説明

DC/DCコンバータ

【課題】入力線からのノイズ放射を抑制し、周辺機器への影響を防止する。
【解決手段】入力部と、出力部と、平滑コンデンサC0と、複数のスイッチ素子を有する通電制御部10とを備え、複数のスイッチ素子をスイッチングすることにより電力変換を行うDC/DCコンバータ100であって、第1のインダクタL1は、入力部の正極側端子に対して平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が入力部の正極側端子と接続され、他端が通電制御部10の正極側端子と接続され、第2のインダクタL2は、入力部の負極側端子に対して平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が入力部の負極側端子と接続され、他端が通電制御部の負極側端子と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の電動及び電動アシストシステム系における電力変換器、特に、DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車1000の電動及び電動アシストシステム系の電力変換器の構成は、電力制御装置(PCU:Power Control Unit)500とバッテリ600とが、配線550を介してある距離を隔てて配設される。そして、この電力制御装置(PCU)500には、バッテリ600からの入力電気信号を受信するノイズフィルタ520と、その信号を変換するDC/DCコンバータ510とが備えられている(図16及び図17)。
【0003】
そして、ノイズフィルタ520は、ノイズ放射低減機能を有するコア共用型のインダクタで構成される。このコア共用型のインダクタの巻線方向は、お互いに磁気を打ち消し合うように巻き回しされているため、このコア共用型のインダクタの相互インダクタンスMは、ゼロとなっている。したがって、このノイズフィルタ520にメインの電流が入力されても、磁気蓄積効果は発生しないため、ノイズフィルタ520は、磁気蓄積機能を持っていない。
【0004】
また、DC/DCコンバータ510は、このノイズフィルタ520側の入力側の平滑コンデンサC0、磁気蓄積機能を有するインダクタL、通電制御を行う2個のスイッチ素子(ここでは、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)S1、S2、及び、出力部端子間には、キャパシタC1を備えて構成されている(図17)。したがって、ノイズ放射低減機能と磁気蓄積機能とが、ノイズフィルタ520とDC/DCコンバータ510とに機能分担された形態になっている。
【0005】
また、磁気蓄積機能を有するDC/DCコンバータとしては、例えば、2つの直列キャパシタを交互に充電することで、昇圧(降圧)率を可変とするDC/DCコンバータが開示されている(例えば、特許文献1)。このDC/DCコンバータは、スイッチSW1乃至スイッチSW4をオン・オフ制御することにより、DC電源入力部からキャパシタC1及びC2を個々に充電し、また、入力端子とスイッチSW1乃至SW4との間に接続されたインダクタL(昇降圧率可変用インダクタ)に磁気エネルギーを蓄積して、このインダクタLからの電流によってキャパシタC1及びC2を充電して、出力部に昇圧された電圧を得るものである。
【0006】
また、直列のキャパシタとそれに並列接続された電気スイッチとを備え、各キャパシタと電気スイッチ間に配設された突入電流防止用インダクタによって、一つの電圧レベルの降圧器の制御を行うDC/DCコンバータも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−224060号公報
【特許文献2】国際公開第WO00/45185号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記の従来技術によるDC/DCコンバータ510では、スイッチ素子S1、S2からのノイズ放射があり、このノイズは、例えば、車両後方にバッテリ600を配置し、車両前方にDC/DCコンバータ510が配置される場合は、バッテリ600からの配線550の長さは2m以上にもなるので、周辺機器への影響を与える虞があった。そのために、ノイズフィルタ520や厳重なシールドケーブルが必要となっていた(図16及び図17参照)。
【0009】
本発明は、前記問題点に鑑み創案されたもので、昇圧(降圧)を可変とするための磁気蓄積機能を有し、かつ、スイッチング時における入力線からの伝導ノイズを低減、及び、ノイズ放射を抑制し、周辺機器への影響を防止することが可能なDC/DCコンバータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るDC/DCコンバータは、正極側端子と負極側端子とを有する入力部と、正極側端子と負極側端子とを有する出力部と、一端が前記入力部の正極側端子と接続され、他端が前記入力部の負極側端子と接続された平滑コンデンサと、前記入力部と前記出力部との間に設けられた複数のスイッチ素子を有する通電制御部とを備え、前記複数のスイッチ素子をスイッチングすることにより電力変換を行うDC/DCコンバータであって、第1のインダクタは、前記入力部の正極側端子に対して前記平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が前記入力部の正極側端子と接続され、他端が前記通電制御部の正極側端子と接続され、第2のインダクタは、前記入力部の負極側端子に対して前記平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が前記入力部の負極側端子と接続され、他端が前記通電制御部の負極側端子と接続されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成により、従来のDC/DCコンバータの構成要素の一つである磁気蓄積機能を有する1つのインダクタを、第1のインダクタと第2のインダクタとの2つの構成として、平滑コンデンサの両端に分割配設することで、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを有するDC/DCコンバータを構成することができる。
【0012】
そして、本発明の請求項2に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、前記第2のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端と前記第1のスイッチ素子の一端とに接続され、他端が前記第2のインダクタの他端と前記出力部の負極側端子とに接続されていることを特徴とする。
【0013】
このような構成により、2つのスイッチ素子から構成される通電制御部を有する従来のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータが磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続する磁気相殺型の変圧器をさらに備え、前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前紀第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第2のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、前記第3のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第4のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成により、磁気相殺型の変圧器と4つのスイッチ素子から構成される通電制御部とを有する従来の磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0016】
そして、本発明の請求項4に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータが磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続する磁気相殺型の変圧器をさらに備え、前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第1のダイオードと第2のスイッチ素子と第2のダイオードとを備え、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第1のダイオードは、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、前記第2のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第2のダイオードは、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0017】
このような構成により、磁気相殺型の変圧器と、2つのスイッチ素子と2つのダイオードとから構成される通電制御部とを有する従来の磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0018】
そして、本発明の請求項5に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータが磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続ずる磁気相殺型の変圧器をさらに備え、前記通電制御部は、第1のダイオードと、第1のスイッチ素子と、第2のダイオードと第2のスイッチ素子とを備え、前記第1のダイオードは、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、前記第2のダイオードは、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、前記第2のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0019】
このような構成により、磁気相殺型の変圧器と、2つのダイオードと2つのスイッチ素子ダイオードとから構成される通電制御部とを有する従来の磁気相殺型の単方向降圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0020】
また、本発明の請求項6に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータがスイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、前記第2のスイッチ素子は、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第3のスイッチ素子は、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第4のスイッチ素子は、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0021】
このような構成により、2つの直列キャパシタと、4つのスイッチ素子から構成される通電制御部とを有する従来のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0022】
そして、本発明の請求項7に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータがスイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、前記通電制御部は、第1のダイオードと第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第2のダイオードとを備え、前記第1のダイオードは、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、前記第1のスイッチ素子は、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第2のスイッチ素子は、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第2のダイオードは、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0023】
このような構成により、2つの直列キャパシタと、2つのダイオードと2つのスイッチ素子とから構成される通電制御部とを有する従来のスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0024】
そして、本発明の請求項8に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータがスイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第1のダイオードと第2のダイオードと第2のスイッチ素子とを備え、前記第1のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、前記第1のダイオードは、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第2のダイオードは、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、前記第2のスイッチ素子は、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されていることを特徴とする。
【0025】
このような構成により、2つの直列キャパシタと、2つのスイッチ素子と2つのダイオードとから構成される通電制御部とを有する従来のスイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータに、磁気蓄積機能とノイズフィルタ機能とを具備させることができる。
【0026】
また、本発明の請求項9に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線が第1のコアに巻き回しされ、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線が第2のコアに巻き回しされており、前記第1のコアと前記第2のコアは独立して構成されていることを特徴とする。
【0027】
このような構成により、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制するノイズ放射低減効果の高いDC/DCコンバータを具現することができる。
【0028】
また、本発明の請求項10に係るDC/DCコンバータは、請求項9のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のコア及び前記第2のコアはそれぞれギャップ(隙間)を有していることを特徴とする。
【0029】
このような構成により、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制するノイズ放射低減効果の高いDC/DCコンバータを具現することができる。
【0030】
また、本発明の請求項11に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように1つの閉磁路が形成される1つのコアを共用してそのコアの異なる対向部分に巻き回しされていることを特徴とする。
【0031】
このような構成により、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータを具現することができる。
【0032】
そして、本発明の請求項12に係るDC/DCコンバータは、請求項11のDC/DCコンバータにおいて、前記コアの対向部分には、ギャップ(隙間)が形成されていることを特徴とする。
【0033】
このような構成により、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータを具現することができる。
【0034】
また、本発明の請求項13に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、前記コアは、中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、前記第1の巻線は、前記一方の側磁脚に巻き回しされ、前記第2の巻線は、前記他方の側磁脚に巻回しされていることを特徴とする。
【0035】
このような構成により、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータを具現することができる。
【0036】
そして、本発明の請求項14に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、前記コアは、中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記中央磁脚に積み重なるように巻き回しされ、前記中央磁脚と前記側磁脚には、ギャップ(隙間)が形成されていることを特徴とする。
【0037】
このような構成により、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータを具現することができる。
【0038】
そして、本発明の請求項15に係るDC/DCコンバータは、請求項1のDC/DCコンバータにおいて、前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、前記コアは、中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、前記中央磁脚を介して前記2つの側磁脚をつなぐつなぎ部を有し、前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記つなぎ部を挟んで前記中央磁脚に積み重なるように巻き回しされていることを特徴とする。
【0039】
このような構成により、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータを具現することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係るDC/DCコンバータは、昇圧(降圧)を可変とするための磁気蓄積機能を有し、かつ、スイッチング時における入力線からのノイズ放射を抑制し、周辺機器への影響を防止することを可能とし、従来のノイズフィルタを削除することができる。
したがって、自動車の電動及び電動アシストシステム系における電力変換器の構成部品点数を削減し、製造コスト低減化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータを説明するための回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータを説明するための回路図である。(a)は、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータであり、(b)は、スイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータである。
【図3】本発明の第3の実施形態のコア分離型の磁気相殺型のDC/DCコンバータを説明するための回路図である。(a)は、磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータであり、(b)は、磁気相殺型の単方向降圧型のDC/DCコンバータである。
【図4】本発明の第4の実施形態のコア分離型のスイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータを説明するための回路図である。(a)は、スイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータであり、(b)は、スイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータである。
【図5】本発明の実施形態のDC/DCコンバータにおける2つのインダクタをコア共用型のインダクタコアとした場合を説明するための図であり、(a)は、コア共用型のDC/DCコンバータに電流方向を示した回路図であり、(b)は、コアへの巻線方向、磁束方向を示したインダクタコアの説明図であり、(c)は、コアへの巻線方向、磁束方向及び漏れ磁束方向を示した中央磁脚、側磁脚を有するインダクタコアの説明図である。
【図6】比較例としての一般的なノイズフィルタのインダクタコアについて説明するための図であり、(a)は、一般的なノイズフィルタに電流方向を示した構成を説明するための回路図であり、(b)及び(c)は、コアへの巻線方向、磁束方向を示したインダクタコアの説明図である。
【図7】本発明の第5の実施形態のコア共用型のDC/DCコンバータを説明するための回路図である。(a)は、DC/DCコンバータであり、(b)は、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータであり、(c)は、スイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータである。
【図8】本発明の第6の実施形態のコア分離型及びコア共用型DC/DCコンバータにおけるインダクタコアの実施形態を説明するための図である。同図には、各インダクタコアの実施形態のノイズ放射低減効果及び体格についての大小比較も合わせて示した。
【図9】DC/DCコンバータのノイズ放射低減効果を測定するための測定系及び測定装置の概要を示す図である。
【図10】本発明のコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータのノイズ放射低減効果についての測定結果を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、得られた測定波形である。
【図11】図10の測定によって得られたノイズ電流値を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、ノイズ電流値(比較値)の波形である。
【図12】従来のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ(比較例1)のノイズ放射についての測定結果を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、得られた測定波形である。
【図13】従来のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ(比較例2)のノイズ放射についての測定結果を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、得られた測定波形である。
【図14】図12の測定によって得られたノイズ電流値を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、ノイズ電流値(比較値)の波形である。
【図15】図13の測定によって得られたノイズ電流値を説明するための図であり、(a)は、回路図、(b)は、ノイズ電流値(比較値)の波形である。
【図16】従来の自動車の電動及び電動アシストシステム系の電力変換器の構成を説明するための図である。
【図17】従来のノイズフィルタ及びDC/DCコンバータの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明のDC/DCコンバータの実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。さらに、図9乃至図15を参照して、実施形態による測定結果を説明する。
【0043】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態であるコア分離型のDC/DCコンバータ100について、図1を参照して説明する。
【0044】
コア分離型のDC/DCコンバータ100は、正極端子及び負極端子間にDC入力が行われる入力部と、バッテリから入力部までの配線長による抵抗とバッテリの内部抵抗のインピーダンスを低減する平滑コンデンサC0と、磁気エネルギーを蓄積し、通電制御部10を構成するスイッチ素子からのノイズを抑制するフィルタ効果を有するインダクタL1及びインダクタL2と、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2をオン・オフする通電制御部10とで構成される。ここで、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2は、大電流及び高耐圧動作が可能なトランジスタ機能と並列接続されたダイオード機能とを有するIGBTを使用する。そして、さらに、このコア分離型のDC/DCコンバータ100は、通電制御部10の出力電圧を平滑化するコンデンサC1と、出力電圧が正極端子及び負極端子間に出力される出力部とを備えて構成される。なお、図示しないが、本実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータ100の動作を制御する制御回路部が別途備えられている。
【0045】
本実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータ100において、入力部は、DC入力が行われる正極端子及び負極端子からなる。平滑コンデンサC0は、バッテリから入力部までの配線長による抵抗とバッテリの内部抵抗のインピーダンスを低減するコンデンサであり、インダクタとLC回路を形成してノイズフィルタとしても機能する。したがって、内部抵抗の低い電解コンデンサあるいはフィルムコンデンサ等が好適である。そして、インダクタL1及びインダクタL2は、本発明の主構成要素であり、磁気エネルギーを蓄積し、通電制御部10を構成するスイッチ素子からのノイズを抑制するフィルタ効果を有するインダクタである。インダクタを構成するコアは、小型化・軽量化・高周波対応及び共用型を考慮してフェライトコアやダストコア等を使用することが好ましい。通電制御部10は、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2から構成され、これらのスイッチ素子のオン・オフ動作を制御する。スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2は、大電流、高耐圧動作が可能なIGBTであり、フライホイールダイオード付のものを使用することが好ましい。また、高速スイッチングが必要とされる場合はMOSFET等が好ましい。また、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2は、高耐圧・耐環境特性を有するSiCトランジスタやGaNトランジスタ等の使用も考えられる。そして、コンデンサC1は、通電制御部10からの出力を平滑化するコンデンサである。出力部は、コンデンサC1からの出力電圧を正極端子及び負極端子から出力する。
【0046】
つぎに、このコア分離型のDC/DCコンバータ100の動作について説明する。DC/DCコンバータ100では、入力部の正極端子及び負極端子間に直流電圧が印加される。そして、入力電圧が平滑コンデンサC0により平滑化される。つぎに、スイッチ素子S2がオンするときインダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積され、スイッチ素子S2がオフするとき、蓄積された磁気エネルギーがスイッチ素子S1のダイオード機能を介して所定のデューティの磁気エネルギーが出力部に出力される。また、スイッチ素子S1がオンすると、インダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積され、スイッチ素子S1がオフするとき、蓄積された磁気エネルギーがスイッチ素子S2のダイオードを介して入力部に出力される。これにより出力部から入力部に直流エネルギーが移動する。
【0047】
このように構成することで、本実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータ100では、インダクタL1とインダクタL2は、磁気蓄積機能と共に、平滑コンデンサC0とでノイズフィルタとして機能するため、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S2のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができる。さらに、従来の電力制御装置(PCU)500の構成部品であるノイズフィルタ520(図16及び図17参照)を削除することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
つぎに、第2の実施形態として、図2(a)及び図2(b)を参照して、前記の本発明の主要件を適用したコア分離型の磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200及びコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300の実施形態を説明する。
【0049】
図2(a)は、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200の、昇圧動作における形態を示している。昇圧型のDC/DCコンバータの形態の場合は、図2(a)に示すように、左側の2端子が低電圧側の入力端子となり、右側の2端子が高電圧側の出力端子となる。また、降圧型のDC/DCコンバータの形態の場合は、高電圧側の右側端子が入力端子となり、低電圧側の左側端子が出力端子となり、昇圧型の場合と反対になって動作する。
【0050】
ここでは、図2(a)に示した昇圧型の形態の場合について、その構成及び動作を説明する。まず構成として、磁気相殺型の昇圧型の形態のDC/DCコンバータ200は、正極端子と負極端子との間にDC入力が行われる入力部と、バッテリから入力部までの配線長による抵抗とバッテリの内部抵抗のインピーダンスを低減する平滑コンデンサC0と、この平滑コンデンサC0の両端に直列にそれぞれ一端が接続されたインダクタL1及びインダクタL2と、そして、インダクタL1の他端に一端が接続される磁気相殺型の変圧器T125と、この磁気相殺型の変圧器T125の他端とインダクタL2の他端に接続されるスイッチ素子S1、スイッチ素子S2、スイッチ素子S3、及び、スイッチ素子S4をオン・オフ制御する通電制御部20と、この通電制御部20の出力電圧を平滑化するコンデンサC1と、出力電圧が正極端子及び負極端子間に出力される出力部とを備えて構成されている。なお、図示しないが、本実施形態のコア分離型の磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200の全体動作を制御する制御回路部が別途備えられている。
【0051】
すなわち、本実施形態の磁気相殺型の昇圧型の形態のDC/DCコンバータ200において、入力部は、DC入力が行われる正極端子と負極端子からなる。平滑コンデンサC0は、バッテリから入力部までの配線長による抵抗とバッテリの内部抵抗のインピーダンスを低減するコンデンサであり、インダクタとLC回路を形成してノイズフィルタとしても機能する。そして、インダクタL1及びインダクタL2は、本発明の主構成要素であり、平滑コンデンサC0の両端に直列にそれぞれ一端が接続され、磁気エネルギーを蓄積し、通電制御部20を構成するスイッチ素子からのノイズを抑制するフィルタ効果を有するインダクタである。磁気相殺型の変圧器T125は、コアを介して1次巻線(下側)と2次巻線(上側)とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続されている変圧器である。通電制御部20は、スイッチ素子S1乃至スイッチ素子S4から構成され、これらのスイッチ素子のオン・オフ動作を制御する。スイッチ素子S1乃至スイッチ素子S4は、大電流及び高耐圧動作が可能なトランジスタ機能と並列接続されたダイオード機能とを有するIGBTである。コンデンサC1は、通電制御部20からの出力を平滑化するコンデンサである。出力部は、コンデンサC1からの出力電圧を正極端子及び負極端子から出力する。
【0052】
磁気相殺型の変圧器T125は、コアを介して1次巻線(下側)と2次巻線(上側)とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続されている。図示された1次巻線及び2次巻線に付されたドット記号は、電圧が誘起されたときの高電位側を示している。コアとして、例えば、フェライトコアを使用することで高周波に対応できかつ磁気相殺型の変圧器T125を軽量化することができる。
【0053】
また、通電制御部20の各スイッチ素子S1乃至S4と他の部位との接続関係を述べる。スイッチ素子S1は、その一端が磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線の共通端子とは反対側の端子に接続されており、その他端がインダクタL2の他端及び出力部の負極側端子に接続されている。そして、スイッチ素子S2は、その一端が磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線の共通端子とは反対側の端子に接続され、その他端が出力部の正極側端子に接続されている。スイッチ素子S3は、その一端が磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線の共通端子とは反対側の端子に接続され、その他端がインダクタL2の他端及び出力部の負極側端子に接続されている。そして、スイッチ素子S4は、その一端が磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線の共通端子とは反対側の端子に接続され、その他端が出力部の正極側端子に接続されている。
【0054】
つぎに、図2(a)に示した昇圧型の形態の場合について、その動作を説明する。まず、別途設けられた制御回路部から通電制御部20のスイッチ素子S1及びスイッチ素子S3の各ゲートに信号が与えられ、スイッチ素子S1とスイッチ素子S3とを交互にオン・オフ動作をさせる。スイッチ素子S1とスイッチ素子S3のオン動作時間のデューティは、所望する昇圧(降圧)率に応じて位相をずらして変化させる。このとき、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S4の各ゲートにはオフ信号のみが与えられ、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S4は常にオフ状態に保持される。昇圧動作の場合には、入力部に入力された入力電圧である直流電圧DC+が入力電圧となり、この直流電圧DC+が変換され、出力部には、この入力電圧以上の約2倍の電圧値である、入力電圧DC+とインダクタL1及びインダクタL2の誘起電圧と磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線の誘起電圧とが加算された直流電圧、が出力電圧として出力部に出力される。したがって、昇圧動作は、低電圧の入力部側から出力部の高電圧側に向かって順方向に行われる。
【0055】
さらに、スイッチ素子S1とスイッチ素子S3とがそれぞれ交互にオン・オフ動作する場合について説明する。
スイッチ素子S1のみがオンすると、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)には、励磁電流が流れる。この励磁電流は入力部のDC+端子、インダクタL1、スイッチ素子S1、そして、インダクタL2のルートを流れる。スイッチ素子S1がオン状態である間は、この励磁電流は次第に増加し、スイッチ素子S1がオフされると、励磁電流は次第に減少しゼロになる。この間にインダクタL1及びインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積される。そして、スイッチ素子S1がオフされると、この蓄積された磁気エネルギーがインダクタL1及びインダクタL2から放出される。これらインダクタL1とインダクタL2から放出される励磁電流は、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線、スイッチ素子S2のダイオード部分を通り出力部の+端子へ流れる。
【0056】
また、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)に励磁電流が流れると、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線(上側)には、相互誘導作用により励磁電流が発生する。この励磁電流は、スイッチ素子S4のダイオード部分を通り出力部の+端子へ流れる。この2次巻線の励磁電流は、1次巻線の励磁電流と実質的に同形の変化特性で発生し、かつ巻線比から実質的に同じ値で生じる。この磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線の励磁電流により平滑コンデンサC1が充電され、その結果、出力部の前記出力電圧が出力される。
【0057】
一方、スイッチ素子S3のみがオンすると、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線(上側)には励磁電流が流れる、この励磁電流は入力部のDC+端子、インダクタL1、スイッチ素子S3、そして、インダクタL2へ流れる。スイッチ素子S3がオン状態である間は、この励磁電流は次第に増加し、スイッチ素子S3がオフされると、励磁電流は次第に減少しゼロになる。この間にインダクタL1及びインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積される。そして、スイッチ素子S3がオフされると、この蓄積された磁気エネルギーがインダクタL1及びインダクタL2から放出される。これらインダクタL1とインダクタL2から放出される励磁電流は、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線、スイッチ素子S4のダイオード部分を通り出力部の+端子へ流れる。
【0058】
また、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線(上側)に励磁電流が流れると、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)には、相互誘導作用により励磁電流が発生する。この励磁電流は、スイッチ素子S2のダイオード部分を通り出力部の+端子へ流れる。この1次巻線の励磁電流は、2次巻線の励磁電流と実質的に同形の変化特性で発生し、かつ巻線比から実質的に同じ値で生じる。この磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線の励磁電流により平滑コンデンサC1が充電され、その結果、出力部の前記出力電圧が出力される。
【0059】
したがって、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200の昇圧動作では、磁気相殺型の変圧器T125を有するので、スイッチ素子S1がオンしかつスイッチ素子S3がオフすると、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)に励磁電流が流れ、同時に、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線(上側)にもこの変圧器T125磁化を相殺する方向に励磁電流が流れ、この2次巻線(上側)を通して磁気エネルギーが出力部の+端子へ供給される。そして、スイッチ素子S3がオンしかつスイッチ素子S1がオフすると、磁気相殺型の変圧器T125の2次巻線(上側)に励磁電流が流れ、同時に、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)にもこの変圧器T125磁化を相殺する方向に励磁電流が流れ、この1次巻線(下側)を通して磁気エネルギーが出力部の+端子へ供給される。これによって、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)と2次巻線(上側)のそれぞれの励磁電流の向きが反対になり、磁気相殺型の変圧器T125の直流磁化が相殺され、磁気飽和を抑制することができる。したがって、小さなコアであってもより大きな電力を扱うことができる。
【0060】
また、出力部から出力される直流電圧は、インダクタL1とインダクタL2を設けたことで、入力電圧に対する出力電圧の昇圧機能は、これらインダクタL1とインダクタL2とに基づく誘導起電力と、磁気相殺型の変圧器T125の1次巻線(下側)と2次巻線(上側)とによる誘導起電力との和として実現される。その結果、スイッチ素子S1とスイッチ素子S3のオン動作時間のデューティを50%以下に可変することにより、入力電圧を1〜2倍の範囲で所望の値に昇圧することが可能となり、デューティを50%以上に可変にしてラップ期間を設けることにより2倍超の所望の値で昇圧することが可能となる。
【0061】
さらに、本実施形態のコア分離型の磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200では、このように構成することで、インダクタL1とインダクタL2は、磁気蓄積機能と共に、平滑コンデンサC0とでノイズフィルタとして機能するため、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S3のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができる。さらに、従来の電力制御装置(PCU)500の構成部品であるノイズフィルタ520(図16及び図17参照)を削除することができる。
【0062】
つぎに、コア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300の昇圧動作における形態の場合について、図2(b)を参照して、その構成及び動作を説明する。
【0063】
まず、コア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇圧型の形態のDC/DCコンバータ300の構成は、正極端子と負極端子との間にDC入力が行われる入力部と、バッテリから入力部までの配線長によるインダクタとでLC回路を形成し、DC入力のノイズを平滑化する平滑コンデンサC0と、この平滑コンデンサC0の両端に直列にそれぞれ一端が接続されたインダクタL1及びインダクタL2と、そして、インダクタL1の他端に並列に接続されたスイッチ素子S1とスイッチ素子S2と、インダクタL2の他端に並列に接続されたスイッチ素子S3とスイッチ素子S4とから構成される通電制御部30と、スイッチ素子S1とスイッチ素子S2との他端に接続されたキャパシタC1と、スイッチ素子S3とスイッチ素子S4との他端に接続されたキャパシタC2とが直列接続された直列キャパシタ35と、直列キャパシタ35の両端を正極端子及び負極端子とする出力部とを備えて構成されている。なお、図示しないが、コア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇圧型の形態のDC/DCコンバータ300の全体動作を制御する制御回路部が別途備えられている。
【0064】
ここで、スイッチ素子S1乃至スイッチ素子S4は、第1の実施形態と同様に、大電流及び高耐圧動作が可能なトランジスタ機能と並列接続されたダイオード機能とを有するIGBTを使用する。
【0065】
そして、このコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇圧型の形態のDC/DCコンバータ300の動作を説明する。まず、別途設けられた制御回路部から通電制御部30のスイッチ素子S2及びスイッチ素子S3の各ゲートに信号が与えられ、スイッチ素子S2とスイッチ素子S3とを交互にオン・オフ動作をさせる。スイッチ素子S2とスイッチ素子S3のオン動作時間のデューティは、同時にオン状態にならないように50%以下で位相をずらして変化させる。このとき、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S4の各ゲートにはオフ信号のみが与えられ、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S4は常にオフ状態に保持される。このようにすることで入力部の入力電圧を1倍から2倍に昇圧して出力部から出力する。また、50%以上のデューティ比とすれば、S2とS3とが同時にオンする時間は、L1及びL2に磁気エネルギーが蓄積され、その蓄積エネルギーを用いることで2倍以上の昇圧を行うことも可能である。
【0066】
そして、キャパシタC1とキャパシタC2とを交互に充電すると同時に、インダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーを蓄積させて昇圧を行う。
【0067】
まず、昇圧動作において、キャパシタC2が充電される場合の動作を説明する。スイッチ素子S2のゲート電圧が印加されてスイッチ素子S2がオンする。このとき、他のスイッチ素子S1、スイッチ素子S3、及び、スイッチ素子S4は、オフ状態である。そして、入力部のDC+端子、インダクタL1、スイッチ素子S2、キャパシタC2、スイッチ素子S4のダイオード部分、インダクタL2、そして、入力部のDC−端子のルートで充電電流が流れる。このとき、キャパシタC2が充電されると共に、インダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積される。
【0068】
ついで、スイッチS2がオフする。このとき、他のスイッチS1、スイッチS3、及び、スイッチS4は、オフ状態である。そして、インダクタL1及びインダクタL2に蓄積されていた磁気エネルギーが放出されて、充電電流がインダクタL1、スイッチ素子S1のダイオード部分、キャパシタC1、キャパシタC2、スイッチ素子S4のダイオード部分、インダクタL2、そして、入力部のDC−端子のルートで流れる。
【0069】
一方、キャパシタC1が充電される場合の動作を説明する。スイッチ素子S3のゲート電圧が印加されてスイッチ素子S3がオンする。このとき、他のスイッチ素子S1、スイッチ素子S2、及び、スイッチ素子S4は、オフ状態である。そして、入力部のDC+端子、インダクタL1、スイッチ素子S1のダイオード部分、キャパシタC1、スイッチ素子S3、インダクタL2、そして、入力部のDC−端子のルートで充電電流が流れる。このとき、キャパシタC1が充電されると共に、インダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーが蓄積される。
【0070】
ついで、スイッチS3がオフする。このとき、他のスイッチS1、スイッチS2、及び、スイッチS4は、オフ状態である。そして、インダクタL1及びインダクタL2に蓄積されていた磁気エネルギーが放出されて、充電電流がインダクタL1、スイッチ素子S1のダイオード部分、キャパシタC1、キャパシタC2、スイッチ素子S4のダイオード部分、インダクタL2、そして、入力部のDC−端子のルートで流れる。
【0071】
このように、直列に接続されたキャパシタC1とキャパシタC2へ入力部から交互に充電電流を流すことと、この充電電流でインダクタL1とインダクタL2に磁気エネルギーを蓄積し、これらインダクタL1とインダクタL2からの磁気エネルギーの放出による充電電流で、キャパシタC1とキャパシタC2とを充電することで昇圧動作が行われる。
【0072】
さらに、本実施形態のコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300では、このように構成することで、インダクタL1とインダクタL2は、磁気蓄積機能と共に、平滑コンデンサC0とでノイズフィルタとして機能するため、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができる。さらに、従来の電力制御装置(PCU)500の構成部品であるノイズフィルタ520(図16及び図17参照)を削除することができる。
【0073】
(第3の実施形態)
つぎに、第3の実施形態として、図3(a)及び図3(b)を参照して、前記の本発明の主要件を適用したコア分離型の磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ211及び磁気相殺型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ212の実施形態を説明する。
【0074】
本実施形態の2つのコア分離型のDC/DCコンバータは、第2の実施形態で図2(a)を参照して説明した磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200の基本構成から成り、通信制御部20の所定のスイッチ素子をダイオードに置き換えることによって、単方向昇圧型及び単方向降圧型の機能を限定した磁気相殺型のDC/DCコンバータとしたものであり、その他の主な構成及び機能は、第2の実施形態の磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200と同様である。ここでは、異なる点についてのみ説明する。
【0075】
具体的には、図3(a)の磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ211は、通電制御部21の構成を、スイッチ素子S1、スイッチ素子S2、ダイオードD1、及び、ダイオードD2としたもので、第2の実施形態で説明した昇圧型の形態に機能を限定したものである。したがって、第2の実施形態の動作で説明した、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S3とがIGBTによるスイッチ動作をする機能を持ち、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S4とが常にオフ状態で使用する場合に、すなわち、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S4のダイオード特性のみを使用することに相当する動作を行う。
【0076】
したがって、各通電制御部のスイッチ素子とダイオードとの関係は、それぞれ、第2の実施形態の各スイッチ素子に対し、本実施形態のスイッチ素子及びダイオードは、スイッチ素子S1は、スイッチ素子S1に相当し、ダイオードD1は、スイッチ素子S2に相当し、スイッチ素子S2は、スイッチ素子S3に相当し、ダイオードD2は、スイッチ素子S4にそれぞれ相当するように配設したものである。このように構成した磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ211では、スイッチ素子をダイオードに置き換えることによりスイッチ数を削減している。
【0077】
一方、図3(b)の磁気相殺型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ212は、通電制御部22の構成を、ダイオードD1、スイッチ素子S1、ダイオードD2、及び、スイッチ素子S2としたもので、第2の実施形態で説明した降圧型の形態に機能を限定したものである。したがって、第2の実施形態の動作で説明した、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S4とがIGBTによるスイッチ動作をする機能を持ち、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S3とが常にオフ状態で使用する場合に、すなわち、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S3のダイオード特性のみを使用することに相当する動作を行う。
【0078】
したがって、各通電制御部のスイッチ素子とダイオードとの関係は、それぞれ、第2の実施形態の各スイッチ素子に対し、本実施形態のスイッチ素子及びダイオードは、ダイオードD1は、スイッチ素子S1に相当し、スイッチ素子S1は、スイッチ素子S2に相当し、ダイオードD2は、スイッチ素子S3に相当し、スイッチ素子S2は、スイッチ素子S4にそれぞれ相当するように配設したものである。このように構成した磁気相殺型の単方向降圧型のDCDCコンバータ212では、スイッチ素子をダイオードに置き換えることによりスイッチ数を削減している。
【0079】
このように構成することで、本実施形態のコア分離型の磁気相殺型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ211及び磁気相殺型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ212では、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができる。そして、スイッチ素子をダイオードに置き換えることにより、スイッチ数を削減した磁気相殺型の単方向昇圧型及び単方向降圧型の機能に限定したDC/DCコンバータを実現することができる。
【0080】
(第4の実施形態)
つぎに、第4の実施形態として、図4(a)及び図4(b)を参照して、前記の本発明の主要件を適用したコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ311及びスイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ312の実施形態を説明する。
【0081】
本実施形態の2つのコア分離型のDC/DCコンバータは、第2の実施形態で図2(b)を参照して説明したスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300の基本構成から成り、通信制御部30の所定のスイッチ素子をダイオードに置き換えることによって、単方向昇圧型及び単方向降圧型の機能を有するスイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータとしたものであり、その他の主な構成及び機能は、第2の実施形態のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300と同様である。ここでは、異なる点についてのみ説明する。
【0082】
具体的には、図4(a)のスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ311は、通電制御部31の構成を、ダイオードD1、スイッチ素子S2、スイッチ素子S3、及び、ダイオードD2としたもので、第2の実施形態で説明した昇圧型の形態に機能を限定したものである。したがって、第2の実施形態の動作で説明した、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3とがIGBTによるスイッチ動作をする機能を持ち、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S4とが常にオフ状態で使用する場合に、すなわち、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S4のダイオード特性のみを使用することに相当する動作を行う。
【0083】
したがって、各通電制御部のスイッチ素子とダイオードとの関係は、それぞれ、第2の実施形態の各スイッチ素子に対し、本実施形態のスイッチ素子及びダイオードは、ダイオードD1は、スイッチ素子S1に相当し、スイッチ素子S2は、スイッチ素子S2に相当し、スイッチ素子S3は、スイッチ素子S3に相当し、ダイオードD2は、スイッチ素子S4にそれぞれ相当するように配設したものである。このように構成したスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ311では、スイッチ素子をダイオードに置き換えることによりスイッチ数を削減している。
【0084】
一方、図4(b)のスイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ312は、通電制御部32の構成を、スイッチ素子S1、ダイオードD1、ダイオードD2、及び、スイッチ素子S2としたもので、第2の実施形態で説明した降圧型の形態に機能を限定したものである。したがって、第2の実施形態の動作で説明した、スイッチ素子S1及びスイッチ素子S4とがIGBTによるスイッチ動作をする機能を持ち、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3とが常にオフ状態で使用する場合に、すなわち、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3のダイオード特性のみを使用することに相当する動作を行う。
【0085】
したがって、各通電制御部のスイッチ素子とダイオードとの関係は、それぞれ、第2の実施形態の各スイッチ素子に対し、本実施形態のスイッチ素子及びダイオードは、スイッチ素子S1は、スイッチ素子S1に相当し、ダイオードD1は、スイッチ素子S2に相当し、スイッチ素子S3は、ダイオードD2は、スイッチ素子S3に相当し、スイッチ素子2は、スイッチ素子S4にそれぞれ相当するように配設したものである。このように構成したスイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ312では、スイッチ素子をダイオードに置き換えることによりスイッチ数を削減している。
【0086】
このように構成することで、本実施形態のコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型のDC/DCコンバータ312及びスイッチトキャパシタンス型の単方向降圧型のDC/DCコンバータ312では、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができる。そして、スイッチ素子をダイオードに置き換えることにより、スイッチ数を削減したスイッチトキャパシタンス型の単方向昇圧型及び単方向降圧型の機能に限定したDC/DCコンバータを実現することができる。
【0087】
つぎに、本発明のDC/DCコンバータにおけるインダクタL1及びインダクタL2のコアを共用型にした場合を想定し、その共用型インダクタコアについて、従来の一般的なノイズフィルタ520と比較しながら、図5及び図6を参照して説明する。
【0088】
図5(a)は、例えば、コア共用型のインダクタコアを本発明の第1の実施形態で説明したDC/DCコンバータ100に適用したDC/DCコンバータ110を示す。図5(a)では、印加する電流方向と発生する誘導磁場方向とを示した回路図である。インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有しており、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように相互インダクタンスMを有して配設されていることが要件である。
【0089】
また、図5(b)は、本実施形態におけるインダクタL1とのインダクタL2の巻線方向と発生する磁束方向をと示した図である。各巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように閉磁路が形成される一つのコアを共用して巻き回しされている。
【0090】
そして、図5(c)は、中央磁脚とこの中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有する一つのコアに、本実施形態におけるインダクタL1とインダクタL2の巻線方向と発生する磁束方向とを示した図である。一方及び他方の側磁脚にそれぞれインダクタL1とインダクタL2の巻線が巻き回しされている。
【0091】
したがって、本実施形態においては、2つのコイルを直列に巻いた場合と同様なインダクタンスの値を有する。そして、磁気蓄積機能を持ち昇圧に必要なインダクタンスを持つものである。
【0092】
また、図6(a)は、従来の一般的なノイズフィルタ520において、電流方向を示した回路図である。ノイズフィルタ520においては、通電時に発生する磁束が打ち消し合うように、すなわち、相互インダクタンスMが1になるように配設されている。そして、コモンモードノイズに対しては強めあうようにインダクタンスが発生してノイズを低減するが、図6(b)及び図6(c)に示すように、通電電流に対してはインダクタンスを持たない。したがって、このノイズフィルタ520は、磁気蓄積機能がない。
【0093】
(第5の実施形態)
そして、第5の実施形態として、図7(a)乃至図7(c)を参照して、本発明の主要件であるインダクタL1とインダクタL2とが、コア共用型である形態とした、DC/DCコンバータ110、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ210及びスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ310の実施形態を説明する。
【0094】
この実施形態のコア共用型においては、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電に磁束を生じる第2の巻線を有しており、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように相互インダクタンスMを有して形成されている。
【0095】
その他の構成及び機能は、第1の実施形態及び第2の実施形態で説明したDC/DCコンバータ100、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ200及びスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ300とそれぞれ同様である。
【0096】
このように構成することで、本実施形態のコア共型のDC/DCコンバータ110、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ210及びスイッチトキャパシタタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ310では、第1の実施形態及び第2の実施形態のDC/DCコンバータにおけるコア分離型のインダクタL1及びインダクタL2の構成よりも体格の小さいインダクタコアを有し、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチングに発生するノイズを低減して、入力線からのノイズ放射を抑制することができるDC/DCコンバータ110、磁気相殺型の昇降圧型のDC/DCコンバータ210及びスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ310となっている。
【0097】
(第6の実施形態)
つぎに、前記のインダクタコアに関する考察を踏まえて、本発明のDC/DCコンバータの実施形態として、図8(A)及び図8(B)を参照してインダクタコアの構成例を説明する。
【0098】
図8(A)(a)及び図8(A)(b)は、第1の実施形態のコア分離型のDC/DCコンバータ100におけるインダクタコアの実施形態を説明するための図であり、図8(B)(c)乃至図8(B)(g)は、図5(a)のコア共用型のDC/DCコンバータ110におけるインダクタコアの実施形態を説明するための図である。
【0099】
さらに、図8における各実施形態は、各インダクタコアの実施形態のノイズ放射低減効果及び体格についての大小比較を横軸にして配置した。図8において、紙面左側に配置されるほどノイズ放射低減効果が大きく、体格は大きくなる。一方、紙面右側に配置されるほどノイズ放射低減効果は小さく、体格は小さくなることを示している。
【0100】
図8A(a)において、イングクタL1は、通電時に磁束を生じる巻線がコア1に巻き回しされ、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる巻線がコア2に巻き回しされており、コア1とコア2は独立して構成されている。このように構成することで、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制するノイズ放射低減効果の高いDC/DCコンバータとなっている。
【0101】
図8A(b)は、図8A(a)に示すコアの形態において、コア1及びコア2がそれぞれギャップ(隙間)を有している形態を示している。このようにギャップ(隙間)を設けた構成にすることで、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制するノイズ放射低減効果の高いDC/DCコンバータとなっている。
【0102】
図8B(c)において、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように1つの閉磁路が形成される1つのコアを共用してそのコアの異なる対向部分に巻き回しされている。このように構成することで、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータとなっている。
【0103】
図8B(d)では、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように1つの閉磁路が形成される1つのコアを共用してそのコアの異なる対向部分にそれぞれ巻き回しされている。そして、このコアの対向部分には、ギャップ(隙間)が形成されている。このように構成することで、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータとなっている。
【0104】
そして、図8B(e)において、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされている。そして、このコアは、中央磁脚とその中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、第1の巻線は、一方の側磁脚に巻き回しされ、第2の巻線は、他方の側磁脚に巻回しされている。したがって、このように構成することで、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタを有するDC/DCコンバータとなっている。
【0105】
そして、図8B(f)においては、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされている。そして、このコアは、中央磁脚とその中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、第1の巻線及び第2の巻線は、中央磁脚に積み重なるように巻き回しされ、中央磁脚と側磁脚には、ギャップ(隙間)が形成されている。このように構成することで、磁気飽和を防止することができる。また、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータとなっている。
【0106】
図8B(g)において、インダクタL1は、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、インダクタL2は、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、これら第1の巻線及び第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされている。そして、このコアは、中央磁脚とその中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、この中央磁脚を介して2つの側磁脚とをつなぐつなぎ部を有した構成になっている。そして、第1の巻線及び第2の巻線は、このつなぎ部を挟んで中央磁脚に積み重なるように巻き回しされている。このように構成することで、磁気蓄積機能と共にスイッチ素子のスイッチング時に発生するノイズが入力線から放射されることを抑制する体格の小さいインダクタコアを有するDC/DCコンバータとなっている。
【0107】
図8のそれぞれにおける実施形態のインダクタコアの構成について、ノイズ放射低減効果及び体格についての大小比較を行った結果、ノイズ放射低減効果が大きい実施形態は、コア分離型の構成であるが、コア分離型では当然体格は大きくなる(図8(A)(a)及び(b))。一方、ノイズ放射低減効果が小さい実施形態は、コア共用型の構成であるが、コア共用型では体格は小さくなる(図8(B)(c)及び(d))という実験結果が得られた。
【0108】
また、ギャップの有無については、ノイズ低減の明確な効果の差異はないが、磁気飽和を防止できるという点で差異がある。
【0109】
したがって、ノイズ放射低減効果とインダクタコアの体格には、トレードオフの関係があると思われる。
【0110】
つぎに、本発明の実施形態のDC/DCコンバータにおける入力線からのノイズ放射低減効果の確認実験を行った結果を、従来のDC/DCコンバータと比較して、図9乃至図15を参照して説明する。
【0111】
まず、図9を参照して確認実験のための測定系の構成及び装置について説明する。確認実験のための測定系は、被測定試料455であるDC/DCコンバータの入力端子DC+及びDC−に直流電圧を印加する直流電源装置(高砂社製)450、DC/DCコンバータの入力線側のノイズを測定する電流センサであるRF電流センサプローブ(シャフナー社製CSP9160)460、前記RF電流センサプローブ(シャフナー社製CSP9160)460の検出電流波形を表示するオシロスコープ(横河DL7480)470、被測定試料であるDC/DCコンバータ、及び、出力側端子にはキャパシタCoutを介して電子負荷装置(高砂社製)480を備えて構成される。本実験では、被測定試料455であるDC/DCコンバータの入力線側のノイズを測定するRF電流センサプローブ460の検出電流波形を示すオシロスコープ470のデータを、電流センサのノイズ波形の信号IDC(Common)として、被測定試料455を以下の3種類の場合について測定を行い、それぞれの測定結果を比較した。
【0112】
図10及び図11は、被測定試料455として、本発明の第2の実施形態であるのコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ320についてその入力線側のノイズを、電流センサを用いて測定した結果を示している。
【0113】
図10(a)は、本実験で用いたコア分離型のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ320の回路図であり、インダクタL1及びインダクタL2のインダクタンス値は、それぞれL/2とし、比較する従来のDC/DCコンバータのインダクタLのインダクタンス値の1/2とした。
【0114】
図10(b)は、入力線側で電流センサを用いてノイズ波形を信号IDC(Common)として測定した結果である。そして、第2のスイッチ素子S2及び第3のスイッチ素子S3のスイッチング電圧波形であるVce(SW2)及びVce(SW3)をレファレンスとして測定した結果である。
入力線側での測定信号IDC(Common)が、第2のスイッチ素子S2及び第3のスイッチ素子S3のスイッチング時において、ほとんど影響されないということがわかる。すなわち、入力線からのノイズ放射低減効果が確認された。
【0115】
一方、図12乃至図15は、被測定試料455として、従来のスイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ400及び410についてその入力線側のノイズを、電流センサを用いて測定した結果を示している(比較例1及び比較例2)。
【0116】
図12(a)は、スイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ400(比較例1)の回路図であり、インダクタLがインダクタンス値Lとして、入力部の正極側端子に対して平滑コンデンサC0と並列接続の関係にあり、かつ、一端が入力部の正極側端子と接続され、他端がスイッチ素子S1とスイッチ素子S2の間に接続されている。
【0117】
図12(b)は、入力線側で電流センサを用いてノイズ波形を信号IDC(Common)として測定した結果である。そして、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3のスイッチング電圧波形であるVce(SW2)及びVce(SW3)をレファレンスとして測定した結果である。
入力線側での測定信号IDC(Common)が、スイッチ素子S3のスイッチング時において、変化していることが確認された。すなわち、入力線からのノイズの影響を受けていることが確認された。
【0118】
また、図13(a)は、スイッチトキャパシタンス型の昇降圧型のDC/DCコンバータ410(比較例2)の回路図であり、インダクタLがインダクタンス値Lとして、入力部の負極側端子に対して平滑コンデンサC0と並列接続の関係にあり、かつ、一端が入力部の負極側端子と接続され、他端がスイッチ素子S3とスイッチ素子S4の間に接続されている。
【0119】
図13(b)は、入力線側で電流センサを用いてノイズ波形を信号IDC(Common)として測定した結果である。そして、スイッチ素子S2及びスイッチ素子S3のスイッチング電圧波形であるVce(SW2)及びVce(SW3)をレファレンスとして測定した結果である。
入力線側での測定信号IDC(Common)が、スイッチ素子S2のスイッチング時において、変化していることが確認された。すなわち、比較例1と同様に、入力線からのノイズの影響を受けていることが確認された。
【0120】
本確認実験の測定結果を、図11、図14、及び、図15を参照して説明する。
図11(a)、図14(a)、及び、図15(a)は、それぞれ、本実施形態、比較例1、及び、比較例2のDC/DCコンバータの回路図を示しており、基本的には、図10(a)、図12(a)、及び、図13(a)と同様である。
図11(b)、図14(b)、及び、図15(b)は、前記各DC/DCコンバータの入力線側での測定信号IDC(Common)の測定によって得られた代表的なノイズ電流値の変化部分の測定波形を示している。各測定波形の変化部分のノイズ電流値を比較すると、本実施形態では、比較値9であり、比較例1及び比較例2における比較値は、それぞれ、18及び20であった。測定波形の大きなゆれは電源の影響と考慮すると、本実施形態によるDC/DCコンバータでは、従来のDC/DCコンバータの50%以上の低減効果を得ることが実験的にも確かめられた。
【0121】
以上説明したように、本実施形態のDC/DCコンバータによれば、昇圧(降圧)を可変とするための磁気蓄積機能を有し、かつ、スイッチング時における入力線からのノイズ放射を抑制し、周辺機器への影響を防止することを可能とし、従来のノイズフィルタを削除することができる。
したがって、本実施形態のDC/DCコンバータによれば、自動車の電動及び電動アシストシステム系における電力変換器の構成部品点数を削減し、製造コスト低減化を実現することができる。
【0122】
以上、各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、燃料電池自動車(FCV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、電気自動車(EV)、及び、太陽光発電システム等の電動及び電動アシストシステム系の電力変換器に利用することができる。
【符号の説明】
【0123】
10、20、21、22、30、31、32 通電制御部
25 磁気相殺型変圧器(T1)
35 直列キャパシタ
100、110 DC/DCコンバータ
200、210 磁気相殺型DC/DCコンバータ(昇降圧型)
211 磁気相殺型DC/DCコンバータ(単方向昇圧型)
212 磁気相殺型DC/DCコンバータ(単方向降圧型)
300、310、320 スイッチトキャパシタンス型DC/DCコンバータ(昇降圧型)
311 スイッチトキャパシタンス型DC/DCコンバータ(単方向昇圧型)
312 スイッチトキャパシタンス型DC/DCコンバータ(単方向降圧型)
400、410 従来のスイッチトキャパシタンス型DC/DCコンバータ(昇降圧型)
450 直流電源装置(高砂社製)
455 被測定試料(DC/DCコンバータ)
460 RF電流センサプローブ(シャフナー社製CSP9160)
470 オシロスコープ(横河DL7480)
480 電子負荷装置(高砂社製)
500 電力制御装置(PCU)
510 DC/DCコンバータ
520 ノイズフィルタ
550 配線
600 バッテリ
1000 自動車
L、L1、L2 インダクタ
M 相互インダクタンス
C0 平滑コンデンサ
C1、C2、Cout キャパシタ
S1、S2、S3、S4 スイッチ素子
D1、D2 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極側端子と負極側端子とを有する入力部と、正極側端子と負極側端子とを有する出力部と、一端が前記入力部の正極側端子と接続され、他端が前記入力部の負極側端子と接続された平滑コンデンサと、前記入力部と前記出力部との間に設けられた複数のスイッチ素子を有する通電制御部とを備え、前記複数のスイッチ素子をスイッチングすることにより電力変換を行うDC/DCコンバータであって、
第1のインダクタは、
前記入力部の正極側端子に対して前記平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が前記入力部の正極側端子と接続され、他端が前記通電制御部の正極側端子と接続され、
第2のインダクタは、
前記入力部の負極側端子に対して前記平滑コンデンサと並列接続の関係にあり、かつ、一端が前記入力部の負極側端子と接続され、他端が前記通電制御部の負極側端子と接続されている
ことを特徴とするDC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子とを備え、
前記第1のスイッチ素子は、
一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、
一端が前記第1のインダクタの他端と前記第1のスイッチ素子の一端とに接続され、他端が前記第2のインダクタの他端と前記出力部の負極側端子とに接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、
コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続する磁気相殺型の変圧器をさらに備え、
前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子とを備え、
前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前紀第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第3のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第4のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項4】
磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、
コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続する磁気相殺型の変圧器をさらに備え、
前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第1のダイオードと第2のスイッチ素子と第2のダイオードとを備え、
前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第1のダイオードは、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第2のダイオードは、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項5】
磁気相殺型のDC/DCコンバータであって、
コアを介して1次巻線と2次巻線とが磁気的に結合し、1対1の巻数比で逆巻結線に接続され、前記第1のインダクタの他端に前記1次巻線と前記2次巻線との共通端子を接続ずる磁気相殺型の変圧器をさらに備え、
前記通電制御部は、第1のダイオードと、第1のスイッチ素子と、第2のダイオードと第2のスイッチ素子とを備え、
前記第1のダイオードは、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第1のスイッチ素子は、一端が前記1次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第2のダイオードは、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記第2のインダクタの他端及び前記出力部の負極側端子に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、一端が前記2次巻線の前記共通端子とは反対側の端子に接続され、他端が前記出力部の正極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項6】
スイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、
直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、
前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第3のスイッチ素子と第4のスイッチ素子とを備え、
前記第1のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第3のスイッチ素子は、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第4のスイッチ素子は、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項7】
スイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、
直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、
前記通電制御部は、第1のダイオードと第1のスイッチ素子と第2のスイッチ素子と第2のダイオードとを備え、
前記第1のダイオードは、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第1のスイッチ素子は、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第2のダイオードは、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項8】
スイッチトキャパシタンス型のDC/DCコンバータであって、
直列に接続された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを前記通電制御部と前記出力部との間にさらに備え、
前記通電制御部は、第1のスイッチ素子と第1のダイオードと第2のダイオードと第2のスイッチ素子とを備え、
前記第1のスイッチ素子は、一端が前記第1のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの正極側及び前記出力部の正極側端子に接続され、
前記第1のダイオードは、他端が前記第1のインダクタの他端に接続され、一端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第2のダイオードは、一端が前記第2のインダクタの他端に接続され、他端が前記第1のキャパシタの負極側及び前記第2のキャパシタの正極側に接続され、
前記第2のスイッチ素子は、他端が前記第2のインダクタの他端に接続され、一端が前記第2のキャパシタの負極側及び前記出力部の負極側端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項9】
前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線が第1のコアに巻き回しされ、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線が第2のコアに巻き回しされており、
前記第1のコアと前記第2のコアは独立して構成されていることを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項10】
前記第1のコア及び前記第2のコアはそれぞれギャップ(隙間)を有していることを特徴とする請求項9記載のDC/DCコンバータ。
【請求項11】
前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように1つの閉磁路が形成される1つのコアを共用してそのコアの異なる対向部分に巻き回しされている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項12】
前記コアの対向部分には、ギャップ(隙間)が形成されている
ことを特徴とする請求項11記載のDC/DCコンバータ。
【請求項13】
前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、
前記コアは、
中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、
前記第1の巻線は、前記一方の側磁脚に巻き回しされ、
前記第2の巻線は、前記他方の側磁脚に巻回しされている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項14】
前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、
前記コアは、
中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記中央磁脚に積み重なるように巻き回しされ、
前記中央磁脚と前記側磁脚には、ギャップ(隙間)が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。
【請求項15】
前記第1のインダクタは、通電時に磁束を生じる第1の巻線を有し、前記第2のインダクタは、通電時に磁束を生じる第2の巻線を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、通電時に互いの発生する磁束が強め合うように2つの閉磁路が形成される1つのコアにそれぞれ巻き回しされており、
前記コアは、
中央磁脚と、前記中央磁脚の両側に設けられた2つの側磁脚とを有し、
前記中央磁脚を介して前記2つの側磁脚をつなぐつなぎ部を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線は、前記つなぎ部を挟んで前記中央磁脚に積み重なるように巻き回しされている
ことを特徴とする請求項1記載のDC/DCコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−10519(P2011−10519A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153730(P2009−153730)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】