説明

CCR9活性の阻害剤

式(I)
【化1】


の化合物(式中、RおよびRは別個に置換フェニル基であり、ここで置換基は請求の範囲にて定義されるとおりである。ただし少なくとも一つの置換基はシアノ、カルボキシまたは(C1−4)アルコキシカルボニル基である)は特に過敏性腸疾患の治療的処置に有用なCCR9活性の阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCCR9活性の阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
元々胸腺で発現されるケモカイン(TECK)として記載されるCCケモカインリガンド25(CCL25)は、CCケモカイン受容体9(CCR9)によるシグナリングを介して小腸へのT細胞ホーミングにおいて極めて重要な役割を果たす。CCL25は小腸内で、特に陰窩上皮において、構成的に発現されるが、結腸およびその他の粘膜表面では弱いかまたは全く発現されない。CCR9はTECK/CCL25に関する唯一の公知の受容体である。CCR9の発現は末梢Tリンパ球が小腸にホーミングする能力と強く相関する。腸管上皮内リンパ球(IEL)および固有層Tリンパ球(LPL)の大部分はCCR9であるが、血中で循環するT細胞ではCCR9はかなり低いパーセンテージである。末梢血中で見出されるCCR9T細胞はほとんど独占的に腸管ホーミング受容体αβを示す。TECK/CCL25に対する抗体でCCR9を遮断すると、Tリンパ球の小腸へのホーミングが有意に阻止される。加えて大腸よりもむしろ小腸においてTECK/CCL25およびCCR9LPLが厳格に局在化され、これは胃腸管の異なるセグメントにおけるリンパ球動員の特有のメカニズムを示唆している。
【0003】
研究により、炎症腸粘膜でのTリンパ球−内皮相互作用におけるTECK/CCL25の役割もまた示唆されている。TNFα刺激後、TECK/CCL25発現が上昇し、そして小腸粘膜へのLPL接着が増強される。CCR9または抗−TECK/CCL25の脱感作により小腸の微小血管へのリンパ球の動員を弱化させることができる。したがって標的化されたCCL25−CCR9相互作用の遮断は免疫媒介疾患、例えば自己免疫性および炎症性疾患または症状のような腸障害における有効な治療的処置を提供し得る。小腸および結腸へのTリンパ球(T細胞)浸潤はセリアック病、食物アレルギー、関節リウマチ、クローン病を含むヒト炎症性大腸炎(IBD)および、例えば潰瘍性直腸炎を含む潰瘍性大腸炎の病変形成に具体的に関連している。CCR9により媒介されるとも記載される疾患には、例えばアレルギー性疾患、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、線維性疾患、移植により生じるかまたは媒介される障害および疾患、例えば移植片拒絶、および白血病(急性リンパ球性白血病)、固形腫瘍、胸腺腫、胸腺癌のような癌が含まれる。
【発明の開示】
【0004】
本発明により、CCR9阻害剤として驚くべき活性を示す化合物が見出された。
一つの態様では本発明は式:
【化1】

〔式中、
およびRは別個に、例えば非置換フェニルおよび1個以上の;
(C1−6)アルキルのようなアルキル、例えばメチル、tert−ブチル;
ハロ(C1−4)アルキルのようなハロアルキル、例えばCF
(C3−12)シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、アダマンチル;
(C1−4)アルコキシのようなアルコキシ、例えばメトキシ;
(C6−18)アリール(C1−4)アルキルオキシのようなアリールアルキルオキシ、例えばベンジルオキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシのようなハロアルコキシ、例えばOCF
シアノ;
ハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ;
により置換されたフェニルを含むフェニルである。
ただしRおよびRの少なくとも一方はシアノで置換されたフェニルであり、そして化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドは除外される。〕
の化合物を提供する。
【0005】
別の態様では本発明は式I:
〔式中、
およびRは互いに別個に;
シアノフェニル、例えば2−シアノフェニル、3−シアノフェニル;
(シアノ)(メチル)フェニル、例えば2−メチル−4−シアノフェニル、2−シアノ−5−メチルフェニル;
(シアノ)(クロロ)フェニル、例えば2−シアノ−4−クロロフェニル、2−シアノ−5−クロロフェニル、3−クロロ−4−シアノフェニル;
(シアノ)(トリフルオロメトキシ)フェニル、例えば2−トリフルオロメトキシ−4−シアノフェニル;
メチルフェニル、例えば4−メチルフェニル;
tert.−ブチルフェニル、例えば4−tert−ブチルフェニル;
(メチル)(メトキシ)フェニル、例えば2−メトキシ−4−メチルフェニル;
ビス−トリフルオロメチルフェニルを含むトリフルオロメチルフェニル、例えば4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル;
例えばジクロロフェニルを含む4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニルのようなクロロフェニル;
トリフルオロメトキシフェニル、例えば4−トリフルオロメトキシフェニル;
ブロモフェニル、例えば4−ブロモフェニル;
例えばジメトキシフェニルを含むメトキシフェニル、例えば2,4−ジメトキシフェニル;
ベンジルオキシフェニル、例えば4−ベンジルオキシフェニル;
シクロヘキシルフェニル、例えば4−シクロヘキシルフェニル;
アダマンチルフェニル、例えば4−アダマンチルフェニル;
である。ただしRおよびRの少なくとも一方はシアノで置換されたフェニルであり、そして化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドは除外される。〕
の化合物を提供する。
【0006】
別の態様では本発明は式I
〔式中、Rは;
シアノフェニル、例えば2−シアノフェニル、3−シアノフェニル;
(シアノ)(メチル)フェニル、例えば2−メチル−4−シアノフェニル、2−シアノ−5−メチルフェニル;
(シアノ)(クロロ)フェニル、例えば2−シアノ−4−クロロフェニル、2−シアノ−5−クロロフェニル、3−クロロ−4−シアノフェニル;
(シアノ)(ブロモ)フェニル、例えば2−シアノ−4−ブロモフェニル;または
(シアノ)(トリフルオロメトキシ)フェニル、例えば2−トリフルオロメトキシ−4−シアノフェニルである。〕
の化合物を提供する。
【0007】
別の態様では本発明は式I
〔式中、Rは前記で定義されたとおりであり、そしてRは;
メチルフェニル、例えば4−メチルフェニル;
tert−ブチルフェニル、例えば4−tert−ブチルフェニル;
ビス−トリフルオロメチルフェニルを含むトリフルオロメチルフェニル、例えば4−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニル;
例えばジメトキシフェニルを含むメトキシフェニル、例えば2,4−ジメトキシフェニル;
トリフルオロメトキシフェニル、例えば4−トリフルオロメトキシフェニル;
ベンジルオキシフェニル、例えば4−ベンジルオキシフェニル;
例えばジクロロフェニルを含む4−クロロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニルのようなクロロフェニル;
ブロモフェニル、例えば4−ブロモフェニル;
(メチル)(メトキシ)フェニル、例えば2−メトキシ−4−メチルフェニル;
シクロヘキシルフェニル、例えば4−シクロヘキシルフェニル;
アダマンチルフェニル、例えば4−アダマンチルフェニルである。〕
の化合物を提供する。
【0008】
本明細書で指示される各シクロアルキルまたはアリールは非置換であるか、またはRもしくはRの意味においてフェニルに関して示されるようなアリール置換基により置換されていてよい。
式Iの化合物では、各々の単一の定義された置換基は好ましい置換基、例えば互いに別個に定義された置換基でよい。
【0009】
別の態様では本発明は:
4−tert.−ブチル−N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert.−ブチル−N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert−ブチル−N−(2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(4−シアノ−2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−2,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−2−メトキシ−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert−ブチル−N−(3−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−シアノ−2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−クロロ−4−シアノ−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(3−クロロ−4−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(4−シアノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert−ブチル−N−(2−シアノ−5−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;および
N−(4−シアノ−2−メチル−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
からなる群から選択される化合物を提供する。
【0010】
本発明により提供される化合物は本明細書では「本発明の(による)(複数の)化合物」と称される。本発明の化合物には任意の形態、例えば遊離形態、塩の形態、溶媒和物の形態ならびに塩および溶媒和物の形態の化合物が含まれる。
別の態様では本発明は塩の形態の本発明の化合物を提供する。
かかる塩には好ましくは薬学的に許容される塩が含まれるが、例えば製造/単離/精製目的のための薬学的に許容されない塩は含まれる。
【0011】
本発明には任意の異性体形態および任意の異性体混合物の本発明の化合物が含まれる。互変異性体が存在できる場合、本発明により提供される化合物の互変異性体もまた本発明に含まれる。
別の態様では本発明は:
(a)式:
−NH II
(式中、Rは前記で定義されたとおりである)
の化合物を式:
Cl−SO−R III
(式中、Rは前記で定義されたとおりである)
の化合物と反応させること;および
(b)反応混合物から得られた式Iの化合物を単離すること;
の工程を含む式Iの化合物の製造のための方法を提供する。
【0012】
式IIまたは式IIIの中間体(出発材料)では、官能基は存在する場合、所望により保護された形態で、または塩形成基が存在する場合、塩の形態でよい。保護基は所望により存在し、適切な段階、例えば従来どおりの方法に従い、例えば類似して除去され得る。
したがって、本発明の化合物を本発明の別の化合物に変換することができ、例えば遊離形態で得られた本発明の化合物を本発明の化合物の塩に変換することができ、そして逆もまた同様である。
【0013】
前記の反応はアミンスルホニル化反応であり、そして必要に応じて、例えば従来どおりのまたは本明細書に記載されるような方法に類似して実施され得る。式IIおよび式IIIの中間体(出発材料)は公知であるか、または従来どおりのまたは本明細書に記載されるような方法に従って、例えば類似して調製され得る。本明細書に記載される任意の化合物、例えば本発明の化合物ならびに式IIおよび式IIIの中間体は必要に応じて、例えば従来どおりの、例えばまたは本明細書にて明記されるような方法に従って、例えば類似して調製され得る。
【0014】
例えば式Iの化合物を含む本発明の化合物は薬理学的活性を呈し、そしてしたがって医薬品として有用である。
医薬品として使用するために、本発明による例えば遊離形態、塩および/または溶媒和物形態の式Iの化合物および化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド(実施例13の化合物)は有用であることが見出された。したがって医薬品として使用するために、N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドが含まれる。
例えば遊離形態、塩および/または溶媒和物形態の式Iの化合物および化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドは本明細書では「本発明の(による)(複数の)薬剤」とも称される。
【0015】
本発明の薬剤は例えば従来どおりの条件下で、例えば本明細書に記載されるような条件下で、例えばナノモル濃度から低マイクロモル濃度までの範囲のIC50で;
シンチレーション近接アッセイ(SPAアッセイ)
Eu−GTP結合アッセイ
カルシウム動員アッセイ(FLIPRアッセイ)
において用量依存的な阻止を示す。
炎症性腸疾患処置における活性は、例えば炎症性腸疾患のSCIDマウスモデルにおいて決定される。
【0016】
シンチレーション近接アッセイ(SPA)
SPAの原理
ケモカインは標的細胞における7回膜貫通Gタンパク質共役受容体(GPCR)を介してその作用を媒介する。GPCRへのリガンド結合はα、βおよびγサブユニットからなるヘテロ三量体Gタンパク質でGTP/GDP交換を刺激する。アゴニスト結合GPCRはαサブユニットからのGDPの解離を触媒することによりグアニンヌクレオチドサイクルを開始し、内在性GTPの結合およびβγ複合体の解離を可能にする。Gα−GTPおよびGβγサブユニットは各々アデニリルシクラーゼ、ホスホリパーゼCおよびイオンチャネルのようなエフェクターを活性化することができる(例えばNeer EJ, Cell;80:249−57(1995)参照)。Gα−GTPはGTPをGDPに加水分解する内因性GTPアーゼ活性により不活化され;続いてGDP含有Gタンパク質は次の活性化サイクルに備えられる。5'−O−(3−[35S]チオリン酸([35S]−GTPγS)のような加水分解抵抗性GTP類似体の、目的の受容体を含有する細胞膜への結合を測定することにより、この過程をインビトロでモニタリングすることができる。GTPγSシンチレーション近接アッセイ(SPA)は、TECKによるCCR9の活性化をモニタリングするのに有用な機能的アッセイであることが示されている。
【0017】
SPAは広範囲の生物学的過程の迅速で、そして感受性の高いアッセイのための均一系および多用途のアッセイ技術である。アッセイ形式は分離工程を必要とせず、そして自動化しやすい。受容体を担持する膜を糖タンパク質部分を介して蛍光コムギ胚芽凝集素コートされたビーズ(Amersham Bioscience、#RNPQ0001)に結合させる。一度固定されると、受容体はビーズに十分近接しているので、アゴニスト結合GPCRがグアニンヌクレオチドサイクルを開始すると、[35S]GTPγS(Amersham Bioscience、#SJ1308)が膜に結合する。放射活性分子は十分近位で近接したままであるので、崩壊粒子はビーズ内のシンチラントを刺激して光を放射し、それは次にPMT基盤のシンチレーションカウンターにより検出される。未結合の放射性リガンドはビーズから遠く離れていてエネルギーを伝達することができず、したがって検出されない。
【0018】
細胞および細胞培養
ヒトCCR9受容体でトランスフェクトされたマウスプレB細胞300−19を細胞培養フラスコに入った懸濁液中(162cm細胞培養フラスコ中細胞懸濁液100ml)、37℃で5%COを含有する加湿雰囲気下、ペニシリン(100IU/ml)、ストレプトマイシン(0.1mg/ml)、L−グルタミン(最終濃度4.5mMまで)、10%FBS、1mMピルビン酸ナトリウム、0.05μM 2−メルカプトエタノール、1.5μg/mlピューロマイシンおよび20mM HEPESを補充したRPMI1640培地中で増殖させる。細胞は膜調製のために〜12継代で使用可能である(すなわちCCR9受容体密度は許容されるほどに十分高い)。CCR9の発現はAlexa Fluor 647抱合マウス抗ヒトCCR9抗体を用いるFACS分析によりモニタリングされる。CCR9発現はFACSにより、Alexa Fluorアイソタイプ対照に相対して50%以上陽性細胞でなければならない。概算として、1:30−1:50希釈を用いて10×10セル/mlの培養物を分け、そして2−3日後に出発細胞密度に到達することができる(スピナーフラスコ培養では〜4−5日)。8−10×10細胞/mlの密度で、300−1000gで10分間の遠心により細胞を収集する。一般的に、細胞を培養し、そしておよそ1×1010セルに至るまで増やす。合わせた細胞ペレットを冷PBS(カルシウムおよびマグネシウム不含)で1回洗浄し、およそ2×10セル/mlで冷膜バッファー中でピペッティングして再懸濁し、ドライアイス上で凍結させ、そして−80℃で保存する。
【0019】
膜バッファー
膜バッファーpH=7.5(1000ml):7.5mMトリス、12.5mM MgCl、0.3mM EDTA、1mM EGTA、250mMスクロース、滅菌ろ過および+4℃で保存。
ホモジナイズバッファー(50ml):
膜バッファー45ml+10%グリセロール
【0020】
膜の調製
細胞懸濁溶液を丈夫な(sturdy)試験管にピペッティングし、そして各溶液をホモジナイズする。ホモジネートを遠心管に移し、そして1000gで10分間遠心する。上澄を集める。新しい膜バッファー20mlを各ペレットに加え、元の丈夫な試験管に移し、そしてホモジナイズし、そしてもう一度遠心する。上澄を集める。合わせた上澄を40000gで30分間遠心する。Dounceホモジナイザーを用いて各ペレットを冷ホモジナイズバッファー3mlに再懸濁する。均質な懸濁液中のタンパク質濃度を決定する(BIO RADアッセイ、参照BSA)。ブラッドフォード法(マイクロアッセイ手順)。概算として、1×1010細胞がタンパク質10−20mgの膜産生に至る。アリコートを−80℃で保存する。
【0021】
化合物試験のために最適化されたバッファーおよび溶液
HEPES/BSAバッファー:50mM HEPES(pH7.4)、50μg/ml BSA
2.5×アッセイバッファー:50mM HEPES pH7.4、50μg/ml BSA、25mM MgCl、25μM GDP、250mM NaCl、375μg/mlサポニン
TECK:GTP結合アッセイ用にTECKの希釈物をPBS中0.1%BSAで調製して20倍TECK溶液を生じる。化合物試験用に7.4μMの濃度のTECKを用いて反応物中の最終濃度0.37μMにする。
化合物希釈:試験化合物をDMSO中最高で100倍(アッセイの最終濃度)で溶解する。DMSOでこれらの濃縮化合物溶液連続希釈を作り、それをHEPES/BSAバッファーに5倍希釈して、20(容量/容量)%の濃度のDMSOを含有する20倍濃度の化合物溶液を作成する。アッセイ中の最終DMSO濃度は1(容量/容量)%である。
膜希釈:使用前に膜(2.4mg/mlストック;バッチCCR9−1)をHEPES/BSAバッファーで希釈して60μg/mlにする。この膜50μlを各ウェルに加える。(膜バッチCCR9−1用の最終アッセイ濃度3μg/ウェル)。
化合物試験のための最終アッセイ条件:50mM HEPES pH7.4、50μg/ml BSA、100mM NaCl、10mM MgCl、10μM GDP、150μg/mlサポニン、0.37μM TECKおよび3μg/ウェル 膜。
【0022】
アッセイプロトコール
アッセイは、プレインキュベーションを全く行うことなく、別個の添加として被験試料、膜、放射性リガンドおよびビーズを連続添加することを伴うゼロ時間形式で実施する。
簡単に言うと、アゴニストおよび[35S]GTPγSを伴う化合物およびシンチレーションビーズの存在下、振動ミキサーで室温で1時間、膜をインキュベートする。液体処理ロボットを用いて、以下の試薬を以下の順序で96ウェルWhite & Clear Isoplate(Wallac、#1450−515)に配する:
アッセイバッファー(20mM HEPES pH7.5、100mM NaCl、10mM MgCl、1μM GDP、10μg/mlサポニン、50μg/ml BSA)40μl;
25μg/mlアゴニストヒトTECK/CCL25(R&D Systems、#334−TK−025)10μl
50%DMSO中試料10μl;
アッセイバッファー中60μg/ml 膜50μl;
アッセイバッファー中1nM [35S]GTPγS 50μl;
アッセイバッファー中18.75mg/mlビーズ懸濁液40μl。
インキュベーションの後、プレートを1000×gで5分間遠心し、そしてMicroBetaカウンター(EG & G Wallac)で、ParaLux SPA計数様式で計数する。
【0023】
データ分析
Excel fit 4.0ソフトウェアパッケージ(Microsoft)を用いてデータ分析を実施する。アッセイの実験ウィンドウの品質を決定するために、対照データ(基底値および刺激値)のみを用いてZ'因子を計算する。このアッセイのためのZ'は0.73と推定され、それは大きな帯域分離および全体的に優れたアッセイ品質を示す。
【0024】
Eu−GTP結合アッセイ
Eu−GTP結合アッセイの原理
非放射活性、非加水分解性ユーロピウム標識されたGTP類似体、Eu−GTPを用いるGタンパク質を測定するための時間分解蛍光分析法。
材料
ペニシリン/ストレプトマイシン溶液、液体(Gibco #15140−122);
FBS(認証、Gibcoより入手[#16000]、そして次に加熱不活性化);
ピルビン酸ナトリウム(Gibco #11360−039);
ピューロマイシン(選択マーカーとして使用;Sigma #P−8833);
完全プロテアーゼ阻害剤(Roche #1697498);
Alexa Fluor 647−抱合マウス抗ヒトCCR9抗体(Pharmingen #557975);
Alexa Fluor 647−抱合IgG2アイソタイプ対照(BD Pharmingen #557715);
TECK(aa24−150−his6、BMP Tool Protein データベース#BTP04−005213、−80℃で保存されたTECKストック溶液のアリコート(5mg/ml;〜350μM));
を伴うRPMI1640培地(粉末から作成、Gibco #074−01800)。
BSA(Roche Diagnostics GmbH #775827)
Eu−GTP(Perkin−Elmer Life Sciences, Wallac, Turku, Finland;製品コード:AD0260)キットは以下の構成成分を含有する:
Eu−GTP(1.65ナノモル) 凍結乾燥されたEu−GTPを蒸留水で再構成して10μMのEu−GTP濃度を生じた。再構成されたEu−GTPのアリコートを−20℃で保存した。
GDP(2.3マイクロモル) 凍結乾燥されたGDPを蒸留水で再構成して2mMのGDP濃度を生じる。再構成されたGDPのアリコートを−20℃で保存する。
VICTOR(商標)Vマルチラベルカウンター(Perkin−Elmer Life Sciences, Wallac, Turku, Finland)
マルチスクリーンバキュームマニホールド(Millipore #MAVM096OR)
【0025】
細胞および細胞培養
本明細書にて「シンチレーション近接アッセイ(SPA)」の「細胞および細胞培養」の下で記載されるように実施する。
膜バッファーおよびホモジナイズバッファー
本明細書にて「シンチレーション近接アッセイ(SPA)」の「膜バッファーおよびホモジナイズバッファー」の下で記載されるように実施する。
膜の調製
本明細書にて「シンチレーション近接アッセイ(SPA)」の「膜の調製」の下で記載されるように実施する。
化合物試験のために最適化されたバッファーおよび溶液
本明細書にて「シンチレーション近接アッセイ(SPA)」の「化合物試験のために最適化されたバッファーおよび溶液」の下で記載されるように実施する。
Eu−GTPに関して:使用前にEu−GTPストック溶液をHEPES/BSAバッファーで100nMに希釈する。GTP洗浄溶液:10倍GTP洗浄溶液を蒸留水で1:10に希釈し、そして氷上で冷却する。
【0026】
化合物試験のためのEu−GTP結合アッセイプロトコール
Acro−WellフィルタープレートでEu−GTP結合アッセイを最終容量100μlで実施する。アッセイ構成成分を以下の順序でウェルに加える:
アッセイバッファー(2.5倍)40μlを各ウェル(ウェルB2からG12)に加える。TECK(7.4μM)5μlをカラム2−11のウェルに加え、そしてアッセイ中のTECKの最終濃度は0.37μMである。0.1%BSA5μlをカラム12のウェルに加え、それを基底対照として提供する。各化合物濃度(20%DMSO中最終濃度の20倍)5μlを3検体ずつカラム3−11に加える(すなわち濃度あたり3ウェル)。20%DMSO5μlをカラム2および12のウェルに加え、それは各々刺激対照および基底対照である。全ウェルの最終DMSO濃度は1(容量/容量)%である。膜(3μg/試料)50μlを全ウェルに加え、そしてマイクロタイタープレートシェーカー(MS1 Minishaker)で、800rpmで短時間混合する。プレートをオービタルプレートシェーカー(MTS2/4デジタルマイクロタイターシェーカー)で、300rpmでゆっくりと振盪しながら30分間インキュベートする。100nM Eu−GTPをウェルあたり10μl加えて最終濃度10nMにする。オービタルプレートシェーカーで300rpmでゆっくりと振盪しながらプレートをさらに30分間インキュベートする。真空ろ過により反応を停止させ、そして氷冷GTP洗浄バッファーをウェルあたり300μl用いてフィルタープレートを真空ろ過により2回洗浄する。洗浄工程後30分以内にフィルターに保持されたEu−GTPをVICTOR(商標)Vマルチラベルカウンター(340nm励起/615nm発光、ディレイ時間0.4ミリ秒、ウィンドウ時間0.4ミリ秒)で測定する。
【0027】
【表1】

【0028】
データ分析
アゴニスト刺激により引き起こされる実際のEu−GTP結合シグナル(=a)を基底結合(=b)と比較し、そして最終結果を基底結合に対するパーセントとして計算する[基底結合に対するパーセンテージ=(a/b×100)−100]。
各試験化合物に関する基底結合を超える計算された刺激パーセントに関する用量−応答曲線をExcelアドオンプログラムXLfit(商標)(ID Business Solutions, Guilford, Surrey, UK)を用いて4−パラメーターロジスティック方程式(205モデル)に適合させる:
y=A+((B−A)/(1+((C/x))))
(式中、xは濃度の値であり、x値に相当するyは基底結合を超える刺激パーセントである)
【0029】
適合パラメーターは:
A:曲線の底部プラトー、B:曲線の頂上部プラトー、C:曲線の中央のx値(すなわち頂上部プラトーと底部プラトーの間)、D:傾斜因子(ヒル係数としても公知)。
アッセイのIC50を、TECKを含有する溶媒対照と刺激剤不含の溶媒対照の間の中間点として定義する。
各実験に関する対照データのみを用いて(6基底値および6刺激値)Z'値を計算する。全アッセイでZ'値は0.56と0.79の間で変動する。
【0030】
別の態様では、本発明はCCR9阻害剤の同定のための方法におけるSPAアッセイの使用またはEu−GTP結合アッセイの使用を提供する。
SPAおよびEu−GTP結合アッセイは本明細書に記載されるように用いられる。これらのアッセイの使用により同定され得るCCR9阻害剤には抗体および化学化合物、例えば低分子量化合物が含まれる。
【0031】
カルシウム動員アッセイ
a)カルシウム動員アッセイの原理
ケモカイン受容体は百日咳毒素(PTX)感受性Gαiタンパク質共役7回膜貫通受容体である。多くの研究により、ほとんどのケモカインに関する、および多様な細胞型における、細胞質細胞内カルシウム濃度([Ca2+])の上昇を含む種々のシグナリング経路の活性化が実証されている。蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)を用いてカルシウム感受性蛍光色素を介して([Ca2+]を測定することによりインビトロでこの過程をモニタリングすることができる。FLIPR技術を用いて測定されるように、MOLT−4細胞における細胞内カルシウム動員が、TECKによるCCR9の活性化をモニタリングするのに有用な機能的アッセイであることが示される。
【0032】
b)細胞および細胞培養
ヒトT細胞白血病系MOLT−4をAmerican Type Culture Collection(ATCC, Manassas, VA)から入手した。10%FCS、2mM L−グルタミン、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI−1640である培地中37℃で5%COを伴ってMOLT−4細胞を培養する。ヒト血清アルブミン(HSA)をZLB Behring(Vienna, Austria)から20%溶液として入手する。
【0033】
c)カルシウム動員アッセイプロトコール
以下の溶液を調製する:
・HPSS:NaCl 7.01g、KCl 0.4g、MgSO・7HO 0.2g、・HEPES 4.76g、グルコース2g。HO(1L中)
作業バッファー(WB):HPSS 600ml+1M CaCl 0.9ml+1M HEPES 12ml。
・%BSA/WB:WB 60ml+ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma A7906)0.06g。
・プロベニシドストック溶液:プロベニシド356mg+1N NaOH 2.5ml+WB 2.5ml。
・プロベニシドバッファー:WB 350ml+プロベニシドストック溶液3.5ml。
・Fluo−4溶液:Fluo−4 50mg、AM+DMSO 0.025ml+プルロニックF−127(Invitrogen/Molecular Probes #P3000MP;DMSO中20%として供給される)0.025ml。
・色素溶液:培地105ml+プロベニシドストック溶液1.05ml+1M HEPES 2.1ml+Fluo−4溶液0.21ml。
・TECK:0.1%BSA/WBで調製
【0034】
MOLT−4細胞を採取し、そして製造者(Invitrogen/Molecular Probes, Eugene, OR)の説明書にしたがってFluo−4/アセトキシメチルエステル(Fluo−4/AM)を負荷する。簡単には、細胞を色素溶液中37℃および5%COで60分間インキュベートする(3mlあたり1×10細胞)。続いて、細胞をプロベニシドバッファーで2回洗浄し、そして96ウェルアッセイプレート(透明底、黒色ポリスチレンプレート;Corning Costar #3603)に2×10細胞およびウェルあたり0.075mlでピペッティングし、そして次に分あたり1200回転で3−4分間遠心して、プレートの底に細胞を均一に分配する。プレートを暗中室温(RT)で60分間インキュベートして細胞内AMエステルを脱エステル化させる。試験化合物を最初にDMSOに溶解し、そしてこれらのDMSOストック溶液0.006mlをWB(±HSA)0.194mlに希釈した後に細胞プレートに注入する(0.025ml/ウェル)。暗中室温で30分間インキュベートした後、FLIPR装置(Molecular Devices, Ismaning/Munich, Germany)を用いてTECKの注入後(少なくともEC80のほぼ最大有効濃度になる)、細胞内Ca2+動員をモニタリングする。基底値の読み取りをTECK(0.025ml/ウェル)注入前に25秒間(3.5秒間隔で)、続いてTECK注入後1秒間隔で80秒間収集する。標準的な設定を使用して蛍光の読み取りを実施し、そして(以下の)式を用いて全データを正規化する:
【0035】
d)計算
カルシウム応答=[Fmax−Fmin]/Fmin
(式中、Fmaxは最大蛍光応答を示し、そしてFminは最小、基底蛍光を示す)。各試験化合物に関するカルシウム応答データの用量応答曲線をExcelアドオンプログラムXLfit(商標)(ID Business Solutions, Guilford, Surrey, UK)を用いて4−パラメーターロジスティック方程式(205モデル)に適合させてIC50値を決定する。
【0036】
驚くべきことに、本発明の薬剤、および、例えば遊離形態、または塩の形態、所望により溶媒和物の式I(式中、RおよびRは前記で定義されたとおりである)の化合物、および式I(式中、RまたはR、好ましくはRは前記で定義されたような意味に加えて、カルボキシ(−COOH)により置換されたフェニルである)の化合物は全てCCR9阻害剤であることが発見され、そして本発明により炎症性大腸疾患のSCIDマウスモデルにおいて活性であることが発見された。
【0037】
遊離形態、または塩の形態、所望により溶媒和物の形態の式:
【化2】

〔式中、
R'およびR'は別個に、例えば非置換フェニルならびに1個以上の;
(C1−6)アルキルのようなアルキル、例えばメチル、tert.−ブチル;
ハロ(C1−4)アルキルのようなハロアルキル、例えばCF
(C3−12)シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、アダマンチル;
例えば非置換(C1−4)アルコキシおよびベンジルオキシのような(C6−18)アリールにより置換された(C1−4)アルコキシを含む(C1−4)アルコキシのようなアルコキシ、例えばメトキシ;
(C6−18)アリールオキシのようなアリールオキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシのようなハロアルコキシ、例えばOCF
(C1−4)アルコキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル;
カルボキシ;
シアノ;または
ハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ;
により置換されたフェニルを含むフェニルである。
ここでRまたはRの意味における少なくとも一つのフェニルはシアノまたはカルボキシにより置換されている。〕
の化合物は、本明細書では「本発明のIBD薬剤」としても定義される。本発明のIBD薬剤を必要に応じて、例えば本発明の化合物の生成のための方法に類似して調製することができる。
【0038】
別の態様では、本発明は遊離形態、または塩の形態、所望により溶媒和物の形態の:
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
2−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
5−クロロ−2−(4−シクロヘキシル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;および
2−(4−アダマンタン−1−イル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
からなる群から選択される化合物を提供する。
【0039】
さらに遊離形態または塩の形態、所望により溶媒和物の形態の式I(式中、RおよびRは前記で定義されたとおりであり、ここで少なくとも一つのフェニルは(C1−4)アルコキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニルにより置換されている)の化合物は強力なCCR9阻害剤であることが判明した。
【0040】
別の態様では、本発明はCCR9活性により媒介される障害の処置のための医薬の製造のための、例えば遊離形態または塩の形態、所望により溶媒和物の形態の式:
【化3】

〔式中、
R”およびR”は別個に、例えば非置換フェニルならびに1個以上の;
(C1−6)アルキルのようなアルキル、例えばメチル、tert.−ブチル;
ハロ(C1−4)アルキルのようなハロアルキル、例えばCF
(C3−12)シクロアルキル、例えばシクロヘキシル、アダマンチル;
例えば非置換(C1−4)アルコキシおよびベンジルオキシのような(C6−18)アリールにより置換された(C1−4)アルコキシを含む(C1−4)アルコキシのようなアルコキシ、例えばメトキシ;
(C6−18)アリールオキシのようなアリールオキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシのようなハロアルコキシ、例えばOCF
(C1−4)アルコキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル;
ハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモ;
により置換されたフェニルを含むフェニルである。
ただしRまたはRの意味における少なくとも一つのフェニルは、(C1−4)アルコキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニルで置換されている。〕
の化合物の使用を提供する。
【0041】
本発明によるIBD薬剤またはCCR9薬剤を必要に応じて、例えば従来どおり方法に従って、例えば類似して、または本発明の化合物に関して本明細書に記載されるように従って、例えば類似して製造することができる。
例えば式Iの化合物のフェニルがシアノの代わりにカルボキシにより置換されている場合、対応するアルコキシカルボニル誘導体を得るための、例えばエステル化による式IIの化合物の該カルボキシ基の保護は一つの選択肢でよい。フェニルがアルキルカルボニルオキシにより置換されている式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させて、フェニルがアルコキシカルボニルにより置換されている式Iの化合物を得ることができ、そしてしたがって得られたカルボン酸エステルを鹸化して、フェニルがカルボキシにより置換されている対応する式Iの化合物を得ることができる。
【0042】
別の態様では、本発明は、例えば遊離形態または塩の形態、所望により溶媒和物の形態の治療上有効量の式I”の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含むCCR9活性により媒介される障害の処置の方法を提供する。
別の態様では、本発明は遊離形態または塩の形態、例えば所望により溶媒和物の形態の:
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステル;および
2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステル;
からなる群から選択される化合物を提供する。
【0043】
遊離形態または塩の形態の式I”の化合物は本明細書では「CCR9薬剤」と称される。
本発明の薬剤およびIBD薬剤およびCCR9薬剤は本明細書に記載されるようなアッセイにおいて活性を示し、そして本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤はCCR9活性により媒介される障害の処置において治療活性を示す傾向がある。
CCR9活性により媒介される、およびCCR9阻害剤での処置に成功する傾向のある障害には例えばCCR9のCCL25への結合に関連する障害、例えば対象における白血球のCCR9媒介のホーミングにより媒介される障害のようなCCR9の活性が原因的または寄与的な役割を果たす障害が含まれる。
本明細書にて用いられる障害には疾患が含まれる。
【0044】
CCR9活性により媒介される傾向のある障害には例えば以下のものが含まれる:
− 炎症に関連する障害
例えば(慢性)炎症性障害、気管支(例えば気管支炎を含む)、頸部(例えば子宮頸管炎を含む)、結膜(例えば結膜炎)、食道(例えば食道炎)、心筋(例えば心筋炎)、直腸(例えば直腸炎)、強膜(例えば強膜炎)、歯肉(骨を伴う)、肺炎症(肺胞炎)、気道(例えば気管支喘息のような喘息)の炎症に関係する障害、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、接触性過敏症のような炎症性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎;線維性疾患(例えば肺線維症)、脳炎、炎症性骨溶解を含む;
【0045】
− 免疫系の症状に関連する障害
例えばグレーブス病、橋本病(慢性甲状腺炎)、多発性硬化症、関節リウマチ、関節炎、痛風、骨関節炎、強皮症、ループス症候群、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、乾癬、クローン病を含む炎症性腸疾患、大腸炎、例えば潰瘍性大腸炎;敗血症、敗血症性ショック、自己免疫性溶血性貧血(AHA)、自己抗体誘発性蕁麻疹、天疱瘡、腎炎、糸球体性腎炎、グッドパスチャー症候群、強直性脊椎炎、ライター症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、サイトカイン媒介毒性、インターロイキン−2毒性、円形脱毛症、ブドウ膜炎、扁平苔癬、水疱性類天疱瘡、重症筋無力症、I型糖尿病、早期卵巣機能不全のような免疫媒介不妊症、多腺性不全、甲状腺機能低下症、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、B型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)に関連するものを含む自己免疫性肝炎、アジソン病、乾癬のような自己免疫性皮膚疾患、ヘルペス状皮膚炎、表皮水疱症、線状IgA水疱性皮膚症、後天性表皮水疱症、小児の慢性水疱症、悪性貧血、溶血性貧血、白斑症、I型、II型およびIII型多腺性自己免疫症候群、自己免疫性副甲状腺機能低下症、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、妊娠性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、混合性本態性クリオグロブリン血症、免疫性血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、自己免疫性好中球減少症、イートン・ランバート筋無力症症候群、全身硬直症候群、脳脊髄炎、急性播種性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、小脳変性症、網膜症、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎自己免疫性肝炎、グルテン過敏性腸症、反応性関節炎症、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合性結合組織病、ベーチェット症候群、結節性多発動脈炎アレルギー性血管炎および肉芽腫症(チャーグ・ストラウス病)、多発性血管炎重複症候群(過敏症)脈管炎、ウェゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎川崎病、サルコイドーシス、寒冷病、セリアック病を含む自己免疫障害のような免疫;
【0046】
− サイトカイン媒介毒性に関連する障害
例えばインターロイキン−2毒性を含む;
【0047】
− 骨に関連する障害
例えば骨粗鬆症、骨関節炎を含む;
【0048】
− 脳および神経に関連する障害
神経変性障害、例えば中枢神経系の障害および末梢神経系の障害を含む、例えば中枢神経感染を含むCNS障害、脳損傷、脳血管障害およびその結果、パーキンソン病、大脳皮質基底核変性症、運動ニューロン疾患、ALSを含む認知症、多発性硬化症、外傷および外傷の炎症性結果を含む外傷性障害、外傷性脳損傷、卒中(stroke)、卒中後(post-stroke)、外傷後脳損傷;
小血管性脳血管疾患、摂食障害;さらなる認知症、例えばアルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体型認知症、17番染色体に連鎖する前頭側頭型認知症、およびパーキンソニズム、ピック病を含む前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、ハンチントン病、視床変性、クロイツフェルト・ヤコブ認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症、コルサコフ精神障害を含む;
軽度認知機能障害、加齢性記憶障害、加齢性認知機能低下、血管性認知機能障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、および学習障害を伴う小児の記憶障害のような認知関連障害;視床下部−下垂体−副腎皮質系に関連する症状;
神経細胞障害、例えば神経細胞移動障害、低緊張症(筋緊張低下)、筋力低下、発作、発達遅延(身体的または精神的発達困難)、精神遅延、成長不全、摂食困難、リンパ浮腫、小頭症、頭部および脳に影響する病徴、運動機能障害を含む;
【0049】
− 眼に関連する障害
例えば網膜ブドウ膜炎、硝子体網膜症、角膜疾患、虹彩炎、虹彩毛様体炎、白内障、ブドウ膜炎、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、結膜炎、角膜炎を含む;
【0050】
− 胃腸管に関連する障害
例えば大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、消化性潰瘍、胃炎、食道炎を含む;
【0051】
− 心臓および脈管症状に関連する障害
例えば心不全、心梗塞、心肥大、例えば高拍出性および低拍出性、急性および慢性、右側または左側、収縮期または拡張期、基礎疾患とは独立したような全形態の心臓ポンピング不全を含む心臓不全;心筋梗塞(MI)、MI予防(第一次および第二次予防)、MIの急性期処置、合併症の防御;心臓障害、増殖性脈管障害、脈管炎、結節性多発動脈炎、虚血の炎症性結果、虚血性心疾患、心筋梗塞、発作(stroke)、末梢血管疾患、肺高血圧症;
例えば心筋虚血を含む虚血性障害、例えば安定狭心症、不安定狭心症、狭心症、気管支炎;全形態の心房および心室の頻拍性不整脈のような無症候性不整脈、心房頻拍、心房粗動、心房細動、房室リエントラント頻拍症、興奮前症候群、心室頻拍、心室粗動、心室細動、徐拍形態の不整脈;不整脈、慢性閉塞性肺疾患;
収縮期または拡張期高血圧のような高血圧、例えば本態性および二次性高血圧、例えば一次性および全種類の二次性動脈高血圧、腎性、内分泌性、神経原性等のような高血圧性血管障害を含む;動脈流および/または静脈流が低下して血液供給と組織酸素要求の間の不均衡に至る末梢血管障害、例えば動脈硬化症、慢性末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)、急性動脈血栓症および塞栓症、炎症性血管障害、レイノー現象および静脈障害を含む;アテローム性動脈硬化症、血管壁がリモデリングされる疾患、例えば血管壁の内膜における平滑筋細胞および単球/マクロファージ炎症性細胞の双方の細胞の蓄積を含む;
低血圧;
を含む心臓血管障害を含む;
【0052】
− 肝臓および腎臓に関連する障害
例えば腎障害、腎臓障害、例えば急性腎臓不全、急性腎疾患、肝障害、例えば硬変、肝炎、肝不全、胆汁うっ滞、急性/慢性肝炎、硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、急性/慢性間質性/糸球体腎炎、肉芽腫症を含む;
【0053】
− 胃または膵臓症状に関連する障害
例えば胃障害、例えば胃潰瘍、胃腸潰瘍、膵臓障害、膵臓疲労を含む;
【0054】
− 呼吸器および肺に関連する障害
例えば肺障害、慢性肺疾患、急性(成人)呼吸促迫症候群(ARDS)、喘息、喘息性気管支炎、気管支拡張症、びまん性間質性肺障害、塵肺症、線維化肺胞炎、肺線維症を含む;
【0055】
− 皮膚および結合組織症状に関連する障害
例えば湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、挫瘡、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、チャーグ・ストラウス症候群、日光皮膚炎、皮膚癌、創傷治癒、蕁麻疹、中毒性表皮壊死症を含む;
【0056】
− アレルギー症状に関連する障害
例えば遅延型過敏症、アレルギー性結膜炎、薬物アレルギー、鼻炎、アレルギー性鼻炎、脈管炎、接触性皮膚炎を含む;
【0057】
− 血管形成に関連する障害
例えば血液供給を動員させる能力が不十分なこと、改変された血管形成を特徴とする障害、腫瘍関連血管形成を含む;
【0058】
− 癌および細胞増殖過剰に関連する障害
例えば前癌性症状、過剰増殖障害、原発性または転移性のいずれかの癌、頸部および転移性癌、制御不能な細胞増殖から生じる癌、WO02066019に記載されるような固形腫瘍、非小細胞肺癌、子宮頸癌を含む;腫瘍成長、リンパ腫、B細胞またはT細胞リンパ腫、良性腫瘍、良性増殖異常障害、腎癌、食道癌、胃癌、腎癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、肺癌、メラノーマ、上咽頭癌、骨癌、卵巣癌、子宮癌;前立腺癌、皮膚癌、白血病、腫瘍血管新生、血管腫、骨髄異形成障害、正常細胞死誘起シグナルに対する無応答性(不死化)、細胞運動性および侵襲性の増加、遺伝的不安定性、調節不全遺伝子の発現、(神経)内分泌癌(カルチノイド)、血液癌、リンパ球性白血病、神経芽細胞腫;軟部組織癌、転移の防御を含む;
【0059】
− 糖尿病症状に関連する障害
例えば糖尿病(I型糖尿病、II型糖尿病)、糖尿病性網膜症、インスリン依存性糖尿病、真性糖尿病、妊娠製糖尿病)、インスリン分泌過少、肥満を含む;
【0060】
− 子宮内膜症、精巣機能障害に関連する障害
【0061】
− 感染性障害に関連する障害、例えば慢性感染症状を伴う
例えば細菌性障害、中耳炎、ライム病、甲状腺炎、ウイルス性障害、寄生虫性障害、菌類性障害、マラリア、例えばマラリア貧血、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショック、例えば内毒素誘起敗血症性ショック、外毒素誘起毒性ショック、感染性(真性敗血症性)ショック、グラム陰性細菌により引き起こされる敗血症性ショック、骨盤内炎症性疾患、AIDS、腸炎、肺炎;髄膜炎、脳炎、リンパ管フィラリア感染を含む;
【0062】
− 重症筋無力症に関連する障害
【0063】
− 腎炎に関連する障害
例えば糸球体腎炎、間質性腎炎、ウェゲナー肉芽腫症、線維症を含む;
【0064】
− 疼痛に関連する障害
例えばCNS障害に関連する、例えば多発性硬化症、脊髄損傷、坐骨神経痛、脊椎手術失敗症候群(failed back surgery syndrome)、外傷性脳損傷、てんかん、パーキンソン病、卒中後(post−stroke)、ならびに脳および脊髄の脈管病変(例えば梗塞、出血、脈管奇形);
非中枢性神経因性疼痛、例えば乳房切除術後疼痛、幻想感、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)、三叉神経痛神経根症、手術後疼痛、HIV/AIDS関連疼痛、癌性疼痛、代謝性ニューロパチー(例えば糖尿病性ニューロパチー、結合組織疾患に二次的な脈管炎性ニューロパチー)、例えば肺の癌腫、または白血病、またはリンパ腫、または前立腺、結腸もしくは胃の癌腫に関連する腫瘍随伴性ポリニューロパチー、三叉神経痛、頭部神経痛、およびヘルペス後神経痛に関連するものを含む;
末梢神経傷害に関連する疼痛、中枢性疼痛(すなわち脳虚血による)および種々の慢性疼痛、すなわち腰痛、背部痛(腰背部痛)、炎症性および/またはリウマチ性疼痛;
頭痛(例えば前兆を伴う片頭痛、前兆を伴わない片頭痛、およびその他の片頭痛障害)、突発性および慢性緊張型頭痛、緊張型様頭痛、群発頭痛、および慢性発作性片側頭痛;
内臓痛例えば膵炎、腸管膀胱炎、月経困難症、過敏性腸症候群、クローン病、
胆道疝痛、尿管疝痛、心筋梗塞および骨盤腔の疼痛症候群、例えば外陰部痛、精巣痛、尿道症候群15および前立腺痛;
急性疼痛、例えば術後痛および外傷後の疼痛;
【0065】
− リウマチ性障害に関連する障害
例えば関節炎、関節リウマチ、骨関節炎、乾癬性関節炎、結晶性関節炎、痛風、偽痛風、ピロリン酸カルシウム沈着疾患、ループス症候群、全身性エリテマトーデス、硬化症、強皮症、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、脊椎関節症、全身性硬化症、反応性関節炎、ライター症候群、強直性脊椎炎、多発性筋炎を含む;
【0066】
− サルコイドーシスに関連する障害
【0067】
− 移植に関連する障害
例えば器官または組織(異物)移植拒絶発症のような移植拒絶および移植後のその他の障害を含み、例えば心臓、肺、心臓−肺複合、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚、角膜移植、骨髄移植後のような移植片対宿主病、虚血再灌流傷害のレシピエントの処置のため;
【0068】
− 受胎調節(排卵の阻止による)。
排卵の阻止は障害ではないが、受胎調節(排卵の阻止による)は本発明による「CCR9活性により媒介される傾向がある障害」の定義に包含されると意図される。
【0069】
CCR9により媒介される傾向がある障害には、例えば好ましくは:
自己免疫障害;
炎症性障害;
アレルギー性障害;
移植後の障害;
癌;
さらに好ましくは自己免疫障害、炎症性障害、移植後の障害;
例えばセリアック病、食物アレルギー、関節リウマチ、炎症性大腸炎(IBD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、アトピー性皮膚炎、喘息、繊維性疾患、移植後の疾患、GVH拒絶、癌、白血病(急性リンパ球性白血病)、固形腫瘍、カルチノイド、胸腺腫、胸腺癌;
好ましくは例えばクローン病のようなIBD、例えば潰瘍性直腸炎を含む潰瘍性大腸炎;
が含まれる。
【0070】
別の態様では本発明は、例えばCCR9活性により媒介される障害の処置のための:
医薬用として使用するための本発明の薬剤;
医薬用としての本発明の薬剤の使用;
薬品の製造のための本発明の薬剤の使用;
例えば対象における白血球のCCR9媒介のホーミングにより媒介される障害のような、CCR9のCCL25への結合の妨害に関連する障害のようなCCR9活性により媒介される障害の処置のための本発明の薬剤を提供する。
別の態様では本発明は炎症性腸疾患の処置のための医薬の製造のための本発明のIBD薬剤を提供する。
【0071】
医薬用に使用するための本発明の1個以上の薬剤またはIBD薬剤を使用することができ、例えば本発明の二つまたはそれより多い薬剤またはIBD薬剤の組み合わせ、好ましくは本発明の一つの薬剤またはIBD薬剤を使用する。
本発明の薬剤またはIBD薬剤を医薬用組成物の形態で医薬品として使用することができる。
別の態様では本発明は、例えば充填剤、結合剤、崩壊剤、流動調整剤、滑沢剤、糖もしくは甘味剤、香料、保存剤、安定剤、湿潤剤および/もしくは乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩ならびに/またはバッファーを含む少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤、例えば適切な担体および/または希釈剤と共に本発明の薬剤を含む医薬組成物を提供する。
【0072】
別の態様では本発明は:
CCR9活性により媒介される障害を処置するのに使用するための本発明の医薬組成物;
CCR9活性により媒介される障害を処置するための本発明の医薬組成物の使用;
炎症性腸疾患の処置のための本発明のIBD薬剤を含む医薬組成物の使用;
CCR9活性により媒介される障害を処置するための本発明のCCR9薬剤を含む医薬組成物の使用;
を提供する。
【0073】
本明細書で使用される際には、障害(疾患)の処置には予防(防御)が含まれる。かかる処置のための適切な用量はもちろん、例えば使用する本発明の薬剤またはIBD薬剤の化学的性質および薬物動態データ、個々の宿主、投与の様式ならびに処置される症状の性質および重篤度に依存して異なる。しかしながら一般的に大型哺乳動物、例えばヒトにおける満足できる結果のために、指示された1日投薬量には、1日4回までの分割用量で投与される、本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤の:
約0.0001gから約1.5g、例えば0.001gから1.5g;
約0.001mg/kg体重から約20mg/kg体重、例えば0.01mg/kg体重から20mg/kg体重;
の範囲が含まれる。
【0074】
本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤を、その他のメディエーター、例えばCCR9活性の低分子量阻害剤で従来使用されるものに類似した投与の様式により大型哺乳動物、例えばヒトに投与することができる。
さらなる態様では本発明は、例えば前記で明記された障害を含むCCR9活性により媒介される障害を処置する方法を提供し、その処置は治療上有効量の本発明の薬剤を、例えば医薬組成物の形態で、かかる処置を必要とする対象に投与することを含む。
別の態様では本発明はCCR9活性により媒介される障害の処置のための:
薬品の製造のための本発明の薬剤;
薬品の製造のための本発明の薬剤、例えば医薬組成物の使用;
を提供する。
【0075】
別の態様では本発明は炎症性腸疾患の処置のための:
薬品の製造のための本発明のIBD薬剤;
薬品の製造のための本発明のIBD薬剤、例えば医薬組成物の使用;
を提供する。
さらなる態様では、本発明は炎症性腸疾患を処置する方法を提供し、その処置は治療上有効量の本発明のIBD薬剤を、例えば医薬組成物の形態で、かかる処置を必要とする対象に投与することを含む
【0076】
本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤を任意の従来の経路により、例えば経鼻、頬側、直腸、経口投与を含む、例えば経腸的に;例えば静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内注入、経皮(無傷の皮膚を通る拡散)、経粘膜(粘膜を通る拡散)、吸入投与を含む非経口的に;局所;例えば皮膚上、鼻腔内、気管内投与を含み;腹腔内(腹腔内への注入または注射);硬膜外(硬膜上)(硬膜外腔への注射または注入);くも膜下腔内(脳脊髄液への注射または注入);硝子体内(眼を介する投与);または例えば局所分配のための医学的装置、例えばステントを介して、例えば被覆もしくは非被覆錠剤、カプセル、(注射用)溶液、輸液、固溶体、懸濁液、分散体、固体分散体の形態で;例えばアンプル、バイアルの形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入用粉末、泡、チンキ、リップスティック、滴剤、スプレーの形態で、または坐剤の形態で投与することができる。
【0077】
例えば眼への投与を含む局所使用のために、0.5−10%、例えば1−3%の濃度の活性物質で1日数回、例えば1日2から5回の局所投与で満足できる結果を得ることができる。
本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤を薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩または金属塩の形態で;または遊離形態で;所望により溶媒和物の形態で投与することができる。塩の形態の本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤は遊離形態の;所望により溶媒和物の形態の本発明の薬剤またはIBD薬剤と同一の次数の活性を呈する。
【0078】
単独でまたは1個以上の、少なくとも一つの、その他の第二の医薬物質と組み合わせて、本発明の薬剤を本明細書で記載されるような任意の方法または用途のために使用することができ、そして本発明のIBD薬剤をIBD処置のために使用することができ、そして本発明のCCR9薬剤を、CCR9により媒介される障害を処置するために使用することができる。
【0079】
別の態様では、本発明は:
本発明の薬剤と少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ;
少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明の薬剤を含む医薬用組み合わせ;
少なくとも一つの第二の医薬物質および1個以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わされた本発明の薬剤を含む医薬組成物;
本明細書で定義される任意の方法で使用するための、例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明の薬剤、例えば;
医薬品として使用するための、本発明の薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質を含む組み合わせ、医薬用組み合わせまたは医薬組成物;
例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明の薬剤の医薬品として使用;
例えば本明細書に指示されるような任意の治療的処置のための、第二の医薬物質と組み合わせて使用するための薬品の製造のための本発明の薬剤の使用;
例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の、治療上有効量の本発明の薬剤、例えばまたはIBD薬剤、またはCCR9薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質を同時、併用または逐次的に投与することを含む、それを必要とする対象におけるCCR9活性により媒介される障害を処置するための方法;
CCR9活性により媒介される障害において使用するための薬品の調製において使用するための、例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明の薬剤;
を提供する。
【0080】
別の態様では、本発明は:
炎症性腸疾患の処置において使用するための本発明のIBD薬剤と少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ;
炎症性腸疾患の処置において使用するための少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明のIBD薬剤を含む医薬用組み合わせ;
炎症性腸疾患の処置において使用するための、少なくとも一つの第二の医薬物質および1個以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わされた本発明のIBD薬剤を含む医薬組成物;
例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の、治療上有効量の本発明のIBD薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質を同時、併用または逐次的に投与することを含む、それを必要とする対象における炎症性腸疾患を処置するための方法
炎症性腸疾患の処置において使用するための薬品の調製において使用するための、例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明のIBD薬剤;
を提供する。
【0081】
別の態様では、本発明は:
CCR9活性により媒介される障害の処置において使用するための本発明のCCR9薬剤と少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ;
CCR9活性により媒介される障害において使用するための少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明のCCR9薬剤を含む医薬用組み合わせ;
CCR9活性により媒介される障害の処置において使用するための少なくとも一つの第二の医薬物質および1個以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わされた本発明のCCR9薬剤を含む医薬組成物;
CCR9活性により媒介される障害の処置において使用するための薬品の調製において使用するための、例えば医薬用組み合わせまたは組成物の形態の少なくとも一つの第二の医薬物質と組み合わされた本発明のCCR9薬剤;
を提供する。
【0082】
組み合わせには、本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質が同一の処方にある固定された組み合わせ;例えば同時投与のための説明書を伴って、本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質が別個の処方で同一の包装で提供されるキット;ならびに本発明の薬剤またはIBD薬剤またはCCR9薬剤および少なくとも一つの第二の医薬物質は別個に包装されるが、併用または逐次的投与のための説明書が与えられる自由な組み合わせが含まれる。
【0083】
別の態様では、本発明は:
組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明の薬剤である第一の医薬物質および少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明の薬剤を含む医薬用包装;
本発明の薬剤との組み合わせ投与に関する説明書に加えて少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
を提供する。
【0084】
別の態様では、本発明は:
炎症性腸疾患の処置において使用するための組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明のIBD薬剤である第一の医薬物質および少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
炎症性腸疾患の処置において使用するための少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明のIBD薬剤を含む医薬用包装;
炎症性腸疾患の処置において使用するための本発明のIBD薬剤との組み合わせ投与に関する説明書に加えて少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
を提供する。
【0085】
別の態様では、本発明は:
炎症性腸疾患の処置において使用するための組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明のCCR9薬剤である第一の医薬物質および少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
炎症性腸疾患の処置において使用するための少なくとも一つの第二の医薬物質との組み合わせ投与に関する説明書に加えて本発明のCCR9薬剤を含む医薬用包装;
炎症性腸疾患の処置において使用するための本発明のCCR9薬剤との組み合わせ投与に関する説明書に加えて少なくとも一つの第二の医薬物質を含む医薬用包装;
を提供する。
【0086】
本発明による組み合わせでの処置により、単一の処置に比較して改善が提供され得る。
別の態様では、本発明は:
ある量の本発明の薬剤およびある量の第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ、ここでその量は相乗的治療効果を生むのに適切である;
治療上有効量の本発明の薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む本発明の薬剤の治療上の有用性を改善するための方法;
治療上有効量の本発明の薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む第二の医薬物質の治療上の有用性を改善するための方法;
を提供する。
【0087】
別の態様では、本発明は:
ある量の本発明のIBD薬剤およびある量の第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ、ここでその量は炎症性腸疾患の処置で使用するための相乗的治療効果を生むのに適切である;
炎症性腸疾患の処置で使用するための治療上有効量の本発明のIBD薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む本発明のIBD薬剤の治療上の有用性を改善するための方法;
炎症性腸疾患の処置で使用するための治療上有効量の本発明のIBD薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む第二の医薬物質の治療上の有用性を改善するための方法;
を提供する。
【0088】
別の態様では、本発明は:
ある量の本発明のCCR9薬剤およびある量の第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ、ここでその量はCCR9活性により媒介される障害の処置で使用するための相乗的治療効果を生むのに適切である;
CCR9活性により媒介される障害の処置で使用するための治療上有効量の本発明のCCR9薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む本発明のCCR9薬剤の治療上の有用性を改善するための方法;
CCR9活性により媒介される障害の処置で使用するための治療上有効量の本発明のCCR9薬剤および第二の医薬物質を同時、例えば併用または逐次的に投与することを含む第二の医薬物質の治療上の有用性を改善するための方法;
を提供する。
【0089】
本発明の組み合わせおよび組み合わせパートナーとしての第二の医薬物質を、例えば本発明の化合物、薬剤、IBD薬剤またはCCR9薬剤に関して前記で示したような任意の従来の経路により投与することができる。第二の薬物を必要に応じた投薬量で、例えば単一の処置で用いられるものに類似した投薬量範囲で、または例えば相乗効果の場合、従来の投薬量範囲をさらに下回って投与することができる。
本発明による医薬組成物を、例えば従来どおりの方法に従って、例えば類似して、例えば混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥方法により製造することができる。単位投薬形態は、例えば、約0.1mgから約1500mg、例えば1mgから約1000mgを含有できる。本発明の組み合わせを含む医薬組成物および本明細書で記載されるような第二の薬物を含む医薬組成物を、必要に応じて、例えば従来どおりの方法に従って、例えば類似して、または本発明の医薬用組成物に関して本明細書に記載されるように提供することができる。
【0090】
「第二の医薬物質」なる用語とは、本発明の薬剤以外の化学療法薬、特に任意の化学療法剤を意味する。
例えば本明細書で用いられる第二の医薬物質には:
例えば抗体および低分子量化合物を含む、本発明の薬剤以外のCCR9阻害剤;
抗炎症性および/または免疫調節性薬物;
抗アレルギー薬;
抗癌薬;
麻酔薬;
止瀉薬;
が含まれる。
【0091】
IBD処置に関して、「第二の医薬物質」なる用語とは、IBD防御もしくは処置において活性である、および/または麻酔薬もしくは止瀉薬のようなIBDの徴候、例えばIBD病徴を処置するのに活性である薬物を含む抗炎症性および/または免疫調節性薬物を含むことを意味する。
【0092】
本発明の薬剤もしくはIBD薬剤と、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせに有用である傾向のある抗炎症性および/または免疫調節性薬物には、例えば以下が含まれる:
メディエーター、例えば式:
【化4】

のラパマイシン;
ならびに例えば
40−O−アルキル−ラパマイシン誘導体、例えば40−O−ヒドロキシアルキル−ラパマイシン誘導体、例えば40−O−(2−ヒドロキシ)−エチル−ラパマイシン(エベロリムス);
32−デオキソ−ラパマイシン誘導体および32−ヒドロキシ−ラパマイシン誘導体、例えば32−デオキソラパマイシン;
16−O−置換ラパマイシン誘導体、例えば16−ペント−2−イニルオキシ−32−デオキソラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−ラパマイシン、16−ペント−2−イニルオキシ−32(SまたはR)−ジヒドロ−40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン;
40位の酸素基でアシル化されているラパマイシン誘導体、例えば40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシ−メチル)−2−メチルプロパノアート]−ラパマイシン(CCI779としても公知);
40位でヘテロシクリルにより置換されているラパマイシン誘導体、例えば40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578としても公知);
例えば第WO9802441号、第WO0114387号および第WO0364383号に開示されるような、いわゆるラパログ(rapalogs)例えばAP23573;ならびに
TAFA−93、AP23464、AP23675、AP23841およびビオリムス(例えばビオリムスA9)の名の下に開示されている化合物;
を含むラパマイシン誘導体を含むmTOR活性の阻害剤;
メディエーター、例えばカルシニューリンの阻害剤、例えばシクロスポリンA、FK506;
免疫抑制特性を有するアスコマイシン、例えばABT−281、ASM981;
副腎皮質ステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;レフルノミド;ミゾリビン;
【0093】
ミコフェノール酸または塩;例えばナトリウム、ミコフェノール酸モフェチル;
15−デオキシスペルグアリンまたはその免疫抑制性相同体、類似体または誘導体;
メディエーター、例えばbcr−ablチロシンキナーゼ活性の阻害剤;
メディエーター、例えばc−kit受容体チロシンキナーゼ活性の阻害剤;
メディエーター、例えばPDGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害剤、例えばグリーベック(イマチニブ);
メディエーター、例えばp38MAPキナーゼ活性の阻害剤;
メディエーター、例えばVEGF受容体チロシンキナーゼ活性の阻害剤;
メディエーター、例えば例えば第WO0238561号または第WO0382859号に開示されるようなPKC活性の阻害剤、例えば実施例56または70の化合物;
メディエーター、例えばJAK3キナーゼ活性の阻害剤、例えばN−ベンジル−3,4−ジヒドロキシ−ベンジリデン−シアノアセトアミドα−シアノ−(3,4−ジヒドロキシ)−]N−ベンジルシンナムアミド(チロホスチンAG490)、プロジギオシン25−C(PNU156804)、[4−(4'−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P131)、[4−(3'−ブロモ−4'−ヒドロキシルフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン](WHI−P154)、[4−(3',5'−ジブロモ−4'−ヒドロキシフェニル)−アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン]WHI−P97、KRX−211、遊離形態もしくは薬学的に許容される塩形態の3−{(3R,4R)−4−メチル−3−[メチル−(7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−アミノ]−ピペリジン−1−イル}−3−オキソ−プロピオニトリル、例えばモノクエン酸塩(CP−690,550とも称される)、または第WO2004052359号もしくは第WO2005066156号に開示されるような化合物;
【0094】
メディエーター、例えばS1P受容体活性のアゴニストまたはモジュレーター、例えばFTY720、所望によりリン酸化されているかまたはその類似体、例えば2−アミノ−2−[4−(3−ベンジルオキシフェニルチオ)−2−クロロフェニル]エチル−1,3−プロパンジオール、所望によりリン酸化されているかまたは1−{4−[1−(4−シクロヘキシル−3−トリフルオロメチル−ベンジルオキシイミノ)−エチル]−2−エチル−ベンジル}−アゼチジン−3−カルボン酸またはその薬学的に許容される塩;
免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばBlys/BAFF受容体、MHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD25、CD28、CD40、CD45、CD52、CD58、CD80、CD86、IL−12受容体、IL−17受容体、IL−23受容体またはそのリガンド;
その他の免疫調節性化合物、例えばCTLA4の細胞外ドメインまたはその変異体の少なくとも一部、例えばCTLA4の細胞外ドメインまたは非CTLA4タンパク質配列に結合したその変異体の少なくとも細胞外部分、例えばCTLA4Ig(例えばATCC68629と称される)またはその変異体を有する組換え結合分子、例えばLEA29Y;
メディエーター、例えば接着分子活性の阻害剤、例えばLFA−1アンタゴニスト、ICAM−1または−3アンタゴニスト、VCAM−4アンタゴニストまたはVLA−4アンタゴニスト;
【0095】
メディエーター、例えばMIF活性の阻害剤;
5−アミノサリチル酸(5−ASA)薬、例えばスルファサラジン、Azulfidine(登録商標)、Asacol(登録商標)、Dipentum(登録商標)、Pentasa(登録商標)、Rowasa(登録商標)、Canasa(登録商標)、Colazal(登録商標)、例えばメサラミンを含有する薬物;例えばヘパリンと組み合わされたメサラジン;
メディエーター、例えばTNF−アルファ活性の阻害剤、例えばTNF−アルファに結合する抗体を含む、例えばインフリキシマブ(Remicade(登録商標))、サリドマイド、レナリドミド、一酸化窒素放出非ステロイド抗炎症性薬物(NSAID)、例えばCOX阻害NO供与薬物(CINOD);
ホスホジエステラーゼ、例えばPDE4B活性の阻害剤のようなメディエーター;
メディエーター、例えばカスパーゼ活性の阻害剤;
メディエーター、例えばGタンパク質共役受容体GPBAR1のアゴニスト;
メディエーター、例えばセラミドキナーゼ活性の阻害剤;
「多機能性抗炎症性」薬物(MFAID)、例えばグリコサミノグリカンに連結された膜アンカー型ホスホリパーゼA2阻害剤のような細胞質ホスホリパーゼA2(cPLA2)阻害剤;
抗生物質、例えばペニシリン系、セファロスポリン系、エリスロマイシン系、テトラサイクリン系、スルファジアジン、スルフイソキサゾールのようなスルホンアミド系;ダプソンのようなスルホン系;プレウロムチリン系、フルオロキノロン系、例えばメトロニダゾール、シプロフロキサシンのようなキノロン系;レボフロキサシン;プロバイオティクスおよび共生細菌、例えばラクトバチルス、ラクトバチルス・ロイテリ;
抗ウイルス薬、例えばリビビリン、ビダラビン、アシクロビル、ガンシクロビル、ザナミビル、リン酸オセルタミビル、ファンシクロビル、アタザナビル、アマンタジン、ジダノシン、エファビレンズ、フォスカルネット、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジン。
【0096】
本発明の薬剤またはIBD薬剤、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせに有用である傾向のある抗炎症性薬物には、例えば:
非ステロイド抗炎症性薬物(NSAID)、例えばプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミクロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサール)、オキシカム系(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカン)、サリチル酸系(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン系(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、例えばセレコキシブ;IV型ホスホジエステラーゼ(PDE−IV)の阻害剤;ケモカイン受容体のアンタゴニスト、特にCCR1、CCR2およびCCR3;コレステロール低下薬、例えばHMG−CoAリダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シムバスタチンおよびプラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、およびその他のスタチン系)、捕捉剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびベンザフィブラート)およびプロブコール;ムスカリン性アンタゴニスト(臭化イプラトロピウム)のような抗コリン薬;テオフィリン、スルファサラジンおよびアミノサリチラート系のようなその他の化合物、例えば5−アミノサリチル酸およびそのプロドラッグ、抗リウマチ薬;
が含まれる。
【0097】
本発明の薬剤、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせに有用である傾向のある抗アレルギー薬には、例えば抗ヒスタミン系(H1ヒスタミンアンタゴニスト)、例えばブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペレンアミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェクソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジン、および非ステロイド抗喘息薬、例えばβ2−アゴニスト(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール、サルメテロールおよびピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−106,203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートン、BAY−1005);気管支拡張薬、抗喘息薬(肥満細胞安定薬)が含まれる。
【0098】
本発明の薬剤、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせパートナーとして有用である傾向のある抗癌薬には、例えば以下が含まれる:
i) ステロイド;例えばプレドニゾン。
ii) アデノシンキナーゼ阻害剤;核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよび核酸代謝を標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えば7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン、5−ヨード−7−β−D−リボフラノシルとしても公知である5−ロドツベルシジン。
iii) アジュバント;5−FU−TS結合およびルカリ性ホスファターゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物を強化する、例えばロイコボリン、レバゾミソール。
iv) 副腎皮質アンタゴニスト;副腎皮質の活性を標的とするか、低下させるか、または阻止し、そして副腎皮質ステロイドの末梢代謝を変化させて17−ヒドロキシコルチコステロイドを低下させる、例えばミトタン。
v) AKT経路阻害剤;例えばタンパク質キナーゼB(PKB)としても公知のAktを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物、例えば3H−ビス[1]ベンゾピラノ[3,4−b:6',5'−e]ピラン−7(7aH)−オン、13,13a−ジヒドロ−9,10−ジメトキシ−3,3−ジメチル−、(7aS,13aS)としても公知であるデグエリン;および1,4,5,6,8−ペンタアザアセナフチレン−3−アミン、1,5−ジヒドロ−5−メチル−1−β−D−リボフラノシルとしても公知であるトリシリビン。
【0099】
vi) アルキル化剤;DNAのアルキル化を引き起こし、そしてDNA分子および二本鎖の架橋の切断を招き、したがってDNA複製およびRNA転写に影響する、例えば窒素マスタード、例えばクロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、エストラムスチン(Emcyt(登録商標));ニトロソウレア系、例えばカルムスチン、フォテムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン(ストレプトゾトシン、STZ、Zanosar(登録商標))、BCNU;グリアデル;ダカルバジン、メクロレタミン、例えば塩酸塩の形態で、プロカルバジン、例えば塩酸塩の形態で、チオテパ、テモゾロミド(TEMODAR(登録商標)(登録商標)、マイトマイシン、アルトレタミン、ブスルファン、エストラムスチン、ウラムスチン。シクロホスファミドを、例えばそれが例えば商標CYCLOSTIN(登録商標)の下で市販されているような形態で;およびイフォスファミドをHOLOXAN(登録商標)として投与することができる。
vii) 血管形成阻害剤;新しい血管の生成を標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばメチオニンアミノペプチダーゼ−2(MetAP−2)、マクロファージ炎症性タンパク質−1(MIP−1アルファ)、CCL5、TGF−ベータ、リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼおよびトポイソメラーゼを標的とするか、または間接的にp21、p53、CDK2およびコラーゲン合成を標的とする、例えば2,4,6,8−デカテトラエン二酸、モノ[(3R,4S,5S,6R)−5−メトキシ−4−[(2R,3R)−2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2.5]オクト−6−イル]エステル、(2E,4E,6E,8E)−(9CI)としても公知であるフマギリン;1,4−ナフタレンジオン、5,8−ジヒドロキシ−2−[(1R)−1−ヒドロキシ−4−メチル−3−ペンテニル]−(9CI)としても公知であるシコニン;安息香酸、2−[[3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−オキソ−2−プロペニル]アミノ]としても公知であるトラニラスト;ウルソール酸;スラミン;ベンガミドまたはその誘導体、サリドマイド、TNP−470を含む。
【0100】
viii) 抗アンドロゲン;正常および悪性の前立腺組織の成長を刺激する副腎および精巣由来のアンドロゲンの作用を遮断する、例えばニルタミド;例えば米国特許第4636505号に開示されるように処方することができるビカルタミド(CASODEX(登録商標))。
ix) 抗エストロゲン;エストロゲン受容体レベルでエストロゲンの影響を拮抗する、例えばエストロゲン生成、すなわち基質アンドロステンジオンおよびテストステロンの各々エステロンおよびエストラジオールへの変換を阻止するアロマターゼ阻害剤を含む;
例えばアタメスタン、エクセメスタン、フォルメスタン、アミノグルテチミド、ログレチミド、ピリドグルテチミド、トリロスタン、テストラクトン、ケトコナゾール、ボロゾール、ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、トレミフェン;ビカルタミド;フルタミド;タモキシフェン、クエン酸タモキシフェン;タモキシフェン;フルベストラント;ラロキシフェン、塩酸ラロキシフェンを含む。タモキシフェンを例えば市販されているような形態、例えばNOLVADEX(登録商標)で投与することができ;そして塩酸ラロキシフェンはEVISTA(登録商標)として市販されている。フルベストラントを米国特許第4659516号に開示されるように処方することができ、そしてFASLODEX(登録商標)として市販されている。
【0101】
x) 抗高カルシウム血症薬;高カルシウム血症を処置するために用いられる、例えば硝酸ガリウム(III)水和物;およびパミドロネート二ナトリウム。
xi) 代謝拮抗薬;DNAの合成を阻止または妨害し、細胞死に至る、例えば葉酸、例えばメトトレキサート、ペメトレキシド、ラレチトレキシド;プリン、例えば6−メルカプトプリン、クラドリビン、クロファラビン;フルダラビン、チオグアニン(thioguanine、tioguanine)、6−チオグアニン、ペントスタチン(デオキシコフォルマイシン);シタラビン;フレクスウリジン(flexuridine);フルオロウラシル;5−フルオロウラシル(5−FU)、フロキシウリジン(5−FUdR)、カペシタビン;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア(例えばHydrea(登録商標));DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンおよびデシタビン;エダトレキサート。カペシタビンおよびゲムシタビンを例えばXELODA(登録商標)およびGEMZAR(登録商標)のような市販されている形態で投与することができる。
【0102】
xii) アポトーシスインデューサー;細胞死を導く正常な細胞における一連の事象を誘起し、例えばアポトーシスタンパク質XIAPのX連鎖哺乳動物阻害剤を選択的に誘起するか、または例えばBCL−xLを下方調節する;例えばエタノール、2−[[3−(2,3−ジクロロフェノキシ)プロピル]アミノ];ガンボージ酸(gambogic acid);2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン、2,5−ジヒドロキシ−3−ウンデシル−(9CI)としても公知であるエンベリン;三酸化ヒ素。
xiii) オーロラキナーゼ阻害剤;G2/Mチェックポイントから有糸分裂チェックポイントおよび後期有糸分裂までずっと細胞周期の後期段階を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばメタンイミドアミド、N'−[1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−シアノ−1H−ピラゾール−5−イル]−N,N−ジメチル−(9CI)としても公知であるビヌクレイン(binucleine)2。
xiv) ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤;ヒトおよびマウスB細胞発達を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばテレイック酸(terreic acid)。
【0103】
xv) カルシニューリン阻害剤;T細胞活性化経路を標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばシクロプロパンカルボン酸、3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチル−、シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステルとしても公知であるシペルメトリン;シクロプロパンカルボン酸、3−(2,2−ジブロモエテニル)−2,2−ジメチル−(S)−シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステル、(1R,3R)としても公知であるデルタメトリン;ベンゼン酢酸、4−クロロ−α−(1−メチルエチル)−、シアノ(3−フェノキシフェニル)メチルエステルとしても公知であるフェンバレラート;およびチロホスチン8;しかしシクロスポリンまたはFK506を除く。
xvi) CaMキナーゼII阻害剤;CaMキナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;ホスホリラーゼキナーゼ、ミオシン軽鎖キナーゼおよびCaMキナーゼI−IVを含む構造的に関連する酵素のファミリーを構成する;例えば5−イソキノリンスルホン酸、4−[(2S)−2−[(5−イソキノリニルスルホニル)メチルアミノ]−3−オキソ−3−(4−フェニル−1−ピペラジニル)プロピル]フェニルエステル(9CI);ベンゼンスルホンアミド、N−[2−[[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロペニル]メチル]アミノ]メチル]フェニル]−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−メトキシ。
【0104】
xvii) CD45チロシンホスファターゼ阻害剤;Srcファミリータンパク質チロシンキナーゼの脱リン酸化調節性pTyr残基を標的とするか、低下させるか、または阻止し、それは種々の炎症性および免疫性障害の処置を助ける;例えばホスホン酸、[[2−(4−ブロモフェノキシ)−5−ニトロフェニル]ヒドロキシメチル]。
xviii) CDC25ホスファターゼ阻害剤;腫瘍において過剰発現された脱リン酸化サイクリン依存性キナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば1,4−ナフタレンジオン、2,3−ビス[(2−ヒドロキシエチル)チオ]。
xix) CHKキナーゼ阻害剤;抗アポトーシスタンパク質Bcl−2の過剰発現を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばデブロモヒメニアルジシン。CHKキナーゼ阻害剤の標的はCHK1および/またはCHK2である。
xx) ゲニステイン、オロムチン(olomucine)および/またはチロホスチンを調節するための制御薬;例えば4H−1−ベンゾピラン−4−オン、7−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシフェニル)としても公知であるダイドゼイン;イソオロムチン(Iso−Olomoucine)、およびチロホスチン1。
【0105】
xxi) シクロオキシゲナーゼ阻害剤;例えばCox−2阻害剤を含む;酵素Cox−2(シクロオキシゲナーゼ−2)を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば1H−インドール−3−アセトアミド、1−(4−クロロベンゾイル)−5−メトキシ−2−メチル−N−(2−フェニルエチル);5−アルキル置換2−アリールアミノフェニル酢酸および誘導体、例えばセレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、ロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))、エトリコキシブ、バルデコキシブ;または5−アルキル−2−アリールアミノフェニル酢酸、例えば5−メチル−2−(2'−クロロ−6'−フルオロアニリノ)フェニル酢酸、ルミラコキシブ;およびセレコキシブ。
xxii) cRAFキナーゼ阻害剤;TNFにより誘起されるEセレクチンおよび血管接着分子−1の上方調節を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば3−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンジリデン)−5−ヨード−1,3−ジヒドロインドール−2−オン;およびベンズアミド、3−(ジメチルアミノ)−N−[3−[(4−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]−4−メチルフェニル]。Rafキナーゼは細胞分化、増殖およびアポトーシスにおいて細胞外シグナル調節キナーゼとして重要な役割を果たす。cRAFキナーゼ阻害剤の標的には限定するものではないがRAF1が含まれる。
【0106】
xxiii) サイクリン依存性キナーゼ阻害剤;哺乳動物細胞周期の調節において役割を果たすサイクリン依存性キナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばN9−イソプロピル−オロモウシン;オロモウシン;安息香酸、2−クロロ−4−[[2−[[(1R)−1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル]アミノ]−9−(1−メチルエチル)−9H−プリン−6−イル]アミノ]−(9CI)としても公知であるプルバラノールB;ロアスコビチン(roascovitine);2H−インドール−2−オン、3−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−2H−インドール−2−イリデン)−1,3−ジヒドロ−(9CI)としても公知であるインジルビン;インドロ[3,2−d][1]ベンズアゼピン−6(5H)−オン、9−ブロモ−7,12−ジヒドロ−(9CI)としても公知であるケンパウロン;1−ブタノール、2−[[6−[(3−クロロフェニル)アミノ]−9−(1−メチルエチル)−9H−プリン−2−イル]アミノ]−3−メチル−、(2R)−(9CI)としても公知であるプルバラノールA;インジルビン−3'−モノオキシム。細胞周期進行はサイクリン依存性キナーゼ(Cdk)およびサイクリンの活性化および続く不活化を含む一連の連続事象により調節される。Cdkはその調節性サブユニット、サイクリンに結合することにより活性なヘテロ二量体複合体を形成するセリン/スレオニンキナーゼの一群である。サイクリン依存性キナーゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがCDK、AHR、CDK1、CDK2、CDK5、CDK4/6、GSK3ベータおよびERKが挙げられる。
【0107】
xxiv) システインプロテアーゼ阻害剤;哺乳動物細胞代謝回転およびアポトーシスにおいて極めて重要な役割を果たすシステインプロテアーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば4−モルホリンカルボキサミド、N−[(1S)−3−フルオロ−2−オキソ−1−(2−フェニルエチル)プロピル]アミノ]−2−オキソ−1−(フェニルメチル)エチル]。
xxv) DNA干渉物質;DNAに結合し、そしてDNA、RNAおよびタンパク質合成を阻止する;例えばプリカマイシン、ダクチノマイシン。
xxvi) DNA鎖切断剤;DNA鎖切断を引き起こし、そしてDNA合成の阻止、RNAおよびタンパク質合成の阻止に至る;例えばブレオマイシン。
xxvii) E3リガーゼ阻害剤;プロテアソームにおける分解に関してそれらを標識するユビキチン鎖のタンパク質への移動を阻止するE3リガーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばN−((3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル)プロピオニル)スルファニルアミド。
xxviii) 内分泌ホルモン;主に脳下垂体で作用することにより、男性ではホルモンの抑制を引き起こし、正味の影響は去勢術レベルまでのテストステロン低下である;女性では卵巣エストロゲンおよびアンドロゲン合成の双方が阻止される;例えばロイプロリド;メゲストロール、酢酸メゲストロール。
【0108】
xxix) :受容体チロシンキナーゼの上皮成長因子ファミリー(ホモまたはヘテロ二量体としてEGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4)の活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物、例えばEGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーを阻止する化合物、タンパク質または抗体、例えばEGF受容体、ErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4またはEGFもしくはEGF関連リガンドに結合し、そして特に第WO9702266号、例えば実施例39の化合物、欧州特許第0564409号、第WO9903854号、欧州特許第0520722号、欧州特許第0566226号、欧州特許第0787722号、欧州特許第0837063号、米国特許第5747498号、第WO9810767号、第WO9730034号、第WO9749688号、第WO9738983号、および特に第WO9630347号、例えばCP358774として公知の化合物、第WO9633980号例えばZD1839として公知の化合物;ならびに第WO9503283号、例えばZM105180として公知の化合物にて一般的および具体的に開示されるこれらの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体である化合物、タンパク質または抗体、例えば二重活性チロシンキナーゼ阻害剤(ErbB1およびErbB2)ラパチニブ(GSK572016)、例えばトシル酸ラパチニブジトシラートを含む;パニツズマブ(panituzumab)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、セツキシマブ、イレッサ、OSI−774、CI−1033、EKB−569、GW−2016、E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3またはE7.6.3、例えば第WO03013541号に開示される7H−ピロロ−[2,3−d]ピリミジン誘導体、エルロチニブ、ゲフィチニブ。エルロチニブを市販されているような形態、例えばTARCEVA(登録商標)で、およびゲフィチニブをIRESSA(登録商標)として、ABX−EGFRを含む上皮成長因子受容体に対するヒトモノクローナル抗体を投与することができる。
【0109】
xxx) EGFR、PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤;例えばチロホスチン23、チロホスチン25、チロホスチン47、チロホスチン51およびチロホスチンAG825を含むEGFRキナーゼ阻害剤;2−プロペンアミド、2−シアノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N−フェニル−(2E);チロホスチンAg1478;ラベンダスチンA;3−ピリジンアセトニトリル、α−[(3,5−ジクロロフェニル)メチレン]−、(αZ);EGFR、PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤の実例には、例えばチロホスチン46が挙げられる。PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤にはチロホスチン46が含まれる。EGFRキナーゼ阻害剤の標的にはグアニリルシクラーゼ(GC−C)HER2、EGFR、PTKおよびチューブリンが含まれる。
【0110】
xxxi) ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;Rasタンパク質を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばa−ヒドロキシファルネシルホスホン酸;ブタン酸、2−[[(2S)−2−[[(2S,3S)−2−[[(2R)−2−アミノ−3−メルカプトプロピル]アミノ]−3−メチルペンチル]オキシ]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]−4−(メチルスルホニル)−,1−メチルエチルエステル、(2S);マニュマイシンA;L−744,832またはDK8G557、チピファルニブ(R115777)、SCH66336(ロナファルニブ)、BMS−214662。
xxxii) Flk−1キナーゼ阻害剤;Flk−1チロシンキナーゼ活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば2−プロペンアミド、2−シアノ−3−[4−ヒドロキシ−3,5−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−N−(3−フェニルプロピル)−(2E)。Flk−1キナーゼ阻害剤の標的には、限定するものではないがKDRが含まれる。
【0111】
xxxiii) グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)阻害剤;グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばインジルビン−3'−モノオキシム。グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3;タウタンパク質キナーゼI)、高度に保存された遍在性発現セリン/スレオニンタンパク質キナーゼは複合的な細胞過程のシグナル伝達カスケードに関与し、それはタンパク質合成、細胞増殖、細胞分化、微小管重合/脱重合およびアポトーシスを含む多様な一連の細胞機能の調節に関与することが示されているタンパク質キナーゼである。
【0112】
xxxiv) ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤;ヒストンデアセチラーゼを阻止し、そして抗増殖活性を有する;例えば第WO0222577号に開示される化合物、特にN−ヒドロキシ−3−[4−[[(2−ヒドロキシエチル)[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドおよびN−ヒドロキシ−3−[4−[[[2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル]−アミノ]メチル]フェニル]−2E−2−プロペンアミドならびにその薬学的に許容される塩;スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA);[4−(2−アミノ−フェニルカルバモイル)−ベンジル]−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステルおよびその誘導体;酪酸、ピロキサミド、トリコスタチンA、オキサムフラチン、アピシジン、デプシペプチド;デプデシン;トラポキシン、シクロ[L−アラニル−D−アラニル−(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−D−プロピル](9CI)としても公知であるHC毒素;フェニル酪酸ナトリウム、スベロイルビス−ヒドロキサム酸;トリコスタチンA、BMS−27275、ピロキサミド、FR−901228、バルプロ酸。
【0113】
xxxv) HSP90阻害剤;HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する;ユビキチンプロテオソーム経路を介してHSP90クライアントタンパク質を分解するか、標的とするか、低下させるか、または阻止する。HSP90の内因性ATPアーゼ活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物は特にHSP90のATPアーゼ活性を阻止する化合物、タンパク質または抗体、例えば17−アリルアミノ、17−デメトキシゲルダナマイシン(17AAG)、ゲルダナマイシン誘導体;その他のゲルダナマイシン関連化合物;ラジシコールおよびHDAC阻害剤である。HSP90阻害剤のその他の実例には、ゲルダナマイシン、17−デメトキシ−17−(2−プロペニルアミノ)が挙げられる。HSP90阻害剤の可能性のある間接標的にはFLT3、BCR−ABL、CHK1、CYP3A53および/またはNQ012が含まれる。ニロチニブはBCR−ABLチロシンキナーゼ阻害剤の実例である。
【0114】
xxxvi) I−カッパB−アルファキナーゼ阻害剤(IKK);NF−カッパBを標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えば2−プロペンニトリル、3−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−(2E)。
xxxvii) インスリン受容体チロシンキナーゼ阻害剤;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ、微小管関連タンパク質およびS6キナーゼの活性を調整する;例えばヒドロキシル−2−ナフタレニルメチルホスホン酸、LY294002。
xxxviii) c−JunN−末端キナーゼ(JNK)キナーゼ阻害剤;JunN−末端キナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばピラゾールアンスロンおよび/または没食子酸エピガロカテキン。JunN−末端キナーゼ(JNK)、セリン指向性タンパク質キナーゼはc−JunおよびATF2のリン酸化および活性化に関与し、そして代謝、成長、細胞分化およびアポトーシスにおいて重要な役割を果たす。JNKキナーゼ阻害剤の標的には、限定するものではないがDNMTが含まれる。
【0115】
xxxix) 微小管結合薬;有糸分裂および静止期細胞機能に必須である微小管ネットワークを妨害することにより作用する;例えばビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン;ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;ビノレルビン;タキサン系、例えばタキサン系、例えばドセタキセル;パクリタキセル;ディスコデルモリド系;コヒチン(cochicine)、エポチロン系およびその誘導体、例えばエポチロンBまたはその誘導体。パクリタキセルはTAXOL(登録商標)として;ドセタキセルはTAXOTRE(登録商標)として;硫酸ビンブラスチンはVINBLASTIN R.P(登録商標)として;および硫酸ビンクリスチンはFARMISTIN(登録商標)として市販されている。パクリタキセルのジェネリック形態およびパクリタキセルの種々の投薬形態もまた含まれる。パクリタキセルのジェネリック形態には、限定するものではないが塩酸ベタクソロールが含まれる。パクリタキセルの種々の投薬形態には、限定するものではないがABRAXANE(登録商標)として市販されているアルブミンナノ粒子パクリタキセル;ONXOL(登録商標)、CYTOTAX(登録商標)が含まれる。例えば米国特許第5010099号に開示されるようにディスコデルモリドを入手することができる。米国特許第6194181号、第WO98/0121号、第WO9825929号、第WO9808849号、第WO9943653号、第WO9822461号および第WO0031247号に開示されるエポトリン(Epotholine)誘導体もまた含まれる。特に好ましいのはエポトリン(Epotholine)Aおよび/またはBである。
【0116】
xl) マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤;マイトジェン活性化タンパク質を標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばベンゼンスルホンアミド、N−[2−[[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロペニル]メチル]アミノ]メチル]フェニル]−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−メトキシ。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは種々の細胞外刺激に応答して活性化され、そして細胞表面から核へのシグナル伝達を媒介するタンパク質セリン/スレオニンキナーゼの一群である。それらは炎症、アポトーシス性細胞死、癌遺伝子形質転換、腫瘍細胞浸潤および転移を含むいくつかの生理学的および病理学的細胞現象を調節する。
【0117】
xli) MDM2阻害剤;MDM2およびp53腫瘍抑制因子の相互作用を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばトランス−4−ヨード、4'−ボラニル−カルコン。
xlii) MEK阻害剤;MAPキナーゼMEKのキナーゼ活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばソラフェニブ、例えばNexavar(登録商標)(トシル酸ソラフェニブ)、ブタンジニトリル、ビス[アミノ[2−アミノフェニル)チオ]メチレン]。MEK阻害剤の標的には、限定するものではないがERKが含まれる。MEK阻害剤の間接標的には、限定するものではないがサイクリンD1が含まれる。
【0118】
xliii) マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMP)阻害剤;腫瘍周囲の組織構造の喪失の促進、ならびに腫瘍成長、血管形成および転移の亢進に関与する酵素MMP−2およびMMP−9を含む、ポリペプチド結合の加水分解を選択的に触媒するプロテアーゼ酵素のクラスを標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばブタンジアミド、N−4−ヒドロキシ−N1−[(1S)−1−[[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−2−メチルプロピル]−2−ペンチル−、(2R)−(9CI)としても公知であるアクチノニン;没食子酸エピガロカテキン;コラーゲンペプチド擬似物質および非ペプチド擬似物質阻害剤;テトラサイクリン誘導体、例えばヒドロキサマートペプチド擬似物質阻害剤バチマスタット;ならびにその経口投与可能な類似体マリマスタット、プリノマスタット、メタスタット、ネオバスタット、タノマスタット、TAA211、BMS−279251、BAY12−9566、MMI270BまたはAAJ996。MMP阻害剤の標的には、限定するものではないがポリペプチド脱ホルミル酵素が含まれる。
【0119】
xliv) NGFRチロシンキナーゼ阻害剤;神経成長因子依存性p140c−trkチロシンリン酸化を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばチロホスチンAG879。NGFRチロシンキナーゼ阻害剤の標的には、限定するものではないがHER2、FLK1、FAK、TrkAおよび/またはTrkCが含まれる。間接標的はRAF1の発現を阻止する。
xlv) SAPK2/p38キナーゼ阻害剤を含むp38MAPキナーゼ阻害剤;MAPKファミリーメンバーであるp38−MAPKを標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばフェノール、4−[4−(4−フルオロフェニル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]。SAPK2/p38キナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないがベンズアミド、3−(ジメチルアミノ)−N−[3−[(4−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]−4−メチルフェニル]が挙げられる。MAPKファミリーメンバーはチロシンおよびスレオニン残基のリン酸化により活性化されるセリン/スレオニンキナーゼである。このキナーゼは多くの細胞性ストレスおよび炎症性刺激によりリン酸化および活性化され、アポトーシスおよび炎症性反応のような重要な細胞性応答の調節に関与すると考えられる。
【0120】
xlvi) p56チロシンキナーゼ阻害剤;T細胞発達および活性化に必須であるリンパ系特異的srcファミリーチロシンキナーゼである酵素であるp56チロシンキナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば2−アントラセンカルボキシアルデヒド、9,10−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−1メトキシ−9,10−ジオキソとしても公知であるダムナカンタール、チロホスチン46。p56チロシンキナーゼ阻害剤の標的には、限定するものではないがLckが含まれる。LckはCD4、CD8およびIL−2受容体のベータ鎖の細胞質ドメインに関連し、そしてTCR媒介T細胞活性化の最も初期の工程に関与すると考えられる。
【0121】
xlvii) PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤;C−kit受容体チロシンキナーゼ(PDGFRファミリーの一部)の活性を標的とするか、低下させるか、または阻止し、例えばc−Kit受容体チロシンキナーゼファミリーの活性を標的とするか、低下させるか、または阻止し、特にc−Kit受容体を阻止する。PDGFRチロシンキナーゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがPDGFR、FLT3および/またはc−KITが挙げられる;例えばチロホスチンAG1296;チロホスチン9;1,3−ブタジエン−1,1,3−トリカルボニトリル、2−アミノ−4−(1H−インドール−5−イル);N−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体、例えばイマチニブ、IRESSA(登録商標)。PDGFは正常細胞ならびに癌、アテローム性動脈硬化症および線維性疾患のような種々の疾病状態における細胞増殖、走化性および生存の調節において中心的な役割を果たす。PDGFファミリーは二つの受容体チロシンキナーゼに対する差次的な結合によりその細胞性効果を奏する二量体アイソフォーム(PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、PDGF−CCおよびPDGF−DD)からなる。PDGFR−αおよびPDGFR−βは各々〜170および180kDaの分子量を有する。
【0122】
xlviii) ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ阻害剤;PI3−キナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば3H−フロ[4,3,2−de]インデノ[4,5−h]−2−ベンゾピラン−3,6,9−トリオン、11−(アセチルオキシ)−1,6b,7,8,9a,10,11,11b−オクタヒドロ−1−(メトキシメチル)−9a,11b−ジメチル−,(1S,6bR,9aS,11R,11bR)−(9CI)としても公知であるウォルトマニン;8−フェニル−2−(モルホリン−4−イル)−クロメン−4−オン;クエルセチン、クエルセチン二水和物。PI3−キナーゼ活性はインスリン、血小板由来成長因子、インスリン様成長因子、上皮成長因子、コロニー刺激因子および肝細胞成長因子を含む多くのホルモン性および成長因子刺激に応答して増加することが示されており、そして細胞成長および形質転換に関係する過程に関与している。ホスファチジルイノシトール3キナーゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがPi3Kが挙げられる。
【0123】
xlix) ホスファターゼ阻害剤;ホスファターゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばカンタリジン酸(cantharidic acid);カンタリジン;およびL−ロイシンアミド、N−[4−(2−カルボキシエテニル)ベンゾイル]グリシル−L−α−グルタミル−(E)。ホスファターゼはホスホリル基を除去し、そしてタンパク質をその元来の脱ホスホリル化状態に復元する。したがってホスホリル化−脱ホスホリル化サイクルを分子「オン−オフ」スイッチと称することができる。
l) 白金剤;白金を含有し、そしてDNA分子の鎖間および鎖内架橋を形成することによりDNA合成を阻止する;例えばカルボプラチン;シスプラチン;オキサリプラチン;シスプラチナム;サトラプラチンおよびZD0473、BBR3464のような白金剤。カルボプラチンを例えばそれが市販されているような形態、例えばCARBOPLAT(登録商標)で;およびオキサリプラチンをELOXATIN(登録商標)として投与することができる。
【0124】
li) PP1およびPP2阻害剤を含むタンパク質ホスファターゼ阻害剤ならびにチロシンホスファターゼ阻害剤;タンパク質ホスファターゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する。PP1およびPP2A阻害剤の実例にはカンタリジン酸(cantharidic acid)および/またはカンタリジンが挙げられる。チロシンホスファターゼ阻害剤の実例には、限定するものではないがシュウ酸L−P−ブロモテトラミソール;2(5H)−フラノン、4−ヒドロキシ−5−(ヒドロキシメチル)−3−(1−オキソヘキサデシル)−、(5R);およびベンジルホスホン酸が挙げられる。
「PP1またはPP2阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはSer/Thrタンパク質ホスファターゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。PP1を含むI型ホスファターゼをインヒビター1(I−1)およびインヒビター2(I−2)としても公知の二つの熱安定性タンパク質により阻止することができる。それらはホスホリラーゼキナーゼのサブユニットを優先的に脱リン酸化する。II型ホスファターゼはホスファターゼの自発活性型(PP2A)、CA2+依存性(PP2B)およびmg2+依存性(PP2C)クラスにさらに分けられる。
「チロシンホスファターゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはチロシンホスファターゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)は比較的最近ホスファターゼファミリーに加えられる。それらはタンパク質のリン酸化チロシン残基からリン酸基を除去する。PTPは多様な構造的様相を示し、そして細胞増殖、分化、細胞接着および運動性、ならびに細胞骨格機能の調節において重要な役割を果たす。チロシンホスファターゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがアルカリ性ホスファターゼ(ALP)、ヘパラナーゼ、PTPアーゼおよび/または前立腺酸性ホスファターゼが挙げられる。
【0125】
lii) PKC阻害剤およびPKCデルタキナーゼ阻害剤:「PKC阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはタンパク質キナーゼCおよびそのアイソザイムを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。タンパク質キナーゼC(PKC)、遍在性のリン脂質依存性酵素は細胞増殖、分化およびアポトーシスに関連するシグナル伝達に関与する。PKC阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがMAPKおよび/またはNF−カッパBが挙げられる。PKC阻害剤の実例には、限定するものではないが1−H−ピロロ−2,5−ジオン、3−[1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1H−インドール−3−イル]−4−(1H−インドール−3−イル);ビスインドリルマレイミドIX;4−オクタデセン−1,3−ジオール、2−アミノ−、(2S,3R,4E)−(9CI)としても公知であるスフィンゴシン;9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−lm]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾニン−1−オンとしても公知であるスタウロスポリン、欧州特許第0296110号に開示されるようなスタウロスポリン誘導体、例えばミドスタウリン;2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−11−(メチルアミノ)−、(9S,10R,11R,13R)−(9CI);チロホスチン51;およびフェナントロ[1,10,9,8−opqra]ペリレン−7,14−ジオン、1,3,4,6,8,13−ヘキサヒドロキシ−10,11−ジメチル−、立体異性体(6CI、7CI、8CI、9CI)としても公知であるヒペリシン、UCN−01、サフィンゴール、BAY43−9006、ブリオスタチン1、ペリホシン;ルモホシン(llmofosine);RO318220およびRO320432;GO6976;Isis3521;LY333531/LY379196が挙げられる。「PKCデルタキナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはPKCのデルタアイソザイムを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。デルタアイソザイムは従来のPKCアイソザイムであり、そしてCa2+依存性である。PKCデルタキナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないが2−プロペン−1−オン、1−[6−[(3−アセチル−2,4,6−トリヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−5,7−ジヒドロキシ−2,2−ジメチル−2H−1−ベンゾピラン−8−イル]−3−フェニル−、(2E)−(9CI)としても公知であるロットレリン(Rottlerin)が挙げられる。
【0126】
liii) ポリアミン合成阻害剤;ポリアミン系スペルミジンを標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば(−)−2−ジフルオロメチルオルニチンとしても公知であるDMFO;N1,N12−ジメチルスペルミン4HCl。ポリアミン系スペルミジンおよびスペルミンは細胞増殖に極めて重要であるが、その作用の正確なメカニズムは明確ではない。腫瘍細胞は生合成酵素の活性の上昇およびポリアミンプールの増加により反映されるポリアミン恒常性が変化している。
liv) プロテオソーム(proteosome)阻害剤;プロテアソームを標的とするか、低下させるか、または阻止する、例えばアクラシノマイシンA;グリオトキシン;PS−341;MLN341;ボルテゾミブ;ベルケイド。プロテオソーム(proteosome)阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがO(2)(−)発生NADPHオキシダーゼ、NF−カッパB、および/またはファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルトランスフェラーゼIが挙げられる。
lv) PTP1B阻害剤;PTP1Bを標的とするか、低下させるか、または阻止するタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;例えばL−ロイシンアミド、N−[4−(2−カルボキシエテニル)ベンゾイル]グリシル−L−α−グルタミンル−、(E)。
【0127】
lvi) SRCファミリーチロシンキナーゼ阻害剤を含むタンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;Sykチロシンキナーゼ阻害剤;およびJAK−2および/またはJAK−3チロシンキナーゼ阻害剤;
「タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはタンパク質チロシンキナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)は細胞増殖、分化、代謝、遊走および生存の調節におて重要な役割を果たす。これらは受容体PTKおよび非受容体PTKとしてクラス分けされる。受容体PTKは膜貫通セグメントを有する単一のポリペプチド鎖を含有する。このセグメントの細胞外末端は高親和性リガンド結合ドメインを含有するが、細胞質末端は触媒コアおよび調節配列を含む。チロシンキナーゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがERK1、ERK2、ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)、JAK2、ERK1/2、PDGFRおよび/またはFLT3が挙げられる。間接標的の実例には、限定するものではないがTNFアルファ、NO、PGE2、IRAK、iNOS、ICAM−1および/またはEセレクチンが挙げられる。チロシンキナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないがチロホスチンAG126;チロホスチンAg1288;チロホスチンAg1295;ゲルダナマイシン;およびゲニステインが挙げられる。
【0128】
非受容体チロシンキナーゼにはSrc、Tec、JAK、Fes、Abl、FAK、CskおよびSykファミリーのメンバーが含まれる。それらは細胞質および核に位置する。それらは特有なキナーゼ調節、基質リン酸化および機能を呈する。これらのキナーゼの調節解除はまたいくつかのヒト疾患にも関連している。
「SRCファミリーチロシンキナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはSRCを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。SRCファミリーチロシンキナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないが1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン、1−(1,1−ジメチルエチル)−3−(1−ナフタレニル)−(9CI)としても公知であるPP1;および1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−アミン、3−(4−クロロフェニル)−1−(1,1−ジメチルエチル)−(9CI)としても公知であるPP2が挙げられる。
「Sykチロシンキナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはSykを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。Sykチロシンキナーゼ阻害剤に関する標的の実例には、限定するものではないがSyk、STAT3および/またはSTAT5が挙げられる。Sykチロシンキナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないが1,2−ベンセンジオール、4−[(1E)−2−(3,5−ジヒドロキシフェニル)エテニル]−(9CI)としても公知であるピセアタンノールが挙げられる。
【0129】
「ヤヌス(JAK−2および/またはJAK−3)チロシンキナーゼ阻害剤」なる用語は、本明細書にて使用される際にはヤヌスチロシンキナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物に関する。ヤヌスチロシンキナーゼ阻害剤は抗血栓性、抗アレルギー性および免疫抑制性特性を有する抗白血病薬であることが示されている。JAK−2および/またはJAK−3チロシンキナーゼ阻害剤の標的には、限定するものではないがJAK2、JAK3、STAT3が挙げられる。JAK−2および/またはJAK−3チロシンキナーゼ阻害剤の間接標的には、限定するものではないがCDK2が挙げられる。JAK−2および/またはJAK−3チロシンキナーゼ阻害剤の実例には、限定するものではないがチロホスチンAG490;および2−ナフチルビニルケトンが挙げられる。
c−Ablファミリーメンバーおよびその遺伝子融合生成物の活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物には例えばPD180970;AG957;またはNSC680410が挙げられる。
【0130】
lvii) レチノイド;レチノイド依存性受容体を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えばイソトレチノイン、トレチノイン、アリトレチノイン、ベキサロテン。
lviii) RNAポリメラーゼII伸長阻害剤;CHO細胞のインスリン刺激による核および細胞質p70S6キナーゼを標的とするか、低下させるか、または阻止する;カゼインキナーゼIIに依存し得るRNAポリメラーゼII転写を標的とするか、低下させるか、または阻止する;およびウシ卵母細胞における卵核胞崩壊を標的とするか、低下させるか、または阻止する;例えば5,6−ジクロロ−1−ベータ−D−リボフラノシルベンズイミダゾール。
lvix) セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤;セリン/スレオニンキナーゼを阻止する;例えば2−アミノプリン。セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤の標的の実例には、限定するものではないがdsRNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)が挙げられる。セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤の間接標的の実例には、限定するものではないがMCP−1、NF−カッパB、elF2アルファ、COX2、ランテス、IL8、CYP2A5、IGF−1、CYP2B1、CYP2B2、CYP2H1、ALAS−1、HIF−1、エリトロポイエチンおよび/またはCYP1A1が挙げられる。
【0131】
lx) ステロール生合成阻害剤;コレステロールのようなステロールの生合成を阻止する;例えばテルビナジン(terbinadine)。ステロール生合成阻害剤に関する標的の実例には、限定するものではないがスクアレンエポキシダーゼおよびCYP2D6が挙げられる。
lxi) トポイソメラーゼ阻害剤;トポイソメラーゼI阻害剤およびトポイソメラーゼII阻害剤を含む。トポイソメラーゼI阻害剤の実例には、限定するものではないがトポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテカンおよびその類似体、9−ニトロカンプトテシンおよび高分子カンプトテシン抱合体PNU−166148(第WO9917804号におけるコンパウンドA1);10−ヒドロキシカンプトテシン、例えば酢酸塩;イダルビシン、例えば塩酸塩;イリノテカン、例えば塩酸塩;エトポシド;テニポシド;トポテカン、塩酸トポテカン;ドキソルビシン;エピルビシン、塩酸エピルビシン;ミトキサントロン、ミトキサントロン例えば塩酸塩;ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、バルルビシン、ダサチニブ(BMS−354825)が挙げられる。イリノテカンを例えばそれが、例えば商標CAMPTOSAR(登録商標)の下で、市販されているような形態で投与することができる。トポテカンを例えばそれが、例えば商標HYCAMTIN(登録商標)の下で、市販されているような形態で投与することができる。「トポイソメラーゼII阻害剤」なる用語には、本明細書にて使用される際には、限定するものではないがアントラサイクリン系、例えばリポソーム処方を含むドキソルビシン、例えばCAELYX(登録商標)、リポソーム処方を含むダウノルビシン、例えばDAUNOSOME(登録商標)、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン;アントラキノン系ミトキサントロンおよびロソキサントロン;ならびにポドフィロトキシン系エトポシドおよびテニポシドが含まれる。エトポシドはETOPOPHOS(登録商標)として;テニポシドはVM26−BRISTOL(登録商標)として;ドキソルビシンはADRIBLASTIN(登録商標)またはADRIAMYCIN(登録商標)として;エピルビシンはFARMORUBICIN(登録商標)として、イダルビシンはZAVEDOS(登録商標)として;およびミトキサントロンはNOVANTRON(登録商標)として市販されている。
【0132】
lxii) VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;公知の血管形成成長因子ならびに正常および病理学的血管形成の調整に関係するサイトカインをを標的とする、低下させる、および/または阻止する。VEGFファミリー(VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)およびその対応する受容体チロシンキナーゼ[VEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(Flk−1、KDR)、およびVEGFR−3(Flt−4)]は血管形成およびリンパ管形成過程の複合的な面を調節するのに最重要な、そして不可欠な役割を果たす。VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の実例には3−(4−ジメチルアミノベンジリデニル)−2−インドリノンが挙げられる。VEGFRの活性を標的とするか、低下させるか、または阻止する化合物は特にVEGF受容体チロシンキナーゼを阻止するか、VEGF受容体を阻止するか、またはVEGFに結合する化合物、タンパク質または抗体であり、そしてとりわけ第WO9835958号に、例えば1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン、もしくはその薬学的に許容される塩、例えばコハク酸塩、または第WO0009495号、第WO0027820号、第WO0059509号、第WO9811223号、第WO0027819号および欧州特許第0769947号に一般的および具体的に開示されているこれらの化合物、タンパク質またはモノクローナル抗体;例えばM. Prewett et al, Cancer Research 59:5209−5218(1999)、F. Yuan et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:14765−14770(Dec. 1996)、Z. Zhu et al, Cancer Res. 58:3209−3214(1998)、およびJ. Mordenti et al, Toxicologic Pathology 27(1):14−21(1999)に;第WO0037502号および第WO9410202号に記載されるようなもの;M. S. O'Reilly et al, Cell 79:315−328(1994)に記載されるアンジオスタチン;M. S. O'Reilly et al, Cell 88:277−285(1997)に記載されるエンドスタチン;アントラニル酸アミド系;ZD4190;ZD6474(バンデタニブ);SU5416;SU6668;または抗VEGF抗体もしくは抗VEGF受容体抗体、例えばRhuMab(ベバシズマブ)である。抗体とは無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも二つの無傷の抗体から形成される多選択性抗体および望ましい生物学的活性を呈する限り抗体フラグメントを意味する。VEGF−R2阻害剤の実例には、例えばアキシチニブが挙げられる。
【0133】
lxiii) ゴナドレリンアゴニスト、例えばアバレリクス、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン。
lxiv) 細胞分化過程を誘起する化合物、例えばレチノイン酸、アルファ−、ガンマ−もしくは8−トコフェロールまたはアルファ−、ガンマ−もしくは8−トコトリエノール。
lxv) ビスホスホネート、例えばエトリドン(etridonic)酸、クロドロン酸、チルドロン酸、パミドロン酸、アレンドロン酸、イバンドロン酸、リセドロン酸およびゾレドロン酸を含む。
lxvi) ヘパラン硫酸分解を防御するヘパラナーゼ阻害剤、例えばPI−88。
lxvii) 生物学的応答修飾因子、好ましくはアリンホカイン(alymphokine)またはインターフェロン系、例えばインターフェロンアルファ。
【0134】
lxviii) テロメラーゼ阻害剤、例えばテロメスタチン。
lxix) メディエーター、例えばカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの阻害剤、例えばエンタカポン。
lxx) イスピネシブ、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、スニチニブ(SU11248)、ジエチルスチルベストロール(DES)、BMS224818(LEA29Y)。
lxxi) ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体、例えばオクトレオチド(Sandostatin(登録商標)またはSandostatin LAR(登録商標))。
lxxii) 成長ホルモン受容体アンタゴニスト、例えばペグビソマント、フィルグラスチムもしくはペグフィルグラスチム、またはインターフェロンアルファ。
【0135】
lxxiii) 例えば白血病(AML)処置に有用なモノクローナル抗体、例えばアレムツズマブ(Campath(登録商標))、リツキシマブ/Rituxan(登録商標))、ゲムツズマブ(オゾガミシン、Mylotarg(登録商標))、エプラツズマブ。
lxxiv) アルトレタミン、アムサクリン、アスパラギナーゼ(Elspar(登録商標))、デニロイキンディフィトックス、マソプロコール、ペガスパルガーゼ。
lxxv) ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばアナグレリド(Agrylin(登録商標)、Xagrid(登録商標))。
lxxvi) 癌ワクチン、例えばMDX−1379。
【0136】
所望により本明細書に示されるような抗癌薬と組み合わされた、本発明の薬剤、例えばまたはCCR9薬剤での癌処置は、放射線治療に随伴され得る。所望により抗癌薬と組み合わされた本発明の化合物での癌処置は、例えば別の抗癌薬またはその他の癌治療での処置後の第二選択処置にできる。
【0137】
本発明の薬剤またはIBD薬剤、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせパートナーとして有用である傾向のある麻酔薬には、例えばエタノール、ブピバカイン、クロロプロカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、ロピバカイン、テトラカイン、デスフルラン、イソフルラン、ケタミン、プロポフォール、セボフルラン、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、マーカイン、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、レミフェンタニル、スフェンタニル、ブトルファノール、ナルブフィン、トラマドール、ベンゾカイン、ジブカイン、塩化エチル、キシロカインおよびフェナゾピリジンが含まれる。
【0138】
本発明の薬剤またはIBD薬剤、例えばまたはCCR9薬剤との組み合わせパートナーとして有用である傾向のある止瀉薬にはジフェノキシラート、ロペラミド、コデインが含まれる。
本発明のIBD薬剤およびCCR9薬剤を含む薬剤がその他の薬物と組み合わされて投与される場合、同時投与される第二の薬物の投薬量はもちろん本発明の化合物の場合のように、用いられる併用薬の型、用いられる具体的な薬物、処置される症状に依存して異なる。一般的に第二の薬物の供給者により提供されるものに類似する投薬量が適切であり得る。
【0139】
本明細書に示されるような本発明の化合物の化学名はISIS、バージョン2.5(AutoNom 2000 Name)からの複写である。第二の医薬物質およびその他の物質の化学名はインターネット、例えばSCI FINDERのような検索プログラムを介して得ることができる。
以下の実施例では、全ての温度はセルシウス度である。
以下の略語を使用する:
EtOAc 酢酸エチル
RT 室温
【実施例】
【0140】
実施例1
4−tert.−ブチル−N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
(表1の化合物1)
2−アミノ−5−クロロ−ベンゾニトリル0.15gおよび塩化4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニル0.23gの溶液をNMP(N−メチル2−ピロリドン)2mlに溶解し、そして氷浴中5℃まで冷却する。カリウムtert.−ブチラート(THF中1N)の溶液2.5mlを加え、得られた混合物を30分間攪拌し、水でクエンチし、そして得られた混合物から溶媒を蒸発させる。蒸発残留物をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、そして乾燥させる。溶媒を蒸発させ、そして蒸発残留物を逆相カラムのクロマトグラフィーに供する。4−tert.−ブチル−N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミドが得られる。
1H-NMR(DMSO):1.27(s, 9H), 7.06(d, J=8.5Hz, 1H), 7.57-7.70(m, 5H), 7.99(d, J=2Hz, 1H), 10.6(broad s, 1H, NH)
【0141】
実施例2
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステル
(表1の化合物26)
ピリジン30ml中2−アミノ−5−クロロ安息香酸メチルエステル2.54gの溶液に塩化4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニル3.18gを加える。混合物を室温で72時間攪拌し、得られた混合物から溶媒を蒸発させ、そして蒸発残留物をEtOAcに取り、そして洗浄する。得られた有機層を乾燥させ、そして溶媒を真空下蒸発させる。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィーに供する。
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステルが白色固体の形態で得られる。
【0142】
実施例3
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼン−スルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸
(表1の化合物27)
2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステル3.58gを水およびTHFの1:1混合物80mlに溶解する。LiOH×HO 1.19gを加え、そして得られた混合物を室温で18時間攪拌する。有機溶媒を真空下蒸発させ、そして得られた水相をCHClで洗浄し、6N HClの添加によりpH4にし、そしてEtOAcで抽出する。得られた有機層を乾燥させ、そして溶媒を蒸発させる。2−(4−tert.−ブチル−ベンゼン−スルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸が得られる。
1H-NMR(DMSO)δ1.23(s, 9H), 7.53(d, J=9Hz, 1H), 7.58(broad d, J=7Hz, 2H), 7.61(dd, J=2.6 and 9Hz, 1H), 7.74(broad d, J=7Hz, 2H), 7.83(d, J=2.6Hz, 1H), 11.1(broad, 1NH)
【0143】
実施例1から3に記載されるような方法に類似するが、適切な出発材料(中間体)を使用して、以下の表1で定義される融点(℃)を有する式:
【化5】

(式中、RおよびRは以下の表1で示すとおりである)の化合物が得られる:
【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
【表5】

【0148】
【表6】

表1の「CP」とは「化合物番号」を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

〔式中、
およびRは別個に例えば非置換フェニルおよび1個以上の;
(C1−6)アルキル;
ハロ(C1−4)アルキル;
(C3−12)シクロアルキル;
(C1−4)アルコキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシ;
シアノ;または
ハロゲン;
により置換されたフェニルを含むフェニルである。
ただしRおよびRの少なくとも一方はシアノで置換されたフェニルであり、そして化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミドは除外される。〕
の化合物。
【請求項2】
4−tert.−ブチル−N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert.−ブチル−N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
4−tert−ブチル−N−(2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(4−シアノ−2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
2−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
2,4−ジクロロ−N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−2,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−クロロ−2−シアノ−フェニル)−2−メトキシ−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
4−tert−ブチル−N−(3−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(5−クロロ−2−シアノ−フェニル)−4−メチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(4−シアノ−2−トリフルオロメトキシ−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−クロロ−4−シアノ−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(3−クロロ−4−シアノ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(3−シアノ−フェニル)−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンスルホンアミド;
2,4−ジクロロ−N−(4−シアノ−2−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステル;
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステル;
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
5−クロロ−2−(4−シクロヘキシル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
2−(4−アダマンタン−1−イル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
4−tert−ブチル−N−(2−シアノ−5−メチル−フェニル)−ベンゼンスルホンアミ;および
N−(4−シアノ−2−メチル−フェニル)−3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド;
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
塩の形態の請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
医薬として使用するための請求項1から3のいずれかに記載の化合物または化合物N−(2−シアノフェニル)−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド。
【請求項5】
少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤と共に請求項1から4のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項6】
CCR9活性により媒介される障害の処置のための医薬の製造のための請求項1から4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
CCR9活性により媒介される障害の処置のための医薬の製造のための請求項1から5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項8】
炎症性腸疾患の処置のための医薬の製造のための遊離形態、または塩の形態の式:
【化2】

〔式中、
R'およびR'は別個に非置換フェニルまたは1個以上の;
(C1−6)アルキル;
ハロ(C1−4)アルキル;
(C3−12)シクロアルキル;
(C1−4)アルコキシ;
(C6−12)アリール(C1−4)アルコキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシ;
カルボキシ;
シアノ;もしくは
ハロゲン;
により置換されたフェニルであり、
ここでRおよびRの意味における少なくとも一つのフェニルはカルボキシまたはシアノである。〕
の化合物の使用。
【請求項9】
CCR9活性により媒介される障害の処置のための医薬の製造のための式:
【化3】

〔式中、
R”およびR”は別個に例えば非置換フェニルおよび1個以上の;
(C1−6)アルキル;
ハロ(C1−4)アルキル;
(C3−12)シクロアルキル;
(C1−4)アルコキシ;
(C6−12)アリール(C1−4)アルコキシ;
ハロ(C1−4)アルコキシ;
(C1−4)アルコキシカルボニル;または
ハロゲン;
により置換されたフェニルを含むフェニルであり、
ただしRまたはRの意味における少なくとも一つのフェニルは(C1−4)アルコキシカルボニルで置換されている。〕
の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1から4のいずれかに記載の化合物または請求項5に記載の医薬組成物および第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ。
【請求項11】
炎症性腸疾患の処置のための、所望により医薬組成物の形態の請求項8に記載の化合物および第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ。
【請求項12】
CCR9活性により媒介される障害の処置のための所望により医薬組成物の形態の請求項9に記載の化合物および第二の医薬物質を含む医薬用組み合わせ。
【請求項13】
治療上有効量の請求項1から4のいずれかに記載の化合物または請求項5に記載の医薬組成物または所望により第二の医薬物質と組み合わされた請求項9にて定義される化合物を、かかる処置を必要とする対象に投与することを含む、CCR9活性により媒介される障害の処置のための方法。
【請求項14】
所望により第二の医薬物質と組み合わされた治療上有効量の請求項8に記載の化合物をかかる処置を必要とする対象に投与することを含む炎症性腸疾患の処置のための方法。
【請求項15】
遊離形態または塩の形態の:
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
2−(4−ベンジルオキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
5−クロロ−2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;
2−(4−tert.−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
5−クロロ−2−(4−シクロヘキシル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸;および
2−(4−アダマンタン−1−イル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸;
からなる群から選択される化合物。
【請求項16】
遊離形態または塩の形態の:
5−ブロモ−2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−安息香酸メチルエステル;および
2−(4−tert−ブチル−ベンゼンスルホニルアミノ)−5−クロロ−安息香酸メチルエステル;
からなる群から選択される化合物。

【公表番号】特表2009−520738(P2009−520738A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546283(P2008−546283)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012476
【国際公開番号】WO2007/071443
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】