、一つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合してもよい:(1)デンプン、乳糖、蔗糖、マンニトールおよび/または珪酸のような増量剤または膨張剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖および/またはアカシアのような結合剤;(3)グリセロールのような湿潤剤;(4)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の珪酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(5)パラフィンのような溶解遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物のような吸収加速剤;(7)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト土のような吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖と共に高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて、軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いてもよい。
【0100】
経口投与のための液体投与剤形には、薬学的に許容される乳剤、微小乳剤、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性成分の他に、液体投与剤形は、水または他の溶媒のような当技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物のような溶解剤および乳化剤を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物にはまた、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、甘味料、芳香剤、着色料、香料、および保存剤のような補助剤が含まれうる。
【0101】
活性化合物の他に懸濁剤は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天-寒天、およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁剤が含まれてもよい。
【0102】
本明細書に開示の特定の組成物は、皮膚または粘膜に局所投与してもよい。局所製剤にはさらに、皮膚または角質層浸透増強剤として有効であることが知られている広範な物質の一つまたは複数が含まれてもよい。これらの例は、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシドおよびアゾンである。製剤を美容上許容できるようにするために、さらなる物質がさらに含まれてもよい。これらの例は、脂肪、ロウ、油、色素、香料、保存剤、安定化剤、および界面活性剤である。当技術分野で公知である角質溶解剤も同様に含まれてもよい。例はサリチル酸および硫黄である。
【0103】
局所または経皮投与のための投与剤形には、粉剤、スプレー、軟膏、パスタ、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物を、滅菌条件で薬学的に許容される担体および任意の保存剤、緩衝剤、または必要である場合には噴射剤と混合してもよい。軟膏、パスタ、クリーム、およびゲルは、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)の他に、動物および植物脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルク、酸化亜鉛、またはその混合物のような賦形剤を含んでもよい。
【0104】
粉剤およびスプレーは、本発明の化合物の他に、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含みうる。スプレーはさらに、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンのような揮発性の非置換炭化水素のような通常の噴射剤を含みうる。
【0105】
特定の態様において、非経口投与のために適した薬学的組成物は、一つまたは複数の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水溶液、分散剤、懸濁剤、もしくは乳剤、または使用直前に、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁剤、もしくは濃化剤を含んでもよい滅菌注射溶液もしくは分散液に溶解されてもよい滅菌粉末、と組み合わせて一つまたは複数のBMP-3プロペプチドを含んでもよい。本発明の薬学的組成物において用いられてもよい適した水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)およびその適した混合物、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射用有機エステルが含まれてもよい。例えば、レシチンのようなコーティング材料を用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を維持することができる。
【0106】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような補助剤を含んでもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって確保してもよい。同様に、糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を組成物に含めることが望ましいかも知れない。さらに、注射用製剤の持続的な吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を含めることによって得てもよい。
【0107】
投与レジメは、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)の作用を改変する様々な要因を検討する主治医または獣医師によって決定されるであろうと理解される。様々な要因には、形成されることが望ましい骨量、骨損傷部位、損傷した骨の状態、創傷の大きさ、損傷組織のタイプ、患者の年齢、性別、および食事、感染の重症度、投与時期、ならびに他の臨床要因が含まれるがそれらに限定されるわけではない。任意で、用量は溶解に用いるマトリクスのタイプおよび組成物における化合物のタイプに応じて変化してもよい。他の公知の増殖因子を最終的な組成物に加えても用量に影響を及ぼす可能性がある。進行は骨増殖および/または修復、例えば、X-線、組織形態学的検査、およびテトラサイクリン標識の定期的な評価によってモニターすることができる。
【0108】
実施例
本発明を一般的に記述してきたが、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これは特定の態様および本発明の態様を単に説明する目的で含まれ、本発明を制限すると意図されない。
【0109】
実施例1:BMP3 pro-MuIgG2a(BMP3 pro)融合体の構築、発現、および精製
BMP3プロペプチド(BMP3-pro)配列を完全長のBMP3 cDNAからPCR増幅して、ライゲーションするとマウスIgG2aとの融合ペプチドを生じるように、ヒトCMV由来発現ベクターにクローニングした。この構築物(BMP3 pro-MuIgG2aと呼ばれる)を、ポリエチレンイミン(PEI)を用いてHEK293細胞において一過性にトランスフェクトした。7日後、細胞を回収して、精製のために条件培地を採取した。
【0110】
組換え型マウスBMP3 pro-MuIgG2a融合体は、HEK293細胞において発現され、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。条件培地1 Lバッチを濾過して、濃縮し、TBS(pH 8.0)によって予め平衡にした4 ml rプロテインAセファロースFast Flowカラム(Amersham Bioscience)にローディングした。タンパク質のローディングの後、カラムを20倍量(CV)のTBS、TBS-0.05%Tween 20 10 CVによって洗浄した後、TBS 10 CVによってさらに洗浄した後、非特異的結合タンパク質を除去した。結合BMP3 pro-MuIgG2aタンパク質を100 mMグリシン(pH 3.0)によって溶出した。1 Mトリスを加えて、溶出した分画を直ちに中和して、PBS(pH 8.0)に対して透析した。タンパク質濃度は、BSAタンパク質アッセイ(Pierce)によって決定した。タンパク質の純度は、予め形成したゲル(Invitrogen)を用いた後にSure Blue染色(Invitrogen)を用いて4〜12%SDS-PAGEによって決定した。精製BMP3 pro-MuIgG2aは、4〜12%SDS-PAGEゲルにおいて広いバンドとして移動し、これは高い程度のグリコシル化を示す。精製タンパク質をさらに、蔗糖TMカラム(Pharmacia Biotech)でのサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。LALアッセイを精製BMP3 pro-MuIgG2aについて行い、検出されたエンドトキシンの量は<0.5 Uであった。
【0111】
図10は、プロテインアフィニティ段階を用いて精製されたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを示す。レーン1は、分子量マーカーを示し、レーン2は、プロテインAを用いてBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを発現する条件培地から精製されたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを示す。
【0112】
実施例2:BMP3 pro-MuIgG2a融合ペプチドは成熟BMP-3に結合する
免疫沈殿試験を最初に行った。条件培地をプロテインAビーズと共にインキュベートして、0.5%Tween 20を含むトリス緩衝生理食塩液(TBST)によって3回洗浄して、未結合のタンパク質を除去した。成熟BMP-3を加えて4℃で一晩インキュベートした。ビーズをTBSTによって3回洗浄した。ビーズを、還元剤を含むSDS試料緩衝液に浮遊させて、抗成熟BMP-3モノクローナル抗体によってウェスタンブロット分析を行い、HRP標識抗マウスIgGによって検出した。図11に示すように、BMP3 pro-MuIgG2aペプチドは成熟BMP-3に結合する。レーン1:分子量マーカー。レーン2:ベクター単独および成熟BMP3をトランスフェクトした293細胞の条件培地と共にプロテインAビーズの対照インキュベーション。レーン3:BMP-3およびプロテインAと共にインキュベートしたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドを発現するHEK293細胞からの条件培地。
【0113】
BiaCoreチップ分析も同様に行った。精製BMP3 pro-MuIgG2aを、アミンカップリング技法を用いてBiaCore CM5チップ上にカップリングさせた。図12に示されるように、BiaCore CM5チップ分析を用いて、精製BMP3 pro-MuIgG2aは成熟BMP-3に結合する。成熟BMP-3をチップ上に流して、BMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合させる(パネルA)。対照実験において、BSAプロテインをチップ上に流したが、BMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合しなかった(パネルB)。
【0114】
実施例3.成熟BMP-3は、アクチビン受容体IIa(ActRIIa)に結合して、BMP3 pro-MuIgG2a FcはBMP-3に対するActRIIa結合と競合する。
ActRIIaを、標準的なアミンカップリング技法を用いて、BiaCore CM5チップ分析上に固定した。図13に示すように、成熟BMP-3(200 μg/ml)をActRIIaカップリングチップに注入した。BMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)をActRIIaチップに注入した。成熟BMP-3(200 μg/ml)およびBMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)を予め混合して、ActRIIaカップリングチップに注入した。図13に示すように、成熟BMP-3は、ActRIIaに結合する(軌跡A);BMP3 pro-MuIgG2aはActRIIaに結合しない(軌跡B);およびBMP3 pro-MuIgG2a Fcは、BMP-3に対するActRIIaの結合と競合する(軌跡C)。
【0115】
参照による組み入れ
本明細書において言及した刊行物および特許は全て、個々の刊行物または特許が特におよび個々に参照として本明細書に組み入れられることが示されるかのように、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。
【0116】
本主題の特定の態様に関して考察してきたが、上記の明細書は説明的であって制限的ではない。本明細書および下記の請求の範囲を参照することによって、多くの改変が当業者に明らかとなるであろう。本発明の完全な範囲は、同等物の完全な範囲と共に請求の範囲を参照することによって、およびそのような変更と共に明細書を参照することによって、決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】BMP-3Aプロペプチドのアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。
【図2】BMP-3B/GDF-10プロペプチドのアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図3】BMP-3A前駆体アミノ酸配列(配列番号:3)を示す。シグナルペプチド(残基1〜22)を下線で示し、配列番号:1とも呼ばれるプロドメイン(残基23〜362)を太字で示し、および成熟タンパク質(残基363〜472)を影をつけて示す。可能性があるN-結合グリコシル化部位を四角で囲む。
【図4】BMP-3B/GDF-10前駆体アミノ酸配列(配列番号:4)を示す。シグナルペプチド(残基1〜33)を下線で示し;配列番号:2とも呼ばれるプロドメイン(残基34〜368)を太字で示し、および成熟タンパク質(残基369〜478)を影をつけて示す。可能性があるN-結合グリコシル化部位を四角で囲む。
【図5】配列番号:5として示されるBMP-3Aプロペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図6】配列番号:6として示されるBMP-3Bプロペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図7】配列番号:7として示されるBMP-3A前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図8】配列番号:8として示されるBMP-3B前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図9】配列番号:9として示されるヒトFcアミノ酸配列を示す。特定の任意の変異を太字で示す。
【図10】BMP3Aプロペプチド−プロテインAアフィニティ段階を用いて精製されたマウスIgG2aペプチドFc融合タンパク質(「BMP3 pro-MuIg2a」)を示す。レーン1は、分子量マーカーを示すが、レーン2は、プロテインAアフィニティ精製によってBMP3 pro-MuIgG2aを発現する細胞の条件培地から精製されたBMP3-Pro-MuFc融合体を示す。
【図11】BMP3 pro-MuIg2aペプチドが成熟BMP-3に結合することを示す。レーン1:分子量マーカー。レーン2:ベクター単独および成熟BMP-3をトランスフェクトした293細胞からの条件培地と共にプロテインAビーズの対照インキュベーション。レーン3:BMP-3およびプロテインAと共にインキュベートしたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドを発現するHEK293細胞の条件培地。
【図12】BiaCore CM5チップ分析を用いて、成熟BMP-3に対する精製BMP3 pro-MuIgG2aの結合を示す。精製BMP3 pro-MuIgG2aを、アミンカップリング技法を用いて、BiaCore CM5チップにカップリングさせた。パネルA:成熟BMP-3をチップ上に流した。パネルB:BSAがBMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合しないことを示す対照実験。
【図13】成熟BMP-3がアクチビン受容体IIa(ActRIIa)に結合すること、およびBMP3 pro-MuIgG2aFcが、BMP-3に対するActRIIaの結合と競合することを示す。標準的なアミンカップリング技法を用いて、ActRIIaをBiaCore CM5チップ上に固定した。軌跡A:成熟BMP-3(200 μg/ml)をActRIIaカップリングチップに注入した。軌跡B:BMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)をActRIIaチップ(結合なし)上に注入した。軌跡C:成熟BMP-3(200μg/ml)およびBMP3 pro-MuIgG2a(100 μg/ml)を予め混合して、ActRIIaカップリングチップ上に注入した。
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年3月26日に出願された米国特許仮出願第60/557,100号の出願日の恩典を主張し、その明細書の全内容が参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
骨形態形成タンパク質(BMP)は、トランスフォーミング増殖因子-βスーパーファミリーのメンバーである。多くのBMPが骨において産生され、骨形成活性を調節するが、このことは、これらのタンパク質が骨集団の構築に関与していることを示唆している。BMPファミリーメンバーには、BMP-2およびBMP-3が含まれる。BMP-2は、骨形成および増殖に関連した多数の機能に関係している。例えば、このタンパク質は、骨前駆細胞の骨芽細胞への分化を誘導して、骨折の治癒の増強を誘導する。
【0003】
BMP-3はまた、BMP-3Aとも呼ばれる。BMP-3Bと呼ばれる近縁のタンパク質も同様に、増殖分化因子10(GDF-10)として知られている。これらの二つのタンパク質は、非プロセシングタンパク質のC-末端部分に対応する成熟(完全なプロセシング)型に対応する領域において大きいアミノ酸配列類似性を示す。BMP-3AとBMP-3Bの配列間の差は、成熟ペプチド領域の主に外側に存在し、プロペプチドは有意な配列の差を示す。BMP-3Aは、当初、オステオゲニンとして骨から精製され、脱塩骨において特に豊富に存在する。組換え型BMP-3Aは、骨形成活性を示さないが、その代わりに、BMP-2の骨形成活性に拮抗することが報告された。Zhu et al., Chin J Biotechnol. 1999;15(3):153〜8(非特許文献1)。この結果は、BMP-3A-/-ノックアウトマウスにおいて認められた骨密度および骨量の増加によって支持された。Daluiski et al., Nat Genet. 2001 Jan;27(1):84〜8(非特許文献2)。
【0004】
上記の知見を考慮して、特に、骨粗鬆症または骨折を有する個体のような、骨質量の増加または骨増殖の増加を必要とする個体において、BMP-3A活性を調節する方法が必要である。
【0005】
【非特許文献1】Zhu et al., Chin J Biotechnol. 1999;15(3):153〜8
【非特許文献2】Daluiski et al., Nat Genet. 2001 Jan;27(1):84〜8
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
特定の局面において、本開示はBMP-3プロペプチドを提供する。本明細書において開示されるように、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3に結合して、II型受容体に対する結合を競合的に阻害する。したがって、BMP-3プロペプチドは、BMP-3-II型受容体媒介シグナル伝達を阻害するために用いてもよい。BMP-3プロペプチドは、骨障害、特に、骨粗鬆症および骨折の処置の場合のような骨密度または骨量の増加が望ましい障害を処置するために用いてもよい。さらに、そのようなプロペプチドは、BMPファミリーの他のメンバーを阻害して、さらなる障害の処置において有用となるであろう。同様に、成熟BMP-3Aおよび3Bポリペプチドは、他の生物学的プロセスに関与する可能性があり、本明細書に開示のBMP-3プロペプチドは、任意のBMP-3プロペプチド関連プロセスにおいてBMP-3Aおよび3Bに拮抗するために用いてもよい。BMP-3プロペプチドの例には、BMP-3AおよびBMP-3Bのプロペプチドと共に、その任意の機能的変種が含まれる。特定の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは骨増殖の抑制を解除するまたは増加させる。さらに、本開示は、BMP-3プロペプチドと類似の方法で成熟BMP-3ペプチドに結合する抗体を提供する。そのような抗体はまた、骨障害または他のBMP-3関連障害を処置するために用いてもよい。
【0007】
特定の局面において、開示は、骨増殖を促進するおよび/または骨喪失を阻害するための薬学的調製物を提供する。そのような調製物は、成熟BMP-3ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体に結合するBMP-3プロペプチドを含んでもよい。特定の場合において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の場合において、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは骨増殖を抑制解除または増加する。好ましくは、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3にKD 1μM未満または100、10、もしくは1 nM未満で結合する。そのような調製物において用いられるためのBMP-3プロペプチドは、配列番号:1もしくは2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または配列番号:1もしくは2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドのような、本明細書に開示の如何なるポリペプチドであってもよい。BMP-3プロペプチドには、配列番号:1または2のアミノ酸少なくとも10個、20個、または30個を含むプロペプチドのような、天然のBMP-3プロペプチドの機能的断片が含まれてもよい。BMP-3プロペプチドは一般的に、成熟BMP-3ポリペプチドの完全長または機能的部分を含まず、好ましくはBMP-3プロペプチドには、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、10個以下、または5個以下が含まれるであろう。BMP-3プロペプチドには、天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較してアミノ酸配列の変化が含まれてもよい。アミノ酸配列の変化は、哺乳類、昆虫、もしくは他の真核細胞において産生された場合に、ポリペプチドのグリコシル化を変化させてもよく、または天然に存在するBMP-3ポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク分解性切断を変化させてもよい。BMP-3プロペプチドは、一つのドメインとしてBMP-3プロペプチド(本明細書に記述される様々な任意の切断または改変を含む)、および改善された薬物動態、より容易な精製、特定の組織へのターゲティング等のような所望の特性を提供する一つまたは複数のさらなるドメインを有する融合タンパク質であてもよい。例えば、融合タンパク質のドメインは、インビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織局在または分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化、および/または精製の一つまたは複数を増強してもよい。BMP-3プロペプチド融合タンパク質には、免疫グロブリンFcドメインまたは血清アルブミンが含まれてもよい。融合タンパク質には、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合体のような、精製小配列が含まれてもよい。任意で、BMP-3プロペプチドには、以下から選択される一つまたは複数の修飾アミノ酸残基が含まれる:グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合したアミノ酸、および有機誘導体化物質に結合したアミノ酸。薬学的調製物にはまた、以下のような一つまたは複数のさらなる化合物が含まれてもよい:骨吸収を阻害する化合物、骨形成を刺激する化合物、および/または骨塩密度を増加させる化合物。例えば、調製物には、ビスホスホネートが含まれてもよい。好ましくは、薬学的調製物は、実質的に発熱物質を含まない。好ましくは、BMP-3プロペプチドを含む薬学的組成物には、異なる成分として活性な成熟BMP-3タンパク質は含まれないであろう。
【0008】
特定の局面において、本開示は、本明細書に記述の薬学的調製物を含み、ヒトまたは非ヒト患者における骨密度もしくは増殖の増加を促進する、または骨喪失もしくは脱塩化を減少もしくは予防させるために用いられるように表示された、包装された医薬品を提供する。
【0009】
特定の局面において、本開示は、BMP-3の完全な翻訳可能な成熟部分をコードしないBMP-3プロペプチドをコードする核酸を提供する。単離ポリヌクレオチドは、上記のようなBMP-3プロペプチドに関するコード配列を含んでもよい。単離核酸には、BMP-3プロペプチドをコードする配列、および成熟部分内に存在する、またはプロペプチドと成熟部分とのあいだに存在する終止コドンを除く、成熟タンパク質の一部または全てをコードするであろう配列が含まれてもよい。例えば、単離ポリヌクレオチドは、配列番号:7および8からなる群より選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよく、該ポリヌクレオチドはさらに、3'末端の前少なくとも300ヌクレオチドに転写終結コドンを含む。本明細書に開示の核酸は、発現のためにプロモーターに機能的に結合させてもよく、本開示は、そのような組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞を提供する。好ましくは、細胞はCHO細胞のような哺乳類細胞である。
【0010】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドを作製する方法を提供する。そのような方法には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような適した細胞において、本明細書に開示の核酸をコードする任意のプロペプチドを発現させることが含まれてもよい。そのような方法は以下を含んでもよい:a)プロペプチドの発現にとって適した条件で細胞を培養する段階であって、該細胞がBMP-3プロペプチド発現構築物によって形質転換される段階;およびb)そのように発現されたプロペプチドを回収する段階。
【0011】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドの有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を有する対象を処置する方法を提供する。BMP-3プロペプチドは、本明細書に開示の任意のプロペプチドであってもよい。対象は、例えば、正常より低い骨塩密度、骨粗鬆症、または骨折を有してもよい。方法には、ビスホスホネートのようなさらなる物質との同時投与が含まれてもよい。特定の態様において、開示は、本明細書に開示のBMP-3プロペプチドを投与する段階を含む、対象における骨密度および/または骨量を増加させるための方法を提供する。
【0012】
さらなる局面において、本開示は、骨密度および/または骨量を増加させる物質を同定するための方法を提供する。方法は以下を含んでもよい:a)成熟BMP-3ポリペプチドに対してBMP-3プロペプチドと競合的に結合する試験物質を同定する段階;およびb)骨増殖に及ぼす物質の影響を評価する段階。試験物質は、例えば、変種BMP-3プロペプチド、抗体、または低分子であってもよい。
【0013】
発明の詳細な説明
1.概要
本発明は、骨形態形成タンパク質-3(BMP-3)プロペプチドに関する。本明細書において用いられるように、「BMP-3」という用語は、任意の種に由来する3型の骨形態形成タンパク質ファミリーを指す。本明細書におけるBMP-3という言及は、本文から適当であるように、BMP-3A(BMP-3としても知られる)およびBMP-3B(GDF-10としても知られる)を含む、現在同定された型の任意の一つに対する言及であると理解される。「BMP-3」という用語にはまた、その成熟配列が成熟BMP-3の配列と少なくとも約75%相同である、好ましくは少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、99%またはそれ以上相同である任意の公知のBMP-3の配列に由来するポリペプチドが含まれる。BMP-3ファミリーメンバーは一般的により大きい前駆体としてコードされ、ファミリーのメンバーは、一般的に成熟タンパク質に対応するC-末端付近で高い相同性領域を共有する。例えば、BMP-3Bは、成熟ペプチド(成熟ドメイン)においてBMP-3Aと82%のアミノ酸同一性を共有するが、プロペプチドでは37%の同一性に過ぎない。成熟タンパク質は実質的な相同性を共有することから、BMP-3Aプロペプチドはいずれかの成熟タンパク質に結合するであろうと予想されることに注目されたい。
【0014】
天然に存在するBMP-3タンパク質は一般的に、典型的にそのN-末端でシグナル配列の後に二塩基アミノ酸切断部位およびプロペプチドを含み、その後もう一つの二塩基アミノ酸切断部位および成熟ドメインを含む、より大きい前駆体としてコードされる。このように、本明細書において用いられるように、「プロペプチド」または「プロドメイン」という用語は、成熟ドメインに対してN-末端であって、シグナルペプチドに対してC-末端である部分である。任意で、BMP-3プロペプチドは、切断後、インスリン、リラキシン、インヒビン、アクチビン、およびTGF-βの場合のように、その成熟ペプチドと共有結合または非共有結合によって再会合する。「BMP-3プロペプチド」という用語は、BMP-3ファミリーメンバーの天然に存在するプロペプチドを含むポリペプチドと共に、有用な活性を保持しているその任意の変種(変異体、断片、およびペプチド模倣型を含む)を指すために用いられる。本明細書において用いられるように、BMP-3プロペプチドには、BMP-3プロペプチドの断片、機能的変種、および改変型(例えば、ペプチド模倣体型)が含まれる。「BMP-3」プロペプチドには、完全長の成熟BMP-3ドメインは含まれないが、BMP-3プロペプチドには、成熟ドメインの部分、特に完全に機能的ではない部分が含まれてもよい。例えば、BMP-3プロペプチドは、その同源の成熟ドメインの50、40、30、20、10、または5個より少ないアミノ酸を含んでもよい。BMP-3プロペプチドの機能的変種は例えば、成熟BMP-3タンパク質に対する結合、および/またはActRIIaのようなII型受容体に対するBMP-3の結合の競合的阻害能を特徴としてもよい。
【0015】
BMP-3AおよびBMP-3Bは共に、BMPファミリーの独自のサブグループを表す。骨芽細胞において、BMP-3Aおよび3Bは、BMP-2活性に拮抗することが示されている(Hino et al., 2004, Front Biosci., 9:1520〜9;Daluiski et al, 2001, Nature Genetics, 27:84〜88)。BMP-2は、骨形成および無機化を促進することが知られている;BMP-2は、骨芽細胞を刺激すると報告されており、同様に前駆細胞からの骨芽細胞の産生を促進すると報告されている。如何なる特定のメカニズムにも拘束されたくはないが、BMP-3プロペプチドは成熟BMP-3に拮抗することによって骨増殖を促進して(骨密度、骨量、または他の適当な測定値の増加を意味する)、このように一つまたは複数のBMP-2機能を脱阻害すると期待される。BMP-3はまた、独立した作用を有してもよく、おそらく骨芽細胞を刺激して、このように骨吸収の増加を引き起こしてもよい。BMP-3AおよびBMP-3B前駆体タンパク質の配列(すなわち、シグナルペプチド、プロペプチド、および成熟ペプチド)をそれぞれ、図3および図4に示す。
【0016】
作業実施例において記述するように、出願人は、BMP-3プロペプチド(例えば、BMP-3 Fc融合タンパク質)が成熟BMP-3Aに結合して、アクチビン受容体IIa(ActRIIa)に対する結合に関して成熟BMP-3Aと競合することを証明した。したがって、特定の態様において、本発明の組成物および方法は、成熟BMP-3AとActRIIaとの相互作用を阻害するために有用である。さらなる態様において、本発明の組成物および方法は、成熟BMP-3AとActRIIaとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害するために有用である。
【0017】
本明細書において用いられる用語は一般的に、当技術分野において、本発明の状況において、およびそれぞれの用語が用いられる特定の状況において通常の意味を有する。特定の用語を下記または本明細書の他所において考察して、本発明の組成物および方法を記述するための実践者に対するさらなる手引きならびにそれらを作製および用いる方法を提供する。用語の任意の使用に関する範囲または意味は、その用語が用いられる特定の状況から明らかとなるであろう。
【0018】
「約」および「およそ」は、一般的に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に関する許容される程度の誤差を意味する。典型的に、例としての誤差の程度は、所定の値または値の範囲の20%以内、好ましくは10%以内、およびより好ましくは5%以内である。
【0019】
または、および特に生体系において、「約」および「およそ」という用語は、好ましくは所定の値の5倍以内、より好ましくは2倍以内の程度の次数内の値を意味してもよい。本明細書において示した数値としての量は、特に明記していなければ近似値であり、「約」または「およそ」という用語は、明白に述べられていない場合推論されうることを意味している。
【0020】
「骨喪失」および「骨増殖」という用語は、本明細書において骨量、密度、または無機化の変化のような、任意の方法で測定された骨の大きさまたは密度における変化(それぞれ、減少または増加)を指すために用いられる。例えば、これらの特徴を、喪失または増殖の速度に関して、一瞬の比較(1回の時点)または平衡時の比較に関して評価してもよい。
【0021】
本開示は、野生型配列の一つまたは複数の変異体/配列変種との比較を含む、互いに配列を比較することを参照してもよい。そのような比較は典型的に、例えば当技術分野で周知の配列アラインメントプログラムおよび/またはアルゴリズム(例えば、例を挙げればBLAST、FASTA、およびMEGALIGN)を用いる、ポリマー配列のアラインメントを含む。当業者は、そのようなアラインメントにおいて、変異が残基の挿入または欠失を含む場合、配列アラインメントは、挿入されたまたは欠失した残基を含まないポリマー配列に、「ギャップ」(典型的にダッシュまたは「A」で示される)を導入するであろうことを、容易に認識することができる。
【0022】
「相同である」は、その全ての文法上の型およびスペルの変化形において、同じ生物種におけるスーパーファミリーからのタンパク質と共に、異なる生物種からの相同なタンパク質を含む、「共通の進化起源」を有する二つのタンパク質間の関係を指す。そのようなタンパク質(およびそのコード核酸)は、その配列類似性によって、%同一性に関して、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によって反映されるように、配列相同性を有する。
【0023】
「配列類似性」という用語は、その全ての文法上の型において、共通の進化的起源を共有してもよいまたは共有しなくてもよい核酸またはアミノ酸配列間の同一性または一致の程度を指す。
【0024】
しかし、一般的な用途および本出願において、「相同な」という用語は、「非常に」のような副詞によって修飾される場合、配列類似性を指してもよく、共通の進化起源に関連してもしなくてもよい。
【0025】
2.BMP-3プロペプチド
特定の局面において、本発明は、BMP-3プロペプチドに関する。好ましくはこれらの断片、機能的変種、および改変型は、その対応する野生型BMP-3プロペプチドと類似または同じである生物活性を有する。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3タンパク質に結合して、その機能を阻害する。特定の状況において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する。他の状況において、BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介される如何なるシグナル伝達も阻害する。任意で、BMP-3プロペプチドは、骨増殖を抑制解除または増加させる。
【0026】
BMP-3プロペプチドの例には、BMP-3Aプロペプチド(配列番号:1)およびBMP-3Bプロペプチド(配列番号:2)が含まれる。BMP-3Aおよび3Bプロペプチドは、アミノ酸配列においてごく遠縁に類似であるに過ぎないが、それぞれは、類似の配列の成熟ポリペプチドに結合して、したがって、BMP-3BプロペプチドはBMP-3Aに結合し、その逆も起こると予想される。
【0027】
一つの特定の例において、ヒトBMP-3A cDNA(配列番号:7、図7)は、アミノ酸472個の前駆体タンパク質(配列番号:3、図3)をコードする。推定の多塩基タンパク質切断部位(配列番号:3の残基357〜362位)でのBMP-3A前駆体タンパク質の切断によって、アミノ酸110個からなる成熟BMP-3Aタンパク質(図3)およびアミノ酸340個からなるBMP-3Aプロペプチド(図1および3、配列番号:1)が生成される。BMP-3Aプロペプチドは、可能性があるグリコシル化部位を含む(図3)。例えば、Wozney et al., 1988, Science 242:1528〜34を参照されたい。
【0028】
もう一つの特定の例において、ヒトBMP-3B cDNA(配列番号:8、図8)は、アミノ酸478個の前駆体タンパク質をコードする。BMP-3B前駆体タンパク質の推定の多塩基タンパク質切断部位(配列番号:4の残基364〜368位)での切断によって、アミノ酸110個からなる成熟BMP-3Bタンパク質およびアミノ酸335個からなるBMP-3Bプロペプチド(図2および4、配列番号:2)が生成される。BMP-3BプロペプチドおよびBMP-3B成熟ペプチドはいずれも、可能性があるグリコシル化部位(図4)を含む。例えば、Hino et al., 1996, Biochem, Biophys. Res. Commun. 223(2), 304〜310を参照されたい。
【0029】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドの単離された断片は、BMP-3プロペプチド(例えば、配列番号:1または2)をコードする核酸の対応する断片から組換えによって産生されたポリペプチドをスクリーニングすることによって得ることができる。さらに、断片は、通常のMerrifield固相f-mocまたはt-Boc化学のような、当技術分野で公知の技術を用いて化学合成することができる。断片を産生して(組換えによってまたは化学合成によって)、骨増殖を刺激するように機能しうる、例えばBMP-3活性のアンタゴニストとして、またはBMP-2活性の活性化剤として機能しうるそれらのペプチジル断片を同定することができる。
【0030】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドの機能的変種は、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列と少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を有する。特定の状況において、機能的変種は、配列番号:1または2に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有する。好ましくは、そのような変種は、成熟BMP-3との結合能および/またはII型受容体に対するBMP-3結合の競合的阻害能を保持する。
【0031】
特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドの構造を改変することによって、機能的変種を作製することを企図する。そのような改変は、例えば治療有効性または安定性(例えば、エクスビボ保存期間およびインビボでのタンパク質分解に対する抵抗性)を増強するような目的のために行ってもよい。そのような改変されたBMP-3プロペプチドは、BMP-3プロペプチドの天然に存在する型の少なくとも一つの活性を保持するように設計された場合、天然に存在するプロペプチドの機能的同等物であると見なされる。改変BMP-3プロペプチドはまた、例えばアミノ酸置換、欠失、または付加によって産生することができる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンへの単離された置換、アスパラギン酸塩のグルタミン酸塩への置換、トレオニンのセリンへの置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似の置換(例えば、保存的置換)は、得られた分子の生物活性に主な効果を有しないであろうと予想することは妥当である。保存的置換は、その側鎖において関連するアミノ酸のファミリー内で起こる置換である。BMP-3プロペプチドのアミノ酸配列の変化によって、機能的相同体が得られるか否かは、野生型プロペプチドと類似の方法で細胞における反応を生じる変種プロペプチドの能力を評価することによって、容易に決定することができる。
【0032】
特定の態様において、本発明は、タンパク分解性切断に対するその部位の感受性をより低くするために、BMP-3プロペプチド配列のタンパク分解性切断部位において変異を作製することを企図する。コンピューター分析(市販のソフトウェア、例えばMacVector, Omega, PCGene, Molecular Simulation, Inc.を用いて)を用いて、タンパク質切断部位を同定することができる。当業者によって認識されるように、記述される変異、変種または改変のほとんどは、核酸レベルで行われ、場合によっては、翻訳後改変または化学合成によって行われる。そのような技術は当技術分野で周知である。
【0033】
特定の態様において、本発明は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるためにBMP-3プロペプチド配列の特異的変異を企図する。そのような変異は、O-結合またはN-結合部位のような、一つまたは複数のグリコシル化部位を導入するまたは消失させるために選択してもよい。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は一般的に、適当な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン-X-トレオニン(「X」は、任意のアミノ酸である)を含む。変化はまた、野生型BMP-3プロペプチドの配列の(O-結合グリコシル化部位での)一つまたは複数のセリンまたはトレオニン残基の付加、または置換によって行われてもよい。グリコシル化認識部位の第一または第三のアミノ酸位置の一つまたは双方での多様なアミノ酸置換または欠失(および/または第二の位置でのアミノ酸欠失)によって、改変トリペプチド配列で非グリコシル化が起こる。BMP-3プロペプチド上での糖質部分の数を増加させるもう一つの手段は、BMP-3プロペプチドに対するグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる。用いるカップリングモードに応じて、糖を(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離のカルボキシル基;(c)システインのような遊離のスルフヒドリル基;(d)セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンのような遊離のヒドロキシル基;(e)フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンのような芳香族残基;または(f)グルタミンのアミド基に結合してもよい。これらの方法は、参照により本明細書に組み入れられる、1987年9月11日に提出された国際公開公報第87/05330号、およびAplin and Wriston(1981)CRC Crit. Rev. Biochem., pp.259〜306に記述されている。BMP-3プロペプチド上に存在する一つまたは複数の糖質部分の除去は、化学的および/または酵素的に行ってもよい。化学的脱グリコシル化は、例えばBMP-3プロペプチドの化合物トリフルオロメタンスルホン酸、または同等の化合物に対する曝露を含んでもよい。この処置によって、連結糖(N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたは全ての糖の切断が起こるが、アミノ酸配列は無傷のままである。化学的脱グリコシル化はさらに、Hakimuddin et al.(1987)Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdge et al.(1981)Anal. Biochem. 118:131によってさらに記述される。BMP-3プロペプチドに及ぼす糖質部分の酵素的切断は、Thotakura et al.(1987)Meth. Enzymol. 138:350によって記述される多様なエンドまたはエキソグリコシダーゼを用いることによって得ることができる。哺乳類、酵母、昆虫、および植物細胞は、ペプチドのアミノ酸配列によって影響を受けうる異なるグリコシル化パターンを全て導入する可能性があることから、プロペプチドの核酸および/またはアミノ酸配列は、適当であれば用いる発現系のタイプに応じて調節してもよい。
【0034】
本開示はさらに、変異体、特に、BMP-3プロペプチドの組み合わせ変異体の組と共に切断変異体を作製する方法を企図する;組み合わせ変異体のプールは、機能的変異体配列を同定するために特に有用である。そのような組み合わせライブラリをスクリーニングする目的は、例えば、アゴニストもしくはアンタゴニストのいずれかとして作用しうる、または全く新規の活性を有するBMP-3プロペプチド変種を作製するためであってもよい。多様なスクリーニングアッセイが下記に提供され、そのようなアッセイを用いて変種を評価してもよい。例えば、BMP-3プロペプチド変種を、成熟BMP-3ポリペプチドに対する結合能に関してスクリーニングしてもよく、またはActRIIのようなBMP-3受容体を発現する細胞に対する成熟BMP-3の結合の防止能に関してスクリーニングしてもよい。BMP-3の活性はまた、細胞に基づくまたはインビボアッセイにおいて試験してもよい。例えば、骨芽細胞または前駆体における骨産生に関与する遺伝子の発現に及ぼすBMP-3プロペプチドの影響を評価してもよい。これは、必要に応じて、組換え型BMP-3および/またはBMP-2の存在において行ってもよく、細胞を、任意のBMP-2、BMP-3および本発明のBMP-3プロペプチド変種を産生するためにトランスフェクトしてもよい。同様に、BMP-3プロペプチドをマウスまたは他の動物に投与してもよく、密度または容積のような一つまたは複数の骨特性を評価してもよい。骨折の治癒速度も同様に評価してもよい。
【0035】
天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較して選択的有効性を有する、組み合わせに由来する変種を作製することができる。そのような変種タンパク質は、組換えDNA構築物から発現された場合に、遺伝子治療プロトコールにおいて用いることができる。同様に、変異誘発は、対応する野生型プロペプチドとは細胞内半減期が大きく異なる変種を生じうる。例えば、変化したタンパク質は、タンパク質分解もしくは他の細胞プロセスに対してより安定にする、またはより不安定にすることができ、それによって天然のBMP-3プロペプチドの破壊またはそうでなければ不活化が起こる。そのような変種およびそれらをコードする遺伝子を利用して、プロペプチドの半減期を調節することによって、BMP-3プロペプチドレベルを変化させることができる。例えば、半減期が短ければより一過性の生物作用を生じることができ、誘導型発現系または予定された投与レジメの一部の場合、処置した対象における組換え型BMP-3プロペプチドレベルのより厳密な制御を行うことができる。
【0036】
好ましい態様において、それぞれに、可能性があるBMP-3プロペプチド配列の少なくとも一部が含まれる、ポリペプチドのライブラリをコードする遺伝子の縮重ライブラリによって組み合わせライブラリを産生する。例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、可能性があるBMP-3プロペプチドヌクレオチド配列の縮重の組が個々のポリペプチドとして、またはより大きい融合タンパク質の組(例えば、ファージディスプレイ)として発現可能であるように、酵素的に遺伝子配列にライゲーションすることができる。
【0037】
可能性がある相同体のライブラリを、縮重オリゴヌクレオチド配列から生成することができる多くの方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNAシンセサイザーにおいて行うことができ、次に、合成遺伝子を適当な発現ベクターにライゲーションすることができる。縮重オリゴヌクレオチドの合成は当技術分野で周知である(例えば、Narang, SA(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al., (1981)Recombinant DNA, Proc.3rd Cleveland Sympos. Macromolecules, ed. AG Walton, Amsterdam : Elsevier pp273〜289;Itakura et al.,(1984)Annu. Rev. Biochem. 53:323;Itakura et al., (1984)Science 198:1056;Ike et al., (1983)Nucleic Acid Res. 11:477を参照されたい)。そのような技術は、他のタンパク質の定方向進化において用いられている(例えば、Scott et al., (1990)Science 249:386〜390;Roberts et al., (1992)PNAS USA 89:2429〜2433;Devlin et al., (1990)Science 249:404〜406;Cwirla et al., (1990)PNAS USA 87:6378〜6382;と共に米国特許第5,223,409号、第5,198,346号、および第5,096,815号を参照されたい)。
【0038】
または、他の形の変異誘発を利用して、組み合わせライブラリを作製することができる。例えば、BMP-3プロペプチド変種(アゴニストおよびアンタゴニスト型の双方)は、例えば、アラニンスキャン変異誘発等(Ruf et al., (1994)Biochemistry 33:1565〜1572;Wang et al., (1994)J. Biol. Chem. 269:3095〜3099;Balint et al., (1993)Gene 137:109〜118;Grodberg et al., (1993)Eur. J. Biochem. 218:597〜601;Nagashima et al., (1993)J. Biol. Chem. 268:2888〜2892;Lowman et al., (1991)Biochemistry 30:10832〜10838;およびCunningham et al., (1989)Science 244:1081〜1085)、リンカースキャン変異誘発(Gustin et al., (1993)Virology 193:653〜660;Brown et al., (1992)Mol. Cell Biol. 12:2644〜2652;McKnight et al., (1982)Science 232:316)、飽和変異誘発(Meyers et al., (1986)Science 232:613)、PCR変異誘発(Leung et al., (1989)Method Cell Mol Biol 1:11〜19)、または化学的変異誘発等を含むランダム変異誘発(Miller et al., (1992)「A Short Course in Bacterial Genetics」, CSHL Press, Cold Spring Harbor, NY;およびGreener et al., (1994)Strategies in Mol Biol 7:32〜34)を用いるスクリーニングによって、ライブラリから生成および単離することができる。特に組み合わせの状況におけるリンカースキャン変異誘発は、BMP-3プロペプチドの切断型(生物活性型)を同定するために魅力的な方法である。
【0039】
点突然変異および切断によって作製された組み合わせライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするために、およびその件に関して特定の特性を有する遺伝子産物のcDNAライブラリをスクリーニングするために、広範な技術が当技術分野で公知である。そのような技術は一般的に、BMP-3プロペプチドの組み合わせ変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリの迅速なスクリーニングに適合されるであろう。大きい遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も広く用いられている技術は、典型的に、複製可能な発現ベクターに遺伝子ライブラリをクローニングする段階、得られたベクターライブラリによって適当な細胞を形質転換する段階、および所望の活性を検出することによってその産物が検出される遺伝子をコードするベクターの比較的容易な単離が促進される条件で、組み合わせ遺伝子を発現させる段階を含む。下記に説明したアッセイのそれぞれに、組み合わせ変異誘発技術によって作製された多数の縮重配列をスクリーニングするために必要なハイスループット分析を行うことができる。
【0040】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドにはペプチド模倣体が含まれる。本明細書において用いられるように、「ペプチド模倣体」という用語には、天然に存在しないアミノ酸、ペプトイド等を含む化学改変ペプチドおよびペプチド様分子が含まれる。ペプチド模倣体は、対象に投与した場合の安定性の増加を含む、ペプチドに対して様々な長所を提供する。ペプチド模倣体を同定する方法は当技術分野で周知であり、これには可能性があるペプチド模倣体のライブラリを含むデータベースのスクリーニングが含まれる。例えば、Cambridge Structural Databaseは、結晶構造が公知である300,000個より多い化合物のコレクションを含む(Allen et al., Acta Crystallogr. Section B, 35:2331(1979))。標的分子の結晶構造が利用できない場合、構造は、例えばプログラムCONCORD(Rusinko et al., J. Chem. Inf. Comput. Sci. 29:251(1989))を用いて作製することができる。もう一つのデータベースであるthe Available Chemicals Directory(Molecular Design Limited, Informations Systems;San Leandro Calif.)は、市販の化合物約100,000個を含み、同様にBMP-3プロペプチドの可能性があるペプチド模倣体を同定するために検索することができる。
【0041】
実例を挙げれば、もう一つのタンパク質に対する結合に関与しているBMP-3プロペプチドのアミノ酸残基をマッピングするためにスキャン変異誘発を用いることによって、結合に関与するそれらの残基を模倣するペプチド模倣体化合物を作製することができる。例えば、そのような残基の非加水分解ペプチド模倣体は、ベンゾジアゼピン(例えば、Freidinger et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988を参照されたい)、アゼピン(例えば、Huffman et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988を参照されたい)、置換γラクタム環(Garvey et al., 「Peptides : Chemistry and Biology」, G.R. Marshall ed., ESCOM Publisher : Leiden, Netherlands, 1988)、ケト-メチレンシュードペプチド(Ewenson et al., (1986)J. Med. Chem. 29:295;およびEwenson et al., 「Peptides : Structure and Function」(Proceedings of the 9th American Peptide Symposium)Pierce Chemical Co. Rockland, IL, 1985)、b-ターンジペプチドコア(Nagai et al., (1985)Tetrahedron Lett 26:647;およびSato et al., (1986)J Chem Soc Perkin Trans 1:1231)、およびb-アミノアルコール(Gordon et al., (1985)Biochem Biophys Res Commun 126:419;およびDann et al., (1986)Biochem Biophys Res Commun 134:71)を用いて作製することができる。
【0042】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドはさらに、プロペプチドにおいて本来存在する任意の改変の他に翻訳後改変を含んでもよい。そのような改変には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、燐酸化、脂質化およびアシル化が含まれるがそれらに限定されるわけではない。結果として、改変BMP-3プロペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖、および燐酸塩のような非アミノ酸成分を含んでもよい。そのような非アミノ酸成分がBMP-プロペプチドの機能性に及ぼす影響を、他のBMP-3プロペプチド変種に関して本明細書において記述されるように試験してもよい。BMP-3プロペプチドがBMP-3タンパク質の発生期型を切断することによって細胞において産生される場合、翻訳後プロセシングはまた、タンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能にとって重要となる可能性がある。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH-3T3、またはHEK293のような)は、そのような翻訳後活性に関する特異的細胞機構および特徴的なメカニズムを有し、BMP-3タンパク質のBMP-3プロペプチドへの正確な改変およびプロセシングが確実となるように選択してもよい。
【0043】
特定の局面において、BMP-3プロペプチドの機能的変種または改変型には、BMP-3プロペプチドの少なくとも一部と一つまたは複数の融合ドメインとを有する融合タンパク質が含まれる。そのような融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu-Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが含まれるがそれらに限定されるわけではない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択してもよい。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離にとって特に有用である。アフィニティ精製の目的に関して、グルタチオン-、アミラーゼ-、およびニッケル-またはコバルト-結合残基のようなアフィニティクロマトグラフィーの関連するマトリクスを用いる。そのようなマトリクスの多くは、Pharmacia GST精製システム、および(HIS6)融合パートナーと共に有用であるQIAexpress(商標)システム(Qiagen)のような「キット」の形で利用可能である。もう一つの例として、BMP-3プロペプチドの検出を促進するために融合ドメインを選択してもよい。そのような検出ドメインの例には、それに対する特異的抗体が利用可能である通常短いペプチド配列である「エピトープタグ」と共に様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)が含まれる。それに対する特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能である周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス血液凝集素(HA)、およびc-mycタグが含まれる。いくつかの場合において、融合ドメインは、関連するプロテアーゼによって融合タンパク質を部分的に消化させて、それによってそこから組換え型蛋白質を遊離させる、第Xa因子またはトロンビンのようなプロテアーゼ切断部位を有する。次に、遊離したタンパク質を、その後のクロマトグラフィー分離によって融合ドメインから単離することができる。特定の好ましい態様において、BMP-3プロペプチドを、インビボでプロペプチドを安定化させるドメイン(「安定化剤」ドメイン)と共に融合させる。「安定化させる」とは、これが破壊の減少、腎臓によるクレアランスの減少、または他の薬物動態作用のためであるか否かによらず、血清中の半減期を増加させる如何なるものも意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範囲のタンパク質に対して所望の薬物動態特性を付与することが公知である。さらに、Fc融合体は、二量体を形成する傾向があり、二量体BMP-3プロペプチドを提供する。同様に、ヒト血清アルブミンとの融合は、所望の特性を付与することができる。選択されてもよい他のタイプの融合ドメインには、多量体形成(例えば、二量体形成、四量体形成)ドメインおよび機能的ドメイン(骨増殖のさらなる刺激のようなさらなる生物機能を付与する)が含まれる。
【0044】
融合タンパク質の異なる要素を所望の機能性と一貫する如何なる方法で配列させてもよいと理解される。例えば、BMP-3プロペプチドを、異種ドメインに対してC-末端に配置してもよく、または異種ドメインをBMP-3プロペプチドに対してC-末端に配置してもよい。プロペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質において隣接する必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインに対してC-もしくはN-末端に、またはドメインのあいだに含まれてもよい。
【0045】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチドは、BMP-3プロペプチドを安定化させることができる一つまたは複数の改変を含む。例えば、そのような改変は、プロペプチドのインビトロ半減期を増強する、プロペプチドの循環中の半減期を増強する、またはプロペプチドのタンパク質分解を減少させる。そのような安定化改変には、融合タンパク質(BMP-3プロペプチドと安定化剤ドメインとを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の改変(例えば、BMP-3プロペプチドに対するグリコシル化部位の付加を含む)、および糖質部分の改変(例えば、BMP-3プロペプチドからの糖質部分の除去)が含まれるがそれらに限定されるわけではない。融合タンパク質の場合、BMP-3プロペプチドをIgG分子(例えば、Fcドメイン)のような安定化剤ドメインに融合させる。本明細書において用いられるように、「安定化剤ドメイン」という用語は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、Fc)を指すばかりでなく、これには糖質部分のような非タンパク質様改変、またはポリエチレングリコール(PEG)のような非タンパク質様ポリマーが含まれる。PEGは、分子量1000 D〜50,000 D、またはそれより大きいポリマーに及ぶ様々な大きさで、BMP-3プロペプチドに固定されてもよい。PEGポリマーが、特にN-末端アミンまたは操作されたシステインに対して向けられる場合には、選択的、残基特異的にプロペプチドに固定してもよい。PEGポリマーはまた、一級アミンおよび/またはスルフヒドリル基を反応させてもよい比較的制御されない反応において固定してもよい。化学量論は、1:1(PEG:プロペプチド)〜2:1の範囲、またはそれ以上であってもよい。
【0046】
特定の態様において、BMP-3プロペプチドを免疫グロブリンFcドメインに融合させる。好ましい態様において、FcドメインはIgG1 Fc断片である。IgG1 Fc断片には、例えばFcγ受容体に対する結合を減少させる変異、およびMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)に対する結合を減少させる変異を含む、様々な変化が含まれてもよい。変異の例には、Fc部分における265位(AspからAlaに)、322位(LysからAla)、および434位(AsnからAla)での変異が含まれる。Fc配列の例を図9に示す。
【0047】
特定の態様において、本発明は、他のタンパク質から単離された、またはそうでなければ他のタンパク質を実質的に含まないBMP-3プロペプチドの利用できる単離および/または精製型を作製する。
【0048】
特定の態様において、本発明のBMP-3プロペプチド(非改変または改変型)は、当技術分野で認識された多様な技術によって産生することができる。例えば、そのようなBMP-3プロペプチドは、Bodansky, M.「Principles of Peptide Synthesis」, Springer Verlag, Berlin(1993)およびGrant G.A.(ed.)、「Synthetic Peptides : A User's Guide」, W.H.Freeman and Company, New York(1992)において記述されるような標準的なタンパク質化学技術を用いて合成することができる。さらに、自動ペプチドシンセサイザーは市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。または、BMP-3プロペプチド、断片、またはその変種は、当技術分野で周知であるように、様々な発現系(例えば、大腸菌、チャイニーズハムスター卵巣細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を用いて組換えによって産生してもよい(下記も参照されたい)。さらなる態様において、改変または非改変BMP-3プロペプチドは、例えば、プロテアーゼ、例えばトリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対塩基性アミノ酸変換酵素(PACE)を用いて、天然に存在する、または組換えによって産生されたBMP-3の消化によって産生してもよい。コンピューター分析(市販のソフトウェア、例えばMacVector, Omega, PCGene, Molecular Simulation, Inc.を用いて)を用いてタンパク質切断部位を同定することができる。または、そのようなプロペプチドは、化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミン)によるような当技術分野で公知の標準的な技術によって、天然に存在する、または組換えによって産生されるBMP-3から生成してもよい。
【0049】
特定の態様において、本発明は、部位のタンパク質切断に対する感受性をより低下させるために、BMP-3配列のタンパク質切断部位において変異を作製することを企図する。結果は、プロペプチドと成熟部分との双方を含むBMP-3ポリペプチドであり、これはBMP-3アンタゴニストとして有用となる可能性がある。より好ましくは、成熟部分は、成熟ペプチドのいくつかの部分が結合したBMP-3プロペプチドが産生されるように、終止コドンによって操作される。一つの特異的態様において、変異体は、配列番号:3のアミノ酸357、358、359、360、361もしくは362位での点突然変異、または配列番号:1のアミノ酸335、336、337、338、339、もしくは340位での点突然変異を含んでもよい。もう一つの特定の態様において、そのような変異体は、配列番号:4のアミノ酸364、365、366、367、もしくは368位での点突然変異、または配列番号:2のアミノ酸331、332、333、334、もしくは335位での点突然変異を含んでもよい。
【0050】
3.BMP-3プロペプチドをコードする核酸
特定の局面において、本発明は、本明細書に開示の機能的変種を含む任意のBMP-3プロペプチドをコードする単離および/または組換え型核酸を提供する。例えば、配列番号:5および6はBMP-3プロペプチドをコードする。本発明の核酸は、一本鎖または二本鎖であってもよい。そのような核酸は、DNAまたはRNA分子であってもよい。これらの核酸は、例えばBMP-3プロペプチドを作製する方法において、または直接の治療物質として(例えば、遺伝子治療アプローチにおいて)用いてもよい。
【0051】
BMP-3プロペプチドをコードする本発明の核酸にはさらに、配列番号:5および6の変種である核酸が含まれると理解される。変種ヌクレオチド配列には、対立遺伝子変種のような一つまたは複数のヌクレオチド置換、付加、または欠失によって異なる配列が含まれ、したがって配列番号:5および6において示されたコード配列のヌクレオチド配列とは異なるコード配列が含まれるであろう。
【0052】
特定の態様において、本発明は、配列番号:5または6と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組換え型核酸配列を提供する。当業者は、配列番号:5または6と相補的である核酸配列および配列番号:5または6の変種も同様に本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。さらなる態様において、本発明の核酸配列は、単離型、組換え型となりうる、および/または異種ヌクレオチド配列と融合させることができる、またはDNAライブラリに存在しうる。
【0053】
他の態様において、本発明の核酸には、配列番号:5もしくは6において示されたヌクレオチド配列、配列番号:5もしくは6の相補的配列、またはその断片と高ストリンジェントな条件でハイブリダイズするヌクレオチド配列が含まれる。先に考察したように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件を変更することができることを容易に理解するであろう。例えば、6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で約45℃でのハイブリダイゼーションの後に、2.0×SSCで50℃での洗浄を行うことができる。例えば、洗浄段階における塩濃度は、約2.0×SSCで50℃での低ストリンジェンシーから約0.2×SSCで50℃での高ストリンジェンシーまでの中から選択することができる。さらに、洗浄段階の温度は、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件まで増加させることができる。温度および塩の双方を変化させてもよく、または他の変数を変化させて温度もしくは塩濃度を一定に保持してもよい。一つの態様において、本発明は、6×SSCで室温の後に室温で2×SSCの洗浄を行う低ストリンジェンシー条件でハイブリダイズする核酸を提供する。
【0054】
遺伝子コードの縮重のために配列番号:5〜6に記載された核酸とは異なる単離された核酸も同様に、本発明の範囲に含まれる。例えば、多くのアミノ酸は、一つより多いトリプレットによって表される。同じアミノ酸を明記するコドンまたは同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンに関する同義語である)によって、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異が起こる可能性がある。しかし、本発明のタンパク質のアミノ酸配列の変化に至るDNA配列多型が、哺乳類細胞に存在するであろうと予想される。当業者は、特定のタンパク質をコードする核酸の一つまたは複数のヌクレオチドにおけるこれらの変異(ヌクレオチドの約3〜5%まで)が、天然の対立遺伝子変種により、所定の種の個体に存在する可能性があることを認識するであろう。そのようなヌクレオチド変化および得られたアミノ酸多型の如何なるものもおよび全てが本発明の範囲に含まれる。
【0055】
特定の態様において、本発明の組換え型核酸を、発現構築物において一つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に機能的に結合させてもよい。調節ヌクレオチド配列は一般的に、発現のために用いられる宿主細胞に対して適当となるであろう。多数のタイプの適当な発現ベクターおよび適した調節配列が、多様な宿主細胞に関して当技術分野で公知である。典型的に、一つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボソーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、ならびにエンハンサーもしくはアクチベーター配列が含まれてもよいがそれらに限定されるわけではない。当技術分野で公知の構成的または誘導型プロモーターが、本発明によって企図される。プロモーターは天然に存在するプロモーターであってもよく、または一つより多いプロモーターの要素を組み合わせるハイブリッドプロモーターであってもよい。発現構築物は、細胞においてプラスミドのようにエピソーム上で存在してもよく、または発現構築物を染色体に挿入してもよい。好ましい態様において、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞を選択できるように選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は当技術分野において周知であり、用いる宿主細胞に応じて変化するであろう。
【0056】
本発明の特定の局面において、本発明の核酸は、BMP-3プロペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、少なくとも一つの調節配列に機能的に結合したベクターにおいて提供される。調節配列は当技術分野において認識され、BMP-3プロペプチドの発現を指示するために選択される。したがって、調節配列という用語には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素が含まれる。例としての調節配列は、Goeddel;「Gene Expression Technology : Methods in Enzymology」, Academic Press, San Diego, CA(1990)に記述される。例えば、機能的に結合した場合にDNA配列の発現を制御する広く多様な任意の発現制御配列が、BMP-3プロペプチドをコードするDNA配列を発現するために、これらのベクターにおいて用いられてもよい。そのような有用な発現制御配列には、例えばSV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス前初期プロモーター、RSVプロモーター、lacシステム、trpシステム、TACまたはTRCシステム、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモーター、ファージラムダの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセレートキナーゼまたは他の糖分解酵素のプロモーター、酸ホスファターゼ、例えばPho5のプロモーター、酵母のα-接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系のポリへドロンプロモーター、ならびに原核細胞もしくは真核細胞またはそのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている他の配列、およびその様々な組み合わせが含まれる。発現ベクターのデザインは、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが望ましいタンパク質のタイプのような要因に依存してもよいと理解すべきである。その上、ベクターのコピー数、そのコピー数の制御能、および抗生物質マーカーのような、ベクターによってコードされる任意の他のタンパク質の発現も同様に検討すべきである。
【0057】
本発明の組換え型核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳類)のいずれか、またはその双方における発現に適したベクターにライゲーションすることによって産生することができる。組換え型BMP-3プロペプチドを産生するための発現媒体には、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適したベクターには、以下のタイプのプラスミドが含まれる:大腸菌のような原核細胞における発現のための、pBR322由来プラスミド、pEMBL-由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac-由来プラスミド、およびpUC-由来プラスミド。
【0058】
いくつかの哺乳類発現ベクターは、細菌におけるベクターの増殖を促進するために、原核細胞配列と、真核細胞において発現される一つまたは複数の真核細胞転写単位の双方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2-dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko-neoおよびpHyg由来ベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適した哺乳類発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、原核細胞および真核細胞の双方における複製および薬物耐性選択を促進するために、pBR322のような細菌プラスミドからの配列によって改変されている。または、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV-1)、またはエプスタイン-バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)のようなウイルスの誘導体を、真核細胞におけるタンパク質の一過性の発現のために用いることができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、下記の遺伝子治療送達システムの説明において認められうる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換において用いられる様々な方法が、当技術分野で周知である。原核細胞および真核細胞の双方に関する他の適した発現系と共に、一般的な組換え技法に関しては、「Molecular Cloning A Laboratory Manual」, 2nd Ed. ed by Sambrook, Fritsch, and Maniatis(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)Chapter 16 and 17を参照されたい。いくつかの状況において、バキュロウイルス発現系を用いることによって、組換え型SLC5A8ポリペプチドを発現することが望ましいかも知れない。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL-由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941のような)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1のような)およびpBlueBac-由来ベクター(β-gal含有pBlueBac IIIのような)が含まれる。
【0059】
好ましい態様において、ベクターは、Pcmv-Scriptベクター(Stratagene, La Jolla, Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, Calif.)およびpCI-neoベクター(Promega, Madison, Wisc.)のような、CHO細胞において本発明のBMP-3プロペプチドを産生するために設計されるであろう。明らかであるように、本発明の遺伝子構築物は、培養において増殖した細胞における本発明のBMP-3プロペプチドの発現を引き起こすために、例えば精製のために融合タンパク質または変種タンパク質を含むタンパク質を産生するために用いることができる。
【0060】
本発明はまた、本発明のBMP-3プロペプチドの一つまたは複数のコード配列(例えば、配列番号:5または6)を含む組換え型遺伝子をトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は任意の原核細胞または真核細胞であってもよい。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドは、大腸菌のような細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いて)、酵母、または哺乳類細胞において発現されてもよい。他の適した宿主細胞は当業者に公知である。
【0061】
したがって、本発明はさらに、本発明のBMP-3プロペプチドを産生する方法に関する。例えば、BMP-3プロペプチドをコードする発現ベクターをトランスフェクトした宿主細胞を適当な条件で培養して、BMP-3プロペプチドを発現させることができる。BMP-3プロペプチドは分泌されてもよく、細胞とプロペプチドを含む培地との混合物から単離してもよい。または、プロペプチドは、細胞質または膜分画に保持されてもよく、細胞を回収、溶解して、タンパク質を単離してもよい。細胞培養には、宿主細胞、培地、および他の副産物が含まれる。細胞培養のための適した培地は、当技術分野で周知である。プロペプチドは、細胞培養培地、宿主細胞、または双方から、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、およびプロペプチドの特定のエピトープに対して特異的な抗体による免疫アフィニティ精製を含む、当技術分野で公知のタンパク質精製技術を用いて単離することができる。好ましい態様において、BMP-3プロペプチドは、その精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。
【0062】
もう一つの態様において、組換え型BMP-3プロペプチドの所望の部分のN-末端でポリ-(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列のような精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni2+金属樹脂を用いるアフィニティクロマトグラフィーによる発現された融合タンパク質の精製を行うことができる。次に、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼによる処置によって除去して、精製BMP-3プロペプチドを提供することができる(例えば、Hochuli et al., (1987)J. Chromatography 411:177およびJanknecht et al., PNAS USA 88:8972を参照されたい)。
【0063】
融合遺伝子を作製する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の結合は、ライゲーションのための平滑末端または付着末端、適当な末端を提供するための制限酵素消化、適当であれば付着末端を塞ぐこと、望ましくない結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処置、および酵素的ライゲーションを用いて、通常の技術に従って行われる。もう一つの態様において、融合遺伝子は、自動DNAシンセサイザーを含む通常の技術によって合成することができる。または、その後アニールしてキメラ遺伝子配列を生じることができる二つの連続遺伝子断片のあいだに相補的オーバーハングを生じるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を行うことができる(例えば、「Current Protocols in Molecular Biology」, eds. Ausubel et al., John Wiley & Sons : 1992を参照されたい)。
【0064】
4.抗体
本発明のもう一つの局面は抗体に関する。成熟BMP-3ポリペプチドと特異的反応して、BMP-3プロペプチドと競合的に結合する抗体は、BMP-3アンタゴニストとして用いてもよい。例えば、BMP-3成熟ペプチドに由来する免疫原を用いて、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を標準的なプロトコールによって作製することができる(例えば、「Antibodies : A Laboratory Manual」ed. Harlow and Lane(Cold Spring Harbor Press : 1988)を参照されたい)。マウス、ハムスター、またはウサギのような哺乳類を、BMP-3ペプチドの免疫原性型、抗体反応を誘発することができる抗原性断片、または融合タンパク質によって免疫することができる。好ましい態様において、接種されたマウスは、内因性のBMP3を発現せず、このようにそうでなければ抗自己抗体として消失されるであろう抗体の単離が促進される。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術には、担体との結合、または当技術分野で周知である他の技術が含まれる。BMP-3ペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で行うことができる。免疫の進行は、血漿または血清における抗体力価の検出によってモニターすることができる。抗体レベルを評価するために抗原として免疫原を用いる、標準的なELISAまたは他のイムノアッセイを用いることができる。
【0065】
BMP-3の抗原性調製物による動物の免疫後、抗血清を得て、望ましければポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を作製するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫した動物から採取して、標準的な体細胞融合技法によって骨髄腫細胞のような不死化細胞と融合して、ハイブリドーマ細胞を作製することができる。そのような技術は当技術分野で周知であり、例えばハイブリドーマ技術(当初、Kohler and Milstein, (1975)Nature, 256:495〜497によって開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbar et al., (1983)Immunology Today, 4:72)およびヒトモノクローナル抗体を産生するEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., (1985)「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」, Alan R. Liss, Inc. pp. 77〜96)が含まれる。ハイブリドーマ細胞を、BMP-3と特異的に反応する抗体の産生に関して免疫化学によってスクリーニングして、そのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物からモノクローナル抗体を単離することができる。
【0066】
本明細書において用いられるように「抗体」という用語には、本発明のBMP-3ペプチドと特異的に反応するその断片が含まれると意図される。抗体は通常の技術を用いて断片化して、断片を、抗体全体に関して先に記述した方法と同じ方法で有用性に関してスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2断片は、抗体をペプシンによって処置することによって作製することができる。得られたF(ab)2断片を処置して、ジスルフィド架橋を還元してFab断片を作製することができる。本発明の抗体にはさらに、抗体の少なくとも一つのCDR領域によって付与されるBMP-3ペプチドに対して親和性を有する、二重特異的、一本鎖、キメラ、およびヒト化抗体が含まれると意図される。好ましい態様において、抗体はさらに、それに結合して検出することができる標識を含む(例えば、標識は放射性同位元素、蛍光化合物、酵素、または酵素共因子となりうる)。
【0067】
特定の好ましい態様において、本発明の抗体はモノクローナル抗体であり、特定の態様において、本発明は、新規抗体を作製するための利用可能な方法を作成する。例えば、BMP-3ペプチドに対して特異的に結合するモノクローナル抗体を作製する方法は、検出可能な免疫応答を刺激するために有効なBMP-3プロペプチドを含む免疫原性組成物の量をマウスに投与する段階、マウスから抗体産生細胞(例えば脾臓の細胞)を得る段階、抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを得る段階、およびBMP-3ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するために、抗体産生ハイブリドーマを試験する段階を含んでもよい。得られた後、ハイブリドーマを細胞培養において、任意でハイブリドーマ由来細胞がBMP-3ペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で増殖させることができる。モノクローナル抗体は、細胞培養から精製してもよい。
【0068】
抗体を参照して用いられる場合の形容詞「特異的に反応する」は、当技術分野において一般的に理解されているように、抗体が、対象抗原(例えば、BMP-3ペプチド)と対象抗原ではない他の抗原とのあいだで十分に選択的であること、抗体が、特定のタイプの生体試料において対象抗原の存在を少なくとも検出するために有用であることを意味すると意図される。治療応用のような、抗体を用いる特定の方法では、高い程度の結合特異性が望ましいかも知れない。モノクローナル抗体は一般的に、所望の抗原と交叉反応ポリペプチドとを有効に識別する経口がより大きい(ポリクローナル抗体と比較して)。抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす一つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は異なる親和性の範囲内に達する可能性があるが、一般的に好ましい抗体は約10-6、10-7、10-8、10-9またはそれ未満の親和性を(解離定数)を有するであろう。
【0069】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために用いられる技術は、得られた抗体の特性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、抗体が溶液中で抗原に結合するために用いられる場合、溶液の結合を試験することが望ましいかも知れない。特に望ましい抗体を同定するために、抗体と抗原の相互作用を調べるために異なる多様な技術が利用可能である。そのような技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore結合アッセイ、Bia-core AB, Uppsala, Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International, Inc, Gaithersburg, Marylandの常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈殿アッセイ、および免疫組織化学が含まれる。
【0070】
特定の局面において、本開示は、BMP-3プロペプチドに結合する抗体を提供する。そのような抗体は、抗原としてプロペプチドまたはその断片を用いて、先に記述したように大量に産生されてもよい。このタイプの抗体は、例えば生体試料におけるBMP-3プロペプチドを検出するために、および/または個体におけるBMP-3プロペプチドをモニターするために用いることができる。BMP-3プロペプチドのレベルは、例えば細胞のような、および/または全血試料、血清、血漿および尿のような体液のような多様な試料タイプにおいて測定してもよい。BMP-3プロペプチドに結合する抗体は、BMP-3活性を刺激するために用いることができ、骨増殖または骨吸収の減少を促進する。これは、過骨症、オステオポイキローシス、大理石骨病、骨硬化症(例えば、腎不全に起因する)、硬化性異骨症、骨髄硬化症、および高ホスファターゼ症のような、様々な障害において望ましいかも知れない。
【0071】
5.スクリーニングアッセイ
特定の局面において、本発明は、BMP-3プロペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(物質)を同定するために本発明のBMP-3プロペプチドを用いることに関する。本スクリーニングによって同定された化合物は、インビトロでの骨/軟骨増殖の調節能を評価するために、骨および/または軟骨組織において試験することができる。任意で、これらの化合物は、インビボでの骨./軟骨増殖の調節能を評価するために、動物モデルにおいてさらに試験することができる。
【0072】
BMP-3プロペプチドをターゲティングすることによって骨増殖を調節するための治療物質のスクリーニングに関して多数のアプローチが存在する。特定の態様において、化合物のハイスループットスクリーニングは、BMP-2の骨形成活性に及ぼすBMP-3プロペプチド媒介作用に及ぼすそのような化合物の影響を評価することによって、骨または軟骨増殖に及ぼすBMP-3Aプロペプチド媒介作用を混乱させる物質を同定するために行うことができる。特定の態様において、アッセイは、その結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)に対するBMP-3プロペプチドの結合を特異的に阻害または減少させる化合物をスクリーニングして同定するために行われる。またはアッセイは、その結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)に対するBMP-3プロペプチドの結合を増強する化合物を同定するために用いることができる。さらなる態様において、化合物は、BMP-3プロペプチドとの相互作用能によって同定されうる。
【0073】
多様なアッセイフォーマットは十分であり、本開示に照らして、本明細書に明白に記述されていないアッセイもそれにもかかわらず、当業者によって含まれるであろう。本明細書において記述されるように、本発明の試験化合物(物質)は、任意の組み合わせ化学法によって作製されてもよい。または、本発明の化合物はインビボまたはインビトロで合成された天然に存在する生体分子であってもよい。骨または軟骨増殖の調節物質としての作用能に関して試験される化合物(物質)は、例えば細菌、酵母、植物または他の生物(例えば、天然物)によって産生されうる、化学的に(例えば、ペプチド模倣体を含む低分子)産生されうる、または組換えによって産生されうる。本発明によって企図される試験化合物には、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、糖、ホルモン、および核酸分子が含まれる。特定の態様において、試験物質は、分子量約2,000ダルトン未満を有する低分子有機分子である。
【0074】
本発明の試験化合物は、単一の個別の実体として提供されうる、またはコンビナトリアルケミストリーによって作製されるような、複雑度がより大きいライブラリにおいて提供されうる。これらのライブラリは、例えばアルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および他のクラスの有機化合物を含みうる。試験化合物の試験系への提示は、特に最初のスクリーニング段階において単離型または化合物の混合物となりうる。任意で、化合物は、他の化合物によって誘導体化されてもよく、化合物の単離を促進する誘導体形成基を有してもよい。誘導体形成基の非制限的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位元素、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ、光活性化可能なクロスリンク剤、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0075】
化合物ライブラリおよび天然抽出物を試験する多くの薬物スクリーニングプログラムにおいて、所定の期間で検査される化合物数を最大限にするために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質に由来する可能性がある場合のような、無細胞系において行われるアッセイはしばしば、それらが迅速な開発、および試験化合物によって媒介される分子標的における変化の比較的容易な検出を可能にするために作製されうるという点において、「一次」スクリーニングとして好ましい。その上、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用率の影響は一般的に、インビトロ系では無視することができ、アッセイはそのかわりにBMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との結合親和性の変化において表れる可能性がある、分子標的に及ぼす薬物の効果に主に重点を置く。
【0076】
単に説明するために、本発明の例としてのスクリーニングアッセイにおいて、対象化合物を、アッセイの目的に関して適当であるように、BMP-3成熟ペプチドに通常結合することができる単離および精製BMP-3プロペプチドに接触させる。次に、化合物とBMP-3プロペプチドとの混合物に、BMP-3成熟ペプチドを含む組成物を加える。BMP-3プロペプチド複合体の検出および定量は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えばBMP-3成熟ペプチド)との複合体形成を阻害する(または増強する)化合物の有効性を決定する手段を提供する。化合物の有効性は、試験化合物の様々な濃度を用いて得られたデータから用量反応曲線を作製することによって評価することができる。その上、対照アッセイも同様に、比較のための基準値を提供するために行ってもよい。例えば、対照アッセイにおいて、単離および精製BMP-3成熟ペプチドを、BMP-3プロペプチドを含む組成物に加えて、BMP-3プロペプチド/成熟ペプチド複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般的に、反応物質を加える順序は多様となりえて、同時に混合することができる。その上、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物を用いて適した無細胞アッセイ系にしてもよい。
【0077】
BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質との複合体形成は、多様な技術によって検出してもよい。例えば、複合体の形成の調節は、例えば放射標識(例えば、32P、35S、14C、または3H)、蛍光標識(例えば、FITC)、または酵素標識BMP-3プロペプチドまたはその結合タンパク質のような検出可能に標識されたタンパク質を用いて、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出によって定量することができる。
【0078】
特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用の程度を直接または間接的に測定するために蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイを用いることを企図する。さらに、光学導波管(PCT公開国際公開公報第96/26432号および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)(下記の実施例において用いられるBiaCoreシステムによって用いられる様式)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づく検出のような他の検出様式は、本発明の多くの態様と適合性である。
【0079】
その上、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を破壊または増強する物質を同定するために「2ハイブリッドアッセイ」として知られる相互作用トラップアッセイを用いることを企図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervos et al., (1993)Cell 72:223〜232;Madura et al., (1993)J. Biol. Chem. 268:12046〜12054;Bartel et al., (1993)Biotechniques 14:920〜924;およびIwabuchi et al. (1993)Oncogene 8:1693〜1696を参照されたい。特定の態様において、本発明は、BMP-3プロペプチドとその結合タンパク質(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を解離させる化合物(例えば、低分子またはペプチド)を同定するためにリバース2ハイブリッドシステムを用いることを企図する。例えば、Vidal and Legrain, (1999)Nucleic Acids Res. 27:919〜29;Vidal and Legrain, (1999)Trends Biotechnol 17:374〜81;および米国特許第5,525,490号;第5,955,280号;第5,965,368号を参照されたい。
【0080】
一つの特定の例において、BMP-3プロペプチドと成熟BMP-3ペプチドとの相互作用は、FLAG-タグBMP-3前駆体タンパク質を発現する構築物を作製することによってアッセイすることができる。FLAGタグ前駆体タンパク質は細胞において発現され、BMP-3プロペプチドおよびFLAGタグ成熟BMP-3ペプチドにプロセシングされる。次に、細胞から調製したタンパク質溶解物を、FLAGに対する抗体によってアフィニティ精製する。BMP-3プロペプチドおよび成熟BMP-3ペプチドを含む複合体は、これらのアフィニティ精製タンパク質試料におけるBMP-3プロペプチドの存在によって決定することができる(例えば、イムノブロットによって)。
【0081】
特定の態様において、本発明の化合物は、本発明のBMP-3プロペプチドとの相互作用能によって同定される。化合物とBMP-3プロペプチドとの相互作用は、共有結合であっても非共有結合であってもよい。例えば、そのような相互作用は、光クロスリンク、放射標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィー(Jakoby WB et al., 1974, Methods in Enzymology 46:1)を含むインビトロ生化学法を用いてタンパク質レベルで同定することができる。特定の場合において、化合物は、BMP-3プロペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイのような、メカニズムに基づくアッセイにおいてスクリーニングしてもよい。これには、固相または液相結合事象が含まれてもよい。または、BMP-3プロペプチドをコードする遺伝子をレポーターシステム(β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)と共に細胞にトランスフェクトして、好ましくはハイスループットスクリーニングによってライブラリに対してスクリーニングしてもよく、またはライブラリの個々のメンバーをスクリーニングしてもよい。他のメカニズムに基づく結合アッセイ、例えば自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを用いてもよい。結合アッセイは、ウェル、ビーズ、もしくはチップに固定した標的について行ってもよく、固定した抗体によって捕捉してもよく、またはキャピラリー電気泳動によって分解してもよい。結合した化合物は通常、比色法、蛍光、または表面プラズモン共鳴を用いて検出してもよい。
【0082】
特定の局面において、本発明は、骨形成を刺激するための、および骨量を増加させるための方法および物質を提供する。したがって、無細胞系を用いて同定された如何なる化合物も、またはBMP-3機能に影響を及ぼすと予想される如何なる他の化合物(例えば、BMP-2の骨形成活性に拮抗する)も、インビトロまたはインビボで細胞全体または組織において試験して、骨または軟骨増殖の調節能を確認することができる。当技術分野で公知の様々な方法をこの目的のために利用することができる。
【0083】
例えば、BMP-3Aは、Msx2のBMP2による誘導を阻害して、骨前駆細胞のBMP2による骨芽細胞への分化を遮断する。このように、骨または軟骨増殖に及ぼすBMP-3プロペプチドまたは試験化合物の影響は、例えば細胞に基づくアッセイにおいてMsx2の誘導、または骨前駆細胞の骨芽細胞への分化を測定することによって、BMP-2の骨形成活性に及ぼすその作用によって決定することができる(例えば、Daluiski et al., Nat. Genet. 2001, 27(1):84〜8;Hino et al., Front Biosci. 2004, 9:1520〜9を参照されたい)。
【0084】
細胞に基づくアッセイのもう一つの例には、間葉前駆細胞および骨芽細胞において本発明のBMP-3プロペプチドおよび試験化合物の骨形成活性を分析することが含まれる。説明すると、ヒトBMP-3プロペプチドを発現する組換え型アデノウイルスを構築して、多能性間葉前駆細胞C3H10T1/2細胞、前骨芽細胞C2C12細胞、および骨芽細胞TE-85細胞に感染させた。次に、アルカリホスファターゼの誘導、オステオカルシン、およびマトリクスの無機化を測定することによって骨形成活性を決定した(例えば、Cheng et al., J. bone Joint Surg Am. 2003, 85〜A(8):1544〜52を参照されたい)。
【0085】
さらに、本発明は、骨または軟骨増殖を測定するためのインビボアッセイを企図する。例えば、Namkung-Matthai et al., Bone, 28:80〜86(2001)は、骨折後の初期における骨修復を調べるラット骨粗鬆症モデルを開示する。Kubo et al., Steroid Biochemistry & Molecular Biology, 68:197〜202(1999)も同様に、骨折後の後期における骨修復を調べるラット骨粗鬆症モデルを開示している。これらの参考文献は、骨粗鬆症による骨折を調べるためのラットモデルの開示のために、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。特定の局面において、本発明は、当技術分野で公知の骨折治癒アッセイを利用する。これらのアッセイには、骨折技術、組織学分析、および生化学分析が含まれ、それらは例えば、骨折を引き起こすと共に骨折の程度および修復プロセスを測定するための実験プロトコールの開示に関してその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,521,750号に記述されている。
【0086】
本発明のスクリーニングアッセイは、本発明のBMP-3プロペプチドおよびBMP-3プロペプチドの変種にあてはまるのみならず、BMP-3プロペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストを含む任意の試験化合物に当てはまる。さらに、これらのスクリーニングアッセイは、薬物標的の確認および品質管理目的にとっても有用である。
【0087】
6.投与法
特定の態様において、本発明の組成物(例えば、BMP-3プロペプチドおよびそのようなプロペプチドを含む組成物)は、骨および/または軟骨形成を誘導するため、骨喪失を予防するため、骨無機化を増加するため、または骨の脱塩化を防止するために用いることができる。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドおよび本発明において同定された化合物は、ヒトおよび他の動物における骨粗鬆症の処置、骨折および軟骨欠損の治癒において適応を有する。BMP-3プロペプチドは、臨床下低骨密度であると診断された患者において、骨粗鬆症の発症に対する保護的測定として有用となる可能性がある。
【0088】
特定の態様において、本発明は、上記のBMP-3プロペプチドの治療的有効量を個体に投与することによって、骨/軟骨欠損に関連した疾患(障害または病態)を有する個体を処置または予防する方法を提供する。これらの方法は、動物、およびより詳しくはヒトの治療的および予防的処置を特に目的としている。
【0089】
特定の態様において、本発明の方法および組成物は、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損の治癒において医学的有用性を有する可能性がある。本発明の方法および組成物はまた、閉鎖骨折と共に開放骨折の減少、および同様に人工関節の固定の改善のために予防的に用いてもよい。骨形成物質によって誘導されるデノボ骨形成は、先天性、外傷性、または腫瘍の切除によって誘導される頭蓋顔面欠損の修復に関与して、美容形成外科においても有用である。さらに、本発明の方法および組成物は、歯周疾患の処置において、および他の歯修復プロセスにおいて用いてもよい。特定の場合において、本発明のBMP-3プロペプチドは、骨形成細胞を誘引する、骨形成細胞の増殖を刺激する、または骨形成細胞の前駆体の分化を誘導する環境を提供する。本発明のBMP-3プロペプチドはまた、骨粗鬆症の処置においても有用となる可能性がある。さらに、BMP-3プロペプチドは、軟骨欠損の修復および変形性関節炎の予防/逆転において用いてもよい。
【0090】
特定の態様において、本発明の方法および組成物はまた、創傷治癒および関連する組織修復において用いてもよい。創傷のタイプには、火傷、切り傷、および潰瘍が含まれるがそれらに限定されるわけではない。例えばPCT公開国際公開公報第84/01106号を参照されたい。
【0091】
特定の態様において、本発明は、骨折、ならびに軟骨および/または骨欠損、または歯周病に関連した他の病態を修復するための治療法および組成物を提供する。本発明はさらに、創傷治癒および組織修復のための治療法および組成物を提供する。そのような組成物は、薬学的に許容される媒体、担体、またはマトリクスと混合して本発明のBMP-3プロペプチドの少なくとも一つの治療的有効量を含む。
【0092】
特定の特異的態様において、本発明の方法および組成物(例えば、BMP-3プロペプチド)は、骨粗鬆症、上皮小体機能昂進症、クッシング病、甲状腺中毒症、慢性的な下痢状態および吸収不良、腎尿細管アシドーシス、または神経性食欲不振のような、骨喪失を引き起こす病態に適応することができる。女性であること、低体重であること、および座っていることの多いライフスタイルは、骨粗鬆症(骨折のリスクに至る骨塩密度の減少)の危険因子であることは、多くの人々が承知している。しかし、骨粗鬆症は、特定の投薬の長期使用によっても起こりうる。薬物または他の医学的状態に起因する骨粗鬆症は、二次性骨粗鬆症として知られている。クッシング病として知られる病態では、体によって産生されたコルチゾルの過剰量によって骨粗鬆症および骨折が起こる。二次性骨粗鬆症に関連した最も一般的な投薬は、副腎によって天然に産生されるホルモンであるコルチゾルのような挙動を示すコルチコステロイドである。適当なレベルの甲状腺ホルモン(甲状腺によって産生される)は、骨格の発達にとって必要であるが、過剰量の甲状腺ホルモンは時間と共に骨量を減少させうる。アルミニウムを含む制酸剤は、腎疾患を有する人々、特に透析を受けている人が高用量を摂取すると骨喪失が起こりうる。二次骨粗鬆症を引き起こしうる他の投薬には、急発作を予防するために用いられるフェニトイン(Dilantin)およびバルビツレート;メソトレキセート(Rheumatrex, Immunex, Folex PFS)、関節炎、癌、および免疫障害の何らかの形の薬物;シクロスポリン(Sandimmune, Neoral)、自己免疫疾患を処置するためおよび臓器移植患者における免疫系を抑制するために用いられる薬物;前立腺癌および子宮内膜症を処置するために用いられる黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Lupron, Zoladex);ヘパリン(Calciparine, Liquaemin)、抗凝固剤投薬;ならびに高コレステロールを処置するために用いられるコレスチラミン(Questran)およびコレスチポル(Colestid)が含まれる。歯肉疾患は、部分的に細菌毒素の作用のために、および部分的に持続的な炎症の効果のために骨喪失を引き起こす。
【0093】
特定の態様において、本発明は、異常なまたは望ましくない骨増殖に関連した疾患または障害を処置するための方法および治療物質、例えばBMP-3プロペプチドのアンタゴニストを提供する。例えば、進行性骨化繊維異形成(FOP)として知られる疾患を有する患者は、如何なる運動も阻害する異常な「二次骨格」を発達させる。さらに、異常な骨増殖は、股関節置換手術後に起こることがあり、それによって手術の転帰を台無しにする。これは、病的な骨増殖およびBMP-3プロペプチドのアンタゴニストが治療的に有用となる可能性がある状況のより一般的な例である。BMP-3プロペプチドのアンタゴニストはまた、外傷、火傷、または脊髄損傷後の骨の病的な増殖のような、他の型の異常な骨増殖を処置するために有用となる可能性がある。さらに、BMP-3プロペプチドのアンタゴニストは、転移性前立腺癌または骨肉腫に関連して認められる異常な骨増殖に関連したBMPsの望ましくない作用を処置または予防するために有用となる可能性がある。BMP-3プロペプチドのこれらのアンタゴニストの例には、BMP-3プロペプチドとその結合パートナー(例えば、BMP-3成熟ペプチド)との相互作用を破壊する化合物、およびBMP-3プロペプチドに特異的に結合する抗体が含まれるがそれらに限定されるわけではない。
【0094】
本発明の方法の特定の態様において、一つまたは複数のBMP-3プロペプチドを共に(同時に)または異なる時期に(連続的または重なり合って)投与することができる。さらに、BMP-3プロペプチドは、もう一つのタイプの骨形成性軟骨誘導または骨誘導因子と共に投与することができる。二つのタイプの化合物を同時または異なる時期に投与してもよい。本発明のBMP-3プロペプチドは、他の骨形成、軟骨誘導、または骨誘導因子と共に、またはおそらく相乗的に作用する可能性がある。多様な骨形成性の軟骨誘導性および骨誘導因子、特にビスホスホネートが、記述されている。例えば欧州特許出願第148,155号および第169,016号を参照されたい。例えば、本発明のBMP-3プロペプチドと組み合わせることができる他の因子には、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF-αおよびTGF-β)、およびインスリン様増殖因子(IGF)のような様々な増殖因子が含まれる。
【0095】
7.薬学的組成物
特定の態様において、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)は、薬学的に許容される担体と共に調製される。例えば、BMP-3プロペプチド(例えば、そのFc融合タンパク質を含む)を単独で、または薬学的組成物(治療組成物)の成分として投与することができる。本発明の化合物は、ヒトまたは獣医学において用いるための簡便な方法において投与するために調製されてもよい。
【0096】
特定の態様において、本発明の治療的方法には、組成物をインプラントまたは装置として局所、全身、または局所投与することが含まれる。投与された場合、本発明において用いられる治療組成物は一般的に、発熱物質を含まない生理的に許容される型である。さらに、組成物は、骨、軟骨、または組織損傷部位への送達のために、望ましくは封入して、または粘液型で注射してもよい。局所投与は、創傷治癒および組織修復にとって適している可能性がある。上記の組成物において任意で含まれてもよいBMP-3プロペプチド以外の治療的に有用な物質は、またはもしくはさらに本発明の方法においてBMP-3プロペプチドと同時にまたは連続的に投与してもよい。好ましくは骨および/または軟骨形成に関して、組成物には、骨および/または軟骨損傷部位へのBMP-3プロペプチドまたは他の治療化合物を送達することができる、発達中の骨および軟骨の構造を提供する、ならびに最適に体に吸収されうるマトリクスが含まれるであろう。例えば、マトリクスはBMP-3プロペプチドの遅い放出を提供する可能性がある。そのようなマトリクスは、他の埋め込まれた医学的応用において現在用いられる材料で形成されてもよい。
【0097】
マトリクス材料の選択は、生物学的利用率、生物学的分解性、力学的特性、美容上の外観、および界面特性に基づく。本発明の組成物の特定の応用は、適当な処方を定義するであろう。組成物に関して可能性があるマトリクスは、生体分解性であり、化学的に定義された硫酸カルシウム、燐酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ無水物であってもよい。他の可能性がある材料は、骨、または皮膚コラーゲンのように生体分解性であり、生物学的に十分に定義されている。さらなるマトリクスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリクス成分を含む。他の可能性があるマトリクスは、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオグラス、アルミネート、または他のセラミクスのような、非生体分解性で化学的に定義されている。マトリクスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイト、またはコラーゲンおよび燐酸三カルシウムのような上記の任意のタイプの材料の組み合わせを含んでもよい。バイオセラミクスは、燐酸カルシウムアルミニウムのような組成物において、孔の大きさ、粒子径、粒子の形状、および生物学的分解性を変化させるためのプロセシングにおいて変化してもよい。
【0098】
特定の態様において、本発明の方法は、例えばそれぞれが、活性成分として物質の既定量を含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(着香剤基剤を用いて、通常蔗糖およびアカシアまたはトラガカントを用いて)、粉剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体における溶液もしくは浮遊液として、または水中油型もしくは油中水型液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、または蔗糖およびアカシアのような不活性基剤を用いて)および/またはマウスウォッシュ等の形で経口投与することができる。物質は、ボーラス、し剤、またはパスタ剤として投与してもよい。
【0099】
経口投与のための固体投与剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉剤、顆粒剤等)において、本発明の一つまたは複数の治療化合物を、クエン酸ナトリウムまたは燐酸二カルシウムおよび/または以下の任意のような、一つまたは複数の薬学的に許容される担体と混合してもよい:(1)デンプン、乳糖、蔗糖、マンニトールおよび/または珪酸のような増量剤または膨張剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、蔗糖および/またはアカシアのような結合剤;(3)グリセロールのような湿潤剤;(4)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の珪酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(5)パラフィンのような溶解遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物のような吸収加速剤;(7)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイト土のような吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、薬学的組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。類似のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖と共に高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いて、軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いてもよい。
【0100】
経口投与のための液体投与剤形には、薬学的に許容される乳剤、微小乳剤、溶液、懸濁液、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性成分の他に、液体投与剤形は、水または他の溶媒のような当技術分野において一般的に用いられる不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物のような溶解剤および乳化剤を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物にはまた、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、甘味料、芳香剤、着色料、香料、および保存剤のような補助剤が含まれうる。
【0101】
活性化合物の他に懸濁剤は、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天-寒天、およびトラガカント、ならびにその混合物のような懸濁剤が含まれてもよい。
【0102】
本明細書に開示の特定の組成物は、皮膚または粘膜に局所投与してもよい。局所製剤にはさらに、皮膚または角質層浸透増強剤として有効であることが知られている広範な物質の一つまたは複数が含まれてもよい。これらの例は、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシドおよびアゾンである。製剤を美容上許容できるようにするために、さらなる物質がさらに含まれてもよい。これらの例は、脂肪、ロウ、油、色素、香料、保存剤、安定化剤、および界面活性剤である。当技術分野で公知である角質溶解剤も同様に含まれてもよい。例はサリチル酸および硫黄である。
【0103】
局所または経皮投与のための投与剤形には、粉剤、スプレー、軟膏、パスタ、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物を、滅菌条件で薬学的に許容される担体および任意の保存剤、緩衝剤、または必要である場合には噴射剤と混合してもよい。軟膏、パスタ、クリーム、およびゲルは、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)の他に、動物および植物脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、珪酸、タルク、酸化亜鉛、またはその混合物のような賦形剤を含んでもよい。
【0104】
粉剤およびスプレーは、本発明の化合物の他に、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含みうる。スプレーはさらに、クロロフルオロ炭化水素ならびにブタンおよびプロパンのような揮発性の非置換炭化水素のような通常の噴射剤を含みうる。
【0105】
特定の態様において、非経口投与のために適した薬学的組成物は、一つまたは複数の薬学的に許容される滅菌等張水性もしくは非水溶液、分散剤、懸濁剤、もしくは乳剤、または使用直前に、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁剤、もしくは濃化剤を含んでもよい滅菌注射溶液もしくは分散液に溶解されてもよい滅菌粉末、と組み合わせて一つまたは複数のBMP-3プロペプチドを含んでもよい。本発明の薬学的組成物において用いられてもよい適した水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)およびその適した混合物、オリーブ油のような植物油、オレイン酸エチルのような注射用有機エステルが含まれてもよい。例えば、レシチンのようなコーティング材料を用いることによって、分散剤の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって、適切な流動性を維持することができる。
【0106】
本発明の組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤のような補助剤を含んでもよい。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等を含めることによって確保してもよい。同様に、糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を組成物に含めることが望ましいかも知れない。さらに、注射用製剤の持続的な吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を含めることによって得てもよい。
【0107】
投与レジメは、本発明の化合物(例えば、BMP-3プロペプチド)の作用を改変する様々な要因を検討する主治医または獣医師によって決定されるであろうと理解される。様々な要因には、形成されることが望ましい骨量、骨損傷部位、損傷した骨の状態、創傷の大きさ、損傷組織のタイプ、患者の年齢、性別、および食事、感染の重症度、投与時期、ならびに他の臨床要因が含まれるがそれらに限定されるわけではない。任意で、用量は溶解に用いるマトリクスのタイプおよび組成物における化合物のタイプに応じて変化してもよい。他の公知の増殖因子を最終的な組成物に加えても用量に影響を及ぼす可能性がある。進行は骨増殖および/または修復、例えば、X-線、組織形態学的検査、およびテトラサイクリン標識の定期的な評価によってモニターすることができる。
【0108】
実施例
本発明を一般的に記述してきたが、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これは特定の態様および本発明の態様を単に説明する目的で含まれ、本発明を制限すると意図されない。
【0109】
実施例1:BMP3 pro-MuIgG2a(BMP3 pro)融合体の構築、発現、および精製
BMP3プロペプチド(BMP3-pro)配列を完全長のBMP3 cDNAからPCR増幅して、ライゲーションするとマウスIgG2aとの融合ペプチドを生じるように、ヒトCMV由来発現ベクターにクローニングした。この構築物(BMP3 pro-MuIgG2aと呼ばれる)を、ポリエチレンイミン(PEI)を用いてHEK293細胞において一過性にトランスフェクトした。7日後、細胞を回収して、精製のために条件培地を採取した。
【0110】
組換え型マウスBMP3 pro-MuIgG2a融合体は、HEK293細胞において発現され、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。条件培地1 Lバッチを濾過して、濃縮し、TBS(pH 8.0)によって予め平衡にした4 ml rプロテインAセファロースFast Flowカラム(Amersham Bioscience)にローディングした。タンパク質のローディングの後、カラムを20倍量(CV)のTBS、TBS-0.05%Tween 20 10 CVによって洗浄した後、TBS 10 CVによってさらに洗浄した後、非特異的結合タンパク質を除去した。結合BMP3 pro-MuIgG2aタンパク質を100 mMグリシン(pH 3.0)によって溶出した。1 Mトリスを加えて、溶出した分画を直ちに中和して、PBS(pH 8.0)に対して透析した。タンパク質濃度は、BSAタンパク質アッセイ(Pierce)によって決定した。タンパク質の純度は、予め形成したゲル(Invitrogen)を用いた後にSure Blue染色(Invitrogen)を用いて4〜12%SDS-PAGEによって決定した。精製BMP3 pro-MuIgG2aは、4〜12%SDS-PAGEゲルにおいて広いバンドとして移動し、これは高い程度のグリコシル化を示す。精製タンパク質をさらに、蔗糖TMカラム(Pharmacia Biotech)でのサイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。LALアッセイを精製BMP3 pro-MuIgG2aについて行い、検出されたエンドトキシンの量は<0.5 Uであった。
【0111】
図10は、プロテインアフィニティ段階を用いて精製されたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを示す。レーン1は、分子量マーカーを示し、レーン2は、プロテインAを用いてBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを発現する条件培地から精製されたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドFcを示す。
【0112】
実施例2:BMP3 pro-MuIgG2a融合ペプチドは成熟BMP-3に結合する
免疫沈殿試験を最初に行った。条件培地をプロテインAビーズと共にインキュベートして、0.5%Tween 20を含むトリス緩衝生理食塩液(TBST)によって3回洗浄して、未結合のタンパク質を除去した。成熟BMP-3を加えて4℃で一晩インキュベートした。ビーズをTBSTによって3回洗浄した。ビーズを、還元剤を含むSDS試料緩衝液に浮遊させて、抗成熟BMP-3モノクローナル抗体によってウェスタンブロット分析を行い、HRP標識抗マウスIgGによって検出した。図11に示すように、BMP3 pro-MuIgG2aペプチドは成熟BMP-3に結合する。レーン1:分子量マーカー。レーン2:ベクター単独および成熟BMP3をトランスフェクトした293細胞の条件培地と共にプロテインAビーズの対照インキュベーション。レーン3:BMP-3およびプロテインAと共にインキュベートしたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドを発現するHEK293細胞からの条件培地。
【0113】
BiaCoreチップ分析も同様に行った。精製BMP3 pro-MuIgG2aを、アミンカップリング技法を用いてBiaCore CM5チップ上にカップリングさせた。図12に示されるように、BiaCore CM5チップ分析を用いて、精製BMP3 pro-MuIgG2aは成熟BMP-3に結合する。成熟BMP-3をチップ上に流して、BMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合させる(パネルA)。対照実験において、BSAプロテインをチップ上に流したが、BMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合しなかった(パネルB)。
【0114】
実施例3.成熟BMP-3は、アクチビン受容体IIa(ActRIIa)に結合して、BMP3 pro-MuIgG2a FcはBMP-3に対するActRIIa結合と競合する。
ActRIIaを、標準的なアミンカップリング技法を用いて、BiaCore CM5チップ分析上に固定した。図13に示すように、成熟BMP-3(200 μg/ml)をActRIIaカップリングチップに注入した。BMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)をActRIIaチップに注入した。成熟BMP-3(200 μg/ml)およびBMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)を予め混合して、ActRIIaカップリングチップに注入した。図13に示すように、成熟BMP-3は、ActRIIaに結合する(軌跡A);BMP3 pro-MuIgG2aはActRIIaに結合しない(軌跡B);およびBMP3 pro-MuIgG2a Fcは、BMP-3に対するActRIIaの結合と競合する(軌跡C)。
【0115】
参照による組み入れ
本明細書において言及した刊行物および特許は全て、個々の刊行物または特許が特におよび個々に参照として本明細書に組み入れられることが示されるかのように、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。
【0116】
本主題の特定の態様に関して考察してきたが、上記の明細書は説明的であって制限的ではない。本明細書および下記の請求の範囲を参照することによって、多くの改変が当業者に明らかとなるであろう。本発明の完全な範囲は、同等物の完全な範囲と共に請求の範囲を参照することによって、およびそのような変更と共に明細書を参照することによって、決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】BMP-3Aプロペプチドのアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。
【図2】BMP-3B/GDF-10プロペプチドのアミノ酸配列(配列番号:2)を示す。
【図3】BMP-3A前駆体アミノ酸配列(配列番号:3)を示す。シグナルペプチド(残基1〜22)を下線で示し、配列番号:1とも呼ばれるプロドメイン(残基23〜362)を太字で示し、および成熟タンパク質(残基363〜472)を影をつけて示す。可能性があるN-結合グリコシル化部位を四角で囲む。
【図4】BMP-3B/GDF-10前駆体アミノ酸配列(配列番号:4)を示す。シグナルペプチド(残基1〜33)を下線で示し;配列番号:2とも呼ばれるプロドメイン(残基34〜368)を太字で示し、および成熟タンパク質(残基369〜478)を影をつけて示す。可能性があるN-結合グリコシル化部位を四角で囲む。
【図5】配列番号:5として示されるBMP-3Aプロペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図6】配列番号:6として示されるBMP-3Bプロペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図7】配列番号:7として示されるBMP-3A前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図8】配列番号:8として示されるBMP-3B前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図9】配列番号:9として示されるヒトFcアミノ酸配列を示す。特定の任意の変異を太字で示す。
【図10】BMP3Aプロペプチド−プロテインAアフィニティ段階を用いて精製されたマウスIgG2aペプチドFc融合タンパク質(「BMP3 pro-MuIg2a」)を示す。レーン1は、分子量マーカーを示すが、レーン2は、プロテインAアフィニティ精製によってBMP3 pro-MuIgG2aを発現する細胞の条件培地から精製されたBMP3-Pro-MuFc融合体を示す。
【図11】BMP3 pro-MuIg2aペプチドが成熟BMP-3に結合することを示す。レーン1:分子量マーカー。レーン2:ベクター単独および成熟BMP-3をトランスフェクトした293細胞からの条件培地と共にプロテインAビーズの対照インキュベーション。レーン3:BMP-3およびプロテインAと共にインキュベートしたBMP3 pro-MuIgG2aペプチドを発現するHEK293細胞の条件培地。
【図12】BiaCore CM5チップ分析を用いて、成熟BMP-3に対する精製BMP3 pro-MuIgG2aの結合を示す。精製BMP3 pro-MuIgG2aを、アミンカップリング技法を用いて、BiaCore CM5チップにカップリングさせた。パネルA:成熟BMP-3をチップ上に流した。パネルB:BSAがBMP3 pro-MuIgG2a Fcに結合しないことを示す対照実験。
【図13】成熟BMP-3がアクチビン受容体IIa(ActRIIa)に結合すること、およびBMP3 pro-MuIgG2aFcが、BMP-3に対するActRIIaの結合と競合することを示す。標準的なアミンカップリング技法を用いて、ActRIIaをBiaCore CM5チップ上に固定した。軌跡A:成熟BMP-3(200 μg/ml)をActRIIaカップリングチップに注入した。軌跡B:BMP3 pro-MuIgG2a Fc(100 μg/ml)をActRIIaチップ(結合なし)上に注入した。軌跡C:成熟BMP-3(200μg/ml)およびBMP3 pro-MuIgG2a(100 μg/ml)を予め混合して、ActRIIaカップリングチップ上に注入した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、骨増殖を促進および/または骨喪失を阻害するための薬学的調製物:
a)成熟BMP-3ポリペプチドに結合するBMP-3プロペプチドを含むポリペプチド、および
b)薬学的に許容される担体。
【請求項2】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項1記載の薬学的調製物:
i)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含む、ポリペプチド;
ii)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
iii)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
iv)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
v)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
vi)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
【請求項3】
BMP-3ポリペプチドが天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項4】
哺乳類細胞において産生された場合に、アミノ酸配列の変化によってポリペプチドのグリコシル化が変化する、請求項3記載の薬学的調製物。
【請求項5】
アミノ酸配列の変化によって、天然に存在するBMP-3ポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク質分解が減少する、請求項3記載の薬学的調製物。
【請求項6】
骨吸収を阻害する化合物、骨形成を刺激する化合物、および骨塩密度を増加する化合物からなる群より選択される、一つまたは複数の他の化合物をさらに含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項7】
ビスホスホネートをさらに含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項8】
BMP-3プロペプチドが、BMP-3プロペプチドドメインの他に、インビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織局在または分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製の一つまたは複数を増強する一つまたは複数のポリペプチド部分を含む融合タンパク質である、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項9】
BMP-3プロペプチドが、BMP-3プロペプチドドメインの他に、免疫グロブリンFcドメインおよび血清アルブミンからなる群より選択されるポリペプチド部分を含む融合タンパク質である、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項10】
融合タンパク質に、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合体からなる群より選択される精製小配列が含まれる、請求項8記載の薬学的調製物。
【請求項11】
BMP-3プロペプチドに、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合したアミノ酸、および有機誘導体化物質に結合したアミノ酸から選択される一つまたは複数の修飾アミノ酸残基が含まれる、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項12】
調製物が実質的に発熱物質を含まない、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項13】
BMP-3プロペプチドが1マイクロモル濃度より低いKDで成熟BMP-3ポリペプチドに結合する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項14】
BMP-3プロペプチドが成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項15】
BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介されるシグナル伝達を阻害する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項16】
BMP-3プロペプチドと第二のポリペプチド部分とを含むBMP-3プロペプチド融合タンパク質。
【請求項17】
第二の部分がBMP-3プロペプチドに共有結合によって融合したポリペプチドである、請求項16記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項18】
第二の部分がBMP-3プロペプチドのカルボキシ末端に融合したポリペプチドである、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項19】
第二の部分が血清アルブミンおよびIgG Fcドメインからなる群より選択される、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項20】
第二の部分が非アミノ酸部分である、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項21】
第二の部分がポリエチレングリコールを含む、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項22】
以下からなる群より選択されるポリペプチドのコード配列を含む単離ポリヌクレオチド:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
【請求項23】
a)BMP-3プロペプチドをコードする配列;
b)終止コドン;および
c)BMP-3ポリペプチドをコードする配列と少なくとも90%同一である配列
を含み、終止コドンが(a)の配列と(c)の配列のあいだに存在する、または(c)の配列内に存在する単離ポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号:7および8からなる群より選択されるポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、3'末端の前少なくとも300ヌクレオチドに非天然の転写終結コドンをさらに含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項25】
請求項22、23、または24記載のポリヌクレオチドに機能的に結合したプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項25記載の組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞。
【請求項27】
哺乳類細胞である、請求項26記載の細胞。
【請求項28】
CHO細胞である、請求項27記載の細胞。
【請求項29】
以下を含む、BMP-3プロペプチドを作製する方法:
a)請求項25記載の組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞を、プロペプチドの発現に適した条件下で細胞を培養する段階;
b)そのように発現されたプロペプチドを回収する段階。
【請求項30】
BMP-3プロペプチドを含む組成物または分子の有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を有する対象を処置する方法。
【請求項31】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項30記載の方法:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含む、ポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
g)安定化BMP-3プロペプチド。
【請求項32】
対象の骨塩密度が正常より低い、請求項30記載の方法。
【請求項33】
対象が骨粗鬆症を有する、請求項30記載の方法。
【請求項34】
対象が骨折を有する、請求項30記載の方法。
【請求項35】
以下の段階を含む、骨形成物質を同定する方法:
a)BMP-3プロペプチドと競合的に成熟BMP-3ポリペプチドに結合する試験物質を同定する段階;および
b)骨増殖、骨喪失、またはBMP-2シグナル伝達に及ぼす物質の作用を評価する段階。
【請求項36】
骨増殖を増加または骨喪失を減少させるために十分なBMP-3プロペプチドの量を対象に投与する段階を含む、対象における骨増殖を増加または骨喪失を減少させる方法。
【請求項37】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項36記載の方法:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
g)安定化BMP-3プロペプチド。
【請求項38】
BMP-3プロペプチドを含む組成物または分子の有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を処置するための薬剤を製造するためのBMP-3プロペプチドの使用。
【請求項39】
障害が骨折または骨粗鬆症である、請求項38記載の使用。
【請求項1】
以下を含む、骨増殖を促進および/または骨喪失を阻害するための薬学的調製物:
a)成熟BMP-3ポリペプチドに結合するBMP-3プロペプチドを含むポリペプチド、および
b)薬学的に許容される担体。
【請求項2】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項1記載の薬学的調製物:
i)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含む、ポリペプチド;
ii)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
iii)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
iv)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
v)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
vi)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
【請求項3】
BMP-3ポリペプチドが天然に存在するBMP-3プロペプチドと比較してアミノ酸配列の変化を含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項4】
哺乳類細胞において産生された場合に、アミノ酸配列の変化によってポリペプチドのグリコシル化が変化する、請求項3記載の薬学的調製物。
【請求項5】
アミノ酸配列の変化によって、天然に存在するBMP-3ポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク質分解が減少する、請求項3記載の薬学的調製物。
【請求項6】
骨吸収を阻害する化合物、骨形成を刺激する化合物、および骨塩密度を増加する化合物からなる群より選択される、一つまたは複数の他の化合物をさらに含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項7】
ビスホスホネートをさらに含む、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項8】
BMP-3プロペプチドが、BMP-3プロペプチドドメインの他に、インビボ安定性、インビボ半減期、取り込み/投与、組織局在または分布、タンパク質複合体の形成、および/または精製の一つまたは複数を増強する一つまたは複数のポリペプチド部分を含む融合タンパク質である、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項9】
BMP-3プロペプチドが、BMP-3プロペプチドドメインの他に、免疫グロブリンFcドメインおよび血清アルブミンからなる群より選択されるポリペプチド部分を含む融合タンパク質である、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項10】
融合タンパク質に、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合体からなる群より選択される精製小配列が含まれる、請求項8記載の薬学的調製物。
【請求項11】
BMP-3プロペプチドに、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合したアミノ酸、および有機誘導体化物質に結合したアミノ酸から選択される一つまたは複数の修飾アミノ酸残基が含まれる、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項12】
調製物が実質的に発熱物質を含まない、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項13】
BMP-3プロペプチドが1マイクロモル濃度より低いKDで成熟BMP-3ポリペプチドに結合する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項14】
BMP-3プロペプチドが成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用を阻害する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項15】
BMP-3プロペプチドは、成熟BMP-3ポリペプチドとActRIIaポリペプチドとの相互作用によって媒介されるシグナル伝達を阻害する、請求項1記載の薬学的調製物。
【請求項16】
BMP-3プロペプチドと第二のポリペプチド部分とを含むBMP-3プロペプチド融合タンパク質。
【請求項17】
第二の部分がBMP-3プロペプチドに共有結合によって融合したポリペプチドである、請求項16記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項18】
第二の部分がBMP-3プロペプチドのカルボキシ末端に融合したポリペプチドである、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項19】
第二の部分が血清アルブミンおよびIgG Fcドメインからなる群より選択される、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項20】
第二の部分が非アミノ酸部分である、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項21】
第二の部分がポリエチレングリコールを含む、請求項17記載のBMP-3プロペプチド。
【請求項22】
以下からなる群より選択されるポリペプチドのコード配列を含む単離ポリヌクレオチド:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
【請求項23】
a)BMP-3プロペプチドをコードする配列;
b)終止コドン;および
c)BMP-3ポリペプチドをコードする配列と少なくとも90%同一である配列
を含み、終止コドンが(a)の配列と(c)の配列のあいだに存在する、または(c)の配列内に存在する単離ポリヌクレオチド。
【請求項24】
配列番号:7および8からなる群より選択されるポリペプチド配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドであって、3'末端の前少なくとも300ヌクレオチドに非天然の転写終結コドンをさらに含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項25】
請求項22、23、または24記載のポリヌクレオチドに機能的に結合したプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項25記載の組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞。
【請求項27】
哺乳類細胞である、請求項26記載の細胞。
【請求項28】
CHO細胞である、請求項27記載の細胞。
【請求項29】
以下を含む、BMP-3プロペプチドを作製する方法:
a)請求項25記載の組換えポリヌクレオチドによって形質転換された細胞を、プロペプチドの発現に適した条件下で細胞を培養する段階;
b)そのように発現されたプロペプチドを回収する段階。
【請求項30】
BMP-3プロペプチドを含む組成物または分子の有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を有する対象を処置する方法。
【請求項31】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項30記載の方法:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含む、ポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド。
g)安定化BMP-3プロペプチド。
【請求項32】
対象の骨塩密度が正常より低い、請求項30記載の方法。
【請求項33】
対象が骨粗鬆症を有する、請求項30記載の方法。
【請求項34】
対象が骨折を有する、請求項30記載の方法。
【請求項35】
以下の段階を含む、骨形成物質を同定する方法:
a)BMP-3プロペプチドと競合的に成熟BMP-3ポリペプチドに結合する試験物質を同定する段階;および
b)骨増殖、骨喪失、またはBMP-2シグナル伝達に及ぼす物質の作用を評価する段階。
【請求項36】
骨増殖を増加または骨喪失を減少させるために十分なBMP-3プロペプチドの量を対象に投与する段階を含む、対象における骨増殖を増加または骨喪失を減少させる方法。
【請求項37】
BMP-3プロペプチドが以下からなる群より選択される、請求項36記載の方法:
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
b)配列番号:2のアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
c)配列番号:1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
d)配列番号:2のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
e)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:1の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
f)成熟BMP-3ポリペプチドに結合する配列番号:2の少なくとも10個の連続したアミノ酸を含み、BMP-3ポリペプチドの成熟部分のアミノ酸20個以下を含むポリペプチド;
g)安定化BMP-3プロペプチド。
【請求項38】
BMP-3プロペプチドを含む組成物または分子の有効量を対象に投与する段階を含む、不十分な骨塩密度、骨喪失、骨損傷、または不十分な骨増殖に関連した障害を処置するための薬剤を製造するためのBMP-3プロペプチドの使用。
【請求項39】
障害が骨折または骨粗鬆症である、請求項38記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−530055(P2007−530055A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505278(P2007−505278)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010592
【国際公開番号】WO2005/094871
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(506297005)アクセルロン ファーマ インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010592
【国際公開番号】WO2005/094871
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(506297005)アクセルロン ファーマ インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】
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