説明

CD200に対する抗体および免疫応答への使用

本開示は、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害することによって、免疫応答を阻害するための方法および組成物を提供する。本開示は、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害することによって、移植片拒絶を阻害し、移植片生着を促進または延長するための方法および組成物も提供する。ある特定の実施形態では、本開示は、体液性免疫応答を阻害する必要のある対象における、体液性免疫応答の阻害方法であって、対象に有効量の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、対象に免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップをさらに含む方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年7月25日に出願された米国仮特許出願第60/962,022号の利益を主張し、この米国仮特許出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、OX−2/CD200(本明細書ではCD200と呼ばれる)結合剤、および免疫応答の防止または阻害方法に関する。本明細書に記載される組成物および方法は、自己免疫障害を有する患者および移植片レシピエントを治療するのに使用することができる。移植片の寛容性を促進するための治療の方法には、移植体または移植片のレシピエントに、抗CD200抗体などのCD200結合剤を投与し、それによって移植片生着を延長することが含まれる。
【背景技術】
【0003】
(背景)
免疫細胞は、感染因子などの外来侵入物を攻撃および排除するのを助長する。しかし、自己免疫障害、アレルギー、および組織移植体または臓器移植体の拒絶反応などの、ある特定の場合では、免疫系は、疾患の原因となる場合がある。ドナーからレシピエントへの移植片(例えば、細胞、組織、または臓器)の移植では、移植片に対するレシピエントの免疫反応は、疾患を引き起こす。それにもかかわらず、細胞、組織および臓器の移植は、非常に一般的であり、救命手順であることが多い。臓器移植は、慢性臓器不全を有する大部分の患者にとって好適な治療である。移植体の免疫拒絶(すなわち、移植片拒絶)を阻止するための治療が大きく改善されているにもかかわらず、急性および慢性の両方の拒絶反応を含むこの拒絶反応は、臓器移植の成功に対する1つの最も大きな障害であり続けている。腎臓移植体についての1年生着率は、例えば、平均で、死亡したドナーからの腎臓で88.3%、生体ドナーから受け取った腎臓で94.4%である。移植された腎臓についての対応する5年生着率は、63.3%および76.5%である(OPTN/SRTR Annual Report、2002年、Organ Procurement and Transplantation Network(OPTN)と共同して、Scientific Registry of Transplant Recipients(SRTR)によって作成された年報の第1章)。unos.org/data/ar2002/ar02_chapter_one.htm.のワールドワイドウェブを参照されたい。肝臓移植体については、1年生着率は、死亡したドナーおよび生体ドナーからの肝臓について、それぞれ80.2%および76.5%である。肝臓移植片の対応する5年生着率は、63.5%および73.0%である(OPTN/SRTR Annual Report、2002年、Organ Procurement and Transplantation Network(OPTN)と共同して、Scientific Registry of Transplant Recipients(SRTR)によって作成された年報の第1章)。unos.org/data/ar2002/ar02_chapter_one.htmのワールドワイドウェブを参照されたい。免疫抑制薬、特にシクロスポリンA、およびより最近ではタクロリムスの使用により、臓器移植の成功率が劇的に改善された。これらの薬剤は、急性の拒絶反応を阻止することにおいて特に成功している。しかしながら、上記の数値が示すように、移植後の短期間、特に長期間生着率の両方を改善する必要性が依然として存在する。
【0004】
多数の型の移植体が存在する。一個体から同じ個体に移植された移植片は、自己移植片または自家移植片と呼ばれる。2つの遺伝的に同一または同系の個体間で移植された移植片は、同系移植片と呼ばれる。同種の2つの遺伝的に異なる個体間で移植された移植片は、同種異系移植片または同種移植片と呼ばれ、異種の個体間で移植された移植片は、異種間の移植片または異種移植片と呼ばれる。
【0005】
現在、40,000を超える腎臓、心臓、肺、肝臓および膵臓の移植が、毎年米国で実施されている(Abbasら、2000年; Cellular and Molecular Immunology(4版)、363〜383頁(W.B. Saunders Company、New York)。他の可能な移植体として、それだけに限らないが、脈管組織、眼、角膜、水晶体、皮膚、骨髄、筋肉、結合組織、消化管組織、神経組織、骨、幹細胞、島、軟骨、肝実質細胞、および造血細胞が挙げられる。残念ながら、ドナーが存在するよりもはるかに多くの移植候補が存在する。この不足を克服するために、異種移植片の使用方法を学ぶための重要な取り組みが行われている。この分野で進展はしているが、現在のところ、大部分の移植片は同種移植片である。
【0006】
したがって、移植において、ドナーの遺伝学的バックグラウンドは、レシピエントの遺伝学的バックグラウンドと異なることが多く(例えば、同種移植(allotransplantation))、したがってドナーとレシピエントは、その組織適合抗原、すなわち、ヒトにおいてHLA系と呼ばれる、主要組織適合複合体(MHC)の抗原が異なる。したがって、レシピエントは、移植片を異物として認識し、様々な免疫応答は、移植片を拒絶および排除するように作用する。移植片拒絶は、移植片に対するレシピエントの免疫応答を指す。移植片拒絶において作用する免疫応答は、(1)移植後直ちに起こる強い拒絶反応である超急性拒絶反応;(2)移植後2〜3カ月以内に観察される急性拒絶反応(体液性拒絶反応の加速、およびデノボ急性体液性拒絶反応などの急性血管性拒絶反応も含められる);および(3)移植後数カ月間観察される慢性拒絶反応に分類することができる。拒絶反応は通常、T細胞に媒介された抗体攻撃および/または体液性の抗体攻撃の結果であるが、追加の二次的要因、サイトカイン、およびマクロファージなどの他の免疫細胞を含む場合がある。レシピエントの免疫細胞が、同種移植片において外来と認識する分子は、同種抗原と呼ばれ、異種移植片におけるこれらの分子は、異種抗原と呼ばれる。同種抗原または異種抗原と反応するレシピエントのリンパ球または抗体は、それぞれ、アロ反応性または異種反応性であると記述される。
【0007】
細胞性免疫(T細胞によって代表される免疫応答性細胞による)および液性免疫(抗体による)は、移植片拒絶において複雑に協調された様式で作用する(非特許文献1を参照されたい)。ドナー臓器からの抗原に対するT細胞応答は、急性拒絶反応を媒介すると一般に認められている。同種移植では、CD8+細胞傷害性T細胞は、同種移植片および/または移植片内の白血球(すなわち、抗原提示細胞)上に発現されるドナーMHC分子を認識する。同種移植片が、クラスIおよびクラスII部位の両方でレシピエントと異なる場合では、MHC分子の認識は、CD8+およびCD4+T細胞の両方を活性化をもたらす。同種のMHC抗原は、レシピエントのCD4+/Tヘルパー細胞を刺激するための1つのシグナルを提供するが、レシピエントのマクロファージは、第2のシグナルであるインターロイキン1(IL−1)を提供し、これはTヘルパー細胞の活性化に必須である。活性化されたTヘルパー細胞はIL−2を産生し、これは、細胞傷害性T細胞およびリンホカイン活性化キラー細胞を増殖させ、IL−4およびIL−6の放出をもたらす。さらに、IL−2は、インターフェロンγ、ならびに腫瘍壊死因子および他の炎症促進性サイトカインの放出を促進する。
【0008】
APC(抗原提示細胞、例えば、樹状細胞)も、上述したように移植片拒絶に関与する。同種移植抗原および異種移植抗原は、移植片に浸潤することができるレシピエントAPCによって処理され、間接的に提示され得る。ドナー抗原を提示するレシピエントAPCは、循環によってリンパ節に輸送され、そこでこれらはT細胞を活性化する。APCの活性は、リンパ球増殖およびドナー移植片への最終的なT細胞浸潤をもたらす。
【0009】
移植片拒絶における別の免疫応答は、抗ドナー抗体(同種移植の場合における同種抗体など)の産生であり、これはB細胞によって媒介される。しかし、この応答は、B細胞増殖、分化、抗体の分泌を刺激するCD4+T細胞の活性を必要とする。内皮細胞上に発現されるMHC抗原への同種抗体の結合は、補体経路および凝固経路を伴う複雑な応答を活性化し、これは最終的に炎症および移植片傷害をもたらす。同種抗体は、抗体分子のFc領域を介した抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)も媒介することができる。同種抗体および補体の活性は、超急性、急性体液性、および慢性の移植片の拒絶反応に重要となる場合があり、ドナーHLAクラスIまたはクラスII抗原に対する同種抗体は、様々な移植された臓器の慢性拒絶反応と関連づけられている。
【0010】
移植片拒絶の結果として、移植片は最終的に壊死性になる。さらに、レシピエントは、重度の全身性の症状、例えば、発熱、白血球増多症および疲労などだけでなく、移植部位での腫張および圧痛も発症する。感染症などの重度の合併症も起こり得る。
【0011】
免疫応答性細胞の機能を抑制する、限られた数の免疫抑制剤が、移植片拒絶を抑制するのに使用される。そのような免疫抑制剤として、シクロスポリン(CsA);タクロリムス(FK−506);アザチオプリン(AZ);ミコフェノール酸モフェチル(MMF);ミゾリビン(MZ);レフルノミド(LEF);副腎皮質ステロイド(副腎皮質ホルモン、コルチコステロイド、コルチコイドとしても知られる)、例えばプレドニゾロンおよびメチルプレドニゾロン;シロリムス(ラパマイシンとしても知られる);デオキシスペルグアリン(DSG);およびFTY720(フィンゴリモドとも呼ばれ、化学名:2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]−1,3−プロパンジオール塩酸塩)が挙げられる。T細胞の活性化に必要な共刺激シグナルを伝達することに関与する分子(共刺激シグナル伝達分子)である、CTLA−4およびCD28を遮断する薬剤も、免疫抑制剤として臨床的に開発中であり、そのような薬剤には、CTLA−4の可溶性領域およびこれをコードする遺伝子を使用するCTLA−4薬が含まれる。
【0012】
コルチコステロイドおよびサイトカインアンタゴニストなどの一般的な免疫抑制剤は、毒性および感染に対する抵抗性の低減を含めた望ましくない副作用を誘発する場合がある。したがって、自己免疫を治療し、移植片生着を促進することの、代替の、およびおそらくより特異的な方法が必要である。
【0013】
免疫抑制を誘発し、移植片生着を促進すると考えられている1つの分子は、OX−2、すなわちCD200である。CD200は、B細胞、いくつかのT細胞、樹状細胞、および他の細胞の表面上に発現され、免疫グロブリン遺伝子ファミリーの分子と高度の相同性を有する。CD200は、免疫抑制に関わっており、例えば、CD200発現細胞は、Th1サイトカイン産生の刺激を阻害することができることが示された(非特許文献2)。さらに、可溶性CD200は、マウスにおいて同種および異種移植片の生着を促進し、マウスにおいてヒツジ赤血球に対する抗体応答を減少させることが示された(非特許文献3)。さらに、CD200−ノックアウトマウスは、野生型のマウスと比較して、APC活性化を下方制御する能力の減少を示し、中枢神経系における慢性の炎症、過剰炎症反応、およびある特定の実験的な自己免疫障害に対する感受性の増大をもたらす(非特許文献4)。CD200の免疫抑制作用は、CD200の、その受容体であるCD200Rへの結合の結果であると考えられており(非特許文献4;非特許文献5)、これは、単球/骨髄系列、およびTリンパ球起源の細胞上に発現される。
【0014】
CD200は、免疫抑制作用を誘発することが示されているが、CD200に対する抗体は、これらの免疫抑制作用を阻害することが示されている。例えば、抗CD200抗体(抗−CD200 F(ab’)断片を含めて)は、マウスにおいてラット島異種移植片の、CD200Fcによって誘発された生着の延長を無効にした(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Rochaら、2003年、Immunol. Rev. 196巻:51〜64頁
【非特許文献2】Gorczynskiら、1998年 Transplantation 65巻:1106〜1114頁
【非特許文献3】Gorczynskiら 1999年 J. Immunol. 163巻:1654〜1660頁
【非特許文献4】Hoekら 2000年 Science 290巻:1768〜1771頁
【非特許文献5】Gorczynskiら 2000年 J. Immunol. 165巻:4854頁
【非特許文献6】Gorczynskiら 2002年 Transplantation. 73巻:1948〜53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記に論じた公開された報告に反して、本開示は、抗CD200抗体および抗CD200抗体を含む組成物は、移植片生着を促進することを実証する。したがって本開示は、移植片拒絶を阻害し、移植片生着を促進するための新規な組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
概要
本開示は、抗CD200抗体の投与により、移植された組織または臓器などの免疫チャレンジに対する免疫学的応答を阻害することができるという発見に関する。したがって、本開示の目的は、免疫学的応答を抑制、治療、または防止するための方法および医薬品を提供することであり、特定の実施形態では、免疫学的応答は、細胞、組織、または臓器の移植に伴う(例えば、移植片拒絶または移植片対宿主疾患)。また、免疫学的応答は、後の時間、例えば、移植された細胞、組織または臓器のレシピエントにおける拒絶反応エピソードの間に起こる場合がある。本開示の方法および薬剤は、医学および薬学の技法(例えば、低分子量化合物および抗体などの医薬品)を使用することによって、CD200の生物学的機能を調節し、またはCD200を発現する細胞の活性を調節することができる。
【0018】
ある特定の態様では、本開示は、CD200に特異的に結合する作用剤に関する。CD200結合剤として、それだけに限らないが、ポリペプチド、小分子、有機金属化合物、免疫調節剤、抗体、抗体の抗原結合性断片、プロドラッグ、および/またはペプチド模倣化合物が挙げられる。この作用剤は、CD200のCD200受容体(CD200R)との相互作用を阻害または低減しても、しなくてもよい。
【0019】
ある特定の実施形態では、CD200を特異的に結合する作用剤は、抗CD200抗体である。本明細書で参照する場合、抗体として、それだけに限らないが、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、操作された抗体(キメラ抗体、単鎖抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、脱免疫化抗体、および人工的に選択された抗体を含めて)、ならびに合成または半合成抗体が挙げられる。本開示の抗体には、抗体の他の変形および誘導体(例えば、単離された抗体もしくは組換え抗体、抗体コンジュゲート、または抗体誘導体)、ならびにマウス、ヒト、キメラ、ヒト化、霊長類化などの抗体も含まれる。本開示の抗体として、抗原結合性断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb)、他の一価および二価の断片、相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(例えば、scFv、scFab、scFabΔC)、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディ、ナノボディ、ならびにCD200に特異的な結合を付与するのに十分な抗体の少なくとも一部を含むポリペプチドなど、ならびに前述の融合物および誘導体も挙げられる。ある特定の態様では、本開示は、キメラ、ヒト化、ヒトおよび脱免疫化抗CD200抗体、ならびにこれらの抗原結合性断片に関する。さらなる実施形態では、本開示は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgA、IgD、および/またはIgEフレームワークを含む抗体に関する。
【0020】
特定の実施形態では、CD200を特異的に結合する作用剤は、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する作用剤とすることができる。いくつかの実施形態では、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する作用剤は、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、エフェクター機能を示す一方、他の実施形態では、抗体または抗原結合性断片は、低減されたエフェクター機能を示し、またはエフェクター機能をまったく示さない。他の実施形態では、作用剤は、可溶性CD200Rまたは非アゴニスト性可溶性CD200である。
【0021】
したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、免疫応答を阻害する必要のある対象における、免疫応答の阻害方法であって、対象に有効量のi)CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する作用剤、およびii)免疫抑制または免疫調節の作用剤または薬物を投与するステップを含む方法に関する。ある特定の実施形態では、免疫応答は体液性応答である。さらなる実施形態では、免疫応答は抗体媒介応答である。いくつかの実施形態では、作用剤はエフェクター機能を示すことができる。あるいは、作用剤は、低減されたエフェクター機能を示すことができ、またはエフェクター機能をまったく示すことができない。特定の実施形態では、作用剤は、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である。他の実施形態では、作用剤は、可溶性CD200Rまたは非アゴニスト性可溶性CD200である。上記実施形態のいずれにおいても、免疫調節薬または免疫抑制薬は、T細胞、B細胞、T細胞とB細胞の両方、または別の免疫細胞を標的とすることができる。特定の実施形態では、免疫抑制薬は、シクロスポリンAまたはラパマイシンである。
【0022】
ある特定の実施形態では、本開示は、体液性免疫応答を阻害する必要のある対象における、体液性免疫応答の阻害方法であって、対象に、有効量の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含む方法を提供する。そのような実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト抗体または抗原結合性断片、ヒト化抗体または抗原結合性断片、霊長類化抗体または抗原結合性断片、キメラ抗体または抗原結合性断片、マウス抗体または抗原結合性断片、および脱免疫化抗体または抗原結合性断片からなる群から選択される。抗原結合性断片は、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体、およびCD200に特異的な結合を付与する抗CD200免疫グロブリンの任意の断片からなる群からさらに選択することができる。上述の抗体または抗原結合性断片のいずれも、ポリマーまたはポリペプチドなどの分子に結合することができる。ポリマーは、いくつかの実施形態では、ポリ(エチレン)グリコール(PEG)とすることができる。
【0023】
体液性免疫応答の阻害として、例えば、以下の応答のうちの任意の1つまたは複数の阻害を挙げることができる:a)APCによる抗原提示;b)ヘルパー(CD4+)T細胞の活性化;c)ヘルパー(CD4+)T細胞の増殖;d)B細胞の分化;e)B細胞の増殖;およびf)抗体のB細胞産生。ある特定の実施形態では、この方法は、B細胞抗体の産生の減少をもたらし、ここで抗体は、IgG、IgM、IgG1、およびIgG2a免疫グロブリンから選択される。
【0024】
ある特定の実施形態では、本開示は、体液性免疫応答を阻害する必要のある対象における、体液性免疫応答の阻害方法であって、対象に有効量の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片を投与するステップを含み、対象に免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップをさらに含む方法を提供する。免疫調節剤または免疫抑制剤は、T細胞、B細胞、T細胞とB細胞の両方、または別の免疫細胞を標的とすることができる。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤はカルシニュリン阻害剤である。さらなる実施形態では、カルシニュリン阻害剤は、タクロリムスおよびシクロスポリンAから選択される。
【0025】
他の実施形態では、抗CD200抗体またはその断片と組み合わせて投与される免疫調節剤または免疫抑制剤は、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シトキサン、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、6−メルカプトプリン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、シロリムス(ラパマイシン)、およびタクロリムス(FK−506)からなる群から選択される。代替の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、ムロモナブ−CD3、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、抗胸腺細胞グロブリン、およびIVIgからなる群から選択される抗体である。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、補体経路の阻害剤ではない(例えば作用剤は、抗体(抗C5抗体など)または補体活性を阻害する分子ではない)。
【0026】
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態では、体液性の免疫抑制を必要とする対象は哺乳動物であり、さらなる実施形態では、対象はヒト対象である。特定の実施形態では、対象は移植を受けたか、受けることになる。
【0027】
ある特定の実施形態では、本開示は、循環B細胞数を減少させる必要のある対象における、循環B細胞の減少方法であって、対象に、(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。追加の実施形態では、本開示は、活性化されたCD200陽性T細胞の数を減少させる必要のある対象における、活性化されたCD200陽性T細胞の数の減少方法であって、対象に、(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。さらに、いくつかの実施形態は、B細胞活性化を阻害する必要のある対象における、B細胞活性化の阻害方法であって、対象に、(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。例えば、抗CD200抗体または抗原結合性断片および作用剤は、対象中の循環免疫グロブリンの量を減少させるのに十分な量で投与することができる。上記実施形態のいずれにおいても、対象は、霊長類またはヒト対象などの哺乳動物とすることができる。場合により、対象は、細胞、組織、または臓器移植を受けたか、受けることになる。
【0028】
ある特定の態様では、本開示は、移植片拒絶を阻害する必要のある移植片レシピエントにおける、移植片拒絶の阻害方法であって、レシピエントに、治療有効量の(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。治療有効量は、組合せが、移植片拒絶を阻害することにおいて有効であるような、a)抗CD200抗体、およびb)免疫調節剤または免疫抑制剤の組合せの量を指すことができる。ある特定の実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト抗体またはその抗原結合性断片、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片、霊長類化抗体またはその抗原結合性断片、キメラ抗体またはその抗原結合性断片、マウス抗体またはその抗原結合性断片、および脱免疫化抗体またはその抗原結合性断片からなる群から選択される。抗原結合性断片は、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体、およびCD200に特異的な結合を付与する抗CD200免疫グロブリンの任意の断片からなる群からさらに選択することができる。上述の抗体または抗原結合性断片のいずれも、ポリマーまたはポリペプチドなどの分子に結合することができる。ポリマーは、いくつかの実施形態では、ポリ(エチレン)グリコール(PEG)とすることができる。
【0029】
移植片拒絶を阻害する、ある特定の実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および免疫調節剤または免疫抑制剤は、移植前に投与される。他の実施形態では、抗体および作用剤は、移植時に投与される。他の実施形態では、抗体および作用剤は、移植後に投与される。いくつかの実施形態では、移植片拒絶は、移植された細胞、組織、または臓器の急性の体液性拒絶反応である。他の実施形態では、移植片拒絶は、移植された細胞、組織、または臓器の慢性の体液性拒絶反応である。
【0030】
本開示のある特定の実施形態では、移植片レシピエントは、造血細胞もしくは骨髄移植体、膵島細胞の同種移植体、または心臓移植体、腎臓−膵臓移植体、腎臓移植体、肝臓移植体、肺移植体、および膵臓移植体からなる群から選択される固体臓器移植体のレシピエントである。移植片の追加の例として、それだけに限らないが、同種移植された細胞、組織、または臓器、例えば脈管組織、眼、角膜、水晶体、皮膚、骨髄、筋肉、結合組織、消化管組織、神経組織、骨、幹細胞、軟骨、肝実質細胞、または造血細胞が挙げられる。
【0031】
移植片拒絶を阻害する、いくつかの実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、T細胞またはB細胞、またはT細胞とB細胞の両方を標的とする作用剤である。ある特定の実施形態では、作用剤は、補体経路を標的にせず、かつ/または補体媒介免疫応答を阻害しない。特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、カルシニュリン阻害剤である。さらなる実施形態では、カルシニュリン阻害剤は、タクロリムスおよびシクロスポリンAから選択される。
【0032】
移植片拒絶を阻害する、追加の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、6−メルカプトプリン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、シロリムス(ラパマイシン)、およびタクロリムス(FK−506)からなる群から選択される。代替の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤は、ムロモナブ−CD3、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、抗胸腺細胞グロブリン、およびIVIgからなる群から選択される抗体である。
【0033】
ある特定の実施形態では、抗CD200抗体および免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法は、移植片レシピエントにおける体液性免疫応答の阻害をもたらす。例えば、ある特定の実施形態では、この方法は、抗ドナー抗体の産生の減少をもたらす。抗ドナー抗体は、IgG、IgM、IgG1、およびIgG2a免疫グロブリンから選択することができる。いくつかの実施形態では、移植片レシピエントは、細胞、組織または臓器の同種または異種移植の急性の移植片拒絶を示し、または被る。他の実施形態では、移植片レシピエントは、細胞、組織または臓器の同種または異種移植の慢性の移植片拒絶を示し、または被る。
【0034】
他の実施形態では、抗CD200抗体および免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法は、移植片レシピエントにおける細胞性免疫応答の阻害をもたらす。例えば、ある特定の実施形態では、この方法は、レシピエントのリンパ組織中のCD4+およびCD8+T細胞の産生の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、移植片レシピエントは、細胞、組織または臓器の同種または異種移植の急性の移植片拒絶を示し、または被る。他の実施形態では、移植片レシピエントは、細胞、組織または臓器の同種または異種移植の慢性の移植片拒絶を示し、または被る。
【0035】
ある特定の態様では、本開示は、移植片拒絶を治療または防止する必要のある移植片レシピエントにおける、移植片拒絶の治療または防止方法であって、レシピエントに、治療有効量の(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。さらなる実施形態では、本開示は、移植片レシピエントにおける移植片生着の促進または延長方法であって、移植片レシピエントに、治療有効量の(a)抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および(b)免疫調節剤または免疫抑制剤を投与するステップを含む方法に関する。抗CD200抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト抗体またはその抗原結合性断片、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片、霊長類化抗体またはその抗原結合性断片、キメラ抗体またはその抗原結合性断片、マウス抗体またはその抗原結合性断片、および脱免疫化抗体またはその抗原結合性断片の中から選択することができる。抗原結合性断片は、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体、およびCD200に特異的な結合を付与する抗CD200免疫グロブリンの任意の断片の中からさらに選択することができる。
【0036】
さらなる実施形態では、本開示の移植片生着の延長または促進方法は、対照レシピエントにおいて観察される移植片生着と比較して、レシピエントにおける移植片生着を、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%増大させる。対照レシピエントは、例えば、移植後治療を受けない、または移植後に単剤治療を受ける移植片レシピエントとすることができる。
【0037】
ある特定の実施形態では、移植片生着の促進方法は、長期間の移植片生着を促進し、この長期間の移植片生着は、移植後少なくとも約6カ月、移植後少なくとも約1年;移植後少なくとも約5年;移植後少なくとも約7.5年;および移植後少なくとも約10年の中から選択される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される療法は、移植片の適応を促進し、移植片は、レシピエントの残りの生存期間生存する。
【0038】
本開示の実施形態のいずれにおいても、移植片レシピエントは、非ヒト霊長類移植片レシピエントなどの霊長類移植片レシピエントとすることができる。さらなる実施形態では、移植片レシピエントはヒト移植片レシピエントである。
【0039】
本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片は、対象または移植片レシピエントに全身的に投与することができる。あるいは、抗体またはその抗原結合性断片は、対象または移植片レシピエントに局所的に投与することができる。
【0040】
抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および免疫調節剤または免疫抑制剤の組合せを含む実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片、および免疫調節剤または免疫抑制剤は順次投与される。他の実施形態では、抗体またはその断片、および作用剤は、同時に投与される。
【0041】
本願は、任意の前述の態様および実施形態の組合せを企図する。本明細書に引用されたすべての参考文献および文書は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1A】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図1B】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図1C】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図1D】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図1E】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図1F】抗体chC2aB7−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号1、2、3、4、5および6)。図1Cは、配列番号3(核酸配列)および配列番号1(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号3は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図1Fは、配列番号6(核酸配列)および配列番号4(アミノ酸配列)を示す。配列番号5(図1Eに示す)は、配列番号4(図1Dに示す)をコードする。
【図2A】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図2B】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図2C】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図2D】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図2E】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図2F】抗体chC2aB7−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号7、8、9、10、11、12、13および14)。図2Cは、配列番号10(核酸配列)および配列番号9(アミノ酸配列)を示す。配列番号9は、配列番号7のアミノ酸1〜337に相当する。概略図に示すように、配列番号10は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図2Fは、配列番号14(核酸配列)および配列番号13(アミノ酸配列)を示す。配列番号12(図2Eに示す)は、配列番号11(図2Dを示す)をコードする。
【図3A】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図3B】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図3C】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図3D】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図3E】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図3F】抗体hB7V3V2−hG1の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号15、16、17、18、19および20)。図3Cは、配列番号17(核酸配列)および配列番号15(アミノ酸配列)を示す。図3Fは、配列番号20(核酸配列)および配列番号18(アミノ酸配列)を示す。配列番号19(図3Eに示す)は、配列番号18(図3Dに示す)をコードする。
【図4A】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図4B】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図4C】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図4D】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図4E】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図4F】抗体hB7V3V2−hG2G4の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列ならびにヌクレオチド配列を示す(配列番号21、22、23、24、25および26)。図4Cは、配列番号23(核酸配列)および配列番号21(アミノ酸配列)を示す。概略図に示すように、配列番号23は連続しているが、イントロンを含む対応するヌクレオチド配列で示す。図4Fは、配列番号26(核酸配列)および配列番号24(アミノ酸配列)を示す。配列番号25(図4Eに示す)は、配列番号24(図4Dに示す)をコードする。
【図5】活性化T細胞上のCD200発現のフローサイトメトリー分析を示す。CD3+ヒト細胞を、mOKT3を用いて活性化し、採集し、洗浄し、ヒトCD25、CD200、CD5、CD4およびCD8に特異的な、記載される蛍光色素コンジュゲート抗体での染色に供した。細胞を洗浄し、免疫蛍光について、CellQuestソフトウェアを用いるFACSCaliburフローサイトメータで分析した。ヒトT細胞の活性化は、CD200発現の劇的な上方制御をもたらす。
【図6】活性化T細胞のADCCにおける抗CD200抗体の影響を示す。CD3+ヒトT細胞を、10μg/mLの固定化(プレートを被覆する)mOKT3を用いて72時間刺激した。活性化T細胞を、次いで、標的として用いるためにクロム化し、エフェクター細胞としての精製自己CD56+(NK)細胞とインキュベートした。細胞を、37℃にて4時間、25:1(A)または10:1(B)のエフェクター:標的細胞の比で、エフェクター機能を媒介できる(V3V2−G1)か、またはエフェクター機能を欠如するように操作された(V3V2−G2G4)ヒト化抗CD200抗体の存否で同時インキュベーションした。データは、特異的溶解パーセントで表す。エフェクター機能を有する抗CD200抗体は、活性化T細胞標的のADCCを効果的に媒介したが、エフェクター機能を有さない抗CD200抗体は、ADCCの媒介ができなかった。
【図7A】T細胞の阻害物質(シクロスポリンA)と組み合わせて投与した抗CD200抗体が、抗体生成の著しい低減または体液性免疫応答の阻害を、マウス心臓同種移植モデルにおいて導くことを示す。図7Aは、種々の免疫調節処置の後の心臓同種移植片レシピエントにおける循環抗ドナーIgG抗体の相対的レベルを示す。図7Bは、種々の免疫調節処置の後の心臓同種移植片レシピエントにおける循環抗ドナーIgM抗体の相対的レベルを示す。MFIは、平均蛍光強度である。
【図7B】T細胞の阻害物質(シクロスポリンA)と組み合わせて投与した抗CD200抗体が、抗体生成の著しい低減または体液性免疫応答の阻害を、マウス心臓同種移植モデルにおいて導くことを示す。図7Aは、種々の免疫調節処置の後の心臓同種移植片レシピエントにおける循環抗ドナーIgG抗体の相対的レベルを示す。図7Bは、種々の免疫調節処置の後の心臓同種移植片レシピエントにおける循環抗ドナーIgM抗体の相対的レベルを示す。MFIは、平均蛍光強度である。
【図8】抗CD200抗体およびシクロスポリンAを含む種々の免疫調節処置の後のマウス心臓同種移植片レシピエントにおける脾臓CD4+およびCD8+T細胞のレベルを示す。移植片レシピエントからの脾臓細胞を、フローサイトメトリーにより分析した。
【図9A】抗CD200抗体およびシクロスポリンAでの処置の後のマウス心臓同種移植片レシピエントでのCD3CD200;CD3CD200R、CD19CD200、CD19CD200R、CD11cCD200およびCD11cCD200R陽性細胞のレベルを示す。
【図9B】抗CD200抗体およびシクロスポリンAでの処置の後のマウス心臓同種移植片レシピエントでのCD3CD200;CD3CD200R、CD19CD200、CD19CD200R、CD11cCD200およびCD11cCD200R陽性細胞のレベルを示す。
【図9C】抗CD200抗体およびシクロスポリンAでの処置の後のマウス心臓同種移植片レシピエントでのCD3CD200;CD3CD200R、CD19CD200、CD19CD200R、CD11cCD200およびCD11cCD200R陽性細胞のレベルを示す。
【図10】OX90NE(配列番号27)およびOX90mG2a(配列番号28)の重鎖の配列を示す。2つの分子間の4アミノ酸の違いを太字で強調する(アミノ酸残基236、319、321および323)。それぞれの可変部分は、アミノ酸残基1〜118を含む。それぞれの定常領域は、アミノ酸残基119〜448を含む。
【図11】OX90抗体が、それらがCD200R1受容体へのCD200の結合を遮断する点で遮断抗体であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(詳細な説明)
I.概要
A.移植体または移植片の拒絶反応
超急性拒絶反応は、移植後数分から数時間以内に起こり、移植された組織抗原に対する、予め形成された抗体によるものである。これは、移植片脈管構造の出血および血栓性閉塞を特徴とする。抗体の内皮への結合は、補体を活性化し、抗体および補体は、移植片内皮のいくつかの変化を誘発し、これは血管内血栓症を促進し、血管閉塞に導き、移植された臓器の非可逆性虚血性障害をもたらす(Abbasら、2000年 Cellular and Molecular Immunology(4版)、363〜383頁(W.B. Saunders Company、New York))。超急性拒絶反応は、既存のIgM同種抗体、例えば、赤血球上に発現されるABO血液型抗原に対する抗体によって媒介されることが多い。自然抗体によって媒介されるこの型の拒絶反応は、異種移植体の拒絶反応の主な理由である。自然IgM抗体による超急性拒絶反応は、同種移植ではもはや重要な問題ではなく、これは、同種移植は、ドナーとレシピエントのABO型をマッチさせるように通常選択されるためである。ABOマッチ同種移植片の超急性の拒絶反応は依然として起こる場合があり、外来のMHC分子などのタンパク質同種抗原、または血管内皮細胞上に発現されるあまり明確でない同種抗原に対するIgG抗体によって通常媒介される。そのようなIgG抗体は、例えば、輸血、以前の移植、または複数の妊娠を通じた同種抗原への以前の曝露の結果として生じる場合がある。
【0044】
急性の拒絶反応は、T細胞、マクロファージ、および抗体によって媒介される、脈管および実質損傷のプロセスであり、これは通常、移植して第1週後に始まる(Abbasら、上記)。Tリンパ球は、血管内皮細胞および実質細胞上に存在するMHC分子を含めた同種抗原に応答することによって、急性拒絶反応において中心的な役割を果たす。活性化されたT細胞は、移植片細胞の直接溶解を引き起こし、あるいは炎症細胞を動員および活性化するサイトカインを産生し、これは、壊死を引き起こす。CD4およびCD8T細胞はともに、急性拒絶反応の一因となり得る。移植片中の同種異系細胞の破壊は非常に特異的であり、CD8細胞傷害性Tリンパ球死滅の特徴である。CD4T細胞は、移植片中でサイトカインを分泌し、遅延型の過敏様反応を誘発することによって、急性移植片拒絶反応を媒介することにおいて重要となり得る。いくつかの証拠は、CD4T細胞は、急性拒絶反応を媒介するのに十分であることを示す(Abbasら、上記)。抗体は、産生される抗体が血管壁に結合し、補体を活性化する場合、移植片レシピエントが、血管壁抗原に対する体液性免疫応答を開始した後に、急性拒絶反応を媒介する場合もある(Abbasら、上記)。
【0045】
慢性拒絶反応は、長期にわたって起こる、正常な臓器構造の喪失を伴う線維症を特徴とする。慢性拒絶反応の病因は、急性拒絶反応の病因より、よく理解されていない。移植片動脈閉塞は、内膜平滑筋細胞の増殖の結果として起こり得る(Abbasら、上記)。このプロセスは、加速化アテローム硬化症または移植片アテローム硬化症と呼ばれ、移植して6カ月から1年以内に任意の血管新生した臓器移植体に発症する場合がある。
【0046】
同種移植体は、T細胞の活性化によって部分的に拒絶される。移植体レシピエントは、同種移植片中の外来抗原のCD4T細胞認識後に、拒絶応答を開始する。これらの抗原は、クラスIおよびクラスIIの主要組織適合複合体(MHC)分子の両方が存在するMHCによってコードされる。ヒトにおいて、クラスI MHC分子は、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cである。ヒトにおけるクラスII MHC分子は、HLA−DR、HLA−DQおよびHLA−DPと呼ばれる。マウスにおいて、クラスI MHC分子は、H−2K、H−2DおよびH−2Lであり、クラスII MHC分子は、I−AおよびI−Eである。CD4T細胞が、処理された、または無傷の外来MHC抗原を結合する場合、これらは活性化され、クローン増殖を起こす。活性化されたT細胞は、単球/マクロファージ、B細胞および細胞傷害性CD8T細胞の活性化を助長する。活性化された単球/マクロファージは、組織損傷をもたらす作用物質を放出し、B細胞は、補体媒介移植片破壊に導く同種抗体を産生し、CD8T細胞は、アポトーシスおよび細胞溶解の誘発を介して、抗原特異的な様式で移植片細胞を死滅させる。
【0047】
移植片拒絶反応における体液性免疫の重要性は、移植片レシピエントが移植前に抗ドナーHLA抗体を有し、抗体抑制の有効な治療レジメンの非存在下で移植片の急速な破壊をもたらす、超急性拒絶反応に限られていると最初に考えられていた。最近、液性免疫は、急性および慢性の両方の拒絶反応を媒介する重要な要因でもあることが明らかになった。例えば、臨床的な観察により、クラスIまたはクラスII抗HLA同種抗体(「抗MHC同種抗体」とも呼ばれる)を発生させることができる患者における移植片生着は、そのような抗体を発生させることができない患者における移植片生着と比較して低減されたことが実証された。臨床的および実験的なデータも、他のドナー特異的な同種抗体および自己抗体は、拒絶反応の極めて重要なメディエーターであることを示す。同種移植片拒絶反応におけるドナー特異的抗体についての役割を支持する証拠の概説については、Rifleら、Transplantation、2005年 79巻:S14〜S18頁を参照されたい。
【0048】
B.免疫抑制剤
移植が成功するためには、拒絶反応のいくつかの機序が克服されなければならない。したがって、多数の手法が、拒絶反応を防止または阻害することに利用される。移植片拒絶を阻害することは、攻撃の様々な機序を防止または阻害するために、例えば、T細胞攻撃の阻害、抗体応答の阻害、ならびにサイトカインおよび補体効果の阻害のために、多くの場合いくつかの型の免疫抑制剤の投与を必要とする場合がある。ドナーをレシピエントとマッチさせるためにドナーを事前にスクリーニングすることも、拒絶反応を防止することにおいて、特に超急性拒絶反応を防止することにおいて重要な要因である。移植前の抗HLA抗体の免疫吸着は、超急性拒絶反応を低減することができる。移植前に、レシピエントまたは宿主に、抗T細胞試薬、例えば、モノクローナル抗体OKT3、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、シクロスポリンA、またはタクロリムス(FK506)を投与することができる。加えて、糖質コルチコイドおよび/またはアザチオプリン(または他のプリン類似体)を、移植前に宿主に投与することができる。移植片拒絶を防止または阻害するのを助長するのに使用される薬物として、それだけに限らないが、ATGまたはALG、OKT3、ダクリズマブ、バシリキシマブ、コルチコステロイド、15−デオキシスペルグアリン、LF15−0195、シクロスポリン、タクロリムス、アザチオプリンなどのプリン類似体、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、6−メルカプトプリン、ブレディニン、ブレキナル、レフルナミド、シクロホスファミド、シロリムス、抗−CD4モノクローナル抗体、CTLA4−Ig、リツキサン、抗−CD154モノクローナル抗体、抗−LFA1モノクローナル抗体、抗−LFA−3モノクローナル抗体、抗−CD2モノクローナル抗体、および抗−CD45が挙げられる。
【0049】
移植片拒絶を遅延させる(すなわち、移植片生着を延長する)のに利用される多数の薬物は、様々な様式で作用する。いくつかの免疫抑制薬の作用機序の概説については、Stepkowski(2000年). Exp. Rev. Mol. Med. 6月21日、expertreviews.org/00001769h.htmのワールドワイドウェブを参照されたい。
【0050】
シクロスポリンAは、移植片拒絶反応を阻害するために、最も広く使用される免疫抑制薬の1つである。これは、インターロイキン−2すなわちIL−2の阻害剤である(これは、インターロイキン−2のmRNA転写を防止する)。より直接的には、シクロスポリンは、T細胞受容体刺激で通常起こるカルシニュリン活性化を阻害する。カルシニュリンは、NFAT(活性化されたT細胞の核因子)を脱リン酸化し、それによってNFATが核に入り、インターロイキン−2プロモーターに結合するのを可能にする。このプロセスを遮断することによって、シクロスポリンAは、CD4T細胞の活性化、およびさもなければ次々と起こる、結果として生じる事象を阻害する。タクロリムスは、カルシニュリン阻害を介して、インターロイキン−2の産生を阻害することによって作用する別の免疫抑制剤である。
【0051】
ラパマイシン(シロリムス)、SDZ RAD、およびインターロイキン−2受容体遮断薬は、インターロイキン−2の作用を阻害し、したがって上述した、次々と起こる事象を防止する薬物である。
【0052】
プリンまたはピリミジン生合成の阻害剤も、移植片拒絶反応を阻害するのに使用される。これらの阻害剤は、DNA合成を防止し、それによってT細胞増殖を含めた細胞分裂を阻害する。その結果は、新しいT細胞の形成を防止することによるT細胞活性の阻害である。プリン合成の阻害剤として、アザチオプリン、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、およびミゾリビン(ブレディニン)が挙げられる。ピリミジン合成の阻害剤には、ブレキナルナトリウムおよびレフルノミドが含まれる。シクロホスファミドは、プリンおよびピリミジン合成の両方の阻害剤である。
【0053】
T細胞活性化を阻害するためのさらに別の方法は、レシピエントをT細胞に対する抗体を用いて治療することである。OKT3は、T細胞受容体の一部であるCD3に対するマウスモノクローナル抗体である。この抗体は、T細胞受容体を通じてT細胞を最初に活性化し、次いで活性化されたT細胞のアポトーシスを誘発する。
【0054】
同種移植拒絶反応を遅延させるための多数の他の薬物および方法が当業者に知られており、当業者によって使用されている。1つの手法は、例えば照射によってT細胞を枯渇させることである。T細胞の枯渇は、特に主要なHLAの部分的なミスマッチが存在する場合、骨髄移植においてしばしば使用されている。CD40リガンド−CD40相互作用の阻害剤(遮断薬)および/またはCD28−B7相互作用の遮断薬のレシピエントへの投与も使用されている(米国特許第6,280,957号)。公開されたPCT特許出願WO01/37860は、Th1免疫応答を阻害するための、抗CD3モノクローナル抗体およびIL−5の投与を開示している。公開されたPCT特許出願WO00/27421は、腫瘍壊死因子−αアンタゴニストを投与することによる、角膜移植片拒絶の予防または治療のための方法を教示している。Glotzら(2002年 Am. J. Transplant. 2巻:758〜760頁)は、静脈内免疫グロブリン(IVIg)の投与が、抗HLA抗体の力価の大きな、持続性の減少を誘発し、それによってHLA−ミスマッチ臓器の生着を可能にすることができることを示している。同様のプロトコールは、血漿交換(Taubeら、1984年 Lancet 1巻:824〜828頁)、または免疫抑制剤と連結した免疫吸着技法(Hiesseら、1992年 Nephrol. Dial. Transplant. 7巻:944〜951頁)、またはこれらの方法の組合せ(Montgomeryら、2000年 Transplantation 70巻:887〜895頁)を含んでいる。Changelianら(2003年 Science 302巻:875〜878頁)は、免疫抑制が、共通のγ鎖(γc)(インターロイキン−2、−4、−7、−9、−15、−21)を使用するサイトカイン受容体の適切なシグナル伝達に必要な酵素である、ヤヌスキナーゼ3(JAK3)の経口阻害剤によって生じ、その結果は、T細胞活性化の阻害であるモデルを教示している。ICAM−1に対するアンチセンス核酸は、心臓同種移植片移植の研究において、単独、または白血球機能関連抗原1(LFA−1)に特異的なモノクローナル抗体を組み合わせて使用されている(Stepkowski、上記)。同様に、抗ICAM−1抗体は、心臓同種移植片を処置するために、抗LFA−1抗体と組み合わせて使用されている(Stepkowski、上記)。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ラットの心臓または腎臓同種移植モデルにおいて、シクロスポリンとともにさらに使用されており、移植片の生着を延長するための相乗効果をもたらしている(Stepkowski、上記)。慢性移植片拒絶は、分化、増殖、およびアポトーシスに関与するサイトカインであるTGF−βのアンタゴニストを投与することによって治療されている(米国特許出願公開第US2003/0180301号)。
【0055】
C.CD200および免疫抑制
免疫応答の抑制に関与すると考えられている別の機構は、分子CD200を伴う。CD200は、免疫系の細胞(例えば、T細胞、B細胞、および樹状細胞(Barclayら、2002年 TRENDS Immunol. 23巻:285〜290頁))、ならびにある特定の癌細胞を含めた様々な細胞型上で発現される、高度に保存されたI型膜貫通糖タンパク質である。このタンパク質は、骨髄細胞、およびT細胞の亜集団上でその受容体CD200Rと相互作用する(Wrightら 2003年 J. Immunol. 171巻:3034〜3046頁、およびWrightら、2000年 Immunity 13巻:233〜242頁)。CD200:CD200R相互作用は、細胞に免疫調節シグナルを送達し、アポトーシス関連免疫寛容を含めた免疫抑制を誘発すると考えられている(Rosenblumら 2004年 Blood 103巻:2691〜2698頁)。
【0056】
以前の研究、Gorczynskiらによる特に多数の論文は、CD200が免疫抑制性であることを示している。例えば、Gorczynskiら(Clin. Immunol. 104巻:256〜264頁(2002年))は、マウスのコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルにおいて、可溶性CD200(CD200Fc)を用いた治療が、CIAを寛解させることを教示している。移植の状況において、Gorczynskiら(Eur. J. Immunol. 31巻:2331〜2337頁(2001年))は、可溶性CD200タンパク質は、同種移植片生着を促進する一方、抗CD200抗体は、免疫抑制を防止し、同種移植片生着の時間短縮をもたらすことを報告している。
【0057】
以前の報告と対照的に、本開示は、抗CD200抗体の投与は、移植片生着を促進することを実証する。いずれの特定の(1つまたは複数の)作用機序によっても束縛されることを望まないが、移植片の生着の延長は、T細胞の死滅もしくは不活性化および/またはB細胞活性の阻害(例えば、移植片に対する体液性応答の阻害)に起因し得る。例えば、CD200は、休止細胞上のより低いレベルの発現と比較して、活性化されたT細胞およびB細胞上に高度に発現される。したがって、抗CD200抗体の投与は、抗体でコートされている、活性化されたT細胞およびB細胞をもたらすことができ、抗体介在細胞性細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、および/またはアポトーシスなどの他のエフェクター機能に対して感受性にする。したがって、抗体投与の1つの可能な結果は、活性化された免疫細胞の死滅、および免疫応答の抑制である場合がある。しかし、以下に記載するように、この効果は、エフェクター機能を有する抗体だけでなく、エフェクター機能を欠いている抗体にも見られる。したがって、B細胞および/またはT細胞の死滅が関与する場合、エフェクター機能は、ストーリーの単に一部であることは明白である。以下に示すように、CD200のCD200受容体(CD200R)との相互作用を阻害することは、エフェクター機能を有する抗体を使用しても、エフェクター機能を有さない抗体を使用しても、免疫応答を抑制し、移植片生着を促進することができ、ならびに自己免疫疾患を寛解させるのに使用することができる。やはり、いずれの特定の作用機序にも束縛されることを望むことなく、CD200のCD200Rへの結合の阻害は、重要な第1ステップであるように思われる。
【0058】
したがって、抗CD200抗体投与は、以下の機構の1つまたは複数を介して移植片生着を延長することができる:(i)抗体産生の阻害(例えば、B細胞の死滅によるものなどの、B細胞の数の低減による);(ii)例えば、T細胞の数の低減(例えば、T細胞死滅などによる)によるサイトカイン産生の変化(例えば、TNF−αおよびIL−12の産生);(iii)静脈内免疫グロブリン(IVIg)効果の誘発(例えば、細胞表面から脱落する可溶性CD200は、抗CD200抗体に結合することによって複合体を形成することができる);(iv)引き続いて免疫細胞のアネルギーをもたらす、抗原提示の干渉;(v)免疫調節の誘発;ならびに/または(vi)免疫刺激性である、他の現在未知のCD200相互作用活性の阻害もしくは遮断。この後者の機構についての可能なシナリオのように、様々なCD200受容体が存在し(例えば、マウスにおいて5つの受容体が知られており、ヒトにおいて2つの受容体が知られている)、これらの様々な受容体は、様々なシグナル伝達機構を使用する(例えば、細胞質ドメインの伸長対DAP12などのアダプタータンパク質)(Wrightら J. Immunol.、2003年、171巻:3034〜3046頁)。したがって、様々なCD200Rによって媒介される様々なシグナル伝達経路は、免疫系において反対の作用を有し得る可能性がある。さらに、またはあるいは、CD200の免疫抑制活性は、CD200:CD200R相互作用によって媒介されると考えられるが、抗CD200受容体抗体は、CD200受容体を架橋し、それによって受容体を活性化し、免疫抑制を誘発することができる。
【0059】
II.CD200結合剤
本開示は、移植片拒絶反応を阻害または防止して、移植片生着を延長する組成物および方法に関する。ある特定の態様では、本開示は、CD200結合剤に関する。本明細書で使用される場合、CD200結合剤には、CD200に特異的に結合できるいかなる作用物質も含まれる。CD200結合剤の例には、それだけに限らないが、ポリペプチド、抗体、小分子およびペプチド模倣体が含まれる。ある特定の実施形態では、CD200結合剤は、CD200とCD200Rとの相互作用を破壊する。他の実施形態では、CD200結合剤は、CD200発現細胞を枯渇または排除の標的とすることができる。
【0060】
ある特定の態様では、CD200結合剤はポリペプチドである。本開示で利用されるポリペプチドは、当業者に知られている様々な技法を用いて構築できる。一実施形態では、化学合成によって上記ポリペプチドを得る。他の実施形態では、上記ポリペプチドは、1つまたは複数の抗体の一断片またはいくつかの断片から構築される抗体である。さらなる実施形態では、上記ポリペプチドは、本明細書に記載の抗CD200抗体である。
【0061】
それゆえ、ある特定の実施形態では、CD200結合剤は抗CD200抗体である。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、CD200に結合できる完全抗体または抗体断片を指す。これらには、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、操作されている抗体(キメラ抗体、単鎖抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体および人工的に選択される抗体が含まれる)およびファージディスプレイまたは代替技法を用いて産生される合成または半合成抗体ならびに抗体の他の変形物または誘導体(例えば、単離抗体、組換え体抗体または合成抗体、抗体コンジュゲートまたは抗体誘導体、および抗原結合性断片)が含まれる。マウス、キメラ、ヒト、ヒト化および霊長類化抗体などの抗体も含まれる。抗原結合性断片には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体(dAb)、他の一価および二価断片、相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(例えば、scFv、scFab、scFabΔC)、ダイアボディ、トリアボディ、ミニボディ、ナノボディおよびCD200への特異的結合を付与するのに十分な、抗体の少なくとも一部を含有するポリペプチド、ならびにこれらの融合物および誘導体も含まれる。Fd断片は、VドメインおよびCH1ドメインからなる抗体断片であり、Fv断片は、抗体の単一アームのVドメインおよびVドメインからなり、scFv断片は、ペプチドリンカーで連結された重鎖可変領域(V)および軽鎖可変領域(V)を含む単鎖抗体であり、scFab断片は、ペプチドリンカーによって軽鎖に連結されたFd断片(fragment difficult)を含む単鎖抗体であり、scFabΔC断片は、システインを含まないscFab変種であり(例えば、Hustら、BMC Biotech、7:14(2007年)参照)、dAb断片(単一ドメイン抗体)は、単一の可変ドメイン(例えばVドメインまたはVドメイン)を含む(Wardら、Nature、341巻、544〜546頁(1989年))。例えば、HolligerおよびHudson、Nature Biotechnology、23巻、1126〜1136頁(2005年)を参照。FvおよびscFvなどの小断片は、それらの小さなサイズおよびその結果である優れた組織分布により、診断および治療適用に有利な特性を有する。小断片のin vivo安定性およびin vivo半減期を改善するために、例えばポリ(エチレン)グリコールなどの分子に断片を結合させることができる(直接的または間接的に)。
【0062】
本開示は、1つまたは複数のエフェクター細胞に結合する能力が増大または減少している変種または改変定常領域またはFc領域を含有するような方法で操作または産生される抗体にも関し、そのような変種抗体には、それだけに限らないが、定常領域またはFc領域が改変グリコシル化パターンを含有する抗体が含まれる。例えば、ADCCおよびCDC等のエフェクター機能の調節において有用である場合がある。操作したまたは変異させた定常領域またはFc領域を有するそのような抗体は、例えば、CD200が正常組織内で発現している場合に有用である場合があり、これらの場合には、エフェクター機能をもたない変異させた抗CD200抗体が、正常組織を損傷することなく、所望の治療応答を惹起することができる。
【0063】
また、本開示は、本明細書に提供する重鎖および軽鎖を含む抗CD200抗体にも関し、これらの重鎖および軽鎖は、本明細書に提供する重鎖および/または軽鎖に対して相同性または類似性を示す重鎖および軽鎖を含む。「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性および同一性はそれぞれ、比較の目的で整列させることができる各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較配列中の同等な位置が、同一の塩基またはアミノ酸によって占められている場合には、これらの分子は、その位置においては同一であり、同等な部位が、同一または類似の(例えば、立体的性質および/または電子的性質が類似する)アミノ酸残基によって占められている場合には、これらの分子は、その位置においては相同(類似)であると呼ぶことができる。相同性/類似性または同一性のパーセントとしての表現は、比較配列と共有する位置における同一または類似のアミノ酸の数の関数を指す。「相同性」という用語によって、類似する機能またはモチーフを有する遺伝子またはタンパク質を同定するために使用する、配列類似性の数学的に基づいた比較を表す。本明細書で使用する場合、「同一性」は、2つ以上の配列を整列させて、配列の一致を最大化した、すなわち、ギャップおよび挿入を考慮した場合の、それらの配列中の対応する位置における同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセントを意味する。したがって、同一性を決定するための方法は、試験する配列間で最大の一致を得るように設計される(Computational Molecular Biology、Lesk, A. M., ed.、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing: Informatics and Genome Projects、Smith, D. W., 編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data, Part I、Griffin, A. M., and Griffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G.、Academic Press、1987年;ならびにSequence Analysis Primer、Gribskov, M. and Devereux, J.編、Stockton Press、New York、1991年;ならびにCarillo, H., and Lipman, D.、SIAM J. Applied Math.、48巻:1073頁(1988年)、Devereux, J.ら、Nucleic Acids Research、12巻(1号):387頁(1984年)、BLASTP、BLASTN、FASTA(Altschul, S. F. ら、J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁(1990年)およびAltschulら、Nucleic Acids Res.、25巻:3389〜3402頁(1997年))、ならびにBLAST X(BLAST Manual、Altschul, S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda, MD 20894;Altschul, S.ら、J. Mol. Biol.、215巻:403〜410頁(1990年)を参照されたい)。「無関係」または「相同性を示さない」配列は、本開示の配列に対して、40%未満の同一性を共有するが、好ましくは25%未満の同一性を共有する。また、2つの配列を比較する場合、残基(アミノ酸もしくは核酸)の不在または余分な残基の存在によっても、同一性および相同性/類似性が減少する。
【0064】
したがって、本開示は、リーダー配列を有さない、本明細書に記載する抗体に関する。したがって、本開示の抗体は、リーダー配列が存在しないかまたは異なるリーダー配列によって置換されているかのいずれかである重鎖および軽鎖を含むことができる。宿主細胞を使用して、本開示の抗体を産生させる場合には、したがって、適切なリーダー配列を、使用する特定の宿主細胞に従って選択することができる。
【0065】
抗体は、当技術分野で周知の方法によって産生することができる。例えば、免疫原としてCD200陽性細胞、CD200ポリペプチドまたはCD200ポリペプチドの断片を使用し、したがって、抗体産生細胞および同様にモノクローナル抗体を単離することができる動物内で免疫応答を起こして、モノクローナル抗CD200抗体を生成することができる。そのような抗体の配列を決定することができ、当該抗体またはそれらの変異体を、組換え技法によって産生することができる。組換え技法を使用して、モノクローナル抗体の配列に基づいて、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体、ならびにCD200に結合することができるポリペプチドを産生することができる。
【0066】
さらに、標的の特異性に基づいて抗体またはポリペプチドを単離するためのおとりとして、CD200陽性細胞またはそれに由来するポリペプチドを使用して、組換えライブラリーに由来する抗体(「ファージ抗体」)を選択することもできる。非ヒト抗CD200抗体およびキメラ抗CD200抗体の産生および単離は、十分、当業者の技術範囲内である。
【0067】
組換えDNA技術を使用して、非ヒト細胞内で産生させる抗体を改良する。したがって、診断または治療において適用するにあたっての抗体の免疫原性を減少させるために、キメラ抗体を構築することができる。さらに、CDRをグラフトし、かつ場合によりフレームワークを改変することにより、抗体をヒト化することによって、免疫原性を最小化することもできる。内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,225,539号を参照されたい。
【0068】
抗体は、動物血清から得ることができるか、またはモノクローナル抗体もしくはそれらの断片の場合には、細胞培養において産生することができる。組換えDNA技術を使用して、細菌または好ましくは哺乳動物細胞の培養における手順を含めた確立された手順に従って、抗体を産生することができる。好ましくは、選択された細胞培養の系が、抗体産物を分泌する。
【0069】
別の実施形態では、本明細書に開示する抗体を産生するためのプロセスは、宿主、例えば、E.coliまたは哺乳動物細胞を培養するステップを含み、この宿主は、ハイブリッドベクターを用いて形質転換されている。ベクターは、1つまたは複数の発現カセットを含み、この発現カセットは、抗体タンパク質をコードする第2のDNA配列に適切な読み枠中で連結している、シグナルペプチドをコードする第1のDNA配列に動作可能に連結しているプロモーターを含有する。次いで、抗体タンパク質を収集し単離する。場合により、発現カセットは、ポリシストロニックな、例えば、バイシストロニックな、抗体タンパク質(複数)をコードするDNA配列(複数)であって、それぞれが個別に適切な読み枠中でシグナルペプチドに動作可能に連結しているDNA配列に動作可能に連結しているプロモーターを含んでよい。
【0070】
in vitroにおいて、ハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の増殖を、適切な培地中で実施する。これらの培地は、通例の標準的な培地(例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)またはRPMI1640培地等)を含み、これらは場合により、哺乳動物血清(例えば、ウシ胎仔血清)または微量元素および増殖維持補充物質(例えば、正常マウス腹腔浸出細胞等のフィーダー細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージ、2−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低密度リポタンパク質、オレイン酸等)によって補充されている。細菌細胞または酵母細胞である宿主細胞の増殖も同様に、当技術分野で既知の適切な培地中で実施する。例えば、細菌の場合、適切な培地には、LE培地、NZCYM培地、NZYM培地、NZM培地、Terrific Broth培地、SOB培地、SOC培地、2×YT培地またはM9最少培地が含まれる。酵母の場合、適切な培地には、YPD培地、YEPD培地、最少培地または完全最少ドロップアウト培地が含まれる。
【0071】
in vitroにおける産生によって、比較的純粋な抗体の調製物が得られ、産生をスケールアップして、所望の抗体を大量にもたらすことができる。細菌細胞、酵母細胞、植物細胞または哺乳動物細胞の培養のための技法が当技術分野では知られており、これらには、(例えば、エアリフトリアクターまたは連続撹拌リアクター中での)均一懸濁培養、および(例えば、フォローファイバー中、マイクロカプセル中、アガロースマイクロビーズ上またはセラミックカートリッジ上に)固定化または捕捉されている細胞培養が含まれる。
【0072】
また、in vivoにおいて、多くの分量の所望の抗体を、哺乳動物細胞を増殖することによって得ることもできる。この目的では、所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を、組織適合性の哺乳動物に注射して、抗体産生腫瘍の増殖を引き起こす。場合により、注射前に、炭化水素、特にプリスタン(テトラメチルペンタデカン)等の鉱油を用いて動物を予備刺激する。1〜3週間後に、抗体を、それらの哺乳動物の体液から単離する。例えば、適切な骨髄腫細胞とBalb/cマウスからの抗体産生脾臓細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、または所望の抗体を産生する、ハイブリドーマ細胞系Sp2/0に由来するトランスフェクトした細胞を、場合によりプリスタンを用いて前処置したBalb/cマウスに腹腔内注射する。1〜2週間後に、動物から腹水を採取する。
【0073】
前記およびその他の技法は、例えば、Kohler and Milstein(1975年)Nature、256巻:495〜497頁;米国特許第4,376,110号;Harlow and Lane、Antibodies: a Laboratory Manual(1988年)Cold Spring Harborに論じられており、それらの開示はすべてが参照により本明細書に組み込まれている。組換え抗体分子を調製するための技法は、上記の参照文献、およびまた、例えば、WO97/08320;米国特許第5,427,908号;米国特許第5,508,717号;Smith、1985年、Science、225巻、1315〜1317頁;Parmley and Smith、1988年、Gene、73巻、305〜318頁;De La Cruzら、1988年、Journal of Biological Chemistry、263巻、4318〜4322頁;米国特許第5,403,484号;米国特許第5,223,409号;WO88/06630;WO92/15679;米国特許第5,780,279号;米国特許第5,571,698号;米国特許第6,040,136号;Davisら、1999年、Cancer Metastasis Rev.、18巻(4号):421〜5頁;Taylorら、Nucleic Acids Research、20巻(1992年):6287〜6295頁;Tomizuka ら、Proc. Natl. Academy of Sciences USA、97巻(2号)(2000年):722〜727頁に記載されている。これらの参照文献のすべての内容が参照により本明細書に組み込まれている。
【0074】
細胞培養上清を、所望の抗体について、CD200陽性細胞の免疫蛍光染色によって、免疫ブロットによって、酵素免疫アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイもしくはドットアッセイによって、またはラジオイムノアッセイによって、選択的にスクリーニングする。
【0075】
抗体を単離するために、培養上清中または腹水中の免疫グロブリンを、例えば、硫酸アンモニウムを用いて沈殿させること、ポリエチレングリコール等の吸湿性材料に対して透析すること、選択膜を通してろ過すること等によって濃縮することができる。必要および/または所望により、通例のクロマトグラフィーの方法、例えば、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロース上でのクロマトグラフィー、および/あるいは(免疫)親和性クロマトグラフィー、例えば、CD200陽性細胞系に由来する1つもしくは複数の表面ポリペプチドを用いるまたはプロテインAもしくはプロテインGを用いる親和性クロマトグラフィーによって、抗体を精製する。
【0076】
別の実施形態は、適切な哺乳動物内において、CD200に対して作られた抗体を分泌する細菌の細胞系を調製するためのプロセスを提供する。例えば、ウサギを、CD200陽性の組織もしくは細胞からプールした試料、またはCD200ポリペプチドもしくはその断片を用いて免疫化する。この免疫化したウサギから産生したファージディスプレイライブラリーを構築し、所望の抗体を当技術分野で周知の方法(例えば、参照により本明細書に組み込まれている種々の参照文献に開示されている方法等)に従って得る。
【0077】
また、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞も開示する。好ましいハイブリドーマ細胞は、遺伝子的に安定しており、所望の特異性を示す本明細書に記載するモノクローナル抗体を分泌し、in vitroにおいては急速冷凍した培養物から解凍し、増殖することによって、またはin vivoにおいては腹水として、拡大することができる。
【0078】
別の実施形態では、CD200に対するモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞系を調製するためのプロセスを提供する。そのプロセスにおいては、適切な哺乳動物、例えば、Balb/cマウスを、CD200の1つまたは複数のポリペプチドまたは抗原性の断片を用いて、あるいはCD200陽性細胞に由来する1つもしくは複数のポリペプチドもしくは抗原性の断片、CD200陽性細胞自体、または記載の精製ポリペプチドを含有する抗原性の担体を用いて免疫化する。免疫化した哺乳動物の抗体産生細胞を、培地中で短期間増殖させるか、または適切な骨髄腫細胞系の細胞と融合させる。融合体内に得られたハイブリッド細胞をクローニングし、所望の抗体を分泌する細胞のクローンを選択する。例えば、CD200陽性の慢性リンパ性白血病(CLL)細胞系を用いて免疫化したBalb/cマウスの脾臓細胞を、骨髄腫細胞系PAIまたは骨髄腫細胞系Sp2/0−Ag14の細胞と融合させる。次いで、得られたハイブリッド細胞を、所望の抗体の分泌についてスクリーニングし、陽性ハイブリドーマ細胞をクローニングする。
【0079】
好ましいのは、CD200陽性細胞系の10〜10個の細胞を皮下および/または腹腔内に数回、例えば4〜6回、数カ月、例えば2〜4カ月にわたり注射することによって、Balb/cマウスを免疫化することを特徴とするハイブリドーマ細胞系を調製するためのプロセスである。免疫化したマウスから、脾臓細胞を、最後の注射から2〜4日後に採取し、骨髄腫細胞系PAIの細胞と、融合促進剤、好ましくはポリエチレングリコールの存在下で融合させる。好ましくは、骨髄腫細胞を、約30%〜約50%の分子量約4000のポリエチレングリコールを含有する溶液中で、3〜20倍過剰の免疫化したマウスからの脾臓細胞と融合させる。融合後、以下に記載する適切な培地中で、正常な骨髄腫細胞が所望のハイブリドーマ細胞を上回って過成長するのを防止するために選択培地、例えば、HAT培地を一定の時間をおいて補って、細胞を拡大する。
【0080】
抗体およびそれらの断片は、「キメラ」であってよい。キメラ抗体およびそれらの抗原結合断片は、2つ以上の異なる種(例えば、マウスとヒト)からの部分を含む。キメラ抗体は、ヒトの定常ドメイン遺伝子セグメント中に、所望の特異性を示すマウスの可変領域をスプライスして産生することができる(例えば、米国特許第4,816,567号)。このようにして、非ヒト抗体を改変して、それらを、ヒトへの臨床適用のためにより適したものとなすことができる。
【0081】
本開示のモノクローナル抗体はまた、非ヒト(例えば、マウス)抗体を「ヒト化した」形態を含む。ヒト化mAbまたはCDRグラフトmAbは、循環からマウス抗体ほどには迅速に一掃されず、典型的には有害な免疫反応を誘発しないことから、ヒトのための治療剤として特に有用である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトの供給源からその中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトのアミノ酸残基はしばしば、「移入」残基と呼ばれ、これらは典型的には、「移入」可変ドメインから採られたものである。ヒト化抗体を調製するための方法は一般に、当技術分野ではよく知られている。例えば、ヒト化を基本的には、Winterらの方法(Jonesら、Nature、321巻:522〜525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323〜327頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻:1534〜1536頁(1988年))に従って、げっ歯類のCDRまたはCDR配列で、ヒト抗体の対応する配列を置き換えることによって実施することができる。また、Staelensら、2006年、Mol Immunol、43巻:1243〜1257頁も参照されたい。特定の実施形態では、非ヒト(例えば、マウス)抗体をヒト化した形態は、レシピエント抗体の超可変(CDR)領域の残基が、所望の特異性、親和性および結合能を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)からの超可変領域の残基によって置換されているヒト抗体(レシピエント抗体)である。また、場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域の残基も、対応する非ヒト残基によって置換する(いわゆる「逆突然変異」)。さらに、ファージディスプレイライブラリーを使用して、抗体配列内部の選ばれた位置においてアミノ酸を変化させることもできる。また、ヒト化抗体の特性は、ヒトのフレームワークの選び方によっても影響を受ける。さらに、例えば、親和性またはエフェクター機能等の抗体特性をさらに改善するために、ヒト化抗体およびキメラ化抗体を改変して、レシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見い出されない残基を含ませることもできる。
【0082】
また、完全ヒト抗体も、本開示において提供する。「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する(存在する場合には)可変領域と定常領域とを有する抗体を含む。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroにおけるランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発により、またはin vivoにおける体細胞の突然変異により導入された突然変異)を含むことができる。しかし、「ヒト抗体」という用語は、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列が、ヒトのフレームワーク配列上にグラフトされている抗体(すなわち、ヒト化抗体)は含まない。完全ヒト抗体またはヒト抗体は、ヒト抗体遺伝子を有する(可変(variable)(V)エクソン、多様性(diversity)(D)エクソン、連結(joining)(J)エクソンおよび定常(constant)(C)エクソンを有する)トランスジェニックマウスから、またはヒト細胞から得ることができる。例えば、現在、免疫化して、内因性免疫グロブリンが産生されない状態で、ヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生産することが可能である(例えば、Jakobovitsら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362巻:255〜258頁(1993年);Bruggemannら、Year in Immunol.、7巻:33頁(1993年);およびDuchosalら、Nature、355巻:258頁(1992年)を参照されたい。トランスジェニックマウス系統を操作して、再配列されていないヒト免疫グロブリン遺伝子からの遺伝子配列を含有させることができる。ヒト配列は、ヒト抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードすることができ、マウス内で、正確に機能して、再配列されてヒトにおける抗体レパートリーに類似する広い抗体レパートリーをもたらすであろう。トランスジェニックマウスを、標的タンパク質(例えば、CD200、その断片またはCD200を発現する細胞)を用いて免疫化して、多種多様な一連の特異的な抗体、およびそれらをコードするRNAを生み出すことができる。次いで、そのような抗体の抗体鎖の構成成分をコードする核酸を、動物からディスプレイベクター内にクローニングすることができる。典型的には、重鎖配列および軽鎖配列をコードする核酸の別々の集団をクローニングし、次いで、それらの別々の集団を、ベクター内に挿入によって組み換え、したがって、ベクターの所与のコピーのいずれもが、重鎖と軽鎖とのランダムな組合せを受け取る。ベクターを含有するディスプレイパッケージの外側表面上に抗体鎖が集合し、提示され得るようにベクターを設計して、抗体鎖を発現させる。例えば、抗体鎖を、ファージの外側表面由来のファージのコートタンパク質との融合タンパク質として発現させることができる。その後、ディスプレイパッケージを、標的に結合する抗体のディスプレイについてスクリーニングすることができる。
【0083】
さらに、ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーから得てもよい(Hoogenboomら、J. Mol. Biol.、227巻:381頁(1992年);Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581〜597頁(1991年);Vaughanら、Nature Biotech、14巻:309頁(1996年))。合成ヒト抗体のV領域のランダム化された組合せを使用する合成ファージライブラリーを生み出すことができる。抗原上で選択することによって、V領域がヒトに非常に似た性質を示す完全ヒト抗体を作製することができる。米国特許第6,794,132号、第6,680,209号、第4,634,666号、およびOstbergら(1983年)、Hybridoma、2巻:361〜367頁を参照されたい。これらの内容が参照により組み込まれている。
【0084】
また、ヒト抗体の生成については、Mendezら、Nature Genetics、15巻:146〜156頁(1997年)、Green and Jakobovits、J. Exp. Med.、188巻:483〜495頁(1998年)も参照されたい。これらの開示が参照により本明細書に組み込まれている。ヒト抗体は、米国特許第5,939,598号および第6,673,986号でもさらに論述および詳述されている。また、すべて1995年6月5日に出願の米国特許第6,114,598号、第6,075,181号および第6,162,963号も参照されたい。また、1996年10月2日出願の米国特許第6,150,584号、ならびに米国特許第6,713,610号および第6,657,103号、さらに、米国特許出願第10/421,011号(US2003−0229905A1)、第10/455,013号(US2004−0010810A1)、第10/627,250号(US2004−0093622A1)、第10/656,623号(US2006−0040363A1)、第10/658,521号(US2005−0054055A1)、第10/917,703号(US2005−0076395A1)および第10/978,297号(US2005−0287630A1)も参照されたい。1993年7月23日出願のPCT/US93/06926、1996年6月12日授与の欧州特許第EP0463151B1号、1994年2月3日公開の国際特許出願第WO94/02602号、1996年10月31日公開の国際特許出願第WO96/34096号、および1998年6月11日公開のWO98/24893も参照されたい。上記に引用した特許、出願および参照文献のそれぞれの開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0085】
代替のアプローチでは、GenPharm International,Inc.を含めたその他が、「ミニ遺伝子座」のアプローチを活用している。ミニ遺伝子座のアプローチでは、外来性のIg遺伝子座を、当該Ig遺伝子座からの小片(個別の遺伝子)を含めることによって模倣する。したがって、1つまたは複数のV遺伝子、1つまたは複数のD遺伝子、1つまたは複数のJ遺伝子、ミュー定常領域および第2の定常領域(好ましくは、ガンマ定常領域)を、コンストラクト内に形成して、動物内に挿入する。このアプローチは、Suraniらに対する米国特許第5,545,807号、ならびにいずれもLonbergおよびKayに対する米国特許第5,545,806号、第5,625,825号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,661,016号、第5,770,429号、第5,789,650号および第5,814,318号、KrimpenfortおよびBernsに対する米国特許第5,591,669号、Bernsらに対する米国特許第5,612,205号、第5,721,367号、第5,789,215号、ならびにChoiおよびDunnかつGenPharm Internationalに対する米国特許第5,643,763号に記載されている。また、米国特許第5,569,825号、第5,877,397号、第6,300,129号、第5,874,299号、第6,255,458号および第7,041,871号も参照されたい。それらの開示が参照により本明細書に組み込まれている。また、欧州特許第0546073B1号、国際特許出願第WO92/03918号、第WO92/22645号、第WO92/22647号、第WO92/22670号、第WO93/12227号、第WO94/00569号、第WO94/25585号、第WO96/14436号、第WO97/13852号および第WO98/24884号も参照されたい。それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、Taylorら(1992年、Nucleic Acids Res.、20巻:6287頁)、Chenら(1993年、Int. Immunol.、5巻:647頁)、Tuaillonら(1993年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA.、90巻:3720〜4頁)、Choiら(1993年、Nature Genetics、4巻:117頁)、Lonbergら(1994年、Nature、368巻:856〜859頁)、Taylorら(1994年、International Immunology、6巻:579〜591頁)、およびTuaillonら(1995年、J. Immunol.、154巻:6453〜65頁)、Fishwildら(1996年、Nature Biotechnology、14巻:845頁)、およびTuaillonら(2000年、Eur. J. Immunol.、10巻:2998〜3005頁)も参照されたい。それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0086】
特定の実施形態では、脱免疫化抗CD200抗体またはそれらの抗原結合断片を提供する。脱免疫化抗体またはそれらの抗原結合断片を改変して、そうした抗体またはその抗原結合断片が所与の種に対して非免疫原性またはより低い免疫原性を示すようになすことができる。脱免疫化は、当業者に既知の多様な技法のいずれかを活用することにより抗体またはその抗原結合断片を改変することによって達成することができる(例えば、PCT公開第WO04/108158号および第WO00/34317号を参照されたい)。例えば、抗体またはその抗原結合断片のアミノ酸配列内部の潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープを同定し、抗体またはその抗原結合断片から、その潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープのうちの1つまたは複数を、例えば、組換え技法を使用して除去することによって、抗体またはその抗原結合断片を脱免疫化することができる。次いで、場合により、改変した抗体またはその抗原結合断片を、産生させ、試験して、1つまたは複数の所望の生物学的活性、例えば、結合親和性等は保持しているが、免疫原性は低下している抗体またはその抗原結合断片を同定することができる。潜在的なT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープを同定するための方法は、当技術分野で既知の技法、例えば、計算的方法(例えば、PCT公開第WO02/069232号を参照されたい)、in vitroもしくはin silicoにおける技法、および生物学的アッセイまたは物理学的方法(例えば、ペプチドの、MHC分子に対する結合を決定すること、ペプチド:MHC複合体の、抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種由来のT細胞受容体に対する結合を決定すること、抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種のMHC分子を有するトランスジェニック動物を使用して、タンパク質もしくはそのペプチド部分を試験すること、または抗体もしくはその抗原結合断片を受け取る種由来の免疫系細胞を用いて再構成したトランスジェニック動物を用いて試験すること等)等を使用して実施することができる。種々の実施形態では、本明細書に記載する脱免疫化抗CD200抗体は、脱免疫化した抗原結合断片、Fab、Fv、scFv、Fab’およびF(ab’)、モノクローナル抗体、マウス抗体、操作した抗体(例えば、キメラ抗体、単鎖抗体、CDRグラフト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体および人工的に選択された抗体等)、合成抗体、ならびに半合成抗体を含む。
【0087】
さらなる実施形態では、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAを産生する。DNAという用語は、コード一本鎖DNA、前記コードDNAとそれに対して相補的なDNAとからなる二本鎖DNA、またはこれら相補的(一本鎖)DNA自体を含む。
【0088】
さらに、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインをコードするDNAは、酵素的もしくは化学的に合成されたDNAであって、重鎖可変ドメインおよび/もしくは軽鎖可変ドメインをコードする真正のDNA配列を有するDNAであっても、またはその突然変異体であってもよい。真正のDNAの突然変異体は、上記の抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインであって、1つもしくは複数のアミノ酸が、欠失している、挿入されている、または1つもしくは複数のその他のアミノ酸によって交換されているドメインをコードするDNAである。好ましくは、ヒト化および発現の最適化の適用例においては、前記(1つまたは複数の)改変は、抗体の重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインのCDRの外側にある。また、突然変異したDNAという用語は、1つまたは複数のヌクレオチドがその他のヌクレオチドによって置換され、そうした新しいコドンが同一の(1つまたは複数の)アミノ酸をコードしているサイレント突然変異体も包含する。また、突然変異した配列という用語は、縮重配列も含む。縮重配列は、無制限の数のヌクレオチドが、その他のヌクレオチドによって置換されるが、最初にコードされたアミノ酸配列の変化には至らないという点における、遺伝暗号の意味の範囲内での縮重である。そのような縮重配列が、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変ドメインの最適な発現を得るために有用である場合がある。これは、縮重配列の異なる制限部位および/または特定のコドンの頻度が、特定の宿主、具体的には、E.coliによって好まれるからである。
【0089】
突然変異体という用語は、真正のDNAを当技術分野で既知の方法に従ってin vitroにおいて変異誘発させることによって得られたDNAの突然変異体を含むことを意図している。
【0090】
完全な四量体の免疫グロブリン分子の集合、およびキメラ抗体の発現のために、重鎖および軽鎖の可変ドメインをコードする組換えDNA挿入部を、重鎖および軽鎖の定常ドメインをコードする対応するDNAと融合させ、次いで、例えば、ハイブリッドベクター内への組込みの後に、適切な宿主細胞内に移入する。
【0091】
ヒト定常ドメインIgG、例えば、γ1、γ2、γ3またはγ4、特定の実施形態ではγ1またはγ4に融合させた、CD200またはCD200陽性細胞系に対して作られた抗体の重鎖可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAを使用することができる。また、ヒト定常ドメインκまたはλ、好ましくはκに融合させた、本明細書に開示される細胞系に関する抗体の軽鎖マウス可変ドメインをコードする挿入部を含む組換えDNAも提供する。
【0092】
別の実施形態は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、スペーサー基によって連結している組換えポリペプチドをコードし、場合により、宿主細胞内における抗体のプロセシングを促進するシグナル配列、ならびに/または抗体の精製を容易にするペプチドおよび/もしくは切断部位および/もしくはペプチドスペーサーおよび/もしくは作用剤をコードするDNA配列を含む組換えDNAに関係する。作用剤をコードするDNAは、診断または治療に適用するにあたって有用な作用剤をコードするDNAであることを意図している。したがって、毒物、または酵素、特にプロドラッグの活性化を触媒することができる酵素である作用剤分子が特に示される。そのような作用剤をコードするDNAは、天然に存在する酵素もしくは毒物をコードするDNAまたはその突然変異体の配列を有し、当技術分野でよく知られている方法によって調製することができる。
【0093】
したがって、本開示のモノクローナル抗体または抗原結合断片は、その他の作用剤、例えば、治療剤または検出可能な標識にコンジュゲートしていない裸の抗体または抗原結合断片であってよい。あるいは、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、例えば、細胞傷害性作用剤、小型分子、ホルモン、酵素、増殖因子、サイトカイン、リボザイム、ペプチド模倣物、化学物質、プロドラッグ、コード配列を含めた核酸分子(例えば、アンチセンス、RNAi、遺伝子標的コンストラクト等)、または検出可能な標識(例えば、NMRもしくはX線の造影剤、蛍光分子等)等の作用剤にコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態では、抗CD200ポリペプチドまたは抗原結合断片(例えば、Fab、Fv、単鎖scFv、Fab’およびF(ab’))が、当該ポリペプチドまたは抗原結合断片の半減期を増加させる分子に連結している。前記抗CD200のポリペプチドまたは抗原結合断片に連結することができる分子として、それだけに限らないが、アルブミンを含めた血清タンパク質、ポリペプチド、その他のタンパク質またはタンパク質のドメイン、およびPEGが挙げられる。
【0094】
いくつかの可能なベクター系が、クローニングした重鎖および軽鎖の遺伝子を哺乳動物細胞内で発現させるために利用可能である。1つのクラスのベクターは、所望の遺伝子配列の宿主細胞ゲノム中への組込みを利用する。安定に組み込まれたDNAを有する細胞を、E.coliのgpt(Mulligan, R. C. and Berg, P.、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、78巻:2072頁(1981年))またはTn5neo(Southern, P. J. and Berg, P.、J. Mol. Appl. Genet.、1巻:327頁(1982年))等の薬物耐性遺伝子を同時に導入することによって選択することができる。選択マーカー遺伝子は、発現させようとするDNA遺伝子配列に連結させるか、または同一細胞内に共形質移入によって導入するかのいずれかであってよい(Wigler, M.ら、Cell、16巻:77頁(1979年))。第2のクラスのベクターは、染色体外プラスミドに、自律的に複製する能力を付与するDNAエレメントを活用する。これらのベクターは、ウシパピローマウイルス(Sarver, N.ら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、79巻:7147頁(1982年))、ポリオーマウイルス(Deans, R. J. ら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、81巻:1292頁(1984年))またはSV40ウイルス(Lusky, M. and Botchan, M.、Nature、293巻:79頁(1981年))等の動物ウイルスから得ることができる。
【0095】
免疫グロブリンcDNAは、抗体タンパク質をコードする成熟mRNAをあらわす配列のみで構成されていることから、遺伝子の転写およびRNAのプロセシングを調節する追加の遺伝子発現エレメントが、免疫グロブリンmRNAの合成のためには必要である。これらのエレメントは、スプライスシグナル、誘導性プロモーターを含めた転写プロモーター、エンハンサーおよび終結シグナルを含むことができる。そのようなエレメントを組み込んでいるcDNA発現ベクターには、Okayama, H. and Berg, P.、Mol. Cell Biol.、3巻:280頁(1983年);Cepko, C. L.ら、Cell、37巻:1053頁(1984年);およびKaufman, R. J.、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、82巻:689頁(1985年)によって記載されているものが含まれる。
【0096】
本開示の療法の実施形態では、二重特異性抗体を企図する。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を示すモノクローナル抗体、好ましくは、ヒト抗体またはヒト化抗体である。この場合、結合特異性のうちの一方は、細胞(例えば、癌細胞または免疫細胞等)上のCD200抗原に対するものであり、他方は、任意のその他の抗原、好ましくは、細胞表面のタンパク質または受容体もしくは受容体サブユニットに対するものである。
【0097】
二重特異性抗体を作製するための方法は、当業者の技術範囲内である。従来、二重特異性抗体の組換えによる産生は、免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の2つの対の同時発現に基づいており、2つの重鎖が異なる特異性を示す(Milstein and Cuello、Nature、305巻:537〜539頁(1983年))。所望の結合特異性を示す抗体の可変ドメイン(抗体と抗原とを組み合わせる部位)を、免疫グロブリンの定常ドメインの配列と融合させることができる。好ましくは、少なくともヒンジ領域、CH2領域およびCH3領域の部分を含む免疫グロブリンの重鎖定常ドメインと融合させる。免疫グロブリンの重鎖の融合体、および所望により免疫グロブリンの軽鎖をコードするDNAを、別々の発現ベクター内に挿入し、適切な宿主生物体内に共形質移入する。二重特異性抗体を生成するための現在知られている例示的な方法のさらなる詳細については、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology、121巻:210頁(1986年);WO96/27011;Brennanら、Science、229巻:81頁(1985年);Shalabyら、J. Exp. Med.、175巻:217〜225頁(1992年);Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年);Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年);Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年);およびTuttら、J. Immunol.、147巻:60頁(1991年)を参照されたい。また、二重特異性抗体は、架橋結合した抗体またはヘテロコンジュゲートした抗体も含む。ヘテロコンジュゲートした抗体は、任意の好都合な架橋結合の方法を使用して作製することができる。適切な架橋結合剤が、当技術分野ではよく知られており、いくつかの架橋結合の技法とともに、米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0098】
また、二重特異性抗体の断片を、組換え細胞培養物から作製し、そこから直接単離する種々の技法が記載されている。例えば、二重特異性抗体が、ロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelnyら、J. Immunol.、148巻(5号):1547〜1553頁(1992年)。Fosタンパク質およびJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、2つの異なる抗体のFab’部分に、遺伝子融合によって連結することができる。抗体のホモ二量体をヒンジ領域において還元して、モノマーを形成し、次いで、再度酸化して、抗体のヘテロ二量体を形成することができる。また、この方法を活用して、抗体のホモ二量体を産生することもできる。Hollingerら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁(1993年)によって記載されている「ダイアボディ」の技術によって、二重特異性抗体の断片を作製するための代替機構が提供されている。この断片は、軽鎖可変ドメイン(V)に、同一の鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短過ぎるリンカーによって接続している重鎖可変ドメイン(V)を含む。したがって、一方の断片のVドメインおよびVドメインが、もう一方の断片の相補的なVドメインおよびVドメインとの対形成を強いられ、それによって、2つの抗原結合部位が形成される。また、単鎖Fv(scFv)の二量体の使用による、二重特異性抗体の断片を作製するための別の戦略も報告されている。Gruberら、J. Immunol.、152巻:5368頁(1994年)を参照されたい。あるいは、Zapataら、Protein Eng.、8巻(10号):1057〜1062頁(1995年)の記載のように、抗体を「直鎖抗体」としてもよい。手短にいうと、これらの抗体は、一対の抗原結合領域を形成する、一対のタンデムFdセグメント(V−C1−V−C1)を含む。直鎖抗体は、二重特異性であっても、または単一特異性であってもよい。
【0099】
ある特定の実施形態では、本開示は、抗CD200抗体または抗原結合性断片が第2の分子に連結されている融合分子に関する。したがって、本開示は、抗CD200抗体コンジュゲートを提供する。抗CD200抗体コンジュゲートは、抗CD200抗体の抗体または抗原結合部分と異種成分とを含む。上記異種成分は、ポリペプチド(ヒト血清アルブミンなど)、小分子、核酸、ポリマー(PEGなど、天然ポリマーおよび合成ポリマーが含まれる)、金属などであり得る。上記異種成分は、蛍光物質または発光剤など、検出可能成分または標識成分でも、細胞傷害性薬剤、抗生物質、放射性同位元素または放射性核種でもあり得る。したがって、本開示の抗体コンジュゲートまたは融合物分子は、例えば、小分子、ポリペプチド、ペプチド模倣体、ヘテロクリティックペプチド、化学療法薬、免疫調節剤、ターゲッティング成分または核酸コンストラクト(例えば、アンチセンス、RNAiまたは遺伝子ターゲッティングコンストラクト)を含む。
【0100】
抗CD200抗体またはその断片の完全性または寿命の増大が望まれている特定の実施形態では、抗体またはその断片を、in vivoでの上記断片の半減期を増大させる分子に結合させてもよい。そのような分子には、PEGまたは他の合成ポリマー、例えば、ポリアルキレン、ポリアルケニレン、ポリオキシアルキレンなどのポリマーが含まれる。代わりに、ポリペプチド、タンパク質ドメイン、血清タンパク質またはアルブミンに断片を融合させるか、他の方法で連結させてもよい。上記抗原結合性断片は、例えば、Fab、Fv、単鎖断片もしくはscFv、Fab’、F(ab’)またはF(ab’)であり得る。
【0101】
III.免疫応答を阻害する方法
A.体液性免疫応答を阻害する方法
免疫系は、外来抗原に対する2つのタイプの抗原特異応答、すなわち細胞媒介性免疫および体液性免疫を起こすことができる。細胞媒介性免疫は、Tリンパ球によって媒介される免疫系のエフェクター機能を指し、体液性免疫は、Bリンパ球による抗原特異的抗体の産生を指す。体液性免疫は、活性化B細胞によって媒介され、活性化B細胞は、例えば、侵入した微生物(ウイルスまたは細菌など)の表面にある抗原に特異的な抗体を分泌する。抗体は、侵入した微生物に結合し、破壊の標的にする。
【0102】
ほとんどの抗原に対する体液性免疫の発生は、抗体を産生するB細胞すなわちBリンパ球のみでなく、ヘルパーT(Th)細胞すなわちThリンパ球の関与も必要とする(Mitchison、Eur. J. Immunol.、1巻、18〜25頁(1971年);ClamanおよびChaperon、Transplant Rev.、1巻、92〜119頁(1969年);Katzら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、70巻、2624〜2629頁(1973年);Reffら、Nature、226巻、1257〜1260頁(1970年))。Th細胞は、胸腺依存性抗原による刺激に応答して、ある特定のシグナルを供給する。Th細胞によって放出される可溶性分子(例えばIL−4およびIL−5などのサイトカイン)は一部のBリンパ球活性化を媒介するが、B細胞活性化は、B細胞とTh細胞との間の接触依存性相互作用も必要とする(Hirohataら、J. Immunol.、140巻、3736〜3744頁(1988年);Bartlettら、J. Immunol.、143巻、1745〜1765頁(1989年);Brian、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻、564〜568頁(1988年);Hodgkinら、J. Immunol.、145巻、2025〜2034頁(1990年);およびNoelleら、J. Immunol.、146巻、1118〜1124頁(1991年))。
【0103】
本開示は、抗CD200抗体の投与がB細胞活性を阻害することを実証する。詳細には、本開示は、免疫刺激に続く循環免疫グロブリン(例えばIgGおよびIgM)のレベルを、抗CD200抗体が低減できることを示す。
【0104】
したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、体液性免疫応答の防止または阻害を必要とする対象の体液性免疫応答を防止または阻害する方法および組成物であって、CD200結合剤を投与するステップを含む方法に関する。ある特定の実施形態では、上記結合剤は、本明細書に記載の抗CD200抗体またはその抗体結合性断片である。
【0105】
一部の実施形態では、抗CD200抗体の投与は、B細胞を阻害するのに有効である。例えば、本開示の抗CD200抗体は、循環B細胞および/または成熟した抗体分泌性B細胞をターゲッティングおよび/または阻害するのに有効であり得る。したがって、本開示の方法および組成物は、循環B細胞および循環免疫グロブリンを低減または枯渇させるのに有効であり得る。さらに他の実施形態では、抗CD200抗体の投与は、循環IgGおよび/または循環IgM免疫グロブリンのレベルの減少をもたらす。
【0106】
いかなる特定の作用機序にも限定されることを望まないが、本明細書のどこか他のところに記載の通り、抗CD200抗体は、この抗体が結合するB細胞のADCC、CDCおよび/またはアポトーシスを媒介し得る。上記抗体は、マウス、キメラ、ヒト、ヒト化、霊長類化または脱免疫化抗CD200抗体またはその抗原結合性断片であり得る。場合により、上記抗体は、エフェクター機能の増大を誘発し得る。しかし、前述の通り、エフェクター機能は、ある役割を果たしている可能性があるが、所望の効果をもたらす唯一の手段ではない。
【0107】
体液性免疫応答の防止または阻害を必要とする対象は、ある特定の実施形態では、自己免疫障害を有する患者または移植体レシピエントであり得る。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、患者の移植片対宿主疾患(GVHD)および移植片拒絶を治療および防止する免疫療法組成物および方法であって、上記組成物および方法がCD200とCD200Rとの間の相互作用を阻害する薬剤を含み、好ましくは前記薬剤が抗CD200抗体である組成物および方法に関する。特定の実施形態では、上記自己免疫障害を有する患者または移植体レシピエントがヒトである。さらなる実施形態では、本開示は、移植体レシピエントにおける急性または慢性の体液性拒絶反応を治療または防止する方法に関する。
【0108】
ある特定の実施形態では、薬剤、例えば抗CD200抗体を、上記薬剤(例えば抗CD200抗体)の非存在下で可能であろうものより少ない用量の伝統的な治療薬と組み合わせて用いる。別の実施形態では、本開示の組成物および方法は、放射線療法、高用量免疫調節療法または脾臓摘出など、より骨の折れる形態の治療の必要性を取り除く。併用治療については、下記により詳細に論じる。それらには、例えば、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シトキサン(Cytoxan)、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、非ステロイド性抗炎症剤、ラパマイシン、シロリムスおよびタクロリムスが含まれる。他の例には、例えば、OKT3(商標)(ムロモナブCD3)、CAMPATH(商標)−1G、CAMPATH(商標)−1H(アレムツズマブ)、CAMPATH(商標)−1M、SIMULEC(商標)(バシリキシマブ)、ZENAPAX(商標)(ダクリズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)および抗胸腺細胞グロブリンなどの抗体が含まれる。
【0109】
抗CD200を移植体レシピエントに投与して体液性免疫応答を阻害する実施形態では、移植の前または後に、単独で、または移植片対宿主病(GVHD)および移植片拒絶を治療または防止するための1つまたは複数の治療薬またはレジメンと組み合わせて、抗CD200抗体を移植体レシピエントに投与できる。例えば、同種異系移植片の移植の前または後に、移植体レシピエントから同種抗体を枯渇させるために、抗CD200抗体を使用できる。GVHDおよび移植片拒絶反応に対する予防として、移植前にex vivoで、またはドナーで、移植片からCD200+抗体産生細胞を免疫枯渇させるためにも、抗CD200抗体を使用できる。
【0110】
体液性拒絶反応の予防または治療を必要とする移植体レシピエントは、当技術分野における知識および技術に従って同定できる。例えば、移植片拒絶に対する予防を必要とする移植体レシピエントは、移植前に、検出可能な循環抗HLA同種抗体を有する患者または患者の集団として同定できる。別の例では、上記患者または患者の集団を、移植の前にパネル反応性同種抗体を有するものとして同定する。移植後の移植体レシピエントにおける検出可能な循環抗HLA同種抗体の存在も、本開示に従った体液性拒絶反応の治療を必要とする患者または患者の集団を同定するのに用いることができる。移植体レシピエントが、体液性拒絶反応を発症する危険性を有するか、既に体液性拒絶反応を発症していることを示す他の臨床規準に従って、体液性拒絶反応の治療を必要とする患者または患者の集団を同定することもできる。例えば、循環抗ドナー同種抗体を特徴とする潜在性体液性応答など、体液性拒絶反応の初期段階にある患者または患者の集団として、体液性拒絶反応の治療を必要とする移植体レシピエントを同定できる。初期の体液性拒絶反応は、循環抗ドナー同種抗体およびC4d沈着を特徴とするサイレント反応(silent reaction)、または循環抗ドナー同種抗体、C4d沈着および組織病態を特徴とする無症候性拒絶反応であり得る。さらに後の段階では、レシピエントは、当技術分野の知識および技術に従って特徴付けられる体液性拒絶反応の臨床徴候、例えば、循環抗ドナー同種抗体、C4d沈着、組織病態および移植片機能障害を特徴とする臨床徴候を呈する患者または患者の集団として同定できる。
【0111】
本明細書に記載の抗CD200抗体は、様々な種類の移植細胞、組織および臓器のレシピエントにおける体液性免疫応答を阻害または防止するのに使用できる。例えば、移植片は、レシピエントにとって自己、同種異系または異種であり得る。移植片は、それだけに限らないが、骨髄移植片、末梢血幹細胞移植片、皮膚移植片、動脈および静脈移植片、膵島細胞移植片、ならびに腎臓、肝臓、膵臓、甲状腺および心臓の移植体を含めた、細胞、組織または臓器移植片であり得る。一実施形態では、自己移植片は、骨髄移植片、動脈移植片、静脈移植片または皮膚移植片である。別の実施形態では、同種移植片は、骨髄移植片、角膜移植片、腎移植体、心臓移植体、肝移植体、肺移植体、膵移植体、膵島細胞移植体または腎膵を合わせた移植体である。別の実施形態では、移植片が異種移植片であり、ドナーがブタであることが好ましい。さらに、抗CD200抗体は、単独で、または第2の薬剤と組み合わせて使用して、それだけに限らないが、人工関節、ステントまたはペースメーカ装置を含めた、非生物学的移植片またはインプラントに対する有害な免疫応答を抑制するのにも使用できる。
【0112】
したがって、本開示は、体液性免疫応答(それだけに限らないが、体液性移植片拒絶反応など)の阻害または防止を必要とする対象における体液性免疫応答(それだけに限らないが、体液性移植片拒絶反応など)を阻害または防止する方法であって、CD200とCD200Rとの間の相互作用を阻害する薬剤(例えば抗CD200抗体)を、単独で、または好ましくは他の1つまたは複数の治療薬と組み合わせて、対象に投与するステップを含む方法に関する。ある特定の実施形態では、循環B細胞の数を減少させるのに、かつ/または循環免疫グロブリン(例えばIgGおよび/またはIgM)の量を減少させるのに十分な量で抗体を投与する。
【0113】
B.細胞性免疫応答を阻害する方法
細胞性免疫応答は、抗原提示細胞がCD4+Tヘルパー(Th)リンパ球に抗原を提示すると開始され、その結果、T細胞活性化、エフェクターTリンパ球(例えば細胞傷害性CD8+T細胞)の増殖および分化がもたらされる。抗原への曝露(感染または外来組織の移植の結果起こる曝露など)の後、ナイーブT細胞はTh1細胞およびTh2細胞に分化する。Th1細胞は、IFN−γおよびIL−2を産生し、その両方が細胞媒介性免疫応答と関連している。Th1細胞は、通常は外来組織移植片の拒絶反応に関与し、かつ多くの自己免疫疾患にも関与する免疫応答で役割を演じている。Th2細胞は、IL−4などのサイトカインを産生し、通常はアレルギー、および喘息などのアレルギー性炎症反応に関与する応答など、抗体媒介免疫応答(すなわちB細胞媒介応答)と関連している。Th2細胞は、移植片の拒絶反応にも寄与し得る。多くの状況で、例えば、細菌感染またはウイルス感染に対する身体の防御、癌細胞などの増殖の阻害において、細胞性免疫応答は望ましい。しかし、他の状況、例えば移植片レシピエントでは、そのようなエフェクターT細胞は望ましくない。
【0114】
免疫系が抗原によって活性化されるか、または抗原に対して寛容化されるかは、Tエフェクター細胞の活性化と、T調節細胞の活性化との間のバランスによる。T調節細胞は、免疫寛容の誘導および維持に関与する。これらの細胞は、低レベルのIL−2、IL−4、IL−5およびIL−12を産生するT細胞である。制御性T細胞は、エフェクターT細胞より低レベルではあるが、TNFα、TGFβ、IFN−γおよびIL−10を産生する。TGFβは制御性T細胞によって産生される主なサイトカインであるが、このサイトカインは、Th1細胞よりも、Th2細胞よりも低レベル、例えば、Th1細胞またはTh2細胞におけるものより1桁少ないレベルで産生される。制御性T細胞は、細胞のCD4+CD25+集団内に見出すことができる(例えば、WaldmannおよびCobbold、2001年、Immunity 14巻、399頁参照)。制御性T細胞は、活性化シグナルで(例えば、抗原および抗原提示細胞、またはMHCのコンテクスト中にある抗原を模倣するシグナル、例えば抗CD3抗体+抗CD28抗体で)培養中に刺激されたTh1細胞、Th2細胞またはナイーブT細胞の増殖およびサイトカイン産生を活発に抑制する。
【0115】
本開示は、刺激の後、抗CD200抗体処置が、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞の数を減少させることを実証する。したがって、本開示は、細胞性免疫応答の防止または阻害を必要とする対象の細胞性免疫応答を防止または阻害する方法および組成物であって、CD200結合剤を投与するステップを含む方法および組成物に関する。ある特定の実施形態では、結合剤は、本明細書に記載の抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である。
【0116】
一部の実施形態では、抗CD200抗体の投与は、T細胞の活性化および/または増殖を阻害するか、または活性化されたT細胞の数を低減するのに有効である。例えば、本開示の抗CD200抗体は、Th1および/またはTh2細胞を含めた、活性化されたCD200発現T細胞をターゲッティングおよび/または阻害するのに有効であり得る。したがって、本開示の方法および組成物は、活性化されたT細胞、およびTh2細胞によって他の方法で活性化されるであろうB細胞を低減または枯渇させるのに有効であり得る(上記の論述を参照)。したがって、T細胞の抗CD200阻害は、活性化されたB細胞および/または循環免疫グロブリンの低減ももたらし得る。
【0117】
いかなる特定の作用機序に限定されることも望まないが、本明細書のどこか他のところに記載の通り、抗CD200抗体は、この抗体が結合するT細胞のADCC、CDCおよび/またはアポトーシスを媒介し得る。上記抗体は、制御性T細胞の数または機能を増強し得る。上記抗体は、マウス、キメラ、ヒト、ヒト化、霊長類化または脱免疫化抗CD200抗体またはその抗原結合性断片であり得る。場合により、上記抗体は、エフェクター機能の増大を誘発し得る。
【0118】
細胞性免疫応答の防止または阻害を必要とする対象は、ある特定の実施形態では、自己免疫障害の患者または移植体レシピエントであり得る。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、移植片対宿主疾患(GVHD)および患者の移植片拒絶を治療または防止する免疫療法組成物および方法であって、抗CD200抗体を含む組成物および方法に関する。特定の実施形態では、移植体レシピエントまたは自己免疫障害を有する患者がヒトである。さらなる実施形態では、本開示は、移植体レシピエントにおける急性または慢性のT細胞媒介拒絶反応を治療または防止する方法に関する。
【0119】
ある特定の実施形態では、抗CD200抗体の非存在下で可能であろうものより少ない用量の伝統的な治療薬と組み合わせて、抗CD200抗体を用いる。別の実施形態では、本開示の組成物および方法は、放射線療法、高用量免疫調節療法(T細胞をターゲッティングする高用量の療法など)または脾臓摘出など、より骨の折れる形態の治療の必要性を取り除く。併用治療については、下記により詳細に論じる。それらには、例えば、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、シトキサン(Cytoxan)、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、非ステロイド性抗炎症剤、ラパマイシン、シロリムスおよびタクロリムスが含まれる。他の例には、例えば、OKT3(ムロモナブCD3)、CAMPATH−1G、CAMPATH−1H(アレムツズマブ)もしくはCAMPATH−1M、SIMULEC(バシリキシマブ)、ZENAPAX(ダクリズマブ)、RITUXAN(リツキシマブ)および抗胸腺細胞グロブリンなどの抗体が含まれる。
【0120】
したがって、抗CD200を移植体レシピエントに投与して細胞性免疫応答またはT細胞媒介免疫応答を阻害する実施形態では、移植の前または後に、単独で、またはGVHDおよび移植片拒絶を治療または防止するための1つまたは複数の他の治療薬またはレジメンと組み合わせて、抗CD200抗体を移植体レシピエントに投与できる。例えば、T細胞の活性化を遮断または阻害して、同種抗原提示を破壊するか、制御性T細胞を増殖させるのに、抗CD200抗体を使用できる。
【0121】
C.CD200を過剰発現する細胞を枯渇または排除する方法
本開示によれば、CD200結合剤を含む治療薬を対象に投与することによって、対象における、CD200を発現する細胞を枯渇させる方法が提供される。上述の通り、CD200は、ある特定の免疫細胞で発現される。CD200の異なる発現は、治療のために、活性化された免疫細胞(すなわちCD200陽性細胞)をターゲッティングする手段を提供する。例えば、自己免疫障害または移植片拒絶を治療する方法で枯渇させるために、CD200陽性免疫細胞をターゲッティングすることができる。
【0122】
上記に論じた通り、CD200は、骨髄細胞上のCD200Rとそれとの相互作用を介して、骨髄の活性および/または移動の阻害シグナルを送達することによって免疫抑制を調節する。例えば、CD200ノックアウトマウスは、免疫原性刺激の後に、より活発な免疫応答を示し(Hoekら、Science、2000年、290巻、1768〜1771頁)、CD200発現細胞は、刺激された免疫細胞のサイトカインプロフィールの移行を誘導することによって、免疫抑制を誘発する。詳細には、CD200陽性細胞は、混合細胞集団アッセイにおいてTh1サイトカイン産生からTh2サイトカイン産生への移行を誘導できる。CD200陽性細胞は免疫応答を抑制できるが、それゆえ、CD200陽性細胞は免疫細胞の攻撃を回避できる可能性がある。しかし、免疫細胞の膜上におけるCD200の発現は、治療においてこれらの細胞をターゲッティングするのに利用できる。例えば、抗CD200抗体は、特異的にCD200陽性細胞をターゲッティングすることができ、かつCD200陽性細胞を免疫エフェクター細胞にターゲッティングすることができる。上記抗体は、CD200:CD200R相互作用を、場合により破壊し得る。したがって、この開示の実施形態は、枯渇させるために、CD200陽性細胞をターゲッティングする方法であって、CD200結合剤を投与するステップを含む方法に関する。
【0123】
一態様では、本開示は、マウス、キメラ、ヒト化またはヒト抗CD200抗体またはその断片を、それを必要とする対象に投与することによって、CD200陽性標的細胞のADCCおよび/またはCDCを調節する方法に関する。本開示は、ADCCおよび/またはCDCの増大を誘発する変種抗CD200抗体、ならびにADCCおよび/またはCDC活性の低減または不在を示す変種抗CD200抗体に関する。
【0124】
IV.移植患者を治療する方法
本開示で利用されるCD200結合剤ならびにポリペプチドおよび/または抗体は、本明細書に記載の治療応用に明確に指示される。したがって、CD200結合剤および抗CD200抗体ならびにそれらの変種は、併用療法を含めた治療、疾患の診断および予後、ならびに疾患進行のモニタリングに使用できる。
【0125】
いかなる特定の(1つまたは複数の)機序によって束縛されることも望まないが、抗CD200抗体、抗原結合性断片、ポリペプチドまたは他のCD200結合剤は、例えばそのような細胞に結合して、これらの細胞を免疫攻撃および細胞死滅の標的とすることによって、CD200陽性細胞を排除することによって、移植片生着を促進し得る。例えば、抗CD200抗体または他の結合剤は、抗体または結合剤が結合しているCD200陽性細胞に、エフェクター細胞または他のリガンド(例えば補体成分)を動員し、そのCD200陽性細胞をエフェクター媒介細胞死の標的とし得る。
【0126】
ある特定の態様では、本開示は、移植(例えば異種移植または同種移植)を受けたか、または受けることになる患者を治療する方法であって、CD200結合剤を投与するステップを含む方法に関する。ある特定の実施形態では、結合剤は、抗CD200抗体またはその抗体結合性断片である。加えて、上記抗体は、マウス、キメラ、ヒト化、ヒトまたは脱免疫化抗CD200抗体であり得る。したがって、移植患者を治療する方法は、本開示に記載のCD200結合剤および抗体のうちの任意のものを含み得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、抗CD200抗体またはCD200結合剤は、例えばT細胞、B細胞および樹状細胞などの免疫細胞を含めた、その表面にCD200を発現するいかなる型の細胞を枯渇させるのにも使用できる。一実施形態では、抗CD200抗体は、例えば移植体拒絶反応に関連する免疫応答など、望ましくない免疫応答に関与する免疫細胞を標的とした破壊に有用であり得る。本明細書に提示の抗CD200抗体で阻害または防止され得る例示的免疫応答には、例えば、炎症反応(例えば、抗CD200抗体は、TNF−αおよびINF−γなどの炎症性サイトカインの産生を阻害し得る)、同種抗原および/または異種抗原に特異的な抗体の産生、ならびにT細胞媒介応答が含まれる。
【0128】
したがって、本明細書に記載の方法および組成物によれば、本開示は、同種移植患者を治療する方法に関する。移植臓器、組織または細胞の患者許容性を低減し得るであろうCD200陽性免疫細胞を減少させるか、または排除するために、移植または同種移植の手順の前または上記手順の後に、本開示の抗CD200抗体または他のCD200結合剤を患者に投与できる。特定の実施形態では、増大したエフェクター機能を有する抗CD200抗体を移植患者に与える。
【0129】
拒絶反応を阻害するか、上述した広範な臓器、組織および細胞移植片の生着を促進させるために、本開示の抗CD200抗体を使用できる。例えば骨髄移植の後の移植片対宿主疾患を阻害するのにも上記抗体を使用できる。
【0130】
移植片レシピエントがヒトである、ある特定の実施形態では、同種移植片がMHCミスマッチであり得る。ある特定の実施形態では、MHCミスマッチ同種移植片がHLAミスマッチ同種移植片である。さらなる実施形態では、レシピエントが、同種移植片にとってABOミスマッチである。
【0131】
CD200結合剤または抗体を含む治療薬は、併用療法で患者に投与できる。したがって、移植片拒絶を治療または防止するため、または移植体の生着を強化または延長するために、ある特定の集団の免疫細胞を標的として死滅させるものを、併用療法の一部として投与できる。例えば、CD200結合剤を含む第1の治療薬(例えば本明細書に記載の抗CD200抗体)を受ける患者に、第2の治療薬も与えることができる。CD200結合剤は、第2の治療薬と同時に投与できる。代替として、CD200アンタゴニストは、第2の治療薬の前に投与することも、後に投与することもできる。第2の治療薬には、それだけに限らないが、ポリペプチド、小分子、化学物質、金属、有機金属化合物、無機化合物、核酸分子、オリゴヌクレオチド、アプタマー、スピーゲルマー(spiegelmer)、アンチセンス核酸、ロックド核酸(LNA)阻害剤、ペプチド核酸(PNA)阻害剤、免疫調節剤、抗原結合性断片、プロドラッグおよびペプチド模倣化合物が含まれる。特定の実施形態では、第2の治療薬に、抗炎症剤、免疫抑制剤および/または抗感染症剤が含まれる。
【0132】
本開示の併用療法には、例えば、本明細書に記載のCD200結合剤(例えば抗CD200抗体またはその抗原結合性断片)と、ステロイド、抗マラリア薬、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制剤または細胞傷害性薬物との同時投与または連続的な逐次投与が含まれる。それらには、コルチコステロイド(例えば、プレドニソン、デキサメサゾンおよびプレドニソロン)、メトトレキセート、メチルプレドニゾロン、マクロライド免疫抑制剤(例えば、シロリムスおよびタクロリムス)、有糸分裂阻害剤(例えば、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびメトトレキセート)、Tリンパ球の活性を阻害する真菌代謝産物(例えば、シクロスポリン)、ミコフェノール酸モフェチル、酢酸グラチラマー、細胞傷害性薬剤およびDNA損傷剤(例えば、クロラムブシル)が含まれる。ある特定の実施形態では、免疫抑制剤は、OKT3(ムロモナブCD3)、アザチオプリン(azathioprene)、レフルナミド、ブレキナル、ATG、ALG、15−デオキシスペルグアリン、LF15−0195(Teschら、Kidney Int.、2001年、60巻(4号)、1354〜65頁;Yangら、J.Leukocyte Biol.、2003年、74巻、438〜447頁)、CTLA−4−Ig(ベラタセプト)、リツキサン(rituxan)、IVIgおよびブレディニン(Bredinin)の中から選択される。抗炎症剤には、それだけに限らないが、サリドマイド、ならびにレナリドマイド(レブリミド(Revlimid)、CC−5013)およびCC−4047(アクチミド)などのその類似体が含まれる。同種移植患者または移植患者には、例えば、抗CD200療法を、インターロイキン2受容体のα鎖に特異的に結合する、遺伝的に操作されたヒトIgG1モノクローナル抗体であるダクリズマブ、および免疫細胞または他の細胞をターゲッティングする他の様々な抗体(例えば、抗T細胞抗体)を含めた抗体療法と併用できる。そのような併用療法は、免疫応答を阻害するのに有用であり得る。本開示は、1つまたは複数の薬剤に結合したCD200結合剤(例えば、本開示に記載の抗体およびその変種など)を含む、移植患者用の治療にも関する。
【0133】
ある特定の実施形態では、複数の免疫抑制剤を投与する。他の実施形態では、免疫調節治療法、例えば、血漿交換療法、脾臓摘出または免疫吸着を抗CD200抗体と組み合わせて用いる。逆に、抗CD200抗体を含む併用療法は、そのような治療の必要性を除去し得る。
【0134】
特定の実施形態では、細胞性免疫機能の阻害剤と併せて抗CD200抗体を投与する。そのような阻害剤には、それだけに限らないが、シクロスポリンA、タクロリムス、ラパマイシン、抗T細胞抗体、ダクリズマブおよびムロモナブCD3が含まれる。本開示で実証する通り、抗CD200抗体と細胞性免疫機能の阻害剤との組合せは、対照の移植片レシピエント(例えば、治療を受けていないレシピエント、または細胞性免疫機能の阻害剤などの単剤療法を受けているレシピエント)で観察された生着に比べて、移植片の生着を増大させる。生着の増大には、例えば、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%または少なくとも約50%の生着期間(例えば日数、月数または年数で測定される)の増大が含まれる。
【0135】
特定の実施形態では、抗CD200抗体およびT細胞阻害剤を含む併用治療によって、同種移植片の長期生着がもたらされる。ヒトにおける長期生着には、例えば、少なくとも約5年、少なくとも約7.5年および少なくとも約10年間の移植後生着が含まれる。ある特定の実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片およびT細胞活性の阻害剤を含む併用治療によって、移植片の適応がもたらされる。
【0136】
いかなる特定の(1つまたは複数の)機序によって束縛されることも望まないが、そのような組合せでは、細胞性免疫機能の阻害剤はT細胞応答を阻害し、サイトカインプロフィールを変える可能性があり、一方、抗CD200抗体は抗体反応を阻害し、そしておそらくT細胞応答も阻害する。特定の実施形態では、抗CD200抗体の投与は、他の方法で同じか、または同様なレベルの移植片生着を実現するのに必要な用量より低用量の細胞性免疫機能の阻害剤(例えば、シクロスポリンA)の成功裏な使用を可能にする。
【0137】
したがって、ある特定の態様では、本開示は、移植片拒絶への既存の免疫抑制剤(シクロスポリン、アザチオプリン、副腎皮質ステロイド、FK−506など)の抑制効果を、抗CD200抗体およびそれらの抗原結合性断片など、CD200結合剤を用いて強化する方法に関する。
【0138】
併用療法の性質に応じて、他の治療薬が投与されている間および/または後に、抗CD200抗体の投与を継続することができる。上記抗体の投与は、単回用量または複数回用量で行える。一部の場合には、通常療法の少なくとも数日前に抗CD200抗体の投与を開始する。他の場合には、通常療法の投与の直前または投与時に投与を開始する。一部の場合には、他の療法の後に、抗CD200抗体を投与するであろう。または、他の療法と交替しながら、上記抗体を投与することができよう。
【0139】
ある特定の実施形態では、本開示の抗体は、様々な細胞傷害性化合物を送達するのに使用できる。いかなる細胞傷害性化合物も、本開示の抗体と融合させることができる。融合は、化学的にも、遺伝学的にも実現できる(例えば、単一の融合した分子としての発現を介して)。細胞傷害性化合物は、ポリペプチドまたは小分子などの生物製剤であり得る。当業者ならば理解するであろうが、小分子には、化学的融合が用いられ、一方、生物学的化合物には、化学的融合または遺伝的融合のいずれかを利用することができる。
【0140】
細胞傷害性化合物の非限定例には、治療薬、放射線を発する化合物、植物、真菌または細菌由来の分子、生物学的タンパク質およびそれらの混合物が含まれる。細胞傷害性薬物は、例えば、短距離高エネルギーαエミッターを含めた短距離放射線エミッターなど、細胞内に作用する細胞傷害性薬物であり得る。酵素的に活性な毒素およびそれらの断片としては、例えば、ジフテリア毒素A断片、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、αサルシン、ある特定のAleurites fordiiタンパク質、ある特定のジアンチンタンパク質、Phytolacca americanaタンパク質(PAP、PAPIIおよびPAP−S)、Morodica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、Saponaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトギリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシンが例示される。イムノトキシンの酵素的に活性なポリペプチドを調製する手順は、参照により本明細書に組み込まれているWO85/03508に記載されている。ある特定の細胞傷害性成分は、例えば、アドリアマイシン、クロラムブシル、ダウノマイシン、メトトレキセート、ネオカルチノスタチン(neocarzinostatin)およびプラチナに由来する。
【0141】
抗体を細胞傷害性薬剤と結合する手順は以前に記載されており、当業者の範囲内にある。
【0142】
本開示に従った別の実施形態では、治療処置の推移および/または有効性をモニターする方法を提供する。この方法は、免疫調節治療薬を投与するステップと、対象におけるCD200レベルを少なくとも2回測定して、治療薬の有効性を判定するステップと含む。例えば、CD200の前治療レベルを確認することができ、上記治療薬を少なくとも1回投与した後に、CD200のレベルを再度測定することができる。CD200レベルの減少は、有効な治療を示している。開業医は、上記治療薬の投与量または頻度を増大させるかどうかのガイドとして、CD200レベルの測定を用いることができる。CD200レベルは、直接モニターすることもでき、代わりに、CD200と関連する任意なマーカーをモニターすることもできることを理解するべきである。
【0143】
V.投与の様式および製剤
本開示の抗体(純粋な抗体であるか、標識された抗体であるか、毒素に融合した抗体であるかなどに関わらず)の抗体投与経路は、既知の方法、例えば、静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、皮下、眼内、関節内、鞘内、吸入もしくは病巣内経路によるか、または持続放出系による注射または注入に一致するものである。上記抗体は、注入によって、またはボーラス注射によって連続的に投与することが好ましい。上記抗体は、局所投与することも、全身投与することもできる。
【0144】
本開示の抗体は、薬学的に許容される担体との混合物中に調製できる。本出願の化合物を製剤化および投与するための技法は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co., Easton, PA、最新版で見出すことができる。この治療組成物は、静脈内に、または鼻もしくは肺を通して投与することができ、液体または粉末エアロゾル(凍結乾燥物)として投与することが好ましい。所望により、上記組成物を非経口的投与または皮下投与することもできる。全身投与する場合、治療組成物は、無菌であり、実質的に無発熱物質であり、かつ適切なpH、等張性および安定性を有する非経口的に許容できる溶液中にあるべきである。例えば、医薬調製物は、ヒト用治療薬としての投与に適するように、発熱物質を実質的に含まない。これら条件は当業者に知られている。
【0145】
これらの実施形態に記載の組成物および方法によれば、本開示は、抗CD200抗体を含むいかなる医薬組成物にも関する。これには、キメラ、ヒト化、ヒトおよび脱免疫化抗CD200抗体、ならびに単鎖抗体を含めた抗原結合性断片が含まれる。本明細書に記載の改変された(1つまたは複数の)エフェクター機能を有する、マウス、キメラ、ヒト化、ヒトおよび脱免疫化変種抗CD200抗体ならびに抗原結合性断片も含まれる。本開示の医薬組成物は、T細胞機能の阻害剤など、1つまたは複数の免疫調節剤または免疫抑制剤をさらに含み得る。
【0146】
使用に適した医薬組成物には、本開示の抗体のうちの1つまたは複数を、それらの意図された目的を実現するのに有効な量で含有する組成物が含まれる。より詳細には、治療有効量は、疾患の症候を防止するか、軽減するか、もしくは改善させる、または治療される対象の生存を延長するか、または移植された器官、組織もしくは細胞の生存を延長させるのに有効な、抗体の量を意味する。治療有効量の決定は、とりわけ本明細書に提示する詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力内にある。治療上有効な用量は、in vitro法およびin vivo法を用いて決定できる。
【0147】
ある特定の態様では、本開示は、疾患からの生存の延長または疾患の抑制を必要とする対象(例えば、移植片レシピエント)の疾患からの生存を延長するか、上記対象の疾患を抑制する薬物または薬物パッケージの製造における、CD200結合剤および免疫調節剤または免疫抑制剤の使用を提供する。ある特定の実施形態では、上記薬物または薬物パッケージに複数の免疫抑制剤が含有される。ある特定の実施形態では、結合剤(例えば、抗CD200抗体またはその断片)および免疫調節剤または免疫抑制剤が、それを必要とする対象への同時投与に適した製剤中にある。ある特定の実施形態では、結合剤(例えば、抗CD200抗体またはその断片)および免疫調節剤または免疫抑制剤が、それを必要とする対象への逐次投与に適した製剤(一種または複数)中にある。ある特定の実施形態では、抗CD200抗体またはその抗原結合性断片が、それを必要とする対象への連続投与に適した製剤中にある。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤が、移植片レシピエントなど、それを必要とする対象への連続投与に適した製剤中にある。
【0148】
ある特定の実施形態では、CD200結合剤が、抗体およびリオプロテクタント(lyoprotectant)を含む凍結乾燥製剤中の抗体である。ある特定の実施形態では、本開示の免疫調節剤または免疫抑制剤が、免疫抑制剤およびリオプロテクタントを含む凍結乾燥製剤中にある。ある特定の実施形態では、上記抗体および免疫抑制剤が、前記抗体、前記免疫抑制剤およびリオプロテクタントを含む同じ凍結乾燥製剤中にある。ある特定の実施形態では、抗CD200抗体などのCD200結合剤が、カートリッジを含むシリンジを含む注射システムであって、上記カートリッジが、注射に適した製剤中の上記抗体を含有する注射システム内にある。ある特定の実施形態では、免疫調節剤または免疫抑制剤が、カートリッジを含むシリンジを含む注射システムであって、上記カートリッジが、注射に適した製剤中の上記免疫調節剤または免疫抑制剤を含有する注射システム内にある。ある特定の実施形態では、抗CD200抗体および免疫調節剤または免疫抑制剤が、カートリッジを含むシリンジを含む注射システムであって、前記カートリッジが、注射に適した製剤中に上記抗体および上記免疫調節剤または免疫抑制剤を含有する注射システム内にある。上記抗体およびまたは免疫調節剤または免疫抑制剤は(1つまたは複数の)単位剤形であり得る。したがって、本開示は、体液性応答および細胞性応答を含めた免疫応答を阻害する方法と、移植片拒絶反応を阻害する方法、または移植細胞、組織もしくは臓器の生着を延長する方法とを提供する。詳細には、同種移植細胞、組織または臓器の生着を延長する方法を提供する。これらの方法は、1つまたは複数の免疫抑制剤および/または免疫抑制方法と場合により組み合わせた、抗CD200抗体などのCD200結合剤の使用を対象とする。本開示は、1つまたは複数の薬物または薬物パッケージの製造における、1つまたは複数の免疫抑制剤を場合により含む抗CD200抗体などのCD200結合剤の使用も提供する。そのような薬物または薬物パッケージは、自己免疫障害を有する患者または移植体レシピエントなどにおける、免疫応答を阻害するのに有用である。
【実施例】
【0149】
VI.例示
(実施例1)
抗体hB7V3V2によるT細胞の死滅
エフェクター機能を媒介する定常領域(例えばIgG1定常領域)を含有する抗CD200抗体との活性化T細胞のインキュベーションがT細胞の死滅をもたらすかを評価するために、T細胞を活性化し、以下に記載するような死滅アッセイを組み立てた。
【0150】
A.CD3+T細胞単離
ヒト末梢血リンパ球(PBL)を、正常な健常志願者から、Accuspin(商標)システムを用いる、ヘパリン処理した全血の密度勾配遠心分離により得た。15mLのHistopaque−1077(Sigma、St.Louis、MO;cat#H8889)をそれぞれのAccuspinチューブ(Sigma、St.Louis、MO;cat#A2055)に加え、これを次いで、Histopaqueがフリットを通過することが可能なように、1500rpmにて2分間遠心分離した。30mLの全血をフリットの上に重層し、チューブを2000rpmにて15分間、室温にてブレーキなしで遠心分離した。PBL界面の層を採取し、単核細胞を、2%熱失活胎児ウシ血清(FBS)(Atlas Biologicals、Ft.Collins、CO;cat#F−0500−D)含有PBSで2回、10分間の1200rpmでの遠心分離を用いて洗浄した。CD3+T細胞を、製造業者の使用説明書に従ってHTCC−5カラム(R&D Systems)に通過させることにより単離した。溶出された細胞を洗浄し、計数して、5%熱失活単一ドナー血清、2mMのL−グルタミン、10mMのHepesおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI1640に再懸濁した。
【0151】
B.プレートに結合したmOKT3を用いる活性化
12ウェルプレート(Falcon)のウェルを、PBSで希釈した10μg/mLのmOKT3(Orthoclone)との4℃での一晩のインキュベーションにより被覆した。残存抗体を除去し、プレートをPBSで穏やかにすすいだ。上記のようにして単離した精製CD3+T細胞を、プレートに、5%熱失活単一ドナー血清、2mMのL−グルタミン、10mMのHepesおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI1640中で2×10/ウェルの最終濃度にて加えた。細胞を、5%COを含む湿潤インキュベーター中で37℃にて72時間維持した。
【0152】
C.mOKT3活性化CD3+標的細胞の51クロム標識
培養期間の最後に、mOKT3活性化CD3+細胞を採集し、洗浄し、10細胞/mLにて、血清を含まないRPMI1640中に再懸濁した。細胞を、125μCiの51クロム(Perkin Elmer、Billerica、MA)/10細胞を37℃にて2時間加えることによりクロム化した。標識細胞を採集し、5%熱失活単一ドナー血清を含有するRPMI中で洗浄し、同じ培池中に2×10細胞/mLの最終濃度で再懸濁した。
【0153】
D.自己NKエフェクター細胞の調製
同じ個体からのヒト末梢血リンパ球(PBL)を、密度勾配遠心分離により上記のようにして得た。PBL界面の層を採取し、単核細胞を、2%熱失活胎児ウシ血清(FBS)(Atlas Biologicals、Ft.Collins、CO;cat#F−0500−D)含有PBS中で2回、10分間の1200rpmでの遠心分離を用いて洗浄した。CD56+細胞を、製造業者の使用説明書に従う抗CD56コンジュゲート磁気ビーズ(Miltenyi Biotec、Auburn、CA、Cat#120−000−307)でのポジティブ選択により単離した。溶出された細胞洗浄し、計数し、5%熱失活単一ドナー血清、2mMのL−グルタミン、10mMのHepesおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有するRPMI1640に1.3×10細胞/mLで再懸濁した。細胞を、3mLの同じ培池中に4×10細胞/ウェルの最終濃度にて、5%COを含む湿潤インキュベーター中で37℃にて一晩インキュベートした。培養期間の最後に、細胞を採集し、洗浄し、計数し、2mMのL−グルタミン、10mMのHepes、2×10−5Mの2−メルカプトエタノールおよびペニシリン/ストレプトマイシンを含有する血清フリーRPMI中に再懸濁した。
【0154】
E.ADCCアッセイ
上記のようにして調製した51Cr標識mOKT3活性化CD3+標的細胞を、96ウェルプレートのウェルに、50μL中に10細胞/ウェルにて分配した。CD56+エフェクター細胞を採集し、洗浄し、計数し、2.5×10細胞/mL(エフェクター:標的細胞の比が25:1について)または10細胞/mL(エフェクター:標的細胞の比が10:1について)のいずれかにて再懸濁し、標的細胞を含有するウェルに分配した(100μL/ウェル)。抗CD200抗体(V3V2−G1またはV3V2−G2/G4)の10倍希釈物を、10、1、0.1および0.01μg/mLの最終濃度にて、エフェクターおよび標的に加えた。アッセイの対照は、次のものを含んだ:1)抗体の不在下でのエフェクターおよび標的(0Ab);2)エフェクターの不在下での標的細胞(自発溶解)および3)0.2%Tween−80とインキュベートしたエフェクターおよび標的(最大放出)。すべての細胞培養条件は、3重で行った。細胞を、5%COを含む湿潤インキュベーター中で37℃にて4時間インキュベートした。培養期間の最後に、プレートを遠心分離して細胞をペレットにし、150μLの細胞上清をシンチレーションバイアルに移し、ガンマシンチレーションカウンター(Wallac)で計測した。結果は、以下の式に従う特異的溶解パーセントとして表す:
【0155】
【化1】

F.フローサイトメトリー
上記のようにして調製した100μLの細胞懸濁物(mOKT3活性化CD3+細胞または精製CD56+NK細胞)を、96ウェル丸底プレート(Falcon、Franklin Lakes NJ;cat#353077)のウェルに分配した。細胞を、以下のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)−、フィコエリスリン(PE)−、PerCP−Cy5.5−、またはアロフィコシアニン(APC)−コンジュゲート抗体(すべてBecton−Dickinson、San Jose、CAから)の記載される組合せとともに、4℃にて30分間インキュベートした;抗ヒトCD25−FITC(cat#555431);抗ヒトCD3−APC(cat#555335);抗ヒトCD200−PE(cat#552475);抗ヒトCD8−PerCP−Cy5.5(cat#341051);抗ヒトCD4−APC(cat#555349);抗ヒトCD5−APC(cat#555355)および抗ヒトCD56−APC(cat#341025)。それぞれの標識抗体についてのアイソタイプ対照も含めた。細胞を2回、FACS緩衝液で洗浄した後に(1800rpmの遠心分離を3分間)、細胞を、300μLのPBS(Mediatech、Herndon、VA;cat#21−031−CV)に再懸濁し、FACSCalibur装置およびCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson、San Jose、CA)を用いるフローサイトメトリーにより分析した。
【0156】
図5に示すように、活性化T細胞は、その表面で高いCD200発現を示す。活性化T細胞は、NK細胞をエフェクター細胞として用いた場合に、hB7V3V2−G1の存在下では効果的に死滅するが、hB7V3V2−hG2G4の存在下では死滅しない(図6)。これらのデータは、エフェクター機能を有する抗CD200抗体が、活性化T細胞を排除できることを実証する。このような抗体は、移植の状況において、または自己免疫疾患の処置のための治療に有用であり得る。
【0157】
制御性T細胞に加えて、形質細胞様樹状細胞は、ヒトの癌において負の免疫調節性の役割を演じることが示されている(Wei Sら、Cancer Res.2005年6月15日;65巻(12号):5020〜6頁)。形質細胞様樹状細胞を排除する療法と抗CD200療法との組合せは、よって、有利であり得る。
【0158】
(実施例2)
抗CD200mAbは、マウス心臓移植モデルにおいて急性同種移植片拒絶反応を防ぐ
シクロスポリンA(CsA)およびタクロリムスのようなカルシニュリン阻害剤は、狭い治療域を有することが知られている。治療用量であっても、これらの薬剤は、相当な腎毒性の危険性を有する(Seron, D.およびF. Moreso.2004年、Transplant Proc 36巻:257S頁)。治療レベル以下のCsAまたはタクロリムスのいずれかを用いる処置は、腎毒性の発生率は有意に低いが、同時に、著しい移植片拒絶反応を示す(Seron, D.およびF. Moreso.2004年、Transplant Proc 36巻:257S頁;Dunnら、2001年、Drugs 61巻:1957頁;Scottら、2003年 Drugs 63巻:1247頁)。現在の治療レジメンの限界および副作用は、CsAの必要性を低減し、低用量のCsAとの相乗作用を有することにより、急性拒絶反応を防ぎ、移植片生着を延長する新規な薬剤を探索することに価値があることを示す。
【0159】
本研究では、C57BL/6−to−BALB/c完全MHCミスマッチマウス心臓移植モデルにおける移植片生着について調べた。それぞれの実験群は、5匹の動物からなった。処置は、以下のようにして与えた:
・抗CD200mAb:100μg/マウス/日、第0〜14日、i.p.
・ラパマイシン(Rapa):2mg/kg/日、第0〜13日、経口
・シクロスポリンA(CsA):
低用量/長期間処置:5mg/kg/日、第0日〜終点、s.c.
高用量/長期間処置:15mg/kg/日、第0日〜終点、s.c.
高用量/短期間処置:15mg/kg/日、第0〜28日、s.c.
用いた抗CD200mAbは、European Collection of Cell Culturesからハイブリドーマとして得たラット抗マウスCD200mAbである、OX90に由来するキメラ抗体であるOX90mG2aであった(ECACC No.03062502;Hoekら、Science 290巻:1768〜1771頁(2000年)を参照されたい)。ラット抗体は、マウスIgG2a定常領域と融合されたラット重鎖可変領域と、マウスカッパ定常領域と融合されたラット軽鎖可変領域とを含むように遺伝子改変した。表1についてのデータを得るために用いた抗体は、表2の抗体を得た調製物とは異なる抗体調製物から得た。表2は、OX90NEと呼ばれる抗体を用いたデータもさらに含む。抗体OX90NEは、エフェクター機能が減少するように操作されたラット抗マウスCD200抗体である。これは、OX90mG2a重鎖の4アミノ酸残基を変異させることにより達成した(軽鎖は同一である)。OX90mG2aおよびOX90NEの配列を、図10に示す。種々のOX90抗体は、図11に示すように、遮断抗体である。高レベルのマウスCD200を発現するA20系統の細胞を、20μg/mLの12B4(対照)またはOX90変異体抗体と、4℃にて30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、10μg/mLのR−PEコンジュゲートCD200R1−Fc(Invitrogen/molecular probes、カタログZ25155)と、4℃にて30分間インキュベートした。結合は、フローサイトメトリーにより分析した。示すように、OX90hG2G4、OX90NEおよびOX90mG2aは、A20細胞上のCD200へのR−PE標識CD200R1−Fcの結合を効果的に遮断するが、対照抗体12B4は結合を遮断しない。
【0160】
移植片組織学
剖検にて、心臓組織試料を、10%緩衝化ホルムアルデヒドで固定し、パラフィンに包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色のために切片にした。顕微鏡用の切片を、盲検の様式で、病理学者による拒絶の重症度について調べた(B.G.)。移植片拒絶反応についての基準は、血管炎、血栓症、出血およびリンパ球浸潤の存在を含み、正常組織と比較して、0、変化なし;1、最小限の変化;2、軽度な変化;3、中等度の変化;または4、著しい変化として評点した。
【0161】
免疫組織化学
4マイクロメートルの切片を、Tissue−Tek至適切断温度(O.C.T.)ゲル(Skura Finetek、Torrance、CA)中に包埋された心臓凍結組織試料から切断し、ゼラチン被覆ガラス顕微鏡スライド上に載せ、Elite Vectastain ABCキット(Vector Laboratories Inc.、Burlingame、CA)を用いる標準的な間接的アビジン−ビオチン免疫ペルオキシダーゼ法により染色した。検体を、ビオチンコンジュゲートラット抗マウスCD4mAb(クローンYTS191.1.2、Cedarlane Laboratories Ltd.、Hornby、Ontario、Canada)およびビオチンコンジュゲートラット抗マウスCD8mAb(クローン53−6.7、BD Biosciences、Franklin Lakes、NJ)をそれぞれ用いて、CD4およびCD8T細胞の存在について評価した。移植片内単球/マクロファージ浸潤は、ビオチンコンジュゲートラット抗マウスMac−1mAb(Cedarlane)を用いて検出した。マウスIgGおよびIgM沈着は、移植片において、ビオチンコンジュゲートヤギ抗マウスIgGおよびヤギ抗マウスIgM(Cedarlane)をそれぞれ用いて検出した。補体の沈着を同定するために、組織切片を、ポリクローナルヤギ抗マウスC3または抗マウスC5血清(Quidel、San Diego、CA)、ビオチン化ウサギ抗ヤギIgG(Vector Laboratories)、およびHRPコンジュゲートストレプトアビジン(Zymed Laboratories、South San Francisco、CA)と連続してインキュベートした。スライドを、抗体のインキュベーションステップ同士の間にリン酸緩衝化塩水(PBS)で洗浄し、光学顕微鏡の下で調べた。陰性対照は、一次抗体を省略することにより行った。抗体反応性は、処置群あたり5匹の動物からの組織試料を用いて、各切片の5つの強拡大視野で評価した。染色の強度は、以下に従って、0から4+までで段階に分けた:0、陰性;1+、不定;2+、弱い;3+、中等度および4+、強い染色。
【0162】
【表1】

【0163】
【表2】

アイソタイプ対照(12B4)群での心臓移植片は、迅速に拒絶された。さらに、アイソタイプ対照(12B4)+CsA群とCsA単剤療法群との間で、生着時間の差は観察されなかった。表1および2のデータは、抗CD200治療が、生着の延長において強い効果を有することを実証する。このことは、エフェクター機能を有する抗体と、エフェクター機能を欠如する抗体の両方で見られた。
【0164】
【表3】

生着および移植片生着に加えて、循環抗ドナー抗体レベルおよび脾臓でのT細胞集団の数を、フローサイトメトリーにより測定した。高用量のCsAと組み合わせた抗CD200mAbは、長期間生着レシピエントにおいて抗ドナー抗体の生成を阻害する(図7Aおよび7B)。さらに、高用量のCsAと組み合わせた抗CD200mAbは、長期間生着レシピエントにおいて脾臓CD4+およびCD8+T細胞集団を著しく下方制御する(図8)。
【0165】
さらに、以下の細胞集団を、フローサイトメトリーにより測定した:CD3CD200;CD3CD200R;CD19CD200;CD19CD200R;CD11cCD200;およびCD11cCD200R。これらの結果を図9A〜Cに示す。
【0166】
IgG、IgM、C3およびC5ならびにその他の移植片内細胞マーカー(例えばCD4、CD8およびMac−1)の移植片内沈着は、凍結移植片切片で測定した。結果を表4〜6に示す。
【0167】
【表4】

【0168】
【表5】

【0169】
【表6】

上記のデータは、CsAと組み合わせた抗CD200mAbが、マウス心臓移植モデルにおいて心臓同種移植片生着を著しく延長することを実証する。重要なことに、抗CD200mAbは、長期間の同種移植片の受け入れの達成において、CsAの必要性を著しく低減する。
【0170】
(実施例3)
急性同種移植片拒絶反応の予防における抗CD200mAb、OX90NE−AGの効果
上記のOX90NE抗体は、エフェクター機能を欠如していると元来考えられていたが、後になって、OX90NEがいくらかのエフェクター機能を保持していることが見出されたので、エフェクター機能を欠如している別の抗体であるOX90NE−AGを用いてさらなる実験を行った。OX90NE−AG抗体は、OX90NE抗体と似ているが、Asn 298残基をGlnで置き換える1つのさらなる変異を含む。AGとは、抗体がグリコシル化されていないことを示す(Asn298はグリコシル化できるが、Gln298はグリコシル化できない)。得られた抗体はADCCまたはCDCを媒介できない。
【0171】
上記の実験と同様に、本研究では、C57BL/6−to−BALB/c完全MHCミスマッチマウス心臓移植モデルにおける移植片生着について調べた。それぞれの実験群は、5匹の動物からなった。処置は、以下のようにして与えた:
・OX90NE−AG:100μg/マウス/日、第0〜14日、i.p.
・シクロスポリンA(CsA):15mg/kg/日、第0日〜終点、s.c.
結果を、以下の表7に示す。
【0172】
【表7】

本研究で用いた10匹すべての動物は、同様に処置した。5匹のマウスを、表3〜6に示すようなさらなる分析を目的として第16日後に屠殺した。他の5匹のマウスは第90日には生存したままであり、第100日に屠殺し、この時点で表3〜6で見られるのと同様の分析を、第16日および第100日で屠殺のマウスの両方の群に対して行う。
【0173】
本明細書に開示される実施形態に対して、種々の改変を行うことができることが理解される。例えば、当業者が認識するように、本明細書に記載される特定の配列は、OX−2/CD200の結合に用いられるポリペプチド、抗体または抗体フラグメントの機能性に必ずしも悪影響を与えることなく、少し変更することができる。例えば、抗体配列内の単一または複数のアミノ酸の置換は、抗体または断片の機能性を破壊することなく、頻繁に行うことができる。よって、本明細書に記載される特定の抗体と70%を超える同一性の程度を有するポリペプチドまたは抗体は、本開示の範囲内にあると理解されるべきである。特に有用な実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体と約80%より大きい同一性を有する抗体が企図される。別の有用な実施形態において、本明細書に記載される特定の抗体と約90%より大きい同一性を有する抗体が企図される。よって、上記の記載は、限定すると解釈されるべきではなく、単に、好ましい実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および趣旨の中で他の改変を想定するだろう。
【0174】
参考文献
以下の文献は、本発明が属する技術分野をより詳細に記載するために、本明細書中に参考として援用される。以下の刊行物または上記で参考として援用されたものと、本開示との任意の不一致は、本発明が優先させるよう解決される。
【0175】
【数1】

【0176】
【数2】

【0177】
【数3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫応答を阻害する必要のある対象における、免疫応答の阻害方法であって、前記対象に、有効量のi)CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する作用剤、およびii)免疫抑制薬または免疫調節薬を投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記免疫応答が体液性応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫応答が抗体媒介応答である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記作用剤がエフェクター機能を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記作用剤がエフェクター機能をまったく有していない、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記作用剤が抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記作用剤が、可溶性CD200Rまたは非アゴニスト性可溶性CD200である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記免疫抑制薬がシクロスポリンAまたはラパマイシンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記抗CD200抗体またはその抗原結合性断片が、ヒト抗体またはその抗原結合性断片、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片、霊長類化抗体またはその抗原結合性断片、キメラ抗体またはその抗原結合性断片、マウス抗体またはその抗原結合性断片、および脱免疫化抗体またはその抗原結合性断片からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記抗原結合性断片が、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab’)、Fd、Fv、ドメイン抗体、およびCD200に特異的な結合を付与する抗CD200免疫グロブリンの任意の断片からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫調節薬または前記免疫抑制薬がカルシニュリン阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記カルシニュリン阻害剤が、タクロリムスおよびシクロスポリンAからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫調節薬または前記免疫抑制薬が、アドリアマイシン、アザチオプリン、ブスルファン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、フルダラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ミコフェノール酸モフェチル、非ステロイド性抗炎症薬、シロリムス(ラパマイシン)、およびタクロリムス(FK−506)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫調節薬または前記免疫抑制薬が、ムロモナブ−CD3、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、および抗胸腺細胞グロブリンからなる群から選択される抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対象がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が、細胞移植体、組織移植体または臓器移植体を受けたか、受けることになる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
移植片拒絶を防止し、または移植片生着を促進する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象に、前記同種移植片を施す前に前記作用剤および前記薬を投与するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記作用剤が、i)前記薬の前、ii)前記薬に引き続いて、またはiii)前記薬と同時に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記同種移植片の拒絶反応エピソードの間に前記作用剤を投与するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記移植片拒絶が、移植された細胞、組織、または臓器の急性または慢性の体液性拒絶反応である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
造血細胞移植体もしくは骨髄移植体、膵島細胞の同種移植体、または心臓、腎臓−膵臓、腎臓、肝臓、肺、および膵臓からなる群から選択される固体臓器移植体のレシピエントである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
抗ドナー抗体の産生の減少をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記移植片拒絶が、細胞、組織または臓器の同種移植または異種移植を受けた移植片レシピエントにおける急性移植片拒絶である、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記移植片拒絶が、細胞、組織または臓器の同種移植または異種移植を受けた移植片レシピエントにおける慢性移植片拒絶である、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
長期間の移植片生着を促進し、前記長期間の移植片生着が、
(a)移植後少なくとも6カ月;
(b)移植後少なくとも1年;および
(c)移植後少なくとも5年
からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記移植片の適応を促進する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、抗体媒介炎症疾患または自己免疫疾患を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記自己免疫疾患が自己免疫性溶血性貧血である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記作用剤が全身的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記作用剤が局所的に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記免疫応答が一次応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫応答が二次応答である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
対象に投与される免疫抑制薬または免疫調節薬の有効量を構成するものを低減する方法であって、前記対象に、i)前記免疫抑制薬または前記免疫調節薬、およびii)CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する作用剤を投与するステップを含み、
前記作用剤を伴わずに前記薬を投与するステップと比較して、免疫抑制または免疫調節を生じさせるために、より少ない前記薬が必要である方法。
【請求項35】
前記対象が、同種移植片を受けたか、受けることになる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、自己免疫疾患または抗体媒介炎症疾患を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記薬がシクロスポリンAまたはラパマイシンである、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
拒絶反応エピソードの間の、同種移植片レシピエントにおける同種移植片の拒絶反応の阻害方法であって、前記同種移植片レシピエントに、CD200とCD200Rとの相互作用を阻害する、有効量の作用剤を投与するステップを含み、前記同種移植片の拒絶反応が阻害される方法。
【請求項39】
前記作用剤が抗CD200抗体またはその抗原結合性断片である、請求項38に記載の方法。

【図10】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−534243(P2010−534243A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518230(P2010−518230)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/009037
【国際公開番号】WO2009/014745
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(503102674)アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (51)
【Fターム(参考)】