説明

COX−2阻害剤としての3−フェニルフラン−2−オン誘導体

本発明は、式(I)の3−フェニルフラン−2−オン、それらの作成方法、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの医学的使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、治療的に有用な新しい3−フェニルフラン−2−オンに、それらの作成方法に、それらを含有する医薬組成物に、および医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0002】
酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)の非選択的阻害が、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)により媒介される、炎症に関連するプロスタグランジンの過剰生産を防止するが、同時に、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)により大きく媒介される特定の組織の健康に必要なプロスタグランジンの基底量を組織から奪い取ることが知られている。非ステロイド性抗炎症薬物は、COXの非選択的阻害剤であって、その理由のために、減少した腎血流、減少した血小板機能、消化不良および胃潰瘍形成の副作用を有する。
【0003】
我々は、特定の3−フェニルフラン−2−オンがCOX−1に優先して選択的にCOX−2を阻害しそしてCOX−2媒介性疾患ならびに、炎症、疼痛、発熱、および喘息のような、それらの症状を、さらに少ない副作用をもって、処置するのに有用であることを今や見出してきている。
【0004】
したがって、本発明は、式(I)
【化1】

の新しい化合物を提供する。
【0005】
式(I)の化合物は、式中で星印()により示される、スルフィニル基の硫黄原子においてキラル中心を有し、その結果二つの異なる鏡像異性体の形で存在する。二つの鏡像異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明により包含される。添付の請求項を含む、本明細書中の式(I)の化合物についての記載は、特記しない限り、それぞれの鏡像異性体ならびに二つの鏡像異性体のラセミのおよびスケール性の混合物を包含する。
【0006】
本発明の他の態様は:a)本化合物の作成方法;b)有効量の当該化合物を含む医薬組成物;c)酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の疾患の処置のための医薬品の製造における当該化合物の使用;およびd)その方法が処置を必要とする対象に本発明の化合物の投与を含む、酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の疾患の処置の方法、である。
【0007】
本発明の特定の個別な化合物は:
(R)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
(S)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
である。
【0008】
もう一つの態様では、本発明は、スキーム1で図示される式(I)の化合物の作成のための合成方法を包含し、そして2−ブロモ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]エタノン(II)を塩基の存在下でフェニル酢酸(III)と反応させ、4−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(IV)を得て、それを単離して、次いで、4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(I)に酸化させることを含む。
【化2】

【0009】
スキーム(I)に従って、フェニル酢酸ならびに塩基(例えば炭酸カリウム)およびクラウンエーテルの混合物を、溶媒(例えばアセトニトリル)中の2−ブロモ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]エタノンの懸濁液に加える。混合物を室温で1時間、還流下で2時間攪拌する。溶媒の除去後に、ジクロロメタン(400ml)および飽和塩化アンモニウム(300ml)を残渣に加える。有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)して、真空で濃縮して、残渣を得て、それをさらに精製して、4−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オンを得た。
【0010】
本発明にしたがって、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物の酸化剤との反応により作成される。酸化工程は、非立体特異的な条件下でもしくは立体特異的な条件下でなされ得る。酸化剤は、化合物のラセミ混合物を得ることが望まれるときには、好ましくはメタ過ヨウ素酸ナトリウムであるか、またはスルフィニルのキラル中心において特異的立体配置を有する化合物で富化されている式(I)の化合物の混合物を得ることが望まれるときには、チタニウム テトライソプロポキシド、t−ブチル ヒドロペルオキシドおよび酒石酸ジエチルの(R,R)もしくは(S,S)の型のどちらかの混合物である。式(IV)のメルカプト誘導体および酸化剤との間の反応は、有機溶媒、好ましくは塩素化溶媒もしくは塩素化溶媒およびC−Cアルコールの混合物の中で、−25℃〜40℃の温度で行われる。塩素化溶媒は、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルムおよびそれらの混合物からなる群より選択されることが好ましい。C−Cアルコールは、メタノールおよびエタノールから好ましく選択される。好ましい溶媒系は、1,2−ジクロロメタンまたは塩化メチレンのメタノールもしくはエタノールとの混合物である。
【0011】
第一の場合では、先の工程のメルカプト化合物をメタノールに溶解して、メタ過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を0℃で滴下して、この混合物をこの温度で2時間、室温で3日間攪拌する。次いで、反応混合物を水の中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機溶液を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)して、溶媒を減圧下に除去する。残渣を、クロマトグラフで精製し、灰白色の固体として4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(2.27g、81%)を得る。
【0012】
第二の場合では、ノナン中のt−ブチル ヒドロペルオキシドおよび先の工程のメルカプト化合物を、−20℃に冷却した乾燥1,2−ジクロロエタン中のチタニウム テトライソプロポキシドおよび光学活性な酒石酸ジエチル((R,R)もしくは(S,S)鏡像異性体のいずれか)の攪拌した溶液に順次加える。混合物を−20℃で5時間攪拌し、次いで、亜硫酸ナトリウムの5%水溶液(50ml)および塩水で洗浄する。有機層を乾燥(NaSO)して、溶媒を減圧下に除去する。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製後、灰白色の固体として、4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オンの光学的に純粋な鏡像異性体を得る。
【0013】
<薬理学的活性>
以下の生物学的試験およびデータは本発明をさらに例示する。
ヒト全血中のCOX−1およびCOX−2の活性
血液の採取の前の少なくとも7日間はいかなる非ステロイド性抗炎症薬物も摂取していなかった健康なボランティアからの新鮮な血液をヘパリン化チューブ(1ml当り20単位のヘパリン)の中に収集した。COX−1活性の測定のためには、500μlアリコートの血液を5μlのビークル(ジメチルスルホキシド)もしくは5μlの試験化合物溶液のいずれかと共に24時間37℃でインキュベートした。カルシウムイオノホアのA23187(25μM)を、インキュベーションが終了する20分前に加えた。血漿を遠心分離(13000rpmで10分)により分離して、TXBレベルをエンザイムイムノアッセイキット(ELISA)を用いて測定するまで、−30℃に保った。
【0014】
5〜6種の異なる濃度においてそれぞれの化合物をインキュベートすることにより、3回の測定で、化合物の効力を評価した。IBMコンピューターでInPlot, GraphPadソフトウェアを用いた非線形回帰により、IC50値を得た。
【0015】
COX−2活性の測定のためには、500μlアリコートの血液を、COX−2の発現を誘発するために、LPS(10μg/ml)の存在下で24時間37℃でインキュベートした(Patriagnani et al., J. Pharm. Exper. Ther. 271; 1705-1712 (1994))。血漿を遠心分離(13000rpmで10分)により分離して、PGEレベルをエンザイムイムノアッセイキット(ELISA)を用いて測定するまで、−30℃に保った。5〜6種の異なる濃度においてそれぞれの化合物(5μlアリコート)をLPSの存在下で24時間インキュベートすることにより、3回の測定で、阻害剤の効力を調べた。IBMコンピューターでInPlot, GraphPadソフトウェアを用いた非線形回帰により、IC50値を得た。
【0016】
生物学的アッセイから得られた結果を表1に示し、4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オンのラセミ混合物で得られたCOX−1およびCOX−2の阻害を示す。
【0017】
【表1】

【0018】
表1に示すように、3−フェニルフラン−2−オン(I)は強力でかつ選択的なCOX−2阻害剤である。かくして、本発明の化合物は、好ましくは哺乳動物のCOX−2、例えばヒトのCOX−2の選択的な阻害剤である。
【0019】
本発明の化合物はまた好ましくは、哺乳動物のCOX−1、例えばヒトのCOX−1に対して低度の阻害活性を有する。阻害活性は、例えば上述のように、インビトロ・アッセイにより典型的に測定され得る。本発明の化合物はまた、予想外の薬物動態プロフィールを示した。
【0020】
本発明の好ましい化合物は、COX−2について50μM未満、好ましくは10μM未満、さらに好ましくは5μM未満のIC50値を有する。本発明の好ましい化合物はまた、COX−1について10μMより大きい、好ましくは20μMより大きいIC50値を有する。COX−1に対するCOX−2の阻害についての選択性の指標として、COX−1/COX−2のIC50値の比は好ましくは10より大きい。
【0021】
本発明はさらに、ヒトもしくは動物の身体の治療による処置の、特に疼痛、発熱または炎症の処置のための、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮を阻害するための、または結腸直腸癌もしくは神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)の予防または処置のための方法における使用のために式(I)の化合物を提供する。
【0022】
本発明はさらに、疼痛、発熱または炎症の処置のための、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮を阻害するための、または結腸直腸癌の予防もしくは処置のための医薬品の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0023】
式(I)の化合物は、リウマチ熱、インフルエンザもしくはその他のウイルス感染に関連する症状、感冒、腰痛および頚部痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫および挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、滑液包炎、腱炎、手術および歯科手技後の傷害、ならびに関節リウマチ、骨関節炎、痛風性関節炎、脊椎関節症、全身性エリテマトーデスおよび若年性関節炎を含む関節炎を含む種々の症状の疼痛、発熱ならびに炎症の緩和に有用である。それらはまた、乾癬、湿疹、火傷および皮膚炎のような皮膚炎症性障害の処置に使用され得る。加えて、そのような化合物は、結腸直腸癌もしくは神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)の予防または処置に使用され得る。
【0024】
式(I)の化合物はまた、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮を阻害し、それ故に月経困難症、早産、喘息および気管支炎の処置に使用され得る。
【0025】
式(I)の化合物は、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎、クローン病、炎症性腸症候群および過敏性腸症候群、胃腸出血および凝固障害を含む胃腸障害、腎疾患(例えば腎機能障害)を持つ患者、手術前もしくは抗凝固剤を使用中の患者、ならびに非ステロイド性抗炎症薬物誘発性喘息に感受性の患者の処置のような、特にそのような非ステロイド性抗炎症薬物が禁忌とされ得る場合に、従来の非ステロイド性抗炎症薬物に対する代替品として使用されることができる。
【0026】
化合物は、血管疾患、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症、I型糖尿病、重症筋無力症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、過敏症、結膜炎、歯肉炎および心筋虚血のような疾患における炎症を処置するのにさらに使用されることができる。
本発明の化合物はシクロオキシゲナーゼ−2酵素の阻害剤であって、それにより上で列挙されたシクロオキシゲナーゼ−2媒介性疾患を処置するのに有用である。
【0027】
したがって、本発明の化合物およびそのような化合物を含む医薬組成物は、ヒトの身体の障害の処置の方法に使用され得て、それはそのような処置を必要とする患者にそのような化合物の有効量を投与することを含む。
【0028】
本発明はまた、担体もしくは希釈剤のような薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた少なくとも一つの式(I)の化合物を活性成分として含む医薬組成物を提供する。活性成分は、製剤の性質および適用前にさらなる希釈がされるかどうかに依存して、組成物の重量に対して0.001重量%〜99重量%、好ましくは0.01重量%〜90重量%を含み得る。
好ましくは、組成物は、経口の、局所的の、鼻腔内の、吸入の、直腸内の、経皮のもしくは注射の投与に適する形に作り上げられる。
【0029】
活性化合物と混合して、本発明の組成物を形成する薬学的に許容される賦形剤は、それ自体で周知であって、使用される実際の賦形剤は、意図する組成物を投与する方法にとりわけ依存する。
【0030】
本発明の組成物は、注射のおよび経口の投与に好ましく適合させる。この場合には、経口の投与のための組成物は、錠剤、遅延錠剤、舌下錠剤、カプセル剤または混合液、エリキシル剤、シロップ剤もしくは懸濁剤のような、液体製剤の形をとり得るが、全てが本発明の化合物を含有する;そのような製剤は当分野で周知の方法により作成される。
【0031】
組成物の調製に使用され得る希釈剤には、望まれれば、着色剤もしくは矯味剤と一緒に、活性成分と混和可能な液体のおよび固体の希釈剤が含まれる。錠剤もしくはカプセル剤は、2mg〜500mgの活性成分を便利に含有し得る。
【0032】
経口の使用に適合させた液体組成物は、溶液剤もしくは懸濁剤の形であり得る。溶液剤は、例えば、シロップ剤を形成するためのショ糖と組み合わせた活性化合物の水溶液であり得る。懸濁剤は、懸濁化剤もしくは矯味剤と一緒に、水と組み合わせた本発明の不溶性活性化合物を含み得る。
【0033】
非経口の注射用の組成物は、凍結乾燥され得るかもしくはされ得ない、かつパイロジェンフリーの水性媒体もしくは他の適切な非経口の注射液体の中に溶解され得る本発明の化合物から調製され得る。
有効な用量は、通常は一日当り10〜600mgの活性成分の範囲にある。一日投与量は、一日当り一つもしくはそれ以上の処置、好ましくは1〜4回の処置に投与され得る。
【0034】
本発明は、本発明の範囲を決して限定しない、以下の作成および実施例により例示される。
【0035】
H核磁気共鳴スペクトルは、Varian Gemini 300分光計で記録された。融点は、Perkin Elmer DSC-7装置を用いて記録された。旋光度は、Perkin Elmer 241MC旋光計で測定された。鏡像異性純度は、ダイオードアレー検出器および溶融シリカの毛管(56cmの経度、50ミクロンの内径)を用いて、Agilent 3D (Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)で、毛管電気泳動により測定された。使用された条件は以下であった:緩衝液(トリエタノールアミンでpH3.0に調節されたリン酸20mM,置換度7のスルホブチルエーテルシクロデキストリン(SBE−7CD)、10%アセトニトリル);電圧(30kV, 負の極性);温度(20℃);波長(200nm(15nmのバンド幅), 標準400nm(80nmのバンド幅))。
【実施例】
【0036】
実施例:
<作成1>
4−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
アセトニトリル(70ml)中の2−ブロモ−1−[4−(メチルチオ)フェニル]エタノン(3.18g、13mmol)の懸濁液に、フェニル酢酸(1.77g)、18−クラウン−6(0.014g)および炭酸カリウム(3.22g)を加えた。混合物を室温で1時間、還流下で2時間攪拌した。次いで、溶媒を減圧下で除去して、ジクロロメタン(400ml)および飽和塩化アンモニウム(300ml)を残渣に加えた。有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)して、真空で濃縮して、残渣を得て、それをフラッシュクロマトグラフィーにより、ジクロロメタンで溶出して精製した。4−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オンがオレンジ色の固体として得られた(2.31g、63%)。
δ (DMSO): 2.47 (s, 3H), 5.38 (s, 2H), 7.23-7.45 (m, 9H)。
【0037】
<実施例1>
4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
メタノール(31ml)中の作成1の表題化合物(1.80g、6.4mmol)の溶液に、水(15ml)中のメタ過ヨウ素酸ナトリウム(1.36g)の溶液を0℃で滴下して、この混合物をこの温度で2時間、室温で3日間攪拌した。次いで、反応物を水の中に注ぎ、酢酸エチル(3×100ml)で抽出し、有機溶液を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)して、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン/酢酸エチル/エタノール/酢酸(78/17/3/2)を溶出液として精製した。4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(2.27g、81%)が灰白色の固体として得られた。
融点:149〜150℃
δ (DMSO): 2.76 (s, 3H), 5.42 (s, 2H), 7.33-7.45 (m, 5H), 7.55 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.71 (d, J=8.4 Hz, 2H)。
【0038】
<実施例2>
(R)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(鏡像異性体1a)
−20℃に冷却した乾燥1,2−ジクロロエタン(25ml)中のチタニウム テトライソプロポキシド(1.05ml、3.5mmol)および(R,R)−酒石酸ジエチル(2.45ml、14.2mmol)の攪拌溶液に、ノナン中のt−ブチル ヒドロペルオキシド 5.5M(1.29ml、7.1mmol)および作成1の表題化合物(1.0g、3.5mmol)を順次加えた。混合物を−20℃で5時間攪拌し、次いで、亜硫酸ナトリウムの5%水溶液(50ml)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥(NaSO)して、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより、酢酸エチル/メタノール(95/5)を溶出液として精製した。鏡像異性体1aの形で4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(0.48g、45%、100%ee)が灰白色の固体として得られた。
[α]D22 = +93.1 (c 0.25, MeOH)
融点:149〜150℃
δ (DMSO): 2.76 (s, 3H), 5.42 (s, 2H), 7.33-7.45 (m, 5H), 7.55 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.71 (d, J=8.4 Hz, 2H)。
【0039】
<実施例3>
(S)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン(鏡像異性体1b)
実施例2で記述された手順により、作成1の表題化合物および(S,S)−酒石酸ジエチルから灰白色の固体(63%、93.4%ee)として鏡像異性体1bの形で得られた。
[α]D22 = -82.3 (c 0.25, MeOH)
融点:149〜150℃
δ (DMSO): 2.76 (s, 3H), 5.42 (s, 2H), 7.33-7.45 (m, 5H), 7.55 (d, J=8.4 Hz, 2H), 7.71 (d, J=8.4 Hz, 2H)。
【0040】
組成物の実施例:
<組成物の実施例1>
錠剤の調製
処方
本発明の化合物 5.0mg
乳糖 113.6mg
微結晶性セルロース 28.4mg
軽無水ケイ酸 1.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
【0041】
混合機械を用いて、本発明の化合物15gを乳糖340.8gおよび微結晶性セルロース85.2gと混合する。混合物をローラーコンパクターを用いる加圧成形に供して、フレーク様圧縮物質を得る。フレーク様圧縮物質をハンマーミルを用いて粉砕して、粉砕された物質を20メッシュの篩で篩にかける。軽無水ケイ酸の4.5g部分およびステアリン酸マグネシウム4.5gを篩にかけた物質に加えて、混合する。混合した生成物を、直径7.5mmのダイ/パンチ系を備えた打錠機に付し、それによりそれぞれが150mgの重量を有する3,000個の錠剤を得る。
【0042】
<組成物の実施例2>
コーティング錠剤の調製
処方
本発明の化合物 5.0mg
乳糖 95.2mg
トウモロコシでん粉 40.8mg
ポリビニルピロリドンK25 7.5mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
ヒドロキシプロピルセルロース 2.3mg
ポリエチレングリコール6000 0.4mg
二酸化チタン 1.1mg
精製タルク 0.7mg
【0043】
流動床造粒機械を用いて、本発明の化合物15gを乳糖285.6gおよびトウモロコシでん粉122.4gと混合する。別に、ポリビニルピロリドン22.5gを水127.5g中に溶解して、結合溶液を調製する。流動床造粒機械を用いて、結合溶液を上の混合物の上に噴霧して、顆粒を得る。ステアリン酸マグネシウムの4.5g部分を得られた顆粒に加えて、混合する。得られた混合物を、直径6.5mmのダイ/パンチ両凹系を備えた打錠機に付し、それによりそれぞれが150mgの重量を有する、3,000個の錠剤を得る。
【0044】
別に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910の6.9g、ポリエチレングリコール6000の1.2g、二酸化チタン3.3gおよび精製タルク2.1gを水72.6g中に懸濁することにより、コーティング溶液を調製する。High Coatedを用いて、上で調製した3,000個の錠剤をコーティング溶液でコーティングして、それぞれが154.5mgの重量を有する、フィルムコーティング錠剤を得る。
【0045】
<組成物の実施例3>
カプセル剤の調製
処方
本発明の化合物 5.0mg
乳糖一水和物 200mg
コロイド二酸化ケイ素 2mg
トウモロコシでん粉 20mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
活性化合物25g、乳糖一水和物1kg、コロイド二酸化ケイ素10g、トウモロコシでん粉100gおよびステアリン酸マグネシウム20gを混合する。混合物を60メッシュの篩で篩にかけて、次いで、5,000個のゼラチンカプセルの中に充填する。
【0046】
<組成物の実施例4>
クリーム剤の調製
処方
本発明の化合物 1%
セチルアルコール 3%
ステアリルアルコール 4%
モノステアリン酸グリセリル 4%
モノステアリン酸ソルビタン 0.8%
モノステアリン酸ソルビタンPOE 0.8%
流動ワセリン 5%
メチルパラベン 0.18%
プロピルパラベン 0.02%
グリセリン 15%
精製水csp. 100%
水中油型エマルジョン・クリームを、慣用の方法を用いて、上で列記した成分で調製する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、その二つの鏡像異性体のそれぞれ、ならびに鏡像異性体のラセミのおよびスケール性の混合物。
【請求項2】
(R)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
(S)−4−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−3−フェニルフラン−2(5H)−オン
の一つである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(IV)
【化2】

の化合物を酸化剤と反応させる、
式(I)
【化3】

の化合物の作成方法。
【請求項4】
酸化剤が:
(a)ラセミのスルフィニル混合物を得ようとするときにはメタ過ヨウ素酸ナトリウム;または、
(b)鏡像異性的に富化した式(I)の化合物を得ることが望まれるときにはチタニウム テトライソプロポキシド、t−ブチル ヒドロペルオキシドおよび酒石酸ジエチルの(R,R)のもしくは(S,S)の型のどちらかの混合物
のいずれかである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
反応が塩素化溶媒もしくは塩素化溶媒およびC−Cアルコールの混合物の中で起こる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
塩素化溶媒が1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルムおよびそれらの混合物から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
医薬品としての使用のための請求項1に定義されたような式(I)の化合物。
【請求項8】
酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の病理学的症状もしくは疾患の処置における使用のための請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
薬学的に許容される希釈剤もしくは担体と組み合わせた、請求項1または2に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項10】
酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の病理学的症状もしくは疾患の処置のための医薬品の製造における、請求項1または2に記載の化合物の使用。
【請求項11】
医薬品が疼痛、発熱もしくは炎症の処置における使用のための、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮を阻害するための、または結腸直腸癌もしくは神経変性疾患の予防または処置のためのものである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の病理学的症状もしくは疾患の処置のための請求項1または2に記載の化合物の使用。
【請求項13】
病理学的症状または疾患が疼痛、発熱、炎症、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮、結腸直腸癌もしくは神経変性疾患である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
酵素シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の阻害による寛解に感受性の病理学的症状もしくは疾患に罹っている対象を処置する方法であって、その方法が当該対象に請求項1または2のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項15】
病理学的症状または疾患が疼痛、発熱もしくは炎症、プロスタノイド誘発性平滑筋収縮、結腸直腸癌または神経変性疾患である、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2006−517561(P2006−517561A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501816(P2006−501816)
【出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001296
【国際公開番号】WO2004/072057
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(598032139)アルミラル プロデスファルマ ソシエダッド アノニマ (69)
【氏名又は名称原語表記】ALMIRALL−PRODESFARMA SOSIEDAD ANONIMA
【Fターム(参考)】