説明

C型肝炎の処置のためのピラゾロピリダジン誘導体

本発明は、式(I)の化合物およびそれらの塩、ならびに該化合物を用いた組成物および方法を提供する。該化合物はC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した患者の治療に有用でありうる。


【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年2月25日に出願された米国仮特許出願第61/308,084号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
(発明の背景)
本発明は概して、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した者の処置に有用である、式Iの新規化合物およびその塩に関する。本発明はまた、これら化合物を用いた組成物および方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)は主要なヒト病原体であり、世界中で推定1億7千万人が感染しており-これはヒト免疫不全ウイルス1型による感染数のおよそ5倍である。これらHCV感染者のかなりの割合が、肝硬変および肝細胞癌を含む重篤な進行性肝疾患を発症する(非特許文献1)。
【0004】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである。5'非翻訳領域における推定アミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVはフラビウイルス科の独立した属として分類されている。フラビウイルス科の全てのメンバーは、単一の連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して全ての公知のウイルス-特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0005】
HCVゲノム全体にわたって、ヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内に、かなりの多様性が見いだされる。少なくとも6つの主要な遺伝子型がキャラクタライズされており、50を超えるサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は世界的な分布において異なっており、病原性および治療法における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にもかかわらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捉えにくい。
【0006】
一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチド長であり、約3000のアミノ酸である単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生じる。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2つのウイルスプロテアーゼによりもたらされる。1つめのものはメタロプロテアーゼであり、NS2-NS3接合部を切断すると考えられており;2つめは、NS3のN-末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼ(本明細書においてNS3プロテアーゼとも称される)であり、NS3の下流、すなわちNS3-NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、NS5A-NS5B部位についてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。該NS4Aタンパク質は複数の機能を果たすと思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスのレプリカーゼ成分の膜局在をおそらく補助している。NS3タンパク質とNS4Aとの複合体形成は、イベントの進行、全ての部位におけるタンパク質分解効率の増強に必要であると思われる。該NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5B(HCVポリメラーゼとも言う)は、HCVの複製に関与するRNA-依存性RNAポリメラーゼである。HCV NS5Bタンパク質は非特許文献2および3に記載されている。
【0007】
現在、最も有効なHCVの治療法は、α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを用いており、40%の患者において持続的効果をもたらしている(非特許文献4)。最近の臨床結果により、ペグα-インターフェロンが単独療法としては未修飾のα-インターフェロンよりも優れていることが示されている(非特許文献5)。しかしながら、ペグα-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメンでも、かなりの割合の患者において、ウイルス量の持続的な減少が認められない。従って、HCV感染症の処置に対する有効な治療薬の開発が明確にかつ切実に必要とされている。
【0008】
HCV-796(HCV NS5B阻害剤)は、患者におけるHCV RNAレベルを低下させる能力を示した。ウイルスRNAレベルは一時的に減少した後、該化合物を単剤として用いた処置の場合は投与の間にリバウンドしたが、インターフェロンおよびリバビリンの一種である標準的な治療と組み合わせた場合はより確実にレベルが低下した。この化合物の開発は、該組み合わせレジメンの長期投与の間に見られた肝毒性のため、中断していた。特許文献1および対応する特許文献2にHCV-796クラスの化合物が記載されている。
【0009】
本発明は技術的利点をもたらし、例えば、該化合物は新規であり、C型肝炎に対して有効である。また、該化合物は、例えば、それらの作用メカニズム、結合、阻害効果、標的選択性、溶解性、安全性プロファイルまたは生物学的利用能のうちの1つ以上に関して、医薬用途における利点をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,265,152号
【特許文献2】PCT特許出願 WO2004/041201A2
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Lauer, G. M.; Walker, B. D. N. Engl. J. Med. 2001, 345, 41-52
【非特許文献2】“Structural Analysis of the Hepatitis C Virus RNA Polymerase in Complex with Ribonucleotides” (Bressanelli; S. et al., Journal of Virology 2002, 3482-3492)
【非特許文献3】Defrancesco and Rice, Clinics in Liver Disease 2003, 7, 211-242
【非特許文献4】Poynard, T. et al. Lancet 1998, 352, 1426-1432
【非特許文献5】Zeuzem, S. et al. N. Engl. J. Med. 2000, 343, 1666-1672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(発明の詳細)
本発明の一態様は、式I:
【化1】

[式中、
R1は、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ジオキソチアジニル(dioxothiazinyl)、(R5)(R6)N、
【化2】

、ピリジニルまたはフェニルであり、ここで、該ピリジニルもしくはフェニルは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、((R7)(R8)N)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、(R7)(R8)N、カルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されており、該ピリジニルもしくはフェニルはまた、0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基で置換されており;
R2は、水素、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、または(R5)(R6)Nであり;
R3は、シアノ、アルコキシカルボニル、(シクロアルキル)オキシカルボニル、(アルキルスルホニル)アミノカルボニル、CON(R11)(R12)、(R13)(R14)NCONH、トリアゾリル、チアゾリル、またはテトラゾリルであり;
R4は、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R5は、水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ベンジル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、(アルコキシフェニル)カルボニル、アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、(アルコキシフェニル)スルホニルまたは(ハロアルコキシフェニル)スルホニルであり;
R6は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキルであるか;
あるいは、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、ジオキソチアジニルであり;
R7は、水素またはアルキルであり;
R8は、水素またはアルキルであり;
R9は、水素またはアルキルであり;
R10は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10は、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであって、これらは0〜2個のフッ素原子で置換されており;
R11は、水素またはアルキルであり;
R12は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R13は、水素またはアルキルであり;
R14は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R13およびR14は、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R15は、アルキルまたはシクロアルキルであり;
R16は、水素、アルキル、
【化3】

であり;
R17は、水素またはアルキルであり;
R18は、水素、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり;そして、
Ar1は、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(R7)(R8)N、もしくはフェニル置換基で置換されている]
の化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0013】
本発明の別の態様は、
R1が、ピリジニルまたはフェニルであって、これらはカルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1個の置換基で置換されており、また、0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されており;
R2が、水素、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、または(R5)(R6)Nであり;
R3が、CON(R11)(R12)であり;
R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R9が、水素またはアルキルであり;
R10が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10が、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり;
R11が、水素またはアルキルであり;
R12が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12が、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R16が、水素、アルキル、または
【化4】

であり;
R17が、水素またはアルキルであり;
R18が、水素であり;そして、
Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されている、
式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0014】
本発明の別の態様は、
R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換されたフェニルであり、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されており;
R2が、水素であり;
R3が、CON(R11)(R12)であり;
R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R9が、水素またはアルキルであり;
R10が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10が、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり;
R11が、水素またはアルキルであり;
R12が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12が、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R16が、
【化5】

であり;
R17が、水素またはアルキルであり;そして、
Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されている、
式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0015】
本発明の別の態様は、R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換され、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されたフェニルであり;R2が、水素であり;R3が、CON(R11)(R12)であり;R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;R9およびR10が、一緒になって、エチレンであり;R11が、アルキルであり;R12が、水素であり;R16が、
【化6】

であり;R17が、水素であり;そして、Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、もしくはフェニルである、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0016】
本発明の別の態様は、R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基、1個のアルキル置換基、および0〜1個のアルコキシ置換基で置換されたフェニルであり;R2が、水素であり;R3が、CONHMeであり;R4が、モノフルオロフェニルであり;R16が、
【化7】

であり;R9およびR10が、一緒になって、エチレンであり;R17が、水素であり;そして、Ar1が、ピリミジニルもしくはフェニルである、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩である。
【0017】
本発明の別の態様は、R1が、ピリジニルまたはフェニルであって、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、((R7)(R8)N)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、(R7)(R8)N、カルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されており、ここで、該フェニルもしくはピリジニルはまた、0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基で置換されている、式Iの化合物である。
【0018】
本発明の別の態様は、R1が、フェニルであって、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換されており、また、0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基で置換されている、式Iの化合物である。
【0019】
本発明の別の態様は、R1が、フェニルであって、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換されており、また、0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されている、式Iの化合物である。
【0020】
本発明の別の態様は、R3がCON(R11)(R12)である、式Iの化合物である。
【0021】
本発明の別の態様は、R3がCON(H)(アルキル)である、式Iの化合物である。
【0022】
本発明の別の態様は、R4がハロフェニルである、式Iの化合物である。
【0023】
本発明の別の態様は、R4がフェニルまたはモノフルオロフェニルである、式Iの化合物である。
【0024】
本発明の別の態様は、Ar1がフェニルである、式Iの化合物である。
【0025】
本発明の別の態様は、式Ia:
【化8】

の化合物である。
【0026】
式Iの化合物に関して、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、もしくはAr1を含むいずれの変数のいずれの範囲は、いずれの他の変数の範囲と独立して用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
他に特別の定めのない限り、これらの用語は以下の意味を有する。「アルキル」は、1〜6個の炭素から成る直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を意味する。「アルケニル」は、少なくとも1個の二重結合を有する、2〜6個の炭素から成る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素から成る単環系を意味する。「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシ」、および置換されたアルキル部分を有する他の用語は、アルキル部分についての1〜6個の炭素原子から成る直鎖および分枝鎖異性体を含む。「ハロ」は、ハロで定義された置換基においてモノハロ置換からペルハロ置換された全てのハロゲン化異性体、例えば、「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」、「ハロフェニル」、「ハロフェノキシ」を含む。「アリール」は、炭素環およびヘテロ環芳香族置換基を含む。括弧(Parenthetic)および複数の括弧(multiparenthetic)でくくられた用語は、当業者に対して結合関係を明確にすることを目的としている。例えば、((R)アルキル)のような用語は、置換基Rでさらに置換されたアルキル置換基を意味する。多環系(例えば二環式環系)上の可変部位で結合するように化学描画により図示される置換基は、それらが付加するように描かれる環に結合することが意図される。例えば、式IVの置換基R1およびR2は、式IVのチオフェン環ではなくベンゼン環に結合することが意図されている。
【0028】
エチレンは、エタンジイルもしくは-CH2CH2-を意味し;プロピレンは、プロパンジイルもしくは-CH2CH2CH2-を意味し;ブチレンは、ブタンジイルもしくは-CH2CH2CH2CH2-を意味し;ペンチレンは、ペンタンジイルもしくは-CH2CH2CH2CH2CH2-を意味する。
【0029】
ジオキソチアジニルは、式:
【化9】

を意味する。
【0030】
本発明には、該化合物の医薬的に許容される塩形態の全てが含まれる。医薬的に許容される塩は、対イオンが化合物の生理活性または毒性に有意に寄与せず、したがって薬理学的同等物として機能するものである。これらの塩は、市販の試薬を用いた一般的な有機化学技術に従って製造することができる。いくつかのアニオン塩形態としては、酢酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、臭化物塩、カンシル酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコウロン酸塩(glucouronate)、臭化水素塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヨウ化物塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート、およびキシノホエート(xinofoate)が挙げられる。いくつかのカチオン塩形態としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ベンザチン塩、ビスマス塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、4-フェニルシクロヘキシルアミン塩、ピペラジン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛塩が挙げられる。
【0031】
いくつかの本発明の化合物は、不斉炭素原子を有している(例えば、以下の構造を参照)。本発明には、エナンチオマーおよびジアステレオマー並びに立体異性体の混合(例えばラセミ体)を含む、全ての立体異性体が含まれる。いくつかの立体異性体は、当分野で公知の方法を用いて製造することができる。該化合物の立体異性体の混合物および関連する中間体は、当分野で公知の方法に従って、個々の異性体に分離することができる。以下のスキームおよび表中の分子構造の描写における楔またはハッシュ(hash)の使用は、相対的な立体化学を示すことのみを意図しており、絶対的な立体化学帰属を暗示するものとして解釈すべきでない。
【0032】
本発明は、本発明の化合物に出現する原子の全ての同位体を含むことを意図する。同位体には、原子番号が同一であるが質量数が異なる原子が含まれる。一般的な例として、限定されることなく、水素の同位体にはジュウテリウムおよびトリチウムが含まれる。炭素の同位体としては13Cおよび14Cが挙げられる。同位体で標識された本発明の化合物は一般に、当業者に公知の通常の技法によってか、または本明細書に記載されたものと類似した方法によって、他で用いられる非標識試薬の代わりに適切な同位体-標識試薬を用いて、製造することができる。そのような化合物は、例えば、生物活性の決定における標準物質および試薬として、様々な使用可能性を有しうる。安定な同位体の場合、そのような化合物は、生物学的、薬理学的、または薬物動態学的特性を都合よく修飾する能力を有しうる。
【0033】
(合成方法)
該化合物は、以下に記載のものを含む、当分野で公知の方法によって製造されうる。いくつかの試薬および中間体が当分野においては公知である。他の試薬および中間体を、入手可能な物質を用いて当分野で公知の方法により製造することができる。該化合物の合成を説明するために用いる変数(例えば、番号が付けられた「R」置換基)は、製造方法を例示することのみを意図し、特許請求の範囲または本明細書の他の項で用いられる変数と混同されない。以下の方法は例示目的であり、本発明の範囲を制限するものではない。スキームにおいて用いられる略語は一般に、当分野で用いられる慣習に従う。
【0034】
該化合物は、以下に記載のものを含む、当分野で公知の方法によって製造されうる。いくつかの試薬および中間体が当分野においては公知である。他の試薬および中間体を、市販の物質を用いて当分野で公知の方法により製造することができる。該化合物の合成を説明するために用いる変数(例えば、番号が付けられた「R」置換基)は、製造方法を例示することのみを意図し、特許請求の範囲または本明細書の他の項で用いられる変数と混同されない。以下の方法は例示目的であり、本発明の範囲を制限するものではない。スキームにおいて用いられる略語は一般に、当分野で用いられる慣習に従う。
【0035】
スキームにおいて用いられる略語は一般に、当分野で用いられる慣習に従う。本明細書および実施例において用いられる化学的略語は以下の通り定義する:「NaHMDS」はナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミド;「MeOH」はメタノール;「NBS」はN-ブロモスクシンイミド;「Ar」はアリール;「TFA」はトリフルオロ酢酸;「LAH」は水素化リチウムアルミニウム;「BOC」、「DMSO」はジメチルスルホキシド;「h」は時間;「rt」は室温もしくは保持時間(状況により決定される);「min」は分;「EtOAc」は酢酸エチル;「THF」はテトラヒドロフラン;「EDTA」は エチレンジアミン四酢酸;「Et2O」はジエチルエーテル;「DMAP」は4-ジメチルアミノピリジン;「DCE」は1,2-ジクロロエタン;「ACN」はアセトニトリル;「DME」は1,2-ジメトキシエタン;「HOBt」は1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物;「DIEA」はジイソプロピルエチルアミン、「Nf」はCF3(CF2)3SO2-;そして「TMOF」はオルトギ酸トリメチル。
【0036】
スキーム1に示すとおり、本発明のいくつかの化合物は、適切なピリダジンを用いてアミノ化した後、官能化された(functionized)アセチレンを用いて環化することにより、製造されうる。実験セクションに記載されるような標準的な保護基の除去により、生成物が得られる。他の炭素-炭素結合形成反応のように、他のカップリングパートナー、技法および条件が当分野で公知である。当分野で公知の方法によって、酸およびエステルがアミドに変換されうる。

スキーム1
【化10】

【0037】
(生物学的方法)
該化合物は、以下のHCV RdRpアッセイにおいて決定されるように、HCV NS5Bに対する活性を示した。
【0038】
HCV NS5B RdRpクローニング、発現、および精製
HCVのNS5Bタンパク質、遺伝子型1bをコードするcDNAをpET21a発現ベクターにクローニングした。該タンパク質を18個のアミノ酸のC-末端切断で発現させ、溶解性を増強した。大腸菌コンピテント細胞株BL21(DE3)を、該タンパク質の発現に用いた。培養物が600 nmで吸光度2.0になるまで、37℃で〜4時間培養した。該培養物を20℃まで冷却し、1 mM IPTGで誘導した。新鮮なアンピシリンを最終濃度50 μg/mlまで添加し、該細胞を終夜20℃で増殖させた。
【0039】
細胞ペレット(3L)を溶解させて精製し、15〜24 mgの精製NS5Bを得た。該溶解バッファーは、20 mM トリス-HCl, pH 7.4、500 mM NaCl、0.5%トリトンX-100、1 mM DTT、1mM EDTA、20%グリセロール、0.5 mg/ml リゾチーム、10 mM MgCl2、15 μg/ml デオキシリボヌクレアーゼI、およびComplete TM protease inhibitor tablets(Roche)から成る。該溶解バッファーの添加後、凍結させた細胞ペレットを、組織ホモジナイザーを用いて再懸濁した。サンプルの粘稠性を減少させるために、溶解物のアリコートを、Branson超音波処理器に接続したマイクロチップを用いて氷上で超音波処理した。超音波処理した溶解物を4℃で1時間、100,000 x gで遠心分離し、0.2 μm フィルターユニット(Corning)を通して濾過した。
【0040】
該タンパク質を、3つの連続したクロマトグラフィー工程:Heparin sepharose CL-6B、polyU sepharose 4B、およびHitrap SP sepharose (Pharmacia)を用いて精製した。該クロマトグラフィーバッファーは溶解バッファーと同じであるが、リゾチーム、デオキシリボヌクレアーゼI、MgCl2またはプロテアーゼインヒビターを含まず、バッファーのNaCl濃度はカラムへのタンパク質の充填要件に従って調節した。各カラムをNaClグラジエントで溶出した(カラムの種類に依存して5〜50のカラム容積の長さで変化させた)。最終クロマトグラフィー工程の後、得られた酵素の純度はSDS-PAGE分析に基づき>90%であった。該酵素をアリコートにして-80℃で保存した。
【0041】
標準的HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
HCV RdRp 遺伝子型1bアッセイを、96ウェルプレート(Costar 3912)において、最終量60 mlで行った。アッセイバッファーは、20 mM Hepes, pH 7.5、2.5 mM KCl、2.5 mM MgCl2、1 mM DTT、1.6 U RNAseインヒビター(Promega N2515)、0.1 mg/ml BSA(Promega R3961)、および2%グリセロールから成る。全ての化合物をDMSO中に連続的に希釈(3倍)し、アッセイにおけるDMSOの最終濃度が2%であるように、水にさらに希釈した。HCV RdRp 遺伝子型1b酵素は最終濃度28 nMで用いた。ポリA鋳型は6 nMで用い、ビオチン標識オリゴ-dT12プライマーは180 nM最終濃度で用いた。鋳型は商業的に入手した(Amersham 27-4110)。ビオチン標識プライマーはSigma Genosysにより調製された。3H-UTPは0.6 mCi(0.29 mM 総UTP)で用いた。酵素の添加により反応を開始し、30℃で60分間インキュベートし、SPAビーズ(4 mg/ml, Amersham RPNQ 0007)を含有する50 mM EDTAを25 ml添加することにより停止させた。室温で>1時間インキュベートした後、プレートをPackard Top Count NXTで測定した。
【0042】
修飾HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
修飾酵素アッセイを、以下の点を除いて、原則的に標準的な酵素アッセイの記載の通り実施した:ビオチン標識オリゴdT12プライマーを、アッセイバッファー中でプライマーとビーズを混合し、室温で1時間インキュベートすることにより、ストレプトアビジンでコーティングしたSPAビーズ上に予め結合させた。未結合のプライマーを遠心分離して除去した。プライマー-結合ビーズを20 mM Hepesバッファー, pH 7.5に再懸濁させ、最終濃度20 nMのプライマーおよび0.67 mg/mlのビーズでアッセイに用いた。アッセイにおける添加順序:酵素(14 nM)を希釈した化合物に添加し、続いて、鋳型の混合物(0.2 nM)、3H-UTP(0.6 mCi, 0.29 mM)、およびプライマー-結合ビーズを添加して反応を開始し;最後に濃縮物を得た。反応は、30℃で4時間行った。
【0043】
化合物のIC50値を、7つの異なる[I]を用いて決定した。IC50値を、式y = A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を用いて、阻害から算出した。
【0044】
FRETアッセイの準備
96-ウェル細胞培養プレートを用いて、HCV FRETスクリーニングアッセイを実施した。FRETペプチド(Anaspec, Inc.)(Taliani et al., Anal. Biochem. 1996, 240, 60-67)は、該ペプチドの一方の端付近に蛍光ドナー, EDANSを有し、他方の端付近にアクセプター, DABCYLを有する。ペプチドの蛍光発光はドナーおよびアクセプター間の分子間共鳴エネルギー移動(RET)によりクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを開裂すると、該生成物がRETクエンチから解除され、ドナーの蛍光発光が明らかになる。該アッセイ試薬は以下のとおり調製した:5X cell Luciferase cell culture lysis reagent(Promega製)(#E153A)をdH2Oで1Xまで希釈し、NaClを150 mM最終まで添加し、該FRETペプチドを2 mM原液から20 μM最終まで希釈した。
【0045】
プレートの調製のため、ウミシイタケルシフェラーゼレポーター遺伝子(Renilla luciferase reporter gene)の有無にかかわらず、HCVレプリコン細胞をトリプシン処理し、96-ウェルプレートの各ウェルに入れ、列3から12に滴定した試験化合物を添加した;列1および2はコントロール化合物(HCVプロテアーゼインヒビター)を含み、一番下の列は化合物無添加の細胞を含む。次いで、該プレートを、37℃のCO2インキュベーターに入れた。
【0046】
アッセイ
上記(FRETアッセイの準備)の試験化合物の添加後、様々な時点で、該プレートを取り出し、細胞毒性の測定として、アラマーブルー溶液(Alamar blue solution)(Trek Diagnostics, #00-100)を各ウェルに添加した。Cytoflour 4000装置(PE Biosystems)における測定後、プレートを、PBSですすぎ、次いで、30 μlの上記(FRETアッセイの準備)のFRETペプチドアッセイ試薬をウェルごとに添加することにより、FRETアッセイに用いた。その後、該プレートを、340励起/490発光、20サイクルの自動モードにセットされたCytoflour 4000装置に設置し、キネティックモード(kinetic mode)で測定した。通常、測定後のエンドポイント分析によるシグナル対ノイズは、少なくとも3倍であった。別法として、アラマーブルー測定後に、プレートをPBSですすぎ、フェノールレッド含まない50 μlのDMEM(高グルコース)を添加した後、プレートをPromega Dual-Glo Luciferase Assay Systemによるルシフェラーゼアッセイに用いた。
【0047】
化合物分析は、相対的HCVレプリコン阻害および相対的細胞毒性値の定量化により決定した。細胞毒性値(cytoxicity value)の算出のため、コントロールウェルからの平均アラマーブルー蛍光シグナルを100%無毒とした。次いで、化合物試験ウェルのそれぞれにおける個々のシグナルを平均コントロールシグナルで割り、100%をかけて細胞毒性率を決定した。HCVレプリコン阻害値の算出のため、平均バックグラウンド値を、アッセイの最終時点で最高量のHCVプロテアーゼインヒビターを含有する2つのウェルから得た。これらの数値は、未処理Huh-7細胞から得られたものと類似していた。
【0048】
次いで、コントロールウェルから得た平均シグナルから該バックグラウンド値を引き、この値を100%活性として用いた。その後、各化合物試験ウェルにおける個々のシグナルを、バックグラウンド値を引いた後の平均コントロール値で割り、100%をかけて活性率を決定した。プロテアーゼインヒビター滴定のEC50値は、FRETまたはルシフェラーゼ活性の50%低下を引き起こす濃度として算出した。化合物プレートにおいて得られた2つの値、細胞毒性(cytoxicity)率および活性率を用いてさらなる分析に関心が持たれる化合物を決定した。
【0049】
HCVレプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイ
HCVレプリコンルシフェラーゼアッセイを、HCVウイルス複製における本発明に記載の化合物の阻害効果をモニターするために開発した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって最初に記載された(Krieger N, Lohmann V, and Bartenschlager R, J. Virol. 75(10):4614-4624 (2001))。HCVレプリコンを恒常的に発現するHUH-7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Sigma)および1 mg/ml G418(Gibco-BRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco-BRL)中で増殖させた。化合物を、20ポイント滴定用に、DMSO中で3倍に連続希釈し、次いで、無菌の384-ウェル tissue-culture treated plates(Corning cat # 3571)に移した。次いで50 μlの細胞を、4%FCS(最終DMSO濃度 0.5%)を含有するDMEM中に3.0 x 103細胞/ウェルの密度で、プレートに播種した。37℃で3日間インキュベートした後、細胞を、基質としてEnduRen(Promega cat #E6485)を用いて、ウミシイタケルシフェラーゼ活性について分析した。該EnduRen基質をDMEM中に希釈し、次いでプレートに、7.5 μMの最終濃度まで添加した。該プレートを37℃で2時間インキュベートした後、直ちに、発光プログラム(luminescence program)を用いてViewluxイメージャー(PerkinElmer)により、30秒間測定した。化合物の細胞毒性を評価するために、Cell Titer-Blue(Promega, cat # G8082)を用いてEnduRen-含有プレートを多重化することによってCC50値を得た。3 μlのCell-Titer Blueを各ウェルに加えて、37℃で8時間インキュべートした。各ウェルからの蛍光シグナルを、Viewluxイメージャーを用いて、励起波長525/10 nmおよび発光波長598/10 nmで測定した。
【0050】
化合物の代表的なデータを表1に報告する。

表1
【表1】


データが入力されていない場合、以下のキーを用いる: A 0.002以下から0.25 μM; B >0.25 μM - <1.0 μM; C 1.0 μM - 10.0 μM; D >0.67 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); E >10.0 μM; F >0.4 μM;(しかし、正確な値は決定しなかった); G > 1.39 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); H >0.62 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); I >4 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); J >3.7 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); K >1.23 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); L >4.17 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); M > 0.5 μM(しかし、正確な値は決定しなかった)。
【0051】
(医薬組成物および治療方法)
該化合物は、HCV NS5Bに対する活性を示し、HCVおよびHCV感染症の処置に有用であり得る。従って、本発明の別の態様は、化合物もしくはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容される担体を含有する組成物である。
【0052】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物をさらに含有する組成物である。
【0053】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がインターフェロンである組成物である。本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される。
【0054】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がシクロスポリンである組成物である。本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである。
【0055】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド(Imiqimod)、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選択される組成物である。
【0056】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、HCV感染症の処置のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、またはヌクレオシドアナログから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、組成物である。
【0057】
本発明の別の態様は、化合物もしくはその医薬的に許容される塩、医薬的に許容される担体、インターフェロンおよびリバビリンを含有する組成物である。
【0058】
本発明の別の態様は、HCVレプリコンに化合物もしくはその医薬的に許容される塩を接触させることを含む、HCVレプリコンの機能を阻害する方法である。
【0059】
本発明の別の態様は、HCV NS5Bタンパク質に化合物もしくはその医薬的に許容される塩を接触させることを含む、HCV NS5Bタンパク質の機能を阻害する方法である。
【0060】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の化合物またはその医薬的に許容される塩を投与することを含む、患者においてHCV感染症を処置する方法である。別の実施態様において、該化合物はHCVレプリコンの機能を阻害するのに有効である。別の実施態様において、該化合物はHCV NS5Bタンパク質の機能を阻害するのに有効である。
【0061】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩を、抗HCV活性を有する別の化合物とともに(前、後、もしくは同時に)投与することを含む、患者においてHCV感染症を処置する方法である。
【0062】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がインターフェロンである、該方法である。
【0063】
本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグインターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、またはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、該方法である。
【0064】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がシクロスポリンである、該方法である。
【0065】
本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである、該方法である。
【0066】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素インヒビター、アマンタジン、またはリマンタジンから選択される、該方法である。
【0067】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物が、HCV感染症の処置のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびヌクレオシドアナログからなる群から選択される標的の機能を阻害するのに有効である、該方法である。
【0068】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がHCV NS5Bタンパク質以外のHCVの生活環における標的の機能を阻害するのに有効である、該方法である。
【0069】
「治療上有効な」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、有意義な患者利益をもたらすのに必要な薬剤の量を意味する。
【0070】
「患者」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、HCVウイルスに感染しており、療法に適した人を意味する。
【0071】
「処置」、「療法」、「レジメン」、「HCV感染症」および関連する用語は、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、用いられる。
【0072】
本発明の化合物は、通常、治療上有効な量の化合物もしくはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物として提供され、通常の賦形剤を含んでもよい。医薬的に許容される担体は、許容される安全性プロファイルを有する通常の公知の担体である。組成物は、例えば、カプセル剤、錠剤、トローチ剤(losenge)、および散剤、ならびに液体懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤(elixer)、および液剤を含む、全ての一般的な固形および液状形態を包含する。組成物は一般的な製剤技術を用いて製造され、通常の賦形剤(例えば結合剤および湿潤剤)およびベヒクル(例えば水およびアルコール)が組成物に一般的に用いられる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA, 17th edition, 1985を参照。
【0073】
固体組成物は通常、用量単位で製剤化され、用量当たり約1〜1000 mgの活性成分を提供する組成物が好ましい。投与量のいくつかの例は、1 mg、10 mg、100 mg、250 mg、500 mg、および1000 mgである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在しうる。典型的には、これは0.25〜1000 mg/単位である。
【0074】
液体組成物は通常、用量単位内である。通常、液体組成物は1〜100 mg/mLの単位用量内であろう。投与量のいくつかの例は、1 mg/mL、10 mg/mL、25 mg/mL、50 mg/mL、および100 mg/mLである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在しうる。典型的には、これは1〜100 mg/mLである。
【0075】
本発明は全ての一般的な投与様式を包含し;経口および非経口方法が好ましい。通常、投与レジメンは臨床的に用いられる他の薬剤と同様でありうる。典型的には、1日用量は、体重1kg当たり1〜100 mg/日であろう。通常、経口ではより多くの化合物が必要とされ、非経口ではあまり必要とされない。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0076】
本発明はまた、該化合物を組み合わせ療法で投与する方法も包含する。すなわち、該化合物を、肝炎およびHCV感染症の処置において有用な他の薬剤と同時だが別個に用いることができる。これらの組み合わせ方法において、該化合物は通常、体重1kg当たり1〜100 mg/日の1日用量で、他の薬剤と同時に投与され得る。他の薬剤は通常、治療に用いられる量で投与され得る。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0077】
表2に、組成物および方法に適切な化合物のいくつかの例を記載する。

表2
【表2】


【表3】


【表4】


【表5】

【実施例】
【0078】
(具体的実施態様の説明)
中間体1
【化11】

3-(4-フルオロフェニル)-N-メチルプロピオールアミド
N-メチルプロピオールアミドの製造が、WO1998022429A1(27ページの製造2)に記載されており、それを用いてこの中間体を製造した。3-(4-フルオロフェニル)-N-メチルプロピオールアミドは、J. Org. Chem. Vol. 63, No. 15, 1998, 5050-5058に記載の3-(3-フルオロフェニル)-N-メチルプロピオールアミドもしくは3-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-メチルプロピオールアミドの製造方法か、または、Organic Letters vol 7, No. 21, 2005, 4753(補足情報ページ1)に記載の4-フルオロ ヨードベンゼンのTMSアセチレンへのカップリング方法に従って、同様に製造することができた。このように、市販の1-フルオロ-4-ヨードベンゼン、N-メチルプロピオールアミド、Pd(PPh3)2Cl2、ヨウ化銅(I)、およびトリエチルアミンを合わせて、加熱し、ワークアップした後に目的の生成物を得ることができた。 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.45 - 7.54 (m, 2 H), 6.99 - 7.11 (m, 2 H), 6.02 (br. s., 1 H), 2.93 (d, J=5.02 Hz, 3 H). LCMS 保持時間: 1.405分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 178 (MH+).
【0079】
中間体2
【化12】

Tert-ブチル 3-(4-フルオロフェニル)プロピオロイル(メチル)カルバメート
3-(4-フルオロフェニル)-N-メチルプロピオールアミド(10.0 g, 56 mmol)、ジ-tert-ブチル ジカーボネート(13.5 g, 62 mmol)およびTHF(282 mL)を含む溶液に、ジメチルアミノピリジン(0.69 g, 5.6 mmol)を一度に加えた。該溶液を1時間維持し、濃縮して全ての溶媒を除去し、シリカゲル(0-80% 酢酸エチル/ヘキサン, 60分グラジエント)で精製して、白色の固形物を得た。 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 7.59 (dd, J=9.03, 5.27 Hz, 2 H), 7.08 (t, J=8.78 Hz, 2 H), 3.23 (s, 3 H), 1.54 - 1.61 (m, 9 H). LCMS 保持時間: 2.397分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 300 (MNa+).
【0080】
中間体3
【化13】

4-メチル-3-(ピリダジン-4-イル)安息香酸
4-ブロモピリダジン(0.10 g, 0.63 mmol)、4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸(0.18 g, 0.69 mmol)、炭酸ナトリウム(0.27 g, 2.52 mmol)、ジオキサン(5.2 mL)および水(1.01 mL)を含む脱気した混合液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.02 g, 0.02 mmol)を、窒素雰囲気下において一度に加えた。該混合液を高速で撹拌しながら95℃で4時間加熱し、室温まで冷却し、濾過した。濾過した溶液をpH 4以下まで1N HCl(5.0 mL)を用いて酸性化した。得られた沈殿物を濾過により集め、水(3 x 3.0 mL)で洗浄し、風乾させた。得られた黄褐色の固形物を、n-ペンタン(4 mL)に懸濁し、20分間撹拌し、濾過により集めて、風乾させ、4-メチル-3-(ピリダジン-4-イル)安息香酸を黄褐色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 LCMS: 保持時間: 1.325分. LCデータは、Sunfire, 5ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%CH3CN/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%CH3CN/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 215 (MH+).
【0081】
中間体4
【化14】

4-メチル-N-(1-フェニルシクロプロピル)-3-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド
2-フェニルシクロプロパンアミン塩酸塩(0.13 g, 0.76 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.88 mL, 5.0 mmol)、4-メチル-3-(ピリダジン-4-イル)安息香酸(0.14 g, 0.63 mmol)およびDMF(4.2 mL)を含む溶液に、HATU(0.48 g, 1.3 mmol)を一度に加えた。該溶液を室温で40分間維持し、残渣まで濃縮した。このようにして得た残渣を、シリカゲル(0-8% メタノール/ジクロロメタン, 45分グラジエント)で精製し、4-メチル-N-(1-フェニルシクロプロピル)-3-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミドを得た。 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 9.22 - 9.28 (m, 1 H), 9.18 (d, J=1.22 Hz, 1 H), 7.75 - 7.85 (m, 1 H), 7.70 (d, J=1.83 Hz, 1 H), 7.51 (dd, J=5.19, 2.44 Hz, 1 H), 7.37 - 7.42 (m, 1 H), 7.23 - 7.33 (m, 5 H), 7.15 - 7.21 (m, 2 H), 3.70 (dt, J=13.12, 6.56 Hz, 3 H), 3.17 (q, J=7.32 Hz, 3 H), 2.30 - 2.40 (m, 3 H). LCMS 保持時間: 1.655分. LCデータは、Sunfire C18, 5ミクロン, C18, 4.6 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%CH3CN/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%CH3CN/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 330 (MH+).
【0082】
中間体5および中間体6
【化15】

tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメートおよびtert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメート
パートA:4-メチル-N-(1-フェニルシクロプロピル)-3-(ピリダジン-4-イル)ベンズアミド(0.21 g, 0.55 mmol)およびジクロロメタン(4 mL)を含む冷却した溶液(0℃, 氷浴)に、O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(0.23 g, 0.58 mmol)/ジクロロメタン(3 mL)を迅速に滴下した。該溶液を0℃で5分間維持し、冷却浴から取り出し、周囲温度で45分間維持した。該溶液を泡状物質まで濃縮して、20分間撹拌してn-ペンタン(5 mL)に懸濁させた。固形物を濾過により集め、風乾させて、1-アミノ-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピリダジン-1-イウム 2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネートを黄色の粉末として得た(345 MH+)。
パートB:パートAにおいてそのようにして得た生成物をTHF(3.7 mL)に懸濁した。tert-ブチル 3-(4-フルオロフェニル)プロピオロイル(メチル)カルバメート(0.19 g, 0.69 mmol)を加え、該懸濁液を-78℃(ドライアイス/アセトン浴)まで冷却した。DBU(0.17 g, 1.14 mmol)/THF(2 mL)を5分かけて滴下した。該混合液を冷却浴中にそのままにし、そして周囲温度で20時間、進行させた。該混合液を濃縮した。シリカゲル(30-100% 酢酸エチル/ヘキサン, 60分グラジエント)で精製して、tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメートおよびtert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメートを別個の位置異性体として得た。Tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメート: 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.35 (d, J=2.26 Hz, 1 H), 8.12 (d, J=2.51 Hz, 1 H), 7.70 - 7.83 (m, 4 H), 7.42 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 7.28 - 7.37 (m, 5 H), 7.13 - 7.24 (m, 3 H), 6.91 (s, 1 H), 3.29 (s, 3 H), 2.40 (s, 3 H), 1.40 (d, J=6.27 Hz, 4 H), 1.10 (s, 9 H) LCMS 保持時間: 2.731分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 620 (MH+). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.68 (d, J=2.51 Hz, 1 H), 8.43 (d, J=2.26 Hz, 1 H), 7.85 (dd, J=7.91, 1.88 Hz, 1 H), 7.72 - 7.81 (m, 3 H), 7.45 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 7.28 - 7.36 (m, 5 H), 7.16 - 7.27 (m, 3 H), 5.90 (d, J=4.52 Hz, 1 H), 2.90 (d, J=5.02 Hz, 3 H), 2.43 (s, 3 H), 1.42 (s, 2 H), 1.35 - 1.41 (m, 2 H). Tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメート: 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.41 (t, J=5.14 Hz, 1 H), 7.79 - 7.92 (m, 3 H), 7.46 - 7.58 (m, 2 H), 7.41 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 7.28 - 7.39 (m, 4 H), 7.10 - 7.23 (m, 3 H), 6.88 -6.97 (m, 1 H), 2.59 (s, 1 H), 2.49 (s, 2 H), 2.39 (s, 1 H), 2.12 (s, 2 H), 1.30 - 1.43 (m, 4 H), 0.96 - 1.06 (m, 9 H). LCMS 保持時間: 2.616分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 620 (MH+).
【0083】
実施例1
【化16】


2-(4-フルオロフェニル)-N-メチル-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド
tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメート(0.044 g, 0.065 mmol)およびジクロロメタン(4 mL)を含む溶液に、TFA(0.41 mL, 5.3mmol)を室温にて加えた。該溶液を15分間維持し、濃縮した。得られた残渣を、プレパラティブHPLC(Waters- Xbridge, 50 x 100 mm, 5ミクロン, C18 カラム; 0.1M 酢酸アンモニウム, 0-100%B(B=5%H2O/CH3CN)/A(A=95%H2O/CH3CN), 15分グラジエント)を用いて精製して、2-(4-フルオロフェニル)-N-メチル-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミドを白色の固形物として得た。プレパラティブHPLC: 保持時間: 12.6分. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ ppm 8.68 (d, J=2.51 Hz, 1 H), 8.43 (d, J=2.26 Hz, 1 H), 7.85 (dd, J=7.91, 1.88 Hz, 1 H), 7.72 - 7.81 (m, 3 H), 7.45 (d, J=8.03 Hz, 1 H), 7.28 - 7.36 (m, 5 H), 7.16 - 7.27 (m, 3 H), 5.90 (d, J=4.52 Hz, 1 H), 2.90 (d, J=5.02 Hz, 3 H), 2.43 (s, 3 H), 1.42 (s, 2 H), 1.35 - 1.41 (m, 2 H). LCMS 保持時間: 2.310分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 520 (MH+).
【0084】
実施例2
【化17】

2-(4-フルオロフェニル)-N-メチル-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド
tert-ブチル 2-(4-フルオロフェニル)-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボニル(メチル)カルバメート(0.054 g, 0.087 mmol)およびジクロロメタン(4 mL)を含む溶液に、TFA(0.54 mL, 7.6 mmol)を室温にて加えた。該溶液を15分間維持し、濃縮した。得られた残渣を、プレパラティブHPLC(Waters- Xbridge, 50 x 100 mm, 5ミクロン, C18 カラム; 0.1M 酢酸アンモニウム, 10-100%B(B=5%H2O/CH3CN)/A(A=95%H2O/CH3CN), 15分グラジエント)を用いて精製して、2-(4-フルオロフェニル)-N-メチル-4-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミドを白色の固形物として得た。 プレパラティブHPLC: 保持時間: 11.8分. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.92 (s, 1 H), 8.63 (d, J=4.52 Hz, 1 H), 7.98 (d, J=4.77 Hz, 1 H), 7.88 - 7.95 (m, 2 H), 7.85 (dd, J=7.91, 1.63 Hz, 1 H), 7.82 (s, 1 H), 7.47 (d, J=8.28 Hz, 1 H), 7.34 (t, J=8.91 Hz, 2 H), 7.19 - 7.31 (m, 5 H), 7.11 - 7.19 (m, 1 H), 2.23 (s, 3 H), 2.08 (d, J=4.52 Hz, 3 H), 1.21 - 1.34 (m, 4 H). LCMS 保持時間: 2.188分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 10ミクロン, C18, 3.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 4 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 3分、ホールド時間 1分、および分析時間 4分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 520 (MH+).
【0085】
中間体7
【化18】

メチル 2-メトキシ-4-メチル-5-(ピリダジン-4-イル)ベンゾエート
臭化水素酸 4-ブロモピリダジン(0.20 g, 0.83 mmol)、炭酸セシウム(1.1 g, 3.3 mmol)および4-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-2-メチルフェニルボロン酸(0.22 g, 1.0 mmol)を含む混合物に、ジオキサン(8.3 mL)を加えた。該混合液に、撹拌しながら、窒素ガスを15分間パージした。撹拌を停止し、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.38 g, 0.04 mmol)を加え、次いでトリシクロヘキシルホスフィン(0.04 g, 0.13 mmol)/トルエン(0.15 mL)を加えた。撹拌を再開し、該混合液を、窒素ガス下において80℃で105分間、加熱した。該反応液を室温まで冷却し、濾過し、残渣まで濃縮した。該残渣をシリカゲル(5-100% 酢酸エチル/ヘキサン)で精製して、メチル 2-メトキシ-4-メチル-5-(ピリダジン-4-イル)ベンゾエートをオフホワイト色の固形物として得た。 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) 9.32 - 9.14 (m, 2H), 7.75 (s, 1H), 7.46 (dd, J=5.0, 2.3 Hz, 1H), 6.95 (s, 1H), 3.98 (s, 3H), 3.90 (s, 3H), 2.39 (s, 3H). LCMS 保持時間: 2.805分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 0.8 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 4分、ホールド時間 1分、および分析時間 5分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 259 (MH+).
【0086】
中間体8および中間体9
【化19】

メチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエートおよびメチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-4-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート
パートA:メチル 2-メトキシ-4-メチル-5-(ピリダジン-4-イル)ベンゾエート(0.16 g, 0.66 mmol)およびジクロロメタン(3 mL)を含む冷却した溶液(0℃, 氷浴)に、O-(メシチルスルホニル)ヒドロキシルアミン(0.32 g, 0.90 mmol)/ジクロロメタン(3 mL)を迅速に滴下した。該溶液を、0℃で5分間維持し、冷却浴から取り出し、周囲温度で5時間維持した。該溶液を濃縮して、1-アミノ-4-(4-メトキシ-5-(メトキシカルボニル)-2-メチルフェニル)ピリダジン-1-イウム 2,4,6-トリメチルベンゼンスルホネートを泡状物質として得た(274 MH+)。
パートB:パートAにおいてそのようにして得た生成物を、THF(2.0 mL)に懸濁した。tert-ブチル 3-(4-フルオロフェニル)プロピオロイル(メチル)カルバメート(0.17 g, 0.60 mmol)を加え、該懸濁液を-78℃(ドライアイス/アセトン浴)まで冷却した。DBU(0.27 g, 1.8 mmol)/THF(1.0 mL)を2分かけて滴下した。該混合液を該冷却浴中に20分間そのままにした後、冷却から外し、周囲温度で20時間、進行させた。該混合液を濾過し、濃縮した。シリカゲル(20-80% 酢酸エチル/ヘキサン, 60分グラジエント)で精製して、メチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエートおよびメチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-4-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエートを別個の位置異性体として得た。
【0087】
5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート: 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.35 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.10 (d, J=2.5 Hz, 1H), 7.82 - 7.73 (m, 3H), 7.17 (t, J=8.7 Hz, 2H), 6.95 (s, 1H), 5.31 (s, 2H), 3.99 (s, 3H), 3.93 - 3.89 (m, 3H), 3.28 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 1.10 (s, 10H). LCMS 保持時間: 4.360分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 0.8 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 4分、ホールド時間 1分、および分析時間 5分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 549 (MH+).
【0088】
メチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-4-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート:
1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.37 (d, J=4.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J=9.0, 5.3 Hz, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.11 (t, J=8.8 Hz, 2H), 6.96 (s, 1H), 6.91 (d, J=4.5 Hz, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.82 (s, 2H), 2.82 (s, 2H), 2.30 - 2.26 (m, 3H), 1.04 (s, 9H). LCMS 保持時間: 4.086分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 0.8 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 4分、ホールド時間 1分、および分析時間 5分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 549 (MH+).
【0089】
中間体10
【化20】

メチル 5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート
メチル 5-(3-(tert-ブトキシカルボニル(メチル)カルバモイル)-2-(4-フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート(0.75 g, 0.13 mmol)およびジクロロメタン(3 mL)を含む溶液に、TFA(0.2 mL, 2.7 mmol)を室温にて加えた。該溶液を15分間維持し、乾固するまで濃縮して、メチル 5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエートをオフホワイト色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.63 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.45 (d, J=2.3 Hz, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.80 - 7.69 (m, 2H), 7.33 - 7.25 (m, 2H), 6.98 (s, 1H), 5.97 (br. s., 1H), 3.99 (s, 3H), 3.96 - 3.85 (m, 3H), 2.92 (d, J=5.0 Hz, 3H), 2.45 (s, 3H). LCMS 保持時間: 3.758分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 0.8 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 4分、ホールド時間 1分、および分析時間 5分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 449 (MH+).
【0090】
中間体11
【化21】

5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチル安息香酸
メチル 5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチルベンゾエート(0.061 g, 0.14 mmol)およびジオキサン(0.7 mL)を含む溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(0.7 mL, 2.0 M)を加えた。該混合液を室温で2時間撹拌した。該溶液を、pH 4以下までHCl水溶液(1.5 mL, 1.0 N)を用いて調整した。5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチル安息香酸が黄褐色の固形物として沈殿した。それを濾過して取り、水(3 x 4 mL)で洗浄し、風乾させた。 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.66 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.38 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.83 - 7.73 (m, 2H), 7.29 - 7.22 (m, 2H), 7.05 (s, 1H), 5.68 (br. s., 1H), 4.17 (s, 3H), 2.89 (d, J=5.0 Hz, 3H), 2.48 (s, 3H). LCMS 保持時間: 3.508分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 0.8 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 4分、ホールド時間 1分、および分析時間 5分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 435 (MH+).
【0091】
実施例3
【化22】

2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド
1-フェニルシクロプロパンアミン塩酸塩(0.008 g, 0.05 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.05 mL, 0.28 mmol)、5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチル安息香酸(0.015 g, 0.04 mmol)およびDMF(0.23 mL)を含む溶液に、HATU(0.026 g, 0.07 mmol)を一度に加えた。該溶液を室温で1時間維持した。該生成物を、プレパラティブHPLC(Waters- Xbridge, 50 x 100 mm, 5ミクロン, C18 カラム; 0.1M 酢酸アンモニウム, 0-100%B(B=5%H2O/CH3CN)/A(A=95%H2O/CH3CN), 15分グラジエント)を用いて精製して、2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミドを白色の固形物として得た。 プレパラティブHPLC 保持時間: 12.6分. 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.61 (d, J=2.5 Hz, 1H), 8.43 - 8.36 (m, 2H), 8.19 (s, 1H), 7.83 - 7.72 (m, 2H), 7.35 - 7.29 (m, 4H), 7.27 - 7.15 (m, 3H), 6.97 (s, 1H), 5.65 (br. s., 1H), 4.07 (s, 3H), 2.88 (d, J=4.8 Hz, 3H), 2.45 (s, 3H), 1.40 (s, 4H). LCMS 保持時間: 2.230分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 1.0 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 2分、ホールド時間 1分、および分析時間 3分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 550 (MH+).
【0092】
実施例4
【化23】

2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-(ピリミジン-2-イル)シクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド
1-(ピリミジン-2-イル)シクロプロパンアミン塩酸塩(0.008 g, 0.05 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.05 mL, 0.28 mmol)、5-(2-(4-フルオロフェニル)-3-(メチルカルバモイル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-5-イル)-2-メトキシ-4-メチル安息香酸(0.015 g, 0.04 mmol)およびDMF(0.23 mL)を含む溶液に、HATU(0.026 g, 0.07 mmol)を一度に加えた。該溶液を室温で1時間維持した。該生成物を、プレパラティブHPLC(Waters- Xbridge, 50 x 100 mm, 5ミクロン, C18 カラム; 0.1M 酢酸アンモニウム, 0-100%B(B=5%H2O/CH3CN)/A(A=95%H2O/CH3CN), 15分グラジエント)を用いて精製して、2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-(ピリミジン-2-イル)シクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミドを白色の固形物として得た。プレパラティブHPLC 保持時間: 10.5分. 1H NMR (400MHz, クロロホルム-d) δ 8.72 - 8.58 (m, 4H), 8.41 (d, J=2.3 Hz, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.83 - 7.74 (m, 2H), 7.26 - 7.20 (m, 1H), 7.10 - 7.03 (m, 1H), 6.98 (s, 1H), 5.66 (br. s., 1H), 4.09 (s, 3H), 2.88 (d, J=4.8 Hz, 3H), 2.46 (s, 3H), 1.88 - 1.81 (m, 2H), 1.59 - 1.52 (m, 2H). LCMS 保持時間: 2.057分. LCデータは、Phenomenex-Luna, 3ミクロン, C18, 2.0 x 50 mm カラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、220 nMの検出波長にてSPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、記録した。溶出条件として、流速 1.0 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間 2分、ホールド時間 1分、および分析時間 3分を用いた(ここで、溶媒Aは10%メタノール/90%H2O/10 mM TFAであって、溶媒Bは10%H2O/90%メタノール/10 mM TFAであった)。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。 m/z 552 (MH+).
【0093】
本発明は前述の例示的な実施例に限定されず、そしてその本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具体化することができることが当業者には明白であろう。従って該実施例は、あらゆる点で、制限するものではなく例示的なものとしてみなされ、そして、前述の実施例に対してよりはむしろ特許請求の範囲を参照すべきであり、従って、特許請求の範囲と同等の意味および範囲内となる全ての変更を包含すると意図することが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
R1は、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ジオキソチアジニル、(R5)(R6)N、
【化2】

、ピリジニルまたはフェニルであり、ここで、該ピリジニルもしくはフェニルは、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、((R7)(R8)N)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、(R7)(R8)N、カルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されており、該ピリジニルもしくはフェニルはまた、0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基で置換されており;
R2は、水素、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、または(R5)(R6)Nであり;
R3は、シアノ、アルコキシカルボニル、(シクロアルキル)オキシカルボニル、(アルキルスルホニル)アミノカルボニル、CON(R11)(R12)、(R13)(R14)NCONH、トリアゾリル、チアゾリル、またはテトラゾリルであり;
R4は、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R5は、水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ベンジル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、フェニルカルボニル、(アルコキシフェニル)カルボニル、アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、(アルコキシフェニル)スルホニルまたは(ハロアルコキシフェニル)スルホニルであり;
R6は、水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシアルキルであるか;
あるいは、R5およびR6は、それらが結合している窒素と一緒になって、ジオキソチアジニルであり;
R7は、水素またはアルキルであり;
R8は、水素またはアルキルであり;
R9は、水素またはアルキルであり;
R10は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10は、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであって、これらは0〜2個のフッ素原子で置換されており;
R11は、水素またはアルキルであり;
R12は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R13は、水素またはアルキルであり;
R14は、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R13およびR14は、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R15は、アルキルまたはシクロアルキルであり;
R16は、水素、アルキル、
【化3】

であり;
R17は、水素またはアルキルであり;
R18は、水素、ハロ、アルキルまたはアルコキシであり;そして、
Ar1は、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、(R7)(R8)N、もしくはフェニル置換基で置換されている、
の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
R1が、ピリジニルまたはフェニルであって、これらはカルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1個の置換基で置換されており、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されており;
R2が、水素、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、または(R5)(R6)Nであり;
R3が、CON(R11)(R12)であり;
R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R9が、水素またはアルキルであり;
R10が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10が、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり;
R11が、水素またはアルキルであり;
R12が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12が、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R16が、水素、アルキル、または
【化4】

であり;
R17が、水素またはアルキルであり;
R18が、水素であり;そして、
Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されている、
請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換され、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基でも置換されたフェニルであり;
R2が、水素であり;
R3が、CON(R11)(R12)であり;
R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;
R9が、水素またはアルキルであり;
R10が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R9およびR10が、一緒になって、エチレン、プロピレン、ブチレン、またはペンチレンであり;
R11が、水素またはアルキルであり;
R12が、水素またはアルキルであるか;
あるいは、R11およびR12は、それらが結合している窒素と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルであり;
R16が、
【化5】

であり;
R17が、水素またはアルキルであり;そして、
Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、またはフェニルであって、これらは0〜3個のハロ、アルキル、ハロアルキル、もしくはアルコキシ置換基で置換されている、
請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換され、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基でも置換されたフェニルであり;R2が、水素であり;R3が、CON(R11)(R12)であり;R4が、0〜2個のハロ、アルコキシ、フェノキシ、もしくはハロフェノキシ置換基で置換されたフェニルであり;R9およびR10が、一緒になって、エチレンであり;R11が、アルキルであり;R12が、水素であり;R16
【化6】

であり;R17が、水素であり;そして、Ar1が、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、もしくはフェニルである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
R1が、1個のCON(R16)(R17)置換基、1個のアルキル置換基、および0〜1個のアルコキシ置換基で置換されたフェニルであり;R2が、水素であり;R3が、CONHMeであり;R4が、モノフルオロフェニルであり;R16が、
【化7】

であり;R9およびR10が、一緒になって、エチレンであり;R17が、水素であり;そして、Ar1が、ピリミジニルもしくはフェニルである、請求項4に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
R1が、ピリジニルまたはフェニルであって、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、((R7)(R8)N)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、(R7)(R8)N、カルボキシ、アルコキシカルボニル、およびCON(R16)(R17)からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されており、該フェニルもしくはピリジニルはまた、0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R1が、フェニルであって、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換されており、また0〜2個のハロ、アルキル、アルコキシ、ピリジニル、フェニル、ハロフェニル、(ハロ)(CON(R7)(R8))フェニル、もしくは(アルコキシ)(CON(R7)(R8))フェニル置換基でも置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R1が、フェニルであって、1個のCON(R16)(R17)置換基で置換されており、また0〜2個のハロ、アルキル、もしくはアルコキシ置換基でも置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R3がCON(H)(アルキル)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R4がハロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R4が、フェニルまたはモノフルオロフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
2-(4-フルオロフェニル)-N-メチル-5-(2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)ピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド;
2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-フェニルシクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド;および、
2-(4-フルオロフェニル)-5-(4-メトキシ-2-メチル-5-(1-(ピリミジン-2-イル)シクロプロピルカルバモイル)フェニル)-N-メチルピラゾロ[1,5-b]ピリダジン-3-カルボキサミド;
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物もしくはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容される担体を含有する、組成物。
【請求項14】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、C型肝炎感染症を処置する方法。

【公表番号】特表2013−520507(P2013−520507A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555088(P2012−555088)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2011/025803
【国際公開番号】WO2011/106340
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】