説明

CSMAベースのプロトコルを使用するエンドノード及びネットワークコーディネータ

ノード、具体的には電子ラベルと、ネットワークコーディネータとの間のCSMAに基づく通信プロトコルを開示する。このノードは、ネットワークコーディネータと通信するために設けられるトランシーバであって、CSMAに基づいて伝送チャネルを処理する、トランシーバと、その伝送チャネルを介して受信するデータを処理し、そのデータをディスプレイユニットに表示させるために設けられる処理ユニットとを備える。この電子ラベルは、データ要求パケットを反復的に送信すること、そのデータ要求パケットを送信した後、低電力モードに移ること、及びそのデータ要求パケットを送信し始めてから事前定義の時間間隔後にデータ応答パケットを受信するためにウェークアップすること、を実行するように構成される。このネットワークコーディネータは、データ要求パケットの始まりを受信してから事前定義の時間間隔後にデータ応答パケットを伝送するように構成される。本発明は、多数のエンドノードが自らの対応データをネットワークコーディネータから受信することができる、極めて低い電力での動作を用いるCSMAに基づくプロトコルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のエンドノードと限られた数のネットワークコーディネータとを含むネットワークで使用するための、ネットワークコンポーネントに関する。より詳細には、本発明は、無線電子棚ラベル(ESL,electronic shelf label)ネットワークに関する。さらなる態様では、本発明は、多数の電子ラベルと少なくとも1つのネットワークコーディネータとを備える無線ESLネットワークで使用される、通信プロトコル及びスケジューラに関する。
【0002】
このエンドノードデバイスもネットワークコーディネータも、ネットワークコーディネータと通信するために設けられるトランシーバであって、CSMAに基づいて伝送チャネルを処理する、トランシーバと、その伝送チャネルを介して受信するデータを処理し、対応するアクションを実行するために設けられる処理ユニットとを含む。
【0003】
本発明は、電力リソースが限られている無線通信デバイスを使用する無線インフラにおいて特に応用され、その無線インフラでは、デバイスの電力消費が問題である。使用可能な無線プロトコルの例は、ZigBee、Bluetooth、及びIEEE802.11(「WiFi」)である。
【背景技術】
【0004】
ESLシステムは、合わせてESLネットワークを形成する、1商品ごとに1つある多数の電子ラベルと中央サーバとからなる。電子ラベルは、対応する商品の価格、並びに名前及び/又は1kg当たりの価格などの他の情報を表示する。中央サーバは、それらの電子ラベルについてすべての情報を有し、表示しようとする情報を対応する電子ラベルに伝達する必要がある。
【0005】
ESLシステムは、米国特許第6108367号明細書から知られている。開示されるこのシステムは、RF通信及びバッテリに基づく。さらに、ESLシステムは米国特許第6715676号明細書からも知られており、このESLシステムは赤外線通信、並びに太陽電池及び/又はバッテリを使用することに基づく。
【0006】
欧州特許第1818864号明細書は、市販品の棚に置かれていないが在庫として店内に存在する市販品の数を示す、総在庫数を市販品ごとに表示できるようにするESLシステムを開示する。
【0007】
従来技術のESLシステムでは、ネットワークコーディネータは無線リンクを介して電子ラベルに伝達する。さらに、そのネットワークコーディネータは、POS端末とデータベースを伴うPOSサーバとを含む、POS(販売時点管理、point-of-sale)システムへの(有線又は無線)接続を有する。このネットワークコーディネータは、特定の電子ラベルについての最新の価格又は更新がない状態に関して、POSシステムに適宜要求を送信することができる。次いで、POSシステムがネットワークコーディネータに応答を送信し、価格が更新されている場合、問題の電子ラベルに更新情報が転送される。
【0008】
ネットワークコーディネータがPOSシステムに対して通信する場合、問題の電子ラベルに関するあり得る新たな価格情報を見つけるために、POSデータベースにアクセスする必要がある。ネットワークコーディネータ及びPOSシステムによる様々な動作、並びにネットワークコーディネータとPOSシステムとの間の接続を介した通信は、未知の遅延をもたらす。
【0009】
アモルファスシリコン太陽電池を用いてエネルギーを得ることは、屋内の光強度レベルが100ルクスの状態で、約3μW/cmの発電を可能にする。そうした太陽電池をスタックすることにより、一定の典型的な屋内光条件下で、数μAの供給電流を容易に実現してエネルギーを蓄え、数cmのセル面積で数ボルトの電圧を生み出すことができる。
【0010】
今日では、LCD(液晶ディスプレイ)技法が、特に表示情報が変化しないとき、電力消費量の低い低コストの小型ディスプレイを可能にする。
【0011】
無線及びネットワーキング向けのZigBeeベースの設計を用い、ESLネットワークの機能性を実現することができる。ZigBeeソリューションは、2.4GHz当たりの「低レート無線パーソナルエリアネットワーク(LR−WPAN,Low-Rate Wireless Personal Area Network)の無線媒体アクセス制御(MAC,Medium Access Control)及び無線物理層(PHY)仕様」で構築される。そうした2.4GHz無線設計は、世界的に利用可能な2.4GHz帯域におけるロバストな通信を実現するために、最小限のチップ面積、高い集積レベル、及び最小限のオフチップコンポーネントを求めて最適化される。これらのZigBeeソリューションは、スリープモード及びスタンバイモードにより、マイクロプロセッサ及び2.4GHz無線の動作を限定しようとさらに試みる。一定の時間間隔の間、回路をオフにすることにより電力消費を低減することができる。さらなる一般的背景情報は、www.zigbee.orgで得ることができる。
【0012】
ZigBeeのアプリケーション及びネットワーク特性は、IEEE802.15.4無線MAC層及び無線PHY層の最上部に記載され、構築される。この802.15.4MACは、CSMA−CA(キャリア検知多重アクセス/衝突回避方式)に基づいて無線チャネル媒体アクセスを処理する。ZigBeeネットワークは、3つのネットワークトポロジ、つまりスタートポロジ、ツリートポロジ、及びメッシュトポロジと、2つの動作モード、つまりビーコン動作モード及び非ビーコン動作モードとを可能にする。
【0013】
非ビーコンは、スターネットワーク、ツリーネットワーク、及びメッシュネットワークによってサポートされる。ここでは、端末デバイスは媒体にアクセスし、その媒体を介してメッセージを送信することを永続的に許可される。「親」デバイスは、端末デバイスのデータフレームの直後の肯定応答フレーム、又は端末デバイスのデータ要求の後の応答データフレームしか、端末デバイスに送信することができない。したがって端末デバイスは、自らの動作に対して自己制御を有し、ウェークアップすること、データフレームを伝送すること(及び応答データフレームを予期すること)について主導権を取るため、端末デバイスの動作はイベント駆動型の動作を可能にする。端末デバイスによる伝送動作を引き起こすイベントは、(アラームなどの)外部トリガによって開始することができるが、セントラルポイントにおいてモニタされる「活発な(alive)」トラフィックに対処するための何らかの外部タイマによって開始することもできる。この端末デバイスが動作を開始するため、次のトリガが生じるまでこの端末デバイスはスリープモードのままでいることができ、動作しない長い期間は、次の「活発な」トラフィックトリガイベントまでに満了することができる。したがって、非ビーコンデバイス内のそうした端末デバイスは、極めて低い電力での動作を可能にし、エネルギーハーベスティングの提供による電力供給を可能にする。しかし、非ビーコンでは、コーディネータ及びルータが永続的にアクセス可能でなければならず、そのため、コーディネータ又はルータ内の受信機回路は永続的に電力供給されなくてはならない。
【0014】
1970年代には、無線ネットワーク向けにいくつかのMACプロトコルが開発された。無線ネットワーク及び有線ネットワークの両方のために開発されたそうしたプロトコルは、著作J.L. Hammond, P.J.P. O'Reilly, Performance analysis of local computer networks, Addison-Wesley, 1986, ISBN 0-201-11530-1 (pp. 279-346)の中で要約されている。この出版物は様々な種類のCSMAプロトコルも参照し、(正規化負荷=パケット伝送持続時間に等しい時間間隔の間にパケットが到達する可能性、によって多くの場合特徴付けられる)所与の負荷状態のスループットを導出するために不可欠な、正規化伝播遅延(=コンテンションウィンドウ/パケット伝送時間)などのネットワーク性能パラメータを提示する。これらのプロトコルのうちの1つが非持続型CSMAであり、このプロトコルでは伝送するフレームを有する局がチャネルを検知する。ビジーであることが分かると、その局は伝送を行わない。
【0015】
CSMA−CAプロトコルは、衝突(collision)が起こる可能性が最も高い時点で媒体にアクセスする、複数の局間の衝突の可能性を低減するように設計されている。衝突は、ビジーな媒体に続く、媒体が空いた直後に起こる可能性が最も高い。これは、媒体が再び利用可能になるのを複数の局が待っているからである。したがって、媒体コンテンション競合を解決するためにランダムバックオフ構成を使用する。CSMA−CAの衝突回避部分は、2進指数バックオフアルゴリズムに基づいてランダムバックオフ手順によって実行される。伝送するフレームを有する局は、チャネルを検知する前にランダムバックオフ時間を計算する。ビジーであることが分かると、その局はランダムバックオフ時間を再度計算する。このランダム時間は、ランダムな数のスロット時間に基づく。
【0016】
1990年代には、CSMA−CAは、無線LAN向けのIEEE802.11内のMACプロトコルとして採用された。
【0017】
無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)に関するIEEE802.15.4は、このCSMA−CAプロトコルを採用した。何か伝送するものを有する局は、802.15.4標準の中の特定の流れ図に従って動作し、macMinBE、macMaxBE、macMaxCSMABackoff、aMaxFrameRetriesのようなパラメータを適用する。IEEE802.15.4は、媒体が空いている場合は時間チェックに基づくスロット時間、及び受信/送信応答所要時間を適用する。
【0018】
ビーコンベースのスリープモードに関するランダム待機の最適化及び電力管理に関し、MAC機能の様々な側面が出版されてきた。この802.15.4MACについての一部の出版物は、ネットワークの性能的側面を、macMinBEのようなパラメータの動的適応によってなど、様々な方法で説明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第6108367号明細書
【特許文献2】米国特許第6715676号明細書
【特許文献3】欧州特許第1818864号明細書
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】J.L. Hammond, P.J.P. O'Reilly, Performance analysis of local computer networks, Addison-Wesley, 1986, ISBN 0-201-11530-1 (pp. 279-346)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、無線トランシーバ及びプロセッサのオン時間を最小限にすることによる、電子ラベルに関する極めて低い電力での動作に適している既存の無線設計の一種に基づくESLシステムを提供することである。さらに、本発明の目的は、小型の太陽電池を用いて、屋内光からのエネルギーハーベスティングで電子ラベルに電力供給を行えるようにすることである。さらに、本発明の目的は、何千何万ものデバイス(エンドノード)のためのアドレス指定能力を備える、標準化されたネットワーキングの一種を使用することである。加えて本発明の目的は、様々な電子ラベルについて、ロバスト性、柔軟な始動動作、自己修復、並びに干渉、様々な負荷状態、及び変化する光強度レベルに関連するグレースフルデグラデーションをもたらす通信プロトコル規定を使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、ESLネットワークとしての特性を有するネットワーク構成で使用するための、改善された通信プロトコル及びスケジューリング方法を提供しようとする。エンドノードデバイスに実装されるとき、本発明によるエンドノードデバイスは、
ネットワークコーディネータと通信するために設けられるトランシーバであって、CSMAに基づいて伝送チャネルを処理するトランシーバと、
その伝送チャネルを介して受信するデータを処理するために設けられる処理ユニットと
を備え、
エンドノードデバイスは、
データ要求パケットを反復的に送信すること、
そのデータ要求パケットを送信した後、低電力モードに移ること、及び
そのデータ要求パケットを送信し始めてから所定の時間間隔後にデータ応答パケットを受信するためにウェークアップすること
を実行するように構成される。
【0023】
ネットワークコーディネータに実装されるとき、そのネットワークコーディネータは、
エンドノードデバイスによって送信されるデータ要求パケットを受信すること、
エンドノードデバイスに伝送しようとするデータを含む、データ応答パケットを作成すること、
データ要求パケットの始まりを受信してから所定の時間間隔後にそのデータ応答パケットを伝送すること
を実行するように構成される。
【0024】
本発明は、エンドノードの電力リソースが限られているという認識に基づく。エンドノードのトランシーバ及びプロセッサがアクティブ状態にある期間は、できるだけ限られるべきである。エンドノードがデータ要求パケットを送信した後、ネットワークコーディネータは、データ応答パケット内でデータを転送できる前に、中央データベースから必要なデータを取り出すために一定の時間を必要とする。コーディネータは、複数のエンドノードのうちのどのエンドノードがデータを要求しているのか事前に分からないので、待ち時間の長さは定義されない。要求パケットと応答パケットとを伝送チャネルを介して連続して送信する必要がある場合、データを取り出すためにネットワークコーディネータが必要とする期間中、エンドノードはこの期間中、チャネルをリッスンする必要がある。これは不必要な電力消費をもたらす。さらに、ネットワークコーディネータはこの期間中、伝送媒体を占有する必要があり、伝送チャネルの非効率的使用の原因となる。不必要な電力消費及び伝送チャネル容量の無駄を克服するために、データ要求パケットの伝送とデータ応答パケットの伝送との間の所定の時間間隔を使用し、エンドノードとネットワークコーディネータとの両方においてプロトコルが定義される。データ要求パケットを送信するために要求される期間と、対応するデータを取得するためにコーディネータが必要とする時間との合計よりも長い所定の時間間隔を有することは、エンドノードが、データ要求パケットを送信した後に低電力モードに移ること、及びネットワークコーディネータによりデータ応答パケットが送信される前に、短い期間ウェークアップすることを可能にする。これは、エンドノードが新たなデータを要求し、受信するために必要とする電力を低減する。さらに、データ要求パケットを伝送した直後に、その伝送チャネルは他のデバイスがデータを送信するために利用可能になり、このことは伝送チャネルの容量を増加させる。
【0025】
本発明の一実施形態では、エンドノードデバイスはネットワークアドレスを含み、データパケットは宛先アドレスを含む。このエンドノードデバイスは、データパケットから宛先アドレスを導出し、その宛先アドレスがネットワークアドレスと異なる場合に低電力モードに移り、定期的な時点において、データ要求パケットを受信するためにウェークアップするようにさらに構成され、定期的な時点間の間隔は所定の時間間隔に一致する。この実施形態では、ネットワークコーディネータは、データ応答パケットを伝送した直後に、電子ラベルによって伝送される肯定応答パケットがないかチェックすることを反復的に実行するようにさらに構成される。肯定応答パケットが検出されない場合、前のデータ応答パケットを送信し始めてから所定の時間間隔後にデータ応答パケットを再度伝送する。このプロトコルのこれらの特徴は、エンドノードデバイスによりデータ応答パケットの受信が肯定応答されるまで、データ応答パケットが予期される時間ウィンドウが、データ応答パケットを反復的に伝送するために他のデバイス及びネットワークコーディネータによって使用される場合、エンドノードデバイスが最小限の電力消費でデータ応答パケットを受信することを可能にする。
【0026】
本発明の一実施形態では、このエンドノードデバイスは、エネルギー蓄積部及び太陽電池、並びにエネルギー蓄積部のエネルギー状態を判定するためのセンサを含む、電力供給ユニットを備える。このエンドノードデバイスは、電子ラベルのエネルギー状態を示す1又は複数のパラメータを含む、データ要求パケットの伝送を行うようにさらに構成される。この実施形態では、ネットワークコーディネータは、電子ラベルのエネルギー状態を示すパラメータを伴うデータ要求パケットから取り出し、それに応じて動作するように構成される。一実施形態では、このパラメータは、電子ラベルがデータ要求パケットを伝送した後にデータ応答パケットを探す、所定の時点の数を示し、電子ラベルから肯定応答パケットを受信しない場合、ネットワークコーディネータは、このパラメータに従ってデータ応答パケットを反復的に伝送するように構成される。別の実施形態では、このパラメータは、エネルギー蓄積部の2つ以上のエネルギー容量領域のうちの1つ及び/又はエネルギー蓄積部の電荷電流を示す。これらの特徴は、データ応答パケットを伝送する試行回数をネットワークシステムが限定することを可能にし、その試行回数はエンドノードデバイスのエネルギー状態に関係する。データ応答パケットを受信するための十分な電力をエンドノードが有さないと予期できる場合、試行は行われない。このようにして、伝送チャネルが不必要に占有されることはない。電荷電流を示すパラメータは、それぞれのノードの照明条件を判定し、保守命令又はサービス呼に対処するためにこのシステムにおいてさらに使用することができる。
【0027】
本発明の一実施形態では、このデータ要求パケットは、所定の時間間隔の持続時間を示す時間間隔パラメータを含み、ネットワークコーディネータは、データ要求パケットの始まりを受信してから前述の所定の時間間隔後にデータ応答パケットを伝送するように構成される。この特徴は、このシステムが、伝送チャネルを介したデータパケット伝送のランダム配信を改善できるようにする。
【0028】
本発明の一実施形態では、後続のデータ要求パケットの2度の伝送間の時間間隔は、所定の時間間隔の少なくともy倍である。一実施形態では、yは4より大きい整数である。このyの値を増加することは、エンドノードがネットワークコーディネータにデータを頻繁に要求しないことを確実にする。パラメータyは、このネットワークシステムによって依然として処理することができる、中央データベース内の特定のエンドノードに関するデータの2つの変更間の最短時間を定義する。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、次のデータ要求パケットを伝送するための時間間隔は、データ応答パケットを受信する時点に依拠する。この特徴は、2つのデータ要求パケット間の時間間隔をこのシステムが長くすることを可能にする。このことは、このネットワークシステムを始動する際に、すべてのエンドノードにそれらのエンドノードの対応データを提供するために必要な全体時間を短縮する。百貨店やスーパーマーケット内で明かりをつける始動時に、すべてのエンドノードは自らのデータを要求しなければならない。このことは最初に衝突をもたらし、その衝突は、すべてのエンドノードデバイスを更新するための時間をより長くする。1又は複数の後続のデータ応答パケット内の対応データを受信した後の、データ要求パケットを再伝送する時間間隔を長くすることにより、エンドノードデバイスがより長い時間にわたって伝送チャネルを占有することはなく、他のエンドノードデバイスが自らの対応データを受信することを可能にする。
【0030】
添付図面に関していくつかの例示的実施形態を使用し、本発明を以下により詳細に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ESLネットワークを示す図である。
【図2】(太陽電池、アンテナを備える無線機、プロセッサ、及びディスプレイを有する)電子ラベルの詳細なブロック図である。
【図3】(アンテナを備える無線機、別の有線/無線インターフェイス、及びプロセッサを有する)ネットワークコーディネータの詳細なブロック図である。
【図4】IEEE802.15.4非ビーコンネットワークでのCSMA−CA媒体アクセスの流れ図である。
【図5】電子ラベルとネットワークコーディネータとの間の伝送のタイミングの一例を示す図である。
【図6】いくつかの電子ラベルとネットワークコーディネータとの間の、伝送のタイミングの一例を示す図である。
【図7】電子ラベルに対する伝送の優先順位が異なる状態の、いくつかの電子ラベルとネットワークコーディネータとの間の伝送のタイミングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明によるESLシステム100を示す。このESLシステムは、ネットワークコーディネータ110、POS(販売時点管理)システム、及び多数の電子棚ラベル120−1、120−2、...120−Nを含む。ネットワークコーディネータ110は、無線リンクを介して電子ラベル120−1、120−2、...120−Nと通信する。ネットワークコーディネータ110は、POS端末とデータベースを伴うPOSサーバとを含む、POSシステムへの(有線又は無線)接続を有する。POSシステムは、電子ラベルのための新たな価格データの場合、この情報をネットワークコーディネータに送信する。ネットワークコーディネータはこの情報を記憶し、後の時点で問題の電子ラベルに転送する。
【0033】
本発明によれば、電子ラベル120−は、POSシステムからの新たな価格データがネットワークコーディネータにおいて入手できるかどうかをチェックするために、データ要求パケットをネットワークコーディネータに送信する。そのデータ要求パケットに応答して、ネットワークコーディネータは、問題の電子ラベルについての価格更新情報又は更新がない状態を含むデータ応答パケットを転送する。本発明によれば、電子ラベル120−は、電子ラベル120−が起動している時点であって、その時点においてデータ応答パケットを伝送し始める可能性があるネットワークコーディネータをリッスンするための、起動している時点を定義する。データ応答パケットを伝送するタイミングは、アクティブモードにある電子ラベルが何かを受信するために長く待つことを回避しなければならない。したがって、このネットワークコーディネータは、多数の電子ラベルのそれぞれについてのデータを含む中央データベースから得られるデータを取り出すことなど、様々な動作による未知の遅延を回避するために、所定の時間間隔の後にデータ応答パケットの伝送をスケジュールする。ネットワークコーディネータが、データ応答パケットを電子ラベルに伝送することを成功裏に完了した場合、そのネットワークコーディネータは、問題の電子ラベルへの価格更新情報の転送を確認するためにPOSシステムにパケットを送信する。この、ネットワークコーディネータによる価格更新情報を転送/記憶し、未処理の(outstanding)価格更新の記録を取る手法は、POSシステムとネットワークコーディネータとの間のリンクの占有を緩和する。
【0034】
電子ラベルのトランシーバ及びプロセッサに最大限のスリープ時間を与えるために、これらの2つはその電子ラベルがデータ要求パケットを送信する時間の前後にのみ、及び問題の電子ラベルにアドレス指定された1又は複数のデータ応答パケットを、ネットワークコーディネータから受信するちょうどそのときにオンにされる必要がある。さらに、このトランシーバ及びプロセッサは、できるだけ長くオフにしておく必要がある。このことを考慮に入れることにより、本発明は、いくつものスタックされた太陽電池素子及び蓄積コンデンサ(storage capacitor)を用いて電子ラベルに電力供給を行うことをサポートする、通信プロトコル及びスケジューリング手法を提供する。この蓄積コンデンサは、データ要求パケットを送信し、データ応答パケットを受信するために、たまに一定の短期間にわたりこの電子ラベルをアクティブ状態にするための十分なエネルギーをバッファする。スタックされる太陽電池素子は、より悪い指定の照明条件下で十分なエネルギーを得て、電子ラベルのディスプレイユニットを供給し、更新情報を得るためのその後の要求を伝送し且つ対応する更新情報を受信するために、蓄積コンデンサを充電しなくてはならない。
【0035】
このネットワークコーディネータは常時オンにされ、電子ラベルとの間の受信/送信動作を可能にする。したがって、このネットワークコーディネータは、そうした動作に十分なエネルギーを提供する例えば主電源やエネルギーハーベスティング技術から、常に電力を得るための供給を必要とする。
【0036】
ネットワークコーディネータ110、及び電子ラベル120−1〜120−Nはいずれも、IEEE802.15.4に基づくトランシーバを含む。本発明は、IEEE802.15.4に限定されず、任意のCSMAベースの伝送プロトコルで使用することができる。
【0037】
図2は、太陽電池124、1又は複数のアンテナ122を備えるトランシーバ132、プロセッサ134、及びディスプレイ138を有する、電子ラベル120の詳細なブロック図を示す。太陽電池ブロック124は、太陽光又は白熱灯、アーク灯、LED灯、蛍光灯、ガス放電灯などのランプが発生させる光がある場合に電流を発生させる、いくつかのスタックされた太陽電池を含む。この電流はエネルギー蓄積部126に供給され、電流の大きさは太陽電池124に当たる光の強度によって決まる。エネルギー蓄積部126に供給される電流は、エネルギー蓄積部126の中のコンデンサを充電するために使用され、そのコンデンサは、コンデンサ上の電圧を例えば3.6Vに制限する過電圧保護ユニットを有する。さらに、エネルギー蓄積部126は、電圧が3.1Vのレベルに達した場合に、電力供給マネージャ128にトリガ信号を転送する回路を有する。より厳密にはこのトリガ信号は、電力供給マネージャ128の中のイベントタイマ130に行く。エネルギー蓄積部126は、電圧及び電流を電力供給マネージャ128に供給し、電力供給マネージャ128は、包括的ブロック140の中のすべてのブロック(128〜138)にわたり電力を分配する。電力供給マネージャ128は、無線トランシーバ132及びプロセッサ134をオン/オフするように構成される。無線トランシーバ132は、1又は複数のアンテナ122に接続される。プロセッサ134は、ディスプレイドライバ136につながり、さらにこのディスプレイドライバ136はディスプレイ138を制御する。さらに、本明細書の以下に記載するように一部の実施形態では、電力供給マネージャ128は、プロセッサ134からの要求後に、エネルギー蓄積部のエネルギー状態を判定するセンサユニット131を併せて含む。一実施形態では、このエネルギー状態は、エネルギー蓄積部126の全電圧範囲をカバーする少数の電圧範囲のうちから選択される、1つの電圧範囲に対応する値である。この電圧範囲情報は、以下に記載するエネルギーベースの優先順位付けに関する実施形態で記載するように、利用可能なバッファ済みエネルギーについての指標としてプロセッサ134が使用することができる。別の実施形態では、センサユニット131が、エネルギー蓄積部に対する電流を判定する。この電流は、到着期間内に得ることができるエネルギーを推定し、そのエネルギーがデータ応答パケットを受信するのに十分かどうかを推定するために使用することができる。一実施形態では、センサユニット131は、エネルギー蓄積部の両端間の電圧、及びエネルギー蓄積部126に供給される電流の両方を測定するように構成される。
【0038】
一定の光強度レベルがある場合、このエネルギー蓄積部は充電され、エネルギー蓄積部ブロックが供給する電圧は、数分後には140内の様々なブロックに電力供給してしばらくの間動作させるのに十分な高さになる。次いで、電子ラベル120はネットワークコーディネータとの通信を設定することができる。そのために、3.3Vを超過することに関連するエネルギー蓄積部ブロックからのトリガ、及び3〜5分の範囲内のランダム間隔に基づく前に記憶したタイマ値が過ぎた後、イベントタイマ130が電力供給マネージャにウェークアップコマンドを与える。
【0039】
次いで、プロセッサ134及び無線トランシーバ132が、電力供給マネージャ128によってオンにされる。プロセッサ134及び無線トランシーバ132は、起こり得る価格更新に関してデータ要求パケットをネットワークコーディネータに送信することを担う。価格情報が揮発性メモリに記憶される場合、明かりをつけた後、毎回価格情報送信要求が送信される。プロセッサ134は、データ要求パケットの生成をアプリケーション層において準備する。無線トランシーバ132がこのパケットを送信し、肯定応答パケットを受信した後、ネットワークコーディネータによって送信される、予期されるデータ応答パケットを受信するためにトランシーバ132及びプロセッサ134をちょうどのときにウェークアップするように生成されるウェークアップ信号について、イベントタイマ130が構成される。
【0040】
さらに、電子ラベル120がネットワークコーディネータ110と通信するために十分なエネルギーを含む限り、電子ラベルのその後の2度の価格変更間の最短時間間隔に一致する時間間隔の後、この電子ラベルはデータ要求パケットを定期的に伝送する。妥当な時間間隔は、1分、5分、10分、15分、30分、60分、又は1分〜60分の範囲内の他の任意の時間間隔である。電子ラベルが新たな価格情報又は更新された価格情報を受信する場合、前述の数分の時間間隔の範囲内では次の更新は予期されない。しかし、この電子ラベルが、入手できる価格更新情報がないことを示すデータ応答パケットを受信する場合、前述の数分の時間内に新たな価格更新情報を入手できるようにすることができる。その場合この電子ラベルは、価格更新が提供される時点まで、データ要求パケットをさらに頻繁に伝送する。この場合、後続のデータ要求パケットの2度の伝送間の時間は、所定の時間間隔の少なくともy倍である。一実施形態では、yは4より大きい整数である。一実施形態では、後続のデータ要求パケットの2度の伝送間の時間間隔は、データ要求パケットの伝送とデータ応答パケットとの間の、所定の時間間隔の関数である最大予想遅延より大きい。好ましい実施形態では、このyの値は、データ要求パケットを送信するための1分間の繰り返し周期(repetition time)に相当する。
【0041】
図3は、1又は複数のアンテナ172を備える無線トランシーバ170、第2の有線/無線通信インターフェイス180、及びプロセッサ160を有する、ネットワークコーディネータ110の詳細なブロック図を示す。このネットワークコーディネータ110は、通常動作中は常時オンにされ、主電源供給などによって提供される供給電力を使用する。ネットワークコーディネータ110の主要部は、プロセッサ160の中の構成単位として実装される。これらの構成単位の1つが802.15.4コーディネータ166であり、この802.15.4コーディネータ166は、データパケットをPOSシステムから正しい電子ラベルに、及び電子ラベルからPOSシステムにルーティングするための情報を含む、ESLルーティングテーブルを含む。この802.15.4コーディネータ166は、802.15.4ドライバ168に接続され、その802.15.4ドライバ168は無線トランシーバ170に接続される。802.15.4ドライバ168は、802.15.4コーディネータ166内で行われるアプリケーション層処理と、無線トランシーバ170のPHY層及びMAC層ハードウェアとの間に変換層を提供する。コーディネータ166はゲートウェイ機能164に接続され、そのゲートウェイ機能164は、POSシステムに対する有線/無線ベース通信のためのプロトコルスタック176に接続される。ゲートウェイ機能164は、802.15.4部分及びPOSシステムへの有線/無線部分である、このESLネットワークの2つの部分において使用される通信プロトコル間の対話を提供する。この最後の部分は、802.15.4部分とは対照的に、IPベースのネットワーキングに基づく好ましい実施形態の中にある。プロトコルスタック176は通信ドライバ178に接続され、その通信ドライバ178は、例えばUSBに基づく第2の通信インターフェイス180に接続される。プロトコルスタック176は、ゲートウェイ機能164と、通信ドライバ178内の処理との間に変換層を提供する。通信インターフェイス180は、PHYハードウェア及びMACハードウェアを含む。
【0042】
このネットワークコーディネータの主要機能は、無線トランシーバ170及びドライバ168を使用する第1の通信インターフェイスを用いて、データ要求パケットがないかリッスンすることである。受信したそれぞれのデータ要求パケットから、電子ラベルのMACアドレスであり得る、一意識別を取り出す。その電子ラベルに伝送しようとする、その電子ラベルの一意識別に関連する情報を取り出す。その情報を1又は複数のデータ応答パケット内で伝送する。
【0043】
図4は、IEEE802.15.4非ビーコンネットワークでのCSMA−CA媒体アクセスの流れ図を示す。802.15.4デバイスがパケットを伝送できる前に、その802.15.4デバイスは、CSMA−CAプロセスを開始する必要がある。処理ステップS401で、このデバイスは既に完了したバックオフサイクル数のためのNBカウンタを0に等しくし、これはバックオフ指数のためのBEカウンタを、設定されるaMacMinBE値に等しくする。次いで処理ステップS402の間、このデバイスは、0〜(2BE−1)の間のランダムな数のバックオフ時間にわたり待機する。IEEE802.15.4によれば、このバック時間は320μsに等しい時間単位である。次の処理ステップS403で、このデバイスは、クリアチャネル評価(CCA、Clear Channel Assessment)を行う。処理ステップS404の間、このデバイスは、チャネルがいつアイドルか判断する。チャネルがアイドルの場合、このデバイスは伝送を開始する。チャネルがアイドルでない場合、このデバイスは、バックオフ数のためのNBのカウンタ値を1増やし、バックオフ指数のためのBEの値を、macMaxBEに等しいBE値の上限にこの値が達していない限り1増やす。処理ステップS405の後、処理ステップS406が続き、この処理ステップの間、バックオフの数NBがその上限、macMaxCSMABackoffsを超えたかどうかを判断する。この数NBが、その上限を超えている場合、チャネルアクセスの失敗が報告される。上限を超えていない場合、処理ステップS402に戻り、0〜新たな(2BE−1)の間の新たなランダムな数のバックオフ時間にわたり待機する。
【0044】
このCSMA−CA方式は、媒体にアクセスするために許される試行回数、及びある期間にわたる試行の拡散とのからみで、その構成可能なパラメータ、macMinBE、macMaxBE、macMaxCSMABackoff、aMaxFrameRetriesの最良値を選択することにより最適化することができる。最適な選択は、トラフィックの負荷、所望の応答、及び電力消費制約を基準にして認められるオン時間によって決まる。
【0045】
大規模なESLネットワークでは、電子ラベルを、macMinBE、macMaxBE、macMaxCSMABackoff、aMaxFrameRetriesについて、与えるためのそれぞれの値8、8、3、及び3を用いて構成することができる。ネットワークコーディネータは、macMinBEの値0を使用しており、これは最初の反復の間、衝突回避を無効にする。したがって、このネットワークコーディネータがパケットを伝送しようと試みる場合、このネットワークコーディネータは単一のCCAしか実行せず、チャネルがアイドルの場合にのみ伝送を開始する。このネットワークコーディネータが価格情報又は更新がない状態を問題の電子ラベルに転送しなければならない場合、802.15.4コーディネータ166が、所定の時点においてアプリケーションレベルでデータ応答パケットを生成する。無線トランシーバ170が、そうしたデータ応答パケットを最小限の遅延で転送する。本発明によれば、この所定の時点は、データ要求パケットの始まりを受信した後の所定の時間間隔、又はデータ要求パケットの始まりを受信した後の所定の時間間隔のn倍である。
【0046】
図5は、電子ラベル#51とネットワークコーディネータとの間の伝送のタイミングの一例を示す。上記に述べたように、電子ラベル120#51は、太陽電池により十分なエネルギーを集め、ランダム時間が過ぎた後にウェークアップされる。次いで図5に示すように、電子ラベル120#51は、間隔I502の間に、価格更新情報及び/又は他の情報を要求するために、ネットワークコーディネータにデータ要求パケットを送信しようと試みる。電子ラベル#51によるそのような伝送試行では、CSMA−CA方式はパスされ、この方式はとりわけ(macMinBE=macMaxBE=8に基づき、0〜81.6msに相当する)0〜新たな(2−1)バックオフ時間のランダムバックオフ遅延に基づいて、チャネルがアクティブ状態にある場合には、時間の点で十分な拡散を行う。電子ラベル#51は、チャネルがアイドルであると知った後、間隔I502の間にデータ要求パケットを送信する。間隔I502の間に送信されるデータ要求パケットの後に、間隔I522の間にネットワークコーディネータが送信する肯定応答パケットが続く。間隔I504の間、電子ラベルはその肯定応答パケットを受信するためにオンのままでいる。
【0047】
問題の電子ラベル#51は、CSMA−CA方式をパスするためにデータ要求パケットの「予期される」伝送の直前にオンにされており、自らの無線トランシーバを立ち上げる。この電子ラベルに最大限のスリープ時間を与えるために、この電子ラベルは、ネットワークコーディネータによって送信されるデータ応答パケットを受信するちょうどのときにウェークアップするように、自らのプロセッサ及び無線トランシーバを変化させる。特定の電子ラベルに関する正しいデータにアクセスすること、及びネットワークコーディネータとPOSシステムとの間の有線接続又は無線接続を介した他の通信を含む、ネットワークコーディネータ及びPOSシステムによる他の様々な動作が原因で、ネットワークコーディネータにより問題の電子ラベルに転送されるべきデータ応答パケットは、有意な未知の遅延の後にしか続けることができない。このため、ネットワークコーディネータは、所定の時間間隔、又はこの所定の時間間隔の倍数の後にデータ応答パケットを送信しようと試みる。このことは受信モードでの待機を最小限にすることができるので、電子ラベル#51がエネルギーの消費を節約することを可能にする。ネットワークコーディネータがデータ応答パケットを伝送するタイミングは、ネットワークコーディネータが802.15.4コーディネータ166内でパケットを生成する時点に基づき、そのパケットは、無線トランシーバ170により最小限の遅延で転送される。この生成時点は、垂直の破線T519によって図示するように、データ応答パケットを伝送し始める直前である。垂直の破線T517によって図示するように、無線トランシーバ170は、データ要求パケット内のフレーム開始デリミタ記号に対して同期している。垂直の(破)線T518及びT519は、所定の時間間隔後の同期時点1及び2を図示する。間隔I506の間、電子ラベル120#51は、データ応答パケットを受信することに備えて準備するために、自らの無線トランシーバ132及びプロセッサ134をオンにする。図5に示すように、データ応答パケットがないことにより、この電子ラベルは、データ応答パケットが予期され得る時点からの短い間隔の後、自らの無線トランシーバ及びプロセッサをオフにすることを決める。マッチするアドレスを有する、予期されるデータ応答パケットが一定の時間ウィンドウ内に到達していないので、この電子ラベルは自らの無線トランシーバ及びプロセッサをオフにする。次に、この電子ラベルは、間隔I524中に実際に伝送されるデータ応答パケットの受信に間に合うよう、第2の所定の時間間隔の終わり近くで再びアクティブ状態になる。間隔I508の間にデータ応答パケットを受信した後、この電子ラベルは、間隔I510の間にネットワークコーディネータに肯定応答パケットを返す。ネットワークコーディネータ110の802.15.4コーディネータ166は、1度又は何度か所定の時間間隔が過ぎた後の特定の電子ラベルへの伝送に関してタイミングを制御する一方で、802.15.4無線トランシーバは単一のCCA(macMinBE=0)を実行し、チャネルがアイドルの場合に伝送を開始する。したがって、伝送のタイミングに関する一定の訂正が802.15.4コーディネータ166内で確立される。さらにこの電子ラベルは、異なる長さの所定の時間間隔を結果として発生させる、互いに異なるシステムクロック周波数がもたらすタイミング誤差との関連で、データ応答パケットのためのウェークアップ時点及び待機ウィンドウに関して一定のマージンを組み入れる必要がある。タイマ間のオフセットは、データ要求パケットが送信されてからの過ぎた時間について、最大で80ppmになり得る。
【0048】
時間間隔I506の間、この電子ラベルは、データ応答パケットを受信するために自らの無線トランシーバをオンにしている。この間隔は、時間間隔I502でデータ要求パケットを送信し始めてから所定の時間間隔後に始まる。図5は、ネットワークコーディネータが、T518で開始する電子ラベル#51のデータ要求パケットを送信していないことを示す。ネットワークコーディネータはチャネルにアクセスしようと試みたが、別の電子ラベルがデータ要求パケットを伝送していたために伝送できなかったのかもしれない。別の可能性は、ネットワークコーディネータによる別の電子ラベル向けのデータ応答パケットの伝送と、その後に続く前述の他の電子ラベルからの肯定応答パケットが伝送チャネルを占有した可能性がある。
【0049】
T517において電子ラベル#51のデータ要求パケットを送信し始めてから2つの所定の時間間隔後の時点T519において、ネットワークコーディネータは伝送チャネルが空いていることを知る。その結果、ネットワークコーディネータは、時間間隔I524中に電子ラベル#51にデータ応答パケットを伝送する。電子ラベル#51は、T519の時点で時間間隔I508内のデータ要求パケットを既に探しており、データ応答パケットを受信することに応答して、時間間隔I510内で肯定応答パケットを伝送する。この肯定応答パケットは、データ応答パケットが正しく受信されたことをネットワークコーディネータに知らせ、正しく受信されていない場合、T517においてデータ要求パケットを送信し始めてから3倍した所定の時間間隔後の時点において、このネットワークコーディネータはデータ応答パケットを再度伝送しようとする。
【0050】
802.15.4プロトコルでは、データ要求パケットの伝送時間は約1msであり、0.1msのパケット間時間の後の肯定応答パケットでは0.3msであり、価格更新又は更新がない状態のそれぞれに応じ、データ応答パケットでは4ms又は1msである。一実施形態では、所定の固定時間間隔は1秒である。この実施形態では、価格更新情報を要求/伝送するための伝送チャネルの最小時間使用は約5.8msである。これらの操作の合計時間は大きく、少なくとも1秒であり、これは5.8msのチャネル使用と比較して極めて長い。
【0051】
図6は、いくつかの電子ラベル、すなわち3つとネットワークコーディネータとの間の、伝送のタイミングの一例を示す。図5にあるのと同様に、電子ラベル#61は、間隔I602中にネットワークコーディネータにデータ要求パケットを送信し、ネットワークコーディネータは、所定の時間間隔後のI624間隔中にデータ応答パケットを返す。垂直の破線T617、T618、及びT619のそれぞれによって図示するように、電子ラベル#61、#62、及び#63は、データ要求パケット内のフレーム開始デリミタ記号に対して同期している。垂直の(破)線T620は、1つの所定の時間間隔後の電子ラベル#61の同期時点を図示する。垂直の(破)線T621及びT623は、1つの及び2つの所定の時間間隔後の電子ラベル#62の同期時点を図示する。垂直の(破)線T622は、1つの所定の時間間隔後の電子ラベル#63の同期時点を図示する。図6は電子ラベル#62に関して、電子ラベルがデータ要求パケットを探し、ネットワークコーディネータによりデータ応答パケットが伝送されない、図5に示す状況を図示する。期間I624では、コーディネータは、電子ラベル#61に対してデータ応答パケットを伝送することでビジーである一方で、電子ラベル#62は、間隔I636の間ここで無駄に待っている。番号I632〜I654は電子ラベル#62に関係し、図5の中の電子ラベル#51についての番号I502〜I524に合致する。
【0052】
電子ラベル#63についての状況を、番号I662〜I684によって図示し、これらは、番号I602〜I624によって図示する電子ラベル#61と大体同じに見える。ここでもやはり、図5にあるように、異なる種類の時間間隔の時間スケーリングは現実に従わず、説明目的でのみ選択されている。
【0053】
図6は、対応する順序で価格更新を要求する電子ラベル#61、#62、及び#63が、次の順序、#61、#63、及び#62で自らの価格データを取り出すことを図示する。
【0054】
別の実施形態では、電子ラベル120は、図2に示す電力供給マネージャ128の中のセンサユニット131を備える。電子ラベル120がデータ要求パケットを送信する前に、プロセッサ134は、その時点でエネルギー蓄積部126内にバッファされているエネルギーについての指標として、電圧の量子化により電圧範囲を判定するよう、センサユニット131に要求する。エネルギー蓄積部126内に実際にバッファされているエネルギーは、電子ラベル120が、チャネルにアクセスすることを何度か試みること、所定の時間間隔が過ぎた後に、予期されるデータ応答パケットを受信することを何度か試みることとともに、データ要求パケットを送信すること、及びデータ応答パケット内のデータを取り出し、処理することを可能にする。電子ラベルは、データ要求パケットを送信するために(無線動作開始シーケンス、CSMA−CAの実行、実際の無線伝送、肯定応答パケットの受信に関してプロセッサ及び無線トランシーバの消費を要する)、及びデータ応答パケットを受信するために(無線動作開始シーケンス、実際の無線受信、肯定応答パケットの伝送に関してプロセッサ及び無線トランシーバの消費を要する)、並びにディスプレイを更新するために、エネルギーを消費する。1又は複数の所定の時間間隔の後にデータ応答パケットが伝送されない場合、データ応答パケットを後で受信できるようにするために、電子ラベルには十分なエネルギーが蓄積されていなければならない。
【0055】
この電子ラベルは所定の時間間隔の後にウェークアップし、受信するために自らの無線機をオンにするので、この電子ラベルは、一定の時間ウィンドウの範囲内に宛先として自らのMACアドレスを有するパケットを得る場合にのみ、完全なデータ応答パケットを受信するために動作し続ける。この電子ラベルが、一定の時間ウィンドウの範囲内に正しいMACアドレスを有するパケットを受信しない場合、この電子ラベルはエネルギーを節約するためにすぐにスリープモードに戻り、次の所定の時間間隔の後にウェークアップする。この電子ラベルは、こうした一定の時間ウィンドウにわたる短いウェークアップの間、(価格更新)データ応答パケットを受信する場合よりはるかに少なくしか消費しないが、この動作開始アクション及び動作停止アクションは蓄積されている残留エネルギーを減らす。したがって本発明の一実施形態では、電子ラベルが、データ要求パケット内のパラメータにより、ネットワークコーディネータにエネルギー状態情報を提供する。
【0056】
一実施形態では、このパラメータは、電子ラベルがデータ要求パケットを伝送した後にデータ応答パケットを探す、定期的時点の回数を示す。その場合このパラメータは、電子ラベルが1又は複数の所定の時間間隔にわたる遅延の後に、まだデータ応答パケットを受信する能力があるうちに、そのような遅延が可能かどうかをネットワークコーディネータが必要に応じて判定するための指標である。このパラメータは、ネットワークコーディネータがデータ応答パケットの伝送をスケジュールすることを可能にし、これにより、対応する電子ラベルによって受信されることが予期されるパケットしか伝送されず、より優れたネットワーク性能及び応答動作のために不必要な媒体利用を回避する。したがってこのパラメータに従い、ネットワークコーディネータは、このパラメータによって定義されるいくつかの所定の時間間隔の後は、特定の電子ラベルに対してデータ応答パケットを伝送しない。
【0057】
さらなる実施形態では、このネットワークコーディネータは、エネルギー状態がより低い電子ラベルに関し、優先順位方式に基づいてデータ応答パケットを(再)スケジュールするために、そうしたエネルギー状態指標を使用する。このようにして、エネルギー状態がより低い電子ラベルへのデータ応答パケットが、エネルギー状態がより高い電子ラベルを犠牲にして優先される。この特徴は、エネルギーがより低い電子ラベルに関してより信頼できる動作を可能にする、より優れた全体的なネットワーク動作をもたらす。
【0058】
本発明の別の実施形態では、このエネルギー状態指標パラメータは、電子ラベルが価格更新情報を伴うデータ応答パケットを受信することができること、又は極めて限られたエネルギーしかバッファされていないのでデータ応答パケットを一切受信できないことをネットワークコーディネータに知らせる。このようにして電子ラベルは、自らが依然として「動作している」が、ネットワークコーディネータから一切情報を受信できないことをネットワークコーディネータに知らせることができる。後の時点において、そうした電子ラベルは十分なエネルギーを集めていることができ、データ応答パケットを受信する能力を示すより良いエネルギー状態を転送することができる。この特徴は、エネルギーが極めて低い電子ラベルを存在しているものとしてPOS端末から引き続きモニタすることができる、一層のグレースフルシステムデグラデーションを与える。
【0059】
本発明の別の実施形態では、ネットワークコーディネータに転送されるエネルギー状態指標パラメータは、その電子ラベルが価格更新情報なしの短いデータ応答パケットのためにウェークアップできる回数、及び/又はその電子ラベルが価格更新情報を伴う長いデータ応答パケットのためにウェークアップできる回数を示す。ネットワークコーディネータは、このエネルギー状態指標を使用してデータ応答パケットの伝送を遅らせることができる回数を推定する。所定の時間間隔が過ぎ、データ応答パケットが伝送されない度に、エネルギー状態指標に対応する値が1減らされる。異なる電子ラベルにデータ応答パケットを伝送するための、予期される同時に起こるウィンドウがある場合、ネットワークコーディネータは、エネルギー状態について最も低い値を有する、すなわちデータ応答パケットの伝送を遅らせる実現性が最低の電子ラベルにデータ応答パケットを伝送する。短いデータ応答パケット、すなわち価格更新情報なしのパケットを受信するために必要な電力は、長いデータ応答パケット、すなわち価格更新情報を伴うパケットを受信するために必要な電力より少ないため、対応するデータ応答パケットを伝送するための最大許容遅延を示すために、2つの異なるパラメータを使用することができる。しかし別の実施形態では、価格更新情報なしのデータ応答パケットを伝送するための最大遅延を表す、1つのパラメータ値しか伝送されない。この場合、価格更新情報を伴うデータ応答パケットを伝送するための遅延の減少が知られている必要がある。データ応答パケットの受信後、ネットワークコーディネータは、その電子ラベルにどのような種類のデータ応答パケットを送信しなければならないのかをまず判定し、受信したエネルギー状態指標値から所定値を引く。ここでもやはり、短いデータ応答パケット又は長いデータ応答パケットを受信する電子ラベルの能力を予測するために、問題の電子ラベルについてネットワークコーディネータ内のメモリに記憶されるエネルギー状態指標値を、既に超過した時間間隔について更新する必要がある。
【0060】
別の実施形態では、電子ラベル120のセンサユニット131が、太陽電池ブロック124からエネルギー蓄積部126への電流を測定するための電流量子化設備(図2には不図示)を備える。電子ラベル120がデータ要求パケットを送信する前に、プロセッサ134は、その時点における電流についての指標又はある間隔の間の平均電流についての指標を判定するよう、その電流量子化設備に要求する。そうした電流についての指標は、太陽電池ブロック124の光条件を反映する。次に電子ラベルは、その電流に関する指標としてのパラメータをデータ要求パケット内でネットワークコーディネータに送信し、エネルギーハーベスティング状態に関して、このノードのエネルギー状態を知らせる。次いで、ネットワークコーディネータは、太陽電池によって発生される電流及び対応する光条件についての指標としてこのパラメータをPOSシステムに転送して、その電子ラベルの光条件に関して診断できるようにすることができる。さらに、電流を示すパラメータとともにバッファされているエネルギーを示すパラメータを使用して、ノードがデータ応答パケットを受信する可能性をより正確に推定することができる。この推定は、ノードが行ってもネットワークコーディネータが行ってもよい。後者の場合、データ要求パケットは2つのパラメータを含み、1つは電圧、すなわちバッファされているエネルギーを示し、1つは電荷電流、すなわちエネルギーハーベスティング状態を示す。
【0061】
図7は、いくつかの電子ラベルと、それらの電子ラベルに対する伝送に関して様々な優先順位を与えるネットワークコーディネータとの間の伝送のタイミングの一例を示す。図6にあるのと同様に、ここでは3つの電子ラベルを用いる状況が与えられており、図7では、それらの電子ラベルは番号#71、#72、及び#73を有する。垂直の破線T717、T718、及びT719のそれぞれによって図示するように、電子ラベル#71、#72、及び#73は、データ要求パケット内のフレーム開始デリミタ記号に対して同期している。垂直の(破)線T720及びT723は、1つの及び2つの所定の時間間隔後の電子ラベル#71の同期時点を図示する。垂直の(破)線T721は、1つの所定の時間間隔後の電子ラベル#72の同期時点を図示する。垂直の(破)線T722及びT724は、1つの及び2つの所定の時間間隔後の電子ラベル#73の同期時点を図示する。さらに、間隔I702、I732、及びI762の間のデータ要求パケットの伝送、並びに間隔I724、I754、及びI784の間のデータ応答パケットの伝送について、同様の番号を使用する。しかし、ネットワークコーディネータによる間隔I724の間のデータ応答パケットのスケジューリングは、間隔I732の間に伝送される電子ラベル#72からのデータ要求パケットが原因で所定の時間間隔、後回しにされており、このデータ要求パケットに含まれる情報は、電子ラベル#71によって送信されるデータ要求パケットを示したエネルギー状態よりも低い、電子ラベル#72のエネルギー状態を示している。ネットワークコーディネータは、電子ラベル#71のデータ要求パケットの伝送ウィンドウI724aが、電子ラベル#72のデータ要求パケットの伝送ウィンドウI754と同時に起こると判定する。したがって、電子ラベル#71向けのデータ応答パケットのスケジューリングが、上乗せ分の所定の時間間隔の間、後回しにされている。ネットワークコーディネータが電子ラベル#73からデータ応答パケットを受信した後、電子ラベル#72のためのデータ応答パケットのスケジューリングは変わらないままである。電子ラベル120#73のエネルギー状態は追加の動作開始サイクルを許すため、次の所定の時間間隔の後、間隔I768の間に電子ラベル120#73は自らのデータ応答パケットを受信することができる。
【0062】
図6及び図7から、優先順位によるスケジューリングは、必ずしもすべてのデータを各デバイスに伝送するための時間ウィンドウを延長するわけではないことが見て取れる。しかしスケジューリングは、このシステムが、各デバイスを更新する信頼性を改善することを可能にする。図6の電子ラベル#62が、1度の遅延を伴うデータ応答パケットを受信することができなかった場合、電子ラベル#62は価格更新を図6に示すようには受信しない。その場合には、電子ラベル#62は十分なエネルギーを得てから、データ要求パケットを再度送信できるものとする。この待ちが、ネットワーク内のすべてのデバイスを更新するための時間を延ばす。エネルギー状態に基づくスケジューリングは、まず電子ラベル#72に、その後に電子ラベル#71及び#73それぞれに送り出すことを可能にし、その時間は、各デバイスが所定の時間間隔にわたる1又は複数の遅延を伴うデータ応答パケットを受信するために十分なエネルギーを有した場合と同等である。
【0063】
本発明の別の実施形態では、センサユニット131が、3.1Vを上回る電圧レベル、及び3.5Vを上回る電圧レベルの存在を示す、エネルギー蓄積部126内の充電された蓄積コンデンサの電圧についての情報をプロセッサ134に与える。3.1Vの電圧レベルでは、その電子ラベルは、電圧が2.0V未満に落とされる前に220μAの電流消費を可能にするエネルギーをコンデンサに蓄積している。この2.0Vの電圧レベルは、電子ラベルが動作するための最小値と仮定する。最低3.5Vでは、200μFの蓄積コンデンサ値に基づき、電流消費は300μAとなる(注:コンデンサのエネルギーはE=1/2C*Vに基づくので、μJでの計算は物事を複雑にする)。このようにして電子ラベルは、220μA〜300μA、又は300μA超、それぞれについての可用性に対応する2つ起こり得るエネルギー状態指標値のうちの1つを示すことができる。一実施形態では、データ要求パケットを伝送することは(1度のCCAを含め且つ肯定応答パケットを受信することを含め)50μA要し、追加のCCAチェックは10μA要し、マッチするMACアドレスを受信せずにウェークアップすることは40μA要し、(価格更新)データ応答パケットを受信することは(肯定応答パケットを伝送することを含め)150μA要する。データ要求パケットの伝送がスケジュールされ、エネルギー状態値が220μA〜300μAを示す場合、データ要求パケットを伝送することは(最高2度までの追加のCCAを伴い)最大で70μA要し、データ応答パケットを1番目に受信する見込みの場合、その電子ラベルは、価格更新情報を伴うデータ応答パケットを受信できるようにするために少なくとも150μAのエネルギーを有する。電子ラベルが300μAを超えるエネルギー状態指標値を与える場合、1番目にデータ応答パケットを受信する機会がある状態で、さらに80μA多い最低230μAの容量がある。したがって、ネットワークコーディネータは、問題の電子ラベルに対するデータ応答パケットについて、所定の時間間隔の1倍又は2倍伝送を後回しにする可能性がありながら(すなわち40μAの2倍)、スケジュールすることができる。この実施形態では、電子ラベルは、電圧レベルが3.1Vを上回る場合にしかデータ要求パケットを送信しないことに留意すべきである。さもなければ、エネルギー状態を示す第3の値が、電圧が2.0V未満に降下する前に、220μAの電流消費を許容しないこととなる。この第3の値は、その電子ラベルが依然として動作しているが、データ応答パケットを受信できないことをネットワークコーディネータに知らせる。そのような指標をネットワークコーディネータが受信する場合、そのネットワークコーディネータは、データ要求パケットを受信することに応答してデータ応答パケットを伝送しない。この伝送しないことは、伝送チャネルの不必要な使用を招く、データを受信できないデバイスに伝送されるデータの量を減らす。
【0064】
本発明の別の実施形態では、電子ラベルが伝送するデータ要求パケットは、(MACヘッダの)フレーム制御フィールド内に肯定応答パケットのためのアクティブビットを有さない。これは無線機のオン時間(及び媒体の利用)を節約し、電子ラベルがデータ応答パケットを受信するためにより多くのエネルギーを残す。本発明の別の実施形態では、ネットワークコーディネータが伝送するデータ応答パケットは、(MACヘッダの)フレーム制御フィールド内に肯定応答パケットのためのアクティブビットを有さない。これは無線機のオン時間(及び媒体の利用)を節約し、電子ラベルにとってのより少ないエネルギー確保を暗に意味する。
【0065】
しかし、肯定応答パケット要求を使用すること及びその肯定応答パケットを待つことは、電子ラベルが自らのデータ要求パケットを再スケジュールすることを可能にし、さらなるロバスト性を暗示する。したがって、肯定応答パケットを使用することは、ネットワーク性能/個々の応答時間/(干渉に対する)ロバスト性の計量(metric)についての設計上のトレードオフに関係する。
【0066】
本発明の別の実施形態では、センサユニット131が、エネルギー蓄積部126内の充電された蓄積コンデンサの電圧についての情報をプロセッサ134に与え、3つ以上の異なるエネルギーレベルを示している。これにより、ネットワークコーディネータは、より拡張された優先順位方式に基づいてスケジュールすることができる。例えば、データ応答パケット伝送の起こり得る最大遅延を1倍、2倍、3倍、4倍、5倍さらにはそれ以上の倍数で示す。
【0067】
本発明の別の実施形態では、ネットワークコーディネータは、他の電子ラベル及び/又は遅らされたデータ応答のパケットの優先順位に関し、データ応答パケットの後のスケジューリングを示すために、電子ラベルに短いデータ応答パケットを送信することができる。これは、利用できるエネルギーが十分ある電子ラベルにとって有利であり得る。所定の時間間隔の数の観点から、予期される遅延を知らせることにより、対応する電子ラベルは、専らネットワークコーディネータがデータ応答パケットを伝送することが予期される時点において以外、それぞれの所定の時間間隔の後に自らのプロセッサ及びトランシーバのスイッチを入れる必要はない。これは電子ラベル内のエネルギー、及び価格更新情報を含むデータ応答パケットを伝送するための最大遅延時間を延ばす可能性を省く。この実施形態では、ネットワークコーディネータは、データ応答パケットを受信するための遅延を示す、遅延パラメータを含むデータ応答パケットを伝送するように構成され、電子ラベルは、その遅延パラメータを取り出し、その遅延パラメータによって指示されるいくつかの所定の時間間隔の後に、データ応答パケットを受信するためにウェークアップするように構成される。
【0068】
本発明の別の実施形態では、この電子ラベルは、所定の時間間隔の持続時間を示す時間間隔パラメータを含むデータ要求パケットを伝送する。これは、エネルギー状態指標及び又はエネルギーハーベスティング状態に応じた、電子ラベル間の一層の差別化を伴うシステムを可能にする。
【0069】
本発明の別の実施形態では、ネットワークコーディネータは、データ要求パケットの後に続く肯定応答パケットの直後に、問題の電子ラベルのための専用の所定の時間間隔を伴う時間間隔パケットを送信する。この実施形態では、ネットワークコーディネータは、そのような時間間隔パケットを生成するように構成され、電子ラベルは、その時間間隔パケットを受信し、タイマを設定して、その専用の所定の時間間隔又はその倍数が過ぎた後に自らがウェークアップできるようにするよう構成される。
【0070】
本発明の別の実施形態では、電子ラベルに伝送しようとする情報が1つのデータ応答パケットには多すぎる。ネットワークコーディネータはこうした状況を認識し、すべての情報を送信するための最大許容遅延、及びデータ応答パケットの伝送をスケジューリングすることに関してこの状況を考慮に入れることができ、これにより、すべてのデータを受信する機会が最大限に高められる。この実施形態では、データ応答パケットは、より多くのデータを電子ラベルに伝送できることを示す、より多くのデータパラメータ、を含む。一例として、ネットワークコーディネータは、後続のデータ応答パケットを次の所定の時間間隔の後に自らがスケジュールするという、より多くのデータパラメータ値指標をデータ応答パケット内に含めることができる。そうしたより多くのデータパラメータ値を受信した後、電子ラベルは所定の時間間隔の後にウェークアップして、後続のデータ応答パケットを受信する。別の例として、ネットワークコーディネータは、問題の電子ラベルから新たなデータ要求パケットを受信した後に後続のデータ応答パケットを伝送することを示す、より多くのデータパラメータ値をデータ応答パケット内に含める。この、より多くのデータパラメータは、以下の理由のうちの1又は複数のため有利であり、その理由とはつまり、
− 予想によれば、電子ラベルは次の所定の時間間隔の後、次のデータ応答パケットを受信するための十分なエネルギーを有さないこと、
− 次の所定の時間間隔前後の時間ウィンドウに関して、伝送チャネルの占有が既に比較的高いことが予想され、且つ/又は最初の電子ラベル向けの次のデータ応答パケットが伝送されるべき時間の前後に、別の電子ラベルへのデータ応答パケットが既にスケジュールされていること、
である。
【0071】
この場合、電子ラベルは、所定の時間の後に後続のデータ要求パケットを伝送する。次のデータ要求パケットを伝送するためのこの所定の時間は、好ましくは、新たなデータ要求パケットを受信した後に後続のデータ応答パケットを伝送することを示す、より多くのデータパラメータ値が受信されない場合より短い。
【0072】
本発明は、例としてESLシステムを用いて開示した。本発明はそうしたシステムに限定されず、1つのネットワークコーディネータとの多数のエンドノードデバイス通信を含む、任意のネットワークシステムで使用することができ、そのシステムはCSMAプロトコルを使用し、非ビーコンモードで動作するスター型ネットワークに基づく。スターネットワークでは、エンドノードデバイスは「スポーク」ノードと名付けられる場合がある。
【0073】
無線機及びプロセッサのための最大限のスリープ時間とともに、極めて低い電力で電子ラベルが動作できるようにする、改善されたプロトコル及びスケジューラを開示する。この極めて低い電力での動作は、たとえ屋内光条件が低く又は乏しくても電子棚ラベルに電力を供給するための、スタックされる太陽電池素子用の小領域を有する、太陽電池に基づく電力供給設備を使用することを可能にする。さらに本発明は、無線干渉、様々な負荷状態、及び変化するエネルギーハーベスティング状態、すなわち光強度レベルに関し、ロバスト性、自己修復、及びグレースフルデグラデーションを与えるシステム動作を実現する。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を、例示的実施形態として上記に記載してきた。これらの実施形態に関して記載した諸要素について、特許請求の範囲によって定義する本発明の範囲から逸脱することなく、当業者は様々な修正及び改変を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークコーディネータと通信するために設けられるトランシーバであって、CSMAに基づいて伝送チャネルを処理するトランシーバと、
前記伝送チャネルを介して受信するデータを処理するために設けられる処理ユニットと
を備えるノードであって、
データ要求パケットを反復的に送信すること、
前記データ要求パケットを送信した後、低電力モードに移ること、及び
前記データ要求パケットを送信し始めてから所定の時間間隔後にデータ応答パケットを受信するためにウェークアップすること
を実行するように構成される、ノード。
【請求項2】
ノードがネットワークアドレスを含み、データパケットが宛先アドレスを含み、前記ノードが
データパケットから前記宛先アドレスを導出すること、
前記宛先アドレスが前記ネットワークアドレスと異なる場合に低電力モードに移ること、及び
定期的な時点において、データ応答パケットを受信するためにウェークアップを実行するようにさらに構成され、前記定期的な時点間の間隔が所定の時間間隔に一致する、
請求項1に記載のノード。
【請求項3】
エネルギー蓄積部及び太陽電池を含む電力供給ユニットと、
前記エネルギー蓄積部のエネルギー状態を判定するためのセンサと
をさらに備え、
前記ノードのエネルギー状態を示す1又は複数のパラメータを含むデータ要求パケットを伝送すること
を実行するようにさらに構成される、
請求項1又は2に記載のノード。
【請求項4】
パラメータが、ノードがデータ要求パケットを伝送した後にデータ応答パケットを探す、定期的な時点の数を示す、請求項3に記載のノード。
【請求項5】
パラメータが、エネルギー蓄積部間の電圧若しくはエネルギー容量領域、又は前記エネルギー蓄積部の電荷電流のうちの少なくとも1つを示す、請求項3に記載のノード。
【請求項6】
所定の時間間隔の持続時間を示す時間間隔パラメータを含むデータ要求パケットを伝送する、請求項1〜5のいずれかに記載のノード。
【請求項7】
2つの連続するデータ要求パケットの伝送間の時間間隔が、所定の時間間隔の少なくともy倍であり、yは4より大きい整数である、請求項1〜6のいずれかに記載のノード。
【請求項8】
次のデータ要求パケットを伝送するための時間間隔が、データ応答パケットを受信する時点に依拠する、請求項7に記載のノード。
【請求項9】
データ応答パケットが、ノードのためのデータがないことを示す使用可能データなしパラメータを含み、次のデータ要求パケットを伝送するための時間間隔が前記使用可能データなしパラメータにさらに依拠し、前記使用可能データなしパラメータが前記ノードのためのデータがないことを示す場合、次のデータ要求パケットを送信するための時間間隔が、前記データ応答パケットがデータを含む場合より短い、請求項8に記載のノード。
【請求項10】
2つの連続するデータ要求パケットの伝送間の時間間隔が可変であり、固定部分と確率的部分とを含む、請求項8又は9に記載のノード。
【請求項11】
データ応答パケットから受信するデータを表示するためのディスプレイユニットを備える電子ラベルである、請求項1〜10のいずれかに記載のノード。
【請求項12】
データ応答パケットが、ノードに伝送できるより多くのデータが使用可能であることを示す、より多くのデータパラメータを含み、前記ノードが前記より多くのデータパラメータに応答して対応するアクションを実行するように構成される、請求項1〜11のいずれかに記載のノード。
【請求項13】
ノードと通信するために設けられるトランシーバであって、CSMAに基づいて伝送チャネルを処理するトランシーバと、
前記伝送チャネルを介して受信するデータを処理し、データ応答パケットを用いて前記ノードに伝送されるデータを取得するための処理ユニットと
を備える多数のノードと通信するためのネットワークコーディネータであって、
前記ノードによって送信されるデータ要求パケットを受信すること、
前記ノードに伝送しようとする命令を含む、データ応答パケットを作成すること、
前記データ要求パケットの始まりを受信してから所定の時間間隔後に前記データ応答パケットを伝送すること
を実行するように構成される、ネットワークコーディネータ。
【請求項14】
データ応答パケットを伝送した直後に、電子ラベルによって伝送される肯定応答パケットをチェックすること
を反復的に実行するようにさらに構成され、
前記肯定応答パケットが検出されない場合、前記前のデータ応答パケットを送信し始めてから所定の時間間隔後に前記データ応答パケットを再度伝送すること
を反復的に実行するようにさらに構成されていてもよい、
請求項13に記載のネットワークコーディネータ。
【請求項15】
ノードのエネルギー状態を示すパラメータをデータ要求パケットから取り出し、それに応じて動作するように構成される、請求項13又は14に記載のネットワークコーディネータ。
【請求項16】
パラメータが、ノードがデータ要求パケットを伝送した後にデータ応答パケットを探す定期的な時点の数を示し、前記ノードから肯定応答パケットを受信しない場合、ネットワークコーディネータが、前記パラメータに従って前記データ応答パケットを反復的に伝送するように構成される、請求項15に記載のネットワークコーディネータ。
【請求項17】
データ要求パケットが、所定の時間間隔の持続時間を示す時間間隔パラメータを含み、ネットワークコーディネータが、データ要求パケットの始まりを受信してから前記所定の時間間隔後にデータ応答パケットを伝送するように構成される、請求項13〜16のいずれかに記載のネットワークコーディネータ。
【請求項18】
第1のノードのデータ応答パケットの伝送と同時に第2のノードのためのデータ応答パケットの伝送が起こり、且つ前記第1のノードのエネルギー状態が前記第2のノードのエネルギー状態よりも良い場合、又は伝送媒体がビジーの場合、ネットワークコーディネータが、前記第1のノードのための前記データ応答パケットの伝送を少なくとも1つの所定の時間間隔の間遅らせるように構成される、請求項15〜17のいずれかに記載のネットワークコーディネータ。
【請求項19】
ネットワークコーディネータが、データ応答パケットを受信するための反復時点の数を示す値をノードのために記憶するメモリを備え、前記値がエネルギー状態と関係があり、前記ネットワークコーディネータが、所定の時間間隔が経過した場合に前記メモリに記憶した前記値を反復的に適応させるように構成される、請求項18に記載のネットワークコーディネータ。
【請求項20】
ネットワークコーディネータが、ノードに伝送できるより多くのデータが使用可能であることを示す、より多くのデータパラメータをデータ応答パケット内に含めるように構成される、請求項13〜19のいずれかに記載のネットワークコーディネータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−525747(P2011−525747A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514510(P2011−514510)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050413
【国際公開番号】WO2009/157758
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(510327208)グリーンピーク テクノロジーズ エヌ.ブイ. (1)
【氏名又は名称原語表記】GREENPEAK TECHNOLOGIES N.V.
【Fターム(参考)】