説明

Chlamydia感染を処置する組成物およびこれを同定するための方法

本発明は、本発明のための標的として、シクロフィリンポリペプチドおよびこの相当するヒト細胞性結合性パートナーを用いた、Chlamydia感染の処置のための治療様式および薬学的組成物に関する。本発明は、シクロフィリン、抗シクロフィリン抗体、シクロフィリンデコイ、シクロフィリン結合性パートナーの可溶性形態、および細胞外で供給され、そして細胞性結合性パートナーまたは細胞性結合性レセプターとともにシクロフィリンAの結合を遮断することによって、おそらくChlamydia感染のための処置として作用する低分子の外因性供給源または移植供給源の使用に関する。本発明は、さらに、シクロフィリンとChlamydia結合性パートナーとの相互作用を阻害する化合物の同定のためのスクリーニングアッセイに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、ワクチンおよびポリペプチドに関し、そしてより詳細には、Chlamydia感染に対するワクチンとして有用なChlamydiaポリペプチドを同定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細菌Chlamydia属のメンバーは、真核細胞の偏性細胞内寄生生物である;これらの細菌は、真核細胞内に存在しない限り、増殖し得ない。Chlamydiaは二つの形態で存在する:(1)破裂した感染細胞から放出され、ある個体から別の個体へと、または感染したトリからヒトへと伝染し得る基本小体(EB)と呼ばれる非複製性の感染性粒子;(2)複製および増殖に関与する網様体(reticulate body)(RB)と呼ばれる細胞質内形態。
【0003】
多数のChlamydia種が、疾患を引き起こすか、または疾患に関連することが報告されている。例えば、Chlamydia psittaciは、広範な種々のトリおよび多くの哺乳動物に感染する。Chlamydia trachomatis(C.trachomatisまたはCT)(ヒトに対して病原性の細菌種)は、性病性リンパ肉芽腫(VLG)およびトラコーマ(1億人を超える人々に発症することが報告され、失明をもたらし得る慢性病)の病因的因子である。この細菌はまた、雄性生殖器および雌性生殖器の両方の種々の炎症性病理学に関連する。Chlamydia pneumoniae(C.pneumonia TWAR生物体)は、ヒトにおける疾患に関連する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、真核生物起源であるシクロフィリンポリペプチドが、ヒトの細胞から単離されたChlamydia細胞において存在しているという発見に、部分的に基づく。この発見は、Chlamydia感染を処置するための治療剤の開発するための標的として有用であるChlamydiaポリペプチド抗原を同定するための新規方法を開発するために使用されている。また、シクロフィリンポリペプチドの発現または活性を阻害する薬剤を投与することによってChlamydia感染を処置する方法が、本発明により提供される。
【0005】
一つの局面において、本発明は、シクロフィリンポリペプチドを提供する工程、このシクロフィリンポリペプリドを試験薬剤と接触させる工程、およびこの試験薬剤がシクロフィリンポリペプチドに結合するか否かを決定する工程によって、Chlamydia spp.由来のシクロフィリン結合性タンパク質を同定する方法を提供する。試験薬剤のシクロフィリンポリペプチドへの結合は、試験薬剤がChlamydia spp.感染を処置するための治療標的であることを示す。
【0006】
いくつかの実施形態において、上記のシクロフィリンは、実質的に精製されたシクロフィリンポリペプチドとして提供される。当業者に公知の任意のシクロフィリンポリペプチド(例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンD)が使用され得る。本明細書中で使用される場合、「実質的に純粋な」ポリペプチドは、天然にこのポリペプチドに付随している構成成分から分離されたポリペプチドを意味する。代表的に、ポリペプチドは、少なくとも60重量%、天然に付随するタンパク質および天然に存在する有機分子を非含有である場合、このポリペプチドは、実質的に純粋である。調製物の純度は、好ましくは、少なくとも75重量%であり、より好ましくは、少なくとも90重量%であり、そして最も好ましくは、少なくとも99重量%である。実質的に純粋なシクロフィリンポリペプチドフラグメントは、例えば、天然供給源からの抽出、シクロフィリンポリペプチドフラグメントをコードする組換え核酸の発現、シクロフィリンポリペプチドフラグメント融合タンパク質の発現、または化学合成によって得られ得る。化学合成されたポリペプチド、またはポリペプチドが天然に存在する細胞とは異なる細胞系において産生されるポリペプチドは、定義では、天然でポリペプチドに付随している構成成分を、実質的に含まない。従って、実質的に純粋なポリペプチドは、真核生物に由来するポリペプチド含むが、E.coliまたは他の原核生物の組換え細胞において合成されるポリペプチドも含む。純度は、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動のような任意の適切な方法またはHPLC分析によって測定され得る。
【0007】
上記のシクロフィリンポリペプチドは、標識されたポリペプチドとして提供され得る。この標識は、例えば、放射性標識または非放射性標識(例えば、蛍光標識)である。あるいは、このシクロフィリンは、ビオチンのような標識で標識され得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記のシクロフィリンポリペプチドは、基質に付着して提供され得る。この基質は、複数のシクロフィリンポリペプチド(例えば、一以上のシクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、シクロフィリンD、またはこれらのポリペプチドの混合物)を含み得る。このシクロフィリンポリペプチドは、一以上のアドレス可能位置で、上記の基質上で提供される。
【0009】
上記の基質は、例えば、平面またはビーズのような球面であり得る。
【0010】
上記の方法はまた、Chlamydia細胞に会合しているシクロフィリンポリペプチドを提供することによって行われ得る。このシクロフィリンポリペプチドは、標識されたポリペプチドとして提供され得る。この標識は、例えば、放射性標識または非放射性標識(蛍光標識など)である。あるいは、上記のシクロフィリンは、ビオチンのような標識で標識され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記のシクロフィリンポリペプチドは、一以上のChlamydiaポリペプチドに結合することによって、Chlamydia細胞と会合している。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記のシクロフィリンは、Chlamydia基本小体と会合して、提供される。
【0013】
またChlamydia感染を処置するための治療剤を同定するための方法も、本発明によって提供される。この方法は、Chlamydiaポリペプチドを含むサンプルを提供する工程、およびこのサンプル中の少なくとも一つのChlamydiaタンパク質とシクロフィリンポリペプチドとの間の複合体の形成を可能にする条件下において、このサンプルをシクロフィリンポリペプチドと接触させる工程を包含する。次いで、この複合体は検出され、複合体における少なくとも一つのChlamydiaタンパク質が同定される。この同定されたChlamydiaタンパク質は、例えば、Chlamydia感染を処置するための治療剤を同定するための標的として、有用である。例えば、シクロフィリン結合性ポリペプチドは、抗体を惹起するために使用され得、これは次いで、Chlamydia感染を処置するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記の複合体は、抗シクロフィリン抗体を用いて検出され得る。
【0014】
また、Chlamydiaポリペプチドおよびシクロフィリンポリペプチドを含むサンプルを提供すること、ならびにシクロフィリンプローブとChlamydiaタンパク質との間の複合体の形成を可能にする条件下において、このサンプルとシクロフィリンプローブを接触させることによって、Chlamydia感染を処置するための治療剤を同定するための方法も、本発明によって提供される。上記の複合体が検出され、この複合体におけるChlamydiaタンパク質が同定される。同定されたChlamydiaタンパク質は、例えば、Chlamydia感染を処置するための治療上の標的として、使用され得る。例えば、シクロフィリン結合性Chlamydiaタンパク質に対する抗体は、惹起されて、Chlamydia感染の処置における効力について試験され得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記のChlamydiaタンパク質は、例えば、ビオチンを用いて、標識される。
【0016】
シクロフィリンプローブは、非シクロフィリン分子への結合と比較して、優先的にシクロフィリンを結合する薬剤である。好ましいシクロフィリンプローブは、抗シクロフィリン抗体である。
【0017】
本発明は、さらに、Chlamydia細胞を提供する工程、この細胞を、シクロフィリンを阻害する薬剤と接触させる工程、ならびにこの薬剤が、Chlamydia細胞の病原性を阻害するか否か決定する工程によって、Chlamydia感染を処置するための治療剤を同定する方法を提供する。Chlamydia細胞の病原性の阻害は、上記の薬剤が、Chlamydiaを処置するための治療剤であることを示す。
【0018】
さらなる局面では、本発明は、Chlamydia細胞を提供する工程、この細胞と、シクロフィリンポリペプチドの少なくとも一つの活性を阻害する薬剤を接触させる工程;ならびに、この薬剤がこのChlamydia細胞の感染を阻害するか否かを決定する工程によって、Chlamydia細胞による真核生物宿主細胞の感染を阻害する薬剤を同定する方法を提供する。
【0019】
なお、さらなる局面では、本発明は、Chlamydia細胞とシクロフィリンポリペプチドとの間の複合体形成の妨害可能な化合物を同定する方法を提供する。上記の方法は、以下の工程を包含する:(a)シクロフィリン親和性融合タンパク質を産生する工程;(b)化合物を工程(a)のシクロフィリン親和性融合タンパク質とともにプレインキュベートする工程;(c)一以上のChlamydiaタンパク質およびシクロフィリン親和性融合タンパク質が複合体を形成することを可能にする条件下において、Chlamydiaを工程(b)のインキュベート物に加える工程;(d)Chlamydia−シクロフィリン融合タンパク質複合体が、この親和性媒体に結合することを可能にする条件下において、工程(c)のインキュベート物を、親和性媒体と接触させる工程;(e)この化合物を欠如しているコントロールサンプルとの比較によって、このChlamydia−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程。Chlamydiaのシクロフィリン親和性融合タンパク質への結合の減少は、この化合物が複合体形成を阻害することを示す。上記のシクロフィリン融合ポリペプチドは、例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンDであり得る。いくつかの実施形態では、上記のシクロフィリン親和性融合タンパク質は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−シクロフィリン(GST−シクロフィリン)融合タンパク質であり、そして/または上記の親和性媒体は、グルタチオン−アガロースビーズを含む。
【0020】
別の局面では、本発明は、シクロフィリンとChlamydia親和性融合タンパク質との複合体の形成を妨害可能である化合物を同定するための方法を提供する。上記の方法は、以下の工程を包含する:(a)Chlamydia親和性融合タンパク質を産生する工程;(b)化合物を工程(a)のChlamydia親和性融合タンパク質とともにプレインキュベートする工程;(c)このシクロフィリンおよびこのChlamydia親和性融合タンパク質が複合体を形成することを可能にする条件下において、シクロフィリンを工程(b)のインキュベート物に加える工程;(d)シクロフィリン−Chlamydia融合タンパク質複合体が、この親和性媒体に結合することを可能にする条件下において、工程(c)のインキュベート物を、親和性媒体と接触させる工程;(e)この化合物を欠如しているコントロールサンプルとの比較によって、このシクロフィリン−Chlamydia親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程。結合の減少は、この化合物が、シクロフィリン−Chlamydia親和性融合タンパク質複合体形成を阻害することを示す。上記のシクロフィリンポリペプチドは、例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、およびシクロフィリンD、またはこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、上記のシクロフィリン親和性融合タンパク質は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−シクロフィリン(GST−シクロフィリン)融合タンパク質であり、そして/または上記の親和性媒体は、グルタチオン−アガロースビーズを含む。
【0021】
上記のシクロフィリンは、必要に応じて(例えば、蛍光標識、放射性標識、または化学発光標識を用いて)、標識され得る。
【0022】
また、シクロフィリンの活性を阻害する、治療的に有効量の薬剤を被験体に投与する工程によって、被験体におけるChlamydia感染を処置する方法も、本発明によって提供される。いくつかの実施形態では、上記の薬剤は、抗シクロフィリン抗体ポリペプチドのシクロフィリン結合性領域を含むポリペプチドである。このような薬剤の例は、抗シクロフィリン抗体である。上記の抗体は、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。上記の被験体は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(チンパンジー、ゴリラ、または新世界ザル)、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、またはトリであり得る。
【0023】
他の実施形態では、上記の薬剤は、シクロフィリンポリペプチドの活性を阻害する抗生物質である。このような抗生物質の例は、シクロポリンである。シクロポリンは、シクロポリン誘導体として提供され得る。
【0024】
他に規定されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で記載されるものと同様または等価の方法および材料は、本発明の実施または試験において使用され得るが、適した方法および材料は、以下に記載される。全ての刊行物、特許出願、特許、および本明細書中で言及される他の参考文献は、これらの全体が、参考として援用される。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が、支配する。さらに、材料、方法、および実施例は、単なる例証であり、限定されることを意図しない。
【0025】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、Chlamydiaワクチン抗原を同定するための方法、ならびにChlamydia高分子(例えば、Chlamydiaポリペプチド)がシクロフィリンと相互作用する能力に基づく、これらの抗原を用いた組成物および方法を提供する。
【0027】
本発明は、部分的に、ヒトのシクロフィリンがヒトの宿主細胞から回収されたChlamydia基本小体(EB)の表面に存在しているという発見に基づく。理論に捕らわれることを望まないが、Chlamydiaは(細胞内病原体)は、宿主に増殖性感染をもたらすために、シクロフィリンポリペプチドをこの真核生物の宿主から隔絶すると考えられる。Chlamydia細胞は、シクロフィリンを使用し、次回の感染の際に、新しい宿主細胞へ侵入を得ることがさらに想像される。従って、シクロフィリンのインヒビター(抗シクロフィリン抗体など)は、Chlamydia細胞による真核生物宿主細胞の感染を阻害するために使用される。
【0028】
本発明はまた、部分的に、シクロフィリンは、まさに可溶型タンパク質であるが、EBの疎水性表面上に存在するという知見に基づく。理論に捕らわれることを望まないが、Chlamydia由来のタンパク質は、特異的に、シクロフィリンと相互作用し、そしてEB表面へシクロフィリンを付着させることが考えられる。従って、抗Chlamydia薬剤は、試験薬剤がシクロフィリンポリペプチドとこのEBとの間の会合を崩壊する能力に基づき、設計され得る。
【0029】
(Chlamydia単離体および培養方法)
概して、任意のChlamydia株は、本明細書中に記載される方法において使用され得る。適したChlamydia株の例は、C.trachomatis、C.pittachis、およびC.pneumoniae(TWAR)を含む。
【0030】
Chlamydia spp.は、適した宿主細胞および当業者に周知の方法を用いて培養され得る。このような方法は、例えば、Stammら,Detection of Chlamydia trachomatis inclusions in McCoy cell cultures with fluorescein−conjugated monoclonal antibodies,J Clin Microbiol,17:666−68.(1983)において記載される。
【0031】
(シクロフィリンポリペプチド)
シクロフィリンポリペプチドは、シクロスポリンA(CsA)に結合するタンパク質の種類である。CsAは、移植片拒絶を防ぐための免疫抑制の治療剤として有用な菌の環状ウンデカペプチドである。シクロフィリンは、ペプチジル−プロピルのシス−トランス異性化酵素(PPiase)またはロータマーゼ活性を実証する(Fischer,ら,Nature,337:476−78,1989)。この酵素は、オリゴペプチドにおけるプロリン−イミドのペプチド結合のシス−トランス異性化を触媒し、コラーゲンを含め、いくつかのタンパク質の再折りたたみを促進する(Bachinger,J.Biol.Chem.,262:17144−48,1987)。
【0032】
上記のシクロフィリンは、明らかに、自然界全体に遍在性であり、27種より多くのシクロフィリンおよび17種のFKBPの配列が公知である。シクロフィリン配列の配列整列化は、二つの「シグニチャー」配列を明らかにし、この配列は、ほとんど全てのシクロフィリンに存在する(Trandinhら,FASEB J.,6:3410(1992)を参照のこと)。さらに、ヒトのシクロフィリンAにおける121番目の残基に相当する位置は、強いシクロスポリン結合にかかわっている(Liuら.,Biochem.30:2306−2310(1991)を参照のこと)。
【0033】
シクロフィリンAは、「イムノフィリンファミリー」(すなわち、免疫調節に関与する関連細胞性因子のグループ)のメンバーである。従って、いくつかの異なるシクロフィリンポリペプチド、またはイムノフィリンファミリーメンバーは、本発明の方法において使用され得る。シクロフィリンAは19KDタンパク質であって、このタンパク質は、広範囲の細胞において、高く発現される。シクロフィリンAは、シクロスポリンAに結合し、そしてペプチジル−プロピルのシス−トランス異性化酵素(PPlase)およびタンパク質の折りたたみ、または「シャペロン」活性の機能を有する(possesses)。四つの哺乳動物のシクロフィリン(シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、およびhCyP3を含む)は、Friedmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)90:6815−6819,1993において記載される。相同タンパク質は、マウスのマクロファージにおいて発見される(MAC−2結合性タンパク質Chicheporticheら.,Proc.Natl.Acad.Sci.,269:5512−5577,1994)。
【0034】
他に示されない限り、本明細書中で使用される用語「シクロフィリン結合性パートナー」は、任意のChlamydia細胞性結合性タンパク質、細胞表面結合性タンパク質、細胞外レセプター、または細胞内結合性タンパク質を意味するのであって、これらはシクロフィリン特異的結合活性を有する。
【0035】
シクロフィリンの外因性形態の例は、ヒトのシクロフィリンA、他のヒトのシクロフィリン、他の種(すなわち、マウス、酵母)の誘導体化されたシクロフィリンのシクロフィリン、組換えシクロフィリン、シクロフィリン融合タンパク質、またはこの宿主細胞レセプターに結合するシクロフィリンのドメインを発現しているペプチドフラグメントを含むが、これに限定されない。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、シクロフィリンとこの細胞性結合性パートナーとの相互作用を阻害する外因性シクロフィリン結合性タンパク質の使用に関する。シクロフィリン結合性パートナーまたはレセプターの外因性形態の例は、誘導体化されたシクロフィリン結合性パートナー、組換えシクロフィリン結合性パートナー、融合タンパク質、ならびにシクロフィリンに結合するシクロフィリン結合性パートナーまたはレセプターのドメインを発現しているペプチドフラグメントを含むが、これに限定されない。
【0037】
さらなる実施形態では、細胞が、構成的に、または適した誘導物質に応じて、シクロフィリンを産生、または放出するように遺伝子操作し、そして上記の細胞を、外因的にトランスフェクトされた細胞の移植による患者への供給、または内在性の細胞集団にトランスフェクトするための遺伝子治療による患者の処置を具体化しているChlamydia感染のための治療様式が想像される。この治療様式は、さらに、シクロフィリン変異体、分子デコイ、またはChlamydia感染を阻害するシクロフィリンの他の模倣物(mimic)の発現および放出によって、Chlamydia処理を実行することに適している(例えば、シクロフィリンと、従って、増殖性感染に必要であるようなChlamydia結合性タンパク質との相互作用を妨害することによって)。細胞が、シクロフィリン結合性タンパク質またはこれらのシクロフィリン結合性ドメインの可溶型形態を発現および放出する遺伝子操作を利用する治療様式は、さらに、本発明の実用性において有用性を見出し、以下に検討される。
【0038】
シクロフィリンは、当業者に公知の種々の方法によって誘導体化され得る。本発明の好ましい実施形態では、シクロフィリンは、塩化メチレン中で、遮光して、室温で、二日間にわたり、撹拌しながら、シクロフィリンをメトキシポリエチレングリセロール−スクシニミジルスクシネートおよび4−ジメチルアミノピリジンと反応させることによってペグ化(pegylated)される。いかなる未反応部位をブロックするため、エタノールアミンを加え、この混合物は、室温で、さらに24時間にわたり、撹拌しながらインキュベートされる。このペグ化シクロフィリンは、順相HPLCにより、反応混合物から精製される。
【0039】
組換え形態のシクロフィリン、融合タンパク質、またはこの細胞性レセプターに結合するシクロフィリンのドメインを発現しているペプチドは、合成技術によって産生され得るか、または当業者に周知の技術を用いた組換えDNA技術を介して産生され得る。従って、本発明の差次的に発現されるシクロフィリンポリペプチドおよび本発明の差次的に発現されるシクロフィリンペプチドを調製するための方法は、本明細書中に記載される。第一に、本発明のポリペプチドおよびペプチドは、当業者に周知の技術(例えば、その全体が参考として援用される、Creighton,1983,「Proteins:Structures and Molecular Principles」,W.H.Freeman and Co.,N.Y.)によって合成され得るか、または調製され得る。例えば、ペプチドは、固体支持体上で、または溶液中で合成され得る。
【0040】
あるいは、当業者に周知である組換えDNA方法は、差次的に発現されるシクロフィリンタンパク質コード配列および適した転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用され得る。例えば、これらの方法は、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組換え/遺伝子組換え(例えば、その全体が参考として援用される、Sambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、および前出のAusubel,1989に記載される技術)を含む。あるいは、差次的に発現されるシクロフィリンのタンパク質配列をコードすることが可能なRNAは、例えば、合成機(例えば、その全体が参考として援用される、「Oligonucleotide Synthesis」,1984,Gait,M.J.(編),IRL Press,Oxfordに記載される技術)を用いて化学合成され得る。
【0041】
種々の宿主発現ベクター系は、本発明の配列をコードするシクロフィリンを発現するために利用され得る。このような宿主発現系は、目的のコード配列が作製され得、そして続いて精製され得るビヒクルを表すが、しかしまた、適切なヌクレオチドコード配列を用いて形質転換されるか、またはトランスフェクトされる場合に、インサイチュで本発明のシクロフィリンタンパク質を提示し得るかまたは産生しそして放出し得る細胞を表す。これらは、シクロフィリンタンパク質コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、組換えプラスミドDNA発現ベクター、もしくは組換えコスミドDNA発現ベクターを用いて形質転換される細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のような微生物;上記のシクロフィリンタンパク質コード配列を含む組換え酵母発現ベクターを用いて形質転換される酵母(例えば、Saccharomyces,Pichia);上記シクロフィリンタンパク質コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染する昆虫細胞系;シクロフィリンタンパク質コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV);タバコモザイクウイルス(TMV))に感染する植物細胞系またはシクロフィリンタンパク質コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)を用いて形質転換される植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T3)を含むが、これらに限定されない。
【0042】
細菌系では、多くの発現ベクターは、シクロフィリンタンパク質が発現されることが意図される使用に依存して、有利に選択され得る。例えば、大量のこのようなタンパク質が産生される場合、抗体産生のために、またはペプチドライブラリーをスクリーニングするために、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベル発現を指向するベクターが望ましい。このようなベクターとしては、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら,EMBO J.2:1791,1983)(ここで、シクロフィリンタンパク質コード配列は、lacZコード領域にインフレームでベクターに個々にライゲーションされ得、それによって、融合タンパク質が産生される);pINベクター(InouyeおよびInouye,1985,Nucleic Acids Res.13:3101−3109;Van HeekeおよびSchuster,1989,J.Biol.Chem.264:5503−5509);などが挙げられるが、これらに限定されない。pGEXベクターもまた、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)を有する融合タンパク質として外来性ポリペプチドを発現するために使用され得る。概して、このような融合タンパク質は可溶型であり、グルタチオン−アガロースビーズへの吸着とそれに続く遊離のグルタチオンの存在下における溶出によって、溶解された細胞から、容易に精製され得る。このpGEXベクターは、トロンビンまたは因子Xaのプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、それによって、クローン化された標的遺伝子のタンパク質がGST部分から放出され得る。
【0043】
昆虫系において、Autographa californica核多角体病(polyhidrosis)ウイルス(ACNPV)は、外来性遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞において、増殖する。このシクロフィリンコード配列は、個別に、非必須(non−essential)領域(すなわち、上記のウイルスのポリヘドリン(polyhedrin)遺伝子)にクローン化され得、そしてAcNPVプロモーターの制御下に置かれる(例えば、ポリヘドリンプロモーター)。シクロフィリンコード配列の首尾よい挿入は、ポリヘドロン遺伝子の不活性化および非閉塞組換えウイルスの産生(すなわち、ポリヘドロン遺伝子によってコードされるタンパク質性被膜を欠いたウイルス)をもたらす。従って、これらの組換えウイルスは、挿入された遺伝子が発現されるSpodoptera frugiperda細胞に感染するために使用される(例えば、Smithら,1983,J.Viol.46:584;Smith,米国特許第4,215,051を参照のこと)。
【0044】
哺乳動物の宿主細胞では、多くの発現系(ウイルスベースの発現系を含める)が利用され得、細胞上で発現されるタンパク質またはこのタンパク質発現している細胞のいずれかが、本発明に従って利用され得る。アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合、目的のシクロフィリンコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳調節複合体(例えば、後期プロモーターおよび3部からなるリーダー配列)にライゲーションされ得る。従って、このキメラ遺伝子は、インビトロ組換え、またはインビボ組換えによって、アデノウイルスゲノム内に挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1または領域E3)内への挿入は、生存可能な、かつ感染宿主においてシクロフィリンタンパク質を発現可能な、組換えウイルスを生じる(See LoganおよびShenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3655−3659,1984参照)。特異的開始シグナルもまた、挿入されたシクロフィリンコード配列の効率的な翻訳に必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。シクロフィリン遺伝子全体(それ自体の開始コドンおよび隣接配列を含む)が、適切な発現ベクター内に挿入される場合、さらなる翻訳制御シグナルは必要とされなくてもよい。しかしながら、シクロフィリンコード配列の一部のみが挿入される場合、外因性の翻訳制御シグナル(おそらく、ATG開始コドンを含む)が、提供されなければならない。さらに、この開始コドンは、所望コードする配列のリーディングフレームと同調して、この挿入全体の翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、種々の起源であり得、天然起源および合成起源の両方であり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって、向上され得る(Bittnerら,Methods in Enzymol.153:516−544,1987を参照のこと)。
【0045】
さらに、挿入された配列を調節するか、または所望の特異的な様式で、遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株が、選択され得る。このような修飾(例えば、グリコシル化およびプロセシング、例えば、タンパク質産物の切断)は、このタンパク質の機能にとって重要である。種々の宿主細胞が、タンパク質の翻訳後プロセシングおよびタンパク質の翻訳後修飾について特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または適切な宿主系は、発現される外来性タンパク質の正確な修飾および正確なプロセシングを確実にするために選択され得る。このために、遺伝子産物の、一次転写、グリコシル化、およびリン酸化の適切なプロセシングのための細胞性機構を有する真核生物宿主細胞が、使用され得る。このような哺乳動物宿主細胞としては、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
長期間の、組換えタンパク質の高収率産生(安定的発現)が好ましい。例えば、安定的にシクロフィリンタンパク質を発現する細胞株が作り出され得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞が、適切な発現制御因子(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択マーカーによって制御されるDNAを用いて形質転換され得る。外来性DNAの導入後、作り出される細胞は、富化培地において1〜2日間にわたり増殖させられ得、次いで、選択培地に切り替えられる。組換えプラスミド内の選択マーカーが、上記の選択への耐性をもたらし、細胞が、これらの染色体内にプラスミドを安定的に組み込ませるようにし、そして増殖して増殖巣を形成する。次に、これらの増殖巣は、クローン化され得、細胞株へ拡大され得る。この方法は、シクロフィリンタンパク質またはシクロフィリン結合性タンパク質を発現する細胞株を作り出すために使用され得る。このような、作り出される細胞株は、シクロフィリンタンパク質の内在性の活性に影響する化合物をスクリーニングおよび評価することにおいて、特に有用である。
【0047】
多くの選択系が使用され得、これらとしては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら,Cell 11:223,1977)、ヒポキサンチン−グアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski,1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:2026)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら,Cell 22:817,1980)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの遺伝子は、それぞれ、tk細胞、hgprt細胞、またはaprt細胞で利用され得る。また、抗代謝剤耐性は、dhfr(メトトレキセートに対して耐性をもたらす(Wiglerら,Natl.Acad.Sci.USA 77:3567,1980;O’Hareら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527,1981));gpt(ミコフェノール酸に対して耐性をもたらす(MulliganおよびBerg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072));neo(アミノグリコシドG418に対して耐性をもたらす(Colberre−Garapinら,J.Mol.Biol.150:1,1981));およびhygro(ハイグロマイシン遺伝子に対して耐性をもたらす(Santerreら,Gene 30:147,1984))についての選択の基礎として使用され得る。
【0048】
あるいは、任意の融合タンパク質は、発現される融合タンパク質に特異的な抗体を利用することによって、容易に精製され得る。例えば、Janknechtらによって記載される系は、ヒト細胞株において発現される非変性の融合タンパク質の素早い精製を可能にする(Janknechtら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:8972−8976,1991)。この系において、目的の遺伝子は、ワクシニア組換えプラスミド内にサブクローニングされ、それによって、この遺伝子のオープンリーディングフレームは、翻訳上、六つのヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに融合される。組換えワクシニアウイルスに感染した細胞からの抽出物は、Ni2+ニトリロ酢酸−アガロースカラム上にロードされ、そしてヒスチジンタグ化タンパク質は、イミダゾール含有緩衝液を用いて選択的に溶出される。
【0049】
本明細書中で記載されるようなアッセイ系における構成成分として使用される場合、シクロフィリンタンパク質は、直接的または間接的のいずれかで標識され得、シクロフィリンタンパク質と試験物質との間で形成される複合体の検出を容易にする。任意の種々の適した標識系が、使用され得る(125Iのような放射性同位元素;基質および蛍光標識に暴露されるときに検出可能な比色シグナルまたは光を発する酵素標識系が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0050】
間接標識としては、タンパク質(例えば、シクロフィリン生成物またはシクロフィリン結合性パートナー生成物のいずれかに特異的に結合する標識抗体)の使用が挙げられる。このような抗体としては、ポリクローナルフラグメント、モノクローナルフラグメント、キメラフラグメント、単鎖フラグメント、Fabフラグメント、およびFab発現ライブラリーによって産生されるフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
組換えDNA技術がシクロフィリンタンパク質またはシクロフィリン結合性パートナーを産生するために(例えば、このようなアッセイ系における使用について)使用される場合、標識化(直接または間接のいずれか)、不動化、溶解性、および/または検出を容易にし得る融合タンパク質を作り出すことは好都合であり得る。
【0052】
融合タンパク質(溶解性および/または発現を容易にし得、そしてこのタンパク質の血中の半減期を増大させ得る)は、可溶型Igテール付加(tailed)融合タンパク質を含み得るが、これに限定されない。このような可溶型のIgテール付加融合タンパク質を作り出すための方法は、当業者に周知である(例えば、その全体が本明細書中で参考として援用される米国特許第5,116,964号)。さらに、IgG1ベクターによってコードされるIg領域に加えて、使用されるIg領域のFc部分は、アミノ酸置換によって、修正され、補体活性化およびFc結合を低下し得る(例えば、欧州特許第239400 B1(1994年8月3日))。
【0053】
当業者に周知のこれらおよび他の遺伝子スプライシングおよび組換えタンパク質発現系は、タンパク質(シクロフィリンまたはシクロフィリン結合性パートナータンパク質)を産生するために有用であり、かつ本明細書中に記載されるような、発現細胞移植または遺伝子治療において有用であるシクロフィリンまたはシクロフィリン結合性パートナータンパク質を発現する細胞を作製するために有用である。
【0054】
(シクロフィリンのシクロフィリン結合性Chlamydiaタンパク質への結合を調節する治療標的の同定)
以下のアッセイは、シクロフィリンポリペプチドおよびこのChlamydia細胞性結合性パートナーに結合する化合物または組成物を同定するために設計される。この章に記載されるいくつかのアッセイはまた、シクロフィリンAとChlamydia結合性タンパク質との間の相互作用を妨害する化合物の同定を可能にする。
【0055】
化合物は、低分子、例えば、可溶型ペプチド(シクロフィリンA、もしくはシクロフィリン細胞性結合性パートナーまたはレセプターのシクロフィリン結合性ドメインが挙げられるが、これに限定されないのようなペプチド、抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体または一本鎖抗体、そしてFAbフラグメント、F(ab’)フラグメント、およびFAb発現ライブラリーフラグメント、ならびにこれらのエピトープ結合性フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない)、および有機低分子または無機低分子が挙げられるが、これらに限定されない。シクロフィリンAとその細胞性結合性パートナーまたはレセプターとの間の相互作用のインヒビターとして同定されるこれらの化合物は、抗Chlamydia薬剤として、有用性を有する。
【0056】
概して、上記のアッセイは、試験化合物およびシクロフィリンとその宿主レセプターとの反応混合物、または試験化合物およびシクロフィリンと部分的にシクロフィリン結合性活性を含む細胞性調製物との反応混合物を調製すること、およびこのようにして、構成成分が相互作用させ結合させる十分な時間にわたって、複合体を形成させることを包含し、この複合体は取り出されるか、そして/または検出され得る。化合物を阻害性活性について試験するために、この反応混合物は、上記の試験化合物の存在下または非存在下において調製される。この試験化合物は、初めに反応混合物中に含まれ得るか、またはシクロフィリンAおよびその細胞性結合性パートナーまたはレセプターの添加の後に続いて加えられ得る。コントロール反応混合物は、試験化合物なしで、またはコントロール薬剤とともにインキュベートされる。次いで、この標的遺伝子タンパク質とこの細胞性結合性パートナーまたは細胞外結合性パートナーとの間の任意の複合体の形成が、検出され得る。コントロール反応において複合体が形成されるが、試験化合物を含む反応混合物では複合体が形成されないことは、この化合物が、この標的遺伝子タンパク質とその相互作用性結合性パートナーとの相互作用を妨害することを示す。さらに、試験化合物および正常な標的遺伝子タンパク質を含む反応混合物内での複合体形成はまた、上記の試験化合物および変異体標的遺伝子タンパク質を含む反応混合物内での複合体形成と比較され得る。この比較は、変異体標的遺伝子タンパク質の相互作用を崩壊し、正常な標的遺伝子タンパク質の相互作用を崩壊しない化合物を同定し、この変異によって、その同族結合性パートナーまたはレセプターを見出すことに有用である変異体標的遺伝子および変異体標的タンパク質を同定することが望ましい場合において、重要であり得る。
【0057】
標的遺伝子産物と結合性パートナーとの相互作用を妨害する化合物についてのアッセイは、異質な型式または同質な型式で行われ得る。異質なアッセイは、シクロフィリンまたは推定シクロフィリン結合性ポリペプチドのいずれかを、固相に固定すること、および反応終了時に固相に固定された複合体を検出することを包含する。同質なアッセイでは、この反応全体が、液相で行われる。いずれのアプローチにおいても、反応物の添加の順番は、試験される化合物についての種々の情報を得るために異なり得る。例えば、標的遺伝子産物とこの結合性パートナーとの間の相互作用を(例えば、競合によって)妨害する試験化合物は、この試験物質の存在下において上記の反応を行うことによって、(すなわち、標的遺伝子タンパク質および相互作用性細胞性結合性パートナーまたは相互作用性細胞外結合性パートナーを添加する前に、または同時に、この試験物質を、この反応混合物に加えることによって、)同定され得る。あるいは、前もって形成された複合体を崩壊させる試験化合物(例えば、この複合体からの構成成分の一つを置換するより高い結合定数を有する化合物)が、複合体が形成された後に、この試験化合物を反応混合物に加えることによって、試験され得る。種々の形式は、以下に、簡潔に説明される。
【0058】
異質のアッセイ系においては、標的遺伝子タンパク質、もしくは相互作用性細胞性結合性パートナーまたは相互作用性細胞外結合性パートナーのいずれかは、固体表面上に固定され、一方で、非固定種は、直接的にまたは間接的にのいずれかで、標識される。マイクロタイタープレートは、便利に利用される。この固定される種は、非共有結合、または共有結合によって、不動化され得る。非共有結合は、標的遺伝子産物または結合性パートナーの溶液で固体表面をコーティングすること(および必要に応じて、乾燥させること)によって、単純に成し遂げられ得る。あるいは、固定される種に特異的な不動化抗体は、固体表面にこの種を固定するために使用され得る。この表面は、当業者に周知の手順に従って、事前に調製され得、そして保存され得る。
【0059】
アッセイを行うために、不動化される種のパートナーは、試験化合物を含むか、または含まないコーティングされた表面に暴露される。この反応が完了した後に、未反応構成成分は(例えば、洗浄によって)除かれ、任意の形成された複合体は、固体表面上に不動化されたままになる。固体表面上に固定された複合体の検出は、多くの方法で成し遂げられ得る。非不動化種が事前に標識される場合、表面上に不動化される標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。非不動化種が、事前に標識されない場合、間接的標識が、表面上に固定された複合体を検出するために使用され得る(例えば、まず非不動化種に特異的な標識抗体を用いる(この抗体は、次に、標識抗Ig抗体を用いて、直接的に標識され得るか、または間接的に標識され得る))。再び、反応構成成分の添加する順番に依存して、複合体形成を阻害するか、または事前に形成された複合体を崩壊させる試験化合物が、検出され得る。
【0060】
あるいは、上記の反応は、試験化合物の存在下または非存在下で、液相において行われ得、この反応産物は未反応構成成分から分離され得、そして複合体は、(例えば、溶液中で形成された任意の複合体への結合性構成成分の一つに特異的な不動化抗体、および付着された複合体を検出する他のパートナーに特異的な標識抗体を用いて)検出される。さらに、液相への反応物の添加順番に依存して、複合体を阻害するか、または事前に形成された複合体を崩壊させる試験化合物が、同定され得る。
【0061】
同質のアッセイが使用される場合、標的遺伝子タンパク質と相互作用性細胞性結合性パートナーとの事前形成複合体または標的遺伝子タンパク質と相互作用性細胞外結合性パートナーとの事前形成複合体が調製され、ここでこの標的遺伝子産物またはその結合性パートナーのいずれかが標識されるが、この標識によって生じるシグナルは、複合体形成に起因してクエンチされる(例えば、イムノアッセイへのこのアプローチを利用する、米国特許第4,109,496号)。事前形成複合体由来の種の一つと競合し、そして置き換わる試験物質の添加は、バックグランドを超えるシグナルの発生を生じる。この方法において、標的遺伝子タンパク質/細胞性結合性パートナー相互作用または標的遺伝子タンパク質/細胞外結合性パートナー相互作用を崩壊させる試験物質が、同定され得る。
【0062】
特定の実施形態において、当該分野において慣用的に使用される組換えDNA技術を不動化のために用いて、標的遺伝子産物が、調製され得る。例えば、この標的遺伝子をコードする領域は、融合ベクター(pGEX−5X−1など)を、生じる融合タンパク質において、その結合活性が維持されるような様式で、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子に融合され得る。相互作用性細胞性結合性パートナーまたは相互作用性細胞外結合性パートナーは、精製され得、そして、当該分野において慣用的に実行される方法を用いて、モノクローナル抗体を惹起させるために使用され得る。この抗体は、放射性同位体(125I)を用いて(すなわち、当該分野において慣用的に実行される方法によって)標識され得る。異質なアッセイにおいては、例えば、GST−標的遺伝子融合タンパク質は、グルタチオン−アガロースビーズに固定され得る。次いで、この相互作用性細胞性結合性パートナーまたは相互作用性細胞外結合性パートナーは、相互作用および結合を生じさせる様式において、試験化合物の存在下、または非存在下で加えられ得る。反応期間の終了時に、未結合の物質は洗い流され得、そして標識モノクローナル抗体がこの系に加えられ得、複合型の構成成分への結合が可能になる。標的遺伝子タンパク質と相互作用性細胞性結合性パートナーとの相互作用、または標的遺伝子タンパク質と相互作用性細胞外結合性パートナーとの相互作用は、グルタチオン−アガロースビーズと会合したままの放射活性量を測定することによって、検出され得る。試験化合物による相互作用の阻害は、測定される放射活性における減少をもたらす。
【0063】
あるいは、GST−標的遺伝子融合タンパク質および相互作用性細胞性結合性パートナー、またはGST−標的遺伝子融合タンパク質および相互作用性細胞外結合性パートナーは、固体のグルタチオン−アガロースビーズの非存在下において、液体中で、互いに混合され得る。この試験化合物は、この種が相互作用させられる間または後のいずれかで、加えられ得る。次いで、この混合物は、グルタチオン−アガロースビーズに加えられ得、未結合の物質は洗い流される。再び、標的遺伝子産物/結合性パートナー相互作用の阻害の範囲は、標識抗体を加え、ビーズに会合される放射活性を測定することによって、検出され得る。このようなシクロフィリン融合タンパク質の構築は、同様に、本発明との関連で有用な細胞性シクロフィリン結合性パートナーおよびこれらの変異体を同定し、そして単離することにとって有用である。
【0064】
別の実施形態では、これらと同一の技術は、標的遺伝子タンパク質の結合性ドメイン、および/または(結合性パートナーがタンパク質である場合)相互作用性細胞性結合性パートナーの結合性ドメインまたは相互作用性細胞外結合性パートナーの結合性ドメインに相当するペプチドフラグメントを全長タンパク質のうちの一つまたは両方の代わりに用いて、利用され得る。当該分野において慣用的に実行される方法が、この結合性部位を同定され、単離するためにいくつでも使用され得る。これらの方法は、タンパク質の一つをコードする遺伝子の突然変異誘発および共免疫沈降アッセイにおける結合性の崩壊についてのスクリーニングを包含するが、これらに限定されない。次いで、複合体中の第二の種をコードする遺伝子において補う変異が選択され得る。各々のタンパク質をコードする遺伝子の配列解析は、相互作用性結合に関与するタンパク質の領域に相当する変異を明らかにする。あるいは、一つのタンパク質は、上記のこの章に記載される方法を用いて、固体表面に固定され得、この標識された結合性パートナーと相互作用させてこれに結合させ得、この標識された結合性パートナーは、タンパク質分解酵素(例えば、トリプシン)で処理される。洗浄後、結合性ドメインを含む短い標識ペプチドは、固体物質に会合したままであり得、単離され得、アミノ酸配列決定により同定され得る。また、一旦、細胞性結合性パートナーまたは細胞外結合性パートナーをコードする遺伝子が得られると、短い遺伝子セグメントが、タンパク質のペプチドフラグメントを発現するために作り出され得、次いで、これは結合活性について試験され得、そして精製され得るかまたは合成され得る。
【0065】
例えば、限定するわけではないが、標的遺伝子産物は、この章において上記に記載されるように、GST−標的遺伝子融合タンパク質を産生し、それをグルタチオンアガロースビーズに結合させることによって、固体物質に付着され得る。この相互作用性細胞性結合性パートナーまたはこの相互作用性細胞外結合性パートナーは、放射性同位体(35Sなど)で標識され得、そしてタンパク質分解酵素(例えば、トリプシン)で切断され得る。次いで、切断産物は、付着されるGST−標的遺伝子融合タンパク質に加えられ得、結合させられ得る。未結合のペプチドを洗い流した後、標識された結合物質(細胞性結合性パートナー結合性ドメインまたは細胞外結合性パートナー結合性ドメインを表す)は、溶出され得、精製され得、そして周知の方法によってアミノ酸配列を解析され得る。このように同定されるペプチドは、合成的に産生され得るか、または組換えDNA技術を用いて、適切な促通性のタンパク質に融合される。
【0066】
(Chlamydia感染を処置するための治療剤)
(シクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体)
免疫抑制活性は欠いているが、シクロフィリンAについての結合能力を保持し、そしてインビトロでのChlamydiaを阻害することが報告されるシクロスポリン誘導体が、記載されている。一つの例は、シクロスポリンAのアナログであるSD2 N1M811であり、これにおいてシクロスポリンAの4位のN−メチル−L−ロイシンユニットがN−メチル−L−イソロイシンによって置換される。(Traberら,Antiviral ChemistryおよびChemotherapy,5:331−339,1994)。このシクロスポリンアナログは、免疫抑制活性を欠いているが、シクロフィリンに結合する完全な能力を保持し、インビトロで抗Chlamydia−1感染活性(細胞変性効果および粒子産生によって測定される)を示すことが報告される。他の誘導体化シクロスポリンアナログとしては、シクロスポリンAの4位および5位で改変された新規シクロスポリン誘導体が挙げられる。(EP 484 281(1993年2月24日))。さらなる免疫抑制のシクロスポリンアナログが開発されており、このアナログは、8位にアミノ酸を含む硫黄を有するシクロスポリンからなる。(EP 444 897(1991年9月4日))。これらのシクロスポリン誘導体は、細胞内に侵入することができ、Chlamydiaウイルスが細胞へ侵入した後、シクロフィリンA−Chlamydia相互作用を標的とすることにより、細胞内にこれらの効果を仲介すると考えられる。
【0067】
シクロスポリン誘導体は、修飾されて宿主細胞への侵入または宿主細胞による内在化を阻害し得、これにより、シクロスポリンの誘導体は、同様に、細胞内シクロフィリンAとともに相互作用しない。本発明のこのようなシクロフィリン誘導体は、細胞外に提示される場合、Chlamydiaウイルスの侵入を阻害するように作用すると考えられる。このようなシクロスポリン誘導体は、Chlamydiaによる感染を阻害するはずであるが、しかしChlamydia感染患者の免疫抑制を生じないことがある。従って、本発明は、細胞による上記分子の内在化を阻止するかまたは最小限に抑えるが、シクロフィリンとの相互作用を阻止せず、これにより、Chlamydia感染を阻害する、シクロスポリンの誘導体を含む。シクロスポリンは、このタンパク質へのかさ高い置換基の付加によって、誘導体化され得る。このような置換基の例としては、荷電置換基(例えば、スペルミンまたはスペルミジン)、修飾された骨格を有するかまたは有さないポリヌクレオチド、炭水化物(例えば、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリナトリウム、アクリル酸ポリセシウム、ポリメタクリル酸)、両親媒性ブロックコポリマー(例えば、ポリスチレンポリアクリル酸ナトリウム)、および両親媒性ホモポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
好ましい実施形態では、シクロスポリンは、ポリエチレングリコールを用いた反応により誘導体化され、「ペグ化(pegylated)」シクロスポリンを生じる。ペグ化シクロスポリンは、当業者に公知の標準的化学方法によって、調製され得る。本発明のペグ化シクロスポリンを調製する好ましい方法は、塩化メチレン中で、遮光して、室温で、2日間にわたり撹拌しながら、メトキシポリエチレングリコールスクシニミジルスクシネートを8−アミノ−シクロスポリンAおよび4−ジメチルアミノピリジンと反応させることを包含する。任意の未反応部位をブロックするために、次いで、エタノールアミンを加え、この混合物を、室温でさらに24時間にわたって、撹拌しながらインキュベートした。この誘導体化シクロスポリンAは、正常相HPLCによって、反応混合物から精製される。
【0069】
(抗シクロスポリン抗体)
抗シクロフィリン抗体は、治療剤として使用され、Chlamydia感染を処置し得る。この抗シクロフィリン抗体は、好ましくは、中和抗体である。必要な場合、この抗シクロフィリン抗体は、受動的免疫療法アプローチにおいて、誘導体化シクロフィリンに対して惹起され得る。あるいは、この抗シクロフィリン抗体は、免疫原としての誘導体化形態として使用され、Chlamydia感染患者において、能動免疫応答を生じ得る。
【0070】
(核酸ベースの治療剤)
シクロフィリンのChlamydia細胞性結合性パートナーとの相互作用、またはシクロフィリンのChlamydia細胞性結合性受容体との相互作用を崩壊させ得る化合物として、アンチセンス、リボザイム、および三重らせん分子がある。このような分子は、Chlamydia感染宿主細胞において、標的遺伝子シクロフィリンA、あるいはその細胞性結合性パートナー、またはその細胞性結合性受容体の発現するように設計される。産生およびこのような分子の使用のために技術は、当業者に周知である。
【0071】
アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズし、タンパク質翻訳を阻止することによって、mRNAの翻訳を直接的にブロックするように作用する。アンチセンスDNAについて、翻訳開始部位由来のオリゴデオキシリボヌクレオチド(例えば、目的の標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10と+10との間の領域)が好ましい。
【0072】
リボザイムは、RNAの特異的な切断を触媒可能な酵素的RNA分子である。(概説については、Rossi,J.,Current Biology 4: 469−471,1994を参照のこと)。リボザイム分子の作用の機構は、リボザイムの相補的標的RNAへの配列特異的なハイブリダイゼーションとそれに続くヌクレオチド鎖切断を包含する。リボザイム分子の組成物は、標的遺伝子のmRNAに対して相補的な一以上の配列を含まなければならず、mRNA切断を担う周知の触媒配列を含まなければならない。この配列については、その全体が本明細書中で参考として援用される米国特許第5,093,246号を参照のこと。本発明の範囲内のこのようなものとして、標的遺伝子タンパク質をコードするRNA配列のヌクレオチド鎖切断を特異的かつ効率的に触媒するハンマーヘッドモチーフのリボザイム分子が、作り出される。
【0073】
任意の潜在的なRNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、初めは、目的の分子を、以下の配列を含むリボザイム切断部位について走査することによって同定される:GUA、GUU、およびGUC。一旦同定されると、切断部位を含む標的遺伝子の領域に相当する15リボヌクレオチドと20リボヌクレオチドとの間の短いRNA配列が、オリゴヌクレオチド配列を不適当にし得る予測構造特徴(例えば、二次構造)について評価され得る。候補配列の適合性はまた、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズする接触性を試験することよって評価され得る。
【0074】
転写阻害のための三重らせん形成において使用される核酸分子は、一本鎖であり、かつデオキシヌクレオチドからなるべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、フーグスティーン型塩基対ルールを介して、三重らせん形成を促進するために設計されなければならず、このルールは、概して、二本鎖のうちの一つの鎖に存在する、プリンまたはピリミジンのいずれかのかなり長い連続(stretch)を必要とする。ヌクレオチド配列は、ピリミジンベースであり得、これは、生じる三重らせんの三重会合鎖を横切る、TAT三塩基およびCGC三塩基を生じる。このピリミジンリッチの分子は、二重鎖のうちの一本鎖に対して平行な方向で、この一本鎖の中のプリンリッチな領域に対して、相補的な塩基を提供する。さらに、プリンリッチの(例えば、G残基の連続を含む)核酸分子が、選ばれ得る。これらの分子は、GC対がリッチなDNA二重鎖で三重らせんを形成し、プリン残基の大部分は、標的の二重鎖の一本鎖上に位置し、三重鎖における三本の鎖にまたがってGGC三塩基を生じる。
【0075】
あるいは、三重らせん形成を標的とし得る潜在的な配列は、いわゆる「スイッチバック(switchback)」核酸分子を作成することによって増加され得る。スイッチバック分子は、交互の5’−3’、3’−5’様式で合成され、それによって、このスイッチバック分子は、二本鎖の第一の一本鎖と対を築き、それからこの他の鎖で対を築き、二本鎖のうちの一本鎖上に存在する、プリンまたはピリミジンのいずれかのかなり長い連続の必要性を排除する。
【0076】
本明細書中に記載されるアンチセンス、リボザイム、および/または三重らせん分子が、変異体遺伝子の発現を阻害するために利用される場合には、この技術が、正常な標的遺伝子の対立遺伝子によって産生されるmRNAの転写(三重らせん)および/または翻訳(アンチセンス、リボザイム)を、非常に効率的に減少させ得るか、または阻害し得、存在する正常な標的遺伝子産物の濃度が、正常な表現型に必要とされるよりも低くなり得る可能性が生じ得る。従って、このような場合、標的遺伝子の活性の実質的に正常なレベルが維持されることを保障するため、正常な標的遺伝子の活性を示す標的遺伝子のポリペプチドをコードし、かつ発現する核酸分子が、記載されるような遺伝子治療法を介して細胞内へ導入され得、これらはアンチセンス処置、リボザイム処置、または三重鎖処置が利用される場合でも、これらに影響を受けやすい配列を含まない。あるいは、標的遺伝子が細胞外タンパク質をコードする場合では、標的遺伝子の活性の必要レベルを維持するために、正常な標的遺伝子タンパク質を同時投与することが、好ましくあり得る。
【0077】
本発明のアンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子、リボザイム分子、ならびに三重鎖分子は、DNA分子およびRNA分子の合成の分野の当業者に公知の任意の方法によって調製され、これらの方法としては、オリゴデオキシリボヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学合成するための、当業者に周知の技術(例えば、固相ホスホラミダイト化学合成)が挙げられる。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロ転写およびインビボ転写によって、産生され得る。このようなDNA配列は、適したRNAポリメラーゼプロモーター(例えば、T7ポリメラーゼプロモーターまたはSP6ポリメラーゼプロモーター)を組み込む広範な種々のベクターに組み込まれ得る。あるいは、使用されるプロモーターに依存して構成的にまたは誘導的にアンチセンスRNA合成する、アンチセンスcDNA構築物が、細胞株へ安定的に導入され得る。
【0078】
DNA分子に対する種々の周知の改変が、細胞内の安定性および半減期を増大させる手段として、導入され得る。可能性のある改変としては、分子の5’末端および/または3’末端へのリボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのフランキング配列の付加、またはオリゴデオキシリボヌクレオチド骨格内の、(ホスホジエステラーゼ結合ではなく)ホスホロチオネート結合または2’O−メチル結合の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
(Chlamydia感染を処置する方法)
(受動免疫療法)
シクロフィリンと相互作用する中和抗体、またはその細胞性結合性パートナーと相互作用する中和抗体は、Chlamydia感染を阻害するために使用され得る。説明として、理論に制限されないが、出願人は、このような抗体は、シクロフィリンとChlamydia宿主細胞性結合性パートナーとの相互作用またはシクロフィリンとChlamydia宿主細胞性結合性受容体との間の相互作用を崩壊させ、それによってクラミジア感染を阻害することを提唱する。これらの中和抗体は、受動免疫療法アプローチにおいて、投与され得る。本発明の好ましい実施形態では、この中和抗体は、糖化シクロフィリンを用いて産生される。シクロフィリンを糖化する方法は、WO 93/23081において記載され、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0080】
シクロフィリンA、その宿主Chlamydia細胞性結合性パートナー、またはその宿主Chlamydia細胞性結合性レセプターに特異的な抗体は、Chlamydia感染を阻害するために産生され得、この点に関しては、これらの抗体は、ウイルス性会合型シクロフィリンとそのChlamydia細胞性結合性パートナーとの間の相互作用、またはウイルス性会合型シクロフィリンとそのChlamydia細胞性結合性レセプターとの間の相互作用を妨害することによって、働くと考えられる。受動免疫療法アプローチについて、このような抗体は、タンパク質それ自体に対して、またはこのタンパク質の一部分に相当するペプチドに対して、当業者に公知の標準的な技術を用いて産生され得る。これらの抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fabフラグメント、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、非ヒト抗体、またはヒト化抗体などが挙げられるが、これに限定されない。
【0081】
抗体のフラグメントが使用される場合、標的タンパク質の結合ドメインに結合する最小の阻害フラグメントが好ましい。例えば、標的タンパク質に結合する抗体の可変領域のドメインに相当するアミノ酸配列を有するペプチドが、使用され得る。このようなペプチドは、化学合成されるか、または当業者に周知の方法を用いた組換えDNA技術を通じて産生され得る。
【0082】
あるいは、細胞内標的エピトープに結合する一本鎖の中和抗体もまた、投与され得る。このような一本鎖抗体は、例えば、MarascoらProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7889−7893,1993に記載されるような技術を利用して、例えば、標的細胞集団内に、一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現させることによって、投与され得る。
【0083】
抗体の産生については、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットが挙げられるが、これに限定されない)が、タンパク質の注射によって免疫され得る。種々のアジュバントが、宿主種に依存して、免疫応答を増大させるために使用され得、これらのアジュバントとしては、高度な糖化のプロセスによるまたは高度な糖化産物による目的の抗原の修飾、またはフロイントアジュバント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマージョン(oil emersion)、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)およびCorynebacterium parvum(C.Parker))を用いた抗原の投与による目的の抗原の修飾が挙げられるが、これらに限定されない)。
【0084】
多くの方法が、上記に記載される受動ワクチン処方物を導入するために使用され得、これらの方法としては、経口経路、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、および鼻腔内経路が挙げられるが、これらに限定されない。ワクチンが設計される病原体の天然の感染経路を通じて、または身体内の病原体が存在する組織内へ、このワクチン処方物を導入することが、好ましくあり得る。
【0085】
免疫化手順において、使用される免疫原の量および免疫化スケジュールは、当該分野における熟練医師によって決定され、被験体の免疫応答および抗体力価を参照して、投与される。
【0086】
(能動免疫療法)
本発明は、さらに、免疫原として処方されたシクロフィリンの使用に関し、重度に免疫無防備状態でないChlamydia感染患者か、またはChlamydia曝露およびChlamydia感染の危険のある集団において能動免疫応答を生じるための「ワクチン」として実施される。好ましい実施形態では、能動免疫化は、高度糖化最終産物(AGE)として公知の不可逆的な共有結合付加物の処方物を生じる条件下において、免疫原(シクロフィリン)をグルコースとまたは別の還元糖と反応させることを含む。シクロフィリンを糖化するための方法は、WO 93/23081(本明細書中でその全体が参考として援用される)において記載される。
【0087】
従って、シクロフィリンA、または細胞性結合性パートナーもしくは細胞性結合性レセプターに対して生じる能動免疫応答は、シクロフィリンとその細胞性結合性パートナーとの間の相互作用を妨害し、Chlamydia感染を阻害するために産生され得る。能動免疫化について、シクロフィリン、またはChlamydia細胞性結合性パートナー、もしくはChlamydia細胞性結合性レセプターからなる免疫原、あるいはシクロフィリンの、その細胞性結合性パートナーまたは細胞性結合性レセプターへの結合に必要なドメインに対応するアミノ酸配列を有するフラグメントまたはペプチドを含むワクチンは、Chlamydia患者またはChlamydia暴露の危険がある人において免疫応答を生じるために利用され得る。これらの免疫原は、必要に応じて、高度な糖化または高度糖化産物によって修飾され得、そして免疫学的応答を増大させるためにアジュバント(例えば、潜在的に有用なヒトアジュバント(すなわち、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)およびCorynebacterium parvum(C.Parker)))を用いて処方され得る。
【0088】
多くの方法は、上記に記載されるワクチン処方物を導入するために使用され得る。これらの方法としては、経口経路、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、および鼻腔内経路が挙げられるが、これらに限定されない。このワクチン処方物は、必要に応じて、ワクチンが設計される病原体の天然の感染経路を通じて、導入され得る。
【0089】
免疫化手順において、使用される免疫原の量および免疫化スケジュールは、当該分野における熟練医師によって決定され、被験体の免疫応答および抗体力価を参照して、投与される。
【0090】
(薬学的組成物)
本明細書で開示される治療剤は、薬学的組成物の形態において、提供され得る。任意の適した投与経路および投薬スケジュールが、インヒビターまたはインヒビターを含有する薬学的組成物を送達するために使用され得る。インヒビターが経口投与される場合、このインヒビターは、錠剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、エリキシル剤の形態であり得る。錠剤形態で投与される場合、本発明の薬学的組成物は、固形キャリア(例えば、ゼラチンまたはアジュバント)をさらに含有し得る。錠剤、カプセル剤、および散剤は、約5〜95%のインヒビターを含み、好ましくは、約25〜90%のインヒビターを含む。液体形態で投与される場合、液体キャリア(例えば、水、石油、動物油、植物油(例えば、ピーナッツ油、鉱物油、ダイズ油、またはゴマ油)、または合成油)が加えられ得る。液体形態の薬学的組成物の液体形態は、生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコール)をさらに含み得る。液体形態で投与される場合、この薬学的組成物は、約0.5〜90重量%のインヒビターを含み、好ましくは、約1〜50%のインヒビターを含む。
【0091】
治療的有効量のインヒビターが、静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射によって、投与される場合、このインヒビターは、発熱物質なし、かつ非経口的に受容可能な水溶液の形態である。このような非経口的に受容可能な(pH、等張性、安定性などを十分顧慮する)タンパク質溶液の調製は、当該分野の技量範囲内である。静脈内注射、皮膚注射、または皮下注射のための好ましい薬学的組成物は、インヒビターに加えて、等張性ビヒクル(例えば、生食注射、リンガー液注射、デキストロース注射、デキストロースおよび生食注射、乳酸加リンガー液注射、または当業者に公知の他のビヒクル)を含有するべきである。本発明の薬学的組成物はまた、安定剤、防腐剤、緩衝液、酸化防止剤、または当業者に公知の他の添加物を含有し得る。
【0092】
本発明の薬学的組成物におけるインヒビターの量は、処置される状態の性質および重症度に依存し、そして、患者が受けた以前の処置の性質に依存する。最終的には、担当医が、各個々の患者を処置するためのインヒビターの量を決定する。まず担当医は、低用量のインヒビターを投与し、患者の反応を観察する。より多くの用量のインヒビターが、最適な治療効果が患者に得られるまで投与され得、そしてこの時点で、概して、この用量はさらに増加しない。本発明の方法を実行するために使用される種々の薬学的組成物は、体重1kg当たり約0.1μg〜100mgのインヒビターを含有するべきであると企図される。好ましい範囲としては、体重1kg当たり約100μg〜6mgの用量、および体重1kg当たり約20μg〜500μgの用量が挙げられる。
【0093】
本発明の薬学的組成物を用いた静脈内治療の期間は、治療されている疾患の重症度、各個々の患者の状態、および各個々の患者の潜在的な特異体質反応に依存して、変動する。
【0094】
最終的に、担当医は、本発明の薬学的組成物を用いて、静脈内治療の適切な期間を決定する。いくつかの実施形態において、このインヒビターは、遅延放出組成物において提供される。この持続放出組成物は、微粒子を含み得る。
【0095】
微粒子は、当業者に公知であり、これらとしては、例えば、米国特許第6,013,258号に記載される微粒子が挙げられる。微粒子内に含まれる適した物質としては、高分子材料(例えば、ポリ−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA))が挙げられる。
【0096】
このインヒビターは、予防的に、または治療的に投与され得、そして予防的ワクチン送達物または治療的ワクチン送達物とともに同時投与され得る。
【0097】
必要に応じて、このインヒビターは、免疫応答を上昇させる第二の薬剤またはさらなる薬剤とともに投与され得る。さらなる薬剤としては、例えば、アジュバント、サイトカイン(例えば、IL−12)、およびGM−CSFが挙げられる。
【0098】
このインヒビターは、さらに、IL−13インヒビターをコードする核酸であり得る。IL−13インヒビターをコードする核酸は、標準的方法(例えば、Feignerら,米国特許第5,580,859号に記載される方法)を用いて投与され得る。体重1kg当たり約1〜200μgのDNAの用量が、投与されることが予測される。患者が成人である場合、ワクチン接種レジメンは、例えば、微粒子内で送達される場合は10〜100μgの核酸の筋肉内投与または皮下投与、または数回(例えば、3〜6回)に繰り返される約100〜1000μgの裸の(naked)DNAの筋肉内投与または皮下投与を含み得る。
【0099】
他の標準的な送達方法(例えば、弾道的(ballistic)移送、またはエキソビボでの処置)がまた、使用され得る。エキソビボでの処置においては、例えば、抗原提示細胞(APC)、樹状細胞、末梢血単核細胞、または骨髄細胞が、患者または適切なドナーから得られ得、免疫原性組成物とともにエキソビボで活性化されて、次いで、患者に戻され得る。
【0100】
(C型肝炎ウイルスおよびデング熱ウイルスを処置するための薬剤の同定)
Chlamydia spp.治療剤を同定するための上記に記載される方法はまた、C型肝炎ウイルス(HCV)感染またはデング熱ウイルスによって引き起こされる感染を処置するための薬剤を同定するために使用され得る。理論に縛られることは望まないが、シクロフィリンはまた、HCVタンパク質およびデング熱ウイルスタンパク質、またはデング熱ウイルスタンパク質と会合し、そしてこの会合は、宿主細胞におけるウイルスの感染および/または伝播に必要であることが仮定される。従って、シクロフィリンとウイルス性由来のポリペプチドとの間の会合を崩壊させる薬剤は、これらのウイルス感染を処置するために、治療剤として、または薬剤の同定するための標的として使用され得る。
【0101】
HCVまたはデング熱ウイルスを処置するための治療剤を同定するための一つの方法は、シクロフィリンに結合する試験薬剤の能力について、この試験薬剤を検査することである。これらの薬剤は、シクロフィリンポリペプチドを提供する工程、シクロフィリンポリペプチドを試験薬剤と接触させる工程、そしてこの試験薬剤が、シクロフィリンポリペプチドに結合するか否かを決定する工程によって同定される。上記の試験薬剤の上記のシクロフィリンポリペプチドへの結合は、この試験薬剤が、C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染を処置するための治療標的であることを示す。
【0102】
シクロフィリンは、好ましくは、実質的に精製されたシクロフィリンポリペプチドとして提供される。当業者に公知の任意のシクロフィリンポリペプチド(例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンD)が使用され得る。本明細書中に使用される場合、「実質的に純粋な」ポリペプチドは、天然にこのポリペプチドに付随している構成成分から分離されたポリペプチドを意味する。代表的に、このポリペプチドが、少なくとも60重量%、天然に付随しているタンパク質および天然に存在する有機分子を含まないときは、実質的に純粋である。調製物の純度は、重量で、好ましくは、少なくとも75重量%であり、より好ましくは、少なくとも90重量%であり、そして最も好ましくは、少なくとも99重量%である。実質的に純粋なシクロフィリンポリペプチドフラグメントは、例えば、天然供給源からの抽出、シクロフィリンポリペプチドフラグメントをコードする組換え核酸の発現、シクロフィリンポリペプチドフラグメント融合タンパク質の発現、または化学合成によって、得られ得る。化学合成されたポリペプチド、またはポリペプチドが天然に存在する細胞とは異なる細胞系において産生されるポリペプチドは、定義として、天然にポリペプチドに付随している構成成分を、実質的に含まない。従って、実質的に純粋なポリペプチドとしては、真核生物に由来するポリペプチドが挙げられるが、E.coliまたは他の原核生物の組換え細胞において合成されるポリペプチドを含まない。純度は、任意の適切な方法(例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、またはHPLC分析)によって測定され得る。
【0103】
シクロフィリンポリペプチドは、標識されたポリペプチドとして提供され得る。上記の標識は、例えば、放射性標識または非放射性標識(例えば、蛍光標識)である。あるいは、シクロフィリンは、ビオチンのような標識で標識され得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、シクロフィリンポリペプチドは、基質に付着して提供され得る。上記の基質は、複数のシクロフィリンポリペプチド(例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンD、またはこれらのポリペプチドの混合物のうちの一以上)を含み得る。上記のシクロフィリンポリペプチドは、一以上のアドレス可能位置で、前記基質上で提供される。
【0105】
上記の基質は、例えば、平面または球面(例えば、ビーズ)であり得る。
【0106】
上記の方法はまた、細胞に会合しているシクロフィリンポリペプチドを提供することによって行われ得る。シクロフィリンポリペプチドは、標識されたポリペプチドとして提供され得る。上記標識は、例えば、放射性標識または非放射性標識(例えば、蛍光標識)であり得る。あるいは、シクロフィリンは、ビオチンのような標識で標識され得る。
【0107】
治療剤はまた、C型肝炎ウイルスポリペプチドまたはデング熱ウイルスポリペプチドを含むサンプルを提供すること、および上記のサンプル中の少なくとも一つのC型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質とシクロフィリンポリペプチドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で、上記のサンプルをシクロフィリンポリペプチドとを接触させることによって、同定され得る。次いで、上記の複合体は、検出され、そして上記の複合体中の少なくとも一つのC型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質が同定される。この同定されるC型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質は、例えば、HCV感染に関連する肝炎またはデング熱を処置するための治療剤を同定するための標的として、有用である。シクロフィリン結合性ポリペプチドは、次いで、C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染を処置するために使用され得る抗体を惹起させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、上記の複合体は、抗シクロフィリン抗体を用いて検出される。
【0108】
C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染を処置するための治療剤を同定する別の代わりの手段は、C型肝炎ウイルスポリペプチドおよびシクロフィリンポリペプチド、またはデング熱ウイルスポリペプチドおよびシクロフィリンポリペプチドを含むサンプルを提供すること、ならびにシクロフィリンプローブとC型肝炎ウイルスタンパク質との間の複合体、またはシクロフィリンプローブとデング熱ウイルスタンパク質との間の複合体の形成を可能にする条件下において、このサンプルをこのシクロフィリンプローブと接触させることによる。この複合体は検出され、そしてこの複合体中のC型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質は、同定される。この同定されるC型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質は、例えば、C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染を処置するための治療標的として使用され得る。例えば、シクロフィリン結合性C型肝炎ウイルスタンパク質またはシクロフィリン結合性デング熱ウイルスタンパク質に対する抗体は、惹起され得、そしてC型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染の処置におけるそれらの抗体の効力について試験され得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、C型肝炎ウイルスタンパク質またはデング熱ウイルスタンパク質は、例えば、ビオチンを用いて、標識される。
【0110】
本発明は、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスで感染した細胞を提供する工程、この細胞を、シクロフィリンを阻害する薬剤と接触させる工程、およびこの薬剤がこのウイルスの病原性を阻害するか否か決定する工程によって、C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染を処置するための治療剤を同定する方法をさらに提供する。C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスの病原性の阻害は、この薬剤が、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスを処置するための治療剤であることを示す。
【0111】
さらなる局面では、本発明は、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスで感染した細胞を提供する工程、この細胞を、シクロフィリンポリペプチドの少なくとも一つの活性を阻害する薬剤と接触させる工程;およびこの薬剤が、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスによる感染を阻害するか否か決定する工程によって、真核生物宿主細胞のC型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスによる感染を阻害する薬剤を同定する方法を提供する。
【0112】
C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスで感染した細胞とシクロフィリンポリペプチドとの間の複合体形成を妨害可能な化合物を同定するための別のスクリーニング方法は、以下の工程を包含する:(a)シクロフィリン親和性融合タンパク質を産生する工程;(b)化合物を、工程(a)のシクロフィリン親和性融合タンパク質とともにプレインキュベートする工程;(c)一以上のC型肝炎ウイルスタンパク質およびシクロフィリン親和性融合タンパク質、またはデング熱ウイルスタンパク質およびシクロフィリン親和性融合タンパク質に、複合体を形成させる条件下において、C型肝炎ウイルスまたはデング熱ウイルスで感染した細胞を、工程(b)のインキュベート物へ加える工程;(d)上記のC型肝炎ウイルス−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体、またはデング熱ウイルス−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体を、親和性媒体に結合させる条件下において、工程(c)のインキュベート物を親和性媒体と接触させる工程;(e)上記の化合物を含まないコントロールサンプルとの比較によって、C型肝炎ウイルス−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体形成、またはデング熱ウイルス−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程。C型肝炎ウイルスタンパク質、またはデング熱ウイルスタンパク質のシクロフィリン親和性融合タンパク質への結合の減少は、この化合物が、複合体の形成を阻害することを示す。シクロフィリン融合ポリペプチドは、例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンDであり得る。いくつかの実施形態では、シクロフィリン親和性融合タンパク質は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−シクロフィリン(GST−シクロフィリン)融合タンパク質であり、そして/または上記の親和性媒体は、グルタチオン−アガロースビーズを含む。
【0113】
上記の化合物は、あるいは、以下の工程を包含する方法によって、同定され得る:(a)C型肝炎ウイルス親和性融合タンパク質またはデング熱ウイルス親和性融合タンパク質を提供する工程;(b)化合物を、工程(a)のC型肝炎ウイルス親和性融合タンパク質またはデング熱ウイルス親和性融合タンパク質とともにプレインキュベートする工程;(c)上記のシクロフィリンおよびC型肝炎ウイルス親和性融合タンパク質、または上記のシクロフィリンおよびデング熱ウイルス親和性融合タンパク質に、複合体を形成させる条件下で、シクロフィリンを工程(b)インキュベート物へ加える工程;(d)上記のシクロフィリン−C型肝炎ウイルス融合タンパク質複合体、または上記のシクロフィリン−デング熱ウイルス融合タンパク質複合体が、上記の親和性媒体へ結合可能な条件下において、工程(c)のインキュベート物を、親和性媒体と接触させる工程;ならびに(e)上記の化合物を含まないコントロールサンプルと比較することによって、上記のシクロフィリン−C型肝炎ウイルス親和性融合タンパク質複合体形成、または上記のシクロフィリン−デング熱ウイルス親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程。結合の減少は、上記の化合物が、シクロフィリン−C型肝炎ウイルス親和性融合タンパク質複合体形成、またはシクロフィリン−デング熱ウイルス親和性融合タンパク質複合体形成を阻害することを示す。シクロフィリンポリペプチドは、例えば、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、およびシクロフィリンD、またはこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、上記のシクロフィリン親和性融合タンパク質は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−シクロフィリン(GST−シクロフィリン)融合タンパク質であり、そして/または上記の親和性媒体は、グルタチオン−アガロースビーズを含む。
【0114】
シクロフィリンは、例えば、蛍光標識、放射性標識、または化学発光標識を用いて、必要に応じて、標識され得る。
【0115】
これらのアッセイにおける使用のための適したHCVタンパク質は、例えば、HCVコアポリペプチド、E1ポリペプチド、E2ポリペプチド、P7ポリペプチド、NS2ポリペプチド、NS3ポリペプチド、NS4Aポリペプチド、NS4Bポリペプチド、NS5Aポリペプチド、およびNS5Bポリペプチドを含む(McHucthisonら,Hepatology 36:S246−52,2002を参照のこと)。細胞ベースのアッセイを実施するために、ヒト肝細胞の初代培養が使用され得るが、この細胞は、子孫のウイルス粒子の産生を支持しない(Fournierら,J.Gen.Virol.79:2367−74,1998)。細胞ベースのアッセイの他の供給源(免疫不全マウスの肝臓内に移植された、HCV感染した肝細胞由来の細胞を含む)が、使用され得る(BronowickiらHepatology 28:211−18,1998およびLertaらHepatology 28:498A(1998)を参照のこと)。あるいは、ツパイ由来の細胞が使用される。これは、これらの細胞が、ヒトHCVの感染に対し感受性であるからである(XieらVirology 244:513−20,1998)。
【0116】
上記で同定される薬剤は、C型肝炎デング熱によって引き起こされる感染を処置するために使用され得る。例えば、C型肝炎ウイルス感染またはデング熱ウイルス感染は、シクロフィリンの活性を阻害する治療的に有効量の薬剤により被験体に投与することによって、処置され得る。いくつかの実施形態では、上記の薬剤は、抗シクロフィリン抗体ポリペプチドのシクロフィリン結合性領域を含むポリペプチドである。このような薬剤の一つの例は、抗シクロフィリン抗体である。この抗体は、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。上記の被験体は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ゴリラ、または新世界ザル)、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、またはトリであり得る。
【0117】
他の実施形態では、上記の薬剤は、シクロフィリンポリペプチドの活性を阻害する抗生物質である。このような抗生物質の例は、シクロポリンである。上記のシクロポリンは、シクロポリン誘導体として提供され得る。
【0118】
本発明は、以下の実施例において、さらに説明されるのであって、以下の実施例は、添付される特許請求の範囲の範囲を限定しない。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
(SDS−PAGE調製物におけるシクロフィリンおよびシクロフィリン結合性Chlamydiaポリペプチドの同定)
C.pneumoniaeおよびC.trachomatis由来の基本小体(EB)を、SDS−PAGEにより分析し、および二連でニトロセルロース膜へトランスファーした。両方のブロットをBSAでブロックし、PBSで洗浄した。一つのブロットは、200μgのシクロフィリンAタンパク質とともにインキュベートした。この他のブロットをPBSのみでインキュベートした。次いで、両方のブロットを洗浄し、抗シクロフィリンA抗体、続いて二次抗ラビットAP結合体化抗体で処理した。このブロットをBioradのAPキットを用いて、発色させた。
【0120】
シクロフィリンAで処理されたブロットにおいて、30kDの30kDバンドが、C.pneumoniaeのEBに存在していた。このバンドは、PBSのみで処理されたブロットでは非存在であった。
【0121】
C.trachomatisのEBについては、cypAで処理したブロットにおいて、極めて大きい30kDのバンドが認められた。このバンドは、PBSのみで処理されたブロットでは存在しなかった。さらに、C.trachomatisの基本小体についてのシクロフィリン処理されたブロットにおいて、50と70kDとの間の二重線を認めた。このバンドは、PBSのみで処理されたブロットでは、非常に弱いことが認められた。
【0122】
さらに、シクロフィリンAで処理されたブロットにおいて、未処理のブロットにおいて存在していないいくつかの高分子量(約100kD)バンドを検出した。
【0123】
基本小体の調製物におけるシクロフィリンAの存在をまた、抗シクロフィリンA抗体を用いて検査した。シクロフィリンAは、C.trachomatisおよびC.pneumonieの両方からの全ての基本小体調製物において、存在していた。
【0124】
(実施例2)
(磁気ビーズに不動化されたシクロフィリンを用いたChlamydiaのEBにおけるシクロフィリン結合性ポリペプチドの同定)
C.pneumoniaeのEBにおけるシクロフィリン結合性ポリペプチドの存在を、組換えシクロフィリンAでコートされたM280磁気ビーズ(Dynal Biotech,Inc.,Lake Success,NY)を用いて検査した。これらのビーズを、表面ビオチン化EBの溶解物からのタンパク質とともに、インキュベートした。
【0125】
さらにウエスタンブロットハイブリダイゼーション分析を用いて、結合タンパク質を特徴づけた。抗MOMPマウスポリクローナル抗体を用いて、このChlamydia主要外膜タンパク質(MOMP)を同定した。
【0126】
(実施例3)
(架橋剤を用いたChlamydia細胞画分におけるシクロフィリン結合性ポリペプチドの同定)
架橋剤BS3の存在下で、基本小体溶解物およびシクロフィリンAを混合した。シクロフィリンAポリペプチドと一以上のChlamydiaeタンパク質との架橋された複合体を回収し、Chlamydiaタンパク質に対する抗体を用いてChlamydiaタンパク質の同一性を決定した。
【0127】
(実施例4)
(基質上に不動化されたシクロフィリンタンパク質に結合するChlamydiaタンパク質の同定)
固体基質上に不動化されたシクロフィリンポリペプチドに結合可能なChlamydiaeタンパク質を同定することによって、シクロフィリン結合性Chlamydiaポリペプチドを同定した。
【0128】
シクロフィリンAをPBSに透析し、沈着された50nm層の金でカバーされたスライドガラス(Biacore,Inc.,Piscataway,NJ)へカップリングした。いくつかの組換えChlamydiaタンパク質の、チップ上へ不動化されたシクロフィリンAへの結合は、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて決定した。
【0129】
約76kDであるC.pneumoniaeタンパク質T776を同定した。この相互作用を検証するために、このT776タンパク質をチップに結合させ、シクロフィリンAへのこの結合能力を決定した。T776タンパク質への結合を検出した。BSAでコーティングされたスライドガラスへの結合は、同条件下において、観察されなかった。
【0130】
(実施例5)
(シクロフィリンに対する抗体はヒト細胞のChlamydia感染をブロックする)
ヒト細胞のChlamydia感染をブロックする抗シクロフィリン抗体の能力を検査した。
【0131】
シクロフィリンAに対する1:4で希釈されたラビットポリクローナル抗体(CalBiochem,Cat # 239778;およびUpstate Biotechnology Inc.,(Waltham, MA)のCat # 06−512)は、インビトロで、それぞれ、160の力価および640の力価で、Chlamydiaを中和した。これらの抗体は、Chlamydia pneumoniae由来の組換えマクロファージ感染力増強物(macrophage infectivity potentiator)(MIP)ポリペプチドに交差反応しなかった。シクロフィリン様MIPは、ぺプチジルプロリルシス−トランス異性化酵素である。ChlamydiaMIPタンパク質に対するポリクローナルマウス抗血清は、シクロフィリンAを認識しないか、またはごくわずかに反応した。
【0132】
(他の実施形態)
他の局面、利点、および改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Chlamydia spp.感染を処置するための治療剤の同定方法であって、該方法は:
シクロフィリンポリペプチドを提供する工程;
該シクロフィリンポリペプチドを試験薬剤と接触させる工程;および
該試験薬剤が該シクロフィリンポリペプチドと結合するか否かを決定する工程
を包含し、ここで該試験薬剤の該シクロフィリンポリペプチドへの結合は、該試験薬剤がChlamydia spp.感染を処置するための治療剤であることを示す、方法。
【請求項2】
前記シクロフィリンポリペプチドが、実質的に精製されたシクロフィリンポリペプチドとして提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シクロフィリンポリペプチドが、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、またはシクロフィリンDである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シクロフィリンポリペプチドが、標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標識が、ビオチンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シクロフィリンポリペプチドが、基質に付着して提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記基質が、複数のシクロフィリンポリペプチドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基質が、一以上のシクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、シクロフィリンD、またはこれらの混合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記シクロフィリンポリペプチドは、一以上のアドレス可能位置で前記基質上で提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記基質が平面である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記基質がビーズである、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記シクロフィリンポリペプチドが、Chlamydia細胞に会合して提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記シクロフィリンポリペプチドが、標識を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記標識がビオチンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記会合が、前記シクロフィリンポリペプチドのChlamydiaポリペプチドへの結合による、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記シクロフィリンが、Chlamydia基本小体と会合して提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
シクロフィリンとChlamydia細胞との前記会合が、前記シクロフィリンポリペプチドのChlamydiaポリペプチドへの結合による、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記Chlamydia細胞が、Chlamydia trachomatisである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記Chlamydia細胞が、Chlamydia pneumoniaeである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
シクロフィリン結合性Chlamydiaポリペプチドを同定するための方法であって、該方法は:
Chlamydiaポリペプチドを含むサンプルを提供する工程;
該サンプル中の少なくとも一つのChlamydiaタンパク質と該シクロフィリンポリペプチドとの間で複合体を形成することを可能にする条件下において、該サンプルをシクロフィリンポリペプチドと接触させる工程;
該複合体を検出する工程;および
該複合体の該少なくとも一つのシクロフィリン結合性Chlamydiaポリペプチドを同定する工程
を包含する、方法。
【請求項21】
前記複合体は、抗シクロフィリン抗体を用いて検出される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複合体は、モノクローナル抗シクロフィリン抗体を用いて検出される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Chlamydia感染を処置するための治療剤を同定するための方法であって、該方法は、
Chlamydiaポリペプチドおよびシクロフィリンポリペプチドを含むサンプルを提供する工程;
該シクロフィリンプローブと該Chlamydiaポリペプチドとの間で複合体を形成することを可能にする条件下において、該サンプルを該シクロフィリンプローブと接触させる工程;
該複合体を検出する工程;および
該複合体中の該Chlamydiaポリペプチドを同定し、それによりChlamydia感染を処置するための治療剤を同定する工程
を包含する、方法。
【請求項24】
前記Chlamydiaポリペプチドが、標識を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記標識がビオチンである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記シクロフィリンプローブが抗シクロフィリン抗体である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
シクロフィリンポリペプチドと、T776ポリペプチド、30kDポリペプチド、40kDaポリペプチド、およびChlamydia主要外膜タンパク質(MOMP)からなる群から選択されるChlamydiaタンパク質との、精製複合体。
【請求項28】
Chlamydia感染を処置するための治療剤を同定する方法であって、該方法は:
Chlamydia細胞を提供する工程;
該細胞をシクロフィリンポリペプチドの少なくとも一つの活性を阻害する薬剤と接触させる工程;および
該薬剤が該Chlamydia細胞の病原性を阻害するか否かを決定する工程
を包含し、ここで該Chlamydia細胞の病原性の阻害は、該薬剤がChlamydiaを処置するための治療剤であることを示す、方法。
【請求項29】
Chlamydia細胞による真核生物宿主細胞の感染を阻害する薬剤を同定する方法であって、該方法は、
Chlamydia細胞を提供する工程;
該細胞をシクロフィリンポリペプチドの少なくとも一つの活性を阻害する薬剤と接触させる工程;および
該薬剤が該Chlamydia細胞の感染を阻害するか否か決定する工程
を包含する、方法。
【請求項30】
Chlamydia細胞とシクロフィリンポリペプチドとの間の複合体の形成を妨害する化合物を同定するための方法であって、該方法は:
(a)シクロフィリン親和性融合タンパク質を産生する工程;
(b)工程(a)の該シクロフィリン親和性融合タンパク質とともに化合物をプレインキュベートする工程;
(c)Chlamydiaと該シクロフィリン親和性融合タンパク質が複合体形成することを可能にする条件下において、Chlamydiaサンプルを、工程(b)の該インキュベート物へ加える工程;
(d)該Chlamydia−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体が、親和性媒体に結合することを可能にする条件下において、工程(c)の該インキュベート物を該親和性媒体と接触させる工程;
(e)該化合物を欠如しているコントロールサンプルとの比較によって、該Chlamydia−シクロフィリン親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程;
を包含し、ここでChlamydiaのシクロフィリン親和性融合タンパク質への結合の減少は、該化合物が該複合体形成を阻害する能力を示す、方法。
【請求項31】
前記シクロフィリン融合ポリペプチド中の前記シクロフィリンが、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、およびシクロフィリンDからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記シクロフィリン親和性融合タンパク質が、グルタチオンS−トランスフェラーゼ−シクロフィリン(GST−シクロフィリン)融合タンパク質である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記親和性媒体が、グルタチオン−アガロースビーズを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
シクロフィリンポリペプチドとChlamydia親和性融合タンパク質との間の複合体の形成を妨害することを可能な化合物を同定するための方法であって、該方法は:
(a)Chlamydia親和性融合タンパク質を産生する工程;
(b)工程(a)の該Chlamydia親和性融合タンパク質とともに化合物をプレインキュベートする工程;
(c)シクロフィリンと該Chlamydia親和性融合タンパク質とが複合体を形成することを可能にする条件下において、該シクロフィリンポリペプチドを、工程(b)の該インキュベート物へ加える工程;
(d)シクロフィリン−Chlamydia融合タンパク質複合体が、親和性媒体に結合可能な条件下において、工程(c)の該インキュベート物を該親和性媒体と接触させる工程;
(e)該化合物を欠如しているコントロールサンプルとの比較によって、該シクロフィリン−Chlamydia親和性融合タンパク質複合体形成の量を決定する工程;
を包含し、ここで結合の減少は、該化合物が、シクロフィリン−Chlamydia親和性融合タンパク質複合体形成を阻害することを示す、方法。
【請求項35】
使用される前記シクロフィリンが、シクロフィリンA、シクロフィリンB、シクロフィリンC、およびシクロフィリンDからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記親和性媒体がグルタチオン−アガロースビーズを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記シクロフィリンが、蛍光標識、放射性標識、および化学発光標識からなる群から選択される標識で標識される、請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2006−507351(P2006−507351A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555709(P2004−555709)
【出願日】平成15年11月24日(2003.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/037617
【国際公開番号】WO2004/047759
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505184872)
【Fターム(参考)】