説明

CDK1抗増殖活性を有する1,5−ナフチリジンアゾリジノン

本発明は、一般式(I)の1,5-ナフチリジンアゾリジノンと、その化合物の製造方法と、その化合物を含む薬に関する。この化合物はCDK1の阻害剤であり、抗増殖活性を示す。したがってこの化合物は抗がん剤として役に立つ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDK1抗増殖活性を示すため抗がん剤として有用な1,5-ナフチリジンアゾリジノン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期の異なる期への移行(例えば、G1期(有糸分裂と、細胞分裂の新たなサイクルのためのDNA複製開始に挟まれた期間)の静止期からS期(DNA合成が活発な期間)への進行、またはG2期からM期(有糸分裂とDNA合成が活発に起こる)への進行)の調節において極めて重要な役割を果たしているセリン-トレオニン・プロテイン・キナーゼである。(例えばScience、第274巻、1643〜1677ページ、1996年;Ann. Rev. Cell Dev. Biol.、第13巻、261〜291ページ、1997年に掲載された論文を参照のこと)。CDK複合体は、調節サイクリン・サブユニット(例えばサイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3、E)と、触媒キナーゼ・サブユニット(例えばCDK1、CDK2、CDK4、CDK5、CDK6)が会合することで形成される。名称からわかるように、CDKは、標的とする基質をリン酸化するのにサイクリン・サブユニットを絶対に必要としており、異なるキナーゼ/サイクリンのペアが、細胞周期の特定の期の進行を調節している。
【0003】
上の説明からわかるように、これらプロテイン・キナーゼは、さまざまな細胞機能を調節するタンパク質(酵素)の1つのクラスである。調節は、タンパク質基質上の特定のアミノ酸のリン酸化によって実現され、その結果として基質タンパク質の立体配座が変化する。立体配座が変化することにより、基質が他の結合パートナーと相互作用するときの活性や能力が変化する。プロテイン・キナーゼの酵素活性とは、キナーゼがリン酸基を基質に付加する速度のことである。それは、例えば、基質がある生成物に変換される量を時間の関数として測定することによって決定できる。基質のリン酸化は、プロテイン・キナーゼの活性部位で起こる。
【0004】
CDK(例えばCDK1)は細胞分裂の一般的なアクチベータとして機能するため、CDK1の阻害剤は抗増殖剤として使用できる。この阻害剤は、治療的介入を行なって異常な細胞周期の進行を抑制する際に使用できる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、一般式(I)の化合物:
【化1】

(ただし、
Yは-S-または-NH-であり;
R1は、水素、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルコキシ-低級アルキル、-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4、-C(O)-R3、R2-(X)n-の中から選択され;
R3は、水素、低級アルキル、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル、
【化2】

の中から選択され;
R4は、水素または低級アルキルであり;
Xは、低級アルキレン、ヒドロキシ-低級アルキレン、シクロアルキレン、モノ-ハロ低級アルキレン、ジ-ハロ低級アルキレンの中から選択され;
R2は、
【化3】

であり;
【化4】

は、アリール環と、
3〜5個の炭素原子を含むとともに、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む4〜6員のヘテロシクロアルキル環と、
酸素、イオウ、窒素からなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む5員または6員の複素芳香族環の中から選択され;
R5とR6は、独立に、ヒドロキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、水素、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ-低級アルキル、低級アルコキシからなるグループの中から選択され;
nは1〜2の整数であり;
pは0〜6の整数である);または
この化合物のうちでR2が複素芳香族環の中に窒素原子を含むもののN-オキシド、またはR2がヘテロシクロアルキル環または複素芳香族環の中にイオウを含むスルホン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩が、CDK(特にCDK1)の活性を抑制することが見いだされた。本発明のこれら化合物と、その化合物を含む医薬組成物は、制御されない細胞増殖や望ましくない細胞増殖に関係するさまざまな疾患や異常な状態(例えばがん、自己免疫疾患、ウイルスによる疾患、真菌による疾患、神経変性疾患、心臓血管疾患)を治療するのに役立つ。
【0006】
一般式(I)の化合物と、その化合物を含む組成物は、CDK(特にCDK1)の活性を抑制する、および/または変化させるため、キナーゼ活性を媒介とする疾患の治療に役立つ。特に、がんの治療、その中でも固形がん(例えば乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん)の治療における抗がん剤として役立つ。
【0007】
この明細書に指摘してあるように、一般式(I)の化合物は潜在的な抗増殖剤であり、CDK(特にCDK1)の活性に影響を与える、および/または活性を抑制するのに役立つため、制御されない細胞増殖または異常な細胞増殖に関係するがんその他の疾患を治療するための抗がん剤となる。
【0008】
一般式(I)の好ましい化合物として、一般式(I-A)の化合物:
【化5】

(ただし、
R1'は、水素、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルコキシ-低級アルキル、-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4、-C(O)-R3の中から選択され;
R3、R4、Y、pは上記の通りである);または
その医薬的に許容可能な塩と、
一般式(I-B)の化合物:
【化6】

(ただし、
R1”はR2-(X)n-であり;
R2、X、Y、nは上記の通りである);または
この化合物のうちでR2が複素芳香族環の中に窒素原子を含むもののN-オキシド、またはR2がヘテロ環または複素芳香族環の中にイオウを含むスルホン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩がある。
【0009】
R1とR1”にアリール部分が含まれる一般式(I)と(I-B)の化合物では、好ましいアリール部分は、置換されたフェニルである。この明細書では、ハロゲンに、4種類のハロゲン、すなわち塩素、フッ素、臭素、ヨードがすべて含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この明細書では、“低級アルキル”という用語は、単独で、または組み合わさって、炭素原子を1〜6個含む直鎖または分岐鎖の1価飽和炭化水素基を意味する。具体例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどである。
【0011】
“シクロアルキル”という用語はシクロ低級アルキル置換基を意味し、1価の置換されていない3〜6員の飽和炭化水素環のことである。好ましいシクロアルキル置換基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシルなどである。その中でシクロプロピルが特に好ましい。
【0012】
“低級アルコキシ”という用語は、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキルから形成された直鎖または分岐鎖の-O-低級アルキル基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシなどがある。
【0013】
“アリール”という用語は、1価の単環または二環の置換されていない芳香族炭化水素環を意味し、例えばフェニル、ナフチルなどがある。その中でもフェニルが好ましい。
【0014】
“ヘテロシクロアルキル”という用語は、3〜5個の炭素原子と、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1個または2個のヘテロ原子とを含む4〜6員の飽和単環を意味する。好ましいヘテロシクロアルキル基は、モホリニル、チオピラニル、テトラヒドロピラニルなどである。
【0015】
“複素芳香族環”という用語は、4個〜5個の炭素原子と、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子とを含む1価の5員または6員の単環複素芳香族環を意味する。好ましい複素芳香族環は、チオペニル、チオアゾール、ピリジニル、フラニルなどである。
【0016】
“ヒドロキシ”または“ヒドロキシル”という用語は-OHを意味する。
【0017】
“ヒドロキシル-低級アルキル”という用語は、上記の低級アルキル基のうちで、ヒドロキシ基によって置換されている(一置換であることが好ましい)ものを意味する。
【0018】
“低級アルキレン”という用語は、1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の2価飽和炭化水素置換基を意味する。
【0019】
“シクロアルキレン”または“シクロ低級アルキレン”という用語は、置換されていない3〜6員の2価飽和炭化水素環であるシクロ低級アルケニル置換基を意味する。好ましいシクロアルキレン置換基として、シクロプロペニルとシクロブテニルが挙げられる。
【0020】
“低級アルカノイルオキシ低級アルキレン”という用語は、低級アルカノイルオキシ基で置換された(一置換であることが好ましい)低級アルキレン置換基を意味する。ただし“低級アルカノイルオキシ”は、-C(O)O-低級アルキルを意味し、“低級アルキル”は、上に定義した通りである。
【0021】
“低級アルコキシ-低級アルキレン”という用語は、低級アルコキシ基で置換された(一置換であることが好ましい)上記の低級アルキレン置換基を意味する。ただし低級アルコキシは、上に定義した通りである。
【0022】
“ヒドロキシ低級アルキレン”という用語は、ヒドロキシ基で置換された(一置換であることが好ましい)低級アルキレン置換基を意味する。
【0023】
“低級アルコキシ-低級アルキル”という用語は、低級アルコキシ基で置換された(一置換であることが好ましい)上記の低級アルキル置換基を意味する。ただし低級アルコキシ基は、上に定義した通りである。
【0024】
“ペルフルオロ-低級アルキル”という用語は、あらゆる低級アルキル基のうちで、その低級アルキル基のすべての水素がフッ素で置換されたものを意味する。好ましいペルフルオロ-低級アルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどであるが、トリフルオロメチルが特に好ましい。
【0025】
“医薬的に許容可能な塩”という用語は、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)の化合物の生物学的有効性と性質を保持していて、適切な非毒性の有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基から形成される従来の酸添加塩または塩基添加塩を意味する。酸添加塩の例としては、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸)に由来するものと、有機酸(例えばpトルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸)に由来するものがある。塩基添加塩の例としては、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、水酸化第四アンモニウム(例えば水酸化テトラメチルアンモニウム)に由来するものなどがある。化合物の物理的安定性、化学的安定性、吸湿性、流動性、可溶性を改善するために医薬化合物(すなわち薬)を化学的に修飾して塩にする方法は、医薬化学の研究者には周知である。例えばH. Ansel他、『医薬の剤形とドラッグ・デリバリー系』(第6版、1995年)の196ページと1456〜1457ページを参照のこと。
【0026】
一般式(I)の化合物には2つの実施態様が含まれる。すなわち、
【化7】

(ただしR1は上記の通りである)と;
【化8】

(ただしR1は上記の通りである)である。
【0027】
一般式(I-C)の化合物には2つの実施態様が含まれる。すなわち、
【化9】

(ただしR1'は上記の通りである)と、
【化10】

(ただしR1"は上記の通りである)である。
【0028】
一般式(I-D)の化合物には2つの実施態様が含まれる。すなわち、
【化11】

(ただしR1'は上記の通りである)と、
【化12】

(ただしR1"は上記の通りである)である。
【0029】
本発明によれば、一般式(I-C)、(I-C1)、(I-C2)の化合物は、一般式(II)の化合物から調製することができる。
【0030】
【化13】

【0031】
一般式(II)の化合物は、以下の反応スキーム1によって一般式(I-C)の化合物(その中には一般式(I-C1)の化合物と一般式(I-C2)の化合物が含まれる)へと変換される。ただしR1は上記の通りである。
【0032】
【化14】

【0033】
一般式(I-C)の化合物を生成させるための一般式(III-A)の化合物と一般式(II)の化合物の反応は、閉鎖系内で、沸点が高い有機溶媒(例えばベンゼンやトルエン)の中で100℃〜200℃の高温にて実施される。このように、この反応は高温、高圧の中で実施される。この反応は、一般式(I-C)においてR1基が環Pの中のX鎖にハロゲンを含んでいる化合物を調製することを望む場合に特に有用である。一般式(III-A)の化合物は、以下の反応スキーム2に従ってローダミンをR1-NH2と反応させることによって直接形成することができる。ただしR1は上記の通りである。
【0034】
【化15】

【0035】
一般式(I-D)の化合物(その中には一般式(I-D1)の化合物と一般式(I-D2)の化合物が含まれる)は、一般式(VII)の化合物から調製される。
【0036】
【化16】

【0037】
一般式(I-D)の化合物は、一般式(VII)の化合物を出発材料として使用し、以下の反応スキーム3によって調製される。ただしR1は上記の通りである。
【0038】
【化17】

【0039】
ハロゲン化アルキル、ハロゲン化シクロアルキル、酸ハロゲン化物のいずれかを第一級アミンと反応させることによって第一級アミンを第二級アミンまたはアミドに変換する任意の従来法により、一般式(VII)の化合物を一般式(VI)の化合物と反応させて一般式(VIII)の化合物を形成する。一般式(III-A)の化合物と一般式(II)の化合物を反応させて一般式(I-C)の化合物を形成するという反応に関連してすでに説明したように、クネベナーゲル反応により、一般式(VIII)の化合物を一般式(II)の化合物と反応させて一般式(I-D)の化合物を形成する。
【0040】
環:
【化18】

が、その環:
【化19】

を形成する窒素含有環に含まれる窒素原子のN-オキシドである場合には、このN-オキシドは、環の第三級窒素原子を酸化することによって形成できる。第三級窒素原子を酸化してN-オキシドにする任意の従来法を利用することが可能である。好ましい酸化剤は、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)である。
【0041】
一般式(I)、(I-A)、(I-C1)、(I-D1)では、RまたはR1は、水素、低級アルキル、シクロ低級アルキル(特にシクロプロピル)、
【化20】


【化21】

のいずれかであることが好ましい。ただし、R3とR4は上記の通りであり、pは0であることが好ましい。
【0042】
一般式(I)、(I-B)、(I-C2)、(I-D2)では、nは1であることが好ましい。この場合、
【化22】

は、フェニルであるか、窒素、酸素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む4〜6員の複素芳香族環であることが好ましい。
【0043】
一般式(I-B)の化合物(その中にR1"がR2-(X)nである一般式(I-D2)、(I-C2)の化合物が含まれる)では、nは1または2が可能である。nが0の場合には、好ましいクラスの化合物は、
【化23】

がフェニルである化合物である。nが0で、R2がフェニルである好ましいクラスの化合物は、R5とR6の両方とも水素であるか、R5とR6の一方が水素であり、他方がハロゲン、低級アルコキシ、低級アルキルのいずれかであるか、R5とR6の両方がハロまたはペルフルオロ低級アルキルである化合物である。
【0044】
その一方で、一般式(I-B)の好ましい別のクラスの化合物は、R1"がR2-(X)n-で、nが1である化合物である。このクラスの化合物には、Xがシクロ低級アルキレン(シクロプロピレンが好ましい)である化合物が含まれる。nが1でXがシクロ低級アルキレンであるこのクラスの化合物に関しては、
【化24】

がフェニルであり、R5とR6の両方とも水素であるか、R5とR6の一方が水素であり、他方が低級アルキルである化合物が含まれる。
【0045】
一般式(I-B)においてR2がフェニルである別のクラスの化合物は、R5とR6が、水素、ハロゲン、ペルフルオロ低級アルキルのいずれかであり、しかもR5とR6の少なくとも一方がハロゲンまたはペルフルオロ低級アルキルである化合物である。本発明の別の一実施態様によれば、一般式(I-B)においてnが1で、Xが低級アルキレンである化合物が好ましい。このクラスの好ましい実施態様として、R2
【化25】

であり、
【化26】

がフェニルである化合物がある。本発明のこの実施態様に関しては、好ましい実施態様は、R5とR6の両方とも水素であるか、R5とR6が、水素、低級アルキル、ペルフルオロ低級アルキル、ハロゲンのいずれかであり、しかもR5とR6の少なくとも一方が水素ではない化合物である。
【0046】
一般式(I-B)においてnが1で、Xが低級アルキレンである別のクラスの化合物は、
【化27】

が、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む複素芳香族環である化合物である。
【化28】

が複素芳香族環であるクラスの化合物のうちで好ましい化合物は、複素芳香族環に1個のヘテロ原子(イオウが好ましい)を含む化合物である。この場合、R5とR6が両方とも水素であることが好ましいが、R5とR6の一方が水素であり、他方が、ハロゲン、ペルフルオロ低級アルキル、低級アルキルのいずれかであってもよい。
【0047】
本発明の医薬組成物は、一般式(I)の化合物の代わりに、または一般式(I)の化合物に加えて、活性成分として、医薬的に許容可能なプロドラッグ、医薬的に活性な代謝物、このような化合物および代謝物の医薬的に許容可能な塩を含むことができる。このような化合物、プロドラッグ、多量体、塩、代謝物を、この明細書ではまとめて“活性剤”または“薬剤”と呼ぶことがある。
【0048】
薬剤が固体である場合には、当業者であれば、本発明の化合物と塩がさまざまな結晶形態または多形形態で存在していてもよく、そのすべてが本発明の範囲と個々の一般式に含まれることが理解できよう。
【0049】
本発明の活性剤を治療に有効な量使用し、プロテイン・キナーゼCDK1の変化または調節が一因となった疾患を治療することができる。“有効な量”は、真核細胞(例えば哺乳動物の細胞、昆虫の細胞、植物の細胞、真菌の細胞)の増殖を有意に抑制すること、および/または異常な分化を有意に阻止することで、指示された用途(例えば特定の治療)において有効な薬剤の量を意味するものとする。
【0050】
そのような量に対応する所定の薬剤の量は、さまざまな因子(例えば個々の化合物、疾患とその重篤度、治療を必要とする対象または宿主の属性(例えば体重))によって異なるであろうが、そのケースを巡る個々の状況(例えば投与する具体的な薬剤、投与経路、治療する疾患、治療する対象または宿主)に応じて公知の方法で定型的に決定することができる。“治療する”は、プロテイン・キナーゼCDK1の活性によって少なくとも一部が冒されている哺乳動物などの対象(例えばヒト)における疾患を少なくとも軽減することを意味するものとする。“治療する”には、哺乳動物に疾患が起こるのを予防すること(特に、その哺乳動物がその疾患になる素因を有するが、まだその疾患であるとは診断されていない場合);その疾患を緩和および/または抑制すること;その疾患を軽減することが含まれる。
【0051】
本発明は、本発明の薬剤を投与することによって例えば哺乳動物の組織でのプロテイン・キナーゼCDK1の活性を調節または抑制する方法にも関する。抗増殖剤としての薬剤の活性は、公知の方法で容易に測定される。例えばMTTアッセイにおいて全細胞培養物を用いる。プロテイン・キナーゼCDK1の活性調節剤としての本発明の薬剤の活性は、当業者が利用できる任意の方法(例えば生体内アッセイおよび/または試験管内アッセイ)で測定することができる。活性を測定する適切なアッセイの具体例として、国際公開WO 99/21845;Parast他、Biochemistry、第37巻、16788〜16801ページ、1998年;Connell-CrowleyとHarpes、『細胞周期:材料と方法』(Michele Pagano編、シュプリンガー社、ベルリン、ドイツ国、1995年);国際公開WO 97/34876;国際公開WO 96/14843に記載されているアッセイがある。これらの性質は、例えば後出の実施例に記載した1種類以上の生物学的試験の手続きを利用して調べることができる。
【0052】
本発明の活性剤は、以下に示すようにして医薬組成物にすることができる。本発明の医薬組成物は、変化、調節、抑制に有効な量の一般式(I)の化合物と、医薬的に許容可能な不活性な基剤または希釈剤とを含んでいる。医薬組成物の一実施態様では、本発明による薬剤を有効なレベルで与え、抗増殖能力を含む治療効果を提供する。“有効なレベル”は、増殖が抑制または制御されるレベルを意味する。本発明の医薬組成物は、投与(例えば非経口投与、経口投与)に適した単位用量の形態にされる。
【0053】
本発明の活性剤は、従来型の投与形態にして投与することができる。その投与形態は、活性成分としての薬剤(例えば一般式(I)の化合物)の治療に有効な量を従来法に従って適切な医薬用基剤または希釈剤と組み合わせることによって調製される。この手続きには、望む調製物にするのに諸成分を混合したり、粉砕したり、圧縮したり、溶解させたりする操作が含まれる。
【0054】
使用される医薬用基剤として固体と液体が可能である。固体基剤の具体例は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体基剤の具体例は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、水などである。同様に、基剤または希釈剤には、従来技術で知られている遅延用材料または徐放材料(例えばモノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル)が、単独で、または蝋、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどと組み合わせて含まれていてもよい。
【0055】
多彩な医薬形態を用いることができる。例えば固体基剤を用いる場合には、調製物を錠剤にすることもできるし、粉末またはペレットの形態や、トローチまたはロゼンジの形態にして硬質ゼラチン・カプセルに収容することもできる。固体基剤の量はさまざまである。液体基剤を用いる場合には、調製物は、シロップ、エマルジョン、軟質ゼラチン・カプセル、アンプルまたはバイアルに収容した無菌注射溶液または無菌注射懸濁液、非水性懸濁液のいずれかの形態にすることになろう。
【0056】
安定な水溶性投与形態を得るには、活性成分の医薬的に許容可能な塩を、有機酸または無機酸の水溶液に溶かすとよい。可溶性の塩の形態が利用できない場合には、薬剤を適切な1種類の共溶媒、または複数の共溶媒の組み合わせに溶かすとよい。
【0057】
本発明の組成物で用いる薬剤の実際の投与量は、使用する個々の複合体、製剤にした個々の組成物、投与法、治療する個々の部位、宿主、疾患が何であるかによって異なることになろう。所定の一群の疾患に関する最適な投与量は、当業者が、薬剤の実験データを考慮し、従来の投与量決定テストを利用して決定することができる。
【0058】
本発明の組成物は、医薬組成物の調製に関して一般に知られている方法で製造することができる。方法としては、例えば、混合、溶解、顆粒化、ドラジェ製造、ゲル化、乳化、カプセル化、固定化、凍結乾燥などがある。医薬組成物は、生理学的に許容可能な1種類以上の基剤を用いて従来法で製剤にすることができる。基剤は、活性化合物を医薬として使用できる調製物にするのを容易にする賦形剤と助剤の中から選択することができる。
【0059】
経口投与用として、本発明の化合物を従来技術で知られている医薬的に許容可能な基剤と組み合わせることにより、その化合物を容易に製剤にすることができる。このような基剤により、本発明の化合物を、錠剤、ピル、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などにすることが可能になる。経口で使用する医薬組成物は、固体賦形剤を活性成分(薬剤)と混合し、場合によっては得られた混合物を粉砕した後、望むのであれば適切な助剤を混合した後に顆粒混合物を処理して錠剤またはドラジェのコアにすることによって得られる。
【0060】
以下の実施例によって本発明をこれからさらに詳しく説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されることは決してない。これら実施例では、温度は、特に断わらない限り摂氏(℃)で表示する。
実施例
【実施例1】
【0061】
2-メチル-[1,5]ナフチリジン
【0062】
【化29】

【0063】
5-アミノ-2-ピコリン(3.56g、33ミリモル)、グリセロール(12.14g、132ミリモル)、濃H2SO4(34.9g、356ミリモル)を水(20ml)に懸濁させた懸濁液を油浴で7時間にわたって150℃に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、200mlの水の中に注ぎ、100mlのAtOEtを添加した。この混合物を氷浴の中で冷却し、4.0NのNaOHを用いてpHを13に調節すると、懸濁液が得られた。固形物を濾過によって回収し、AtOEtで洗浄した。濾液をAtOEt(5×150ml)で抽出し、1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させると、濃い茶色の油が得られた(5.3g)。溶離液としてCH2Cl2を2%の勾配で含むMeOHを用いてその油をバイオテージ・カラムで精製すると、2-メチル-[1,5]ナフチリジンが茶色の固形物として得られた(2.5g、52.6%)。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
【実施例2】
【0064】
[1,5]ナフチリジン-2-カルバルデヒド
【0065】
【化30】

【0066】
2-メチル-1,5-ナフチリジン(216.0mg、1.5ミリモル)を1,4-ジオキサン(5ml)に溶かした溶液にSeO2(183.0mg、1.65ミリモル)を添加し、この反応混合物を0.5時間にわたって還流させた。そのときTLCによって出発材料が残っていないことがわかったため、室温まで冷却し、セライトで濾過した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をバイオテージ・カラム(AcOEt:nHex=3:1)によって精製すると、[1,5]ナフチリジン-2-カルバルデヒドが白色の固形物として得られた(142.3mg、60.0%)。LR-ES m/e 159 (MH+)。
【実施例3】
【0067】
(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-チアゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステル
【0068】
【化31】

【0069】
マイクロ波管の中でN-boc-シュードチオヒダントイン(43.3mg、0.2ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(34.8mg、0.22ミリモル)をトルエンに懸濁させた懸濁液に安息香酸とピペリジンを添加した。この反応混合物を加熱すると明るい黄色の溶液が得られ、それをマイクロ波を用いて10分間にわたって120℃に加熱した。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとアセトンとエーテルで洗浄すると、(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-チアゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステルが明るい黄色の固形物として得られた:48.6mg(68.1%)。C17H16N4O3S (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は357.1016、実測値は357.1015。
【実施例4】
【0070】
2-アミノ-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0071】
【化32】

【0072】
マイクロ波管の中で(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-チアゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステル(20.0mg、0.056ミリモル)をキシレン(1ml)に懸濁させた懸濁液を加熱すると明るい黄色の溶液が得られ、それをマイクロ波を用いて1時間にわたって170℃に加熱した。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとアセトンとエーテルで洗浄すると、2-アミノ-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが明るい黄色の固形物として得られた:5.6mg(39.2%)。C12H8N4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は256.0419、実測値は256.0422。
【実施例5】
【0073】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-フェニル-シクロプロピルアミノ)-チアゾル-4-オン
【0074】
【化33】

【0075】
マイクロ波管の中で2-(トランス)-フェニルシクロピルアミノ-チアゾル-4-オン(38.0mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて0.5時間にわたって150℃に加熱した。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとCH2Cl2とエーテルで洗浄すると、5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-フェニル-シクロプロピルアミノ)-チアゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた:21.6mg(36.2%)。C21H16N4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は373.1118、実測値は373.1117。
【実施例6】
【0076】
2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-オン
【0077】
【化34】

【0078】
マイクロ波管の中で2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-チアゾル-4-オン(77.0mg、0.32ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(63.2mg、0.40ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて10分間にわたって150℃に加熱した後、室温まで冷却した。固形物を濾過によって取り出し、トルエンで洗浄すると、茶色の固形物が得られた。それを1mlの熱いDMFに溶かし、水で希釈した。沈殿物を回収し、水とアセトンとエーテルで洗浄し、乾燥させると、2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-オンが明るい茶色の固形物として得られた(45.6mg、37.4%)。C19H13ClN4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は381.0572、実測値は381.0572。
【実施例7】
【0079】
2-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0080】
【化35】

【0081】
マイクロ波管の中で2-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オン(36.2mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて10分間にわたって130℃に加熱した。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、2-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが明るい茶色の固形物として得られた(25.7mg、43.9%)。C18H14N4OS2 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は367.0682、実測値は367.0683。
【実施例8】
【0082】
2-(3-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0083】
【化36】

【0084】
マイクロ波管の中で2-(3-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-チアゾル-4-オン(41.4mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて10分間にわたって130℃に加熱した。次にこの反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、茶色の固形物が得られた:32.6mg(51.1%)。それを0.5mlの熱いDMFに溶かした後、水で希釈した。沈殿物を回収し、水とアセトンとエーテルで洗浄し、乾燥させると、2-(3-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが明るい茶色の固形物として得られた(18.6mg、29.2%)。C19H12ClFN4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は399.0477、実測値は399.0477。
【実施例9】
【0085】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オン
【0086】
【化37】

【0087】
マイクロ波管の中で2-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オン(34.0mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて5分間にわたって120℃に加熱した後、室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オンが明るい茶色の固形物として得られた(19.7mg、34.9%)。C17H12N4OS3 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は353.0526、実測値は353.0526。
【実施例10】
【0088】
2-[2-(3-フルオロ-フェニル)-エチルアミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0089】
【化38】

【0090】
マイクロ波管の中で2-[2-(3-フルオロ-フェニル)-エチルアミノ]-チアゾル-4-オン(38.1mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて10分間にわたって130℃に加熱した後、室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、2-[2-(3-フルオロ-フェニル)-エチルアミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた(22.3mg、36.9%)。C20H15FN4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は379.1024、実測値は379.1024。
【実施例11】
【0091】
2-[(5-メチル-ピラジン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0092】
【化39】

【0093】
マイクロ波管の中で2-[(5-メチル-ピラジン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オン(35.6mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて10分間にわたって130℃に加熱した後、室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、2-[(5-メチル-ピラジン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた(10.6mg、18.3%)。C18H14N6OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は363.1023、実測値は363.1022。
【実施例12】
【0094】
2-(2-クロロ-6-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0095】
【化40】

【0096】
マイクロ波管の中で2-(2-クロロ-6-メチル-ベンジルアミノ)-チアゾル-4-オン(40.8mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて15分間にわたって130℃に加熱した後、室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、2-(2-クロロ-6-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた(32.9mg、52.1%)。C20H15ClN4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は395.0728、実測値は395.0728。
【実施例13】
【0097】
2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オン
【0098】
【化41】

【0099】
マイクロ波管の中で2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-チアゾル-4-オン(41.4mg、0.16ミリモル)と1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)をトルエン(1ml)に懸濁させた懸濁液に安息香酸(2.0mg、0.02ミリモル)とピペリジン(1.7μM、0.02ミリモル)を添加した。この反応混合物をマイクロ波を用いて15分間にわたって130℃に加熱した後、室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固形物を濾過によって回収し、トルエンとMeOHとエーテルで洗浄すると、2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた(30.5mg、47.8%)。C19H12FClN4OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は399.0477、実測値は399.0476。
【実施例14】
【0100】
2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0101】
【化42】

【0102】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(46.62mg、0.20ミリモル)と、2-クロロベンジルブロミド(41.0mg、0.20ミリモル)と、K2CO3(41.4mg、0.30ミリモル)をアセトニトリル(1.5ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で3時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-4-メチレン-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが油として得られた(63.0mg、88.2%)。
【0103】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルは、C-H KwonらがJ. Med. Chem.、1991年、第34巻、1845〜1849ページに記載している方法に従って調製した。
【0104】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-4-メチレン-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(62.0mg、0.17ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら3.5時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を濃縮すると、茶色の固形物が得られたため、MeOHとエーテルで洗浄した。固形物を濾過によって回収すると、2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンが茶色の固形物として得られた(10.1mg、16.3%)。C19H14ClN5OS (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は364.0960、実測値は364.0959。
【実施例15】
【0105】
(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステル
【0106】
【化43】

【0107】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(46.6mg、0.20ミリモル)と、Boc2O(52.3mg、0.24ミリモル)と、DMAP(2.5mg、0.02ミリモル)をアセトニトリル(1.5ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、濃縮し、残留物をEtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが油として得られた(55.0mg、82.6%)。
【0108】
25mlの丸底フラスコの中で、2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(53.3mg、0.16ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら3時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収すると、(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステルが黄色い固形物として得られた:29.8mg(54.9%)。C17H17N5O3 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は340.1404、実測値は340.1404。
【実施例16】
【0109】
N-(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アセトアミド
【0110】
【化44】

【0111】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(46.6mg、0.20ミリモル)と、Et3N(26.0mg、0.26ミリモル)と、DMAP(2.5mg、0.02ミリモル)をCH2Cl2(4ml)に懸濁させた懸濁液に、Ac2O(24.5mg、0.24ミリモル)を一滴ずつ添加し、得られた反応混合物ををアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、濃縮し、残留物をEtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、2-アセチルアミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが油として得られた(54.0mg、98.2%)。
【0112】
25mlの丸底フラスコの中で、2-アセチルアミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(47.1mg、0.17ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.6mg、0.20ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら3時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収すると、N-(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アセトアミドが黄色い固形物として得られた:15.3mg(31.8%)。C14H11N5O2 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は282.0986、実測値は282.0985。
【実施例17】
【0113】
シクロプロパンカルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミド
【0114】
【化45】

【0115】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(100.0mg、0.43ミリモル)と、シクロプロパンカルボニルクロリド(45.0mg、0.43ミリモル)と、ヒューニッヒ塩基(83.0mg、0.64ミリモル)をアセトニトリル(4ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で0.5時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、濃縮し、残留物をEtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮し、残留物をAcOEtと研和すると、懸濁液が得られた。固形物を濾過すると、2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが油として得られた(113.0mg、87.6%)。
【0116】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(シクロプロパンカルボニル-アミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(109.6mg、0.36ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(47.4mg、0.30ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら3.5時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収し、MeOHとエーテルで洗浄すると、シクロプロパンカルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミドが明るい茶色の固形物として得られた:32.6mg(35.4%)。C16H13N5O2 (M)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は307.1069、実測値は307.1066。
【実施例18】
【0117】
2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0118】
【化46】

【0119】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルブロミド(89.2mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、残留物が得られた。それをEtOAcと研和し、濾過すると、2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(73.0mg、48.7%)。
【0120】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(70.1mg、0.19ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.7mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら4時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収し、MeOHとエーテルで洗浄すると、2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンが明るい黄色の固形物として得られた:30.6mg(43.0%)。C19H13FClN5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は382.0866、実測値は382.0866。
【実施例19】
【0121】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0122】
【化47】

【0123】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、2-トリフルオロメチル-ベンジルブロミド(95.6mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、残留物が得られた。それをEtOAcと研和し、濾過すると、4-オキソ-2-(2-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(75.0mg、48.1%)。
【0124】
25mlの丸底フラスコの中で、4-オキソ-2-(2-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(70.4mg、0.18ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.7mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら4時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収し、MeOHとエーテルで洗浄した。次にこの固形物をAcOEt-MeOHから再結晶させると、5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンが明るい黄色の結晶性材料として得られた(11.6mg、16.2%)。C20H14F3N5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は398.1223、実測値は398.1222。
【実施例20】
【0125】
2-(2,4-ビス-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0126】
【化48】

【0127】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、2,4-ビス-トリフルオロメチル-ベンジルブロミド(126.6mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、残留物が得られた。それをEtOAcと研和し、濾過すると、2-(2,4-ビス-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(96.0mg、52.4%)。
【0128】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2,4-ビス-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(94.5mg、0.20ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(31.7mg、0.20ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら4.5時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収し、MeOHとエーテルで洗浄し、100℃にて真空中で3時間にわたって乾燥させると、2-(2,4-ビス-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンが明るい黄色の固形物として得られた(21.6mg、23.2%)。C21H13F6N5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は466.1097、実測値は466.1098。
【実施例21】
【0129】
3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミド
【0130】
【化49】

【0131】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、3-メチルチオフェン-2-カルボキシルクロリド(64.0mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、固形物が得られた(112mg)。それをカラム(バイオテージ40S)によって精製し、50%nHex/EtOAcを用いて溶離すると、2-[(3-メチル-チオフェン-2-カルボニル)-アミノ]-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(45.0mg、31.7%)。
【0132】
25mlの丸底フラスコの中で、2-[(3-メチル-チオフェン-2-カルボニル)-アミノ]-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(42.0mg、0.12ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(18.6mg、0.12ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら4時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過によって回収し、MeOHとエーテルで洗浄すると、3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミドが明るい黄色の固形物として得られた(13.3mg、30.5%)。C18H13N5O2S (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は364.0863、実測値は364.0862。
【実施例22】
【0133】
2-(2-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン;トリフルオロ酢酸との化合物
【0134】
【化50】

【0135】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、α-ブロモ-o-キシレン(74.02mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(166.0mg、1.20ミリモル)をアセトニトリル(10ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で1時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、油が得られた。その油を分離用TLCによって精製し、50%nHex/EtOAcを用いて溶離すると、2-(2-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(58.0mg、42.9%)。
【0136】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(55.0mg、0.16ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.5mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら10時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。次に残留物をRP-HPLCによって精製すると、2-(2-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンがトリフルオロ酢酸との化合物として明るいオレンジ色の固形物の形態で得られた(15.3mg、20.9%)。C20H17N5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は344.1506、実測値は344.1506。
【実施例23】
【0137】
2-(4-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン;トリフルオロ酢酸との化合物
【0138】
【化51】

【0139】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、α-ブロモ-p-キシレン(74.02mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(8ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で2時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、油が得られた(140.0mg)。その油を分離用TLCによって精製し、50%nHex/EtOAcを用いて溶離すると、2-(4-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(57.0mg、42.3%)。
【0140】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(4-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(55.0mg、0.16ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.5mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら6時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。次に残留物をRP-HPLCによって精製すると、2-(4-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンがトリフルオロ酢酸との化合物として明るいオレンジ色の固形物の形態で得られた(11.0mg、15.0%)。C20H17N5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は344.1506、実測値は344.1505。
【実施例24】
【0141】
2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン;トリフルオロ酢酸との化合物
【0142】
【化52】

【0143】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、2,4-ジメチルベンジルブロミド(79.64mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(8ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で45分間にわたって還流温度に加熱した。EtOAcと水に分けると、懸濁液が得られた。固形物を濾過によって取り出すと、2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが得られた(35.0mg)。濾液を分離し、乾燥させると、油が得られた。その油を分離用TLCによって精製し、50%nHex/EtOAcを用いて溶離すると、2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として60mg得られた(合計:95.0mg、67.7%)。
【0144】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(56.0mg、0.16ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.5mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら6時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。次に残留物をRP-HPLCによって精製すると、2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンがトリフルオロ酢酸との化合物として明るいオレンジ色の固形物の形態で得られた(14.3mg、19.0%)。C21H19N5O (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は358.1663、実測値は358.1663。
【実施例25】
【0145】
2-(4-メトキシル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0146】
【化53】

【0147】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、4-メトキシベンジルクロリド(56.24mg、0.40ミリモル)と、ヒューニッヒ塩基(77.40mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(6ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で13時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、油が得られた。その油を分離用TLCによって精製し、50%nHex/EtOAcを用いて溶離すると、2-(2-メトキシ-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(60mg、42.5%)。
【0148】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2-メトキシ-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(55.0mg、0.16ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(28.5mg、0.18ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら6時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。次に残留物をRP-HPLCによって精製すると、2-(4-メトキシル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンがトリフルオロ酢酸との化合物として明るいオレンジ色の固形物の形態で得られた(8.0mg、14.3%)。C20H17N5O2 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は360.1455、実測値は360.1456。
【実施例26】
【0149】
2-(4-メトキシル-3-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オン
【0150】
【化54】

【0151】
2-アミノ-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(93.2mg、0.40ミリモル)と、4-メトキシ-3-メチルベンジルクロリド(68.3mg、0.40ミリモル)と、K2CO3(83.01mg、0.60ミリモル)をアセトニトリル(6ml)に懸濁させた懸濁液をアルゴン雰囲気下で3時間にわたって還流温度に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却した後、EtOAcと水に分けた。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、半固体の残留物が得られた(163mg)。それを、5%のMeOHを含むCH2Cl2を用いて分離用TLCによって精製すると、2-(2-メトキシ-4-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステルが白色の固形物として得られた(60.0mg、41.0%)。
【0152】
25mlの丸底フラスコの中で、2-(2-メトキシ-4-メチル-ベンジルアミノ)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボン酸ベンジルエステル(73.5mg、0.20ミリモル)と、1,5-ナフチリジン-6-カルボキサルデヒド(47.5mg、0.30ミリモル)と、iPrOH(5.0ml)の混合物にピペリジン(0.05ml)を添加した後、この懸濁液を還流させながら6時間にわたって加熱すると、別の懸濁液が得られた。この反応混合物を室温まで冷却し、濃縮して乾燥させた。次に残留物をRP-HPLCによって精製すると、2-(2-メトキシル-4-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンがトリフルオロ酢酸との化合物として明るいオレンジ色の固形物の形態で得られた(20.4mg、27.3%)。C20H17N5O2 (M+H)+に関するHR-ES (+) m/eの計算値は360.1455、実測値は360.1456。
【実施例27】
【0153】
本発明による化合物の薬理学的性質は、多数の薬理学的アッセイで確認することができる。以下に例示する薬理学的アッセイは、本発明の化合物とその塩を用いて実施した。本発明の化合物はCDK1/サイクリンB活性を示し、Ki値が5.0μM未満であった。これは、すべての化合物がCDK1/サイクリンBを抑制する活性を持っていたことを示している。
【0154】
CDK1活性の抑制状態を測定するため、フラッシュプレート(登録商標)(NEN(登録商標)-ライフ・サイエンス・プロダクツ社)アッセイまたはHTRFアッセイを実施した。どちらのタイプのキナーゼ・アッセイも、組み換えヒトCDK1/サイクリンB複合体を用いて実施した。GST-サイクリンB(GST-cycB)とCDK1のcDNAクローンを組み込んだバキュロウイルス・ベクターは、ベイラー医科大学(ヒューストン、テキサス州)のW. Harper博士から提供された。以前に報告(Harper, J.W.他、Cell、1993年、第75巻、805〜816ページ)されているようにしてタンパク質をハイ・ファイブ(登録商標)昆虫細胞で同時発現させ、複合体をグルタチオン・セファロース樹脂(ファルマシア社、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)上で精製した。網膜芽腫(Rb)タンパク質の先端部を切り取って6×ヒスチジン・タグを付けた形態(アミノ酸386〜928)をCDK1/サイクリンBアッセイの基質として用いた(この発現プラスミドは、ロッシュ研究センターの分子ウイルス学部門(ウェリン・ガーデン・シティ、イギリス国)のVeronica Sullivan博士から提供された)。Rbタンパク質はCDK1によるリン酸化のための天然の基質である(HerwigとStrauss、Eur. J. Biochem.、第246巻、1997年、581〜601ページと、その中で引用されている参考文献を参照のこと)。この62kDタンパク質の発現は、M15大腸菌株のIPTG誘導プロモーターの制御下にあった。細胞を超音波処理によって溶解させ、1mMのイミダゾールであらかじめ処理したNiキレート化アガロース・カラムにライセートをpH8.0にて結合させることによって精製した。次にこの樹脂を、pHを6.0まで段階的に小さくした複数のpH緩衝液を用いて数回洗浄し、500mMのイミダゾールを用いて溶離させた。溶離したタンパク質を、20mMのヘペス(pH7.5)、30%グリセロール、200mMのNaCl、1mMのDTTに対して透析した。精製したRb融合タンパク質のストックを定量化してタンパク質の濃度を明らかにし、アリコートを作り、-70℃にて保管した。
【0155】
フラッシュプレート・キナーゼ・アッセイを行なうため、96ウエルのフラッシュプレートを10μg/mlのRbタンパク質でコーティングした。ウエル1つにつき100μlを使用した。プレートを、振盪機の上で、4℃にて一晩にわたって、または室温にて3時間にわたってインキュベートした。非特異的リン酸化の対照とするため、ウエルの1列を100μl/ウエルのコーティング緩衝液(20mMのヘペス、0.2MのNaCl)でコーティングした。次にプレートを洗浄緩衝液(0.01%のトゥイーン20を含むリン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄した。調べる化合物(“テスト化合物”)を最終濃度の5倍にしてウエルに添加した。40μlの反応混合物(25mMのヘペス、20mMのMgCl2、0.002%のトゥイーン20、2mMのDTT、1μMのATP、4nMの33P-ATP)と十分な量の酵素を直ちに添加することによって反応を開始させると、バックグラウンドの少なくとも10倍のカウントが得られた。プレートを振盪機の上で室温にて30分間にわたってインキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄し、密封し、トップカウント・シンチレーション・カウンタ(パッカード・インスツルメント社、ダウナーズ・グローヴ、イリノイ州)でカウントした。CDK活性抑制の1つの指標であるRbリン酸化の抑制率は、以下の式から求めた。
100×{1 - (テスト化合物 - 非特異的)/(合計 - 非特異的)}
ただし“テスト化合物”は、複数のテスト用複製に関する1分間当たりの平均カウント数であり、“非特異的”は、CDK1/サイクリンBなどを添加しないときの1分間当たりの平均カウント数であり、“合計”は、化合物を添加しないときの1分間当たりの平均カウント数である。IC50値は、記載したテスト条件下でプロテイン・-キナーゼによって誘導される放射性標識の取り込みを50%低下させるテスト化合物の濃度である。阻害定数Kiの値は、Ki = IC50/(1+ [S]/Km)によって計算される。ただし[S]はATPの濃度であり、Kmはミカエリス定数である。
【0156】
ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)キナーゼ・アッセイを96ウエルのポリプロピレン・プレート(BDバイオサイエンシーズ社、ベッドフォード、マサチューセッツ州)で実施した。テスト化合物をまず最初にDMSOに溶かし、次いでキナーゼ・アッセイ用緩衝液1(25mMのヘペス(pH7.0)、8mMのMgCl2、1.5mMのDTT、162μMのATP)の中に希釈してDMSOの濃度を15%にした。CDK1/サイクリンB酵素をキナーゼ・アッセイ用緩衝液2(25mMのヘペス(pH7.0)、8mMのMgCl2、0.003%のトゥイーン20、0.045%のBSA、1.5mMのDTT、0.675μMのRbタンパク質)の中に希釈した。キナーゼを反応させるため、アッセイ用プレートの中で20μlの化合物溶液を40μlのCDK1/サイクリンB溶液と混合してCDK1/サイクリンBとRbの最終濃度をそれぞれ0.1μg/mlと0.225μMにし、37℃にて30分間にわたってインキュベートした。15μlの抗ホスホ-Rb(Ser780)抗体(セル・シグナリング・テクノロジー社、ビヴァリー、マサチューセッツ州)を、抗体の希釈率が1:7692となるようにして添加した。インキュベーションを37℃にて25分間継続した後、LANCE Eu-W1024で標識した抗ウサギIgG(1nM、パーキンエルマー社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)と抗His抗体がシュアライト-アロフィコシアニン(20nM、パーキンエルマー社、ウェルズリー、マサチューセッツ州)と共役したものをウエルに添加した。37℃にてさらに40分間にわたってインキュベーションを継続した。インキュベーションが終了すると、35μlの反応混合物を新しい384ウエルの黒いポリスチレン・プレート(コーニング社、コーニング、ニューヨーク州)に移し、蛍光プレート読み取り機を用いて励起波長340nm、発光波長665/615nmで読み取った。
【0157】
本発明の化合物でのCDK1/サイクリンB活性を示すKi値は、約0.001μM〜約5.000μMの範囲である。いくつかの実施例に関する具体的なデータを以下に示す。
【0158】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物:
【化1】

(ただし、
Yは-S-または-NH-であり;
R1は、水素、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルコキシ-低級アルキル、-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4、-C(O)-R3、R2-(X)n-の中から選択され;
R3は、水素、低級アルキル、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル、
【化2】

の中から選択され;
R4は、水素または低級アルキルであり;
Xは、低級アルキレン、ヒドロキシ-低級アルキレン、シクロアルキレン、モノ-ハロ低級アルキレン、ジ-ハロ低級アルキレンの中から選択され;
R2は、
【化3】

であり;
【化4】

は、アリール環と、
3〜5個の炭素原子を含むとともに、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む4〜6員のヘテロシクロアルキル環と、
酸素、イオウ、窒素からなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む5員または6員の複素芳香族環の中から選択され;
R5とR6は、独立に、ヒドロキシ、ヒドロキシ-低級アルキル、水素、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ-低級アルキル、低級アルコキシからなるグループの中から選択され;
nは1〜2の整数であり;
pは0〜6の整数である);または
この化合物のうちでR2が複素芳香族環の中に窒素原子を含むもののN-オキシド、またはR2がヘテロシクロアルキル環または複素芳香族環の中にイオウを含むスルホン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
請求項1の化合物のうちで一般式(I-A):
【化5】

を持つ化合物(ただし、
R1'は、水素、低級アルキル、シクロアルキル、低級アルコキシ-低級アルキル、-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4、-C(O)-R3のいずれかであり;
R3、R4、Y、pは請求項1で定義した通りである);または
その医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
アリールがフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが-S-である、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
R1'が水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
2-アミノ-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R1'が-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4であり、
pとR4が請求項1で定義した通りである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
pが0である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-チアゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Yが-NH-である、請求項3に記載の化合物。
【請求項11】
R1'が-C(O)-R3であり、
R3が請求項1に定義した通りである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
N-(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アセトアミドである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
シクロプロパンカルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミドである、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
R3
【化6】

であり、
【化7】

が、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む複素芳香族環であり、
R5とR6が請求項1で定義した通りである、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
上記複素芳香族環が1個のヘテロ原子を含む、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
上記ヘテロ原子がイオウである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
R5とR6が水素または低級アルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
3-メチル-チオフェン-2-カルボン酸(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-アミドである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
R1'が-C(O)O-[CH2CH2O]p-R4であり、
R4とpが請求項1で定義した通りである、請求項10に記載の化合物。
【請求項20】
pが0である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
(5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾル-2-イル)-カルバミン酸t-ブチルエステルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1の化合物のうちで一般式(I-B):
【化8】

を持つ化合物(ただし、
R1”はR2-(X)nであり;
R2、X、Y、nは上記の通りである);または
この化合物のうちでR2が複素芳香族環の中に窒素原子を含むもののN-オキシド、またはR2がヘテロシクロアルキル環または複素芳香族環の中にイオウを含むスルホン、またはこれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項23】
アリールがフェニルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
Yが-S-であり、nが1である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Xがシクロアルキレンである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
上記シクロアルキレンがシクロプロピレンである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
R2
【化9】

であり、
【化10】

がフェニルであり、
R5とR6が請求項1で定義した通りである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
R5とR6が水素である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-フェニル-シクロプロピルアミノ)-チアゾル-4-オンである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
Xが低級アルキレンである、請求項24に記載の化合物。
【請求項31】
R2
【化11】

であり、
【化12】

がフェニルであり、
R5とR6が請求項1で定義した通りである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
R5が水素または低級アルキルであり、
R6がハロゲンである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
2-(2-クロロ-6-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
2-[2-(3-フルオロ-フェニル)-エチルアミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項32に記載の化合物。
【請求項35】
2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-オンである、請求項32に記載の化合物。
【請求項36】
R5とR6がハロである、請求項31に記載の化合物。
【請求項37】
2-(3-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項36に記載の化合物。
【請求項39】
R2
【化13】

であり、
【化14】

が、酸素、窒素、イオウからなるグループの中から選択した1〜2個のヘテロ原子を含む複素芳香族環であり、
R5とR6が請求項1で定義した通りである、請求項30に記載の化合物。
【請求項40】
上記複素芳香族環が1個のヘテロ原子を含む、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
上記ヘテロ原子がイオウである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
R5とR6が水素または低級アルキルである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-[(チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-チアゾル-4-オンである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
2-[(3-メチル-チオフェン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項42に記載の化合物。
【請求項45】
上記複素芳香族環がヘテロ原子として窒素原子だけを含む、請求項39に記載の化合物。
【請求項46】
R5とR6が水素または低級アルキルである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
2-[(5-メチル-ピラジン-2-イルメチル)-アミノ]-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-チアゾル-4-オンである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
Yが-NH-である、請求項23に記載の化合物。
【請求項49】
nが1である、請求項48に記載の化合物。
【請求項50】
Xが低級アルキレンである、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
R2
【化15】

であり、
【化16】

がフェニルであり、
R5とR6が請求項1で定義した通りである、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
R5とR6が水素または低級アルキルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
2-(2-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
2-(4-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項52に記載の化合物。
【請求項55】
2-(2,4-ジメチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項52に記載の化合物。
【請求項56】
R5が水素または低級アルキルであり、
R6がハロゲンまたはペルフルオロ-低級アルキルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項57】
5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-2-(2-トリフルオロメチル-ベンジルアミノ)-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
2-(2-クロロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項56に記載の化合物。
【請求項59】
R5とR6がハロゲンまたはペルフルオロ-低級アルキルである、請求項51に記載の化合物。
【請求項60】
2-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項59に記載の化合物。
【請求項61】
R5が水素または低級アルキルであり、R6が低級アルコキシである、請求項51に記載の化合物。
【請求項62】
2-(4-メトキシル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
2-(4-メトキシル-3-メチル-ベンジルアミノ)-5-[1,5]ナフチリジン-2-イルメチレン-1,5-ジヒドロ-イミダゾル-4-オンである、請求項61に記載の化合物。
【請求項64】
請求項1に記載の一般式(I)においてYが-S-である化合物を製造する方法であって、
a)一般式(II)の化合物:
【化17】

を一般式(III-A)の化合物:
【化18】

(ただし、
R1は請求項1に記載した意味である)の存在下で反応させて請求項1に記載の一般式(I)の各化合物を生成させ、
b)請求項1に記載の一般式(I)のその化合物を反応混合物から分離し、望むのであれば、医薬的に許容可能な塩に変換する方法。
【請求項65】
請求項1に記載の一般式(I)においてYが-NH-である化合物を製造する方法であって、
a)一般式(VII)の化合物:
【化19】


R1-ClまたはR1-Br(ただし、
R1は請求項1に記載した意味である)の存在下で反応させて一般式(VIII)の化合物:
【化20】

を生成させ、
b)その一般式(VIII)の化合物をさらに一般式(II)の化合物:
【化21】

と反応させて請求項1に記載の一般式(I)の各化合物を生成させ、
c)請求項1に記載の一般式(I)のその化合物を反応混合物から分離し、望むのであれば、医薬的に許容可能な塩に変換する方法。
【請求項66】
がん、その中でも乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんの治療に使用するための請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項67】
請求項1に記載の一般式(I)で表わされる少なくとも1種類の化合物を医薬的に許容可能なアジュバントとともに含む医薬組成物。
【請求項68】
がん、その中でも乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんの治療に使用するための請求項67に記載の医薬組成物。
【請求項69】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物を使用してがん、その中でも乳がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんを治療するための薬を製造する方法。
【請求項70】
常に請求項64または65に記載の方法によって調製される請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項71】
実質的にこの明細書に記載されている新規な化合物、方法、組成物、使用。

【公表番号】特表2008−516905(P2008−516905A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536046(P2007−536046)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010716
【国際公開番号】WO2006/040052
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】