説明

DCDCコンバータ、半導体装置、発電装置

【課題】電力変換効率の向上を実現するDCDCコンバータの提供。
【解決手段】制御回路と、制御回路から出力される電圧が自らのゲート電極に与えられることでスイッチングが制御されるトランジスタと、トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつトランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、出力電力を検知する検知回路と、を有する。さらに、制御回路は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成する制御信号生成回路と、検知回路において検知された出力電力が閾値と同じかそれを超えている場合に、制御信号の電圧をゲート電極に与え、なおかつ、検知回路において検知された出力電力が閾値を下回っている場合に、トランジスタをオンにする電圧をゲート電極に与える選択回路と、を有するDCDCコンバータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DCDCコンバータと、DCDCコンバータを用いた半導体装置及び発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DCDCコンバータは、入力電圧の値に係わらず、一定の出力電圧を得ることができる定電圧回路であり、整流回路などと共に電源回路に用いられている。特に、スイッチング方式のDCDCコンバータを用いた電源回路は、スイッチング電源またはスイッチングレギュレータと呼ばれている。
【0003】
スイッチング方式のDCDCコンバータは、スイッチング素子により入力電圧からパルス状の波形を有する電圧を形成し、当該電圧をコイルやコンデンサなどにおいて平滑化或いは保持することで、所望の大きさの出力電圧を得るものである。スイッチング方式の場合、抵抗による電圧降下を利用するリニア方式の場合よりも、DCDCコンバータにおける電力の内部損失を原理的に小さくすることができるため、電力変換効率が高く、電力損失に伴う発熱量を小さく抑えることができる。
【0004】
下記の特許文献1には、太陽電池からの発電電圧を、電圧変換回路において駆動クロックに基づき充電電圧に電圧変換し、なおかつ上記発電電圧によって定まる最大充電電力に基づき駆動クロックのデューティ比を決める太陽光電力充電装置について、開示されている。また、下記の特許文献2には、スイッチング素子として機能するFETのソースドレイン間の電圧差を監視し、電圧差が閾値を超えた場合にFETをオンにすることで、負荷における消費電力量の急激な増大に対応することができる電力供給制御装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−199614号公報
【特許文献2】特開2010−183822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、スイッチング方式のDCDCコンバータは、リニア方式のものより高い電力変換効率が得られるが、DCDCコンバータを用いた半導体装置の低消費電力化を図るためには、さらなる電力変換効率の向上が要求される。特に、一次電池、二次電池などの各種電池や、キャパシタなどに蓄積された電力を用いる携帯型電子機器の場合、電池またはキャパシタなどから出力される電圧を最適な大きさに変換するためには、DCDCコンバータを用いる必要がある。DCDCコンバータの電力変換効率を向上させることは、半導体装置の消費電力を小さく抑え、延いては上記半導体装置を用いた携帯型電子機器の連続使用時間を長く確保することに繋がる。
【0007】
また、太陽光発電や風力発電のように、自然エネルギーから電力を得る発電装置の場合、上記電力をDCDCコンバータにより定電圧化してから、二次電池、キャパシタなどの蓄電部や負荷に供給することが多い。例えば、太陽光発電により得られた電力を用いて、リチウムイオン電池を充電する発電装置の場合、太陽電池から出力される電力を、降圧タイプのDCDCコンバータにより定電圧化してから、リチウムイオン電池に供給する。
【0008】
しかし、上述した発電装置の場合、得られる電力の大きさが自然条件に左右されやすい。よって、例えば太陽電池などの発電部において、得られる電力が小さい場合などは、DCDCコンバータへの入力電力も小さくなる。そして、スイッチング方式のDCDCコンバータは、入力電力が大きい場合に高い電力変換効率を維持することができるが、入力電力が小さい場合、電力変換効率が低くなる。そのため、発電部において得られる電力が小さい場合、DCDCコンバータから二次電池や負荷に供給される電力も小さくなり、蓄電部における充電が行われない、負荷における動作が正常に行われないなどの不具合が生じやすい。
【0009】
上述の課題に鑑み、本発明は、電力変換効率の向上を実現するDCDCコンバータの提供を目的の一とする。或いは、本発明は、DCDCコンバータを用いた半導体装置の、消費電力の低減を目的の一とする。或いは、本発明は、電力変換効率の向上を実現する発電装置の提供を目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
入力電力が小さい場合にDCDCコンバータの電力変換効率が低くなる要因の一つとして、入力電力が小さい場合でも、出力電圧の値を制御するためのスイッチング素子をスイッチングさせていることが挙げられる。スイッチング素子をスイッチングさせると、スイッチング素子において電荷の充放電により電力が消費されるほか、そのスイッチングを制御するための制御回路においても電力が消費されるためである。
【0011】
そこで、本発明の一態様では、降圧型のDCDCコンバータにおいて、出力電圧または出力電流を検知する。そして、出力電圧または出力電流が小さくなって閾値を下回ったら、制御回路は、スイッチング素子をスイッチングさせるためのパルス状の波形を有する制御信号の生成を停止し、スイッチング素子をオンの状態に保つための電圧を出力する。制御回路における制御信号の生成を停止することで、制御回路における消費電力を小さく抑えることができる。また、スイッチング素子がオンの状態に保たれることで、スイッチング素子における消費電力を小さく抑えることができる。
【0012】
なお、降圧型のDCDCコンバータは、入力電力が小さい場合、入力電圧と出力電圧の差分が小さくなる。そのため、スイッチング素子をオンの状態に保つことで、入力電圧を降圧せずにそのまま出力電圧として出力しても、DCDCコンバータを用いた半導体装置及び発電装置の動作上はあまり問題にならない。
【0013】
さらに、本発明の一態様では、降圧型のDCDCコンバータにおいて、上記スイッチング素子がオン状態のときに、スイッチング素子として用いる絶縁ゲート型のトランジスタの、ソース端子とドレイン端子のうち入力電圧が与えられる一の端子と、ゲート電極とを接続する、或いは上記一の端子とゲート電極とに、同じ高さの電圧を与える。上記構成により、トランジスタがダイオードとして機能するため、逆流防止用のダイオードを別途設けなくとも、DCDCコンバータにおいて入力電圧が出力電圧を下回ったときに、電流がDCDCコンバータの出力側から入力側に逆流するのを防ぐことができる。
【0014】
具体的に、本発明の一態様に係るDCDCコンバータは、制御回路と、前記制御回路から出力される電圧が、自らのゲート電極に与えられることで、スイッチングが制御されるトランジスタと、前記トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつ前記トランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、前記出力電力を検知する検知回路と、を有する。さらに、前記制御回路は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記検知回路において検知された前記出力電力が閾値と同じかそれを超えている場合に、前記制御信号の電圧を前記ゲート電極に与え、なおかつ、前記検知回路において検知された前記出力電力が閾値を下回っている場合に、前記トランジスタをオンにする電圧を前記ゲート電極に与える選択回路と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様では、入力電力が小さいときに、制御回路における制御信号の生成を停止するため、制御回路の消費電力を小さく抑えることができる。よって、入力電力が小さいときでも、DCDCコンバータの内部における電力損失を小さく抑えることができるので、電力変換効率が低減するのを抑えることができる。また、本発明の一態様では、上記DCDCコンバータを用いた半導体装置の、消費電力の低減を実現することができる。また、本発明の一態様では、上記DCDCコンバータを用いた発電装置の、電力変換効率の向上を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】DCDCコンバータの構成を示す図。
【図2】出力電力と、電力変換効率の関係を示す図。
【図3】DCDCコンバータの構成を示す図。
【図4】電圧検知回路の構成を示す図。
【図5】入力電圧Vinの時間変化と、電圧Vgsの時間変化と、出力電圧Voutの時間変化を示す図。
【図6】入力電圧Vinの時間変化と、電圧Vgsの時間変化と、出力電圧Voutの時間変化を示す図。
【図7】DCDCコンバータの構成を示す図。
【図8】電流検知回路の構成を示す図。
【図9】照明装置の構成を示す図。
【図10】太陽光発電装置の構成を示す図。
【図11】電子機器の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0018】
なお、マイクロプロセッサ、画像処理回路などの集積回路や、RFタグ、記憶媒体、発光素子を用いた照明装置、半導体表示装置など、DCDCコンバータを用いることができるありとあらゆる半導体装置が、本発明の範疇に含まれる。また、半導体表示装置には、液晶表示装置、有機発光素子(OLED)に代表される発光素子を備えた発光装置、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)など、DCDCコンバータを有している半導体表示装置が、その範疇に含まれる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る発電装置は、電気エネルギー以外のエネルギーを用いて電力を生成する発電部と、前記発電部からの電力を入力電力とするDCDCコンバータとを少なくとも有する。さらに、本発明の一態様に係る発電装置は、上記構成に加えて、DCDCコンバータからの出力電力により充電を行う蓄電部を有していても良い。
【0020】
(実施の形態1)
図1に、本発明の一態様に係るDCDCコンバータの構成を一例として示す。図1に示すDCDCコンバータ100は、スイッチング素子として機能するトランジスタ101と、電圧変換部102と、制御回路103と、検知回路104とを有する。
【0021】
トランジスタ101は、入力端子INに与えられる電圧(入力電圧)の、電圧変換部102への供給を制御する。具体的には、トランジスタ101がオンのときに電圧変換部102に入力電圧が供給され、オフのときにその供給が停止する。また、トランジスタ101がオフすると、電圧変換部102にはグラウンドなどの固定電圧が与えられる。そのため、トランジスタ101のスイッチングに従って、入力電圧と固定電圧が交互に出現するパルス状の電圧波形を有する信号が、電圧変換部102に供給される。
【0022】
電圧変換部102は、コイル、コンデンサ、ダイオードのいずれか一つまたは複数を有している。電圧変換部102は、パルス状の信号が供給されると、上記信号の電圧を平滑化或いは保持することで、所定の出力電圧を有する出力電力を生成する。
【0023】
制御回路103は、制御信号生成回路105と、選択回路106とを有する。制御信号生成回路105は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成し、選択回路106に与える。選択回路106は、制御信号の電圧、或いは入力端子INに与えられる入力電圧のいずれかを選択し、選択した電圧をトランジスタ101のゲート電極に与える。
【0024】
上記選択回路106における電圧の選択は、検知回路104において検知される出力電力の値によって決まる。具体的に、検知回路104は、電圧変換部102の出力電圧または出力電流を検知する。そして、検知された出力電圧または出力電流が閾値と同じかそれを超えている場合に、選択回路106は制御信号の電圧を選択し、トランジスタ101のゲート電極に与える。或いは、検知された出力電圧または出力電流が閾値を下回っている場合に、選択回路106は入力端子INに与えられる入力電圧を選択し、トランジスタ101のゲート電極に与える。
【0025】
トランジスタ101は、ゲート電極とソース端子間の電圧Vgsによって、その動作が制御される。よって、入力電圧がそのゲート電極に与えられた場合、トランジスタ101はオンの状態を保持する。また、制御信号の電圧がそのゲート電極に与えられた場合、ゲート電極とソース端子間の電圧Vgsが、制御信号の有するパルス状の電圧波形に従って変化するため、トランジスタ101はオンとオフを繰り返してスイッチングを行う。上記スイッチングにおける、オンとオフの時間の比率であるデューティ比は、制御信号の電圧に従って定まる。
【0026】
なお、上述したように、トランジスタ101は、入力電圧の電圧変換部102への供給を制御している。よって、上記スイッチングのデューティ比が変化すると、電圧変換部102に供給されるパルス状の電圧波形を有する信号のデューティ比も連動して変化し、結果、電圧変換部102から出力される出力電圧の値が変化する。具体的に、電圧変換部102に供給される信号は入力電圧と固定電圧が交互に出現するパルス状の電圧波形を有している。そして、上記信号において、入力電圧を有するパルスの出現する期間の割合が大きいほど、出力電圧と固定電圧の差は大きくなる。逆に、上記信号において、入力電圧を有するパルスの出現する期間の割合が小さいほど、出力電圧と固定電圧の差は小さくなる。すなわち、電圧変換部102の出力電圧は、トランジスタ101におけるスイッチングのデューティ比に見合った大きさとなる。
【0027】
また、出力電圧または出力電流の閾値は、電力変換効率が急激に低下し始める出力電圧または出力電流の値に設定することが望ましい。図2に、DCDCコンバータ100の出力電力(W)と、電力変換効率(%)の関係を模式的に示す。図2において横軸は出力電力(W)を対数スケールで表しており、縦軸は電力変換効率(%)を線形スケールで表している。電力変換効率は、入力電力(W)に対する出力電力(W)の割合に相当する。
【0028】
図2において、実線で示すグラフ200は、出力電力の大きさに関わらず、パルス状の電圧波形を有する制御信号だけで、トランジスタ101の動作を制御した場合の、出力電力(W)と、電力変換効率(%)の関係を示している。また、破線で示すグラフ201は、出力電力が閾値Wと同じかそれより大きいときに、パルス状の電圧波形を有する制御信号でトランジスタ101の動作を制御し、出力電力が閾値Wより小さいときに、トランジスタ101をオンの状態に保つ場合の、出力電力(W)と、電力変換効率(%)の関係を示している。
【0029】
実線で示すグラフ200の場合よりも、破線で示すグラフ201の場合の方が、トランジスタ101における消費電力と制御回路における消費電力が小さく抑えられる。そのため、図2に示すように、出力電力が閾値W以下のときにおける電力変換効率は、グラフ200よりもグラフ201の方が、矢印で示すように高くなる。
【0030】
なお、検知回路104は、電圧変換部102から出力される出力電力のうち、出力電圧を検知していても良いし、出力電流を検知していても良いし、その両方を検知していても良い。
【0031】
図3に、検知回路104として、出力電圧を検知する電圧検知回路を用いた場合の、DCDCコンバータ100の具体的な構成を一例として示す。
【0032】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0033】
また、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0034】
また、トランジスタが有するソース端子とドレイン端子は、トランジスタの極性及び各電極に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソース端子と呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレイン端子と呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレイン端子と呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソース端子と呼ばれる。以下、ソース端子とドレイン端子のいずれか一方を第1端子、他方を第2端子とし、DCDCコンバータの構成について説明する。
【0035】
また、トランジスタのソース端子とは、活性層の一部であるソース領域、或いは活性層に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレイン端子とは、活性層の一部であるドレイン領域、或いは活性層に接続されたドレイン電極を意味する。
【0036】
本発明の一態様に係るDCDCコンバータは、入力電圧に対して小さい出力電圧が得られる降圧型である。図3に示すDCDCコンバータは、トランジスタ101と、電圧変換部102と、制御回路103と、電圧検知回路104aとを有している。
【0037】
また、図3に示すDCDCコンバータは、入力電圧の与えられる入力端子IN1と、固定電圧の与えられる入力端子IN2と、出力端子OUT1と、出力端子OUT2とを有している。
【0038】
そして、図3に示す電圧変換部102は、ダイオード110、コイル111、コンデンサ112を有している。トランジスタ101は、入力端子IN1とダイオード110が有する陰極の間の接続を制御している。具体的に、トランジスタ101は、その第1端子が入力端子IN1に接続されており、その第2端子がダイオード110の陰極に接続されている。コイル111が有する一対の端子は、一方がダイオード110の陰極に接続され、他方がDCDCコンバータの出力端子OUT1に接続されている。入力端子IN2は、ダイオード110の陽極と出力端子OUT2に接続されている。そして、コンデンサ112が有する一対の電極は、一方が出力端子OUT1に接続され、他方が出力端子OUT2に接続されている。
【0039】
図3に示すDCDCコンバータでは、トランジスタ101がオンになると、入力端子IN1と出力端子OUT1との間に電位差が生じるので、コイル111に電流が流れる。コイル111は、上記電流が流れることで磁化すると共に、自己誘導により電流の流れとは逆向きの起電力が生じる。そのため、出力端子OUT1には、入力端子IN1に与えられる入力電圧を降圧することで得られる電圧が与えられる。すなわち、コンデンサ112が有する一対の電極間には、入力端子IN2から与えられる固定電圧と、入力電圧を降圧することで得られる電圧との差分に相当する電圧が、与えられる。
【0040】
次いで、トランジスタ101がオフになると、入力端子IN1と出力端子OUT1の間に形成されていた電流の経路が遮断される。コイル111では、上記電流の変化を妨げる方向、すなわち、トランジスタ101がオンのときに生じた起電力とは逆の方向の起電力が生じる。そのため、コイル111を流れる電流は、上記起電力によって生じた電圧により、維持される。すなわち、トランジスタ101がオフのときには、入力端子IN2または出力端子OUT2と、出力端子OUT1の間に、コイル111とダイオード110を介した電流の経路が形成される。よって、コンデンサ112が有する一対の電極間に与えられている電圧は、ある程度保持される。
【0041】
なお、コンデンサ112に保持されている電圧は、出力端子OUT1から出力される出力電圧に相当する。上記動作において、トランジスタ101がオンである期間の比率が高いほど、コンデンサ112に保持される電圧は固定電圧と入力電圧の差分に近くなる。よって、入力電圧により近い大きさの出力電圧が得られるように、降圧することができる。逆に、トランジスタ101がオフである期間の比率が高いほど、コンデンサ112に保持される電圧は固定電圧との差分が小さくなる。よって、固定電圧により近い大きさの出力電圧が得られるように、降圧することができる。
【0042】
トランジスタ101のオンとオフの時間の比率は、制御回路103において制御される。図3に示す制御回路103は、制御信号生成回路105と、選択回路106と、バッファ107とを有している。さらに、図3に示す制御信号生成回路105は、抵抗120、抵抗121、誤差増幅器122、コンパレータ123、三角波発振器124を有している。
【0043】
制御信号生成回路105において、抵抗120と抵抗121は直列に接続されており、抵抗120の一方の端子には、DCDCコンバータの出力端子OUT1からの出力電圧が与えられている。また、抵抗121の一方の端子には、グラウンドなどの固定の電位が与えられている。そして、抵抗120の他方の端子と、抵抗121の他方の端子とが接続されているノードが、誤差増幅器122の反転入力端子(−)に接続されている。よって、出力電圧は、抵抗120と抵抗121によって抵抗分割され、誤差増幅器122の反転入力端子(−)に帰還信号FBとして与えられる。
【0044】
誤差増幅器122の非反転入力端子(+)には参照電圧Vref1が与えられている。誤差増幅器122は、反転入力端子(−)に与えられた帰還信号FBの電圧と、参照電圧Vref1とを比較し、その誤差を増幅した電圧を有する信号ER−OUTを、誤差増幅器122の出力端子から出力する。
【0045】
誤差増幅器122から出力された信号ER−OUTの電圧は、コンパレータ123の非反転入力端子(+)に与えられる。また、コンパレータ123の反転入力端子(−)には、三角波発振器124から出力される三角波、或いはノコギリ波の電圧波形を有する信号が与えられる。よって、コンパレータ123からは、周期が一定であり、なおかつパルス幅が非反転入力端子(+)に与えられる電圧の大きさに従って変化する、矩形波の電圧波形を有する制御信号を生成する。コンパレータ123から出力された制御信号は、選択回路106に与えられる。
【0046】
選択回路106には、上記制御信号の電圧の他に、入力端子IN1から入力電圧も与えられている。選択回路106は、帰還信号FBが有する電圧の大きさに従い、制御信号の電圧と入力電圧のいずれかを選択し、バッファ107を介して制御回路103から出力する。そして、制御回路103から出力された電圧は、トランジスタ101のゲート電極に入力される。
【0047】
なお、制御信号生成回路105は位相補償回路を有していても良い。位相補償回路を用いる場合、誤差増幅器122から出力された電圧が、位相補償回路に与えられ、位相補償回路から出力された電圧が、コンパレータ123に与えられるようにする。位相補償回路は、誤差増幅器122から出力された電圧の位相を制御する。そして、位相補償回路による電圧の位相の制御により、誤差増幅器122またはコンパレータ123などのアンプが発振するのを防ぎ、DCDCコンバータの動作を安定化させることができる。
【0048】
また、帰還信号FBが有する電圧の大きさは、電圧検知回路104aにおいて検知する。具体的に、図3に示すDCDCコンバータでは、誤差増幅器122から出力される信号ER−OUTの電圧を、電圧検知回路104aにおいて検知することで、帰還信号FBが有する電圧の大きさを間接的に検知する。
【0049】
図4に、電圧検知回路104aの具体的な構成の一例を示す。図4に示す電圧検知回路104aは、コンパレータ125を有している。そして、コンパレータ125の非反転入力端子(+)には、誤差増幅器122から出力される信号ER−OUTの電圧が与えられる。また、コンパレータ125の反転入力端子(−)には、参照電圧Vref2が与えられる。
【0050】
なお、参照電圧Vref2は、参照電圧Vref1と異なる値とする。そして、参照電圧Vref2の値は、出力電圧の閾値に従って定める。
【0051】
コンパレータ125は、入力された信号ER−OUTの電圧と参照電圧Vref2を比較する。そして、信号ER−OUTの電圧が参照電圧Vref2と同じか、それより大きい場合に、コンパレータ125はハイレベルの電圧を出力する。また、信号ER−OUTの電圧が参照電圧Vref2より小さい場合に、コンパレータ125はローレベルの電圧を出力する。
【0052】
そして、選択回路106は、電圧検知回路104aからハイレベルの電圧が与えられると、DCDCコンバータの出力電圧が閾値と同じか、それを超えていると判断し、制御信号の電圧を出力する。トランジスタ101は、そのゲート電極に制御信号の電圧が与えられると、オンとオフを繰り返すスイッチングを行う。
【0053】
また、選択回路106は、電圧検知回路104aからローレベルの電圧が与えられると、DCDCコンバータの出力電圧が閾値を下回っていると判断し、入力電圧を出力すると共に、三角波発振器124の駆動を停止する。トランジスタ101は、そのゲート電極に入力電圧が与えられると、オンの状態を保持する。よって、入力端子IN1に与えられる入力電圧は、トランジスタ101とコイル111を介して、出力電圧として出力端子OUT1に与えられる。本発明の一態様では、DCDCコンバータの出力電圧が閾値を下回っているときに、トランジスタ101をオンの状態に保持することで、トランジスタ101をスイッチングさせるのに費やされる電力を削減することができ、トランジスタ101における消費電力を小さく抑えることができる。
【0054】
なお、降圧型のDCDCコンバータは、入力電力が小さい場合、入力電圧と出力電圧の差分が小さくなる。そのため、トランジスタ101をオンの状態に保つことで、入力電圧を降圧せずにそのまま出力電圧として出力しても、DCDCコンバータを用いた半導体装置及び発電装置の動作上はあまり問題にならない。
【0055】
また、トランジスタ101のゲート電極に入力電圧が与えられているとき、トランジスタ101は、その第1端子にも入力電圧が与えられているため、ダイオードとして機能する。よって、逆流防止用のダイオードを別途設けなくとも、DCDCコンバータにおいて入力電圧が出力電圧を下回ったときに、電流がDCDCコンバータの出力側から入力側に逆流するのを防ぐことができる。
【0056】
また、選択回路106は、DCDCコンバータの出力電圧が閾値を下回っているとき、三角波発振器124の駆動を停止する。具体的には、三角波発振器124における三角波、或いはノコギリ波の電圧波形を有する信号の生成を停止する。よって、三角波発振器124において消費されていた電力を削減することができ、制御回路103の消費電力を小さく抑えることができる。
【0057】
したがって、本発明の一態様では、入力電力が小さいときでも、電力変換効率が低減するのを抑えることができる。また、本発明の一態様では、上記DCDCコンバータを用いることで、半導体装置の消費電力の低減を実現することができる。また、本発明の一態様では、上記DCDCコンバータを用いることで、発電装置の電力変換効率の向上を実現することができる。
【0058】
次いで、図7に、検知回路104として、出力電流を検知する電流検知回路を用いた場合の、DCDCコンバータ100の具体的な構成を一例として示す。図7に示すDCDCコンバータは、検知回路として電流検知回路104bを用いている点だけが、図3に示すDCDCコンバータと異なっている。よって、トランジスタ101、電圧変換部102、制御回路103の構成及び動作については、図3についての記載を概ね参照することができる。以下、図3に示すDCDCコンバータと、図7に示すDCDCコンバータとで異なる点についてのみ述べる。
【0059】
まず、図7のDCDCコンバータの場合、選択回路106は、電圧変換部102からの出力電流の大きさに従い、制御信号の電圧と入力電圧のいずれかを選択し、バッファ107を介して制御回路103から出力する。そして、上記出力電流の大きさは、電流検知回路104bにおいて検知する。具体的に、図7に示すDCDCコンバータでは、電圧変換部102の出力端子と、DCDCコンバータの出力端子OUT1の間に流れる出力電流を、電流検知回路104bにおいて検知する。
【0060】
図8に、電流検知回路104bの具体的な構成の一例を示す。図8に示す電流検知回路104bは、シャント抵抗126と、差動増幅器127と、コンパレータ128とを有している。シャント抵抗126は、電圧変換部102の出力端子と、出力端子OUT1の間に直列に接続されている。そして、シャント抵抗126が有する一対の端子のうち、電圧変換部102の出力端子に接続されている端子は、差動増幅器127の反転入力端子(−)に接続されている。また、シャント抵抗126が有する一対の端子のうち、出力端子OUT1に接続されている端子は、差動増幅器127の非反転入力端子(+)に接続されている。
【0061】
差動増幅器127は、反転入力端子(−)と非反転入力端子(+)に入力された電圧の差分を増幅し、出力端子から出力する。上記電圧の差分は、出力電流の大きさを反映しており、差分が大きいほど出力電流が大きいことを意味し、差分が小さいほど出力電流が小さいことを意味する。
【0062】
コンパレータ128は、差動増幅器127から入力された電圧と、参照電圧Vref3を比較する。そして、差動増幅器127からの電圧が参照電圧Vref3と同じか、それより大きい場合に、コンパレータ128はハイレベルの電圧を出力する。また、差動増幅器127からの電圧が参照電圧Vref3より小さい場合に、コンパレータ128はローレベルの電圧を出力する。コンパレータ128から出力された上記ハイレベルの電圧と上記ローレベルの電圧は、選択回路106に与えられる。選択回路106は、与えられた電圧に従い、DCDCコンバータの出力電流が閾値を下回っているか否かを判断し、上述したような図3のDCDCコンバータと同様の動作を行う。
【0063】
なお、参照電圧Vref3は、参照電圧Vref1または参照電圧Vref2と同じ値であっても良いし、異なる値であっても良いとする。そして、参照電圧Vref3の値は、出力電流の閾値に従って定める。
【0064】
なお、図3、図7では、パルス幅制御(PWM:Pulse Width Modulation control)の制御信号を生成する場合の、制御信号生成回路105の構成を例示している。しかし、本発明の一態様に係るDCDCコンバータは、パルス周波数制御(PFM:Pulse Frequency Modulation control)の制御信号を用いて、トランジスタ101のスイッチングを制御しても良い。
【0065】
図5(A)に、DCDCコンバータの入力電圧Vinの時間変化を一例として示す。また、図5(B)に、パルス幅制御を用いた場合の、トランジスタ101のゲート電圧Vgsの時間変化を一例として示す。また、図5(C)に、図5(A)に示す入力電圧がDCDCコンバータに与えられたときに、トランジスタ101のゲート電圧Vgsが図5(B)に示すように時間変化した場合の、DCDCコンバータの出力電圧Voutの時間変化を示す。
【0066】
図5(A)では、入力電圧Vinが、時間の経過と共に小さくなっている。よって、一定の出力電圧Voutを得るためには、DCDCコンバータにおける降圧の幅を、時間と共に小さくしていく必要がある。よって、トランジスタ101のゲート電圧Vgsは、図5(B)に示すように、パルス状の電圧波形を有しており、なおかつ、そのパルス幅Tonが時間の経過に伴い大きくなっている。なお、パルス幅制御の場合、パルスの出現するタイミングの時間間隔Tpが一定に保たれており、パルス幅Tonが可変となる。
【0067】
そして、図5(A)に示した入力電圧Vinの場合、図5(B)に示したゲート電圧Vgsに従ってトランジスタ101をスイッチングさせると、図5(C)に示すような出力電圧Voutが得られる。図5(B)に示すように、本発明の一態様に係る降圧型のDCDCコンバータでは、パルス幅Tonが小さいと、入力電圧が大きく降圧し、パルス幅Tonが大きいと、入力電圧が小さく降圧する。
【0068】
なお、入力電圧が小さくなっていくと、パルス幅Tonを最大限に大きくしても、出力電圧Voutが降圧を開始する。そして、本発明の一態様では、出力電圧Voutが閾値を下回ると、トランジスタ101のスイッチングを停止し、トランジスタ101をオンの状態に保持する。上記構成により、DCDCコンバータの内部における電力損失を小さく抑えることができるので、出力電圧Voutの降圧を小さく抑えることができる。
【0069】
次いで、図6(A)に、DCDCコンバータの入力電圧Vinの時間変化を一例として示す。また、図6(B)に、パルス周波数制御を用いた場合の、トランジスタ101のゲート電圧Vgsの時間変化を一例として示す。また、図6(C)に、図6(A)に示す入力電圧がDCDCコンバータに与えられたときに、トランジスタ101のゲート電圧Vgsが図6(B)に示すように時間変化した場合の、DCDCコンバータの出力電圧Voutの時間変化を示す。
【0070】
図6(A)では、入力電圧Vinが、時間の経過と共に小さくなっている。よって、一定の出力電圧Voutを得るためには、DCDCコンバータにおける降圧の幅を、時間と共に小さくしていく必要がある。よって、トランジスタ101のゲート電圧Vgsは、図6(B)に示すように、パルス状の電圧波形を有しており、なおかつ、そのパルスの出現するタイミングの時間間隔Tpが時間の経過に伴い小さくなっている。なお、パルス周波数制御の場合、パルス幅Tonが一定に保たれており、パルスの出現するタイミングの時間間隔Tpが可変となる。
【0071】
そして、図6(A)に示した入力電圧Vinの場合、図6(B)に示したゲート電圧Vgsに従ってトランジスタ101をスイッチングさせると、図6(C)に示すような出力電圧Voutが得られる。図6(B)に示すように、本発明の一態様に係る降圧型のDCDCコンバータでは、時間間隔Tpが大きいと、入力電圧が大きく降圧し、時間間隔Tpが小さいと、入力電圧が小さく降圧する。
【0072】
なお、入力電圧が小さくなっていくと、時間間隔Tpを最大限に小さくしても、出力電圧Voutが降圧を開始する。そして、本発明の一態様では、出力電圧Voutが閾値を下回ると、トランジスタ101のスイッチングを停止し、トランジスタ101をオンの状態に保持する。上記構成により、DCDCコンバータの内部における電力損失を小さく抑えることができるので、出力電圧Voutの降圧を小さく抑えることができる。
【0073】
なお、本発明の一態様では、パルス幅制御とパルス周波数制御とを組み合わせて、トランジスタ101のスイッチングによる出力電圧の調整を行っても良い。例えば、出力電力が小さい場合は、パルス周波数制御を用いた方がトランジスタ101のスイッチングの周波数を低く抑えることができ、トランジスタ101のスイッチングによる電力損失を小さく抑えることができる。逆に、出力電力が大きい場合は、パルス幅制御を用いた方がトランジスタ101のスイッチングの周波数を低く抑えることができ、トランジスタ101のスイッチングによる電力損失を小さく抑えることができる。よって、出力電力の大きさに合わせて、パルス幅制御とパルス周波数制御を切り替えることで、電力変換効率の向上を図ることができる。
【0074】
なお、図1、図3、図7では、スイッチング素子として機能するトランジスタ101を一つだけ有する構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発明の一態様では、複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能していても良い。一のスイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続されていても良い。
【0075】
なお、本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみが、第2のトランジスタの第1端子と第2端子のいずれか一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタの第1端子が第2のトランジスタの第1端子に接続され、第1のトランジスタの第2端子が第2のトランジスタの第2端子に接続されている状態を意味する。
【0076】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の一つである、照明装置の一形態について説明する。図9に、照明装置の構成を一例として示す。
【0077】
図9に示す照明装置は、交流電源301と、スイッチ302と、整流回路303と、DCDCコンバータ100と、発光素子304とを有している。整流回路303及びDCDCコンバータ100が、電源回路を構成している。
【0078】
図9に示すDCDCコンバータ100は、図3または図7に示すDCDCコンバータ100と同じ構成を有する。具体的に、図9に示す照明装置では、交流電源301からの交流電圧が、スイッチ302を介して整流回路303に与えられ、整流される。整流されることで得られた直流電圧は、DCDCコンバータ100に入力され、その大きさが調整されて出力される。DCDCコンバータ100の詳しい動作については、実施の形態1の記載を参照することができる。
【0079】
DCDCコンバータ100から出力された電圧が、発光素子304に与えられることで、発光素子304は発光する。発光素子304には、発光ダイオード(LED)、有機発光素子(OLED)など、様々な光源を用いることができる。
【0080】
本発明の一態様に係るDCDCコンバータ100は、入力電力が小さいときでも、DCDCコンバータの内部における電力損失を小さく抑えることができるので、電力変換効率が低減するのを抑えることができる。よって、DCDCコンバータ100を照明装置に用いることで、照明装置の消費電力の低減を実現することができる。
【0081】
なお、図9では、電源として交流電源301を用いている照明装置の構成を示しているが、本発明はこの構成に限定されない。電源として交流電源ではなく直流電源を用いていても良い。ただし、直流電源を用いる場合は、整流回路303を設けなくとも良い。
【0082】
また、図9では、電源である交流電源301を有している照明装置の構成を示しているが、本発明の一態様に係る照明装置は、必ずしも電源をその構成要素に含める必要はない。
【0083】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0084】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る発電装置の一つである、太陽光発電装置の一形態について説明する。図10に、太陽光発電装置の構成を一例として示す。
【0085】
図10に示す太陽光発電装置は、太陽電池として機能するフォトダイオード350と、スイッチ351と、コンデンサ352と、DCDCコンバータ100と、パルス幅変調回路353と、インバータ354と、バンドパスフィルタ355とを有している。
【0086】
図10に示すDCDCコンバータ100は、図3または図7に示すDCDCコンバータと同じ構成を有する。具体的に、図10に示す太陽光発電装置では、フォトダイオード350に光が照射されると電圧が生じる。上記電圧は、コンデンサ352において平滑化された後、スイッチ351を介して、DCDCコンバータ100に入力される。なお、コンデンサ352を設けることで、スイッチ351のオンオフによって生じるパルス状の電流が、フォトダイオード350に流れ込むのを防ぐことができる。
【0087】
そして、DCDCコンバータ100に入力された電圧は、DCDCコンバータ100においてその大きさが調整されてから、出力される。DCDCコンバータ100の詳しい動作については、実施の形態1の記載を参照することができる。本実施の形態では、DCDCコンバータ100において、入力された電圧が降圧され、出力される。
【0088】
DCDCコンバータ100の出力端子OUT1から出力された電圧は直流電圧である。インバータ354は、DCDCコンバータ100から出力された直流電圧を交流電圧に変換し、出力する。図10では、インバータ354が4つのトランジスタ356〜トランジスタ359と、4つのダイオード360〜ダイオード363とで構成されている例を示している。
【0089】
具体的に、トランジスタ356は、その第1端子がDCDCコンバータ100の出力端子OUT1に接続されており、その第2端子がトランジスタ357の第1端子に接続されている。トランジスタ357の第2端子は、DCDCコンバータ100の出力端子OUT2に接続されている。トランジスタ358は、その第1端子がDCDCコンバータ100の出力端子OUT1に接続されており、その第2端子がトランジスタ359の第1端子に接続されている。トランジスタ359の第2端子は、DCDCコンバータ100の出力端子OUT2に接続されている。ダイオード360〜ダイオード363は、トランジスタ356〜トランジスタ359と、それぞれ並列に接続されている。具体的には、トランジスタ356〜トランジスタ359の第1端子にダイオード360〜ダイオード363の陰極がそれぞれ接続され、トランジスタ356〜トランジスタ359の第2端子にダイオード360〜ダイオード363の陽極がそれぞれ接続されている。
【0090】
また、パルス幅変調回路353には、DCDCコンバータ100から出力された電圧が与えられている。パルス幅変調回路353は、上記電圧が与えられることで動作し、トランジスタ356〜トランジスタ359のスイッチングを制御する信号を生成する。
【0091】
パルス幅変調回路353からの上記信号に従ってトランジスタ356〜トランジスタ359がスイッチングを行うことで、インバータ354が有する、トランジスタ356の第2端子とトランジスタ357の第1端子が接続されているノードと、トランジスタ358の第2端子とトランジスタ359の第1端子が接続されているノードとから、PWM波形を有する交流電圧が出力される。
【0092】
そして、バンドパスフィルタ355を用いて、インバータ354から出力された交流の電圧の高周波成分を除去することで、正弦波を有する交流電圧を得ることができる。
【0093】
なお、図10に示す発電装置では、発電装置から出力される交流電圧を、発電装置の後段に接続される負荷に供給する場合を想定している。しかし、発電装置から出力される電圧を用いて、二次電池やキャパシタなどの蓄電部を充電する場合、発電装置から出力される電圧は直流電圧となる。よって、この場合、交流電圧を得るためのパルス幅変調回路353及びインバータ354を発電装置に設けなくとも良く、DCDCコンバータ100の出力電圧を、発電装置からの出力電圧とする。
【0094】
なお、太陽光発電や風力発電のように、自然エネルギーから電力を得る発電装置の場合、得られる電力の大きさが自然条件に左右されやすい。そして、例えば発電部からの入力電力が小さい場合、DCDCコンバータは電力変換効率が低くなるため、出力電力がさらに小さくなる傾向にある。DCDCコンバータからの出力電力が小さくなりすぎると、DCDCコンバータから二次電池や負荷に供給される電力も小さくなり、蓄電部における充電が行われない、負荷における動作が正常に行われないなどの不具合が生じやすい。しかし、本発明の一態様に係る発電装置では、DCDCコンバータへの入力電力が小さいときでも、DCDCコンバータの電力変換効率が低減するのを抑えることができる。よって、発電部からの入力電力が小さい場合に、DCDCコンバータの出力電力が小さくなるのを抑えることができるため、二次電池の充電や負荷の動作が保証できる入力電力の範囲を広げることができる。
【0095】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0096】
本発明の一態様に係るDCDCコンバータ、半導体装置を用いることで、消費電力の低い電子機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、本発明の一態様に係る消費電力の低い半導体装置をその構成要素に追加することにより、連続使用時間が長くなるといったメリットが得られる。また、本発明の一態様に係る発電装置を用いることで、発電部において生成される電力の大きさに変化が生じても、蓄電部における充電、負荷の動作などの信頼性が高い電子機器を提供することができる。
【0097】
本発明の一態様に係る半導体装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図11に示す。
【0098】
図11(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体7031、筐体7032、表示部7033、表示部7034、マイクロホン7035、スピーカー7036、操作キー7037、スタイラス7038等を有する。本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置は、携帯型ゲーム機の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯型ゲーム機の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置を用いることで、消費電力の低い携帯型ゲーム機を提供することができる。また、本発明の一態様に係る発電装置を携帯型ゲーム機に用いることで、携帯型ゲーム機の連続使用時間を長くすることができ、信頼性を高めることができる。なお、図11(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部7033と表示部7034とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
【0099】
図11(B)は携帯電話であり、筐体7041、表示部7042、音声入力部7043、音声出力部7044、操作キー7045、受光部7046等を有する。受光部7046において受信した光を電気信号に変換することで、外部の画像を取り込むことができる。本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置は、携帯電話の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯電話の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置を用いることで、消費電力の低い携帯電話を提供することができる。また、本発明の一態様に係る発電装置を携帯電話に用いることで、携帯電話の連続使用時間を長くすることができ、信頼性を高めることができる。
【0100】
図11(C)は携帯情報端末であり、筐体7051、表示部7052、操作キー7053等を有する。図11(C)に示す携帯情報端末は、モデムが筐体7051に内蔵されていても良い。本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置は、携帯情報端末の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。携帯情報端末の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置を用いることで、消費電力の低い携帯情報端末を提供することができる。また、本発明の一態様に係る発電装置を携帯情報端末に用いることで、携帯情報端末の連続使用時間を長くすることができ、信頼性を高めることができる。
【0101】
図11(D)は照明装置であり、筐体7081、光源7082等を有する。光源7082には、発光素子が設けられている。本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置は、照明装置の駆動を制御するための集積回路に用いることができる。照明装置の駆動を制御するための集積回路に本発明の一態様に係るDCDCコンバータや半導体装置を用いることで、消費電力の低い照明装置を提供することができる。また、本発明の一態様に係る発電装置を照明装置に用いることで、照明装置の連続使用時間を長くすることができ、信頼性を高めることができる。
【0102】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
100 DCDCコンバータ
101 トランジスタ
102 電圧変換部
103 制御回路
104 検知回路
104a 電圧検知回路
104b 電流検知回路
105 制御信号生成回路
106 選択回路
107 バッファ
110 ダイオード
111 コイル
112 コンデンサ
120 抵抗
121 抵抗
122 誤差増幅器
123 コンパレータ
124 三角波発振器
125 コンパレータ
126 シャント抵抗
127 差動増幅器
128 コンパレータ
200 グラフ
201 グラフ
301 交流電源
302 スイッチ
303 整流回路
304 発光素子
350 フォトダイオード
351 スイッチ
352 コンデンサ
353 パルス幅変調回路
354 インバータ
355 バンドパスフィルタ
356 トランジスタ
357 トランジスタ
358 トランジスタ
359 トランジスタ
360 ダイオード
361 ダイオード
362 ダイオード
363 ダイオード
7031 筐体
7032 筐体
7033 表示部
7034 表示部
7035 マイクロホン
7036 スピーカー
7037 操作キー
7038 スタイラス
7041 筐体
7042 表示部
7043 音声入力部
7044 音声出力部
7045 操作キー
7046 受光部
7051 筐体
7052 表示部
7053 操作キー
7081 筐体
7082 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御回路と、
前記制御回路から出力される電圧が、自らのゲート電極に与えられることで、スイッチングが制御されるトランジスタと、
前記トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつ前記トランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、
前記出力電力を検知する検知回路と、を有し、
前記制御回路は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記検知回路において検知された前記出力電力が閾値と同じかそれを超えている場合に、前記制御信号の電圧を前記ゲート電極に与え、なおかつ、前記検知回路において検知された前記出力電力が閾値を下回っている場合に、前記トランジスタをオンにする電圧を前記ゲート電極に与える選択回路と、を有するDCDCコンバータ。
【請求項2】
制御回路と、
前記制御回路から出力される電圧が、自らのゲート電極に与えられることで、スイッチングが制御されるトランジスタと、
前記トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつ前記トランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、
前記出力電力の有する電圧を検知する検知回路と、を有し、
前記制御回路は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記検知回路において検知された前記出力電力の有する電圧が閾値と同じかそれを超えている場合に、前記制御信号の電圧を前記ゲート電極に与え、なおかつ、前記検知回路において検知された前記出力電力の有する電圧が閾値を下回っている場合に、前記トランジスタをオンにする電圧を前記ゲート電極に与える選択回路と、を有するDCDCコンバータ。
【請求項3】
制御回路と、
前記制御回路から出力される電圧が、自らのゲート電極に与えられることで、スイッチングが制御されるトランジスタと、
前記トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつ前記トランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、
検知回路と、を有し、
前記制御回路は、制御信号生成回路と、選択回路とを有し、
前記制御信号生成回路は、前記出力電力が有する電圧を抵抗分割することで帰還信号を生成する複数の抵抗と、反転入力端子に前記帰還信号の電圧が与えられ、非反転入力端子に参照電圧が与えられる誤差増幅器と、三角波またはノコギリ波を生成する三角波発振器と、非反転入力端子に前記誤差増幅器から出力される電圧が与えられ、非反転入力端子に前記三角波発振器からの出力信号が与えられることで、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成するコンパレータと、を有し、
前記検知回路は、前記誤差増幅器から出力される電圧を検知し、
前記検知回路において検知された前記誤差増幅器から出力される電圧が閾値と同じかそれを超えている場合に、前記制御信号の電圧を前記ゲート電極に与え、なおかつ、前記検知回路において検知された前記誤差増幅器から出力される電圧が閾値を下回っている場合に、前記トランジスタをオンにする電圧を前記ゲート電極に与える選択回路と、を有するDCDCコンバータ。
【請求項4】
制御回路と、
前記制御回路から出力される電圧が、自らのゲート電極に与えられることで、スイッチングが制御されるトランジスタと、
前記トランジスタのスイッチングにより入力電力の供給が制御され、なおかつ前記トランジスタのスイッチングのデューティ比に見合った大きさの電圧を有する出力電力を生成する電圧変換部と、
前記出力電力の有する電流を検知する検知回路と、を有し、
前記制御回路は、パルス状の電圧波形を有する制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記検知回路において検知された前記出力電力の有する電流が閾値と同じかそれを超えている場合に、前記制御信号の電圧を前記ゲート電極に与え、なおかつ、前記検知回路において検知された前記出力電力の有する電流が閾値を下回っている場合に、前記トランジスタをオンにする電圧を前記ゲート電極に与える選択回路と、を有するDCDCコンバータ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のDCDCコンバータを用いた半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のDCDCコンバータと、生成した電力を入力電力として前記DCDCコンバータに供給する発電部と、前記DCDCコンバータからの出力電力を用いて充電を行う蓄電部と、を有する発電装置。
【請求項7】
請求項6において、前記発電部がフォトダイオードを用いている発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−100522(P2012−100522A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221557(P2011−221557)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】