DC−DCコンバータ
【課題】簡便な回路構成でスイッチング損失及びサージノイズの低減する。
【解決手段】DC−DCコンバータ10は、結合インダクタ16と、スイッチング機能部18と、補助インダクタ22と、ダイオード23とを有する。2つの入力電源端子Ti1とTi2との間で、結合インダクタ16の一次インダクタとスイッチング素子30が直列接続されている。一次インダクタ16aとスイッチング素子30との接続点P01から出力電源端子To1までの間にダイオード23と補助インダクタ22が設けられている。スイッチング機能部18では、スナバダイオード34及びスナバキャパシタ36とのスナバ直列回路をスイッチング素子30に並列接続し、接続点P1から二次インダクタ16bまでの間に回生ダイオード38を設ける。二次インダクタ16bの他端を出力端子To1に接続する。
【解決手段】DC−DCコンバータ10は、結合インダクタ16と、スイッチング機能部18と、補助インダクタ22と、ダイオード23とを有する。2つの入力電源端子Ti1とTi2との間で、結合インダクタ16の一次インダクタとスイッチング素子30が直列接続されている。一次インダクタ16aとスイッチング素子30との接続点P01から出力電源端子To1までの間にダイオード23と補助インダクタ22が設けられている。スイッチング機能部18では、スナバダイオード34及びスナバキャパシタ36とのスナバ直列回路をスイッチング素子30に並列接続し、接続点P1から二次インダクタ16bまでの間に回生ダイオード38を設ける。二次インダクタ16bの他端を出力端子To1に接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非絶縁で昇圧型のDC−DCコンバータに関し、特に、スイッチング損失を低減することのできるDC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータでは、パワートランジスタ、IGBT、FET等のスイッチング素子をPWM動作させて電圧の変換を行う形式のものがあり、幅広い分野で使用されている。DC−DCコンバータは電子機器の省電力化、小型化及び高性能化に伴い、一層の低損失、高効率及び低ノイズ化が望まれており、特に、PWM動作に伴うスイッチング損失やスイッチングサージの低減が望まれている。
【0003】
このようなスイッチング損失、スイッチングサージを低減させる技術のひとつにソフトスイッチング技術があり、例えばインダクタ、スイッチング素子、ダイオードを備えた一般的な昇降圧型DC−DCコンバータにスイッチング損失を低減するための補助回路を付加したものが、特許文献1に提案されている。
【0004】
特許文献1における補助回路部は、図12に示すように、トランジスタ900a、900bの各コレクタ・エミッタ間に接続されるキャパシタ901a、901bを備え、更に接続点902と出力端子及び基準端子との間に、第1及び第2補助電流経路が構成される。インダクタ903及びトランス904の一方巻線904aまでは、第1及び第2補助電流経路に共通である。
【0005】
第1補助電流経路では一方巻線904aからトランジスタ905aを介して出力端子に至る経路が形成され、第2補助電流経路では、一方巻線904aからトランジスタ905bを介して基準端子に至る経路が形成される。コンデンサ902a、902b及び第1、第2補助電流経路によりトランジスタ900a、900bのスイッチング動作時の端子電圧が僅少となり、スイッチング損失を低減できる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−102438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術は、スイッチング損失を低減するために有効であるが、補助回路の追加により部品点数が増加する。特に、スイッチング素子の数量が増加することからPWM駆動用の制御回路の部品点数も付随して増加する。
【0008】
従来回路における代表的なスイッチング損失について図13を参照しながら説明する。
【0009】
ここで、ソフトスイッチングは、ZVS(Zero Voltage Switching)又はZCS(Zero Current Switching)を実現するためのスイッチング方式であり、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やそれに与えるストレスが低い。これに対してパワー半導体デバイスの持つスイッチング機能により電圧・電流を直接ターンオン・オフするスイッチング方式はハードスイッチングと称されている。以下の記述においてはZVS/ZCSの双方もしくはその一方が実現されている方式をソフトスイッチング、それ以外をハードスイッチングという。
【0010】
図13にパワー半導体デバイスとしてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のスイッチング時の電圧/電流波形を示し、実線920は電圧、破線922は電流である。IGBTは、パワーMOS−FETの高速スイッチング、電圧駆動特性と、バイポーラ・トランジスタの低飽和ON電圧特性をワンチップに構成したパワーデバイスである。しかし、このトランジスタ構造はターンオン動作時にMOS−FET構造より遅れてオンする。さらに、MOS−FET構造のターンオフにより、蓄積された少数キャリアである正孔が流出する経路が遮断されるため、ターンオフが遅れ、テール電流924が生じる。このような特性からも分かるようにIGBTパワーデバイスのスイッチング特性では、スイッチ固有のターンオン時間、ターンオフ時間が存在するため、スイッチング時間において若干の電圧/電流の過度交差(ハッチング部参照)を生じスイッチング損失を発生している。
【0011】
このスイッチング損失はスイッチング時に熱として生じ、高周波化の妨げとなり、放熱フィンを含む冷却装置が大きくなり高周波化に伴い無視できない問題となってくる。これに加えて、電源−パワー半導体デバイス−負荷を結ぶ経路中には浮遊インダクタやキャパシタ受動回路素子やパワー半導体デバイスの寄生パラメータが存在するため、電圧、電流の遮断を行うスイッチング時にはこれらの寄生回路成分により図13で示すようなサージ電圧926並びにサージ電流928が発生しパワー半導体デバイスに電圧・電流のピークストレスが発生する。
【0012】
また、出力容量の大きい大電力の制御を高効率に行うには単純な電圧・電流のターンオン・ターンオフいわゆるハードスイッチングでは不十分な場合がほとんどである。特に、サージ電流di/dtが高い場合にはEMIノイズレベルが高く、雑音端子間電圧が広い周波数帯にわたって発生するため、場合によってノイズフィル夕を設けるなどの対策が必要となり、コストの増大のみならず大型化する。また、スイッチングによるdv/dt及びdi/dtストレスの増大とスイッチング損失の増加により、負荷状態によってはパワー半導体デバイス固有のSOA(Safety Operation Area:安全動作領域)を超えることも予想されるため、装置の信頼性が必ずしも高くない。また、dv/dtによる対地漏れ電流の発生やこれによる雑音端子間電圧の増大や、di/dtによるローパスフィルタリアクトルやトランス、ACモータの巻線の絶縁破壊を引き起こす懸念がある。このため高周波スイッチング時には、電圧・電流サージがSOAを超えることのないようにスナバ回路を設ける必要がある。しかしながら、スナバ回路により、スイッチング損失とサージによるdv/dtやdi/dtストレスは低減されるが、スナバ回路自身による損失が発生してしまうなどの問題が新たに発生してくる。こうして、スイッチング損失及び電圧・電流ストレスによる影響と、その対策として設けられるスナバ回路とノイズフィル夕の設計によるコスト増や損失発生が高周波スイッチング化によるメリットを打ち消す場合がある。このような背景からハードスイッチングからソフトスイッチング技術による電力変換装置の開発が行われている。
【0013】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、非絶縁型のDC−DCコンバータにおいて、簡便な回路構成でスイッチング損失及びサージノイズの低減を奏するソフトスイッチングを実現することができるDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るDC−DCコンバータは、一次インダクタ及び二次インダクタからなる結合インダクタと、2つの入力電源端子の間で、前記一次インダクタと直列接続されたスイッチング素子と、前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から出力電源端子の一端までの間に設けられたメインダイオードと、を備えたDC−DCコンバータであって、スナバダイオード及びスナバキャパシタとからなるスナバ直列回路を前記スイッチング素子に並列接続し、前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に回生ダイオードを設け、前記二次インダクタの他端を前記出力電源端子の一端に接続したことを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、スイッチング素子のターンオフ時に、並列接続されたスナバキャパシタによりスイッチング素子間のサージノイズを低減することができる。また、前記スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと前記結合インダクタの漏れインダクタンス成分との共振現象により、前記スナバキャパシタは放電を開始し、前記スナバキャパシタが蓄えたエネルギーを出力側に供給することができる。
【0016】
この場合、前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から前記出力電源端子の一端までの間に、補助インダクタを備えていてもよい。これにより、スイッチング素子間のターンオン時の電流立ち上がりが抑制され、電流サージを低減することができる。
【0017】
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に共振インダクタを備えていてもよい。
【0018】
このような共振インダクタを設けることにより、スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと共振インダクタとによってより確実な共振現象が発生し、前記スナバキャパシタのエネルギーを出力側に一層確実に回生することができる。
【0019】
また、スイッチング素子のターンオン時の電流の立ち上がりがさらに抑制され、キャパシタが完全に放電した後、共振インダクタに蓄積している残留エネルギーを出力側に放出し、効率が一層向上する。二次インダクタの漏れインダクタンス成分が少ない場合にこれらの共振インダクタを入れると特に有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るDC−DCコンバータによれば、スイッチング素子のターンオフ時に、並列接続されたスナバキャパシタによりスイッチング素子間のサージノイズを低減することができる。また、前記スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと前記結合インダクタの漏れインダクタンス成分との共振現象により、前記スナバキャパシタは放電を開始し、前記スナバキャパシタが蓄えたエネルギーを出力側に供給することができる。さらに、このようなスイッチング損失及びサージノイズを低減を簡便な回路構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るDC−DCコンバータについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るDC−DCコンバータ10は、非絶縁の昇圧型であって、直流のソース電源11の電圧を昇圧して負荷Rに供給するものである。
【0023】
DC−DCコンバータ10は、入力側にプラス及びマイナス接続用のTi1(入力電源端子の一端)及びTi2(入力電源端子の他端)を有し、出力側にプラス及びマイナス接続用のTo1(出力電源端子の一端)及びTo2(出力電源端子の他端)を有している。
【0024】
DC−DCコンバータ10は、入力側及び出力側で電圧を安定化させる入力キャパシタ12及び出力キャパシタ14と、2巻線式の結合インダクタ16と、スイッチング機能部18と、補助インダクタ22と、ダイオード(メインダイオード)23とを有する。入力キャパシタ12及び出力キャパシタ14としては、例えば電解キャパシタが用いられる。
【0025】
スイッチング機能部18は、説明の便宜上複数の素子をまとめて表しており、主に昇圧の作用を奏する。
【0026】
また、DC−DCコンバータ10は、回路上に具体的な素子としては存在しないが、回路の特性によって発生する漏れインダクタである共振インダクタ24を有する。
【0027】
結合インダクタ16は、一次インダクタ16a及び二次側の二次インダクタ16bを有する。一次インダクタ16aの一方はプラス側の入力端子Ti1に接続され、他端は接続点P02を介してダイオード23のアノードに接続されている。
【0028】
二次インダクタ16bの一方はプラス側の出力端子To1と同じライン上の接続点P01に接続され、他端はスイッチング機能部18に接続されている。この二次インダクタ16bとスイッチング機能部18との間に、共振インダクタ24が存在するものとする。一次インダクタ16aと二次インダクタ16bとの巻数比は、R1=n2/n1である。
【0029】
スイッチング機能部18は、スイッチング素子30と、該スイッチング素子30と並列に設けられた逆導通ダイオード(又は寄生ダイオード)32と、直列に接続されたスナバダイオード34及びスナバキャパシタ36と、回生ダイオード38とを有する。スナバキャパシタ36とスナバダイオード34はスナバ直列回路を形成している。
【0030】
スイッチング素子30は半導体素子であって、例えば、パワートランジスタ、IGBT、FET等のスイッチング素子が挙げられ、図示しないコントローラによってベース端子が駆動されPWM動作を行う。
【0031】
スイッチング素子30は、コレクタが接続点P02及び逆導通ダイオード32のカソードに接続され、エミッタがグランドラインG及び逆導通ダイオード32のアノードに接続されている。
【0032】
スナバダイオード34のアノードは、スイッチング素子30のコレクタに接続され、カソードはスナバキャパシタ36の一端に接続されている。スナバキャパシタ36の他端はスイッチング素子30のエミッタ(つまりグランドラインG)に接続されている。
【0033】
回生ダイオード38のアノードは、スナバダイオード34とスナバキャパシタ36との間に接続されている。この接続箇所を接続点P1とする。回生ダイオード38のカソードは共振インダクタ24を介して二次インダクタ16bに接続されている。
【0034】
ダイオード23のアノードは接続点P02に接続されており、カソードは補助インダクタ22の一端に接続されている。補助インダクタ22の他端は接続点P01に接続されている。
【0035】
DC−DCコンバータ10における各箇所における電流、電圧を次のように名称とその方向を規定する。
【0036】
一次インダクタ16aから接続点P02に向かう方向の電流をi1、接続点P02から補助インダクタ22へ向かう方向の電流をi2とする。
【0037】
接続点P02からスイッチング素子30へ向かう方向の電流をis、スナバキャパシタ36からグランドラインGの方向に向かって流れる電流をics、回生ダイオード38から共振インダクタ24に向かって流れる電流をilsとする。
【0038】
逆導通ダイオード32の順方向電流をidsとする。スナバダイオード34の順方向電流をidaとする。
【0039】
また、ソース電源11の電圧をVi、負荷Rに供給される電圧をVoとする。さらに、スイッチング素子30の両端に生じる電圧(エミッタを基準としたコレクタの電圧)をVs、スナバキャパシタ36の両端に生じる電圧(グランドラインGを基準とした接続点P1の電圧)をVcsとする。
【0040】
次に、このように構成されるDC−DCコンバータ10を用いた昇圧作用について説明する。
【0041】
DC−DCコンバータ10の昇圧作用は、図2に示すようにモード0〜モード5の6つのモードに区分することができる。モード0〜モード5はこの順に繰り返し行われる。昇圧作用時には、スイッチング素子30がPWM動作に基づいてオン・オフ動作を行い直流昇圧チョッパを行う。なお、図3〜図9においては、電流の流れを矢印Iで表す。また、電流の流れていない箇所、又は各モードの説明上特に重要でない箇所については破線で示す。
【0042】
図3に示すように、モード0では、ソース電源11と結合インダクタ16の蓄積エネルギーは出力側に供給され、昇圧動作が行われる。つまり、ソース電源11から供給される電力は入力キャパシタ12で平滑化され、一次インダクタ16a、ダイオード23、補助インダクタ22を通り、出力キャパシタ14で平滑化されて負荷Rに供給される。モード0では、スナバキャパシタ36に電荷が充電されているものとする。
【0043】
図4に示すように、モード1では、先ずスイッチング素子30がオンになる。これにより、主に矢印Iで示す電流が発生する。つまり、スナバキャパシタ36、回生ダイオード38、共振インダクタ24、二次インダクタ16bを通り接続点P01に供給される。この系統では、スナバキャパシタ36と共振インダクタ24とにより共振が発生し、パッシブ共振スナバを構成し、スナバキャパシタ36が放電を開始する。つまり、共振インダクタ24に蓄えられたエネルギーを利用して共振を発生させ、スナバキャパシタ36の電荷を放出させ、パルス電流回生作用が得られる。
【0044】
矢印Iで示すように、電流は一次インダクタ16a、接続点P02及びスイッチング素子30に流れる。
【0045】
このとき、補助インダクタ22にはある程度のエネルギーが蓄えられており、接続点P01に対して電流i2を流し続ける。
【0046】
また、モード1では、スイッチング素子30のターンオン時に、補助インダクタ22により、スイッチング素子30を流れる電流の立ち上がりが抑制されスイッチング素子30はZCSターンオンとなる(図2参照)。すなわち、このターンオン時に補助インダクタ22を流れる電流I2は線形的に減少するため、スイッチング素子30に流れる電流は線形的に上昇することになりZCSターンオンが実現される。
【0047】
共振インダクタ24とスナバキャパシタ36との部分共振でパルス電流回生は、次のようにして発生する。まず、二次インダクタ16bに電圧R1Viを発生させ、スナバキャパシタ電圧Vcsを生じさせる。モード1のエネルギー回生スナバ回路における回路状態方程式は(1)式のようになる。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、Lsは共振インダクタ24のインダクタンス、Csはスナバキャパシタ36の容量である。
【0050】
また、スイッチング素子30のターンオン時点で、スナバキャパシタ36の電圧及び回生電流の初期値をそれぞれVcs=Vco、ils=0とすると、スナバキャパシタの電圧Vcsと回生電流ilsは、それぞれ(2)式のようになる。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、ω=1/√(Ls・Cs)は角周波数である。スナバキャパシタのエネルギーが完全に放電するためには、ωt=πの時点で、スナバキャパシタの電圧をゼロ以下とする条件Vcs≦0が必要となる。
【0053】
【数3】
【0054】
ここで、Vα(=Vco−Vo)はスナバキャパシタ電圧Vcsの跳ね上がり電圧であり、負荷電流に依存する。Vαは最低でも0であり、この条件下で巻数比を決定することになる。従って、結合インダクタ16の昇圧比の1/2の巻数比にすれば、スナバキャパシタ36のエネルギーは完全放電するようになる。ターンオン時にスイッチング素子30を流れる電流は、ダイオード23からの転流電流i2とスナバ回生電流ilsが結合インダクタ16の変圧作用で流れる電流との合成となる。従って、スイッチング素子30のターンオン時における電流上昇率のdi/dtの最大値は(4)式のとおりとなる。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、L2は補助インダクタ22のインダクタンスである。
【0057】
次に、図5に示すように、モード1の後半では、補助インダクタ22に蓄えられていたエネルギーが完全に放出され、補助インダクタ22及びダイオード23には電流が流れなくなり、電流i2はゼロとなる。
【0058】
この後、スナバキャパシタ36エネルギーが完全放電した後モード2に移行する。
【0059】
図6に示すように、モード2では、スナバキャパシタ36が蓄えた電荷を完全放電した後にスナバダイオード34が導通し、共振インダクタ24に蓄えられた残留エネルギーをパルス回生電流ilsとして放出を継続する。つまり、矢印Iで示すように、電流はスナバダイオード34、回生ダイオード38、共振インダクタ24及び二次インダクタ16bを流れて接続点P01に至ることになる。このように、スナバキャパシタ36の放電が終了した後にも、共振インダクタ24のエネルギーを利用して回生動作を継続することができる。
【0060】
この後、パルス回生電流ilsがゼロになるとモード3に移行する。
【0061】
図7に示すように、モード3では、矢印Iで示すように、共振インダクタ24はエネルギーを放出し終え、ソース電源11から供給される電力は入力キャパシタ12で平滑化され、一次インダクタ16a、スイッチング素子30を通ってグランドラインGに流れ込む。このとき、一次インダクタ16aにエネルギーが蓄積される。
【0062】
図8に示すように、モード4では、スイッチング素子30をオフにする。これにより、ソース電源11から供給される電流は、一次インダクタ16a、スナバダイオード34及びスナバキャパシタ36に流れることになり、該スナバキャパシタ36が充電される。このとき、スイッチング素子30の両端電圧Vcsは0であることから(図2参照)、スイッチング素子30はZVSでターンオフする。スイッチング素子30をオフするタイミングは、PWMのデューティファクタにより設定される。
【0063】
スナバキャパシタ36が充電されることによりVsは(5)式に示す電圧上昇率で上昇する。
【0064】
【数5】
【0065】
このモード4は、Vs≦Voである間継続される。このとき充電されたスナバキャパシタ36は、前記の通りモード1の共振作用に供されることになる。
【0066】
モード4では二次インダクタ16bに回生電流が流れない条件は、Vcs≦R1(Vo−Vi)+Vo、すなわちVo+Vα≦R1(Vo−Vi)+Voより(6)式で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
図9に示すように、モード5では、スナバキャパシタ36が十分に充電されると、該スナバキャパシタ36及びスナバダイオード34に電流は流れなくなり、Vs>Voとなってダイオード23が導通し、矢印Iで示すように、電流として一次インダクタ16a、補助インダクタ22、ダイオード23及び接続点P01へと流れる。
【0069】
このモード5の条件は、Vcs>R1(Vo−Vi)+Voである。
【0070】
この後、前記のモード0に戻り、一連のサイクルを継続することになる。
【0071】
このように、DC−DCコンバータ10の直流昇圧動作時には、2巻線構成の結合インダクタ16の一次インダクタ16aとスイッチング素子30の高周波スイッチングによって昇圧を行い、ダイオード23を通過し、ソース電源11から電力を接続点P01に供給する。スイッチング素子30と並列に設けたスナバダイオード34とスナバキャパシタ36で構成したスナバ直列回路のエネルギーをスイッチング素子30がターンオンした時点で、回生ダイオード38と結合インダクタ16の二次側にまとめた共振インダクタ24とスナバキャパシタ36で共振させ、スナバエネルギーを出力側に回生させることができる。
【0072】
また、このパルス電流回生動作により、スナバキャパシタ36の電圧をゼロまで放電させることで、スイッチング素子30のターンオフはZVS転流となる。スイッチング素子30のターンオン動作時は、補助インダクタ22によりスイッチを流れる電流の立ち上がりが抑制されることとなり、ZCSターンオンとなる。このように、スイッチング素子30ではソフトスイッチング動作が実現される。
【0073】
次に、DC−DCコンバータ10で用いられているソフトスイッチングの特性について図10を参照しながら説明する。図10は、IGBTのZVS/ZCSスイッチング波形例であり、実線100は電圧、破線102は電流である。
【0074】
図10に示すように、一般にターンオフ時は、IGBT固有の上昇電圧時間とテール電流発生期間から、僅かに電流と電圧の過渡交差が生じ、スイッチング損失が発生している。しかし、図13で示した様な直流電圧等を直接遮断するようなスイッチング方式に比べ、過渡交差を生じるスイッチング損失は大きく低減されていることが分かる。これはターンオフ時のスイッチ端子間電圧の上昇にLC主共振もしくはLC補助共振を利用し、パワー半導体デバイスに並列に組み込んだロスレスキャパシタを充電させ、電圧が緩やかに上昇するためである。また、サージ電圧の抑制も同時に実現し、こうして、ゼロ電圧スイッチング動作を行っている。ターンオン時は、スイッチング素子30に並列に接続された逆導通ダイオード32に電流が流れている間にIGBTのゲートにオン信号を送ることにより、電流が自然転流した時にスイッチに電流が流れ始めゼロ電圧スイッチング・ゼロ電流スイッチング動作を行っている。
【0075】
図10と図13との比較から明らかなように、電流と電圧の過渡交差はIGBTのオン電圧との僅かな交差を除いては生じてなく、従来方式のスイッチングよりスイッチング損失を低減でき、同時にサージ電圧・サージ電流も抑制されている。
【0076】
このように、ZVS/ZCSの双方又は一方を用いてスイッチング動作を行うことにより、スイッチング過渡時のスイッチング損失やストレスが低減され、且つEMIノイズ・RFIノイズが抑制される。
【0077】
図11にパワー半導体デバイスの電圧/電流のスイッチング軌跡を、従来のハードスイッチング方式による場合を破線110で示し、ソフトスイッチング方式による場合を実線112で示す。
【0078】
ハードスイッチング方式の場合ではスイッチング時の電流と電圧の過渡交差によるスイッチング損失が大きい上に、dv/dtストレス、di/dtストレスが共に大きくなりパワー半導体デバイス固有のSOAの限界近くで動作しており、電圧サージ、電流サージが発生している。そのため一般的にハードスイッチング方式においてはスナバ回路を負荷してパワー半導体デバイスのスイッチング軌跡を電圧・電流の両軸の近くになるようにしている。
【0079】
これに対して、ソフトスイッチング方式ではスナバレスでスイッチング軌跡が縦の電流軸及び横の電圧軸の近くを通っているためスイッチング損失の大きな低減がなされていることが分かる。以上のことからソフトスイッチング方式を適用した場合、スイッチング過渡時のスイッチング損失やサージ電圧、サージ電流を低減でき、且つEMI/RFIノイズを抑制することができる。
【0080】
上述したように、本実施の形態に係るDC−DCコンバータ10は、パッシブ共振スナバにより効率のよい電圧変換が可能である。また、スイッチング素子はスイッチング素子30だけで足り、しかもソフトスイッチングのための周辺素子も少ない。スイッチング素子30の制御方法は従前のハードスイッチングPWMと変わらずに簡便に行うことができる。
【0081】
DC−DCコンバータ10のスナバ回路ではサージ電圧、サージ電流を抑制することができるとともに、回生動作を行うことからスナバ回路自身による損失はほとんど発生しない。
【0082】
なお、DC−DCコンバータ10では、スイッチング素子30は高負荷時及び軽負荷時の双方の場合にソフトスイッチング動作ができることはもちろんである。
【0083】
本発明に係るDC−DCコンバータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態に係るDC−DCコンバータの回路図である。
【図2】昇圧時のタイムチャートである。
【図3】昇圧時のモード0で電流の流れを示す回路図である。
【図4】昇圧時のモード1の前半で電流の流れを示す回路図である。
【図5】昇圧時のモード1の後半で電流の流れを示す回路図である。
【図6】昇圧時のモード2で電流の流れを示す回路図である。
【図7】昇圧時のモード3で電流の流れを示す回路図である。
【図8】昇圧時のモード4で電流の流れを示す回路図である。
【図9】昇圧時のモード5で電流の流れを示す回路図である。
【図10】IGBTのZVS/ZCSスイッチング波形例である。
【図11】パワー半導体デバイスの電圧/電流のスイッチング軌跡である。
【図12】従来技術に係るDC−DCコンバータの回路図である。
【図13】従来技術に係るスイッチング波形例である。
【符号の説明】
【0085】
10…DC−DCコンバータ 16…結合インダクタ
16a…一次インダクタ 16b…二次インダクタ
18…スイッチング機能部 22…補助インダクタ
23…ダイオード 24…共振インダクタ
30…スイッチング素子 32…逆導通ダイオード
34…スナバダイオード 36…スナバキャパシタ
38…回生ダイオード
Ti1…入力電源端子の一端 Ti2…入力電源端子の他端
To1…出力電源端子の一端 To2…出力電源端子の他端
【技術分野】
【0001】
本発明は、非絶縁で昇圧型のDC−DCコンバータに関し、特に、スイッチング損失を低減することのできるDC−DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータでは、パワートランジスタ、IGBT、FET等のスイッチング素子をPWM動作させて電圧の変換を行う形式のものがあり、幅広い分野で使用されている。DC−DCコンバータは電子機器の省電力化、小型化及び高性能化に伴い、一層の低損失、高効率及び低ノイズ化が望まれており、特に、PWM動作に伴うスイッチング損失やスイッチングサージの低減が望まれている。
【0003】
このようなスイッチング損失、スイッチングサージを低減させる技術のひとつにソフトスイッチング技術があり、例えばインダクタ、スイッチング素子、ダイオードを備えた一般的な昇降圧型DC−DCコンバータにスイッチング損失を低減するための補助回路を付加したものが、特許文献1に提案されている。
【0004】
特許文献1における補助回路部は、図12に示すように、トランジスタ900a、900bの各コレクタ・エミッタ間に接続されるキャパシタ901a、901bを備え、更に接続点902と出力端子及び基準端子との間に、第1及び第2補助電流経路が構成される。インダクタ903及びトランス904の一方巻線904aまでは、第1及び第2補助電流経路に共通である。
【0005】
第1補助電流経路では一方巻線904aからトランジスタ905aを介して出力端子に至る経路が形成され、第2補助電流経路では、一方巻線904aからトランジスタ905bを介して基準端子に至る経路が形成される。コンデンサ902a、902b及び第1、第2補助電流経路によりトランジスタ900a、900bのスイッチング動作時の端子電圧が僅少となり、スイッチング損失を低減できる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−102438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術は、スイッチング損失を低減するために有効であるが、補助回路の追加により部品点数が増加する。特に、スイッチング素子の数量が増加することからPWM駆動用の制御回路の部品点数も付随して増加する。
【0008】
従来回路における代表的なスイッチング損失について図13を参照しながら説明する。
【0009】
ここで、ソフトスイッチングは、ZVS(Zero Voltage Switching)又はZCS(Zero Current Switching)を実現するためのスイッチング方式であり、パワー半導体デバイスのスイッチング損失やそれに与えるストレスが低い。これに対してパワー半導体デバイスの持つスイッチング機能により電圧・電流を直接ターンオン・オフするスイッチング方式はハードスイッチングと称されている。以下の記述においてはZVS/ZCSの双方もしくはその一方が実現されている方式をソフトスイッチング、それ以外をハードスイッチングという。
【0010】
図13にパワー半導体デバイスとしてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のスイッチング時の電圧/電流波形を示し、実線920は電圧、破線922は電流である。IGBTは、パワーMOS−FETの高速スイッチング、電圧駆動特性と、バイポーラ・トランジスタの低飽和ON電圧特性をワンチップに構成したパワーデバイスである。しかし、このトランジスタ構造はターンオン動作時にMOS−FET構造より遅れてオンする。さらに、MOS−FET構造のターンオフにより、蓄積された少数キャリアである正孔が流出する経路が遮断されるため、ターンオフが遅れ、テール電流924が生じる。このような特性からも分かるようにIGBTパワーデバイスのスイッチング特性では、スイッチ固有のターンオン時間、ターンオフ時間が存在するため、スイッチング時間において若干の電圧/電流の過度交差(ハッチング部参照)を生じスイッチング損失を発生している。
【0011】
このスイッチング損失はスイッチング時に熱として生じ、高周波化の妨げとなり、放熱フィンを含む冷却装置が大きくなり高周波化に伴い無視できない問題となってくる。これに加えて、電源−パワー半導体デバイス−負荷を結ぶ経路中には浮遊インダクタやキャパシタ受動回路素子やパワー半導体デバイスの寄生パラメータが存在するため、電圧、電流の遮断を行うスイッチング時にはこれらの寄生回路成分により図13で示すようなサージ電圧926並びにサージ電流928が発生しパワー半導体デバイスに電圧・電流のピークストレスが発生する。
【0012】
また、出力容量の大きい大電力の制御を高効率に行うには単純な電圧・電流のターンオン・ターンオフいわゆるハードスイッチングでは不十分な場合がほとんどである。特に、サージ電流di/dtが高い場合にはEMIノイズレベルが高く、雑音端子間電圧が広い周波数帯にわたって発生するため、場合によってノイズフィル夕を設けるなどの対策が必要となり、コストの増大のみならず大型化する。また、スイッチングによるdv/dt及びdi/dtストレスの増大とスイッチング損失の増加により、負荷状態によってはパワー半導体デバイス固有のSOA(Safety Operation Area:安全動作領域)を超えることも予想されるため、装置の信頼性が必ずしも高くない。また、dv/dtによる対地漏れ電流の発生やこれによる雑音端子間電圧の増大や、di/dtによるローパスフィルタリアクトルやトランス、ACモータの巻線の絶縁破壊を引き起こす懸念がある。このため高周波スイッチング時には、電圧・電流サージがSOAを超えることのないようにスナバ回路を設ける必要がある。しかしながら、スナバ回路により、スイッチング損失とサージによるdv/dtやdi/dtストレスは低減されるが、スナバ回路自身による損失が発生してしまうなどの問題が新たに発生してくる。こうして、スイッチング損失及び電圧・電流ストレスによる影響と、その対策として設けられるスナバ回路とノイズフィル夕の設計によるコスト増や損失発生が高周波スイッチング化によるメリットを打ち消す場合がある。このような背景からハードスイッチングからソフトスイッチング技術による電力変換装置の開発が行われている。
【0013】
本発明は上記の課題を考慮してなされたものであり、非絶縁型のDC−DCコンバータにおいて、簡便な回路構成でスイッチング損失及びサージノイズの低減を奏するソフトスイッチングを実現することができるDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るDC−DCコンバータは、一次インダクタ及び二次インダクタからなる結合インダクタと、2つの入力電源端子の間で、前記一次インダクタと直列接続されたスイッチング素子と、前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から出力電源端子の一端までの間に設けられたメインダイオードと、を備えたDC−DCコンバータであって、スナバダイオード及びスナバキャパシタとからなるスナバ直列回路を前記スイッチング素子に並列接続し、前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に回生ダイオードを設け、前記二次インダクタの他端を前記出力電源端子の一端に接続したことを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、スイッチング素子のターンオフ時に、並列接続されたスナバキャパシタによりスイッチング素子間のサージノイズを低減することができる。また、前記スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと前記結合インダクタの漏れインダクタンス成分との共振現象により、前記スナバキャパシタは放電を開始し、前記スナバキャパシタが蓄えたエネルギーを出力側に供給することができる。
【0016】
この場合、前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から前記出力電源端子の一端までの間に、補助インダクタを備えていてもよい。これにより、スイッチング素子間のターンオン時の電流立ち上がりが抑制され、電流サージを低減することができる。
【0017】
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に共振インダクタを備えていてもよい。
【0018】
このような共振インダクタを設けることにより、スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと共振インダクタとによってより確実な共振現象が発生し、前記スナバキャパシタのエネルギーを出力側に一層確実に回生することができる。
【0019】
また、スイッチング素子のターンオン時の電流の立ち上がりがさらに抑制され、キャパシタが完全に放電した後、共振インダクタに蓄積している残留エネルギーを出力側に放出し、効率が一層向上する。二次インダクタの漏れインダクタンス成分が少ない場合にこれらの共振インダクタを入れると特に有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るDC−DCコンバータによれば、スイッチング素子のターンオフ時に、並列接続されたスナバキャパシタによりスイッチング素子間のサージノイズを低減することができる。また、前記スイッチング素子のターンオン時に前記スナバキャパシタと前記結合インダクタの漏れインダクタンス成分との共振現象により、前記スナバキャパシタは放電を開始し、前記スナバキャパシタが蓄えたエネルギーを出力側に供給することができる。さらに、このようなスイッチング損失及びサージノイズを低減を簡便な回路構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るDC−DCコンバータについて実施の形態を挙げ、添付の図1〜図11を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態に係るDC−DCコンバータ10は、非絶縁の昇圧型であって、直流のソース電源11の電圧を昇圧して負荷Rに供給するものである。
【0023】
DC−DCコンバータ10は、入力側にプラス及びマイナス接続用のTi1(入力電源端子の一端)及びTi2(入力電源端子の他端)を有し、出力側にプラス及びマイナス接続用のTo1(出力電源端子の一端)及びTo2(出力電源端子の他端)を有している。
【0024】
DC−DCコンバータ10は、入力側及び出力側で電圧を安定化させる入力キャパシタ12及び出力キャパシタ14と、2巻線式の結合インダクタ16と、スイッチング機能部18と、補助インダクタ22と、ダイオード(メインダイオード)23とを有する。入力キャパシタ12及び出力キャパシタ14としては、例えば電解キャパシタが用いられる。
【0025】
スイッチング機能部18は、説明の便宜上複数の素子をまとめて表しており、主に昇圧の作用を奏する。
【0026】
また、DC−DCコンバータ10は、回路上に具体的な素子としては存在しないが、回路の特性によって発生する漏れインダクタである共振インダクタ24を有する。
【0027】
結合インダクタ16は、一次インダクタ16a及び二次側の二次インダクタ16bを有する。一次インダクタ16aの一方はプラス側の入力端子Ti1に接続され、他端は接続点P02を介してダイオード23のアノードに接続されている。
【0028】
二次インダクタ16bの一方はプラス側の出力端子To1と同じライン上の接続点P01に接続され、他端はスイッチング機能部18に接続されている。この二次インダクタ16bとスイッチング機能部18との間に、共振インダクタ24が存在するものとする。一次インダクタ16aと二次インダクタ16bとの巻数比は、R1=n2/n1である。
【0029】
スイッチング機能部18は、スイッチング素子30と、該スイッチング素子30と並列に設けられた逆導通ダイオード(又は寄生ダイオード)32と、直列に接続されたスナバダイオード34及びスナバキャパシタ36と、回生ダイオード38とを有する。スナバキャパシタ36とスナバダイオード34はスナバ直列回路を形成している。
【0030】
スイッチング素子30は半導体素子であって、例えば、パワートランジスタ、IGBT、FET等のスイッチング素子が挙げられ、図示しないコントローラによってベース端子が駆動されPWM動作を行う。
【0031】
スイッチング素子30は、コレクタが接続点P02及び逆導通ダイオード32のカソードに接続され、エミッタがグランドラインG及び逆導通ダイオード32のアノードに接続されている。
【0032】
スナバダイオード34のアノードは、スイッチング素子30のコレクタに接続され、カソードはスナバキャパシタ36の一端に接続されている。スナバキャパシタ36の他端はスイッチング素子30のエミッタ(つまりグランドラインG)に接続されている。
【0033】
回生ダイオード38のアノードは、スナバダイオード34とスナバキャパシタ36との間に接続されている。この接続箇所を接続点P1とする。回生ダイオード38のカソードは共振インダクタ24を介して二次インダクタ16bに接続されている。
【0034】
ダイオード23のアノードは接続点P02に接続されており、カソードは補助インダクタ22の一端に接続されている。補助インダクタ22の他端は接続点P01に接続されている。
【0035】
DC−DCコンバータ10における各箇所における電流、電圧を次のように名称とその方向を規定する。
【0036】
一次インダクタ16aから接続点P02に向かう方向の電流をi1、接続点P02から補助インダクタ22へ向かう方向の電流をi2とする。
【0037】
接続点P02からスイッチング素子30へ向かう方向の電流をis、スナバキャパシタ36からグランドラインGの方向に向かって流れる電流をics、回生ダイオード38から共振インダクタ24に向かって流れる電流をilsとする。
【0038】
逆導通ダイオード32の順方向電流をidsとする。スナバダイオード34の順方向電流をidaとする。
【0039】
また、ソース電源11の電圧をVi、負荷Rに供給される電圧をVoとする。さらに、スイッチング素子30の両端に生じる電圧(エミッタを基準としたコレクタの電圧)をVs、スナバキャパシタ36の両端に生じる電圧(グランドラインGを基準とした接続点P1の電圧)をVcsとする。
【0040】
次に、このように構成されるDC−DCコンバータ10を用いた昇圧作用について説明する。
【0041】
DC−DCコンバータ10の昇圧作用は、図2に示すようにモード0〜モード5の6つのモードに区分することができる。モード0〜モード5はこの順に繰り返し行われる。昇圧作用時には、スイッチング素子30がPWM動作に基づいてオン・オフ動作を行い直流昇圧チョッパを行う。なお、図3〜図9においては、電流の流れを矢印Iで表す。また、電流の流れていない箇所、又は各モードの説明上特に重要でない箇所については破線で示す。
【0042】
図3に示すように、モード0では、ソース電源11と結合インダクタ16の蓄積エネルギーは出力側に供給され、昇圧動作が行われる。つまり、ソース電源11から供給される電力は入力キャパシタ12で平滑化され、一次インダクタ16a、ダイオード23、補助インダクタ22を通り、出力キャパシタ14で平滑化されて負荷Rに供給される。モード0では、スナバキャパシタ36に電荷が充電されているものとする。
【0043】
図4に示すように、モード1では、先ずスイッチング素子30がオンになる。これにより、主に矢印Iで示す電流が発生する。つまり、スナバキャパシタ36、回生ダイオード38、共振インダクタ24、二次インダクタ16bを通り接続点P01に供給される。この系統では、スナバキャパシタ36と共振インダクタ24とにより共振が発生し、パッシブ共振スナバを構成し、スナバキャパシタ36が放電を開始する。つまり、共振インダクタ24に蓄えられたエネルギーを利用して共振を発生させ、スナバキャパシタ36の電荷を放出させ、パルス電流回生作用が得られる。
【0044】
矢印Iで示すように、電流は一次インダクタ16a、接続点P02及びスイッチング素子30に流れる。
【0045】
このとき、補助インダクタ22にはある程度のエネルギーが蓄えられており、接続点P01に対して電流i2を流し続ける。
【0046】
また、モード1では、スイッチング素子30のターンオン時に、補助インダクタ22により、スイッチング素子30を流れる電流の立ち上がりが抑制されスイッチング素子30はZCSターンオンとなる(図2参照)。すなわち、このターンオン時に補助インダクタ22を流れる電流I2は線形的に減少するため、スイッチング素子30に流れる電流は線形的に上昇することになりZCSターンオンが実現される。
【0047】
共振インダクタ24とスナバキャパシタ36との部分共振でパルス電流回生は、次のようにして発生する。まず、二次インダクタ16bに電圧R1Viを発生させ、スナバキャパシタ電圧Vcsを生じさせる。モード1のエネルギー回生スナバ回路における回路状態方程式は(1)式のようになる。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、Lsは共振インダクタ24のインダクタンス、Csはスナバキャパシタ36の容量である。
【0050】
また、スイッチング素子30のターンオン時点で、スナバキャパシタ36の電圧及び回生電流の初期値をそれぞれVcs=Vco、ils=0とすると、スナバキャパシタの電圧Vcsと回生電流ilsは、それぞれ(2)式のようになる。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、ω=1/√(Ls・Cs)は角周波数である。スナバキャパシタのエネルギーが完全に放電するためには、ωt=πの時点で、スナバキャパシタの電圧をゼロ以下とする条件Vcs≦0が必要となる。
【0053】
【数3】
【0054】
ここで、Vα(=Vco−Vo)はスナバキャパシタ電圧Vcsの跳ね上がり電圧であり、負荷電流に依存する。Vαは最低でも0であり、この条件下で巻数比を決定することになる。従って、結合インダクタ16の昇圧比の1/2の巻数比にすれば、スナバキャパシタ36のエネルギーは完全放電するようになる。ターンオン時にスイッチング素子30を流れる電流は、ダイオード23からの転流電流i2とスナバ回生電流ilsが結合インダクタ16の変圧作用で流れる電流との合成となる。従って、スイッチング素子30のターンオン時における電流上昇率のdi/dtの最大値は(4)式のとおりとなる。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、L2は補助インダクタ22のインダクタンスである。
【0057】
次に、図5に示すように、モード1の後半では、補助インダクタ22に蓄えられていたエネルギーが完全に放出され、補助インダクタ22及びダイオード23には電流が流れなくなり、電流i2はゼロとなる。
【0058】
この後、スナバキャパシタ36エネルギーが完全放電した後モード2に移行する。
【0059】
図6に示すように、モード2では、スナバキャパシタ36が蓄えた電荷を完全放電した後にスナバダイオード34が導通し、共振インダクタ24に蓄えられた残留エネルギーをパルス回生電流ilsとして放出を継続する。つまり、矢印Iで示すように、電流はスナバダイオード34、回生ダイオード38、共振インダクタ24及び二次インダクタ16bを流れて接続点P01に至ることになる。このように、スナバキャパシタ36の放電が終了した後にも、共振インダクタ24のエネルギーを利用して回生動作を継続することができる。
【0060】
この後、パルス回生電流ilsがゼロになるとモード3に移行する。
【0061】
図7に示すように、モード3では、矢印Iで示すように、共振インダクタ24はエネルギーを放出し終え、ソース電源11から供給される電力は入力キャパシタ12で平滑化され、一次インダクタ16a、スイッチング素子30を通ってグランドラインGに流れ込む。このとき、一次インダクタ16aにエネルギーが蓄積される。
【0062】
図8に示すように、モード4では、スイッチング素子30をオフにする。これにより、ソース電源11から供給される電流は、一次インダクタ16a、スナバダイオード34及びスナバキャパシタ36に流れることになり、該スナバキャパシタ36が充電される。このとき、スイッチング素子30の両端電圧Vcsは0であることから(図2参照)、スイッチング素子30はZVSでターンオフする。スイッチング素子30をオフするタイミングは、PWMのデューティファクタにより設定される。
【0063】
スナバキャパシタ36が充電されることによりVsは(5)式に示す電圧上昇率で上昇する。
【0064】
【数5】
【0065】
このモード4は、Vs≦Voである間継続される。このとき充電されたスナバキャパシタ36は、前記の通りモード1の共振作用に供されることになる。
【0066】
モード4では二次インダクタ16bに回生電流が流れない条件は、Vcs≦R1(Vo−Vi)+Vo、すなわちVo+Vα≦R1(Vo−Vi)+Voより(6)式で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
図9に示すように、モード5では、スナバキャパシタ36が十分に充電されると、該スナバキャパシタ36及びスナバダイオード34に電流は流れなくなり、Vs>Voとなってダイオード23が導通し、矢印Iで示すように、電流として一次インダクタ16a、補助インダクタ22、ダイオード23及び接続点P01へと流れる。
【0069】
このモード5の条件は、Vcs>R1(Vo−Vi)+Voである。
【0070】
この後、前記のモード0に戻り、一連のサイクルを継続することになる。
【0071】
このように、DC−DCコンバータ10の直流昇圧動作時には、2巻線構成の結合インダクタ16の一次インダクタ16aとスイッチング素子30の高周波スイッチングによって昇圧を行い、ダイオード23を通過し、ソース電源11から電力を接続点P01に供給する。スイッチング素子30と並列に設けたスナバダイオード34とスナバキャパシタ36で構成したスナバ直列回路のエネルギーをスイッチング素子30がターンオンした時点で、回生ダイオード38と結合インダクタ16の二次側にまとめた共振インダクタ24とスナバキャパシタ36で共振させ、スナバエネルギーを出力側に回生させることができる。
【0072】
また、このパルス電流回生動作により、スナバキャパシタ36の電圧をゼロまで放電させることで、スイッチング素子30のターンオフはZVS転流となる。スイッチング素子30のターンオン動作時は、補助インダクタ22によりスイッチを流れる電流の立ち上がりが抑制されることとなり、ZCSターンオンとなる。このように、スイッチング素子30ではソフトスイッチング動作が実現される。
【0073】
次に、DC−DCコンバータ10で用いられているソフトスイッチングの特性について図10を参照しながら説明する。図10は、IGBTのZVS/ZCSスイッチング波形例であり、実線100は電圧、破線102は電流である。
【0074】
図10に示すように、一般にターンオフ時は、IGBT固有の上昇電圧時間とテール電流発生期間から、僅かに電流と電圧の過渡交差が生じ、スイッチング損失が発生している。しかし、図13で示した様な直流電圧等を直接遮断するようなスイッチング方式に比べ、過渡交差を生じるスイッチング損失は大きく低減されていることが分かる。これはターンオフ時のスイッチ端子間電圧の上昇にLC主共振もしくはLC補助共振を利用し、パワー半導体デバイスに並列に組み込んだロスレスキャパシタを充電させ、電圧が緩やかに上昇するためである。また、サージ電圧の抑制も同時に実現し、こうして、ゼロ電圧スイッチング動作を行っている。ターンオン時は、スイッチング素子30に並列に接続された逆導通ダイオード32に電流が流れている間にIGBTのゲートにオン信号を送ることにより、電流が自然転流した時にスイッチに電流が流れ始めゼロ電圧スイッチング・ゼロ電流スイッチング動作を行っている。
【0075】
図10と図13との比較から明らかなように、電流と電圧の過渡交差はIGBTのオン電圧との僅かな交差を除いては生じてなく、従来方式のスイッチングよりスイッチング損失を低減でき、同時にサージ電圧・サージ電流も抑制されている。
【0076】
このように、ZVS/ZCSの双方又は一方を用いてスイッチング動作を行うことにより、スイッチング過渡時のスイッチング損失やストレスが低減され、且つEMIノイズ・RFIノイズが抑制される。
【0077】
図11にパワー半導体デバイスの電圧/電流のスイッチング軌跡を、従来のハードスイッチング方式による場合を破線110で示し、ソフトスイッチング方式による場合を実線112で示す。
【0078】
ハードスイッチング方式の場合ではスイッチング時の電流と電圧の過渡交差によるスイッチング損失が大きい上に、dv/dtストレス、di/dtストレスが共に大きくなりパワー半導体デバイス固有のSOAの限界近くで動作しており、電圧サージ、電流サージが発生している。そのため一般的にハードスイッチング方式においてはスナバ回路を負荷してパワー半導体デバイスのスイッチング軌跡を電圧・電流の両軸の近くになるようにしている。
【0079】
これに対して、ソフトスイッチング方式ではスナバレスでスイッチング軌跡が縦の電流軸及び横の電圧軸の近くを通っているためスイッチング損失の大きな低減がなされていることが分かる。以上のことからソフトスイッチング方式を適用した場合、スイッチング過渡時のスイッチング損失やサージ電圧、サージ電流を低減でき、且つEMI/RFIノイズを抑制することができる。
【0080】
上述したように、本実施の形態に係るDC−DCコンバータ10は、パッシブ共振スナバにより効率のよい電圧変換が可能である。また、スイッチング素子はスイッチング素子30だけで足り、しかもソフトスイッチングのための周辺素子も少ない。スイッチング素子30の制御方法は従前のハードスイッチングPWMと変わらずに簡便に行うことができる。
【0081】
DC−DCコンバータ10のスナバ回路ではサージ電圧、サージ電流を抑制することができるとともに、回生動作を行うことからスナバ回路自身による損失はほとんど発生しない。
【0082】
なお、DC−DCコンバータ10では、スイッチング素子30は高負荷時及び軽負荷時の双方の場合にソフトスイッチング動作ができることはもちろんである。
【0083】
本発明に係るDC−DCコンバータは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施の形態に係るDC−DCコンバータの回路図である。
【図2】昇圧時のタイムチャートである。
【図3】昇圧時のモード0で電流の流れを示す回路図である。
【図4】昇圧時のモード1の前半で電流の流れを示す回路図である。
【図5】昇圧時のモード1の後半で電流の流れを示す回路図である。
【図6】昇圧時のモード2で電流の流れを示す回路図である。
【図7】昇圧時のモード3で電流の流れを示す回路図である。
【図8】昇圧時のモード4で電流の流れを示す回路図である。
【図9】昇圧時のモード5で電流の流れを示す回路図である。
【図10】IGBTのZVS/ZCSスイッチング波形例である。
【図11】パワー半導体デバイスの電圧/電流のスイッチング軌跡である。
【図12】従来技術に係るDC−DCコンバータの回路図である。
【図13】従来技術に係るスイッチング波形例である。
【符号の説明】
【0085】
10…DC−DCコンバータ 16…結合インダクタ
16a…一次インダクタ 16b…二次インダクタ
18…スイッチング機能部 22…補助インダクタ
23…ダイオード 24…共振インダクタ
30…スイッチング素子 32…逆導通ダイオード
34…スナバダイオード 36…スナバキャパシタ
38…回生ダイオード
Ti1…入力電源端子の一端 Ti2…入力電源端子の他端
To1…出力電源端子の一端 To2…出力電源端子の他端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次インダクタ及び二次インダクタからなる結合インダクタと、
2つの入力電源端子の間で、前記一次インダクタと直列接続されたスイッチング素子と、
前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から出力電源端子の一端までの間に設けられたメインダイオードと、
を備えたDC−DCコンバータであって、
スナバダイオード及びスナバキャパシタとからなるスナバ直列回路を前記スイッチング素子に並列接続し、
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に回生ダイオードを設け、
前記二次インダクタの他端を前記出力電源端子の一端に接続したことを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
請求項1記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から前記出力電源端子の一端までの間に、補助インダクタを備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に共振インダクタを備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項1】
一次インダクタ及び二次インダクタからなる結合インダクタと、
2つの入力電源端子の間で、前記一次インダクタと直列接続されたスイッチング素子と、
前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から出力電源端子の一端までの間に設けられたメインダイオードと、
を備えたDC−DCコンバータであって、
スナバダイオード及びスナバキャパシタとからなるスナバ直列回路を前記スイッチング素子に並列接続し、
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に回生ダイオードを設け、
前記二次インダクタの他端を前記出力電源端子の一端に接続したことを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項2】
請求項1記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記一次インダクタと前記スイッチング素子との接続点から前記出力電源端子の一端までの間に、補助インダクタを備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のDC−DCコンバータにおいて、
前記スナバダイオードと前記スナバキャパシタとの接続点から前記二次インダクタの一端までの間に共振インダクタを備えることを特徴とするDC−DCコンバータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−99421(P2008−99421A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277618(P2006−277618)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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